説明

三軸タグアンテナ及び物品管理システム

【課題】 被管理物品のX軸平面、Y軸平面及びZ軸平面にそれぞれループアンテナを配置し、各ループアンテナを並列接続してRFタグチップに接続することにより、固定した位置に配置したリーダライタでも物品の向きに左右されずにRFタグチップに記録された管理情報を読み書きすることができる三軸タグアンテナを提供する。
【解決手段】 この三軸タグアンテナ20は、X軸平面20x、Y軸平面20y及びZ軸平面20zにそれぞれ配置されたループアンテナ20a、20b、20cと、このループアンテナを介してデータの授受を行うRFタグ(RFタグチップ)200と、を備え、各平面が三次元的に構成されている。即ち、各面の交わる辺が互いに略直角になるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三軸タグアンテナ及び物品管理システムに関し、さらに詳しくは、リーダライタと物品に取り付けられたRFタグとの位置関係が変化した場合でも、RFタグに記録された情報をリーダライタが確実に読み書きできるタグアンテナの構成と、そのタグアンテナを使用した物品管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードと呼ばれる新しい情報記録媒体が、市場に広く出回っている。ICカードとは、クレジットカード、銀行カード、ポイントカード等のカード状あるいはシート状の形状を備え、カード内、或いはカード上にIC(Integrated Circuit)が組み込まれている読み書き可能な記録媒体を総称した名称である。特に、非接触型ICカードは、例えば、鉄道等の交通機関の駅構内への入退場時に使用される定期券、プリペイドカードとして多く使用されている。また、非接触型ICカードの応用として、構造的には非接触型ICカードと全く同様で、識別番号及び履歴情報等に関する管理情報を記録したRFタグ(Radio Frequency Tag)を、郵便物あるいは荷物等に固定して分類管理する非接触型RFタグ(以下、単にRFタグと記す)がある。
例えばRFタグを取り付けた荷物を、ベルトコンベアにより搬送しながらリーダライタにより管理情報を読み書きする場合、リーダライタのアンテナが決まった位置に固定されているときは、荷物に取り付けられたRFタグの位置を確認して、そのRFタグがリーダライタのアンテナ側に向くようにベルトコンベアに搭載する荷物の向きを予め設定する必要があった。また、このような操作を行わずに管理情報を読み書きする場合は、RFタグに対する情報の読み書きに最も適すると予想される方向にリーダライタのアンテナを複数設置する必要があった。
このような問題を解決するために、特許文献1の従来技術には、一つの大きなループ(適切な共鳴電気容量をもつループ)がRFIDチップに直接取り付けられ、または3つの共鳴ループが、2つ以上の共鳴ループからエネルギーを収集し、RFIDチップに戻して伝えることにより、3方向からの情報を効率良く受信する技術について開示されている。
【特許文献1】特表2004−511033公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
RFタグを取り付けた荷物を、ベルトコンベアにより搬送しながらリーダライタにより管理情報を読み書きする場合、従来はRFタグにとって最も好適な送受信方向がリーダライタのアンテナ側に向くようにベルトコンベアに搭載する荷物の向きを予め設定する必要があったため、人手がかかり作業効率を非常に悪くしていた。また、それを避けるために複数のアンテナを設置する方法は、設備のコストが高くなることと、設置する場所に制限があり必ずしも適切な場所にアンテナを設置できないといった問題がある。
また特許文献1に開示されている従来技術は、あくまでもRFIDチップに直接取り付けられているループアンテナは1つであり、他の面にはループアンテナと磁気結合する共鳴ループを備えるものである。従って、磁気結合するために比較的大きなパワーの磁界をリーダライタから出力しなければならないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、被管理物品のX軸平面、Y軸平面及びZ軸平面にそれぞれループアンテナを配置し、各ループアンテナを並列接続してRFタグチップに接続することにより、固定した位置に配置したリーダライタでも物品の向きに左右されずにRFタグチップに記録された管理情報を読み書きすることができる三軸タグアンテナを提供することを目的とする。
また他の目的は、三軸タグアンテナを被管理物品の稜部に取り付け、リーダライタのアンテナの数を最小限にした物品管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、X軸平面、Y軸平面及びZ軸平面にそれぞれ配置された複数のループアンテナと、該各ループアンテナを介してデータの授受を行うRFタグチップと、を備え、前記各平面が三次元的に構成されていることを特徴とする。
ループアンテナと交差する磁界は、その磁束の向きがループアンテナの面に対して直交する場合、最も大きな起電力を発生する。即ち、最も効率よく磁界を取り込むためには、可能な限りループアンテナの数を増やす必要がある。そこで本発明では、X軸平面、Y軸平面及びZ軸平面にそれぞれループアンテナを配置し、その配置方法が三次元的に構成されるようにするものである。
請求項2は、前記複数のループアンテナは、各ループアンテナの両端部がそれぞれ並列接続され、該並列接続された各両端部が前記RFタグチップのアンテナ入力端子に接続されていることを特徴とする。
3つのループアンテナが並列接続されると、合成インダクタンスは1/3になる。また
共振周波数f0=1/(2π(LC)1/2
と表され、Lはインダクタンス、Cは共振用コンデンサの容量である。即ち、合成インダクタンスが1/3になると、リーダライタがタグに供給する磁界の周波数fと共振しなくなる。一方タグアンテナのインダクタンスはアンテナの巻き数Nとアンテナの面積Aとの積に比例する。そこで本発明では、ループアンテナが並列接続されることにより、インダクタンスが1/3になっても、NAを3倍にして共振させるものである。また、ループアンテナに発生する起電力の電圧Vは、
V=2πfμ0HNA
と表せる。ここで、μ0は真空の透磁率、Hはリーダライタに供給する磁界強度であり、NAが3倍になることで起電力の電圧が3倍となり、リーダライタがタグに供給する磁界強度を抑えることができる。
【0005】
請求項3は、前記複数のループアンテナのそれぞれの両端部は、磁界が2つのループアンテナを同時に通過した際に、当該2つのループアンテナから同極性の起電力が発生するように並列接続されていることを特徴とする。
物品の向きと角度により、2つのループアンテナを同じ磁界が同時に通過する場合がある。このときループアンテナの接続の仕方により起電力を打ち消し合う場合がある。このようなことが発生すると、情報の読み書きが不可能となりループアンテナを複数設けた意味がなくなる。そこで本発明では、2つのループアンテナから同極性の起電力が発生するように並列接続するものである。
請求項4は、前記三次元的に構成された各ループアンテナはシート状のインレットにより保持され、該インレットの少なくとも片面に接着剤を塗布したことを特徴とする。
本発明の三軸タグアンテナは、外部からの応力に対して必ずしも強度的に強くはない。そこでシート状のインレットの表面あるいは内部に保持されるように構成し、そして物品に取り付けるために片面に接着剤を塗布するものである。
請求項5は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の三軸タグアンテナと、該三軸タグアンテナを介して前記RFタグチップとの間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を非接触にて行うリーダライタと、を備え、前記リーダライタは、物品に取り付けられた前記三軸タグアンテナを介して前記RFタグチップに記録された管理情報を読み書きすることにより、当該物品を管理することを特徴とする。
本発明の物品管理システムは、三軸タグアンテナを物品に取り付け、その三軸タグアンテナに取り付けられたRFタグチップの管理情報をリーダライタにより読み書きする。これにより、リーダライタアンテナに対する物品の向きが変わっても、三軸タグアンテナの何れかの面がリーダライタアンテナに向くようになる可能性が増えるため、管理情報を読み書きすることができる。
請求項6は、前記三軸タグアンテナは、前記物品の稜部に取り付けられることを特徴とする。
三軸タグアンテナは3次元的な構成に形成されている。従って、箱状の物品の場合、その稜部(角部)に取り付けるのが最も安定した取り付け方となる。そして好ましくは、箱状の物品の底部の何れかの稜部(角部)に取り付けるのがよい。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、X軸平面、Y軸平面及びZ軸平面にそれぞれループアンテナを配置し、その配置方法が三次元的に構成されるようにするので、三軸タグアンテナの向きが三軸方向に変化しても必ず何れかの面が磁界の方向と直交する可能性が大きくなり、磁界の受信感度を高めることができる。
また請求項2では、複数のループアンテナは、各ループアンテナの両端がそれぞれ並列接続され、その並列接続された両端がRFタグチップのアンテナ入力端子に接続されているので、インダクタンスが1/3となっても、NAを3倍にして共振させることができる。
また請求項3では、2つのループアンテナから同極性の起電力が発生するように並列接続するので、2つのループアンテナを同じ磁界が同時に通過する場合でも、何れかのループアンテナの起電力により情報を読み書きすることができる。
また請求項4では、三次元的に構成された各ループアンテナはシート状のインレットにより保持され、このインレットの少なくとも片面に接着剤を塗布したので、外部からの応力に対してループアンテナを保護することができ、且つ物品に容易に取り付けることができる。
また請求項5では、物品管理システムは、三軸タグアンテナを物品に取り付け、その三軸タグアンテナに取り付けられたRFタグチップの管理情報をリーダライタにより読み書きするので、リーダライタアンテナに対する物品の向きが変わっても、三軸タグアンテナの何れかの面がリーダライタアンテナに向くようになる可能性が増えるため、確実に管理情報を読み書きすることができる。
また請求項6では、三軸タグアンテナは、前記物品の稜部に取り付けられるので、物品が箱状の場合、三軸タグアンテナが取り付けやすく、且つ物品が3次元的に方向を移動しても何れかの面がリーダライタの磁界と直交するように向く確率を増やすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、一般的なICタグ用リーダライタの構成を示すブロック図である。このRFタグ用リーダライタ(以下、単にリーダライタと呼ぶ)100は、リーダライタ100との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御するPC50によって制御される。リーダライタ100は、外部のPC50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないRFタグとの電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ9とを備えて構成されている。
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、RFタグの構成を先に説明しておく。図2は、本発明のRFタグの構成を示すブロック図である。本実施形態のRFタグ200は、リーダライタ100からの電力用搬送波によりデータの授受をする三軸タグアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、三軸タグアンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、RFタグ200の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。
【0008】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、RFタグ200に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、RFタグ200がリーダライタ100に近接すると、三軸タグアンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、RFタグ内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介して三軸タグアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してRFタグ200が規格に合致したタグであると認識する。それにより、以後リーダライタ100とRFタグ200の間でポーリングが行われる。尚、三軸タグアンテナ20はループアンテナ20a、20b、20cを並列に接続して構成され、端子1と端子2間に接続される(詳細は後述する)。
図3は本発明の三軸タグアンテナ20の構成を説明する模式図である。この三軸タグアンテナ20は、X軸平面20x、Y軸平面20y及びZ軸平面20zにそれぞれ配置されたループアンテナ20a、20b、20cと、このループアンテナを介してデータの授受を行うRFタグ(RFタグチップ)200と、を備え、各平面が三次元的に構成されている。即ち、各面の交わる辺が互いに略直角になるように構成されている。尚、この図ではRFタグ200がZ軸平面20zに搭載されているが、どの面でも構わない。また説明の都合上ループアンテナ20aをXアンテナ、ループアンテナ20bをYアンテナ、ループアンテナ20cをZアンテナと呼ぶ。またXアンテナの両端をX−1、X−2、Yアンテナの両端をY−1、Y−2、Zアンテナの両端をZ−1、Z−2とする。
【0009】
図4はRFタグ200とXアンテナ、Yアンテナ、Zアンテナとの接続状態を示す図である。即ち、端子1にはX−1、Y−1、Z−1が接続され、端子2にはX−2、Y−2、Z−2が接続される。これによりXアンテナ、Yアンテナ、Zアンテナの両端は並列接続されて、RFタグ200の端子1と端子2に接続されることになる。またRFタグ200の端子1と端子2には共振回路を形成するために共振コンデンサ201が並列に接続される。
このように3つのループアンテナが並列接続されると、合成インダクタンスは1/3になる。また共振周波数f0=1/(2π(LC)1/2)と表され、Lはインダクタンス、Cは共振用コンデンサの容量である。即ち、合成インダクタンスが1/3になると、リーダライタがタグに供給する磁界の周波数fと共振しなくなる。一方タグアンテナのインダクタンスはアンテナの巻き数Nとアンテナの面積Aとの積に比例する。そこで本発明では、ループアンテナが並列接続されることにより、インダクタンスが1/3になっても、NAを3倍にして共振させるものである。また、ループアンテナに発生する起電力の電圧Vは、
V=2πfμ0HNA
と表せる。ここで、μ0は真空の透磁率、Hはリーダライタに供給する磁界強度であり、NAが3倍になることで起電力の電圧が3倍となり、リーダライタがタグに供給する磁界強度を抑えることができる。
図5は本発明の三軸タグアンテナ20にリーダライタ100のループアンテナ9から放射された磁界が通過した場合の起電力の方向を説明する図である。このような状態は三軸タグアンテナ20が水平に置かれていれば、一般的には発生しないが、三軸タグアンテナ20が傾かれて置かれた場合に発生する現象である。従って、通常はリーダライタ100のループアンテナ9から放射された磁界の向きに対して直交する面に磁界が通過するので、同時に同じ磁界が通過することはない。この図ではレアーケースの場合の動作として説明する。
まず、XアンテナとYアンテナを通過する磁界(X−Y磁界)30が発生した場合、XアンテナとYアンテナには同方向の起電力を発生する。またYアンテナとZアンテナを通過する磁界(Y−Z磁界)32が発生した場合、YアンテナとZアンテナには同方向の起電力を発生する。またXアンテナとZアンテナを通過する磁界(X−Z磁界)31が発生した場合、XアンテナとZアンテナには逆方向の起電力を発生する。このように同方向の起電力が発生した場合は、等価的には電池を並列に接続したことになり起電力は略同じとなる。また逆方向の起電力が発生した場合は、等価的には極性の異なる電池を並列に接続したことになり起電力は打ち消し合ってしまう。
【0010】
図6(a)は図5の三軸タグアンテナ20を展開した図であり、図6(b)はA側から見た断面図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。図6(a)の展開図では各アンテナの境界線33、34、35、36があり、境界線33と36が折り曲げ可能な構成となっている。即ち、境界線33からXアンテナをYアンテナ方向に折り曲げ、その状態のまま境界線36からYアンテナをZアンテナ方向に折り曲げることにより、図5のような三軸タグアンテナ20が構成される。尚、折り曲げ方はこれ以外の方法でも構わない。
図6(b)の断面図より、三軸タグアンテナ20は表面(三軸タグアンテナ20を組み立てたときの内側面)に塗布した接着剤40と、ポリ塩化ビニル(PVC)シート等を溶着してループアンテナ20a、20b、20cとRFタグ200を保持するインレット41と、を備えて構成される。
図7は本発明の物品管理システムの概略構成図である。この物品管理システム300は、物品53を所定の速度で矢印51方向に搬送するベルトコンベア52と、前述した本発明の三軸タグアンテナ20と、この三軸タグアンテナ20を介してRFタグ200との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を非接触にて行うリーダライタ100と、このリーダライタ100を制御するPC50と、を備えて構成される。尚、本実施形態ではリーダライタ100がベルトコンベア52の進行方向に対して並行に設置され、ベルトコンベア52上に搭載された物品に取り付けられたRFタグとの交信に十分な距離に固定されているものとする。また、リーダライタ100にはベルトコンベア52と平行にループアンテナ9が接続されている。そしてリーダライタ100は、物品53に取り付けられた三軸タグアンテナ20を介してRFタグ200に記録された管理情報を読み書きすることにより、物品53を管理するものである。
【0011】
次に本発明の特徴を説明するために、物品53がベルトコンベア52上で向きを変えて搭載された場合について説明する。図7(a−1)はベルトコンベア52上の物品53が正しい方向に搭載された場合であり、このとき物品53に取り付けられた三軸タグアンテナ20のYアンテナがループアンテナ9と略平行な位置関係となり、図7(a−2)に示すようにYアンテナに磁界54が直交して通過するようになる。これにより、Yアンテナとリーダライタ100との交信が可能となる。
図7(b−1)はベルトコンベア52上物品53が90°回転して搭載された場合であり、このとき物品53に取り付けられた三軸タグアンテナ20のXアンテナがループアンテナ9と略平行な位置関係となり、図7(b−2)に示すようにXアンテナに磁界54が直交して通過するようになる。これにより、Xアンテナとリーダライタ100との交信が可能となる。
図7(c−1)はベルトコンベア52上の物品53が45°回転して搭載された場合であり、このとき物品53に取り付けられた三軸タグアンテナ20のYアンテナとXアンテナがループアンテナ9と略45°傾いた位置関係となり、図7(c−2)に示すようにYアンテナとXアンテナに磁界54が45°で通過するようになる。これにより、Yアンテナ及びXアンテナとリーダライタ100との交信が可能となる。但し、この場合YアンテナとXアンテナには直交した場合に比べて少ない起電力が発生される。
図7(d−1)はベルトコンベア52上の物品53が図7(a−1)の状態からリーダライタ100と反対側に倒して搭載された場合であり、このとき物品53に取り付けられた三軸タグアンテナ20のZアンテナとループアンテナ9が平行の位置関係となり、図7(d−2)に示すようにZアンテナに磁界54が直交して通過するようになる。これにより、Zアンテナとリーダライタ100との交信が可能となる。
このように物品管理システム300は、三軸タグアンテナ20を物品53に取り付け、その三軸タグアンテナ20に取り付けられたRFタグ200の管理情報をリーダライタ100により読み書きする。これにより、リーダライタのループアンテナ9に対する物品53の向きが変わっても、三軸タグアンテナ20の何れかの面がリーダライタのループアンテナ9に向くようになる可能性が増えるため、正確に管理情報を読み書きすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一般的なICタグ用リーダライタの構成を示すブロック図。
【図2】本発明のRFタグの構成を示すブロック図。
【図3】本発明の三軸タグアンテナ20の構成を説明する模式図。
【図4】本発明のRFタグ200とXアンテナ、Yアンテナ、Zアンテナとの接続状態を示す図。
【図5】本発明の三軸タグアンテナ20にリーダライタ100のループアンテナ9から放射された磁界が通過した場合の起電力の方向を説明する図。
【図6】(a)は図5の三軸タグアンテナ20を展開した図、(b)はA側から見た断面図。
【図7】(a−1)乃至(d−2)は、物品53がベルトコンベア52上で向きを変えて搭載された場合について説明する図。
【符号の説明】
【0013】
20 三軸タグアンテナ、20x X軸平面、20y Y軸平面、20z Z軸平面、20a、20b、20c ループアンテナ、40 接着剤、41 インレット、100 リーダライタ、200 RFタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸平面、Y軸平面及びZ軸平面にそれぞれ配置された複数のループアンテナと、該各ループアンテナを介してデータの授受を行うRFタグチップと、を備え、前記各平面が三次元的に構成されていることを特徴とする三軸タグアンテナ。
【請求項2】
前記複数のループアンテナは、各ループアンテナの両端部がそれぞれ並列接続され、該並列接続された各両端部が前記RFタグチップのアンテナ入力端子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の三軸タグアンテナ。
【請求項3】
前記複数のループアンテナのそれぞれの両端部は、磁界が2つのループアンテナを同時に通過した際に、当該2つのループアンテナから同極性の起電力が発生するように並列接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の三軸タグアンテナ。
【請求項4】
前記三次元的に構成された各ループアンテナはシート状のインレットにより保持され、該インレットの少なくとも片面に接着剤を塗布したことを特徴とする請求項1、2または3に記載の三軸タグアンテナ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の三軸タグアンテナと、該三軸タグアンテナを介して前記RFタグチップとの間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を非接触にて行うリーダライタと、を備え、前記リーダライタは、物品に取り付けられた前記三軸タグアンテナを介して前記RFタグチップに記録された管理情報を読み書きすることにより、当該物品を管理することを特徴とする物品管理システム。
【請求項6】
前記三軸タグアンテナは、前記物品の稜部に取り付けられることを特徴とする請求項5に記載の物品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−222582(P2006−222582A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32363(P2005−32363)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】