三次元造形製品の製造装置
【課題】粉末及び造形物を積載している基板をテーブル面上に上下方向空間を形成した状態にて容易に設置することができる三次元造形製品の製造装置の構成を提供すること。
【解決手段】粉末12及び造形物13を基板3上に積載する三次元造形製品の製造装置において、テーブル2上に枠体7を立設し、当該枠体7から水平方向に突接した支柱及び/又は当該枠体7におけるテーブル2の内側方向を低部とする段差部位の上に、基板3を載置すると共に、当該載置が行われる前記支柱及び/又は前記段差部位の領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板3の重心が存在するような配置状態による支持が可能である一方、支柱の上側方向に突出している突部及び/又は枠体7の内壁を基板3の水平方向周囲部に3個以上の位置から当接させることによって、前記課題を達成し得る三次元造形製品の製造装置。
【解決手段】粉末12及び造形物13を基板3上に積載する三次元造形製品の製造装置において、テーブル2上に枠体7を立設し、当該枠体7から水平方向に突接した支柱及び/又は当該枠体7におけるテーブル2の内側方向を低部とする段差部位の上に、基板3を載置すると共に、当該載置が行われる前記支柱及び/又は前記段差部位の領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板3の重心が存在するような配置状態による支持が可能である一方、支柱の上側方向に突出している突部及び/又は枠体7の内壁を基板3の水平方向周囲部に3個以上の位置から当接させることによって、前記課題を達成し得る三次元造形製品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に移動可能なテーブル上に積載した金属又は非金属による粉末に対し、各層毎に、電磁波を照射することによって焼結させながら積層し、所定の三次元造形製品を製作する三次元造形製品製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属又は非金属粉末をレーザー光線などの電磁波又は電子線の放射に基づく焼結によって三次元造形製品を成形する技術分野においては、色々な構成が提案されているが、何れの場合においても、
(a)粉末の落下に伴う撒布及び撒布された粉末の上側表面又はその近傍を摺動する平坦化工程、
(b)造形領域に対するレーザー光線などの電磁波又は電子線を照射することによって、当該照射領域を焼結する工程、
(c)前記(b)の焼結が行われた端部及び/又は上面を回転工具によって切削しながら端部及び/又は上面の成形を行う工程
を不可欠としており、前記(a)、(b)、(c)を繰り返すことによって最終的に必要な三次元形状を成形することになる。
【0003】
特定の粉末層について前記(c)の工程を終了した場合には、造形対象物及びその周囲に位置している粉末の高さ位置の1層分だけ低下させ、次の粉末層につき、前記(a)の工程に戻ることになる。
【0004】
このため粉末を積載しているテーブルは上下方向に移動可能な状態に設置されている。
【0005】
最も低いレベル位置にある粉末層を直接テーブル上面に接触させた場合には、当該粉末層が前記(b)の焼結工程において、テーブル上面に接着し、造形が終了した対象物をテーブルから円滑に取り出すことができない。
【0006】
このような状況に対処するため、特許文献1においては、通常テーブル(特許文献1においては「支持手段2」と表現されている。)の面上に粉末が焼結によって固化した際、当該粉末と接着可能な素材を選択した基板を設置する構成が採用されている。
【0007】
通常、既存の造形部分が前記(a)の平坦化装置の移動の影響を受けることから、当該造形部分も上記移動方向に移動しようとすることを阻止するため、前記基板がテーブル面上に安定した状態を維持することを必要とする。
【0008】
このような必要性を反映して、特許文献1の構成においては、基板はテーブルの下側からのボルトの挿通によって固定されている。
【0009】
しかしながら、基板とテーブルとが支柱によって固定している場合には、電磁波又は電子線の照射による熱エネルギーが、基板及びテーブルを介した熱伝動によって散逸し、粉末を基板に対し所定の強度によって接着する場合に支障が生じることになり兼ねない。
【0010】
しかも、テーブルの下側からのボルトの挿通作業は煩雑であると共に、基板をも造形対象物における下端部の構成部とする場合には、ボルトの挿通による孔が残存するという不都合を免れることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4054075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、各粉末層のうち焼結の対象領域とされている部位と、テーブルの間に基板を介在させている三次元造形製品の製造装置において、前記基盤をテーブルとの間にて上下方向の空間を形成する状態にて設置し、かつ基板面に対し、テーブルの側からボルトを挿通することを不要とする三次元造形製品の製造装置の構成を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、造形タンク内にて上下方向に移動可能なテーブルの上側に位置し、上側に隣接している粉末が焼結によって固化した際、当該粉末と接着し得る素材を少なくとも表面部分にて有している基板及び前記テーブルの上側にて金属又は非金属の粉末を撒布し、かつ当該撒布された粉末の上側表面を平坦化したうえで、最上位に位置している造形対象となる領域に、電磁波又は電子線を所定の厚さの層に沿って照射することによって焼結層を形成した後、当該焼結が行われた端部及び/又は上面に対する切削によって成形を行う工程を順次反復している三次元造形製品の製造装置において、テーブル上に枠体を立設し、当該枠体から水平方向に突接した支柱及び/又は当該枠体におけるテーブルの内側方向を低部とする段差部位の上に、基板を載置すると共に、当該載置が行われる前記支柱及び/又は前記段差部位の領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板の重心が存在するような配置状態による支持が可能である一方、支柱において少なくとも上側方向に突出している突部及び/又は枠体の内壁を基板の水平方向周囲部に当接させると共に、当該当接を行う領域においては、相互に隣接し合う3個以上の当接位置からの法線同士の交差角度が何れも180度よりも小さい状態であるような状態が必ず実現していることによって基板の水平方向の移動を阻止している三次元造形製品の製造装置からなる。
【発明の効果】
【0014】
前記の基本構成に基づき、本発明においては、枠体の介在によって基板とテーブルとの間に上下方向の空間が形成され、基板からテーブルへの熱伝動が阻止され、粉末材料が効率的に基板に接着することが可能となり、しかもテーブルの側からのボルトによる固着作用を伴わずに、基板を簡単に支柱及び/又は段差部位に載置し、かつ基板の水平方向周囲部と前記突部及び/又は枠体の内壁との当接によって、基板の水平方向の移動を阻止し、安定した状態にて設置することが可能となる。
【0015】
しかもこのような設置の場合には、特許文献1の場合のようなボルトの挿通を不要としていることから、基板を造形対象物の下端側における構成部分とする場合においても、ボルトの挿通による孔が残存することはあり得ず、得ず、しかもテーブルと基板の間に上下方向の空間が存在することから、特許文献1の場合のようなテーブルにおいて加熱された基板を冷却するための設備を不要とすることができる。
【0016】
更には、特許文献1の構成の場合には、必然的にテーブルを平坦面とすることを必要としたのに対し、前記基本構成の場合には、実施例2及び同3において後述するように、テーブル面において傾斜状態を形成することによって、焼結の対象に至らなかった粉末を容易に排出し得るような構成を採用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1における粉末支持板を使用した構成を示す鉛直方向側断面図であり、(a)、(b)、(c)、(d)は粉末を基板及び粉末支持板から落下させ、テーブル+枠体内に保持させるに至る状態を示す。
【図2】実施例2におけるテーブルの構成を示す鉛直方向断面図である(尚、支柱及び突部の図示は省略されている。)。
【図3】実施例3におけるテーブルの構成を示す鉛直方向断面図である(尚、支柱及び突部の図示は省略されている。)。
【図4】実施例4における基板の構成を示す鉛直方向断面図である。
【図5】基板を支柱上に載置する実施形態を示す平面図であって、(a)及び(b)は、円形の基板をそれぞれ支柱が2本及び3本の支柱に載置し、かつ水平方向周囲部にそれぞれ2個及び3個の突部を当接させている場合を示しており、(c)、(d)は矩形状の基板を、それぞれ3本及び4本の支柱上に載置し、かつそれぞれ3個及び4個の突部に当接させている場合を示す(尚、支柱の先端側の点線部分は、支柱が基板を下側から支えている状況を示す。)。
【図6】矩形状の基板を支柱に載置する実施形態を説明しており、(a)は水平方向周囲部である4辺のうち1辺に突部を当接させており、他の3辺に枠体の内壁を当接させる場合の平面図及び鉛直方向側断面図をそれぞれ示しており、(b)、(c)は水平方向周囲部の4辺の全てに枠体の内壁を当接させている場合の平面図及び鉛直方向側断面図をそれぞれ示す(但し、(c)は、(b)のAA方向に沿った鉛直方向側断面図である。尚、各図面における支柱の先端側の点線部分は、支柱が基板を下側から支えている状況を示す。)。
【図7】矩形状の基板を、支柱及び枠体の段差部位部分上に載置する実施形態を示しており、(a)、(b)は水平方向周囲部の1辺に枠体の内壁を当接させており、他の3辺に突部を当接させている場合の平面図及び鉛直方向側断面図をそれぞれ示しており(但し、(b)は(a)のAA方向に沿った鉛直方向側断面図である。)、(c)は水平方向周囲部の2辺に枠体の内壁を当接させており、他の2辺に突部を当接させている場合の平面図を説明しており、(d)は水平方向周囲部の3辺に枠体の内壁を当接させており、他の1辺に突部を当接させている場合の平面図を示している(但し、(a)、(b)の場合には、基板を相互に接続した状態にある4本の支柱上に載置されており、2個の突部は支柱の長手方向に対し部分的に直交しかつ部分的に平行状態にあり、(c)の場合には、基板を2本の支柱上に載置しており、突部は当該支柱の長手方向と直交しており、(d)の場合には、基板を2本の相互に接続した状態にある支柱上に載置しており、突部は支柱長手方向と平行状態にある。尚、各図面における支柱の先端側の点線部分及び枠体の内側の点線部分は、支柱及び段差が基板を下側から支えている状況を示す。)。
【図8】矩形状の基板を段差部位上に載置している実施形態を示す平面図であって、(a)は2個の段差に載置し、水平方向周囲部の4辺に枠体の内壁を当接させている場合を示しており、(b)は4個の段差に載置し、水平方向周囲部の4辺に枠体の内壁を当接させている場合を示す(尚、枠体の内側の点線部分は、段差が基板を支えている状態を示す。)。
【図9】基板の水平方向周囲部に対する当接面が支柱と直交しているか又はそのような直交部分を含む突部が、固定及び移動の何れをも選択可能である実施形態の側断面図であって、(a)は支柱がボルトであって、突部がナットである場合を示しており、(b)は突部として支柱に対し摺動自在の鍔部を採用し、鍔部に螺合している固定用ボルトによって固定及び移動を選択している場合を示す。
【図10】支柱の中途部位に基板の水平方向周囲部に対する当接面が当該支柱と平行状態であるか、又は部分的に直交しかつ部分的に平行状態である突部を係着し、支柱が枠体に対して固定及び移動自在としている実施形態の側断面図であって、(a)はボルトを枠体に螺合している場合を示しており、(b)は支柱をテーブルの枠体に摺動可能な状態にて挿貫させたうえで、水平方向突出部と螺合している固定用ボルトによって、固定及び移動を自在としている場合を示す。
【図11】支柱において、上側方向に突出している突部を備えた状態を説明する鉛直方向側断面図であって、(a)は突部の当接面が支柱の長手方向と直交している場合を示しており、(b)は突部の当接面が支柱の長手方向と平行状態である場合を示しており、(c)は突部の当接面が支柱の長手方向と部分的に直交し(基板から外側に位置している部分が当該直交部分を示す。)かつ部分的に平行状態である場合を示している。
【図12】枠体がテーブル面に沿って移動自在である実施形態を示しており、(a)は平面図であり、(b)は鉛直方向側断面図である。
【図13】基板を載置している支柱及び/又は段差部位の領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板の重心(G)が位置するような配置による支持が可能であることを説明するための平面図であって、(a)は3個の位置による三角形の場合を示しており、(b)は4個の位置による四角形において特に対角線の交点に重心が存在する場合を示している。
【図14】突部及び/又は枠体の内壁による当接領域において、相互に隣接し合う3個の当接位置からの法線同士の法線の交差角度が180度より小さい状態であるような状態が必ず実現していることによって、水平方向面による全方向の基板を動かそうとする力に対し、当接に伴う抗力を持って対抗し得ることを説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、テーブル2上に立設している枠体7から同一高さにてテーブル2の内側方向に向けて水平方向内側に突設している支柱及び/又は枠体7においてテーブル2の内側を低部とする段差部位上に基板3を載置しており、かつ支柱に備えており、かつ支柱よりも少なくとも上側方向に突出している突部及び/又は枠体7の内壁に、基板3の水平方向周囲部が当接しており、基板3の水平方向の移動を阻止している。
【0019】
前記載置が行われる前記支柱及び/又は前記段差部位の領域においては、必ず基板3の重心を内側に位置するようにして囲んだ状態とするような3個の位置が必ず存在する状態にて基板3の支持が行われる。
【0020】
前記要件の根拠について具体的に説明するに、基板3上に積載されている粉末12及び造形物13による単位面積当たりの重量は等しい状態にある。
【0021】
このような場合、例えば図13(a)に示すように、3個の位置(A、B、C)による三角形ABCの内側に基板3の重心(G)が存在する場合において、Cの位置と重心(G)とを延長した直線CGとAの位置及びBの位置を結ぶ直線ABの交点をS1とした場合、直線CGS1の両側は、粉末12、固形物、及び基板3の片側部分の重量として同等であって、直線CGS1を基準とした場合、両側の粉末12、造形物13及び基板3の各部分に作用する重力がバランスしており、基板3においては、重力を原因として直線CGS1を回転中心とするような回転モーメントが生じていない。
【0022】
ここで、Aの位置、Bの位置、Cの位置において全体の重量Mを支えている抗力をそれぞれMA、MB、MCとした場合には、MA+MB+MC=Mが成立する。
【0023】
他方、直線CGS1とAの位置、Bの位置との距離をそれぞれa1、b1とした場合には、前記のように回転モーメントが生じないことは、a1MA=b1MBが成立することを意味している。
【0024】
同様に、図13(a)に示すように、直線BGの延長と直線CAとの交点をS2とし、直線BGS2とCの位置及びAの位置との距離をそれぞれc2、a2とした場合には、直線CGS1の場合と同様に、直線BGS2を回転中心とする回転モーメントが生じていないことから、c2MC=a2MAが成立する。
【0025】
更には、直線AGと直線BCとの交点をS3とし、直線AGS3とBの位置、Cの位置からの距離をそれぞれb3、c3とした場合には、
b3MB=c3MC
が成立する。
【0026】
前記各関係式から、
MA=M/(a1/b1+a2/c2+1)
MB=M/(b1/a1+b3/c3+1)
Mc=M/(c2/a2+c3/b3+1)
を得ることができる。
【0027】
即ち、3個の位置(A、B、C)による三角形ABCの内側に基板3の重心(G)が存在する場合には、前記3点A、B、Cにおいて重量を備えているMA、MB、MCが何れも正の値であって、負の値となっていないために、重力に基づく回転モーメントを伴わずに、安定した状態にて基板3が支持されることになる。
【0028】
実際には、前記支柱及び/又は段差部位は連続しており、A、B、Cのような3個の位置のように、孤立した状態による支持ではない以上、3個の位置(A、B、C)による三角形ABCの内側に基板3の重心(G)が存在する場合には、当然基板3を安定した状態にて支持することができる。
【0029】
前記支柱及び/又は前記段差部位の領域内における4個の位置による四角形の内側に基板3の重心(G)が位置する場合において説明するに、前記4個の位置のうち、3個の位置による三角形の内側に重心(G)が位置するのであれば、図13(a)に示す3個の位置の場合に関する説明からも明らかなように、当然基板3を安定した状態にて支持することができる。
但し、特に図13(b)に示すように、4個の位置(A、B、C、D)による四角形ABCDの内側に基板3の重心(G)を内側に位置するも、重心(G)が四角形ABCDの対角線の交点(直線AC、BDの交点)に存在する場合には、重心(G)は4個の位置のうちの3個の位置による三角形(三角形ABD、BAC、CBD、DAC)の何れの内側に位置することができないので、特に考察を必要とする。
【0030】
図13(b)において、Aの位置、Bの位置、Cの位置、Dの位置において、全体の重量Mが支えている抗力をそれぞれMA、MB、MC、MDとし、交点である重心(G)の位置からAの位置、Bの位置、Cの位置、Dの位置への距離をa、b、c、dとし、Aの位置及びCの位置の対角線DGBに対する距離をそれぞれa1、c1とし、Bの位置及びDの位置から対角線AGCに対する距離をそれぞれb1、d1とした場合、各対角線を回転中心とする回転モーメントが生じていないことから、
a1MA=c1MC
b1MB=d1MD
がそれぞれ成立する。
【0031】
a1/a=c1c
が成立し、
b1/b=d1d
が成立することから、結局
aMA=bMC
bMB=bMB
が成立することになる。
【0032】
言うまでもなく、各抗力MA、MB、MC、MDと全体の重量との間には、
MA+MB+MC+MD=M
が成立するが、上記3式だけでは4個の抗力であるMA、MB、MC、MDを特定することはできない。
但し、仮に抗力MAが正の値ではなくMA=0であるならば、上記関係式からMC=0とならざるを得ない。
【0033】
しかしながら、抗力MA、MB、MC、MDは共にそれぞれA、B、C、Dの各位置とその周囲の単位面積当たりに等しい重量に対応する点において共通していることから、仮にMA=MC=0であるならば、MBとMDもまた同様の支持状態になる以上、MB=MD=0となるが、その場合には抗力MA、MB、MC、MDの総和が全体の重量Mに等しいという前記の基本関係式を維持することができない。
【0034】
したがって、抗力MA、MB、MC、MDの何れも零ではあり得ず、必然的に正の値でなければならない。
【0035】
かくして、特に図13(b)に示すように、3個の位置による三角形の何れに対してもその内側に基板3の重心(G)が存在しないが、4個の位置による四角形の内側に重心(G)が存在するような配置関係の場合においても、必然的に基板3の安定した支持が可能となる。
【0036】
前記の基本構成においては、前記突部及び/又は前記内壁によって当接を行う領域においては、相互に隣接し合う3個以上の当接位置からの法線同士の交差角度が何れも180度よりも小さい状態であるような状態が必ず実現していることによって基板3の水平方向の移動を阻止している。
【0037】
上記状態であるような当接位置が、特に3個以上存在ことに関する根拠について説明するに、例えば図14に示すように、基板の水平方向周囲部に3個の当接位置P、Q、Rが存在した場合において、当接位置P、Qからの法線の交点をOとした場合、角度POQが180度よりも小さい場合には、交点OからPの位置、Qの位置及び双方の位置の中間の位置に向かうような方向の力Xに対し、Pの位置及びQの位置から法線方向に向かう抗力p、qの双方によるベクトル合成によって、当該力Xとバランスするような状態を実現し
防止することが可能となる。
尚、前記力Xが基板3に対して作用する位置は千差万別であって、決して前記交点Oに限定する訳ではないが、作用する位置如何に拘らず、前記力Xと抗力p、qのベクトル合成によって力のバランスが生ずることに変わりはない。
【0038】
同様に、図14に示すように、Qの位置及びRの位置からの各法線の交点O’から、Qの位置及びRの位置及びその中間方向に向かうような方向の力X’に対し、Qの位置及びRの位置における各抗力q、rのベクトル合成によって前記力X’との間にてバランスが
法線の交点O’’からRの位置及びその中間の位置の方向に向かうような方向の力X’’に対し、Rの位置及びPの位置における各抗力r、qのベクトル合成によって前記力X’
結局基板3の水平方向の移動を防止することが可能となる。
【0039】
図14は特に3個の当接位置の場合について説明しているが、当接の位置が4個の場合においても、隣接し合う当接位置からの法線の交差角度が180度よりも小さい場合には、全く同様に基板3に対して作用する力に対して、バランスし得る抗力を形成することが可能となる。
【0040】
のみならず、当接位置の数が多い程、前記交差角度が小さくなる以上、安定した状態にて前記抗力によるバランス状態を形成することが可能となる。
尚、前記のような作用する力と抗力とのバランス以外に、基板3においては、粉末12、造形物13及び基板3の重心を回転中心とする水平方向の回転モーメントが発生しており、仮に当該回転モーメントの方向が前記3個以上の当接位置の当接面に沿った方向にて発生している場合には、前記抗力によって、当該回転を防止することは不可能となる場合が生ずる(例えば、当接に基づく摩擦力が前記回転モーメントに基づく回転力を阻止し得ない場合)が、実際にはそのような3個以上の当接面に沿うような回転モーメントが生ずることはあり得ない以上、この点に関する考察は本来不要である。
【0041】
前記基本構成からも明らかなように、基板3を載置する態様としては、支柱のみとする場合、及び支柱+段差部位とする場合、段差部位のみによる場合の3態様が存在し、基板3の水平方向周囲部を当接する態様としては、突部のみによる場合、突部+枠体7の内壁による場合、枠体7の内壁のみによる場合とが存在する。
但し、基板3を段差部位に載置する場合には、当該段差部位と別に、突部を備える支柱における載置は不要であって、必然的に基板3の水平方向周囲部に対する当接は、枠体7の内壁によって行われることになる。
尚、従来技術においては、テーブル2と基板3の間に加熱板(ヒーター)又は冷却板(クーラー)を介在させることが行われているが、前記基本構成においても、基板3の支柱及び/又は前記段差部位の間に、加熱板(ヒーター)又は冷却板(クーラー)を介在させることは当然可能であり(但し図示せず)、造形条件に即してその何れかを選択することができる。
【0042】
基板3を支柱のみによって載置する場合には、様々な実施形態が存在する。
【0043】
図5(a)は、最低数である2本の支柱を突設した実施形態を示しているが、当該2本の支柱が平行ではなく直交状態を呈しており、しかも載置によって支持する位置として重心(G)を内側に位置するように配置し得る三角形ABCを設定することが可能であることから、安定した状態にて基板3を支持することができる。
【0044】
図5(a)に示す実施形態は、円形状の基板3を載置しており、かつ突部の当接面は円弧状を呈しており、しかも、図5(a)に示すように、相互に隣接し合う3個の当接位置P、Q、Rからの法線同士の交差角度が何れも180度よりも小さい状態である状態を実現していることから、既に説明したように、基板3を水平方向への移動を阻止することが可能となる。
【0045】
図5(b)は図5(a)と同様に、円形状の基板3を3本の支柱上に載置させ、かつ各支柱に設けられた円弧状の突部によってその水平方向周囲部に当接させている実施形態を示す。
【0046】
図5(b)の実施形態においても、重心(G)を内側に位置するように配置し得る三角形ABCが存在することによって、基板3を安定した状態にて支持しており、更には3個の当接位置P、Q、Rからの3本の法線につき、隣接し合う法線同士の角度が180度よりも小さいことによって、基板3の水平方向の移動を当然阻止することができる。
尚、図5(a)、(b)のような円形状の基板3の場合に、仮に基板3の重心位置(G)を中心とする水平方向の回転モーメントが生じた場合には、3個の当接位置P、Q、Rによる当接が当該回転モーメントを防止することは不可能となる場合が生ずるが、実際の作業現場ではこのような回転モーメントの原因となるような力が発生し得ないことは既に指摘したとおりである。
【0047】
基板3の形状は以下の実施形態において説明するように、通常矩形であり、しかも矩形状の基板3の水平方向周囲部に対しては、図11(a)に示すように、当接面が支柱の長手方向と直交する突部によって各辺に当接する場合、図11(b)に示すように、当接面が支柱の長手方向と平行状態である突部によって各辺を当接する場合、更には図11(c)に示すように、当接面が部分的に支柱の長手方向と直交し(基板3から外側に位置している部分が、当該直交部分を示す。)かつ部分的に平行状態である突部によって各角部に当接する実施形態を適宜選択することができる。
【0048】
前記突部5は少なくとも上側方向に突出していることを必要としているのは、支柱4上に載置している基板3の水平方向外周部と当接する必要性に由来しているが、このような突部5としては、図9(a)、(b)において後述するようなナット5及び鍔部5のように、支柱4の長手方向の全周囲方向に突出する実施形態もまた当然採用可能である。
【0049】
図5(c)は、矩形状の基板3を3本の支柱4に載置している実施形態を示しており、1個の突部の当接面は、支柱の長手方向と直交しているが、他の2個の突部の当接面は、支柱の長手方向と部分的に直交しかつ部分的に平行状態として、基板3の2箇所の角部と当接している。
【0050】
図5(c)の実施形態においても、重心(G)を内側に位置するように配置し得る三角形ABCが存在することによって、基板3を安定した状態にて支持しており、更には隣接し合う3個の位置P、Q、Rからの3本の法線同士の交差角度が180度よりも小さいことによって、基板3の水平方向の移動を当然阻止することができる。
【0051】
図5(d)は、矩形状の基板3を4本の突部に載置し、かつ4本の突部の当接面が何れも基板3の長手方向と直交している実施形態を示している。
図5(c)の実施形態においても、重心(G)を内側に位置するように配置し得る四角形ABCDが存在することによって、基板3を安定した状態にて支持しており、更には隣接し合う4個の位置P、Q、R、Sからの4本の法線同士の交差角度が180度よりも小さいこと(実際には約90度)によって、基板3の水平方向の移動を当然阻止することができる(以下の実施形態は、何れも矩形状の基板3の載置した状態を示しており、当該載置の領域において重心(G)を内側に位置するようにして囲むような載置による4個の位置が必ず存在すること、及び隣接する4個の当接位置の支持部位の存在し、当該当接位置からの法線同士の交差角度が180度より小さいこと(実際には約90度)が自明であることから、これらに関する説明は省略する。)。
尚、図5(d)の実施形態とは別に、後述するような矩形状の基板3の水平方向周囲部及びその近傍を支柱に載置し、かつ当接面を支柱の長手方向と平行状態であるような実施形態もまた当然実現可能である(但し、当該実施形態は図示されていない。)。
【0052】
図5(a)、(b)、(c)、(d)の各実施形態においては、2本ないし4本の支柱4に基板3を載置する場合があるが、粉末12及び造形物13の重量如何によっては、支柱の数を更に増加させることが当然可能である。
尚、テーブル2上に立設されている枠体7は、図5(a)、(b)に示すように一体構成の場合と、図5(c)、(d)に示すように示すようにそれぞれ支柱4ごとに対応して分離されている構成との双方を選択することができる。
【0053】
基板3の形態は特に限定される訳ではないが、図5(c)、(d)のような矩形状の場合(就中、正方形の場合)が通常採用されており、稀には図5(a)、(b)のように、実施形態は、円形を採用される場合がある。
【0054】
図6は、矩形状の基板3を支柱上に載置し、かつ基板3の水平方向周囲部に対する当接に、枠体7の内壁が関与している実施形態を示す。
【0055】
当該実施形態のうち、図6(a)の平面図は、相互に向い合いかつ接続した状態にある4本の支柱上に基板3を載置し、かつ当接面が支柱の長手方向と平行状態による1個の突部、及び3個の内壁によって4辺からなる基板3の水平方向周囲部に当接している実施形態を示し、図6(b)の平面図及び(c)の鉛直方向側断面図は、交互に接続している4本の支柱上に基板3を載置し、かつ基板3の4辺からなる水平方向周囲部が、何れも枠体7の内壁を当接している実施形態を示している(尚、図6(a)に対応する鉛直方向断面図は、図6(c)との対比、更には後述するような図7(b)、図9(a)、(b)、図10(a)、(b)が鉛直方向断面図によって十分理解可能なので省略した。)。
【0056】
図6(a)及び(b)、(c)のような実施形態もまた、当然安定した載置状態、及び水平方向の移動を阻止し得る状態を実現している。
【0057】
図7は、矩形状の基板3を支柱及び段差部位上に載置している実施形態を示す。
【0058】
そして、図7(a)及び(b)、(c)及び(d)は、それぞれ基板3を相互に向い合いかつ接続した状態にある2本の支柱と1個の段差部位に載置している実施形態、相互に接続している2本の支柱と相向い合う2個の段差部位に載置している実施形態、相互に向い合いかつ接続した状態にある2本の支柱と相互に隣接し合っている3個の段差部位に載置している実施形態を示している(図7(c)、(d)に対応する各鉛直方向側断面図については、図7(b)、及び後述する図9(a)、(b)、図10(a)、(b)から十分理解可能なので省略した。)。
【0059】
通常段差部位は、広幅の載置状態を実現し、しかも既に説明したように、基板3を載置している段差部位に隣接する内壁を、基板3の水平方向周囲部に当接しているので、基板3を安定した状態にて支持することができると共に、設計上極めて有意義である。
【0060】
上記実施形態においては、段差部位の数は通常1ないし3に限定されるが、支柱の数は特に限定される訳ではない。
但し、段差部位の数が増加するに従って、必要とする支柱の数は減少する傾向にある。
【0061】
図7(a)及び(b)は、当接面が支柱の長手方向と部分的に直交しかつ部分的に平行状態である突部を採用しており、図7(c)、(d)は当接面が当該長手方向に対し直交している突部、及び当接面が当該長手方向に対し平行状態である突部を採用しているが、突部の当接面の形態は、支柱の配置状態に対応して適宜選択すれば良い。
【0062】
図8は、矩形状の基板3を段差部位のみによって載置している実施形態を示す。
【0063】
そして図8(a)は、基板3が相向い合う2個の段差部位上に載置され、かつ水平方向周囲部の4辺が全て実際の内壁に当接している実施形態を示しており、図8(b)は基板3を段差部位に載置し、かつ4個の内壁に当接している実施形態を示す。
【0064】
これらの実施形態の場合には、支柱への載置を伴わずに、基板3の安定した載置状態及び当接状態を実現することが可能となる。
【0065】
図5(d)、図7(b)に示す各実施形態のように、突部の当接面が支柱の長手方向と直交している場合及び図5(a)、(b)のように、前記当接面がそのような直交部分を含んでいる場合には、突部5につき、各支柱4に沿って移動及び固定の何れをも選択可能とする実施形態を採用することができる。
【0066】
このような実施形態としては、図9(a)に示すように、支柱4としてボルト4を採用し、突部としてナット5を採用する構成、及び図9(b)に示すように、突部5として支柱4の長手方向に摺動自在の鍔部5を採用し、当該鍔部5においては、前記長手方向と直交する方向に固定用ボルト6を螺合しており、しかも当該固定用ボルト6の先端が前記長手方向周囲部と当接し得る構成が好適に採用されている。
【0067】
前記各実施形態の場合には、図9(a)のナット5、及び図9(b)の鍔部5の水平方向の位置を調整し、かつそれぞれボルト4及び支柱4における所定位置に固定することによって、色々な形状及び大きさの基板3に対応することができ、しかも基板3の水平方向の位置を調整することができる。
【0068】
図6(a)、図7(d)に示す各実施形態のように、突部の当接面が支柱の長手方向と平行状態である場合、及び図5(c)、図7(a)のように、前記当接面が支柱の長手方向と直交しかつ部分的に平行状態であるような場合には、前記突部を中途部位に固定している支柱4につき枠体7に対し、固定及び移動の何れをも選択可能とする実施形態もまた採用可能である。
【0069】
このような実施形態としては、図10(a)に示すように、ボルト4を枠体7に螺合している構成、更には図10(b)に示すように、枠体7を挿貫している支柱4を枠体7及び当該枠体7の水平方向突出部71に対し摺動自在としたうえで、当該水平方向突出部71においては、支柱4の長手方向と直交する方向に固定用ボルト6を螺合しており、しかも当該ボルト6の先端が前記長手方向周囲部と当接し得る構成が好適に採用されている(尚、図10(a)は、突部の当接面が平行状態の場合を示しており、図10(b)は、突部の当接が部分的に直交しかつ部分的に平行状態である場合を示している。
【0070】
前記実施形態においても、図10(a)に示すボルト4の位置及び図10(b)に示す支柱4の位置を外側からの操作によって調整することによって、色々な形状及び大きさの基板3に対応することができ、しかも基板3の水平方向の位置を調整することができる。
尚、図10(a)の場合のように、支柱としてボルト4を採用する場合には、当該ボルト4が回転しながら突設方向に移動することから、突部においても、当該ボルト4と螺合する構成を採用し、基板3に対し上側が突設した状態を維持すると良い。
【0071】
図6(b)及び図8(a)、(b)による実施形態の場合には、枠体7の内壁であるため、支柱4に突部5を備える必要がない。
【0072】
突部を設けることを不要としていることによって基板3の水平方向周囲部が常に枠体7の内壁と当接していることから、一見必要以上に広い面積の基板3を使用せざるを得ないが如くである。
【0073】
しかしながら、上記実施形態の場合であっても、必ずしも広い面積の基板3を用意する必要はない。
【0074】
具体的には図12に示すように、枠体7の下端において支柱4の突設方向及びその反対側に両側脚部72を突設し、当該両側脚部72にそれぞれ挿通用孔70を設ける一方、テーブル2においても各支柱4の突設方向によって複数個の挿通用孔20を設け、双方の挿通用孔20、70に対し、止着用杵8又は止着用ボルト8を挿貫し、当該挿貫する位置を選択することによって、各枠体7を固定する位置を調整しかつ選択することによって、色々な形状及び大きさの基板3に対応すると共に、基板3の水平方向の位置を調整することができる。
【0075】
本発明において採用し得る粉末12としては、金属粉末、セラミック粉末、樹脂によって被覆された金属又はセラミック粉末12、樹脂によって被覆された砂等を採用することができる。
【0076】
前記の基本構成において使用する基板3は、最初に前記(a)の工程によって粉末12が基板3面に撒布され、かつ前記(b)の焼結によって粉末12が固化した際、接着することを必要としており、基板3の素材としては、前記接着が可能であるならば、どのような素材でも選択可能である。
【0077】
通常、前記のように例示した粉末12と同一素材を採用する場合が多く、この場合には必然的に基板3は三次元造形製品の最下端部を構成することになる。
【0078】
言うまでもなく、発明の前記基本構成、更には前記各実施形態においても、基板3面上に前記(a)の粉末12の撒布及び平坦化工程を実現し、基板3の上側において(b)の焼結工程を実現し、更には上側に前記(c)の成形工程を実現しながら、三次元造形製品の製造を行うことになる。
【0079】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0080】
実施例1は、図1に示すように、支柱のうち、基板3の水平方向周囲部が当接していない側の領域及び前記水平方向周囲部が当接していない枠体7に対し、粉末支持板9を架設していることを特徴としている。
【0081】
このような実施例1においては、図1(a)の状態から(b)のように粉末支持板9を除去することによって、図1(c)、(d)に示すように、粉末12をテーブル2と枠体7によって形成される空間内に載積させた状態としたうえで、テーブル2を上側に移動することによって、粉末12をコンテナの外側に排出することが可能となる。
【実施例2】
【0082】
実施例2は、図2に示すように、テーブル2において、枠体7を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ当該傾斜状態の下端部の位置において、焼結されなかった粉末12を排出するための排出用穴21を設けていることを特徴としている。
【0083】
粉末12をテーブル2及び基板3面上に積載した場合(例えば、図5(a)、(b)、(c)、図6(a)、図7(a)、(b)、(c)、(d)に示す実施形態の場合)、及び基板3面上に積載した場合(例えば、図6(b)及び図8(a)、(b)に示す実施形態の場合)において、全粉末12が焼結の対象となる訳ではない。
【0084】
ましてや、実施例1のように粉末支持板9上に残留している粉末12は、当然焼結及び造形の対象とならない。
【0085】
このような場合、焼結されない粉末12が造形物13を基板3と共にテーブル2から上側に取り出した後には、必然的にテーブル2の低部に残留することになる。
【0086】
実施例2の場合には、当該残留した粉末12は前記傾斜状態している低部に沿って下降し、最低位置にある穴を介して造形タンク1の低部に排出することができ、当該粉末12を再利用することができる。
尚、前記傾斜状態を設ける領域として、枠体7を立設している位置の内側の全領域だけでなく、当該位置から更に内側に離れた位置の全領域をも選択可能としているのは、図6(b)及び図8に示す実施形態において、図12に示すように、枠体7を支柱4の当接方向によって固定する位置を選択可能とする場合、枠体7を突設している位置から所定の内側の領域範囲に至るまで、テーブル2が平坦形状であることを必要としていることに由来している。
【実施例3】
【0087】
実施例3は、図3に示すように、テーブル2において、枠体7を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、相向かい合う一方側端から、他方側端にかけて順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ他方側端においては、2本の鉛直方向支柱11を介して枠体7を支持しており、かつ前記2本の鉛直方向支柱11の間には、当該2本の鉛直方向支柱11の上端又は当該2本の鉛直方向支柱11の何れか一方側において回動自在である開閉板10を備えていることを特徴としている。
【0088】
実施例3においても、実施例2の場合と同様に、焼結及び造形の対象とならなかった粉末12をテーブル2面上に落下させたうえで、鉛直方向支柱11の間に位置している開閉板10を開くことによって、テーブル2面から粉末12を外部に排出することが可能となり、実施例2と同じような効率的な粉末12の外部への排出及び当該粉末12の再利用を実現することができる(尚、図3は2本の鉛直方向支柱11の上端において、回動自在である開閉板10が開いた状態を示しているが、造形が行われている段階では、当然開閉板10は鉛直方向支柱11の間に位置しており、閉じた状態を示すことになる。)。
尚、実施例3においても、傾斜状態を設ける領域として、枠体7を立設する位置から更に内側に離れた位置の全領域をも対象としているが、その根拠は実施例2の場合と同様である。
【実施例4】
【0089】
実施例4は、図4に示すように、基板3の一部を構成している金属板32の上側部分31に、三次元造形製品を形成している粉末12と同一の粉末12を素材とする成形層を固着していることを特徴としている。
【0090】
このように、金属板32上に三次元造形製品を形成している粉末12と同一の素材を採用することによって、前記(b)の焼結に基づく粉末12の固化に際し、前記粉末12との固着を実現することができる。
【0091】
前記成形層は、三次元造形製品の最下層を形成する一方、造形が終了した段階において、前記最下端に位置している金属板32を切断することになる。
【0092】
このような切断によって、金属板32は次の金属工程における基板3面の一部を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、基板を使用している三次元造形製品の製造装置の全構成に利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 造形タンク
2 テーブル
20 挿通用孔
21 排出用穴
3 基板
31 基板のうちの粉末を採用した上側部分
32 基板のうちの下側の金属板
4 支柱及びその実施形態であるボルト
5 突部及びその実施形態であるナット並びに鍔部
6 固定用ボルト
7 枠体
70 挿通用孔
71 水平突出部
72 両側脚部
8 止着用杵又は止着用ボルト
9 粉末支持板
10 開閉板
11 鉛直方向支柱
12 粉末
13 造形物
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に移動可能なテーブル上に積載した金属又は非金属による粉末に対し、各層毎に、電磁波を照射することによって焼結させながら積層し、所定の三次元造形製品を製作する三次元造形製品製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属又は非金属粉末をレーザー光線などの電磁波又は電子線の放射に基づく焼結によって三次元造形製品を成形する技術分野においては、色々な構成が提案されているが、何れの場合においても、
(a)粉末の落下に伴う撒布及び撒布された粉末の上側表面又はその近傍を摺動する平坦化工程、
(b)造形領域に対するレーザー光線などの電磁波又は電子線を照射することによって、当該照射領域を焼結する工程、
(c)前記(b)の焼結が行われた端部及び/又は上面を回転工具によって切削しながら端部及び/又は上面の成形を行う工程
を不可欠としており、前記(a)、(b)、(c)を繰り返すことによって最終的に必要な三次元形状を成形することになる。
【0003】
特定の粉末層について前記(c)の工程を終了した場合には、造形対象物及びその周囲に位置している粉末の高さ位置の1層分だけ低下させ、次の粉末層につき、前記(a)の工程に戻ることになる。
【0004】
このため粉末を積載しているテーブルは上下方向に移動可能な状態に設置されている。
【0005】
最も低いレベル位置にある粉末層を直接テーブル上面に接触させた場合には、当該粉末層が前記(b)の焼結工程において、テーブル上面に接着し、造形が終了した対象物をテーブルから円滑に取り出すことができない。
【0006】
このような状況に対処するため、特許文献1においては、通常テーブル(特許文献1においては「支持手段2」と表現されている。)の面上に粉末が焼結によって固化した際、当該粉末と接着可能な素材を選択した基板を設置する構成が採用されている。
【0007】
通常、既存の造形部分が前記(a)の平坦化装置の移動の影響を受けることから、当該造形部分も上記移動方向に移動しようとすることを阻止するため、前記基板がテーブル面上に安定した状態を維持することを必要とする。
【0008】
このような必要性を反映して、特許文献1の構成においては、基板はテーブルの下側からのボルトの挿通によって固定されている。
【0009】
しかしながら、基板とテーブルとが支柱によって固定している場合には、電磁波又は電子線の照射による熱エネルギーが、基板及びテーブルを介した熱伝動によって散逸し、粉末を基板に対し所定の強度によって接着する場合に支障が生じることになり兼ねない。
【0010】
しかも、テーブルの下側からのボルトの挿通作業は煩雑であると共に、基板をも造形対象物における下端部の構成部とする場合には、ボルトの挿通による孔が残存するという不都合を免れることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4054075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、各粉末層のうち焼結の対象領域とされている部位と、テーブルの間に基板を介在させている三次元造形製品の製造装置において、前記基盤をテーブルとの間にて上下方向の空間を形成する状態にて設置し、かつ基板面に対し、テーブルの側からボルトを挿通することを不要とする三次元造形製品の製造装置の構成を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、造形タンク内にて上下方向に移動可能なテーブルの上側に位置し、上側に隣接している粉末が焼結によって固化した際、当該粉末と接着し得る素材を少なくとも表面部分にて有している基板及び前記テーブルの上側にて金属又は非金属の粉末を撒布し、かつ当該撒布された粉末の上側表面を平坦化したうえで、最上位に位置している造形対象となる領域に、電磁波又は電子線を所定の厚さの層に沿って照射することによって焼結層を形成した後、当該焼結が行われた端部及び/又は上面に対する切削によって成形を行う工程を順次反復している三次元造形製品の製造装置において、テーブル上に枠体を立設し、当該枠体から水平方向に突接した支柱及び/又は当該枠体におけるテーブルの内側方向を低部とする段差部位の上に、基板を載置すると共に、当該載置が行われる前記支柱及び/又は前記段差部位の領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板の重心が存在するような配置状態による支持が可能である一方、支柱において少なくとも上側方向に突出している突部及び/又は枠体の内壁を基板の水平方向周囲部に当接させると共に、当該当接を行う領域においては、相互に隣接し合う3個以上の当接位置からの法線同士の交差角度が何れも180度よりも小さい状態であるような状態が必ず実現していることによって基板の水平方向の移動を阻止している三次元造形製品の製造装置からなる。
【発明の効果】
【0014】
前記の基本構成に基づき、本発明においては、枠体の介在によって基板とテーブルとの間に上下方向の空間が形成され、基板からテーブルへの熱伝動が阻止され、粉末材料が効率的に基板に接着することが可能となり、しかもテーブルの側からのボルトによる固着作用を伴わずに、基板を簡単に支柱及び/又は段差部位に載置し、かつ基板の水平方向周囲部と前記突部及び/又は枠体の内壁との当接によって、基板の水平方向の移動を阻止し、安定した状態にて設置することが可能となる。
【0015】
しかもこのような設置の場合には、特許文献1の場合のようなボルトの挿通を不要としていることから、基板を造形対象物の下端側における構成部分とする場合においても、ボルトの挿通による孔が残存することはあり得ず、得ず、しかもテーブルと基板の間に上下方向の空間が存在することから、特許文献1の場合のようなテーブルにおいて加熱された基板を冷却するための設備を不要とすることができる。
【0016】
更には、特許文献1の構成の場合には、必然的にテーブルを平坦面とすることを必要としたのに対し、前記基本構成の場合には、実施例2及び同3において後述するように、テーブル面において傾斜状態を形成することによって、焼結の対象に至らなかった粉末を容易に排出し得るような構成を採用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1における粉末支持板を使用した構成を示す鉛直方向側断面図であり、(a)、(b)、(c)、(d)は粉末を基板及び粉末支持板から落下させ、テーブル+枠体内に保持させるに至る状態を示す。
【図2】実施例2におけるテーブルの構成を示す鉛直方向断面図である(尚、支柱及び突部の図示は省略されている。)。
【図3】実施例3におけるテーブルの構成を示す鉛直方向断面図である(尚、支柱及び突部の図示は省略されている。)。
【図4】実施例4における基板の構成を示す鉛直方向断面図である。
【図5】基板を支柱上に載置する実施形態を示す平面図であって、(a)及び(b)は、円形の基板をそれぞれ支柱が2本及び3本の支柱に載置し、かつ水平方向周囲部にそれぞれ2個及び3個の突部を当接させている場合を示しており、(c)、(d)は矩形状の基板を、それぞれ3本及び4本の支柱上に載置し、かつそれぞれ3個及び4個の突部に当接させている場合を示す(尚、支柱の先端側の点線部分は、支柱が基板を下側から支えている状況を示す。)。
【図6】矩形状の基板を支柱に載置する実施形態を説明しており、(a)は水平方向周囲部である4辺のうち1辺に突部を当接させており、他の3辺に枠体の内壁を当接させる場合の平面図及び鉛直方向側断面図をそれぞれ示しており、(b)、(c)は水平方向周囲部の4辺の全てに枠体の内壁を当接させている場合の平面図及び鉛直方向側断面図をそれぞれ示す(但し、(c)は、(b)のAA方向に沿った鉛直方向側断面図である。尚、各図面における支柱の先端側の点線部分は、支柱が基板を下側から支えている状況を示す。)。
【図7】矩形状の基板を、支柱及び枠体の段差部位部分上に載置する実施形態を示しており、(a)、(b)は水平方向周囲部の1辺に枠体の内壁を当接させており、他の3辺に突部を当接させている場合の平面図及び鉛直方向側断面図をそれぞれ示しており(但し、(b)は(a)のAA方向に沿った鉛直方向側断面図である。)、(c)は水平方向周囲部の2辺に枠体の内壁を当接させており、他の2辺に突部を当接させている場合の平面図を説明しており、(d)は水平方向周囲部の3辺に枠体の内壁を当接させており、他の1辺に突部を当接させている場合の平面図を示している(但し、(a)、(b)の場合には、基板を相互に接続した状態にある4本の支柱上に載置されており、2個の突部は支柱の長手方向に対し部分的に直交しかつ部分的に平行状態にあり、(c)の場合には、基板を2本の支柱上に載置しており、突部は当該支柱の長手方向と直交しており、(d)の場合には、基板を2本の相互に接続した状態にある支柱上に載置しており、突部は支柱長手方向と平行状態にある。尚、各図面における支柱の先端側の点線部分及び枠体の内側の点線部分は、支柱及び段差が基板を下側から支えている状況を示す。)。
【図8】矩形状の基板を段差部位上に載置している実施形態を示す平面図であって、(a)は2個の段差に載置し、水平方向周囲部の4辺に枠体の内壁を当接させている場合を示しており、(b)は4個の段差に載置し、水平方向周囲部の4辺に枠体の内壁を当接させている場合を示す(尚、枠体の内側の点線部分は、段差が基板を支えている状態を示す。)。
【図9】基板の水平方向周囲部に対する当接面が支柱と直交しているか又はそのような直交部分を含む突部が、固定及び移動の何れをも選択可能である実施形態の側断面図であって、(a)は支柱がボルトであって、突部がナットである場合を示しており、(b)は突部として支柱に対し摺動自在の鍔部を採用し、鍔部に螺合している固定用ボルトによって固定及び移動を選択している場合を示す。
【図10】支柱の中途部位に基板の水平方向周囲部に対する当接面が当該支柱と平行状態であるか、又は部分的に直交しかつ部分的に平行状態である突部を係着し、支柱が枠体に対して固定及び移動自在としている実施形態の側断面図であって、(a)はボルトを枠体に螺合している場合を示しており、(b)は支柱をテーブルの枠体に摺動可能な状態にて挿貫させたうえで、水平方向突出部と螺合している固定用ボルトによって、固定及び移動を自在としている場合を示す。
【図11】支柱において、上側方向に突出している突部を備えた状態を説明する鉛直方向側断面図であって、(a)は突部の当接面が支柱の長手方向と直交している場合を示しており、(b)は突部の当接面が支柱の長手方向と平行状態である場合を示しており、(c)は突部の当接面が支柱の長手方向と部分的に直交し(基板から外側に位置している部分が当該直交部分を示す。)かつ部分的に平行状態である場合を示している。
【図12】枠体がテーブル面に沿って移動自在である実施形態を示しており、(a)は平面図であり、(b)は鉛直方向側断面図である。
【図13】基板を載置している支柱及び/又は段差部位の領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板の重心(G)が位置するような配置による支持が可能であることを説明するための平面図であって、(a)は3個の位置による三角形の場合を示しており、(b)は4個の位置による四角形において特に対角線の交点に重心が存在する場合を示している。
【図14】突部及び/又は枠体の内壁による当接領域において、相互に隣接し合う3個の当接位置からの法線同士の法線の交差角度が180度より小さい状態であるような状態が必ず実現していることによって、水平方向面による全方向の基板を動かそうとする力に対し、当接に伴う抗力を持って対抗し得ることを説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、テーブル2上に立設している枠体7から同一高さにてテーブル2の内側方向に向けて水平方向内側に突設している支柱及び/又は枠体7においてテーブル2の内側を低部とする段差部位上に基板3を載置しており、かつ支柱に備えており、かつ支柱よりも少なくとも上側方向に突出している突部及び/又は枠体7の内壁に、基板3の水平方向周囲部が当接しており、基板3の水平方向の移動を阻止している。
【0019】
前記載置が行われる前記支柱及び/又は前記段差部位の領域においては、必ず基板3の重心を内側に位置するようにして囲んだ状態とするような3個の位置が必ず存在する状態にて基板3の支持が行われる。
【0020】
前記要件の根拠について具体的に説明するに、基板3上に積載されている粉末12及び造形物13による単位面積当たりの重量は等しい状態にある。
【0021】
このような場合、例えば図13(a)に示すように、3個の位置(A、B、C)による三角形ABCの内側に基板3の重心(G)が存在する場合において、Cの位置と重心(G)とを延長した直線CGとAの位置及びBの位置を結ぶ直線ABの交点をS1とした場合、直線CGS1の両側は、粉末12、固形物、及び基板3の片側部分の重量として同等であって、直線CGS1を基準とした場合、両側の粉末12、造形物13及び基板3の各部分に作用する重力がバランスしており、基板3においては、重力を原因として直線CGS1を回転中心とするような回転モーメントが生じていない。
【0022】
ここで、Aの位置、Bの位置、Cの位置において全体の重量Mを支えている抗力をそれぞれMA、MB、MCとした場合には、MA+MB+MC=Mが成立する。
【0023】
他方、直線CGS1とAの位置、Bの位置との距離をそれぞれa1、b1とした場合には、前記のように回転モーメントが生じないことは、a1MA=b1MBが成立することを意味している。
【0024】
同様に、図13(a)に示すように、直線BGの延長と直線CAとの交点をS2とし、直線BGS2とCの位置及びAの位置との距離をそれぞれc2、a2とした場合には、直線CGS1の場合と同様に、直線BGS2を回転中心とする回転モーメントが生じていないことから、c2MC=a2MAが成立する。
【0025】
更には、直線AGと直線BCとの交点をS3とし、直線AGS3とBの位置、Cの位置からの距離をそれぞれb3、c3とした場合には、
b3MB=c3MC
が成立する。
【0026】
前記各関係式から、
MA=M/(a1/b1+a2/c2+1)
MB=M/(b1/a1+b3/c3+1)
Mc=M/(c2/a2+c3/b3+1)
を得ることができる。
【0027】
即ち、3個の位置(A、B、C)による三角形ABCの内側に基板3の重心(G)が存在する場合には、前記3点A、B、Cにおいて重量を備えているMA、MB、MCが何れも正の値であって、負の値となっていないために、重力に基づく回転モーメントを伴わずに、安定した状態にて基板3が支持されることになる。
【0028】
実際には、前記支柱及び/又は段差部位は連続しており、A、B、Cのような3個の位置のように、孤立した状態による支持ではない以上、3個の位置(A、B、C)による三角形ABCの内側に基板3の重心(G)が存在する場合には、当然基板3を安定した状態にて支持することができる。
【0029】
前記支柱及び/又は前記段差部位の領域内における4個の位置による四角形の内側に基板3の重心(G)が位置する場合において説明するに、前記4個の位置のうち、3個の位置による三角形の内側に重心(G)が位置するのであれば、図13(a)に示す3個の位置の場合に関する説明からも明らかなように、当然基板3を安定した状態にて支持することができる。
但し、特に図13(b)に示すように、4個の位置(A、B、C、D)による四角形ABCDの内側に基板3の重心(G)を内側に位置するも、重心(G)が四角形ABCDの対角線の交点(直線AC、BDの交点)に存在する場合には、重心(G)は4個の位置のうちの3個の位置による三角形(三角形ABD、BAC、CBD、DAC)の何れの内側に位置することができないので、特に考察を必要とする。
【0030】
図13(b)において、Aの位置、Bの位置、Cの位置、Dの位置において、全体の重量Mが支えている抗力をそれぞれMA、MB、MC、MDとし、交点である重心(G)の位置からAの位置、Bの位置、Cの位置、Dの位置への距離をa、b、c、dとし、Aの位置及びCの位置の対角線DGBに対する距離をそれぞれa1、c1とし、Bの位置及びDの位置から対角線AGCに対する距離をそれぞれb1、d1とした場合、各対角線を回転中心とする回転モーメントが生じていないことから、
a1MA=c1MC
b1MB=d1MD
がそれぞれ成立する。
【0031】
a1/a=c1c
が成立し、
b1/b=d1d
が成立することから、結局
aMA=bMC
bMB=bMB
が成立することになる。
【0032】
言うまでもなく、各抗力MA、MB、MC、MDと全体の重量との間には、
MA+MB+MC+MD=M
が成立するが、上記3式だけでは4個の抗力であるMA、MB、MC、MDを特定することはできない。
但し、仮に抗力MAが正の値ではなくMA=0であるならば、上記関係式からMC=0とならざるを得ない。
【0033】
しかしながら、抗力MA、MB、MC、MDは共にそれぞれA、B、C、Dの各位置とその周囲の単位面積当たりに等しい重量に対応する点において共通していることから、仮にMA=MC=0であるならば、MBとMDもまた同様の支持状態になる以上、MB=MD=0となるが、その場合には抗力MA、MB、MC、MDの総和が全体の重量Mに等しいという前記の基本関係式を維持することができない。
【0034】
したがって、抗力MA、MB、MC、MDの何れも零ではあり得ず、必然的に正の値でなければならない。
【0035】
かくして、特に図13(b)に示すように、3個の位置による三角形の何れに対してもその内側に基板3の重心(G)が存在しないが、4個の位置による四角形の内側に重心(G)が存在するような配置関係の場合においても、必然的に基板3の安定した支持が可能となる。
【0036】
前記の基本構成においては、前記突部及び/又は前記内壁によって当接を行う領域においては、相互に隣接し合う3個以上の当接位置からの法線同士の交差角度が何れも180度よりも小さい状態であるような状態が必ず実現していることによって基板3の水平方向の移動を阻止している。
【0037】
上記状態であるような当接位置が、特に3個以上存在ことに関する根拠について説明するに、例えば図14に示すように、基板の水平方向周囲部に3個の当接位置P、Q、Rが存在した場合において、当接位置P、Qからの法線の交点をOとした場合、角度POQが180度よりも小さい場合には、交点OからPの位置、Qの位置及び双方の位置の中間の位置に向かうような方向の力Xに対し、Pの位置及びQの位置から法線方向に向かう抗力p、qの双方によるベクトル合成によって、当該力Xとバランスするような状態を実現し
防止することが可能となる。
尚、前記力Xが基板3に対して作用する位置は千差万別であって、決して前記交点Oに限定する訳ではないが、作用する位置如何に拘らず、前記力Xと抗力p、qのベクトル合成によって力のバランスが生ずることに変わりはない。
【0038】
同様に、図14に示すように、Qの位置及びRの位置からの各法線の交点O’から、Qの位置及びRの位置及びその中間方向に向かうような方向の力X’に対し、Qの位置及びRの位置における各抗力q、rのベクトル合成によって前記力X’との間にてバランスが
法線の交点O’’からRの位置及びその中間の位置の方向に向かうような方向の力X’’に対し、Rの位置及びPの位置における各抗力r、qのベクトル合成によって前記力X’
結局基板3の水平方向の移動を防止することが可能となる。
【0039】
図14は特に3個の当接位置の場合について説明しているが、当接の位置が4個の場合においても、隣接し合う当接位置からの法線の交差角度が180度よりも小さい場合には、全く同様に基板3に対して作用する力に対して、バランスし得る抗力を形成することが可能となる。
【0040】
のみならず、当接位置の数が多い程、前記交差角度が小さくなる以上、安定した状態にて前記抗力によるバランス状態を形成することが可能となる。
尚、前記のような作用する力と抗力とのバランス以外に、基板3においては、粉末12、造形物13及び基板3の重心を回転中心とする水平方向の回転モーメントが発生しており、仮に当該回転モーメントの方向が前記3個以上の当接位置の当接面に沿った方向にて発生している場合には、前記抗力によって、当該回転を防止することは不可能となる場合が生ずる(例えば、当接に基づく摩擦力が前記回転モーメントに基づく回転力を阻止し得ない場合)が、実際にはそのような3個以上の当接面に沿うような回転モーメントが生ずることはあり得ない以上、この点に関する考察は本来不要である。
【0041】
前記基本構成からも明らかなように、基板3を載置する態様としては、支柱のみとする場合、及び支柱+段差部位とする場合、段差部位のみによる場合の3態様が存在し、基板3の水平方向周囲部を当接する態様としては、突部のみによる場合、突部+枠体7の内壁による場合、枠体7の内壁のみによる場合とが存在する。
但し、基板3を段差部位に載置する場合には、当該段差部位と別に、突部を備える支柱における載置は不要であって、必然的に基板3の水平方向周囲部に対する当接は、枠体7の内壁によって行われることになる。
尚、従来技術においては、テーブル2と基板3の間に加熱板(ヒーター)又は冷却板(クーラー)を介在させることが行われているが、前記基本構成においても、基板3の支柱及び/又は前記段差部位の間に、加熱板(ヒーター)又は冷却板(クーラー)を介在させることは当然可能であり(但し図示せず)、造形条件に即してその何れかを選択することができる。
【0042】
基板3を支柱のみによって載置する場合には、様々な実施形態が存在する。
【0043】
図5(a)は、最低数である2本の支柱を突設した実施形態を示しているが、当該2本の支柱が平行ではなく直交状態を呈しており、しかも載置によって支持する位置として重心(G)を内側に位置するように配置し得る三角形ABCを設定することが可能であることから、安定した状態にて基板3を支持することができる。
【0044】
図5(a)に示す実施形態は、円形状の基板3を載置しており、かつ突部の当接面は円弧状を呈しており、しかも、図5(a)に示すように、相互に隣接し合う3個の当接位置P、Q、Rからの法線同士の交差角度が何れも180度よりも小さい状態である状態を実現していることから、既に説明したように、基板3を水平方向への移動を阻止することが可能となる。
【0045】
図5(b)は図5(a)と同様に、円形状の基板3を3本の支柱上に載置させ、かつ各支柱に設けられた円弧状の突部によってその水平方向周囲部に当接させている実施形態を示す。
【0046】
図5(b)の実施形態においても、重心(G)を内側に位置するように配置し得る三角形ABCが存在することによって、基板3を安定した状態にて支持しており、更には3個の当接位置P、Q、Rからの3本の法線につき、隣接し合う法線同士の角度が180度よりも小さいことによって、基板3の水平方向の移動を当然阻止することができる。
尚、図5(a)、(b)のような円形状の基板3の場合に、仮に基板3の重心位置(G)を中心とする水平方向の回転モーメントが生じた場合には、3個の当接位置P、Q、Rによる当接が当該回転モーメントを防止することは不可能となる場合が生ずるが、実際の作業現場ではこのような回転モーメントの原因となるような力が発生し得ないことは既に指摘したとおりである。
【0047】
基板3の形状は以下の実施形態において説明するように、通常矩形であり、しかも矩形状の基板3の水平方向周囲部に対しては、図11(a)に示すように、当接面が支柱の長手方向と直交する突部によって各辺に当接する場合、図11(b)に示すように、当接面が支柱の長手方向と平行状態である突部によって各辺を当接する場合、更には図11(c)に示すように、当接面が部分的に支柱の長手方向と直交し(基板3から外側に位置している部分が、当該直交部分を示す。)かつ部分的に平行状態である突部によって各角部に当接する実施形態を適宜選択することができる。
【0048】
前記突部5は少なくとも上側方向に突出していることを必要としているのは、支柱4上に載置している基板3の水平方向外周部と当接する必要性に由来しているが、このような突部5としては、図9(a)、(b)において後述するようなナット5及び鍔部5のように、支柱4の長手方向の全周囲方向に突出する実施形態もまた当然採用可能である。
【0049】
図5(c)は、矩形状の基板3を3本の支柱4に載置している実施形態を示しており、1個の突部の当接面は、支柱の長手方向と直交しているが、他の2個の突部の当接面は、支柱の長手方向と部分的に直交しかつ部分的に平行状態として、基板3の2箇所の角部と当接している。
【0050】
図5(c)の実施形態においても、重心(G)を内側に位置するように配置し得る三角形ABCが存在することによって、基板3を安定した状態にて支持しており、更には隣接し合う3個の位置P、Q、Rからの3本の法線同士の交差角度が180度よりも小さいことによって、基板3の水平方向の移動を当然阻止することができる。
【0051】
図5(d)は、矩形状の基板3を4本の突部に載置し、かつ4本の突部の当接面が何れも基板3の長手方向と直交している実施形態を示している。
図5(c)の実施形態においても、重心(G)を内側に位置するように配置し得る四角形ABCDが存在することによって、基板3を安定した状態にて支持しており、更には隣接し合う4個の位置P、Q、R、Sからの4本の法線同士の交差角度が180度よりも小さいこと(実際には約90度)によって、基板3の水平方向の移動を当然阻止することができる(以下の実施形態は、何れも矩形状の基板3の載置した状態を示しており、当該載置の領域において重心(G)を内側に位置するようにして囲むような載置による4個の位置が必ず存在すること、及び隣接する4個の当接位置の支持部位の存在し、当該当接位置からの法線同士の交差角度が180度より小さいこと(実際には約90度)が自明であることから、これらに関する説明は省略する。)。
尚、図5(d)の実施形態とは別に、後述するような矩形状の基板3の水平方向周囲部及びその近傍を支柱に載置し、かつ当接面を支柱の長手方向と平行状態であるような実施形態もまた当然実現可能である(但し、当該実施形態は図示されていない。)。
【0052】
図5(a)、(b)、(c)、(d)の各実施形態においては、2本ないし4本の支柱4に基板3を載置する場合があるが、粉末12及び造形物13の重量如何によっては、支柱の数を更に増加させることが当然可能である。
尚、テーブル2上に立設されている枠体7は、図5(a)、(b)に示すように一体構成の場合と、図5(c)、(d)に示すように示すようにそれぞれ支柱4ごとに対応して分離されている構成との双方を選択することができる。
【0053】
基板3の形態は特に限定される訳ではないが、図5(c)、(d)のような矩形状の場合(就中、正方形の場合)が通常採用されており、稀には図5(a)、(b)のように、実施形態は、円形を採用される場合がある。
【0054】
図6は、矩形状の基板3を支柱上に載置し、かつ基板3の水平方向周囲部に対する当接に、枠体7の内壁が関与している実施形態を示す。
【0055】
当該実施形態のうち、図6(a)の平面図は、相互に向い合いかつ接続した状態にある4本の支柱上に基板3を載置し、かつ当接面が支柱の長手方向と平行状態による1個の突部、及び3個の内壁によって4辺からなる基板3の水平方向周囲部に当接している実施形態を示し、図6(b)の平面図及び(c)の鉛直方向側断面図は、交互に接続している4本の支柱上に基板3を載置し、かつ基板3の4辺からなる水平方向周囲部が、何れも枠体7の内壁を当接している実施形態を示している(尚、図6(a)に対応する鉛直方向断面図は、図6(c)との対比、更には後述するような図7(b)、図9(a)、(b)、図10(a)、(b)が鉛直方向断面図によって十分理解可能なので省略した。)。
【0056】
図6(a)及び(b)、(c)のような実施形態もまた、当然安定した載置状態、及び水平方向の移動を阻止し得る状態を実現している。
【0057】
図7は、矩形状の基板3を支柱及び段差部位上に載置している実施形態を示す。
【0058】
そして、図7(a)及び(b)、(c)及び(d)は、それぞれ基板3を相互に向い合いかつ接続した状態にある2本の支柱と1個の段差部位に載置している実施形態、相互に接続している2本の支柱と相向い合う2個の段差部位に載置している実施形態、相互に向い合いかつ接続した状態にある2本の支柱と相互に隣接し合っている3個の段差部位に載置している実施形態を示している(図7(c)、(d)に対応する各鉛直方向側断面図については、図7(b)、及び後述する図9(a)、(b)、図10(a)、(b)から十分理解可能なので省略した。)。
【0059】
通常段差部位は、広幅の載置状態を実現し、しかも既に説明したように、基板3を載置している段差部位に隣接する内壁を、基板3の水平方向周囲部に当接しているので、基板3を安定した状態にて支持することができると共に、設計上極めて有意義である。
【0060】
上記実施形態においては、段差部位の数は通常1ないし3に限定されるが、支柱の数は特に限定される訳ではない。
但し、段差部位の数が増加するに従って、必要とする支柱の数は減少する傾向にある。
【0061】
図7(a)及び(b)は、当接面が支柱の長手方向と部分的に直交しかつ部分的に平行状態である突部を採用しており、図7(c)、(d)は当接面が当該長手方向に対し直交している突部、及び当接面が当該長手方向に対し平行状態である突部を採用しているが、突部の当接面の形態は、支柱の配置状態に対応して適宜選択すれば良い。
【0062】
図8は、矩形状の基板3を段差部位のみによって載置している実施形態を示す。
【0063】
そして図8(a)は、基板3が相向い合う2個の段差部位上に載置され、かつ水平方向周囲部の4辺が全て実際の内壁に当接している実施形態を示しており、図8(b)は基板3を段差部位に載置し、かつ4個の内壁に当接している実施形態を示す。
【0064】
これらの実施形態の場合には、支柱への載置を伴わずに、基板3の安定した載置状態及び当接状態を実現することが可能となる。
【0065】
図5(d)、図7(b)に示す各実施形態のように、突部の当接面が支柱の長手方向と直交している場合及び図5(a)、(b)のように、前記当接面がそのような直交部分を含んでいる場合には、突部5につき、各支柱4に沿って移動及び固定の何れをも選択可能とする実施形態を採用することができる。
【0066】
このような実施形態としては、図9(a)に示すように、支柱4としてボルト4を採用し、突部としてナット5を採用する構成、及び図9(b)に示すように、突部5として支柱4の長手方向に摺動自在の鍔部5を採用し、当該鍔部5においては、前記長手方向と直交する方向に固定用ボルト6を螺合しており、しかも当該固定用ボルト6の先端が前記長手方向周囲部と当接し得る構成が好適に採用されている。
【0067】
前記各実施形態の場合には、図9(a)のナット5、及び図9(b)の鍔部5の水平方向の位置を調整し、かつそれぞれボルト4及び支柱4における所定位置に固定することによって、色々な形状及び大きさの基板3に対応することができ、しかも基板3の水平方向の位置を調整することができる。
【0068】
図6(a)、図7(d)に示す各実施形態のように、突部の当接面が支柱の長手方向と平行状態である場合、及び図5(c)、図7(a)のように、前記当接面が支柱の長手方向と直交しかつ部分的に平行状態であるような場合には、前記突部を中途部位に固定している支柱4につき枠体7に対し、固定及び移動の何れをも選択可能とする実施形態もまた採用可能である。
【0069】
このような実施形態としては、図10(a)に示すように、ボルト4を枠体7に螺合している構成、更には図10(b)に示すように、枠体7を挿貫している支柱4を枠体7及び当該枠体7の水平方向突出部71に対し摺動自在としたうえで、当該水平方向突出部71においては、支柱4の長手方向と直交する方向に固定用ボルト6を螺合しており、しかも当該ボルト6の先端が前記長手方向周囲部と当接し得る構成が好適に採用されている(尚、図10(a)は、突部の当接面が平行状態の場合を示しており、図10(b)は、突部の当接が部分的に直交しかつ部分的に平行状態である場合を示している。
【0070】
前記実施形態においても、図10(a)に示すボルト4の位置及び図10(b)に示す支柱4の位置を外側からの操作によって調整することによって、色々な形状及び大きさの基板3に対応することができ、しかも基板3の水平方向の位置を調整することができる。
尚、図10(a)の場合のように、支柱としてボルト4を採用する場合には、当該ボルト4が回転しながら突設方向に移動することから、突部においても、当該ボルト4と螺合する構成を採用し、基板3に対し上側が突設した状態を維持すると良い。
【0071】
図6(b)及び図8(a)、(b)による実施形態の場合には、枠体7の内壁であるため、支柱4に突部5を備える必要がない。
【0072】
突部を設けることを不要としていることによって基板3の水平方向周囲部が常に枠体7の内壁と当接していることから、一見必要以上に広い面積の基板3を使用せざるを得ないが如くである。
【0073】
しかしながら、上記実施形態の場合であっても、必ずしも広い面積の基板3を用意する必要はない。
【0074】
具体的には図12に示すように、枠体7の下端において支柱4の突設方向及びその反対側に両側脚部72を突設し、当該両側脚部72にそれぞれ挿通用孔70を設ける一方、テーブル2においても各支柱4の突設方向によって複数個の挿通用孔20を設け、双方の挿通用孔20、70に対し、止着用杵8又は止着用ボルト8を挿貫し、当該挿貫する位置を選択することによって、各枠体7を固定する位置を調整しかつ選択することによって、色々な形状及び大きさの基板3に対応すると共に、基板3の水平方向の位置を調整することができる。
【0075】
本発明において採用し得る粉末12としては、金属粉末、セラミック粉末、樹脂によって被覆された金属又はセラミック粉末12、樹脂によって被覆された砂等を採用することができる。
【0076】
前記の基本構成において使用する基板3は、最初に前記(a)の工程によって粉末12が基板3面に撒布され、かつ前記(b)の焼結によって粉末12が固化した際、接着することを必要としており、基板3の素材としては、前記接着が可能であるならば、どのような素材でも選択可能である。
【0077】
通常、前記のように例示した粉末12と同一素材を採用する場合が多く、この場合には必然的に基板3は三次元造形製品の最下端部を構成することになる。
【0078】
言うまでもなく、発明の前記基本構成、更には前記各実施形態においても、基板3面上に前記(a)の粉末12の撒布及び平坦化工程を実現し、基板3の上側において(b)の焼結工程を実現し、更には上側に前記(c)の成形工程を実現しながら、三次元造形製品の製造を行うことになる。
【0079】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0080】
実施例1は、図1に示すように、支柱のうち、基板3の水平方向周囲部が当接していない側の領域及び前記水平方向周囲部が当接していない枠体7に対し、粉末支持板9を架設していることを特徴としている。
【0081】
このような実施例1においては、図1(a)の状態から(b)のように粉末支持板9を除去することによって、図1(c)、(d)に示すように、粉末12をテーブル2と枠体7によって形成される空間内に載積させた状態としたうえで、テーブル2を上側に移動することによって、粉末12をコンテナの外側に排出することが可能となる。
【実施例2】
【0082】
実施例2は、図2に示すように、テーブル2において、枠体7を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ当該傾斜状態の下端部の位置において、焼結されなかった粉末12を排出するための排出用穴21を設けていることを特徴としている。
【0083】
粉末12をテーブル2及び基板3面上に積載した場合(例えば、図5(a)、(b)、(c)、図6(a)、図7(a)、(b)、(c)、(d)に示す実施形態の場合)、及び基板3面上に積載した場合(例えば、図6(b)及び図8(a)、(b)に示す実施形態の場合)において、全粉末12が焼結の対象となる訳ではない。
【0084】
ましてや、実施例1のように粉末支持板9上に残留している粉末12は、当然焼結及び造形の対象とならない。
【0085】
このような場合、焼結されない粉末12が造形物13を基板3と共にテーブル2から上側に取り出した後には、必然的にテーブル2の低部に残留することになる。
【0086】
実施例2の場合には、当該残留した粉末12は前記傾斜状態している低部に沿って下降し、最低位置にある穴を介して造形タンク1の低部に排出することができ、当該粉末12を再利用することができる。
尚、前記傾斜状態を設ける領域として、枠体7を立設している位置の内側の全領域だけでなく、当該位置から更に内側に離れた位置の全領域をも選択可能としているのは、図6(b)及び図8に示す実施形態において、図12に示すように、枠体7を支柱4の当接方向によって固定する位置を選択可能とする場合、枠体7を突設している位置から所定の内側の領域範囲に至るまで、テーブル2が平坦形状であることを必要としていることに由来している。
【実施例3】
【0087】
実施例3は、図3に示すように、テーブル2において、枠体7を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、相向かい合う一方側端から、他方側端にかけて順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ他方側端においては、2本の鉛直方向支柱11を介して枠体7を支持しており、かつ前記2本の鉛直方向支柱11の間には、当該2本の鉛直方向支柱11の上端又は当該2本の鉛直方向支柱11の何れか一方側において回動自在である開閉板10を備えていることを特徴としている。
【0088】
実施例3においても、実施例2の場合と同様に、焼結及び造形の対象とならなかった粉末12をテーブル2面上に落下させたうえで、鉛直方向支柱11の間に位置している開閉板10を開くことによって、テーブル2面から粉末12を外部に排出することが可能となり、実施例2と同じような効率的な粉末12の外部への排出及び当該粉末12の再利用を実現することができる(尚、図3は2本の鉛直方向支柱11の上端において、回動自在である開閉板10が開いた状態を示しているが、造形が行われている段階では、当然開閉板10は鉛直方向支柱11の間に位置しており、閉じた状態を示すことになる。)。
尚、実施例3においても、傾斜状態を設ける領域として、枠体7を立設する位置から更に内側に離れた位置の全領域をも対象としているが、その根拠は実施例2の場合と同様である。
【実施例4】
【0089】
実施例4は、図4に示すように、基板3の一部を構成している金属板32の上側部分31に、三次元造形製品を形成している粉末12と同一の粉末12を素材とする成形層を固着していることを特徴としている。
【0090】
このように、金属板32上に三次元造形製品を形成している粉末12と同一の素材を採用することによって、前記(b)の焼結に基づく粉末12の固化に際し、前記粉末12との固着を実現することができる。
【0091】
前記成形層は、三次元造形製品の最下層を形成する一方、造形が終了した段階において、前記最下端に位置している金属板32を切断することになる。
【0092】
このような切断によって、金属板32は次の金属工程における基板3面の一部を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、基板を使用している三次元造形製品の製造装置の全構成に利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 造形タンク
2 テーブル
20 挿通用孔
21 排出用穴
3 基板
31 基板のうちの粉末を採用した上側部分
32 基板のうちの下側の金属板
4 支柱及びその実施形態であるボルト
5 突部及びその実施形態であるナット並びに鍔部
6 固定用ボルト
7 枠体
70 挿通用孔
71 水平突出部
72 両側脚部
8 止着用杵又は止着用ボルト
9 粉末支持板
10 開閉板
11 鉛直方向支柱
12 粉末
13 造形物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形タンク内にて上下方向に移動可能なテーブルの上側に位置し、上側に隣接している粉末が焼結によって固化した際、当該粉末と接着し得る素材を少なくとも表面部分にて有している基板及び前記テーブルの上側にて金属又は非金属の粉末を撒布し、かつ当該撒布された粉末の上側表面を平坦化したうえで、最上位に位置している造形対象となる領域に、電磁波又は電子線を所定の厚さの層に沿って照射することによって焼結層を形成した後、当該焼結が行われた端部及び/又は上面に対する切削によって成形を行う工程を順次反復している三次元造形製品の製造装置において、テーブル上に枠体を立設し、当該枠体から水平方向に突接した支柱及び/又は当該枠体におけるテーブルの内側方向を低部とする段差部位の上に、基板を載置すると共に、当該載置が行われる前記支柱及び/又は前記段差部位の領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板の重心が存在するような配置状態による支持が可能である一方、支柱において少なくとも上側方向に突出している突部及び/又は枠体の内壁を基板の水平方向周囲部に当接させると共に、当該当接を行う領域においては、相互に隣接し合う3個以上の当接位置からの法線同士の交差角度が何れも180度よりも小さい状態であるような状態が必ず実現していることによって基板の水平方向の移動を阻止している三次元造形製品の製造装置。
【請求項2】
基板を2本以上の支柱上のみに載置し、かつ基板の水平方向周囲部を2個以上の突部に当接していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項3】
円形状の基板を2本以上の支柱に載置し、かつ突部の当接面が前記円形に沿った円弧状を呈していることを特徴とする請求項2記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項4】
矩形状の基板を3本以上の支柱に載置し、かつ支柱の長手方向に直交している当接面を有する突部が、矩形辺に当接するか、又は前記長手方向と部分的に直交しかつ部分的に平行状態である当接面を有する突部が矩形状の角部に当接していることを特徴とする請求項2記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項5】
矩形状の基板を相互に向い合いかつ接続した状態にある4本以上の支柱に載置し、基板の水平方向周囲部の4辺を突部及び内壁の双方に当接するか、又は内壁のみに当接することを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項6】
矩形状の基板を支柱及び段差部位上に載置し、かつ基板の水平方向周囲部を突部及び枠体の内壁に当接させていることを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項7】
水平方向周囲部の1辺及びその内側近傍を段差部位上に載置し、前記1辺と相向い合う他の1辺及びその内側近傍を支柱に載置しており、かつ前記他の1辺を当接面が前記支柱の長手方向と平行状態にある突部に当接しており、他の3辺を突部又は枠体の内壁に当接していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項8】
矩形状の基板の相向かい合う2辺及びその内側近傍、又は合い向かい合う4辺及びその内側近傍を段差部位に載置し、水平方向周囲部の4辺が枠体の内壁に当接していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項9】
枠体の下端において支柱の突設方向及びその反対側に両側脚部を突設し、当該両側脚部にそれぞれ挿通用孔を設ける一方、テーブルにおいても各支柱の突設方向によって複数個の挿通用孔を設け、双方の挿通用孔に対し、止着用杵又は止着用ボルトを挿貫し、当該挿貫する位置を選択することによって、各枠体を固定する位置を調整しかつ選択し得る請求項8記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項10】
基板の水平方向周囲部に対する当接面が支柱の長手方向と直交しているか又は直交している部分を含む突部につき、当該支柱に沿って固定及び移動の何れをも選択可能であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項11】
支柱としてボルトを採用し、突部としてナットを採用することを特徴とする請求項10記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項12】
突部として支柱の長手方向に摺動自在の鍔部を採用し、鍔部においては、前記長手方向と直交する方向に固定用ボルトを螺合しており、しかも当該ボルトの先端が前記長手方向周囲部と当接し得ることを特徴とする請求項10記載の三次元造形製品の製造設置。
【請求項13】
基板の水平方向周囲部に対する当接面が当該支柱と平行状態であるか、又は部分的に直交しかつ部分的に平行状態である突部を中途部位に係着している支柱につき、枠体に対し、固定及び移動の何れをも選択可能としたうえで前記枠体を挿貫していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項14】
ボルトを枠体に螺合していることを特徴とする請求項13記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項15】
支柱を枠体及び当該枠体の水平方向突出部に対し摺動自在としたうえで、当該水平方向突出部においては、支柱の長手方向と直交する方向に固定用ボルトを螺合しており、しかも当該ボルトの先端が前記長手方向周囲部と当接し得ることを特徴としている請求項13記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項16】
支柱のうち、基板の水平方向周囲部が当接していない側の領域及び前記水平方向周囲部が当接していない枠体に対し、粉末支持板を架設していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項17】
テーブルにおいて、枠体を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ当該傾斜状態の下端部の位置において、焼結されなかった粉末を排出するための排出穴を設けていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項18】
テーブルにおいて、枠体を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、相向かい合う一方側端から、他方側端にかけて順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ他方側端においては、2本の鉛直方向支柱を介して枠体を支持しており、かつ前記2本の鉛直方向支柱の間には、当該2本の鉛直方向支柱の上端又は当該2本の鉛直方向支柱の何れか一方側において回動自在である開閉板を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16の何れか一項記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項19】
基板の一部を構成している金属板の上側部分に、三次元造形製品を形成している粉末と同一の粉末を素材とする成形層を固着していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項1】
造形タンク内にて上下方向に移動可能なテーブルの上側に位置し、上側に隣接している粉末が焼結によって固化した際、当該粉末と接着し得る素材を少なくとも表面部分にて有している基板及び前記テーブルの上側にて金属又は非金属の粉末を撒布し、かつ当該撒布された粉末の上側表面を平坦化したうえで、最上位に位置している造形対象となる領域に、電磁波又は電子線を所定の厚さの層に沿って照射することによって焼結層を形成した後、当該焼結が行われた端部及び/又は上面に対する切削によって成形を行う工程を順次反復している三次元造形製品の製造装置において、テーブル上に枠体を立設し、当該枠体から水平方向に突接した支柱及び/又は当該枠体におけるテーブルの内側方向を低部とする段差部位の上に、基板を載置すると共に、当該載置が行われる前記支柱及び/又は前記段差部位の領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板の重心が存在するような配置状態による支持が可能である一方、支柱において少なくとも上側方向に突出している突部及び/又は枠体の内壁を基板の水平方向周囲部に当接させると共に、当該当接を行う領域においては、相互に隣接し合う3個以上の当接位置からの法線同士の交差角度が何れも180度よりも小さい状態であるような状態が必ず実現していることによって基板の水平方向の移動を阻止している三次元造形製品の製造装置。
【請求項2】
基板を2本以上の支柱上のみに載置し、かつ基板の水平方向周囲部を2個以上の突部に当接していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項3】
円形状の基板を2本以上の支柱に載置し、かつ突部の当接面が前記円形に沿った円弧状を呈していることを特徴とする請求項2記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項4】
矩形状の基板を3本以上の支柱に載置し、かつ支柱の長手方向に直交している当接面を有する突部が、矩形辺に当接するか、又は前記長手方向と部分的に直交しかつ部分的に平行状態である当接面を有する突部が矩形状の角部に当接していることを特徴とする請求項2記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項5】
矩形状の基板を相互に向い合いかつ接続した状態にある4本以上の支柱に載置し、基板の水平方向周囲部の4辺を突部及び内壁の双方に当接するか、又は内壁のみに当接することを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項6】
矩形状の基板を支柱及び段差部位上に載置し、かつ基板の水平方向周囲部を突部及び枠体の内壁に当接させていることを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項7】
水平方向周囲部の1辺及びその内側近傍を段差部位上に載置し、前記1辺と相向い合う他の1辺及びその内側近傍を支柱に載置しており、かつ前記他の1辺を当接面が前記支柱の長手方向と平行状態にある突部に当接しており、他の3辺を突部又は枠体の内壁に当接していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項8】
矩形状の基板の相向かい合う2辺及びその内側近傍、又は合い向かい合う4辺及びその内側近傍を段差部位に載置し、水平方向周囲部の4辺が枠体の内壁に当接していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項9】
枠体の下端において支柱の突設方向及びその反対側に両側脚部を突設し、当該両側脚部にそれぞれ挿通用孔を設ける一方、テーブルにおいても各支柱の突設方向によって複数個の挿通用孔を設け、双方の挿通用孔に対し、止着用杵又は止着用ボルトを挿貫し、当該挿貫する位置を選択することによって、各枠体を固定する位置を調整しかつ選択し得る請求項8記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項10】
基板の水平方向周囲部に対する当接面が支柱の長手方向と直交しているか又は直交している部分を含む突部につき、当該支柱に沿って固定及び移動の何れをも選択可能であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項11】
支柱としてボルトを採用し、突部としてナットを採用することを特徴とする請求項10記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項12】
突部として支柱の長手方向に摺動自在の鍔部を採用し、鍔部においては、前記長手方向と直交する方向に固定用ボルトを螺合しており、しかも当該ボルトの先端が前記長手方向周囲部と当接し得ることを特徴とする請求項10記載の三次元造形製品の製造設置。
【請求項13】
基板の水平方向周囲部に対する当接面が当該支柱と平行状態であるか、又は部分的に直交しかつ部分的に平行状態である突部を中途部位に係着している支柱につき、枠体に対し、固定及び移動の何れをも選択可能としたうえで前記枠体を挿貫していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項14】
ボルトを枠体に螺合していることを特徴とする請求項13記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項15】
支柱を枠体及び当該枠体の水平方向突出部に対し摺動自在としたうえで、当該水平方向突出部においては、支柱の長手方向と直交する方向に固定用ボルトを螺合しており、しかも当該ボルトの先端が前記長手方向周囲部と当接し得ることを特徴としている請求項13記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項16】
支柱のうち、基板の水平方向周囲部が当接していない側の領域及び前記水平方向周囲部が当接していない枠体に対し、粉末支持板を架設していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項17】
テーブルにおいて、枠体を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ当該傾斜状態の下端部の位置において、焼結されなかった粉末を排出するための排出穴を設けていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項18】
テーブルにおいて、枠体を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、相向かい合う一方側端から、他方側端にかけて順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ他方側端においては、2本の鉛直方向支柱を介して枠体を支持しており、かつ前記2本の鉛直方向支柱の間には、当該2本の鉛直方向支柱の上端又は当該2本の鉛直方向支柱の何れか一方側において回動自在である開閉板を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16の何れか一項記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項19】
基板の一部を構成している金属板の上側部分に、三次元造形製品を形成している粉末と同一の粉末を素材とする成形層を固着していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−218742(P2011−218742A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92870(P2010−92870)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【特許番号】特許第4566284号(P4566284)
【特許公報発行日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000146087)株式会社松浦機械製作所 (40)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【特許番号】特許第4566284号(P4566284)
【特許公報発行日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000146087)株式会社松浦機械製作所 (40)
【Fターム(参考)】
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