説明

三次元画像診断システム

【課題】3D超音波画像と3D診断モダリティ画像との間で疾患部位を含む任意断面の断面比較を行ない、鑑別診断を効率的に行なう三次元画像診断システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る三次元画像診断システムは、被検体の疾患部位を含むボリュームデータの中から任意断面の3次元画像を表示可能な超音波画像診断装置と、医用画像診断モダリティからのボリュームデータの中から任意断面の3次元画像と略同一断面の3次元画像を表示する3次元医用画像診断装置と、両画像診断装置からの複数の3次元画像または同一の医用画像診断モダリティから時相の異なるボリュームデータ間における略同一断面の複数の3次元画像をそれぞれ同期的に表示可能な画像処理表示手段と、を有し、画像処理表示手段は、同期的に比較表示可能な3次元画像の各断面上に、上記各断面の回転中心を中心とする球状領域を表示する球状領域表示手段を備える、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D医用画像を用いた画像診断技術に係り、特に3次元超音波画像と他の3D医用画像診断モダリティ画像とを相互補完させて疾患部位の存在、鑑別診断を行なう三次元画像診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、国内における三大疾患の中で唯一癌疾患による死亡率が伸びており、診断のみならず治療への社会的要請が強い。この癌疾患の中で肝臓癌は約10%を占めており、しかも残念ながら増加の傾向にある。
【0003】
この肝臓癌の診断に関しては既に超音波診断装置、MRI装置、X線CT装置等の医用画像診断モダリティの技術進歩により早期の段階で見つけ出すことができるようになってきている。
【0004】
特に、X線CT装置では高速回転ヘリカルスキャンと8列、16列、64列などの並列検出器との組合せシステムによる3D撮像法が確立している。また、MRI装置においては、傾斜磁場系、高周波磁場系、RFコイル系の性能向上に伴う高速撮影法の性能アップにより息止め下の3D撮像法が確立している。3D撮像法は、従来の2D撮像に比べて格段に診断能力が向上してきている。この3D画像による診断は特に造影剤を用いた3DのダイナミックCT(以下、3D−CTと記す。)で顕著に進んでいる。
【0005】
一方、肝臓癌の治療法としては、a)肝動脈内抗癌剤注入療法、b)肝動脈塞栓療法、c)低侵襲治療法、d)開腹外科手術の4種類が知られており、中でも患者への負担が少ない等の理由から低侵襲治療法が最も多く施行されている。
【0006】
低侵襲治療法には、経皮的エタノール注入法(PEIT:Percutaneous Ethanal Injection Technique)やマイクロ波穿刺焼灼法があり、従来から超音波診断装置によるリアルタイム撮像下でその穿刺針をモニタリングして行なわれてきた。
【0007】
最近では、焼灼治療法の1つとしてラジオ波焼灼法(RFA:Radio−Frequency Ablation)が脚光を浴び始め、臨床への適用がかなり進められている。このRFAには単一針であるCool Tipや複数展開針のRITAがあり、各々、現在臨床評価が進められている。これらの穿刺治療は多くの場合、経皮的穿刺によって行なわれるが、腹腔鏡下(ラパログラフィ)で上記と同一の穿刺治具を用いて直接肝臓表面を見ながら、あるいは肝臓表面から超音波プローブにて肝臓内部を見ながら穿刺治療を施す方法も臨床的に行なわれている。
【0008】
このような3D撮像診断技術や穿刺治療技術の技術進歩の中で、現在、3D医用診断画像は穿刺治療の現場において、治療計画から治療中、治療フォローアップの段階で充分に活用されているとは言えない現況である。臨床サイドの超音波画像は局所的な医用診断画像であり、横隔膜などを含め肝臓全体および周辺を一度に観察することができないので、3D−CTの3D立体画像上で安全な穿刺位置の探索を簡便に行ないたいという要望がある。
【0009】
また、穿刺治療技術は、超音波撮像下での穿刺治療となるので、穿刺針を含む撮影時の超音波断面を想定した3D−CT断面画像(仮想超音波画像)を3D立体画像上に分かり易く表示したり、決定した穿刺位置を体表および骨との関係が分かるように表示したりしてほしい、というニーズがある。
【0010】
近年、3D−CT画像上などで仮想超音波断面を探索する方法が、特許文献1や特許文献2等に記載の如く種々提案されており、リアルタイム仮想超音波システムが製品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−112998号公報
【特許文献2】特開2005−169070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1では、3次元ボリュームデータから穿刺超音波プローブの位置および角度に応じた断面画像を表示する穿刺支援装置が提案されているが、この支援装置では、穿刺針進入経路上あるいはその近傍に穿刺不適部位があるか否かの判断が難しいという問題がある。
【0013】
また、3D−CT画像上などで仮想超音波断面を探索する方法では、治療対象がX線CT画像上で見えても超音波診断画像上では見えないあるいは見え難いという問題や、治療対象が複数個ある場合には、実際に治療直前の対応が、術前計画で得た画像を参照するだけでは不充分であるという問題がある。
【0014】
さらに、3D−CT画像上などで仮想超音波断面を探索する方法では、超音波穿刺治療の性格上、超音波診断装置側の超音波画像は2次元断面であり、超音波プローブで撮像できる位置からの撮像断面と概略同一のCTなどの断面探索に限定されており、治療後に他のモダリティとの画像比較が難しいという問題があった。
【0015】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、3D超音波画像と3D診断モダリティ画像との間で任意断面での断面比較を、相補的に行ない、癌などの疾患部位の存在/鑑別診断を効果的にかつ効率よく行なうことができる三次元画像診断システムを提供することを目的とする。
【0016】
本発明の他の目的は、超音波プローブで撮像できる位置からだけの撮像断面を用いる必要がなく、3次元超音波画像を用いて任意断面での局所的な超音波画像と全体的な3D診断モダリティ画像との相補的な断面比較を簡単かつ容易に行なうことができる三次元画像診断システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る三次元画像診断システムは、上述した課題を解決するために、3次元画像の収集および表示を行なう三次元画像診断システムにおいて、被検体の疾患部位を含むボリュームデータの中から任意断面の3次元画像を収集し、表示可能な超音波画像診断装置と、この超音波画像診断装置以外の医用画像診断モダリティからのボリュームデータの中から前記任意断面の3次元画像と略同一断面の3次元画像を収集し、表示する3次元医用画像診断装置と、前記両画像診断装置からの複数の3次元画像または同一の医用画像診断モダリティから時相の異なるボリュームデータ間における略同一断面の複数の3次元画像をそれぞれ同期的に表示可能な画像処理表示手段と、を有するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る三次元画像診断システムによれば、超音波画像診断装置を用いた3D超音波画像の診断、あるいは、治療効果判定のように超音波画像診断装置以外の医用画像診断モダリティからの3D医用モダリティ画像(3D参照画像)を参照し、相補的役割を果たす3D超音波画像と3D参照画像とを共通の断面にて簡便に比較したり、時相的に異なる3D医用モダリティ画像同士の共通断面を比較したりすることで、癌等の疾患部位の存在、大きさ、内容をより確実に効果的にかつ効率よく鑑別診断を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る三次元画像診断システムの第1実施形態を示す全体的構成図。
【図2】図1の三次元画像診断システムに組み込まれる独立型画像処理表示装置のブロック構成を示す図。
【図3】図1の三次元画像診断システムに組み込まれる超音波画像診断装置の構成を示す図。
【図4】(A),(B)および(C)は、超音波画像診断装置で撮像された3D超音波画像およびその画像処理例をそれぞれ示す図。
【図5】(A),(B),(C)および(D)は、医用画像診断モダリティで撮像されたVR画像(3DCT画像、3D参照画像)およびその画像処理例をそれぞれ示す図。
【図6】(A),(B)および(C)は、超音波診断装置のモニタ(あるいは独立型画像表示装置の3次元画像表示部)の左右にそれぞれ表示される3D超音波画像と3DCT画像とを比較して示す図。
【図7】(A)および(B)は、超音波診断装置のモニタの左右に表示される3D超音波画像と3DCT画像との球状領域への同期表示例を示す図。
【図8】(A)および(B)は、超音波診断装置のモニタの左右に表示される3D超音波画像と3DCT画像との円状領域への同期表示例を示す比較図。
【図9】本発明に係る三次元画像診断システムの第1実施形態の動作概念を示す図。
【図10】本発明に係る三次元画像診断システムの第1実施形態における第1の変形例の動作概念を示す図。
【図11】本発明に係る三次元画像診断システムの第1実施形態における第2の変形例の動作概念を示す図。
【図12】本発明に係る三次元画像診断システムの第1実施形態における第3の変形例の動作概念を示す図。
【図13】本発明に係る三次元画像診断システムの第2実施形態を示すもので、3D位置センサを用いた超音波断面と3DCT撮像空間座標との関係図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る三次元画像診断システムの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る三次元画像診断システムの第1実施形態を概略的に示す全体構成図である。
【0022】
この三次元画像診断システム10は、X線CT装置11、磁気共鳴診断(MRI)装置12またはX線システム13または超音波診断装置14(以下、これらを総称して医用画像診断モダリティという。)から得られた診断対象部位の3次元ボリュームデータを収集する3Dデータ収集系15と、収集された3Dボリュームデータを処理して表示する画像処理表示系16とを有する。ここで、3Dボリュームデータとは、3次元撮像手法、或いはマルチスライス撮像手法によって得られる画像データである。3Dデータ収集系15は、各医用画像診断モダリティ内に備えられてもよい。
【0023】
各医用画像診断モダリティを用いて収集された3Dボリュームデータは、各診断モダリティ内の画像処理表示機能を利用して図示しないコンソールモニタ上に、あるいは画像処理表示系16の表示手段に、また、独立型画像処理表示装置18の表示手段や超音波画像診断装置19の表示手段に表示される。
【0024】
第1実施形態に表わされる三次元画像診断システムでは、X線CT装置11、MRI装置12、X線システム13、超音波診断装置14の3D医用モダリティ画像の中で3D−CT画像を利用するものとして説明する。
【0025】
3Dデータ収集系15に収集されたCT3D画像は、直接医用画像表示系16に、またはLAN等のネットワーク17を介して、処理結果が例えば独立画像処理表示装置18の表示手段あるいは超音波画像診断装置19の表示手段に表示される。超音波画像診断装置19の表示手段は、被検体内に刺入された穿刺針の像をリアルタイムに表示することもできる。
【0026】
なお、図1では、超音波画像診断装置14と19とをブロック図上で2つに分けた例を示したが、両者は一体化したものでもよい。
【0027】
また、診断モダリティを用いて収集された3D画像は、図3に示すように超音波画像診断装置19の表示手段としてのモニタ32上に表示される。上記3DボリュームデータはDICOM等のフォーマットで各診断モダリティから超音波画像診断装置19に直接あるいは間接的に移送されて転送され、超音波画像診断装置19に備えられたCD−R,DVD−Rなどの記録メディアなよって取り込まれる。
【0028】
さらに、画像処理表示装置18は、例えば図2に示すように、ネットワーク17を介して得られた3次元のボリュームデータを記憶する3次元データ記憶部21と、この記憶部21に記憶された3次元データを処理し、3次元データの再構成を行う3次元再構成処理部22と、この3次元再構成処理部22において再構成されたデータから3次元画像を生成する3次元画像生成部23と、この3次元画像生成部23により生成されたデータに基づいて3次元画像を表示する3次元画像表示部24と、この3次元画像表示部24に表示される断面像上に患部が見えたとき医師等のユーザがその位置を特定するために3次元画像生成部23に患部位置情報を入力する患部位置特定部25と、穿刺プローブの位置を特定しその3Dボリュームデータを3次元画像情報生成部23に入力するプローブ位置特定部26とを備える。このうち、3次元データ記憶部21は、半導体メモリ、ハードディスク、CD−ROM、フレキシブルディスク、メモリカード等の記録メディアにより構成される。
【0029】
この画像処理表示装置18は、例えばワークステーションにより構成され、図示しないCPUにより制御される。あるいは、斯かる画像処理表示機能を有する画像処理表示装置18は超音波画像診断装置19内に一体化して収納してもよい。
【0030】
入力部27は、ユーザが画像処理表示装置18等の各種入力指示を行うインターフェイスであり、この入力部27からは、後述するように、穿刺パスを設定するための種々の指示が入力される。この入力部27は、画像処理表示装置18がワークステーションで構成される場合は、例えば、キーボードやマウス等からなり、超音波画像診断装置19内に一体化されている場合には、例えば、操作パネル、トラックボール、TCS(Touch Command Screen)等からなる。
【0031】
また、超音波画像診断装置19は、穿刺時において、超音波プローブにより得られた被検体の患部や、穿刺針の位置を撮像し表示するモニタを備える。なお、本実施形態では、超音波画像診断装置19を採用した例で説明しているが、穿刺に用い得るものであれば、X線CT装置或いはMRI装置であってもよい。
【0032】
超音波画像診断装置19は、図3に示すように概略的に構成され、CPUを備えた超音波診断装置本体30と、この装置本体30に付設される入力手段31と、表示手段としてのモニタ32と、超音波プローブ33と、超音波プローブ33の位置センサ受信手段55とを備える。入力手段31は、入力装置31aとしてのキーボード、トラックボールやタッチパネル等の操作パネル31bを備える。なお、位置センサ受信手段55は、後述する第2の実施形態で使用する構成品である。
【0033】
超音波画像診断装置19のモニタ32に3Dボリュームデータである3D画像が表示される。この3Dボリュームデータは、DICOMなどのフォーマットで医用画像診断モダリティ11,12または13から超音波診断装置本体30に直接あるいはDICOMサーバなどを通して間接的に転送され、超音波診断装置本体30にCD−R,DVD−Rなどの記録メディアによって取り込まれる。
【0034】
超音波画像診断装置19の装置本体30には、超音波画像に関わる超音波送受信の制御、処理あるいは3Dレンダリング処理を含む画像表示機能を行うCPUがある。この超音波診断装置本体30に超音波プローブ33および入力手段31がそれぞれ接続されており、超音波画像および超音波以外の他モダリティ画像はモニタ32に表示される。超音波画像診断装置19は、装置本体30、入力手段31、超音波プローブ33および表示手段としてのモニタ32から画像処理表示手段41を構成している。この画像処理表示手段41は画像処理表示系16や独立型画像処理表示装置18に、同様にして構成してもよい。
【0035】
ここにおいて、超音波プローブ33には、通常1次元アレイプローブ,1次元アレイプローブ部分を機械的に揺動させて複数の超音波断面を収集するメカニカル3Dプローブ、あるいは圧電振動子の二次元(マトリクス)アレイによるリアルタイム3Dプローブを含む。
【0036】
次に、三次元画像診断システム10の代表的なワークフローを、図3を参照して説明する。
【0037】
まず、例えばX線CT装置11の医用画像診断モダリティにて3DのCT画像(以下、
3D参照画像,3D診断モダリティ画像)が撮像され、この3D参照画像の3次元ボリュームデータは3Dデータ収集系15に一旦収集される(ステップ1)。
【0038】
3D参照画像のボリュームデータは、X線CT装置11あるいは3Dデータ収集系15からDICOMなどのフォーマットで直接に、あるいはDICOMサーバなどを通して間接的に超音波画像診断装置19に転送される。または、MO,CD−RやDVD−Rなどの記録メディア20によって予め記録された3D参照画像が超音波画像診断装置19に取り込まれる。超音波画像診断装置19に取り込まれた3Dボリュームデータは、ボリュームレンダリング(VR)法によって超音波診断装置本体30のモニタ32上に、例えばその右側に3DCT画像として3D表示される(ステップ2)。
【0039】
また、超音波画像診断装置19は、超音波1次元アレイプローブ,メカニカル3Dプローブあるいはリアルタイム3Dプローブの超音波プローブ33を備えており、この超音波プローブ33を用いて疾患部位をBモード、またはBモード画像を含むドプラモードの3D超音波撮像手法にて撮像される。撮像された3D超音波撮像画像の中の3Dボリュームデータが超音波画像診断装置本体30に取り込まれ、収集される。超音波診断装置本体30で収集された3Dボリュームデータはボリュームレンダリング(VR)法を用いてモニタ32上に、例えばその左側に超音波3次元画像が3D表示される(ステップ3)。
【0040】
本実施形態の三次元画像診断システム10は、超音波画像診断装置19のモニタ32上に、例えばその右側に3D参照画像(3D CT画像:3D診断モダリティ画像)が表示され、その左側に超音波画像診断装置19による3D超音波画像36が3D表示される。超音波画像診断装置19のモニタ32上に表示される3D参照画像および3D超音波画像は、独立型画像処理表示装置18の3次元画像表示部24に同様に3D表示できる構成としてもよい。
【0041】
今、超音波画像診断装置19の3D超音波画像に着目する。超音波画像診断装置19は、超音波プローブ33の操作により、図4(A)に示す疾患部位を予想した局所的な3D超音波画像36が得られ、得られた3D超音波画像36はモニタ32の例えば左側に表示される。3D超音波画像36は、医用画像診断モダリティの超音波診断装置14側から得てもよい。この3D超音波画像36上に任意断面を選択してプレーンカット(PC)面表示を図4(B)に示すように行なう。)超音波3D画像36上の位置合せ断面として適当な断面を、入力手段31の回転・シフト操作にて超音波診断装置本体30のCPUにより、モニタ32上にPC面37を表示する。このPC面37は疾患部(疾患陰影部)38が含まれている面を位置合せ断面として選択される。診断効率を上げるために、図4(C)に示すように、疾患部38の任意の1点(通常は、計画したい穿刺針の針先の位置)を中心ロック点として指定する(ステップ4)。
【0042】
ここでは、図4(C)に示すように疾患陰影部38に指定した中心ロック点39を中心点として、入力手段31の回転操作により、超音波3D画像36のPC面37を回転させ、位置合せ画像(超音波診断画像)として適当な一断面のPC面画像を表示させる(ステップ5)。
【0043】
このとき、図4(C)に示すように、3D超音波画像36のPC面37にある回転中心39とは別の特徴構造を特徴ポイント40に選定する。例えば肝静脈の分岐部などのポイントを選択して設定し、このポイントを特徴ポイント40と入力手段31で設定する。そして、入力手段31の操作で回転中心点39と特徴ポイント40とを結ぶ線をモニタ32のモニタ画面座標上で方向ベクトル線Aとしてグラフィック表示する(ステップ6)。
【0044】
一方、医用画像診断モダリティのX線CT装置11で撮像された3DのCT画像43はボリュームレンタリング(VR)法により処理され、超音波画像診断装置19のモニタ32上に図5に示すように表示される。3DCT画像43は被検体の疾患部位を含む全体が、例えば特徴的な周辺構造を含む全体領域が表示される。被検体の3DのCT画像は、骨を表わすCT値の領域44とそれ以外の領域45が同時に表示されるようにボリュームレンタリングにおける透明度を調整するか、あるいは2つの領域44,45を別ボリュームとして2ボリュームの同時表示を行なうことができる(ステップ7)。符号47は暫定的な断面位置を示すプレーンカット面(PC面)である。
【0045】
続いて、医師等のユーザが、図3に示す入力手段31のマウス、トラックボールなどのポインティングデバイスを移動または回転させて、移動量や移動方向または回転量や回転方向の情報を入力すると、超音波画像診断装置本体30のCPUは、3次元ボリュームの画像を表示するVR画像(3D参照画像;3DCT画像)を表示するPC面47を所望の量および方向に回転移動させたり、平行移動させてPC面表示される。
【0046】
超音波画像診断装置19のモニタ32上に、例えばその右側に表示されるVRによる3D参照画像(3DCT画像)は、PC面表示にてPC面のシフト・回転操作により、図5(A)に示す状態から図5(B)に示す状態に位置シフトさせ、疾患部(疾患陰影部)48を探索し、疾患陰影部48を表示する(ステップ8)。
【0047】
図5(B)に示すVRによる3D参照画像のPC面47に表示される疾患部48の中の任意の1点(ここでは、前述の超音波画像上で指定した中心ロック点39とほぼ同一点とする)を指定し、その指定点を中心ロック点49として位置決めし、VRの3D参照画像のPC面47を図5(C)に示すように表示する(ステップ9)。続いて、図5(C)に示すVRの3D参照画像のPC面47の中心点49を中心点としてPC回転させ、図4(C)に示された3D超音波画像のPC面37と同じ構造を有する特徴ポイント50を有するVR画像(3D参照画像)のPC面47を図5(D)に示すように断面表示する。
【0048】
図5(D)には、VRによる3D参照画像のPC面47上に、図4(C)の特徴ポイント40と同一構造を含む断面を表示する。この点、特徴ポイント40に対応するポイント50をVR画像(3D参照画像;3DCT画像)の特徴ポイント50に設定し、回転中心(中心ロック点)49と特徴ポイント50を結ぶ線を、VR画像(3DCT画像)の方向ベクトル線Bとしてグラフィック表示する(ステップ10)。
【0049】
超音波画像診断装置19の入力手段31による各PC面37,47のシフト・回転操作により、図4および図5に示すように、超音波3D画像のPC面37およびVRによる3D参照画像のPC面47と、各方向ベクトル線A,Bが、超音波画像診断装置19のモニタ32の左右に表示された段階で、位置合せされ、共通の断面表示を行なうこととなる(ステップ11)。各中心ロック点39,49と方向ベクトル線A,Bとが互いに位置合せされ、共通断面が表示されると、超音波診断装置本体に格納されたロック手段(図示せず)により、各中心ロック点39,49が位置決め固定され、3D超音波画像36と3D参照画像43は互いに自動的に追従可能に設定される。以後は、一方の3次元画像の操作により他方の3次元画像は同期的に追従回転移動操作される。
【0050】
モニタ32上で超音波3D画像と3D参照画像(3DCT画像;VR画像)が共通のPC面37,47表示が同期的に比較表示された段階で、入力手段31を操作して超音波診断装置本体30に備えられた同時表示・操作機能をアクティブにすると、両3次元画像はほぼ一体の動きとなって同期的に追従回転移動せしめられる。この同期的な追従操作では、図6に示すように方向ベクトル線A,Bの向きが一致するように、例えば3D参照画像側のボリューム画像全体が図6(B)から(C)に示すように追従して回転し、全体を表わす3DCT画像(3D参照画像)のPC面47が局所的な3D超音波画像のPC面37と同一方向を向くように追従移動して位置決めセットされる(ステップ12)。
【0051】
このセット後には、3D超音波画像36と3D参照画像(3DCT画像)43上の操作は、ロック手段を介して相互に追従関係を保って行なわれ、入力手段31の操作により両画像36,43は相互に同期して連動するように、超音波診断装置本体30の追従または調節制御が行なわれる(ステップ13)。両3D画像は、同期的に連動して連係操作されるので、入力手段31は、セット後に3D超音波画像36および3DCT画像(VR画像、3D参照画像)の一方を操作するだけでよい。
【0052】
具体的には、片方の3D画像におけるPC面37または47の回転・シフト操作、3D画像への各種クリッピング操作が、他方の3D画像におけるPC面47または37の回転・シフト操作、3D画像への各種クリッピング操作として相互に同期し、両3D画像同士が同期して連動表示される。
【0053】
また、入力手段31のロック解除操作によりロック手段のアクティブ性を解除すると、ロック手段は解消され、3D超音波画像36と3D参照画像(3DCT画像)43の追従連動動作が解除され、3D超音波画像36と3D参照画像43は互いに独立してシフト・回転操作が実施される。入力手段31はロック手段を解除するロック解除手段としての機能を有する。
【0054】
本実施形態の三次元画像診断システム10においては、超音波画像診断装置19のモニタ32の左右に、疾患部を含む局所的な3D超音波画像36と測定領域全体を示す3DCT画像(3D画像診断モダリティ画像;3D参照画像)43とをそれぞれ表示し、全体的な3DCT画像43を確認しながら局所的な3D超音波画像36を観察して、穿刺位置を決定し、観察診断を実施することができる。低侵襲治療時に穿刺位置をモニタリングしながら、被検体の体表および骨、また、例えば横隔膜などを含めた肝臓全体や周辺の組織全体を一度に観察することができ、3DCT画像の3D立体画像上で安全な穿刺位置の探索を簡便に行なうことができる。
【0055】
この三次元画像診断システム10では、超音波画像診断装置を用いた診断、あるいは治療効果判定のために事前に収集された他画像診断モダリティの3Dモダリティ画像を参照し、相補的役割となり得る3D超音波画像と3D参照画像(3Dモダリティ画像)とを共通断面にて簡便に比較することで、より確実に疾患部の存在、大きさ、位置、内容を把握し、癌等の疾患部の鑑別診断を効率よく効果的に行なうことができる。
【0056】
また、本発明に係る三次元画像診断システムにおいては、超音波画像診断装置19のモニタ32に、基準3D画像となる疾患部位を含む局所的な3D超音波画像36と疾患部位を含む組織の全体的な3DCT画像(3D画像診断モダリティ画像)43とを左右〈上下でもよい〉に並列表示し、疾患部位を含む局所的な3D超音波画像36の任意断面を基準に3DCT画像を選択できる。図4(C)に示す疾患部位38や特徴ポイント(特徴的周辺構造を表わす門脈や静脈分岐部のポイント)40を表わすPC面37を備えた3D超音波画像36を基準として、全体的な3DCT画像(3D参照画像;VR画像;3D画像診断モダリティ画像)のシフト・回転操作を行なって図5(D)に示すように位置決めセットさせる。
【0057】
疾患部位を含む領域の組織を全体的に表わす3DCT画像(3D画像診断モダリティ画像)43を図6(C)に示すようにシフト・回転操作させることで、超音波画像診断装置19のモニタ32に、図6(A)に示す3D超音波画像36と図6(C)に示す3DCT画像43とを、PC面37,47を略対応させた状態で表示できる。この画像表示は、超音波画像診断装置19のモニタ32だけでなく、例えば、三次元画像診断システム10の画像処理表示系16や独立型画像処理表示装置18の各表示手段にも同様にして表示することができる。
【0058】
また、この三次元画像診断システムは、3D超音波画像36と3DCT画像43とをモニタ32に表示する例を示したが、同一の画像診断モダリティ、例えば同一の超音波画像診断装置19(14)に時相の異なる(時間を異にする)3D超音波画像同士を入力する。時相の異なる複数、例えば2つの3D超音波画像(3D診断画像モダリティ画像)を入力し、モニタ32等の表示手段に時相の異なる複数の3D超音波画像同士を左右あるいは上下に表示させてもよい。時相の異なる3D超音波画像同士をモニタ32等の表示手段の左右(上下)に並べて比較表示することで、例えば術前・術後のように時相の異なるPC面の3D超音波画像を比較表示できる。
【0059】
すなわち、同一の医用画像診断モダリティから時相の異なる複数の3次元画像をモニタ等の表示手段に同期的に並べて表示し、各3次元画像における共通のPC面を観察して癌などの疾患部位とその周辺の治療前後における変性を正確に精度よく把握することができ、治療効果判定を正確にかつ効率よく行なうことができる。
【0060】
なお、三次元画像診断システム10において、疾患部位38,48を有する3D超音波画像36と3DCT画像43の同期連動表示において、図7(A)および(B)に示すように、PC面37,47に球状領域70,71を表示するようにしてもよい。
【0061】
モニタ32等の表示手段に、図7(A)および(B)に示すように表される球状領域70、71は焼灼計画領域を表わすものであり、焼灼計画領域を予め表示しておくと、疾患部位が十分に焼灼領域に入っているかどうかや、焼灼領域周辺臓器である例えば心臓、肺、胆のうなどへの影響リスク評価を正確に行なう上で利便性が高い。一般にエネルギは球状に拡散するので、焼灼領域に至る球を球状領域70、71としてグラフィック表示するのに意義があり、両3次元画像から疾患部位の全体把握から、生体組織に悪影響を与えないように、局所的な観察で、鑑別判断を行なうものである。
【0062】
また、図7(A),(B)に示す球状領域70、71とPC面37,47との交線70a、71aを同様な趣旨で図8(A),(B)に示すように円形表示してもよい。
【0063】
[第1の実施形態の変形例]
ところで、上述した第1の実施形態では、図9に示したように、超音波3D画像におけるベクトルA(中心ロック点39と特徴ポイント40とを結ぶベクトル)と3DCT画像におけるベクトルB(中心ロック点49と特徴ポイント50とを結ぶベクトル)とを一致させ、その後、ベクトルB軸を中心にして3DCT画像のPC面を微調整(回転による調整)して3DCT画像のPC面と超音波3D画像のPC面の画像を一致させるという操作が必要である。この回転操作は3DCT画像のPC面がベクトルBに拘束されているため、ユーザの操作負担とならず、比較的簡単に画像の一致をさせることができる。互いのPC面が一致したところでロックさる。このロック機能によって互いのPC面が連動して変化するため、以降は3DCT画像と超音波3D画像のPC面は常に同じ面として同期させて表示することができる。
【0064】
以下に示す変形例はさらに進めて、3DCT画像のPC面の微調整操作を不要とするものである。
【0065】
[第1の実施形態の第1の変形例]
図10は、第1の変形例の動作概念を示す図である。第1の変形例では、ベクトルAとベクトルBを一致させた後、3DCT画像のPC面をベクトルBの軸中心に順次回転させながら、超音波3D画像のPC面との相関を順次演算する。そして相関が最も強い3DCT画像のPC面を一致した画面として設定する。以降の処理は第1の実施形態と同様である。
【0066】
[第1の実施形態の第2の変形例]
図11は、第2の変形例の動作概念を示す図である。第2の変形例は、第1の変形例をさらに一歩進め、ベクトルA、Bの一致ではなく中心ロック点39と中心ロック点49だけを一致させる。その後、3DCT画像の中心ロック点49を回転中心として3DCT画像のPC面を順次回転させながら(この場合、独立した2軸の回転となる)、超音波3D画像のPC面との相関を順次演算する。そして相関が最も強い3DCT画像のPC面を一致した画面として設定する。以降の処理は第1の実施形態と同様である。演算負荷は第1の変形例よりも大きくなるが、最初に一致させるのが点と点の一致であるためユーザの操作負荷は少なくなる。
【0067】
[第1の実施形態の第3の変形例]
図12は、第3の変形例の動作概念を示す図である。第3の変形例は、ベクトルAとベクトルBの一致に加えて、ベクトルCとベクトルDの一致を最初に行う。ベクトルCとベクトルDは、中心ロック点39(49)から第2の特徴点40a(50a)に向かうベクトルである。同一面内にある2つのベクトル同士を一致させることにより、超音波3D画像のPC面と3DCT画像のPC面とを完全に一致させることができる。
【0068】
第3の変形例は2つのベクトル同士を一致させているためユーザの操作負担はやや大きくなるものの、相関処理は不要となる。
【0069】
[第2の実施形態]
図13は、本発明に係る三次元画像診断システムの第2実施形態を示すものである。
【0070】
この三次元画像診断システム10Aの全体的構成は、図1ないし図3に示される三次元画像診断システム10とその構成および作用を同じくするので、同じ構成には同一符号を付して説明を簡素化あるいは省略する。
【0071】
第2実施形態に示された三次元画像診断システム10Aは、超音波画像診断装置19の超音波プローブ33に位置センサレシーバ(位置センサ受信手段)55を付設し、この位置センサレシーバ55を介して超音波プローブ33の3次元位置を位置センサトランスミッタ56により基準となるベッド57上で自動的に検出できるようにしたものである。
【0072】
超音波画像診断装置19の位置センサトランスミッタ56は基準となるベッド57で3DX−Y−Zの位置センサトランスミッタ座標系58を構成している。超音波プローブ33の3D位置はX−Y−Zのプローブ座標系59で把握され、この超音波プローブ33に取り付けられる位置センサレシーバ55の3D位置はX−Y−Zの位置センサレシーバ座標系60で把握される。超音波プローブ33で得られるプローブ画像は、X−Y−Zの画像座標系61に変換され、超音波プローブ33のシフト・回転操作により得られる3DCT画像は、プローブ座標系59から位置センサレシーバ座標系60、位置センサトランスミッタ座標系58を経て3DCT画像(撮像)座標系61で把握される。
【0073】
3DCT画像上の特徴ポイントPは画像座標系62からプローブ座標系59、位置センサレシーバ座標系60、および位置センサトランスミッタ座標系58を経て3DCT画像座標系61にて把握される。画像座標系62、プローブ座標系59、位置センサレシーバ座標系60、位置センサトランスミッタ座標系58および3DCT画像(撮像)座標系61は、超音波診断装置本体30内で変換処理される。
【0074】
超音波画像診断装置19に備えられる超音波プローブ(1次元アレイプローブ、4Dメカプローブあるいはリアルタイム3Dプローブ)には、図9に示すように3D位置センサ手段としての位置センサレシーバ55が取り付けられている。
【0075】
3D位置センサ手段を装着した三次元画像診断システム10Aは、代表的なワークフローは、第1実施形態に示された三次元画像診断システム10のワークフローとステップ3〜ステップ10の内容を基本的に異にするだけである。
【0076】
第1実施形態の三次元画像診断システム10のモニタ32上に、例えばその左側に3D超音波画像36(図4(A)参照)を収集し、表示する直前あるいは直後に、超音波の通常撮像であるリアルタイム2D撮像にて、位置合せ断面として適当な、超音波画像の一断面画像を撮像し、表示させる。この超音波断面の3DCT画像の撮像空間における位置および回転方向を、超音波プローブ33に装着された位置センサレシーバ(受信コイル)55(図13参照)からの3D位置センサ情報により、超音波診断装置本体30の演算制御手段により自動的に算出する。
【0077】
超音波画像の位置合せ断面の位置および回転方向の算出に際しては、図9に示す如く、3D位置センサ計測座標空間と3DCT撮像座標空間との関係(3D座標間の変換マトリクスCT)が予め知られており、両3D座標空間の相互の関係は既知であることが前提条件となる。
【0078】
簡略的には、例えば3D位置センサ55の空間(3D)座標を決める送信系の基準ベッド57との相対位置関係を予め決めておくことで、変換マトリクスCTは固定値として利用できる。
【0079】
続いて、超音波画像の位置合せ断面の位置および回転方向に基づいて、超音波断面側のCT断面に対する方向ベクトルが算出される。CT断面に対する方向ベクトルの方向と位置から超音波断面と略同一のCT断面画像が得られ、自動的に表示することができる。
【0080】
超音波断面画像とCT断面画像の2画面が、超音波画像診断装置19のモニタ32の左右に表示された段階で診断中心の回転中心と特徴ポイントとを結ぶ線を方向ベクトル線としてグラフィック表示を行い、以後のステップは、第1実施形態のステップ11以降と同様にして画像処理される。このように、3D超音波画像と3DCT画像あるいは3DMRI画像と断面比較を相対的にかつ較べながら行なうことで、癌などの疾患部位の存在/鑑別診断を効率的にかつ効果的に行なうことができる。
【0081】
[第2の実施形態の変形例]
次に本発明に係る三次元画像診断システムの第2実施形態における変形例について説明する。
【0082】
この変形例に示された三次元画像診断システム10Bは、超音波画像診断装置19の超音波プローブ33に3D方向センサ65が装着された場合の例である。他の構成および作用は第2実施形態に示された三次元画像診断システム10Aと異ならないので、同じ構成には、同一符号を付して説明を簡素化あるいは省略する。
【0083】
この変形例の三次元画像診断システム10Bの全体的構成は、図1ないし図3に示された三次元画像診断システム10と異ならない。三次元画像診断システム10Bは図9に示された三次元画像診断システム10Aの超音波画像診断装置19の超音波プローブ33に3D方向センサ65を装着したものである。
【0084】
超音波プローブ33には、一次元アレイプローブ、4Dメカプローブあるいはリアルタイム3Dプローブが用いられ、この超音波プローブ33に3D位置センサ55に代えて3D方向センサ65が装着され、取り付けられる。
【0085】
3D方向センサ65を装着した三次元画像診断システム10Bの代表的なワークフローは、第1実施形態に示された三次元画像診断システム10のワークフローとステップ3〜10の内容を異にし、他のステップは内容を同じくし異ならない。
【0086】
第1実施形態の三次元画像診断システム10のステップ3で示す超音波画像診断装置19のモニタ32上に、3D超音波画像の収集・表示の直前あるいは直後に超音波の通常撮像であるリアルタイム2D撮像の超音波画像を表示し、位置合せ断面として適当な超音波画像の一断面画像を撮像し、表示される。
【0087】
この超音波画像の超音波断面に対応する3DCT画像撮像空間における回転方向を、超音波プローブ33に装着された3D方向センサ65からの3D方向センサ情報により自動的に算出する。
【0088】
超音波画像の位置合せ断面の回転方向の算出に際しては、3D方向センサ計測座標空間と3DCT撮像座標空間との関係(3D座標間の回転マトリクス)が既知であることを前提とする。この前提条件にて、3D位置センサ65の空間(3D)座標を決める送信系のベッド57との相対関係を予め決めておくことで、回転マトリクスを固定値として利用できる。
【0089】
超音波画像の位置合せ断面の回転方向に基づいて、超音波画像断面側の3DCT断面に対する方向ベクトルが算出されるので、その方向ベクトルの方向から超音波断面と略同一方向の3DCT断面画像を自動的に表示することができる。
【0090】
また、3DCT画面のシフト操作を行なうことで、超音波断面画像とほぼ同一の3DCT断面画像を探索することができる。
【0091】
超音波断面画像とCT断面画像の2画面が、超音波画像診断装置19のモニタ32の左右に表示された段階で、診断中心の回転中心と特徴ポイントとを結ぶ線を方向ベクトル線としてグラフィック表示を行なうことができる。以後のステップは、第1実施形態のステップ11以降と同様にして画像処理が行なわれる。
【0092】
このように、3D超音波画像と3DCT画像(あるいは3DMRI画像)との断面比較を相補的に行なうことで、癌などの疾患部位の存在/鑑別診断を効率的にかつ効果的に行なうことができる。
【0093】
なお、本発明の実施形態および変形例では、比較する2つの3D画像の一方は3D超音波画像であり、他方は他の医用診断モダリティの3D画像、例えば3DCT画像、3DMRI画像の場合を示した。しかし、同一の医用モダリティ、例えば同一の超音波画像診断装置で時間的に異なる3D画像間を比較の対象としてもよい。
【0094】
例えば、1つの医用診断検査内で連続的に造影超音波3D画像を撮像する場合、RFAなどの治療効果判定を目的として治療前の造影超音波3D画像と治療後の造影超音波3D画像とを比較の対象とし、疾患部位の存在/鑑別診断をより効果的にかつ効率的に行なってもよい。
【0095】
本発明に係る三次元画像診断システムにおいては、
1.連続的に造影超音波3D画像撮像を行い、それら複数の3D画像を記録メディア20に一時保存し、その中で2つの時相ボリュームを同時表示する。
2.一方のVR画像(3DCT画像や3DMRI画像)のPC面上で疾患陰影から1点を指定しその指定点を中心点としてPC断面を回転させ、診断画像として適当な断面画像を表示させる。
3.この後、同期表示・操作機能をアクティブにして二つの時相の造影超音波3D画像上の操作は相互に同期して連動させ、疾患部位の存在や鑑別診断をより効果的にかつ効率的に行なうようにしてもよい。
【0096】
なお、特許文献2には、超音波2D画像と3D画像(例えば3DCT画像)とを対応付けて表示させる技術が開示されている。この技術では、超音波2D画像と3D画像とを対応付けるために、画像同士の位置あわせ操作が必要である他、超音波プローブの位置と姿勢を検出する位置センサが必要となる。これに対して、本発明の第1の実施形態に係る三次元画像診断システムでは、ベクトルA、Bの位置合わせと画像の微調整の操作は行うが位置センサは不要である。また、本発明の第2の実施形態に係る三次元画像診断システムでは、位置センサを用いているものの、ベクトルA、Bの設定だけで十分であり、ベクトルA、Bの位置合わせ操作は不要である。
【0097】
以上説明してきたように、上記各実施形態に係る三次元画像診断システムによれば、3次元超音波画像を用いて任意断面での局所的な超音波画像と全体的な3D診断モダリティ画像との相補的な断面比較を簡単かつ容易に行なうことができる。
【0098】
なお、本発明は上記の各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の実施形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0099】
10、10A、10B 三次元画像診断システム
11 X線CT装置
12 MRI装置
13 X線システム
14 超音波画像診断装置
15 3Dデータ収集系
16 画像処理表示系
17 ネットワーク
18 独立型画像処理表示装置
19 超音波画像診断装置
20 記録メディア(記憶媒体)
24 3次元画像表示部
30 超音波診断装置本体
31 入力手段
31a 入力装置
31b 操作パネル
32 モニタ
33 超音波プローブ
35 入力装置
36 3D超音波画像
37、47 プレーンカット(PC)面
38、48 疾患部位(疾患陰影部)
39、49 中心ロック点(回転中心)
40、50 特徴ポイント
41 画像処理表示手段
43 3D参照画像(3DCT画像,3D診断処理モダリティ画像)
44 骨を表わす領域
45 それ以外の領域
55 3D位置センサ(位置センサレシーバ、位置センサ受信手段)
56 位置センサトランスミッタ
57 ベッド(基準値)
58 位置センサトランスミッタ座標系
59 プローブ座標系
60 位置センサレシーバ座標系
61 3DCT画像座標系
62 画像座標系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元画像の収集および表示を行なう三次元画像診断システムにおいて、
被検体の疾患部位を含むボリュームデータの中から任意断面の3次元画像を表示可能な超音波画像診断装置と、
この超音波画像診断装置以外の医用画像診断モダリティからのボリュームデータの中から前記任意断面の3次元画像と略同一断面の3次元画像を表示する3次元医用画像診断装置と、
前記両画像診断装置からの複数の3次元画像または同一の医用画像診断モダリティから時相の異なるボリュームデータ間における略同一断面の複数の3次元画像をそれぞれ同期的に表示可能な画像処理表示手段と、を有し、
前記画像処理表示手段は、同期的に比較表示可能な3次元画像の各断面上に、上記各断面の回転中心を中心とする球状領域を表示する球状領域表示手段を備える、
ことを特徴とする三次元画像診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−63342(P2013−63342A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−4815(P2013−4815)
【出願日】平成25年1月15日(2013.1.15)
【分割の表示】特願2008−1532(P2008−1532)の分割
【原出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】