上着の胸ポケット
【課題】
従来のシャツなどの上着胸部に設ける使用勝手を重視した上方開口のポケットは、体の傾斜に合せてポケットが傾き、体が直立から90°以上傾くと収納物が飛び出し易いという問題点があった。
【解決手段】
上着の胸部に設けるポケット11aは、ポケット下部17aを前方にスイング可能とする宙吊り状態に上着本体30aに取り付け、ポケット上部16とポケット下部17aの境となる宙吊り部上端位置19線を基点に体の主に前傾の大きさが大きくなる程、スイング角度22が大きくなる構成にしてポケットの傾きを抑えるものにしている。
従来のシャツなどの上着胸部に設ける使用勝手を重視した上方開口のポケットは、体の傾斜に合せてポケットが傾き、体が直立から90°以上傾くと収納物が飛び出し易いという問題点があった。
【解決手段】
上着の胸部に設けるポケット11aは、ポケット下部17aを前方にスイング可能とする宙吊り状態に上着本体30aに取り付け、ポケット上部16とポケット下部17aの境となる宙吊り部上端位置19線を基点に体の主に前傾の大きさが大きくなる程、スイング角度22が大きくなる構成にしてポケットの傾きを抑えるものにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上着胸部外側に設けらる上方開口のポケットで、前傾姿勢などの体の傾きに対し前記ポケットの傾きを抑え、ポケットからの収納物の落下を防ぐ上着の胸ポケット(以下ポケットと言う)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の上着外側の胸部に設けられるポケットは、出し入れの使い勝手を重視した上方のポケット口が常時開いた状態のポケット構造と、ポケット口の一部又は全部をボタンやホック掛け、又はマジックテープ(登録商標)やファスナー(登録商標)で塞ぎ、不規則な姿勢によるポケットからの収納物の飛び出しを防止する構造のものがある。
【0003】
【特許文献1】実開平01-168525
【特許文献2】実開昭60-143701
【特許文献3】実開平01-002022
【特許文献4】実開昭58-068915
【特許文献5】実公昭39-005601
【特許文献6】実公昭39-010616
【特許文献7】実公昭36-021907
【特許文献8】特開2006-183224
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に述べたポケットの内、収納物の出し入れを最も容易にしたポケット口が常時開放したポケットでは、ポケットの傾き具合により収納物が飛び出し易いという問題がある。また、ボタンやホック及びマジックテープ(登録商標)やファスナー(登録商標)などでポケット口を塞ぐ方法では、操作時に一定の面倒しさを伴うとともに、その塞ぎの構造体による見栄えを損う原因となっていた。
【0005】
本発明は、このような従来の問題を解決しようとするものであり、最も使い勝手の便利な従来のポケット口をオープンにしたポケットで、前屈みなどの不規則な傾斜姿勢におけるポケットからの収納物の飛び出しを防ぐことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、本発明は上記目的を達成するために図1〜図4で示すごとく、上着本体に取り付けられるポケットの下方部を宙吊り状態とし、その宙吊り部を姿勢の傾斜により、前後にスイング可能とするポケットにしている。
【0007】
前記ポケット構造は、上着本体側のポケット内壁と、その内壁に相対するポケット外壁又は前記ポケット内壁の上端高さを前記ポケット外壁上端高さより低くした形状からなり、前記ポケット内壁とポケット外壁の左右両端の高さ間の内、ポケット上端から下方の一定の高さ間と、ポケット内壁の上端横幅間を上着本体に固着して取り付け、前記ポケット横両端の取り付け下端より下方側のポケット下方部を宙吊り状態にしたポケット構造にしている。
【0008】
上記課題解決手段による作用は次の通りである。本案のポケットに主に携帯電話機などの四角形状で一定の重い重さを持つ携帯端末を収納した図5で示す様に、収納物のポケット底からの重心33の高さ位置がポケットの宙吊り部上端位置19の高さより低い位置になる収納状態で図7で示す前傾姿勢にすると、ポケット内壁15bの宙吊り部上端位置19を支点に体35の前傾角度23aの大きさの傾斜で、実質的には後述するポケットのスイングを容易にする上着本体30aにふくらみ代31aの大きさの変形を起しつつ、ポケットがスイング角度22aの大きさでスイングし、収納物に介接した直線状のポケット外壁15aの傾斜角度24aは、体の前傾角度23aよりスイング角度の分小さい傾き角度となる。
【0009】
そして、図8で示す様に体35の前傾角度23bを90°より大きな傾きとした場合、宙吊り部上端位置19に図7で示す状態よりも収納物が水平状態に近い分更に大きな回転モーメント荷重がかかり、上着本体30aのふくらみ代31bが大きなものとなりながら体35の向きに対しポケットのスイング角度22bが大きなものとなる。よって、そのスイング角度22bが大きくなる分、体の前傾角度23bよりポケット外壁15aの傾斜角度24bは小さなものとなり、体の前傾角度が水平より大きな傾きとなっても収納物が飛び出しにくいポケットの傾きを形成することができる。
【0010】
例えば図9で示す様に宙吊り部上端位置19の高さより収納物の重心33位置がポケット上方側に位置すると、スイング角度22cを大きくする前記モーメント荷重が働かず体の傾斜角度23bとポケット外壁の傾斜角度24cが近いものとなり収納物が飛び出し易くなる。したがって、収納物の重心33位置より宙吊り部上端位置19がポケット底より高い位置にある程、体の傾きに対し大きなスイング角度が得やすいものとなる。
【0011】
そして、図10・図11で示す従来のポケット11bの作用を説明すると、ポケット下方部が上着本体30aに固着して取り付けられているため、体35の前傾角度23bとポケットの傾斜角度24dが同一に近いものとなり、本案のスイングするポケットに比べ収納物32が落下しやすいものとなっている。
【0012】
また、図12・図13で示す主に背広などの上着の胸部に設けられる従来のポケットで、ポケットの大部分をなすポケット下方部が上着本体30bの内側に宙吊り状態のポケット11cは、その宙吊り部18は体35と上着本体30bの間で、体の姿勢と略同一のポケット姿勢状態に常時保持されているので、一定の重さと表面のなめらかな携帯電話機等の携帯端末は、体の傾きと同一に近い傾きとなり、本案のポケット下方の宙吊り部を前方にスイングさせる構成とは異なるものであり、ポケットからの飛び出しを防ぐには不十分なものとなっている。
【発明の効果】
【0013】
上述したように本発明の飛び出しを防止するポケットは、従来の上方開放のポケットの使い勝手と同一で、ポケットの外観形状を変えることなく体の前傾姿勢などの傾きに対し、ポケットの傾きを抑えポケットからの落下を防止する上着の胸ポケットを提供する。
【0014】
ポケット下方部の宙吊り部が振子式にスイングする状態で、ポケットの宙吊り部上端位置より収納物(本案では主に落下による破損を最も恐れる携帯端末などの一定の重さを持つ物を想定している)の重心高さがポケット下方部側になるポケット形状にする程、ポケットのスイング時にポケット下方側に大きな負荷がかかり、ポケットが前方に容易にスイングしポケットの傾きを抑える効果を持つ、しかし、ポケットの高さに対し宙吊り部が大きすぎるとポケット自身の揺れの原因となる恐れが生じることとなる。したがって、収納物の重心高さに対し、宙吊り部上端位置が極端に高くならない程度のポケット形状にするのが最も効果的と思われる。
【0015】
例えば、胸ポケットを左右に設け、一方を携帯端末や電卓などの重い物を収納し、もう一方は宙吊り部上端位置を収納物の重心位置よりかなり高い高さにすると、メガネや手帳などの軽い収納物でも容易にポケット下方部をスイングさせるとともに軽い収納物であるためポケットの揺れが少ないものとなり、2つのポケットの使い分けをする利点が生れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図4の内図1は、上着本体30aの胸部に設けられたポケット11aの斜傾図を示し、図2は図1の正面図を示し、図3は図2のポケット口の平面図を示し、図4は図2の縦断面を示している。
ポケット11aを形成する上着本体30a側のポケット内壁15bと、それに相対するポケット外壁15aからなる上方開口のポケットの内、そのポケットの左右両端の一定の高さ間を縫製20aにより上着本体30aに取り付けたポケット上部16と、そのポケット上部に連設する宙吊り状態のポケット下部17aからなるポケット11aで、そのポケット下部17aの宙吊り部上端位置19を基点に前方に任意のスイング角度22でスイング自在にし、前記ポケット内壁15bの上端高さをポケット外壁15aの上端高さより低い高さにして見栄の向上を図り、そのポケット内壁の上端を縫製20bで上着本体に固着している。
【0018】
図5・図6の内図5は、図1〜図4で示すポケット11aに収納物32を収納した正面図と、図6は図5の縦断面を示し、ポケット下部17aのスイングの基点となる宙吊り部上端位置19に対し、収納物の重心33の高さ位置がポケット底側の低い位置となるポケット形状にしている。
【0019】
図7は、図6の変形例を示し、図6のポケット状態で体35を一定の前傾角度23aに前傾させると、ポケット11a(実質的には収納物32に介接したポケット外壁15a面)がスイング角度22aの大きさでスイングし、体の前傾角度23aよりスイング角度の分小さなポケットの傾斜角度24aとなる。この時宙吊り部上端位置19のポケット底からの高さより、収納物32の重心33の高さが低い位置にあるので、宙吊り部上端位置19に高さの差による本図では右回転のモーメント荷重がかかり、上着本体30aがポケット側に引っ張られふくらみ代31aの大きさで変形しながらポケットがスイングすることとなる。
【0020】
図8は、図7の変形例で体35の前傾角度23bを少なくとも90°度より大きい状態にした場合で、収納物32の姿勢が水平に近い程、上着本体30aを外側に引っ張る力が大きくなり、上着本体30aのふくらみ代31bが大きくなりながら、宙吊り部上端位置19に大きな回転モーメントがかかり、ポケット11aはスイング角度22bの分小さなポケットの傾斜角度24bとなり、ポケットから収納物32が落下しにくいものとなっている。
【0021】
図9は、図8で示す体35の前傾角度23bと同じ状態のポケットの傾斜の変形例で、ポケットに収納される収納物32の重心33のポケット底からの高さより、ポケット下部17bの宙吊り部上端位置19の高さを低い位置となるポケット形状にすると、宙吊り部上端位置に対し収納物の重心がポケット口側になるため、本図では左回転のモーメントが働きポケットのスイング角度22cは小さなものとなり、収納物がポケットから落下しやすいものとなっている。したがって、宙吊り部上端位置は収納物の重心位置よりポケット底から高い位置にある程、ポケットのスイング角度は大きなものとなりポケットからの落下をより確実に防ぐものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態を示す斜傾図
【図2】本発明の実施の形態を示す正面図
【図3】図2のX1−X1線による矢視図
【図4】図2のX2−X2線による矢視図
【図5】本発明のポケットの構成と収納物の重心を示す正面図
【図6】図5のX3−X3線による矢視図
【図7】本発明のポケットの使用例を示す縦断面図
【図8】図7の変形例を示す図
【図9】図8の変形例を示す図
【図10】従来のポケットの使用例を示す正面図
【図11】図10のX4−X4線の前傾した使用例を示す矢視図
【図12】従来のポケットの使用例を示す正面図
【図13】図12のX5−X5線の前傾した使用例を示す矢視図
【符号の説明】
【0023】
11a:ポケット
11b:ポケット
11c:ポケット
15a:ポケット外壁
15b:ポケット内壁
16 :ポケット上部
17a:ポケット下部
17b:ポケット下部
18 :宙吊り部
19 :宙吊り部上端位置
20a:縫製
20b:縫製
22 :スイング角度
22a:スイング角度
22b:スイング角度
22c:スイング角度
23a:前傾角度
23b:前傾角度
24a:傾斜角度
24b:傾斜角度
24c:傾斜角度
24d:傾斜角度
30a:上着本体
30b:上着本体
31a:ふくらみ代
31b:ふくらみ代
31c:ふくらみ代
32 :収納物
33 :重心
35 :体
【技術分野】
【0001】
本発明は、上着胸部外側に設けらる上方開口のポケットで、前傾姿勢などの体の傾きに対し前記ポケットの傾きを抑え、ポケットからの収納物の落下を防ぐ上着の胸ポケット(以下ポケットと言う)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の上着外側の胸部に設けられるポケットは、出し入れの使い勝手を重視した上方のポケット口が常時開いた状態のポケット構造と、ポケット口の一部又は全部をボタンやホック掛け、又はマジックテープ(登録商標)やファスナー(登録商標)で塞ぎ、不規則な姿勢によるポケットからの収納物の飛び出しを防止する構造のものがある。
【0003】
【特許文献1】実開平01-168525
【特許文献2】実開昭60-143701
【特許文献3】実開平01-002022
【特許文献4】実開昭58-068915
【特許文献5】実公昭39-005601
【特許文献6】実公昭39-010616
【特許文献7】実公昭36-021907
【特許文献8】特開2006-183224
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に述べたポケットの内、収納物の出し入れを最も容易にしたポケット口が常時開放したポケットでは、ポケットの傾き具合により収納物が飛び出し易いという問題がある。また、ボタンやホック及びマジックテープ(登録商標)やファスナー(登録商標)などでポケット口を塞ぐ方法では、操作時に一定の面倒しさを伴うとともに、その塞ぎの構造体による見栄えを損う原因となっていた。
【0005】
本発明は、このような従来の問題を解決しようとするものであり、最も使い勝手の便利な従来のポケット口をオープンにしたポケットで、前屈みなどの不規則な傾斜姿勢におけるポケットからの収納物の飛び出しを防ぐことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、本発明は上記目的を達成するために図1〜図4で示すごとく、上着本体に取り付けられるポケットの下方部を宙吊り状態とし、その宙吊り部を姿勢の傾斜により、前後にスイング可能とするポケットにしている。
【0007】
前記ポケット構造は、上着本体側のポケット内壁と、その内壁に相対するポケット外壁又は前記ポケット内壁の上端高さを前記ポケット外壁上端高さより低くした形状からなり、前記ポケット内壁とポケット外壁の左右両端の高さ間の内、ポケット上端から下方の一定の高さ間と、ポケット内壁の上端横幅間を上着本体に固着して取り付け、前記ポケット横両端の取り付け下端より下方側のポケット下方部を宙吊り状態にしたポケット構造にしている。
【0008】
上記課題解決手段による作用は次の通りである。本案のポケットに主に携帯電話機などの四角形状で一定の重い重さを持つ携帯端末を収納した図5で示す様に、収納物のポケット底からの重心33の高さ位置がポケットの宙吊り部上端位置19の高さより低い位置になる収納状態で図7で示す前傾姿勢にすると、ポケット内壁15bの宙吊り部上端位置19を支点に体35の前傾角度23aの大きさの傾斜で、実質的には後述するポケットのスイングを容易にする上着本体30aにふくらみ代31aの大きさの変形を起しつつ、ポケットがスイング角度22aの大きさでスイングし、収納物に介接した直線状のポケット外壁15aの傾斜角度24aは、体の前傾角度23aよりスイング角度の分小さい傾き角度となる。
【0009】
そして、図8で示す様に体35の前傾角度23bを90°より大きな傾きとした場合、宙吊り部上端位置19に図7で示す状態よりも収納物が水平状態に近い分更に大きな回転モーメント荷重がかかり、上着本体30aのふくらみ代31bが大きなものとなりながら体35の向きに対しポケットのスイング角度22bが大きなものとなる。よって、そのスイング角度22bが大きくなる分、体の前傾角度23bよりポケット外壁15aの傾斜角度24bは小さなものとなり、体の前傾角度が水平より大きな傾きとなっても収納物が飛び出しにくいポケットの傾きを形成することができる。
【0010】
例えば図9で示す様に宙吊り部上端位置19の高さより収納物の重心33位置がポケット上方側に位置すると、スイング角度22cを大きくする前記モーメント荷重が働かず体の傾斜角度23bとポケット外壁の傾斜角度24cが近いものとなり収納物が飛び出し易くなる。したがって、収納物の重心33位置より宙吊り部上端位置19がポケット底より高い位置にある程、体の傾きに対し大きなスイング角度が得やすいものとなる。
【0011】
そして、図10・図11で示す従来のポケット11bの作用を説明すると、ポケット下方部が上着本体30aに固着して取り付けられているため、体35の前傾角度23bとポケットの傾斜角度24dが同一に近いものとなり、本案のスイングするポケットに比べ収納物32が落下しやすいものとなっている。
【0012】
また、図12・図13で示す主に背広などの上着の胸部に設けられる従来のポケットで、ポケットの大部分をなすポケット下方部が上着本体30bの内側に宙吊り状態のポケット11cは、その宙吊り部18は体35と上着本体30bの間で、体の姿勢と略同一のポケット姿勢状態に常時保持されているので、一定の重さと表面のなめらかな携帯電話機等の携帯端末は、体の傾きと同一に近い傾きとなり、本案のポケット下方の宙吊り部を前方にスイングさせる構成とは異なるものであり、ポケットからの飛び出しを防ぐには不十分なものとなっている。
【発明の効果】
【0013】
上述したように本発明の飛び出しを防止するポケットは、従来の上方開放のポケットの使い勝手と同一で、ポケットの外観形状を変えることなく体の前傾姿勢などの傾きに対し、ポケットの傾きを抑えポケットからの落下を防止する上着の胸ポケットを提供する。
【0014】
ポケット下方部の宙吊り部が振子式にスイングする状態で、ポケットの宙吊り部上端位置より収納物(本案では主に落下による破損を最も恐れる携帯端末などの一定の重さを持つ物を想定している)の重心高さがポケット下方部側になるポケット形状にする程、ポケットのスイング時にポケット下方側に大きな負荷がかかり、ポケットが前方に容易にスイングしポケットの傾きを抑える効果を持つ、しかし、ポケットの高さに対し宙吊り部が大きすぎるとポケット自身の揺れの原因となる恐れが生じることとなる。したがって、収納物の重心高さに対し、宙吊り部上端位置が極端に高くならない程度のポケット形状にするのが最も効果的と思われる。
【0015】
例えば、胸ポケットを左右に設け、一方を携帯端末や電卓などの重い物を収納し、もう一方は宙吊り部上端位置を収納物の重心位置よりかなり高い高さにすると、メガネや手帳などの軽い収納物でも容易にポケット下方部をスイングさせるとともに軽い収納物であるためポケットの揺れが少ないものとなり、2つのポケットの使い分けをする利点が生れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図4の内図1は、上着本体30aの胸部に設けられたポケット11aの斜傾図を示し、図2は図1の正面図を示し、図3は図2のポケット口の平面図を示し、図4は図2の縦断面を示している。
ポケット11aを形成する上着本体30a側のポケット内壁15bと、それに相対するポケット外壁15aからなる上方開口のポケットの内、そのポケットの左右両端の一定の高さ間を縫製20aにより上着本体30aに取り付けたポケット上部16と、そのポケット上部に連設する宙吊り状態のポケット下部17aからなるポケット11aで、そのポケット下部17aの宙吊り部上端位置19を基点に前方に任意のスイング角度22でスイング自在にし、前記ポケット内壁15bの上端高さをポケット外壁15aの上端高さより低い高さにして見栄の向上を図り、そのポケット内壁の上端を縫製20bで上着本体に固着している。
【0018】
図5・図6の内図5は、図1〜図4で示すポケット11aに収納物32を収納した正面図と、図6は図5の縦断面を示し、ポケット下部17aのスイングの基点となる宙吊り部上端位置19に対し、収納物の重心33の高さ位置がポケット底側の低い位置となるポケット形状にしている。
【0019】
図7は、図6の変形例を示し、図6のポケット状態で体35を一定の前傾角度23aに前傾させると、ポケット11a(実質的には収納物32に介接したポケット外壁15a面)がスイング角度22aの大きさでスイングし、体の前傾角度23aよりスイング角度の分小さなポケットの傾斜角度24aとなる。この時宙吊り部上端位置19のポケット底からの高さより、収納物32の重心33の高さが低い位置にあるので、宙吊り部上端位置19に高さの差による本図では右回転のモーメント荷重がかかり、上着本体30aがポケット側に引っ張られふくらみ代31aの大きさで変形しながらポケットがスイングすることとなる。
【0020】
図8は、図7の変形例で体35の前傾角度23bを少なくとも90°度より大きい状態にした場合で、収納物32の姿勢が水平に近い程、上着本体30aを外側に引っ張る力が大きくなり、上着本体30aのふくらみ代31bが大きくなりながら、宙吊り部上端位置19に大きな回転モーメントがかかり、ポケット11aはスイング角度22bの分小さなポケットの傾斜角度24bとなり、ポケットから収納物32が落下しにくいものとなっている。
【0021】
図9は、図8で示す体35の前傾角度23bと同じ状態のポケットの傾斜の変形例で、ポケットに収納される収納物32の重心33のポケット底からの高さより、ポケット下部17bの宙吊り部上端位置19の高さを低い位置となるポケット形状にすると、宙吊り部上端位置に対し収納物の重心がポケット口側になるため、本図では左回転のモーメントが働きポケットのスイング角度22cは小さなものとなり、収納物がポケットから落下しやすいものとなっている。したがって、宙吊り部上端位置は収納物の重心位置よりポケット底から高い位置にある程、ポケットのスイング角度は大きなものとなりポケットからの落下をより確実に防ぐものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態を示す斜傾図
【図2】本発明の実施の形態を示す正面図
【図3】図2のX1−X1線による矢視図
【図4】図2のX2−X2線による矢視図
【図5】本発明のポケットの構成と収納物の重心を示す正面図
【図6】図5のX3−X3線による矢視図
【図7】本発明のポケットの使用例を示す縦断面図
【図8】図7の変形例を示す図
【図9】図8の変形例を示す図
【図10】従来のポケットの使用例を示す正面図
【図11】図10のX4−X4線の前傾した使用例を示す矢視図
【図12】従来のポケットの使用例を示す正面図
【図13】図12のX5−X5線の前傾した使用例を示す矢視図
【符号の説明】
【0023】
11a:ポケット
11b:ポケット
11c:ポケット
15a:ポケット外壁
15b:ポケット内壁
16 :ポケット上部
17a:ポケット下部
17b:ポケット下部
18 :宙吊り部
19 :宙吊り部上端位置
20a:縫製
20b:縫製
22 :スイング角度
22a:スイング角度
22b:スイング角度
22c:スイング角度
23a:前傾角度
23b:前傾角度
24a:傾斜角度
24b:傾斜角度
24c:傾斜角度
24d:傾斜角度
30a:上着本体
30b:上着本体
31a:ふくらみ代
31b:ふくらみ代
31c:ふくらみ代
32 :収納物
33 :重心
35 :体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類に設けられたポケットの内、上着の胸部外側に設けられる上方が開口したポケットで、そのポケット底辺から一定の高さ間のポケット下方部は宙吊り形状をなし、該宙吊り状態のポケット下方部を前後にスイング自在にする構造とした上着の胸ポケット。
【請求項2】
前記上着の胸ポケットは、上着本体側のポケット内壁と、その内壁に相対するポケット外壁からなり、前記ポケット内壁とポケット外壁の左右両端の高さ間の内、ポケット上部となるポケット上端から下方の一定の高さ間と、前記ポケット内壁の上端横幅間を上着本体に固着して取り付けた請求項1記載の上着の胸ポケット。
【請求項3】
前記ポケット内壁の上端高さは、前記ポケット外壁上端より低くい高さにした請求項2記載の上着の胸ポケット。
【請求項1】
衣類に設けられたポケットの内、上着の胸部外側に設けられる上方が開口したポケットで、そのポケット底辺から一定の高さ間のポケット下方部は宙吊り形状をなし、該宙吊り状態のポケット下方部を前後にスイング自在にする構造とした上着の胸ポケット。
【請求項2】
前記上着の胸ポケットは、上着本体側のポケット内壁と、その内壁に相対するポケット外壁からなり、前記ポケット内壁とポケット外壁の左右両端の高さ間の内、ポケット上部となるポケット上端から下方の一定の高さ間と、前記ポケット内壁の上端横幅間を上着本体に固着して取り付けた請求項1記載の上着の胸ポケット。
【請求項3】
前記ポケット内壁の上端高さは、前記ポケット外壁上端より低くい高さにした請求項2記載の上着の胸ポケット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−214802(P2008−214802A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53577(P2007−53577)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(599028423)有限会社朝日設計工業 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(599028423)有限会社朝日設計工業 (14)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]