説明

下肢用マッサージ装置

【課題】下肢のマッサージを適切な温度状況下で行う。
【解決手段】下肢用マッサージ装置1は、上下に連通状であって左右一対に設けられ且つ使用者の足及びふくらはぎを挿入可能となっている挿入凹部と、この挿入凹部の上部側の内部に設けられて挿入されたふくらはぎをマッサージする第1マッサージ機構5と、この挿入凹部の下部側の内部に設けられて挿入された足をマッサージする第2マッサージ機構7とを備えており、挿入凹部に設けられ且つ第1マッサージ機構5及び第2マッサージ機構7を覆う二枚構造のカバー体12と、カバー体12の二枚構造の間に温風又は冷風を供給する温冷風供給部15とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢用マッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人体の背中だけでなく、人体の下肢をマッサージできる下肢用マッサージ装置が開発されており、例えば、特許文献1に示すようなものがある。
この下肢用マッサージ装置は、左右下肢の各ふくらはぎをマッサージする第1マッサージ機構を内部に備えたレッグレスト部と、このレッグレスト部の先端側に配置され、左右下肢の各足をマッサージする第2マッサージ機構を内部に備えたフットレスト部と、レッグレスト部及び/又はフットレスト部の左右方向中央部に配置され、両マッサージ機構を同時に駆動する駆動機構とを備えている。下肢用マッサージ装置では、使用者のふくらはぎや足を効果的にマッサージ可能となっている。
【特許文献1】再公表2005/023169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、最近のユーザからの要望は多様なものがあり、例えば、下肢のマッサージを行いつつも下肢を暖めたいとの要望がある。また、特許文献1のような下肢用マッサージ装置を夏に使用すると、下肢の部分が暑くて困るので対応して欲しい等の要望もある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、下肢部の温度コントロールが可能となっている下肢用マッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
すなわち、本発明に係る下肢用マッサージ装置は、左右一対に設けられ且つ使用者の下肢を挿入可能となっている挿入凹部と、この挿入凹部の内部に設けられて挿入された下肢をマッサージするマッサージ機構とを備えているものであって、前記挿入凹部に設けられ且つマッサージ機構を覆う二枚構造のカバー体と、前記カバー体の二枚構造の間に温風又は冷風を供給する温冷風供給部とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る下肢用マッサージ装置は、上下に連通状であって左右一対に設けられ且つ使用者の足及びふくらはぎを挿入可能となっている挿入凹部と、この挿入凹部の上部側の内部に設けられて挿入されたふくらはぎをマッサージする第1マッサージ機構と、この挿入凹部の下部側の内部に設けられて挿入された足をマッサージする第2マッサージ機構とを備えている下肢用マッサージ装置において、前記挿入凹部に設けられ且つ第1マッサージ機構及び第2マッサージ機構を覆う二枚構造のカバー体と、前記カバー体の二枚構造の間に温風又は冷風を供給する温冷風供給部とを有することを特徴とする。
【0005】
前記挿入凹部の下部側の内部に、挿入された下肢の足裏をマッサージする補助マッサージ機構が設けることもできる。
この場合、前記補助マッサージ機構は、カバー体の二枚構造の間に設けるようにすればよい。
好ましくは、前記カバー体は上布体と該上布体に重なり合う下布体とを有し、前記温冷風供給部は吹き出し口を有していて、前記吹き出し口が上布体と下布体との間に温風又は冷風を吹き出し可能な位置に設けられているとよい。
【0006】
前記温風の吹き出し口には、カバー体における上布体と下布体との間の空間へ向けて温風を吹き出し可能とする整流部が設けられたものとするとよい。
さらに好ましくは、前記温冷風供給部は、左右一対の挿入凹部間に配設されているとよい。
なお、前記上布体は、前記温冷風供給部から供給される温風又は冷風を通過可能なものとするとよい。
前記上布体は、前記温冷風供給部から供給される温風又は冷風を非通過とするものであってもよい。
【0007】
前記上布体は、挿入凹部に挿入された下肢の足に対応する部分が、前記温冷風供給部から供給される温風又は冷風を通過可能なものであり、この部分以外が前記温風又は冷風を非通過とするものとしてもよい。
前記カバー体には、温冷風供給部から供給される温風又は冷風を逃がすための開口部が設けられていてもよい。
前記挿入凹部は上部側に設けられた第1挿入凹部と下部側に設けられた第2挿入凹部とを有しており、前記カバー体は、第1挿入凹部と第2挿入凹部とを別体又は一体的に覆うよう構成されていてもよい。
【0008】
前記挿入凹部には、挿入された下肢の足を覆う先部カバー体が設けられたものとしてもよい。
前記挿入凹部には、二枚構造のカバー体を上方から覆い且つ交換可能となっている交換用カバー体が設けられていてもよい。
前記下肢を背面側より挿入すべく前記挿入凹部は背面側に開放状に配設され、前記挿入凹部の内壁の下部側は、挿入された下肢の足を覆う先部カバー体とされていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る下肢用マッサージ装置を用いることで、下肢のマッサージが適切な温度状況下で行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1実施形態]
図1〜図4は、本発明に係る下肢用マッサージ装置の第1実施形態を示している。
第1実施形態の下肢用マッサージ装置1は、左右のふくらはぎCが挿入される挿入凹部4を備えたレッグレスト部2と、このレッグレスト部2の先端側に配置され且つ左右の足Fが挿入される挿入凹部4を備えたフットレスト部3とを有している。
レッグレスト部2及びフットレスト部3に形成された挿入凹部4は連続的に連なっており、この挿入凹部4に下肢Lを通すことができるように、レッグレスト部2とフットレスト部3とは一体的に形成されて、下肢用マッサージ装置1は側面視で略く字状になっている。
【0011】
レッグレスト部2は、使用者のふくらはぎCをマッサージするもので、ふくらはぎCをマッサージするレッグマッサージ機構5(第1マッサージ機構)を備えている。
このレッグレスト部2の前面には、左右のふくらはぎCが挿入可能な挿入凹部4,4が設けられており、この挿入凹部4の内面であって幅方向対面側には、ふくらはぎCを挟み込みできるようにふくらはぎ用マッサージ部材6が配置されている。
フットレスト部3は、使用者の足Fをマッサージするもので、足Fの両側部をマッサージするフットマッサージ機構7(第2マッサージ機構)を備えている。このフットレスト部3の前面(上面)には、足Fを挿入可能な挿入凹部4が設けられており、フットレスト部3の挿入凹部4の内面であって幅方向対面側には、足用マッサージ部材8が配置されている。
【0012】
なお、本明細書において、「下肢L」とは、人間の脚部のうち膝より下の部分をさしている。さらに、下肢Lを、膝下でくるぶしより上の部分である「ふくらはぎC」と、くるぶしより下の部分である「足F」とに分けた上で、説明を進める。
また、図2における左右方向を説明における「右左方向」又は「幅方向」と呼ぶ。図2における上下方向を説明における「上下方向」と呼ぶ。図2における紙面貫通方向を説明における「前後方向」と呼ぶ。これらは、下肢用マッサージ装置1に下肢Lを差し入れた使用者から見た、前後・左右・上下方向と一致する。
【0013】
図1〜図4に示すように、下肢用マッサージ装置1は、レッグマッサージ機構5、フットマッサージ機構7、両マッサージ機構5,7を駆動させる駆動機構9を有している。
この駆動機構9及び両マッサージ機構5,7は、1つのケーシング10内に格納されている。このケーシング10の前面には、差し入れられる下肢の長手方向に沿った開口が形成され、この開口をカバー体12で覆うことにより、前述の挿入凹部4が構成されている。
図3,図4に示すように、カバー体12は、上布体13とこの上布体13に重なり合う下布体14とを有することで二枚構造となっている。上布体13及び下布体14は、伸縮性や可撓性を有する布、人工皮革、レザー等で構成されている。上布体13と下布体14との間に、後述する温冷風供給部15から供給される温度調整された空気(温冷風)が入り込むようになっている。
【0014】
上布体13と下布体14は略同じ形状を有しており、下布体14の周縁部は挿入凹部4の縁部に沿ってケーシング10に対し固定的に取り付けられている。上布体13はその周縁部が下布体14の周縁部にファスナ等の接合手段16をもって着脱自在に取り付けらるようになっている。
下布体14は、温冷風供給部15から供給される温冷風を非通過な材質で構成するとよい。こうすることで、導入された温冷風がケーシング10内に逃げることを防げる。すなわち、供給された空気が温風の場合、カバー体12内の温度が下がることを防ぐことができる。しかしながら、下布体14が、温冷風供給部15から供給される温冷風を通過可能な材質で構成されていても何ら問題はない。
【0015】
上布体13は、温冷風を通過可能なものとしてもよいし、温冷風を非通過な材料で形成されてもよい。温冷風の熱を挿入凹部4に差し入れられた足FやふくらはぎCに伝導可能なものであればよい。
上布体13が温冷風を非通過な材質で構成されている際には、カバー体12のいずれか、すなわち上布体13及び/又は下布体14に温冷風供給部15から供給される空気を逃がすための開口部17が設けられるとよい。この開口部17は、上布体13及び下布体14の間に温冷風が供給された際に、カバー体12が風船状に膨張し、上布体13が使用者の下肢を包み込むように膨らむのを可能とする「空気の漏れ量」を実現する大きさであることが好ましい。
【0016】
カバー体12の二枚構造の間に温風又は冷風を供給する温冷風供給部15は、ケーシング10内部に設けられていて、挿入凹部4の間であってケーシング10の上下方向の略中央部且つ裏面側に配設されている。詳しくは、温冷風供給部15はヒータ部を有し、さらに、ヒータ部を経由するように空気を発生し供給する給風部を備えている。給風部は例えばファンとこのファンを回転させる電動モータとから構成される。
給風部で発生されヒータ部を経由して高温となった空気(温風)、又は給風部で発生されて作動しないヒータ部を経由して常温のままの空気(冷風)は、上布体13と下布体14との間の空間に配備された吹き出し口18から吹き出すようになっている。吹き出し口18は、左右一対の挿入凹部4,4のそれぞれに配設されており、例えば、挿入凹部4,4の間であってケーシング10の上下方向の略中央部に配備されている。
【0017】
ただし、吹き出し口18の配置場所はこれに限定されない。例えば、挿入凹部4の先端部(すなわち、足Fの先端に対応する部分)に設けられてもよく、挿入凹部4の底部(すなわち、足Fの裏底に対応する部分やふくらはぎCの裏側に対応する部分)に設けられてもよい。各挿入凹部4における幅方向外側に設けられてもよい。
レッグマッサージ機構5、フットマッサージ機構7としては、様々な形態のものが採用可能であるが、例えば、以下のものが採用可能である。
レッグマッサージ機構5は、左右一対のふくらはぎ用マッサージ部材6と、駆動機構9により回転する回転軸20と、この回転軸20に固定されると共にふくらはぎ用マッサージ部材6が相対回転自在に嵌合される回転体21と、この回転体21に対してふくらはぎ用マッサージ部材6が共に回るのを規制する係合ピン22及び摺動溝23とを有している。
【0018】
回転軸20は、幅方向両側に設けられた支持ブラケット24に回転自在に支持されている。回転体21は、回転軸20の中途部に固定されている。
この回転体21の周縁面には、回転軸20に対して傾斜する軸心を有する略円形の軌道が形成され、この軌道を摺動するようにふくらはぎ用マッサージ部材6のボス部25が嵌り込んでいる。なお、左右の回転体21の軌道の傾斜方向が互いに逆向きとなるように、回転体21は回転軸20に固定されている。
ボス部25の下部には係合ピン22が下方突出状に設けられ、この係合ピン22は、支持体に設けられた摺動溝23に摺動自在に嵌り込んでいる。摺動溝23は、左右方向に延設されておりふくらはぎ用マッサージ部材6を左右方向に案内すると共に、係合ピン22と係合してふくらはぎ用マッサージ部材6が回転体21と共に連動して回ることを規制している。
【0019】
ふくらはぎ用マッサージ部材6は、挿入凹部4に差し入れられたふくらはぎCに沿って延びる長い板材により構成されている。ふくらはぎ用マッサージ部材6は、プラスチックや板バネ等からなる弾性体により構成されており、その板厚方向、すなわち、ふくらはぎCから離れる方向に弾性変形可能となっている。
フットマッサージ機構7は、足用マッサージ部材8と、駆動機構9により回転する回転軸20と、この回転軸20に固定されると共に足用マッサージ部材8が相対回転自在に嵌合される回転体21と、この回転体21に対して足用マッサージ部材8が共に回るのを規制する係合ピン22及び摺動溝23を有している。なお、これらの部位は前述のレッグマッサージ機構5と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0020】
両マッサージ機構の前後方向及び左右方向の略中間には、両マッサージ機構5,7を駆動させる駆動機構9が配置されている。
この駆動機構9は1つの電動モータ11を有し、この電動モータ11の出力軸の回転が、レッグマッサージ機構5及びフットマッサージ機構7の回転軸20に伝達されるようになっている。
以上述べた下肢用マッサージ装置1の使用態様を述べる。
図2に示す如く、まず、使用者は、左右一対の挿入凹部4,4にそれぞれの下肢L,Lを差し入れる。その後、下肢用マッサージ装置1を作動状態とする。すると、レッグマッサージ機構5のふくらはぎ用マッサージ部材6がふくらはぎCを挟み込みつつ押圧し、ふくらはぎCに揉み施術を行う。同時に、フットマッサージ機構7の足用マッサージ部材8が足F部を挟み込みつつ押圧し、足Fに対する揉み施術を行う。
【0021】
その際に、図4に示すように、温冷風供給部15から温風が供給され、吹き出し口18を通じてカバー体12の内部(すなわち上布体13と下布体14との間)に温風が充満するようになる。温風が供給されるにつれ、上布体13は下布体14から離反し風船状に膨らむと共に、上布体13は挿入凹部4に差し入れたれた下肢Lを包み込むようになる。さらに、温風は上布体13を通過して下肢Lに届くようになるため、下肢Lを温めるようになる。この作用は、上布体13が温風を通さない材質で形成されていたとしても略同様であり、カバー体12の温風が有する熱が上布体13を伝わり下肢Lへと届くようになる。
【0022】
かかる作動態様により、使用者は下肢Lを温められつつ揉み施術されることとなり、非常に効果的なマッサージを受けることができる。
なお、カバー体12内部に供給された温風は、下布体14に設けられた開口部17を通じてケーシング10内に放出される。そのため、カバー体12が破裂することを防止できると共に、カバー体12内には、温冷風供給部15から供給される温度の高い温風が常に充満することとなる。開口部17が備えられていない場合であっても、例えば、上布体13と下布体14との接合手段16から温風が漏れることになるため、カバー体12が破裂などを防ぐことができる。
【0023】
夏季に、第1実施形態の下肢用マッサージ装置1を使用する場合には、温冷風供給部15のヒータ部をオフとし、吹き出し口18から非加熱の空気を供給するとよい。この空気は冷風として作用するため、使用者は過度な温感や蒸れ感を感じることなく、心地よい状態で、下肢をマッサージすることができる。また、ヒータ部に変えてペルチエ素子などで構成された空冷部を備え、給風部からの空気が当該空冷部を通過するようにして冷風を発生してもよい。
なお、レッグマッサージ機構5及びフットマッサージ機構7と、温冷風供給部15とは同時に作動する必要はなく、それぞれが独立して作動するように構成しても何ら問題はない。温冷風供給部15のみを作動させると、下肢加温装置として作用するものとなる。
[第2実施形態]
図5は、本発明に係る下肢用マッサージ装置の第2実施形態を示している。
【0024】
第2実施形態では、本発明に係る下肢用マッサージ装置1を椅子型マッサージ装置30のフットレストとして実施している。
この椅子型マッサージ装置30は、人体の臀部を下方から支持する座部31と、この座部31を支持する脚部32と、座部31の後端部に連結された背もたれ部33とを備えている。背もたれ部33の内部には揉み又は叩きマッサージを行える背中用マッサージ機構が上下移動自在に内蔵されており、座部31の内部には背もたれ部33の傾斜角度を切り換えるためのリクライニング機構が設けられている。座部31の前方に、下肢用マッサージ装置1の上部と座部31の前部が左右軸心周りに回動自在に連結されるとよい。
【0025】
使用者は、座部31に座った状態で背もたれ部33内の背中用マッサージ機構によって背中や首をマッサージしながら、座部31の前部に配置された下肢用マッサージ装置1によってふくらはぎC及び足Fをマッサージすることができる。
下肢用マッサージ装置1は、座部31に対して着脱自在に連結してもよい。
[第3実施形態]
図6は、本発明に係る下肢用マッサージ装置の第3実施形態を示している。
第3実施形態は、レッグレスト部2とフットレスト部3とを別体に構成したものである。さらに、レッグレスト部2に設けられた挿入凹部4(第1挿入凹部4U)と、フットレスト部3に設けられた挿入凹部4(第2挿入凹部4D)とを本発明にかかる二枚構造のカバー体12で各々覆うようにするとよい。その上で、第1挿入凹部4Uと第2挿入凹部4Dとを覆うカバー体12のそれぞれの内部に、1又は複数の温冷風供給部15から温冷風を供給する。また、両挿入凹部4U,4Dを1つのカバー体12で一体的に覆うようにしてもよい。
【0026】
また、挿入凹部4内に配備されているレッグマッサージ機構5、フットマッサージ機構7として、機械式のマッサージ機構を例示したが、空気により膨張・収縮を行うエア式のマッサージ機構を採用してもよい。
また、挿入凹部4内には、レッグマッサージ機構5、フットマッサージ機構7の2つを備える必要はなく、いずれか1つのマッサージ機構を備えるだけでもよい。つまり、左右一対に設けられ且つ使用者の下肢Lを挿入可能となっている挿入凹部4,4と、この挿入凹部4の内部に設けられて挿入された下肢Lをマッサージするマッサージ機構とを備えているものであって、挿入凹部4に設けられ且つマッサージ機構を覆う二枚構造のカバー体12と、カバー体12の二枚構造の間に温風又は冷風を供給する温冷風供給部15とを有する構成であってもよい。
[第4実施形態]
図7〜図10は、本発明に係る下肢用マッサージ装置の第4実施形態を示している。
【0027】
第4実施形態の下肢用マッサージ装置1において、基本的な構成は第1実施形態(図1〜図4参照)と略同様である。
すなわち、第4実施形態の下肢用マッサージ装置1も、左右のふくらはぎCが挿入される挿入凹部4を備えたレッグレスト部2と、このレッグレスト部2の先端側に配置され且つ左右の足Fが挿入される挿入凹部4を備えたフットレスト部3とを有している。
レッグレスト部2にはふくらはぎC用のレッグマッサージ機構5(第1マッサージ機構)が設けられ、フットレスト部3には足F用のフットマッサージ機構7(第2マッサージ機構)が設けられている。
【0028】
挿入凹部4は、ケーシング10の前面に対し、差し入れられる下肢の長手方向に沿って開口を形成し、この開口をカバー体12で覆うことにより構成されている。このカバー体12は、上布体13とこの上布体13に重なり合う下布体14とを有することで二枚構造となっている。
そして、これら上布体13と下布体14との間に、温冷風供給部15から供給される温度調整された空気(温冷風)が入り込むようになっている。
第4実施形態の下肢用マッサージ装置1が第1実施形態と最も異なるところは、挿入凹部4の下部側の内部に補助マッサージ機構40が設けられ、また挿入凹部4に対し、先部カバー体41が設けられている点にある。
【0029】
図9から明かなように、補助マッサージ機構40は、カバー体12の二枚構造(上布体13及び下布体14)の間に設けられている。この補助マッサージ機構40は、挿入凹部4へ挿入された下肢の足裏(足Fの裏)をマッサージするためのものであって、例えばバイブレータ(振動発生装置)46を利用して足裏に微振動を加えて血行促進や筋肉のこりをほぐす作用を生じさせる。
図例では、つま先の裏に当接する前部突起群42と、土踏まずに当接する突台43と、踵の底に当接する後部突起群44とを有する振動板45を、バイブレータ46によって振動させるようにしたものである。
【0030】
これら前部突起群42、突台43、後部突起群44は、カバー体12の上布体13上に足Fが載せられたときでも、上布体13と下布体14との間に高さ方向のスペースを確保することになる。そのため、この高さ方向のスペースにより、温冷風供給部15から供給される温風や冷風の流れを確保する作用をも兼ねていることになり、有益である。
先部カバー体41は、挿入凹部4へ挿入された下肢の少なくとも足Fを覆うように設けられている。この先部カバー体41は、上布体13や下布体14と同じ材質としてもよいし、異なる材質としてもよい。例えば、先部カバー体41は伸縮性や可撓性を有する布、人工皮革、レザー、或いは発泡性のウレタン生地や起毛生地などで形成することができる。
【0031】
なお、先部カバー体41の材質を選ぶ際の一つの条件としては、吸湿性の豊富なもの(汗を吸い取れるもの)、通気性のあるもの(蒸れの防止や過剰昇温の防止が図れるもの)に着眼しておくことが推奨される。
先部カバー体41は、その外周縁部をケーシング10における挿入凹部4の開口縁部又はカバー体12(上布体13や下布体14)の周縁部に沿わせて取り付けられ、挿入凹部4の開口を覆うように張り渡されている。これにより、カバー体12の上布体13と先部カバー体41との間に、下肢を収める袋状の空間を形成している。
【0032】
第4実施形態では、交換用カバー体47の先端部に先部カバー体41が設けられたものを示している。
詳しくは、交換用カバー体47は、カバー体12の上布体13に重ねられるように挿入凹部4に配備され、二枚構造の上部に配備された3枚目の布体である。交換用カバー体47は、吸湿性の豊富で洗濯可能な材質から形成することが好ましい。先部カバー体41と交換用カバー体47とは、互いに合致する周縁部同士が縫着され、一体化されており、これによって両カバー41,47間に足Fを入れるポケットが形成されるようになっている。この先部カバー体41と上布体13との間に足Fを差し入れるように、挿入凹部4へ下肢を挿入することで、足Fに対する保温効果を高め、足Fを非常に暖かくしつつ下肢Lのマッサージを行うことができる。
【0033】
なお、先部カバー体41は、交換用カバー体47に縫いつけられる形態に限定されない。着脱自在としてもよい。
温冷風供給部15において、温風の吹き出し口18は、挿入凹部4に対しその高さ方向の中間よりやや高い位置に設けられている。そしてこの吹き出し口18には、上布体13と下布体14との間の空間へ向かって、挿入凹部4の開口縁部側から挿入凹部4の深部(奥方)へ向かう方向へ温風を吹き出させる整流部50が設けられている(図10参照)。
具体的には、吹き出し口18から吹き出す温風の通り道に、下方側(下肢用マッサージ装置1の内部側)に傾く複数枚のフィン51が設けられ、フィン51とフィン51との間に温風を通す隙間が形成されたものとしてある。
【0034】
このような整流部50が設けられていることで、吹き出し口18から吹き出す温風が、挿入凹部4に挿入された下肢を直撃し局部的な高温状態となることを避けることができる。なお、ここにおいて「直撃」とは、温風が下肢に直接当たるという意味ではなく、温風の吹き出し方向が下肢に向いていることを言う。
第4実施形態では、上記したように先部カバー体41を具備する構成としているので、上布体13は、温冷風供給部15から供給される温風又は冷風を通過可能な部分と、温風又は冷風を非通過とする部分とを有したものにしている。
【0035】
すなわち、上布体13は、挿入凹部4に挿入された下肢の足Fに対応する部分(図8において多孔状態で表した領域)が、温風又は冷風を通過可能なものであり、この部分以外が温風又は冷風を非通過とするものである。
このようにすることで、暖かい温風や冷たい冷風が足Fに直接届くようになり、足先を効果的に温める又は冷やすことができるようになる。
以上、詳説したところから明かなように、第4実施形態の下肢用マッサージ装置1では、補助マッサージ機構40を具備していることに伴って、挿入凹部4へ挿入された下肢の足裏(足Fの裏)をもマッサージすることができる。また、先部カバー体41を具備させたものでは、挿入凹部4内の保温性を高めることができる。
【0036】
その他の使用状況や作用効果については第1実施形態(図1〜図4参照)と略同様であり、ここでの詳説は省略する。
[第5実施形態]
図11は、本発明に係る下肢用マッサージ装置の第5実施形態を示している。
第5実施形態は、交換用カバー体47が先部カバー体41を具備していない点を除いて、第4実施形態(図7〜図10参照)と同じものである。
第4実施形態同様、本実施形態の下肢用マッサージ装置1は、この交換用カバー体47だけを取り外して洗濯したり交換したりできるという利点を有している。
[第6実施形態]
図12は、本発明に係る下肢用マッサージ装置の第6実施形態を示している。
【0037】
第6実施形態が第5実施形態と大きく異なるところは、フットレスト部3を単体で有している点である。また、カバー体12が二枚構造(上布体13及び下布体14)とされており、このカバー体12における二枚構造の下側(下布体14の下側)に補助マッサージ機構40(回転ローラ形マッサージ機構)が設けられている点である。
他の点、例えば、2枚構造のカバー体12の上に交換用カバー体47が設けられている点は、第5実施形態(図11参照)と同じである。
本実施形態の下肢用マッサージ装置1の使用状況や作用効果については第5実施形態と略同様であり、ここでの詳説は省略する。
[第7実施形態]
図13は、本発明に係る下肢用マッサージ装置の第7実施形態を示している。
【0038】
この第7実施形態も、その基本構成は第6実施形態と同様、フットレスト部3を単体で有している。
第7実施形態が第6実施形態と異なるのは、第6実施形態の挿入凹部4の交換用カバー体47に先部カバー体41が設けられていることである。先部カバー体41は、それが挿入凹部4の上に被さるように、その外周縁部を挿入凹部4の開口縁部の周縁に沿わせて取り付けられている。
この先部カバー体41を設けることにより、前記第4実施形態の場合と同様、カバー体41、47間にポケットが形成されるので、このポケットに足を挿入することにより、足の保温効果が高められ、足をマッサージすることができる。
[第8実施形態]
図14、図15は、本発明に係る下肢用マッサージ装置の第8実施形態を示している。図15(a)は装置1の背面を示し、図15(b)の左側が装置の正面側である。
【0039】
本実施形態の下肢用マッサージ装置1は、第1実施形態において挿入凹部4がケーシング10の正面側に設けられていたのに対し、ケーシング10の背面側に設けられたものである。他の構成は第1実施形態と同様であり、それらについての説明は省略する。
挿入凹部4をケーシング10の背面側に設けているため、図15(b)に示すように、下肢Lのすね側(前面側)から挿入凹部4に下肢Lを挿入する。
そして、本実施形態では、この挿入凹部4の内壁48の下側(足のつま先が対向する部分)が、挿入された足Fを覆うような断面形状に形成されており、先部カバー部48aとなっている。この先部カバー部48aにより、足Fの保温効果が高められる。
【0040】
この先部カバー部48aから、それに連なる挿入凹部4の上部側にかけて、上布体13と下布体14の二枚構造のカバー体12が設けられており、このカバー体12の二枚構造の内部に、温冷風供給部15から供給される温度調整された空気(温冷風)が入り込むようになっている。
本実施形態において、挿入凹部4の内壁48であって下肢Lの前面に対面する部位にマッサージ機構を設けるようにしてもよい。
なお、本発明に係る下肢用マッサージ装置は、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0041】
例えば、第4実施形態〜第8実施形態で開示した下肢用マッサージ装置1を椅子型マッサージ装置30のフットレストとして設けても何ら問題はない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の斜視図である。
【図2】第1実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の正面図である。
【図3】第1実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の分解斜視図である。
【図4】図2におけるA−A線断面図である。
【図5】第2実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の斜視図である。
【図6】第3実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の斜視図である。
【図7】第4実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の斜視図である。
【図8】第4実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の分解斜視図である。
【図9】第4実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の使用状態を示す側断面図である。
【図10】図7におけるB−B線断面図である。
【図11】第5実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の分解斜視図である。
【図12】第6実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の斜視図である。
【図13】第7実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の斜視図である。
【図14】第8実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の斜視図である。
【図15】(a)は第8実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の背面図であり、(a)は第8実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の右側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 下肢用マッサージ装置
2 レッグレスト部
3 フットレスト部
4 挿入凹部
4U 第1挿入凹部
4D 第2挿入凹部
5 レッグマッサージ機構(第1マッサージ機構)
6 ふくらはぎ用マッサージ部材
7 フットマッサージ機構(第2マッサージ機構)
8 足用マッサージ部材
9 駆動機構
10 ケーシング
11 電動モータ
12 カバー体
13 上布体
14 下布体
15 温冷風供給部
16 接合手段
17 開口部
18 吹き出し口
20 回転軸
21 回転体
22 係合ピン
23 摺動溝
24 支持ブラケット
25 ボス部
30 椅子型マッサージ装置
31 座部
32 脚部
33 背もたれ部
40 補助マッサージ機構
41 先部カバー体
42 前部突起群
43 突台
44 後部突起群
45 振動板
47 交換用カバー体
48 (挿入凹部の)内壁
48a 先部カバー部
50 整流部
51 フィン
L 下肢
C ふくらはぎ
F 足

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対に設けられ且つ使用者の下肢を挿入可能となっている挿入凹部と、この挿入凹部の内部に設けられて挿入された下肢をマッサージするマッサージ機構とを備えている下肢用マッサージ装置において、
前記挿入凹部に設けられ且つ前記マッサージ機構を覆う二枚構造のカバー体と、前記カバー体の二枚構造の間に温風又は冷風を供給する温冷風供給部とを有することを特徴とする下肢用マッサージ装置。
【請求項2】
上下に連通状であって左右一対に設けられ且つ使用者の足及びふくらはぎを挿入可能となっている挿入凹部と、この挿入凹部の上部側の内部に設けられて挿入されたふくらはぎをマッサージする第1マッサージ機構と、この挿入凹部の下部側の内部に設けられて挿入された足をマッサージする第2マッサージ機構とを備えている下肢用マッサージ装置において、
前記挿入凹部に設けられ且つ第1マッサージ機構及び第2マッサージ機構を覆う二枚構造のカバー体と、前記カバー体の二枚構造の間に温風又は冷風を供給する温冷風供給部とを有することを特徴とする下肢用マッサージ装置。
【請求項3】
前記挿入凹部の下部側の内部に、挿入された下肢の足裏をマッサージする補助マッサージ機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項4】
前記補助マッサージ機構は、前記カバー体の二枚構造の間に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項5】
前記カバー体は上布体と前記上布体に重なり合う下布体とを有し、前記温冷風供給部は吹き出し口を有していて、前記吹き出し口が上布体と下布体との間に温風又は冷風を吹き出し可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項6】
前記温風の吹き出し口には、カバー体における上布体と下布体との間の空間へ向けて温風を吹き出し可能とする整流部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項7】
前記温冷風供給部は、左右一対の挿入凹部間に配設されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項8】
前記上布体は、前記温冷風供給部から供給される温風又は冷風を通過可能なものであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項9】
前記上布体は、前記温冷風供給部から供給される温風又は冷風を非通過とするものであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項10】
前記上布体は、挿入凹部に挿入された下肢の足に対応する部分が、前記温冷風供給部から供給される温風又は冷風を通過可能なものであり、この部分以外が前記温風又は冷風を非通過とするものであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項11】
前記カバー体には、温冷風供給部から供給される温風又は冷風を逃がすための開口部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項12】
前記挿入凹部は上部側に設けられた第1挿入凹部と下部側に設けられた第2挿入凹部とを有しており、前記カバー体は、第1挿入凹部と第2挿入凹部とを別体又は一体的に覆うよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項13】
前記挿入凹部には、挿入された下肢の足を覆う先部カバー体が設けられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項14】
前記挿入凹部には、二枚構造のカバー体を上方から覆い且つ交換可能となっている交換用カバー体が設けられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項15】
前記下肢を背面側より挿入すべく前記挿入凹部は背面側に開放状に配設され、
前記挿入凹部の内壁の下部側は、挿入された下肢の足を覆う先部カバー体とされていることを特徴とする請求項1〜11に記載の下肢用マッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−75659(P2010−75659A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319656(P2008−319656)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(592009214)大東電機工業株式会社 (106)
【Fターム(参考)】