説明

下部装着型スライド及びその製造方法

本発明は下部装着型スライドに関する。本発明による下部装着型スライドは、複数の第1レースウェイが両側に形成される移動部材と;転がり運動するボールを介して前記第1レイスウェとそれぞれ結合して前記移動部材をガイドする複数の第2レースウェイが備えられる固定部材と;前記移動部材と前記固定部材の間に備えられ、前記ボールを収容する収容部とを含み、前記第1レースウェイの内部に形成された中空部側に湾入した湾入部が前記第1レースウェイ間の一領域に形成される。これにより、スライドのロール成形性を大きく向上させるとともに横方向モーメントを減少させることで、安全性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下部装着型スライド及びその製造方法に関する。より詳しくは移動部材と固定部材の間で転がり運動するボールによってスライドする下部装着型スライドに関する。
【背景技術】
【0002】
下部装着型スライドは机と引き出しの間に備えられ、使用者が引き出しを引き出すか押し込むのに使われる。従来の下部装着型スライドは、3段折畳式の場合、固定部材が延長部によって引き出し板材の側面または底面に固定され、移動部材は机板材の底面に固定される。中間部材の両端部には三つずつのレースウェイが形成される。そして、固定部材と移動部材と中間部材との間には多数のボールが位置してレースウェイに沿って転がり運動する。これにより、中間部材は固定部材に沿って滑走移動し、移動部材は中間部材に沿って滑走移動する。
【0003】
図1は従来の下部装着型スライド(特許文献1)を示す断面図である。図1に示すように、従来の下部装着型スライド10は、移動部材13と、固定部材17と、移動部材13と固定部材17の間に位置する中間部材14とを含む。
【0004】
このような従来の下部装着型スライド10は、固定部材17が延長部12によって机板材16に固定され、移動部材13は引き出し板材11の底面に固定され、中間部材14の両端部にはそれぞれ三つのレースウェイが形成される。
【0005】
ここで、移動部材13と中間部材14の間、かつ中間部材14と固定部材17の間には多数のボール15が位置してレースウェイに沿って転がり運動することにより、中間部材14は固定部材17に沿って、かつ移動部材13は中間部材14に沿って滑走移動することで、スライド10は全体として3段折畳式で動作する。
【0006】
しかし、特許文献1に開示された従来の下部装着型スライド10は、移動部材13の横幅が小さいため、高荷重を受ける場合、回転モーメントに対する安全性が低下する問題がある。
【0007】
このような問題を解決するために、本出願人は、図2に示すように、実質的な荷重を担う第1部材130のレースウェイ形成部133、133’が三角形に配列され、延長部145を垂直に形成するとともに横方向ウェブの長さが縦方向ウェブの長さより長い広幅の下部装着型スライド100を出願した(特許文献2)。
【0008】
ところが、広幅の下部装着型スライドは、高荷重を受ける場合、回転モーメントに対する安全性を高めたが、依然として移動部材の中でロール成形不良品が増加し、特にレースウェイ部にロール成形不良率が集中する問題がある。
【特許文献1】米国登録特許第6132020号
【特許文献2】韓国特許公開第10−2008−0077712号(韓国特許出願第10−2007−0017214号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明による下部装着型スライドによれば、従来の下部装着型スライドに比べ、ロール成形不良率が減少する。
また、本発明による下部装着型スライドによれば、下部装着型スライドに含まれた移動部材の内部に形成される中空部の大きさを最小化して強度を向上させることができる。
【0010】
そして、本発明による下部装着型スライドによれば、移動部材に対称状に形成される湾入部によって抵抗力を発生させて安全性を高めることができる。
また、本発明による下部装着型スライドによれば、高荷重にも使用可能である。

【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的は、下部装着型スライドであって、複数の第1レースウェイが両側に形成される移動部材と;転がり運動するボールを介して前記第1レイスウェとそれぞれ結合して前記移動部材をガイドする複数の第2レースウェイが備えられる固定部材と;前記移動部材と前記固定部材の間に備えられ、前記ボールを収容する収容部とを含み、前記第1レースウェイの内部に形成された中空部側に湾入した湾入部が前記第1レースウェイ間の一領域に形成されることを特徴とする、下部装着型スライドによって達成される。
【0012】
前記湾入部はU字形に湾入することが好ましい。
前記移動部材は、横方向ウェブの長さが縦方向ウェブの長さより長いことが好ましい。
前記湾入部は前記移動部材の縦軸に平行に湾入することが好ましい。
前記湾入部は前記第1レースウェイ間の中央に形成されることが好ましい。
【0013】
一方、下部装着型スライドに使われる移動部材の製造方法であって、前記移動部材の両側横方向ウェブの内部に形成された中空部側に湾入した湾入部を前記横方向ウェブの一領域に形成する段階;及び転がり運動するボールと結合するレースウェイを前記移動部材の両側に形成する段階を含むことを特徴とする、移動部材の製造方法によっても前記目的が達成される。
【0014】
前記湾入部はU字形に湾入することが好ましい。
前記移動部材は横方向ウェブの長さが縦方向ウェブの長さより長いことが好ましい。
前記湾入部を形成する段階は、前記湾入部を前記移動部材の縦軸に平行に形成することが好ましい。
前記湾入部を形成する段階は、前記湾入部を前記レースウェイ間の中央に形成することが好ましい。

【発明の効果】
【0015】
本発明による下部装着型スライドによれば、従来の下部装着型スライドに比べ、ロール成形不良率が減少する。
また、本発明による下部装着型スライドによれば、下部装着型スライドに含まれた移動部材の内部に形成される中空部の大きさを最小化して強度を向上させることができる。
【0016】
そして、本発明による下部装着型スライドによれば、移動部材に対称状に形成される湾入部によって抵抗力を発生させて安全性を強化させることができる。
また、本発明による下部装着型スライドによれば、高荷重にも使用可能である。

【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の下部装着型スライドの断面を示す断面図
【図2】従来の広幅の下部装着型スライドの断面を示す断面図
【図3】本発明による下部装着型スライドの断面を示す断面図
【図4】本発明による下部装着型スライドの移動部材を示す斜視図
【図5】本発明による下部装着型スライドの移動部材をロール成形する過程を示す斜視図
【図6】本発明による下部装着型スライドに使われる移動部材の製造方法を説明する流れ図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明による下部装着型スライドについて実施例をあげて詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
図3は本発明による下部装着型スライド30の断面を示す断面図である。そして、図4は本発明による下部装着型スライド30の移動部材35を示す斜視図である。図3に示すように、本発明による下部装着型スライド30は、複数の第1レースウェイ37が両側に形成される移動部材35と、転がり運動するボール39によって第1レースウェイ37とそれぞれ結合されて移動部材35をガイドする複数の第2レースウェイ33を備える固定部材32と、移動部材35と固定部材32の間に備えられ、ボール39を収容する収容部34とを含む。ここで、収容部34はボールリテーナーで具現され、従来のボールリテーナー4に比べて大幅を持つ。
【0020】
ここで、本発明による下部装着型スライド30は、移動部材35に備えられた第1レースウェイ37間の一領域に移動部材35の内部に密着したU字形の湾入部40が形成される。
【0021】
これにより、移動部材35の横方向ウェブが縦方向ウェブより長い広幅の下部装着型スライドにおいて、ロール成形不良率が減少し、移動部材35の内部に形成される中空部の大きさを最小化して強度を向上させることができ、高荷重にも使用可能である。
【0022】
本発明による移動部材35は、固定部材32に含まれた複数の第2レースウェイ33に対向する位置に形成される複数の第1レースウェイ37と、複数の第1レースウェイ37の間に位置するウェブ36、38で構成されたレースウェイ部45とを含む。ここで、ウェブ36、38は横方向ウェブ36と縦方向ウェブ38を含み、横方向ウェブ36が縦方向ウェブ38に比べて長く形成される。
【0023】
本発明による移動部材35は、横方向ウェブ36の部分に湾入部40が形成させた構造を持つ。ここで、湾入部40は移動部材35の内部の中空部47側に湾入している。
【0024】
もちろん、図3に示すように、本発明による湾入部40はV字形の下端部のような応力集中部位がないU字形に形成されることが好ましいが、V字形はもちろんのこと、中空部47の空間を充填させることができる形態であればどんな形態でも構わない。
そして、本発明による湾入部40は移動部材35の縦軸に平行に形成されることが好ましい。
【0025】
前述したように、本発明による下部装着型スライド30は従来の製造方法であるロール成形方法によって製造される。図5は本発明による下部装着型スライド30の製造過程を示す断面図である。本発明による下部装着型スライド30は横方向ウェブ36の中央に湾入部40が形成されることにより、移動部材35内の中空部47の空間が最小化している。
【0026】
ここで、本発明による湾入部40がロール20、20’によって成形されるに先立ち、予め横方向ウェブ36に別に形成され、残りの形状が従来の方法と同様なロール20、20’によって成形される場合、従来の移動部材5のような成形不良または寸法不良の発生のような問題点が発生しないことが発見された。その理由は、ロール成形の際、それぞれのウェブ36、38に対して中空部47の方向に力が作用するが、本発明による湾入部40がこのような力を支持しながら吸収する役目をするからである。
【0027】
前述したように、本発明による湾入部40がU字形に形成され、湾入部40が移動部材35の縦軸に平行に形成される場合、湾入部40が中空部47の方向に作用する力を最も効率よく支持して吸収することが分かった。
【0028】
このように、本発明は従来のロール成形方法をそのまま利用することができるので非常に経済的である。本発明によるスライド30の設置及び作動は従来のスライドと同様であるので、それについての説明は省略する。
【0029】
従来の広幅スライドの場合、横方向モーメントによって中空部の内側方向に変形が発生し、最終のレースウェイ部は設計目標の形状を維持しないか、あるいは外観上設計目標の形状を持つと言っても許容公差内の精密な寸法に差が発生することによりレースウェイ部が成形されない問題がたびたび発生した。レースウェイ部の形状不良または寸法不良の発生の際、移動部材は製造欠陷による不良品となる。
【0030】
しかし、本発明による下部装着型スライド30は、移動部材35の横方向ウェブ36に形成された湾入部40により、中空部47の方向に作用する力を効率よく支持して吸収するため、広幅の下部装着型の場合にも横方向モーメントによって発生する変形を防止し、許容公差内の精密な寸法に差が発生する現象も防止することができる。
【0031】
以下、図6を参照して本発明による下部装着型スライドの製造方法について説明する。
【0032】
まず、移動部材35の横方向の一領域に移動部材35の内部に密着したU字形の湾入部40を形成する(S10)。そして、転がり運動するボール39と結合する第1レースウェイ37を移動部材35の両側に形成する(S20)。ここで、段階S20は従来のロール成形方法と同様な方法による。このように、第1レースウェイ37より湾入部40を先に形成することで、成形不良や寸法不良の発生を防止することができる。
【0033】
以上、本発明の好適な実施例に基づいて本発明を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲内で多様に実施可能である。

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、従来の下部装着型スライドに比べ、ロール成形不良率が減少し、強度を向上させることができ、高荷重にも使用可能な下部装着型スライドを提供する。

【符号の説明】
【0035】
30:下部装着型スライド 32:固定部材
33:第1レースウェイ 34:ボールリテーナー
36:横方向ウェブ 37:第2レースウェイ
38:縦方向ウェブ 39:ボール
40:湾入部 45:レースウェイ部
47:中空部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部装着型スライドにおいて、
複数の第1レースウェイが両側に形成される移動部材と;
転がり運動するボールを介して前記第1レイスウェとそれぞれ結合して前記移動部材をガイドする複数の第2レースウェイが備えられる固定部材と;
前記移動部材と前記固定部材の間に備えられ、前記ボールを収容する収容部とを含み、
前記第1レースウェイの内部に形成された中空部側に湾入した湾入部が前記第1レースウェイ間の一領域に形成されることを特徴とする、下部装着型スライド。
【請求項2】
前記湾入部はU字形に湾入することを特徴とする、請求項1に記載の下部装着型スライド。
【請求項3】
前記移動部材は、横方向ウェブの長さが縦方向ウェブの長さより長いことを特徴とする、請求項1または2に記載の下部装着型スライド。
【請求項4】
前記湾入部は前記移動部材の縦軸に平行に湾入することを特徴とする、請求項1または2に記載の下部装着型スライド。
【請求項5】
前記湾入部は前記第1レースウェイ間の中央に形成されることを特徴とする、請求項4に記載の下部装着型スライド。
【請求項6】
下部装着型スライドに使われる移動部材の製造方法において、
前記移動部材の両側横方向ウェブの内部に形成された中空部側に湾入した湾入部を前記横方向ウェブの一領域に形成する段階;及び
転がり運動するボールと結合するレースウェイを前記移動部材の両側に形成する段階を含むことを特徴とする、移動部材の製造方法。
【請求項7】
前記湾入部はU字形に湾入することを特徴とする、請求項6に記載の移動部材の製造方法。
【請求項8】
前記移動部材は横方向ウェブの長さが縦方向ウェブの長さより長いことを特徴とする、請求項6または7に記載の移動部材の製造方法。
【請求項9】
前記湾入部を形成する段階は、前記湾入部を前記移動部材の縦軸に平行に形成することを特徴とする、請求項6または7に記載の移動部材の製造方法。
【請求項10】
前記湾入部を形成する段階は、前記湾入部を前記レースウェイ間の中央に形成することを特徴とする、請求項9に記載の移動部材の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−527908(P2011−527908A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511525(P2011−511525)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004183
【国際公開番号】WO2010/013924
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(510312721)セゴス カンパニー リミテッド (3)
【出願人】(311013731)
【Fターム(参考)】