説明

三線用の消音ウマ

【課題】安定に装着でき、演奏動作に影響することが無いような三線用の消音ウマを提供することである。
【解決手段】本発明は、少なくとも上面側及び下面側がゴム製ないし樹脂製であり、上面側には、三線の三本の弦(31、32、33)がそれぞれ通過する通過空間(11、12、13)を規定するべく、当該通過空間(11、12、13)の周囲を少なくとも部分的に取り巻く凸状パターン(21、22、23、24)が形成されていることを特徴とする三線用の消音ウマである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三線用の消音ウマに関する。
【背景技術】
【0002】
三線は、沖縄文化(琉球文化)を代表する弦楽器として広く知られており、棹(ソー:長細い棒状の部位)と胴(チーガ:太鼓状の部位)とからなる本体に、三本の弦が張設されていて、胴(チーガ)と三本の弦との間に駒(ウマ)が差し込まれた状態で、山羊や水牛の角等からなる爪・撥(チミ・バチ)を用いて弦がつま弾かれることで、演奏される。
【0003】
駒(ウマ)は、通常、竹製や牛骨製である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常の演奏の際には、前記のように、駒(ウマ)が胴(チーガ)と三本の弦との間に差し込まれるが、自宅での演奏練習時などにおいて音量を下げたい場合には、消音ウマと呼ばれる木製のウマが差し込まれる。
【0005】
しかしながら、従来の木製の消音ウマは、胴(チーガ)の全体に対応する大きさになっているため、演奏動作に影響があるとして評判が悪かった。
【0006】
一方、木製の消音ウマのサイズを単に小さくしたのでは、装着状態が不安定になってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、安定に装着でき、演奏動作に影響することが無いような三線用の消音ウマを提供することである。また、三線用から発展して、一般の弦楽器に対しても、安定に装着でき、演奏動作に影響することが無いような消音ウマを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、三線用の消音ウマであって、少なくとも上面側及び下面側がゴム製ないし樹脂製であり、上面側には、三線の三本の弦がそれぞれ通過する通過空間を規定するべく、当該通過空間の周囲を少なくとも部分的に取り巻く凸状パターンが形成されていることを特徴とする三線用の消音ウマである。
【0009】
本発明の三線用の消音ウマによれば、胴(チーガ)ないし三本の弦と当接する上面側及び下面側がゴム製ないし樹脂製であり、且つ、三本の弦の通過空間の周囲を少なくとも部分的に取り巻くように凸状パターンが形成されているため、装着状態が極めて安定する。これにより、消音ウマのサイズを胴(チーガ)の全体に対してずっとコンパクトにすることが可能となり、演奏動作に影響を与えるおそれが無くなる。更に、胴(チーガ)ないし三本の弦と当接する上面側及び下面側がゴム製ないし樹脂製であるために、胴(チーガ)ないし三本の弦に傷がつくおそれも回避される。
【0010】
好ましくは、前記凸状パターンは、三線の三本の弦の通過空間に隣接する4領域のそれぞれに設けられる。この場合、三本の弦の通過空間を取り巻く凸状パターンがバランス良く形成されることになるため、装着状態がより一層安定する。
【0011】
また、好ましくは、下面側にも、三線の三本の弦がそれぞれ通過する通過空間を規定するべく、当該通過空間の周囲を少なくとも部分的に取り巻く凸状パターンが形成される。この場合、上面側が磨耗等で損傷した後で、下面側を裏返して利用することができる。すなわち、事実上2倍の製品寿命を実現することができる。また、上面側と下面側とで各種寸法を異ならせることにより、1製品で2パターンの消音効果を提供することも可能であし、異なる弦高の楽器2種に対応させることも可能である。
【0012】
また、好ましくは、キーホルダー用のリングが付属されている。これにより、携帯性が向上し、紛失のおそれも低減される。
【0013】
以上の構成は、三線用に開発されたものであるが、ウクレレのような他の弦楽器に対しても有効である。
【0014】
すなわち、本発明は、弦楽器用の消音ウマであって、少なくとも上面側及び下面側がゴム製ないし樹脂製であり、上面側には、対応する弦楽器の複数本の弦がそれぞれ通過する通過空間を規定するべく、当該通過空間の周囲を少なくとも部分的に取り巻く凸状パターンが形成されていることを特徴とする弦楽器用の消音ウマである。
【0015】
本発明の弦楽器用の消音ウマによれば、上面側及び下面側がゴム製ないし樹脂製であり、且つ、対応する弦楽器の複数本の弦の通過空間の周囲を少なくとも部分的に取り巻くように凸状パターンが形成されているため、装着状態が極めて安定する。更に、弦楽器と当接する上面側及び下面側がゴム製ないし樹脂製であるために、弦楽器に傷がつくおそれも回避される。
【0016】
好ましくは、前記凸状パターンは、対応する弦楽器の複数本の弦の通過空間に隣接する領域のそれぞれに設けられる。この場合、対応する弦楽器の複数本の弦の通過空間を取り巻く凸状パターンがバランス良く形成されることになるため、装着状態がより一層安定する。
【0017】
また、好ましくは、下面側にも、対応する弦楽器の複数本の弦がそれぞれ通過する通過空間を規定するべく、当該通過空間の周囲を少なくとも部分的に取り巻く凸状パターンが形成される。この場合、上面側が磨耗等で損傷した後で、下面側を裏返して利用することができる。すなわち、事実上2倍の製品寿命を実現することができる。また、上面側と下面側とで各種寸法を異ならせることにより、1製品で2パターンの消音効果を提供することも可能であし、異なる弦高の楽器2種に対応させることも可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、安定に装着でき、演奏動作に影響することが無いような三線用の消音ウマを提供することができる。そして、これから発展して、安定に装着でき、演奏動作に影響することが無いような弦楽器用の消音ウマを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態の三線用の消音ウマの斜視図である。
【図2】図1の三線用の消音ウマの使用状態を示す概略図である。
【図3】本発明の他の実施の形態の三線用の消音ウマの斜視図である。
【図4】本発明の更に他の実施の形態の三線用の消音ウマの斜視図である。
【図5】本発明の更に他の実施の形態の三線用の消音ウマの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る三線用の消音ウマの実施の形態を、添付図面に基づいて詳述する。図1は、本発明の一実施の形態の三線用の消音ウマの斜視図であり、図2は、図1の三線用の消音ウマの使用状態を示す概略図である。図3は、本発明の他の実施の形態の三線用の消音ウマの斜視図であり、図4は、本発明の更に他の実施の形態の三線用の消音ウマの斜視図であり、図5は、本発明の更に他の実施の形態の三線用の消音ウマの斜視図である。
【0021】
図1の実施の形態の三線用の消音ウマ10は、全体として、三線のミニチュアのような形態を有している。また、本実施の形態の消音ウマ10は、全体がゴム製である。
【0022】
本実施の形態の消音ウマ10の上面側には、図1に示すように、三線の三本の弦31、32、33がそれぞれ通過する通過空間11、12、13を規定するべく、当該通過空間11、12、13の周囲を取り巻く凸状パターン21、22、23、24が形成されている。図1に示すように、三本の弦31、32、33の方向は平行から少しずれているため、通過空間11、12、13も互いに平行ではない。
【0023】
本実施の形態の凸状パターン21、22、23、24は、図1に示すように、三線の三本の弦31、32、33の通過空間に隣接する4領域のそれぞれに設けられている。
【0024】
また、本実施の形態では、詳細な図示は省略されているが、消音ウマ10を図1の矢印方向に回転させた場合に現れる下面側の構成が、図1に示される上面側の構成と同様に形成されている。
【0025】
また、図1に示されるように、本実施の形態の消音ウマ10には、キーホルダー用のリング29が付属されている。なお、本実施の形態の消音ウマ10のサイズは、厚みDが約8mm、長さLが約90mm、最大幅Wが約27mmである。すなわち、本実施の形態の消音ウマ10は、キーホルダーとしての利用に適したサイズとなっている。
【0026】
次に、本実施の形態の作用について説明する。本実施の形態の消音ウマ10は、図2に示すように、三線の胴(チーガ)と三本の弦31、32、33との間に差し込まれて使用される。この時、三本の弦31、32、33が、通過空間11、12、13を通過するように(通過空間11、12、13に収まるように)位置決めされる。このように差し込まれた消音ウマ10は、サイズがキーホルダー並みにコンパクトであっても装着状態が極めて安定であり、十分な消音効果を発揮できる。
【0027】
上面側の凸状パターン21、22、23、24が磨耗等で損傷した後には、下面側を裏返すことで、同様に形成された下面側の凸状パターンを弦に当接させて利用することができる。すなわち、事実上2倍の製品寿命を実現することができる。上面側の凸状パターン21、22、23、24と下面側の凸状パターンとを適宜に裏返して交互に弦に当接させてもよい。
【0028】
また、キーホルダー用のリング29を利用することで、携帯性が向上し、紛失のおそれも低減される。
【0029】
以上のように、本実施の形態によれば、胴(チーガ)ないし三本の弦と当接する上面側及び下面側がいずれもゴム製であり、且つ、三本の弦の通過空間11、12、13の周囲を取り巻くように凸状パターン21、22、23、24が形成されているため、装着状態が極めて安定する。これにより、消音ウマ10のサイズを胴(チーガ)の全体に対してずっとコンパクトにすることが可能となり、演奏動作に影響を与えるおそれが無くなる。更に、胴(チーガ)ないし三本の弦31、32、33と当接する上面側及び下面側がゴム製であるために、胴(チーガ)ないし三本の弦31、32、33に傷がつくおそれも回避される。
【0030】
また、本実施の形態によれば、凸状パターン21、22、23、24が三線の三本の弦31、32、33の通過空間に隣接する4領域のそれぞれに設けられているため、三本の弦31、32、33の通過空間を取り巻く凸状パターン21、22、23、24がバランス良く形成されていて、装着状態がより一層安定である。
【0031】
また、本実施の形態によれば、下面側にも、三線の三本の弦31、32、33がそれぞれ通過する通過空間を規定するべく、当該通過空間の周囲を取り巻く凸状パターンが形成されている。このため、上面側が磨耗等で損傷した後で、下面側を裏返して利用することができる。すなわち、事実上2倍の製品寿命を実現することができる。
【0032】
なお、上面側と下面側とで各種寸法を異ならせることにより、1製品で2パターンの消音効果を提供することも可能であし、異なる弦高の楽器2種に対応させることも可能である。
【0033】
次に、図3の実施の形態の三線用の消音ウマ60について説明する。本実施の形態の消音ウマ60は、凸状パターン61、62、63、64の形態が異なっているたけで、他の構成は図1の消音ウマ10と同様である。図1の消音ウマ10と同様の構成部分については、説明を省略する。
【0034】
凸状パターン61、62、63、64は、三線の三本の弦31、32、33がそれぞれ通過する通過空間11、12、13を規定するが、当該通過空間の周囲を完全には取り巻かず、部分的にのみ取り巻いている。このような形態であっても、図1の消音ウマ10と同様の作用効果を発揮できる。従って、凸状パターン61、62、63、64において、様々な装飾を彫り込むことが可能である。
【0035】
次に、図4の実施の形態の三線用の消音ウマ70について説明する。本実施の形態の消音ウマ70は、全体の形状が三線のミニチュアのような形態ではなく、ゴーヤのミニチュアような形態となっているたけで、他の構成は図1の消音ウマ10と略同様である。図1の消音ウマ10と同様の構成部分については、説明を省略する。
【0036】
このような形態であっても、図1の消音ウマ10と同様の作用効果を発揮できる。従って、様々な形態に製品展開することが可能である。図5のように、平面的にゴーヤを摸した形態を採用することもできる。
【0037】
以上の実施の形態の説明は、三線用の消音ウマについてなされている。しかしながら、対応する弦の本数、すなわち、凸状パターンによって取り巻く通過空間の数を変更することで、ウクレレのような他の弦楽器に対する消音ウマを提供することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
10、60、70、70’ 消音ウマ
11、12、13 通過空間
21、22、23、24 凸状パターン
31、32、33 三線の弦
61、62、63、64 凸状パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三線用の消音ウマであって、
少なくとも上面側及び下面側がゴム製ないし樹脂製であり、
上面側には、三線の三本の弦がそれぞれ通過する通過空間を規定するべく、当該通過空間の周囲を少なくとも部分的に取り巻く凸状パターンが形成されている
ことを特徴とする三線用の消音ウマ。
【請求項2】
前記凸状パターンは、三線の三本の弦の通過空間に隣接する4領域のそれぞれに設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の三線用の消音ウマ。
【請求項3】
下面側にも、三線の三本の弦がそれぞれ通過する通過空間を規定するべく、当該通過空間の周囲を少なくとも部分的に取り巻く凸状パターンが形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の三線用の消音ウマ。
【請求項4】
キーホルダー用のリングが付属されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の三線用の消音ウマ。
【請求項5】
弦楽器用の消音ウマであって、
少なくとも上面側及び下面側がゴム製ないし樹脂製であり、
上面側には、対応する弦楽器の複数本の弦がそれぞれ通過する通過空間を規定するべく、当該通過空間の周囲を少なくとも部分的に取り巻く凸状パターンが形成されている
ことを特徴とする弦楽器用の消音ウマ。
【請求項6】
前記凸状パターンは、対応する弦楽器の複数本の弦の通過空間に隣接する領域のそれぞれに設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の弦楽器用の消音ウマ。
【請求項7】
下面側にも、対応する弦楽器の複数本の弦がそれぞれ通過する通過空間を規定するべく、当該通過空間の周囲を少なくとも部分的に取り巻く凸状パターンが形成されている
ことを特徴とする請求項5または6に記載の弦楽器用の消音ウマ。
【請求項8】
キーホルダー用のリングが付属されている
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の弦楽器用の消音ウマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−83778(P2013−83778A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223270(P2011−223270)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(397043259)株式会社アミューズ (3)
【Fターム(参考)】