三次元製品の製造装置及び製造方法
三次元体の連続する横断面に対応している粉末床の選択された区域の連続する相互の融合によって、三次元体を製造する方法、及び装置である。この方法は粉末層を作業テーブルに加える工程と、粉末層内の前記選択された区域に、粉末層のために、決定されている操作計画に従って、放射銃からエネルギーを供給する工程と、前記三次元体の横断面を形成するため、前記操作計画に従って、選択された粉末層の区域を融合する工程とから成り、連続して加えられた粉末層から、連続して形成された横断面の連続する融合によって三次元体を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業テーブルに加えられた粉末層の選択された部分、部分を連続して融合することによって、三次元製品を製造する三次元製品の製造装置、及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業テーブルに加えられた粉末層の選択された部分、部分を連続して融合することによって、三次元製品を製造する装置は例えば、米国特許第4863538 号から、以前から知られている。この既知の装置は三次元製品をその上で構築すべき作業テーブルと、粉末床を形成するため、作業テーブル上に粉末の薄い層を分散させるように配置された粉末分配器と、粉末の融合を生ずるよう粉末にエネルギーを送給する放射銃と、前記粉末床の部分、部分を融合によって、前記三次元製品の横断面を形成するため、放射銃によって放出されたビームを前記粉末床上に案内する手段と、三次元製品の連続する横断面についての情報を記憶する制御コンピュータとを具える。加えられた連続する粉末層の選択された部分、部分を融合することによって、三次元製品は構築される。所定のパターンを再現する操作計画に従って、粉末床上に、放射銃によって発生したビームを偏向させるための偏向手段を制御するように、制御コンピュータは意図されている。操作計画によって、粉末層の希望する区域を融合させた時、三次元製品の横断面が形成されている。粉末分配器によって、連続的に加えられた粉末層から、連続して形成される横断面の連続する融合によって、三次元製品が形成される。
【0003】
製作工程中、生産されている三次元体の表面構造、及び表面温度を測定できるようにした三次元製品を製造する装置がスウェーデン特許SE 0001557-8号から既知である。その明細書に記載された装置を使用することによって、意図した形状に対して、製造された三次元体を一層合致させることを可能にしている。
【0004】
三次元モデルの製作において、産業上の要件に適合するためには、十分に高い製作速度を達成することが重要である。上述したような装置が一連の製造に使用される場合には特にこのことは当てはまる。ビームのパワーを対応して増大すると共に、ビームを掃過させる掃過速度を増大することが試みられた。しかし、三次元製品の製作の工程では、製作された製品の表面応力のため形状が意図した形状から逸脱し、製品内の内部応力がクラックを形成する原因になることがわかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は製作時間を減少させるため、三次元体の製作工程を一層有効にすることができる三次元体の製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は特許請求の範囲の請求項1の特徴とするの部分に記載された装置により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
選択された区域ができ上がった製品の横断面に相当している三次元体の製造方法において、三次元体の横断面が形成された時、選択された区域を通じて、同時に伝播する2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域を使用することによって、製作を一層有効にすることができる。
【0008】
第1の好適な方法では、タイムサンプリングを行っている間に、2個の幾何学的に別個の焦点に、エネルギーを供給する放射銃によって、前記2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域を生ぜしめる。
【0009】
他の好適な実施例では、放射銃の焦点は溶解帯域の波伝播速度に相当する速度で、前記2個の溶解点で伝播する。この手順の工程により、過熱の危険を減少させ、良好な表面の仕上がりを有する最終製品が確実に得られる。
【0010】
本発明の一実施例において、粉末床内にある表面層の温度分布を検知する手段によって得られる情報から、溶解帯域の波伝播速度を測定することによって、波伝播速度を推定する。
【0011】
代案の実施例では前記焦点を有する区域についてのエネルギーバランスを計算することによって、波伝播速度を推定し、前記区域のために設定された熱伝導の式のモデルから、前記波伝播速度が得られる。
【0012】
提案された両方の方法は波伝播速度の良好な概念を与え、従って、正しい伝播速度を維持するためのフィードバックシステムを生産することが可能である。
【0013】
本発明の好適な実施例によれば、各粉末層に対して、エネルギーバランスを計算し、操作計画に従って選択された粉末層の区域を融合するため、粉末層のために決定された操作計画に従って、放射銃からエネルギーの供給を行った時、粉末層内に送られるエネルギーが次の層の画定された操作温度を維持するのに十分であるか否かをこの計算において決定し、画定された温度を維持することができる情報が得られる。全ての層の生産中に、画定された操作温度を維持することによって、即ち、表面温度を所定の画定された温度範囲内に維持することによって、三次元体の冷却が余りにも大きい時に生ずる表面応力の発生を減少させることができる。これにより、最終製品の形状が所定の形状からずれることが少なくなり、また最終製品内の内部応力の発生も少なくなる。
【0014】
また、本発明は方法の発明の要旨と対応する要旨を有する三次元製品を製造する装置に関する。
【0015】
添付図面に示す形態に関連して以下に、本発明を一層詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は三次元製品を生産する装置を符号1によって一般に示す。この装置は三次元製品3をその上で組み立てる作業テーブル2と、1個、又はそれ以上の個数の粉末分配器4と、粉末床5を形成するため、作業テーブル2上に粉末の薄い層を分散させるように配置された手段28と、粉末床にエネルギーを送給し、次に粉末床の部分、部分を溶解させ、融合させる放射ガン6と、前記粉末を融合させることによって、前記三次元製品の横断面を形成するため、放射銃6によって放出されたビームを前記作業テーブル上に、案内する案内手段7と、三次元製品を構成しているが、三次元製品の順次の横断面に関する情報を記憶する制御コンピュータ8とを具える。一作業サイクルでは、各粉末層を加えた後、放射銃に対し、作業テーブルを徐々に下降させる。この運動を可能にするため、本発明の好適な実施例では、作業テーブルを垂直方向に、即ち、矢印Pによって示す方向に移動できるように配置する。このことは必要な厚さの第1の粉末層を加えた出発位置2′において、作業テーブルが始動することを意味する。層の下にある作業テーブルを損傷しないようにするためと、この層に十分な品質を与えるため、加える他の層より、この層を一層厚くし、この第1層を通ずる溶解を避けるようにする。三次元製品の新たな横断面を形成するため、新たな粉末層を分散させることに関連して、次に作業テーブルを下降させる。本発明の一実施例では、この目的のため、歯11を設けた少なくとも1個のボールねじ10を具えるスタンド9によって、作業テーブルを支持する。歯車13を設けたステップモータ、又はサーボモータ12が作業テーブル2を希望する垂直位置に設定する。作業テーブルの作業高さを設定するため、専門家が知っている他の構成も使用することができる。例えば、ラックの代わりに、調整ねじを使用することもできる。
【0017】
材料の補給のため、前記粉末分配器に相互に作用するように手段28を配置する。更に、サーボモータ(図示せず)による既知の方法で、作業表面上に手段28を駆動して掃過させる。このサーボモータは粉末床に沿って延びる案内レール29に沿って、手段28を動かす。
【0018】
新たな粉末層を加える時、前の層に対して、どれだけ作業テーブルを下降させたかによって、粉末層の厚さが決定される。このことは、層の厚さは必要に応じて、変化させることができることを意味する。従って、隣接する層間で、横断面が形状に大きな変化を有する時、一層薄い層を作ることが可能であり、一層微細な表面を達成することができ、更に、横断面が形状に殆ど変化が無いか、全く変化がない時、ビームの最大貫入厚さを有する層を作ることができる。
【0019】
本発明の好適な実施例では、放射銃6は電子銃から成り、放射銃のビームを案内する手段7は偏向コイル7″から成る。この偏向コイル7″は磁界を発生し、この磁界は電子銃によって発生したビームを案内し、溶解させることを希望する位置における粉末床の表面層を溶解させることができる。また、放射銃は高圧回路20を具え、この高圧回路20は放射銃内に配置されたエミッタ電極21のための加速電圧を既知のように、放射銃に供給するように意図している。既知のように、エミッタ電極を電流源22に接続し、この電流源を使用して、エミッタ電極21を加熱し、次に電子を放出する。放射銃の機能、及び組立てはこの分野の専門家には良く知られている。
【0020】
溶解させる各層のために、レイアウトされた操作計画に従って、偏向コイルを制御コンピュータ8によって制御し、希望する操作計画に従って、ビームを案内することができる。
【0021】
また、作業テーブル上の粉末床の表面にビームを焦点合わせするように、少なくとも1個の集束コイル7′を設ける。
【0022】
専門家には良く知られている多数の種々の配置の代案があるが、偏向コイル7″と、集束コイル7′とを配置することができる。
【0023】
この構成をケーシング15内に収容し、このケーシングによって放射銃6と粉末床2とを収容する。ケーシング15は粉末床を包囲する第1室23と、放射銃6を包囲する第2室24とを具える。第1室23と、第2室24とは通路25を通じて、相互に連通しており、この通路25は第2室内の高圧磁界内で、加速された放出電子を第1室内に進行させ、次に作業テーブル2上の粉末床に衝突させる。
【0024】
好適な実施例では、第1室を真空ポンプ26に連結し、この真空ポンプ26は第1室23内の圧力を好適には、ほぼ10-3〜10-5ミリバールの圧力に減圧する。第2室24を好適には真空ポンプ27に連結し、この真空ポンプ27は第2室24内の圧力をほぼ10-4〜10-6ミリバールの圧力に減圧する。代案の実施例では、第1室、及び第2室の両方を同一の真空ポンプに連結することができる。
【0025】
更に、放射銃の出力を規制するため、制御コンピュータ8を放射銃6に接続するのが好適であり、更に、粉末層を引き続いて加える間に、作業テーブル2の垂直位置を調整するため、制御コンピュータ8をステップモータ12に接続し、これにより粉末層の個々の厚さを変化させることができる。
【0026】
作業面に粉末を分散させる前記手段28にも、制御コンピュータを接続する。作業表面上を掃過して、粉末の層を分散させるように、この手段28を配置する。制御コンピュータ8によって、制御されるサーボモータ(図示せず)によって、手段28を駆動する。制御コンピュータは粉末に沿う掃過を制御し、必要に応じて、粉末の補給を確実にする。この理由のため、手段28内に負荷センサを配置し、空になっているか、又は、粉末層に突き刺さっているかの手段28に関する情報を制御コンピュータが得ることができる。
【0027】
本発明によれば、また、各粉末層内の少なくとも1個の選択された区域について、エネルギーのバランスを計算するように、制御コンピュータ8を配置し、この一部区域の周りから、この一部区域内に放射されるエネルギーがこの一部区域の画定された作動温度を維持するのに十分であるか否かを、この計算において、決定する。
【0028】
本発明の好適な実施例によれば、各粉末層内の融合すべき少なくとも選択された区域についてのエネルギーバランスを計算するように、制御コンピュータを配置し、選択された区域の周囲から、選択された区域内に放射されるエネルギーが、この選択された区域の画定された操作温度を維持するのに十分であるか否かを、この計算において、決定する。
【0029】
粉末層について、エネルギーバランスを計算する目的は物体の表面を所定の温度に維持するために必要なパワーを計算することである。このパワーは全表面にわたり一定であると仮定する。
【0030】
本発明の実施例において、同時に1個の層について、計算を行う場合に、どのようにして、エネルギーバランスの計算を行うかを以下に説明する。
【0031】
そのために、リアルタイムで、パワーを計算できるようにするため、簡単化が必要である。
1.温度はx方向、及びy方向に一定であり、温度はz方向のみで変化するものと仮定する。言い換えれば、全表面は同一温度であると仮定する。
2.z方向の温度はjLt に従って変化し、ここにjは層の数であり、Ltは層の厚さである。
3.溶解中の温度分布は変化がないものと仮定する。
【0032】
次のパラメータは計算に効力を有する。
種々のインデックス
i=最上の層のインデックス
j=1からiまでの層のインデックス
【0033】
対象物のデータ
Lt=溶解すべき層の厚さ[m]
Lcont(j)=層jの外形長さ[m]
Apowt(z)=Apow(j) =層jについて粉末に面する面積[m2]
A(z)=A(j) =層j について溶解した全表面積[m2]
【0034】
材料の性質
λmet =材料の熱伝導率[W/mK]
σmet =金属表面の放射定数[W/m2K]
σmetpow=粉末で覆われた金属表面の放射定数[W/m2K]
σpow =粉末表面についての放射定数[W/m2K]
λpow =粉末の熱伝導率[W/mK]
hpow(Z)=対象物から粉末への伝熱係数[W/m2K]
【0035】
温度[K]
Tsur(i) =層iが溶解する時、表面に影響を及ぼす周囲の温度(熱遮断上で測定することができる。)
Tpow(z) =粉末内の温度
T(z)=対象物内の温度
Tsurf(i) =T(iLt)= 層iが溶解する時の対象物の表面上の希望する温度(AMAに設定される)
Tbott(i)=層iが開始される前の対象物の底部の温度(かきならす直前に測定され、又は計算される。以下の説明を参照)
【0036】
対象物内にどのように温度が分布しているかを決定するため、粉末内への熱損失を考慮した熱供給源の項を含む一次元固定熱伝導率式を解く。その式は次の数1のとおりである。
【0037】
【数1】
【0038】
この場合の表面、及び底面における境界条件の式は数2のとおりである。
【0039】
【数2】
【0040】
ここに、A、及びBは2つの常数である。
これ等の式を代わりの微分式として書き直すと、数3のとおりである。jは各層に対するインデックスである。
【0041】
【数3】
【0042】
ここに1≦j≦i−2である。
【0043】
表面温度はT(i)によって決定されるので、対象物内の温度分布に関する限り、表面上の境界条件は実際上、何も新たなものを提供しない。しかし、表面上の温度をT(i)に保つために必要なパワーであるPin を決定するためには境界条件は必要である。ここで、T(j)は次の式数4から得ることができる。
【0044】
【数4】
【0045】
T(1)に関して、表示されている圧力を挿入して、この問題を一次方程式として式化すると次の式数5のようになる。
【0046】
【数5】
【0047】
マトリックスの形であると次のようになる。
Ax=b
この各要素は次の数6のように示される。
【0048】
【数6】
【0049】
これ等の式を解くことが可能であるためには、粉末の温度Tpow(j) と、伝熱係数hpow(j) が既知であることが必要である。このプログラムではTpow(z) は次の数7のように設定される。
【0050】
【数7】
【0051】
i−1はTpow(j) を決定するため、前の層のための温度を使用することを意味する。
hpow(j) のために使用する関数は次のグラフのように表される。
【0052】
【0053】
値L1、及びL2は面積と無関係であると仮定されており、hconst1、hconst2、hconst3 はA(j)に依って変化するものと仮定されている。Tpow、及びhpowの両方の式の中の全ての常数は簡単な幾何学形状を有する対象物についての3D FEMの計算に、上の1D モデルを適合させることによって、生ぜしめている。
【0054】
熱供給源の項のための式にはApow(j) が含まれており、このApow(j) は実際上、各層の粉末に面する全面積である。大きな面積の変化がある場合には、この値は非常に大きくなり、このことは熱供給源の項の値が急増したことを意味する。このような不連続の急増は解を不安定にする。このことを防止するため、好適な実施例によれば、Apow(j) をLcont(j)*Lt に設定する。面積の変化によって生ずるパワー損失は代わりに後に加えられる。パワー損失の大きさはそれぞれの下にある区域よりも面積の変化がどれだけ大きいか、及び頂部の層のどれだけ下方にそれが存在しているかによって定まる。種々の面積の変化の値、及び種々の深さの値は3D FEMシミュレーションによって得ていた。任意の面積の変化に関しては、内挿法によって付加的パワーが得られる。
【0055】
パワーを計算する前に、プログラムは各層に対するLcont(j)*Lt 、及びA(j)の種々の値を読み取る。スクリプト・ファイルの助けを借りて、種々の方法で、これ等の値に影響を与える。このようにして、各層についてのパワーを制御することが可能である。どのように、種々の幾何学的パラメータが影響を受けるかはどのようにスクリプトが機能するかの記載から明らかである。
【0056】
上述の式系統を解く時、表面をTsurf(j)に維持するために必要な全パワーは表面についての境界条件から得られる。その際の式は次の数8である。
【0057】
【数8】
【0058】
或る層を溶解させる時、表面にわたり、異なる電流、及び速度を使用する。その目的のため、必要な種々の電流を計算することを可能にするため、使用する全てのパワーの平均値をPin に等しく設定する。そしてni個の種々の電流を使用して、或る層を溶解するものとすれば次の式数9が成立する。
【0059】
【数9】
【0060】
ここに、tik は各電流Iik についての溶解時間である。
Iik は溶解長さである。
Vik は溶解速度である。
Ttotは層iについての全溶解時間である。
Uは加速電圧である。
【0061】
そのため、電流を計算するのを可能にするため、速度は既知でなければならない。電流と速度との間の関係を示す速度関数として知られているものから、これ等の速度は得られる。これ等の関数は分析可能でないので、全ての電流と速度とを決定するためには反復法を使用しなければならない。計算のプログラムにおいては、Iik の各出発値が推測される。次に、種々の速度が得られる。次に、パワーの平均値がPin の計算値を丁度超過するまで、電流の値を増加させる。
【0062】
ここで、表面をTsurf(i)に維持するために、必要なエネルギーよりも、材料に送給されるエネルギーが少なくなるような速度と電流とで、種々の一部区域を溶解させようと、我々が希望しているものと仮定する。次に、表面を加熱しなければならない。表面を加熱するために必要な回数は電力の平均値に関する式に加熱の項を加えることによって得られる。その式は数10である。
【0063】
【数10】
【0064】
更に時間Ttotの式に、加熱時間を加えるとその式は数11である。
【0065】
【数11】
【0066】
ここに、nはどれだけ多くの回数、表面を加熱しなければならないかを示す。
上に示した計算の業務は全体の粉末層に対して、使用することができる。代案の実施例では、計算は粉末層の種々の一部区域について、行うことができる。上に示した式はこの場合も同様に使用することができる。しかし、溶解した部分に密接する内側端縁では異なる境界条件が得られる。
【0067】
図2は順次の粉末層i-1 、i-2 、i-3 、i-4 内の一部区域31〜34によって、でき上がった融合体30の側面図である。本発明により製造された実際の融合体はこの例に示したものよりも一層多くの層を有し得ることはもちろんである。
【0068】
頂部粉末層iは融合体の上に分散している。この頂部粉末層内に選択された区域35がある。この選択された区域35は操作計画に従って、融合すべき区域から成る。層i内の選択された区域35は外側端縁36によって区切られている。この選択された区域は外側端縁と内側端縁とを有しているものと考えられることもちろんである。選択された区域35内に一部区域37が示されており、この区域37のために、エネルギーバランスを計算すべきである。一部区域37は図2に示すように選択された区域の一部から成ることもでき、代案として選択された全区域から成ることもできる。図6に示すように、選択された区域35は複数個の一層小さい一部区域に分割されるのが好適である。
【0069】
エネルギーバランスは原理的にはEin(i)=Eout(i)+Eheat(i) によって計算され、ここに、Ein はこの一部区域に送られたエネルギーを表し、Eout(i) はこの一部区域からの消散、及び放射によるエネルギー損失を表し、Eheat(i)はこの一部区域に蓄えられたエネルギーを表す。供給されたエネルギーは一方では、エネルギーバランスを計算するためのこの一部区域35内に放射して入るか、又は流入するか、又はこの一部区域35の周囲から、熱伝導によって、この区域35内に流入したエネルギーEin(c)と、他方では放射銃6から放射流入したえネルギーEin(s)とである。従って、エネルギーがこの一部区域35に供給される前に、エネルギーバランスが計算されると、Ein(s)= 0である。本発明の好適な実施例によれば、放射銃6によって、エネルギーが供給される前に、この一部区域35のための、少なくとも第1回のエネルギーバランス計算を遂行する。
【0070】
図3はこの一部区域△1 のエネルギーバランスの計算の基礎になるモデルを線図的に示す。この場合、一部区域△1 は粉末iの選択された区域の一部に相当している。この場合、エネルギーバランスの計算のための式はEin(△1)=Eout(△1)+Eheat(△1) の形を有し、ここに、Ein(△1)はこの一部区域に供給されたエネルギーを表し、Eout(△1) はこの一部区域△1 から消散と放射とによって失われたエネルギーを表し、Eheat(△1)はこの一部区域△1 に蓄えられたえネルギーを表す。供給されたエネルギーは一方では、この一部区域△1 内に放射流入するか、又はこの一部区域△1 の周囲から、熱伝導によって、この一部区域△1 内に流入したエネルギーEin(c)(△1) と、他方では放射銃6から放射流入したエネルギーEin(s)△1 とである。
【0071】
図4は層iの中の選択された区域35内の第2の一部区域△2 についてのエネルギーバランスの計算の基礎となるモデルを線図的に示す。この場合、第2の一部区域△2 は粉末層iの選択された区域35の一部に相当する区域であり、この区域35の一部はまだ融合しておらず、粉末層i内の第1の一部区域△1 に隣接している区域であり、第1の一部区域△1 から第2の一部区域△2 に熱放射、又は熱伝導とが生じている。この場合、エネルギーバランスの計算のための式はEin(△2)=Eout(△2)+Eheat(△2) の形を有し、ここで、Ein(△2)は第2の一部区域に供給されたエネルギーを表し、Eout(△2) はこの一部区域△2 から消散と放射とによって失われたエネルギーを表し、 Eheat(△2) はこの一部区域△2 に蓄えられたえネルギーを表す。供給されたエネルギーは一方では、この一部区域△2 内に放射流入するか、又はこの一部区域△2 の周囲から、熱伝導によって、この一部区域△2 内に流入したエネルギーEin(c)(△2) と、他方では放射銃6から放射流入したエネルギーEin(s)△2 とである。熱伝導を通じて供給されたエネルギーEin(c)(△2) は前の層から供給されたエネルギーに相当するエネルギー成分Ein(s)(△2,i-1) と、第1の一部区域△1 から消散され、即ち放射され、第2の一部区域△2 に供給されたエネルギーに相当するエネルギー成分Eout(△1,△2) とから成る。
【0072】
図5は選択された区域203内の2個の焦点201、202の移動を示している。従って、選択された区域203は2個の溶解帯域204、205を具え、この2個の溶解帯域は三次元体の横断面の形成が行われると同時に伝播する。溶解帯域204、205の伝播を溶解帯域の前線206、207の移動によって、線図的に示されている。この図面は選択された区域の6つの場合の状態を示している。第1の場合には、放射銃6が焦点I にエネルギーを送給し、前線I が形成されつつある。次の第2の場合には、放射銃の焦点がIIに動いており、前線IIが形成されつつある。次の段階では、焦点I がIII に移動する。即ち増分は△である。同じ時間の間に、前線I は増分がδで、III まで移動している。本発明の好適な実施例では、増分δが増分△と同一である。次の段階では、焦点IIは焦点IVに移動し、前線IIは前線IVに移動する。次の段階では、焦点III は焦点V 移動し、前線III は前線V に移動する。最後に、どのように焦点IVが焦点VIに移動するかを示すと共に、どのように前線IVが前線VIに移動するかを示している。
【0073】
図5に示すように、3個の焦点位置間の焦点の移動は直線上である必要はないが、前線ができるだけ最も早く、選択された区域を充填するように、その移動を制御することができる。
【0074】
焦点の伝播速度を溶解帯域の伝播速度、即ち溶解帯域波伝播速度に適合させるため、本発明の一実施例によれば、粉末床内に位置する表面層の温度分布を検知する手段によって得られる情報から、溶解帯域波伝播速度を推定する。この手段はヒートカメラから成り、このヒートカメラは2個の順次生ずる状態における溶解帯域の前線の位置を測定することができ、それにより、溶解帯域波伝播速度を計算することができる。
【0075】
代案の実施例では、前記焦点を有する区域に対するエネルギーバランスを計算することによって、溶解帯域波伝播速度を推定する。前記区域に関し設定された熱伝導の式のモデルから前記溶解帯域波伝播速度が得られる。
【0076】
本発明の第1実施例によれば、形成状態にある三元体の全横断面に相当する全
選択区域にわたり、前記多数の焦点が展開するように、制御コンピュータ内に記憶されている操作計画を用意する。代案の実施例によれば、以下に説明するように、複数の一部区域内に数個の焦点を使用する。
【0077】
図6は複数個の一層小さい一部区域に分割された選択された区域35を示す。本発明の好適な実施例によれば、各粉末層内の表面は別個の区域38〜53の組に分割されている。これ等の分割された区域はそれぞれ選択された区域35の若干の部分から成り、分割された区域38〜53の前記組のそれぞれに対し、エネルギーバランスが計算される。選択された区域35は外端縁72によって、それ以外の区域に対して、区切られている。選択された区域は内端縁を有することはもちろんである。
【0078】
本発明の他の好適な実施例によれば、別個の区域38〜53の前記組は前記選択された区域の端縁72内に全部がある第1グループの区域54〜58と、前記選択された区域の端縁に端縁が一部だけ合致している第2グループの区域38〜53とから成る。適切な場合には、前記第2グループに含まれる各区域38〜53のおのおのは第2組の一層小さい区域38a〜38d、53a〜53dに分割される。
【0079】
図7は本発明の好適な実施例による操作計画を線図的に示しており、前記第1グループ、及び第2グループの区域内の各区域80〜91は内部区域Iと、端縁Rとから成る。この場合、前記第1のグループの区域、又は第2のグループの区域内の1組の隣接する区域の内部区域Iは第1の処理工程で融合し、その後、前記区域間の前記端縁Rが融合する。この手順によって、冷却後、三次元体内での曲げ応力の発生が減少する。
【0080】
本発明の好適な実施例によれば、融合すべき区域、即ち、選択された区域がそれぞれ端縁Rを有する1個、又はそれ以上の個数の内部区域Iに分割されるように、操作計画を設計する。図8は融合すべき区域35を線図的に示している。この区域は端縁Rによって区切られた内部区域Iから成る。本発明によれば、内部区域Iは放射銃のビームの焦点に関する移動パターンを使用して、融合する。この移動は主移動方向と、この主移動方向に直角な方向の成分を有していて、この主移動方向に加えられる干渉項とを有する。この干渉項は方向を変換し、またこの干渉項は主移動方向からゼロドリフトに相当する時間平均値を有する。図9は干渉項の異なる外観の3個の異なる例を示し、これ等は三角波、サイン曲線、及び方形波の形の移動を生ずる。
【0081】
図10はどのように熱分布が本体内に現れるかを線図的に示しており、この場合、放射銃の直径Dを有する焦点が本体を加熱している。焦点の周りの温度分布はガウスのベルの形を有する。干渉項が無い焦点の周りの温度分布は(α)を付した曲線によって示されている。干渉項があれば、主移動方向に沿うビームの伝播のコース内の処理の足跡は広くなる。広くなった足跡を(β)を付した曲線によって示す。広くなった足跡も、一層小さい最大値を有する温度分布を有している。これにより、過熱が発生して、その結果、不規則部が形成される危険が減少する。
【0082】
主移動方向に対し、直角な方向の干渉項の成分の振幅の2倍に基本的に相当する幅を有する溶解帯域を形成するような性質を干渉項が有するのが好適である。干渉項の方向の焦点の移動の絶対値の平均速度が材料内の熱の伝播速度を超過していのが好適である。主移動方向の速度が材料内の熱の伝播速度に相当しているのが好適である。干渉項が零の値を有する焦点の出発点から焦点が移動することができ、干渉項の最小値と、最大値とを焦点が通過することができ、熱伝播の波の前端が第1零位置から第2零位置まで移動するのに要する時間内に、焦点がその位置に復帰することができるように、干渉項の振幅と、周波数とを適合させるのが好適である。このことは図5に線図的に示されている。図11は第1位置51から、干渉項の最大値52と、干渉項の最小値53とを経て、干渉項が零の値の第2位置54を占めるまで、曲線50に沿って、焦点がどのように移動するかを示している。この時間の間に、熱伝播の波の前端は第1位置51から第2位置まで伝播し終わっている。干渉項の平均速度が余りに低いと、干渉項の終点によって画成されている通路内を走る湾曲溶解足跡が広い足跡の代わりに形成される。
【0083】
好適な実施例によれば、干渉項は主移動方向に平行な方向の成分を有する。この場合の干渉項は二次元である。二次元の干渉項の例は図12に示されている。
【0084】
放射銃のビームの主に直線移動の間に、端縁Rが融合するのが好適である。
【0085】
主移動方向と、この主移動方向に直角な方向の成分を有していて、この主移動方向に加えられる干渉項とを有する放射銃のビームの焦点に関する移動パターンで操作する目的は、一層広い足跡の場合、溶解帯域を一層遅く動かすことができ、しかも、従来の操作に比較して、比較的高速で、溶解することが可能なためである。溶解帯域の一層遅い移動は、溶解材料の蒸発を減少させると共に、沸騰し、スプラッシュする溶解材料の発生を減少させることができる。連続する主に直線運動を使用して、端縁を融合させる目的はこれにより、でき上がった製品に平滑な表面構造が得られることにある。
【0086】
焦点の螺旋形の運動を生ずる二次元干渉項を有する本発明の好適な実施例の場合の放射銃のビームの移動パターンの解析は次の通りである。
【0087】
x軸線の周りに回転し、このx軸線に沿って、Vxで移動する焦点の位置は次の式1である数12から求めることができる。
【0088】
【数12】
【0089】
ここに、Ax、及びAyはそれぞれx方向、及びy方向の振幅である。代表的な「スピニング曲線」は図13に示すものに類似して現れる。
【0090】
図7に示すパターンはωを次の式2である数13のように設定すれば得ることができる。
【0091】
【数13】
【0092】
焦点の速度は次の式3である数14によって与えられる。
【0093】
【数14】
【0094】
従って、焦点の絶対速度は次の式4である数15のとおりである。
【0095】
【数15】
【0096】
上の式に従って、焦点が移動すれば、その速度は変化し、回転の方向に従って、x軸線の下方の最大値、上方の最小値を示すか、又はこの逆にx軸線の上方の最大値、下方の最小値の速度を示す。図1のスピニング曲線に沿って、一定速度で移動する焦点を得るためには、平均速度をまず次の式5である数16によって計算する。
【0097】
【数16】
【0098】
ここに、Tは次の式数17によって示すことができる。
【0099】
【数17】
【0100】
Vaverageは焦点を動かすべき速度である。時間tで焦点が移動した距離は
S=t*Vaverage である。
この距離は時間t′でスピニング曲線の長さに等しくなければならない。従って、次の式6である数18が成立する。
【0101】
【数18】
【0102】
0<t<Tについて式6を解けばtの関数としてt′が得られる。次に、このt′を式1に使用すれば、時間tの関数として、このスポットの位置が与えられる。
【0103】
表面から0.1 〜0.15mm下の溶解帯域は1.8Ay のおよその幅を有していることが種々の速度、及びAyを使用する多数のシミュレーションが示している。2個のスピンライン間のホップはホップスピン=1.8Ay−0.3であるべきである。
【0104】
端縁から出発点までの距離はほぼスタートホップ=0.8Ay−0.15 である。
【0105】
図14はこの線図中に矢印で示したx方向に伝播する連続する広い溶解端縁を示している。直径Dを有する焦点がこの線図中に示されている。焦点の外側の区域内で融合が生ずるのを重複するパターンによって確実にしている。そのような区域を符号δによって示している。同時に、これ等の区域は矢印xによって示された方向に伝播する全体の区域を形成している。
【0106】
本発明の他の好適な実施例によれば、内部区域Iの間の端縁Rは放射銃のビームの主な直線移動の間に、融合する。
【0107】
図15によれば、本発明の好適な実施例の構成は粉末床内にある表面層の表面の性質を検知する手段14を具えている。粉末床5内にある表面層の温度分布を検知するこの手段14はカメラから成るのが好適である。本発明の好適な実施例では、一方では、このカメラを使用して表面層上の温度分布を測定し、他方では表面の不規則性から生ずる影の形成によって、表面の不規則性の発生を測定する。一方、温度分布に関する情報を使用して、溶解すべき表面層のこれ等の部分の温度分布をできるだけ均一にし、他方では、温度分布が製品の形状を反映するので、でき上がった三次元製品と原設計との間の寸法の相違をチェックするため、情報を使用することができる。本発明の好適な実施例では、粉末床5と放射銃6とを包囲しているケーシング15の外側に、ビデオカメラを取り付ける。温度測定を可能にするため、このケーシングに透明な窓16を設ける。この窓を通して、カメラにとって粉末床を見ることができる。
【0108】
図16に示す本発明の好適な実施例では、窓16を保護フィルム17によって覆う。保護フィルムを供給ユニット18から捕集ユニット19に送り、フィルムが徐々に位置を変えるようにして、透明性を維持できるようにする。溶解処理の結果として、コーティングが形成されるので、保護フィルムが必要である。
【0109】
図17は本発明による三次元体を製造する方法を線図的に示す。三次元体は粉末床の選択された区域の順次の融合によって形成されるが、選択された区域の部分は三次元体の順次の横断面に対応している。
【0110】
この方法の第1工程100において、粉末層を作業テーブルに加える。この粉末層を加えるのは作業テーブル2上に粉末の薄い層を分散させる上述の手段28によって行われる。
【0111】
方法の第2工程110において、粉末層のために決定されている操作計画に従って、粉末層の選択された区域に、放射銃6からエネルギーを供給し、前記作業計画に従って選択された粉末層の区域を融合し、次に、三次元体の横断面を形成する。順次加えられた粉末層から形成された順次の横断面を順次融合することによって、三次元体が形成される。
【0112】
本発明によれば、三次元体の横断面が形成された時、選択された区域がこの選択された区域を通じて、同時に伝播する2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域を有するように、前記操作計画は設計されている。
【0113】
タイムサンプリングが行われている間に、2個、又はそれ以上の個数の幾何学的に別個の焦点に、エネルギーを供給する放射銃によって、2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域が得られる。
【0114】
溶解点における放射銃の焦点が溶解帯域の波伝播速度に対応する速度で伝播するように操作計画が設計されるのが好適である。
【0115】
本発明の一実施例によれば、溶解帯域の波伝播速度を測定することによって、粉末床内にある表面層の温度分布を検知する手段によって得られる情報から、溶解帯域の波伝播速度を測定することによって、波伝播速度を測定することができる。三次元体の表面上の温度分布を読み取ることによって、この手段は溶解点から、外方に、どのように熱が広がるかを記録することができる。熱が広がる速度は波伝播速度に対応している。
【0116】
好適な実施例によれば、各粉末層内の少なくとも1個の一部区域に対するこの方法の第3工程120において、エネルギーバランスを計算し、この一部区域の周囲からこの一部区域内に放射されたエネルギーがこの一部区域の画定された操作温度を維持するのに充分であるか否かをこの計算において決定する。計算は上に示したモデルに従って行われる。
【0117】
図18は主要な操作計画を生み出す手順を線図的に示す。第1工程40では、例えば、製作すべき製品のCADプログラムにおいて、3Dモデルを生み出しており、又は代案として、製作すべき製品の、既に生じている3Dモデルを制御コンピュータ8に入力する。次に、第2工程41において、製品の横断面の外観に関する情報を含むマトリックスを生ずる。図23は関連する横断面31〜33の例の場合のハンマーのモデルを示す。また、これ等の横断面を図24のa-a 〜c-c に示す。仕上がった製品を形成するため、融合すべ種々の層の厚さに対応する密度で横断面は分布している。この厚さは種々の層の間で有利に変化させることができる。特に、隣接する層の間の横断面の外観が大きく変化している区域において、層を一層薄くするのが有利である。従って、横断面が生じている時、三次元製品を相互に作り上げる全ての横断面の外観についての情報を含むマトリックスを生ぜしめる。
【0118】
横断面が一旦、生ずると、第3工程42における各横断面に対して基本操作計画を作成する。基本操作計画の作成は一方では横断面を作る各部の形状の確認と、他方では横断面の局部的な部分の冷却温度に操作計画がどのように影響を及ぼすかの認識とに基づいている。その狙いとするところは製品に現れる収縮応力の危険を減少させ、製品に発生する収縮応力、及びその結果として生ずる製品の変形を減少させるため、冷却温度を希望する範囲内に維持するのと同時に、次の層を加える前に、融合する部分内の冷却温度をできるだけ均一にする操作計画を作成することである。
【0119】
まず第1に、横断面の別個の構成部分の形状に基づいて、基本操作計画を作成する。
【0120】
本発明の好適な実施例では、横断面の冷却温度の良好な温度分布を生ずる操作計画の経験に基づいて、基本操作計画を企画する。従って、製品内に収縮応力を生じ、その結果として製品の変形を生ずる危険を減少させることができる。この目的のため、種々の形状の区域に対する1組の操作計画を記憶装置に記憶する。好適な実施例では、操作計画の修正の結果が評価される際、この記憶を更新する。このようにして、自己学習システムが得られる。
【0121】
本発明の代案の実施例では、独立したコンピュータによって発生した既にでき上がっている横断面を制御コンピュータの記憶装置に入力し、ここで前記基本操作計画を作成する。この場合、外部情報源40aを通じて、情報を第3工程42に直接提供する。
【0122】
図19は三次元体を作製するため、図17に関連して説明した方法を使用する手順を線図的に示す。この方法の第1工程130では、エネルギーバランスの計算の基礎となるパラメータを決定する。この方法の第2工程140では、選択された区域35の少なくとも一部区域についてのエネルギーバランスの計算が行われる。計算は前に図示した方法によって行われる。
【0123】
この方法の第3工程150では、計算されたエネルギーバランスに従って、操作計画が更新される。エネルギーバランスの結果が希望する操作温度を維持するため充分な熱エネルギーがこの一部区域に保存されているのであれば、余分なエネルギー供給は行わない。本発明の一実施例によれば、エネルギーバランスの結果が希望する操作温度を維持するための充分な熱エネルギーがこの一部区域に保存されていないと言うことであれば、融合を行う前に、一部区域の予熱の形で、余分なエネルギー供給を行う。この予熱は放射銃をこの区域の上に、非常に早く掃過させて行うか、又は通常の時よりも一層低いパワーで、この区域の上に放射銃を掃過させるか、又は代案として、これ等両方の組合せを行う。予熱はこの方法の第4工程160で行われる。
【0124】
この方法の第5工程170では、一部区域上に放射銃を掃過させることによって、融合が行われる。
【0125】
図20は操作計画を作成し、修正をするため、適切な場合に、上述の方法を利用する本発明の実施例を線図的に示す。この方法の第1工程180では、選択された区域の1個、又はそれ以上の内部区域を確認する。この方法の第2工程190では、前記内部区域に関連し、前記内部区域をそれぞれ包囲している端縁、又は複数個の端縁Rを確認する。この方法の第3工程200では、放射銃によって放出されたビームの一部重複する円運動を行っている間に、前記内部区域Iを融合させる。この方法の第4工程210では、ビームの直線運動の間に、前記端縁を融合する。
【0126】
本発明の一実施例によれば、前記複数個の内部区域内で、同時に、1区域内の粉末を連続して、融合させるように、操作計画を手配する。
【0127】
本発明の好適な実施例によれば、各粉末層内の表面を1組の別個の区域に分割するように、制御コンピュータを配置する。前記1組の別個の区域は前記選択された区域内に全体的に存在する第1グループの区域と、前記選択された区域内に一部存在する第2グループの区域とから成る。前記第1グループの区域、及び第2グループの区域内の各区域は端縁を有する内部区域から成る。また、前記第1グループの区域内の1組の区域の前記内部区域が放射銃のビームの一部重複する円運動の間に、融合することが確実に行われるよう制御コンピュータを配置する。
【0128】
本発明の一実施例においては、前記第2グループの区域内の内部区域の融合は一部重複する円運動によって生ずる。本発明の代案の実施例では、前記第2グループの区域内の内部区域内での融合は主に直線運動によって生ずる。
【0129】
本発明の好適な実施例によれば、選択された表面を一層小さい表面部分に、分割することに関する上述の実施例の場合に、ビームのパワーのキャリブレーションに関する操作計画を制御すると共に、最終の融合が起きる前に、粉末床を加熱するためのエネルギーを供給するため、上述のエネルギーバランスの計算を使用する。
【0130】
図21は製品の横断面を発生するため、放射銃からのビームを粉末床上に案内する手順を線図的に示す。第1工程50では、工程42で明確にした基本操作計画に従って、粉末床上のビームの案内を開始する。次の工程51では、粉末床の表面層上の温度分布をカメラによって測定する。次に、測定された温度分布から、温度分布マトリックスTij-measuredを発生し、粉末床の表面層の小部分の区域の温度をこのマトリックスに保存する。このマトリックスが生じた時、このマトリックス内の各温度Tij-measuredを希望値マトリックスTij-desired value 内の希望値に比較する。粉末床の表面層はほぼ3つのカテゴリーに分割することができる。第1に、放射銃による処理によって、融合が生ずる区域である。これ等の区域では、最高融合温度Tij-max が重要である。第2に、既に融合している区域が冷却しつつある。これ等の区域では、最低許容冷却温度Tij-cooling-min が重要であり、これは冷却が余りにも激しいと、応力を発生し、従って、表面層の変形を起こすからである。第3に、放射銃によって、処理されなかった区域である。これ等の区域では、粉末床温度Tij-bed が重要である。また、温度に関しては処理された区域のみで比較することが可能であり、Tij-bed は記憶されず、及び/又はチェックされない。
【0131】
第3工程52では、Tij-measuredが希望する値Tij-desired value から偏差しているか、即ちずれを有しているかどうか、及びこの偏差が許容限界値より大きいか否かを調査する。3つの異なるカテゴリーに関連する限界値△Tij-max 、△Tij-cooling 、及び△Tij-bed は制御コンピュータ8に記憶される。粉末床温度をチェックしないことも可能である。この場合、関連する限界値は記憶されない。Tij-measuredとTij-desired value との間の偏差がこの限界値を超過していなければ、第4工程53において、表面層が完全に処理されているか否かを調査する。もし完全に処理されていなければ、現在の操作計画による操作を継続し、上述の工程50〜53をもう一度行う。
【0132】
Tij-measuredとTij-desired value との間の偏差が限界値の一つを越えていれば、第5工程で、操作計画42の補正を行う。好適な実施例では、前記補正を図17に示すシステムに従って実施する。
【0133】
本発明の好適な実施例では、各層が完成した後でのみ、新たな粉末層を分散させ、製品が仕上がるまで、粉末層の順次の融合によって製品を作製する。この場合、層のための操作計画が完了していると言うことが第4工程53で確立している時、全体としての製品が仕上がっていないならば、第6工程55の後に新たな層を開始する。
【0134】
図22に示す好適な実施例では、操作計画の補正は次のような方法の工程から成る。即ち、第1工程56で、Tij-max をTij-max-desired value に比較する。Tij-max がTij-max-desired value に対して、△Tij-max を超過する偏差を有していれば、ビームのパワーを変えるか、又はビームの掃過速度を変えるかすることによって、工程56aで粉末層へのエネルギー供給を調整する。
【0135】
第2工程58では、Tij-cooling をTij-cooling-desired value に比較する。Tij-cooling がTij-cooling-desired value に対し、△Tij-cooling を超過する偏差を有していれば、ビームの操作計画を工程58aで変更する。ビームの操作計画を変更する多くの方法がある。操作計画を変更する一つの方法は区域が余りにも冷却されてしまう前に、ビームにより、これ等の区域を再加熱することである。次に、既に融合している区域の上を低いエネルギー強さ、及び/又は一層高い掃過速度で、放射銃を掃過させることである。
【0136】
第3工程60では、Tij-bed がTij-bed-desired value から偏差しているか否かを調べる。その偏差が△Tij-bed より一層大きければ、本発明の一実施例では、例えば、粉末床上にビームを掃過させて、エネルギーを供給することにより、ビームの温度を工程60aで修正することができる。別個の粉末床加熱装置をこの装置に連結することも可能である。
【0137】
製作されている物品の寸法チェックをこの装置に設置されたヒートカメラによって実施することも可能である。上述したように、粉末床と、融合した部分とを測定する。測定された熱分布は作製すべき三次元体の断面における物品の形状を完全に反映する。物品の寸法のチェックをこのようにして、第4工程62で、実施することができ、放射銃のビームのX方向、Y方向の偏向のフィードバックも可能である。本発明の好適な実施例では、横断面の寸法間の偏差のこのチェックを工程62aで実施し、偏差が許容値より大きければ、放射銃のX方向、及びY方向の偏向を修正する。
【0138】
更に、前記カメラからの入力信号を使用して、例えば溶着火花の形で表面の不規則性、即ち凹凸を確認することができる。表面の不規則性の座標データを確認した時、操作計画を更新することができ、表面の不規則性を崩壊させるため、確認した座標データ部に放射銃を適用する。
【0139】
本発明は上述の図示した実施例に限定されない。放射銃は例えばレーザを使用することができ、この場合、偏向手段は案内可能な鏡、及び/又はレンズから成る。
【0140】
更に、エネルギー源から製品原材料までエネルギーを移送することによって、三次元製品を生産するための装置に、本発明を使用することができ、この装置は形成すべき前記三次元製品をその上で製造する作業テーブルと、製品の粉末床を形成するため、作業テーブル上に製品原材料の薄い層を分散させるように配置された分散器と、製品の粉末床の表面の選択された区域にエネルギーを送給するための手段と、前記区域内に確固とした横断面を形成するため、製品原材料の位相を変換する手段と、三次元製品を形成する順次の横断面についての情報を保管する記憶装置を管理する制御コンピュータとを具え、エネルギーを送給する手段を制御コンピュータによって制御し、前記選択された区域にエネルギーを供給し、分配器によって順次加えられた製品原材料から、順次形成された横断面を順次、合体させて、前記三次元製品を形成する。
【0141】
この場合、実施例は粉末床の表面を照射する放射銃によって、粉末を融合することに限定されない。製品原材料は例えば溶解後、凝固、又は硬化するように、位相変換後、固体を形成するいかなる材料から成るものでもよい。エネルギー送給手段は電子銃から成ることができるが、作業表面上に案内されるレーザであってもよく、又は代案として、製品の粉末床上に直接、横断面を投影し得るエネルギー送給手段であってもよい。
【0142】
更に、上述の実施例は前に説明した実施例に関連して説明した全ての要旨を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明装置の横断面を示す。
【図2】多数の粉末層、及び頂部の粉末層によって形成された三次元体の横断面を線図的に示す。
【図3】エネルギーバランスを計算するための線図的モデルを示す。
【図4】エネルギーバランスを計算するための他の線図的モデルを示す。
【図5】選択された表面上の焦点と溶解帯域の移動を示す。
【図6】一組の別個の区域に分割された選択された区域を示す。
【図7】別個の区域を内部区域と端縁区域とに分割した状態を示す。
【図8】内部区域と端縁とを有する融合すべき区域を示す。
【図9】一次元干渉項を有する一組の種々の曲線形状を示す。
【図10】干渉項がある場合と、干渉項が無い場合について、放射銃の直径Dの焦点が三次元体を加熱した時、どのように熱分布が三次元体内に現れるかを線図的に示す。
【図11】主移動方向に沿う焦点の移動に関連する焦点の移動の例を示す。
【図12】二次元干渉項を有する場合の種々の曲線形状の組を示す。
【図13】本発明の好適な実施例による焦点の移動パターンを示す。
【図14】焦点、及び融合が起きる拡大区域の位置決めを示す。
【図15】本発明の一実施例による放射銃の焦点の移動パターンを線図的に示す。
【図16】透明窓を設けた室の側面図である。
【図17】窓の透明を維持するため保護フィルムを送り、固定する装置を示す。
【図18】この装置の操作計画のフローダイヤグラムを示す。
【図19】基本操作計画を作成するためのフローダイヤグラムを示す。
【図20】前記操作計画を修正するためのフローダイヤグラムを示す。
【図21】三次元体を作製するための手順を線図的に示す。
【図22】粉末床の表面上の温度分布を測定するカメラから得られた情報の助けを借りて、操作計画を修正する手順を線図的に示す。
【図23】三次元物品の線図的な構造を示す。
【図24】図23の物品の多数の横断面を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は作業テーブルに加えられた粉末層の選択された部分、部分を連続して融合することによって、三次元製品を製造する三次元製品の製造装置、及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業テーブルに加えられた粉末層の選択された部分、部分を連続して融合することによって、三次元製品を製造する装置は例えば、米国特許第4863538 号から、以前から知られている。この既知の装置は三次元製品をその上で構築すべき作業テーブルと、粉末床を形成するため、作業テーブル上に粉末の薄い層を分散させるように配置された粉末分配器と、粉末の融合を生ずるよう粉末にエネルギーを送給する放射銃と、前記粉末床の部分、部分を融合によって、前記三次元製品の横断面を形成するため、放射銃によって放出されたビームを前記粉末床上に案内する手段と、三次元製品の連続する横断面についての情報を記憶する制御コンピュータとを具える。加えられた連続する粉末層の選択された部分、部分を融合することによって、三次元製品は構築される。所定のパターンを再現する操作計画に従って、粉末床上に、放射銃によって発生したビームを偏向させるための偏向手段を制御するように、制御コンピュータは意図されている。操作計画によって、粉末層の希望する区域を融合させた時、三次元製品の横断面が形成されている。粉末分配器によって、連続的に加えられた粉末層から、連続して形成される横断面の連続する融合によって、三次元製品が形成される。
【0003】
製作工程中、生産されている三次元体の表面構造、及び表面温度を測定できるようにした三次元製品を製造する装置がスウェーデン特許SE 0001557-8号から既知である。その明細書に記載された装置を使用することによって、意図した形状に対して、製造された三次元体を一層合致させることを可能にしている。
【0004】
三次元モデルの製作において、産業上の要件に適合するためには、十分に高い製作速度を達成することが重要である。上述したような装置が一連の製造に使用される場合には特にこのことは当てはまる。ビームのパワーを対応して増大すると共に、ビームを掃過させる掃過速度を増大することが試みられた。しかし、三次元製品の製作の工程では、製作された製品の表面応力のため形状が意図した形状から逸脱し、製品内の内部応力がクラックを形成する原因になることがわかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は製作時間を減少させるため、三次元体の製作工程を一層有効にすることができる三次元体の製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は特許請求の範囲の請求項1の特徴とするの部分に記載された装置により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
選択された区域ができ上がった製品の横断面に相当している三次元体の製造方法において、三次元体の横断面が形成された時、選択された区域を通じて、同時に伝播する2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域を使用することによって、製作を一層有効にすることができる。
【0008】
第1の好適な方法では、タイムサンプリングを行っている間に、2個の幾何学的に別個の焦点に、エネルギーを供給する放射銃によって、前記2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域を生ぜしめる。
【0009】
他の好適な実施例では、放射銃の焦点は溶解帯域の波伝播速度に相当する速度で、前記2個の溶解点で伝播する。この手順の工程により、過熱の危険を減少させ、良好な表面の仕上がりを有する最終製品が確実に得られる。
【0010】
本発明の一実施例において、粉末床内にある表面層の温度分布を検知する手段によって得られる情報から、溶解帯域の波伝播速度を測定することによって、波伝播速度を推定する。
【0011】
代案の実施例では前記焦点を有する区域についてのエネルギーバランスを計算することによって、波伝播速度を推定し、前記区域のために設定された熱伝導の式のモデルから、前記波伝播速度が得られる。
【0012】
提案された両方の方法は波伝播速度の良好な概念を与え、従って、正しい伝播速度を維持するためのフィードバックシステムを生産することが可能である。
【0013】
本発明の好適な実施例によれば、各粉末層に対して、エネルギーバランスを計算し、操作計画に従って選択された粉末層の区域を融合するため、粉末層のために決定された操作計画に従って、放射銃からエネルギーの供給を行った時、粉末層内に送られるエネルギーが次の層の画定された操作温度を維持するのに十分であるか否かをこの計算において決定し、画定された温度を維持することができる情報が得られる。全ての層の生産中に、画定された操作温度を維持することによって、即ち、表面温度を所定の画定された温度範囲内に維持することによって、三次元体の冷却が余りにも大きい時に生ずる表面応力の発生を減少させることができる。これにより、最終製品の形状が所定の形状からずれることが少なくなり、また最終製品内の内部応力の発生も少なくなる。
【0014】
また、本発明は方法の発明の要旨と対応する要旨を有する三次元製品を製造する装置に関する。
【0015】
添付図面に示す形態に関連して以下に、本発明を一層詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は三次元製品を生産する装置を符号1によって一般に示す。この装置は三次元製品3をその上で組み立てる作業テーブル2と、1個、又はそれ以上の個数の粉末分配器4と、粉末床5を形成するため、作業テーブル2上に粉末の薄い層を分散させるように配置された手段28と、粉末床にエネルギーを送給し、次に粉末床の部分、部分を溶解させ、融合させる放射ガン6と、前記粉末を融合させることによって、前記三次元製品の横断面を形成するため、放射銃6によって放出されたビームを前記作業テーブル上に、案内する案内手段7と、三次元製品を構成しているが、三次元製品の順次の横断面に関する情報を記憶する制御コンピュータ8とを具える。一作業サイクルでは、各粉末層を加えた後、放射銃に対し、作業テーブルを徐々に下降させる。この運動を可能にするため、本発明の好適な実施例では、作業テーブルを垂直方向に、即ち、矢印Pによって示す方向に移動できるように配置する。このことは必要な厚さの第1の粉末層を加えた出発位置2′において、作業テーブルが始動することを意味する。層の下にある作業テーブルを損傷しないようにするためと、この層に十分な品質を与えるため、加える他の層より、この層を一層厚くし、この第1層を通ずる溶解を避けるようにする。三次元製品の新たな横断面を形成するため、新たな粉末層を分散させることに関連して、次に作業テーブルを下降させる。本発明の一実施例では、この目的のため、歯11を設けた少なくとも1個のボールねじ10を具えるスタンド9によって、作業テーブルを支持する。歯車13を設けたステップモータ、又はサーボモータ12が作業テーブル2を希望する垂直位置に設定する。作業テーブルの作業高さを設定するため、専門家が知っている他の構成も使用することができる。例えば、ラックの代わりに、調整ねじを使用することもできる。
【0017】
材料の補給のため、前記粉末分配器に相互に作用するように手段28を配置する。更に、サーボモータ(図示せず)による既知の方法で、作業表面上に手段28を駆動して掃過させる。このサーボモータは粉末床に沿って延びる案内レール29に沿って、手段28を動かす。
【0018】
新たな粉末層を加える時、前の層に対して、どれだけ作業テーブルを下降させたかによって、粉末層の厚さが決定される。このことは、層の厚さは必要に応じて、変化させることができることを意味する。従って、隣接する層間で、横断面が形状に大きな変化を有する時、一層薄い層を作ることが可能であり、一層微細な表面を達成することができ、更に、横断面が形状に殆ど変化が無いか、全く変化がない時、ビームの最大貫入厚さを有する層を作ることができる。
【0019】
本発明の好適な実施例では、放射銃6は電子銃から成り、放射銃のビームを案内する手段7は偏向コイル7″から成る。この偏向コイル7″は磁界を発生し、この磁界は電子銃によって発生したビームを案内し、溶解させることを希望する位置における粉末床の表面層を溶解させることができる。また、放射銃は高圧回路20を具え、この高圧回路20は放射銃内に配置されたエミッタ電極21のための加速電圧を既知のように、放射銃に供給するように意図している。既知のように、エミッタ電極を電流源22に接続し、この電流源を使用して、エミッタ電極21を加熱し、次に電子を放出する。放射銃の機能、及び組立てはこの分野の専門家には良く知られている。
【0020】
溶解させる各層のために、レイアウトされた操作計画に従って、偏向コイルを制御コンピュータ8によって制御し、希望する操作計画に従って、ビームを案内することができる。
【0021】
また、作業テーブル上の粉末床の表面にビームを焦点合わせするように、少なくとも1個の集束コイル7′を設ける。
【0022】
専門家には良く知られている多数の種々の配置の代案があるが、偏向コイル7″と、集束コイル7′とを配置することができる。
【0023】
この構成をケーシング15内に収容し、このケーシングによって放射銃6と粉末床2とを収容する。ケーシング15は粉末床を包囲する第1室23と、放射銃6を包囲する第2室24とを具える。第1室23と、第2室24とは通路25を通じて、相互に連通しており、この通路25は第2室内の高圧磁界内で、加速された放出電子を第1室内に進行させ、次に作業テーブル2上の粉末床に衝突させる。
【0024】
好適な実施例では、第1室を真空ポンプ26に連結し、この真空ポンプ26は第1室23内の圧力を好適には、ほぼ10-3〜10-5ミリバールの圧力に減圧する。第2室24を好適には真空ポンプ27に連結し、この真空ポンプ27は第2室24内の圧力をほぼ10-4〜10-6ミリバールの圧力に減圧する。代案の実施例では、第1室、及び第2室の両方を同一の真空ポンプに連結することができる。
【0025】
更に、放射銃の出力を規制するため、制御コンピュータ8を放射銃6に接続するのが好適であり、更に、粉末層を引き続いて加える間に、作業テーブル2の垂直位置を調整するため、制御コンピュータ8をステップモータ12に接続し、これにより粉末層の個々の厚さを変化させることができる。
【0026】
作業面に粉末を分散させる前記手段28にも、制御コンピュータを接続する。作業表面上を掃過して、粉末の層を分散させるように、この手段28を配置する。制御コンピュータ8によって、制御されるサーボモータ(図示せず)によって、手段28を駆動する。制御コンピュータは粉末に沿う掃過を制御し、必要に応じて、粉末の補給を確実にする。この理由のため、手段28内に負荷センサを配置し、空になっているか、又は、粉末層に突き刺さっているかの手段28に関する情報を制御コンピュータが得ることができる。
【0027】
本発明によれば、また、各粉末層内の少なくとも1個の選択された区域について、エネルギーのバランスを計算するように、制御コンピュータ8を配置し、この一部区域の周りから、この一部区域内に放射されるエネルギーがこの一部区域の画定された作動温度を維持するのに十分であるか否かを、この計算において、決定する。
【0028】
本発明の好適な実施例によれば、各粉末層内の融合すべき少なくとも選択された区域についてのエネルギーバランスを計算するように、制御コンピュータを配置し、選択された区域の周囲から、選択された区域内に放射されるエネルギーが、この選択された区域の画定された操作温度を維持するのに十分であるか否かを、この計算において、決定する。
【0029】
粉末層について、エネルギーバランスを計算する目的は物体の表面を所定の温度に維持するために必要なパワーを計算することである。このパワーは全表面にわたり一定であると仮定する。
【0030】
本発明の実施例において、同時に1個の層について、計算を行う場合に、どのようにして、エネルギーバランスの計算を行うかを以下に説明する。
【0031】
そのために、リアルタイムで、パワーを計算できるようにするため、簡単化が必要である。
1.温度はx方向、及びy方向に一定であり、温度はz方向のみで変化するものと仮定する。言い換えれば、全表面は同一温度であると仮定する。
2.z方向の温度はjLt に従って変化し、ここにjは層の数であり、Ltは層の厚さである。
3.溶解中の温度分布は変化がないものと仮定する。
【0032】
次のパラメータは計算に効力を有する。
種々のインデックス
i=最上の層のインデックス
j=1からiまでの層のインデックス
【0033】
対象物のデータ
Lt=溶解すべき層の厚さ[m]
Lcont(j)=層jの外形長さ[m]
Apowt(z)=Apow(j) =層jについて粉末に面する面積[m2]
A(z)=A(j) =層j について溶解した全表面積[m2]
【0034】
材料の性質
λmet =材料の熱伝導率[W/mK]
σmet =金属表面の放射定数[W/m2K]
σmetpow=粉末で覆われた金属表面の放射定数[W/m2K]
σpow =粉末表面についての放射定数[W/m2K]
λpow =粉末の熱伝導率[W/mK]
hpow(Z)=対象物から粉末への伝熱係数[W/m2K]
【0035】
温度[K]
Tsur(i) =層iが溶解する時、表面に影響を及ぼす周囲の温度(熱遮断上で測定することができる。)
Tpow(z) =粉末内の温度
T(z)=対象物内の温度
Tsurf(i) =T(iLt)= 層iが溶解する時の対象物の表面上の希望する温度(AMAに設定される)
Tbott(i)=層iが開始される前の対象物の底部の温度(かきならす直前に測定され、又は計算される。以下の説明を参照)
【0036】
対象物内にどのように温度が分布しているかを決定するため、粉末内への熱損失を考慮した熱供給源の項を含む一次元固定熱伝導率式を解く。その式は次の数1のとおりである。
【0037】
【数1】
【0038】
この場合の表面、及び底面における境界条件の式は数2のとおりである。
【0039】
【数2】
【0040】
ここに、A、及びBは2つの常数である。
これ等の式を代わりの微分式として書き直すと、数3のとおりである。jは各層に対するインデックスである。
【0041】
【数3】
【0042】
ここに1≦j≦i−2である。
【0043】
表面温度はT(i)によって決定されるので、対象物内の温度分布に関する限り、表面上の境界条件は実際上、何も新たなものを提供しない。しかし、表面上の温度をT(i)に保つために必要なパワーであるPin を決定するためには境界条件は必要である。ここで、T(j)は次の式数4から得ることができる。
【0044】
【数4】
【0045】
T(1)に関して、表示されている圧力を挿入して、この問題を一次方程式として式化すると次の式数5のようになる。
【0046】
【数5】
【0047】
マトリックスの形であると次のようになる。
Ax=b
この各要素は次の数6のように示される。
【0048】
【数6】
【0049】
これ等の式を解くことが可能であるためには、粉末の温度Tpow(j) と、伝熱係数hpow(j) が既知であることが必要である。このプログラムではTpow(z) は次の数7のように設定される。
【0050】
【数7】
【0051】
i−1はTpow(j) を決定するため、前の層のための温度を使用することを意味する。
hpow(j) のために使用する関数は次のグラフのように表される。
【0052】
【0053】
値L1、及びL2は面積と無関係であると仮定されており、hconst1、hconst2、hconst3 はA(j)に依って変化するものと仮定されている。Tpow、及びhpowの両方の式の中の全ての常数は簡単な幾何学形状を有する対象物についての3D FEMの計算に、上の1D モデルを適合させることによって、生ぜしめている。
【0054】
熱供給源の項のための式にはApow(j) が含まれており、このApow(j) は実際上、各層の粉末に面する全面積である。大きな面積の変化がある場合には、この値は非常に大きくなり、このことは熱供給源の項の値が急増したことを意味する。このような不連続の急増は解を不安定にする。このことを防止するため、好適な実施例によれば、Apow(j) をLcont(j)*Lt に設定する。面積の変化によって生ずるパワー損失は代わりに後に加えられる。パワー損失の大きさはそれぞれの下にある区域よりも面積の変化がどれだけ大きいか、及び頂部の層のどれだけ下方にそれが存在しているかによって定まる。種々の面積の変化の値、及び種々の深さの値は3D FEMシミュレーションによって得ていた。任意の面積の変化に関しては、内挿法によって付加的パワーが得られる。
【0055】
パワーを計算する前に、プログラムは各層に対するLcont(j)*Lt 、及びA(j)の種々の値を読み取る。スクリプト・ファイルの助けを借りて、種々の方法で、これ等の値に影響を与える。このようにして、各層についてのパワーを制御することが可能である。どのように、種々の幾何学的パラメータが影響を受けるかはどのようにスクリプトが機能するかの記載から明らかである。
【0056】
上述の式系統を解く時、表面をTsurf(j)に維持するために必要な全パワーは表面についての境界条件から得られる。その際の式は次の数8である。
【0057】
【数8】
【0058】
或る層を溶解させる時、表面にわたり、異なる電流、及び速度を使用する。その目的のため、必要な種々の電流を計算することを可能にするため、使用する全てのパワーの平均値をPin に等しく設定する。そしてni個の種々の電流を使用して、或る層を溶解するものとすれば次の式数9が成立する。
【0059】
【数9】
【0060】
ここに、tik は各電流Iik についての溶解時間である。
Iik は溶解長さである。
Vik は溶解速度である。
Ttotは層iについての全溶解時間である。
Uは加速電圧である。
【0061】
そのため、電流を計算するのを可能にするため、速度は既知でなければならない。電流と速度との間の関係を示す速度関数として知られているものから、これ等の速度は得られる。これ等の関数は分析可能でないので、全ての電流と速度とを決定するためには反復法を使用しなければならない。計算のプログラムにおいては、Iik の各出発値が推測される。次に、種々の速度が得られる。次に、パワーの平均値がPin の計算値を丁度超過するまで、電流の値を増加させる。
【0062】
ここで、表面をTsurf(i)に維持するために、必要なエネルギーよりも、材料に送給されるエネルギーが少なくなるような速度と電流とで、種々の一部区域を溶解させようと、我々が希望しているものと仮定する。次に、表面を加熱しなければならない。表面を加熱するために必要な回数は電力の平均値に関する式に加熱の項を加えることによって得られる。その式は数10である。
【0063】
【数10】
【0064】
更に時間Ttotの式に、加熱時間を加えるとその式は数11である。
【0065】
【数11】
【0066】
ここに、nはどれだけ多くの回数、表面を加熱しなければならないかを示す。
上に示した計算の業務は全体の粉末層に対して、使用することができる。代案の実施例では、計算は粉末層の種々の一部区域について、行うことができる。上に示した式はこの場合も同様に使用することができる。しかし、溶解した部分に密接する内側端縁では異なる境界条件が得られる。
【0067】
図2は順次の粉末層i-1 、i-2 、i-3 、i-4 内の一部区域31〜34によって、でき上がった融合体30の側面図である。本発明により製造された実際の融合体はこの例に示したものよりも一層多くの層を有し得ることはもちろんである。
【0068】
頂部粉末層iは融合体の上に分散している。この頂部粉末層内に選択された区域35がある。この選択された区域35は操作計画に従って、融合すべき区域から成る。層i内の選択された区域35は外側端縁36によって区切られている。この選択された区域は外側端縁と内側端縁とを有しているものと考えられることもちろんである。選択された区域35内に一部区域37が示されており、この区域37のために、エネルギーバランスを計算すべきである。一部区域37は図2に示すように選択された区域の一部から成ることもでき、代案として選択された全区域から成ることもできる。図6に示すように、選択された区域35は複数個の一層小さい一部区域に分割されるのが好適である。
【0069】
エネルギーバランスは原理的にはEin(i)=Eout(i)+Eheat(i) によって計算され、ここに、Ein はこの一部区域に送られたエネルギーを表し、Eout(i) はこの一部区域からの消散、及び放射によるエネルギー損失を表し、Eheat(i)はこの一部区域に蓄えられたエネルギーを表す。供給されたエネルギーは一方では、エネルギーバランスを計算するためのこの一部区域35内に放射して入るか、又は流入するか、又はこの一部区域35の周囲から、熱伝導によって、この区域35内に流入したエネルギーEin(c)と、他方では放射銃6から放射流入したえネルギーEin(s)とである。従って、エネルギーがこの一部区域35に供給される前に、エネルギーバランスが計算されると、Ein(s)= 0である。本発明の好適な実施例によれば、放射銃6によって、エネルギーが供給される前に、この一部区域35のための、少なくとも第1回のエネルギーバランス計算を遂行する。
【0070】
図3はこの一部区域△1 のエネルギーバランスの計算の基礎になるモデルを線図的に示す。この場合、一部区域△1 は粉末iの選択された区域の一部に相当している。この場合、エネルギーバランスの計算のための式はEin(△1)=Eout(△1)+Eheat(△1) の形を有し、ここに、Ein(△1)はこの一部区域に供給されたエネルギーを表し、Eout(△1) はこの一部区域△1 から消散と放射とによって失われたエネルギーを表し、Eheat(△1)はこの一部区域△1 に蓄えられたえネルギーを表す。供給されたエネルギーは一方では、この一部区域△1 内に放射流入するか、又はこの一部区域△1 の周囲から、熱伝導によって、この一部区域△1 内に流入したエネルギーEin(c)(△1) と、他方では放射銃6から放射流入したエネルギーEin(s)△1 とである。
【0071】
図4は層iの中の選択された区域35内の第2の一部区域△2 についてのエネルギーバランスの計算の基礎となるモデルを線図的に示す。この場合、第2の一部区域△2 は粉末層iの選択された区域35の一部に相当する区域であり、この区域35の一部はまだ融合しておらず、粉末層i内の第1の一部区域△1 に隣接している区域であり、第1の一部区域△1 から第2の一部区域△2 に熱放射、又は熱伝導とが生じている。この場合、エネルギーバランスの計算のための式はEin(△2)=Eout(△2)+Eheat(△2) の形を有し、ここで、Ein(△2)は第2の一部区域に供給されたエネルギーを表し、Eout(△2) はこの一部区域△2 から消散と放射とによって失われたエネルギーを表し、 Eheat(△2) はこの一部区域△2 に蓄えられたえネルギーを表す。供給されたエネルギーは一方では、この一部区域△2 内に放射流入するか、又はこの一部区域△2 の周囲から、熱伝導によって、この一部区域△2 内に流入したエネルギーEin(c)(△2) と、他方では放射銃6から放射流入したエネルギーEin(s)△2 とである。熱伝導を通じて供給されたエネルギーEin(c)(△2) は前の層から供給されたエネルギーに相当するエネルギー成分Ein(s)(△2,i-1) と、第1の一部区域△1 から消散され、即ち放射され、第2の一部区域△2 に供給されたエネルギーに相当するエネルギー成分Eout(△1,△2) とから成る。
【0072】
図5は選択された区域203内の2個の焦点201、202の移動を示している。従って、選択された区域203は2個の溶解帯域204、205を具え、この2個の溶解帯域は三次元体の横断面の形成が行われると同時に伝播する。溶解帯域204、205の伝播を溶解帯域の前線206、207の移動によって、線図的に示されている。この図面は選択された区域の6つの場合の状態を示している。第1の場合には、放射銃6が焦点I にエネルギーを送給し、前線I が形成されつつある。次の第2の場合には、放射銃の焦点がIIに動いており、前線IIが形成されつつある。次の段階では、焦点I がIII に移動する。即ち増分は△である。同じ時間の間に、前線I は増分がδで、III まで移動している。本発明の好適な実施例では、増分δが増分△と同一である。次の段階では、焦点IIは焦点IVに移動し、前線IIは前線IVに移動する。次の段階では、焦点III は焦点V 移動し、前線III は前線V に移動する。最後に、どのように焦点IVが焦点VIに移動するかを示すと共に、どのように前線IVが前線VIに移動するかを示している。
【0073】
図5に示すように、3個の焦点位置間の焦点の移動は直線上である必要はないが、前線ができるだけ最も早く、選択された区域を充填するように、その移動を制御することができる。
【0074】
焦点の伝播速度を溶解帯域の伝播速度、即ち溶解帯域波伝播速度に適合させるため、本発明の一実施例によれば、粉末床内に位置する表面層の温度分布を検知する手段によって得られる情報から、溶解帯域波伝播速度を推定する。この手段はヒートカメラから成り、このヒートカメラは2個の順次生ずる状態における溶解帯域の前線の位置を測定することができ、それにより、溶解帯域波伝播速度を計算することができる。
【0075】
代案の実施例では、前記焦点を有する区域に対するエネルギーバランスを計算することによって、溶解帯域波伝播速度を推定する。前記区域に関し設定された熱伝導の式のモデルから前記溶解帯域波伝播速度が得られる。
【0076】
本発明の第1実施例によれば、形成状態にある三元体の全横断面に相当する全
選択区域にわたり、前記多数の焦点が展開するように、制御コンピュータ内に記憶されている操作計画を用意する。代案の実施例によれば、以下に説明するように、複数の一部区域内に数個の焦点を使用する。
【0077】
図6は複数個の一層小さい一部区域に分割された選択された区域35を示す。本発明の好適な実施例によれば、各粉末層内の表面は別個の区域38〜53の組に分割されている。これ等の分割された区域はそれぞれ選択された区域35の若干の部分から成り、分割された区域38〜53の前記組のそれぞれに対し、エネルギーバランスが計算される。選択された区域35は外端縁72によって、それ以外の区域に対して、区切られている。選択された区域は内端縁を有することはもちろんである。
【0078】
本発明の他の好適な実施例によれば、別個の区域38〜53の前記組は前記選択された区域の端縁72内に全部がある第1グループの区域54〜58と、前記選択された区域の端縁に端縁が一部だけ合致している第2グループの区域38〜53とから成る。適切な場合には、前記第2グループに含まれる各区域38〜53のおのおのは第2組の一層小さい区域38a〜38d、53a〜53dに分割される。
【0079】
図7は本発明の好適な実施例による操作計画を線図的に示しており、前記第1グループ、及び第2グループの区域内の各区域80〜91は内部区域Iと、端縁Rとから成る。この場合、前記第1のグループの区域、又は第2のグループの区域内の1組の隣接する区域の内部区域Iは第1の処理工程で融合し、その後、前記区域間の前記端縁Rが融合する。この手順によって、冷却後、三次元体内での曲げ応力の発生が減少する。
【0080】
本発明の好適な実施例によれば、融合すべき区域、即ち、選択された区域がそれぞれ端縁Rを有する1個、又はそれ以上の個数の内部区域Iに分割されるように、操作計画を設計する。図8は融合すべき区域35を線図的に示している。この区域は端縁Rによって区切られた内部区域Iから成る。本発明によれば、内部区域Iは放射銃のビームの焦点に関する移動パターンを使用して、融合する。この移動は主移動方向と、この主移動方向に直角な方向の成分を有していて、この主移動方向に加えられる干渉項とを有する。この干渉項は方向を変換し、またこの干渉項は主移動方向からゼロドリフトに相当する時間平均値を有する。図9は干渉項の異なる外観の3個の異なる例を示し、これ等は三角波、サイン曲線、及び方形波の形の移動を生ずる。
【0081】
図10はどのように熱分布が本体内に現れるかを線図的に示しており、この場合、放射銃の直径Dを有する焦点が本体を加熱している。焦点の周りの温度分布はガウスのベルの形を有する。干渉項が無い焦点の周りの温度分布は(α)を付した曲線によって示されている。干渉項があれば、主移動方向に沿うビームの伝播のコース内の処理の足跡は広くなる。広くなった足跡を(β)を付した曲線によって示す。広くなった足跡も、一層小さい最大値を有する温度分布を有している。これにより、過熱が発生して、その結果、不規則部が形成される危険が減少する。
【0082】
主移動方向に対し、直角な方向の干渉項の成分の振幅の2倍に基本的に相当する幅を有する溶解帯域を形成するような性質を干渉項が有するのが好適である。干渉項の方向の焦点の移動の絶対値の平均速度が材料内の熱の伝播速度を超過していのが好適である。主移動方向の速度が材料内の熱の伝播速度に相当しているのが好適である。干渉項が零の値を有する焦点の出発点から焦点が移動することができ、干渉項の最小値と、最大値とを焦点が通過することができ、熱伝播の波の前端が第1零位置から第2零位置まで移動するのに要する時間内に、焦点がその位置に復帰することができるように、干渉項の振幅と、周波数とを適合させるのが好適である。このことは図5に線図的に示されている。図11は第1位置51から、干渉項の最大値52と、干渉項の最小値53とを経て、干渉項が零の値の第2位置54を占めるまで、曲線50に沿って、焦点がどのように移動するかを示している。この時間の間に、熱伝播の波の前端は第1位置51から第2位置まで伝播し終わっている。干渉項の平均速度が余りに低いと、干渉項の終点によって画成されている通路内を走る湾曲溶解足跡が広い足跡の代わりに形成される。
【0083】
好適な実施例によれば、干渉項は主移動方向に平行な方向の成分を有する。この場合の干渉項は二次元である。二次元の干渉項の例は図12に示されている。
【0084】
放射銃のビームの主に直線移動の間に、端縁Rが融合するのが好適である。
【0085】
主移動方向と、この主移動方向に直角な方向の成分を有していて、この主移動方向に加えられる干渉項とを有する放射銃のビームの焦点に関する移動パターンで操作する目的は、一層広い足跡の場合、溶解帯域を一層遅く動かすことができ、しかも、従来の操作に比較して、比較的高速で、溶解することが可能なためである。溶解帯域の一層遅い移動は、溶解材料の蒸発を減少させると共に、沸騰し、スプラッシュする溶解材料の発生を減少させることができる。連続する主に直線運動を使用して、端縁を融合させる目的はこれにより、でき上がった製品に平滑な表面構造が得られることにある。
【0086】
焦点の螺旋形の運動を生ずる二次元干渉項を有する本発明の好適な実施例の場合の放射銃のビームの移動パターンの解析は次の通りである。
【0087】
x軸線の周りに回転し、このx軸線に沿って、Vxで移動する焦点の位置は次の式1である数12から求めることができる。
【0088】
【数12】
【0089】
ここに、Ax、及びAyはそれぞれx方向、及びy方向の振幅である。代表的な「スピニング曲線」は図13に示すものに類似して現れる。
【0090】
図7に示すパターンはωを次の式2である数13のように設定すれば得ることができる。
【0091】
【数13】
【0092】
焦点の速度は次の式3である数14によって与えられる。
【0093】
【数14】
【0094】
従って、焦点の絶対速度は次の式4である数15のとおりである。
【0095】
【数15】
【0096】
上の式に従って、焦点が移動すれば、その速度は変化し、回転の方向に従って、x軸線の下方の最大値、上方の最小値を示すか、又はこの逆にx軸線の上方の最大値、下方の最小値の速度を示す。図1のスピニング曲線に沿って、一定速度で移動する焦点を得るためには、平均速度をまず次の式5である数16によって計算する。
【0097】
【数16】
【0098】
ここに、Tは次の式数17によって示すことができる。
【0099】
【数17】
【0100】
Vaverageは焦点を動かすべき速度である。時間tで焦点が移動した距離は
S=t*Vaverage である。
この距離は時間t′でスピニング曲線の長さに等しくなければならない。従って、次の式6である数18が成立する。
【0101】
【数18】
【0102】
0<t<Tについて式6を解けばtの関数としてt′が得られる。次に、このt′を式1に使用すれば、時間tの関数として、このスポットの位置が与えられる。
【0103】
表面から0.1 〜0.15mm下の溶解帯域は1.8Ay のおよその幅を有していることが種々の速度、及びAyを使用する多数のシミュレーションが示している。2個のスピンライン間のホップはホップスピン=1.8Ay−0.3であるべきである。
【0104】
端縁から出発点までの距離はほぼスタートホップ=0.8Ay−0.15 である。
【0105】
図14はこの線図中に矢印で示したx方向に伝播する連続する広い溶解端縁を示している。直径Dを有する焦点がこの線図中に示されている。焦点の外側の区域内で融合が生ずるのを重複するパターンによって確実にしている。そのような区域を符号δによって示している。同時に、これ等の区域は矢印xによって示された方向に伝播する全体の区域を形成している。
【0106】
本発明の他の好適な実施例によれば、内部区域Iの間の端縁Rは放射銃のビームの主な直線移動の間に、融合する。
【0107】
図15によれば、本発明の好適な実施例の構成は粉末床内にある表面層の表面の性質を検知する手段14を具えている。粉末床5内にある表面層の温度分布を検知するこの手段14はカメラから成るのが好適である。本発明の好適な実施例では、一方では、このカメラを使用して表面層上の温度分布を測定し、他方では表面の不規則性から生ずる影の形成によって、表面の不規則性の発生を測定する。一方、温度分布に関する情報を使用して、溶解すべき表面層のこれ等の部分の温度分布をできるだけ均一にし、他方では、温度分布が製品の形状を反映するので、でき上がった三次元製品と原設計との間の寸法の相違をチェックするため、情報を使用することができる。本発明の好適な実施例では、粉末床5と放射銃6とを包囲しているケーシング15の外側に、ビデオカメラを取り付ける。温度測定を可能にするため、このケーシングに透明な窓16を設ける。この窓を通して、カメラにとって粉末床を見ることができる。
【0108】
図16に示す本発明の好適な実施例では、窓16を保護フィルム17によって覆う。保護フィルムを供給ユニット18から捕集ユニット19に送り、フィルムが徐々に位置を変えるようにして、透明性を維持できるようにする。溶解処理の結果として、コーティングが形成されるので、保護フィルムが必要である。
【0109】
図17は本発明による三次元体を製造する方法を線図的に示す。三次元体は粉末床の選択された区域の順次の融合によって形成されるが、選択された区域の部分は三次元体の順次の横断面に対応している。
【0110】
この方法の第1工程100において、粉末層を作業テーブルに加える。この粉末層を加えるのは作業テーブル2上に粉末の薄い層を分散させる上述の手段28によって行われる。
【0111】
方法の第2工程110において、粉末層のために決定されている操作計画に従って、粉末層の選択された区域に、放射銃6からエネルギーを供給し、前記作業計画に従って選択された粉末層の区域を融合し、次に、三次元体の横断面を形成する。順次加えられた粉末層から形成された順次の横断面を順次融合することによって、三次元体が形成される。
【0112】
本発明によれば、三次元体の横断面が形成された時、選択された区域がこの選択された区域を通じて、同時に伝播する2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域を有するように、前記操作計画は設計されている。
【0113】
タイムサンプリングが行われている間に、2個、又はそれ以上の個数の幾何学的に別個の焦点に、エネルギーを供給する放射銃によって、2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域が得られる。
【0114】
溶解点における放射銃の焦点が溶解帯域の波伝播速度に対応する速度で伝播するように操作計画が設計されるのが好適である。
【0115】
本発明の一実施例によれば、溶解帯域の波伝播速度を測定することによって、粉末床内にある表面層の温度分布を検知する手段によって得られる情報から、溶解帯域の波伝播速度を測定することによって、波伝播速度を測定することができる。三次元体の表面上の温度分布を読み取ることによって、この手段は溶解点から、外方に、どのように熱が広がるかを記録することができる。熱が広がる速度は波伝播速度に対応している。
【0116】
好適な実施例によれば、各粉末層内の少なくとも1個の一部区域に対するこの方法の第3工程120において、エネルギーバランスを計算し、この一部区域の周囲からこの一部区域内に放射されたエネルギーがこの一部区域の画定された操作温度を維持するのに充分であるか否かをこの計算において決定する。計算は上に示したモデルに従って行われる。
【0117】
図18は主要な操作計画を生み出す手順を線図的に示す。第1工程40では、例えば、製作すべき製品のCADプログラムにおいて、3Dモデルを生み出しており、又は代案として、製作すべき製品の、既に生じている3Dモデルを制御コンピュータ8に入力する。次に、第2工程41において、製品の横断面の外観に関する情報を含むマトリックスを生ずる。図23は関連する横断面31〜33の例の場合のハンマーのモデルを示す。また、これ等の横断面を図24のa-a 〜c-c に示す。仕上がった製品を形成するため、融合すべ種々の層の厚さに対応する密度で横断面は分布している。この厚さは種々の層の間で有利に変化させることができる。特に、隣接する層の間の横断面の外観が大きく変化している区域において、層を一層薄くするのが有利である。従って、横断面が生じている時、三次元製品を相互に作り上げる全ての横断面の外観についての情報を含むマトリックスを生ぜしめる。
【0118】
横断面が一旦、生ずると、第3工程42における各横断面に対して基本操作計画を作成する。基本操作計画の作成は一方では横断面を作る各部の形状の確認と、他方では横断面の局部的な部分の冷却温度に操作計画がどのように影響を及ぼすかの認識とに基づいている。その狙いとするところは製品に現れる収縮応力の危険を減少させ、製品に発生する収縮応力、及びその結果として生ずる製品の変形を減少させるため、冷却温度を希望する範囲内に維持するのと同時に、次の層を加える前に、融合する部分内の冷却温度をできるだけ均一にする操作計画を作成することである。
【0119】
まず第1に、横断面の別個の構成部分の形状に基づいて、基本操作計画を作成する。
【0120】
本発明の好適な実施例では、横断面の冷却温度の良好な温度分布を生ずる操作計画の経験に基づいて、基本操作計画を企画する。従って、製品内に収縮応力を生じ、その結果として製品の変形を生ずる危険を減少させることができる。この目的のため、種々の形状の区域に対する1組の操作計画を記憶装置に記憶する。好適な実施例では、操作計画の修正の結果が評価される際、この記憶を更新する。このようにして、自己学習システムが得られる。
【0121】
本発明の代案の実施例では、独立したコンピュータによって発生した既にでき上がっている横断面を制御コンピュータの記憶装置に入力し、ここで前記基本操作計画を作成する。この場合、外部情報源40aを通じて、情報を第3工程42に直接提供する。
【0122】
図19は三次元体を作製するため、図17に関連して説明した方法を使用する手順を線図的に示す。この方法の第1工程130では、エネルギーバランスの計算の基礎となるパラメータを決定する。この方法の第2工程140では、選択された区域35の少なくとも一部区域についてのエネルギーバランスの計算が行われる。計算は前に図示した方法によって行われる。
【0123】
この方法の第3工程150では、計算されたエネルギーバランスに従って、操作計画が更新される。エネルギーバランスの結果が希望する操作温度を維持するため充分な熱エネルギーがこの一部区域に保存されているのであれば、余分なエネルギー供給は行わない。本発明の一実施例によれば、エネルギーバランスの結果が希望する操作温度を維持するための充分な熱エネルギーがこの一部区域に保存されていないと言うことであれば、融合を行う前に、一部区域の予熱の形で、余分なエネルギー供給を行う。この予熱は放射銃をこの区域の上に、非常に早く掃過させて行うか、又は通常の時よりも一層低いパワーで、この区域の上に放射銃を掃過させるか、又は代案として、これ等両方の組合せを行う。予熱はこの方法の第4工程160で行われる。
【0124】
この方法の第5工程170では、一部区域上に放射銃を掃過させることによって、融合が行われる。
【0125】
図20は操作計画を作成し、修正をするため、適切な場合に、上述の方法を利用する本発明の実施例を線図的に示す。この方法の第1工程180では、選択された区域の1個、又はそれ以上の内部区域を確認する。この方法の第2工程190では、前記内部区域に関連し、前記内部区域をそれぞれ包囲している端縁、又は複数個の端縁Rを確認する。この方法の第3工程200では、放射銃によって放出されたビームの一部重複する円運動を行っている間に、前記内部区域Iを融合させる。この方法の第4工程210では、ビームの直線運動の間に、前記端縁を融合する。
【0126】
本発明の一実施例によれば、前記複数個の内部区域内で、同時に、1区域内の粉末を連続して、融合させるように、操作計画を手配する。
【0127】
本発明の好適な実施例によれば、各粉末層内の表面を1組の別個の区域に分割するように、制御コンピュータを配置する。前記1組の別個の区域は前記選択された区域内に全体的に存在する第1グループの区域と、前記選択された区域内に一部存在する第2グループの区域とから成る。前記第1グループの区域、及び第2グループの区域内の各区域は端縁を有する内部区域から成る。また、前記第1グループの区域内の1組の区域の前記内部区域が放射銃のビームの一部重複する円運動の間に、融合することが確実に行われるよう制御コンピュータを配置する。
【0128】
本発明の一実施例においては、前記第2グループの区域内の内部区域の融合は一部重複する円運動によって生ずる。本発明の代案の実施例では、前記第2グループの区域内の内部区域内での融合は主に直線運動によって生ずる。
【0129】
本発明の好適な実施例によれば、選択された表面を一層小さい表面部分に、分割することに関する上述の実施例の場合に、ビームのパワーのキャリブレーションに関する操作計画を制御すると共に、最終の融合が起きる前に、粉末床を加熱するためのエネルギーを供給するため、上述のエネルギーバランスの計算を使用する。
【0130】
図21は製品の横断面を発生するため、放射銃からのビームを粉末床上に案内する手順を線図的に示す。第1工程50では、工程42で明確にした基本操作計画に従って、粉末床上のビームの案内を開始する。次の工程51では、粉末床の表面層上の温度分布をカメラによって測定する。次に、測定された温度分布から、温度分布マトリックスTij-measuredを発生し、粉末床の表面層の小部分の区域の温度をこのマトリックスに保存する。このマトリックスが生じた時、このマトリックス内の各温度Tij-measuredを希望値マトリックスTij-desired value 内の希望値に比較する。粉末床の表面層はほぼ3つのカテゴリーに分割することができる。第1に、放射銃による処理によって、融合が生ずる区域である。これ等の区域では、最高融合温度Tij-max が重要である。第2に、既に融合している区域が冷却しつつある。これ等の区域では、最低許容冷却温度Tij-cooling-min が重要であり、これは冷却が余りにも激しいと、応力を発生し、従って、表面層の変形を起こすからである。第3に、放射銃によって、処理されなかった区域である。これ等の区域では、粉末床温度Tij-bed が重要である。また、温度に関しては処理された区域のみで比較することが可能であり、Tij-bed は記憶されず、及び/又はチェックされない。
【0131】
第3工程52では、Tij-measuredが希望する値Tij-desired value から偏差しているか、即ちずれを有しているかどうか、及びこの偏差が許容限界値より大きいか否かを調査する。3つの異なるカテゴリーに関連する限界値△Tij-max 、△Tij-cooling 、及び△Tij-bed は制御コンピュータ8に記憶される。粉末床温度をチェックしないことも可能である。この場合、関連する限界値は記憶されない。Tij-measuredとTij-desired value との間の偏差がこの限界値を超過していなければ、第4工程53において、表面層が完全に処理されているか否かを調査する。もし完全に処理されていなければ、現在の操作計画による操作を継続し、上述の工程50〜53をもう一度行う。
【0132】
Tij-measuredとTij-desired value との間の偏差が限界値の一つを越えていれば、第5工程で、操作計画42の補正を行う。好適な実施例では、前記補正を図17に示すシステムに従って実施する。
【0133】
本発明の好適な実施例では、各層が完成した後でのみ、新たな粉末層を分散させ、製品が仕上がるまで、粉末層の順次の融合によって製品を作製する。この場合、層のための操作計画が完了していると言うことが第4工程53で確立している時、全体としての製品が仕上がっていないならば、第6工程55の後に新たな層を開始する。
【0134】
図22に示す好適な実施例では、操作計画の補正は次のような方法の工程から成る。即ち、第1工程56で、Tij-max をTij-max-desired value に比較する。Tij-max がTij-max-desired value に対して、△Tij-max を超過する偏差を有していれば、ビームのパワーを変えるか、又はビームの掃過速度を変えるかすることによって、工程56aで粉末層へのエネルギー供給を調整する。
【0135】
第2工程58では、Tij-cooling をTij-cooling-desired value に比較する。Tij-cooling がTij-cooling-desired value に対し、△Tij-cooling を超過する偏差を有していれば、ビームの操作計画を工程58aで変更する。ビームの操作計画を変更する多くの方法がある。操作計画を変更する一つの方法は区域が余りにも冷却されてしまう前に、ビームにより、これ等の区域を再加熱することである。次に、既に融合している区域の上を低いエネルギー強さ、及び/又は一層高い掃過速度で、放射銃を掃過させることである。
【0136】
第3工程60では、Tij-bed がTij-bed-desired value から偏差しているか否かを調べる。その偏差が△Tij-bed より一層大きければ、本発明の一実施例では、例えば、粉末床上にビームを掃過させて、エネルギーを供給することにより、ビームの温度を工程60aで修正することができる。別個の粉末床加熱装置をこの装置に連結することも可能である。
【0137】
製作されている物品の寸法チェックをこの装置に設置されたヒートカメラによって実施することも可能である。上述したように、粉末床と、融合した部分とを測定する。測定された熱分布は作製すべき三次元体の断面における物品の形状を完全に反映する。物品の寸法のチェックをこのようにして、第4工程62で、実施することができ、放射銃のビームのX方向、Y方向の偏向のフィードバックも可能である。本発明の好適な実施例では、横断面の寸法間の偏差のこのチェックを工程62aで実施し、偏差が許容値より大きければ、放射銃のX方向、及びY方向の偏向を修正する。
【0138】
更に、前記カメラからの入力信号を使用して、例えば溶着火花の形で表面の不規則性、即ち凹凸を確認することができる。表面の不規則性の座標データを確認した時、操作計画を更新することができ、表面の不規則性を崩壊させるため、確認した座標データ部に放射銃を適用する。
【0139】
本発明は上述の図示した実施例に限定されない。放射銃は例えばレーザを使用することができ、この場合、偏向手段は案内可能な鏡、及び/又はレンズから成る。
【0140】
更に、エネルギー源から製品原材料までエネルギーを移送することによって、三次元製品を生産するための装置に、本発明を使用することができ、この装置は形成すべき前記三次元製品をその上で製造する作業テーブルと、製品の粉末床を形成するため、作業テーブル上に製品原材料の薄い層を分散させるように配置された分散器と、製品の粉末床の表面の選択された区域にエネルギーを送給するための手段と、前記区域内に確固とした横断面を形成するため、製品原材料の位相を変換する手段と、三次元製品を形成する順次の横断面についての情報を保管する記憶装置を管理する制御コンピュータとを具え、エネルギーを送給する手段を制御コンピュータによって制御し、前記選択された区域にエネルギーを供給し、分配器によって順次加えられた製品原材料から、順次形成された横断面を順次、合体させて、前記三次元製品を形成する。
【0141】
この場合、実施例は粉末床の表面を照射する放射銃によって、粉末を融合することに限定されない。製品原材料は例えば溶解後、凝固、又は硬化するように、位相変換後、固体を形成するいかなる材料から成るものでもよい。エネルギー送給手段は電子銃から成ることができるが、作業表面上に案内されるレーザであってもよく、又は代案として、製品の粉末床上に直接、横断面を投影し得るエネルギー送給手段であってもよい。
【0142】
更に、上述の実施例は前に説明した実施例に関連して説明した全ての要旨を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明装置の横断面を示す。
【図2】多数の粉末層、及び頂部の粉末層によって形成された三次元体の横断面を線図的に示す。
【図3】エネルギーバランスを計算するための線図的モデルを示す。
【図4】エネルギーバランスを計算するための他の線図的モデルを示す。
【図5】選択された表面上の焦点と溶解帯域の移動を示す。
【図6】一組の別個の区域に分割された選択された区域を示す。
【図7】別個の区域を内部区域と端縁区域とに分割した状態を示す。
【図8】内部区域と端縁とを有する融合すべき区域を示す。
【図9】一次元干渉項を有する一組の種々の曲線形状を示す。
【図10】干渉項がある場合と、干渉項が無い場合について、放射銃の直径Dの焦点が三次元体を加熱した時、どのように熱分布が三次元体内に現れるかを線図的に示す。
【図11】主移動方向に沿う焦点の移動に関連する焦点の移動の例を示す。
【図12】二次元干渉項を有する場合の種々の曲線形状の組を示す。
【図13】本発明の好適な実施例による焦点の移動パターンを示す。
【図14】焦点、及び融合が起きる拡大区域の位置決めを示す。
【図15】本発明の一実施例による放射銃の焦点の移動パターンを線図的に示す。
【図16】透明窓を設けた室の側面図である。
【図17】窓の透明を維持するため保護フィルムを送り、固定する装置を示す。
【図18】この装置の操作計画のフローダイヤグラムを示す。
【図19】基本操作計画を作成するためのフローダイヤグラムを示す。
【図20】前記操作計画を修正するためのフローダイヤグラムを示す。
【図21】三次元体を作製するための手順を線図的に示す。
【図22】粉末床の表面上の温度分布を測定するカメラから得られた情報の助けを借りて、操作計画を修正する手順を線図的に示す。
【図23】三次元物品の線図的な構造を示す。
【図24】図23の物品の多数の横断面を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末層を作業テーブルに加える工程と、
前記粉末層のために決定されている操作計画に従って、前記粉末層内の選択された区域に放射銃からエネルギーを供給する工程と、三次元体の横断面を形成するため、前記操作計画に従って選択された粉末層の前記区域を融合する工程とから成り、連続して加えられる粉末層から、連続して形成される横断面の連続する融合によって三次元体を形成することにより、三次元体の連続する横断面に部分、部分が対応している粉末床の選択された区域の連続する融合によって、三次元体を製造する方法において、前記三次元体の横断面が形成された時、前記選択された区域を通じて、同時に伝播する2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域を前記選択された区域が有することを特徴とする三次元体の製造方法。
【請求項2】
タイムサンプリングを行いながら、2個、又はそれ以上の個数の幾何学的に別個の焦点にエネルギーを供給する放射銃によって、前記2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域を生ぜしめることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2個の溶解点における前記放射銃の焦点は前記溶解帯域の波伝播速度に対応する速度で伝播することを特徴とする請求項1、又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粉末床内にある表面層の温度分布を検知する手段によって得られる情報から、前記溶解帯域の前記波伝播速度を測定することによって、前記波伝播速度を推定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記焦点を有する区域について、エネルギーバランスを計算することによって、前記波伝播速度を推定し、前記区域に対して、設定された熱伝導の式のモデルから、前記波伝播速度を得ることを特徴とする請求項3、又は4に記載の方法。
【請求項6】
各粉末層内の少なくとも1個の一部区域についてエネルギーバランスを計算し、前記一部区域の周囲から、この一部区域内に放射されるエネルギーが前記一部区域の画定された操作温度を維持するのに充分であるか否かを前記計算において、決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記エネルギーバランスの計算の結果が前記一部区域の意図した操作温度を維持するために充分なエネルギーが無いと言うことであれば、前記一部区域を融合するための前記エネルギーに加えて、前記一部区域を加熱するためのエネルギーを供給し、前記一部区域の画定された操作温度を次に達成することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記一部区域に供給されるエネルギーをEin(i)とし、前記一部区域からの散逸、及び放射によるエネルギー損失をEOUT(i) とし、前記一部区域に蓄えられたえネルギーをEheat(i)として、各粉末層のエネルギーバランスをEin(i)=EOUT(i)+Eheat(i) によって計算することを特徴とする請求項6、又は7に記載の方法。
【請求項9】
三次元製品をその上に構築する作業テーブルと、粉末床を形成するため、前記作業テーブル上に、粉末の薄い層を分散させるように配置された粉末分配器と、前記粉末の融合が次に行われるように、前記粉末にエネルギーを送給する放射銃と、前記粉末床の部分、部分を融合させることによって、前記三次元製品の横断面を形成するよう、前記粉末床上に前記放射銃によって放出されたビームを案内する案内手段と、三次元製品を構築する三次元製品の連続する横断面についての情報を記憶する制御コンピュータとを具え、前記三次元体の横断面を形成する操作計画に従って、前記粉末床上に前記放射銃を案内する前記案内手段を制御するように、前記制御コンピュータを構成し、前記粉末分配器によって、連続的に形成された横断面の連続する融合によって形成される前記三次元製品を製造する装置において、選択された区域の2個、又はそれ以上の溶解帯域に前記放射銃を案内するように、前記操作計画を配置し、前記三次元体の横断面が形成される時、同時に、前記選択された区域を通じて、前記溶解帯域が伝播することを特徴とする三次元製品の製造装置。
【請求項10】
タイムサンプリングを行っている間に、2個の幾何学的に別個の焦点にエネルギーを供給するため、2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域に前記放射銃を案内するように、前記操作計画を配置することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記溶解帯域の波伝播速度に相当する伝播速度で、前記2個の溶解点における前記放射銃の焦点を案内するように、前記操作計画を配置したことを特徴とする請求項9、又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記粉末床内にある表面層の温度分布を検知する手段によって提供された情報から、前記溶解帯域の前記波伝播速度を測定することによって、前記波伝播速度を推定するように、前記制御コンピュータを配置したことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記焦点を有する区域に関するエネルギーバランスを計算することによって、前記波伝播速度を推定するよう、前記制御コンピュータを配置し、前記区域に対して設定された熱伝導の式のモデルから前記波伝播速度を得ることを特徴とする請求項11、又は12に記載の装置。
【請求項14】
各粉末層内の少なくとも1個の一部区域についてのエネルギーバランスを計算するように前記制御コンピュータをも配置し、前記一部区域の周りから前記一部区域内に放射されるエネルギーが前記一部区域の画定された操作温度を維持するのに充分であるか否かを前記計算において、決定することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記エネルギーバランスの計算の結果、前記一部区域の意図した操作温度を維持するための充分なエネルギーを前記操作計画が提供するものでないならば、粉末層を融合するための前記エネルギーに加えて、前記粉末層を加熱するエネルギーを供給するため、前記操作計画を制御するように前記制御コンピュータを配置し、前記一部区域の画定された操作温度を次に維持することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記一部区域に供給されるエネルギーをEin(i)とし、前記一部区域からの散逸、及び放射によるエネルギー損失をEOUT(i) とし、前記一部区域に蓄えられたえネルギーをEheat(i)として、各粉末層のエネルギーバランスをEin(i)=EOUT(i)+Eheat(i) によって計算するように、前記制御コンピュータを配置することを特徴とする請求項14、又は15に記載の装置。
【請求項17】
前記粉末床内にある表面層の温度分布を検知する手段を前記製造装置が更に具えることを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項1】
粉末層を作業テーブルに加える工程と、
前記粉末層のために決定されている操作計画に従って、前記粉末層内の選択された区域に放射銃からエネルギーを供給する工程と、三次元体の横断面を形成するため、前記操作計画に従って選択された粉末層の前記区域を融合する工程とから成り、連続して加えられる粉末層から、連続して形成される横断面の連続する融合によって三次元体を形成することにより、三次元体の連続する横断面に部分、部分が対応している粉末床の選択された区域の連続する融合によって、三次元体を製造する方法において、前記三次元体の横断面が形成された時、前記選択された区域を通じて、同時に伝播する2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域を前記選択された区域が有することを特徴とする三次元体の製造方法。
【請求項2】
タイムサンプリングを行いながら、2個、又はそれ以上の個数の幾何学的に別個の焦点にエネルギーを供給する放射銃によって、前記2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域を生ぜしめることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2個の溶解点における前記放射銃の焦点は前記溶解帯域の波伝播速度に対応する速度で伝播することを特徴とする請求項1、又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粉末床内にある表面層の温度分布を検知する手段によって得られる情報から、前記溶解帯域の前記波伝播速度を測定することによって、前記波伝播速度を推定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記焦点を有する区域について、エネルギーバランスを計算することによって、前記波伝播速度を推定し、前記区域に対して、設定された熱伝導の式のモデルから、前記波伝播速度を得ることを特徴とする請求項3、又は4に記載の方法。
【請求項6】
各粉末層内の少なくとも1個の一部区域についてエネルギーバランスを計算し、前記一部区域の周囲から、この一部区域内に放射されるエネルギーが前記一部区域の画定された操作温度を維持するのに充分であるか否かを前記計算において、決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記エネルギーバランスの計算の結果が前記一部区域の意図した操作温度を維持するために充分なエネルギーが無いと言うことであれば、前記一部区域を融合するための前記エネルギーに加えて、前記一部区域を加熱するためのエネルギーを供給し、前記一部区域の画定された操作温度を次に達成することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記一部区域に供給されるエネルギーをEin(i)とし、前記一部区域からの散逸、及び放射によるエネルギー損失をEOUT(i) とし、前記一部区域に蓄えられたえネルギーをEheat(i)として、各粉末層のエネルギーバランスをEin(i)=EOUT(i)+Eheat(i) によって計算することを特徴とする請求項6、又は7に記載の方法。
【請求項9】
三次元製品をその上に構築する作業テーブルと、粉末床を形成するため、前記作業テーブル上に、粉末の薄い層を分散させるように配置された粉末分配器と、前記粉末の融合が次に行われるように、前記粉末にエネルギーを送給する放射銃と、前記粉末床の部分、部分を融合させることによって、前記三次元製品の横断面を形成するよう、前記粉末床上に前記放射銃によって放出されたビームを案内する案内手段と、三次元製品を構築する三次元製品の連続する横断面についての情報を記憶する制御コンピュータとを具え、前記三次元体の横断面を形成する操作計画に従って、前記粉末床上に前記放射銃を案内する前記案内手段を制御するように、前記制御コンピュータを構成し、前記粉末分配器によって、連続的に形成された横断面の連続する融合によって形成される前記三次元製品を製造する装置において、選択された区域の2個、又はそれ以上の溶解帯域に前記放射銃を案内するように、前記操作計画を配置し、前記三次元体の横断面が形成される時、同時に、前記選択された区域を通じて、前記溶解帯域が伝播することを特徴とする三次元製品の製造装置。
【請求項10】
タイムサンプリングを行っている間に、2個の幾何学的に別個の焦点にエネルギーを供給するため、2個、又はそれ以上の個数の溶解帯域に前記放射銃を案内するように、前記操作計画を配置することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記溶解帯域の波伝播速度に相当する伝播速度で、前記2個の溶解点における前記放射銃の焦点を案内するように、前記操作計画を配置したことを特徴とする請求項9、又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記粉末床内にある表面層の温度分布を検知する手段によって提供された情報から、前記溶解帯域の前記波伝播速度を測定することによって、前記波伝播速度を推定するように、前記制御コンピュータを配置したことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記焦点を有する区域に関するエネルギーバランスを計算することによって、前記波伝播速度を推定するよう、前記制御コンピュータを配置し、前記区域に対して設定された熱伝導の式のモデルから前記波伝播速度を得ることを特徴とする請求項11、又は12に記載の装置。
【請求項14】
各粉末層内の少なくとも1個の一部区域についてのエネルギーバランスを計算するように前記制御コンピュータをも配置し、前記一部区域の周りから前記一部区域内に放射されるエネルギーが前記一部区域の画定された操作温度を維持するのに充分であるか否かを前記計算において、決定することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記エネルギーバランスの計算の結果、前記一部区域の意図した操作温度を維持するための充分なエネルギーを前記操作計画が提供するものでないならば、粉末層を融合するための前記エネルギーに加えて、前記粉末層を加熱するエネルギーを供給するため、前記操作計画を制御するように前記制御コンピュータを配置し、前記一部区域の画定された操作温度を次に維持することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記一部区域に供給されるエネルギーをEin(i)とし、前記一部区域からの散逸、及び放射によるエネルギー損失をEOUT(i) とし、前記一部区域に蓄えられたえネルギーをEheat(i)として、各粉末層のエネルギーバランスをEin(i)=EOUT(i)+Eheat(i) によって計算するように、前記制御コンピュータを配置することを特徴とする請求項14、又は15に記載の装置。
【請求項17】
前記粉末床内にある表面層の温度分布を検知する手段を前記製造装置が更に具えることを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2006−510805(P2006−510805A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562182(P2004−562182)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001938
【国際公開番号】WO2004/056510
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505221605)アルカム アーベー (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001938
【国際公開番号】WO2004/056510
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505221605)アルカム アーベー (7)
【Fターム(参考)】
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