説明

三次元シーンにおけるオブジェクトの三次元モデル化アセンブリの設計

【課題】本発明は、三次元シーンにおいてオブジェクトの三次元モデル化アセンブリを設計するためのコンピュータ実装方法を提供する。
【解決手段】上記方法は、三次元シーンにおいて三面体の事前に規定されたセットを位置付けおよび方位付けするステップであって、それぞれの三面体が位置と方位とを規定する、位置付けおよび方位付けするステップ(S100)と、オブジェクトのセットを提供するステップ(S120)と、オブジェクトのセットのそれぞれのオブジェクトを三面体の事前に規定されたセットの対応する1つの三面体に取り付けるステップ(S130)と、三面体の事前に規定されたセットの対応する三面体の位置と方位とに従って、それぞれのオブジェクトを位置付けおよび方位付けするステップ(S140)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータプログラムおよびコンピュータシステムの分野に関し、より詳細には、三次元シーンにおいてオブジェクトの三次元モデル化されたアセンブリ(以下、三次元モデル化アセンブリ)を設計するための方法、システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オブジェクトの設計、エンジニアリング、および製造に関して、いくつかのシステムならびにプログラムが市場で提供されている。CADは、コンピュータ支援設計の頭文字であり、例えば、CADは、オブジェクトを設計するためのソフトウェアソリューションに関する。CAEは、コンピュータ支援エンジニアリングの頭文字であり、例えば、CAEは、将来の製品の物理的な動きをシミュレートするためのソフトウェアソリューションに関する。CAMは、コンピュータ支援製造の頭文字であり、例えば、CAMは、製造プロセスおよび製造作業を規定するためのソフトウェアソリューションに関する。そのようなコンピュータ援用設計システムにおいて、グラフィカルユーザインターフェースは、技術の効率性に関して重要な役割を果たす。これらの技術は、プロダクトライフサイクルマネジメント(PLM)システム内に組み込むことが可能である。PLMは、企業が製品データを共有し、共通のプロセスを適用し、拡張された企業の概念を通して、構想から製品寿命の終了まで、製品の開発に関する企業知識を活用するのを支援するビジネス戦略を指す。
【0003】
(CATIA、ENOVIA、およびDELMIAの商標の下で)Dassault Systemesによって提供されるPLMソリューションは、製品工学知識を組織化するエンジニアリングハブと、製造工学知識を管理する製造ハブと、企業がエンジニアリングハブと製造ハブの両方に統合して、関連することを可能にするエンタープライズハブとを提供する。このシステムは全体として、最適化された製品定義、製造準備、生産、およびサービスを推進する動的な、知識ベースの製品作成および製品決定サポートを可能にする開放型オブジェクトモデル連結製品、プロセス、リソース(open object model linking products、processes、resources)を提供する。
【0004】
CADシステムは、アセンブリ関連のスケッチから反復的な詳細設計まで、精密な3D部品を設計するための直観的で柔軟なユーザインターフェースを提供する。そのようなソリューションは、特徴ベースの設計の能力をブール手法の柔軟性と組み合わせて、設計後の局所的な3Dパラメータ化など、多数の設計方法論を備えた、非常に生産性が高く、直観的な設計環境を提供するCATIA Part Design(商標)アプリケーションによって提供される。
【0005】
部品設計プロセスの間、設計者は、既存の特徴からいくつかの同一の特徴を作成して、それらの特徴を部品上に同時に位置付けることが必要な場合がある。この目的で、設計者は、通常、設計者によって選ばれた部品内の位置に元の特徴を複製することを可能にする二次元パターンを使用する。一般的なパターンは、長方形パターンおよび円形パターンである。設計者は、設計者による手作りの(ユーザパターンとも呼ばれる)特定のパターンを必要とする場合もある。例えば、設計者は、元の特徴が複製されることになる表面内に点のセットを選択する。
【0006】
アセンブリ設計プロセスの間、設計者は、既存の基準のいくつかのインスタンスを作成して、パターン仕様に従って、三次元シーンにおいてそれらのインスタンスを同時に位置付けることが必要な場合がある。このプロセスでは、ユーザは、部品パターンなど、既存のパターン仕様を再使用することを望む場合がある。
【0007】
オブジェクトのパターンを作成するために、2つの手法が現在使用されている。第1の手法は、オブジェクトA1とオブジェクト{B1、B2...Bn}の既存のパターンPとを提示する再使用パターン手続き的手法であり、ユーザは、{B1...Bn}の1つの要素に対してオブジェクトA1を配置しなければならない。その場合、手順は、パターンPの仕様に従って(かつ、これらの仕様だけに従って)、オブジェクトA1のインスタンス{A2...An}を生成および位置付けする。
【0008】
第2の手法は、オブジェクトA1といくつかのパターン仕様とを提示する(例えば、パターン仕様は、第3のインスタンスが欠けた状態で軸を囲む5つのインスタンスであってよい)アセンブリパターン手続き的手法であり、手順は、所与のパターン仕様に従って(かつ、これらの仕様だけに従って)、インスタンス{A2、...An}を生成および位置付けする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
説明した手法は両方とも、いくつかの欠点がある。第1に、最新技術は二次元パターンだけに対応するため、三次元パターンを作成することはできない。実際には、パターンアセンブリのオブジェクトのインスタンスは、平面上に位置付けされる。第2に、基準カタログ内に規定されたパターンを再使用する方法は存在しない。現在の再使用パターン技術では、再使用されたパターンと再使用しているパターンとが同じ三次元シーン内にある必要がある。したがって、パターンのライブラリを設計者に提供することはできない。第3に、オブジェクトのパターンを作成するための既知の手法は、(この手順は制約の数学的解法の範囲外であるため)オブジェクトと他の要素との間のすべての制約に配慮することができない手順に基づいており、例えば、パターンの2つのオブジェクトは同じ平面上にあるという制約を受ける。第4に、パターンの仕様に外部制約を加えることはできない。例えば、円形パターンの回転軸を別のオブジェクト上に制約することから構成される動作はできない。
【0010】
この文脈で、三次元シーンにおいてオブジェクトの三次元モデル化アセンブリを設計するための改善された方法の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、一態様によれば、本発明は、三次元シーンにおいてオブジェクトの三次元モデル化アセンブリを設計するためのコンピュータ実装方法であって、
三次元シーンにおいて三面体の事前に規定されたセットを位置付けおよび方位付けするステップであって、それぞれの三面体が位置と方位とを規定する、位置付けおよび方位付けするステップと、
オブジェクトのセットを提供するステップと、
オブジェクトのセットのそれぞれのオブジェクトを三面体の事前に規定されたセットの対応する1つの三面体に取り付けるステップと、
三面体の事前に規定されたセットの対応する三面体の位置と方位とに従って、それぞれのオブジェクトを位置付けおよび方位付けするステップと
を含む方法を提供する。
【0012】
本方法は、以下のうちの1つまたは複数を含む。すなわち、
それぞれのオブジェクトを位置付けおよび方位付けするステップは、その対応する三面体に取り付けられたセットの第n番目のオブジェクトに関する調整行列MAnに従って実行されること、
調整行列MAnは、関係MAn=(MSTn-1×Onによって規定され、式中、MSTnが、3Dシーンにおけるセットの第n番目の三面体の配置行列であり、Onが、3Dシーンにおいて三面体の事前に規定されたセットの第n番目の三面体に取り付けられたセットの第n番目のオブジェクトの配置行列であること、
調整行列MAnは、オブジェクトのセットのそれぞれのオブジェクトに関して同一であること、
三面体の事前に規定されたセットは、既存のオブジェクトのパターンから推論されること、
三面体の事前に規定されたセットは、パターンライブラリ内に記憶されたパターンから取り出されること、
オブジェクトのセットを提供するステップは、
少なくとも1つのオブジェクトを選択するステップと、
その選択された少なくとも1つのオブジェクトの複数のインスタンスを計算するステップと
を含むこと、
オブジェクトのセットのそれぞれのオブジェクトを取り付けるステップは、セットのそれぞれのオブジェクトに関連するリンクに従って実行されること、
三面体の事前に規定されたセットを位置付けおよび方位付けするステップは、三面体の事前に規定されたセットに制約を加えるステップをさらに含むこと、
三面体の事前に規定されたセットを位置付けおよび方位付けするステップは、三面体の事前に規定されたセットの三面体の相対的位置を修正するパラメータを適用するステップをさらに含むこと、
三面体の事前に規定されたセットをグラフィカルユーザインターフェース内に表示するステップ、
三面体の事前に規定されたセットの位置および方位は、三次元シーンにおいて自由に設定可能であること、ならびに
それぞれのオブジェクトを位置付けおよび方位付けするステップは、制約と同時に解決されることである。
【0013】
本発明は、コンピュータによって実行するための命令を備えたコンピュータプログラムであって、これらの命令が上記の方法を実行するための手段を備える、コンピュータプログラムをさらに提案する。
【0014】
本発明は、上記のコンピュータプログラムを記録しているコンピュータ可読記憶媒体をさらに提案する。
【0015】
次に、本発明の実施形態が、非限定的な例として、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本方法の一例の流れ図である。
【図2】グラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図である。
【図3】クライアントコンピュータシステムの一例を示す図である。
【図4】3Dシーンにおいて位置付けおよび方位付けされた三面体の事前に規定されたセットの一例を示す図である。
【図5】方位付けされたオブジェクトの一例を示す図である。
【図6】新しい位置および方位を有する、図4の三面体の事前に規定されたセットを示す図である。
【図7】本発明の方法に従って設計されたオブジェクトの3Dモデル化アセンブリの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
三次元シーンにおいてオブジェクトの三次元(3D)モデル化アセンブリを設計するためのコンピュータ実装方法が提供される。本方法は、三次元シーンにおいて三面体の事前に規定されたセットを位置付けおよび方位付けするステップであって、それぞれの三面体が位置と方位とを規定する、位置付けおよび方位付けするステップを含む。三面体(trihedral)または三面体(trihedron)は、1つの独自の点で交差している、異なる面内の3本の線によって表され、空間内で、例えば、三次元シーンにおいて、オブジェクトを設計するための基準系を規定する。それぞれの三面体は、3Dシーンの三面体に対して規定可能なその独自の位置と方位とを有し、セットのそれぞれの三面体は、3Dシーン内にその独自の座標を有する。本方法は、オブジェクトのセットを提供するステップをさらに含む。オブジェクトのセットは、オブジェクトのインスタンスを含むことが可能である。本方法は、オブジェクトのセットのそれぞれのオブジェクトを三面体のセットの対応する1つの三面体に取り付けるステップをさらに含む。この取り付けるステップは、自動的に実行されてよく、またはユーザアクション時に実行されてもよい。取り付けは、オブジェクトと三面体とからなる対が作成されることを意味する。対の作成は、オブジェクト、もしくは三面体、またはシステムにおいて説明される関係に依存し得る。本方法は、三面体のセットの対応する三面体の位置と方位とに従って、それぞれのオブジェクトを位置付けおよび方位付けするステップをさらに含む。これらのオブジェクトは、これにより、3Dモデル化アセンブリを形成するように、3Dシーンにおいて位置付けおよび方位付けされる。
【0018】
パターンの仕様は3Dシーンにおいてインスタンス化され、すなわち、これは、パターンのインスタンス化された仕様を規定する三面体のセットが3Dシーン内にあることを意味するため、そのような方法は、オブジェクトの3Dモデル化アセンブリの設計を改善する。すなわち、三面体のセットは、3Dシーンにおいてパターンのインスタンス化された仕様を形成する。有利には、パターンは、二次元方式に限定されず、モデル化されたオブジェクトのアセンブリは、したがって、3D空間のすべての方向で拡張可能である。さらに、提供されたオブジェクト同士の間の制約に従って、パターンに対するオブジェクトの位置付けと方位付けとを実行することが可能である。これらの制約は、内部制約とも呼ばれる。さらに、パターンに対するオブジェクトの位置付けおよび方位付けは、セットのオブジェクトと、オブジェクトの3Dモデル化アセンブリに属さない要素との間の制約に従って実行可能である。加えて、パターンのインスタンス化された仕様は、三面体のセットに加えられる、外部制約とも呼ばれる制約により制約される場合がある。したがって、パターンが自由に設定可能であるため、3Dモデル化アセンブリの設計は極めて円滑にされる。さらに、元のパターンを新しいオブジェクトに適用できるため、パターンを再使用することが可能である。実際には、パターンの開始された仕様を規定する三面体のセットは、3Dシーン内の他のオブジェクトに依存しない。これは、再使用可能なパターンのライブラリを作成することを有利に可能にする。加えて、本発明による方法は、手続き的手法に依存せず、モデル化アセンブリは、パターンを含み、数値解法によってオブジェクトを制約と共に連続的に解決することが可能である。
【0019】
本方法は、コンピュータ実装型である。これは、本方法のステップ(または、実質的にすべてのステップ)が少なくとも1つのコンピュータによって実行されることを意味する。例では、ユーザとコンピュータの相互作用を介して、本方法のステップのうちの少なくともいくつかのトリガを実行することが可能である。必要とされるユーザとコンピュータの相互作用のレベルは、予測される自動性のレベルに依存し、ユーザの望みを実施する必要性との釣り合いを図ることが可能である。例では、このレベルは、ユーザ規定可能であり、かつ/または事前に規定することも可能である。
【0020】
例えば、3Dモデル化されたオブジェクトのセットを提供するステップは、オブジェクトのユーザ選択時に実行することが可能である。
【0021】
本方法のコンピュータ実装の典型的な例は、この目的に適したグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を備えるシステムを用いて、本方法を実行することである。GUIは、メモリとプロセッサとに結合される。データベースを記憶するメモリは、そのような記憶に適した単なる任意のハードウェアである。
【0022】
「データベース」とは、検索および取出しに関してまとめられたデータの任意の収集物(すなわち、情報)を意味する。メモリ上に記憶されたとき、データベースは、コンピュータによる迅速な検索および取出しを可能にする。データベースは、実際に、様々なデータ処理操作と共に、データの記憶、取出し、修正、および削除を円滑にするように構成される。データベースは、それぞれが1つもしくは複数のフィールドからなる記録に分解可能なファイルまたはファイルのセットから構成されてよい。フィールドは、データ記憶の基本的な単位である。ユーザは、主に、クエリを介してデータを取り出すことが可能である。キーワードを使用し、コマンドをソートして、ユーザは、使用されているデータベース管理システムの規則に従って、データの特定の集約に関する報告を取り出すために、または当該報告を作成するために、多くの記録内のフィールドを迅速に検索し、再構成し、グループ化し、選択することが可能である。
【0023】
本方法の場合、データベースは、パターンのセットを記憶し、これにより、問合せ可能なパターンライブラリを形成することが可能である。データベースは、提供されたオブジェクトのセットを記憶することも可能である。
【0024】
本方法は、一般に、モデル化されたオブジェクトを操作する。モデル化されたオブジェクトは、データベース内に記憶されたデータによって規定された任意のオブジェクトである。拡大解釈すれば、「モデル化されたオブジェクト」という表現は、データ自体を指す。システムのタイプに従って、モデル化されたオブジェクトを、異なる種類のデータによって規定することが可能である。このシステムは、実際には、CADシステム、CAEシステム、CAMシステム、および/またはPLMシステムの任意の組合わせであってよい。
【0025】
これらの異なるシステムでは、モデル化されたオブジェクトは、対応するデータによって規定される。それに応じて、CADオブジェクトと表現でき、PLMオブジェクトと表現でき、CAEオブジェクトと表現でき、CAMオブジェクトと表現でき、CADデータと表現でき、PLMデータと表現でき、CAMデータと表現でき、CAEデータとも表現できる。しかし、モデル化されたオブジェクトは、これらのシステムのいずれかの組合せに対応するデータによって規定できるため、これらのシステムは、他のシステムの排他的なシステムではない。したがって、以下で提供されるそのようなシステムの定義から明らかになるように、システムは、CADシステムとPLMシステムの両方であってもよい。
【0026】
CADシステムとは、CATIAなど、モデル化されたオブジェクトのグラフィック表示に基づき、モデル化されたオブジェクトを少なくとも設計するのに適した任意のシステムを意味する。この場合、モデル化されたオブジェクトを規定するデータは、モデル化されたオブジェクトの表示を可能にするデータを含む。CADシステムは、例えば、エッジまたはラインを使用して、ある事例では、面または表面を用いて、CADモデル化されたオブジェクトの表示を提供することが可能である。ライン、エッジ、または表面は、様々な様式、例えば、非一様有理Bスプライン(non−uniform rational B−splines)(NURBS)で表すことが可能である。詳細には、CADファイルは、そこから、次に、表現が生成されることを可能にするジオメトリを生成できる仕様を含む。モデル化されたオブジェクトの仕様は、単一のCADファイル内に記憶されてよく、または複数のCADファイル内に記憶されてもよい。CADシステム内でモデル化されたオブジェクトを表すファイルの通常のサイズは、部品当たり1メガバイトの範囲である。また、モデル化されたオブジェクトは、典型的には、数千の部品のアセンブリであり得る。
【0027】
CADの文脈で、モデル化されたオブジェクトは、通常、例えば、部品もしくは部品のアセンブリ、または、場合によっては、製品のアセンブリなど、製品を表す3Dモデル化されたオブジェクトであり得る。「3Dモデル化されたオブジェクト」とは、その3D表現を可能にするデータによってモデル化される任意のオブジェクトを意味する。3D表現によって、すべての角度からその部品を見ることができる。例えば、3Dモデル化されたオブジェクトは、3D表現されると、その軸のうちのいずれか、またはその表現が表示されるスクリーン内のいずれかの軸を中心に処理および回転することが可能である。これは、3Dモデル化されていない2Dアイコンを特に除去する。3D表現の表示は、設計を円滑にする(すなわち、設計者がその任務を統計的に達成する速度を高める)。製品の設計は製造プロセスの一環であるため、これは業界の製造プロセスを加速させる。
【0028】
CADシステムは、履歴ベースであり得る。この場合、モデル化されたオブジェクトは、幾何学的特徴の履歴を含むデータによってさらに規定される。モデル化されたオブジェクトは、実際には、標準のモデル化機能(例えば、押出、回転、切断、および/もしくは円形繰、など)ならびに/または標準の表面処理機能(例えば、スイープ、ブレンド処理、ロフト処理、充填、変形、平滑化、など)を使用して、個人(すなわち、設計者/ユーザ)によって設計することが可能である。そのようなモデル化機能をサポートする多くのCADシステムは、履歴ベースのシステムである。これは、設計特徴の作成履歴が、通常、入力リンクと出力リンクとを通じて前記幾何学的特徴を連結する非環式データフローを介して保存されることを意味する。この履歴ベースのモデルリングパラダイムは、80年代初頭以来よく知られている。モデル化されたオブジェクトは、2つの永続的データ表現、すなわち、履歴とBレップ(すなわち、境界表現)とによって説明される。Bレップは、履歴において規定された計算の結果である。モデル化されたオブジェクトが表現されるとき、コンピュータのスクリーン上に表示される部品の形状は、Bレップ(のテッセレーション(tessellation))である。部品の履歴は設計意図である。基本的に、履歴は、モデル化されたオブジェクトが受けた作業に関する情報を収集する。Bレップは、複雑な部品を表示するのをより容易にするために、履歴と共に保存することができる。履歴は、設計意図に従って部品の設計変更を可能にするために、Bレップと共に保存することができる。
【0029】
PLMシステムとは、製造された物理的な製品を表すモデル化されたオブジェクトの管理に適した任意のシステムを意味する。PLMシステムでは、モデル化されたオブジェクトは、したがって、物理的なオブジェクトの製造に適したデータによって規定される。これらのデータは、通常、次元値および/または許容値であってよい。オブジェクトを正確に製造するために、そのような値を有することは実際に好ましい。
【0030】
CAEシステムとは、モデル化されたオブジェクトの物理的な動きの解析に適した任意のシステムを意味する。CAEシステムでは、モデル化されたオブジェクトは、したがって、そのような動きの解析に適したデータによって規定される。これは、通常、動き特徴のセットであってよい。例えば、扉に対応するモデル化されたオブジェクトは、その扉が軸を中心に回転することを示すデータによって規定できる。
【0031】
図2は、システムのGUIの一例を示しており、このシステムはCADシステムである。
【0032】
GUI2100は、標準的なメニューバー2110、2120、ならびに、ボトムツールバー2140およびサイドツールバー2150を有する典型的なCADのようなインターフェースであってよい。そのようなメニューバーおよびツールバーは、ユーザが選択できるアイコンのセットを含み、それぞれのアイコンは、当技術分野で知られているように、1つもしくは複数の操作または機能に関連している。これらのアイコンのうちのいくつかは、GUI2100内に表示された3Dモデル化されたオブジェクト2000を編集および/または作業するように適合されたソフトウェアツールに関連する。これらのソフトウェアツールは、ワークベンチ内にグループ化することが可能である。それぞれのワークベンチは、ソフトウェアツールのサブセットを備える。特に、ワークベンチのうちの1つは、モデル化された製品2000の幾何学的特徴を編集するのに適した編集ワークベンチである。操作の際、設計者は、例えば、オブジェクト2000の一部を事前に選択し、次いで、適切なアイコンを選択することによって、操作(例えば、寸法、色などの変更)を開始すること、または幾何学的制約を編集することが可能である。例えば、典型的なCAD操作は、スクリーン上に表示された3Dモデル化されたオブジェクトの打抜きまたは折曲げのモデル化である。
【0033】
GUIは、例えば、表示された製品2000に関するデータ2500を表示することが可能である。図2の例では、「フィーチャーツリー(feature tree)」として表示されるデータ2500、およびその3D表現2000は、ブレーキキャリパとブレーキディスクとを含むブレーキアセンブリに関する。GUIは、例えば、オブジェクトの3D方位付けを円滑にするため、編集された製品の動作のシミュレーションをトリガするため、または表示された製品2000の様々な属性を表示するために、様々なタイプのグラフィックツール2130、2070、2080をさらに示すことが可能である。カーソル2060は、ユーザがグラフィックツールと相互に作用することを可能にするための触覚デバイスによって制御可能である。
【0034】
図3は、クライアントコンピュータシステム、例えば、ユーザのワークステーションを示す。
【0035】
クライアントコンピュータは、内部通信バス1000に接続された中央処理装置(CPU)1010と、やはりバスに接続されたランダムアクセスメモリ(RAM)1070とを備える。クライアントコンピュータは、バスに接続されたビデオランダムアクセスメモリ1100に関連するグラフィック処理装置(GPU)1110をさらに備える。ビデオRAM1100は、当技術分野において、フレームバッファとしても知られている。大容量記憶装置コントローラ1020は、ハードドライブ1030など、大容量記憶装置に対するアクセスを管理する。コンピュータプログラム命令およびデータを有形に実装するのに適した大容量記憶装置は、例として、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイスと、内蔵型ハードディスクおよび取外し可能ディスクなどの磁気ディスクと、光磁気ディスクと、CD−ROMディスク1040とを含めて、あらゆる形式の非揮発性メモリを含む。前述の説明の大容量記憶装置のいずれかは、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって補完することが可能であるか、または当該ASIC内に組み込むことが可能である。ネットワークアダプタ1050は、ネットワーク1060へのアクセスを管理する。クライアントコンピュータは、カーソル制御デバイス、キーボードなど、触覚デバイス1090を含むことも可能である。カーソル制御デバイスは、図2を参照して記述されたように、ユーザがディスプレイ1080上の任意の所望される位置にカーソルを選択的に位置付けすることを可能にするために、クライアントコンピュータ内で使用される。加えて、カーソル制御デバイスは、ユーザが様々なコマンドを選択して、制御信号を入力するのを可能にする。カーソル制御デバイスは、システムに制御信号を入力するためのいくつかの信号生成デバイスを含む。典型的には、カーソル制御デバイスは、マウスであってよく、マウスのボタンは、信号を生成するために使用される。
【0036】
コンピュータプログラムは、コンピュータによる命令を備えることが可能であり、これらの命令は、上記のシステムに上記の方法を実行させるための手段を備える。本発明は、例えば、デジタル電子回路内、もしくはコンピュータハードウェア内、コンピュータファームウェア内、コンピュータソフトウェア内、またはそれらの組合せの中で実施可能である。本発明の装置は、プログラマブルプロセッサによって実行するために機械可読記憶装置内で有形に実装されたコンピュータプログラム製品内で実施可能であり、本発明の方法ステップは、入力データを操作して、出力を生成することによって、本発明の機能を実行するために命令のプログラムを実行するプログラマブルプロセッサによって実行可能である。
【0037】
本発明は、データ記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信し、かつそれらにデータおよび命令を送信するために結合された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含めて、プログラマブルシステム上で実行可能な1つまたは複数のコンピュータプログラム内で有利に実行することが可能である。アプリケーションプログラムは、ハイレベルの手続き型プログラミング言語もしくはオブジェクト指向型プログラミング言語で、または、所望される場合、アセンブリ言語もしくは機械言語で実施することが可能であり、いずれの場合も、言語は、コンパイラ型言語であってよく、またはインタープリタ型言語であってもよい。
【0038】
次に、図1を参照すると、本方法の一例の流れ図が示される。ステップS100において、図6に表示されるセットのように、三次元シーンにおいて三面体の事前に規定されたセットが位置付けおよび方位付けされる。3Dシーンは、オブジェクト同士の間の空間的関係が描写される空間である。これらの空間的関係は、3Dシーンの基準系とも呼ばれる3Dシーンに特有の三面体に従って決定される。3Dシーンに特有のこの三面体は、3Dシーンにおいてオブジェクトを指定するために必要な要素(例えば、地点)を提供する。このようにして、3Dシーンは方位付けされる。
【0039】
それぞれの三面体は、3つの実数が変換値を特徴付け、他の3つの実数が回転値を特徴付ける、配置行列の一部である6つの実数によって特徴付けることができる。したがって、パターンの仕様を容易に記憶することが可能である。例えば、4つの三面体を有する三面体のセットは、4×6実数の形式で記憶することが可能である。それぞれの三面体は、当技術分野で知られているように、n×n配置行列によって表すことができる。例えば、4×4配置行列は、
[abcx
defy
ghiz
0001]
と示すことができ、式中、(x、y、z)は、3Dシーンにおける三面体の変換のベクトルを表し、(a、b、c)、(d、e、f)および(g、h、i)という表現は、3Dシーンの基準系に対する三面体の角度位置を提供する、3Dシーンにおける三面体の回転の行列を表す。この行列の最後のラインは、常に、(0、0、0、1)という表現によって表され、行列反転計算が可能になるように、4×4行列(正方行列)を取得するために使用される。
【0040】
それぞれの三面体は、MSTnとして示される配置行列によって特徴付けられた3Dシーンにおける位置と方位とを規定し、nは、セットの第n番目の三面体を表す)。3Dシーンにおけるそれぞれの三面体の位置は、3Dシーンの適切な三面体に対して決定された3Dシーンにおける三面体の原点、すなわち、3Dシーンの基準系の位置を意味する。それぞれの三面体の方位は、3Dシーンにおいてその三面体がどのように配置されるかを描写する。この方位は、三面体を基準配置からその現在の配置に移動するために必要とされる回転を描写する。したがって、それぞれの三面体は、共に3Dシーンにおいて三面体がどのように配置されるかを十分に描写する位置と方位とを有する。3Dシーンにおけるオブジェクトの位置および方位は同様に規定される点を理解されよう。
【0041】
三面体のセットは、3Dシーンにおけるパターンのインスタンス化された仕様を形成し、これは、すなわち、三面体のセットが3Dシーンにおけるパターンのインスタンスであることを意味する。有利には、三面体のセットによって表されたパターンのインスタンス化された仕様は、3D空間内に位置され、これは、そのパターンが三次元(長さ、幅、および深さとも呼ばれる)を使用する可能性を開くことを意味する。
【0042】
三面体のセットをn×n配置行列、例えば、4×4正方行列によって特徴付けることも可能である。三面体のセットの配置行列は、Gと示すことができる。3Dシーンにおける三面体のセットのそれぞれの三面体の位置は、以下の行列の乗算、すなわち、MSTn=G×MGTnを計算することによって取得可能であり、式中、MGTnは、パターンの3Dフレームにおける(または、仕様の3Dフレームにおける)三面体の配置行列であり、nは、セットの第n番目の三面体を表す。これは、パターンの基準系に対して三面体の位置と方位とを決定することが可能であることを意味する。
【0043】
三面体のセットは事前に規定され、これは、三面体の位置と方位とが既に決定されていることを意味する。すなわち、三面体の事前に規定されたセットがシステム内に装着されるとき、その三面体の位置と方位とは知られている。しかし、三面体の事前に規定されたセットは、三次元シーンにおいて自由に設定可能である。自由に設定可能ということは、例えば、ユーザアクション時に、少なくとも1つの三面体の位置と方位とを修正できることを意味する。加えて、セットの三面体同士の間に制約を加えることが可能である。例えば、セットの三面体同士の間の最低距離を強化することが可能である。パラメータ化できるパターンの仕様により、これを実行することが可能であり、これは、セットの三面体の相対的位置が少なくとも1つのパラメータに依存する可能性があることを意味する。したがって、三面体の事前に規定されたセットの三面体の相対的な位置を修正するために、パラメータを適用することが可能である。
【0044】
三面体の事前に規定されたセットは、パターンライブラリ内に記憶されたパターンの選択(S102)時に取得することが可能である。パターンの選択は、当技術分野で知られているように実行できる。例えば、図2の1つの2500など、パターンのリストを示すツリーを使用することにより、これを行うことが可能である。ユーザは、例えば、パターンに関する識別情報を入力することによって、リスト内のパターンを選択することによってなど、別のタイプのユーザインターフェースにより、パターンを選択することも可能である。コンボボックス、アイコン、スペシャルコマンドなど、任意の種類のユーザインターフェースにより、パターンを選択することが可能である。パターンライブラリをデータベース上に記憶することが可能である。パターンの選択は、パターンの仕様、特に、アセンブリを形成するオブジェクトが3Dシーンにおいてどのように配置されるかを選択することを必要とする。したがって、パターンの選択は、パターンのインスタンス化された仕様を伴い、すなわち、三面体の事前に規定されたセットは、選択されたパターンのインスタンス化された仕様から計算される。パターンの仕様をインスタンス化することは、すなわち、三面体のセットが3D空間(例えば、3Dシーン)内に入ること、すなわち、位置と方位とがセットのそれぞれの三面体に与えられることを意味する。セットのそれぞれの三面体は、パターンの基準系(または、仕様のフレーム)に対する位置と方位とを有することを理解されたい。
【0045】
三面体の事前に規定されたセットは、既存のオブジェクトのパターン、例えば、オブジェクトのアセンブリから推論することができる。実際には、既存のオブジェクトは、ユーザによって選択される。パターンに関してパターンの選択を実行することが可能である。オブジェクトが選択されると、計算時にオブジェクトの特徴が抽出される。このために、オブジェクト内に記憶された情報、例えば、オブジェクト内に記憶されたパターン設計を利用することが可能である。例えば、長方形パターンから取得されたオブジェクトのアセンブリは、いくつかのラインおよび列、ラインおよび列の方向、パターン上のオブジェクト同士の間の間隔などの情報を含むことが可能である。抽出の結果として、パターンの仕様が取得される。三面体のセットが既存のパターンから推論されるとき、またはパターンから取得されるとき、パターンの基準系からセットの三面体のそれぞれの位置と方位とを決定することが可能である。
【0046】
オプションで、ステップS104に示されるように、三面体の事前に規定されたセットの位置と方位とを制約することが可能である。
【0047】
これは、三面体のセット全体に制約が加えられることを意味する。すなわち、外部制約とも呼ばれる制約が、パターンのインスタンス化された仕様に加えられる。実際には、対称制約が三面体のセットに加えられ、これは、三面体のセットの対称点または対称軸に制約が加えられることを意味する。すなわち、仮想幾何学を3Dシーンにおいてセット三面体に加えることが可能であり、この仮想幾何学(例えば、対称点、対称軸)が制約される。例えば、円形パターンは、ユーザが全角度、角度間隔、および円形回転軸に関する特徴の距離を指定することを可能にする。本発明による方法により、三面体の完全なセットが制約されるように、円形回転軸に制約を加えることが可能である。
【0048】
制約、例えば、幾何学的制約は、様々なオブジェクトが他のオブジェクトに対して移動できる様式、および様々なオブジェクトが他のオブジェクトにどのように影響を与える可能性があるかを制限する。制約は、機械的部品のモデリングの際に広く使用されている。これらの制約は、3Dモデル化されたオブジェクト同士の間の関係を考慮することが可能であり、三面体と3Dモデル化されたオブジェクトとの間の関係を考慮することも可能である。あるいは、制約は、セットの少なくとも1つの三面体と関連付けられることも可能である。3Dモデル化されたオブジェクトのファイルの一部である制約を3Dモデル化されたオブジェクトと共に記憶することが可能であり、または、三面体の仕様の一部である制約を三面体と共に記憶することが可能である点を理解されたい。
【0049】
オプションで、3Dシーンにおける少なくとも1つの要素に従って、三面体の事前に規定されたセットの位置と方位とを制約することが可能である。要素は、オブジェクトのアセンブリの一部でないか、またはオブジェクトのアセンブリを除外した、3Dシーンにおける任意のオブジェクトであってよい。
【0050】
次いで、ステップS110において、三面体のセットは、例えば、コンピュータスクリーン上でユーザに表示される。例えば、ユーザが三面体の事前に規定されたセットを形成するために三面体を3D空間内に配置する場合、またはユーザが三面体上でカーソルと相互に作用することによって、三面体の位置および/または方位を直接的に修正することを望む場合、表示するステップは、より早期であってもよい点を理解されたい。
【0051】
次に図4を参照すると、三面体のセットがユーザに表示される。それぞれの三面体は、3Dシーンにおいて位置と方位とを有し、3Dシーンの基準パターンは表示されずに、3D空間内の位置および方位を規定する。それぞれの三面体は、その中でオブジェクトの位置、方位、およびその他の特性を特徴付けることが可能な軸のセット(X、Y、Z)を参照する基準系である。これにより、それぞれの三面体は座標系を提供する。
【0052】
図1に示される流れ図を再び参照すると、次いで、本方法を実行しているシステム、例えば、CADシステムにオブジェクトのセットが提供される(S120)。オブジェクトは、例えば、CADシステムを用いて設計された3Dモデル化されたオブジェクトであってよい。オブジェクトを提供することは、そのオブジェクトに関して操作を実行できるCADシステムにオブジェクト、例えば、メモリ内に記憶されたオブジェクトが利用可能であることを意味する。好ましくは、提供されるオブジェクトの数は、3Dシーンにおける三面体の数に等しい。
【0053】
実際には、オブジェクトのセットを提供するステップは、少なくとも1つのオブジェクトを選択する第1のサブステップ(S122)と、選択された少なくとも1つのオブジェクトをインスタンス化する第2のサブステップ(S124)とを含む。オブジェクトの選択は、パターンの選択の場合と同じように、例えば、オブジェクトのリスト内のユーザアクション時に実行することが可能である。オブジェクトの選択をシステムによって自動的に実行することも可能である。選択されたオブジェクトは、次いで、オブジェクトのセットを作成するために、数回インスタンス化される。オブジェクトのインスタンス化は、コンピュータ化されたプロセスの分野においてよく知られている。インスタンス化は、選択されたオブジェクトの1つの特定の変形を規定することによって1つのインスタンスを作成する。典型的には、選択されたオブジェクトは、モデル化されたオブジェクトを表すデータを含むファイルであり、インスタンス化されたオブジェクトは、CADシステムによって処理できる実行可能なファイルである。インスタンス化されたオブジェクトは、これによりメモリ内に記憶されて、CADシステムによってアクセスおよび使用することが可能である。
【0054】
次に図5を参照すると、ユーザによって選択された3Dモデル化されたオブジェクトが3Dシーン内に表される。3Dモデル化されたオブジェクトは、3Dモデル化されたオブジェクトのそれぞれの地点に関する位置と方位とを規定する三面体を備える。3Dモデル化されたオブジェクトは、グラフィカルユーザインターフェース(図示せず)上に表示可能である。
【0055】
セットのそれぞれのオブジェクトは、配置行列、典型的には、既に説明したように4×4配列行列によって特徴付けることが可能な位置を3Dシーン内に有する。オブジェクトの配置行列は、Onで示すことができ、nは、セットの第n番目のオブジェクトを表す)。
【0056】
次に、ステップS130において、オブジェクトのセットのそれぞれのオブジェクトは、三面体のセットの対応する1つの三面体に取り付けられる。これは、セットのオブジェクトと三面体とからなるオブジェクトの対が作成されることを意味する。すなわち、組のセット(オブジェクト、三面体)が作成される。
【0057】
この取り付けるステップは、セットのそれぞれのオブジェクトに関連するリンクを識別するステップ(S132)によって実行することが可能であり、セットのそれぞれのオブジェクトは、これにより、オブジェクトが対応する三面体を識別することができるようにするそれぞれのリンクにアクセスすることが可能である。実際には、このリンクは、「リンクオブジェクト」と呼ばれる専用オブジェクトを介してそれぞれのオブジェクトによってアクセスされる。この「リンクオブジェクト」は、オブジェクトと三面体との間の対応が維持される表を備える。すなわち、「リンクオブジェクト」は、組のセット(オブジェクト、三面体)を識別する。リンクは検索および取出しに関して編成されたデータの任意の収集物の中に記憶可能である点を理解されたい。
【0058】
代替では、例えば、ラベルの形式で、リンクをオブジェクトと共に記憶することが可能である。リンクをそれぞれの三面体と共に格納できることを企図することも可能である。有利には、識別されたリンクは、いくつかの異なる3Dモデル化されたオブジェクトを取り付ける必要があるとき、三面体のセットの中から特定の三面体を選択することを可能にする。これは、いくつかの異なる3Dモデル化されたオブジェクトを用いてオブジェクトの3Dモデル化アセンブリを作成することを可能にする。
【0059】
次いで、リンクがセットのそれぞれのオブジェクトに関して識別されると(S134)、識別されたリンクに従って、それらのオブジェクトがそれらの対応する三面体に取り付けられる。組のセット(オブジェクト、三面体)がこのとき作成される。
【0060】
取り付けるステップ(S130)の後で、三面体のセットの対応する三面体の位置と方位とに従って、それぞれのオブジェクトを位置付けおよび方位付けするステップ(S140)が実行される。これにより、そのそれぞれの位置と方位とがそれぞれの3Dモデル化されたオブジェクトが取り付けられる三面体の位置と方位とを反映するように、3Dモデル化されたオブジェクトが3Dシーン内に配置される。結果として、パターンを形成する仕様のセットから、オブジェクトのアセンブリが構築され、仕様のこのセットは、3Dシーンにおいてインスタンス化され、三面体のセットによって特徴付けられる。これは、手続き的手法を必要とせずに、三次元シーンにおいてインスタンス化された三次元パターンに従って、オブジェクトの三次元アセンブリを作成することを有利に可能にする。実際には、本発明に従って取得されたパターンは、(手続き上のパターンではなく)変化に関するパターンであり、したがって、数値解法によって、幾何学的制約(例えば、内部制約および外部制約)のネットワークとアセンブリパターンとを同時に解決することが可能である。これは、以下においてより明らかであろう。
【0061】
典型的には、それぞれのオブジェクトに制約を加えて、その対応する三面体の位置と方位とに従って、それぞれのオブジェクトの位置付けおよび方位付けが実行され、所与の組(オブジェクト、三面体)に関して、オブジェクトと三面体との間の変換行列は同じである。変換行列は、ある基準系から別の基準系にベクトルを変換する。結果として、その対応する三面体の位置に従って、その対応する三面体に対するセットの第n番目のオブジェクトの位置付けおよび方位付けを可能にする、調整行列と呼ばれ、MAnと示される行列が存在する。セットの第n番目のオブジェクトは、セットのオブジェクトのうちのオブジェクトの1つである。すなわち、オブジェクトのそれぞれの位置行列と組を形成する三面体との間にある関係が存在し、この関係は、それぞれのオブジェクトの位置付けおよび方位付けを制約するために利用される。これは、すなわち、位置付けおよび方位付けするステップにおいて、それぞれのオブジェクトに制約が加えられることを意味し、この制約は、調整行列MAnによって指定される。
【0062】
実際には、調整行列MAnは、関係
MAn=(MSTn-1×On
によって規定可能であり、式中、MSTnは、3Dシーンにおける三面体のセットのそれぞれの三面体の配置行列であり、Onは、3Dシーンにおけるセットのそれぞれのオブジェクトの配置行列であり、nは、セットの第n番目の三面体を表す。
【0063】
これは、調整行列MAnがMAn=(G×MGTn-1×Onによって規定可能となる別の関係をもたらす。式中、Gは、三面体のセットの配置行列であり、MGTnは、パターンの3Dフレーム内の(または、仕様の3Dフレーム内の)三面体の配置行列であり、Onは、3Dシーンにおけるセットのそれぞれのオブジェクトの配置行列であり、nは、セットの第n番目の三面体を表す。
【0064】
したがって、関係On=MSTn×MAn=G×MGTn×MAnを用いて、オブジェクトの配置行列を決定することが可能である。結果として、3Dシーンにおいてその対応する三面体の配置行列に対して調整行列を乗算することによって、3Dシーンにおけるオブジェクトの位置および方位を計算することが可能である。
【0065】
実際には、調整行列は、セットのそれぞれのオブジェクトに関して同一である。すなわち、それぞれのオブジェクトpおよびnに関して、MAp=MAnである。有利には、これが、パターンの仕様に従って、オブジェクトのセットを同時に位置付けることを可能にする。
【0066】
代替では、少なくとも1つのオブジェクトに関して調整行列を適用することが可能である。これは、すなわち、オブジェクトを位置付けおよび方位付けするステップの結果の結果が異なるように、特定の制約が特定のオブジェクトに加えられることを意味する。これにより、セットの少なくとも1つのオブジェクトの位置および方位を適用することが可能となり、したがって、設計できるパターンの異なるアセンブリの数が増大する。
【0067】
実際には、これは、共通の調整行列MAnを、Inと示される、修正された識別行列で乗算することによって、この少なくとも1つのオブジェクトの調整行列を修正することによって実行される。サイズnのIと示される識別行列は、主対角線が1であり、それ以外がゼロであるn×n正方行列、例えば、4×4識別行列である。修正された識別行列Inは、前記少なくとも1つのオブジェクトの識別が修正される(すなわち、識別が1に等しくない)識別行列である。したがって、修正された識別行列は、調整行列で乗算されるとき、前記少なくとも1つのオブジェクトの調整行列を変更する。対照的に、修正された識別は、修正されたセットの他のオブジェクトの調整行列を変更しない状態のまま残す(すなわち、識別は1に等しい)。
【0068】
これにより、オブジェクトの配置行列は、関係
On=MSTn×MAn×In=G×MGTn×MAn×Inを用いて決定され、式中、Inは、少なくとも1つのオブジェクトに関するIn≠Iが異なって位置付けおよび方位付けされるような修正された識別行列である。
【0069】
したがって、オブジェクトの3Dモデル化アセンブリの設計は、手続き的手法に依存せず、それぞれのオブジェクトの位置および方位は、ワンショット型(one−shot)計算を用いて取得される。全体的な問題に対する解決策が存在する場合、この問題に対する結果を見出すことを可能にする数値解法にすべての機械的制約を直接的に伝える(または、注入する)ことができる。その解法が解決策を計算できない場合、その解法は、その問題が制約過多(over−constrained)であることを示すメッセージを送る。
【0070】
加えて、それらのシステムが計算すべきアセンブリの全体的な視野を有する限り、それぞれのオブジェクトの位置と方位とを計算すると同時に、設計アセンブリに関するすべての制約を解決することが可能であり、例えば、内部制約および外部制約、アセンブリのオブジェクトと3Dシーンの少なくとも1つの要素との間の制約、セットの三面体同士の間の制約を、それぞれのオブジェクトの位置および方位と同時に解決することが可能である。これにより、オブジェクトのパターンと幾何学的制約とが同時に処理される。より一般的には、この解法は、アセンブリの位置付けおよび方位付けのすべての制約、ならびにパターンおよびオブジェクトの仕様に加えられた補完的制約に関する解決策を計算する。それぞれのオブジェクトの位置および方位は、これにより、設計されることになるオブジェクトの3Dモデル化アセンブリに関係している制約と同時に解決される。
【0071】
次いで、ステップS150において、3Dモデル化アセンブリが計算されて、3Dシーン内に表示される。あるいは、図7に表示されるように、オブジェクトの3Dモデル化アセンブリを三面体のセットと共に表示することが可能である。
【0072】
本発明の好ましい実施形態を説明してきた。本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、様々な修正を行うことが可能である点を理解されよう。したがって、その他の実装形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。例えば、事前に規定されたセットの少なくとも1つの三面体の位置および方位は、例えば、ユーザ動作時に修正することが可能である。新しい仕様値を入力することによって、この修正を実行することが可能である。この修正は、例えば、三面体上でカーソルと相互作用することによって、表示される三面体に関して直接的に実行することも可能である。これにより、ユーザは、3Dシーンにおいてそれぞれの三面体の位置および方位を適用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元シーンにおいてオブジェクトの三次元モデル化アセンブリを設計するためのコンピュータ実装方法であって、
前記三次元シーンにおいて三面体の事前に規定されたセットを位置付けおよび方位付けするステップであって、それぞれの三面体が位置と方位とを規定する、位置付けおよび方位付けするステップと(S100)、
オブジェクトのセットを提供するステップ(S120)と、
オブジェクトの前記セットのそれぞれのオブジェクトを三面体の前記事前に規定されたセットの対応する1つの三面体に取り付けるステップ(S130)と、
三面体の前記事前に規定されたセットの前記対応する三面体の前記位置と前記方位とに従って、それぞれのオブジェクトを位置付けおよび方位付けするステップ(S140)と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
それぞれのオブジェクトを位置付けおよび方位付けする前記ステップは、その対応する三面体に取り付けられた前記セットの第n番目のオブジェクトに関する調整行列MAnに従って実行されることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記調整行列MAnは、関係MAn=(MSTn-1×Onによって規定され、
式中、MSTnが、前記3Dシーンにおける前記セットの第n番目の三面体の配置行列であり、Onが、前記3Dシーンにおいて三面体の前記事前に規定されたセットの前記第n番目の三面体に取り付けられた前記セットの前記第n番目のオブジェクトの配置行列であることを特徴とする請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記調整行列MAnは、オブジェクトの前記セットのそれぞれのオブジェクトに関して同一であることを特徴とする請求項2または3のうちの一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
三面体の前記事前に規定されたセットは、既存のオブジェクトのパターンから推論されることを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
三面体の前記事前に規定されたセットは、パターンライブラリ内に記憶されたパターンから取り出されることを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
オブジェクトのセットを提供する前記ステップは、
少なくとも1つのオブジェクトを選択するステップと、
前記選択された少なくとも1つのオブジェクトの複数のインスタンスを計算するステップと
を含むことを特徴とする請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
オブジェクトの前記セットのそれぞれのオブジェクトを取り付ける前記ステップは、前記セットのそれぞれのオブジェクトに関連するリンクに従って実行されることを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
三面体の前記事前に規定されたセットを位置付けおよび方位付けする前記ステップは、三面体の前記事前に規定されたセットに制約を加えるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
三面体の前記事前に規定されたセットを位置付けおよび方位付けする前記ステップは、三面体の前記事前に規定されたセットの前記三面体の相対的位置を修正するパラメータを適用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
三面体の前記事前に規定されたセットをグラフィカルユーザインターフェース内に表示するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
三面体の前記事前に規定されたセットの前記位置および前記方位は、前記三次元シーンにおいて自由に設定可能であることを特徴とする請求項1乃至11のうちのいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
それぞれのオブジェクトを位置付けおよび方位付けする前記ステップは、制約と同時に解決されることを特徴とする請求項1乃至12のうちのいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
コンピュータによって実行するための命令を備えたコンピュータプログラムであって、前記命令が請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法を実行するための手段を備えることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記録していることを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−238311(P2012−238311A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−108478(P2012−108478)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【出願人】(500102435)ダッソー システムズ (52)
【氏名又は名称原語表記】DASSAULT SYSTEMES
【Fターム(参考)】