不正燃料の判別方法及び装置
【課題】現場で簡易に不正燃料の識別を行う識別方法及び装置であって、信頼のおける測定方法を採用し、不正燃料混入の恐れが高い車両である大型車両や建設機械などが使用される厳しい環境下であってもメンテナンスを不要とする高い耐久性を獲得し、所定期間装置の機能を発揮させることを可能とする識別装置の使用方法及び識別装置を提供することを目的とする。
【解決手段】信頼性が高く、イニシャライズが容易で安価に装置を製造できる色属性値による識別方法を採用する。そして色識別センサーと光源を備えた検出部と判定部、結果伝達部、データ蓄積部を有する色識別装置の検出部を燃料の戻り回路に設置し、エンジン稼働時のみ検出部へ燃料を注入、検出後は直ちに排出する手段を設ける。また、検出部を構成する筺体を光透過性を有する樹脂で封止して振動から電気部品等を保護するのである。
【解決手段】信頼性が高く、イニシャライズが容易で安価に装置を製造できる色属性値による識別方法を採用する。そして色識別センサーと光源を備えた検出部と判定部、結果伝達部、データ蓄積部を有する色識別装置の検出部を燃料の戻り回路に設置し、エンジン稼働時のみ検出部へ燃料を注入、検出後は直ちに排出する手段を設ける。また、検出部を構成する筺体を光透過性を有する樹脂で封止して振動から電気部品等を保護するのである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は不正燃料の判別方法及び装置に関する。より詳しくは、ディーゼルエンジンの燃料として正規の燃料が使用されているかどうかを判別し、不正使用者を特定すると共に、不正軽油の使用を未然に防止する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンを動力とする車両の燃料である軽油には軽油引取税が課せられている。そこで、課税されていない安価な灯油や重油を軽油に混入して製造販売する不正行為が横行している。このような不正軽油の製造、販売及び使用は、悪質な脱税行為であるばかりではなく、大気汚染や有害物質の排出など生活環境に悪影響を与える重大な反社会的行為である。
【0003】
一方「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律」、いわゆる「オフロード法」が2006年10月から施行され、建設機械などの公道を走行しないオフロード車に対しても排出ガスの規制が強化されることになった。
【0004】
この「オフロード法」はまた、エンジンメーカーに対して基準適合エンジンの、車体メーカーに対しては基準適合エンジンを搭載した車両の製作や販売を求めている。又、オフロード車の使用者に対しても、基準に適合した機械の使用、点検整備の実行及び適正燃料の使用などを求めている。
【0005】
というのも、建設機械は使用状態によって排出ガス性能が大きく低下するからである。又、エンジンメーカーが上記オフロード法に適合させるために開発したコモンレールエンジンは燃料として軽油の使用を前提としているため、軽油以外の燃料を使用すると排出ガス基準を満たさないだけでなく、エンジン自体の故障の原因となる恐れが高い。
ところで、建設機械は一般的に非常に高額であり、自社で所有するのではなく、建設機械のレンタル会社からレンタルする場合がほとんどである。自社車両である場合は、点検整備に充分配慮し、適正な燃料を使用するであろうと考えられるが、他者所有の機械には、コストダウンを目的として、不正燃料を使用する恐れが高い。
【0006】
又、不正燃料と知らずに給油して使用しているユーザーや、前のレンタル先での不正軽油が燃料タンクに残っている場合もある。このとき監督官庁の燃料抜き打ち検査が行われて、不正軽油の使用が発見されると工事が強制停止させられることがあり、大規模な建設現場では甚大な損害をこうむる恐れがある。こういった事態を未然に防ぐために、レンタル重機を借り受けるクライアントである建設会社側ではレンタル会社へのレンタル機器に関する徹底管理を求めている。
【0007】
また、こういった善意の使用者を含む、無責任な不正燃料の使用が車両のエンジントラブルを引き起こして高額な修理費用が発生することがある。ところが、不正使用から故障が発覚するまでにはタイムラグがあるため、不正使用者の特定が困難であり、結局車両の所有者であるレンタル会社が高額の修理費用を負担しているのが現状である。
【0008】
そこで、不正軽油の使用を迅速且つ的確に発見、告知、警告すると共に、不正使用者を特定しさらには、不正使用を未然に防ぐ有効な手立てが求められる。
【0009】
従来より、不正軽油の使用防止を目的として、不正軽油の検出方法や装置が開発されている。
(1)平成17年より軽油の硫黄成分が10ppmになったことを受けて、それ以上の濃度の硫黄成分が検出されれば不正軽油と判定する、排気ガス中の硫黄酸化物量を測定して軽油を識別する方法がある(特許文献1)。
【0010】
又、同様に、蛍光X線によって試料中の硫黄濃度を測定する分析方法がある(特許文献2)。
(2)軽油以外の油類に添加されている指示薬クマリンを検出し、紫外線照射による発光の有無を判別し、偽装された軽油を発見する方法がある(特許文献3)。
(3)液量比重を測定し、試料の判定を行う比重測定装置がある(特許文献4)。
(4)さらに、燃料油の屈折率及びその温度を検出し、予め作成した判定表図と照らし合わせて判別を行う方法とその装置に関する発明がある(特許文献5)。
【特許文献1】特開2004−219269号公報
【特許文献2】特開平7−5127号公報
【特許文献3】特開平10−38878号公報
【特許文献4】特開平10−148609号公報
【特許文献5】特開2008−145340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
硫黄濃度計による軽油の判別精度は高いものの、装置自体が高価なうえ測定方法が容易ではなく、専門の技術者による操作を必要とする。
【0012】
一方、クマリン検出装置は安価ではあるが、判定結果が出るまでに時間がかかり、又、紫外線ランプを照射して発色を確認するため暗室で作業を行う必要があり現場で手軽に検出作業を行えない。
【0013】
比重計による判別は測定時の温度の影響を受けやすく、軽油の比重が0.801から0.876、A重油の比重が0.820と近似しているため、軽油とA重油などの混合軽油の判別には適していない。
【0014】
最後に屈折計の値も測定時の温度の影響を受けるために、初期化手順として測定器を20度に設定し、且つ、20度の清水を必要とするなどの手間と時間を要し、混合軽油の判別がやや困難であるといった欠点がある。
【0015】
又、不正軽油を検出した後使用者を特定し、車両エンジンの始動制御を行って不正軽油の使用を防止する装置に関する発明は現在のところなされていない。
【0016】
そこで、本願では温度変化の影響を受けずに、誰でも現場で手軽に短時間で不正軽油使用の有無を判定できる燃料の識別方法及び装置を提供すると共に車両にこの装置を搭載して、軽油の不正使用を発見するとともに不正使用者を特定し、さらに車両エンジンの始動を制御して不正軽油の使用を未然に防止することを目的とするのである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、本願の請求項1では燃料の色の属性値を検出して燃料の識別を行い、不正軽油の使用の有無を判定するのである。そのために請求項2記載の装置は燃料油の色の属性値を検出する色識別センサーと光源を備えた検出部と検出結果から不正軽油の使用の有無を判定する判定部及びその結果を伝達する伝達部を有する構成とし、請求項3記載の装置はこれに検出結果及び判定結果を集計、蓄積するデータ蓄積機能を付加するのである。
【0018】
請求項4記載の発明では、検出結果と判定結果を送受信する通信回線を介して、色識別
装置と通信管理サーバとを接続し、燃料の識別結果を現場で表示、検出データを集積、管理すると共に遠隔地からでも不正使用の場所、使用者、日時を特定し、検出結果や判定結果などのデータを集計、出力するのである。
【0019】
請求項5記載の発明では車両に請求項2又は3記載の燃料の色識別装置を搭載して、燃料の識別を行い不正軽油の使用があるとアラームなどの伝達手段で車両使用者や近傍の者にこれを告知し、さらには燃料回路中にコントローラを配設して燃料を切断するなどのエンジン強制停止機能を設けるのである。
【0020】
請求項6記載の発明では上記車両搭載型色識別装置の燃料検出部を燃料タンクに投入せずに、パイプを介して燃料回路内に接続しエンジンを始動させると同時に燃料を検出部に注入して検査を行い、エンジン停止後にこれを排出する排出口を設けるのである。
【0021】
請求項7記載の発明では、請求項2又は3又は5記載の燃料の色識別装置の判定結果伝達部として表示装置をスケールとカーソルで構成し、スケールには色属性値とそれぞれに対応した燃料名を記載するのである。
【発明の効果】
【0022】
比重計や屈折計など従来の燃料識別装置は測定時の温度影響を受けていたが、本願請求項1記載の軽油の色識別方法は温度の影響を受けにくく、常に安定した色の属性値が得られるため、判定結果に対する信頼度が高い。
【0023】
また、屈折計では困難とされていた混合燃料の判定においても、色識別装置は適応可能である。
【0024】
高価な測定機器を使用することなく、又特別な操作方法や機器の初期化作業も必要なく、現場で手軽に誰にでも簡単、且つ迅速に測定が行え、しかも判定結果が即時表示されるため検査時間が短縮できる。
【0025】
請求項3記載の色識別装置では、車輌搭載型、携帯型識別装置とも、データ蓄積部を有するので、現場でデータを出力し、PCなどで検出結果や判定結果を確認でき、迅速な管理、対応が可能となる。
【0026】
請求項4記載の発明では、識別装置と通信管理サーバを接続することで、識別装置の検査結果をデータ集計し、一元的に集中管理でき、また判定基準の設定変更が容易である。また、移動管理システムと接続することで、不正使用の時期や不正使用者を特定することができ、不正軽油使用の対策に活かすことができる。具体的にはPCに出力すると共に適宜プリントアウトしてこれを提示しながら正規燃料の使用指導、警告を行い、また、レンタル重機損傷時の責任の所在を明確にする際の証拠書類として活用できるのである。
【0027】
請求項5記載の車両搭載型識別装置の構成中に不正軽油検出の際に音声などによる警告を行う装置を設けたので、不正販売された不正燃料と知らずに重機に給油して使用する、いわゆる善意の使用者への告知が確実なものとなる。さらに、燃料回路中に燃料を切断するなどしてエンジンを強制停止するコントローラを配設したので不正軽油がいったん検出されると、不正軽油の使用継続が不可能となる。これにより、適正軽油の使用を前提として開発されてディーゼル車両に搭載されたコモンレールエンジンの損傷を未然に防止し、不適正な排気ガスの排出を防止することができるのである。
【0028】
請求項6記載の車両搭載型色識別装置を燃料タンク内に設置するのではなく、燃料タンク外の燃料回路内に取り付けて検査時にのみ燃料を識別装置内に注入する構成としたため
、車両搭載型でありながら経年変化の影響を最小限に抑えることができ優れた耐久性を有する。
【0029】
又、請求項7では判定結果の伝達方法の一つとして色の属性値と、これに対応する燃料名とを記載したスケールとカーソルからなる表示部を形成したため、現在使用中の燃料がひと目で識別できる。又、カーソルが軽油の適正範囲内にあっても、それが灯油よりあるいは重油よりであるといった判断が可能となる。これは本願で識別がやや困難とされた混合燃料であっても、カーソルがどの燃料よりに位置するかによって混入された燃料の推測が容易となる。
【0030】
本願の燃料識別方法やシステムが普及すると、ディーゼルエンジンの適正燃料としての軽油の使用が促進され、軽油引取税違反などの不法行為がなくなり、またオフロード法が遵守されて法的秩序の維持に貢献でき、ひいては有害物質を含む排気ガスの排出量が抑制され環境保全にも役立つのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に本願の発明を実現するための最良の形態について図や表を参照しながら説明する。
【0032】
本願の不正軽油判定方法は燃料特有の色に着目して油種を判別する方法である。
【0033】
色には色相、彩度及び明度の三要素があるが、軽油はエメラルドグリーン、灯油は透明及びA重油は褐色、黒褐色といったそれぞれ異なる色を有する。それぞれの色の要素を判別することで燃料の種類を特定できるのである。
【0034】
次に述べるのは色の三要素のうち燃料の色相を測定し、Hue値によって燃料油の種類を識別する実施例である。
【0035】
図1は燃料タンク12に投入される携帯型燃料色識別装置の燃料検出部1の正面図である。燃料検出部1は筐体2の内部にフォトセンサー3、光源4及び温度センサー5を有し、筐体2は透明で経年変化に耐えうる素材であって、耐油性を有する素材で形成されている。内部は振動による影響を抑制するために、透明で良好な光透過性を有し、筐体2と同じく経年変化に耐えうる素材、たとえば樹脂モールドなどを充填して封止している。又、光源4としてここでは白色LEDを使用している。
【0036】
コ字型に成型された筐体2の凹部2aに存在する液体11が検出対象となる燃料である。液体11を光源4によって下部から照射し、その色をフォトセンサー3で識別するのである。筐体2の脚部2b、2c内にはそれぞれフォトセンサー3及び光源4が互いに対向する位置に収納されている。フォトセンサー3の支持部材9と光源4の支持部材10の一端は筐体内壁2d、2eに固定され、他端は二枚の基板7、8によって支持固定されている。
【0037】
基板7の上端部7aとマイコンを内蔵した判定部(図示せず)が電気ケーブル6で接続されている。筐体2と電気ケーブル6の接続部2fは筐体内部に燃料が浸潤しないように液密性が保たれている。
【0038】
図2が請求項6記載の車両搭載型燃料色識別装置の燃料検出部13の正面図、図3が右側面概略図である。燃料の色属性を検出する検出部13の主な構成は携帯型色識別装置の検出部1と同様であるため詳説せずに、相違点のみ説明する。
【0039】
携帯型色識別装置の検出部1は測定時に燃料タンク内にこれを投入して検出作業を行う
が、車両搭載型色識別装置では検出部を常時燃料タンク内に投入した状態で放置すると、耐油性や経年変化に不安が残る。そこで、経年変化の影響を最小限に抑えるために、検出部13を燃料タンクに投入せずに、タンク外部に設置してエンジン稼動時にのみ検出部内に燃料を注入する構成としている。
【0040】
具体的には、燃料識別装置の検出部13は燃料回路中に設置する。たとえば図4に示した燃料回路中の燃料噴射ポンプ22の前の19あるいは、燃料タンク21に燃料を戻す前の20などの場所である。
【0041】
形状的には、携帯型色識別装置の検出部1は筐体2をコ字型に成型し、その凹部に存在する燃料油の色属性を検出していたが、車両搭載型色識別装置の検出部13ではこの凹部15が筐体14の外壁14aによって閉じられており、内部にできた空間15に試料となる燃料油を注入する注入口16と排出口17を形成するのである。この注入口16と燃料回路をパイプ(図示せず)で液密に接続して、エンジン稼動と共に、検出部内15に燃料油を注入し、エンジン停止後はこれを排出口17に接続したパイプ(図示せず)から燃料回路へと戻すのである。又、車両搭載型色識別装置の検出部はタンク近傍に取り付け固定する、取り付け孔を有する取り付けフランジ18が四ヶ所設けられている。
【0042】
図5が本願の燃料の色識別装置及び識別システムの構成図である。
【0043】
これによると検出部23では試料となる燃料を採取して、フォトセンサーによって色情報を得る。次にマイコンユニット24で色の属性値に比例して変換された電気信号を取得、処理し、予め検出された燃料の色の属性地に基づいて燃料の識別を行い判定結果を伝達ユニット25によって伝達するのである。
【0044】
伝達方法としては、判定結果を○×で表示したり、ブザーによって警告したり、あるいは点滅光などによる注意喚起が考えられる。
【0045】
さらに、アプリケーションユニット27によって検査結果や判定結果のデータを蓄積し、これをシリアルポートやUSB、SDカード等各種メディアなどの出力媒体で取り出し、PCに出力するのである(28)。
【0046】
本願の請求項1に記載した燃料の識別方法は、色の3つの属性、色相(H)、彩度(S)、明度(V)に基づいて燃料の識別を行うものである。燃料の種類によってそれぞれ色合い(色相)や吸光度(明度)などが異なるため、これらの数値あるいは3つの属性のうち二つ以上を組み合わせて得た数値に基づいて燃料の識別を行うのである。一つの属性値によって識別することも可能であるし、又、これらを組み合わせることでより精度の高い識別が可能となるのである。
【0047】
ところで、燃料をその色属性によって識別するにはその判断基準となる色の属性値を予め求めておく必要がある。ここでは色の三要素のうち色相の値を求めた実験データを示しながら、判断手法について説明する。
【0048】
表1が3つのセンサーを使用して求めた検査対象のHue値と測定時の温度および判別の可否を示したものである。D0からD5は販売地域の異なる灯油、K0からK7が販売地域の異なる軽油、LSAはA重油である。
販売地域は0が奈良、1が仙台、2が東京、3が名古屋、4が広島、5が福岡である。
軽油も異なる地域で販売されているものを使用しており、数字が表す販売地は灯油と同じである。これらの地域に加えて、K6は北海道、K7沖縄で販売された軽油である。軽油は販売地域によって粘度に大きな隔たりがあるため、比較のためこれらの地域を加えたもの
である。
【0049】
この結果から、軽油のHue値は最小値14.9から最大値38.5の間に分布しており、灯油は最小値が44.5、A重油は10.0から11.8までに分布しているためそれぞれのHue値の範囲を軽油14から40、灯油42以上、A重油13までと設定できるのである。このように販売地域の異なる同燃料のHue値を検出してもHue値は一定の範囲内に収まっているため色の属性値、この場合は色相であるHue値を測定することで、燃料の識別が可能であるといえる。
【0050】
【表1】
【0051】
次に、軽油に灯油を混ぜた、いわゆる混合軽油の色識別が可能か否かを実験してみた。その結果が表2である。
【0052】
軽油200gに対して灯油を100gから300gまで、混合割合を変えて混合軽油のHue
値を測定してみると、灯油が33.3%混じった軽油ではHue値38.8を検出し、これは軽油の適正範囲である14から40に入っているため、混合軽油の識別ができていないことがわかる。一方、混合割合が多くなると、Hue値が軽油のHue値の域外となるため、軽油100%でない混合軽油であることが明らかになる。さらに、後述する請求項7記載の表示スケールによりカーソルが灯油よりの軽油を指し示しているので、混合されているのが灯油であろうとの推測ができるのである。
【0053】
また、ここでは同時に屈折計による混合燃料の識別の可否についても実験を行っている。
各燃料の屈折率については予め測定されており、これによると、屈折率の小さい灯油の最大値が、1.4465、屈折率の大きいA重油の最小値が1.4635なので軽油の屈折率は、1.4470から1.4630までが適正範囲内であることになる。
【0054】
こうして求めた各種燃料の屈折率の適正範囲を基にして燃料の識別を行ってみたが、灯油割合が次第に増えていって60%を超えても屈折計が検出した屈折率は1.4486と軽油の屈折率を示しており、屈折計では混合軽油の識別ができていないことがわかる。従来から指摘されていた混合軽油の識別が困難であるという、屈折計の欠点を裏付ける結果となっている。
【0055】
【表2】
【0056】
次に示す表3は軽油とA重油の混合燃料についての実験結果である。軽油200gに徐々に量を増やしながらA重油を混入して様々な割合の混合軽油を製造し、Hue値と屈折計によって測定した値を記載している。
【0057】
これによると33%より低い割合で軽油にA重油が混入されていると混合軽油であるにもかかわらず、軽油のHue値の適正範囲内(14から40)の数値が測定されており、混合軽油であることが識別できていないが、混合割合が50%を超えてからはHue値にA重油の影響が現れ、軽油100%でないことが確認できまた、後述する請求項7記載の表示スケールを使用することで、カーソルがA重油よりの軽油を指し示すので、混合燃料がA重油であると推定できるのである。一方、屈折計によって検出された値は、A重油の混合割合がいかなるものであって、軽油の屈折率の適正範囲内である、1.4470から1.4630の数値が検出され、混合軽油であることが全く識別されていないことがわかる。
【0058】
【表3】
【0059】
比重計、屈折計での燃料識別方法は測定時の温度の影響を受けやすいことは前述した。一方、色識別方法による測定は温度の影響を受けにくい。それを裏付ける実験結果を次に示す。表4ではA重油、灯油、軽油について、測定時の温度を変えてHue値を測定したが、検出結果にはほとんど変化が見られない。この結果をグラフにしたものが図7である。それぞれのHue値をあらわす傍線はほぼすべて横ばいになっており、色判別による検出方法は測定時の温度の影響をほとんど受けないことが確認できた。
【0060】
【表4】
【0061】
同様に、販売地の異なる各種軽油についても測定時の温度を変えてHue値に変化が現れるかどうかを確かめた。その結果が次に示す表5、表6である。
【0062】
軽油の販売地域はK0が奈良、K1仙台、K2東京、K3名古屋、K4広島、K5福岡である。軽油の販売地域によってHue値は異なるものの、どれも測定時の温度の影響をうけておらず、測定値は軽油のHue値の適正範囲内を示している。温度によるHue値の変化をグラフにしたものが図8、図9であるが、いずれも棒線はほぼ横ばいで色識別による測定値は測定時の温度の影響をほとんど受けないといえるのである。軽油の温度変化に対応するHue値の変動率は5%前後あり、他の燃料と比較すると変動率が高く、たとえば、K2軽油東京やK5軽油福岡のHue値の温度変化を表すグラフにはやや勾配が現れているが、表1で求めたように軽油のHue値の範囲は14から40と非常に幅があり、数値的にはいずれも軽油の適正範囲内である。
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
次に、色識別装置の作動手順について説明する。図10が携帯型色識別装置の作動手順を示すフロー図である。適宜、装置およびシステムの構成図である図5を参照する。携帯型、車両搭載型とも電源ユニット26と接続されている。電源として携帯型は乾電池、車両搭載型はバッテリあるいは乾電池を使用する。手順29では携帯型識別装置の電源をつ
けると燃料識別装置のイニシャライズが行われる。判別機は製造段階では空気のHue値を示すように設定されているため、ユーザー段階においてはユーザーの軽油で判別機を校正する必要があるからである(手順30)。リセット後は、数秒内に複数回の測定が行われ、その平均値が現在の燃料のHue値として検出される。検出結果はマイコンユニット24によって演算され、判定結果が伝達ユニット25に伝えられ(手順31)、正常軽油あるいは不正軽油の判定結果が示される(手順38、39)。判定結果の伝達方法は、カーソルとスケールから構成される請求項7記載の表示スケールによる表示が適している。この表示スケール32(図6)は下端32aにHue値が記載され、スケール内32bには燃料名が記載されている。又、それぞれの燃料の上限や下限を示す仕切りが明記(33、34、35、36)されており、スケール上を左右に移動するカーソル37によって判定結果がスケール32上に示される。この表示スケール32によると、ユーザーは判定結果と、使用している燃料が、重油よりかあるいは灯油よりかがひと目で認識できるのである。色による燃料識別装置が不得意であった30%以下の混合率の混合燃料であっても、軽油に混入されている燃料の種別の推定が容易に判断できるのである。その他の判定結果の伝達方法としては、正常軽油であれば○、それ以外は×を表示する、○×表示が、考えられる。あるいは、適正軽油でない場合は、注意を喚起するために点滅表示あるいはブザーによる警告を行っても良い(手順40)。さらには判定結果に加えて、検出されたHue値をデジタル表示する構成としてもよい。識別結果を表示することで検査者は適正燃料が使用されているか否かの判断が容易となる。
【0066】
ここまでの図10に示した作動手順が請求項2に記載した色識別装置の作動手順である。これに加えて請求項3記載の識別装置では検出結果と判定結果を集計、蓄積するデータ蓄積機能を付け加えたため(手順41)装置に蓄積されたデータを予め収納しておいたSDカードの取り出し、あるいは、シリアルポート、USBなどの出力手段によってデータを取り出してコンピューターに出力し(手順42)、不正軽油の使用の有無を確認するのである(手順43、44)。これは車両使用者と車両の管理者が異なる場合に有効な手段となる。即ち、車両使用者が密かに、安価な不正軽油を給油していても、この段階で発見、これを指摘し、改善指導を行うなどの迅速な対応が可能となるからである。
【0067】
車両搭載型色識別装置のシステム構成及び作動手順を示すフロー図が図5及び図11である。前述した車両搭載型色識別装置の検出部を車両の燃料タンク近傍に取り付ける。車両のスタータスィッチを入れると(手順45)、識別装置のイニシャライズが行われる。エンジン稼動と共に、色識別装置の検出部内に燃料回路から燃料が注入され検査が行われる。この検査はメインスィッチが入るたびに一度だけ行われる設定となっている。携帯型識別装置同様、瞬時に複数回の測定が行われその平均値が検出結果として表示される。検出結果から使用中の燃料の適否が判断されると車内あるいは車外の、外部から視認できる場所に取り付けたLCD表示部に判定結果が表示され(手順46、47)、不正軽油と判断されたときはブザー音によって車両使用者に告知を行う(手順48)。車両搭載型にアラーム機能(図5、49)を付加した理由は、携帯型識別装置では、検査員が必ず検査結果を確認するが、車両搭載型の場合は知らずに不正燃料を使用する、いわゆる善意の使用者はLCD表示を確認しないおそれがあり、その場合でも確実に不正燃料の使用を伝達、告知する必要があるからである。但し、携帯型識別装置であっても、LCD表示のみならず、ブザーなどの音声による告知を行う構成としても良いことは勿論である。車両搭載型の請求項2記載の色識別装置の作動手順は、ここまでであるが、これに加えて、請求項3記載の、データ蓄積機能を有する車両搭載型色識別装置は、検出結果や判定結果をデータとして蓄積し(手順50)、前述のデータ出力手段によってコンピューターへ出力し、(手順54)車両の管理者は使用者が適正な燃料を使用しているか否かの確認管理が行えるのである(図5、28)。
【0068】
請求項5記載の車両搭載型色識別装置では、不正軽油と判定されるとエンジンが強制停
止する仕組みとなっている(手順51)。不正軽油の使用と判定されると、車両の燃料回路中に配列されたエンジンを停止させるコントローラが、燃料を切ってエンジンを強制停止させるのである(図5、52)。たとえば、噴射ノズルに取り付けたソレノイドが燃料を遮断するのである。このように不正軽油の使用が発見されるとエンジンを強制停止する構成としたことで、ディーゼル車両に搭載されている軽油の使用を前提として設計されたコモンレールエンジンの損傷を未然に防ぎ、汚染空気の排出も防止できるのである。
また、レンタル重機などに、燃料のコストダウンを目的として故意に不正軽油を給油し、不正軽油との判別結果を無視して使用を継続しようとする悪質な使用者の使用を確実に防止できるのである。
【0069】
請求項4記載の燃料色識別システムでは、携帯型、車両搭載型色識別装置ともアプリケーションユニット27として検出結果及び判定結果を送受信する通信回線を介して通信管理サーバと接続しており(図5、55)、管理サーバに検出結果や判定結果などのデータを送信(手順53)集積、管理できる。測定結果を一元的に集中管理できると共に遠隔地においても識別装置の使用者のアドレスを管理し、不正使用の発見、データの管理が行えるのである。さらに、判定基準となる色属性の設定、変更や演算プログラムの設定、変更が一箇所で行えて便利である。
【0070】
アプリケーションユニット27を通信管理システム55と接続することで色識別による測定を行った場所や日時を特定でき、今まで、困難とされていたレンタル重機への不正軽油使用者の特定が可能となるのである。又、データをPCに出力(手順54)して管理し、適宜プリントアウトして軽油の不正使用者に提示し、適正軽油の使用指導、警告又はその後の証拠書類として有効に使えるのである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本願の燃料色識別方法及び装置は、燃料の識別、特にディーゼルエンジンを搭載した車両に、適正燃料である軽油が使用されているか否かを識別する際に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】携帯型色識別装置燃料検出部の正面図。
【図2】車両搭載型色識別装置燃料検出部の正面図。
【図3】同、右側面概略図。
【図4】車両搭載型燃料色識別装置の燃料回路内の設置場所を示す説明図。
【図5】軽油識別装置及びシステムの構成を示すブロック図。
【図6】表示スケールの説明図。
【図7】燃料のHue値の温度変化を示すグラフ。
【図8】販売地域の異なる軽油のHue値の温度変化を示すグラフ。
【図9】販売地域の異なる軽油のHue値の温度変化を示すグラフ。
【図10】携帯型色識別装置の作動手順を示すフロー図。
【図11】車両搭載型色識別装置の作動手順を示すフロー図。
【符号の説明】
【0073】
1、携帯型燃料色識別装置燃料検出部
2、14、筐体
3、フォトセンサー
4、光源
5、温度センサー
6、電気ケーブル
7、8、基板
9、10、支持部材
13、車両搭載型燃料色識別装置燃料検出部
16、燃料注入口
17、燃料排出口
18、取り付けフランジ
32、表示スケール
37、カーソル
【技術分野】
【0001】
この発明は不正燃料の判別方法及び装置に関する。より詳しくは、ディーゼルエンジンの燃料として正規の燃料が使用されているかどうかを判別し、不正使用者を特定すると共に、不正軽油の使用を未然に防止する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンを動力とする車両の燃料である軽油には軽油引取税が課せられている。そこで、課税されていない安価な灯油や重油を軽油に混入して製造販売する不正行為が横行している。このような不正軽油の製造、販売及び使用は、悪質な脱税行為であるばかりではなく、大気汚染や有害物質の排出など生活環境に悪影響を与える重大な反社会的行為である。
【0003】
一方「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律」、いわゆる「オフロード法」が2006年10月から施行され、建設機械などの公道を走行しないオフロード車に対しても排出ガスの規制が強化されることになった。
【0004】
この「オフロード法」はまた、エンジンメーカーに対して基準適合エンジンの、車体メーカーに対しては基準適合エンジンを搭載した車両の製作や販売を求めている。又、オフロード車の使用者に対しても、基準に適合した機械の使用、点検整備の実行及び適正燃料の使用などを求めている。
【0005】
というのも、建設機械は使用状態によって排出ガス性能が大きく低下するからである。又、エンジンメーカーが上記オフロード法に適合させるために開発したコモンレールエンジンは燃料として軽油の使用を前提としているため、軽油以外の燃料を使用すると排出ガス基準を満たさないだけでなく、エンジン自体の故障の原因となる恐れが高い。
ところで、建設機械は一般的に非常に高額であり、自社で所有するのではなく、建設機械のレンタル会社からレンタルする場合がほとんどである。自社車両である場合は、点検整備に充分配慮し、適正な燃料を使用するであろうと考えられるが、他者所有の機械には、コストダウンを目的として、不正燃料を使用する恐れが高い。
【0006】
又、不正燃料と知らずに給油して使用しているユーザーや、前のレンタル先での不正軽油が燃料タンクに残っている場合もある。このとき監督官庁の燃料抜き打ち検査が行われて、不正軽油の使用が発見されると工事が強制停止させられることがあり、大規模な建設現場では甚大な損害をこうむる恐れがある。こういった事態を未然に防ぐために、レンタル重機を借り受けるクライアントである建設会社側ではレンタル会社へのレンタル機器に関する徹底管理を求めている。
【0007】
また、こういった善意の使用者を含む、無責任な不正燃料の使用が車両のエンジントラブルを引き起こして高額な修理費用が発生することがある。ところが、不正使用から故障が発覚するまでにはタイムラグがあるため、不正使用者の特定が困難であり、結局車両の所有者であるレンタル会社が高額の修理費用を負担しているのが現状である。
【0008】
そこで、不正軽油の使用を迅速且つ的確に発見、告知、警告すると共に、不正使用者を特定しさらには、不正使用を未然に防ぐ有効な手立てが求められる。
【0009】
従来より、不正軽油の使用防止を目的として、不正軽油の検出方法や装置が開発されている。
(1)平成17年より軽油の硫黄成分が10ppmになったことを受けて、それ以上の濃度の硫黄成分が検出されれば不正軽油と判定する、排気ガス中の硫黄酸化物量を測定して軽油を識別する方法がある(特許文献1)。
【0010】
又、同様に、蛍光X線によって試料中の硫黄濃度を測定する分析方法がある(特許文献2)。
(2)軽油以外の油類に添加されている指示薬クマリンを検出し、紫外線照射による発光の有無を判別し、偽装された軽油を発見する方法がある(特許文献3)。
(3)液量比重を測定し、試料の判定を行う比重測定装置がある(特許文献4)。
(4)さらに、燃料油の屈折率及びその温度を検出し、予め作成した判定表図と照らし合わせて判別を行う方法とその装置に関する発明がある(特許文献5)。
【特許文献1】特開2004−219269号公報
【特許文献2】特開平7−5127号公報
【特許文献3】特開平10−38878号公報
【特許文献4】特開平10−148609号公報
【特許文献5】特開2008−145340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
硫黄濃度計による軽油の判別精度は高いものの、装置自体が高価なうえ測定方法が容易ではなく、専門の技術者による操作を必要とする。
【0012】
一方、クマリン検出装置は安価ではあるが、判定結果が出るまでに時間がかかり、又、紫外線ランプを照射して発色を確認するため暗室で作業を行う必要があり現場で手軽に検出作業を行えない。
【0013】
比重計による判別は測定時の温度の影響を受けやすく、軽油の比重が0.801から0.876、A重油の比重が0.820と近似しているため、軽油とA重油などの混合軽油の判別には適していない。
【0014】
最後に屈折計の値も測定時の温度の影響を受けるために、初期化手順として測定器を20度に設定し、且つ、20度の清水を必要とするなどの手間と時間を要し、混合軽油の判別がやや困難であるといった欠点がある。
【0015】
又、不正軽油を検出した後使用者を特定し、車両エンジンの始動制御を行って不正軽油の使用を防止する装置に関する発明は現在のところなされていない。
【0016】
そこで、本願では温度変化の影響を受けずに、誰でも現場で手軽に短時間で不正軽油使用の有無を判定できる燃料の識別方法及び装置を提供すると共に車両にこの装置を搭載して、軽油の不正使用を発見するとともに不正使用者を特定し、さらに車両エンジンの始動を制御して不正軽油の使用を未然に防止することを目的とするのである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、本願の請求項1では燃料の色の属性値を検出して燃料の識別を行い、不正軽油の使用の有無を判定するのである。そのために請求項2記載の装置は燃料油の色の属性値を検出する色識別センサーと光源を備えた検出部と検出結果から不正軽油の使用の有無を判定する判定部及びその結果を伝達する伝達部を有する構成とし、請求項3記載の装置はこれに検出結果及び判定結果を集計、蓄積するデータ蓄積機能を付加するのである。
【0018】
請求項4記載の発明では、検出結果と判定結果を送受信する通信回線を介して、色識別
装置と通信管理サーバとを接続し、燃料の識別結果を現場で表示、検出データを集積、管理すると共に遠隔地からでも不正使用の場所、使用者、日時を特定し、検出結果や判定結果などのデータを集計、出力するのである。
【0019】
請求項5記載の発明では車両に請求項2又は3記載の燃料の色識別装置を搭載して、燃料の識別を行い不正軽油の使用があるとアラームなどの伝達手段で車両使用者や近傍の者にこれを告知し、さらには燃料回路中にコントローラを配設して燃料を切断するなどのエンジン強制停止機能を設けるのである。
【0020】
請求項6記載の発明では上記車両搭載型色識別装置の燃料検出部を燃料タンクに投入せずに、パイプを介して燃料回路内に接続しエンジンを始動させると同時に燃料を検出部に注入して検査を行い、エンジン停止後にこれを排出する排出口を設けるのである。
【0021】
請求項7記載の発明では、請求項2又は3又は5記載の燃料の色識別装置の判定結果伝達部として表示装置をスケールとカーソルで構成し、スケールには色属性値とそれぞれに対応した燃料名を記載するのである。
【発明の効果】
【0022】
比重計や屈折計など従来の燃料識別装置は測定時の温度影響を受けていたが、本願請求項1記載の軽油の色識別方法は温度の影響を受けにくく、常に安定した色の属性値が得られるため、判定結果に対する信頼度が高い。
【0023】
また、屈折計では困難とされていた混合燃料の判定においても、色識別装置は適応可能である。
【0024】
高価な測定機器を使用することなく、又特別な操作方法や機器の初期化作業も必要なく、現場で手軽に誰にでも簡単、且つ迅速に測定が行え、しかも判定結果が即時表示されるため検査時間が短縮できる。
【0025】
請求項3記載の色識別装置では、車輌搭載型、携帯型識別装置とも、データ蓄積部を有するので、現場でデータを出力し、PCなどで検出結果や判定結果を確認でき、迅速な管理、対応が可能となる。
【0026】
請求項4記載の発明では、識別装置と通信管理サーバを接続することで、識別装置の検査結果をデータ集計し、一元的に集中管理でき、また判定基準の設定変更が容易である。また、移動管理システムと接続することで、不正使用の時期や不正使用者を特定することができ、不正軽油使用の対策に活かすことができる。具体的にはPCに出力すると共に適宜プリントアウトしてこれを提示しながら正規燃料の使用指導、警告を行い、また、レンタル重機損傷時の責任の所在を明確にする際の証拠書類として活用できるのである。
【0027】
請求項5記載の車両搭載型識別装置の構成中に不正軽油検出の際に音声などによる警告を行う装置を設けたので、不正販売された不正燃料と知らずに重機に給油して使用する、いわゆる善意の使用者への告知が確実なものとなる。さらに、燃料回路中に燃料を切断するなどしてエンジンを強制停止するコントローラを配設したので不正軽油がいったん検出されると、不正軽油の使用継続が不可能となる。これにより、適正軽油の使用を前提として開発されてディーゼル車両に搭載されたコモンレールエンジンの損傷を未然に防止し、不適正な排気ガスの排出を防止することができるのである。
【0028】
請求項6記載の車両搭載型色識別装置を燃料タンク内に設置するのではなく、燃料タンク外の燃料回路内に取り付けて検査時にのみ燃料を識別装置内に注入する構成としたため
、車両搭載型でありながら経年変化の影響を最小限に抑えることができ優れた耐久性を有する。
【0029】
又、請求項7では判定結果の伝達方法の一つとして色の属性値と、これに対応する燃料名とを記載したスケールとカーソルからなる表示部を形成したため、現在使用中の燃料がひと目で識別できる。又、カーソルが軽油の適正範囲内にあっても、それが灯油よりあるいは重油よりであるといった判断が可能となる。これは本願で識別がやや困難とされた混合燃料であっても、カーソルがどの燃料よりに位置するかによって混入された燃料の推測が容易となる。
【0030】
本願の燃料識別方法やシステムが普及すると、ディーゼルエンジンの適正燃料としての軽油の使用が促進され、軽油引取税違反などの不法行為がなくなり、またオフロード法が遵守されて法的秩序の維持に貢献でき、ひいては有害物質を含む排気ガスの排出量が抑制され環境保全にも役立つのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に本願の発明を実現するための最良の形態について図や表を参照しながら説明する。
【0032】
本願の不正軽油判定方法は燃料特有の色に着目して油種を判別する方法である。
【0033】
色には色相、彩度及び明度の三要素があるが、軽油はエメラルドグリーン、灯油は透明及びA重油は褐色、黒褐色といったそれぞれ異なる色を有する。それぞれの色の要素を判別することで燃料の種類を特定できるのである。
【0034】
次に述べるのは色の三要素のうち燃料の色相を測定し、Hue値によって燃料油の種類を識別する実施例である。
【0035】
図1は燃料タンク12に投入される携帯型燃料色識別装置の燃料検出部1の正面図である。燃料検出部1は筐体2の内部にフォトセンサー3、光源4及び温度センサー5を有し、筐体2は透明で経年変化に耐えうる素材であって、耐油性を有する素材で形成されている。内部は振動による影響を抑制するために、透明で良好な光透過性を有し、筐体2と同じく経年変化に耐えうる素材、たとえば樹脂モールドなどを充填して封止している。又、光源4としてここでは白色LEDを使用している。
【0036】
コ字型に成型された筐体2の凹部2aに存在する液体11が検出対象となる燃料である。液体11を光源4によって下部から照射し、その色をフォトセンサー3で識別するのである。筐体2の脚部2b、2c内にはそれぞれフォトセンサー3及び光源4が互いに対向する位置に収納されている。フォトセンサー3の支持部材9と光源4の支持部材10の一端は筐体内壁2d、2eに固定され、他端は二枚の基板7、8によって支持固定されている。
【0037】
基板7の上端部7aとマイコンを内蔵した判定部(図示せず)が電気ケーブル6で接続されている。筐体2と電気ケーブル6の接続部2fは筐体内部に燃料が浸潤しないように液密性が保たれている。
【0038】
図2が請求項6記載の車両搭載型燃料色識別装置の燃料検出部13の正面図、図3が右側面概略図である。燃料の色属性を検出する検出部13の主な構成は携帯型色識別装置の検出部1と同様であるため詳説せずに、相違点のみ説明する。
【0039】
携帯型色識別装置の検出部1は測定時に燃料タンク内にこれを投入して検出作業を行う
が、車両搭載型色識別装置では検出部を常時燃料タンク内に投入した状態で放置すると、耐油性や経年変化に不安が残る。そこで、経年変化の影響を最小限に抑えるために、検出部13を燃料タンクに投入せずに、タンク外部に設置してエンジン稼動時にのみ検出部内に燃料を注入する構成としている。
【0040】
具体的には、燃料識別装置の検出部13は燃料回路中に設置する。たとえば図4に示した燃料回路中の燃料噴射ポンプ22の前の19あるいは、燃料タンク21に燃料を戻す前の20などの場所である。
【0041】
形状的には、携帯型色識別装置の検出部1は筐体2をコ字型に成型し、その凹部に存在する燃料油の色属性を検出していたが、車両搭載型色識別装置の検出部13ではこの凹部15が筐体14の外壁14aによって閉じられており、内部にできた空間15に試料となる燃料油を注入する注入口16と排出口17を形成するのである。この注入口16と燃料回路をパイプ(図示せず)で液密に接続して、エンジン稼動と共に、検出部内15に燃料油を注入し、エンジン停止後はこれを排出口17に接続したパイプ(図示せず)から燃料回路へと戻すのである。又、車両搭載型色識別装置の検出部はタンク近傍に取り付け固定する、取り付け孔を有する取り付けフランジ18が四ヶ所設けられている。
【0042】
図5が本願の燃料の色識別装置及び識別システムの構成図である。
【0043】
これによると検出部23では試料となる燃料を採取して、フォトセンサーによって色情報を得る。次にマイコンユニット24で色の属性値に比例して変換された電気信号を取得、処理し、予め検出された燃料の色の属性地に基づいて燃料の識別を行い判定結果を伝達ユニット25によって伝達するのである。
【0044】
伝達方法としては、判定結果を○×で表示したり、ブザーによって警告したり、あるいは点滅光などによる注意喚起が考えられる。
【0045】
さらに、アプリケーションユニット27によって検査結果や判定結果のデータを蓄積し、これをシリアルポートやUSB、SDカード等各種メディアなどの出力媒体で取り出し、PCに出力するのである(28)。
【0046】
本願の請求項1に記載した燃料の識別方法は、色の3つの属性、色相(H)、彩度(S)、明度(V)に基づいて燃料の識別を行うものである。燃料の種類によってそれぞれ色合い(色相)や吸光度(明度)などが異なるため、これらの数値あるいは3つの属性のうち二つ以上を組み合わせて得た数値に基づいて燃料の識別を行うのである。一つの属性値によって識別することも可能であるし、又、これらを組み合わせることでより精度の高い識別が可能となるのである。
【0047】
ところで、燃料をその色属性によって識別するにはその判断基準となる色の属性値を予め求めておく必要がある。ここでは色の三要素のうち色相の値を求めた実験データを示しながら、判断手法について説明する。
【0048】
表1が3つのセンサーを使用して求めた検査対象のHue値と測定時の温度および判別の可否を示したものである。D0からD5は販売地域の異なる灯油、K0からK7が販売地域の異なる軽油、LSAはA重油である。
販売地域は0が奈良、1が仙台、2が東京、3が名古屋、4が広島、5が福岡である。
軽油も異なる地域で販売されているものを使用しており、数字が表す販売地は灯油と同じである。これらの地域に加えて、K6は北海道、K7沖縄で販売された軽油である。軽油は販売地域によって粘度に大きな隔たりがあるため、比較のためこれらの地域を加えたもの
である。
【0049】
この結果から、軽油のHue値は最小値14.9から最大値38.5の間に分布しており、灯油は最小値が44.5、A重油は10.0から11.8までに分布しているためそれぞれのHue値の範囲を軽油14から40、灯油42以上、A重油13までと設定できるのである。このように販売地域の異なる同燃料のHue値を検出してもHue値は一定の範囲内に収まっているため色の属性値、この場合は色相であるHue値を測定することで、燃料の識別が可能であるといえる。
【0050】
【表1】
【0051】
次に、軽油に灯油を混ぜた、いわゆる混合軽油の色識別が可能か否かを実験してみた。その結果が表2である。
【0052】
軽油200gに対して灯油を100gから300gまで、混合割合を変えて混合軽油のHue
値を測定してみると、灯油が33.3%混じった軽油ではHue値38.8を検出し、これは軽油の適正範囲である14から40に入っているため、混合軽油の識別ができていないことがわかる。一方、混合割合が多くなると、Hue値が軽油のHue値の域外となるため、軽油100%でない混合軽油であることが明らかになる。さらに、後述する請求項7記載の表示スケールによりカーソルが灯油よりの軽油を指し示しているので、混合されているのが灯油であろうとの推測ができるのである。
【0053】
また、ここでは同時に屈折計による混合燃料の識別の可否についても実験を行っている。
各燃料の屈折率については予め測定されており、これによると、屈折率の小さい灯油の最大値が、1.4465、屈折率の大きいA重油の最小値が1.4635なので軽油の屈折率は、1.4470から1.4630までが適正範囲内であることになる。
【0054】
こうして求めた各種燃料の屈折率の適正範囲を基にして燃料の識別を行ってみたが、灯油割合が次第に増えていって60%を超えても屈折計が検出した屈折率は1.4486と軽油の屈折率を示しており、屈折計では混合軽油の識別ができていないことがわかる。従来から指摘されていた混合軽油の識別が困難であるという、屈折計の欠点を裏付ける結果となっている。
【0055】
【表2】
【0056】
次に示す表3は軽油とA重油の混合燃料についての実験結果である。軽油200gに徐々に量を増やしながらA重油を混入して様々な割合の混合軽油を製造し、Hue値と屈折計によって測定した値を記載している。
【0057】
これによると33%より低い割合で軽油にA重油が混入されていると混合軽油であるにもかかわらず、軽油のHue値の適正範囲内(14から40)の数値が測定されており、混合軽油であることが識別できていないが、混合割合が50%を超えてからはHue値にA重油の影響が現れ、軽油100%でないことが確認できまた、後述する請求項7記載の表示スケールを使用することで、カーソルがA重油よりの軽油を指し示すので、混合燃料がA重油であると推定できるのである。一方、屈折計によって検出された値は、A重油の混合割合がいかなるものであって、軽油の屈折率の適正範囲内である、1.4470から1.4630の数値が検出され、混合軽油であることが全く識別されていないことがわかる。
【0058】
【表3】
【0059】
比重計、屈折計での燃料識別方法は測定時の温度の影響を受けやすいことは前述した。一方、色識別方法による測定は温度の影響を受けにくい。それを裏付ける実験結果を次に示す。表4ではA重油、灯油、軽油について、測定時の温度を変えてHue値を測定したが、検出結果にはほとんど変化が見られない。この結果をグラフにしたものが図7である。それぞれのHue値をあらわす傍線はほぼすべて横ばいになっており、色判別による検出方法は測定時の温度の影響をほとんど受けないことが確認できた。
【0060】
【表4】
【0061】
同様に、販売地の異なる各種軽油についても測定時の温度を変えてHue値に変化が現れるかどうかを確かめた。その結果が次に示す表5、表6である。
【0062】
軽油の販売地域はK0が奈良、K1仙台、K2東京、K3名古屋、K4広島、K5福岡である。軽油の販売地域によってHue値は異なるものの、どれも測定時の温度の影響をうけておらず、測定値は軽油のHue値の適正範囲内を示している。温度によるHue値の変化をグラフにしたものが図8、図9であるが、いずれも棒線はほぼ横ばいで色識別による測定値は測定時の温度の影響をほとんど受けないといえるのである。軽油の温度変化に対応するHue値の変動率は5%前後あり、他の燃料と比較すると変動率が高く、たとえば、K2軽油東京やK5軽油福岡のHue値の温度変化を表すグラフにはやや勾配が現れているが、表1で求めたように軽油のHue値の範囲は14から40と非常に幅があり、数値的にはいずれも軽油の適正範囲内である。
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
次に、色識別装置の作動手順について説明する。図10が携帯型色識別装置の作動手順を示すフロー図である。適宜、装置およびシステムの構成図である図5を参照する。携帯型、車両搭載型とも電源ユニット26と接続されている。電源として携帯型は乾電池、車両搭載型はバッテリあるいは乾電池を使用する。手順29では携帯型識別装置の電源をつ
けると燃料識別装置のイニシャライズが行われる。判別機は製造段階では空気のHue値を示すように設定されているため、ユーザー段階においてはユーザーの軽油で判別機を校正する必要があるからである(手順30)。リセット後は、数秒内に複数回の測定が行われ、その平均値が現在の燃料のHue値として検出される。検出結果はマイコンユニット24によって演算され、判定結果が伝達ユニット25に伝えられ(手順31)、正常軽油あるいは不正軽油の判定結果が示される(手順38、39)。判定結果の伝達方法は、カーソルとスケールから構成される請求項7記載の表示スケールによる表示が適している。この表示スケール32(図6)は下端32aにHue値が記載され、スケール内32bには燃料名が記載されている。又、それぞれの燃料の上限や下限を示す仕切りが明記(33、34、35、36)されており、スケール上を左右に移動するカーソル37によって判定結果がスケール32上に示される。この表示スケール32によると、ユーザーは判定結果と、使用している燃料が、重油よりかあるいは灯油よりかがひと目で認識できるのである。色による燃料識別装置が不得意であった30%以下の混合率の混合燃料であっても、軽油に混入されている燃料の種別の推定が容易に判断できるのである。その他の判定結果の伝達方法としては、正常軽油であれば○、それ以外は×を表示する、○×表示が、考えられる。あるいは、適正軽油でない場合は、注意を喚起するために点滅表示あるいはブザーによる警告を行っても良い(手順40)。さらには判定結果に加えて、検出されたHue値をデジタル表示する構成としてもよい。識別結果を表示することで検査者は適正燃料が使用されているか否かの判断が容易となる。
【0066】
ここまでの図10に示した作動手順が請求項2に記載した色識別装置の作動手順である。これに加えて請求項3記載の識別装置では検出結果と判定結果を集計、蓄積するデータ蓄積機能を付け加えたため(手順41)装置に蓄積されたデータを予め収納しておいたSDカードの取り出し、あるいは、シリアルポート、USBなどの出力手段によってデータを取り出してコンピューターに出力し(手順42)、不正軽油の使用の有無を確認するのである(手順43、44)。これは車両使用者と車両の管理者が異なる場合に有効な手段となる。即ち、車両使用者が密かに、安価な不正軽油を給油していても、この段階で発見、これを指摘し、改善指導を行うなどの迅速な対応が可能となるからである。
【0067】
車両搭載型色識別装置のシステム構成及び作動手順を示すフロー図が図5及び図11である。前述した車両搭載型色識別装置の検出部を車両の燃料タンク近傍に取り付ける。車両のスタータスィッチを入れると(手順45)、識別装置のイニシャライズが行われる。エンジン稼動と共に、色識別装置の検出部内に燃料回路から燃料が注入され検査が行われる。この検査はメインスィッチが入るたびに一度だけ行われる設定となっている。携帯型識別装置同様、瞬時に複数回の測定が行われその平均値が検出結果として表示される。検出結果から使用中の燃料の適否が判断されると車内あるいは車外の、外部から視認できる場所に取り付けたLCD表示部に判定結果が表示され(手順46、47)、不正軽油と判断されたときはブザー音によって車両使用者に告知を行う(手順48)。車両搭載型にアラーム機能(図5、49)を付加した理由は、携帯型識別装置では、検査員が必ず検査結果を確認するが、車両搭載型の場合は知らずに不正燃料を使用する、いわゆる善意の使用者はLCD表示を確認しないおそれがあり、その場合でも確実に不正燃料の使用を伝達、告知する必要があるからである。但し、携帯型識別装置であっても、LCD表示のみならず、ブザーなどの音声による告知を行う構成としても良いことは勿論である。車両搭載型の請求項2記載の色識別装置の作動手順は、ここまでであるが、これに加えて、請求項3記載の、データ蓄積機能を有する車両搭載型色識別装置は、検出結果や判定結果をデータとして蓄積し(手順50)、前述のデータ出力手段によってコンピューターへ出力し、(手順54)車両の管理者は使用者が適正な燃料を使用しているか否かの確認管理が行えるのである(図5、28)。
【0068】
請求項5記載の車両搭載型色識別装置では、不正軽油と判定されるとエンジンが強制停
止する仕組みとなっている(手順51)。不正軽油の使用と判定されると、車両の燃料回路中に配列されたエンジンを停止させるコントローラが、燃料を切ってエンジンを強制停止させるのである(図5、52)。たとえば、噴射ノズルに取り付けたソレノイドが燃料を遮断するのである。このように不正軽油の使用が発見されるとエンジンを強制停止する構成としたことで、ディーゼル車両に搭載されている軽油の使用を前提として設計されたコモンレールエンジンの損傷を未然に防ぎ、汚染空気の排出も防止できるのである。
また、レンタル重機などに、燃料のコストダウンを目的として故意に不正軽油を給油し、不正軽油との判別結果を無視して使用を継続しようとする悪質な使用者の使用を確実に防止できるのである。
【0069】
請求項4記載の燃料色識別システムでは、携帯型、車両搭載型色識別装置ともアプリケーションユニット27として検出結果及び判定結果を送受信する通信回線を介して通信管理サーバと接続しており(図5、55)、管理サーバに検出結果や判定結果などのデータを送信(手順53)集積、管理できる。測定結果を一元的に集中管理できると共に遠隔地においても識別装置の使用者のアドレスを管理し、不正使用の発見、データの管理が行えるのである。さらに、判定基準となる色属性の設定、変更や演算プログラムの設定、変更が一箇所で行えて便利である。
【0070】
アプリケーションユニット27を通信管理システム55と接続することで色識別による測定を行った場所や日時を特定でき、今まで、困難とされていたレンタル重機への不正軽油使用者の特定が可能となるのである。又、データをPCに出力(手順54)して管理し、適宜プリントアウトして軽油の不正使用者に提示し、適正軽油の使用指導、警告又はその後の証拠書類として有効に使えるのである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本願の燃料色識別方法及び装置は、燃料の識別、特にディーゼルエンジンを搭載した車両に、適正燃料である軽油が使用されているか否かを識別する際に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】携帯型色識別装置燃料検出部の正面図。
【図2】車両搭載型色識別装置燃料検出部の正面図。
【図3】同、右側面概略図。
【図4】車両搭載型燃料色識別装置の燃料回路内の設置場所を示す説明図。
【図5】軽油識別装置及びシステムの構成を示すブロック図。
【図6】表示スケールの説明図。
【図7】燃料のHue値の温度変化を示すグラフ。
【図8】販売地域の異なる軽油のHue値の温度変化を示すグラフ。
【図9】販売地域の異なる軽油のHue値の温度変化を示すグラフ。
【図10】携帯型色識別装置の作動手順を示すフロー図。
【図11】車両搭載型色識別装置の作動手順を示すフロー図。
【符号の説明】
【0073】
1、携帯型燃料色識別装置燃料検出部
2、14、筐体
3、フォトセンサー
4、光源
5、温度センサー
6、電気ケーブル
7、8、基板
9、10、支持部材
13、車両搭載型燃料色識別装置燃料検出部
16、燃料注入口
17、燃料排出口
18、取り付けフランジ
32、表示スケール
37、カーソル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽油に他の燃料が混合されているか否かの識別を行う燃料の識別方法であって、
対象となる燃料の色の属性値のうちいずれか一つ、あるいは二つ以上を検出して、予め設定された燃料を識別する色の属性値に基づいて軽油に他の燃料が混合されているか否かの識別を行うと共に判定結果を伝達することを特徴とする軽油の識別方法。
【請求項2】
色識別センサーと光源を有し、燃料の色の属性値のうちいずれか一つあるいは二つ以上を検出する検出部と、
検出結果を判定する判定部と、
判定結果を伝達する伝達部を有する軽油に他の燃料が混合されているか否かの識別を行う燃料の色識別装置。
【請求項3】
色識別センサーと光源を有し、燃料の色の属性値のうちいずれか一つあるいは二つ以上を検出する検出部と、
検出結果を判定する判定部と、
判定結果を伝達する伝達部と、
検出結果及び判定結果を集計するデータ蓄積部を有する軽油に他の燃料が混合されているか否かの識別を行う燃料の色識別装置。
【請求項4】
請求項3記載の燃料の色識別装置と通信回線を介して通信管理システムと接続したことを特徴とする、
軽油に他の燃料が混合されているか否かの識別を行う燃料の識別システム。
【請求項5】
請求項2又は請求項3記載の燃料の色識別装置であって、
エンジンの制御を行うコントローラーがエンジン回路中に配設されており、
不正燃料の使用と判定されると警告を行うと共にエンジンを強制停止させることを特徴とする車両搭載型燃料の色識別装置。
【請求項6】
車両燃料回路内に設置され、エンジン始動と共に燃料を検出部に注入して燃料の色属性値を検出し、エンジン停止後はこれを排出することを特徴とする請求項5記載の車両搭載型燃料の色識別装置。
【請求項7】
請求項2又は請求項3又は請求項5記載の燃料の色識別装置であって、伝達部が色の属性値とそれぞれ対応する燃料名が記載されたスケールと、色の属性値を示すカーソルから構成される表示部であることを特徴とする燃料の色識別装置。
【請求項1】
軽油に他の燃料が混合されているか否かの識別を行う燃料の識別方法であって、
対象となる燃料の色の属性値のうちいずれか一つ、あるいは二つ以上を検出して、予め設定された燃料を識別する色の属性値に基づいて軽油に他の燃料が混合されているか否かの識別を行うと共に判定結果を伝達することを特徴とする軽油の識別方法。
【請求項2】
色識別センサーと光源を有し、燃料の色の属性値のうちいずれか一つあるいは二つ以上を検出する検出部と、
検出結果を判定する判定部と、
判定結果を伝達する伝達部を有する軽油に他の燃料が混合されているか否かの識別を行う燃料の色識別装置。
【請求項3】
色識別センサーと光源を有し、燃料の色の属性値のうちいずれか一つあるいは二つ以上を検出する検出部と、
検出結果を判定する判定部と、
判定結果を伝達する伝達部と、
検出結果及び判定結果を集計するデータ蓄積部を有する軽油に他の燃料が混合されているか否かの識別を行う燃料の色識別装置。
【請求項4】
請求項3記載の燃料の色識別装置と通信回線を介して通信管理システムと接続したことを特徴とする、
軽油に他の燃料が混合されているか否かの識別を行う燃料の識別システム。
【請求項5】
請求項2又は請求項3記載の燃料の色識別装置であって、
エンジンの制御を行うコントローラーがエンジン回路中に配設されており、
不正燃料の使用と判定されると警告を行うと共にエンジンを強制停止させることを特徴とする車両搭載型燃料の色識別装置。
【請求項6】
車両燃料回路内に設置され、エンジン始動と共に燃料を検出部に注入して燃料の色属性値を検出し、エンジン停止後はこれを排出することを特徴とする請求項5記載の車両搭載型燃料の色識別装置。
【請求項7】
請求項2又は請求項3又は請求項5記載の燃料の色識別装置であって、伝達部が色の属性値とそれぞれ対応する燃料名が記載されたスケールと、色の属性値を示すカーソルから構成される表示部であることを特徴とする燃料の色識別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−43931(P2010−43931A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207907(P2008−207907)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(592081483)三晃精機株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(592081483)三晃精機株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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