説明

不特定の愁訴を示す患者における細菌感染及び抗生物質治療の指標を診断するために用いられるプロカルシトニン

本発明は、不特定の愁訴(non-specific complaint)を示す患者の細菌感染を診断する方法に関し、当該方法は:(i)不特定の愁訴を提示する患者から採取した試料を提供する工程;(ii)当該試料中のプロカルシトニン(PCT)又はその12アミノ酸以上の断片のレベルを判定する工程;及び(iii)当該判定されたPCTレベルと所定の閾値レベルとを比較することにより、前記患者が細菌感染を起こしているか否かを判定する工程;を含む。また、本発明は、不特定の愁訴を示す患者に抗生物質を投与するための処置の指標を提供するための前記方法の使用にも関する。また、本発明は、不特定の愁訴を示す患者を抗生物質で処置するための前記方法の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床診断の分野に属する。特に、本発明は、不特定の愁訴(non-specific complaints)を示す対象の生体液に由来する試料中のプロカルシトニン(PCT)の判定に関する。
【背景技術】
【0002】
不特定の愁訴(NSC)を提示する患者は、よく知られているが、その集団は明確に定義されていない。この集団は、例えば、救急科(ED)において見られる。罹患した患者は、しばしば「不快感(not feeling well)」、「脱力(feeling weak)」、「疲労(feeling exhausted)」、「疲れ又は眠気」、「目まい」を訴え、日常生活の困難、食欲不振を訴える(van Bokhoven et al. 2008. J Clin Epidemiol; 61:318-22)。一部の患者は、なぜ自分がEDに送られたのか思い出すことができない場合もある。NSC患者のケアの過程で、EDの医師は、不十分な在宅ケアから急な生死にかかわる症状に至る様々な異なる診断と向き合う(Gordon 1986. Geriatrics 4l(4): 75-80). Patients with NSC are among the most challenging to ED physicians (Chew and Bi baumer 1999. Emerg Med Clin North Am 17(1 ):265-78)。更に、臨床像は、罹患率、ポリファーマシー又は他の精神状態変化等の要素によりしばしば鮮明さを欠く。
【0003】
Vanapeeらは、EDに来院した成人患者の20%が不特定の愁訴を有することを実証した(Vanpee et al. 2001. Eur J Emerg Med 8(4): 301-4)。更に、特定の愁訴のない成人患者の50%未満が急な医学的問題を引き起こした(Rutschmann et al. 2005. Swiss Med Wkly 135(9-10):145-50)。
【0004】
プロカルシトニン(PCT)は、敗血症の診断における確立した生体マーカーである。PCTは、細菌感染の重症度を反映し、特に、敗血症、重度の敗血症又は敗血性ショックに至る感染の進行を追跡するのに使用される。PCTは、炎症に関連する全身の炎症性応答の活性の測定、抗細菌治療の成功の調整、及び予後診断の推定に使用することが出来る(Assicot et al. 1993. Lancet 341:515-8; Clec'h C et al. 2004. Crit Care Med 32:1166-9; Lee et al. 2004. Yonsei Med J 45:29-37; Meisner et al. 2005. Curr Omn Crit Care 11:473-480; Wunder et al. 2004. Inflamm Res 53: 158-163)。敗血症の患者のPCTレベルの増大は、死亡率と相関する(Oberhoffer et al. 1999. Clin Chem Lab Med 37:363-368)。
【0005】
PCTは、感染の症状(例えば息切れ、熱)を呈する患者における抗生物質の治療の指標に既に使用されている。下部呼吸器感染の症状を呈する救急科の患者において、PCTが測定され、PCT濃度が>0.25 ng/mL又は>0.5 ng/mLの患者のみ、抗生物質で処置された(Christ-Crain et al. 2004. Lancet 363:600-7)。市中肺炎(CAP)の患者において、抗生物質による処置は、血清PCT濃度に基づいて行われた(PCT濃度<0.1 ng/mLで強く非推奨;PCT濃度<0.25 ng/mLで非推奨;PCT濃度>0,25 ng/mLで推奨、そしてPCT濃度>0.5 ng/mLで強く推奨)(Christ-Crain et al. 2006. Am J Resp Crit Care Med 174:84-93)。PCTの指標は、患者の転帰を悪化させずにCAPにおける抗生物質の使用を実質的に減少させた。同様に、PCTにより誘導された上記判定閾値を使用した治療は、患者の転帰を損なわずに最初のケアにおける急性呼吸器感染に対する抗生物質の使用を顕著に減少させた(Briel et al 2008. Arch Intern Med 168:2000-7; Burkhardt et al. 2010. Eur Resp J Express; doi: 10.1183/09031936.00163309)。
【0006】
一般的な細菌感染の診断におけるPCTの測定の利用は、その症状により既に細菌感染を起こしていると疑われる症状を提示している患者に限定されていた。そのようなPCTの使用が、細菌感染が原因であると直接的に示されない不特定の愁訴を提示する患者にも可能であるか否かは不明である。そのような患者において、細菌感染の頻度は知られておらず、それは比較的低いと思われる。PCT等の生体マーカーがそのような患者群中から細菌感染を起こした患者を有意な感度及び特異性で同定出来る可能性は低く、全く明白ではない。当該患者群は細菌感染を起こしていない者が大半で、彼らは明らかに病人であり、そして重症の病人であり得るからである。現在PCTの判定は、細菌感染を示す症状又は訴えを示すことにより細菌感染を起こしたことが疑われる患者において実施されている。不特定の愁訴を有する患者において一般的な細菌感染を診断する目的でのPCTレベルの測定は行われていなかった。
【0007】
PCTの濃度を判定することにより炎症プロセスの病因を判定し、そして当該ペプチドの存否から当該炎症が炎症性又は非炎症性の病因に基づくものであるか否かを確認する診断方法は、EP080702B1に記載されている。
【0008】
不特定の愁訴を提示する患者から採取した成体液の試料中のプロカルシトニンレベルの測定がこれらの患者の細菌感染の診断及び処置の指標として利用できるという知見は、驚くべきものであった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、救急科に不特定の愁訴を提示する患者の細菌感染を診断又は同定する方法に関する。当該方法は、下記の工程:
(i)不特定の愁訴を提示する患者から採取した試料を提供する工程;
(ii)当該試料中のPCT又はその12アミノ酸以上、好ましくは50アミノ酸以上、より好ましくは110アミノ酸以上の断片のレベルを判定する工程;及び
(iii)当該判定されたPCTレベルと所定の閾値レベルとを比較することにより、前記患者が細菌感染を起こしているか否かを判定する工程;
を含む。
【0010】
更に、本発明は、不特定の愁訴を提示する患者に対する抗生物質の投与による処置の指標を提供するため、及び抗生物質治療を追跡するための、前記方法の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、EDに来院した不特定の愁訴を示した患者の感染者及び非感染者のPCT濃度(入院時)を示す。
【0012】
【図2】図2は、EDに不特定の愁訴を提示した患者における細菌感染の診断のROCプロットを示す。
【0013】
【図3】図3は、BANC試験における、不特定の愁訴を示す患者の同定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、不特定の愁訴を提示する患者の細菌感染を診断又は同定する方法に関する。当該方法は、下記の工程:
(i)不特定の愁訴を提示する患者から採取した試料を提供する工程;
(ii)当該試料中のプロカルシトニン(PCT)又はその12アミノ酸以上、好ましくは50アミノ酸以上、より好ましくは110アミノ酸以上の断片のレベルを判定する工程;及び
(iii)当該判定されたPCTレベルと所定の閾値レベルとを比較することにより、前記患者が細菌感染を起こしているか否かを判定する工程;
を含む。
【0015】
本発明の一つの態様において、細菌感染は、不特定の愁訴を提示する患者において無症状である(例えば細菌感染が未だ臨床的兆候を示していないが存在している)。
【0016】
不特定の愁訴は、「不快感(not feeling well)」、「脱力(feeling weak)」、「疲労(feeling exhausted)」、「疲れ又は眠気」、「目まい」を訴え、日常生活の困難、食欲不振を訴える愁訴からなる群から選択されてもよく、一部の患者は、なぜ自分がEDに送られたのか思い出すことができない場合もある。
【0017】
特定の愁訴は、通常、重要な情報を提供し、そして作業診断(working diagnosis)又はその後の所定の診断プロトコルの作成を可能とする。特定の愁訴は、文献等で周知であり、診断プロトコルはしばしば利用される(Siegenthaler W. Differential Diagnosis in Internal Medicine: From Symptom to Diagnosis. New York: Thieme Medical Publishers: 2007)。
【0018】
特定の愁訴の中で、感染、特に細菌感染が当該愁訴の原因と通常考えられるものが存在する。これらの特定の愁訴は、細菌の種類及び細菌感染の場所により様々である。そのような特定の愁訴は、限定されないが、頭痛、身体の特定部分(腹部等)の疼痛、熱(38℃超)、咳、痰、呼吸困難、呼吸促迫、胸膜痛を含む群から選択される呼吸器の症状;聴診時の知見(ラ音、捻髪音等)、感染の兆候(深部体温38℃超、震顫)、及び消化器感染の兆候(悪心、嘔吐、下痢)を含む愁訴の群から選択されてもよい。
【0019】
更に、特定の愁訴を下記に説明する。細菌感染の古典的な症状は、局所的な発赤、発熱、腫れ及び疼痛である。細菌感染の証の一つは、局所的な疼痛、身体の特定の部分の疼痛である。例えば、切り傷が生じてそこが細菌感染した場合、当該感染部位で疼痛が起こる。細菌性咽頭痛は、しばしば咽頭の片側により強い痛みが生じることを特徴とする。耳の感染は、疼痛が一方の耳にのみ生じている場合、細菌性である可能性が高い。
【0020】
上記のように、細菌感染の症状は、感染の種類により異なる。感染部位によっても、症状は相異し得る。しかしながら、症状は、その部位が僅かに感染した場合であっても、常に経験させられる。細菌感染が呼吸器中に見出されたとき、咽頭及び呼吸に関連する症状が見出される。咽頭の感染は、高度に汚染された地域に住む人々にとって非常にありふれている。肺炎は自然免疫力が非常に低い小児や老人にとって非常にありふれている。副鼻腔炎及び咽頭炎も、細菌感染を起こした人々に見られる。有色の鼻水及び頭痛は、細菌感染が呼吸器に生じたときに通常経験させられる。
【0021】
感染が消化管で見られる場合(例えば胃腸炎)、症状は専ら消化系の問題に関連する。胃の疼痛及び炎症が、通常経験させられる。下痢及び嘔吐は、消化管の感染の指標となる他の症状である。悪心及び脱水症状も、重度の細菌感染症状の結果として経験させられ得る。
【0022】
膣部分の腐敗臭及び生臭さは、膣感染の症状である。女性の膣は、当該器官に有用な幾つかの種類の細菌を有する。しかしながら、それらの細菌の生産に異常が起こると、感染が引き起こされ得る。尿路感染における細菌感染症状は、尿道の痒み及び疼痛を含む。膣感染及び尿路感染は、それらが内部器官の更なる炎症を引き起こし得る点で看過できない。
【0023】
髄膜炎は、脳及び脊髄を覆う膜の細菌感染の重症の転帰である。この障害は成人でも見られるが、幼児が罹患しやすい。髄膜炎における通常の細菌感染症状は、身体及び頸部の痺れ、頭痛、刺激、体温の乱れ、及び皮疹である。
【0024】
最も危険な細菌感染は、臓器に致死的な異常をもたらす敗血症に至る。発熱及び強い悪寒が、敗血症の細菌感染症状である。敗血症の患者は、関節の疼痛も訴える。これは、感染が内部器官に拡大するのをとめるために、直ちに処置されなければならない。敗血症において、患者は、集中治療のために病院に入院させられ得る。
【0025】
丹毒は、皮膚の急性の細菌感染で、炎症を引き起こす。典型的には、患者は、高熱、悪寒、寒気、頭痛、嘔吐を含む症状を、最初の感染から48時間以内に生じる。紅斑皮膚病変は急速に拡大し、縁が盛り上がって明確に区切られる。赤く腫れて熱を持った硬く痛む皮疹を生じ、やがてオレンジの皮のような外観になる。更に重症の感染は、水疱(vesicles又はbullae)、及び点状出血を引き起こし、皮膚が壊死する可能性がある。リンパ節の腫れやリンパ浮腫が生じる場合もある。リンパ節に至る赤い筋が見られる場合もある。当該感染は、顔面、腕、指、足及び爪先等の皮膚の任意の部分に生じ得るが、手足に生じやすい傾向がある。脂肪組織は最も感染しやすく、顔面領域では、眼、耳及び頬の周辺に感染しやすい。
【0026】
腹膜炎は腹膜の炎症であり、腹膜は、腹膜腔と内臓の部分を裏打ちする漿膜である。腹膜炎は、感染により(しばしば腹部の創傷又は虫垂炎において生じ得る管腔器官の破壊による)、局在又は偏在する。腹膜炎の主要な兆候は、急な腹部の疼痛、腹部の圧痛、及び腹壁防御(abdominal guarding)である。これらの兆候の局在化は、腹膜炎が局在化(例えば虫垂炎又は穿孔前の憩室炎)するか腹部全体に偏在するかに依存する。いずれかの場合、疼痛は典型的には偏在化した腹部の疼痛として発生し(臓器腹膜層のあまり局在化していない神経支配を含む)、またその後に局在化してもよい(体細胞的に神経支配された壁側腹膜層を含む)。消化管の一部の穿孔及び腹膜の破壊は、最もありふれた感染性腹膜炎の原因である。
【0027】
胆管炎は、胆管の炎症である。最もありふれた原因は、細菌感染である。胆管炎の古典的な3つの症状は、高熱、黄疸、及び右上腹部痛である。
【0028】
胆嚢炎は、胆嚢の炎症であり、通常右上腹部の疼痛として表れる。これは、通常、軽度の発熱、嘔吐及び悪心を伴う。
【0029】
骨髄炎は、骨又は骨髄の感染を意味する。一般に、微生物は、血流、近接する感染部位からの移動、又は関節置換術若しくは骨折内固定若しくは歯の根管治療等の医原性の原因を含む穿孔性の外傷の1つ以上により、骨に感染し得る。骨髄炎の兆候及び症状として、発熱、感染部位の疼痛、腫れ、感染部位の熱感及び発赤が挙げられる。http://en.wikipedia.org/wiki/Infection:
【0030】
「不特定」の愁訴の分類は、EDの医師の主観的判断を示す。そのような判断は、臨床的経験及び技術等の医師に関連する要素、並びに更なる調査を補助し得る様々な愁訴の評価に依存する。患者に関連する要素としては、愁訴を言語化する能力や、患者の認識状態が挙げられる。一般的な範囲として、NSCの判定は、患者の分類における主観性を減少させ、その結果、計画された予防的な患者の管理を促進することを目的としている。特定の愁訴は、通常、重要な情報を提供し、そして作業診断又はその後の所定の診断プロトコルの作成を可能とする。特定の愁訴は、文献等で周知であり、診断プロトコルはしばしば利用される(Marx J A, Hockberser R, Walls R. Rosen's Emergency Medicine: Concepts and Clinical. Sixth Edition ed. St Louis: Mosbv; 2005; Siesenthaler W. Differential Diagnosis in Internal Medicine: From Symptom to Diagnosis. New York: Thieme Medical Publishers; 2007)。
【0031】
特定の愁訴とは対象的に、NSCは、特定の愁訴又は症状の枠組みの中に無く、最初の作業診断を樹立することができない、全ての愁訴の実体として定義された。NSCは、特定の愁訴以外の愁訴と定義するのが好ましい。積極的な定義は可能な不特定の愁訴のほとんど無限の列挙を必要とし、そのような長期かつ複雑な定義を用いても、所定の列挙に完全に符合しない症状を有する一定のNSCの患者を取りこぼしてしまうからである。作業診断という用語は、このNSCの定義の文脈において、患者がNSCを提示するが、それにもかかわらずその提示の時点で事実及び知見が診断に与えられる情況に使用される(例えば虚弱及び貧血性の蒼白を提示する患者)。
【0032】
図3は、この定義をフローチャートで表現したものである。最も好ましい態様において、不特定の愁訴は、図3の「包含(Inclusion)」に至った愁訴として定義される。これは、本発明に係る患者が:疼痛(腰、腹部、頭、肢、関節、背中)、呼吸困難、咳、衰弱(局所)、発作的症状、四肢の腫れ(脚、腕)、下痢、排尿障害、GCS<14、混乱、中毒、発作、出血、失神、不安神経症、精神病の症状、自殺念慮、皮膚の病変、皮膚のアレルギー反応、熱、目まい、動悸、吐気を伴う悪心、外傷のいずれか1つを呈しないことを意味する。更に、「標準化された検査又は処置に至る最初の評価(病歴、物理的検査、ECGの読み取り)後に主な愁訴が存在するか否か」の問題には、NOと答えられる。更に、当該患者において生体信号(体温、脈拍又は心拍数、血圧及び呼吸速度)のいずれも範囲外ではない。更に、最初の評価の後、作業診断が確立できず、特に充分な確実性で確立できない。
【0033】
本発明の特殊な態様において、NSCを有する患者群から、原発病を有する者が除かれる。ここで原発病は好ましくは感染ではなく、及び/又は動脈硬化、心不全、急性冠不全症候群、冠動脈疾患、心筋梗塞、癌、糖尿病、慢性胃腸疾患、慢性腎疾患、高血圧、整形外科的疾患、例えば骨粗鬆症、及び神経変性疾患、例えばアルツハイマー症を含む群から選択される。
【0034】
本発明の文脈において、「レベル」という用語は、対象から採取した試料中のPCT(又はその断片前駆体)の濃度(好ましくは重量/体積;w/vで表される)に関する。
【0035】
本明細書中で使用されるとき、「患者」という用語は、疾患のために医学的ケアを受けている、又は医学的ケアを受けるべき、生きたヒト又は非ヒト生物を指す。これは、病理の兆候が調査されている、定義された疾患を有しないヒトを含む。故に、本明細書中に記載の方法及びアッセイは、ヒトの疾患及び獣医学的疾患の両方に適用できる。
【0036】
本明細書中で使用されるとき、「試料」という用語は、患者等の興味のある対象を診断、予後診断、又は評価するために採取される生体液の試料を意味する。好ましい試験試料として、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、痰及び胸水が挙げられる。加えて、当業者は、幾つかの試験試料は、全血を血清又は血漿成分に分離する手段等の、分画又は精製手順を前もって行うことにより、より容易に解析が行われ得ることを認識する。
【0037】
故に、本発明の好ましい態様において、前記試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、脳脊髄液試料、唾液試料及び尿試料、又はこれらの試料のいずれかの抽出物から成る群から選択される。好ましくは、前記試料は血液試料であり、最も好ましくは血漿試料又は血清試料である。
【0038】
本明細書中で示すように、タンパク質又はペプチドの文脈において、「断片」という用語は、より大きいタンパク質又はペプチドに由来するため、より大きいタンパク質又はペプチドの部分的配列を含む、より小さいタンパク質又はペプチドを指す。当該断片は、1つ以上のペプチド結合の鹸化により、より大きいタンパク質又はペプチドから生じる。
【0039】
本発明の文脈におけるプロカルシトニンは、好ましくは、アミノ酸残基1〜116、2〜116、若しくは3〜116、又はその断片のペプチドを指す。故に、プロカルシトニン断片の長さは12アミノ酸以上、好ましくは50アミノ酸以上、より好ましくは110アミノ酸以上である。PCTは、グリコシル化、シポシド化(liposidation)、又は誘導体化等の転写後修飾を受けたものを含む。PCT自体は、カルシトニン及びカタカルシンの前駆体である。PCTのアミノ酸1〜116の配列を、配列番号1に示す。
【0040】
本発明の文脈における「診断」は、対象の細菌感染の認識及び(簡便な)検出に関し、鑑別診断をも含み得る。
【0041】
診断試験の感度及び特異性は、その試験の解析の「質」だけでなく、異常な結果を形成するものの定義にも依存する。実際に、受信者動作特性曲線(ROC曲線)は、典型的には、「正常」(即ち外見上健康)及び「疾患」集団(即ち感染を生じた患者)の相対的頻度に対する変数の値をプロットすることにより算出される。取り組まれる具体的な診断の問題に依存して、参照群は必ずしも「正常」ではなく、他の疾患又は症状を生じた患者であってもよく、そこから興味のある疾患を生じた患者の群が分離され得る。具体的なマーカーのいずれかにおいて、疾患を有する、及び有しない対象のマーカーレベルの分布は重複している。そのような条件において、試験は、正常と疾患を100%の確度で絶対的にすることはなく、重複部分は、その試験がその領域において正常と疾患を区別することが出来ないことを示唆する。閾値が選択され、その上(又は疾患に伴うマーカーの変化のし方によってはその下)の値は以上で、その下の値は正常と見なされる。ROC曲線下部の面積は、認識された測定が条件の正しい同定を可能とする確率の尺度である。ROC曲線は、試験結果が必ずしも正確な数字をもたらさない場合であっても使用され得る。結果をランク付け出来るものである限り、それはROC曲線を作成することが出来る。例えば、検定により「疾患」の結果が出た試料は、3段階にランク付けされ得る(例えば1=低、2=中、3=高)。このランク付けは、「正常」の集団の結果及び作成されたROC曲線に関連し得る。これらの方法は、当該技術分野で周知である(例えばHartley et al, 1982. Radiology 143: 29-36参照)。好ましくは、閾値は、約0.5超、より好ましくは約0.7超のROC曲線領域を提供するように選択される。この文脈中、「約」という用語は、与えられた測定も±5%を指す。
【0042】
ROC曲線の横軸は(1−特異性)を表し、これは、偽陽性の確率と共に増大する。当該曲線の縦軸は感度を表し、真陽性の確率と共に増大する。故に、選択された特定のカットオフにおいて、(1−特異性)の値が決定されてもよく、そして対応する感度が取得されてもよい。ROC曲線下部面積は、測定されたマーカーのレベルが疾患又は症状の正しい同定を可能とする確率の尺度である。故に、ROC曲線下部面性は、この検定の有効性を判定するのに使用できる。
【0043】
当該方法において、患者は、判定されたPCTレベルが所定の閾値レベルよりも高いときに、細菌感染を有すると診断される。好ましくは、所定の閾値レベルは、0.02〜0.5ng/mL、より好ましくは0.02ng/mL〜0.25ng/mL、尚もより好ましくは0.02ng/mL〜0.1ng/mL、尚もより好ましくは0.02ng/mL〜0.06ng/mL、最も好ましくは0.02ng/mL〜(below)0,05ng/mLである。好ましい態様において、患者は、判定されたPCTレベルが0.1ng/mL超、好ましくは0.05ng/mL超、より好ましくは0.025ng/mL超であるときに、細菌感染を有すると判断される。
【0044】
これらの値は、PCT試験フォーマット(BRAHMS PCT LIA sensitive)を使用して決定されており、当該フォーマットは、自動化PCTアッセイ(BRAHMS RYPTOR PCT sensitive)と同じく、定量的測定範囲中での校正を有する。BRAHMS PCT LIA sensitiveは、正常な集団中でのPCTレベルを定量的に判定でき、EP 09011073.5 ("Procalcitonin for the prognosis of adverse events in the asymptomatic population")に記載されるように、中間PCTレベルを提供する。上記数値は、例えばそれらがBRAHMS PCT LIA sensitiveで異なる校正をされた場合、別のPCTアッセイにおいて異なり得る。上記数値は、そのような異なる校正がされたPCTアッセイに、そのような校正の違いを考慮して利用される。校正の違いを定量化する1つの可能性は、BRAHMS PCT LIA sensitiveにより両方の方法を使用して試料中のPCTを測定することによる、問題のPCTアッセイの比較検定(関連性)をする方法である。他の可能性は、問題のPCTアッセイ(但しこの試験は充分な解析の感度を有する)を用いて代表的な正常集団の中間PCTレベルを判定し、その結果をEP 09011073.5 ("Procalcitonin for the prognosis of adverse events in the asymptomatic population")に記載の中間PCTレベルと比較し、そしてこの比較により取得された差に基づいて校正を再計算することである。
【0045】
本明細書中、PCT又は断片又は前駆体又はその断片のレベルの判定は、検出方法及び/又は診断アッセイを使用して実施される。
【0046】
本明細書中で示されるとき、「アッセイ」又は「診断アッセイ」は、診断分野で利用されるいずれの種類のものであってもよい。そのようなアッセイは、1つ以上の捕捉プローブと検出されるべき解析対象との、一定の親和性での結合に基づいても良い。捕捉分子と標的分子又は興味のある分子との間の相互作用に関して、親和性定数は、好ましくは108M-1である。
【0047】
本発明の文脈において、「捕捉分子」は、試料に由来する標的分子、又は興味のある分子、即ち解析対象(本発明の文脈において心臓血管ペプチド)に結合するのに使用され得る分子である。標的分子又は興味のある分子に特異的に結合するために、捕捉分子は、空間的に、かつ表面電荷、疎水性、親水性、ルイス供与基及び/又は受容基の存否等の表面の特性の観点からも、適切に形成されなければならない。故に、結合は、例えば、イオン結合、ファンデルワールス結合、パイ-パイ、シグマ-パイ、疎水又は水素結合相互作用、又はそれらの相互作用の2つ以上の組合により媒介される、捕捉分子と、標的分子又は興味のある分子との間の結合である。本発明の文脈において、捕捉分子は、例えば、核酸分子、炭水化物分子、RNA分子、タンパク質、抗体、ペプチド又は糖タンパク質から成る群から選択される。好ましくは、捕捉分子は、抗体、又は標的若しくは興味のある分子に充分な親和性を有するその断片であり、組換え抗体又は組換え抗体断片や、当該抗体の化学的及び/又は生化学的に改変された誘導体、又は12アミノ酸以上の長さの可変鎖に由来するそれらの断片を含む。
【0048】
好ましい検出方法として、様々な様式の免疫アッセイが挙げられ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光及び蛍光免疫アッセイ、酵素結合免疫アッセイ(ELISA)、Lummexベースビーズアッセイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、及び高速試験様式、例えば免疫クロマトグラフィーストリップ試験が挙げられる。
【0049】
前記アッセイは、均一又は不均一なアッセイであってもよく、競合的及び非競合的アッセイであってもよい。特に好ましい態様において、前記アッセイはサンドイッチアッセイの形態をとり、これは非競合的アッセイであり、ここで、検出及び/又は定量される分子に、一次抗体及び二次抗体が結合する。一次抗体は固相、例えばビーズ、ウェル若しくは他の容器、チップ又はストリップ等に結合してもよく、そして二次抗体は、色素、放射性同位体、又は反応性若しくは触媒活性部分等で標識された抗体である。解析対象に結合した標識された抗体の量は、適切な方法により測定される。「サンドイッチアッセイ」に用いられる一般的な組成物及び手順は確立しており、当業者に既知である(The Immunoassay Handbook, Ed. David Wild, Elsevier LTD, Oxford; 3rd ed. (May 2005), 1SBN-13: 978-0080445267; Hultschie C et al, Curr Opin Chem Biol. 2006 Feb;10a:4-10. PMID: 16376134)。
【0050】
特に好ましい態様において、前記アッセイは2つの捕捉分子、好ましくは抗体を含み、それらのいずれも液体反応混合物中の分散物として存在し、ここで、第一の標識成分は第一の捕捉分子に結合しており、当該第一の標識成分は、蛍光又は化学発光クエンチング又は増幅に基づく標識系の一部であり、そして、前記マーキング系の第二の標識成分は第二の捕捉分子と結合している。それにより両方の捕捉分子が解析対象と結合したときに、測定可能なシグナルを発生させ、当該シグナルは、当該試料を含む溶液中で形成されたサンドイッチ複合体の検出を可能とする。
【0051】
尚もより好ましくは、前記標識系は、蛍光色素又は化学発光色素、特にシアニン型の色素と組み合わせて、希土類クリプテート(rare earth cryptates)又は希土類キレートを含む。
【0052】
本発明の文脈において、蛍光ベースのアッセイは、FAM(5-又は6-カルボキシフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、IRD-700/800、シアニン色素、例えばCY3、CY5、CY3.5、CY5.5、Cy7、キサンテン、6-カルボキシ-2',4',7',4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、TET、6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7,-ジメトキシ-フルオレセイン(JOE)、N,N,N',N'-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、5-カルボキシローダミン-6G(R6G5)、6-カルボキシローダミン-6G(RG6)、ローダミン、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ローダミン110、BODIPY色素、例えばBODIPY TMR、オレゴングリーン、クマリン、例えばUmbelliferone、ベンズイミド、例えばHoechst 33258、フェナントリジン、例えばTexas Red、Yakima Yellow、Alexa Fluor、PET、エチジウムブロマイド、アクリジニウム色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素、及びそれらに類するものを含む群から選択されてもよい、色素の使用を含む。本発明の文脈において、化学発光ベースのアッセイは、色素の使用を含み、Kirk-Othmer, Encyclopedia of chemical technology, 4th ed., executive editor, J. I. Kroschwitz; editor, M. Howe-Grant, John Wiley & Sons, 1993, vol.15, p. 518-562に記載の化学発光材料の物理的原理に基づく。好ましい化学発光色素は、アクリジニウムエステルである。
【0053】
本発明の方法を用いて診断されるべき細菌感染は、当該技術分野で公知の適切な抗生物質を用いて処置され得る。抗生物質の可能なクラスは、ペニシリン(例えばフルクロキサシリン、アモキシシリン、アンピシリン、メズロシリン)、セファロスポリン(例えばセファゾリン、セフロキシム、セフォタキシム、セファクロール、セファレキシン)、β-ラクタマーゼ阻害剤(例えばスルバクタム、タゾバクタム)、テトラサイクリン(例えばドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン)、アミノグリコシド(例えばゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン)マクロライドド抗生物質(例えばアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、クリンダマイシン)、リノコサミド(例えばリノマイシン)、ギラーゼ阻害剤(例えばシプロフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン)、スルホンアミド、トリメトプリム、グリコペプチド抗生物質(例えばバンコマイシン)、ポリペプチド抗生物質(例えばコリスチン、ポリマイキシン)及びアムフェニコール(例えばクロラムフェニコール)からなる群から選択される。
【0054】
更に、本発明は、不特定の愁訴を示す患者の細菌感染を診断するための、PCT若しくはその断片、又はPCT前駆体又はその断片に対する1つ以上の抗体を含むキットの使用に関する。
【実施例】
【0055】
最近の外部の研究質の結果又は入院時に特定のECGの変化(例えばSTEMI)を提示する患者は、不適格とした。同様に、EDに搬送された患者既知の最終的医学的症状(例えば末期癌)を有する場合も、不適格とした。血行動態的に不安定な患者、又は生体パラメーターが正常の範囲を著しく外れている(例えば収縮期血圧<90mmHg、心拍数>120/min、体温>38.4℃又は<35.6℃、呼吸数>30/min)患者は除外した。
【0056】
感染の診断
合計415名の患者が研究に参加した。415名中86名は細菌感染が診断された(n=19肺炎、n=17膀胱炎、n=8尿路感染、n=7敗血症、n=10尿性敗血症n=1敗血性ショック、n=3気管支炎、n=9局在不明の感染n=1腹膜炎、n=1骨髄炎、n=1シグマ憩室炎n=1大腸炎、n=2急に悪化したCOPD、n=1胆管炎、n=1胆嚢炎、n=2丹毒及びn=2胃腸炎)。
【0057】
本研究における感染の診断は、標準的な基準:体温>37.5℃、白血球カウント>11000/mL又は<4000/mL、胸部X線での肺浸潤物、又は病原体の陽性反応に従い実施された。
【0058】
上記415名の患者中86名は、細菌感染と診断された(例えばLRTI、尿路感染、敗血症、敗血性ショック)。下部呼吸器感染(LRTI)は、急性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急な悪化、及び肺炎を含む。LRTIの患者は、咳、痰、呼吸困難、呼吸促迫、及び胸膜痛を含む群から選択される1つ以上の呼吸器の症状、加えて聴診での1つ以上の知見(ラ音、捻髪音)、又は感染の兆候(深部体温38℃超、震顫、白血球カウント>10G/l又は<4G/l細胞)を呈する。尿路感染(UTI)の診断は、以下の基準:発熱(>38℃)、尿試料が亜硝酸塩陽性、及び顕著な細菌尿の2つ以上を基礎とした。敗血症、重度の敗血症及び敗血性ショックは、標準的な基準に従い規定された(Levy, et al: 2001 SCCM/ESICM/ACCP/ATS/SIS International Sepsis Definitions Conference. Crit Care Med 2003; 31:1250-1256)。
【0059】
PCTの測定
PCTは、Morgenthaler et al. (Morgenthaler et al 2002. Clin Chem 48:788-790)に記載されるように、機能アッセイ感度0.007 ng/mLの超高感度の市販の試験系を使用して測定された。要するに、PCTのカルシトニン部分に対するヒツジ抗体を樹立し、そして、PCTのカタカルシンに対するマウス抗体を樹立した。チューブを、抗カタカルシン抗体で被覆した。当該抗カルシトニン抗体はMACN Acridiniumester (InVent GmbH, Hennigsdorf, Germany)で標識され、これをトレーサーとした。正常ウマ血清で希釈した組換えPCTをキャリブレーターとして使用した。100μLの試料又はスタンダードを前記被覆チューブ中で30分間インキュベーションして、200μLのトレーサーを添加した。2時間の更なるインキュベーションの後、チューブを1mLのLIA洗浄溶液(BRAHMS AG, Hennigsdorf, Germany)で4回洗浄し、結合した化学発光物を、LB952T luminometer (Berthold, ildbad, Germany)を使用して測定した。
【0060】
結果
本研究には、計415名の患者が参加した。プロカルシトニンのレベルは、救急科に搬入直後に不特定の愁訴を示した患者の血漿試料において判定された。415名中86名の患者が、細菌感染を生じていると診断された。不特定の愁訴を示し、細菌感染を生じた、又は生じていない患者のPCT濃度を、図1に示す。PCT濃度は、細菌感染のない患者と比較して、細菌感染した患者において顕著に高かった(p0.0001)。ROCプロット解析により、曲線下部面積(AUC)は0.721であった(p<0.0001)(図2)。対応する感度及び特異性を決定するために、様々なカットオフ値が使用された(表1)。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
救急科に不特定の愁訴(non-specific complaint)を提示する患者の細菌感染を診断する方法であり:
(i)不特定の愁訴を提示する患者から採取した試料を提供する工程;
(ii)当該試料中のPCT又はその12アミノ酸以上の断片のレベルを判定する工程;及び
(iii)当該判定されたPCTレベルと所定の閾値レベルとを比較することにより、前記患者が細菌感染を起こしているか否かを判定する工程;
を含み、ここで、所定の閾値レベルが0.02ng/mL〜0.25ng/mLである、前記方法。
【請求項2】
前記試料が生体液、特に血液、血清、血漿、脳脊髄液、唾液又は胸水である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
PCT前駆体の断片のPCT断片の長さが12アミノ酸残基以上である、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記所定の閾値レベルが、0.02ng/mL〜0.1ng/mL、尚もより好ましくは0.02ng/mL〜0.06ng/mL、最も好ましくは0.02ng/mL〜0.05ng/mL(未満)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記判定されたPCTレベルが所定の閾値レベルよりも高いときに前記患者が細菌感染を起こしている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
機能アッセイ感度(functional assay sensitivity)が0.06ng/mL未満であるPCT検出アッセイが用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記細菌感染が、下部呼吸器感染、感染、尿路感染、膣感染、敗血症、重症敗血症、敗血性ショック、消化器感染、腹膜炎、膀胱炎、大腸炎、細菌性髄膜炎、鼻腔炎、咽頭炎、胆管炎、胆嚢炎、骨髄炎、丹毒、副膜炎、胆管炎、胆嚢炎、骨髄炎からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記細菌感染が抗生物質で処置できるものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記細菌感染が、細菌感染の臨床的症状を起こしていない、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
更に:
(iv)患者に抗生物質を投与し、又は投与を控える(withholding)工程;
を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
更に、
1つ以上のマーカー、例えばC反応性タンパク質(CRP)のレベルを判定する工程;
を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
救急科に不特定の愁訴を提示する患者に抗生物質を投与するための処置の指標を提供するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項13】
救急科に不特定の愁訴を提示する患者を抗生物質で処置するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−521510(P2013−521510A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556491(P2012−556491)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053476
【国際公開番号】WO2011/110565
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(508093584)ベー.エル.アー.ハー.エム.エス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (27)
【Fターム(参考)】