説明

不飽和モノマーの包接複合体、そのポリマー及びこれらの調製方法

【課題】不飽和モノマーの包接複合体、そのポリマー及びそれらの調製方法を提供する。
【解決手段】本発明は、複数の不飽和結合を含むモノマーを重合することにより得られた水溶性ホモポリマーを記載する。これらのモノマーは、シクロデキストリン及びメチル化シクロデキストリンと包接複合体を形成する。包接複合体の形成中に包含される不飽和点は、重合反応に関与しない。シクロデキストリンを回収した後、複数の不飽和結合を含むポリマーは、熱開始剤及び/又は光化学開始剤によってさらに重合可能であり、架橋したポリマーを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和モノマーの包接複合体、そのポリマー及びこれらの調製方法に関する。詳細には、本発明は、熱又は光化学開始剤の存在下でその後に架橋可能である、不飽和点を含む水溶性ポリマーに関する。これらのポリマーは、複数の不飽和点を含むモノマーとシクロデキストリンのような環状高分子有機化合物とを含む、包接複合体の選択的重合によって得られる。より詳細には、本発明は、α型、β型、ヒドロキシプロピル及びメチル化したシクロデキストリンと、複数の不飽和点を含むアクリルアミド/メタクリルアミドモノマーの複合体、及びそれらの重合反応に関し、さらに修飾するための利用可能な不飽和点を含む溶解性ポリマーが得られる。
【0002】
これらのポリマーは、酵素固定化、制御されたドラッグ・デリバリー・システム、センサーなどのような様々な分野に応用される。
【背景技術】
【0003】
従来からポリマーは、溶融及び溶解の挙動に応じて、2つの類型、すなわち熱可塑性物質と熱硬化性物質に分類されてきた。熱可塑性物質は、加熱すると溶融状態に変換され、冷却すると固体状態に可逆的に戻る。この特性は、ポリマーをフィルム、シート、ロッド及び他の成形製品のような様々な形状に成形するのに利用される。また、これらのポリマーは溶媒に溶解し、溶液のキャストと溶媒の蒸発によってフィルムに変換可能である。対照的に熱硬化性物質は、可逆的に溶融状態に変換又は溶媒に溶解することができない。これらの材料は、熱可塑性物質と比べて高い機械的及び熱的特性を提供するが、一般に熱可塑性の場合に使用する処理技術を用いて、最終製品へと容易に加工することはできない。同様に、重合が完了した後にポリマー構造を化学的に修飾する余地がないため、樹脂を最終製品に変換した後に、熱可塑性物質の特性を大幅に高めることはできない。
【0004】
フェノール、尿素及びメラミンのようにまれな場合は2段階処理が採用されて、最初の重合を、ポリマーが溶融状態に溶融するか溶媒に溶解することが可能な段階に制限し、その後さらに架橋して、機械的及び熱的特性が向上した不溶融性かつ不溶性の生成物にする。
【0005】
反応性基を含む熱硬化性ポリマーは被覆材として使用される。これらのポリマーは、熱的にさらに架橋する、あるいはイソシアネート、アミン又は金属イオンなどの官能基の追加によってさらに架橋する、格子形状であるのが普通である。網目を形成することにより、これらの樹脂は所望の特性、すなわちほとんどの有機溶媒への不溶性、良好な耐水性及び硬度を実現する(Van E. S. J. J., Polymeric Dispersions: Principles and Applications, Asua, J. M. (Ed), Kluwer Publishers, 1997, p. 451; Ooka, M., Ozawa, H., Progress in Organic Coatings, Vol 23, 1994, p. 325)。シンナモイル又はアゾ型のような感光性基は、熱的なフリーラジカル重合を起こさないが、UV照射によって重合可能である。これらの官能基を含むポリマーを、UV照射にさらして硬化することが可能である(Mueller, H., Mueller, I., Nuyken, O., Strohriegl, P., Makromolecular Chemistry Rapid Communications, 13, 289, 1992; Raanby, B., Current Trends in Polymer Photochemistry, Norman, Allen (Ed), London, UK, 1995, p. 23)。これらの材料は非線形性光学に使用できる。
【0006】
不飽和ポリエステル樹脂の場合、不飽和点を含むポリエステル樹脂を、酸成分として無水マレイン酸及び/又はフマル酸を用いた縮合重合によって調製する。スチレン、メチルメタクリレート、アリルアクリレートなどのような他のビニルモノマーで希釈した樹脂を所望の形状にキャストし、その後フリーラジカル開始剤及び促進剤/活性化剤の存在下でさらに重合して架橋した製品にする。これらの樹脂は電気及び自動車産業で日常的に使われてはいるが、その範囲は限られている。スチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミドなどのような数多くのモノマーを、フリーラジカル重合という従来法で重合した場合、その後所望の製品に変換可能な、溶媒に溶解可能で溶融性の樹脂が得られる。しかし前述したように、潜在的に重合可能な点が構造中に存在しないため、これらの製品を不溶性かつ不溶融性の製品に後で変換することはできない。一方で、これらのモノマーを複数の不飽和点を含むモノマー、すなわちメチレン−ビス−アクリルアミド、エチレン−ビス−メタクリルアミド、フェニレン−ビス−メタクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、アリルアクリレート及びビニルメタクリレートと共重合すると、3次元架橋した生成物が形成されるが、それら生成物は溶媒に対して溶解性ではなく、かつ熱を与えても溶融状態に変換できないため、有用な形状にさらに変換することができない。
【0007】
複数の不飽和基を含むモノマーをフリーラジカル重合すると不溶性のポリマーとなる。アニオン重合を用いた、複数の不飽和基を含むモノマーの重合制御についての報告はほとんどない。そのため、1,4−ジビニル、又は1,4−ジイソプロペニルベンゼンをアニオン重合するとペンダントビニル基を含む反応性ミクロゲルとなるが、この方法はジビニル化合物に限られていて、ジビニル化合物はアニオン重合に対して敏感に反応し(Hiller, J. C., Funke, W., Angew. Makromol. Chem., 76/77, 161, 1979; Wolfgang, S., Funke, W., Makromolecular Chemie, 179, 2145, 1978)、合成には超高純度のモノマーと極低温が要求される。
【0008】
最近のGuanの報告では、エチレングリコールジメタクリレートのコバルト媒介フリーラジカル重合によって高分岐ポリマーが合成され、不飽和結合を含む溶解性ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)ポリマーが得られている(Guan, Z., J. Am. Chem. Soc., 124, 5616, 2002)。しかしながら、この方法はエチレングリコールジメタクリレートに特有であり、複数の不飽和点を含む他のモノマー又はコポリマーに容易に拡張することはできない。
【0009】
シクロデキストリン、カリックスアレン、クリプタンド及びクラウンエーテルのような幅広い種類の環状化合物は、ホスト−ゲスト複合体を形成することで知られており、例えば、貧水溶性のため体内に吸収されにくい数多くの薬をシクロデキストリンのキャビティに封入するなど、商業的に幅広く利用されている。溶解性を高めると薬の生体利用効率が高まる。クラウンエーテルは、エチレン架橋部によって連結した多くの酸素からなる大環状ポリエーテル環系である。18−クラウン−6型のクラウンエーテルは、カリウム、アンモニウム及び水素化1級アミンと包接複合体を形成できるキャビティを含んでいる。多くのジペプチド及びトリペプチドの直接光学分割は、バッファー添加剤としてエナンチオ選択性クラウンエーテルを用いたキャピラリーゾーン電気泳動によって実現された(R. Kuhn, R. Daniel, F. Burkhard, W. Kart-Heinz, J. of Chromatography A, 716, 371-379, 1995)。キラルクラウンエーテルは1級アミン官能基を含む光学異性体を分割するのに使用される(D. W. Armstrong, L. W. Chang, S. S. C. Chang, J. of Chromatography A, 793, 115-134, 1998)。同様に、ビストレンクリプテート(bis-tren cryptate)は、一原子及び多原子の両方のアニオンに対する、万能な種類の受容体である。これらは様々なアニオンに対する選択的親和性を与えることができる(V. Amendola, L. Fabbrizzi, C. Mangano, P. Pallavicini, A. Poggi, A. Taglietti, Coordination Chemistry, 219-221, 821-837, 2001)。生体分子に対する人工受容体及びセンサーとしてのカリックスアレンの潜在能力は長い間認識されてきている。カリックスアレンの有用性はホスト化合物として作用する能力のおかげであり、溶液中でホスト−ゲスト複合体を形成する(Lumetta, G. J.; Rogers, R. D.; Gopalan, A. S., 'Calixarenes for separations', American chemical society: Washington, D. C. 2000)。より小さいアルカリ金属に対して選択性があるため、センサーデバイスとしての研究がされている(Rusin, O.; Kral, V., Sens. Actuators B, B76, 331-335, 2001; Diamond, D.; Nolan, K., Anal. Chem., 73, 22A-29A, 2001)。
【0010】
シクロデキストリンは、水性媒体中に疎水性化合物を可溶化できる、よく知られた環状オリゴ糖である(Wenz, G., Angew Chem., 106, 851, 1994)。水に不溶性の種をシクロデキストリンの疎水性キャビティ内に錯形成すると可溶化される。水中に適当なモノマーを溶解するためのシクロデキストリンの使用は文献に記載されている(Storsberg, J., Ritter, H., Macromolecular Rapid Communications, 21, 236, 2000; Jeromin, J., Ritter, H., Macromolecular Rapid Communications, 19, 377, 1998; Jeromin, J., Noll, O., Ritter, H., Macromolecular Chemistry and Physics, 199, 2641, 1998; Glockner, P., Ritter, H., Macromolecular Rapid Communications, 20, 602, 1999)。いくつかの特許には、乳化重合の収率を改善するために、好ましくは触媒量のシクロデキストリンを使用することが記載されている(米国特許第6225299号、米国特許第5521266号)。
【0011】
メチル化β−シクロデキストリンの存在下、水中で、何種類かのN−アルキルメタクリルアミドをt−ブチルメタクリレートと共重合させることが記載されている(Ritter H., Schwarz-Barac S., Stein P., Macromolecules, 36 (2), 318-322, 2003)。メチル化β−シクロデキストリンは、疎水性モノマーのイソボルニルアクリレート及びブチルアクリレートと錯形成するために用いられ、水溶性のホスト−ゲスト複合体を生成する。これらモノマーの包接複合体は水中で重合し、その重合速度が調べられている。錯形成したモノマーの反応性比は錯形成していないモノマーとは大きく異なっており、また、錯形成したモノマーから得られるポリマーの分子量は、錯形成していないモノマーから得られるものよりも高いことが見出された(Glockner P., Ritter H., Macromol. Rap. Comm., 20 (11), 602-605, 1999)。不規則にメチル化したβ−シクロデキストリンの存在下、水中で、フリーラジカル開始剤としてペルオキソ二硫酸カリウムを用いた、スチレン又はMMAのフリーラジカル重合が記載されている。この方法は、モノマーを定量的に変換し、界面活性剤を用いなくてもほぼ単分散のポリマー粒度分布を有する安定なラテックスにする(Storsberg J. van Aert H., van Roost C., Ritter H., Macromolecules, 36, 50-53, 2003)。t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート及び2−エチルヘキシルメタクリレートのような疎水性メタクリルモノマーは、メチル化β−シクロデキストリンと錯形成する。これらの複合体は、フリーラジカル開始反応を用いて水性媒体中で重合される(Madison P., Long T., Biomacromolecules, 1, 615-621, 2000)。高度に疎水性のモノマーは乳化重合によって容易に組み入れることはできない。触媒量のシクロデキストリンを用いると、乳化重合で非常に疎水性のモノマーを使用することができ、シクロデキストリンは相間移動触媒として作用し、絶え間なく疎水性モノマーと錯形成してそれを溶解し、さらにポリマー粒子にそれを渡している(Lau W., Macromol. Symp., 182, 283-289, 2000)。水性媒体での重合中にエナンチオ識別することに注目して、N−メタクリロイル−D,L−フェニルアラニンメチルエステル誘導体の複合体をフリーラジカル重合することが記載されている(Schwarz-Barac S., Ritter H., Schollmeyer D., Macromol. Rap. Comm., 24 (4), 325-330, 2003)。ステアリルアクリレートの乳化重合は、相間移動剤としてシクロデキストリンを用いて行われた(Leyrer R., Machtle W., Macromol. Chem. Phy., 201, 1235-1243, 2000)。水溶性開始剤2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を用いて、不規則にメチル化したβ−シクロデキストリンを用いたホスト−ゲスト複合体を経由した、水溶液中のフッ素化2−ビニルシクロプロパンのラジカル重合、及びフッ素化2−ビニルシクロプロパンをアルキル2−ビニルシクロプロパンと共重合させた最初の例が報告されている(Choi S. W., Kretschmann O., Ritter H., Ragnoli M., Galli G., Macromol. Chem. Phys., 204, 1475-79, 2003)。メチル化β−シクロデキストリンは、疎水性モノマーであるn−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートと錯形成するために用いられて、対応する水溶性ホスト/ゲスト複合体を生成する。複合体化していないモノマーを共重合すると、ほぼ理想的な統計コポリマーとなる(Bernhardt S., Glockner P., Ritter H., Polymer bulletin, 46, 153-157, 2001)。フェニルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートの、メチル化β−シクロデキストリンとの複合体が重合する機構は、Jeromin及びRitterが記載している(Jeromin J., Ritter H., Macromol. Rap. Comm., 19, 377-379, 1998)。
【0012】
シクロデキストリンを含む複合体を重合させる分野の先行技術を調査すると、複数の不飽和結合を含むモノマーと環状化合物とを含んでなる、ホスト−ゲスト複合体を調製することは今日まで報告されていないことが明らかである。複数の不飽和結合を含むモノマーは、シクロデキストリンと様々な化学量論比の包接複合体を形成することが見出されている。さらに、シクロデキストリンのキャビティ中に包まれた不飽和点は、成長しているフリーラジカル鎖と反応しない。従って、複数の不飽和結合を含むビニルモノマーの包接複合体を重合させると、未反応の不飽和点を含む溶解性ポリマーが生成する。シクロデキストリンを系から除去するとすぐに、脱保護された不飽和点が第2段階の重合に関与することができて、機械的、熱的及び耐溶媒特性の強化された架橋生成物となる。そのため、これらのポリマーは、熱可塑性材料の容易な処理及び熱硬化性材料の特性強化を提供する。
【0013】
シクロデキストリンは、水中にモノマーを溶解させるためだけではなく、架橋剤中に存在する不飽和点の1つが重合に関与することを防ぐために、本発明でも使用される。物理的相互作用は容易に可逆的となるため、化学修飾よりも常に好まれる。疎水性/親水性架橋剤の包接複合体には、ただ1つの不飽和結合を含むモノマーの複合体よりも有利な点がいくつかある。これらの包接複合体はモノマーの溶解度を増加し、異なるモノマーと共重合するのに使用できて溶解性ポリマーを生成する。重合後に存在する不飽和点は、さらに熱的/光化学的に架橋することができ、不溶性ポリマーを生成する。また、この方法は、異なる構造のポリマーを調製するのにも使用できる。
【0014】
従来の有機溶媒を含む環境問題への意識が高まっているために、環境に優しいプロセスに対する要求が日々大きくなっている。環境に優しくない工業製品を製造する、あるいは毒性の副生成物を生じる伝統的なプロセスの多くについて、化学産業は、同じ目的が達成できる新しい手段を探すよう促されている。最小限の出費でそのような潜在的な障害を克服するための努力において、研究の方向は、伝統的な有機溶媒を二酸化炭素、生体分子及び水のような環境に優しい化合物に置き換えることに向かっている。炭水化物モノマーとの錯形成は疎水性モノマーの溶解度を増加し、水性媒体中でそれが重合することを可能にする。これらの炭水化物は重合後容易に再循環できる。本願出願人の共に審理中の特許出願PCT/IB03/03593では、水への溶解性がほとんどない、アクリレート/メタクリレートとのシクロデキストリン複合体が記載されている。これらの複合体は疎水性であるために、水溶性ポリマーを合成するのに普通は適していない。そのため、親水性モノマーに加えて疎水性モノマーとも共重合できる、親水性架橋剤を含む複合体を合成する必要がある。
【0015】
典型的な水溶性架橋剤は、メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAM)、エチレン−ビス−メタクリルアミド(EBMA)又はフェニレン−ビス−メタクリルアミドである。これらの架橋剤には幅広い用途がある。MBAMは酸化性環境中で膜の安定性を改善し、MBAMで架橋したスチレン膜は燃料電池の環境中で良好に動作することが示されている(Becker W., Schmidt-Naake, G., Chemical Engg. and Technology, 25 (4), 373-377, 2002)。メタクリルアミドとMBAMの相互貫入網目は、イオン吸着における選択性、すなわちFe2+を吸着しCr6+を排除するために使用される(Chauhan, G. S., Mahajan, S., J. Appl. Poly. Sc., 86 (31), 667-671, 2002)。MBAM及びカリウムメタクリレートの存在下、ポリ(アクリルアミド−コ−2−ヒドロキシメチルアクリレート)から作られる超吸着剤は、長時間多くの水分を保持するために、農業及び園芸目的の水分管理材料に使用される(Raju, K. M., Raju, M. P., Mohan, Y. M., J. Appl. Poly. Sc., 85 (8), 1795-1801, 2002)。MBAM及びベンゾフェノン存在下で調製されるポリ(2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)は、MIP膜合成に適していることが見出された(Piletsky, S. A., Matuschewski, H., Schedler. U., Wilpert, A., Piletska, E. V., Thiele, T. A., Ulbricht, Macromolecules, 33 (8), 3092-98, 2000)。また、熱的に安定で、水で膨潤したゲルは、石油製造における流体の排液に使用される(Suda, Makoto; Kurata, Tooru; Fukai, Toshihiro; Maeda, Kenichiro, J. Pet. Sci. Eng., 26 (1-4), 1-10, 2000)。ポリアクリルアミドゲルを、MBAM、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート/ジアリルフタレートの存在下で調製した場合、MBAMを架橋剤として使用したときに、水の吸収性がより高いことが観察された(Raju, K. Mohana; Raju, M. Padmanabha; Mohan, Y. Murali, Polymer International, 52 (5), 768-72, 2003)。
【0016】
アクリルアミド、アクリル酸又はN−ビニルピロリドンのような水溶性モノマーは、架橋剤の存在下で酵素を固定化するのに普通使用される。MBAM、ベンジルジメチルケタールピロリドンカルボン酸の存在下で調製されたポリアクリル酸は、電極と皮膚間のインピーダンスが低い生体電極として使用される(特開平09−38057)。MBAMの存在下で合成されたポリ(アクリルアミド−コ−N−アクリロイル−パラアミノベンズアミジン)は、トリプシンの分子インプリント高分子受容体として使用される(Vaidya, A. A.; Lele, B. S.; Kulkarni, M. G.; Mashelkar, R. A. J. App. Poly. Sc., 81 (5), 1075-83, 2001)。ポリ(NIPA−コ−MBAM)はHBVウイルスの検出に使用でき、核酸/タンパク質のいずれかの濃縮に使用できる(Pichot, C.; Elaisari, A.; Duracher, D.; Meunier, F.; Sauzedde, F. Macromol. Symposia, 175, 285-397, 2001)。MBAMの存在下で調製されたポリ(NIPA−コ−AA)ヒドロゲルは、細菌の水性分散物を濃縮するのに使用される(Champ, S.; Xue, W.; Huglin, M. B. Macromol. Chem. and Phys., 201 (17), 2505-2509, 2000)。MBAMの存在下で合成されたポリ(アクリルアミド−コ−ナトリウムアクリレート)は、サッカロマイセス・セレヴィシエ酵素の固定化に有用であることが見出されている(Oztop, H. N.; Oztop, A. Y.; Karadag, E.; Isikver, Y.; Saraydin, D.; Enzyme and Microbial Technology, 32 (1), 114-119, 2003)。MBAMの存在下で調製されたポリ(NIPA−コ−HEMA)は、酵素活性の制御、抽出及びドラッグ・デリバリー・システムに使用される(Lee, W. F.; Huang, Y. L. J. App. Poly. Sc., 77 (8), 1769-1781, 2000)。しかしながら、これら全ての場合において、毒性の未反応架橋剤をこれらの膨潤ゲルから除去することは困難である(George D. J., Price J. C., Marr C. M., Myers B. C., Schwetz A. B., Heindel J. J. Toxicological Science 46 (1), 1998, 124-133)。従って、MBAMを含むポリマーを調製し、未反応のMBAMを除去して、その後架橋するならば、目的の用途におけるこれらポリマーの制約の一つが克服されるだろう。本発明の目的はそのようなポリマーの合成を示すことにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、不飽和モノマーの包接複合体、そのポリマー及びそれらの調製方法を提供することにある。より詳細には、本発明の目的は、環状高分子化合物と複数の不飽和点を含むモノマーとを含んでなる包接複合体を重合することによって、利用可能な不飽和点を含む溶解性ポリマーを合成することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明は複数の不飽和結合を含むモノマーと環状化合物とを含んでなる包接複合体を提供し、その複合体の式はA(x)B(y)であり、「A」は「x」個(0<x<3)のビニル不飽和結合を含むモノマーであって、「B」は「y」個(5<y<7)の単位を含む環状ホスト分子である。
【0019】
本発明のある実施態様では、複数の不飽和結合を含むモノマーは脂肪族、芳香族又はヘテロ環状化合物である。
【0020】
本発明の他の実施態様では、モノマーは、エチレン−ビス−アクリルアミド/エチレン−ビス−メタクリルアミド、メチレン−ビス−アクリルアミド/メチレン−ビス−メタクリルアミド、プロピレン−ビス−アクリルアミド/プロピレン−ビス−メタクリルアミド、ブチレン−ビス−アクリルアミド/ブチレン−ビス−メタクリルアミド、フェニレン−ビス−アクリルアミド/フェニレン−ビス−メタクリルアミド、トリス(2−メタクリルアミド−エチル)アミン/トリス(2−アクリルアミド−エチル)アミン、2,4,6−トリメタクリルアミド−1,3,5−トリアジン/2,4,6−トリアクリルアミド−1,3,5−トリアジン、N,N’−(4,7,10−トリオキサ−トリデカメチレン)−ビス−アクリルアミド/N,N’−(4,7,10−トリオキサ−トリデカメチレン)−ビス−メタクリルアミド、N,N’−(4,9−ジオキサ−ドデカメチレン)−ビス−アクリルアミド/N,N’−(4,9−ジオキサ−ドデカメチレン)−ビス−メタクリルアミド、2,4,5,6−テトラメタクリルアミド−ピリミジン−スルフェート/2,4,5,6−テトラアクリルアミド−ピリミジン−スルフェート、4,5,6−トリス−アクリルアミド−ピリミジン−スルフェート/4,5,6−トリス−メタクリルアミド−ピリミジン−スルフェートのような、ビス−アクリルアミド/メタクリルアミドである。
【0021】
本発明の他の実施態様では、複数の不飽和結合を含む好ましいモノマーは、メチレン−ビス−アクリルアミド及びエチレン−ビス−メタクリルアミドである。
【0022】
本発明の他の実施態様では、環状化合物は、シクロデキストリン、クラウンエーテル、クリプタンド、シクロファン又はそれらの誘導体で例示される、高分子有機化合物である。
【0023】
本発明の他の実施態様では、好ましい環状化合物はシクロデキストリンである。
【0024】
本発明の他の実施態様では、好ましい環状化合物であるシクロデキストリンは、α型、β型、ヒドロキシプロピル又はメチル化誘導体である。
【0025】
本発明の他の実施態様では、代表的な複合体として下記のものが含まれる。
i)β−シクロデキストリン−エチレン−ビス−メタクリルアミド(EBMA)複合体
ii)β−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAM)複合体
iii)メチル化β−シクロデキストリン−エチレン−ビス−メタクリルアミド(EBMA)複合体
iv)α−シクロデキストリン−エチレン−ビス−メタクリルアミド複合体
v)α−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAM)複合体
vi)メチル化β−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAM)複合体
vii)ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド複合体
【0026】
また、本発明は、複数の不飽和結合を含むモノマーと環状化合物とを含んでなる包接複合体の調製方法を提供し、その複合体の式はA(x)B(y)であり、「A」は「x」個(0<x<3)のビニル不飽和結合を含むモノマーであって、「B」は「y」個(5<y<7)の単位を含む環状ホスト分子である。その方法は、環状化合物又はその誘導体を室温にて溶媒に溶解し、複数の不飽和結合を含むモノマーを化学量論量添加して、その混合物を20℃〜30℃の範囲の温度にて最長で24〜48時間撹拌し、溶媒を蒸発し、及び真空下で複合体を回収して、包接複合体を得ることを含む。
【0027】
本発明のある実施態様では、環状化合物はシクロデキストリン、クラウンエーテル、クリプタンド、シクロファン又はそれらの誘導体で例示される、高分子有機化合物である。
【0028】
本発明の他の実施態様では、包接複合体の調製に使用する溶媒は、水又はハロゲン化炭化水素である。
【0029】
本発明の他の実施態様では、包接複合体に使用するハロゲン化溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素である。
【0030】
本発明の他の実施態様では、包接複合体に使用する好ましいハロゲン化溶媒はクロロホルムである。
【0031】
本発明の他の実施態様では、包接複合体に使用する溶媒は水である。
【0032】
また、本発明は上記包接複合体の重合によって調製されるポリマーに関し、そのポリマーの組成は[A(x)B(y)]nであり、x=0〜10、y=0〜10及びn=10〜1000である。
【0033】
本発明の他の実施態様では、ポリマーは未反応の不飽和結合を含み、有機溶媒及び水に可溶性である。
【0034】
また、本発明は組成が[A(x)B(y)]n(x=0〜10、y=0〜10及びn=10〜1000)であるポリマーの調製方法に関し、その方法は、包接複合体を溶媒に溶解し、開始剤を添加し、及び熱、レドックス又は光重合法によって重合することを含む。
【0035】
本発明の他の実施態様では、包接複合体はフリーラジカル重合する。
【0036】
本発明の他の実施態様では、包接複合体は溶液重合する。
【0037】
本発明の他の実施態様では、溶液重合に使用する溶媒は有機溶媒である。
【0038】
本発明の他の実施態様では、包接複合体の重合に使用する有機溶媒は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチルスルホキシド及びクロロホルムである。
【0039】
本発明の他の実施態様では、好ましい有機溶媒はN,N’−ジメチルホルムアミド及びクロロホルムである。
【0040】
本発明の他の実施態様では、包接複合体の重合に使用する溶媒は水である。
【0041】
本発明の他の実施態様では、沈殿重合に使用する溶媒はクロロホルムである。
【0042】
本発明の他の実施態様では、開始剤は、熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤である。
【0043】
本発明の他の実施態様では、重合に使用する熱開始剤は、水溶性又は油溶性である。
【0044】
本発明の他の実施態様では、水溶性熱開始剤は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビスシアノ吉草酸である。
【0045】
本発明の他の実施態様では、好ましい水溶性熱開始剤は、過硫酸カリウム及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩である。
【0046】
本発明の他の実施態様では、油溶性熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化t−ブチル、過酸化クミル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルである。
【0047】
本発明の他の実施態様では、好ましい油溶性熱開始剤はアゾビスイソブチロニトリルである。
【0048】
本発明の他の実施態様では、レドックス開始剤は、亜硫酸ナトリウム−過硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム−過硫酸カリウムである。
【0049】
本発明の他の実施態様では、好ましいレドックス開始剤はメタ重亜硫酸ナトリウム−過硫酸カリウムである。
【0050】
本発明の他の実施態様では、重合に使用する光開始剤は、水溶性又は油溶性のいずれかである。
【0051】
本発明の他の実施態様では、水溶性光開始剤は2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビスシアノ吉草酸である。
【0052】
本発明の他の実施態様では、好ましい水溶性光開始剤は2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩である。
【0053】
本発明の他の実施態様では、油溶性光開始剤は、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)である。
【0054】
本発明の他の実施態様では、好ましい油溶性光開始剤は2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
【0055】
本発明の他の実施態様では、重合温度は20℃〜65℃である。
【0056】
本発明の他の実施態様では、包接複合体の重合は、過硫酸カリウム及びTEMEDの存在下、25℃にて行われる。
【0057】
また、本発明は、フリーラジカル重合法により、組成が[A(x)B(y)]n(x=0〜10、y=0〜10及びn=10〜1000)であるポリマーから、架橋したポリマーを調製する方法を提供する。
【0058】
本発明のある実施態様では、使用する有機溶媒は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド及びN,N’−ジメチルスルホキシドである。
【0059】
本発明の他の実施態様では、好ましい有機溶媒はN,N’−ジメチルホルムアミドである。
【0060】
本発明の他の実施態様では、架橋に使用する溶媒は水である。
【0061】
本発明の他の実施態様では、開始剤は熱開始剤又は光開始剤である。
【0062】
本発明の他の実施態様では、重合に使用する熱開始剤は水溶性又は油溶性である。
【0063】
本発明の他の実施態様では、水溶性熱開始剤は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩及びアゾビスシアノ吉草酸である。
【0064】
本発明の他の実施態様では、好ましい水溶性熱開始剤は、過硫酸カリウム及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩である。
【0065】
本発明の他の実施態様では、油溶性熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化t−ブチル及び過酸化クミルである。
【0066】
本発明の他の実施態様では、好ましい油溶性熱開始剤はアゾビスイソブチロニトリルである。
【0067】
本発明の他の実施態様では、重合に使用する光開始剤は、水溶性又は油溶性のいずれかである。
【0068】
本発明の他の実施態様では、水溶性光開始剤は2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビスシアノ吉草酸である。
【0069】
本発明の他の実施態様では、好ましい水溶性光開始剤は2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩である。
【0070】
本発明の他の実施態様では、油溶性光開始剤は、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)である。
【0071】
本発明の他の実施態様では、好ましい油溶性光開始剤は2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
【0072】
本発明の他の実施態様では、重合温度は20℃〜65℃である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本発明には複数の不飽和結合を含む親水性ポリマーが記載される。これらポリマーの合成に使用可能である、複数のビニル不飽和結合を含むモノマーとして、メチレン−ビス−アクリルアミド、エチレン−ビス−メタクリルアミドが例示される。重合反応は、先の出願のPCT/IB03/03593に記載されているジメチルホルムアミド及び/又はジメチルスルホキシドのような有機極性溶媒中よりも、むしろ水性媒体中で行うことができる。さらに、使用する架橋剤は親水性で、本質的には水溶性である。また、本発明にはシクロデキストリンと複数の不飽和点を含む架橋剤とを含んでなる包接複合体の調製方法が記載される。そのように形成した包接複合体は、水性媒体に可溶性である他のモノマーと一緒に重合され、単離される。架橋剤中に存在する2以上の不飽和点のうち1つだけが重合反応に関与するため、単離した生成物には複数の不飽和結合が含まれる。そのように生成したポリマーは単離され、不飽和基の存在が示される。この段階のポリマーは、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルアセトアミド及び特に水のような溶媒に容易に溶解する。重合は、使用するシクロデキストリン誘導体に応じて、油/水溶性開始剤のいずれかを用い、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルスルホキシド、クロロホルム、メタノールのような有機溶媒中又は水性媒体中で行うことができる。さらに、これらのポリマーは、有機/水性媒体中のいずれかで、熱及び/又は光化学開始剤を用いた第2段階で架橋することができる。
【0074】
本発明は、一般式がA(x)B(y)である、複数の不飽和結合を含む不飽和モノマーと環状化合物との包接複合体を提供し、「A」は「x」個(0<x<3)のビニル不飽和結合を含むモノマーであって、「B」は「y」個(5<y<7)の単位を含む環状ホスト分子である。また、本発明は、上記包接複合体の調製方法を提供し、その方法は、環状化合物又はその誘導体を室温にて溶媒に溶解し、複数のビニル不飽和結合を含むモノマーを化学量論量この溶液に添加して、その混合物を20℃〜30℃の範囲の温度にて最長で24〜48時間撹拌し、溶媒を除去し、及び真空下で複合体を回収して、包接複合体を得ることを含む。
【0075】
環状化合物は、シクロデキストリン、クラウンエーテル、クリプタンド、シクロファン又はそれらの誘導体で例示される、高分子有機化合物であってよい。シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン又はメチル化シクロデキストリン誘導体であってよい。複数のビニル不飽和結合を含むモノマーは、例としてエチレン−ビス−メタクリルアミド、メチレン−ビス−アクリルアミドが挙げられる、ビス−アクリルアミド又はメタクリルアミドのような、脂肪族、芳香族又はヘテロ環状化合物のいずれかであってよく、又は、プロピレン−ビス−アクリルアミド/プロピレン−ビス−メタクリルアミド、ブチレン−ビス−アクリルアミド/ブチレン−ビス−メタクリルアミド、フェニレン−ビス−アクリルアミド/フェニレン−ビス−メタクリルアミド、トリス(2−メタクリルアミド−エチル)アミン/トリス(2−アクリルアミド−エチル)アミン、2,4,6−トリメタクリルアミド−1,3,5−トリアジン/2,4,6−トリアクリルアミド−1,3,5−トリアジン、N,N’−(4,7,10−トリオキサ−トリデカメチレン)−ビス−アクリルアミド/N,N’−(4,7,10−トリオキサ−トリデカメチレン)−ビス−メタクリルアミド、N,N’−(4,9−ジオキサ−ドデカメチレン)−ビス−アクリルアミド/N,N’−(4,9−ジオキサ−ドデカメチレン)−ビス−メタクリルアミド、2,4,5,6−テトラメタクリルアミド−ピリミジン−スルフェート/2,4,5,6−テトラアクリルアミド−ピリミジン−スルフェート、4,5,6−トリス−アクリルアミド−ピリミジン−スルフェート/4,5,6−トリス−メタクリルアミド−ピリミジン−スルフェートであってもよい。
【0076】
複合体調製に使用する溶媒は、使用するシクロデキストリン誘導体に応じて、水又はクロロホルムであってよい。
【0077】
包接複合体を重合すると、利用可能な不飽和基を含むポリマーが得られ、水性媒体に加えて有機溶媒にも溶解する。包接複合体の重合により、一般式が[A(x)B(y)]nであるポリマーが得られ、ここで、x、y及びnはモノマーの繰り返し単位数を表し、x=0〜10、y=0〜10及びn=10〜1000である。本発明は包接複合体の溶解性ポリマーの調製方法を提供し、そのポリマーを従来の重合法により調製すると架橋した生成物になる。
【0078】
また、本発明は、熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤のような適当なフリーラジカル開始剤を用いたフリーラジカル重合法によって、包接複合体のポリマーを調製する方法を提供する。包接複合体は、有機溶媒又は水に溶解することによって重合可能となる。使用する有機溶媒は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルスルホキシド、クロロホルムなどであってよい。また、重合に使用する媒体は水を含んでもよい。
【0079】
重合を行うのに使用する開始剤は、熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤であってよい。重合に使用する熱開始剤は、例として、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩、過硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる、アゾ、レドックス又は過酸化物開始剤であってよい。重合に使用するこれらの熱開始剤は、油/水溶性開始剤のいずれかであってよい。重合に使用する油溶性熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化t−ブチル、過酸化クミル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルであってよい。重合に使用する水溶性の熱開始剤及びレドックス開始剤は、2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム−過硫酸カリウムなどであってよい。
【0080】
重合に使用する光開始剤は、油又は水溶性の開始剤であってよい。重合に使用する油溶性光開始剤は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンであってよい。重合に使用する水溶性光開始剤は2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩であってよい。
【0081】
重合に使用する温度は、室温から65℃であってよい。
【0082】
過硫酸カリウム/TEMED及び過硫酸カリウム/メタ重亜硫酸ナトリウムの存在下で行われる重合に例示されるように、重合を室温で行ってもよい。ホモポリマーの沈殿に使う非溶媒は、石油エーテル、ヘキサンなどの炭化水素又はアセトンなどのケトンであってよい。不飽和基を含む上述の溶解性ポリマーは、熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤を用いてさらに重合できる。
【0083】
その重合に使用する熱開始剤は、例として、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩、過硫酸カリウム−メタ重亜硫酸ナトリウム、過酸化ベンゾイル、過酸化クミル、過酸化t−ブチルなどが挙げられる、アゾ、レドックス又は過酸化物開始剤であってよい。重合に使用するこれらの熱開始剤は、油/水溶性開始剤のいずれかであってよい。重合に使用する油溶性熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化t−ブチルであってよい。重合に使用する水溶性の熱開始剤は、2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩、過硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アゾビスシアノ吉草酸などであってよい。
【0084】
重合に使用する光開始剤は、油又は水溶性の開始剤であってよい。重合に使用する油溶性光開始剤は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)であってよい。重合に使用する水溶性光開始剤は2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩であってよい。
【0085】
使用する有機溶媒は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルスルホキシド、クロロホルム、N,N’−ジメチルアセトアミドなどであってよい。また、重合に使用する媒体は水性のものであってもよい。
【0086】
本発明の範囲は、上述の、複数の不飽和結合を含むモノマー及びシクロデキストリン又はその誘導体、並びに複合体組成物に限定されない。
【0087】
セルロース、タンパク質、キトサン、グアーガムのような天然ポリマー、及びポリビニルアルコールのような合成ポリマーは、グルタルアルデヒドを用いて架橋される。しかし、ゲルの網目に未反応の架橋剤が存在するとゲルが毒性となるために、その用途は制約される。そのため、独立した工程にて、ゲルの網目からこれら未反応の架橋剤を除去する必要がある。MBAMのような架橋剤の存在下で調製されたポリマーはゲルを形成し、酵素の固定化やドラッグ・デリバリー・システムに有用であるが、同様の制約を受ける。ポリマーを溶解性の状態に引き続き保ちながら架橋剤をポリマーの一部とすることができ、未反応の架橋剤であるモノマーは洗浄して完全に除去可能であって、その後に、活性成分、特に酵素のような不安定な成分の封入後に架橋するならば、この問題を克服することができる。
【0088】
この制約は、これらのゲルを2段階で合成することによる、本発明の方法において克服されている。第1段階では架橋剤の不飽和点の1つだけが重合に関与し、未反応の不飽和結合を伴う溶媒に溶解性のポリマーを得る。この段階で未反応の架橋剤は除去でき、このポリマーは、架橋可能であって不溶性のゲルを生じさせる利用可能な架橋剤を含まない。さらに、未反応の不飽和結合は、異なるポリマー構造を設計するために使用可能である。
【0089】
第1の重合段階の間、ジビニルモノマーの第2のビニル基を保護するために、ジビニルモノマーをシクロデキストリンと錯形成させる。本発明者らは、ジビニルモノマーとの包接複合体を形成させるためにシクロデキストリンを使用し、シクロデキストリンのキャビティに組み込まれたビニル基の重合を防ぐことを記載する。第1段階の重合の後に、不飽和点はシクロデキストリンを除去して脱保護できる。この時点で脱保護されたビニル基は、第2段階にて、架橋プロセス又は別のモノマーとの共重合に使用することができる。現在に至るまで、シクロデキストリンは、疎水性モノマーを溶解する目的で又は乳化重合の界面活性剤として使用されている。
【0090】
ジビニルモノマーの存在下で行われる重合はゲル網目を形成する。そのため、この発明において、本発明者らはジビニルモノマーとの包接複合体を形成するためにシクロデキストリンを使用し、シクロデキストリンのキャビティに組み込まれたビニル基の重合を防ぐことを報告する。さらに、残存する不飽和点は、第2段階にて、架橋プロセス又は別のモノマーとの共重合に使用することができる。
【0091】
以下の例は説明の手段として記載するものであって、本発明の範囲とみなしてはならない。
【0092】
以下に記載する全ての例において、NMRのデータは合成したポリマー中に不飽和結合を存在することを示す。
【実施例】
【0093】
例1:この例には、β−シクロデキストリン−エチレン−ビス−メタクリルアミド(EBMA)複合体の調製を記載する。
【0094】
β−シクロデキストリン11.35g(0.01モル)を室温で500mLの蒸留水に溶解した。これに、エチレン−ビス−メタクリルアミド1.96g(0.01モル)を一度に添加し、マグネチックスターラーを用いて混合物を24時間攪拌して、水溶性複合体を得た。室温で水を蒸発した。複合体は真空にしたデシケーター中で乾燥した。収率は95%で、複合体は1H NMRとIR分光法で同定した。複合体の化学量論比は、β−シクロデキストリンとエチレン−ビス−メタクリルアミドについてのプロトンの面積から決定し、1:1であることが分かった。IR分光法の分析では、複合体中にアミドと不飽和結合が存在することが示された。
1H NMR(D2O):δ1.92(EBMA:CH3)、δ3.44(EBMA:CH2)、δ3.55〜3.67、δ3.85〜3.96(シクロデキストリンのピーク)、δ5.66、δ5.45(=CH2
IR(ヌジョール):1658cm-1(EBMA:C=O)、1614cm-1(−C=C−)、2854.5cm-1、2924cm-1(−CH3)、1462cm-1(=CH2
EBMA−β−シクロデキストリン複合体中のEBMAのIRピークは、3〜8cm-1シフトしていた。
【0095】
例2:この例には、β−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAM)複合体の調製を記載する。
【0096】
β−シクロデキストリン11.35g(0.01モル)を室温で500mLの蒸留水に溶解した。これに、メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAM)1.54g(0.01モル)を添加し、混合物を室温で24時間攪拌した。メチレン−ビス−アクリルアミドとβ−シクロデキストリンを含む複合体は水溶性だった。この溶液を室温で乾燥するまで濃縮し、真空にしたデシケーター中で乾燥した。収率は98%で、複合体は1H NMRとIR分光法で同定した。複合体の化学量論比はNMRで決定したところ1:1だった。
1H NMR(D2O):δ4.5(MBAM:CH2)、δ5.43〜5.64(=CH2)、δ6.09〜6.29(MBAM:=CH)、δ3.55〜3.67、δ3.85〜3.96(シクロデキストリンのピーク)
IR(ヌジョール):1656.7cm-1(MBAM:C=O)、1625.9cm-1(MBAM:C=C)、1463cm-1、2854.5cm-1、2924cm-1、(−CH3)、1462cm-1(=CH2
【0097】
例3:この例には、メチル化β−シクロデキストリン−エチレン−ビス−メタクリルアミド(EBMA)複合体の調製を記載する。
【0098】
メチル化β−シクロデキストリン13.31g(0.01モル)を室温で196mLの蒸留水に溶解した。これに、エチレン−ビス−メタクリルアミド1.96g(0.01モル)を添加し、混合物を室温で24時間攪拌した。エチレン−ビス−メタクリルアミドとメチル化β−シクロデキストリンを含む水溶性複合体を得た。この溶液を室温で乾燥するまで濃縮し、複合体を真空デシケーター中で室温にて乾燥した。収率は92%で、複合体は1H NMRとIR分光法で同定した。複合体中のメチル化β−シクロデキストリンとエチレン−ビス−メタクリルアミドの化学量論比は、1H NMRで見積もったところ2:1だった。IRでは、複合体中に不飽和結合とアミド基が存在することが示された。
1H NMR(D2O):δ1.91(EBMA:CH3)、δ3.44(EBMA:CH2)、δ3.39〜3.41、δ3.57〜3.85(シクロデキストリンのピーク)、δ5.67、δ5.44(=CH2
IR(ヌジョール):1658.7cm-1(EBMA:C=O)、1618.2cm-1(−C=C−)、2927.7cm-1、(−CH3)、1452cm-1(=CH2
EBMA−β−シクロデキストリン複合体中のEBMAのIRピークは、3〜8cm-1シフトしていた。
【0099】
例4:この例には、α−シクロデキストリン−エチレン−ビス−メタクリルアミド複合体の調製を記載する。
【0100】
α−シクロデキストリン0.648g(0.0005モル)を10mLの水に溶解した。これに、エチレン−ビス−メタクリルアミド0.098g(0.0005モル)を添加し、混合物を室温で24時間攪拌した。得られた複合体は透明溶液の状態だった。この溶液を室温で乾燥するまで濃縮し、その後、真空にしたデシケーター中で乾燥した。収率は96%で、得られた複合体の化学量論比は、NMR分析で決定したところ1:1だった。IRピークは、不飽和結合に加えてアミド官能基が存在することを示した。
1H NMR(DMSOd6):δ3.44(EBMA:CH2)、δ3.28〜3.41、δ3.60〜3.79(シクロデキストリンのピーク)、δ5.64、δ5.43(EBMA:=CH2
IR(ヌジョール):1658cm-1(EBMA:C=O)、1614cm-1(−C=C−)、2854.5cm-1、2924cm-1、(−CH3)、1462cm-1(=CH2
EBMA−α−シクロデキストリン複合体中のEBMAのIRピークは、3〜8cm-1シフトしていた。
【0101】
例5:この例には、α−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAM)複合体の調製を記載する。
【0102】
α−シクロデキストリン0.648g(0.0005モル)を10mLの水に溶解した。これに、メチレン−ビス−アクリルアミド0.098g(0.0005モル)を添加し、混合物を室温で24時間攪拌した。得られた複合体は透明溶液の状態だった。この溶液を室温で乾燥するまで濃縮し、その後、真空にしたデシケーター中で乾燥した。収率は96%だった。
1H NMR(DMSOd6):δ1.92(MBAM:CH3)、δ4.5(MBAM:CH2)、δ3.55〜3.67、δ3.85〜3.96(シクロデキストリンのピーク)、δ5.66、δ5.45(=CH2
IR(ヌジョール):1658cm-1(MBAM:C=O)、1614cm-1(−C=C−)、2854.5cm-1、2924cm-1、(−CH3)、1462cm-1(=CH2
MBAM−α−シクロデキストリン複合体中のMBAMのIRピークは、3〜8cm-1シフトしていた。
【0103】
例6:この例には、メチル化β−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAM)複合体の調製を記載する。
【0104】
メチル化β−シクロデキストリン13.31g(0.01モル)を196mLの蒸留水に溶解した。その溶液に、メチレン−ビス−アクリルアミド1.54g(0.01モル)を添加し、混合物を24時間攪拌した。複合体は透明溶液の状態で得られ、その後、この溶液を室温で濃縮し、次いで、真空にしたデシケーター中で乾燥した。複合体の収率は92%だった。1H NMR分析により決定した複合体の化学量論比は1:1(メチレン−ビス−アクリルアミド:メチル化β−シクロデキストリン)だった。
1H NMR(D2O):δ4.5(MBAM:CH2)、δ3.39〜3.41、δ3.57〜3.85(シクロデキストリンのピーク)、δ6.1、δ5.44(MBAM:=CH2、=CH)
IR:1658.7cm-1(MBAM:C=O)、1627.8cm-1(−C=C−)、2927.7cm-1、(−CH3)、1452cm-1(=CH2
MBAM−β−シクロデキストリン複合体中のMBAMのIRピークは、3〜8cm-1シフトしていた。
【0105】
例7:この例には、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド複合体の調製を記載する。
【0106】
ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン1g(0.0007モル)を2mLの蒸留水に溶解した。その溶液に、メチレン−ビス−アクリルアミド0.1094g(0.0007モル)を添加し、混合物を24時間攪拌した。複合体は透明溶液の状態で得られ、その後、この溶液を室温で濃縮し、次いで、真空にしたデシケーター中で乾燥した。複合体の収率は94%だった。1H NMRにより決定した複合体の化学量論比は1:1(メチレン−ビス−アクリルアミド:ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン)だった。
1H NMR(D2O):δ4.5(MBAM:CH2)、δ3.39〜3.41、δ3.57〜3.85(シクロデキストリンのピーク)、δ6.1、δ5.44(MBAM:=CH2、=CH)
IR:1658.7cm-1(MBAM:C=O)、1627.8cm-1(−C=C−)、2927.7cm-1、(−CH3)、1452cm-1(=CH2
MBAM−ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン複合体中のMBAMのIRピークは、3〜8cm-1シフトしていた。
【0107】
例8:この例には、過硫酸カリウムを用いた、水性媒体中でのポリ(エチレン−ビス−メタクリルアミド)の調製を記載する。
【0108】
例1に記載した、エチレン−ビス−メタクリルアミドとβ−シクロデキストリンを含む複合体1gを蒸留水17mLに溶解した。過硫酸カリウム10mgを添加し、試験管を10〜15分間窒素置換した。試験管を65℃に保った水浴に浸した。重合は24時間行った。冷却後、溶液を室温で濃縮し、次いでそれにメタノールを添加した。アルコール層に残ったポリマーとシクロデキストリンの沈殿を濾過して分離した。ポリマーの収率は79%だった。得られたポリマーは、水、メタノール、DMF、DMSOに溶解性だった。1H NMR分析では、重合後であってもなお、ビニル不飽和結合が存在することが示された。IR分析では、アミド官能基に加えて二重結合の存在が示された。
1H NMR(DMSOd6):δ1.95(CH3)、δ3.5(EBMA:CH2)、δ5.64、δ5.43(EBMA:=CH2
IR(ヌジョール):1658cm-1(EBMA:C=O)、1614cm-1(−C=C−)、2854.5cm-1、2924cm-1(−CH3)、1462cm-1(=CH2
固有粘度:[η]=0.06dl/g
【0109】
例9(比較):エチレン−ビス−メタクリルアミド1gを、試験管中で蒸留水17mLに溶解した。これに過硫酸カリウム10mgを添加し、試験管を15分間窒素パージした。重合は65℃で行った。ポリマーは30分以内に架橋したゲルとして得られ、DMF、DMSO、メタノールなどの普通の有機溶媒、及び水に対しても不溶性だった。
【0110】
例10(比較):エチレン−ビス−メタクリルアミド0.2g(0.001モル)及びβ−シクロデキストリン1.14g(0.001モル)を、蒸留水17mLに溶解した。これに過硫酸カリウム5mgを添加し、窒素で10分間バブリングした。重合は65℃で行った。架橋したゲルが30分以内に得られた。このゲルはDMF、DMSO、メタノール及び水に不溶性だった。
【0111】
例11:この例には、過硫酸カリウムを用いた、水性媒体中でのポリ(メチレン−ビス−アクリルアミド)の調製を記載する。
【0112】
例2に記載した、メチレン−ビス−アクリルアミド−β−シクロデキストリン複合体1gを、試験管中で蒸留水17mLに溶解した。過硫酸カリウム10mgを開始剤として添加し、試験管を15分間窒素置換した。重合は65℃で24時間行った。冷却後、溶液を室温で濃縮し、次いでそれにメタノールを添加した。ポリマーはアルコール層に残り、沈殿したシクロデキストリンは濾過して分離した。ポリマーはエーテル中で沈殿させて得られた。ポリマーの収率は75%だった。構造は1H NMR及びIR分光法により確認した。1H NMR分析では、重合後であってもなお、ビニル不飽和結合が存在することが示された。IR分析では、アミド官能基に加えて二重結合の存在が示された。得られたポリマーは、水、メタノール、DMF及びDMSOに溶解性だった。
1H NMR(DMSOd6):δ4.5(MBAM:CH2)、δ6.1、δ5.44(=CH2、=CH)
IR(ヌジョール):1658.7cm-1(MBAM:C=O)、1627.8cm-1(−C=C−)、2927.7cm-1(−CH3)、1452cm-1(=CH2
固有粘度:[η]=0.054dl/g
【0113】
例12:この例では、光開始剤2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を用いた、水中でのポリ(EBMA)の架橋を説明する。
【0114】
例9に従って調製したポリ(エチレン−ビス−メタクリルアミド)0.1gを水2mLに溶解し、光開始剤2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩10mgを添加した。溶液をUV照射に15分間さらした。ポリマーは架橋してゲルを生成した。このことは、第1段階で1つのビニル基が選択的に重合し、次に第2段階の重合で架橋したことの間接的な証拠である。架橋後のポリマーは、水、DMF、メタノール及びDMSOに不溶性であることが分かった。
【0115】
例13:この例では、β−シクロデキストリン−エチレン−ビス−メタクリルアミド複合体の光重合を説明する。
【0116】
例1で調製したエチレン−ビス−メタクリルアミド/β−シクロデキストリン複合体1gを、試験管中でN,N−ジメチルホルムアミド6mLに溶解した。1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン10mgを添加し、試験管を15分間窒素置換した。重合は、UV照射にさらすことにより室温で15分間行った。ポリマー溶液を室温で濃縮し、その後、それにメタノールを添加した。ポリマーはアルコール層に残り、シクロデキストリンは沈殿した。シクロデキストリンを濾過により分離し、濾液をジエチルエーテルに入れて沈殿を生成した。ポリマーの収率は75%だった。ポリマーは、水、メタノール、DMF及びDMSOに溶解性だった。構造は1H NMR及びIR分光法で確認した。1H NMR分析ではビニル不飽和結合の存在が示された。これはIR分光法によっても確認された。
1H NMR(DMSOd6):δ1.95(CH3)、δ3.5(EBMA:CH2)、δ5.64、δ5.43(EBMA:=CH2
IR(ヌジョール):1658cm-1(EBMA:C=O)、1614cm-1(−C=C−)、2854.5cm-1、2924cm-1(−CH3)、1462cm-1(=CH2
【0117】
例14:この例では、室温でのポリ(エチレン−ビス−メタクリルアミド)の調製を提供する。
【0118】
例1に記載した、エチレン−ビス−メタクリルアミド/β−シクロデキストリン複合体5gを、丸底フラスコ中で蒸留水125mLに溶解し、20分間窒素置換した。過硫酸カリウム50mg及びTEMED10mLを、それぞれ開始剤及び促進剤として添加した。重合は室温で24時間行った。溶液を室温で濃縮し、次いでそれにメタノールを添加した。ホモポリマーはアルコール層に残り、沈殿したシクロデキストリンは濾過により分離した。ポリマーはエーテル中で沈殿させて得た。ポリマーの収率は47%だった。構造は1H NMR及びIR分光法で確認した。1H NMRではビニル不飽和結合の存在が示された。IRでは、アミド官能基に加えて二重結合の存在が示された。得られたポリマーは、水、メタノール、DMF及びDMSOに溶解性だった。
1H NMR(DMSOd6):δ1.95(CH3)、δ3.5(EBMA:CH2)、δ5.64、δ5.43(EBMA:=CH2
IR(ヌジョール):1658cm-1(EBMA:C=O)、1614cm-1(−C=C−)、2854.5cm-1、2924cm-1(−CH3)、1462cm-1(=CH2
【0119】
例15:この例では、エチレン−ビス−メタクリルアミド−メチル化シクロデキストリン複合体からの、ポリ(エチレン−ビス−メタクリルアミド)の調製を提供する。
【0120】
例3に記載したエチレン−ビス−メタクリルアミド/メチル化シクロデキストリン複合体2gを、試験管中で蒸留水10mLに溶解した。過硫酸カリウム4.3mgを開始剤として添加し、試験管を15分間窒素置換した。重合は65℃で24時間行った。冷却後、溶液を室温で濃縮し、次いでそれにクロロホルムを添加した。メチル化シクロデキストリンはクロロホルム層に残り、ポリマーは沈殿した。ポリマーをエーテル中で沈殿させて得た。ポリマーの収率は63%だった。ポリマーはメタノール、水、DMF及びDMSOに溶解性であることが分かった。構造は1H NMR及びIR分光法で確認した。1H NMRではビニル不飽和結合の存在が示された。IRでは、アミド官能基に加えて二重結合の存在が示された。
1H NMR(DMSOd6):δ1.95(CH3)、δ3.5(EBMA:CH2)、δ5.64、δ5.43(EBMA:=CH2
IR(ヌジョール):1658cm-1(EBMA:C=O)、1614cm-1(−C=C−)、2854.5cm-1、2924cm-1(−CH3)、1462cm-1(=CH2
【0121】
例16:この例では、50℃、水中で、2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩を用いた、ポリ(エチレン−ビス−メタクリルアミド)の調製を提供する。
【0122】
例1に記載したエチレン−ビス−メタクリルアミド/β−シクロデキストリン複合体5gを、丸底フラスコ中で蒸留水125mLに溶解した。2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩50.2mgを開始剤として添加し、フラスコを15分間窒素置換した。重合は50℃で24時間行った。冷却後、溶液を室温で濃縮し、次いでそれにメタノールを添加した。ホモポリマーはアルコール層に残り、沈殿したシクロデキストリンは濾過により分離した。ポリマーはエーテル中で沈殿させて得た。ポリマーの収率は70%だった。このポリマーはメタノール、水、DMF及びDMSOに溶解性だった。構造は1H NMR及びIR分光法で確認した。1H NMR分析ではビニル不飽和結合の存在が示された。IRでは、アミド官能基に加えて二重結合の存在が示された。
1H NMR(DMSOd6):δ1.95(CH3)、δ3.5(EBMA:CH2)、δ5.64、δ5.43(EBMA:=CH2
IR(ヌジョール):1658cm-1(EBMA:C=O)、1614cm-1(−C=C−)、2854.5cm-1、2924cm-1(−CH3)、1462cm-1(=CH2
【0123】
例17:この例には、水溶性光開始剤を用いたポリ(メチレン−ビス−アクリルアミド)の調製を記載する。
【0124】
ポリ(メチレン−ビス−アクリルアミド)0.1gを水2mLに溶解した。2,2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩酸塩0.010gを添加した。この溶液をペトリ皿に注ぎフィルムを形成した。その後、このフィルムをUV照射に約12分間さらした。次いで、フィルムの溶解性を水中で確認した。得られたフィルムは、水、メタノール、DMF及びDMSOに不溶性であり、メチレン−ビス−アクリルアミドのホモポリマーの架橋が確認された。
1H NMR(DMSOd6):δ4.5(MBAM:CH2)、δ6.1、δ5.44(=CH2、=CH)
IR(ヌジョール):1658.7cm-1(MBAM:C=O)、1627.8cm-1(−C=C−)、2927.7cm-1(−CH3)、1452cm-1(=CH2
【0125】
例18:この例では、レドックス開始剤を用いた、水性媒体中でのポリ(エチレン−ビス−メタクリルアミド)の調製を提供する。
【0126】
エチレン−ビス−メタクリルアミド−メチル化シクロデキストリン複合体2gを水20mLに溶解した。そこに過硫酸カリウム0.0175gとメタ重亜硫酸ナトリウム0.01235gを添加した。窒素ガスを反応混合物に通しながら10分間パージした。反応は室温で24時間行った。その後、溶液を乾燥するまで蒸発した。シクロデキストリンがクロロホルム層に残る一方ポリマーが沈殿するように、得られた固体をクロロホルムに溶解した。ポリマーの沈殿は室温で乾燥した。ポリマーの収率は91%だった。
1H NMR(DMSOd6):δ1.95(CH3)、δ3.5(EBMA:CH2)、δ5.64、δ5.43(EBMA:=CH2
IR(ヌジョール):1658cm-1(EBMA:C=O)、1614cm-1(−C=C−)、2854.5cm-1、2924cm-1(−CH3)、1462cm-1(=CH2
【0127】
例19:この例では、クロロホルム中でのポリ(エチレン−ビス−メタクリルアミド)の調製を提供する。
【0128】
エチレン−ビス−メタクリルアミド−メチル化シクロデキストリン複合体2gをクロロホルム20mLに溶解した。そこにアゾビスイソブチロニトリル0.005gを添加した。窒素を反応混合物に通しながら約10分間パージした。溶液を60℃で5時間還流した。ポリマーがクロロホルム中で沈殿していくのが観察された。沈殿したポリマーは濾過し、室温で乾燥した。ポリマーの収率は90%だった。
1H NMR(DMSOd6):δ1.95(CH3)、δ3.5(EBMA:CH2)、δ5.64、δ5.43(EBMA:=CH2
IR(ヌジョール):1658cm-1(EBMA:C=O)、1614cm-1(−C=C−)、2854.5cm-1、2924cm-1(−CH3)、1462cm-1(=CH2
【0129】
例20:この例では、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド複合体からのポリ(メチレン−ビス−アクリルアミド)の調製を提供する。
【0130】
メチレン−ビス−アクリルアミド−ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン複合体1.1094gを、N,N’−ジメチルホルムアミド12mLに溶解した。アゾビスイソブチロニトリル0.01gを添加した。窒素を反応混合物に通しながら約10分間パージした。重合は65℃で24時間行った。ポリマーはアセトン中で沈殿させ、濾過し、室温で乾燥した。ポリマーの収率は78%だった。
1H NMR(DMSOd6):δ4.5(MBAM:CH2)、δ6.1、δ5.44(=CH2、=CH)
IR(ヌジョール):1658.7cm-1(MBAM:C=O)、1627.8cm-1(−C=C−)、2927.7cm-1(−CH3)、1452cm-1(=CH2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の不飽和結合を含むモノマーと環状化合物を含んでなる包接複合体であって、該複合体の一般式はA(x)B(y)であって、「A」が「x」個(0<x<3)のビニル不飽和結合を含むモノマーであり、及び「B」が「y」個(5<y<7)の単位を含む環状ホスト分子である、包接複合体。
【請求項2】
前記複数の不飽和結合を含むモノマーが、脂肪族、芳香族又はヘテロ環状化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の包接複合体。
【請求項3】
前記モノマーが、エチレン−ビス−アクリルアミド、メチレン−ビス−アクリルアミド、プロピレン−ビス−アクリルアミド、ブチレン−ビス−アクリルアミド、フェニレン−ビス−アクリルアミド、N,N’−(4,7,10−トリオキサ−トリデカメチレン)−ビス−アクリルアミド及びN,N’−(4,9−ジオキサ−ドデカメチレン)−ビス−アクリルアミドからなる群から選択されるビス−アクリルアミド;又はエチレン−ビス−メタクリルアミド、メチレン−ビス−メタクリルアミド、プロピレン−ビス−メタクリルアミド、ブチレン−ビス−メタクリルアミド、フェニレン−ビス−メタクリルアミド、N,N’−(4,7,10−トリオキサ−トリデカメチレン)−ビス−メタクリルアミド及びN,N’−(4,9−ジオキサ−ドデカメチレン)−ビス−メタクリルアミドからなる群から選択されるメタクリルアミド;又はトリス(2−メタクリルアミド−エチル)アミン及びトリス(2−アクリルアミド−エチル)アミンからなる群から選択されるアミン;又は2,4,6−トリメタクリルアミド−1,3,5−トリアジン及び2,4,6−トリアクリルアミド−1,3,5−トリアジンからなる群から選択されるトリアジン;又は2,4,5,6−テトラメタクリルアミド−ピリミジン−スルフェート、2,4,5,6−テトラアクリルアミド−ピリミジン−スルフェート、4,5,6−トリス−アクリルアミド−ピリミジン−スルフェート及び4,5,6−トリス−メタクリルアミド−ピリミジン−スルフェートからなる群から選択されるスルフェートである、請求項1に記載の包接複合体。
【請求項4】
前記複数の不飽和結合を含むモノマーが、メチレン−ビス−アクリルアミド及びエチレン−ビス−メタクリルアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の包接複合体。
【請求項5】
前記環状化合物が、シクロデキストリン、クラウンエーテル、クリプタンド、シクロファン及びこれらの誘導体からなる群から選択される高分子有機化合物である、請求項1に記載の包接複合体。
【請求項6】
前記環状化合物がシクロデキストリンである、請求項5に記載の包接複合体。
【請求項7】
前記シクロデキストリンが、α型、β型、ヒドロキシプロピル及びシクロデキストリンのメチル化誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の包接複合体。
【請求項8】
前記複合体が、
(i)β−シクロデキストリン−エチレン−ビス−メタクリルアミド(EBMA)複合体
(ii)β−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAM)複合体
(iii)メチル化β−シクロデキストリン−エチレン−ビス−メタクリルアミド(EBMA)複合体
(iv)α−シクロデキストリン−エチレン−ビス−メタクリルアミド複合体
(v)α−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAM)複合体
(vi)メチル化β−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド(MBAM)複合体
(vii)ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン−メチレン−ビス−アクリルアミド複合体
を含む、請求項1に記載の包接複合体。
【請求項9】
環状化合物又はその誘導体を室温にて溶媒に溶解し、複数の不飽和結合を含むモノマーを化学量論量添加して、その混合物を20℃〜30℃の範囲の温度にて最長で24〜48時間撹拌し、該溶媒を蒸発し、及び真空下で複合体を回収して前記包接複合体を得ることを含む、請求項1に記載の包接複合体の調製方法。
【請求項10】
前記環状化合物が、シクロデキストリン、クラウンエーテル、クリプタンド、シクロファン及びこれらの誘導体からなる群から選択される高分子有機化合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
使用される前記溶媒が水又はハロゲン化炭化水素である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ハロゲン化溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム及び四塩化炭素からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ハロゲン化溶媒がクロロホルムである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が水である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の包接複合体を重合することにより調製され、組成式が[A(x)B(y)]n(x=0〜10、y=0〜10及びn=10〜1000)であるポリマー。
【請求項16】
組成式が[A(x)B(y)]n(x=0〜10、y=0〜10及びn=10〜1000)であるポリマーの調製方法であって、一般式がA(x)B(y)の包接複合体において、「A」が「x」個(0<x<3)のビニル不飽和結合を含むモノマーであり、かつ「B」が「y」個(5<y<7)の単位を含む環状ホスト分子である、その包接複合体を溶媒に溶解し、開始剤を添加し、及び該包接複合体を重合することを含む方法。
【請求項17】
前記重合が熱重合、レドックス重合又は光重合により行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記重合が溶液重合により行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記溶液重合が有機溶媒を用いて行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記有機溶媒が、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチルスルホキシド及びクロロホルムからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記有機溶媒が、N,N’−ジメチルホルムアミド及びクロロホルムからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
使用される前記溶媒が水である、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記重合がクロロホルムを溶媒として用いた沈殿重合により行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記開始剤が、熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記熱開始剤が水溶性又は油溶性である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記水溶性熱開始剤が、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩及びアゾビスシアノ吉草酸からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記水溶性熱開始剤が、過硫酸カリウム及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記油溶性熱開始剤が、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化t−ブチル、過酸化クミル及び1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記油溶性熱開始剤がアゾビスイソブチロニトリルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記レドックス開始剤が、亜硫酸ナトリウム−過硫酸カリウム及びメタ重亜硫酸ナトリウム−過硫酸カリウムからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記レドックス開始剤がメタ重亜硫酸ナトリウム−過硫酸カリウムである、請求項31に記載の方法。
【請求項32】
前記光開始剤が水溶性又は油溶性である、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記水溶性光開始剤が、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩及びアゾビスシアノ吉草酸からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記水溶性光開始剤が、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記油溶性光開始剤が、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記油溶性光開始剤が2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記重合の温度が20℃〜65℃である、請求項16に記載の方法。
【請求項38】
前記重合が、過硫酸カリウム及びTEMEDの存在下、25℃で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項39】
組成式が[A(x)B(y)]n(x=0〜10、y=0〜10及びn=10〜1000)であるポリマーをフリーラジカル重合させることを含む、該ポリマーから架橋したポリマーを調製する方法。
【請求項40】
前記重合が、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド及びN,N’−ジメチルスルホキシドからなる群から選択される有機溶媒の存在下で行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記有機溶媒がN,N’−ジメチルホルムアミドである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記重合が溶媒として水の存在下で行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記重合が、熱開始剤及び光開始剤から選択される開始剤の存在下で行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記熱開始剤が水溶性又は油溶性である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記水溶性熱開始剤が、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩及びアゾビスシアノ吉草酸からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記水溶性熱開始剤が、過硫酸カリウム及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記油溶性熱開始剤が、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化t−ブチル及び過酸化クミルからなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記油溶性熱開始剤がアゾビスイソブチロニトリルである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記光開始剤が水溶性又は油溶性のいずれかである、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記水溶性光開始剤が、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩及びアゾビスシアノ吉草酸からなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記水溶性光開始剤が2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記油溶性光開始剤が、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)からなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記油溶性光開始剤が2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記重合の温度が20℃〜65℃である、請求項39に記載の方法。

【公開番号】特開2010−215921(P2010−215921A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−127013(P2010−127013)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【分割の表示】特願2007−517658(P2007−517658)の分割
【原出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(506372863)カウンシル オブ サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ (4)
【Fターム(参考)】