三次元物体の層状製造装置
三次元物体に対応するそれぞれの層における位置において造形材料を層状に固化することにより三次元物体を製造する装置(1)が提供される。装置はマシンフレーム(2,3,4,5)およびマシンフレーム内に位置する造形空間(10)と;造形材料を選択的に固化するためのビーム(9)を放射するエネルギー源(6)と;このエネルギー源(6)を冷却するための気流(T)を生成する換気装置(54)とを備える。造形空間(10)を制限する仕切り壁(56)に気流(T)を導く、接続管(55)を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状造形材料を、三次元物体に対応する各層の位置において層状に固化することにより三次元物体を製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ焼結装置を含む三次元物体の層状製造装置が記載されている。この装置では、粉末状造形材料の処理が行われる。この装置は、粉末状材料を塗工する目的で、粉末塗工装置と、コンベヤローラと、供給シュートとを備える構成となっている。
【0003】
特許文献2には、レーザ焼結装置から成る三次元物体製造装置が記載されている。交換可能な容器についても記載されており、ワークピース・プラットフォームがこの容器の底部として一体的に設けられている。この交換可能容器は装置から取り外すことができ、装置に設けられている連結装置が容器を装置に装着すると共にワークピース・プラットフォームを駆動装置に連結する働きをする。
【0004】
このような装置において、エネルギー源(レーザ焼結装置の場合、例えば、レーザ)は、熱を発生し、その熱は、装置の過熱を防止するために、装置から放散されなければならない。三次元物体が層状に製造される造形空間も加熱されるので、造形空間を制限する壁も加熱される。造形空間の加熱された壁は、熱を放射することによって、隣接して配置された光学系の構成要素や装置の駆動装置の構成要素のそれぞれに悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2005 016 940 Al
【特許文献2】WO 00/21736 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、冒頭に記載した種類の装置であって、熱を装置から効率的にかつ費用効果がある方法で放散させ得る装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その目的は、請求項1に記載の装置により達成される。また、この装置をさらに有利に展開した例が従属請求項に記載されたものである。
【発明の効果】
【0008】
換気装置を用いてエネルギー源を冷却し、かつ気流を転送することによって、造形空間の境界壁も冷却することにより、熱は、冷却システムによって装置から効率的に放散される。共通の冷却システムを使用して、省スペースで費用効果のある構成が可能となる。
【0009】
本発明のさらなる特徴および利点については、添付図面に基づいて説明する各実施形態から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態によるフレームシステムの概略図である。
【図2】図1の実施形態における光線ガイドの概略図である。
【図3】a)とb)は、図2におけるアパーチャの異なる例の概略詳細図である。
【図4】本実施形態の光線ガイドの領域における換気システムの詳細を示す概略斜視図である。
【図5】本実施形態の造形空間を示す概略図である。
【図6】本実施形態の造形容器換気システムを示す概略図である。
【図7】本実施形態における定量供給装置の装着を示す概略図である。
【図8】本実施形態における造形空間加熱モジュールの装着を示す概略図である。
【図9】本実施形態における塗工装置の装着を示す概略図である。
【図10】造形容器の装着を示す概略図である。
【図11】本実施形態における造形プラットフォームを示す概略図である。
【図12】本実施形態における造形材料供給システムを示す概略図である。
【図13】本実施形態における塗工システムの概略図である。
【図14】光線調整方法において使用される層を示す概略図である。
【図15】造形材料供給システムを示すさらに別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および図5を参照して、造形材料を層状に固化して三次元物体を製造する装置の基本的構成について説明する。一実施形態によると、この装置はレーザ焼結装置として構成される。この三次元物体製造装置においては、造形材料の層が順次上に重ねるように塗工されるが、各層の中で製造対象となる物体に対応する位置にある材料を選択的に固化して後に、次の層の塗工が行われる。ここに記載する実施形態では、粉末状の造形材料を使用し、選択された位置にエネルギービームを作用させることで材料を固化する。本実施形態では、粉末状造形材料を選択された位置においてレーザビームにより局所的に加熱し、焼結または溶融によって造形材料の近傍の構成成分に結合させる。
【0012】
図1に示すように、レーザ焼結装置は光学系を含み、光学系の各光学要素はマシンフレームの構成要素に取り付けられている。図5に概略的に示す造形空間10がマシンフレームに設けられている。
【0013】
本実施形態では、光学系はレーザ6と、偏向ミラー7と、スキャナ8とを備える。レーザ6は光線9を発生し、このレーザ光線9が偏向ミラー7に入射して、偏向ミラー7によってスキャナ8に向かって偏向される。また、エネルギー源としてはレーザの代わりに、異種の放射線源でスキャナ8に向かうエネルギービームを発生するものを用いても良い。スキャナ8は、図5に示す造形空間10内に位置する造形面11の任意の位置に入射光線9を照射することができるように、公知の方法で構成される。これを可能とするために、スキャナ8と造形空間10の間にある造形空間10の上部仕切り壁56に入口窓12が設けられており、光線を入口窓12を介して造形空間10に入射させることができる。
【0014】
次に、図5を参照して本実施形態の装置の造形空間について説明する。
【0015】
図5から分かるように、造形空間10内に上部を開口した容器25が設けられている。形成対象となる三次元物体を支持する支持装置26が容器25内に配置されている。支持装置26は不図示の駆動装置により容器25内で垂直方向に往復運動させることができる。造形面11は容器25の上端部の領域に画定される。スキャナ8によって造形面11に投射される光線9を通過させるための入口窓12が造形面11の上方に配置される。未固化の造形材料を支持装置26の表面、または先に固化された層の上に塗工するための塗工装置27が設けられる。塗工装置27は、図5に概略的に矢印で示すように、駆動装置によって造形面11上を水平方向に移動させることができる。造形面11の両側には定量供給装置28,29がそれぞれ設けられており、所定量の造形材料を塗工装置27に提供して塗工が行われるようにする。
【0016】
定量供給装置29の側部に供給開口部30が設けられる。供給開口部30は、図5の紙面に対して垂直方向に造形面11の幅全体にわたって延在している。供給開口部は造形材料を造形空間に供給する働きをするもので、図示の実施形態ではこの材料は放射線によって固化することのできる粉末材料である。
【0017】
本実施形態の造形空間は、図5に概略的に示されるように、上部領域40と下部領域41とに分割される。上部領域40は実際の作業空間を形成しており、この中で造形材料の層状塗工およびその選択的固化が行われる。下部領域41には容器25が収容される。
【0018】
本実施形態では、部分により、各層の物体に対応する位置を選択的に固化することにより三次元要素を層状に製造する方法を用いて形成する。また、本実施形態では、レーザ焼結法を用いて物体の製造を行う。フライス加工(milling)、旋削(turning)、注入成型(casting)のような従来の三次元物体製造方法に比較すると、このような方法は、複雑な形状のものを生成する場合、および/または製造量が比較的少なくて良い場合に特に有利である。
【0019】
装置の動作
装置1の動作時、造形材料が供給開口部30を介して造形空間10に供給され、定量供給装置28,29によって所定量の材料が塗工装置27に供給される。塗工装置27が造形材料を支持装置26または先に固化された層の上に塗工し、レーザ6およびスキャナ8によって造形面11の選択された位置に光線9を投射することにより、形成するべき三次元物体に対応する位置の造形材料を選択的に固化する。その後、支持装置を層一つの厚さ分だけ下降させて、新しい層を塗工し、形成対象物体の全ての層を生成し終えるまでこの動作を繰り返し行う。
【0020】
次に、装置のいくつかの構成要素についてさらに詳細に説明する。
【0021】
フレーム構造
まず、本実施形態のフレーム構造について、図1を基に説明する。装置1は、3本の基礎ビーム2,3,4で構成されるマシンフレームを有する。これらの基礎ビームは対角材5によって相互に連結されている。本実施形態において、これら3本の基礎ビーム2,3,4は実質的に垂直に立設されており、装置の3つの角部を形成している。従って、平面視した場合の装置1の輪郭は実質的に三角形を呈する。基礎ビーム2,3,4および対角材5は、その輪郭が実質的に直角三角形の一角に相当し、該直角三角形の斜辺が装置の正面側となるように配置される。対角材5は実質的に水平であり、堅固でひずみに対する耐性のあるマシンフレームが形成され、一方的な力が加わった場合でもマシンフレームの各部の相対的な位置が変化しないように、あるいはほとんど変化することのないように、基礎ビームを連結する。
【0022】
基礎ビーム2,3,4を基本的に垂直方向に延設し、三角形状に配置する構成とすることで、装置1を基部上の3点において支持することができる。このように3つの脚部を備えた構成とすることにより、迅速かつ簡単に基部に対する揺れや傾きを防止するように配置することが可能となる。特に、基部に対する位置合わせを変更する際にも、3つの支持点の一つの支持の高さを変えれば、他の2つの支持点を結ぶ線が回転することになるため、位置合わせの変更を行うことができる。4点支持や多点支持の場合、位置合わせを変更するには、安定した支持を達成する上で少なくとも2つの支持点の高さを変更する必要がある。
【0023】
各基礎ビーム2,3,4の地面に面する底部側に、ローラ50と高さ調節可能な支持脚51とが配設されている。支持脚51は、高さの調節ができるように対応する基礎ビーム2,3,または4に配置される。対応するローラからそれぞれの基礎ビームの底部側までの距離の方が支持脚51から基礎ビームの底部側までの距離より大きくなる位置を第1の位置とすると、支持脚51毎にこの第1の位置に移行させることができる。この第1の位置において、装置1はローラ50の上に乗っており、支持脚51基部から離れている。ローラ50は基礎ビーム2,3,4上で旋回可能であり、装置1を、ローラ50に乗った状態で基部の上方にて任意の方向に移動させることができる。また、支持脚51がそれぞれの基礎ビーム2,3,または4の底面側からそれぞれのローラ50よりも突出する位置を第2の位置とする、支持脚51毎にこの第2の位置に移行させることができる。この位置においては、装置1は支持脚51の上に乗っており、装置1が支持体に関して移動するのを確実に防止することができる。
【0024】
本実施形態では、各々の支持脚51について、それぞれの基礎ビーム2,3,4に面する側が、雄ネジを有するネジ付きロッドとして構成されている。基礎ビーム2,3,4の底部側に雌ネジを有する穴がそれぞれ設けられており、そこに支持脚51が螺合される。支持脚51の基礎ビーム2,3または4への螺合を絞めたり緩めたりすることによって、基礎ビームから支持脚51の底部側までの距離を連続的に調整することができる。
【0025】
2つの水準器52がマシンフレームの2つの異なる位置に装着されている。水準器52は静止した状態で一直線に並ぶように装置1に取り付けられる。本実施形態では、どちらの水準器52も水平面に対して平行な平面に配設されている。この平面において、両水準器は相互に約90度の角度を成す。どちらの水準器も、装置1が水平面に対して最適に位置合わせされているかどうかを示すものである。装置1の位置合わせは、3本の支持脚51の高さを変えることで実施できる。装置1の位置合わせの変化を、水準器52により視覚的に制御することができる。装置内部の構成要素については、相互に予め調整されている。構成要素がフレームシステムに堅固に装着されると共に、装置1の枠組構造が強固であることから、構成要素の相対的位置が保持される。従って、装置を適正に機能させるためには装置構成要素の空間的な位置決めを正確に行う必要があるものの、装置1の位置合わせが終わると構成要素は相対的に正しい位置にあることになる。水準器は装置の垂直方向の位置決めを容易にする。そのため、装置1を移動したりその位置を変えた後に位置合わせを行ったりする場合にも、迅速かつ効率的に行うことが可能となる。3本の基礎ビーム2,3,4とそれに対応する支持脚51を有する構成により、装置1の位置合わせを手数をかけずに行うことが可能となっている。
【0026】
光学系
次に、図1、図2および図4に基づいて、光学系についてより詳細に説明する。図1に示すように、レーザ6として構成されているエネルギー源がマシンフレームの垂直基礎ビームの1つである基礎ビーム2の中、または該基礎ビームに平行に配置されて、該基礎ビームと調節可能に接続される。レーザ6から出射された光線9はパイプ13を通って案内される。パイプ13の一端はレーザ6のケーシングに接続され、パイプ他端は偏向ミラー7等の構成要素を収納するケーシング14に接続されている。従って、光線9はレーザ6から偏向ミラー7まで垂直方向に通過する。図4に示すように、ケーシング14はケーシング14から着脱可能な側壁14aを備える。図2はケーシング14から側壁14aを取り外した状態を示している。
【0027】
図2および図4に示すように、パイプ13と反対側に面したケーシング14の端部がスキャナ8の入力側に接続され、ケーシング14がマシンフレームの構成要素に固定的に接続される。こうすることで、パイプ13とケーシング14とは、レーザ6からの光線9がパイプ13とケーシング14内の外部から隔離された空間を通ってスキャナ8まで通過するように配設される。ごく概略的にしか図示していないが、パイプ13とケーシング14との接合部にシャッタ15が設けられている。シャッタ15は、側壁14aをケーシング14から取り外した際にレーザ6から偏向ミラー7へ向かう光線9の光路を遮断するように構成される。この構成によると、エネルギー源を動作させたままで側壁14aを誤って取り外した場合でも、オペレータが負傷する事故を確実に防止することができる。本実施形態では、機械的な滑動体によってシャッタ15を実現しており、これによって側壁14aを取り外した際にパイプ13からケーシング14へ光線が通過するのを阻止している。
【0028】
図1と図2に示すように、偏向ミラー7が光線9をスキャナの入口領域 8aに偏向させる。偏向ミラー7はその位置合わせを調整できるように懸架されており、位置合わせ調整のための調整機構16を備えている。調整機構16は2つのアクチュエータ17,18を含み、アクチュエータ17,18はそれぞれの駆動装置17a,18aがケーシング14の外側に位置するように配置されている。そのため、ケーシング14を閉じた場合でも、外側から駆動装置17a,18aにアクセスして偏向ミラー7の位置合わせを調整することができる。本実施形態では、アクチュエータ17,18はそれぞれ機械的な位置決めネジとして構成されており、駆動装置17a,18aの領域に偏向ミラーの位置合わせに対応する目盛を備えている。駆動装置17a,18aは調整ノブとして構成されている。本実施形態では、アクチュエータ17,18はレーザ焼結法により製造される。調整ノブは意図せぬ調整が行われないようにロックできるようにしている。
【0029】
装置を最適に機能させるためには、スキャナの入口領域8aに対する光線9の位置合わせを正確に調整する必要がある。この目的で、ケーシング14と一体化して光路内に入れることのできるアパーチャ19,20,21が設けられている。本実施形態では、ケーシングに3つのアパーチャ19,20,21を設けているが、アパーチャの数はこれより大きくても小さくても良い。本実施形態では、偏向ミラー7に近いアパーチャ19とスキャナ8の入口領域8aに近いアパーチャ21のいずれも、図3aに示すようなレチクルを有するアパーチャとして構成している。アパーチャ19と21の間に配置されるアパーチャ20は、図3bに示すようなピンホールとして構成されている。さまざまな調整要件に合わせて、その他の構成のアパーチャとすることもできる。また、複数組のアパーチャを備えて、必要な調整要件に応じて取り換えるようにしても良い。光線9用に使用するエネルギー源に応じて、機械的アパーチャの代わりに、光線の位置を検出することのできる当業者に公知の要素、例えば光線位置検出用の光学センサなどを設けても良い。
【0030】
アパーチャ19,20,21は、ケーシング14に装着されたそれぞれの保持部19a,20a,21aに旋回可能に取り付けられている。第1の設定において、アパーチャ19,20,21は光路内に入れられて固定される。第2の設定においては、アパーチャ19,20,21は光路から外されて固定される。アパーチャの懸架は例えば軸により行うことができ、その軸を中心として光路に対して直交する方向にアパーチャ19,20,21を回転させる。アパーチャ19,20,21の固定は、それぞれの設定において例えば前記軸上に螺合する刻み付きねじを用いて行うことができる。しかしながら、当業者にはその専門知識から明らかなように、その他多くの方法で懸架することができる。例えば、アパーチャをいずれの位置でも係合することができる機構を用いることも可能である。
【0031】
図1では概略的に示しているだけであるが、スキャナ8はマシンフレームのもう一つ別の構成要素にも取り付けられている。図示の実施形態では、スキャナ8は対角材5に装着されている。本実施形態では、スキャナ8は、偏向ミラー7からスキャナの入口領域8aへと延びる光路に平行な軸を中心としてスキャナを回転することによってスキャナの位置合わせの調整ができるように懸架されている。この調整を行うために調節機構8bが設けられている。これによってスキャナ8の位置合わせを簡単に、しかも迅速かつ精密に行うことが可能となっている。
【0032】
レーザ6からスキャナ8に向かう光線9は一度だけ偏向される。偏向は偏向ミラー7を介して行われるが、偏向ミラー7の位置合わせはケーシング14を閉じた際に行うことができる。このため、ほとんどの構成要素の位置調整を行うことなく、容易に光路を調整することが可能となる。すなわち、本実施形態では、レーザ6と偏向ミラー7とスキャナ8の位置を調整するだけで良い。レーザ6の位置調整は調節機構6bによって行うことができる。レーザ6、偏向ミラー7およびスキャナ8は、それぞれ堅固なフレームシステムの構成要素に直接固定されている。そのため、装置1の移送時や、設置場所を変える際にも、レーザ6、偏向ミラー7およびスキャナ8についてはその相対的位置が変わらないか、やや変わるだけにすぎない。従って、短時間で効率的に精密な調整を行うことが可能となる。
【0033】
光路を調整する際、アパーチャ19,20,21を一つずつ光線経路に入れるか、あるいは他のアパーチャと組み合わせて入れることができる。これによって光路の迅速かつ効率的な調整の可能性をさらに高めることができる。よって、調整に手間がかからないため、装置1の立上げや保守を行う際にかかる費用を節減することが可能となる。
【0034】
光線の調整方法
光線経路の調整方法として想定し得る方法について説明する。
【0035】
一つの方法では、2つのレチクル・アパーチャ19,21のいずれかを光路に入れ、照射用の紙を該レチクルのすぐ後方に挿入する。次に、照射用の紙にレーザパルスを照射してレチクルの影を評価する。光線の断面の中心と十字の中心とがぴったりと一致する必要がある。光線経路の再調整は、アクチュエータ17,18を介しての偏向ミラー7の位置合わせの調整とレーザ6の位置の調整によって行われる。この方法は、光線経路が当初から所望の経路より大幅にずれている場合にも適している。この方法を使用すると、光線経路にピンホール20を追加して挿入することも可能となる。
【0036】
光学系を再調整する方法において、ピンホールとして構成されているアパーチャ20を光路に挿入した後、ケーシング14を閉じる。光線9の全出力を測定する出力測定装置が造形面11に配置される。正確な調整を行う場合に光線9が出力測定装置に対して最適に指向されるように、スキャナ8の駆動を行う。出力測定装置によって測定されるビーム出力を監視すると共に、アクチュエータ17,18を動作させることにより偏向ミラー7の位置合わせを変化させる。出力測定装置が最大の光線出力を検出するまで、偏向ミラー7の位置合わせを変化させる。光線9は偏向ミラー7によってスキャナ8の入口領域8aに対して最適に指向される。この方法は、ピンホール無しでも実施することができ、その場合はスキャナ8の入口開口部がアパーチャの機能を代行する。
【0037】
このように調整することで、光学系の成分の位置が相互にごくわずかしか変化しておらず、微細な調整しか必要としない場合でも、光線経路の調整を簡単かつ迅速に行うことが可能になる。この方法によって、調整を短時間で実施することができ、装置の立上げや保守の際の調整コストを削減することができる。調整要件によっては、最初に光路にピンホール20を挿入することなくこの方法を実施することも可能である。この場合は手間と時間をさらに削減することができる。
【0038】
さらに別の方法では、光線9の照射に対して感応する材料、例えば温度効果により色が変わる紙などから成る層110を造形面11の画定された領域に配置する。図14に示すように、製造工程においてレーザ9による照射が行われる構成領域の縁部の所定のいくつかの地点において、層110にマーク111を設ける。その後、正確に位置合わせが行われた場合にはマーク111と一致することになるこれらの地点にスキャナ8を介して光線9を照射する。露光された地点が層110のマーク111から2方向において逸脱している場合、その偏差を測定する。もっとも簡単な方法としては、定規を用いて測定することができる。測定した境界点を基に、光学調整に関して拡大誤差や傾斜などが発生しているか否かを判断する。このような誤差の有無については、測定値を対応する評価プログラムに入力するなどの方法によって判断することができる。
【0039】
拡大誤差は、造形面11におけるスキャナ8と構成領域との間の機械的距離の変動や、スキャナ8の電気部品の電気的ドリフト等の結果生じ得る。また、傾斜誤差は機械的距離と角度の変動等から生じ得る。拡大誤差および/または傾斜誤差が発見された場合、発見された誤差に応じて、前記のような微調整によって補償することができる。この微調整は、スキャナ8の水平位置合わせの再調整によって行うか、あるいは、スキャナ8を駆動する制御プログラムの中にプログラムすることによってレーザ9の照準点を補正するのに使用される補正パラメータを計算することによって行われる。
【0040】
この方法では、構成領域の縁部にある個々の測定点を測定するにすぎない。構成領域の測定点と測定点との間にある地点については、補間法により誤差の判定を行う。測定点間の地点に対する誤差補正も、補間法によって行う。そのため、記録の必要な測定点はごく少数であり、短時間で手間をかけずに行うことができる。従って、調整や保守作業にかかる作業時間を大幅に削減することができるため、運転コストについても低減することができる。
【0041】
レーザおよび光学素子の冷却
次に、図1,図2,図4を参照して、光学系の換気システムについて説明する。
【0042】
基礎ビーム2の内部に中空空間53があり、その中にレーザ6とパイプ13が配設されている。2つの換気装置54が設けられている。換気装置54が生成する気流Tがレーザ6から暖気を搬出するため、それによってレーザ6が冷却される。本実施形態では、中空空間53内のパイプ13の領域に換気装置54を設けている。中空空間53は2本の管55を介して造形空間10の上方にある装置1の領域に接続されており、この造形空間10の中にスキャナ8,偏向ミラー7,アパーチャ19,20,21が設けられている。
【0043】
図5に示すように、気流Tは換気装置54によって造形空間10の上部仕切り壁56に向かって送風される。こうして、エネルギー源冷却用の気流は光学系に向けても偏向される。
【0044】
このように、本実施形態では、レーザ6として構成されているエネルギー源を冷却するための冷却システムを、スキャナ8と偏向ミラー7とアパーチャ19,20,21から成る光学系の冷却にも使用する。従って、1台の通風システムを用いて光学系の全ての構成要素を冷却することが可能となる。
【0045】
気流Tは造形空間10の上部仕切り壁56上にも導かれるため、同じ通風システムを用いて造形空間10の上側の冷却も行うことができ、造形空間10の上方に位置する装置1の制御要素の過熱を防止することができる。造形空間10の上側の冷却は光学系の通風システムによって行われる。従って、造形プロセスから生まれる処理熱も、レーザの冷却システムを用いて装置1の外に導出することができるため、別個の冷却手段を設ける必要がない。そのため、コスト削減が可能となると共に、装置を小型化できる。
【0046】
本実施形態では、レーザ6が存在する中空空間53が造形空間または構成空間10の上側に2本の管を介して接続されているが、マシンフレーム自体に設けた流路を介して接続を行うことも可能である。また、管または流路を1本だけとしても良い。ここでは2つの換気装置54について記載しているが、必要な冷却能力に応じて換気装置54を1つのみとしても良いし、複数設けても良い。光学系用および造形空間10の上側用に共通して用いられる通風システムは、レーザをエネルギー源とする構成、またはエネルギー源を基礎ビーム2内に配置する構成に限定されるものではない。また、他の構成を用いた場合でも、光学系および造形空間上側の効率的かつ費用効果の高い冷却を達成することができる。ただし、エネルギー源を基礎ビーム内に配置することによって、場所をとらない構成とすることができる。
【0047】
次に、造形空間10内の装置1の個々の構成要素について説明する。
【0048】
加熱装置
加熱装置31は容器25の粉末床の加熱、特に塗工が終わっているが未硬化の層を予備加熱するための装置であって、図5に示すように、造形面11上方の造形空間10内に配設される。加熱装置は、1つまたは複数の放射線ヒータ、たとえばラジエータとして構成され、造形材料の塗工層を均等に加熱できるように造形面11の上方に配設される。図示の実施形態では、加熱装置31は黒鉛プレートから成る熱放射要素を有する二次元ラジエータとして構成されている。図8から分かるように、この熱放射要素は蛇行構造を有している。
【0049】
本実施形態では、加熱装置31は実質的に正方形のプレートであって、入口窓12の下方の中心部に実質的に正方形の切り込みを有しており、スキャナ8から造形面11に向かう光線9が通過するエリアの周りに延在している。
【0050】
次に、図8を参照しながら、加熱装置31の装着について説明する。図8に示すように、本実施形態の加熱装置31は基本的に固定具44と放射線ヒータ45とで構成される。固定具44は造形空間10の上部領域40に配置された支持部46に受容されている。放射線ヒータ45は固定具44に受容されている。
【0051】
図8に矢印Aで概略的に示したように、固定具44は放射線ヒータ45と共に支持部46から取り外すことができる。支持部46はレールとして構成されており、その中に固定具44が挿入される。固定具44は工具を使用することなく支持部46への着脱を行うことができる。この他にも固定具44と支持部46の間の接続するための構成がいくつか考えられる。例えば、バネ、クランプなど介して取り付けを行っても良い。固定具44を支持部46に係合する構造を設けても良い。
【0052】
固定具44もレール状の構造を有し、その中に放射線ヒータ45が挿入される。放射線ヒータ45は工具を用いることなく、固定具44の中に導入したり固定具44から取り外すことができる。固定具44と放射線ヒータ45との場合も、固定具44と支持部46との接続と同様、異なる種類の接続方法を用いることができる。固定具44に放射線ヒータ45を係合するようにしても良い。
【0053】
このように、支持部46、固定具44および放射線ヒータ45を記載の構造とすることによって、一方では工具を用いることなく固定具44を放射線ヒータ45から取り外すことが可能となる。このことは、造形空間10を清掃する際に特に有利である。また、他方では工具を用いることなく放射線ヒータ45を固定具44から取り外すことができる。このことは放射線ヒータ45の保守および交換を行う際に特に有利である。加熱装置31の構成要素を工具を用いずに取り外しまたは交換を行えることにより、装置1の清掃を迅速かつ容易に行えると共に、放射線ヒータ45の交換も迅速かつ容易に行えるようになる。これによって、保守および清掃作業に要する時間を節減することが可能となり、短時間で装置1を次の工程に使用可能な状態とすることができる。
【0054】
定量供給装置
図5に概略的に示すように、本実施形態では定量供給装置28,29の各々が角度を付けたプレート状に形成されており、図5の紙面に対して垂直方向に、造形面11の幅いっぱいに延びている。定量供給装置28,29は造形面11に平行に延びる軸を中心としてローラのように回転することができ、定量供給装置28,29の各々がコンベヤローラの働きをしている。定量供給装置28,29は、塗工装置27の移動によって駆動されて、それぞれの軸を中心として所定の角度回転するように構成されている。
【0055】
図7に定量供給装置28を概略的に示す。定量供給装置29は定量供給装置28と同様であるため、詳細な説明を省略する。定量供給装置28は工具を用いることなく装置1から取り外すことができ、再挿入することもできる。図7に示すように、定量供給装置28は、角をつけたプレート状に形成されて回転軸Zに沿って伸びる中心部分28cを備える。中心部分28cは所定量の造形材料を計量して供給する働きをする。定量供給装置28は、回転軸Zに対して垂直方向において断面積が中心部分28cより小さくなる第1端部28aを有している。定量供給装置28の第2端部28bも回転軸Zに対して垂直方向において中心部分28cより断面積が小さくなっている。定量供給装置28の第1端部28aはサスペンション36に接続されており、定量供給装置28はこのサスペンションを中心として、すなわちこのサスペンションと共に回転軸Zを中心として回転する。その目的で第1端部28aとサスペンション36とは確実に、あるいは形状嵌合連結式に相互に連結される。図示の実施形態では、第1端部28aは例えば円筒状突起部28a’を有しており、これがサスペンション36のやはり円筒状の凹部36’に確実に挿入される。ただし、サスペンション36および第1端部28は異なる構成としても良い。例えば第1端部28aが凹部を有し、サスペンションが突起部を有する構成としても良い。凹部および対応する突起部は、形状嵌合連結が得られる形状であれば他の任意の形状とすることができる。
【0056】
定量供給装置28の第2端部28bは軸受37に連結されている。第2端部28bは軸受37に枢支される。図示の実施形態では、軸受37が回転軸Zと同心の環状に突出する縁部37aを有している。第2端部28bは円筒状の突起として構成されており、これが環状に突出する縁部37aによって形成される凹部の中に挿入される。ただし、軸受37および第2端部28bは他の構成としても良い。軸受37をたとえば突出する軸ピンとして形成し、第2端部28bがこの軸ピンによって係合される凹部を有する構成としても良い。定量供給装置28の旋回を可能にする上でいくつかの実施方法が可能である。
【0057】
また、本実施形態では、第2端部28bの側の定量供給装置28と軸受37との間に予荷重要素38が設けられている。予荷重要素38は定量供給装置28に対してサスペンション36方向への予荷重を加えている。本実施形態において、予荷重要素38は回転軸Zに対して同心に、あるいは縁部37aおよび第2端部28bの周囲に設けられたコイルばねによって形成されている。ただし、これ以外の実施形態も可能であり、例えば予荷重要素を板バネの形状に構成し、これを軸受37または第2端部28bの中に設けるようにしても良い。この場合、第2端部28b自体を予荷重要素によって定量供給装置28に着脱自在に装着することができる。
【0058】
図示の実施形態では、軸受37とサスペンション36の間の距離が第1端部28aと第2端部28bとの間の定量供給装置の長さより、所定距離だけ長くなっている。その所定距離は、回転軸Z方向の突起部28a’の長さよりやや長くなる。このように構成することで、予荷重要素38の予荷重の力に抗して定量供給装置28を軸受37の方向に移動させ、第1端部28aとサスペンション36cとの間の形状嵌合連結を解放することができる。その後定量供給装置28を取り出して、洗浄を行ったり、別の定量供給装置と交換することができる。定量供給装置28を挿入する際は、これらの手順を逆に行えばよい。
【0059】
このように、本実施形態では工具を用いることなく定量供給装置28の取り外しを行うことが可能となる。工具を用いずに定量供給装置28の取り外しと交換が行えることにより、装置1の清掃を迅速かつ簡単に行えると共に、定量供給装置28の交換も迅速かつ簡単に行うことが可能になる。これによって保守や清掃作業に要する時間を節減でき、短時間で装置を次の生産工程に使用できる状態とすることができるため、装置1の運転コストを低減することができる。
【0060】
別の例として、軸受37および/またはサスペンション36を駆動軸として構成し、この駆動軸により定量供給装置が回転するように駆動しても良い。この場合、第2端部28bと軸受との間にも形状嵌合連結を用いることができる。
【0061】
定量供給装置28の両側にあって定量供給装置28を装着する受口は、たとえば凹部として形成し、その中に定量供給装置28を横方向に挿入するように構成することができる。固定はバネ、クランプ等を用いることにより達成することができる。定量供給装置28を装着したときに係合する構造を設けても良い。定量供給装置28は例えば刻み付きねじを用いて固定し、これを手で絞めたり緩めたりするようにしても良い。
【0062】
造形材料の供給および熱保護
図5を参照して、造形空間10内の定量供給装置28,29の領域について説明する。
【0063】
定量供給装置29の領域では、造形面11を含む平面の下方に延びる造形材料収容領域23が形成されている。造形材料収容領域23は、塗工装置27から供給される所定量の造形材料を収容できるように形成される。定量供給装置29と供給開口部30の領域には造形材料収容領域24が形成されている。造形材料収容領域24は、供給開口部30を介して供給される造形材料と共に、塗工装置27から返送される造形材料も収容できるような大きさとする。
【0064】
造形材料収容領域23,24の大きさと定量供給装置28,29の大きさを一致させて、定量供給装置28または29を180度回転させる毎に一定量の造形材料が塗工装置27の正面に移動されるようにする。
【0065】
図5に示すように、定量供給装置28,29の上方に放射線防御シールド32,33がそれぞれ装着されている。放射線防御シールド32,33は、加熱装置31からの放射熱が定量供給装置28,29の領域、供給開口部30の領域、造形材料収容領域23,24の領域にある造形材料に直接作用するのを防止する。
【0066】
造形材料収容領域23,24の下側に、中空空間34,35を形成する二重壁構造が設けられている。中空空間は造形材料収容領域23,24の下側の全域にわたって延びている。この二重壁構造によって、造形材料収容領域はその底部で、その下方に位置する装置1の構成要素から絶縁されている。一実施形態によると、中空空間34,35に流体を循環させることにより、造形材料収容領域23,24内の造形材料の温度を調節することができる。また、中空空間34,35を通る流体の流速および/または流体温度を制御する制御装置を設けても良い。このような制御装置を設けることで造形材料の温度を制御することができる。
【0067】
放射線防御シールド32,33と中空空間34,35を設けることによって、定量供給装置28,29と粉末収容領域23,24のエリアにある造形材料の温度を造形面11上方の造形区間の温度および容器25の下方領域の温度より低く維持することができる。
【0068】
このように、中空空間34,35と放射線防御シールド32,33を設けることにより、造形材料収容領域23,24内造形材料の温度が上昇し過ぎるという問題を防止することができる。これによって、造形プロセスの前に造形材料の性質が熱の影響を受けてしまう危険性が低減される。
【0069】
塗工システム
次に、本実施形態における塗工システムについて、図9と図13を参照して説明する。
【0070】
図13から分かるように、塗工システムは塗工装置27と駆動機構59とを備える。塗工装置27は塗工要素61とホルダ60とを備える。塗工要素61はホルダ60に保持されている。ホルダ60が駆動機構59に連結されている。
【0071】
図9から分かるように、ホルダ60は主アーム62と、主アーム62から下方向に垂直に延びる第1ホルダアーム63および第2ホルダアーム64の2つのホルダアームを備えている。第1ホルダアーム63は剛性であり、主アーム62に固定的に接続されている。第2ホルダアーム64はその一端部64aが主アーム62に固定的に接続されている。第2ホルダアーム64は可撓性を有しており、その自由端64bは図9に矢印Cで示すように、第2ホルダアーム64の材料がもつ復元力に抗してある程度のところまで移動することができる。この運動によってホルダアーム63,64の自由端63b,64bの間の距離を大きくすることができる。ホルダアーム63,64に凹部63c,64cがそれぞれ設けられている。
【0072】
塗工要素61は、ホルダ60の主アーム62に対して実質的に平行に延びる本体部61aと、本体部61aから横方向に突出する2つの突起部61bとを備える。2つの突起部61bは、ホルダアーム63,64の凹部63c,64cの中に挿入されて形状嵌合連結されるような寸法に構成されている。形状嵌合係合によって、塗工要素61とホルダ60との間の連結がトルク耐性を有するものとなる。本実施形態では、塗工要素61を塗工ブレードとして構成しており、ブレードの下縁部61cによって造形材料の塗工と平滑化を行う。
【0073】
図9に矢印C,Dで概略的に示したように、自由端64bを矢印Cの方向に移動させて自由端63bから離隔させることで、塗工要素61と第2ホルダアーム64との形状嵌合を解放することができる。その後矢印Dで示すように、塗工要素61をホルダ60から取り外すことができる。
【0074】
塗工要素61をホルダ60に装着する場合は、逆の手順で行う。
【0075】
上記の構成とすることにより、塗工要素61のホルダ60への着脱は、はツールレスで、すなわち工具を用いることなく行うことができる。これによって塗工要素61を迅速かつ効率よく交換することが可能となる。保守および清掃作業にかかる時間を節減することができ、装置1を短時間で次の製造に使用可能な状態とすることができる。特に、その後の造形プロセスのそれぞれの要件に応じていろいろな塗工要素61を使用することができ、これらの塗工要素61は造形プロセスと造形プロセスの間に手間をかけずに交換することができる。
【0076】
塗工要素61とホルダ60の連結については他の構成も可能である。例えば、塗工要素61に凹部を設け、ホルダ60に突起部を設けて形状嵌合連結しても良い。また、溝に挿入して、塗工要素61とホルダ60を随意に係合させるようにしても良い。
【0077】
塗工システム27の駆動機構59について、図13を参照して説明する。図13から分かるように、塗工装置27のホルダ60が駆動軸65にトルク耐性を有するように接続されている。駆動軸65はその両端において軸受66,67に枢支されている。駆動軸は図5に示す造形面11に対して垂直な軸Eを中心として回転可能である。その回転は図13において矢印Fで示されている。さらに、レバー68がトルク耐性を有するように駆動軸65に装着されている。レバー68は作動ピストン・シリンダ系69に接続されている。また、レバー68はブレーキピストン・シリンダ系70にも接続されている。本実施形態では、作動ピストン・シリンダ系69が空気圧系として構成されており、レバー68を介してピストンに圧力が加えられた時、駆動軸65が軸Eを中心として回転するように駆動軸65を駆動する。駆動軸65が回転する結果、ホルダ60も回転し、塗工要素61が造形面11と平行に運動を開始する。駆動軸65は、造形空間の後部領域にあって、造形材料の固化が行われる構成領域または造形領域に対して横方向に配設されている。駆動機構59を介して、塗工装置27は円の一部分に相当する経路上を一定限度の範囲に亘って移動することができる。こうして、塗工装置27は構成領域の片側にある第1位置と構成領域の反対側にある第2位置との間で往復移動される。この構成により、塗工装置27を移動させるための駆動機構59が構成領域の実質的に片側に配置されることになり、障害なく反対側から構成領域にアクセスすることが可能になる。駆動装置として空気圧系を設けることにより、塗工装置の運動を高精度に、同時に低コストで行うことができるようになる。
【0078】
ブレーキピストン・シリンダ系70はオイルダッシュポットとして構成されている。ブレーキピストン・シリンダ系は、作動ピストン・シリンダ系がチャージされているときには圧力変動を減衰する働き、すなわち塗工装置27の速度を急激に変えるような駆動装置に対抗する抵抗力の変化を減衰する働きをする。したがって、塗工装置27を所定の速度分布で均等に運動させることが可能となる。塗工装置27の運動を最適化することによって、層を塗工する際の均等性が改善され、ひいては部品品質の改善につながる。
【0079】
本実施形態では、軸Eを中心とする円形の経路上を造形面11に対して平行に移動する塗工装置27について説明している。円形経路の寸法は、塗工装置27が造形面11全体にわたって移動できるような大きさとする。塗工装置は造形面11を横切って直線運動するように構成しても良い。この場合も、作動ピストン・シリンダ系69とブレーキピストン・シリンダ系70との組み合わせによって塗工装置をより均等に運動させることができるため、層の塗工が改善される。
【0080】
取替容器とサスペンション
本実施形態における容器25の構成について、図5および10を参照して説明する。その内部に支持装置26を配設された容器25が、図5に概略的にのみ示されている。
【0081】
本実施形態において、容器25は取替容器または交換容器として構成されており、造形プラットフォームを形成し容器の中に位置する支持装置26と共に装置1から取り出すことができる。不図示の連結機構が装置1の中に設けられている。この連結機構によって、支持装置26を垂直運動させるための支持装置26および容器25の駆動装置への連結を開閉することができる。連結機構は装置1の制御装置によって駆動される。連結機構は、冒頭の従来技術に関する記載で述べたものと同様に構成することができる。
【0082】
図10に概略的に示すように、架台74が扉73に設けられている。扉73は装置1のマシンフレームに旋回装着されており、扉を閉めた状態では装置1の造形空間10が装置1の外側から隔離される。本実施形態では、扉73は矢印Hで示されるように、軸Gの周りで旋回可能に装着されている。図示の実施形態では、軸Gは垂直に延びているため、装置1の扉73は横に開く。
【0083】
容器25は片側に取付部75を備える。取付部75は扉73の架台74と係合させることにより、容器25を扉73で支持し、扉73をマシンフレームから旋回して開く際に共に旋回することができる。本実施形態では、架台74が扉73の内側に、その上部に凹部を有する突起部として形成されている。容器25の取付部75は、前記凹部の中に嵌合する突出したフックとして構成されている。
【0084】
容器25を装置1に挿入するためには、扉73を開けた状態で容器25の取付部75を架台74と係合させる。扉73が開いている状態では、装置1の外側から容易に架台74に手が届くため、この作業を楽に行うことができる。容器25の架台74からの分離は、装置1の制御装置により連結機構を介して行う。支持装置26はそれぞれの駆動装置に接続されている。
【0085】
この状態では、容器25は扉73と連結されておらず、必要に応じて容器25を装置1から取り出すことなく扉73を開放することができる。他方、装置1の制御装置により、容器25を架台74と再係合させ、支持装置26をそれぞれの駆動装置から分離することができる。この状態で扉73を開くことにより、容器25を造形空間10ひいては装置1から取り出すことができる。容器25は扉73と共に旋回して取り出される。この位置で容器25を楽に装置から取り出すことができ、機械の中まで手を伸ばす必要はない。
【0086】
本実施形態は、扉73を垂直軸の周りで旋回させているが、異なる方法で水平に開く扉としても良い。また、扉73と容器25との連結方法も、凹部と係合フックを備えた本実施形態の方法に限定されない。扉73を容器25と係合させるものであれば他の機構を設けることもできる。
【0087】
造形プラットフォームの封止
容器25内の支持装置26の案内について、図11を参照して説明する。図5に関して既に説明したとおり、支持装置26は駆動装置を介して容器25に対して垂直方向Kに移動させることができる。支持装置26の上側が造形プラットフォーム78となり、その上で造形対象の三次元物体が層状に生成される。造形プラットフォーム78と容器25の内壁79との間に空隙80が存在する。空隙80は支持装置26が容器25の中で垂直方向に移動できる大きさとなっている。空隙80を介して造形材料が造形プラットフォーム78の領域から出て造形プラットフォーム78の下にある容器25の領域に入り込む恐れがある。このように造形材料が通過すると、駆動装置の汚染につながり、その結果保守作業が必要になる場合もあるので、望ましくない。
【0088】
造形材料の通過を防止するために、空隙80は後述する封止体81によって閉止する。封止体81は可撓制材料の層で形成され、造形プラットフォーム78の下の造形プラットフォーム78の縁部に沿って環状に配設される。封止体81は例えばシリコーン材料からなる平坦なストリップで形成することができる。ただし、十分な温度耐性と可撓性を有するものであれば他の材料を用いることもできる。平坦な状態での封止体81は、運動または移動方向Kに対して垂直な平面における外のり寸法が、容器25の内のり寸法よりやや大きいため、容器25に挿入したときに、封止体81は空隙80の区域でやや屈曲され、材料がもつ可撓性のために小さな張力をもって容器25の側壁79に当接する。
【0089】
造形プラットフォーム78の下の封止体81の下に案内板82が配設されている。運動方向Kに対して垂直な平面において、案内板82の外のり寸法は造形プラットフォーム78よりやや大きくなっている。案内板82周辺の外縁部82aが空隙80に向かって曲げられている。外縁部82aは空隙80の区域において封止体81に当接する。外縁部82aはその外周部の領域において封止体81を屈曲させており、空隙内の封止体81の縁部は空間の上部境界に向かって曲がっている。封止体81の縁部領域の屈曲方向と反対方向に造形プラットフォーム78を移動させた場合でも、この案内板82によって、可撓性のある封止体81がその縁部領域において予め成形された方向と反対に下向きに折り曲げられるのが防止できる。そのため、支持装置26を造形プラットフォーム78と共に、容器25に関して移動方向Kに確実に移動させることができる。また、封止体が折れるなどした場合に起こり得る、造形材料粒子の造形プラットフォーム78下の領域内への流入を防止することができる。
【0090】
さらに、折り曲げた縁部領域82aを有する案内板82の効果として、シリコンーン等から成る平らなプレートを封止体81として使用し得ることがある。封止体81は他のプラスチック材料で形成しても良い。この構成によると、封止体はその周方向の外縁部において球状の形状とする必要はないし、また容器の内径に正確に合わせた形状とする必要もない。
【0091】
容器の温度調節(tempering)
造形空間10の下部領域41について、図5および図6を参照して説明する。図5から分かるように、チャンバー85が下部領域41内に、容器25の下側を取り囲むように形成されている。装置1の動作時、チャンバー85は流体媒体で満たされる。本実施形態では、この流体媒体はガスである。特に、本実施形態ではこのガスを不活性ガスとし、酸化等による造形材料の劣化を防止するために上部領域40においても使用する。
【0092】
チャンバー85は横方向において側壁86により画定されており、その上部において造形面11の高さで、分離プレート87により造形空間10の上部領域40から分離されている。チャンバー85は底部88によって下方の境界を画定されている。底部88は、容器25下の領域において支持装置をその制御装置と連結する通路89を備える。底部88の、容器25の角部の下にある領域に出口90が設けられている。本実施形態では、容器25の各角部の下に2つの出口90を設けているが、他の数の出口を設けてもよく、たとえば角部ごとに設ける出口の数を1つのみにしても良い。
【0093】
さらに、図5に示すように、側壁86の上部に開口部91が設けられる。開口部91は通風システムを介して出口90接続されている。本実施形態では、通風システムはチャンバー85の外側に配設されており、側壁86の外側と底部88の下に第2チャンバー84によって形成されている。換気装置92が通風システムの中に設置されている。さらに、加熱装置93と温度センサが通風システム内に設けられている。換気装置92によって、下部領域41にある流体媒体が開口部91を通じて第2チャンバー84内に引き込まれ、この媒体の有向流が出口90を通じてチャンバー85内に再導入される。出口90の位置が容器25の角部の下方にあること、また側壁86に開口部91が設けられていることにより、容器25の角部の領域で有向流が生成され、その有向流が容器25の温度調整および平衡取りを行う働きをする。この流れは図5および図6において矢印Sで示されている。この流れによって容器25の温度分布を規定することができ、容器25を均等に温度調節(tempering)することが可能となる。加熱装置93と温度センサを設けることによって、この流れの温度を正確に調整することが可能となっている。こうして、容器25の温度およびその中にある造形材料の温度を、装置1の動作中に一定の方法で調整することができる。この流れによって、特に容器25の角部において流体媒体と容器25との間で熱交換が行われる。その角部に基づいて、容器25の温度分布を有利に、特に均一に保つことができる。
【0094】
有向流を用いて容器の角部を選択的に温度調節することによって、動作中に容器25内の固化された造形材料とその周りにある未固化の造形材料を制御冷却することができる。このため、造形材料を冷却する際に、極端な温度勾配が生じて製造された三次元物体が反りなどによって劣化するのを防止することができる。
【0095】
本実施形態においては、実際の造形領域である造形空間10の上部領域40において使用するのと同じ処理ガスを流体媒体として使用している。そのため、造形空間10の上部領域40と下部領域41との間に特に封止を必要としない。よって、装置1を高い費用効率で構成することが可能となる。さらに、容器25内の造形材料の熱劣化も高度に防止することができる。このことは、未固化の造形材料をさらに別の造形プロセスにおいて再利用するという点で特に有利である。
【0096】
造形材料の供給
装置1への造形材料の供給について、図1、図12および図15を参照して説明する。図1から分かるように、造形材料を送るための開口部95が装置1の後方領域に形成されている。開口部95は供給開口部30に接続されており、図5に示すようにこの供給開口部30が造形空間10へと続いている。装置1内の開口部95の領域にダクト96が形成されている。ダクト96を介して造形材料が供給開口部30に供給される。本実施形態では、投下により造形材料の自重に基づいて供給が行われる。ダクト96の上部領域を図12に概略的に示している。
【0097】
ダクト96はその上側に被覆壁97を有しており、その被覆壁に造形材料供給用の注入管98a,98bに接続される2つの開口部97a,97bが設けられている。注入管98a,98bはその上側に、造形材料供給容器100a,100b用のコネクタ99a,99bをそれぞれ有している。コネクタ99a,99bは造形材料供給容器100a,100bに別個に接続することができる。各注入管98a,98bの中にゲート101a,101bがそれぞれ設けられている。各ゲート101a,101bは、第1位置に移動させることができ、第1位置では図12の左側に示すように、対応する注入管98a,98bの断面が閉鎖される。ゲート101a,101bはまた第2位置にも移動することができ、第2位置では注入管98a,98bが閉鎖または被覆されず、造形材料供給容器100a,100bからの造形材料がそれぞれ注入管98a,98bを通ってダクト96に向かうことができる。
【0098】
開口部97a,97b下方のダクト96内に、充填レベルセンサ102a,102bがそれぞれ装着されている。充填レベルセンサ102aは、注入管98aの下のダクト96内に造形材料が存在するかどうかを検出する。充填レベルセンサ102bは、注入管98bの下のダクト内に造形材料が存在するかどうかを検出する。
【0099】
夫々の注入管98a,98bに機構が設けられており、図15に概略的に示すように、注入管98a,98bはその機構によりそれぞれ造形材料供給容器100a,100bと共にダクト96の上方に移動したり、ダクト96から取り外すことができる。どちらの注入管も独立して移動させることができる。本実施形態では、この運動は実質的に水平の軸を中心とする旋回運動である。
【0100】
動作に際して、まずダクト96に造形材料を充填する。造形材料供給容器100bにも造形材料を充填し、対応するゲート101を開放位置にする。柱状を呈する造形材料がダクト96内部をそれぞれの注入レベルセンサ102bより高い位置まで延びる。第2の造形材料供給容器100aにも造形材料が充填される。ただし、図12に示すように、対応するゲートはまだ閉鎖位置にある。
【0101】
装置1の動作時、造形材料は自重により供給開口部30を介して造形空間10に供給されるため、造形材料が消費されてダクト96の充填レベルは低下する。造形材料供給容器100b内に造形材料が存在する限り、この造形材料がダクト96内に滑り落ちて行く。造形材料供給容器100bが空になっても装置1の動作が続く場合、注入レベルセンサ102b側のダクト96の充填レベルが低下する。すると注入レベルセンサ102bが造形材料供給容器100bが空であることを検知する。その後注入管98bのゲート101が閉鎖される。注入管98aのゲート101が開放され、他方の造形材料供給容器100aから造形材料がダクト96へと供給される。
【0102】
この位置において、装置1から造形材料供給容器100bを取り外し、充填を行ったり、充填を終わった他の造形材料供給容器と交換したりすることができる。コネクタ99a,99bは、たとえばそれぞれ注入管98a、98bに設けた雌ネジとして構成し、その中に対応する造形材料供給容器100a,100bの雄ネジを螺合するようにすることができる。これによって、市販の容器を造形材料供給容器として利用することが可能になる。充填を終えた造形材料供給容器、あるいは交換用造形材料供給容器を再び注入管98bに接続してダクト96上に移動させることにより、もう一つの造形材料供給容器100aが空になったときに使用することが可能となる。
【0103】
造形材料供給容器100aが空になった場合、ダクト96の充填レベルが下がり、充填レベルセンサ102aがその低下を検知して、造形材料供給容器が空であることを示す信号を装置1の制御装置に出力する。その後、注入管98aのゲート101を閉めると共に、注入管98bのゲート101を開けることにより、再び造形材料供給容器100bから造形材料を供給することができるようになる。ゲート101の開閉は装置1の制御装置によって行われる。その後、造形材料供給容器100aを交換することができる。
【0104】
2つの造形材料供給容器100a,100bが設けられ、それぞれ別個のコネクタ99a,99bを介して装置1に個別に接続することができる。造形材料供給容器100a,100bの取替または交換を行う際にも、装置1の動作を停める必要がない。三次元物体を造形空間10において製造する際に造形材料供給容器を交換する場合も、造形プロセスを連続して実施しながら行うことができる。こうして装置1の効率的な運転が達成され、造形プロセスが実施されない休止時間を短縮することができる。装置1はより簡単に動作させることができる。また、動作中は造形材料供給容器を常に充填された状態に保つことができる。
【0105】
さらに、造形材料供給容器100a,100bを閉じる蓋を設けても良い。造形材料供給容器は装置1に供給するまでと、取り出しを行った後に閉じることができる。
【0106】
注入管98a,98bを造形材料供給容器100a,100b用のコネクタ99a,99bを備えるように構成することで、造形材料の保存および混合にも適する造形材料供給容器を装置において使用することが可能となる。コネクタの構成次第では、市販の容器を使用することもできる。
【0107】
さらに、造形材料の種類ごとに、あるいは造形材料の保管用として、複数の造形材料供給容器を設けるようにしても良い。特に、複数の造形材料供給容器を用い、2つの造形材料供給容器で装置1を動作させると同時に、さらに別の造形材料供給容器において造形材料の混合を実施するようにできる。また、装置1にも造形材料供給容器用のコネクタを1つまたは2つ以上設けても良い。
【0108】
一実施形態では、装置1は、充填レベル情報が充填レベルセンサ102a,102bにより自動的にオペレータに電子送信されるように構成されている。情報の送信は例えばSMSや電子メールを介して行われる。このため、装置1には適切なネットワーク接続を行う。
【0109】
以上の説明では、造形材料の供給を造形材料の自重を利用して行うものとしたが、異なる方法で供給することもできる。例えば、造形材料供給容器用の機械装置を設け、この機械装置により造形材料のダクトへの供給を補助するようにしても良い。例えば、造形材料供給容器100a,100bおよびその中の造形材料に振動を生じる振動装置を設け、造形材料のダクト96への供給を補助するようにすることができる。振動装置は注入管98a,98b(充填装置の部分)に配設した1つまたはそれ以上の振動励起装置によって形成することができる。
【0110】
変形例
記載の装置は変更が可能である。レーザに代えて他の光源のようなエネルギー源を用いても良いし、電子源やその他の粒子源を用いても良い。エネルギー源に応じて、他の光学系を用いることもできる。例えばエネルギー源として電子源を使用する場合は、電磁レンズと偏向システムとを使用できる。フレームシステムの構成など、ここに記載の特長の中には、インクジェット印刷に似た方法を用いる三次元印刷用の装置や、マスク露光方法等で実施できるものもある。
【0111】
また、エネルギー源としてレーザを用いる場合、装置の構成を、レーザ焼結法において用いるように、あるいは造形材料を局所的に溶融させるレーザ溶融法において用いるようにすることができる。
【0112】
造形材料として複数の材料を用いることができる。例えば、ポリイミド粉末等のプラスチック粉末を用いても良いし、金属やセラミックスの粉末を用いることもできる。またそれらの混合物を用いることも可能である。例えば、プラスチック被覆した金属を用いることもできる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状造形材料を、三次元物体に対応する各層の位置において層状に固化することにより三次元物体を製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ焼結装置を含む三次元物体の層状製造装置が記載されている。この装置では、粉末状造形材料の処理が行われる。この装置は、粉末状材料を塗工する目的で、粉末塗工装置と、コンベヤローラと、供給シュートとを備える構成となっている。
【0003】
特許文献2には、レーザ焼結装置から成る三次元物体製造装置が記載されている。交換可能な容器についても記載されており、ワークピース・プラットフォームがこの容器の底部として一体的に設けられている。この交換可能容器は装置から取り外すことができ、装置に設けられている連結装置が容器を装置に装着すると共にワークピース・プラットフォームを駆動装置に連結する働きをする。
【0004】
このような装置において、エネルギー源(レーザ焼結装置の場合、例えば、レーザ)は、熱を発生し、その熱は、装置の過熱を防止するために、装置から放散されなければならない。三次元物体が層状に製造される造形空間も加熱されるので、造形空間を制限する壁も加熱される。造形空間の加熱された壁は、熱を放射することによって、隣接して配置された光学系の構成要素や装置の駆動装置の構成要素のそれぞれに悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2005 016 940 Al
【特許文献2】WO 00/21736 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、冒頭に記載した種類の装置であって、熱を装置から効率的にかつ費用効果がある方法で放散させ得る装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その目的は、請求項1に記載の装置により達成される。また、この装置をさらに有利に展開した例が従属請求項に記載されたものである。
【発明の効果】
【0008】
換気装置を用いてエネルギー源を冷却し、かつ気流を転送することによって、造形空間の境界壁も冷却することにより、熱は、冷却システムによって装置から効率的に放散される。共通の冷却システムを使用して、省スペースで費用効果のある構成が可能となる。
【0009】
本発明のさらなる特徴および利点については、添付図面に基づいて説明する各実施形態から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態によるフレームシステムの概略図である。
【図2】図1の実施形態における光線ガイドの概略図である。
【図3】a)とb)は、図2におけるアパーチャの異なる例の概略詳細図である。
【図4】本実施形態の光線ガイドの領域における換気システムの詳細を示す概略斜視図である。
【図5】本実施形態の造形空間を示す概略図である。
【図6】本実施形態の造形容器換気システムを示す概略図である。
【図7】本実施形態における定量供給装置の装着を示す概略図である。
【図8】本実施形態における造形空間加熱モジュールの装着を示す概略図である。
【図9】本実施形態における塗工装置の装着を示す概略図である。
【図10】造形容器の装着を示す概略図である。
【図11】本実施形態における造形プラットフォームを示す概略図である。
【図12】本実施形態における造形材料供給システムを示す概略図である。
【図13】本実施形態における塗工システムの概略図である。
【図14】光線調整方法において使用される層を示す概略図である。
【図15】造形材料供給システムを示すさらに別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および図5を参照して、造形材料を層状に固化して三次元物体を製造する装置の基本的構成について説明する。一実施形態によると、この装置はレーザ焼結装置として構成される。この三次元物体製造装置においては、造形材料の層が順次上に重ねるように塗工されるが、各層の中で製造対象となる物体に対応する位置にある材料を選択的に固化して後に、次の層の塗工が行われる。ここに記載する実施形態では、粉末状の造形材料を使用し、選択された位置にエネルギービームを作用させることで材料を固化する。本実施形態では、粉末状造形材料を選択された位置においてレーザビームにより局所的に加熱し、焼結または溶融によって造形材料の近傍の構成成分に結合させる。
【0012】
図1に示すように、レーザ焼結装置は光学系を含み、光学系の各光学要素はマシンフレームの構成要素に取り付けられている。図5に概略的に示す造形空間10がマシンフレームに設けられている。
【0013】
本実施形態では、光学系はレーザ6と、偏向ミラー7と、スキャナ8とを備える。レーザ6は光線9を発生し、このレーザ光線9が偏向ミラー7に入射して、偏向ミラー7によってスキャナ8に向かって偏向される。また、エネルギー源としてはレーザの代わりに、異種の放射線源でスキャナ8に向かうエネルギービームを発生するものを用いても良い。スキャナ8は、図5に示す造形空間10内に位置する造形面11の任意の位置に入射光線9を照射することができるように、公知の方法で構成される。これを可能とするために、スキャナ8と造形空間10の間にある造形空間10の上部仕切り壁56に入口窓12が設けられており、光線を入口窓12を介して造形空間10に入射させることができる。
【0014】
次に、図5を参照して本実施形態の装置の造形空間について説明する。
【0015】
図5から分かるように、造形空間10内に上部を開口した容器25が設けられている。形成対象となる三次元物体を支持する支持装置26が容器25内に配置されている。支持装置26は不図示の駆動装置により容器25内で垂直方向に往復運動させることができる。造形面11は容器25の上端部の領域に画定される。スキャナ8によって造形面11に投射される光線9を通過させるための入口窓12が造形面11の上方に配置される。未固化の造形材料を支持装置26の表面、または先に固化された層の上に塗工するための塗工装置27が設けられる。塗工装置27は、図5に概略的に矢印で示すように、駆動装置によって造形面11上を水平方向に移動させることができる。造形面11の両側には定量供給装置28,29がそれぞれ設けられており、所定量の造形材料を塗工装置27に提供して塗工が行われるようにする。
【0016】
定量供給装置29の側部に供給開口部30が設けられる。供給開口部30は、図5の紙面に対して垂直方向に造形面11の幅全体にわたって延在している。供給開口部は造形材料を造形空間に供給する働きをするもので、図示の実施形態ではこの材料は放射線によって固化することのできる粉末材料である。
【0017】
本実施形態の造形空間は、図5に概略的に示されるように、上部領域40と下部領域41とに分割される。上部領域40は実際の作業空間を形成しており、この中で造形材料の層状塗工およびその選択的固化が行われる。下部領域41には容器25が収容される。
【0018】
本実施形態では、部分により、各層の物体に対応する位置を選択的に固化することにより三次元要素を層状に製造する方法を用いて形成する。また、本実施形態では、レーザ焼結法を用いて物体の製造を行う。フライス加工(milling)、旋削(turning)、注入成型(casting)のような従来の三次元物体製造方法に比較すると、このような方法は、複雑な形状のものを生成する場合、および/または製造量が比較的少なくて良い場合に特に有利である。
【0019】
装置の動作
装置1の動作時、造形材料が供給開口部30を介して造形空間10に供給され、定量供給装置28,29によって所定量の材料が塗工装置27に供給される。塗工装置27が造形材料を支持装置26または先に固化された層の上に塗工し、レーザ6およびスキャナ8によって造形面11の選択された位置に光線9を投射することにより、形成するべき三次元物体に対応する位置の造形材料を選択的に固化する。その後、支持装置を層一つの厚さ分だけ下降させて、新しい層を塗工し、形成対象物体の全ての層を生成し終えるまでこの動作を繰り返し行う。
【0020】
次に、装置のいくつかの構成要素についてさらに詳細に説明する。
【0021】
フレーム構造
まず、本実施形態のフレーム構造について、図1を基に説明する。装置1は、3本の基礎ビーム2,3,4で構成されるマシンフレームを有する。これらの基礎ビームは対角材5によって相互に連結されている。本実施形態において、これら3本の基礎ビーム2,3,4は実質的に垂直に立設されており、装置の3つの角部を形成している。従って、平面視した場合の装置1の輪郭は実質的に三角形を呈する。基礎ビーム2,3,4および対角材5は、その輪郭が実質的に直角三角形の一角に相当し、該直角三角形の斜辺が装置の正面側となるように配置される。対角材5は実質的に水平であり、堅固でひずみに対する耐性のあるマシンフレームが形成され、一方的な力が加わった場合でもマシンフレームの各部の相対的な位置が変化しないように、あるいはほとんど変化することのないように、基礎ビームを連結する。
【0022】
基礎ビーム2,3,4を基本的に垂直方向に延設し、三角形状に配置する構成とすることで、装置1を基部上の3点において支持することができる。このように3つの脚部を備えた構成とすることにより、迅速かつ簡単に基部に対する揺れや傾きを防止するように配置することが可能となる。特に、基部に対する位置合わせを変更する際にも、3つの支持点の一つの支持の高さを変えれば、他の2つの支持点を結ぶ線が回転することになるため、位置合わせの変更を行うことができる。4点支持や多点支持の場合、位置合わせを変更するには、安定した支持を達成する上で少なくとも2つの支持点の高さを変更する必要がある。
【0023】
各基礎ビーム2,3,4の地面に面する底部側に、ローラ50と高さ調節可能な支持脚51とが配設されている。支持脚51は、高さの調節ができるように対応する基礎ビーム2,3,または4に配置される。対応するローラからそれぞれの基礎ビームの底部側までの距離の方が支持脚51から基礎ビームの底部側までの距離より大きくなる位置を第1の位置とすると、支持脚51毎にこの第1の位置に移行させることができる。この第1の位置において、装置1はローラ50の上に乗っており、支持脚51基部から離れている。ローラ50は基礎ビーム2,3,4上で旋回可能であり、装置1を、ローラ50に乗った状態で基部の上方にて任意の方向に移動させることができる。また、支持脚51がそれぞれの基礎ビーム2,3,または4の底面側からそれぞれのローラ50よりも突出する位置を第2の位置とする、支持脚51毎にこの第2の位置に移行させることができる。この位置においては、装置1は支持脚51の上に乗っており、装置1が支持体に関して移動するのを確実に防止することができる。
【0024】
本実施形態では、各々の支持脚51について、それぞれの基礎ビーム2,3,4に面する側が、雄ネジを有するネジ付きロッドとして構成されている。基礎ビーム2,3,4の底部側に雌ネジを有する穴がそれぞれ設けられており、そこに支持脚51が螺合される。支持脚51の基礎ビーム2,3または4への螺合を絞めたり緩めたりすることによって、基礎ビームから支持脚51の底部側までの距離を連続的に調整することができる。
【0025】
2つの水準器52がマシンフレームの2つの異なる位置に装着されている。水準器52は静止した状態で一直線に並ぶように装置1に取り付けられる。本実施形態では、どちらの水準器52も水平面に対して平行な平面に配設されている。この平面において、両水準器は相互に約90度の角度を成す。どちらの水準器も、装置1が水平面に対して最適に位置合わせされているかどうかを示すものである。装置1の位置合わせは、3本の支持脚51の高さを変えることで実施できる。装置1の位置合わせの変化を、水準器52により視覚的に制御することができる。装置内部の構成要素については、相互に予め調整されている。構成要素がフレームシステムに堅固に装着されると共に、装置1の枠組構造が強固であることから、構成要素の相対的位置が保持される。従って、装置を適正に機能させるためには装置構成要素の空間的な位置決めを正確に行う必要があるものの、装置1の位置合わせが終わると構成要素は相対的に正しい位置にあることになる。水準器は装置の垂直方向の位置決めを容易にする。そのため、装置1を移動したりその位置を変えた後に位置合わせを行ったりする場合にも、迅速かつ効率的に行うことが可能となる。3本の基礎ビーム2,3,4とそれに対応する支持脚51を有する構成により、装置1の位置合わせを手数をかけずに行うことが可能となっている。
【0026】
光学系
次に、図1、図2および図4に基づいて、光学系についてより詳細に説明する。図1に示すように、レーザ6として構成されているエネルギー源がマシンフレームの垂直基礎ビームの1つである基礎ビーム2の中、または該基礎ビームに平行に配置されて、該基礎ビームと調節可能に接続される。レーザ6から出射された光線9はパイプ13を通って案内される。パイプ13の一端はレーザ6のケーシングに接続され、パイプ他端は偏向ミラー7等の構成要素を収納するケーシング14に接続されている。従って、光線9はレーザ6から偏向ミラー7まで垂直方向に通過する。図4に示すように、ケーシング14はケーシング14から着脱可能な側壁14aを備える。図2はケーシング14から側壁14aを取り外した状態を示している。
【0027】
図2および図4に示すように、パイプ13と反対側に面したケーシング14の端部がスキャナ8の入力側に接続され、ケーシング14がマシンフレームの構成要素に固定的に接続される。こうすることで、パイプ13とケーシング14とは、レーザ6からの光線9がパイプ13とケーシング14内の外部から隔離された空間を通ってスキャナ8まで通過するように配設される。ごく概略的にしか図示していないが、パイプ13とケーシング14との接合部にシャッタ15が設けられている。シャッタ15は、側壁14aをケーシング14から取り外した際にレーザ6から偏向ミラー7へ向かう光線9の光路を遮断するように構成される。この構成によると、エネルギー源を動作させたままで側壁14aを誤って取り外した場合でも、オペレータが負傷する事故を確実に防止することができる。本実施形態では、機械的な滑動体によってシャッタ15を実現しており、これによって側壁14aを取り外した際にパイプ13からケーシング14へ光線が通過するのを阻止している。
【0028】
図1と図2に示すように、偏向ミラー7が光線9をスキャナの入口領域 8aに偏向させる。偏向ミラー7はその位置合わせを調整できるように懸架されており、位置合わせ調整のための調整機構16を備えている。調整機構16は2つのアクチュエータ17,18を含み、アクチュエータ17,18はそれぞれの駆動装置17a,18aがケーシング14の外側に位置するように配置されている。そのため、ケーシング14を閉じた場合でも、外側から駆動装置17a,18aにアクセスして偏向ミラー7の位置合わせを調整することができる。本実施形態では、アクチュエータ17,18はそれぞれ機械的な位置決めネジとして構成されており、駆動装置17a,18aの領域に偏向ミラーの位置合わせに対応する目盛を備えている。駆動装置17a,18aは調整ノブとして構成されている。本実施形態では、アクチュエータ17,18はレーザ焼結法により製造される。調整ノブは意図せぬ調整が行われないようにロックできるようにしている。
【0029】
装置を最適に機能させるためには、スキャナの入口領域8aに対する光線9の位置合わせを正確に調整する必要がある。この目的で、ケーシング14と一体化して光路内に入れることのできるアパーチャ19,20,21が設けられている。本実施形態では、ケーシングに3つのアパーチャ19,20,21を設けているが、アパーチャの数はこれより大きくても小さくても良い。本実施形態では、偏向ミラー7に近いアパーチャ19とスキャナ8の入口領域8aに近いアパーチャ21のいずれも、図3aに示すようなレチクルを有するアパーチャとして構成している。アパーチャ19と21の間に配置されるアパーチャ20は、図3bに示すようなピンホールとして構成されている。さまざまな調整要件に合わせて、その他の構成のアパーチャとすることもできる。また、複数組のアパーチャを備えて、必要な調整要件に応じて取り換えるようにしても良い。光線9用に使用するエネルギー源に応じて、機械的アパーチャの代わりに、光線の位置を検出することのできる当業者に公知の要素、例えば光線位置検出用の光学センサなどを設けても良い。
【0030】
アパーチャ19,20,21は、ケーシング14に装着されたそれぞれの保持部19a,20a,21aに旋回可能に取り付けられている。第1の設定において、アパーチャ19,20,21は光路内に入れられて固定される。第2の設定においては、アパーチャ19,20,21は光路から外されて固定される。アパーチャの懸架は例えば軸により行うことができ、その軸を中心として光路に対して直交する方向にアパーチャ19,20,21を回転させる。アパーチャ19,20,21の固定は、それぞれの設定において例えば前記軸上に螺合する刻み付きねじを用いて行うことができる。しかしながら、当業者にはその専門知識から明らかなように、その他多くの方法で懸架することができる。例えば、アパーチャをいずれの位置でも係合することができる機構を用いることも可能である。
【0031】
図1では概略的に示しているだけであるが、スキャナ8はマシンフレームのもう一つ別の構成要素にも取り付けられている。図示の実施形態では、スキャナ8は対角材5に装着されている。本実施形態では、スキャナ8は、偏向ミラー7からスキャナの入口領域8aへと延びる光路に平行な軸を中心としてスキャナを回転することによってスキャナの位置合わせの調整ができるように懸架されている。この調整を行うために調節機構8bが設けられている。これによってスキャナ8の位置合わせを簡単に、しかも迅速かつ精密に行うことが可能となっている。
【0032】
レーザ6からスキャナ8に向かう光線9は一度だけ偏向される。偏向は偏向ミラー7を介して行われるが、偏向ミラー7の位置合わせはケーシング14を閉じた際に行うことができる。このため、ほとんどの構成要素の位置調整を行うことなく、容易に光路を調整することが可能となる。すなわち、本実施形態では、レーザ6と偏向ミラー7とスキャナ8の位置を調整するだけで良い。レーザ6の位置調整は調節機構6bによって行うことができる。レーザ6、偏向ミラー7およびスキャナ8は、それぞれ堅固なフレームシステムの構成要素に直接固定されている。そのため、装置1の移送時や、設置場所を変える際にも、レーザ6、偏向ミラー7およびスキャナ8についてはその相対的位置が変わらないか、やや変わるだけにすぎない。従って、短時間で効率的に精密な調整を行うことが可能となる。
【0033】
光路を調整する際、アパーチャ19,20,21を一つずつ光線経路に入れるか、あるいは他のアパーチャと組み合わせて入れることができる。これによって光路の迅速かつ効率的な調整の可能性をさらに高めることができる。よって、調整に手間がかからないため、装置1の立上げや保守を行う際にかかる費用を節減することが可能となる。
【0034】
光線の調整方法
光線経路の調整方法として想定し得る方法について説明する。
【0035】
一つの方法では、2つのレチクル・アパーチャ19,21のいずれかを光路に入れ、照射用の紙を該レチクルのすぐ後方に挿入する。次に、照射用の紙にレーザパルスを照射してレチクルの影を評価する。光線の断面の中心と十字の中心とがぴったりと一致する必要がある。光線経路の再調整は、アクチュエータ17,18を介しての偏向ミラー7の位置合わせの調整とレーザ6の位置の調整によって行われる。この方法は、光線経路が当初から所望の経路より大幅にずれている場合にも適している。この方法を使用すると、光線経路にピンホール20を追加して挿入することも可能となる。
【0036】
光学系を再調整する方法において、ピンホールとして構成されているアパーチャ20を光路に挿入した後、ケーシング14を閉じる。光線9の全出力を測定する出力測定装置が造形面11に配置される。正確な調整を行う場合に光線9が出力測定装置に対して最適に指向されるように、スキャナ8の駆動を行う。出力測定装置によって測定されるビーム出力を監視すると共に、アクチュエータ17,18を動作させることにより偏向ミラー7の位置合わせを変化させる。出力測定装置が最大の光線出力を検出するまで、偏向ミラー7の位置合わせを変化させる。光線9は偏向ミラー7によってスキャナ8の入口領域8aに対して最適に指向される。この方法は、ピンホール無しでも実施することができ、その場合はスキャナ8の入口開口部がアパーチャの機能を代行する。
【0037】
このように調整することで、光学系の成分の位置が相互にごくわずかしか変化しておらず、微細な調整しか必要としない場合でも、光線経路の調整を簡単かつ迅速に行うことが可能になる。この方法によって、調整を短時間で実施することができ、装置の立上げや保守の際の調整コストを削減することができる。調整要件によっては、最初に光路にピンホール20を挿入することなくこの方法を実施することも可能である。この場合は手間と時間をさらに削減することができる。
【0038】
さらに別の方法では、光線9の照射に対して感応する材料、例えば温度効果により色が変わる紙などから成る層110を造形面11の画定された領域に配置する。図14に示すように、製造工程においてレーザ9による照射が行われる構成領域の縁部の所定のいくつかの地点において、層110にマーク111を設ける。その後、正確に位置合わせが行われた場合にはマーク111と一致することになるこれらの地点にスキャナ8を介して光線9を照射する。露光された地点が層110のマーク111から2方向において逸脱している場合、その偏差を測定する。もっとも簡単な方法としては、定規を用いて測定することができる。測定した境界点を基に、光学調整に関して拡大誤差や傾斜などが発生しているか否かを判断する。このような誤差の有無については、測定値を対応する評価プログラムに入力するなどの方法によって判断することができる。
【0039】
拡大誤差は、造形面11におけるスキャナ8と構成領域との間の機械的距離の変動や、スキャナ8の電気部品の電気的ドリフト等の結果生じ得る。また、傾斜誤差は機械的距離と角度の変動等から生じ得る。拡大誤差および/または傾斜誤差が発見された場合、発見された誤差に応じて、前記のような微調整によって補償することができる。この微調整は、スキャナ8の水平位置合わせの再調整によって行うか、あるいは、スキャナ8を駆動する制御プログラムの中にプログラムすることによってレーザ9の照準点を補正するのに使用される補正パラメータを計算することによって行われる。
【0040】
この方法では、構成領域の縁部にある個々の測定点を測定するにすぎない。構成領域の測定点と測定点との間にある地点については、補間法により誤差の判定を行う。測定点間の地点に対する誤差補正も、補間法によって行う。そのため、記録の必要な測定点はごく少数であり、短時間で手間をかけずに行うことができる。従って、調整や保守作業にかかる作業時間を大幅に削減することができるため、運転コストについても低減することができる。
【0041】
レーザおよび光学素子の冷却
次に、図1,図2,図4を参照して、光学系の換気システムについて説明する。
【0042】
基礎ビーム2の内部に中空空間53があり、その中にレーザ6とパイプ13が配設されている。2つの換気装置54が設けられている。換気装置54が生成する気流Tがレーザ6から暖気を搬出するため、それによってレーザ6が冷却される。本実施形態では、中空空間53内のパイプ13の領域に換気装置54を設けている。中空空間53は2本の管55を介して造形空間10の上方にある装置1の領域に接続されており、この造形空間10の中にスキャナ8,偏向ミラー7,アパーチャ19,20,21が設けられている。
【0043】
図5に示すように、気流Tは換気装置54によって造形空間10の上部仕切り壁56に向かって送風される。こうして、エネルギー源冷却用の気流は光学系に向けても偏向される。
【0044】
このように、本実施形態では、レーザ6として構成されているエネルギー源を冷却するための冷却システムを、スキャナ8と偏向ミラー7とアパーチャ19,20,21から成る光学系の冷却にも使用する。従って、1台の通風システムを用いて光学系の全ての構成要素を冷却することが可能となる。
【0045】
気流Tは造形空間10の上部仕切り壁56上にも導かれるため、同じ通風システムを用いて造形空間10の上側の冷却も行うことができ、造形空間10の上方に位置する装置1の制御要素の過熱を防止することができる。造形空間10の上側の冷却は光学系の通風システムによって行われる。従って、造形プロセスから生まれる処理熱も、レーザの冷却システムを用いて装置1の外に導出することができるため、別個の冷却手段を設ける必要がない。そのため、コスト削減が可能となると共に、装置を小型化できる。
【0046】
本実施形態では、レーザ6が存在する中空空間53が造形空間または構成空間10の上側に2本の管を介して接続されているが、マシンフレーム自体に設けた流路を介して接続を行うことも可能である。また、管または流路を1本だけとしても良い。ここでは2つの換気装置54について記載しているが、必要な冷却能力に応じて換気装置54を1つのみとしても良いし、複数設けても良い。光学系用および造形空間10の上側用に共通して用いられる通風システムは、レーザをエネルギー源とする構成、またはエネルギー源を基礎ビーム2内に配置する構成に限定されるものではない。また、他の構成を用いた場合でも、光学系および造形空間上側の効率的かつ費用効果の高い冷却を達成することができる。ただし、エネルギー源を基礎ビーム内に配置することによって、場所をとらない構成とすることができる。
【0047】
次に、造形空間10内の装置1の個々の構成要素について説明する。
【0048】
加熱装置
加熱装置31は容器25の粉末床の加熱、特に塗工が終わっているが未硬化の層を予備加熱するための装置であって、図5に示すように、造形面11上方の造形空間10内に配設される。加熱装置は、1つまたは複数の放射線ヒータ、たとえばラジエータとして構成され、造形材料の塗工層を均等に加熱できるように造形面11の上方に配設される。図示の実施形態では、加熱装置31は黒鉛プレートから成る熱放射要素を有する二次元ラジエータとして構成されている。図8から分かるように、この熱放射要素は蛇行構造を有している。
【0049】
本実施形態では、加熱装置31は実質的に正方形のプレートであって、入口窓12の下方の中心部に実質的に正方形の切り込みを有しており、スキャナ8から造形面11に向かう光線9が通過するエリアの周りに延在している。
【0050】
次に、図8を参照しながら、加熱装置31の装着について説明する。図8に示すように、本実施形態の加熱装置31は基本的に固定具44と放射線ヒータ45とで構成される。固定具44は造形空間10の上部領域40に配置された支持部46に受容されている。放射線ヒータ45は固定具44に受容されている。
【0051】
図8に矢印Aで概略的に示したように、固定具44は放射線ヒータ45と共に支持部46から取り外すことができる。支持部46はレールとして構成されており、その中に固定具44が挿入される。固定具44は工具を使用することなく支持部46への着脱を行うことができる。この他にも固定具44と支持部46の間の接続するための構成がいくつか考えられる。例えば、バネ、クランプなど介して取り付けを行っても良い。固定具44を支持部46に係合する構造を設けても良い。
【0052】
固定具44もレール状の構造を有し、その中に放射線ヒータ45が挿入される。放射線ヒータ45は工具を用いることなく、固定具44の中に導入したり固定具44から取り外すことができる。固定具44と放射線ヒータ45との場合も、固定具44と支持部46との接続と同様、異なる種類の接続方法を用いることができる。固定具44に放射線ヒータ45を係合するようにしても良い。
【0053】
このように、支持部46、固定具44および放射線ヒータ45を記載の構造とすることによって、一方では工具を用いることなく固定具44を放射線ヒータ45から取り外すことが可能となる。このことは、造形空間10を清掃する際に特に有利である。また、他方では工具を用いることなく放射線ヒータ45を固定具44から取り外すことができる。このことは放射線ヒータ45の保守および交換を行う際に特に有利である。加熱装置31の構成要素を工具を用いずに取り外しまたは交換を行えることにより、装置1の清掃を迅速かつ容易に行えると共に、放射線ヒータ45の交換も迅速かつ容易に行えるようになる。これによって、保守および清掃作業に要する時間を節減することが可能となり、短時間で装置1を次の工程に使用可能な状態とすることができる。
【0054】
定量供給装置
図5に概略的に示すように、本実施形態では定量供給装置28,29の各々が角度を付けたプレート状に形成されており、図5の紙面に対して垂直方向に、造形面11の幅いっぱいに延びている。定量供給装置28,29は造形面11に平行に延びる軸を中心としてローラのように回転することができ、定量供給装置28,29の各々がコンベヤローラの働きをしている。定量供給装置28,29は、塗工装置27の移動によって駆動されて、それぞれの軸を中心として所定の角度回転するように構成されている。
【0055】
図7に定量供給装置28を概略的に示す。定量供給装置29は定量供給装置28と同様であるため、詳細な説明を省略する。定量供給装置28は工具を用いることなく装置1から取り外すことができ、再挿入することもできる。図7に示すように、定量供給装置28は、角をつけたプレート状に形成されて回転軸Zに沿って伸びる中心部分28cを備える。中心部分28cは所定量の造形材料を計量して供給する働きをする。定量供給装置28は、回転軸Zに対して垂直方向において断面積が中心部分28cより小さくなる第1端部28aを有している。定量供給装置28の第2端部28bも回転軸Zに対して垂直方向において中心部分28cより断面積が小さくなっている。定量供給装置28の第1端部28aはサスペンション36に接続されており、定量供給装置28はこのサスペンションを中心として、すなわちこのサスペンションと共に回転軸Zを中心として回転する。その目的で第1端部28aとサスペンション36とは確実に、あるいは形状嵌合連結式に相互に連結される。図示の実施形態では、第1端部28aは例えば円筒状突起部28a’を有しており、これがサスペンション36のやはり円筒状の凹部36’に確実に挿入される。ただし、サスペンション36および第1端部28は異なる構成としても良い。例えば第1端部28aが凹部を有し、サスペンションが突起部を有する構成としても良い。凹部および対応する突起部は、形状嵌合連結が得られる形状であれば他の任意の形状とすることができる。
【0056】
定量供給装置28の第2端部28bは軸受37に連結されている。第2端部28bは軸受37に枢支される。図示の実施形態では、軸受37が回転軸Zと同心の環状に突出する縁部37aを有している。第2端部28bは円筒状の突起として構成されており、これが環状に突出する縁部37aによって形成される凹部の中に挿入される。ただし、軸受37および第2端部28bは他の構成としても良い。軸受37をたとえば突出する軸ピンとして形成し、第2端部28bがこの軸ピンによって係合される凹部を有する構成としても良い。定量供給装置28の旋回を可能にする上でいくつかの実施方法が可能である。
【0057】
また、本実施形態では、第2端部28bの側の定量供給装置28と軸受37との間に予荷重要素38が設けられている。予荷重要素38は定量供給装置28に対してサスペンション36方向への予荷重を加えている。本実施形態において、予荷重要素38は回転軸Zに対して同心に、あるいは縁部37aおよび第2端部28bの周囲に設けられたコイルばねによって形成されている。ただし、これ以外の実施形態も可能であり、例えば予荷重要素を板バネの形状に構成し、これを軸受37または第2端部28bの中に設けるようにしても良い。この場合、第2端部28b自体を予荷重要素によって定量供給装置28に着脱自在に装着することができる。
【0058】
図示の実施形態では、軸受37とサスペンション36の間の距離が第1端部28aと第2端部28bとの間の定量供給装置の長さより、所定距離だけ長くなっている。その所定距離は、回転軸Z方向の突起部28a’の長さよりやや長くなる。このように構成することで、予荷重要素38の予荷重の力に抗して定量供給装置28を軸受37の方向に移動させ、第1端部28aとサスペンション36cとの間の形状嵌合連結を解放することができる。その後定量供給装置28を取り出して、洗浄を行ったり、別の定量供給装置と交換することができる。定量供給装置28を挿入する際は、これらの手順を逆に行えばよい。
【0059】
このように、本実施形態では工具を用いることなく定量供給装置28の取り外しを行うことが可能となる。工具を用いずに定量供給装置28の取り外しと交換が行えることにより、装置1の清掃を迅速かつ簡単に行えると共に、定量供給装置28の交換も迅速かつ簡単に行うことが可能になる。これによって保守や清掃作業に要する時間を節減でき、短時間で装置を次の生産工程に使用できる状態とすることができるため、装置1の運転コストを低減することができる。
【0060】
別の例として、軸受37および/またはサスペンション36を駆動軸として構成し、この駆動軸により定量供給装置が回転するように駆動しても良い。この場合、第2端部28bと軸受との間にも形状嵌合連結を用いることができる。
【0061】
定量供給装置28の両側にあって定量供給装置28を装着する受口は、たとえば凹部として形成し、その中に定量供給装置28を横方向に挿入するように構成することができる。固定はバネ、クランプ等を用いることにより達成することができる。定量供給装置28を装着したときに係合する構造を設けても良い。定量供給装置28は例えば刻み付きねじを用いて固定し、これを手で絞めたり緩めたりするようにしても良い。
【0062】
造形材料の供給および熱保護
図5を参照して、造形空間10内の定量供給装置28,29の領域について説明する。
【0063】
定量供給装置29の領域では、造形面11を含む平面の下方に延びる造形材料収容領域23が形成されている。造形材料収容領域23は、塗工装置27から供給される所定量の造形材料を収容できるように形成される。定量供給装置29と供給開口部30の領域には造形材料収容領域24が形成されている。造形材料収容領域24は、供給開口部30を介して供給される造形材料と共に、塗工装置27から返送される造形材料も収容できるような大きさとする。
【0064】
造形材料収容領域23,24の大きさと定量供給装置28,29の大きさを一致させて、定量供給装置28または29を180度回転させる毎に一定量の造形材料が塗工装置27の正面に移動されるようにする。
【0065】
図5に示すように、定量供給装置28,29の上方に放射線防御シールド32,33がそれぞれ装着されている。放射線防御シールド32,33は、加熱装置31からの放射熱が定量供給装置28,29の領域、供給開口部30の領域、造形材料収容領域23,24の領域にある造形材料に直接作用するのを防止する。
【0066】
造形材料収容領域23,24の下側に、中空空間34,35を形成する二重壁構造が設けられている。中空空間は造形材料収容領域23,24の下側の全域にわたって延びている。この二重壁構造によって、造形材料収容領域はその底部で、その下方に位置する装置1の構成要素から絶縁されている。一実施形態によると、中空空間34,35に流体を循環させることにより、造形材料収容領域23,24内の造形材料の温度を調節することができる。また、中空空間34,35を通る流体の流速および/または流体温度を制御する制御装置を設けても良い。このような制御装置を設けることで造形材料の温度を制御することができる。
【0067】
放射線防御シールド32,33と中空空間34,35を設けることによって、定量供給装置28,29と粉末収容領域23,24のエリアにある造形材料の温度を造形面11上方の造形区間の温度および容器25の下方領域の温度より低く維持することができる。
【0068】
このように、中空空間34,35と放射線防御シールド32,33を設けることにより、造形材料収容領域23,24内造形材料の温度が上昇し過ぎるという問題を防止することができる。これによって、造形プロセスの前に造形材料の性質が熱の影響を受けてしまう危険性が低減される。
【0069】
塗工システム
次に、本実施形態における塗工システムについて、図9と図13を参照して説明する。
【0070】
図13から分かるように、塗工システムは塗工装置27と駆動機構59とを備える。塗工装置27は塗工要素61とホルダ60とを備える。塗工要素61はホルダ60に保持されている。ホルダ60が駆動機構59に連結されている。
【0071】
図9から分かるように、ホルダ60は主アーム62と、主アーム62から下方向に垂直に延びる第1ホルダアーム63および第2ホルダアーム64の2つのホルダアームを備えている。第1ホルダアーム63は剛性であり、主アーム62に固定的に接続されている。第2ホルダアーム64はその一端部64aが主アーム62に固定的に接続されている。第2ホルダアーム64は可撓性を有しており、その自由端64bは図9に矢印Cで示すように、第2ホルダアーム64の材料がもつ復元力に抗してある程度のところまで移動することができる。この運動によってホルダアーム63,64の自由端63b,64bの間の距離を大きくすることができる。ホルダアーム63,64に凹部63c,64cがそれぞれ設けられている。
【0072】
塗工要素61は、ホルダ60の主アーム62に対して実質的に平行に延びる本体部61aと、本体部61aから横方向に突出する2つの突起部61bとを備える。2つの突起部61bは、ホルダアーム63,64の凹部63c,64cの中に挿入されて形状嵌合連結されるような寸法に構成されている。形状嵌合係合によって、塗工要素61とホルダ60との間の連結がトルク耐性を有するものとなる。本実施形態では、塗工要素61を塗工ブレードとして構成しており、ブレードの下縁部61cによって造形材料の塗工と平滑化を行う。
【0073】
図9に矢印C,Dで概略的に示したように、自由端64bを矢印Cの方向に移動させて自由端63bから離隔させることで、塗工要素61と第2ホルダアーム64との形状嵌合を解放することができる。その後矢印Dで示すように、塗工要素61をホルダ60から取り外すことができる。
【0074】
塗工要素61をホルダ60に装着する場合は、逆の手順で行う。
【0075】
上記の構成とすることにより、塗工要素61のホルダ60への着脱は、はツールレスで、すなわち工具を用いることなく行うことができる。これによって塗工要素61を迅速かつ効率よく交換することが可能となる。保守および清掃作業にかかる時間を節減することができ、装置1を短時間で次の製造に使用可能な状態とすることができる。特に、その後の造形プロセスのそれぞれの要件に応じていろいろな塗工要素61を使用することができ、これらの塗工要素61は造形プロセスと造形プロセスの間に手間をかけずに交換することができる。
【0076】
塗工要素61とホルダ60の連結については他の構成も可能である。例えば、塗工要素61に凹部を設け、ホルダ60に突起部を設けて形状嵌合連結しても良い。また、溝に挿入して、塗工要素61とホルダ60を随意に係合させるようにしても良い。
【0077】
塗工システム27の駆動機構59について、図13を参照して説明する。図13から分かるように、塗工装置27のホルダ60が駆動軸65にトルク耐性を有するように接続されている。駆動軸65はその両端において軸受66,67に枢支されている。駆動軸は図5に示す造形面11に対して垂直な軸Eを中心として回転可能である。その回転は図13において矢印Fで示されている。さらに、レバー68がトルク耐性を有するように駆動軸65に装着されている。レバー68は作動ピストン・シリンダ系69に接続されている。また、レバー68はブレーキピストン・シリンダ系70にも接続されている。本実施形態では、作動ピストン・シリンダ系69が空気圧系として構成されており、レバー68を介してピストンに圧力が加えられた時、駆動軸65が軸Eを中心として回転するように駆動軸65を駆動する。駆動軸65が回転する結果、ホルダ60も回転し、塗工要素61が造形面11と平行に運動を開始する。駆動軸65は、造形空間の後部領域にあって、造形材料の固化が行われる構成領域または造形領域に対して横方向に配設されている。駆動機構59を介して、塗工装置27は円の一部分に相当する経路上を一定限度の範囲に亘って移動することができる。こうして、塗工装置27は構成領域の片側にある第1位置と構成領域の反対側にある第2位置との間で往復移動される。この構成により、塗工装置27を移動させるための駆動機構59が構成領域の実質的に片側に配置されることになり、障害なく反対側から構成領域にアクセスすることが可能になる。駆動装置として空気圧系を設けることにより、塗工装置の運動を高精度に、同時に低コストで行うことができるようになる。
【0078】
ブレーキピストン・シリンダ系70はオイルダッシュポットとして構成されている。ブレーキピストン・シリンダ系は、作動ピストン・シリンダ系がチャージされているときには圧力変動を減衰する働き、すなわち塗工装置27の速度を急激に変えるような駆動装置に対抗する抵抗力の変化を減衰する働きをする。したがって、塗工装置27を所定の速度分布で均等に運動させることが可能となる。塗工装置27の運動を最適化することによって、層を塗工する際の均等性が改善され、ひいては部品品質の改善につながる。
【0079】
本実施形態では、軸Eを中心とする円形の経路上を造形面11に対して平行に移動する塗工装置27について説明している。円形経路の寸法は、塗工装置27が造形面11全体にわたって移動できるような大きさとする。塗工装置は造形面11を横切って直線運動するように構成しても良い。この場合も、作動ピストン・シリンダ系69とブレーキピストン・シリンダ系70との組み合わせによって塗工装置をより均等に運動させることができるため、層の塗工が改善される。
【0080】
取替容器とサスペンション
本実施形態における容器25の構成について、図5および10を参照して説明する。その内部に支持装置26を配設された容器25が、図5に概略的にのみ示されている。
【0081】
本実施形態において、容器25は取替容器または交換容器として構成されており、造形プラットフォームを形成し容器の中に位置する支持装置26と共に装置1から取り出すことができる。不図示の連結機構が装置1の中に設けられている。この連結機構によって、支持装置26を垂直運動させるための支持装置26および容器25の駆動装置への連結を開閉することができる。連結機構は装置1の制御装置によって駆動される。連結機構は、冒頭の従来技術に関する記載で述べたものと同様に構成することができる。
【0082】
図10に概略的に示すように、架台74が扉73に設けられている。扉73は装置1のマシンフレームに旋回装着されており、扉を閉めた状態では装置1の造形空間10が装置1の外側から隔離される。本実施形態では、扉73は矢印Hで示されるように、軸Gの周りで旋回可能に装着されている。図示の実施形態では、軸Gは垂直に延びているため、装置1の扉73は横に開く。
【0083】
容器25は片側に取付部75を備える。取付部75は扉73の架台74と係合させることにより、容器25を扉73で支持し、扉73をマシンフレームから旋回して開く際に共に旋回することができる。本実施形態では、架台74が扉73の内側に、その上部に凹部を有する突起部として形成されている。容器25の取付部75は、前記凹部の中に嵌合する突出したフックとして構成されている。
【0084】
容器25を装置1に挿入するためには、扉73を開けた状態で容器25の取付部75を架台74と係合させる。扉73が開いている状態では、装置1の外側から容易に架台74に手が届くため、この作業を楽に行うことができる。容器25の架台74からの分離は、装置1の制御装置により連結機構を介して行う。支持装置26はそれぞれの駆動装置に接続されている。
【0085】
この状態では、容器25は扉73と連結されておらず、必要に応じて容器25を装置1から取り出すことなく扉73を開放することができる。他方、装置1の制御装置により、容器25を架台74と再係合させ、支持装置26をそれぞれの駆動装置から分離することができる。この状態で扉73を開くことにより、容器25を造形空間10ひいては装置1から取り出すことができる。容器25は扉73と共に旋回して取り出される。この位置で容器25を楽に装置から取り出すことができ、機械の中まで手を伸ばす必要はない。
【0086】
本実施形態は、扉73を垂直軸の周りで旋回させているが、異なる方法で水平に開く扉としても良い。また、扉73と容器25との連結方法も、凹部と係合フックを備えた本実施形態の方法に限定されない。扉73を容器25と係合させるものであれば他の機構を設けることもできる。
【0087】
造形プラットフォームの封止
容器25内の支持装置26の案内について、図11を参照して説明する。図5に関して既に説明したとおり、支持装置26は駆動装置を介して容器25に対して垂直方向Kに移動させることができる。支持装置26の上側が造形プラットフォーム78となり、その上で造形対象の三次元物体が層状に生成される。造形プラットフォーム78と容器25の内壁79との間に空隙80が存在する。空隙80は支持装置26が容器25の中で垂直方向に移動できる大きさとなっている。空隙80を介して造形材料が造形プラットフォーム78の領域から出て造形プラットフォーム78の下にある容器25の領域に入り込む恐れがある。このように造形材料が通過すると、駆動装置の汚染につながり、その結果保守作業が必要になる場合もあるので、望ましくない。
【0088】
造形材料の通過を防止するために、空隙80は後述する封止体81によって閉止する。封止体81は可撓制材料の層で形成され、造形プラットフォーム78の下の造形プラットフォーム78の縁部に沿って環状に配設される。封止体81は例えばシリコーン材料からなる平坦なストリップで形成することができる。ただし、十分な温度耐性と可撓性を有するものであれば他の材料を用いることもできる。平坦な状態での封止体81は、運動または移動方向Kに対して垂直な平面における外のり寸法が、容器25の内のり寸法よりやや大きいため、容器25に挿入したときに、封止体81は空隙80の区域でやや屈曲され、材料がもつ可撓性のために小さな張力をもって容器25の側壁79に当接する。
【0089】
造形プラットフォーム78の下の封止体81の下に案内板82が配設されている。運動方向Kに対して垂直な平面において、案内板82の外のり寸法は造形プラットフォーム78よりやや大きくなっている。案内板82周辺の外縁部82aが空隙80に向かって曲げられている。外縁部82aは空隙80の区域において封止体81に当接する。外縁部82aはその外周部の領域において封止体81を屈曲させており、空隙内の封止体81の縁部は空間の上部境界に向かって曲がっている。封止体81の縁部領域の屈曲方向と反対方向に造形プラットフォーム78を移動させた場合でも、この案内板82によって、可撓性のある封止体81がその縁部領域において予め成形された方向と反対に下向きに折り曲げられるのが防止できる。そのため、支持装置26を造形プラットフォーム78と共に、容器25に関して移動方向Kに確実に移動させることができる。また、封止体が折れるなどした場合に起こり得る、造形材料粒子の造形プラットフォーム78下の領域内への流入を防止することができる。
【0090】
さらに、折り曲げた縁部領域82aを有する案内板82の効果として、シリコンーン等から成る平らなプレートを封止体81として使用し得ることがある。封止体81は他のプラスチック材料で形成しても良い。この構成によると、封止体はその周方向の外縁部において球状の形状とする必要はないし、また容器の内径に正確に合わせた形状とする必要もない。
【0091】
容器の温度調節(tempering)
造形空間10の下部領域41について、図5および図6を参照して説明する。図5から分かるように、チャンバー85が下部領域41内に、容器25の下側を取り囲むように形成されている。装置1の動作時、チャンバー85は流体媒体で満たされる。本実施形態では、この流体媒体はガスである。特に、本実施形態ではこのガスを不活性ガスとし、酸化等による造形材料の劣化を防止するために上部領域40においても使用する。
【0092】
チャンバー85は横方向において側壁86により画定されており、その上部において造形面11の高さで、分離プレート87により造形空間10の上部領域40から分離されている。チャンバー85は底部88によって下方の境界を画定されている。底部88は、容器25下の領域において支持装置をその制御装置と連結する通路89を備える。底部88の、容器25の角部の下にある領域に出口90が設けられている。本実施形態では、容器25の各角部の下に2つの出口90を設けているが、他の数の出口を設けてもよく、たとえば角部ごとに設ける出口の数を1つのみにしても良い。
【0093】
さらに、図5に示すように、側壁86の上部に開口部91が設けられる。開口部91は通風システムを介して出口90接続されている。本実施形態では、通風システムはチャンバー85の外側に配設されており、側壁86の外側と底部88の下に第2チャンバー84によって形成されている。換気装置92が通風システムの中に設置されている。さらに、加熱装置93と温度センサが通風システム内に設けられている。換気装置92によって、下部領域41にある流体媒体が開口部91を通じて第2チャンバー84内に引き込まれ、この媒体の有向流が出口90を通じてチャンバー85内に再導入される。出口90の位置が容器25の角部の下方にあること、また側壁86に開口部91が設けられていることにより、容器25の角部の領域で有向流が生成され、その有向流が容器25の温度調整および平衡取りを行う働きをする。この流れは図5および図6において矢印Sで示されている。この流れによって容器25の温度分布を規定することができ、容器25を均等に温度調節(tempering)することが可能となる。加熱装置93と温度センサを設けることによって、この流れの温度を正確に調整することが可能となっている。こうして、容器25の温度およびその中にある造形材料の温度を、装置1の動作中に一定の方法で調整することができる。この流れによって、特に容器25の角部において流体媒体と容器25との間で熱交換が行われる。その角部に基づいて、容器25の温度分布を有利に、特に均一に保つことができる。
【0094】
有向流を用いて容器の角部を選択的に温度調節することによって、動作中に容器25内の固化された造形材料とその周りにある未固化の造形材料を制御冷却することができる。このため、造形材料を冷却する際に、極端な温度勾配が生じて製造された三次元物体が反りなどによって劣化するのを防止することができる。
【0095】
本実施形態においては、実際の造形領域である造形空間10の上部領域40において使用するのと同じ処理ガスを流体媒体として使用している。そのため、造形空間10の上部領域40と下部領域41との間に特に封止を必要としない。よって、装置1を高い費用効率で構成することが可能となる。さらに、容器25内の造形材料の熱劣化も高度に防止することができる。このことは、未固化の造形材料をさらに別の造形プロセスにおいて再利用するという点で特に有利である。
【0096】
造形材料の供給
装置1への造形材料の供給について、図1、図12および図15を参照して説明する。図1から分かるように、造形材料を送るための開口部95が装置1の後方領域に形成されている。開口部95は供給開口部30に接続されており、図5に示すようにこの供給開口部30が造形空間10へと続いている。装置1内の開口部95の領域にダクト96が形成されている。ダクト96を介して造形材料が供給開口部30に供給される。本実施形態では、投下により造形材料の自重に基づいて供給が行われる。ダクト96の上部領域を図12に概略的に示している。
【0097】
ダクト96はその上側に被覆壁97を有しており、その被覆壁に造形材料供給用の注入管98a,98bに接続される2つの開口部97a,97bが設けられている。注入管98a,98bはその上側に、造形材料供給容器100a,100b用のコネクタ99a,99bをそれぞれ有している。コネクタ99a,99bは造形材料供給容器100a,100bに別個に接続することができる。各注入管98a,98bの中にゲート101a,101bがそれぞれ設けられている。各ゲート101a,101bは、第1位置に移動させることができ、第1位置では図12の左側に示すように、対応する注入管98a,98bの断面が閉鎖される。ゲート101a,101bはまた第2位置にも移動することができ、第2位置では注入管98a,98bが閉鎖または被覆されず、造形材料供給容器100a,100bからの造形材料がそれぞれ注入管98a,98bを通ってダクト96に向かうことができる。
【0098】
開口部97a,97b下方のダクト96内に、充填レベルセンサ102a,102bがそれぞれ装着されている。充填レベルセンサ102aは、注入管98aの下のダクト96内に造形材料が存在するかどうかを検出する。充填レベルセンサ102bは、注入管98bの下のダクト内に造形材料が存在するかどうかを検出する。
【0099】
夫々の注入管98a,98bに機構が設けられており、図15に概略的に示すように、注入管98a,98bはその機構によりそれぞれ造形材料供給容器100a,100bと共にダクト96の上方に移動したり、ダクト96から取り外すことができる。どちらの注入管も独立して移動させることができる。本実施形態では、この運動は実質的に水平の軸を中心とする旋回運動である。
【0100】
動作に際して、まずダクト96に造形材料を充填する。造形材料供給容器100bにも造形材料を充填し、対応するゲート101を開放位置にする。柱状を呈する造形材料がダクト96内部をそれぞれの注入レベルセンサ102bより高い位置まで延びる。第2の造形材料供給容器100aにも造形材料が充填される。ただし、図12に示すように、対応するゲートはまだ閉鎖位置にある。
【0101】
装置1の動作時、造形材料は自重により供給開口部30を介して造形空間10に供給されるため、造形材料が消費されてダクト96の充填レベルは低下する。造形材料供給容器100b内に造形材料が存在する限り、この造形材料がダクト96内に滑り落ちて行く。造形材料供給容器100bが空になっても装置1の動作が続く場合、注入レベルセンサ102b側のダクト96の充填レベルが低下する。すると注入レベルセンサ102bが造形材料供給容器100bが空であることを検知する。その後注入管98bのゲート101が閉鎖される。注入管98aのゲート101が開放され、他方の造形材料供給容器100aから造形材料がダクト96へと供給される。
【0102】
この位置において、装置1から造形材料供給容器100bを取り外し、充填を行ったり、充填を終わった他の造形材料供給容器と交換したりすることができる。コネクタ99a,99bは、たとえばそれぞれ注入管98a、98bに設けた雌ネジとして構成し、その中に対応する造形材料供給容器100a,100bの雄ネジを螺合するようにすることができる。これによって、市販の容器を造形材料供給容器として利用することが可能になる。充填を終えた造形材料供給容器、あるいは交換用造形材料供給容器を再び注入管98bに接続してダクト96上に移動させることにより、もう一つの造形材料供給容器100aが空になったときに使用することが可能となる。
【0103】
造形材料供給容器100aが空になった場合、ダクト96の充填レベルが下がり、充填レベルセンサ102aがその低下を検知して、造形材料供給容器が空であることを示す信号を装置1の制御装置に出力する。その後、注入管98aのゲート101を閉めると共に、注入管98bのゲート101を開けることにより、再び造形材料供給容器100bから造形材料を供給することができるようになる。ゲート101の開閉は装置1の制御装置によって行われる。その後、造形材料供給容器100aを交換することができる。
【0104】
2つの造形材料供給容器100a,100bが設けられ、それぞれ別個のコネクタ99a,99bを介して装置1に個別に接続することができる。造形材料供給容器100a,100bの取替または交換を行う際にも、装置1の動作を停める必要がない。三次元物体を造形空間10において製造する際に造形材料供給容器を交換する場合も、造形プロセスを連続して実施しながら行うことができる。こうして装置1の効率的な運転が達成され、造形プロセスが実施されない休止時間を短縮することができる。装置1はより簡単に動作させることができる。また、動作中は造形材料供給容器を常に充填された状態に保つことができる。
【0105】
さらに、造形材料供給容器100a,100bを閉じる蓋を設けても良い。造形材料供給容器は装置1に供給するまでと、取り出しを行った後に閉じることができる。
【0106】
注入管98a,98bを造形材料供給容器100a,100b用のコネクタ99a,99bを備えるように構成することで、造形材料の保存および混合にも適する造形材料供給容器を装置において使用することが可能となる。コネクタの構成次第では、市販の容器を使用することもできる。
【0107】
さらに、造形材料の種類ごとに、あるいは造形材料の保管用として、複数の造形材料供給容器を設けるようにしても良い。特に、複数の造形材料供給容器を用い、2つの造形材料供給容器で装置1を動作させると同時に、さらに別の造形材料供給容器において造形材料の混合を実施するようにできる。また、装置1にも造形材料供給容器用のコネクタを1つまたは2つ以上設けても良い。
【0108】
一実施形態では、装置1は、充填レベル情報が充填レベルセンサ102a,102bにより自動的にオペレータに電子送信されるように構成されている。情報の送信は例えばSMSや電子メールを介して行われる。このため、装置1には適切なネットワーク接続を行う。
【0109】
以上の説明では、造形材料の供給を造形材料の自重を利用して行うものとしたが、異なる方法で供給することもできる。例えば、造形材料供給容器用の機械装置を設け、この機械装置により造形材料のダクトへの供給を補助するようにしても良い。例えば、造形材料供給容器100a,100bおよびその中の造形材料に振動を生じる振動装置を設け、造形材料のダクト96への供給を補助するようにすることができる。振動装置は注入管98a,98b(充填装置の部分)に配設した1つまたはそれ以上の振動励起装置によって形成することができる。
【0110】
変形例
記載の装置は変更が可能である。レーザに代えて他の光源のようなエネルギー源を用いても良いし、電子源やその他の粒子源を用いても良い。エネルギー源に応じて、他の光学系を用いることもできる。例えばエネルギー源として電子源を使用する場合は、電磁レンズと偏向システムとを使用できる。フレームシステムの構成など、ここに記載の特長の中には、インクジェット印刷に似た方法を用いる三次元印刷用の装置や、マスク露光方法等で実施できるものもある。
【0111】
また、エネルギー源としてレーザを用いる場合、装置の構成を、レーザ焼結法において用いるように、あるいは造形材料を局所的に溶融させるレーザ溶融法において用いるようにすることができる。
【0112】
造形材料として複数の材料を用いることができる。例えば、ポリイミド粉末等のプラスチック粉末を用いても良いし、金属やセラミックスの粉末を用いることもできる。またそれらの混合物を用いることも可能である。例えば、プラスチック被覆した金属を用いることもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元物体のそれぞれの層に対応する位置において造形材料を層状に固化することにより三次元物体を製造するための装置(1)であって、
マシンフレーム(2,3,4,5)および前記マシンフレーム内に位置する造形空間(10)と、
前記造形材料を選択的に固化するためのビーム(9)を放射するエネルギー源(6)と、
前記エネルギー源(6)を冷却するための気流(T)を生成する換気装置(54)と、を備え、
前記造形空間(10)を制限する仕切り壁(56)に前記気流(T)を向ける接続管(55)を備える装置。
【請求項2】
前記気流(T)を装置(1)の外部へ転送する接続通路が形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エネルギー源(6)は、前記マシンフレーム(2,3,4,5)の基礎ビーム(2)の内部の中空空間(53)に配置されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記中空空間(53)は、前記気流(T)の流路の一部を形成している、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記換気装置(54)が前記中空空間(53)に備えられている、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記仕切り壁(56)は前記造形空間(10)の上部を制限している、請求項1〜5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記造形空間(10)を規定する前記仕切り壁(56)から離れた側に、光学系の構成要素(7,8)および/または装置(1)の駆動装置が配置されている、請求項1〜6の何れかに記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、偏向ミラー(7)とスキャナ(8)とを持つ光学系を備え、前記接続通路(55)は、前記造形空間(10)の上部仕切り壁(56)上の前記スキャナ(8)の領域へ前記気流(T)を導く、請求項1〜7の何れかに記載の装置。
【請求項9】
前記エネルギー源(6)がレーザから成る、請求項1〜8の何れかに記載の装置。
【請求項10】
前記装置がレーザ焼結装置から成る、請求項1〜9の何れかに記載の装置。
【請求項1】
三次元物体のそれぞれの層に対応する位置において造形材料を層状に固化することにより三次元物体を製造するための装置(1)であって、
マシンフレーム(2,3,4,5)および前記マシンフレーム内に位置する造形空間(10)と、
前記造形材料を選択的に固化するためのビーム(9)を放射するエネルギー源(6)と、
前記エネルギー源(6)を冷却するための気流(T)を生成する換気装置(54)と、を備え、
前記造形空間(10)を制限する仕切り壁(56)に前記気流(T)を向ける接続管(55)を備える装置。
【請求項2】
前記気流(T)を装置(1)の外部へ転送する接続通路が形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エネルギー源(6)は、前記マシンフレーム(2,3,4,5)の基礎ビーム(2)の内部の中空空間(53)に配置されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記中空空間(53)は、前記気流(T)の流路の一部を形成している、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記換気装置(54)が前記中空空間(53)に備えられている、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記仕切り壁(56)は前記造形空間(10)の上部を制限している、請求項1〜5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記造形空間(10)を規定する前記仕切り壁(56)から離れた側に、光学系の構成要素(7,8)および/または装置(1)の駆動装置が配置されている、請求項1〜6の何れかに記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、偏向ミラー(7)とスキャナ(8)とを持つ光学系を備え、前記接続通路(55)は、前記造形空間(10)の上部仕切り壁(56)上の前記スキャナ(8)の領域へ前記気流(T)を導く、請求項1〜7の何れかに記載の装置。
【請求項9】
前記エネルギー源(6)がレーザから成る、請求項1〜8の何れかに記載の装置。
【請求項10】
前記装置がレーザ焼結装置から成る、請求項1〜9の何れかに記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3a)】
【図3b)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3a)】
【図3b)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2010−510101(P2010−510101A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537537(P2009−537537)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010086
【国際公開番号】WO2008/061733
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(503267906)イーオーエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング イレクトロ オプティカル システムズ (50)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010086
【国際公開番号】WO2008/061733
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(503267906)イーオーエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング イレクトロ オプティカル システムズ (50)
【Fターム(参考)】
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