説明

三枚型金型

【課題】本発明は、ランナの全長さが従来より短い三枚型金型を提供し、更に、そのランナ全長が前記複数の第1ランナから減少された三枚型金型を提供し、乃至、そのスプルとランナとからなる樹脂経路も従来より短い三枚型金型を提供する。
【解決手段】固定型と、中間型と、可動型との三枚の型から上下の順に重なっている上、該固定型の上面から下へと、スプル、ランナ、キャビティが形成され、且つ、該キャビティは、前記可動型の上面に形成されている第1成型エリアと、前記中間型の下面に形成されている第2成型エリアとからなっている三枚型金型において、前記固定型の下面には、前記中間型へと突起してなった突起部があり、前記中間型の上面には、下へ窪む上、前記突起部を含んでいる凹陥部があり、前記ランナは、前記突起部の下面から前記第2成型エリアまで延びるように配置されている三枚型金型を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂の射出成形に使われる金型に関し、特に、そのうちの三枚型金型に関する。
【背景技術】
【0002】
三枚型金型は、通常、固定型と、中間型と、可動型との三枚の型から上下の順に重なっている上、該固定型の上面から下へと、樹脂の注入を導くスプル、該スプルと連通していてそれからの樹脂を分配するランナ、該ランナと連通していてそれからの樹脂を受けてから成型するキャビティが形成されている。
図1に示す例を挙げれば、この従来の三枚型金型1におけるスプル111は、固定型11の上面から下面まで延びており、キャビティ(図示せず)は、可動型13の上面に形成されている第1成型エリア131と、中間型12の下面に形成されていて第1成型エリア131と合わせて全体のキャビティとなっている第2成型エリア122とからなっており、ランナは、中間型12の上面に下へと少々窪んでなっている第2ランナ121と、それぞれ第2ランナ121から中間型12の下面に形成されている第2成型エリア122まで延びて中間型12のほぼ全肉厚を亙っている複数の第1ランナ123とからなっている。
この従来の三枚型金型1を使用して射出成形を行う時、射出成形器械のノズル(図示せず)を、スプル111の、固定型11の上面に開いている開口110と連通させて樹脂を、スプル111、第2ランナ121、複数の第1ランナ123を経由してキャビティに充満してから成型し、そして金型を開けて完成品を、スプル111に充満する樹脂からなる廃材と、第2ランナ121及び複数の第1ランナ123に充満する樹脂からなる廃材と共に取り出す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記スプルに充満する樹脂からなる廃材とランナに充満する樹脂からなる廃材とは、回収され得るが、通常、新しく配合される樹脂の複合成分としては僅かな量しか添加することができず、後始末が面倒で、好ましくない。
それがために、発明者は、樹脂をキャビティに均一に分散するために中途で分岐してなる数少なくない複数の第1ランナの長さ、乃至、キャビティに入る前の、スプルとランナとの樹脂経路の全長が縮減されれば、この廃材が大きく減少され、廃材の後始末も大きく軽減され得ると思い至って、本発明をした。
即ち、本発明は、樹脂をキャビティに均一に分散するために、数多く形成された複数の第1ランナを備えるランナの全長が、従来より短い三枚型金型の提供を目的とし、更に、数多く形成された複数の第1ランナの1本当たりの長さを短くしたことにより、そのランナの全長が短くなった三枚型金型の提供、乃至、そのスプルとランナとからなる樹脂経路も従来より短い三枚型金型の提供をも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するため、本発明は、固定型と、中間型と、可動型との三枚の型が上下の順に重なっている上、該固定型の上面から下へと、樹脂の注入を導くスプル、該スプルと連通していてそれからの樹脂を分配するランナ、該ランナと連通していてそれからの樹脂を受けてから成型するキャビティが形成され、且つ、該キャビティは、前記可動型の上面に形成されている第1成型エリアと、前記中間型の下面に形成されていて前記第1成型エリアと合わせて全体のキャビティとなっている第2成型エリアとからなっている三枚型金型において、前記固定型の下面には、前記中間型に向けて突起してなった突起部があり、前記中間型の上面には、下へ窪む上に、前記突起部を嵌合する凹陥部があり、前記ランナは、前記突起部の下面から前記第2成型エリアまで延びるように配置されていることを特徴とする三枚型金型を提供する。
また、本発明の実施形態として、前記ランナは、それぞれ前記凹陥部の底面から前記第2成型エリアまで延びている複数の第1ランナと、前記突起部の下面に上に向けて窪んでなっている第2ランナとからなっているもの、及び、更に、前記固定型の上面における、前記突起部と対応する箇所に、下に向けて窪んでなった注入口が設けてあり、また、前記スプルは、前記注入口の底面から前記第2ランナまで延びているものが挙げられる。
【発明の効果】
【0005】
上記構成による三枚型金型は、まず、そのランナが、前記凹陥部に挿し込んでいる前記突起部の下面から前記第2成型エリアまで延びるように配置されているので、ランナの全長が短くなっていて成型時に廃材になる樹脂の量が大幅に減少され得、特に、前記ランナは、それぞれ前記凹陥部の底面から前記第2成型エリアまで延びている複数の第1ランナと、前記突起部の下面に上に向けて窪んでなっている第2ランナとからなっている場合、分岐してなる数多く形成された複数の第1ランナそれぞれの長さを短くすることにより、そのランナ全長が、短くなるので、成型時に廃材になる樹脂の使用量がもっと大幅に減少され得、そして、更に、前記固定型の上面における、前記突起部と対応する箇所に、下に向けて窪んでなった注入口が設けてあり、また、前記スプルは、前記注入口の底面から前記第2ランナまで延びている場合、そのランナの全長ばかりでなく、その、スプルとランナとの全長も、短くなっていて成型時に廃材になる樹脂の使用量が更に減少され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】従来の三枚型金型の型開状態を説明する縦断面図である。
【図2】本発明の実施例の三枚型金型の型開状態を示す縦断面図である。
【図3】前記金型の、中間型と可動型が結合されている状態を示す縦断面図である。
【図4】前記金型の型締状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図2〜図4を参照しながら本発明の実施例を説明する。
図2は、本発明の実施例の三枚型金型の型開状態を示す縦断面図であり、図3は、図2に対応する前記金型の、中間型と可動型が結合されている状態を示す縦断面図であり、図4は、図2に対応する前記金型の型締状態を示す縦断面図である。
【0008】
図示のように、本実施例の三枚型金型2は、固定型21と、中間型22と、可動型23との三枚の型からなり、それらが上下の順に重なっている上、該固定型21の上面210aから下へと、樹脂の注入を導くスプル211、該スプル211と連通していてそれからの樹脂を分配するランナ、該ランナと連通していてそれからの樹脂を受けてから成型するキャビティ200が形成されている。
【0009】
固定型21は、その下面210bには、中間型22へと突起してなった突起部212があり、その上面210aにおける、突起部212と対応する箇所に、下に向けて窪んでなった注入口213が設けてある。図示のように、この実施例における注入口213の深さは、ほぼ固定型21の肉厚の四分の三に等しいが、それに限らず、それより大であっても良く、小であっても良い。
【0010】
また、注入口213は、射出成形器械のノズル(図示せず)がその底面213aまで挿入されて、スプル211の該底面213aに開いている開口211aを介して、スプル211と連通することができるように形成されている。
【0011】
そして、中間型22の上面220aには、中間型22の肉厚の半分程度下に向けて窪んでいて型締状態時に突起部212全体を嵌合することができる凹陥部222がある(図4参照)。
【0012】
図2及び図3からわかるように、キャビティ200は、可動型23の上面230aに形成されている第1成型エリア231と、中間型22の下面220bに形成されていて第1成型エリア231と合わせて全体としてキャビティとなっている第2成型エリア221とからなっている。
【0013】
さらに、ランナは、突起部212の下面212aから第2成型エリア221まで延びるように配置されている。
【0014】
図面をもっと詳しく見てみると、ランナは、それぞれ凹陥部222の底面222aから第2成型エリア221まで延びている複数の第1ランナ223と、突起部212の下面212aにそれぞれ上に向けて窪んでなっている複数の第2ランナ214とからなっている。
【0015】
また、この実施例の三枚型金型2は、射出毎に製品を複数成型するため、キャビティ200が複数ある上、それらの複数の第2成型エリア221によりそれぞれ複数の第1ランナ223の一つと連通しているが、それに限らず、射出毎に単一のより大きい製品を成型する場合、キャビティ200が単数ある上、その唯一のより大きい第2成型エリア221により複数の第1ランナ223とも連通しているのが好ましい。なお、この場合、複数の第1ランナ223及びそれと連通している複数の第2ランナ214は、樹脂を均一に唯一の第2成型エリア221乃至キャビティ200全体に導入することができるように配置されているのが好ましい。
【0016】
上記の構造により、本実施例の三枚型金型2を使用して射出成形を行う時、射出成形器械のノズル(図示せず)を、スプル211の、注入口213の底面213aに開いている開口211aと連通させて、樹脂を、スプル211、複数の第2ランナ214、複数の第1ランナ223を経由して、複数のキャビティ200に充満してから成型し、そして金型を開けて複数の完成品を、スプル211に充満する樹脂からなる廃材と、複数の第2ランナ214及び複数の第1ランナ223に充満する樹脂からなる廃材と共に取り出す。
【0017】
本実施例の三枚型金型2は、突起部212、凹陥部222及びランナだけの配置構成により、そのランナの全長が減少され、特に、該ランナの全長が数多く形成された複数の第1ランナ223の長さが減少され、さらに、注入口213の形成により、スプル211とランナとからなる樹脂経路が従来より短くなったので、本実施例の三枚型金型2を使用して射出成形を行う時、該樹脂経路に充満する樹脂からなる廃材が大幅に減少される。
【産業上の利用可能性】
【0018】
如上のように、本発明の三枚型金型では、樹脂経路に、特に樹脂経路における複数の第1ランナに残る廃材の量を抑えることができるため、廃材を大きく減少させ、廃材の後始末をも大きく軽減させ得るので、コストダウンや環境保護などに有利である。
【符号の説明】
【0019】
2 三枚型金型
200 キャビティ
21 固定型
210a 固定型の上面
210b 固定型の下面
211 スプル
211a スプルの開口
212 突起部
212a 突起部の下面
213 注入口
213a 注入口の底面
214 第2ランナ
22 中間型
220a 中間型の上面
220b 中間型の下面
221 第2成型エリア
222 凹陥部
222a 凹陥部の底面
223 第1ランナ
23 可動型
230a 可動型の上面
231 第1成型エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定型と、中間型と、可動型との三枚の型が上下の順に重なっている上、該固定型の上面から下へと、樹脂の注入を導くスプル、該スプルと連通していてそれからの樹脂を分配するランナ、該ランナと連通していてそれからの樹脂を受けてから成型するキャビティが形成され、且つ、該キャビティは、前記可動型の上面に形成されている第1成型エリアと、前記中間型の下面に形成されていて前記第1成型エリアと合わせて全体のキャビティとなっている第2成型エリアとからなっている三枚型金型において、
前記固定型の下面には、前記中間型に向けて突起してなった突起部があり、
前記中間型の上面には、下へ窪む上に、前記突起部を嵌合する凹陥部があり、
前記ランナは、前記突起部の下面から前記第2成型エリアまで延びるように配置されていることを特徴とする、三枚型金型。
【請求項2】
前記ランナは、それぞれ前記凹陥部の底面から前記第2成型エリアまで延びている複数の第1ランナと、前記突起部の下面に上に向けて窪んでなっている第2ランナとからなっていることを特徴とする、請求項1に記載の三枚型金型。
【請求項3】
前記固定型の上面における、前記突起部と対応する箇所に、下に向けて窪んでなった注入口が設けてあり、
また、前記スプルは、前記注入口の底面から前記第2ランナまで延びていることを特徴とする、請求項2に記載の三枚型金型。
【請求項4】
前記キャビティは、複数あり、それぞれ前記複数の第1ランナの一つと連通していることを特徴とする、請求項3に記載の三枚型金型。
【請求項5】
前記複数のキャビティは、それらの第2成型エリアにより前記複数の第1ランナと連通していることを特徴とする、請求項4に記載の三枚型金型。
【請求項6】
前記注入口は、射出成形器械のノズルがその底面まで挿入されて前記スプルと連通することができるように形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の三枚型金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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