説明

上部装置の格納方法

【課題】上部装置をベースマシンに格納するときに、上部装置及びベースマシンの損傷を防ぐことができるとともに、作業の効率及び安全性を向上させることができる上部装置の格納方法を提供することを課題とする。
【解決手段】上部装置30の格納方法であって、上部装置30の上端部31(一端)及び下端部32(他端)が水平になるように、上部装置30を地面上に配置する段階と、上部装置30の下端部32側に引き込み用ワイヤ50(引き込み用索条)を取り付ける段階と、引き込み用ワイヤ50の先端部を、オーガ用ワイヤW1(昇降用索条)に引っ掛けて、オーガ用ワイヤW1(昇降用索条)を上部装置30の下端部32側に引き込む段階と、上部装置30を水平状態に保ちながら吊り上げる段階と、上部装置30を移動式クレーン10(ベースマシン)の積載スペース13に載置する段階とを含むことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アースオーガや打撃ハンマ等の杭施工手段の昇降を案内するリーダと、ベースマシンに設けられたアームとの間に介設される上部装置を、ベースマシンに格納するための格納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤に杭を埋設したり、地盤に埋設された杭を引き抜いたりするための杭施工装置としては、移動式クレーン(ベースマシン)のアームの先端部に、上部装置を介して柱状のリーダを取り付け、地面に立設させたリーダに沿って杭施工手段を昇降させる構成がある。
【0003】
上部装置は、上端部(一端)がアームの先端部に取り付けられるとともに、下端部(他端)にリーダの上端部が取り付けられており、下端部が上端部に対して横回転可能となっているため、上部装置の下端部に取り付けられたリーダを横回転させることができる。
また、上部装置の上端部には、アームの先端部から昇降用ワイヤが掛け渡されており、アームの先端部から上部装置を吊り下げることができる。
【0004】
このような杭施工装置を移動させるときには、上部装置からリーダを取り外すとともに、上部装置をアームの先端部から取り外し、アームの先端部から吊り下げた上部装置を、移動式クレーンの車体前部の積載スペースに移送して載置する。そして、上部装置を積載した状態で移動式クレーンを走行させている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
なお、リーダは、上下方向に連結された複数のリーダによって構成されており、上端部を構成する基本リーダと、基本リーダの下方に連結される複数の分割リーダとから構成されている。そして、上部装置からリーダを取り外すときには、上部装置の下端部に基本リーダを取り付けておくことによって、杭施工装置の移動後に分割リーダを容易に組み付けることができる。
【0006】
【特許文献1】特許第3612099号公報(段落0019、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した杭施工装置では、上部装置を格納するときに、上部装置の上端部に掛け渡された昇降用ワイヤによって、アームの先端部から上部装置を吊り下げており、上部装置を移動式クレーンの積載スペースまで移送するときに、上部装置の下端側が振れ易くなっている。そのため、上部装置を格納するときに、上部装置と移動式クレーンが接触して損傷し易くなっている。
【0008】
また、上部装置を積載スペースの上方まで移送した後に、上部装置と移動式クレーンとをアーム部材によって連結して、上部装置の振れを防いだ状態で、上部装置を積載スペースに載置する方法があるが、移動式クレーン上の狭いスペースでアーム部材を取り付ける必要があり、作業が煩雑になってしまうという問題がある。
【0009】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、上部装置をベースマシンに格納するときに、上部装置及びベースマシンの損傷を防ぐことができるとともに、作業の効率及び安全性を向上させることができる上部装置の格納方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、一端にベースマシンのアームの先端部が取り付け可能であるとともに、他端に杭施工手段の昇降を案内するためのリーダを取り付け可能な上部装置の格納方法であって、上部装置の一端には、アームの先端部から昇降用索条が掛け渡されており、上部装置をアームから取り外し、上部装置の一端及び他端が水平になるように、上部装置を地面上に配置する段階と、上部装置の他端側に引き込み用索条の基部を取り付ける段階と、引き込み用索条の先端部を、昇降用索条に引っ掛けて、昇降用索条を上部装置の他端側に引き込む段階と、昇降用索条を巻き上げて、上部装置の一端と他端とを水平状態に保ちながら、上部装置を吊り上げる段階と、アームを駆動させるとともに、昇降用索条を繰り出して、上部装置をベースマシンの積載スペースに載置する段階と、を含むことを特徴としている。
【0011】
このように、上部装置の一端及び他端が水平になるように配置し、アームから上部装置の一端に掛け渡された昇降用索条を、上部装置の他端側に取り付けられた引き込み用索条によって、上部装置の他端側に引き込むことにより、昇降用索条による鉛直方向への引き上げ力の作用点を、上部装置の重心位置の上方に移動させることができる。これにより、上部装置の一端と他端とを水平状態に保ちながら、上部装置を吊り上げることができるため、上部装置を安定した状態でベースマシンの積載スペースに移送して載置することができ、上部装置とベースマシンの接触を防ぐことができる。
【0012】
また、吊り上げた上部装置が安定するため、積載スペースの上方に移送した上部装置をアーム部材等によってベースマシンに連結して、上部装置の振れを防ぐ必要がなくなる。これにより、ベースマシン上の狭いスペースで煩雑な作業を行う必要がなくなるため、上部装置をベースマシンに格納するときの作業効率及び安全性を向上させることができる。
【0013】
前記した上部装置の格納方法において、引き込み用索条の先端部には、引き込み用滑車が設けられており、引き込み用滑車を昇降用索条に引っ掛けることにより、昇降用索条を上部装置の他端側に引き込むように構成することができる。
【0014】
このように、引き込み用索条の先端部に設けられた引き込み用滑車を、昇降用索条に引っ掛けて、昇降用索条を上部装置の他端側に引き込んだ場合には、昇降用索条を巻き上げたときに、引き込み用滑車が昇降用索条上をスライドして、上部装置の重心位置の上方に移動することになる。これにより、昇降用索条による鉛直方向への引き上げ力の作用点を、上部装置の重心位置の上方に移動し易くなるため、作業効率を向上させることができる。
【0015】
前記した上部装置の格納方法において、ベースマシンは、車体前部に積載スペースが設けられているとともに、積載スペースと車幅方向に並設して、車体前部に運転室が設けられており、車体後部に取り付けられたアームが車体前部の上方を通過するように配置され、上部装置を積載スペースに載置するときには、運転室側が上方となるように、車体全体を車幅方向に傾斜させるように構成することができる。
【0016】
このように、積載スペースと車幅方向に並設して車体前部に運転室が設けられているベースマシンにおいて、運転室側が上方となるように、車体全体を車幅方向に傾斜させた場合には、アームは積載スペース側に傾くことになり、アームの先端部から吊り下げられた上部装置が積載スペース側に寄ることになるため、上部装置を積載スペースに載置するときに、上部装置と運転室の接触を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上部装置の格納方法によれば、上部装置の一端と他端とを水平状態に保ちながら吊り上げて、ベースマシンの積載スペースに載置することができる。これにより、上部装置を安定した状態で移送することができるため、上部装置とベースマシンの接触を防ぐことができ、上部装置及びベースマシンの損傷を防ぐことができる。
また、積載スペースの上方に移送した上部装置の振れを防ぐために、上部装置をアーム部材等によってベースマシンに連結する必要がなくなり、ベースマシン上の狭いスペースで煩雑な作業を行う必要がなくなるため、上部装置をベースマシンに格納するときの作業効率及び安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本実施形態の杭施工装置について説明した後に、その杭施工装置に設けられた上部装置の格納方法について説明する。
なお、以下の説明において、前後方向とは、図1に示す前後方向に対応しており、左右方向とは、図2に示す左右方向に対応している。
【0019】
[杭施工装置の構成]
本実施形態の杭施工装置について説明する。
図1は、本実施形態の杭施工装置を示した側面図である。図2は、本実施形態の杭施工装置における移動式クレーンの車体前部を示した平面図である。
本実施形態の杭施工装置1は、図1に示すように、上下方向に傾動自在であるとともに長手方向に伸縮自在なアーム11を有する移動式クレーン10(特許請求の範囲における「ベースマシン」)と、アーム11の先端部11aに上端部が支持されることにより、地面上に立設された柱状のリーダ20とを備え、アーム11の先端部11aとリーダ20の上端部とが上部装置30を介して連結されている。そして、杭施工手段であるアースオーガ及び打撃ハンマ(図示せず)が、リーダ20に沿って昇降するように構成されている。
【0020】
(移動式クレーンの構成)
移動式クレーン10は、図1及び図2に示すように、アーム11を有する既存のラフタークレーンである。アーム11の基部は、車体後部12bにおいて車幅方向の中央に取り付けられている。このアーム11は、車体後部12bから車体前部12aの上方を通過して、その先端部11aが車体前部12aよりも前方に配置されている。
【0021】
車体前部12aの上面の中央から左側に亘っては、上部装置30を積載するための積載スペース13が設けられており、積載スペース13と車幅方向に並設して、車体前部12aの上面の右側には運転室14が設けられている。
【0022】
この移動式クレーン10は、車体上部12cと車体下部12dとに分割されており、車体下部12dに設けられた四輪のタイヤ15・・・によって走行可能となっている。また、杭を施工するときには、車体下部12dの四隅に設けられた四基のアウトリガ16・・・を延長して地面に押し当てることにより、移動式クレーン10を安定させることができる。なお、アーム11や運転室14が取り付けられている車体上部12cは、車体下部12dに対して横回転可能となっている。
【0023】
また、車体上部12cには、アースオーガを昇降させるためのオーガ用ワイヤ(特許請求の範囲における「昇降用索条」、図示せず)と、打撃ハンマを昇降させるためのハンマ用ワイヤ(図示せず)と、杭を吊り上げるための杭用ワイヤ(図示せず)とを巻き上げ及び繰り出すための巻上機(図示せず)が設けられている。なお、各ワイヤはアーム11の先端部11aから吊り下げられた状態となっている。
【0024】
(リーダの構成)
リーダ20は、図1に示すように、柱状の部材であり、横断面が矩形となっている。また、リーダ20の四隅には高さ方向に沿って円柱形状のガイド部材21a,22aが取り付けられている。このガイド部材21a,22aには、アースオーガ及び打撃ハンマ(図示せず)がスライド可能に取り付けられる。
また、リーダ20は、上下方向に連結された複数のリーダ21,22によって構成されており、上端部を構成する基本リーダ21と、基本リーダ21の下方に連結されている複数の分割リーダ22・・・とから構成されている。
【0025】
(上部装置の構成)
上部装置30は、図1に示すように、アーム11にリーダ20を取り付けるための部材であり、アーム11の先端部11aと、リーダ20の上端部との間に介設されている。
この上部装置30は、左右方向に幅広となっており、上端部31(一端)がリーダステー40を介してアーム11の先端部11aに取り付けられている。一方、上部装置30の下端部32(他端)には、リーダ20の上端部が取り付けられている。
また、上部装置30では、下端部32が上端部31に対して横回転可能となっており、下端部32に取り付けられたリーダ20を横回転させることができる。
なお、上部装置30の上端部31には、三体の滑車が左右方向に並設されており、アーム11の先端部11aからオーガ用ワイヤ、ハンマ用ワイヤ及び杭用ワイヤ(図示せず)が掛け渡されている(図8参照)。
【0026】
[上部装置の格納方法]
次に、図1に示す杭施工装置1において、上部装置30を移動式クレーン10の積載スペース13に格納する方法について説明する。
図3は、本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、(a)は上部装置から分割リーダを取り外した状態の側面図、(b)は上部装置を横回転させた状態の側面図である。図4は、本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、(a)は上部装置を傾倒させた状態の側面図、(b)はオーガ用ワイヤに引き込み用ワイヤを引っ掛けた状態の側面図である。図5は、本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、上部装置を吊り上げて移送する態様の側面図である。図6は、本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、(a)は車体を車幅方向に傾ける前の概略正面図、(b)は車体を車幅方向に傾けた後の概略正面図である。図7は、本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、上部装置を積載スペースに載置した状態の側面図である。図8は、本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、上部装置を移動式クレーンに格納した状態の平面図である。図9は、本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、上部装置を移動式クレーンに格納した状態の側面図である。
【0027】
まず、図1に示す杭施工装置1の上部装置30から各分割リーダ22・・・を取り外し、図3(a)に示すように、上部装置30の下端部32に基本リーダ21のみが取り付けられた状態にする。また、基本リーダ21の下部にガイド枠材21bを外嵌させ、このガイド枠材21bにオーガ用ワイヤW1を固定する(図3(b)参照)。
また、上部装置30をリーダステー40から取り外し、アーム11の先端部11aから上部装置30を吊り下げる。そして、基本リーダ21の下端面を地面に接地させて、上部装置30を地面に立設させるとともに、ハンマ用ワイヤW2及び杭用ワイヤW3は少し引き出した状態にする。このとき、上部装置30は、アーム11の先端部11aに取り付けられていたときの向き、すなわち、左右方向に幅広な状態で地面に立設している。
【0028】
続いて、図3(b)に示すように、上部装置30が前後方向に幅広となるように、上部装置30全体を90度横回転させて向きを変える。そして、アーム11を横回転させるとともに、オーガ用ワイヤW1を繰り出す。これにより、上部装置30は、図4(a)に示すように、上部装置30の上端部(一端)及び下端部32(他端)が水平になるように傾倒して地面上に配置される。なお、図3(b)の状態からアーム11を横回転させて上部装置30を傾倒させた場合には、上部装置30の上端部31及び下端部32が左右方向に並ぶことになるが、図4(a)では、作業状況を分かり易くするために、上部装置30の上端部31及び下端部32が前後方向に並んだ状態で示している。
【0029】
また、図4(b)に示すように、上部装置30の下端部32(他端)に取り付けられている基本リーダ21に外嵌されたガイド枠材21bの引き込み用ブラケット21cに、引き込み用ワイヤ50(特許請求の範囲における「引き込み用索条」)の基部を取り付ける。これにより、上部装置30の下端部32側(他端側)に引き込み用ワイヤ50の基部が取り付けられた状態となる。
【0030】
ここで、引き込み用ワイヤ50は、基部がガイド枠材21bに取り付けられた状態で、上部装置30の前後方向に配置したときに、その先端部が上部装置30の重心位置よりも上端部31側に配置されるように長さが設定されている。
また、引き込み用ワイヤ50の先端部には、引き込み用滑車51bが設けられている。具体的には、引き込み用ワイヤ50のワイヤ本体50aの先端部に形成された輪に、既存のフックブロック51のフック51aが引っ掛けられており、このフックブロック51に引き込み用滑車51bが設けられている。
【0031】
そして、引き込み用ワイヤ50の先端部に設けられた引き込み用滑車51bを、オーガ用ワイヤW1に引っ掛けることにより、オーガ用ワイヤW1を上部装置30の下端部32側(他端側)に引き込む。なお、ハンマ用ワイヤW2及び杭用ワイヤW3は、大きく引き出しておく。
【0032】
続いて、図5に示すように、オーガ用ワイヤW1を繰り出しながら、アーム11を上方に向かって傾動させて、上部装置30を吊り上げる。このとき、上方に引き上げられたオーガ用ワイヤW1上を引き込み用滑車51bがスライドして、上部装置30の重心位置の上方に移動することになる。これにより、オーガ用ワイヤW1による鉛直方向の引き上げ力の作用点が、上部装置30の重心位置の上方に調整されることになる。したがって、上部装置30の上端部31(一端)と下端部32(他端)とを水平状態に保ちながら、上部装置30を吊り上げることができる。
【0033】
このようにして、上部装置30を移動式クレーン10の積載スペース13の上方まで移送する。このとき、図6(a)に示すように、左右方向に水平状態の移動式クレーン10を、図6(b)に示すように、運転室14側が上方となるように、車体全体を車幅方向に傾斜させる。これにより、アーム11が積載スペース13側に傾くことになり、アーム11の先端部11aから吊り下げられた上部装置30が積載スペース13側に寄ることになる。
【0034】
そして、上部装置30を積載スペース13の上方に配置した後に、図7及び図8に示すように、オーガ用ワイヤW1を繰り出し、上部装置30を下降させて積載スペース13に載置して固定する。その後、図9に示すように、アーム11を下方に向かって傾動させるとともに、オーガ用ワイヤW1を巻き上げて緊張させ、さらに、ハンマ用ワイヤW2及び杭用ワイヤW3を巻き上げて緊張させて、上部装置30の格納を完了する。
【0035】
[上部装置の格納方法の作用効果]
以上のような上部装置30の格納方法では、次のような作用効果を奏する。
本実施形態における上部装置30の格納方法では、図5に示すように、上部装置30の上端部31と下端部32とが水平になるように地面に配置し、アーム11から上部装置30の上端部31に掛け渡されたオーガ用ワイヤW1を、上部装置30の下端部32側に取り付けられた引き込み用ワイヤ50によって、上部装置30の下端部32側に引き込むことにより、オーガ用ワイヤW1による鉛直方向への引き上げ力の作用点を上部装置30の重心位置の上方に移動させることができる。これにより、上部装置30の上端部31と下端部32とを水平状態に保ちながら、上部装置30を吊り上げることができるため、上部装置30を安定した状態で移動式クレーン10の積載スペース13に移送して載置することができる。したがって、上部装置30と移動式クレーン10との接触を防ぐことができ、上部装置30及び移動式クレーン10の損傷を防ぐことができる。
【0036】
また、吊り上げた上部装置30が安定するため、上部装置30を移動式クレーン10の積載スペース13に載置するときに、上部装置30をアーム部材等によって移動式クレーン10に連結して、上部装置30の振れを防ぐ必要がなくなる。これにより、移動式クレーン10上の狭いスペースで煩雑な作業を行う必要がなくなるため、上部装置30を移動式クレーン10に格納するときの作業効率及び安全性を向上させることができる。
【0037】
また、引き込み用ワイヤ50の先端部に設けられた引き込み用滑車51bを、オーガ用ワイヤW1に引っ掛けて、オーガ用ワイヤW1を上部装置30の下端部32側に引き込んでいるため、オーガ用ワイヤW1を巻き上げたときに、引き込み用滑車51bがオーガ用ワイヤW1上をスライドして、上部装置30の重心位置の上方に移動することになる。これにより、オーガ用ワイヤW1による引き上げ力の作用点を、上部装置30の重心位置の上方に移動し易くなるため、作業効率を向上させることができる。
【0038】
また、図6(b)に示すように、上部装置30を積載スペース13に載置するときに、運転室14側が上方となるように、車体全体を車幅方向に傾斜させることにより、アーム11が積載スペース13側に傾くことになり、アーム11の先端部11aから吊り下げられた上部装置30が積載スペース13側に寄ることになるため、上部装置30と運転室14の接触を防ぐことができる。
【0039】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、図4(b)に示すように、引き込み用ワイヤ50の先端部に、フックブロック51を設け、このフックブロック51の引き込み用滑車51bをオーガ用ワイヤW1に引っ掛けているが、引き込み用ワイヤ50の先端部にシャックルやフックを設けて、オーガ用ワイヤW1に引っ掛けるように構成してもよい。さらには、引き込み用ワイヤ50のワイヤ本体50aをオーガ用ワイヤW1に直接取り付けるように構成することもできる。
【0040】
また、本実施形態では、図5に示すように、アースオーガを昇降させるためのオーガ用ワイヤW1によって、上部装置30を吊り上げているが、ハンマ用ワイヤW2や、杭用ワイヤW3を用いて上部装置30を吊り上げるように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態の杭施工装置を示した側面図である。
【図2】本実施形態の杭施工装置における移動式クレーンの車体前部を示した平面図である。
【図3】本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、(a)は上部装置から分割リーダを取り外した状態の側面図、(b)は上部装置を横回転させた状態の側面図である。
【図4】本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、(a)は上部装置を傾倒させた状態の側面図、(b)はオーガ用ワイヤに引き込み用ワイヤを引っ掛けた状態の側面図である。
【図5】本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、上部装置を吊り上げて移送する態様の側面図である。
【図6】本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、(a)は車体を車幅方向に傾ける前の概略正面図、(b)は車体を車幅方向に傾けた後の概略正面図である。
【図7】本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、上部装置を積載スペースに載置した状態の側面図である。
【図8】本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、上部装置を移動式クレーンに格納した状態の平面図である。
【図9】本実施形態における上部装置の格納方法を示した図で、上部装置を移動式クレーンに格納した状態の側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 杭施工装置
10 移動式クレーン
11 アーム
13 積載スペース
20 リーダ
21 基本リーダ
22 分割リーダ
30 上部装置
40 リーダステー
50 引き込み用ワイヤ
51 フックブラケット
51b 引き込み用滑車
W1 オーガ用ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にベースマシンのアームの先端部が取り付け可能であるとともに、他端に杭施工手段の昇降を案内するためのリーダを取り付け可能な上部装置の格納方法であって、
前記上部装置の一端には、前記アームの先端部から昇降用索条が掛け渡されており、
前記上部装置を前記アームから取り外し、前記上部装置の一端及び他端が水平になるように、前記上部装置を地面上に配置する段階と、
前記上部装置の他端側に引き込み用索条の基部を取り付ける段階と、
前記引き込み用索条の先端部を、前記昇降用索条に引っ掛けて、前記昇降用索条を前記上部装置の他端側に引き込む段階と、
前記昇降用索条を巻き上げて、前記上部装置の一端と他端とを水平状態に保ちながら、前記上部装置を吊り上げる段階と、
前記アームを駆動させるとともに、前記昇降用索条を繰り出して、前記上部装置を前記ベースマシンの積載スペースに載置する段階と、
を含むことを特徴とする上部装置の格納方法。
【請求項2】
前記引き込み用索条の先端部には、引き込み用滑車が設けられており、前記引き込み用滑車を前記昇降用索条に引っ掛けることにより、前記昇降用索条を前記上部装置の他端側に引き込むことを特徴とする請求項1に記載の上部装置の格納方法。
【請求項3】
前記ベースマシンは、車体前部に前記積載スペースが設けられているとともに、前記積載スペースと車幅方向に並設して、前記車体前部に運転室が設けられており、車体後部に取り付けられた前記アームが前記車体前部の上方を通過するように配置され、
前記上部装置を前記積載スペースに載置するときには、前記運転室側が上方となるように、車体全体を車幅方向に傾斜させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の上部装置の格納方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−198088(P2007−198088A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20874(P2006−20874)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(391033182)アボロンシステム株式会社 (18)
【Fターム(参考)】