説明

下地媒体を操作するための画像固定

【課題】トナーを用いるマーキング装置内で下地媒体を搬送する装置及び方法を開示する。
【解決手段】この装置は、第1のロール10及び下地媒体を搬送する第2のロール20を含む。第1のロールはトナーに圧力をくわえる。第1のロールにより圧力が加えられると、トナーは下地媒体に部分的に定着する。下地媒体が第2のロールを通過するに従って第2のロールは、続いて押し付けられたトナーと係合する。第1のロール及び第2のロールは下地媒体の処理搬送方向に互いに離れて配置される。この方法は、第1のロールにより下地媒体上の未定着トナーに圧力を加える工程を含む。続いてこの方法により、下地媒体を搬送するために押し付けられたトナーを第2のロールに係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで開示される技術は、トナーを用いるプリントシステム等のマーキング装置内で下地媒体を搬送する装置及び方法に関する。本明細書に記載されている装置及び方法は、定着前の一連の搬送のために冷間圧力を用いて定着していないトナーを下地媒体に部分的に固定させる。
【背景技術】
【0002】
乾式複写法の処理において、トナー等のマーキング材料は、一般に下地媒体のシートに転写されてから、定着システムに送られて下地媒体に恒久的に固定される。トナー粒子が下地媒体上に固定(一般的に定着と呼ばれる)されるためには、定着の前で、下地媒体の上のトナーに触れないで、そのままにしておくことが必要である。
従って、トナー画像への好ましくない接触を避けるために、下地媒体のシートは、トナーを受け取ると速やかに非常に短い媒体経路を通り定着器へ送られる。
【0003】
紙などの下地媒体のシートの上にトナーを定着させるために、乾式複写方式のプリンタには、一般に定着器と呼ばれる装置が組み込まれている。定着器は様々な形態をとることができるが、現時点では熱又は熱と圧力の組合せを用いた定着器が最も一般的である。熱定着ロールを隣接する圧力ロールと組合せて用いる方法が、このような組合せ定着器の一例である。一般に、組合せロールは互いに定着ニップを形成し、10psiから200psiの間の圧力を加え、トナーを載せた紙がその中を通過する。トナーは熱により少なくとも部分的に溶解され、圧力により紙に固定させられる。熱定着では、室温度より高い温度が要求され、それは175℃の高温に達する。この温度範囲の下限では一般に、熱と共により高い圧力を加えなければならない。
【0004】
その他の定着技術として冷間圧力定着が知られている。冷間定着では、主に圧力によりトナーが下地に固定する。つまり冷間圧力定着では、2つ中実ロールの間でトナーを載せた下地シートに強く圧力を加える。冷間圧力定着では、2つのロールの間に圧力を必要とするが、室温又はそれに近い温度である10℃から65℃の間で行うことができる。その一方で、別の形態の定着では、熱を生成するために非常に高いレベルのエネルギを必要とする。従来の冷間圧力定着システムでは、トナーを下地媒体に恒久的に定着させるために比較的高いレベルの圧力を用いるが、処理に関するエネルギ及び/又はコストは、別の定着技術で必要とするエネルギやコストより大幅に少ない。しかし、従来の冷間圧力定着システムは油汚れや、意図せぬテカリがひどく、画像解像度又は質に悪影響を及ぼすことでも知られている。
【0005】
図8には、強固に統括された平行処理(TIPP)組立体800が示される。そこでは各マーキングエンジンMEによりトナーが下地媒体のシートの上に載せられ、速やかに下地媒体のシートに定着される。図示する通り、個々の組立体802、804、806、808はそれぞれ独自のマーキングエンジンMEを含む。個々のマーキングエンジンMEは、内部熱定着器80に直に繋がっている非常に短い媒体経路を含む。このように、その平行処理を実現するために最初のシート給紙装置7から最後のシート仕上げ装置9の間、組立体800全体には、高エネルギを消費する熱定着装置80が複数含まれている。個々の熱定着器80が設置される理由の1つには、大きな組立体800内の長いシート経路2に沿って、多数の処理センサー810及びロール820を通過して搬送される画像に対する不安を解消すことである。しかし、このような熱定着器80は、200℃に達する高温で動作し得る。従って、このような高エネルギの熱定着器80はエネルギ消費するだけでなく、それらに関する維持コストもかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、効率がよく安価で従来技術の短所を克服する、トナーを用いるマーキング装置内で下地媒体を扱う装置及び方法が所望される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載の様態によると、トナーを用いるマーキング装置内で下地媒体を搬送する装置を開示する。この装置は、トナーを下地媒体に押し付ける第1のロールを含む。第1のロールはトナーに圧力を加え、これにより、トナーは下地媒体に部分的に定着する。装置は、下地媒体を搬送する第2のロールも含む。第2のロールは、下地媒体がこの第2のロールを通過するとき、押し付けられたトナーと係合する。第1のロール及び第2のロールは、下地媒体の処理搬送方向に互いに離れて配置される。
【0008】
本明細書に記載される別の様態によると、第1のロールは第1のロールから突き出たトナー係合面を含むことができる。トナー係合面は、トナーと直接係合して圧力を加えることができる。下地媒体のクロス処理方向に対してほぼ中央にトナー係合面を位置させることができる。あるいは、第1のロールは、第1のロールから突き出た1つ以上の別々のトナー係合面を含むことができる。トナーに直接係合して圧力を加えるよう各トナー係合面を適用させることもできる。下地媒体のクロス処理方向の中央からオフセットして各トナー係合面を配置することができる。さらに、第1のロールは、対向する一組の円形の外側縁を含み、外側縁がトナーに接触する領域で下地媒体に対してトナーが乱れることを防ぐことができる。下地媒体は、第1のロールによって係合されなかった未定着の追加トナーも搬送することができる。第1のロールは5kpsiより小さい圧力をトナーにかけて固定させることができる。この装置は、第2のロールを通過した後、下地媒体を受け取る熱定着装置も含むこともできる。この熱定着装置によりトナーを下地媒体に実質的に定着させることができる。
【0009】
本明細書に記載される別の様態によると、第1のステーション及び第2のステーションを含む装置を開示する。第1のステーションは第1の固定ロール及び第1の搬送ロールを含む。第1の固定ロールは下地媒体上の第1のトナーに圧力を加え、これにより第1のトナーは下地媒体に部分的に定着する。下地媒体が第1の固定ロールに続いて第1の搬送ロールを通過するとき、第1の搬送ロールは押し付けられた第1のトナーと係合する。第2のステーションは第2の固定ロール及び第2の搬送ロールを含む。第2の固定ロールは、下地媒体上の第2のトナーに圧力を加え、これにより第2のトナーは下地媒体に部分的に定着する。下地媒体第2の搬送ロールを通過するとき、第2の搬送ロールは押し付けられた第2のトナーと係合する。第1のステーションと第2のステーションは下地媒体の処理搬送方向に互いに離れて配置される。この装置は、下地媒体が第1のステーションと第2のステーションを通過した後に第1のトナーと第2のトナーに熱を加える定着器も含む。
【0010】
本明細書に記載される別の様態によると、第1の固定ロール及び第2の固定ロールは、それぞれ各ロールから突き出たトナー係合面を含む。各トナー係合面は、トナーに直接係合して圧力を加えることができる。トナー係合面を下地媒体のクロス処理方向に対してほぼ中央に位置させることができる。第1の固定ロール及び第2の固定ロールは、それぞれ各ロールから突き出た、1つ以上の別々のトナー係合面を含むことができる。トナーに直接係合して圧力を加えるよう各トナー係合面を適用させることができる。トナー係合面を下地媒体のクロス処理方向に中央からオフセットさせて配置することができる。さらに、下地媒体は、第1の固定ロール及び第2の固定ロールのうちの少なくとも一方にと係合しない、未定着の追加トナーを搬送することができる。また第1の固定ロールは5kpsiより小さい圧力をトナーにかけることができる。
【0011】
本明細書に記載される別の様態によると、第1のステーション、第2のステーション及び単一の定着器を含む装置を開示する。第1のステーションは、第1の固定ロール及び第1の搬送ロールを含む。第1の固定ロールは、下地媒体上の第1のトナーに圧力を加え、これにより第1のトナーは下地媒体に部分的に定着する。下地媒体が第1の固定ロールに続いて第1の搬送ロールを通過するとき、第1の搬送ロールは、押し付けられた第1のトナーと係合する。第2のステーションは、第2の固定ロール及び第2の搬送ロールを含む。第2の固定ロールは、下地媒体上の第2のトナーに圧力を加え、これにより第2のトナーは下地媒体に部分的に定着する。下地媒体が第2の搬送ロールを通過するとき、第2の搬送ロールは、押し付けられた第2のトナーと係合する。第1のステーション及び第2のステーションは、下地媒体の処理搬送方向に互いに離れて配置され、第1の下地媒体と第2の下地媒体を同時に処理するよう適用されている。続いて定着器が、第1のトナーと第2のトナーに別々に熱を加える。それぞれの熱のアプリケーションが、定着第1のトナーを第1の下地媒体に定着させ、第2のトナーを第2の下地媒体に定着させる。
【0012】
本明細書に記載される別の様態によると、第1のステーションの固定ロールは第1のステーションの固定ロールから突き出たトナー係合面を含むことができる。トナー係合面は、第1のトナーに直接係合して圧力を加える。またトナー係合面を第1の下地媒体のクロス処理方向に対してほぼ中央に位置させることができる。第1のステーションの固定ロールは第1の固定ロールから突き出た、1つ以上の別々のトナー係合面を含むことができる。各トナー係合面は、第1のトナーに直接係合して圧力を加えるよう適用させることができる。さらに、各トナー係合面を第1の下地媒体のクロス処理方向に中央からオフセットさせて配置することができる。また第1の下地媒体は、第1のステーションの固定ロールにより係合されなかった未定着の追加トナーを搬送することができる。そしてさらに、第1のステーションの固定ロールは、5kpsiより小さい圧力を第1のトナーに加えることができる。
【0013】
本明細書に記載されている別の様態によると、マーキング装置内で下地媒体を搬送する方法を開示する。この方法は、第1のロールを用いて下地媒体上の未定着トナーに圧力を加える工程を含む。圧力を加えた後、トナーは下地媒体に部分的に定着する。この方法は、第1のロールから、離れた第2のロールに処理方向に向かって下地媒体を搬送する工程も含む。下地媒体は、第2のロールを用いて搬送され、第2のロールは、押し付けられたトナーに係合する。第1のロールを、クロス処理方向に対して下地媒体のほぼ中央領域に配置させることができる。あるいは、第1のロールを、下地媒体に対してクロス処理方向で下地媒体の中央からオフセットさせて配置させることができる。
【0014】
開示される技術の上記又はその他の様態、目的、特徴、及び長所は、添付図面と関連してその例示の実施形態をより詳細に説明することで理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】開示される技術の様態による、下地媒体シートが入り込むところを示した冷間圧力定着ニップ組立体の概略正面図である。
【図2】開示される技術の別の様態による、冷間圧力定着ニップ組立体の概略正面図である。
【図3】ニップ組立体が下地媒体と係合した状態を示す、図1の冷間圧力定着のニップ組立体の概略側面図である。
【図4】開示される技術の別の様態による、共有の定着装置と連結した複数の画像マーキング装置を含む媒体搬送組立体の概略側面図である。
【図5】開示される技術の別の様態による、複数の冷間圧力定着のサブ組立体を含むモジュール式の重ね刷り構成の概略側面図である。
【図6】開示される技術の様態による、冷間圧力定着ニップ組立体を含む内蔵型モジュール式プリント組立体の概略側面図である。
【図7】開示される技術の様態による、マーキング装置内で下地媒体を搬送する方法のフローチャートである。
【図8】それぞれ独自の熱定着サブ組立体を備えた複数のマーキングエンジンを含む従来のシステムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に上記に簡単に説明した図面を参照して、例示的な実施形態をより詳しく説明する。開示される技術では、1つ以上の定着ロールを用いて、下地媒体上の未定着トナーの少なくとも一部に圧力を加え、部分的に定着させる。比較的低い圧力の冷間圧力定着ロールを用いて媒体の搬送を向上させ、画像形成システム全体で必要とされる高エネルギの定着装置の数を削減し、そのようなシステム内の媒体搬送経路の柔軟な設計を可能にする。
【0017】
本明細書で使用される用語「媒体搬送組立体」は、下地媒体を搬送及び/又は搬送する1つ以上の装置のことを指し、給紙、マーキング、プリント、仕上げ、重ね合わせ、及び搬送システムを含む。
【0018】
本明細書で使用される「マーキング装置」、「プリンタ」、「プリント組立体」、又は「プリントシステム」という用語は、「プリントアウト」を生成する1つ以上の装置又はあらゆる目的で「下地媒体」上に情報を再生するプリントアウト機能のことを指す。本明細書で使用される「マーキング装置」、「プリンタ」、「プリント組立体」、又は「プリントシステム」は、デジタル複写機、製本機、ファクシミリ、複合機等のあらゆる目的でプリントアウト機能を実行する全ての装置を包含する。
【0019】
特定のマーキング装置には、プリンタ、プリント組立体、又はプリントシステムが含まれ、これらは「静電写真方式」、「乾式複写処理」、又はジェットインク方式、液体インク方式、個体インク方式等の、プリントアウトを生成するためその他の好適な方式を用いてプリントアウトを生成する。「静電写真方式」とは、帯電したパターンを用いて画像を下地に形成して情報を記録・再生する方式を指し、「乾式複写処理」とは、帯電したプレート上の樹脂粉末を用いることにより、情報を記録・再生する方式を指す。また、プリントシステムは、モノクロ又はカラー画像のデータをプリント及び/又は搬送することができる。
【0020】
本明細書で使用される「下地媒体」とは、例えば、その上に情報を再生できる紙、スライドフィルム、羊皮紙、フィルム、布、プラスチック、感光紙又はその他の被覆下地又は非被覆下地のことを指し、シート又はロールの形態であることが好ましい。本明細書ではシート又は紙に対して特定な指示がされているが、シートの形態をとるあらゆる下地媒体も結局、好適なそれらの同等品であることは言うまでもない。また、下地媒体の「先端」とは、処理方向に対して最も下流となるシートの端のことを指す。
【0021】
本明細書で使用される「トナー」とは、乾式複写方式において感光材に付着する静電マーキング粒子のことを指す。トナー粒子は、一般にプラスチック、高分子化合物、炭素系物質及び/又は別の類似物質から形成される。粒子は一般に3μから40μの間の直径を有し、下地の上の画像を現像するために用いられる。
【0022】
本明細書で使用される「定着器」及び「定着」とは、1種類以上のエネルギを加えてトナー等のマーキング材料を下地媒体に実用又は商用に実質的耐えうるように恒久的に付着させる工程のことを指す。これにはトナーを下地の上で溶解させ、溶解したトナーを下地に押し付けることでトナーを下地に定着させる方式と、加える圧力と下地の生地によりもたらされた毛細管力とを組合せて、溶解した液体化トナーに加えることで、トナーを定着させる方式とが含まれる。本明細書で使用される「部分的に定着」又は「部分的に定着させる」とは、下地に実質的に浸透させることなくトナーを下地に定着させることを指す。部分的定着工程には、そのトナーが下地へ固定する力が、従来の定着トナーの結合力よりも小さい、あらゆる工程が含まれる。
【0023】
本明細書で使用される「ロール」、「ローラ」又は「輪」とは、その縦軸の周りを回転又は再回転可能な一般に円筒形の要素のことを指す。本明細書で称されるロールは、一般にそのロールと接触又は近接する下地媒体シートと相互干渉することを目的とする。また、本明細書で使用される、「ニップ組立体」又は「複数のニップ組立体」とは、少なくとも2つの隣接する回転又は再回転し、支持構造を含む要素の組立体のことを指し、2つの隣接した回転又は再回転する要素は転写ベルト又は下地媒体の両面に両側から係合するよう適用されている。典型的なニップ組立体は、その間に挟んだ下地を進める又は搬送する2つの輪又は円筒形のロールを含む。対向する輪の一方又は両方は、駆動輪でよく、また対向する輪の一方又は両方は、フリーに回転するアイドリング輪でよく、あるいは対向する輪はその組合せでもよい。2つの輪は、共に媒体搬送組立体内の転写ベルト又はその他の下地を誘導又は搬送する。2セットより多い1対の輪のセットを水平方向に間隔をあけた構成で配置してニップ組立体を形成することができる。また本明細書では、これらの輪は、その都度ロール又はローラと呼ばれていることは言うまでもない。対向する一組の回転又は再回転する要素に下地が係合されると、その間の空間又は間隙は「ニップ」又は「ニップ間隙」と呼ばれる。
【0024】
本明細書で使用される用語「ベルト」又は「転写ベルト」とは、例えば、処理フロー方向に沿って支持された細長く可撓性を有するロールのことを指す。例えば、画像転写ベルトは、トナーの形態の画像を下地媒体に転写するために搬送することができる。その他の例としては媒体転写ベルトがあり、このベルトは、プリントシステム内の下地媒体と係合し、及び/又は下地を搬送する。これらのベルトは、連続して動作するためのプリントシステム内のループ状の連続ベルトでよい。つなり、これらのベルトは、ループの周りを循環して処理方向に移動する。これらのベルトは、下地媒体と係合し及び/又はその上の画像を、少なくともループの一部の間運ぶことができる。画像又はその一部を搬送する画像転写ベルトには、その上にトナーを蓄積可能な非伸縮性の静電又は感光体ベルトが含まれ得る。
【0025】
本明細書で使用される「処理」及び「処理方向」とは、移動、搬送、及び/又は転写ベルトにより搬送される画像又は下地媒体の搬送の処理のことを指す。この処理方向は、それに沿って媒体搬送組立体内を画像又は下地媒体が主に移動する経路Pの方向とほぼ同じである。このようなフロー経路Pを、上流から下流へのフローと呼ぶ。
【0026】
開示される技術の様態による装置及び方法は、下地媒体の経路内での乾式複写プリントの搬送に関連する。この経路内では、下地媒体が未定着トナー等のマーキング材料を搬送する。冷間圧力定着技術を使用して、下地媒体上の全て又は一部のトナーを固定することができ、これにより、トナーが完全に下地媒体に定着する前に、下地媒体のより安定した搬送が可能となる。比較的低い圧力を用いてトナーを固定させることにより、トナー画像が乱れることを避け、画質の大幅な低下を招くことなく、未定着トナーを搬送する下地媒体をより遠くに搬送し、より効率的に搬送することができる。従って、このような装置、及び関連する方法によるコスト、エネルギ消費、及び数多くの中間熱定着器の保守要求を削減することが可能となる。
【0027】
図1には、開示される技術の様態による例示的な冷間圧力定着ニップ組立体100が示されている。この組立体100は、シート5上のトナーに直接圧力を加える冷間圧力ロール10を含む。ロール10は、一般にステンレス鋼から形成でき、好適な軸シャフト15により支持されているが、特定の用途に適した他の材料を代替的に使用可能なことは言うまでもない。最新のニップ組立体と同様に、隣接する平行ロール20及びそれ支持する軸シャフト25を配置してシート5を挟んで受けられるようする。図1には、2つのロール10とロール20の間のニップ間隙に処理方向Pで入り込む下地媒体シート5が示されている。トナーは、表面前全体、又はより限定された部分を含む下地媒体5の表面上の全て領域をカバーできる。
【0028】
開示される技術の別の様態として、上部ロール10はトナー係合面30を含むことができ、特に冷間圧力定着用に設計されている。このように、冷間圧力ロール10の選択範囲で下地媒体と係合する。これにより、下地媒体により搬送されるトナーの係合をより制限することができる。冷間圧力定着面30の特定な幅Wにより、どの部分の下地媒体5が係合されるかが決定される。つまり、係合する部分の全てのトナーに冷間圧力が加えられる。幅Wは図示された比例した幅より広くても、狭くてもよいことは言うまでもない。また下地媒体上のトナー領域の横の幅よりも係合面の幅Wを広くすることが可能である。実際、下地媒体自体の横幅よりも係合面の幅Wを広くすることもできる。あるいは対照的に、係合面の幅Wは下地媒体5上のトナーの横の寸法より小さくすることもできる。このように、係合面30は、シート5の上に含まれたトナーの一部と係合するためにのみ設計されている。あるいは、その軸に沿った、ロール10の全体の幅を係合面で覆うこともできる。同様に、ロール10の全体の幅を狭くし、それにより係合領域を制限することも可能である。
【0029】
表面30とトナーの係合とは、熱処理を用いないでトナーを下地媒体に留めることを意図する。トナーを留めることで、従来の定着技術より弱く部分的に定着させる。このように、仕上がったトナー画像における応力状態や高いグロスディファレンシャルを避けるため、係合面30が加える圧力は、10kpsiより低いことが好ましく、5kpsiより低くしてもよい。但し、開示される技術の様態によると、下地媒体5に対してクロス処理方向のほぼ中央に係合面30を配置することができる。しかし、所望すれば、係合面30をクロス処理方向の中央の位置からオフセットすることも可能である。
【0030】
開示される技術の別の様態では、冷間圧力定着ロール10の係合面30として、傾斜又は円形の端35を設けている。このような傾斜又は円形の端を用いることにより、トナーをより冷間圧力でソフトに定着させることができる。従って、傾斜又は円形の端35により、下地媒体上の画像全体に形成されるトナーによる意図せぬ筋や、筋状の歪みの発生を抑える。このようなソフトに定着させる端35は、下地媒体シート5上のトナー全体の一部だけと係合する目的の係合面30にとって好都合である。
【0031】
図2には、開示される技術のさらに別の実施形態が示されており、圧力ロール10が、1つ以上の個々のトナー係合面41、42を含む。この代替案では、冷間圧力定着ニップ組立体102は、横方向に互いに離れた係合面41、42を含み、それらは下地媒体シート5の外縁及びこれらの外縁の近くの対応するトナーと係合することを目的とする。このような互いに離れた係合面41、42を、より数多く設けることができることは言うまでもない。また、個々の係合面41、42を、シートの端に合わせて配置する必要はない。つまり、係合面41、42をシートの端に対してより中央に配置することが可能である。また、上記に記述した通り、係合面の幅は図示したものよりも広くても、狭くてもよい。また、図示されている実施形態では、同じ幅の2つの係合面を含んでいるが。個々の係合面は同じ幅でなくてもよい。
【0032】
図3は、図1の組立体と類似した冷間圧力定着組立体100の側面図である。図1とは対照的に、図3では、下地媒体シート5が処理方向Pに沿って進み、上部ロール10と下部ロール20の間にシートが置かれている。さらに異なり図3では、シート5の表面上の選択部分にトナーのマーキング材料8、9を部分的に含む下地媒体が示されている。図示する通り、トナー領域9は冷間圧力定着面30により既に係合されており、したがって下地媒体5に部分的に定着している。しかし、トナー領域8は、まだ冷間圧力定着ニップを通過しておらず、トナーのマーキング材料が未定着であることを示している。従って、下地により搬送されている間、未定着トナーは少なくとも一時的に、下地上で未定着のままであり、下地にトナーを固定させる実質的な力は加えられていない。圧力を通して適用可能下地に、定着することができる好適なトナーを用いることが好ましい。これに関して一般的には、乳化重合疑集法(EA)トナーが使用されているが、冷間圧力定着に好適なあらゆるトナーを使用可能であることは言うまでもない。
【0033】
開示される技術の別の様態によると、図4は、単一の熱定着要素95を共有するTIPP乾式複写組立体400の側面図である。図8の組立体800とは対照的に、組立体400では複数の熱定着器を設ける必要がない。むしろ単一熱定着器95を設けてサブ組立体402、404、406、408で共有している。図示はしていないが、各サブ組立体402、404、406、408は冷間圧力定着ニップ組立体を含むことができる。このようにトナーを搬送する下地媒体が、媒体経路2に沿って実質的に搬送されると、部分的に定着したトナーを、より大きい組立体400内の長いシート経路2に沿って、数多くの搬送センサー410及びロール420を通過させて搬送することができる。このような低エネルギの冷間圧力定着サブ組立体(図4に図示せず)は、同じ数の個々の熱定着器に比べてコストがかからない。
【0034】
図5は、処理経路Pに沿って下地媒体のシートを搬送するための2本の静電転写ベルト200を有するモジュール式の重刷りプレス500の概略側面図である。典型的なマーキングエンジンと同様に、搬送ニップ205を用いてシートと係合し、そのシートをマーキング装置300に向かって搬送することができる。搬送及び/又は速度の変化は一般に、シートにプリントする前にスキューやその他のシートの特性を修正するために行われる。開示される技術の様態によると、冷間圧力定着ロール105で未定着トナーの一部分を留めて、次のモジュール式の重ね刷りステーションへ移動する前に、さらに下流のニップ組立体205により下地媒体を搬送可能にすることができる。
【0035】
図6には、中間転写ベルト2を含むモジュール式の重ね刷りアーキテクチャを含む単一のモジュール式マーキング装置600が示されている。個々のマルチカラーのマーキング装置300は、中間転写ベルト2上でトナーをまとめ、この中間転写ベルト2は種々のロール200、201、202、203により支持される。まとめられたトナーは処理方向Pに搬送され、給紙装置7から供給され、シート搬送経路3に沿って搬送される下地媒体シートに接するロール203に付着する。その後、開示される技術の様態に従って、冷間圧力定着組立体100をモジュール式組立体内に組み込むことができる。図4に示す実施形態と同様に、モジュール式組立体600を複数設けて、同じ熱定着ユニットを共用することが可能である。
【0036】
図7には、本明細書に記載した方法による処理フローが示される。700において、トナーは下地媒体に付着し、702で下地媒体が、冷間圧力定着ロールへ搬送される。704において、冷間圧力定着ロールが、下地媒体上のトナーの少なくとも一部に低い圧力を加える。その後、706において、下地媒体は、別の搬送ローラ706へ搬送される。搬送ローラは、1つ以上の一連の搬送ローラを含むことができる。708において、本明細書に開示された冷間圧力定着技術により、低い冷間圧力で定着されたトナーの少なくとも一部分を搬送ロールと係合することができる。また、710において、このような搬送ロールを用いて下地媒体を搬送することもできる。トナーと係合しない追加の搬送ロールを使用することもできることを理解されたい。
【0037】
上記で開示した種々の実施形態及びその他の機能及びその代替物は、好ましくはその他の個々のシステム又は用途に組み込むことができることは理解されよう。現時点では予期しない又は予測できない代替物、修正、変更、又はその改良は、将来にわたって当業者により行うことが可能であり、それらもまた開示された実施形態及び下記の請求項に包含されることを意図することを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを用いるマーキング装置内で下地媒体を搬送する装置であって、
下地媒体上のトナーを押し付ける第1のロールであって、前記第1のロールは前記トナーに圧力を加え、これにより前記下地媒体に前記トナーを部分的に定着させる第1のロールと、
前記下地媒体を搬送する第2のロールであって、前記下地媒体が前記第2のロールを通過するとき、前記部分的に定着したトナーと係合し、前記第1のロール及び前記第2のロールは、前記下地媒体の処理搬送方向に互いに離れて配置される、第2のロールと、を含む装置。
【請求項2】
前記第1のロールが、前記第1のロールから突き出たトナー係合面を含み、前記トナー係合面は前記トナーと直接係合して圧力を加え、前記トナー係合面は下地媒体のクロス処理方向に対してほぼ中央に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のロールが、1つ以上の別々の、第1のロールから突き出たトナー係合面を含み、各前記トナー係合面はトナーに直接係合して圧力を加えるよう適用し、前記各トナー係合面は下地媒体のクロス処理方向に中央からオフセットされて配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のロールが、前記トナーが外側縁に接触する領域内で前記下地媒体に対して前記トナーが乱れることを防ぐ、対向する一組の円形の外側縁を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記下地媒体が、前記第1のロールにより係合されずに未定着の追加トナーを搬送する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のロールが、5kpsiより小さい圧力を前記トナーに加える冷間圧力定着ロールである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のロールを通過した後の前記下地媒体を受け、前記部分的に定着したトナーを前記下地媒体に実質的に定着させる熱定着装置をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項8】
トナーを用いるマーキング装置内で下地媒体を搬送する装置であって、
第1の固定ロール及び第1の搬送ロールを含む第1のステーションであって、前記第1の固定ロールは下地媒体上の第1のトナーに圧力を加え、これにより前記第1のトナーは前記下地媒体に部分的に定着し、前記第1の搬送ロールは、前記下地媒体が前記第1の固定ロールに続いて前記第1の搬送ロールを通過するとき、前記第1のトナーと係合する、第1のステーションと、
第2の固定ロール及び第2の搬送ロールを含む第2のステーションであって、前記第2の固定ロールは前記下地媒体上の第2のトナーに圧力を加え、これにより、前記第2のトナーは前記下地媒体に部分的に定着し、前記第2の搬送ロールは、前記下地媒体が前記第2の搬送ロールを通過するとき、前記第2のトナーと係合し、前記第1のステーションと前記第2のステーションとは下地媒体の処理搬送方向に互いに離れて配置される、第2のステーションと、
前記下地媒体前記第1のステーション及び前記第2のステーション通過した後、前記第1のトナー及び前記第2のトナーに熱を加える定着器と、を含む装置。
【請求項9】
前記第1の固定ロール及び第2の固定ロールが、それぞれ前記各ロールから突き出たトナー係合面を含み、前記各トナー係合面が前記トナーと直接係合して圧力を加え、前記各トナー係合面は下地媒体のクロス処理方向に対してほぼ中央に位置する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の固定ロール及び前記第2の固定ロールが、それぞれ前記各ロールから突き出た、1つ以上の別々のトナー係合面を含み、前記各トナー係合面はトナーに直接係合して圧力を加えるよう適用し、前記各トナー係合面は下地媒体のクロス処理方向に中央からオフセットされて配置される、請求項8に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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