三方流路ポート及び透析装置
【課題】洗浄を良好に行うことができる三方流路ポート及び透析装置を提供する。
【解決手段】補液ポート11は、入口流路C1と出口流路C2との他に分岐流路C3を有し、入口流路C1と出口流路C2とを連絡する連絡領域Rの少なくも一部を仕切り、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の少なくとも一部を、分岐流路C3内を通る迂回路C4に導く規制部材35を備える。
【解決手段】補液ポート11は、入口流路C1と出口流路C2との他に分岐流路C3を有し、入口流路C1と出口流路C2とを連絡する連絡領域Rの少なくも一部を仕切り、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の少なくとも一部を、分岐流路C3内を通る迂回路C4に導く規制部材35を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三方流路ポート及びこれを備える透析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三方流路ポートとして、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の三方流路ポートは、透析液のサンプリングポートであり、透析液流入流路と、透析液流出流路と、透析液流入流路及び透析液流出流路から分岐する透析液サンプリング流路と、透析液サンプリング流路に連通する開口を開閉するキャップと、透析液サンプリング流路への透析液の流入を制御する弁体とを備えている。このサンプリングポートでは、キャップが閉められたときに、弁体が押圧されることにより透析液サンプリング流路への流通口が開いて透析液サンプリング流路に透析液が流入し、キャップが開けられたときに、弁体がばねにより押圧されて流通口が閉じて透析液サンプリング流路への透析液の進入が阻止される構成となっている。
【0003】
サンプリングポートでは、洗浄液あるいは消毒液を流路に流通させて洗浄を行う。上記サンプリングポートでは、洗浄を行う際、透析液流入流路から流入した洗浄液のうちの一部は、透析液流出流路へと流動して排出され、残りの洗浄液は、透析液サンプリング流路へ流入する。透析液サンプリング流路に流入した洗浄液は、キャップ内に設けられた流出路と、これに接続された逆止弁の介在する流出管路を経由してサンプリングポートの外へと排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4352368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のサンプリングポートにあっては、キャップ内に流出路を設けているため、構成が複雑化すると共にコストが増大するといった問題があった。キャップに流出路を設けなくとも洗浄は可能であるが、透析液サンプリング流路の上部に空気溜まり(空気層)が発生し、この空気溜まりにより洗浄液がサンプリング流路の端部まで行き届かず完全な洗浄ができないといった問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、洗浄を良好に行うことができる三方流路ポート及びこれを備える透析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る三方流路ポートは、入口流路と出口流路との他に分岐流路を有する三方流路ポートであって、入口流路と出口流路とを連絡する連絡領域の少なくも一部を仕切り、入口流路から出口流路に至る液体の少なくとも一部を、分岐流路内を通る迂回路に導く規制部材を備えることを特徴とする。
【0008】
この三方流路ポートでは、入口流路と出口流路とを連絡する連絡領域の少なくも一部を仕切る規制部材によって、入口流路から出口流路に至る液体の少なくとも一部を、分岐流路内を通る迂回路に導かせている。そのため、例えばサンプリング流路となる分岐流路内に常に液流を発生させることができる。したがって、分岐流路に空気溜まりが発生しないため、洗浄を行う際、洗浄液を入口流路、出口流路、分岐流路のいずれにも行き届かせることができる。その結果、洗浄を良好に行うことができる。
【0009】
さらに、規制部材は、連絡領域内に進入する進入方向と連絡領域内から退出する退出方向とに移動可能に設けられ、連絡領域内に進入して液体を迂回路に導く。そして、三方流路ポートは、分岐流路に連通する開口部に取り付けられるキャップと、キャップに設けられ、規制部材を進入方向に押圧する押圧部と、規制部材を退出方向に付勢する弾性体と、規制部材と弾性体とに挟まれ、弾性体の付勢により撓むことで、入口流路から迂回路を通ることなく出口流路に至る液体の流量を増大させる面状の弁体と、を更に備え、規制部材は、キャップが開口部に取り付けられているときには、押圧部に押圧され、且つ弁体に当接して弁体の撓みを解消すると共に、キャップが開口部に取り付けられていないときには、弾性体の付勢による弁体の撓みを許容すると好適である。
【0010】
さらに、規制部材は、移動に伴って開口部を開閉する開閉弁を有し、開閉弁は、キャップが開口部に取り付けられているときに、押圧部に押圧されることで開口部を開放し、キャップが開口に取り付けられていないときに、弾性体の付勢により開口部を閉鎖することが好ましい。このような構成によれば、例えば分岐流路にサンプリング手段のシリンジなどを取り付けるためにキャップを外したときに、分岐流路内の液体が開口部から流出することを防止できる。
【0011】
規制部材は、連絡領域の少なくも一部を仕切り、液体の少なくとも一部を迂回路に導く隔壁部と、隔壁部から張り出す張出部と、備えて構成されている。更に、隔壁部及び張出部は、キャップが開口部に取り付けられているときに、その両方が弁体に当接する構成とすることができる。このような構成によれば、隔壁部及び張出部が弁体に対して均等に力を加えることができる。したがって、規制部材がキャップの押圧部に押圧された際、その力を弁体に均等に伝えることができる。
【0012】
張出部は、液体の流入方向に対して分岐流路側に傾斜する傾斜面を有していることが好ましい。このような構成によれば、入口流路から流入した液体に傾斜面によって上昇流を発生させることができるため、液体を迂回路側に良好に導くことができる。
【0013】
隔壁部には、入口流路と出口流路とを連絡する切欠部が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、入口流路から出口流路に至る液体の流路を確保することができる。そのため、規制部材によって液体の流れに淀みが生じることを抑制できる。
【0014】
また、本発明に係る透析装置は、上述のいずれかの三方流路ポートと、血漿を分離する血漿分離器と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、三方流路ポートの洗浄を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る補液ポートを含んで構成された透析装置の概略を示す図である。
【図2】補液ポートを示す斜視図である。
【図3】図2に示す補液ポートの正面図である。
【図4】図3における縦断面図である。
【図5】図2に示す補液ポートを横から見た図である。
【図6】図5における横断面図である。
【図7】図1に示す補液ポートの規制部材を示す斜視図である。
【図8】補液ポートの動作を説明するための図である。
【図9】補液ポートの洗浄工程を示す概略図である。
【図10】第2実施形態に係る補液ポートを示す斜視図である。
【図11】図10示す補液ポートの正面図である。
【図12】図11における縦断面図である。
【図13】図10に示す補液ポートの規制部材を示す斜視図である。
【図14】第3実施形態に係るサンプルポートを含んで構成された透析装置の概略を示す図である。
【図15】他の形態の規制部材を示す斜視図である。
【図16】他の形態の規制部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
[第1実施形態]
最初に、本発明に係る三方流路ポートを補液ポートに適用する場合について説明する。図1は、第1実施形態に係る補液ポートを含んで構成された透析装置の概略を示す図である。
【0019】
図1に示すように、透析装置1は、被検体から取り出した血液を脱血側回路2を通してダイアライザー(血漿分離器)3に送液し、ダイアライザー3を通過した血液を返血側回路4を通して被検体に返血する血液回路5と、血液回路5内の血液を送液させるポンプ6と、ダイアライザー3の上流側に設けられた動脈側エアトラップチャンバ7と、ダイアライザー3の下流側に設けられた静脈側エアトラップチャンバ8と、ダイアライザー3でろ過された血漿成分を送液する血漿回路9と、ダイアライザー3に補液を送液する補液回路10に接続された補液ポート11と、補液ポート11に接続されると共に、ダイアライザー3と静脈側エアトラップチャンバ8との間に接続される希釈回路12とを備えている。このような構成により、透析装置1では、後希釈によるろ過透析が行われる。
【0020】
続いて、補液ポート11について、図2〜図6を参照して詳細に説明する。図2は、補液ポートを示す斜視図、図3は、図2に示す補液ポートの正面図、図4は、図3における縦断面図である。また、図5は、図2に示す補液ポートを横から見た図、図6は、図5における横断面図である。なお、以下の説明においては、図2に示す補液ポート11の状態において、「上」、「下」を規定する。また、図において、説明の便宜上、外装部分を二点鎖線、内装部分を実線にて示している部分がある。
【0021】
各図に示すように、補液ポート11は、ハウジング20と、流入管21と、流出管22と、上側キャップ23と、下側キャップ24とを備えている。
【0022】
ハウジング20は、正面視において略凸形状を呈しており、内部に空間が形成された中空の部材である。ハウジング20は、円筒状の本体部20aと、この本体部20aの上部に設けられ、本体部20aよりも小径の小径部20bとから構成されている。本体部20aには、第1の内周面25により内部空間S1、第2の内周面26により内部空間S2が形成されている。第1の内周面25の径は、第2の内周面26の径よりも小さい。本体部20a及び小径部20bに亘って形成される第3の内周面27は、内部空間S3を形成している。ハウジング20は、例えばアクリル等の樹脂から形成されている。
【0023】
本体部20aの側部からは、流入管21及び流出管22が突出している。流入管21及び流出管22は、その内部が内部空間S1と連通するように設けられており、中心軸が同一直線上となるように配置されている。本体部20aと流入管21及び流出管22とは、一体成型されている。流入管21は、液体の入口流路C1を形成しており、流出管22は、液体の出口流路C2を形成している。このような構成により、本体部20aの内部空間S1は、入口流路C1及び出口流路C2を連絡する連絡領域Rを形成している。
【0024】
本体部20aの下部には、下側キャップ24が取り付けられている。下側キャップ24には、底部24aから上方に突出する円筒状の突出部24bが設けられている。突出部24bは、本体部20aの第2の内周面26の径と略同等の外径を有しており、第2の内周面26に沿って内部空間S2に挿入されている。そして、本体部20aの底部には、ねじ30が螺合されるねじ孔30aが複数(ここでは3つ)形成されており、下側キャップ24がねじ30によって本体部20aに結合されている。
【0025】
下側キャップ24の底部24aには、突出部24bの内側に、突出部24bの内径よりも小径の円形状の凹部24cが形成されている。凹部24cには、ばね(弾性体)31が載置されている。また、下側キャップ24の突出部24bの内側には、ばね31を覆うように収容する収容空間S4が形成されたばね収容部32が配置されている。ばね収容部32には、上面から上方に突設された凸部32aが設けられている。凸部32aは、円柱形状を呈しており、ばね収容部32の上面の中央部に配置されている。ばね31は、下側キャップ24の底部24aの凹部24cとばね収容部32との間において、圧縮された状態で保持されている。
【0026】
突出部24bの頂部には、面状の弁体33が載置されている。弁体33は、円形状を呈しており、柔軟性を有する例えばゴム等の樹脂から形成されている。弁体33は、ばね31の付勢により撓むことで液体の第3の流れF3(図8(b)参照)を形成し、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の流量を増大させる。弁体33は、本体部20aの第2の内周面26の径と略同等の外径を有している。弁体33は、本体部20aの第1の内周面25と第2の内周面26との間の段差部34と下側キャップ24の突出部24bの頂部との間に挟持されている。
【0027】
弁体33の下面は、ばね収容部32の凸部32aと当接している。これにより、弁体33には、ばね収容部32の凸部32aを介して、ばね31より下方側から押し上げる方向(ばね31が伸びる方向)に付勢されている。
【0028】
本体部20aと小径部20bとに亘って形成された第3の内周面27により形成される内部空間S3は、連絡領域Rに連通する分岐流路C3を形成している。分岐流路C3は、入口流路C1と出口流路C2との他に設けられた流路であり、入口流路C1と出口流路C2との間に設けられている。分岐流路C3は、入口流路C1及び出口流路C2の延在方向に対して、直交する方向に延在する流路である。小径部20bの上部には、この小径部20bよりも小径の円筒状のねじ部20cが形成されている。このねじ部20cには、上側キャップ23が螺着される。ねじ部20cには、開口部20d(図8参照)が形成されている。開口部20dは、分岐流路C3に連通している。
【0029】
上側キャップ23は、ハウジング20に脱着可能に取り付けられている。上側キャップ23は、ハウジング20の小径部20bの上部に形成されたねじ部20cによりハウジング20に螺着されている。上側キャップ23の内部には、その中央部分にピン(押圧部)23aが設けられている。図4及び図6に示すように、ピン23aは、上側キャップ23の開口側に延びており、上側キャップ23がねじ部20cに螺着された状態において、後述する規制部材35のロッド35hと当接する長さを有している。より具体的には、ピン23aは、規制部材35のロッド35hと当接して規制部材35が弁体33を押圧しているときに、弁体33が平坦な状態(撓んでいない状態)を維持する長さに設定されている。
【0030】
ハウジング20内には、規制部材35が配置されている。規制部材35は、弁体33上に載置されており、上側キャップ23がハウジング20に螺着されているときに、弁体33を押圧する。規制部材35は、入口流路C1と出口流路C2とを連絡する連絡領域Rの少なくも一部を仕切り、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の少なくとも一部を、分岐流路C3内を通る迂回路C4(図8参照)及びねじ部20cの内周面(上側キャップ23のピン23aが位置する部分)に導く部材である。規制部材35は、分岐流路C3内で、分岐流路C3に沿って上下方向に移動可能であり、本実施形態では、便宜上、連絡領域R内に進入する進入方向が下方であり、連絡領域R内から退出する退出方向が上方になっている。
【0031】
図7は、規制部材を示す斜視図である。図7に示すように、規制部材35は、板状の隔壁部35aと、この隔壁部35aと直交する方向に張り出す板状の張出部35b,35cと、隔壁部35aの上部に設けられた弁体支持部35dとを有している。隔壁部35aと張出部35b,35cとは、上面視において十字状を呈している。
【0032】
隔壁部35aは、入口流路C1から出口流路C2に至る液体を、分岐流路C3内を通る迂回路C4及びねじ部20cの内周面に導く部分である。より具体的には、隔壁部35aは、入口流路C1を通過して連絡領域Rに入り込んだ液体の流れに干渉し、その液体の一部に上昇流を発生させて、液体を分岐流路C3内の迂回路C4及びねじ部20cの内周面に導くと共に、連絡領域Rに入り込んだ液体の一部を出口流路C2に流す。隔壁部35aは、略長方形状を呈する板状部材である。図6に示すように、隔壁部35aの長辺の長さは、本体部20aの内径と略同等となっている。隔壁部35aの短辺の長さ(高さ)は、第1の内周面25の高さよりも短くなっている。つまり、隔壁部35aの短辺の長さは、弁体33と、第1の内周面25と第3の内周面27との間の段差部36との間の寸法よりも短い。これにより隔壁部35aは、内部空間S1において上下方向に移動可能となっている。
【0033】
隔壁部35aの両端側の下部には、切欠部35eが形成されている。切欠部35eは、隔壁部35aの角部分が三角形状に切り欠かれている。この切欠部35eと本体部20aの第1の内周面25及び弁体33とによって画成される領域は、流入管21から流入した液体の一部を流出管22に流動させる部分であり、後述する液体の第1の流れF1を発生させる。切欠部35eは、規制部材35によって液体に淀み(滞留)が発生することを防止する。
【0034】
張出部35b,35cは、隔壁部35aの中央部から隔壁部35aの厚み方向の外側(面外方向)にそれぞれ延びるように張り出して設けられている。張出部35b,35cの底面は、隔壁部35aの底面と面一となっている。張出部35b,35cは、隔壁部35aから外側に向かうにつれて下り勾配で傾斜している。図4に示すように、張出部35b,35cの先端は、本体部20aの第1の内周面25まで延びている。
【0035】
弁体支持部35dには、弁体部(開閉弁)35fが設けられている。弁体部35fは、規制部材35の移動に伴って開口部20dを開放または閉鎖する。図4及び図6に示すように、弁体支持部35dの上部には凹部35gが形成されており、この凹部35gに弁体部35fが収容(埋設)されている。弁体部35fの上面は、弁体支持部35dの上端面と略面一となっている。弁体支持部35dには、弁体部35fの中央部を貫通するように、ロッド35hが埋設されている。ロッド35hは、棒状の部材であり、上側キャップ23のピン23aと当接する部分である。ロッド35hは、弁体部35fの上面から上方に突出している。ロッド35hにおいて、弁体支持部35d(弁体部35f)から突出している部分は、上面視において、板状の部材が三方向に互いに同じ角度(約60°)を成して延在する形状を呈している。
【0036】
規制部材35は、ハウジング20内において、移動規制部材37により移動が規制されている。図3に示すように、移動規制部材37は、棒状の部材であり、段差部36から下方に突出している。移動規制部材37は、規制部材35の隔壁部35aに沿うように複数(例えば2本)設けられており、液流により規制部材35が回転・移動することを抑制している。
【0037】
次に、上述の構成を有する補液ポート11の動きについて、図8を参照しながら説明する。図8は、補液ポートの動作を説明するための図である。図8(a)に示すように、上側キャップ23がハウジング20に装着されている場合には、上側キャップ23のピン23aが規制部材35のロッド35hに当接して下方に押圧しており、その結果、規制部材35は弁体33を下方に押圧している。これにより、ばね31の付勢によって弁体33及び規制部材35が上方に押し上げられる力が抑制され、弁体33が定常状態、つまり弁体33に撓みがない平坦な状態(撓みが解消された状態)が維持されている。
【0038】
上側キャップ23が装着された補液ポート11では、液体が流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の切欠部35eを通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる第1の流れF1と、液体が流入管21流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の隔壁部35aにより分岐流路C3内を通る迂回路C4に導かれ、迂回路C4を経て出口流路C2に至り流出管22への流れる第2の流れF2とが発生している。
【0039】
また、図8(b)に示すように、上側キャップ23がハウジング20から取り外された状態において、規制部材35は、ばね31の弾性力により開口部20dを閉鎖し、また、ばね31の弾性力による弁体33の撓みを許容する。つまり、この状態では、規制部材35のロッド35hが下方に押圧されていないため、ばね31の弾性力によりばね収容部32を介して弁体33が押し上げられ、これにより規制部材35も上方に押し上げられて弁体部35fが小径部20bの上面に当接する。これにより、開口部20dは弁体部35fによって閉鎖される。そのため、分岐流路C3内の液体が開口部20dから流出することがない。また、弁体33がばね収容部32の凸部32aに押し上げられることにより、弁体33が撓み、規制部材35の隔壁部35aの底面と弁体33との間に隙間が形成される。
【0040】
上側キャップ23が取り外された補液ポート11では、液体が流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の切欠部35eを通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる第1の流れF1と、流入管21に流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の隔壁部35aにより分岐流路C3に導かれ、規制部材35の周縁(規制部材35と第3の内周面27との隙間)を経て出口流路C2に至り流出管22へと流れる液体の第2の流れF2と、流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の下方と弁体33との間を通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる液体の第3の流れF3とが発生している。
【0041】
図1に示す透析装置1に接続された補液ポート11では、上側キャップ23が取り外されており、ハウジング20のねじ部20cに補液手段(図示しない)が接続されている。補液手段は、希釈回路12を構成するパイプの先端に接続されるものであり、上側キャップ23のピン23aに該当する例えば棒状部材が設けられたキャップを有している。この構成により、補液ポート11では、規制部材35のロッド35hが補液手段によって押圧され、図8(a)に示すように、第1の流れF1及び第2の流れF2が発生している。これにより、補液ポート11において、分岐流路C3内の迂回路C4を流れる液体(補液)が、希釈回路12に液送される。
【0042】
続いて、補液ポート11の洗浄について説明する。図9は、補液ポートの洗浄工程を示す概略図である。図9に示すように、補液ポート11の洗浄の際には、水の供給源に接続された水供給ラインL1と薬液ボトル39に接続された薬液ラインL2とが補液ポート11に接続され、水及び薬液(洗浄液)が補液ポート11に供給される。補液ポート11を通過した水及び薬液は、排液として排液ラインL3を通って排出される。具体的には、補液ポート11の流入管21には、水供給ラインL1及び薬液ラインL2が一つのラインに連結して接続され、流出管22には、排液ラインL3が接続される。
【0043】
洗浄時の際、補液ポート11では、上側キャップ23がねじ部20cに螺着されたときと同じ状態となっている。すなわち、補液ポート11では、第1の流れF1及び第2の流れF2が発生している。これにより、入口流路C1、出口流路C2、分岐流路C3及び連絡領域Rの全ての流路の洗浄が行われる。
【0044】
以上説明したように、補液ポート11では、入口流路C1と出口流路C2とを連絡する連絡領域Rの少なくも一部を仕切る規制部材35によって、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の少なくとも一部が分岐流路C3内を通る迂回路C4及びねじ部20cの内周面にまでに導かれている。そのため、分岐流路C3に常に液体が送液されているため、分岐流路C3(迂回路C4及びねじ部20cの内周面)に空気溜まりが発生しない。したがって、洗浄を行う際、洗浄液を各流路C1〜C3に行き届かせることができる。その結果、洗浄を良好に行うことができる。
【0045】
また、従来のものでは、上側キャップの内側に流出路を設け、さらに流出管路と逆止弁とを設ける必要があり、加工工数、組立工数、部品点数の増加によりコストの増大を招来するといった問題があった。これに対して、本実施形態の補液ポート11では、上側キャップ23に流出路等も設けなくとも空気層の発生による洗浄の不具合が生じないため、コストの増大を防止することができる。
【0046】
また、規制部材35は、隔壁部35aと張出部35b,35cとが直交するように設けられており、隔壁部35aと張出部35b,35cとが上面視において十字状を呈している。このような構成より、弁体33に対して均等に力を加えることができ、弁体33の通常状態(撓んでいない状態)を良好に維持できる。
【0047】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態に係る補液ポートについて説明する。図10は、補液ポートを示す斜視図、図11は、図10に示す補液ポートの正面図、図12は、図11における縦断面図である。
【0048】
各図に示すように、補液ポート50は、ハウジング51と、流入管21と、流出管22と、上側キャップ52と、下側キャップ24とを備えている。
【0049】
ハウジング51は、正面視において略凸形状を呈しており、内部に空間が形成された中空の部材である。ハウジング51は、円筒状の本体部53と、この本体部53の上部に設けられ、上側キャップ52が螺着されるねじ部54cが形成された蓋部54とから構成されている。本体部20aには、第1の内周面60により内部空間S1、第2の内周面61により内部空間S2が形成されている。
【0050】
蓋部54は、本体部53の上部に形成された凹部53aに配置されており、凹部53aに収容される円形状の蓋部分54aと、蓋部分54aから上方に突出すると共にねじ部54cが形成された突出部分54bとから構成されている。蓋部54は、その中心部分に高さ方向に沿って円柱状の貫通孔Hが形成されている。蓋部分54aの下部には、パッキンPが埋設されている。パッキンPは、円環状を呈しており、貫通孔Hを囲うように配置されている。パッキンPは、蓋部54が本体部53に取り付けられた状態において本体部53の凹部53aと内部空間S1とを跨ぐ位置に配置されており、蓋部54(蓋部分54a)の下面と略面一となっている。
【0051】
ハウジング51内には、規制部材55が配置されている。規制部材55は、弁体33上に載置されており、上側キャップ52がハウジング51に螺着されているときに、弁体33を押圧する。規制部材55は、入口流路C1と出口流路C2とを連絡する連絡領域Rの少なくも一部を仕切り、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の少なくとも一部を、分岐流路C3内を通る迂回路C4(後述する弁体部55fの上方)及び貫通孔Hに導く部材である。規制部材55は、分岐流路C3内で、分岐流路C3に沿って上下方向に移動可能である。
【0052】
図13は、規制部材を示す斜視図である。図13に示すように、規制部材55は、板状の隔壁部55aと、この隔壁部55aから放射状に張り出す板状の張出部55b〜55eと、隔壁部55aの上部に設けられた弁体部55fとを有している。張出部55b,55c及び張出部55d,55eのそれぞれは、上面視においてV字状を呈している。
【0053】
隔壁部55aは、入口流路C1から出口流路C2に至る液体を、分岐流路C3内を通る迂回路C4及び貫通孔Hに導く部分である。より具体的には、隔壁部55aは、入口流路C1を通過して連絡領域Rに入り込んだ液体の流れに干渉し、その液体の一部に上昇流を発生させて、液体を分岐流路C3内を通る迂回路C4(弁体部55fの上方)及び貫通孔Hに導くと共に、連絡領域Rに入り込んだ液体の一部を出口流路C2に流す。隔壁部55aは、略長方形状を呈する板状部材である。図10及び図11に示すように、隔壁部55aの長辺の長さは、本体部53の内径と略同等となっている。隔壁部55aの短辺の長さ(高さ)は、第1の内周面60の高さよりも短くなっている。これにより隔壁部55aは、内部空間S1において上下方向に移動可能となっている。
【0054】
隔壁部55aの両端側の下部には、切欠部55gが形成されている。切欠部55gは、隔壁部55aの角部分が三角形状に切り欠かれている。この切欠部55gと本体部53の第1の内周面60及び弁体33とによって画成される領域は、流入管21から流入した液体の一部を流出管22に流動させる部分であり、液体の第1の流れF1(図8参照)を発生させる。切欠部55gは、規制部材55によって液体に淀み(滞留)が発生することを防止する。
【0055】
張出部55b〜55eは、隔壁部55aの中央部から隔壁部55aの厚み方向の外側(面外方向)にそれぞれ延びるように張り出して設けられている。張出部55b〜55eは、三角形状を呈しており、隔壁部55aから外側に向かうにつれて先細となっている。張出部55b〜55eは、弁体33とは接触しないように配置されている。張出部55b,55cによって、液体に淀みが発生することをより効果的に防止している。
【0056】
弁体部55fは、規制部材55の移動に伴って蓋部54の下方の開口部54dを開放または閉鎖する。すなわち、弁体部55fの移動により、蓋部54の上方の開口部54eの開放または閉鎖が制御される。弁体部55fは、円形状を呈しており、蓋部分54aに設けられたパッキンPと当接して開口部54dを閉鎖する。弁体部55fには、その中央部から上方に突出するように延びるようにロッド55hが設けられている。ロッド55hは、棒状の部材であり、蓋部54の貫通孔Hに内挿されて上側キャップ52のピン52aと当接する部分である。ロッド55hは、上面視において、板状の部材が三方向に互いに同じ角度(約60°)を成して延在する形状を呈している。
【0057】
次に、上述の構成を有する補液ポート50の動きについて説明する。補液ポート50では、上側キャップ52がハウジング51に装着されている場合には、上側キャップ52のピン52aが規制部材55のロッド55hに当接して下方に押圧しており、その結果、規制部材55は弁体33を下方に押圧している。これにより、ばね31の付勢によって弁体33及び規制部材55が上方に押し上げられる力が抑制され、弁体33が定常状態、つまり弁体33に撓みがない平坦な状態(撓みが解消された状態)が維持されている。
【0058】
上側キャップ52が装着された補液ポート50では、液体が流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材55の切欠部55gを通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる第1の流れF1(図8参照)と、液体が流入管21流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材55の隔壁部55aにより分岐流路C3内を通る迂回路C4及び貫通孔Hに導かれ、迂回路C4を経て出口流路C2に至り流出管22への流れる第2の流れF2とが発生している。
【0059】
また、上側キャップ52がハウジング51から取り外された状態において、規制部材55は、ばね31の弾性力により蓋部54の開口部54dを閉鎖し、また、ばね31の弾性力による弁体33の撓みを許容する。つまり、この状態では、規制部材55のロッド55hが下方に押圧されていないため、ばね31の弾性力によりばね収容部32を介して弁体33が押し上げられ、これにより規制部材55も上方に押し上げられて弁体部55fが蓋部54のパッキンPに当接する。これにより、開口部54dは弁体部55fによって閉鎖される。そのため、分岐流路C3内の液体が開口部54dから流出することがない。また、弁体33がばね収容部32の凸部32aに押し上げられることにより、弁体33が撓み、規制部材55の隔壁部55aの底面と弁体33との間に隙間が形成される。
【0060】
上側キャップ52が取り外された補液ポート50では、液体が流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材55の切欠部55gを通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる第1の流れF1と、流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材55の下方と弁体33との間を通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる液体の第3の流れF3とが発生している。
【0061】
以上説明したように、補液ポート50では、入口流路C1と出口流路C2とを連絡する連絡領域Rの少なくも一部を仕切る規制部材55によって、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の少なくとも一部が分岐流路C3内を通る迂回路C4及び貫通孔Hに導かれている。そのため、上側キャップ52が装着された状態においては、分岐流路C3内を通る迂回路C4及び貫通孔Hに常に液体が送液されているため、分岐流路C3内を通る迂回路C4及び貫通孔Hに空気溜まりが発生しない。したがって、洗浄を行う際、洗浄液を各流路C1〜C3及び貫通孔Hに行き届かせることができる。その結果、洗浄を良好に行うことができる。
【0062】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る三方流路ポートをサンプリングポートに適用する場合について説明する。図14は、第3実施形態に係るサンプリングポートを含んで構成された透析装置の概略を示す図である。なお、図14に示すサンプリングポート11Aは、上述の補液ポート11と同様の構成を有している。なお、以下の説明においては、補液ポート11を例示して説明するが、サンプリングポート11Aは、補液ポート50と同様の構成を有していてもよい。
【0063】
図14に示すように、サンプリングポート11Aは、透析装置1Aにおいて、補液(透析液)の状態を検査するために、補液の一部を抽出するために設けられている。この透析装置1Aにおいて透析液のサンプリングを行う場合には、まずサンプリングポート11Aの上側キャップ23が取り外される。そして、サンプリング手段である例えばシリンジが補液ポート11に接続される。
【0064】
具体的には、シリンジの先端部がサンプリングポート11Aの開口部20dに挿入されて接続される。シリンジが開口部20dに接続された際、シリンジの先端部が規制部材35のロッド35hを押圧する。そのため、サンプリングが行われているときには、図8(a)に示す状態と同様の状態となっている。すなわち、液体が流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の切欠部35eを通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる第1の流れF1と、液体が流入管21に流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の隔壁部35aにより分岐流路C3内を通る迂回路C4及びねじ部20cの内周面に導かれ、迂回路C4を経て出口流路C2に至り流出管22への流れる第2の流れF2とが発生している。この第2の流れF2により、サンプリング対象となる補液(透析液)がシリンジに送流される。
【0065】
サンプルの抽出が終了した後、シリンジがサンプリングポート11Aから取り外されると、ばね31の弾性力により弁体33が押し上げられ、これにより規制部材35も上方に押し上げられて弁体部35fが小径部20bの上面に当接する。これにより、開口部20dが弁体部35fによって閉口される。その後、上側キャップ23が取り付けられる。
【0066】
上記のサンプリングポート11Aは、第1実施形態の補液ポート11と使用形態が異なるだけであり、その構成は補液ポート11と同様である。したがって、サンプリングポート11Aにおいても、補液ポート11と同様に、洗浄を良好に行うことができる。
【0067】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、規制部材35は、図15及び図16に示すような構成であってもよい。図15に示すように、規制部材35Aは、張出部40a,40bを備える点で規制部材35と異なっており、その他の構成は、規制部材35と同様となっている。具体的には、張出部40a,40bは、張出部35b,35cに比べて、隔壁部35aから外側に延びる長さ寸法が短くなっている。すなわち、張出部40a,40bは、横からみた場合に三角形状を呈しており、ハウジング20内に配置された際、その先端が本体部20aの第1の内周面25にまで到達しない長さとなっている。
【0068】
このような構成により、液体が連絡領域Rに進入した際、液体と張出部40a,40bとの干渉が少なくなるため、液体の淀みを抑制することができる。これにより、良好な液流を確保することができる。
【0069】
また、図16に示すように、規制部材35Bは、張出部41a,41bを備える点で規制部材35と異なっており、その他の構成は、規制部材35と同様となっている。具体的には、張出部41a,41bは、横からみた場合に三角形状を呈しており、傾斜面42が形成されている。傾斜面42は、隔壁部35aの長辺方向に延在しており、長方形状を呈している。傾斜面42は、規制部材35Bがハウジング20内に配置されたときに、液体の流入方向に対して分岐流路C3側に傾斜している。
【0070】
このような構成により、流入管21から流入した液体は、張出部41a,41bの傾斜面42によって分岐流路C3側に向かう上昇流となり、分岐流路C3内の迂回路C4により良好に導入される。そのため、洗浄時において洗浄液(薬液)を分岐流路C3内の迂回路C4に良好に流すことができる。
【0071】
また、第1実施形態では、規制部材35に張出部35b,35cを設けているが、張出部35b,35cを設けない構成としてもよい。この場合には、隔壁部35aに円形状の底部を設ける構成とすることができる。これにより、規制部材35における液体の滞留を防止することができると共に、弁体33を全面に亘って均等に押さえることが可能となる。
【0072】
また、上記実施形態では、規制部材35,55の隔壁部35a,55aに切欠部35e,55gを設けているが、切欠部35e,55gを設けない構成とすることもできる。例えば、隔壁部35aの長辺方向の長さを、本体部20aの内径よりも小さい寸法としてもよい。この場合であっても、流入管21から流入した液体の一部が分岐流路C3の迂回路C4に導入されずに流出管22側に流出するため、規制部材35において液体の淀み(滞留)の発生を防止することができる。要は、流入管21から流入した液体の一部が分岐流路の迂回路に導入されずに流出管22側に流出する第1の流れF1が発生する構成であればよい。
【0073】
また、第1及び第2実施形態では、補液ポート11をダイアライザー3と静脈側エアトラップチャンバ8との間に接続して後希釈となる構成としているが、補液ポート11をダイアライザー3と動脈側エアトラップチャンバ7との間に接続する前希釈の構成としてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、流入管21及び流出管22をハウジング20(ハウジング51)の本体部20a(本体部53)と一体成型しているが、流入管21及び流出管22を別個に準備して、この流入管21及び流出管22を本体部20aに螺着させる等の手段によって取り付ける構成であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1,1A…透析装置、11、50…補液ポート、11A…サンプリングポート、23…キャップ、23a,52a…ピン(押圧部)、33…弁体、35,35A,35b、55…規制部材、35a,55a…隔壁部、35b,35c,40a,40b,41a,41b、55b〜55e…張出部、35e,55g…切欠部、35f、55f…弁体部、C1…入口流路、C2…出口流路、C3…分岐流路、C4…迂回路、R…連絡領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、三方流路ポート及びこれを備える透析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三方流路ポートとして、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の三方流路ポートは、透析液のサンプリングポートであり、透析液流入流路と、透析液流出流路と、透析液流入流路及び透析液流出流路から分岐する透析液サンプリング流路と、透析液サンプリング流路に連通する開口を開閉するキャップと、透析液サンプリング流路への透析液の流入を制御する弁体とを備えている。このサンプリングポートでは、キャップが閉められたときに、弁体が押圧されることにより透析液サンプリング流路への流通口が開いて透析液サンプリング流路に透析液が流入し、キャップが開けられたときに、弁体がばねにより押圧されて流通口が閉じて透析液サンプリング流路への透析液の進入が阻止される構成となっている。
【0003】
サンプリングポートでは、洗浄液あるいは消毒液を流路に流通させて洗浄を行う。上記サンプリングポートでは、洗浄を行う際、透析液流入流路から流入した洗浄液のうちの一部は、透析液流出流路へと流動して排出され、残りの洗浄液は、透析液サンプリング流路へ流入する。透析液サンプリング流路に流入した洗浄液は、キャップ内に設けられた流出路と、これに接続された逆止弁の介在する流出管路を経由してサンプリングポートの外へと排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4352368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のサンプリングポートにあっては、キャップ内に流出路を設けているため、構成が複雑化すると共にコストが増大するといった問題があった。キャップに流出路を設けなくとも洗浄は可能であるが、透析液サンプリング流路の上部に空気溜まり(空気層)が発生し、この空気溜まりにより洗浄液がサンプリング流路の端部まで行き届かず完全な洗浄ができないといった問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、洗浄を良好に行うことができる三方流路ポート及びこれを備える透析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る三方流路ポートは、入口流路と出口流路との他に分岐流路を有する三方流路ポートであって、入口流路と出口流路とを連絡する連絡領域の少なくも一部を仕切り、入口流路から出口流路に至る液体の少なくとも一部を、分岐流路内を通る迂回路に導く規制部材を備えることを特徴とする。
【0008】
この三方流路ポートでは、入口流路と出口流路とを連絡する連絡領域の少なくも一部を仕切る規制部材によって、入口流路から出口流路に至る液体の少なくとも一部を、分岐流路内を通る迂回路に導かせている。そのため、例えばサンプリング流路となる分岐流路内に常に液流を発生させることができる。したがって、分岐流路に空気溜まりが発生しないため、洗浄を行う際、洗浄液を入口流路、出口流路、分岐流路のいずれにも行き届かせることができる。その結果、洗浄を良好に行うことができる。
【0009】
さらに、規制部材は、連絡領域内に進入する進入方向と連絡領域内から退出する退出方向とに移動可能に設けられ、連絡領域内に進入して液体を迂回路に導く。そして、三方流路ポートは、分岐流路に連通する開口部に取り付けられるキャップと、キャップに設けられ、規制部材を進入方向に押圧する押圧部と、規制部材を退出方向に付勢する弾性体と、規制部材と弾性体とに挟まれ、弾性体の付勢により撓むことで、入口流路から迂回路を通ることなく出口流路に至る液体の流量を増大させる面状の弁体と、を更に備え、規制部材は、キャップが開口部に取り付けられているときには、押圧部に押圧され、且つ弁体に当接して弁体の撓みを解消すると共に、キャップが開口部に取り付けられていないときには、弾性体の付勢による弁体の撓みを許容すると好適である。
【0010】
さらに、規制部材は、移動に伴って開口部を開閉する開閉弁を有し、開閉弁は、キャップが開口部に取り付けられているときに、押圧部に押圧されることで開口部を開放し、キャップが開口に取り付けられていないときに、弾性体の付勢により開口部を閉鎖することが好ましい。このような構成によれば、例えば分岐流路にサンプリング手段のシリンジなどを取り付けるためにキャップを外したときに、分岐流路内の液体が開口部から流出することを防止できる。
【0011】
規制部材は、連絡領域の少なくも一部を仕切り、液体の少なくとも一部を迂回路に導く隔壁部と、隔壁部から張り出す張出部と、備えて構成されている。更に、隔壁部及び張出部は、キャップが開口部に取り付けられているときに、その両方が弁体に当接する構成とすることができる。このような構成によれば、隔壁部及び張出部が弁体に対して均等に力を加えることができる。したがって、規制部材がキャップの押圧部に押圧された際、その力を弁体に均等に伝えることができる。
【0012】
張出部は、液体の流入方向に対して分岐流路側に傾斜する傾斜面を有していることが好ましい。このような構成によれば、入口流路から流入した液体に傾斜面によって上昇流を発生させることができるため、液体を迂回路側に良好に導くことができる。
【0013】
隔壁部には、入口流路と出口流路とを連絡する切欠部が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、入口流路から出口流路に至る液体の流路を確保することができる。そのため、規制部材によって液体の流れに淀みが生じることを抑制できる。
【0014】
また、本発明に係る透析装置は、上述のいずれかの三方流路ポートと、血漿を分離する血漿分離器と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、三方流路ポートの洗浄を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る補液ポートを含んで構成された透析装置の概略を示す図である。
【図2】補液ポートを示す斜視図である。
【図3】図2に示す補液ポートの正面図である。
【図4】図3における縦断面図である。
【図5】図2に示す補液ポートを横から見た図である。
【図6】図5における横断面図である。
【図7】図1に示す補液ポートの規制部材を示す斜視図である。
【図8】補液ポートの動作を説明するための図である。
【図9】補液ポートの洗浄工程を示す概略図である。
【図10】第2実施形態に係る補液ポートを示す斜視図である。
【図11】図10示す補液ポートの正面図である。
【図12】図11における縦断面図である。
【図13】図10に示す補液ポートの規制部材を示す斜視図である。
【図14】第3実施形態に係るサンプルポートを含んで構成された透析装置の概略を示す図である。
【図15】他の形態の規制部材を示す斜視図である。
【図16】他の形態の規制部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
[第1実施形態]
最初に、本発明に係る三方流路ポートを補液ポートに適用する場合について説明する。図1は、第1実施形態に係る補液ポートを含んで構成された透析装置の概略を示す図である。
【0019】
図1に示すように、透析装置1は、被検体から取り出した血液を脱血側回路2を通してダイアライザー(血漿分離器)3に送液し、ダイアライザー3を通過した血液を返血側回路4を通して被検体に返血する血液回路5と、血液回路5内の血液を送液させるポンプ6と、ダイアライザー3の上流側に設けられた動脈側エアトラップチャンバ7と、ダイアライザー3の下流側に設けられた静脈側エアトラップチャンバ8と、ダイアライザー3でろ過された血漿成分を送液する血漿回路9と、ダイアライザー3に補液を送液する補液回路10に接続された補液ポート11と、補液ポート11に接続されると共に、ダイアライザー3と静脈側エアトラップチャンバ8との間に接続される希釈回路12とを備えている。このような構成により、透析装置1では、後希釈によるろ過透析が行われる。
【0020】
続いて、補液ポート11について、図2〜図6を参照して詳細に説明する。図2は、補液ポートを示す斜視図、図3は、図2に示す補液ポートの正面図、図4は、図3における縦断面図である。また、図5は、図2に示す補液ポートを横から見た図、図6は、図5における横断面図である。なお、以下の説明においては、図2に示す補液ポート11の状態において、「上」、「下」を規定する。また、図において、説明の便宜上、外装部分を二点鎖線、内装部分を実線にて示している部分がある。
【0021】
各図に示すように、補液ポート11は、ハウジング20と、流入管21と、流出管22と、上側キャップ23と、下側キャップ24とを備えている。
【0022】
ハウジング20は、正面視において略凸形状を呈しており、内部に空間が形成された中空の部材である。ハウジング20は、円筒状の本体部20aと、この本体部20aの上部に設けられ、本体部20aよりも小径の小径部20bとから構成されている。本体部20aには、第1の内周面25により内部空間S1、第2の内周面26により内部空間S2が形成されている。第1の内周面25の径は、第2の内周面26の径よりも小さい。本体部20a及び小径部20bに亘って形成される第3の内周面27は、内部空間S3を形成している。ハウジング20は、例えばアクリル等の樹脂から形成されている。
【0023】
本体部20aの側部からは、流入管21及び流出管22が突出している。流入管21及び流出管22は、その内部が内部空間S1と連通するように設けられており、中心軸が同一直線上となるように配置されている。本体部20aと流入管21及び流出管22とは、一体成型されている。流入管21は、液体の入口流路C1を形成しており、流出管22は、液体の出口流路C2を形成している。このような構成により、本体部20aの内部空間S1は、入口流路C1及び出口流路C2を連絡する連絡領域Rを形成している。
【0024】
本体部20aの下部には、下側キャップ24が取り付けられている。下側キャップ24には、底部24aから上方に突出する円筒状の突出部24bが設けられている。突出部24bは、本体部20aの第2の内周面26の径と略同等の外径を有しており、第2の内周面26に沿って内部空間S2に挿入されている。そして、本体部20aの底部には、ねじ30が螺合されるねじ孔30aが複数(ここでは3つ)形成されており、下側キャップ24がねじ30によって本体部20aに結合されている。
【0025】
下側キャップ24の底部24aには、突出部24bの内側に、突出部24bの内径よりも小径の円形状の凹部24cが形成されている。凹部24cには、ばね(弾性体)31が載置されている。また、下側キャップ24の突出部24bの内側には、ばね31を覆うように収容する収容空間S4が形成されたばね収容部32が配置されている。ばね収容部32には、上面から上方に突設された凸部32aが設けられている。凸部32aは、円柱形状を呈しており、ばね収容部32の上面の中央部に配置されている。ばね31は、下側キャップ24の底部24aの凹部24cとばね収容部32との間において、圧縮された状態で保持されている。
【0026】
突出部24bの頂部には、面状の弁体33が載置されている。弁体33は、円形状を呈しており、柔軟性を有する例えばゴム等の樹脂から形成されている。弁体33は、ばね31の付勢により撓むことで液体の第3の流れF3(図8(b)参照)を形成し、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の流量を増大させる。弁体33は、本体部20aの第2の内周面26の径と略同等の外径を有している。弁体33は、本体部20aの第1の内周面25と第2の内周面26との間の段差部34と下側キャップ24の突出部24bの頂部との間に挟持されている。
【0027】
弁体33の下面は、ばね収容部32の凸部32aと当接している。これにより、弁体33には、ばね収容部32の凸部32aを介して、ばね31より下方側から押し上げる方向(ばね31が伸びる方向)に付勢されている。
【0028】
本体部20aと小径部20bとに亘って形成された第3の内周面27により形成される内部空間S3は、連絡領域Rに連通する分岐流路C3を形成している。分岐流路C3は、入口流路C1と出口流路C2との他に設けられた流路であり、入口流路C1と出口流路C2との間に設けられている。分岐流路C3は、入口流路C1及び出口流路C2の延在方向に対して、直交する方向に延在する流路である。小径部20bの上部には、この小径部20bよりも小径の円筒状のねじ部20cが形成されている。このねじ部20cには、上側キャップ23が螺着される。ねじ部20cには、開口部20d(図8参照)が形成されている。開口部20dは、分岐流路C3に連通している。
【0029】
上側キャップ23は、ハウジング20に脱着可能に取り付けられている。上側キャップ23は、ハウジング20の小径部20bの上部に形成されたねじ部20cによりハウジング20に螺着されている。上側キャップ23の内部には、その中央部分にピン(押圧部)23aが設けられている。図4及び図6に示すように、ピン23aは、上側キャップ23の開口側に延びており、上側キャップ23がねじ部20cに螺着された状態において、後述する規制部材35のロッド35hと当接する長さを有している。より具体的には、ピン23aは、規制部材35のロッド35hと当接して規制部材35が弁体33を押圧しているときに、弁体33が平坦な状態(撓んでいない状態)を維持する長さに設定されている。
【0030】
ハウジング20内には、規制部材35が配置されている。規制部材35は、弁体33上に載置されており、上側キャップ23がハウジング20に螺着されているときに、弁体33を押圧する。規制部材35は、入口流路C1と出口流路C2とを連絡する連絡領域Rの少なくも一部を仕切り、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の少なくとも一部を、分岐流路C3内を通る迂回路C4(図8参照)及びねじ部20cの内周面(上側キャップ23のピン23aが位置する部分)に導く部材である。規制部材35は、分岐流路C3内で、分岐流路C3に沿って上下方向に移動可能であり、本実施形態では、便宜上、連絡領域R内に進入する進入方向が下方であり、連絡領域R内から退出する退出方向が上方になっている。
【0031】
図7は、規制部材を示す斜視図である。図7に示すように、規制部材35は、板状の隔壁部35aと、この隔壁部35aと直交する方向に張り出す板状の張出部35b,35cと、隔壁部35aの上部に設けられた弁体支持部35dとを有している。隔壁部35aと張出部35b,35cとは、上面視において十字状を呈している。
【0032】
隔壁部35aは、入口流路C1から出口流路C2に至る液体を、分岐流路C3内を通る迂回路C4及びねじ部20cの内周面に導く部分である。より具体的には、隔壁部35aは、入口流路C1を通過して連絡領域Rに入り込んだ液体の流れに干渉し、その液体の一部に上昇流を発生させて、液体を分岐流路C3内の迂回路C4及びねじ部20cの内周面に導くと共に、連絡領域Rに入り込んだ液体の一部を出口流路C2に流す。隔壁部35aは、略長方形状を呈する板状部材である。図6に示すように、隔壁部35aの長辺の長さは、本体部20aの内径と略同等となっている。隔壁部35aの短辺の長さ(高さ)は、第1の内周面25の高さよりも短くなっている。つまり、隔壁部35aの短辺の長さは、弁体33と、第1の内周面25と第3の内周面27との間の段差部36との間の寸法よりも短い。これにより隔壁部35aは、内部空間S1において上下方向に移動可能となっている。
【0033】
隔壁部35aの両端側の下部には、切欠部35eが形成されている。切欠部35eは、隔壁部35aの角部分が三角形状に切り欠かれている。この切欠部35eと本体部20aの第1の内周面25及び弁体33とによって画成される領域は、流入管21から流入した液体の一部を流出管22に流動させる部分であり、後述する液体の第1の流れF1を発生させる。切欠部35eは、規制部材35によって液体に淀み(滞留)が発生することを防止する。
【0034】
張出部35b,35cは、隔壁部35aの中央部から隔壁部35aの厚み方向の外側(面外方向)にそれぞれ延びるように張り出して設けられている。張出部35b,35cの底面は、隔壁部35aの底面と面一となっている。張出部35b,35cは、隔壁部35aから外側に向かうにつれて下り勾配で傾斜している。図4に示すように、張出部35b,35cの先端は、本体部20aの第1の内周面25まで延びている。
【0035】
弁体支持部35dには、弁体部(開閉弁)35fが設けられている。弁体部35fは、規制部材35の移動に伴って開口部20dを開放または閉鎖する。図4及び図6に示すように、弁体支持部35dの上部には凹部35gが形成されており、この凹部35gに弁体部35fが収容(埋設)されている。弁体部35fの上面は、弁体支持部35dの上端面と略面一となっている。弁体支持部35dには、弁体部35fの中央部を貫通するように、ロッド35hが埋設されている。ロッド35hは、棒状の部材であり、上側キャップ23のピン23aと当接する部分である。ロッド35hは、弁体部35fの上面から上方に突出している。ロッド35hにおいて、弁体支持部35d(弁体部35f)から突出している部分は、上面視において、板状の部材が三方向に互いに同じ角度(約60°)を成して延在する形状を呈している。
【0036】
規制部材35は、ハウジング20内において、移動規制部材37により移動が規制されている。図3に示すように、移動規制部材37は、棒状の部材であり、段差部36から下方に突出している。移動規制部材37は、規制部材35の隔壁部35aに沿うように複数(例えば2本)設けられており、液流により規制部材35が回転・移動することを抑制している。
【0037】
次に、上述の構成を有する補液ポート11の動きについて、図8を参照しながら説明する。図8は、補液ポートの動作を説明するための図である。図8(a)に示すように、上側キャップ23がハウジング20に装着されている場合には、上側キャップ23のピン23aが規制部材35のロッド35hに当接して下方に押圧しており、その結果、規制部材35は弁体33を下方に押圧している。これにより、ばね31の付勢によって弁体33及び規制部材35が上方に押し上げられる力が抑制され、弁体33が定常状態、つまり弁体33に撓みがない平坦な状態(撓みが解消された状態)が維持されている。
【0038】
上側キャップ23が装着された補液ポート11では、液体が流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の切欠部35eを通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる第1の流れF1と、液体が流入管21流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の隔壁部35aにより分岐流路C3内を通る迂回路C4に導かれ、迂回路C4を経て出口流路C2に至り流出管22への流れる第2の流れF2とが発生している。
【0039】
また、図8(b)に示すように、上側キャップ23がハウジング20から取り外された状態において、規制部材35は、ばね31の弾性力により開口部20dを閉鎖し、また、ばね31の弾性力による弁体33の撓みを許容する。つまり、この状態では、規制部材35のロッド35hが下方に押圧されていないため、ばね31の弾性力によりばね収容部32を介して弁体33が押し上げられ、これにより規制部材35も上方に押し上げられて弁体部35fが小径部20bの上面に当接する。これにより、開口部20dは弁体部35fによって閉鎖される。そのため、分岐流路C3内の液体が開口部20dから流出することがない。また、弁体33がばね収容部32の凸部32aに押し上げられることにより、弁体33が撓み、規制部材35の隔壁部35aの底面と弁体33との間に隙間が形成される。
【0040】
上側キャップ23が取り外された補液ポート11では、液体が流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の切欠部35eを通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる第1の流れF1と、流入管21に流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の隔壁部35aにより分岐流路C3に導かれ、規制部材35の周縁(規制部材35と第3の内周面27との隙間)を経て出口流路C2に至り流出管22へと流れる液体の第2の流れF2と、流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の下方と弁体33との間を通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる液体の第3の流れF3とが発生している。
【0041】
図1に示す透析装置1に接続された補液ポート11では、上側キャップ23が取り外されており、ハウジング20のねじ部20cに補液手段(図示しない)が接続されている。補液手段は、希釈回路12を構成するパイプの先端に接続されるものであり、上側キャップ23のピン23aに該当する例えば棒状部材が設けられたキャップを有している。この構成により、補液ポート11では、規制部材35のロッド35hが補液手段によって押圧され、図8(a)に示すように、第1の流れF1及び第2の流れF2が発生している。これにより、補液ポート11において、分岐流路C3内の迂回路C4を流れる液体(補液)が、希釈回路12に液送される。
【0042】
続いて、補液ポート11の洗浄について説明する。図9は、補液ポートの洗浄工程を示す概略図である。図9に示すように、補液ポート11の洗浄の際には、水の供給源に接続された水供給ラインL1と薬液ボトル39に接続された薬液ラインL2とが補液ポート11に接続され、水及び薬液(洗浄液)が補液ポート11に供給される。補液ポート11を通過した水及び薬液は、排液として排液ラインL3を通って排出される。具体的には、補液ポート11の流入管21には、水供給ラインL1及び薬液ラインL2が一つのラインに連結して接続され、流出管22には、排液ラインL3が接続される。
【0043】
洗浄時の際、補液ポート11では、上側キャップ23がねじ部20cに螺着されたときと同じ状態となっている。すなわち、補液ポート11では、第1の流れF1及び第2の流れF2が発生している。これにより、入口流路C1、出口流路C2、分岐流路C3及び連絡領域Rの全ての流路の洗浄が行われる。
【0044】
以上説明したように、補液ポート11では、入口流路C1と出口流路C2とを連絡する連絡領域Rの少なくも一部を仕切る規制部材35によって、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の少なくとも一部が分岐流路C3内を通る迂回路C4及びねじ部20cの内周面にまでに導かれている。そのため、分岐流路C3に常に液体が送液されているため、分岐流路C3(迂回路C4及びねじ部20cの内周面)に空気溜まりが発生しない。したがって、洗浄を行う際、洗浄液を各流路C1〜C3に行き届かせることができる。その結果、洗浄を良好に行うことができる。
【0045】
また、従来のものでは、上側キャップの内側に流出路を設け、さらに流出管路と逆止弁とを設ける必要があり、加工工数、組立工数、部品点数の増加によりコストの増大を招来するといった問題があった。これに対して、本実施形態の補液ポート11では、上側キャップ23に流出路等も設けなくとも空気層の発生による洗浄の不具合が生じないため、コストの増大を防止することができる。
【0046】
また、規制部材35は、隔壁部35aと張出部35b,35cとが直交するように設けられており、隔壁部35aと張出部35b,35cとが上面視において十字状を呈している。このような構成より、弁体33に対して均等に力を加えることができ、弁体33の通常状態(撓んでいない状態)を良好に維持できる。
【0047】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態に係る補液ポートについて説明する。図10は、補液ポートを示す斜視図、図11は、図10に示す補液ポートの正面図、図12は、図11における縦断面図である。
【0048】
各図に示すように、補液ポート50は、ハウジング51と、流入管21と、流出管22と、上側キャップ52と、下側キャップ24とを備えている。
【0049】
ハウジング51は、正面視において略凸形状を呈しており、内部に空間が形成された中空の部材である。ハウジング51は、円筒状の本体部53と、この本体部53の上部に設けられ、上側キャップ52が螺着されるねじ部54cが形成された蓋部54とから構成されている。本体部20aには、第1の内周面60により内部空間S1、第2の内周面61により内部空間S2が形成されている。
【0050】
蓋部54は、本体部53の上部に形成された凹部53aに配置されており、凹部53aに収容される円形状の蓋部分54aと、蓋部分54aから上方に突出すると共にねじ部54cが形成された突出部分54bとから構成されている。蓋部54は、その中心部分に高さ方向に沿って円柱状の貫通孔Hが形成されている。蓋部分54aの下部には、パッキンPが埋設されている。パッキンPは、円環状を呈しており、貫通孔Hを囲うように配置されている。パッキンPは、蓋部54が本体部53に取り付けられた状態において本体部53の凹部53aと内部空間S1とを跨ぐ位置に配置されており、蓋部54(蓋部分54a)の下面と略面一となっている。
【0051】
ハウジング51内には、規制部材55が配置されている。規制部材55は、弁体33上に載置されており、上側キャップ52がハウジング51に螺着されているときに、弁体33を押圧する。規制部材55は、入口流路C1と出口流路C2とを連絡する連絡領域Rの少なくも一部を仕切り、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の少なくとも一部を、分岐流路C3内を通る迂回路C4(後述する弁体部55fの上方)及び貫通孔Hに導く部材である。規制部材55は、分岐流路C3内で、分岐流路C3に沿って上下方向に移動可能である。
【0052】
図13は、規制部材を示す斜視図である。図13に示すように、規制部材55は、板状の隔壁部55aと、この隔壁部55aから放射状に張り出す板状の張出部55b〜55eと、隔壁部55aの上部に設けられた弁体部55fとを有している。張出部55b,55c及び張出部55d,55eのそれぞれは、上面視においてV字状を呈している。
【0053】
隔壁部55aは、入口流路C1から出口流路C2に至る液体を、分岐流路C3内を通る迂回路C4及び貫通孔Hに導く部分である。より具体的には、隔壁部55aは、入口流路C1を通過して連絡領域Rに入り込んだ液体の流れに干渉し、その液体の一部に上昇流を発生させて、液体を分岐流路C3内を通る迂回路C4(弁体部55fの上方)及び貫通孔Hに導くと共に、連絡領域Rに入り込んだ液体の一部を出口流路C2に流す。隔壁部55aは、略長方形状を呈する板状部材である。図10及び図11に示すように、隔壁部55aの長辺の長さは、本体部53の内径と略同等となっている。隔壁部55aの短辺の長さ(高さ)は、第1の内周面60の高さよりも短くなっている。これにより隔壁部55aは、内部空間S1において上下方向に移動可能となっている。
【0054】
隔壁部55aの両端側の下部には、切欠部55gが形成されている。切欠部55gは、隔壁部55aの角部分が三角形状に切り欠かれている。この切欠部55gと本体部53の第1の内周面60及び弁体33とによって画成される領域は、流入管21から流入した液体の一部を流出管22に流動させる部分であり、液体の第1の流れF1(図8参照)を発生させる。切欠部55gは、規制部材55によって液体に淀み(滞留)が発生することを防止する。
【0055】
張出部55b〜55eは、隔壁部55aの中央部から隔壁部55aの厚み方向の外側(面外方向)にそれぞれ延びるように張り出して設けられている。張出部55b〜55eは、三角形状を呈しており、隔壁部55aから外側に向かうにつれて先細となっている。張出部55b〜55eは、弁体33とは接触しないように配置されている。張出部55b,55cによって、液体に淀みが発生することをより効果的に防止している。
【0056】
弁体部55fは、規制部材55の移動に伴って蓋部54の下方の開口部54dを開放または閉鎖する。すなわち、弁体部55fの移動により、蓋部54の上方の開口部54eの開放または閉鎖が制御される。弁体部55fは、円形状を呈しており、蓋部分54aに設けられたパッキンPと当接して開口部54dを閉鎖する。弁体部55fには、その中央部から上方に突出するように延びるようにロッド55hが設けられている。ロッド55hは、棒状の部材であり、蓋部54の貫通孔Hに内挿されて上側キャップ52のピン52aと当接する部分である。ロッド55hは、上面視において、板状の部材が三方向に互いに同じ角度(約60°)を成して延在する形状を呈している。
【0057】
次に、上述の構成を有する補液ポート50の動きについて説明する。補液ポート50では、上側キャップ52がハウジング51に装着されている場合には、上側キャップ52のピン52aが規制部材55のロッド55hに当接して下方に押圧しており、その結果、規制部材55は弁体33を下方に押圧している。これにより、ばね31の付勢によって弁体33及び規制部材55が上方に押し上げられる力が抑制され、弁体33が定常状態、つまり弁体33に撓みがない平坦な状態(撓みが解消された状態)が維持されている。
【0058】
上側キャップ52が装着された補液ポート50では、液体が流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材55の切欠部55gを通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる第1の流れF1(図8参照)と、液体が流入管21流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材55の隔壁部55aにより分岐流路C3内を通る迂回路C4及び貫通孔Hに導かれ、迂回路C4を経て出口流路C2に至り流出管22への流れる第2の流れF2とが発生している。
【0059】
また、上側キャップ52がハウジング51から取り外された状態において、規制部材55は、ばね31の弾性力により蓋部54の開口部54dを閉鎖し、また、ばね31の弾性力による弁体33の撓みを許容する。つまり、この状態では、規制部材55のロッド55hが下方に押圧されていないため、ばね31の弾性力によりばね収容部32を介して弁体33が押し上げられ、これにより規制部材55も上方に押し上げられて弁体部55fが蓋部54のパッキンPに当接する。これにより、開口部54dは弁体部55fによって閉鎖される。そのため、分岐流路C3内の液体が開口部54dから流出することがない。また、弁体33がばね収容部32の凸部32aに押し上げられることにより、弁体33が撓み、規制部材55の隔壁部55aの底面と弁体33との間に隙間が形成される。
【0060】
上側キャップ52が取り外された補液ポート50では、液体が流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材55の切欠部55gを通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる第1の流れF1と、流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材55の下方と弁体33との間を通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる液体の第3の流れF3とが発生している。
【0061】
以上説明したように、補液ポート50では、入口流路C1と出口流路C2とを連絡する連絡領域Rの少なくも一部を仕切る規制部材55によって、入口流路C1から出口流路C2に至る液体の少なくとも一部が分岐流路C3内を通る迂回路C4及び貫通孔Hに導かれている。そのため、上側キャップ52が装着された状態においては、分岐流路C3内を通る迂回路C4及び貫通孔Hに常に液体が送液されているため、分岐流路C3内を通る迂回路C4及び貫通孔Hに空気溜まりが発生しない。したがって、洗浄を行う際、洗浄液を各流路C1〜C3及び貫通孔Hに行き届かせることができる。その結果、洗浄を良好に行うことができる。
【0062】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る三方流路ポートをサンプリングポートに適用する場合について説明する。図14は、第3実施形態に係るサンプリングポートを含んで構成された透析装置の概略を示す図である。なお、図14に示すサンプリングポート11Aは、上述の補液ポート11と同様の構成を有している。なお、以下の説明においては、補液ポート11を例示して説明するが、サンプリングポート11Aは、補液ポート50と同様の構成を有していてもよい。
【0063】
図14に示すように、サンプリングポート11Aは、透析装置1Aにおいて、補液(透析液)の状態を検査するために、補液の一部を抽出するために設けられている。この透析装置1Aにおいて透析液のサンプリングを行う場合には、まずサンプリングポート11Aの上側キャップ23が取り外される。そして、サンプリング手段である例えばシリンジが補液ポート11に接続される。
【0064】
具体的には、シリンジの先端部がサンプリングポート11Aの開口部20dに挿入されて接続される。シリンジが開口部20dに接続された際、シリンジの先端部が規制部材35のロッド35hを押圧する。そのため、サンプリングが行われているときには、図8(a)に示す状態と同様の状態となっている。すなわち、液体が流入管21から流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の切欠部35eを通過して出口流路C2に至り流出管22へと流れる第1の流れF1と、液体が流入管21に流入して入口流路C1を通り、連絡領域Rにおいて規制部材35の隔壁部35aにより分岐流路C3内を通る迂回路C4及びねじ部20cの内周面に導かれ、迂回路C4を経て出口流路C2に至り流出管22への流れる第2の流れF2とが発生している。この第2の流れF2により、サンプリング対象となる補液(透析液)がシリンジに送流される。
【0065】
サンプルの抽出が終了した後、シリンジがサンプリングポート11Aから取り外されると、ばね31の弾性力により弁体33が押し上げられ、これにより規制部材35も上方に押し上げられて弁体部35fが小径部20bの上面に当接する。これにより、開口部20dが弁体部35fによって閉口される。その後、上側キャップ23が取り付けられる。
【0066】
上記のサンプリングポート11Aは、第1実施形態の補液ポート11と使用形態が異なるだけであり、その構成は補液ポート11と同様である。したがって、サンプリングポート11Aにおいても、補液ポート11と同様に、洗浄を良好に行うことができる。
【0067】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、規制部材35は、図15及び図16に示すような構成であってもよい。図15に示すように、規制部材35Aは、張出部40a,40bを備える点で規制部材35と異なっており、その他の構成は、規制部材35と同様となっている。具体的には、張出部40a,40bは、張出部35b,35cに比べて、隔壁部35aから外側に延びる長さ寸法が短くなっている。すなわち、張出部40a,40bは、横からみた場合に三角形状を呈しており、ハウジング20内に配置された際、その先端が本体部20aの第1の内周面25にまで到達しない長さとなっている。
【0068】
このような構成により、液体が連絡領域Rに進入した際、液体と張出部40a,40bとの干渉が少なくなるため、液体の淀みを抑制することができる。これにより、良好な液流を確保することができる。
【0069】
また、図16に示すように、規制部材35Bは、張出部41a,41bを備える点で規制部材35と異なっており、その他の構成は、規制部材35と同様となっている。具体的には、張出部41a,41bは、横からみた場合に三角形状を呈しており、傾斜面42が形成されている。傾斜面42は、隔壁部35aの長辺方向に延在しており、長方形状を呈している。傾斜面42は、規制部材35Bがハウジング20内に配置されたときに、液体の流入方向に対して分岐流路C3側に傾斜している。
【0070】
このような構成により、流入管21から流入した液体は、張出部41a,41bの傾斜面42によって分岐流路C3側に向かう上昇流となり、分岐流路C3内の迂回路C4により良好に導入される。そのため、洗浄時において洗浄液(薬液)を分岐流路C3内の迂回路C4に良好に流すことができる。
【0071】
また、第1実施形態では、規制部材35に張出部35b,35cを設けているが、張出部35b,35cを設けない構成としてもよい。この場合には、隔壁部35aに円形状の底部を設ける構成とすることができる。これにより、規制部材35における液体の滞留を防止することができると共に、弁体33を全面に亘って均等に押さえることが可能となる。
【0072】
また、上記実施形態では、規制部材35,55の隔壁部35a,55aに切欠部35e,55gを設けているが、切欠部35e,55gを設けない構成とすることもできる。例えば、隔壁部35aの長辺方向の長さを、本体部20aの内径よりも小さい寸法としてもよい。この場合であっても、流入管21から流入した液体の一部が分岐流路C3の迂回路C4に導入されずに流出管22側に流出するため、規制部材35において液体の淀み(滞留)の発生を防止することができる。要は、流入管21から流入した液体の一部が分岐流路の迂回路に導入されずに流出管22側に流出する第1の流れF1が発生する構成であればよい。
【0073】
また、第1及び第2実施形態では、補液ポート11をダイアライザー3と静脈側エアトラップチャンバ8との間に接続して後希釈となる構成としているが、補液ポート11をダイアライザー3と動脈側エアトラップチャンバ7との間に接続する前希釈の構成としてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、流入管21及び流出管22をハウジング20(ハウジング51)の本体部20a(本体部53)と一体成型しているが、流入管21及び流出管22を別個に準備して、この流入管21及び流出管22を本体部20aに螺着させる等の手段によって取り付ける構成であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1,1A…透析装置、11、50…補液ポート、11A…サンプリングポート、23…キャップ、23a,52a…ピン(押圧部)、33…弁体、35,35A,35b、55…規制部材、35a,55a…隔壁部、35b,35c,40a,40b,41a,41b、55b〜55e…張出部、35e,55g…切欠部、35f、55f…弁体部、C1…入口流路、C2…出口流路、C3…分岐流路、C4…迂回路、R…連絡領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口流路と出口流路との他に分岐流路を有する三方流路ポートであって、
前記入口流路と前記出口流路とを連絡する連絡領域の少なくも一部を仕切り、前記入口流路から前記出口流路に至る液体の少なくとも一部を、前記分岐流路内を通る迂回路に導く規制部材を備えることを特徴とする三方流路ポート。
【請求項2】
前記規制部材は、前記連絡領域内に進入する進入方向と前記連絡領域内から退出する退出方向とに移動可能に設けられ、前記連絡領域内に進入して液体を前記迂回路に導き、
前記分岐流路に連通する開口部に取り付けられるキャップと、
前記キャップに設けられ、前記規制部材を前記進入方向に押圧する押圧部と、
前記規制部材を前記退出方向に付勢する弾性体と、
前記規制部材と前記弾性体とに挟まれ、前記弾性体の付勢により撓むことで、前記入口流路から前記迂回路を通ることなく前記出口流路に至る前記液体の流量を増大させる面状の弁体と、を更に備え、
前記規制部材は、前記キャップが前記開口部に取り付けられているときには、前記押圧部に押圧され、且つ前記弁体に当接して前記弁体の撓みを解消すると共に、前記キャップが前記開口部に取り付けられていないときには、前記弾性体の付勢による前記弁体の撓みを許容することを特徴とする請求項1記載の三方流路ポート。
【請求項3】
前記規制部材は、移動に伴って前記開口部を開閉する開閉弁を有し、
前記開閉弁は、前記キャップが前記開口部に取り付けられているときに、前記押圧部に押圧されることで前記開口部を開放し、前記キャップが前記開口に取り付けられていないときに、前記弾性体の付勢により前記開口部を閉鎖することを特徴とする請求項2記載の三方流路ポート。
【請求項4】
前記規制部材は、
前記連絡領域の少なくも一部を仕切り、前記液体の少なくとも一部を前記迂回路に導く隔壁部と、
前記隔壁部から張り出す張出部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の三方流路ポート。
【請求項5】
前記隔壁部及び前記張出部は、前記キャップが前記開口部に取り付けられているときに、その両方が前記弁体に当接することを特徴とする請求項4記載の三方流路ポート。
【請求項6】
前記張出部は、前記液体の流入方向に対して前記分岐流路側に傾斜する傾斜面を有していることを特徴とする請求項5記載の三方流路ポート。
【請求項7】
前記隔壁部には、前記入口流路と前記出口流路とを連絡する切欠部が設けられていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項記載の三方流路ポート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の三方流路ポートと、
血漿を分離する血漿分離器と、
を備えた透析装置。
【請求項1】
入口流路と出口流路との他に分岐流路を有する三方流路ポートであって、
前記入口流路と前記出口流路とを連絡する連絡領域の少なくも一部を仕切り、前記入口流路から前記出口流路に至る液体の少なくとも一部を、前記分岐流路内を通る迂回路に導く規制部材を備えることを特徴とする三方流路ポート。
【請求項2】
前記規制部材は、前記連絡領域内に進入する進入方向と前記連絡領域内から退出する退出方向とに移動可能に設けられ、前記連絡領域内に進入して液体を前記迂回路に導き、
前記分岐流路に連通する開口部に取り付けられるキャップと、
前記キャップに設けられ、前記規制部材を前記進入方向に押圧する押圧部と、
前記規制部材を前記退出方向に付勢する弾性体と、
前記規制部材と前記弾性体とに挟まれ、前記弾性体の付勢により撓むことで、前記入口流路から前記迂回路を通ることなく前記出口流路に至る前記液体の流量を増大させる面状の弁体と、を更に備え、
前記規制部材は、前記キャップが前記開口部に取り付けられているときには、前記押圧部に押圧され、且つ前記弁体に当接して前記弁体の撓みを解消すると共に、前記キャップが前記開口部に取り付けられていないときには、前記弾性体の付勢による前記弁体の撓みを許容することを特徴とする請求項1記載の三方流路ポート。
【請求項3】
前記規制部材は、移動に伴って前記開口部を開閉する開閉弁を有し、
前記開閉弁は、前記キャップが前記開口部に取り付けられているときに、前記押圧部に押圧されることで前記開口部を開放し、前記キャップが前記開口に取り付けられていないときに、前記弾性体の付勢により前記開口部を閉鎖することを特徴とする請求項2記載の三方流路ポート。
【請求項4】
前記規制部材は、
前記連絡領域の少なくも一部を仕切り、前記液体の少なくとも一部を前記迂回路に導く隔壁部と、
前記隔壁部から張り出す張出部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の三方流路ポート。
【請求項5】
前記隔壁部及び前記張出部は、前記キャップが前記開口部に取り付けられているときに、その両方が前記弁体に当接することを特徴とする請求項4記載の三方流路ポート。
【請求項6】
前記張出部は、前記液体の流入方向に対して前記分岐流路側に傾斜する傾斜面を有していることを特徴とする請求項5記載の三方流路ポート。
【請求項7】
前記隔壁部には、前記入口流路と前記出口流路とを連絡する切欠部が設けられていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項記載の三方流路ポート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の三方流路ポートと、
血漿を分離する血漿分離器と、
を備えた透析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−205683(P2012−205683A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72430(P2011−72430)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(507365204)旭化成メディカル株式会社 (65)
【出願人】(000138037)株式会社メテク (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(507365204)旭化成メディカル株式会社 (65)
【出願人】(000138037)株式会社メテク (11)
【Fターム(参考)】
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