説明

不織布用接着剤組成物及び不織布

【課題】不織布用接着剤は、接着剤の使用量が多くコスト高の原因となり、また接着剤の量が多いため得られた不織布の品質にも悪影響を与えている。
【解決手段】接着剤に加え、接着助剤としてエチレングリコール、界面活性剤、ポリ塩化アルミニウム、アルギン酸ソーダの少なくとも一種を加えたビスフェノール系アルキッド樹脂を用いることで、優れた不織布が得られる。
【効果】従来の接着剤の使用量が少なくて、同等の接着効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布製造用の接着剤及び接着助剤組成物、及び接着された不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不織布は繊維を接着剤で接着し、布としている。接着剤としては、種々の化合物が使用されている。繊維の種類、得られる不織布の用途に応じ、接着剤も使い分けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来使用されている不織布用接着剤では、接着剤の使用量が多くコスト高の原因となっている点、接着剤の量が多いため得られた不織布の品質にも悪影響を与える場合があったが、本発明は、これらの問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、従来の不織布用接着剤に新規な接着助剤を併用することである。接着助剤を併用することにより、接着剤の使用量が軽減でき、目的とする接着効果も充分得られ、製品の品質向上にもつながるものである。
【0005】
接着剤は、従来使用されているものは、何でも使用可能である。例示すれば、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリサク酸ビニル、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、澱粉のり等である。
【0006】
接着助剤としては、従来から汚水処理に使用されている水処理剤が使用できる。例示すれば、アルミニウムの塩化物(塩化アルミ、ポリ塩化アルミ)、鉄の塩化物(塩化鉄、ポリ塩化鉄)、鉄の硫酸塩(硫酸鉄、ポリ硫酸鉄)、アルミニウムの硫酸塩(硫酸アルミ、ポリ硫酸アルミ)、マグネシウムの塩化物(塩化マグネシウム、ポリ塩化マグネシウム)、カルシウムの塩化物(塩化カルシウム等)、ポリシリカ(シリカ / 日鉄モル比0.25、0.50、
0.75、1.0、2.0、3.0)商品名として、水道機工(株)のPolysilica-Iron等。
高分子擬質剤として、例えば東亜合成(株)のアロンフロックメタアクリレート系、アクリレート系(カチオン系、ノニオン系、アニオン系)、C303A、C302、C310H、C508、C502、C510、C~10、TA25、A351、A106、A107、CX−900、CX450、CX240、V−51、アロンキレートS−1等が、挙げられる。


更に、水酸基含有化合物、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。又、液状パラフィン等も有効である。また、界面活性剤も有効である。界面活性剤としては、市販の陰イオン系、陽イオン系、非イオン系、両性系、いずれも使用できる。更に、アルギン酸ソーダも使用できる。また、アルギン酸ソーダは、接着助剤以外に使用量を増やせば接着剤として使用でき、上述の接着助剤と併用すれば有効である。
【0007】
適用される繊維としては、ガラス繊維、セルロース繊維、合成樹脂繊維、炭素繊維等がある。
【0008】
接着剤、接着助剤の使用量は、使用する繊維、接着剤の種類により異なるため、適宜選択して最適使用量を定めれば良い。
【0009】
ガラス繊維を例にとれば、ガラス繊維を接着剤で接着したガラスマットと称されるものがある。通常ガラスマットに使用されるガラス繊維はEガラスであり、ガラスヤーンが使用される。
【0010】
また、他の繊維としては合成樹脂繊維、セルロース繊維、炭素繊維等がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明による従来使用されていた接着剤と接着助剤の組み合わせ(組成物)により、従来使用されていた比較的高価な接着剤の使用量が1/2から1/4で、従来と同等かそれ以上の接着効果が得られるようになった。
【0012】
得られる不織布も従来品と同等、あるいは更に硬く、また更にやわらかく、所望の不織布が得られる。又、接着助剤、あるいは接着助剤としてアルキン酸ソーダを使用し、ガラス繊維に適用した場合、いわゆる毛羽の発生が顕著に減少する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
不織布の製造方法としてガラス繊維を例にとると、ガラス繊維(マット用ガラス繊維)を1cm位の厚みとして網の上に敷き、上から接着助剤(0.3%水溶液、又は0.3%水懸ダク液)を、ついで接着剤をガラス繊維に対して1.5重量%散布し、ガラス繊維に対して(水溶液、又は水懸ダク液)を150%噴霧する。得られたものを170℃で15分位加熱し、不織布を得る。
【実施例】
【0014】
以下実施例により、具体的に説明する。

【製造例】
【0015】
ガラス繊維(泰山ファイバー製Eグラス、ファイバーロービング、ERS240、T985)を
20cm×25cmの金網の上に敷き、上からも金網をかぶせ、はさむ。接着助剤の0.3重量%水溶液を作製し、この水溶液をガラス繊維の裏側から8g噴霧する(ガラス繊維に対して接着助剤0.12重量%に相当)。次に、ガラス繊維を裏返して、表にビスフェノール系アルキッド樹脂(三洋化成製商品名:ケミチレン13ST)の粉末の0.3gの2/3を均一に散布する。これを振動させてガラス繊維の裏側まで浸透させる。そのまま表面に接着助剤水溶液を16g噴霧する。その後に、接着剤ケミチレン13STの0.3gの残り1/3を、均一に散布する。その後、表面から接着助剤水溶液を10g噴霧する。その後、こぼれたケミチレン13STを再度散布し、200℃で約15分加熱しガラスマットを完成させる。得られたガラスマットを所定の方法で張り、強度(kg/10mm2)を測定した結果は表1に示す。
【0016】

【表1】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤及び接着助剤を含有する不織布用接着剤組成物。
【請求項2】
接着剤及び接着助剤を含有する不織布。
【請求項3】
接着助剤がエチレングリコール、界面活性剤、ポリ塩化アルミニム、アルギン酸ソーダの少なくとも一種からなる、請求項1の接着助剤。
【請求項4】
接着剤がビスフェノール系アルキッド樹脂である、請求項1の接着剤。
【請求項5】
不織布材料がガラス繊維である請求項1項、請求項2項。
【請求項6】
接着剤としてアルギン酸ソーダを含有する不織布用接着剤組成物。
【請求項7】
接着剤がアルギン酸ナトリウムであり、接着助剤がエチレングリコール、界面活性剤、ポリ塩化アルミの少なくとも一種である接着剤組成物。


【公開番号】特開2006−225831(P2006−225831A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205819(P2005−205819)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000102924)エヌビイエル株式会社 (22)
【Fターム(参考)】