説明

下注ぎ造塊方法

【課題】粗大介在物の発生を抑制し、清浄度の優れた鋳塊を製造することができるようにする。
【解決手段】溶鋼2を注入管4を介して鋳型5に装入する下注ぎ造塊方法を行うに際し、 鋳型5内の溶鋼2に浴面を被覆するための被覆材10を添加した後、Ca12を添加する。浴面の表面積に対するCaの添加量が0.35kg/m2〜10kg/m2を満たすようにCa12を添加する。保温材中の含有量とCaとの関係を示す[%Ca]/([%Al]+3[%Fe23]+[%FeO]+2[%SiO2]+2[%MnO2]+[%S])が0.08〜0.25を満たすようにする。ただし、[%X]:保温材中X含有量(モル%)とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶鋼を注入管を介して鋳型に装入することにより鋳塊を製造する下注ぎ造塊方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶鋼を注入管を介して鋳型に装入することにより鋳塊を製造する下注ぎ造塊方法として特許文献1に示すものがある。
特許文献1では、下注ぎ法または上注法によってキルド鋼を製造するに当って、鋳込前溶鋼の温度をTL(液相開始温度)+20℃以上にするとともに、その溶鋼の注入中ないしはその直後に、溶鋼トン当り総発熱量が1800Kcal以上になる量の早期燃焼型高カロリー保温剤、ただし発熱して最高温度に達するピーク時間が3分以内のものをもって、鋳型内湯面上を被覆し、鋼塊底部の沈澱晶帯における介在物集積を、軽減抑制している。
【0003】
また、特許文献1に示すような下注ぎ造塊法ではないが介在物の群生化を防止するものとして特許文献2に開示されたものがある。
特許文献2では、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等を単独又は複合して含有する溶鋼を0.5〜30ton/分の注入速度で鋳造するに際して金属カルシウム若しくはカルシウムを含む合金粒を0.5〜2.0kg/分の供給速度で注入溶鋼流に添加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭47−026334号公報
【特許文献2】特開昭49−035232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2には、鋳塊中の介在物の集積を低減することが開示されているものの、当該技術を用いたとしても下注ぎ造塊方法にて鋳塊を製造するに際して、介在物の集積を低減することにより粗大な介在物の発生を十分に低減させるには至っていないのが実情である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、粗大介在物の発生を抑制し、清浄度の優れた鋳塊を製造することができる下注ぎ造塊方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、溶鋼を注入管を介して下方から鋳型に装入することにより鋳塊を製造する下注ぎ造塊方法を行うに際し、前記鋳型内の溶鋼に浴面を被覆するための被覆材を添加した後、保温材を添加する前又は同時にCaを添加することとし、前記浴面の表面積に対するCaの添加量が0.35kg/m2〜10kg/m2を満たすように前記Caを添加すると共に、保温材中の含有量と添加したCaとの関係を示す[%Ca]/([%Al]+3[%Fe23]+[%FeO]+2[%SiO2]+2[%MnO2]+[%S])が0.08〜0.25を満たすようにしている点にある。
【0007】
本発明の他の技術的手段は、溶鋼を注入管を介して下方から鋳型に装入することにより鋳塊を製造する下注ぎ造塊方法を行うに際し、前記鋳型内の溶鋼に浴面を被覆するための被覆材を添加した後、Caを含有する保温材を添加することとし、前記浴面の表面積に対するCaの添加量が0.35kg/m2〜10kg/m2を満たすように前記保温材を添加すると共に、保温材中の含有量の関係を示す[%Ca]/([%Al]+3[%Fe23]+[%FeO]+2[%SiO2]+2[%MnO2]+[%S])が0.08〜0.25を満たすようにしている点にある。なお、[%X]は、保温材中X含有量(モル%)である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粗大介在物の発生を抑制し、清浄度の優れた鋳塊を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】下注ぎ造塊を行う下注ぎ造塊装置の概略図である。
【図2】下注ぎ造塊の流れを示す図であって、(a)造塊の初期段階であり、(b)造塊の中期段階であり、(c)末期段階でCaを添加した時であり、(d)末期段階で保温材を添加した時を示している。
【図3】実施例における[%Ca]/([%Al]+3[%Fe23]+[%FeO]+2[%SiO2]+2[%MnO2]+[%S])の値と介在物最大径との関係図である。
【図4】実施例におけるCaの添加量の値と介在物最大径との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の下注ぎ造塊方法について図を基に説明する。
図1は、下注ぎ造塊を行う下注ぎ造塊装置を示したものである。
まず、下注ぎ造塊装置1について説明する。
下注ぎ造塊装置1は、下注ぎ造塊法により溶鋼2を鋳造するものであって、取鍋3内の溶鋼2を注入する注入管4と、この注入管4に注入された溶鋼2が装入される鋳型5と、注入管4と鋳型5とを連通する定盤6とを備えている。
【0011】
注入管4及び定盤6には、溶鋼2が通る湯道7が形成されている。注入管4は、定盤6から上方に立設しており、鋳型5は、定盤6上に設置されて定盤6の湯道7から溶鋼2が装入される構造となっている。鋳型5の上部には、押湯枠8が装着されている。
このような下注ぎ造塊装置1にて、下注ぎ造塊を行うにあたっては、まず、取鍋3を注入管4上に配置して、当該取鍋3内の溶鋼2を注入管4に注入する。溶鋼2は、注入管4及び定盤6に形成された湯道7を通り鋳型5へ到達し、鋳型5内にて冷却されてインゴット等の鋳塊となる。この下注ぎ造塊方法においては、船用品や発電部品などに用いられる大型鍛造品の素材となる鋳塊を製造することができるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
本発明の下注ぎ造塊方法について詳しく説明する。
[被覆材の添加について]
下注ぎ造塊方法において、溶鋼2が鋳型5に装入されたときに当該溶鋼2の浴面が大気に触れてしまうと溶鋼2が酸化して清浄度が低下する。そのため、本発明では、溶鋼2の酸化を防止するために、図2(a)に示すように、溶鋼2が鋳型5の下方に形成した下注入口9から鋳型5内に入る初期段階において、溶鋼2の浴面を被覆するための被覆材10(C−SiO2−CaO−Al23系の被覆材)を添加している。
【0013】
具体的には、溶鋼2が鋳型5内に入る前に、被覆材10が入った袋を鋳型5内に設置し当該袋を下注入口9に近づけておき、溶鋼2が鋳型5に入った時に袋を熱により溶かすことにより、初期段階において溶鋼2の浴面を被覆材10にて覆うようにしている。
また、図2(b)に示すように、溶鋼2が鋳型5内に装入された後は、溶鋼2の浴面は徐々に上昇していき、被覆材10は溶鋼2と鋳型5の内面との間に流入しながら消費されていく。この過程では、必要に応じて鋳型5の上方から被覆材10を追加添加することによって、溶鋼2の浴面が露出して大気に極力触れないようにしている。被覆材10の添加は、鋳型5内に溶鋼2が装入されてから当該溶鋼2の浴面が押湯枠8に到達するまで実施し、その間、溶鋼表面積の70%以上が被覆されている状態を保つようにした。なお、被覆材10の添加方法は、上述した方法に限らず、初期段階において袋を用いずに初めから直接溶鋼2の浴面に鋳型5の上方から添加してもよいし、その他の方法により添加してもよい。
【0014】
[保温材及びCaの添加について]
下注ぎ造塊方法においては、溶鋼2の浴面が鋳型5の上部付近に到達したときに溶鋼2の温度を保つために保温材11を添加することが通常行われている。ここで、保温材11として酸化鉄(FetO)、MnO2、SiO2、Alとを含むものを添加するが、この保温材11の添加によって粗大な高アルミナ系介在物が生成して清浄度が低下することがある。この保温材11は、パウダー形状であっても、ボード等の成形形状であってもよい。
【0015】
そこで、本発明では、保温材11を添加する前又は同時にCa12を溶鋼2に添加することにより、保温材11の添加時に、下記式(1)〜(3)に従って生成する高アルミナ系介在物をCaO−Al23系介在物へと改質することにしている。このCaO−Al23系介在物は凝集し難く、高アルミナ系介在物に比べ、その大きさは比較的小さく、清浄度を向上させることができる。
【0016】
2Al+3FetO=Al23+3tFe ・・・(1)
2Al+3/2MnO2=Al23+3/2Mn ・・・(2)
2Al+3/2SiO2=Al23+3/2Si ・・・(3)
以下、Caの添加方法や添加量について詳しく説明する。
本発明では、図2(c)に示すように、溶鋼2が押湯枠8に達して鋳造が終了するまでの間(末期段階)に、Ca12を添加する。図2(d)に示すように、Ca12の添加後に保温材11を添加することとしている。
【0017】
言い換えれば、鋳造の末期段階において、溶鋼2の浴面が被覆材10で覆われている状況下にて、その被覆材10の上方にCa12を添加して、その後に保温材11を添加している。
なお、添加するCa12は、純金属Ca(金属Ca)であってもCa合金であってもよい。Ca合金としては、Ca−Si合金、Ca−Ni合金などがあるが、鋼成分の規格に応じて自由に選択してもよい。また、Ca12を添加してから保温材11を添加するまでの時間は、0秒(同時)〜600秒(10分)とするのが好ましい。
【0018】
さらに詳しくは、Ca12を添加するに際し、浴面の表面積に対するCaの添加量(1m2当たりの添加量)が0.35kg/m2〜10kg/m2を満たすように被覆材10に向けてCa12を添加している。言い換えれば、純Ca相当量を押湯枠8から内側の断面積で割ることによりCaの添加量を規定し、その値が、0.35kg/m2〜10kg/m2となるようにCa12を添加している。
【0019】
Caの添加量が0.35kg/m2未満であると、添加量が少なすぎるために、Caによって十分に高アルミナ系介在物をCaO−Al23系介在物へと改質することができない。一方で、Caの添加量が10kg/m2よりも多いと、粗大なCaO系の介在物が発生してしまうことにより清浄度が低下してしまう虞がある。
保温材11は、Al、Si、FetO、MnO、SiO2、MnO2、C、Sを含有している。例えば、保温材11の組成は、FeO:10〜20質量%、Fe23:10〜20質量%、Al:20〜25質量%、Al23:25〜40質量%、SiO2:5〜10質量%である。また、保温材11中には、Sが含有されているが、Sの含有量は200ppm程度(不可避不純物程度の量)であり、実質的に零(≒0)と考えてもよい。言い換えれば、Sの含有量は他の成分に比べて微量であるため、後述する式(4)にSの含有量を代入したとしても、式(4)の値が大きく変化することはなく実質的に影響が出ない。
【0020】
本発明では、保温材11中の各成分の含有量と、Ca12の含有量を規定するために、保温材11とCaとの関係を示す式(4)の値が0.08〜0.25を満たすように、保温材11と添加するCa12との関係を規定している。
[%Ca]/([%Al]+3[%Fe23]+[%FeO]+2[%SiO2]+2[%MnO2]+[%S]) ・・・(4)
ただし、式(4)で示される「%」は、「モル%」である。
【0021】
式(4)の値が0.08未満であると、保温材11によって生成する高アルミナ系介在物量に対して、Ca量が少なすぎるために、Ca12を添加しても、添加したCaによって十分に高アルミナ系介在物をCaO−Al23系介在物へと改質することができない。一方、式(4)の値が0.25よりも多いと、保温材11に対するCa量が多いために、Ca12を添加すると、粗大なCaO系の介在物が発生してしまうことにより清浄度が低下してしまう虞がある。
【0022】
したがって、本発明では、保温材中の含有量と添加したCaとの関係を示す[%Ca]/([%Al]+3[%Fe23]+[%FeO]+2[%SiO2]+2[%MnO2]+[%S])が0.08〜0.25を満たすようにしている。
なお、保温材11とCa12とを別々に添加する場合においては、保温材11中に微量のCaが含有されていてもよい。保温材11に微量のCaが含有している場合であっても、保温材11中の各成分の含有量と、Ca12の添加量との関係を上述した式(4)に代入したとき、その値が0.08〜0.25を満たす関係であればよい。
【0023】
上記の説明では、溶鋼2が押湯枠8に達して鋳造が終了するまでの間に、Ca12と保温材11とを別々に添加していたが、これに代え、保温材11とCaとを混ぜ合わせて、保温材11とCaとを同時に添加するようにしてもよい。例えば、保温材11を添加する前に、従来から使用している保温材11に純金属CaからなるCa12を混合して、Caを含有する保温材11を用意しておき、その保温材11を溶鋼2に添加するようにしてもよい。
【0024】
Caを含有した保温材11を添加する場合も、保温材中の含有量の関係を示す[%Ca]/([%Al]+3[%Fe23]+[%FeO]+2[%SiO2]+2[%MnO2]+[%S])が0.08〜0.25を満たすようにすればよい。また、当然に、Caの添加量が0.35kg/m2〜10kg/m2を満たすように保温材11を添加する必要がある。
【実施例】
【0025】
表1は、本発明の下注ぎ造塊方法によって鋳塊を製造した実施例と、本発明の下注ぎ造塊方法とは異なる方法によって鋳塊を製造した比較例とを示したものである。
【0026】
【表1】

【0027】
実施例及び比較例において、下注ぎ造塊方法を行う前の一次精錬は当業者常法により電気炉にてスクラップを溶解した後、精錬を行い20〜100トンの溶鋼2を取鍋3に出鋼した。また、一次精錬後の溶鋼2に対して、LF装置及び蓋脱ガス装置(VD)による二次精錬を行い成分調整及び溶鋼2温度を調整した。一次精錬及び二次精錬が終了した溶鋼2に対して、下注ぎ造塊方法によって鋳塊(インゴット)を製造した。
【0028】
なお、一次精錬は電気炉による精錬でなくてもよく転炉など他の装置で行ってもよい。また、二次精錬もLF装置や蓋脱ガス装置によるものでなくてもよく、還流脱ガス装置(RH)やCAS装置など他の装置で行ってもよい。さらに、一次精錬や二次精錬における溶鋼2の成分、処理温度及び溶鋼量などは、本発明の本質部分でないため上述したものに限定されない。
【0029】
下注ぎ造塊方法における鋳型5のサイズは、20トン〜90トンのインゴットを製造できるものとしているが、インゴットのサイズ及び形状は限定されない。一部の比較例では、実施例との比較を分かりやすくするために被覆材10が消費されて溶鋼2の浴面が面積率において、80%以上露出されても追加の被覆材10を添加せず、一部の浴面が露出したままCa等の添加を行った。
【0030】
鋳型5による鋳造後に当業者常法により凝固したインゴットを約1300℃まで加熱して、熱間鍛造を断面直径が150〜700mmの鍛造材に成形した。
また、実施例及び比較例では、誘導溶解炉を鋳型5に模した小型実験も一部実施した。小型実験では、溶鋼量3〜30kgの溶鋼2を誘導溶解炉で溶解し、成分調整後、鋳型5と同様に、速やかに被覆材10を添加した。その後、溶鋼2の浴面の表面積に対するCaの添加量が0.35kg/m2〜10kg/m2を満たすように、パウダー状のCa12とCaが無添加である保温材11を同時に添加、またはCa12を含有する保温材11を添加した。なお、Caを含有する保温材11又はCa12を添加するにあたっては、[%Ca]/([%Al]+3[%Fe23]+[%FeO]+2[%SiO2]+2[%MnO2]+[%S])が0.08〜0.25を満たすように保温材11又はCa12を添加している。そして、保温材11を添加した後は、誘導溶解炉の電力を停止して炉内で溶鋼2を凝固させた。
【0031】
鍛造後の鋼塊や誘導溶解炉(小型実験)にて凝固させた鋼塊から小片を取り出して研磨後、電子顕微鏡(SEM)による介在物の観察を行った。実施例及び比較例では、15×15mmの四方の視野で検出された最大介在物の大きさを表中の介在物サイズとした。
実施例1〜11に示すように、鋳型5内の溶鋼2に浴面を被覆するための被覆材10を添加した後、Caを含有する保温材11を添加したり、保温材11とCa12とを別々に添加することとし、浴面の表面積に対するCaの添加量は0.35kg/m2〜10kg/m2を満たすようにし、さらに、[%Ca]/([%Al]+3[%Fe23]+[%FeO]+2[%SiO2]+2[%MnO2]+[%S])の関係(式(4))が0.08〜0.25を満たすようにしていることから、最大介在物のサイズを200μm以下とすることができた。
【0032】
図3は、実施例における上述した式(4)の値と介在物最大径との関係をまとめたものである。図3に示すように、Caの添加量が0.35kg/m2〜10kg/m2としている状況下では、式(4)の値が0.08以上となったところで急激に介在物最大径が200μm以下に減少していると共に、式(4)の値が0.025よりも大きくなったところで急激に介在物最大径が200μmよりも大きくなっている。即ち、図2から見ても式(4)の値が0.08や0.025となったときが介在物最大径を小さくする臨界点となっている。
【0033】
図4は、実施例におけるCaの添加量の値と介在物最大径との関係をまとめたものである。図4に示すように、式(4)の値が0.08〜0.25となっている状況下では、Caの添加量が0.35kg/m2以上となったところで急激に介在物最大径が200μm以下に減少していると共に、Caの添加量が10kg/m2よりも大きくなったところで急激に介在物最大径が200μmよりも大きくなっている。即ち、図3から見てもCaの添加量が0.35kg/m2や10kg/m2となったときが介在物最大径を小さくする臨界点となっている。
【0034】
一方で、比較例ではCaの添加量が0.35kg/m2未満であったり、10kg/m2よりも大きいと、介在物最大径は200μmよりも大きくなった。また、比較例では、Caの添加量が0.35kg/m2〜10kg/m2であっても、式(4)の値が0.08未満であったり、0.25よりも大きいと、介在物最大径は200μmよりも大きくなった。さらに、比較例では、被覆材10を添加しなかったり、途中で被覆材10が消費されたときに被覆材10を追加添加しなかったりすると(表中、被覆材10、ナシ)、介在物最大径は200μmよりも大きくなった。
【0035】
以上、本発明によれば、鋳型5内の溶鋼2に浴面を被覆するための被覆材10を添加した後、規定通りに、Caを含有する保温材11を添加したり、保温材11を添加する前又は同時にCa12を添加すれば、粗大介在物の発生を抑制することにより介在物最大径を200μm以下にすることができ、清浄度の優れた鋳塊を製造することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。上記の実施形態では、保温材11の添加は、鋳込み途中で行っているが、鋳込み終了時(浴面が停止したタイミング)でもあっても構わない。
【符号の説明】
【0036】
1 下注ぎ造塊装置
2 溶鋼
3 取鍋
4 注入管
5 鋳型
6 定盤
7 湯道
8 押湯枠
9 下注入口
10 被覆材
11 保温材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶鋼を注入管を介して下方から鋳型に装入することにより鋳塊を製造する下注ぎ造塊方法を行うに際し、
前記鋳型内の溶鋼に浴面を被覆するための被覆材を添加した後、保温材を添加する前又は同時にCaを添加することとし、
前記浴面の表面積に対するCaの添加量が0.35kg/m2〜10kg/m2を満たすように前記Caを添加すると共に、保温材中の含有量と添加したCaとの関係を示す[%Ca]/([%Al]+3[%Fe23]+[%FeO]+2[%SiO2]+2[%MnO2]+[%S])が0.08〜0.25を満たすようにしていることを特徴とする下注ぎ造塊方法。
ただし、[%X]:保温材中X含有量(モル%)とする。
【請求項2】
溶鋼を注入管を介して下方から鋳型に装入することにより鋳塊を製造する下注ぎ造塊方法を行うに際し、
前記鋳型内の溶鋼に浴面を被覆するための被覆材を添加した後、Caを含有する保温材を添加することとし、
前記浴面の表面積に対するCaの添加量が0.35kg/m2〜10kg/m2を満たすように前記保温材を添加すると共に、保温材中の含有量の関係を示す[%Ca]/([%Al]+3[%Fe23]+[%FeO]+2[%SiO2]+2[%MnO2]+[%S])が0.08〜0.25を満たすようにしていることを特徴とする下注ぎ造塊方法。
ただし、[%X]:保温材中X含有量(モル%)とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−16715(P2012−16715A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154812(P2010−154812)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)