説明

三次元空間中におけるDNAの一本鎖次元的構築

表面を有するナノスケール立体形を提供するステップと、複数の生体高分子核酸を規則的なパターンで三次元形状の表面に結合させるステップと、を具える、生体高分子核酸の三次元(3D)アドレス可能配列を生成するプロセス。三次元生体高分子核酸は、反応性化学基を有する相補的プローブにハイブリダイズすることによって酵素活性部位擬態分子又は人工触媒を提供することができる。そのような擬態分子又は触媒は、バイオ燃料及びその他の産業において存在し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物高分子核酸の三次元的にアドレス可能な配列、及び、そのような配列を生産するための工程に関する。そのような配列は、触媒酵素を提供するための相補的な化学的反応性プローブによって官能化され得る。
【背景技術】
【0002】
本出願は、下記出願:2007年3月15日に提出された米国仮特許出願第60/918,144号;2007年8月30日に提出された米国仮特許出願第60/969,154号;2007年11月6日に提出された米国仮特許出願第60/985,961号;2007年11月6日に提出された米国特許出願第11/936,045号;2008年2月28日に提出された米国仮特許出願第61/032,118;2008年3月14日に提出されたPCT出願PCT/US08/57013;2008年4月10日に提出された米国仮特許出願第61/043,981号;2008年4月23日に提出された米国仮特許出願第61/047,201号;2008年4月29日に提出された米国仮特許出願第61/048,599号に関連する。これらの各文献は、ここで言及することによって組み込まれている。ここで引用された参考文献は、本発明の理解を助けることができ、ここで言及することによってすべてが組み込まれている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、ナノスケールの生産型枠として用いることができる三次元(3D)基材に結合した生体高分子核酸のアドレス可能な配列を生成する工程に関する。生体高分子核酸は、DNA、PNA、RNA又はLNAで構成されていてもよい。生体高分子核酸は、ディップペンナノリソグラフィ、フェムト秒のレーザーによって伝達される犠牲層によるパターニング、表面のあらかじめ形成された溝又は凸部へのレーザー伝達によるリソグラフィ、又は、不規則輪郭を有する表面を超えて磁気的に伝達される配列を用いて基材に結合することができる。生体高分子核酸は、金属(例えば金)、プラスチック、及び/又は、ポリマー基材に付着することができる。アミノ酸などの種々の分子が三次元的にアドレス可能な型枠に結合することができる。活性化された型枠は、触媒又は酵素活性部位擬態体として使用可能である。型枠は、組み合わせ化学によって新規な触媒を生成するために用いることができる。
【0004】
本発明は、積層形成を用いて、三次元基材に結合した生体高分子核酸のアドレス可能な配列を複製する工程であって、その複製される配列が平面スタンプ又はローラに移される工程にも関する。代替的に、この複製プロセスは、加圧成形を用いるステップを具えていてもよい。このステップにおいては、空気袋として形成された弾性物質中に圧力が加えられてもよいし、又は、弾性材が膨脹して、環境の変化(試薬の添加、加熱など)によって複製される配列と相互作用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
組み込まれて本明細書の一部を構成している添付図面は、明細書と共に本発明を図示し、本発明を記載している。図面において、同一の要素は、同じ番号で示されている。
【図1A】図1Aは、セルロースミクロフィブリルに関するセルラーゼ進捗の略図である。
【図1B】図1Bは、1本鎖DNAの軸方向に配列され、官能化されたプローブとハイブリダイズされた合成グリコシドヒドロラーゼ(E1エンドグルカナーゼ疑似分子)型枠の略図である。図1Bは、サイズ比較用のセルロースオリゴマーも示している。
【図2】図2は、シリンダ、鋭い(矢印で示されている)溝、裂溝/クレーター、及び、複合螺旋を含むナノスケールリソグラフィによる製作が容易な例示的な酵素活性部位様マスター形状の略図である。
【図3A】図3Aは、規則的な二次元パターンで配列された1本鎖DNAの略図である。
【図3B】図3Bは、三次元単変量鋳型の上にリトグラフされた1本鎖DNAの略図である。金のテンプレートユニットの静電位を管理するために用いられる導線が示されている。
【図4】図4は、リフトオフ生産の一本鎖次元的構築に特異的な変形の略図である。
【図5】図5は、テンプレート及び型枠のNILベース生産に用いられる代表的鋳型の略図である。図5Aは、半球形状の鋳型のローラ式配列である。図5Bは、円錐台形状の鋳型の平面スタンプ型配列である。
【図6】図6は、テンプレートからの三次元型枠作成の略図である。
【図7】図7は、マスターからの弾性テンプレート材料を用いた三次元テンプレートの作成の略図である。
【図8】図8は、マスターからの膨張性テンプレート材料を用いた三次元テンプレート生成の略図である。
【図9】図9は、例示的な一本鎖次元的構築触媒の略図である。
【図10】図10は、螺旋形状及び溝形状を有する一般的な触媒型枠の構築の略図である。
【図11】図11は、例示的な一本鎖次元的構築(登録商標)「Catalyst−on−a−Chip」の略図である。
【図12】図12A−図12Cは、自動制御(cybernetization)を可能にするための技術の略図である。
【図13】図13は、生体酵素の単量体成分の大部分を示す20個の天然アミノ酸の略図である。
【図14】図14A−図14Cは、開示の範囲内の触媒作用の略図である。
【図15】図15は、金の表面に曲線パターンでリトグラフされた持続性の1本鎖DNAで構成された例示的マスター形状の略図である。
【図16】図16は、DPNスポットされたレセプタポイントに反復的に固定され、カルテシアンパターン(cartesian pattern)を作るようにテンプレート形状の上で直線的に伸長された1本鎖DNAの略図である。
【図17】図17は、SA又はアンチDIGによる機能化によって、犠牲層の上に、Fsecレーザーで除去した位置に反復的に固定され、マスター形状の上で直線的に伸長された1本鎖DNAの略図である。
【図18】図18は、二次元面及び三次元マスター外形の上のFsecのレーザーで除去した位置に反復的に固定され、あらかじめリトグラフされた溝の内に曲線的に又は直線的に伸長された1本鎖DNAの略図である。
【図19】図19は、直鎖ベクトル磁力線による、Fsecレーザーでリトグラフされたアンカーポイントから溝又は凸部内に移行する閉じ込めトンネル中への1本鎖DNA鎖の伸長の略図である。
【図20】図20は、磁界中で容易に移動するコロイド状封入物から解けて分解することによる、リトグラフされた金の上への、ホスホロチオエートで修飾された1本鎖DNA鎖の伸長の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明を実行するための様式及び産業上の利用可能性
パートI.一本鎖次元的構築
一本鎖次元的構築(Single Strand Construction)(本明細書において「一本鎖次元的構築(ssDC)」とも呼ばれる(ここで、「一本鎖次元的構築(Single Strand Construction)」及び「一本鎖次元的構築(ssDC)」は、いずれもIncitor LLCの商標である。)は、三次元(3D)空間中の物理化学的機能性を解決するために、及び、分離した分子の特定の配置を必要とするナノスケール三次元構造の開発及び生産のために、1本鎖DNA及びナノスケール形態を用いて、触媒及びその他の生成物を提供する。不均一触媒作用、ポリマー動態、多面的有機合成、超分子の構築、マイクロアレイ、及び、定向進化/組み合わせ化学(DE/CC)の態様を組み合わせると、一本鎖次元的構築は、種々の製品の大量生産を可能にする。具体例には、ほとんどすべての既存の酵素を複製及び改善する能力、及び、触媒作用の新しい様式の発見が含まれる。
【0007】
一本鎖次元的構築(ssDC)は、一本鎖テンプレート製造工程(本明細書において「SSTM」とも呼ばれる「SSTM」及び「一本鎖テンプレート製造(Single Strand Template Manufacturing)」は、いずれもIncitor LLCの商標である。)に基づくものであり、テンプレートされた様式で、疑似分子ペプチド、バイオポリマー及び別の分子の構築物をDNAから直接的に合成することができる。一本鎖テンプレート製造工程により、DNAアドレスの高密度配列は、幾何学構造的正確性で二次元(2D)表面に固定され、型枠を製造するものとして機能する。その合成は、固相上のDNAと大量の液相中において重合される単量体成分との間の安定な界面を介して生じるハイブリダイゼーション及びカップリング化学によって容易になる。
【0008】
一本鎖次元的構築における生産型枠形状が2D(又は「平面」)の幾何学構造に限定されておらず、合成後に最終生産物がテンプレートから脱離することが必須ではないので、一本鎖次元的構築は、さらなる次元が有利な条件下において上記機能を発揮するオプションを与える。結果として、三次元型枠は、例えば、トポロジーによって容易にされる多面的合成、立体特異的に配置された成分を有する超分子生成物の底部から頂部までの集合体、及び、酵素様機能を発揮する触媒中心などの、数多くの生成物及び工程の基礎としても機能し得る。
【0009】
これらの具体的用途の第3のものである、酵素を模倣する型枠の生成又は生体から着想を得た不均一触媒は、ここにおいて詳細に記載されている。本明細書に記載されている技術及び方法は、全般的技術及びその用途の例示のみが目的である。
【0010】
触媒を生成する工程として一本鎖次元的構築を用いる例
本発明の用途の一例は、生産テンプレート、及び、バイオ燃料産業用に有用な酵素によって着想を得た幾何学構造を有する触媒型枠を開発することである。大部分のセルラーゼ及びその他のグリコシドヒドロラーゼは、基材を認識し、結合し、位置づける溝様活性部位内において大部分はその機能を発揮し、中間体の形成を安定化及び促進し、さらに、一般的には発酵性糖である生成物を生成及び放出する(G. J. Davies and B. Henrissat, "Structures and mechanisms of glycosyl hydrolases," Structure 3, 853 (1995)を参照されたい)。本発明は、その構築においてさらに弾性のある材料も利用しながら、この幾何学構造及び官能性を模倣することができるナノスケール触媒の優れた構築を可能にする。
【0011】
図1は概念を図示している。図1Aは、セルロースミクロフィブリルについてのセルラーゼ工程管理を示している(米国エネルギー省のパブリックドメイン画像、Oak Ridge National Laboratory, ORNL Review 40(1), 2007年)。図1Bは、1本鎖DNAの軸方向に配列され、官能化されたプローブとハイブリダイズされた合成グリコシドヒドロラーゼ(E1エンドグルカナーゼ疑似分子)型枠を示している。サイズを比較するためにセルロースオリゴマーが型枠の上に示されている。
【0012】
一本鎖次元的構築を用いて触媒を生成する工程は、下記工程:a)活性酵素の幾何学構造及び/又は結合部位を模倣するナノスケールの寸法を有する形状を作成するステップと、b)1本鎖DNAを反復可能かつ予測可能な方法でナノ形状に結合させるステップと、c)選択的に、量産技術を用いて、これらの1本鎖DNAが含浸したナノ形状を複製するステップと、d)アミノ酸などの様々な分子に結合している相補的1本鎖DNA配列をナノ形状の特定位置に結合させることによって、1本鎖DNAが含浸したナノ形状を官能化するステップとを具えていてもよい。
【0013】
これを説明する目的で、ステップa)及びb)から生じる1本鎖DNA含浸ナノ形状は、「マスター」と称されている。これらのマスターの鏡像は、「テンプレート」として知られている。様々な対象分子に結合した1本鎖DNA配列で官能化されたマスターの正確な複製は、「型枠」として知られている。当然のことながら、マスターが最終的に官能化されると、マスターは、型枠にもなり得る。
【0014】
「ポリ核酸塩基」又は「生体高分子核酸」という用語は、モノポリマー(均一の単量体)、不均一単量体(すなわち、デオキシリボヌクレオチドと核酸塩基のアミノ酸とのコポリマーであって、約0.5nmのスペーシング及び塩基の積層能力を保持しているもの)又はハイブリッド重合体の組合せの、1本鎖DNA、RNAの1本鎖、PNA又はLNAを意味する。本発明の一例として、「1本鎖DNA」という表記は、本明細書において、テンプレートのリソグラフィにおける相補的生体高分子として用いられるための、マスターの上への永久的付着のために修飾された上記生体高分子核酸の任意のものを示すように用いられる。
【0015】
マスターの生成
マスターを作る工程は、凹面又は凸面の三次元ナノ形状の形成で始まる。これらのナノ形状は、限定されるものではないが、電子ビームリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ、及び/又は、ディップペンナノリソグラフィを含む数多くの様々な方法で作成することができる。この例として、三次元パターン転写ナノインプリントリソグラフィによって作成される溝型の凹部(Y. S. Kim et al., "Three- dimensional pattern transfer and nanolithography:modified soft molding," Appl. Phvs. Lett. 81, 1011 (2002)を参照されたい)、又は、硬い鋳込材料の上の犠牲層の選択的除去によって、正確な鋳型形状、サイズ及び分離距離(±10nmまで)の配列を作ることができる光若しくは電子ビームリソグラフィ工程 (S. Y. Chou et al., "Sub 10 nm Imprint Lithography and Applications," J. Vac. Sci. Technol. B 15(6), 2897 (1997)を参照されたい)が想定される。その工程は、本明細書に記載されているすべてのステップを行わなくても(例えば、マスターを官能化することによって、触媒を直接的に作ってもよい)完結することも可能である。また、例えば、凹形状ではなく凸面から開始するように逆にすることも可能である。溝の形状及び寸法の正確な決定においては、酵素の活性及び/又は結合部位からの測定値を用いることができ、コンピュータによって生成した酵素の活性部位のモデルを用いることができ、又は、容易に入手可能な形状によってその形状を単に決定することができる。その形状の最終生成物バージョンは、触媒作用模倣のための物理化学基によって官能化され得る。次いで、これらの同一形状の配列は、Si(100)又はSiO(多数ある例のうちの2つ)などの表面に、又は、光若しくは電子ビームリソグラフィ及びその他の方法によってその他の材料にに作り上げることができ、次いで、タッピングモードの原子間力顕微鏡(AFM)、走査電子顕微鏡、又は、トポロジーを確認するためのナノスケール可視性のその他の顕微鏡検査によって品質チェックされる。
【0016】
図2は、ナノスケールリソグラフィによる製作が容易な例示的な酵素活性部位様マスター形状を示しており、シリンダ22、(矢印で示されている)鋭い溝24、溝/クレーター26及び複合螺旋28が含まれる。
【0017】
同一形状の配列が一面の上に合成されれば、末端触媒を官能化するのに用いた下記の工程に応じて2つの工程のいずれか1つが生じ得る。1)これらのマスター形状の積層は、低い固有粘度及び小さい気泡サイズの空間充填ポリマーによって行うことができる(G. H. Cross et al., "Refractometric discrimination of void-space filling and swelling during vapour sorption in polymer films," Analyst 125, 2173 (2000)を参照されたい)。流し込みの後、紫外線又はその他の方法によって重合を開始させることができる。これらの硬い流し込み永久鋳型は、さらなるマスターの逆生産、又は、エンドユーザ型枠の大量生産に用いることができる。あるいは、2)1本鎖DNAを、「マスター」と呼ばれる形状の配列に加えることができる。
【0018】
触媒の生成が形態の導入の分離及びその後のDNAの追加を必要とするときに、第1の工程が用いられる。形状を導入するために1本鎖DNAを有しないマスターが用いられる。次いで、1本鎖DNAを有するマスターがDNAをその形状に加える。
【0019】
触媒製造において形状とDNAとが同時に適用されるときに、第2の工程が用いられる。マスターに1本鎖DNAを加えるこの第2工程は、本明細書のパートIIIにより完全に記載されているが、1本鎖DNAを加える使用可能なオプションのいくつかには以下:(i)ディップペンリソグラフィ(ナノスケール針は、静電気及び界面作用によってDNAを整列及び伸長させる)、(ii)転送不確実性を低下させる、あらかじめ形成された溝又は凸部の上へのレーザーによるパターンリソグラフィ、及び/又は、(iii)DNAの末端に付着した影響を受けやすい質量に影響する領域の直鎖部分を用いて伸長させたDNAの磁界パターニングが含まれる。合成DNAは、テンプレートとの共有結合を形成するように化学修飾されてもよく、最終生成物の高密度のアドレス可能な配列を作るために隣接して(10nmのスペーシング)を加えられてもよい。作成されるパターンは、曲線状又はカルテシアンであってもよく、予測可能な位置特定を容易にし、物理化学的機能及び触媒作用プロフィルの動的モデリングを単純化する。
【0020】
図3は、参考文献として載っている刊行物に記載されている、塩基パターン化アプローチによる一本鎖次元的構築に特異的なバリエーションの例を示している。図3Aは、規則的な二次元パターン(L. M. Demers et al, "Direct Patterning of Modified Oligonucleotides on Metals and Insulators by Dip-Pen Nanolithography," Science 296, 1836 (2002)を参照されたい。)で配列された1本鎖DNA31、32、33及び34を示している。図3Bは、三次元の単変量球状鋳型(例えば、チタン37の上に積層した金36)(C. M. Waits et al., "Microfabrication of 3D silicon MEMS structures using gray-scale lithography and deep reactive ion etching," Sensors and Actuators A 119, 245 (2005)を参照されたい。)の上にリトグラフされた1本鎖DNA35を示している。金のテンプレートユニットの静電位を管理するのに用いることができる導線38及び39も示されている。
【0021】
マスターを構築すれば、3つの方法の1つにおいてそのマスターを用いることができる。1)1本鎖DNAを有していなければ、そのマスターをナノ形状の複製に用いることができる。2)1本鎖DNAを有していれば、そのマスターを、1本鎖DNAによって活性化されていないマスターによって作られる形状の上で、1本鎖DNAのグリッド(及びおそらくはその形状)を複製するために用いることができる。あるいは、3)1本鎖DNAを有していれば、そのマスターは、マスターに結合したマスターを官能化する相補的プローブを有していてもよく、それを「型枠」又は官能化された一本鎖次元的構築生成物に変える。
【0022】
高速生産及び低い生産コストの要求により、マスターを用いてテンプレート及び最終的には型枠を生成する数多くの方法が存在する。これらの方法の例には、積層形成形及び加圧成形が含まれる。それぞれを以下に詳細に記載する。これらの用語は、そのような用語を用いるこの明細書以外に存在し得る任意の工程を意味するようには意図されていない。以下のセクションにおいては、テンプレート及び型枠を生成するための「積層形成形」及び「加圧成形」技術を説明する。
【0023】
積層形成形
積層形成形においては、2つの異なるマスターを用いることができる。第1のものは、形状のみを有するマスターからなる。このマスターはソフトポリマー材料の上に積層され、このポリマーは紫外線又はその他の方法によって硬化され、テンプレートは垂直上昇によって除去され、縮小した量でオリジナルマスター形状を生成する。
【0024】
図4は、引用刊行物にに記載されている基本的テーマによる一本鎖次元的構築に特異的なバリエーションを構成する垂直上昇生産を示している(P. W. Snyder et al., "Biocatalytic Microcontact Printing." J. Org. Chem. 72, 7459 (2007)、及び、Duke University Office of News and Communications, Sept. 2007参照)。成形形状42を有するテンプレート41は、アドレスヌクレオチド43とハイブリダイズし、次いで、ポリマー型枠44の上に押しつけられて、積層内でプローブ1本鎖DNA45を放出し、鏡像相補的アドレスを保持する。
【0025】
1本鎖DNAは、1本鎖DNAが付着したマスターを用いることによって、これらの成形されたテンプレートに加えられ得る。テンプレートのアドレス可能な配列を形成するように意図された相補的なDNA又はPNA(ペプチド核酸)は、1本鎖DNAを有するマスターにハイブリダイズして、パターン転写用に後者を「印を付ける」ことができる。マスターの上に配置されたDNAに対して相補的な核酸塩基配列、及び、マスターの上に配置されたDNAの鏡像は、テンプレートとして大量生産可能である。
【0026】
ほとんどの場合、テンプレートは、ローラ式テンプレートから、又は、ブランクテンプレートを1本鎖DNAを有するマスターと再整列することによって、スタンプ及び剥離の鋳型によって作成可能である。図5は、引用刊行物に記載されている基本テーマによる一本鎖次元的構築に特異的なバリエーションを用いた、テンプレート及び型枠のNILベース生産に用いることができる代表的な鋳型を示している。図5Aは、半球形状の鋳型のローラー式配列を示している(H. Tan et al., "Roller nanoimprint lithography" J. Vac. Sci. Technol. B 16(6). 3926 (1998)を参照されたい。)。図5Bは、円錐台形状の鋳型の平面スタンプ型配列を示している(S. Diegoli et al., "Engineering nanostructures at surfaces using nanolithography," Proc. Inst. Mech. Eng. G: J. Aerospace Eng. 221 (4). 589 (2007)を参照されたい。)。
【0027】
テンプレート1本鎖DNA又はPNAの移動を容易にし、かつ、マスターの再利用性を保持するために、リトグラフされた1本鎖DNAを、例えば、金の上のホスホロチオエートの結合、又は、シロキサン官能化された硬流し込みSi(100)の上のアミン1本鎖DNA骨格を介して、共有結合によってマスター材料に結合させることができる。さらに、鏡像パターン及びテンプレートの部位特定可能性を保持する態様でポリマーをテンプレートの上に移すこと(すなわち、「核酸塩基上昇」)は、以下:温度、マスター表面エネルギ及び電位の変化、UV又はその他の重合方法、回転対垂直上昇テンプレーティング、溶媒和、潤滑(摩擦)、機械並びにその他の要因によって容易なものにすることができる。型枠は、1本鎖DNAを有するマスター及び1本鎖DNAを有しないマスターに代えて、1本鎖DNAを有するテンプレート及び1本鎖DNAを有しないテンプレートを用いことを除き、テンプレートと同じ方法で作成可能である。
【0028】
図6は、三次元テンプレート及び型枠の両方のための1本鎖DNA移動の方法を図示している。この図は、金のテンプレート64の上にリトグラフされた、ホスホロチオエート骨格を有する1本鎖DNA62を示しており、型枠66からの垂直上昇の後に、相補的な位置にDNA又はPNA68を残す。
【0029】
加圧成形
マスターをテンプレート及び/又は型枠に複製するための他の1つの例示的方法は、特定の条件下において伸縮性又は膨脹性であるソフトポリマー又はその他の材料を用いる。マスターは、側方動を制限された容器内に入れられてもよい。テンプレートのアドレス可能な配列を形成するように意図された相補的なDNA又はPNAは、1本鎖DNAを有するマスターにハイブリダイズして、パターン転写用に後者を「印を付ける」ことができる。
【0030】
次いで、ソフトポリマー又はその他の弾性若しくは膨張性材料を、容器内に加えることができる。材料が弾性であれば、弾性材料を空気袋として構成することができる。空気袋の外表面は、1本鎖DNAに永久的に結合するように調製されていてもよい。弾性の空気袋の内部に圧力を加えて、材料が容器のサイズを膨脹させ、マスターの形状に付着させ、あらかじめマスターにハイブリダイズされた相補的DNAを捕捉することができる。次いで、弾性材料は、UV硬化又はその他の工程などの、固有の特性に対して適切な方法によって凝固されてもよい。材料が膨張性であれば、圧力を加えることを除いて、同じステップを行うことができ、膨脹を生じさせる条件(例えば、温度変化、pH変化など)を材料に導入して、マスターの形状に付着して、1本鎖DNAを捕捉することができる。
【0031】
図7及び図8はこれらの方法を実証する。図7は、弾性空気袋を用いた、マスターからの三次元テンプレート生成を示している。圧力によって、テンプレート弾性材料が膨脹して、マスターの形状を呈し、あらかじめマスターの上に置かれた相補的1本鎖DNAに結合する。テンプレートが相補的1本鎖DNAに結合した後、テンプレートを剥離させることができる。図8は、膨脹性材料を用いた、マスターからの三次元テンプレート生成を示している。環境の変化によって、テンプレート膨張性材料が膨脹して、マスターの形状を呈し、マスターに置かれた相補的1本鎖DNAに結合する。次いで、テンプレートを剥離することができる。
【0032】
型枠の製造は、テンプレート製造と同じ方法で行うことができる。テンプレートは、型枠の構築用のマスターの代わり用いることができる。必要に応じてこれらの工程を何度も繰り返すことによって、所望の数の型枠を作成することができる。
【0033】
型枠の触媒への活性化
一本鎖次元的構築型枠は、何十億ものコピーを複製することができるナノメートルレベル精度にパターンされたDNA又はPNAを有するナノスケール三次元高密度位置特定可な配列とみなすことができる。型枠の形状によって触媒様酵素に変換されやすくなるのは、一部において、それらが活性部位のサイズ及び形状に似ており、アドレス可能なDNAが、反応性化学基を有する相補的プローブと共にそれらの形状を「活性化する」能力を与えるからである。ハイブリダイゼーション時に、これらの基は、型枠内で、マスター形状の作成において初めに模倣された酵素の触媒作用を容易にする活性部位アミノ酸の直交側鎖に類似した位置において局在化させる。
【0034】
触媒作用工程(型枠アドレスにハイブリダイズする、化学基とプローブとの間のリンカーによって提供される機能)において生じる構造変化、表面エネルギ、摩擦、溶媒和、及び、触媒作用に重要なその他の要因を説明するために、現在のところ、活性化された型枠は、洗浄したセルロース酸又はアルジック材料(algic material)に結合し、移行状態の形成を安定化及び触媒し、天然セルラーゼ(グリコシドヒドロラーゼ)及びアルギナーゼ(トランスエステラーゼ)のような分解した糖を放出する能力を有する一本鎖次元的構築生成物である。
【0035】
ナノインプリントポリマーリソグラフィは、もとはマイクロプロセッサー産業のために開発されたものであり、使用することによって与えられるさらなる利益は、例えば、活性化された型枠の特定部分の空間的構造を移動、振動及び/又は変更するナノスケールアクチュエータを介して、酵素活性部位移動を容易にする、電気的、磁気的、光学的、及び、その他のシステムの選択的な組み込みである。触媒作用プロファイルにおいて、酵素活性部位フレキシビリティは、基材結合、転移状態形成、生成物放出、及び、その他の活性の重要部分である。その不存在は、効率的な触媒作用を阻害し、活性部位を「固定不均一触媒」にする(E. Z. Eisenmesser et al, "Enzyme Dynamics During Catalysis," Science 295 (5559).1520 (2002);M. Karplus and J. Kuriyan, "Molecular dynamics and protein function." Proc. Natl. Acad. Sci. 102(19). 6679 (2005);A. Kohen and J. P. Klinman, "Enzyme Catalysis: Beyond Classical Paradigms," Ace. Chem. Res. 31,397 (1998);及び、C-L Tsou, "Active Site Flexibility in Enzyme Catalysis," Annal. NY Acad Sci.864, 1 (1998)を参照されたい。)。
【0036】
図9は、三次元空間における化学機能性及びマイナスに帯電したホスホロチオエート(P)若しくは中性(N)骨格96による単純摩擦を可能にする、キメラアミノ酸DNAプローブ94と共に、マスター又は型枠の形状66の単純化された活性化を図示する例示的な一本鎖次元的構築触媒92を示している。
【0037】
指向及びランダム進化による組み合わせ開発
生成物DNA又はPNAは、弾性材料への永続的な取りつけによって無期限に再利用可能になるので、DE/CCを型枠の上で行って、所定形状による何十億もの組み合わせのバリエーションを作成することができ、また、ビームリソグラフィによって数多くの様々な形状が可能である。例えば、クロスハッチパターンの上にリトグラフされた8個(8)のみの異なる1本鎖DNA鎖で構成された表1に示されている単純型枠は、40個(40)のユニークなアドレス位置を可能にする。これらの各アドレスは、12個の(12)化学機能の1つのみをそれぞれを有するオリゴマーの小さいプローブライブラリにハイブリダイズすることができ、1つのみの位置(例えば3’末端)でリンクされる。したがって、ランダム展開のこの最も単純な試みでさえ、4012又は1.68E+19の異なる組み合わせをもたらし、いくつかが有用な触媒になる確率を増大させることができる。

表1 40量体の型枠によって与えられる組み合わせバリエーション、及び、単官能性の、単独でリンクされた各アドレス用の40×12量体のプローブライブラリ
【0038】
「ランダム」展開によって提供される手段は、間にある骨格中のPNAプローブのいずれか末端に、又は、複数の位置に直交化学機能性を配置され得るという事実によってさらに示される。さらに、いくつかの官能性を同じプローブ分子(自己反応性であれば、適切な保護基は、PNAデザインの一部でなければならない)に配置することができる。また、プローブに直交化学作用を接合させるために用いられるリンカーのタイプは、フレキシビリティを促進し、かつ、触媒作用を最適化するように修飾されてもよい。直交官能基の非存在下でさえ、PNAのアミド骨格並びに1本鎖DNA及びRNAのジエステル骨格は、型枠のその部分に、規定の電荷、電荷密度、及び、したがって、表面エネルギを提供するために合成的に修飾されてもよく、溶媒和、対イオン、双極子モーメント、動的溶解性/摩擦、及び、触媒作用の多の重要な特徴の管理を提供することができる。
【0039】
その一方で、酵素を模倣する触媒を作成しようとする試みは、以下に限定されるものではないが、活性部位設計及びバイオ触媒作用プロファイルから着想が得られる。もっぱら確率の力に依存するのではなく、タンパク酵素によって与えられる幾何学構造的及び化学的テーマのさらに微妙なバリエーションは、公知の触媒性工程であって、それ自体がアミノ酸骨格の特定配列をベースとし、三次元空間中において動的に移動したものを最適化することを保証することができる(R. Chakrabarti et al, "Sequence optimization and designability of enzyme active sites." Proc. Natl. Acad. Sci. 102(34). 12035 (2005)を参照されたい。)。触媒作用プロファイルのコンピュータモデリングは、結合から放出まで、タンパク酵素に対する一本鎖次元的構築(商標)触媒の以下の例示的改善:(i)(表面エネルギの管理、及び、したがって、レセプタ領域に対する「粘性」を通じて)基材結合親和性を増大させること、(ii)アミノ酸のアスパルテート(Asp)及びグルタメート(Glu)がセルロース中のD−1,4−グリコシド結合の酸触媒された加水分解を実行できることがすでにわかっている、より強い直交酸性官能を置くこと、及び/又は、(iii)加水分解に寄与する金属補因子を可能にするが、天然セルラーゼでは作用しないようにして全体的反応をスピードアップさせるように型枠形状を修飾すること、を可能にするように変えられてもよい。当業者は、本発明によって可能になるその他数多くのオプションを理解するであろう。
【0040】
いくつかの最終生成物は、例えば、(i)その上で基材が頑強又は「固い」ものとなるもの、(ii)酸性であり、基材に又は互いにダメージを与えるもの、及び/又は、(iii)金属で不可逆的に汚染されたものなど、望ましくないため、そのような努力は、鋭意にかつ設計意図と共に行うことができる。しかしながら、上述したように、発見モードにおけるランダムな開発(大部分が予想通り不良品である)及び方向性のある開発(最初に実証された経路のみによって酵素モデルから逸脱するが、有用な超生物触媒作用経路が発見されると、次第により個別に進化する)の両方を反復して用いて、改良された生成物を作成することができる。この工程は、これらの努力にもかかわらず特有の限界があるタンパクベース酵素の遺伝子操作、生産、精製、試験及び認可によって期待されるよりも、速く触媒を開発及び発見することができる。
【0041】
方向性のある開発とランダムな開発、並びに、組み合わせ化学は、自己対非自己認識機能の一部として人体によって作られる数多くの物質を含む、ほとんどすべての抗原に結合する抗体を免疫系がどのように作るかといったことに合わせて用いることができる。例えば、大部分のタンパク抗体分子は、ほとんど普遍的な「Y」形状を保持しているが、外因性及び内因性の物質を認識する超可変領域は、タンパクの超可変領域がプログラムされている遺伝コードの、方向性のあるもの(外因性の抗原に遭遇する場合)とランダムなもの(システム傷害を直ちに確認することができない場合)との組み合わせ混合の両方によって、およそ1023のモル数のバリエーションを作るように誘導され得る。どの方法であっても、開発のどの位置であっても、有用であり、一本鎖次元的構築のDE/CC態様は、できるだけ短い時間で顧客のニーズを満たすように用いられ得る。
【0042】
組み合わせバリエーションに対して適用可能な一本鎖次元的構築(商標)触媒によって利用可能なパラメータは、以下のものが含まれる。
・型枠サイズ、形状、表面改質及び材料
・配列された核酸塩基アドレスのパターン及び密度
・高密度のアドレス可能配列の組成物:1本鎖DNA、RNA、PNA及びこれらの混合物
・直交化学機能:アミノ酸、超自然的(例えば有機)化学
・保護基の存在、不存在及び傾向
・プローブ上の化学機能の位置:末端、中間、及び、これらの混合
・表面電荷を管理するための、プローブ上の単一若しくは複数の官能性又は官能性がないこと
・長さ、剛性、サイズ、双極子モーメント、リンカー基の親水性/疎水性
・プローブ骨格:リン酸ジエステル、ホスホロチオエート、アミン、ヒドラジドなど
・電子的、磁気的、及び/又は光学的システムとの統合
・超生物的条件での水性、有機、界面の触媒作用:極端な温度、、pH、pl、イオン性塩、金属イオン、高せん断力、並びに、液体、固体及びコロイド状の相中への統合。
【0043】
方向性のある開発による新規な触媒作用発見
バイオ燃料市場用に次第によりよい「疑似分子酵素」を作るのと同様に、本発明は、特定のいかなる生物学的前駆物質にも由来しないが、種々様々の触媒工程を行なう能力を有するように幾何学構造が作られた型枠形状の開発を可能にする。そのような普遍的触媒型枠(UCP)は、上記化学機能及び上記アミノ酸によって活性化された核酸塩基プローブ(1本鎖DNA、RNA、PNAなどから作られた)のDE/CCライブラリを導入する一方で、一本鎖次元的構築技術に基づいたものであってもよい (D. R. W. Hodgson and J. M. Sanderson, "The synthesis of peptides and proteins containing non-natural amino acids," Chem. Soc. Rev. 33, 422 (2004)参照されたい。)。完全に非生物的な生成物の巨大ライブラリのこの組み合わせの生成は、より低い温度において機能し、かつ、タンパクベースの酵素によって可能なよりもより新しくより単純な触媒作用プロファイルを与える、より強くより効率的な触媒を反復的に生産することができる。この発見工程は、本明細書において「物理的指向開発(Physical Directed Evolution)」(PDE)と称されている。
【0044】
例示的方法は、長手方向に配列された周辺DNA鎖及び小さなプローブライブラリを有する円錐形状を用いることができる。図10は、螺旋形及び溝の幾何学構造:(a)円錐形の鋳型でスタンプされた材料の内側に配列されたアドレス1本鎖DNA;(b)プローブオリゴマーによる「活性化」の前の各UCPユニット;(c)活性官能で末端修飾されたオリゴマー(1本鎖DNA、RNA、PNA)のライブラリ;(d)末端修飾されたオリゴマーとのハイブリダイゼーションによって「活性化された」各UCPユニット;(e)異なるオリゴマーによるハイブリダイゼーションによって異なる方法で活性化された2つのUCPユニット;(f)鋳型から切り取られて完全な螺旋を保持する完成活性化UCPユニット;及び、(g)鋳型から切り取られて単変量球状溝を形成する完成活性化UCPユニット、を有するUCPの集合体を示している。
【0045】
新規な超生命触媒作用プロファイル及びシステム統合
PDEにより、三次元触媒(形状、DNAパターン、リンカー戦略、化学機能、及び、上に一覧されているその他のパラメータを反復的に理想的にすること)を生成し、認証を得て、試験し、再考し、デザインを変更し、複製するための複数のラウンドは、次第に改良された生成物を提供できるだけでなく、タンパクベース酵素では不可能な触媒作用のこれまでに知られていないモード及びプロファイルの発見を可能にする。さらに、表面エネルギ(これが電荷、溶媒和及び摩擦を決定する)及び電磁気(EM)フィールドによって誘導可能な空間的構造などの型枠品質は、純粋生体分子では不可能な方法で操作され得る。
【0046】
示唆されているように、プローブオリゴマーに反応化学性及びその他の機能を付与えるリンカーは、基材の存在に反応するときに酵素活性部位において生じる構造変化を模倣し、また、触媒作用プロファイル中に中間体及び生成物の生成を容易にするように意図されている。一本鎖次元的構築が提供する潜在的に上の方法は、基材、中間体又は製品の共用接点中にいるときに、また曲がり緩み、開き、閉じて、延在し、収縮する電気活性ポリマー基礎による構造変化を可能にすることである。
【0047】
例えば、型枠は、共振圧電性結晶に対して、及び、規定のEM頻度に構造的に適合した材料でできたポリマーブロックに対して配列された伝導性チャネルによって作成されてもよい。これは、基材と接触したこと(又は、定電流を想定しているデフォルトモードにおいて定常的に振動する)を感知したときに、疑似分子活性部位の1つ以上の部分が振動するようにできる。これは、まず、模倣されるグリコシダーゼ中の触媒性残基及び活性部位部分の移動と同じ頻度及び時間でセットされてもよい。後の頻度、振幅及び幾何学構造は、触媒を統合する意図で最適化された工業的プロセスと組み合わされて、触媒反応速度を最適化するために変更してもよい。電気活性ポリマーをベースとするマイクロプロセッサーを作る適切な方法に基づいて、フィードバック及び制御系への一本鎖次元的構築触媒の統合は、構造変化及びリアルタイムモニタリングを可能にし、方向性のある開発及び発見をベースとする工程において最も有望な候補を同定するのを支援することができる。
【0048】
図11は、例示的なssDC(商標)「チップ上の触媒」を示している。その三次元形状は、官能性、位置、リンカー、摩擦及び幾何学構造のためのDE/CC最適化され得る。例えば、電気入出力用リード112、電気活性高調波アクチュエータアンダー対向残留ブロック114、及び、光学リンクされた中心116が示されている。
【0049】
図12は、引用刊行物に記載されている基本テーマの一本鎖次元的構築に特異的なバリエーションを用いた、自動制御を可能にする技術を示している。図12Aは、直交の下層の上にリトグラフされた多成分(121、122及び123)配列を示している(L. J. Guo, "Nanoimprint Lithography: Methods and Material Requirements," Adv. Mater. 19, 495 (2007); and P. Choi et al, "Siloxane Copolymers for Nanoimprint Lithography," Adv. Func. Mater. 17, 65 (2007)を参照されたい。)。図12Bは、リトグラフされたディスクの上へのポリマーの二重点(T、P)縮合によって形成されたナノスケールレンズ124を示している(P. Lenz and R. Lipowsky, "Morphological Transitions of Wetting Layers on Structured Surfaces," Phys. Rev. Lett. 80(9), 1920 (1998)を参照されたい。)。図12Cは、オフ軸が通るナノ作動装置/共振器125、シグナルバッファ126、及び、触媒型枠のための下層活性化/モニタリングシステムを提供することができる検出体127を示している(A. M. Fennimore et al, "Rotational actuators based on carbon nanotubes," Nature 424, 408 (2003)を参照されたい。)。
【0050】
官能化されたプローブによる活性化の後、一本鎖次元的構築触媒は、不均一触媒のプロセス的長所、再利用可能な高密度アドレス可能配列の組み合わせの柔軟性、耐衝撃性産業ポリマーの強度、及び、バイオ燃料モニタリングプロセス中への組み込みやすさを提供する。生体酵素とは異なり、一本鎖次元的構築触媒は、アミノ酸の直交官能基に限定されておらず、いかなる特定の形状に対する型枠でもない。これらは、通常、生体酵素を一般的に失活又は中和する条件においても生存する材料から作成されてもよい。この型枠は、パックされたフィルタ、反応カラム、沈降材料、及び、混合表面などの工業的プロセスに容易に組み込まれ得る。さらに、フィードバック/コントロールシステムの組み込みは、触媒作用工程のモニタリング、継続的な開発のための最も有望な候補の迅速な同定、開発の全体的迅速化、及び、新規な触媒の最適化を可能にする。
【0051】
この努力は、プロセス最適化と組み合わせてなされてもよく、触媒をベースとした方法を発展させると同時に、工学的設計が進化することを可能にする。結果として、バイオ燃料生産の全プロセスは、各ステージにおいて最適化され、生体酵素の使用に伴う限界によって阻害されていた最大効率で実行できる。さらなる高温又はさらなる低温、さらに極端なpH及びイオン性塩量、せん断力、有機溶媒、並びに、セルロース及びその他の生物資源の加水分解を最適化するにもかかわらずタンパクベース酵素を破壊することから現在利用されていないその他の条件の使用は、一本鎖次元的構築触媒を用いて使用してもよい。代替的に、一本鎖次元的構築触媒を、既存の生産プロセスを最良に行なうために開発してもよい。
【0052】
単一鎖DNAのアドレス可能な性質が維持されている限り(凝集相中の潜在的に腐食性及び侵食性の有機反応を受けても不混和性の水相/有機相によってポリヌクレオチド鎖を保護する安定界面のようなSSTM及び一本鎖次元的構築において提供される条件)、組み合わせの努力は、任意の望まれる生成物の改良されたバージョンを徐々に得ることを保証することができる。そのの単量体成分は、部位特異的な配置のために1本鎖DNAを官能化することができる。
【0053】
理想的な触媒又はその他の生成物が完成すれば、システム及びプロセスの前にさらなるステップを実行することができる。脱ハイブリダイゼーションを不可能にする共有結合は、プローブとそれらのアドレスとの間に作成されて、ポリマーをベースとした型枠に永久的に物理化学機能を付与することができる。必要に応じて、この追加ステップは、触媒の強靱性及び使用可能時間を増大させ、特に、活性部位機能ブロックが一致し、動的触媒作用が充分に生じるのに必要な高周波(例えば1ギガヘルツ以上)で共鳴及び振動する能力を高めることができる。
【0054】
最後に、組み合わせの化学及び開発に基づいた発見が完結した後、試験型枠を「洗浄」して、相補的プローブの新しいセットとハイブリダイゼーションできる単純な三次元アドレス可能な型枠に戻すことができる。次いで、生体疑似分子ポリマーの合成、その他の触媒モード及びプロファイルの発見、超分子構築の実行、並びに、バイオセンサー、薬剤送達媒体、マイクロチップ成分、及び、その他の自己集合した装置の構築用の高密度アドレス可能な配列としての機能を含む、広範な目的にそれらを再使用することができる。
【0055】
パートII.不均一触媒の作成における一本鎖次元的構築の応用
著しく改良された触媒を開発するためのプロセス
本明細書に記載されている一本鎖次元的構築(ssDC)技術は、脆弱性、短い貯蔵寿命、限られた触媒能力、及び、高価なインフラストラクチャーで培養した遺伝操作された微生物からの生産などのタンパクをベースとした酵素に関する数多くの問題を解消する。一本鎖次元的構築は、生体酵素の生産、開発及び機能を、さらに強固で、用途が広く、活性な態様で触媒作用を発揮するナノテクノロジーをベースとした型枠に移行させることによって、これを達成する。
【0056】
生体酵素は、重合アミノ酸から作られる。20個の天然アミノ酸は、異なる配列、翻訳後修飾及び折畳構造において、何千もの生化学反応を触媒する役割を有する。用途が広く、有効であり、寿命が数多くの形態で残存することが可能な酵素は、一般的に触媒作用の速度が遅く、すべての自然に生じる生成物のように、環境に対して非抵抗性(すなわち、生分解性)である。
【0057】
さらに、酵素の触媒能力は、酸、アミン、アミド及びインドールを含む化学機能、「穏やかな」求電子、並びに、飽和及び不飽和炭化水素といった、限定された反応性を有するもののみの小さいセットに由来しており、したがって、触媒が耐久性である。超生物試薬及び人工試薬に存在するものと比べたときの、直交能力における生体酵素のこの「劣等性」は、一部分において、高反応性化学作用を有するタンパクを細胞内で隔離して再利用するのが難しく、一般に宿主生物及び環境のいずれに対しても潜在的に有毒であるからである。
【0058】
図13は、生体酵素のモノマー成分の大部分を代表する20個の天然アミノ酸を示している(細菌学学部、ウィスコンシンマディソン大学)。
【0059】
一本鎖次元的構築技術は、人工酵素を製造し、それらの酵素の新バージョンを開発し、天然酵素が発揮することができない触媒作用の新しいモードを発見するために使用可能である。これは、触媒機能が実行される型枠の構築において、業界標準ナノリソグラフィ工程の修正バージョンを用いることによって達成される。一本鎖次元的構築の生産及び開発の方法は、三次元の(3D)パターン転写リソグラフィに基づいている。このナノスケールレベル技術の万能性によって、広範な形状及びサイズの型枠を作成することができ、ほとんどすべての既存の分解酵素を模倣するための基礎を提供することができる。
【0060】
酵素によって媒介される触媒作用
酵素が生化学反応を触媒する能力は、触媒プロセス中に活性部位を内部に移動させる化学機能性を有するタンパク幾何学構造の配位に非常に依存する。この部位は、通常、基材結合、転移状態形成及び安定化、化学変換、並びに、基材放出を含む触媒作用の依存性機能の多くを含んでいる。説明したように、重合アミノ酸の組合せは、何千もの異なる生化学的プロセスを触媒し得る。しかしながら、これらの反応は、通常、温度、圧力、塩分、イオン性及びpHの限定された範囲内、かつ、ほとんど例外なく水性条件下のみにおいて生じる。
【0061】
酵素の疑似分子(すなわち、改善された)バージョンの作成において重要なことは、より用途が広く、安定で、活性な型枠によって、その触媒機能を複製することである。これは、まず、酵素の活性部位を、汎用閉曲線、溝及び螺旋として正確にモデル化し、次いで、これらの形状の大きな配列を作ることによって、達成される。得られる囲いは、基材を捕捉し、三次元空間において、例えば、静電気をベースとした表面エネルギ、動的配座能力といった基材を生成物に変換するのに寄与するアミノ酸基及びその他の物理化学機能を局在化させるように設計してもよい。
【0062】
一本鎖次元的構築製作の生成物は、固相不均一触媒である。しかしながら、それらは、今までに作成された中でも最も進化したものである。流動床リアクター、反応性フィルタ及び固定化された生体酵素のように、一本鎖次元的構築触媒は、固体表面に固定された化学機能によって、液相基材から生成物への変換を加速する。大部分の他の不均一触媒のように、基材が液相(通常は塩水)に充分に溶解し、全容積に対する触媒の表面積が最大化され、通常は混合及び/又は相隔離によって、触媒表面への基質の大量輸送、及び、触媒表面からの分離される生成物が強化される、触媒自体が正確に設計されることによって、最適化されれば、それらが最善に機能する。
【0063】
触媒の「正確な」設計、一本鎖次元的構築生成物のような固相異種混合、又は、タンパク酵素が部分集合である液体/コロイド相タイプは、封入された、活性で、かつ、非常に特異的な化学系であって、最大のエネルギ効率で最短時間で基質を生成物に変換する化学系をもたらす。酵素に関して、これは、三次元構造に折り重なるアミノ酸のポリマーによって達成することができる。一本鎖次元的構築触媒に関して、これは、酵素活性部位のような形状であり、かつ、基質から生成物への変換に必要な物理化学機能をすべて含む型枠の使用によって、達成することができる。
【0064】
図14は、引用刊行物に記載されている基本テーマによる一本鎖次元的構築に特異的なバリエーションで構成される開示内の触媒作用を示している。図14Aは、グリコシドヒドロラーゼに共通する溝幾何学構造及び官能性の単純化された空間充填モデル:「位置決め」として機能するチロシル基と空間的に反対の酸性及び塩基性残基(W. Nerinckx et al., "An elaboration on the syn-anti proton donor concept of glycoside hydrolases: electrostatic stabilization of the transition state as a general strategy," FEBS Letters 579. 302 (2005); 及び、E. J. Taylor et al., "How Family 26 Glycoside Hydrolases Orchestrate Catalysis on Different Polysaccharides." J. Biol. Chem. 280(38), 32761 (2005)を参照されたい。)を示している。図14Bは、プラチナ原子トラップとして設計されたゼオライト(米国エネルギー省のパブリックドメイン画像、Lawrence Berkeley National Laboratory、Berkeley Lab Research Review、2001年秋)を示している。図14Cは、環式アルケンサブユニットから合成された超分子集合体2D環骨格を示している(H. H. Kung and M. C. Kung, "Heterogeneous catalysis: what lies ahead in nanotechnology," Applied Catalysis A: General 246(2), 193 (2003)を参照されたい。)。
【0065】
パートIII.触媒作用開発及び生産のための一本鎖次元的構築テンプレートの製作のオプション
優れた触媒を生成するための一本鎖次元的構築の使用
一本鎖次元的構築の用途は、バイオ燃料産業に有用な酵素の触媒中心によって動機付けられた幾何学構造を有するテンプレート及び生産型枠を開発することである。大部分のセルラーゼ及び別のグリコシドヒドロラーゼは、基質を認識、結合、及び、位置決定する溝様活性部位内においてその大部分の機能を発揮し、中間体の形成を安定化及び促進し、生成物を分離する(D. E. Koshland, "Application of a Theory of Enzyme Specificity to Protein Synthesis."Proc. Natl. Acad. Sci.44 (2).98 (1958); A. Warshel et al., "Electrostatic basis for enzyme catalysis."Chem. Rev. 106(8).3210 (2006); 及び、J. B. West et al., "Enzymes as Synthetic Catalysts: Mechanistic and Active-Site Considerations of Natural and Modified Chymotrypsin" J. Am.Chem. Soc.112, 5313 (1990)を参照されたい)。成功したナノスケール触媒は、その構造にさらに弾性な材料を利用しながら、この幾何学構造及び官能性を模倣する(L. Jiang et al., "De Novo Computational Design of Retro-Aldol Enzymes." Science 319(7), 1387 (2008)を参照されたい)。
【0066】
1本鎖DNA配置ガイドライン
本発明によるマスター形状の上に1本鎖DNAを配置するために、材料の表面をDNAリソグラフィのための官能化することができる。一例として、電位の存在下における固相と血漿相の間の物理蒸着法は、1本鎖DNAで修飾されたホスホロチオエートの金に対するメルカプチルの固定のために、チタン(〜250のA)に支持された薄い(〜50のA)金の層を堆積させることができる。アミンの骨格で修飾された1本鎖DNAを用いる場合、SiOから作られたテクスチャ加工された配列の表面は、アミンと共有結合を形成し易いシロキサンに化学的に変換され得る。後者のこの方法は、アデノシル、シトシル及びグアノシル塩基の第一級アミン及びグアニジン基の存在によって、骨格に特異的な結合を保証するためにより微細な官能化を必要とする。次いで、マスターは、1本鎖DNA、RNA又はPNAと共にリトグラフすることができる。DNAは、合成されたものであり、マスターとの共有結合を形成するように化学的に修飾され、型枠及び/又はテンプレートの上の高密度なアドレス可能配列を作るための相補的テンプレートとして機能するように高密度(10乃至25nmのスペーシング)で加えられる。リソグラフィは、ディップリソグラフィ(ここで、ナノスケール針は、DNAを整列及び伸長させる)あらかじめ形成された溝の上へのレーザーによるパターンリソグラフィ、及び/又は、伸長されたDNAの磁気及びその他の直線フィールドによって媒介されるパターニングによるバリエーションを用いることによって実行することができる。
【0067】
酵素を模倣するプロセスを実行する能力は、重要な化学機能及びその他の機能の三次元空間における触媒作用プロファイル及び動的局在化の正確な理解を必要とする(W. Wang et al., "BIOMOLECULAR SIMULATIONS: Recent Developments in Force Fields, Simulations of Enzyme Catalysis, Protein-Ligand, Protein-Protein, and Protein-Nucleic Acid Noncovalent Interactions." Ann. Rev. Biophys. Biomolec. Struc. 30, 211 (2001)を参照されたい。)。規則的幾何学構造パターンを有するアドレス可能配列は、そのような局在化に固有の不確かさを著しく低減し、機能活性、重要な触媒基の動的空間的構造、及び、触媒作用の最適化のための転移状態プロファイルをモデル化するときに、比較的複雑でない有限成分分析及びベクトルベースの力場計算を用いる。
【0068】
この便宜のために、ポリ核酸塩基のカルテシアンパターン(図3にようなx,y)又は曲線パターン(図15にようなr,pi)をマスターの上に永久的にリトグラフすることができる。これは、型枠の上へのそのような形態の何十億もの配列の全体にわたって一貫した物理化学機能の直接的アドレス指定を可能にする。上述したように、幾何学構造的に一様なアドレスは、活性部位設計、直交官能基動態、動的官能トランスロケーション及びその他の活性のコンピューターベースのモデルリングを単純化する(W. Warshel and W. W. Parson WW, "Dynamics of Biochemical and Biophysical Reactions: Insight from Computer Simulations," Quart. Rev. Biophys. 34, 563 (2001)を参照されたい)。これらの大部分は、これらの成分及びベクトルがモデル化される空間座標が不規則な座標によって明らかにときに、1セットの入力パラメータを決定する際に障害となる有限成分及びベクトル力場をベースとしたプログラムによって与えられる(M. Garcia-Viloca et al., "How enzymes work: analysis by modern rate theory and computer simulations" Science 303(5655), 186 (2004)を参照されたい)。
【0069】
図15は、金152の上に曲線パターンでリトグラフされた永続的な1本鎖DNA151で構成された例示的マスター形状を示している。
【0070】
表面に1本鎖DNAを固定し、伸長し、取り付けるためのガイドライン
1本鎖DNAを伸長状態で維持するにおいて重要な要因は、実際には、DNAを伸長させた領域の性質と、マスター材料として機能させるためにDNAに対しておそらくは行われる人工的修飾との間の調和である。上述したように、金の上のホスホロチオエート骨格を有する1本鎖DNAを永続的テンプレートとしてもちいることができる(A. Csaki et al., "DNA monolayer on gold substrates characterized by nanoparticle labeling and scanning force microscopy," Nucleic Acids Res. 29(16), 81 (2001)を参照されたい。)。しかしながら、伸長前に−Sリン酸基が互いにジスルフィド結合を形成しないようにするために、バルク溶媒中の強い還元能力が必要とされることもある(これは、DNA中の核酸塩基間の鎖内及び鎖間の水素結合を減少させることをも支援する。これが減少しないと、鎖がもつれて伸長を阻害する。)。伸長及び取りつけにおいて、酸化還元電位を、−S−と金との共有結合を促進するより酸化した状態に移行させる必要がある。しかしながら、これは、あまり速く生じないことが好ましい。さもないと、DNAが時期尚早に金表面に取り付いて、さらに伸長することができなくなり、幾何学構造的に正確なアドレスの構造を破滅するからである。
【0071】
考慮されるもう一つの要因は、まれな表面現象の形成の増加である。1本鎖DNAを伸長させたときに、対称な電位差によって引き付けられた疎水性インターフェースが形成される。これは、実際には「偽相」であり、本当の固相と(すなわち、ウォール効果によって溶媒和されたポリマー)と相互作用する非互換性コロイドにより似ている。この界面/偽相は、1本鎖DNAを包み、受容固相の天然の又は修飾されたリン酸ジエステル基の骨格のみの意図された取り付けによって形成される。1本鎖DNAが多段コイルから線状ポリマーに移行するにつれて、連続的骨格残基が「下を向き」、連続的核酸塩基が「上を向く」。成功裡に伸長されて及び取り付けられた残基と共に、表面の双極子モーメントは、高電子密度のリン酸ジエステル、ホスホロチオエート、ホスホラミダイト(又はその他の骨格)基と、アミンが多い一般的には陽イオン性核酸塩基との間の増大する総電位差によって一体的に増大する。
【0072】
より重要なことには、1本鎖DNA又はRNAを用いると、強疎水性のリボース基は、環スタッキング、水相反及びファンデルワールス相互作用によって、環化した糖が整列する傾向によって、「油性メザニン」を形成し始める。この現象は、三次元螺旋のコア内の2本鎖DNAに生じ、ハイブリダイズしていない1本鎖DNAと比較して強い2本鎖DNAの強度及び引張結合作用に部分的に寄与する。表面に高密度でリトグラフされたとき、及び、生理塩(Mg2+を含む)を用いてハイブリダイズされれば、相補鎖によって形成されたそのメザニンは、例えば、DNAに直接的に近いバルク有機相中に発生する高エネルギー交換反応の存在下においてさえも、ワトソンクリック結合が維持される程度に十分に反発性になる。一見して奇想天外ではあるが、この有利な現象は、型枠のアドレスにダメージを与えることなく、不混和性溶媒(例えばジクロロメタン、トルエン又はヘキサン)中において種々様々な超生物的化学を実行することを可能にする。
【0073】
マスターをリトグラフするためにPNAを用いる場合、親水性の偽相を、核酸塩基環式基の積み重ねによって形成することができる。しかしながら、これは、積み重ねられたデオキシリボヌクレオチドの均質性を有していない。また、電位差は必ずしも生じない。必要に応じて、後者の効果は、PNAの求核性第三級アミン骨格(プロリン以外の任意のβ−アミノ酸)と、例えば、固相上の水酸基部位などの求電子性基との間の電位差を増大させることによって構築可能である。
【0074】
マスターからテンプレートを構築するためのオプション
一本鎖次元的構築テンプレートは、触媒型枠の大量生産の基礎又は鋳型として機能するために以下の特性を有し得る。
1)テンプレートは、最終生成物型枠のネガティブスペース(開いた溝又は螺旋)を完全に三次元的に満たすポジティブで突出した形状−両方それぞれ、各鋳型ユニットに対して、及び、型枠の生産中のにテンプレート配列の全体にわたる連続的なものを想定する。
2)テンプレート上の一本鎖のDNA又はPNAは、型枠上のアドレス可能な配列の正確な鏡像パターンであり、相補的塩基対合(すなわち、A対T及びG対C)を通じて生成物にこのパターンを生成する。
3)テンプレートは、ハイブリダイズしていないテンプレート及び型枠の両方に核酸塩基を残す骨格共有結合を通してDNA、PNA又はその他の核酸塩基ポリマーの永続的な組込を可能にする材料からできている。
4)テンプレートは、型枠を作る鋳型として、その予定寿命にわたって、歪まず、曲らず、又は、他の態様で統合性を失わない。具体的には、1本鎖DNA/PNAのパターン及び塩基の化学は、複数回のスタンプサイクルを通じてテンプレート上に維持される。
【0075】
特性1、3及び4は、近い将来に一本鎖次元的構築が触媒を生産する能力における重大事項ではない。三次元ナノインプリントパターン転写における最先端のものは、硬い鋳物又はビームにリトグラフされたオリジナルから、生成物に硬化されるソフト鋳物ポリマーまでの工程において、(立方ナノメートル四分の一未満の正確性で)マスターのネガティブ形状を複製する鋳型の作成が容易に利用可能な応用技術である。型枠生産用の何千回ものスタンプ−上昇又は及び回転サイクルにも耐え得る材料を直接的に得て、このプロセスに適応し、正確に形状を作ることができる。これらの材料の表面を官能化して、人工修飾されたDNAとの共有結合を受け入れるようにして、永続的な鏡像相補的アドレスを作ることもできる。例えば、(チタン上に)蒸着した金は、ホスホロチオエート修飾されたDNAと永久的に結合して、数千回ものハイブリダイゼーション/脱ハイブリダイゼーション(すなわち、印及びスタンプを付すこと)サイクルに耐えるのに充分な強度を有することができる。もう1つのオプションは、形状完全性を維持するアルミニウムなどの同様に硬い物質に支持されることによって、アミン骨格が修飾されたDNAに、永久的に結合することができる、シロキサン官能化されたテンプレートである(E. Magni and G. A. Somorjai, "Electron Irradiation Induced Chemical Vapor Deposition of Titanium Chloride on Gold and on Magnesium Chloride Thin Films. Surface Characterization by AES, XPS, and TPD," J. Phys. Chem. 100(35). 14786 (1996)を参照されたい)。
【0076】
しかしながら、特性2は、一本鎖次元的構築の重要で繊細な態様、及び、型枠が触媒作用を追うことができるか否か、又は、調和した組み合わせ能力を有しているか否か、を決定するための品質を示す。要するに、サブナノスケールの幾何学構造的精度でマスター上に1本鎖のDNA又はPNAなどの修飾されたポリ核酸塩基をリトグラフする能力、及び、ハイブリダイゼーション用に正しい軸方位にオリゴマーを提示する能力は、テンプレートの構築を可能にするための重要な技術である。
【0077】
テンプレート構築のための、現在知られている、利用可能で、適用可能な最善のオプションは、以下のとおりである。
A)三次元形状の表面への1本鎖DNAのディップペンナノリソグラフィ(DPN)
B)犠牲層を通じたフェムト秒のレーザーによる1本鎖DNAのパターニング
C)三次元面にあらかじめ形成された溝の上へのレーザーによるリソグラフィ
D)曲線状表面を超えて磁気的に媒介されたポリ核酸塩基配列
これらのオプションを以下においてより詳細に説明する。
【0078】
オプションA.直接的リソグラフィによるマスターの構築
二次元又は三次元の表面の上に1本鎖DNAを配置する1つの直接法は、ディップペンナノリソグラフィの使用による(J. H. Wei and D. S. Ginger, "A Direct-Write Single-Step Positive Etch Resist for Dip-Pen Nanolithography," Small 3(12), 2034 (2007); and D. Bullen et al., "Parallel dip-pen nanolithography with arrays of individually addressable cantilevers," Appl. Phys. Lett. 84(5), 789 (2004)を参照されたい)。原子間力顕微鏡(AFM)針を帯電したポリマーを引きつける部分的に吸着性の静電固相として用いる。1本鎖DNAは、末端を修飾することによって所定のスタート位置に末端特異的に(すなわち5’又は3’)固定することができる。その長さの決定によってDNA鎖の同一性を実際に保持し、そこにおいて伸長される。いくつかのリガンドは、ビオチン(ストレプトアビジンへの高親和性結合のための)及びジゴキシゲニン(抗体への結合のための)を含む、1本鎖DNAの末端官能化を容易に受ける。
【0079】
次いで、固定した後に、1本鎖DNAは、以下の物理化学係数の適切な管理に基づいて二次元表面を通って引き抜くことができる。
1)AFMチップの誘導電荷及び固有電荷
2)ポリマーの自然電荷、電荷密度の機能、対イオン及びポリマー双極子モーメント
特に、1本鎖DNAのような、長軸に対して直交のモーメントベクトルが存在する場合は、後者は、AFMチップに対するポリマーの方向に依存する。
3)溶媒和、電荷、電荷密度、及び、「完全に平面でない」表面によって引き起こされた不均一能力(及び、したがってエネルギーを取り付ける1本鎖DNA)を含む、表面の静電気的及び摩擦的性質
【0080】
これらの要因は、1本鎖DNAの鎖の多段コイルからその理論的な最大長さに近い線形形状への移行の原因となるか又は阻害するものとなる。異種混合三次元表面に適用されたとき、以下にさらに詳しく述べる他の要因が作用し始める。しかしながら、上記マスター形状のような均一な三次元表面にDPNを用いる場合、ポリマー導体及び材料品質の一般的な考察は、通常、特徴的な要因を記載するのに充分である。これらは、以下を含む。
(i)1本鎖DNAを伸長させるのに充分であるが、そのDNA又はそのDNAと末端固定との間の結合を破壊しない力によって、その1本鎖DNAを伸長させるステップ
(ii)(+z)ベクター寄与、すなわち、「上方へ」、特に三次元的上昇によって1本鎖DNAを伸長させるステップ
(iii)大きさ及び方向に応じて潜在力が「切り詰められて」変化する傾向がある、特に平面から曲面への移行におけるそのような曲線潜在的ベクトルにおける変化
(iv)高い鎖密度でリトグラフする場合における、既にリトグラフされた1本鎖DNAの存在及び接近によって引き起こされる潜在的な斥力又は引力
【0081】
図16は、DPNがスポットされたレセプタポイント163に反復的に固定され、テンプレート形状152の上に直線的に伸長されてカルテシアンパターンを形成する1本鎖DNA151を示している。
【0082】
オプションB.犠牲層下のフェムト秒レーザー固定
固定官能性のDPNによるスポッティングの代替は、二次元表面、及び/又は、マスター鋳型として意図されている三次元曲面を官能化する材料の犠牲層の領域を除去するためのフェムト秒(Fsec)レーザーの使用である(Y. Dong et al., "Femtosecond pulsed laser micromachining of single crystalline 3C-SiC structures based on a laser-induced defect-activation process," J. Micromech.Microeng.13, 680 (2003); G. Pellegrini et al., "Technology development of 3D detectors for high-energy physics and imaging," Nucl. Instr. Methods Phys.Res.Section A:Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment 487(1-2), 19 (2002);及び S. H. Park et al., "Direct Fabrication of Micropatterns and Three-Dimensional Structures using Nanoreplication-Printing (nRP) Process."Sensors and Mater.17(2), 65 (2005)を参照されたい。)。DPNと比べたこのアプローチの長所には、より小さい固定ポイントのより正確で、より速い、より単純な配置によって、所定の位置へ結合する1つ以上の鎖の可能性を低減すること、及び、表面エネルギ、溶媒和及び摩擦の要因に対するより高いコントロールを可能にする、マスクをベースとしたリソグラフィ材料よりも種々様々な組成物として提供される犠牲層(犠牲層を下に置き、三次元形状を形成する)が含まれる。全体として、これらは、1本鎖DNAを伸長させて取り付ける能力を高めることができる。
【0083】
100量体の相補的1本鎖DNAの20nmのスペーシング密度であれば、潜在的には1平方センチメートルのマスターに2500億の鎖(一面に500,000)をリトグラフすることができる。この多くのスポット存在を作成するためのDPN技術の速度に対する評価は存在しないが、Fsecレーザーは、理論的には約1時間で犠牲層の上にこの多くの固定位置を生成することができる。
【0084】
Fsecレーザーは、比較的一般的な技術であり、マイクロチップ及びナノリソグラフィ産業において広く用いられている。空間的コントロールの正確性は、±0.1nmであり、エネルギー付与(暴露時間)の正確性は、±0.1fsec(100アト秒)である。ターゲティングは、通常、究極の精度で放射ベクトルを変化させる量子効果を誘発するダイオードベースのレーザー光線を発生する成分に対するコンピュータコントロールされた電位差によって、現場において(in situ)制御される。これは、レーザーの機械的再配置(ブラウン運動による標準的レーザーをベースとしたナノポジショナーを用いても±1nmに精度を高めることができない要因)の必要性をなくし、したがって、可動部が存在しない。液体フローベースの機構も必要とされない。そのような欠点のすべては、固定位置のDPNによるスポッティングにおける要因である。全体として、Fsecレーザーの使用は、何十億もの犠牲ポイントの非常に短時間での除去を正確かつ均等に支援する。
【0085】
図17は、図16に示されているのと同様の、1本鎖DNAを伸長させる戦略を図示している。1本鎖DNA151は、犠牲層175の上で、SA又はアンチDIG174による官能化によって、Fsecレーザーで除去された位置173の上に反復的に固定されており、マスター形状172の上で直線的に伸長されている。1本鎖DNA末端を固定する方法(図16においてはDNA、図17においてはFsecレーザー)、及び、固定する表面を対照する。適切なマスター形状は、犠牲層の下層を形成することができ、例えば、ストレプトアビジン、抗ジゴキシゲニン抗体などの、一般的な1本鎖DNA末端官能のためのレセプタによる官能化を受けやすい三次元の楕円球形を形成する。
【0086】
オプションC.溝を有する表面へのレーザーによるマスターの構築
1本鎖DNAを固定するために使用する方法がどんなものであっても、犠牲層又はリトグラフされた層に固有のさらなる要素は、伸長及び配列を向上できる、直線(カルテシアンアドレスのための)又は曲線並びに軸(曲線からなるアドレスのための)の凹み又は溝のパターン形成の選択である。簡潔に、1本鎖DNAのような、帯電した又は伸長耐性のポリマーの直線的立体構造は、おそらくは「壁効果」とより適切に説明される要因によって抑制されたその他の構造である(J. T. Mannion et al., "Conformational Analysis of Single DNA Molecules Entropically Induced Motion in Nanochannels." Biophys, J 90, 4538 (2006); and C. Han et al., "Gradient nanostructures for interfacing microfluidics and nanofluidics." Appl. Phvs. Lett. 81 (16). 3058 (2002)を参照されたい。)。例えば、帯電した核酸塩基をはね返すには充分であるが、デオキシリボース基を引きつけるのには十分ではない疎水基による壁の官能化は、直線的なポリマー空間的構造をさらに維持する(H-S Choi et al., "Photopatterning of gold and copper surfaces by using self-assembled monolayers," Curr. Appl. Phys. 7, 522 (2007); and M. J. Tarlov et al., "UV Photopatterning of Alkanethiolate Monolayers Self-Assembled on Gold and Silver," J. Am. Chem. Soc. 115, 5305 (1993)を参照されたい。)。溝の「床」は、例えば、平面のアニオン性リン酸ジエステル骨格1本鎖DNAの静電気結合に対する総カチオンチャージ;ホスホロチオエート修飾された1本鎖DNAのための{S−Au結合}のための金;又は、アミン修飾された1本鎖DNAのためのクーロンバッファされたシロキサンといった、ポリマーの骨格の種類に応じて適切に官能化されてもよい。
【0087】
溝の重要な寄与によって、光又は電子ビームリソグラフィによってさらに複雑なパターンを作ることが可能になる。この概念は、「犠牲、官能化、DNAの追加、繰り返し、伸長」の戦略に、末端が均一に官能化されたDNAの反復的な追加のための、Fsecレーザーをベースとした固定位置のスポッティングを組み込むことができる。例えば、曲線の溝は、アレイ中の何十億もの各マスタユニットに切断され得る。図18は、二次元表面及び三次元マスター形状184の上のFsecレーザーによって除去された位置173に反復的に固定され、あらかじめリトグラフされた溝185の中に曲線的に又は直線的に伸長された1本鎖DNA151を示している。鎖4−11の固定位置は、三次元鋳型形状の上に置く前に多段コイルから伸長された形態への1本鎖DNAの構造変化を容易にするリトグラフ閉じ込め溝を説明する。この説明は、DPNを介した伸長に依存しない、磁気又は重くしたポリマービーズによって、溝内部でかつ半径を通って、ポリマーの他方の末端を移動させることに基づいた1本鎖DNAを伸長させる方法をも示唆している。これは、以下のオプションDにおいてさらに説明する。
【0088】
注目すべきことに、表面は、溝ではなく伸び又は上昇のパターンが付されてもよい。マスクベースのリソグラフィの現在の技術は、例えば、線状又はその他のパターンでのチタンの上への金の堆積、又は、ホスホロチオエート1本鎖DNAを取りつけるための所望のカルテシアン又は曲線のパターンを除いた、表面の金をすべて除去するための逆の電気磁気エネルギの使用を包含し得る。
【0089】
官能化された固定部位から末端まで1本鎖DNAを伸長させることは、直径約25nmの常磁性ビーズ又は同じ大きさのラテックスビーズによって容易に実行できる。電磁気及び/又は光学的フィールド(後者はレーザーによる「ピンセット」)は、溝又は突部パターンの周辺でビーズを移動させるために用いることができる。この伸長を達成できる電気光学的性質のフィールドアレイは、オプションDに記載されている。
【0090】
オプションD.不規則表面における電磁気位置調整
結局、1本鎖DNAを固定するために使用される方法がどのようなものであっても、また、犠牲層及びその形状の性質(又は不存在)に関わりなく、三次元表面を通って、上で、又は、その付近で1本鎖DNAを伸長させる方法が、マスターの構築において重要であり得る。
【0091】
リトグラフされた1本鎖DNAを考慮して、ポリマーを伸長させる2つの方法:図18に示されているような、固定された1本鎖DNA鎖をより狭い溝の凹部が刻まれた三次元形状に移行する累進的制限トンネルの中に引っ張る直線的フィールド、及び/又は、溝の周囲及び内部のビーズを引っ張るベクトルフィールドを変化させることを用いることができる。後者に関して、磁気又は光学フィールドは、静止しているマスターの周囲で回転することができ、又は、その逆であってもよい。例えば、マスターは、直線的な電気光学フィールドを明示するテーブルの上に固定されてもよい。
【0092】
適切な磁界は、磁界の幾何学構造が直線上の離れて局在する永久磁石、又は、直線的に均一の磁界を作るようにプログラム可能な電磁石によって作ることができる。後者は、動的なものであってもよく、1本鎖DNAのけん引を許容するビーズの移動を促進することができる。
【0093】
図19は、直線的ベクトル磁力線196によって、Fsecレーザーでリトグラフされた固定位置173から、25乃至40nmの溝又は突部185に移行する閉じ込めトンネル内に、1本鎖DNA鎖を伸長させることを示している。例えば、複数のFsecレーザパルスによる犠牲層の除去は、その後にジゴキシゲニンによって官能化され得る下層を露出させることができる。この例において、1つのみのDNA鎖の固定は、(5’から3’方向で)50nmの抗ジゴキシゲニンコーティングされたラテックスビーズ197と、5’−DIG−{1本鎖DNA配列}−3’−ビオチン191と、25nmの超常磁性ストレプトアビジンがコーティングされたビーズ198とで、1:1:1のモルの含有比で構成されたあらかじめ作成した構築物のアドレス指定によって達成可能である。
【0094】
同様に、溝を突部で置換することができる。これは、伸長の態様の変更を必要としない。しかしながら、線形化された空間的構造の1本鎖DNAを維持するのを助ける閉じ込め壁の長所が与えられない場合には、伸長プロトコルを突部によってさらに鋭意に行なうことが慎重である。この戦略は、ポリマー流れが保証されないが期待されるネガティブな形状をスタンプするのではなく、ポジティブな形状をソフト鋳物ポリマーにスタンプする容易さによって、型枠生成により適用しやすいマスターを実際にもたらす。後者は、インタリオプリンティングのプロセスと類似している(ナノスケールで実行する場合に固有の多少の不確実性が伴う)。
【0095】
特定の残基が伸長される前に修飾されたDNA骨格が固相との共有結合を形成する可能性を小さくするためのオプションは、リポソーム又はその他の一時的な封入体にほどけた1本鎖DNAを閉じ込めて、帯電したポリマーを「巻回し」、早すぎる表面への付着を防止することである。潜在的に「粘質性」のポリマーの巻いた塊ではなく、意図した表面性質を有する、比較的「滑らかな」コロイド状の封入体が不規則表面の周りを移動するので、このアプローチは、閉じ込め空間の周囲での移動を容易にするというさらなる長所を有する。しかしながら、より長い鎖がより大きなリポソーム又はその他の封入体を必要とする場合があるので、封入体は、かなり短い1本鎖DNA断片(250量体以下であるが、これは大部分の活性部位疑似小分子には十分である。)に限定されるという欠点がある。これは溝を詰まらせてしまう可能性がある。言うまでもなく、封入体の脂肪酸又はその他のコロイド状成分が突部と逆に反応したり、又は、封入体から分離しない限り、伸長がリトグラフされた高くされたビームで行なわれる場合、これは問題にならない。金は、アニオン性又はカチオン性の脂肪酸による汚染を特に受けにくいものではなく、また、封入体が、金又は介在面に対して非反応性の表面を与える場合、すなわち、不混和性骨格で覆われたミセル様構造からできている場合には、この問題が部分的に改善される。
【0096】
強い誘導可能な双極子モーメント、超常磁性及びいくつかの強磁特性を有するコロイド(後者ほとんどは磁気ビーズに対して官能化されたポリマーであるが)は、入手可能であり、均一なベクトル磁気モーメントを形成するように誘導されてもよい。その他のコロイドの不均一混合物中の橋架、又は、重合の後に、約1テスラの直線的磁界への暴露は、単量体の磁気モーメントを整列させ、伸長に用いられるもう一つの磁界による移動に受けにくい構造をもたらすだろう。代替的に、封入体は、より単純化された操作、移動及びDNAの伸長のための超常磁性ビーズによって修飾されるか、又は、そのビーズに付着していてもよい。
【0097】
磁気モーメントの配列に加えて、「マグネトソーム」の部分重合のためのもう一つの重要な必要性がある。伸長及び取付によって1本鎖DNAが封入体から引き抜かれるとき、溶媒分子は、封入体に対する静水圧を等しくするために凝集相から内部に入る必要がある。紫外線の存在下において最も近い隣接共有結合を形成する脂肪酸及びその他の長鎖分子は、DNAを逃すことができ、かつ、水分子及び塩が入ることができる孔隙率を有するケージ様球状格子を形成するために使用可能である。全般的結果は、理想的には、非反応性の水性外面に接した疎水性核によって保護された、還元性水性環境内に封入された1本鎖DNAの球体である。その全複合体は、溝の中又はリトグラフされた突部の上に引き込むために誘導される磁気フィールドによって移動することができる。
【0098】
図20は、ホスホロチオエート修飾された1本鎖DNA鎖201が、磁界196によって容易に移動するコロイド状封入体から出てほどけることによって、リトグラフされた金202(形状203を有する)の上に伸長するのを示している。ビーズ207は、疎水性核204と、脂質混合物中に混合された格子状の超常磁性ポリマーによる骨格を有する親水性外面205とから製造されたリポソームで構成されていてもよい。骨格の単方向性磁気モーメント(カルテシアンパターン)は、中空構造体を形成するための紫外線中における重合の後の、約1テスラ以上のフィールドによって誘導可能である。代替的に、より大きい(例えば、直径250nmの)常磁性ビーズは、同じリポソーム封入体によって官能化され得る。格子加工は、この場合、封入体を機械的に維持するように機能できる。
【0099】
本発明は、一本鎖次元的構築の方法として記載されている。上記説明は本発明の原理の応用の単なる例示であり、明細書を考慮した特許請求の範囲によってその範囲が決定されるべきことは理解されるであろう。本発明のその他のバリエーション及び修飾は当業者に明らかであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体高分子核酸の三次元アドレス可能な配列を生成するプロセスにおいて、
a)表面を有するナノスケール三次元マスター形状を提供するステップと、
b)複数のマスター生体高分子核酸を規則的なパターンで前記マスター形状の表面に結合させるステップと、を具えることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記結合させるステップb)が、前記マスター生体高分子核酸を、ディップペンリソグラフィを用いて、前記マスター形状の表面に結合させるステップを具えることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記結合させるステップb)が、前記マスター生体高分子核酸を、レーザーによるパターンリソグラフィを用いて、前記マスター形状の表面に結合させるステップを具えることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記表面が複数の溝又は突部を具え、前記各マスター生体高分子核酸が一の前記溝又は突部に結合していることを特徴とする請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
被影響性塊が各マスター生体高分子核酸の末端に付着しており、
前記結合させるステップb)が、磁界パターニングを用いて、各マスター生体高分子核酸をマスター形状の表面に結合させるステップを具えることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ナノスケール三次元マスター形状が、シリンダ、トラフ、裂溝又は複合螺旋を具えることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記マスター生体高分子核酸が、DNA、PNA、RNA又はLNAを具えることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
マスター形状の上の複数のマスター生体高分子核酸に対して複数の相補的なテンプレート生体高分子核酸をハイブリダイズさせるステップをさらに具えることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
複数の相補的なテンプレート生体高分子核酸にテンプレート形状の表面を結合させるステップと、結合した相補的なテンプレート生体高分子核酸と共にテンプレートを前記マスター形状から除去するステップをさらに具えことを特徴とする請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記テンプレートを結合させるステップが積層形成形ステップを具えることを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
複製される前記テンプレート配列がローラー又は平面スタンプに移されることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記テンプレートを結合させるステップが加圧成形ステップを具えることを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項13】
前記加圧成形が空気袋として形成された弾性物質に加圧するステップを具えることを特徴とする請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
テンプレート形状の上の複数のテンプレート生体高分子核酸に、複数の相補的な型枠生体高分子核酸をハイブリダイズさせるステップをさらに具えることを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項15】
型枠形状の表面を複数の相補的な型枠生体高分子核酸に結合させるステップと、
結合した相補的型枠生体高分子核酸と共に型枠形状をテンプレート形状から除去するステップと、をさらに具えることを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項16】
マスター又は型枠生体高分子核酸を反応性化学基を具える相補的プローブにハイブリダイズさせるステップをさらに具えることを特徴とする請求項1又は15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記反応性化学基がアミノ酸を具えることを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記反応性化学基が酵素活性部位を模倣することを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記反応性化学基が触媒を提供することを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
規則的なパターンで三次元形状の表面に結合した複数の生体高分子核酸を具えることを特徴とする三次元(3D)アドレス可能配列。
【請求項21】
前記表面が、金属、プラスチック又はポリマーを具えることを特徴とする請求項20に記載の三次元アドレス可能配列。
【請求項22】
前記金属が金を具えることを特徴とする請求項20に記載の三次元アドレス可能配列。
【請求項23】
複数の生体高分子核酸のそれぞれにハイブリダイズされた相補的プローブをさらに具え、前記相補的プローブのそれぞれが反応性化学基を具えることを特徴とする請求項20に記載の三次元アドレス可能配列。
【請求項24】
前記反応性化学基がアミノ酸を具えることを特徴とする請求項23に記載の三次元アドレス可能配列。
【請求項25】
前記反応性化学基が酵素活性部位を模倣することを特徴とする請求項23に記載の三次元アドレス可能配列。
【請求項26】
前記反応性化学基が触媒を提供することを特徴とする請求項23に記載の三次元アドレス可能配列。


【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図12C】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公表番号】特表2011−524171(P2011−524171A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513619(P2011−513619)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/046665
【国際公開番号】WO2009/152109
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510328445)インサイター,エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】INCITOR,LLC
【Fターム(参考)】