説明

両替機

【課題】金融機関の窓口における両替取引との間で、両替機による両替取引の手数料の公平性を保つことができる両替機を提供すること。
【解決手段】両替取引における、入金される紙幣と出金される紙幣との金種が重複している場合に、当該重複している金種の当該重複分の紙幣の枚数を、出金される貨幣の枚数から差し引いた枚数が、課金対象枚数として算出される。
【効果】両替機における両替取引の手数料ルールを、金融機関の窓口における両替ルールに近づけることができる。これにより、金融機関の利用者に対し、両替機の利用を促すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、両替取引を実行するための両替機に関し、とくに両替取引に要する手数料を徴収可能な両替機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、銀行等の金融機関には、高額の紙幣を小額紙幣や硬貨に両替する両替機が設置されている。これにより、両替取引を行う利用者の利便性を向上させるとともに、金融機関の窓口業務にかかる手間を低減している。
近年では、両替取引に所定の手数料を徴収する両替機が増えている。たとえば特許文献には、両替取引のための手数料の額として、両替取引における出金貨幣の枚数に応じて手数料を算出するいわゆる従量制の手数料が採用された両替機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−193716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、金融機関の窓口では、同一金種の紙幣を両替する場合には手数料を徴収しない運用にしている金融機関がある。
しかしながら、通常、両替機の手数料ルールは、金融機関の窓口で両替をする場合の両替ルールには対応していない。そのため、両替機では、同一金種の両替取引に対しても手数料を課金している。そのため、多くの金融機関において、窓口で両替取引する場合と両替機を用いて両替取引する場合とで、手数料に関する不公平が生じていた。
【0005】
この発明は、このような背景の下でなされたものであり、金融機関の窓口における両替取引との間で、両替機による両替取引の手数料の公平性を保つことができる両替機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、入金口と、前記入金口に入金される貨幣を、指定された金種の貨幣に両替する両替取引を実行する両替取引実行手段とを含む両替機であって、前記入金口に入金される貨幣の種類を識別する識別手段と、金融機関の窓口で両替する場合の両替ルールに対応した手数料ルールを記憶する手数料ルール記憶手段と、前記識別手段が識別した貨幣の種類、および前記手数料ルール記憶手段に記憶されている手数料ルールに基づいて、前記両替取引のための手数料を算出する手数料算出手段と、前記手数料算出手段が算出した前記手数料を利用者に対して要求する手数料要求手段とを含むことを特徴とする両替機である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記識別手段は、貨幣の金種を識別し、前記手数料ルール記憶手段に記憶されている前記手数料ルールは、前記両替取引における入金貨幣と出金貨幣との金種が重複している場合に、当該重複している金種の当該重複分の貨幣の枚数を、前記両替取引における出金貨幣の枚数から差し引いた枚数に応じて、前記手数料を規定していることを特徴とする請求項1記載の両替機である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記識別手段は、貨幣の正損を識別し、前記手数料ルール記憶手段に記憶されている前記手数料ルールは、前記両替取引における出金貨幣の枚数から、前記重複している金種の貨幣に含まれる、前記識別手段によって識別された損貨の枚数を差し引いた枚数に応じて、前記手数料を規定していることを特徴とする請求項2記載の両替機である。この明細書において「損貨」とは破損した貨幣のことをいい、損券や損硬貨を含む趣旨である。また、「損券」とは、皺や汚れが激しかったり、破れていたりして、市場で流通させるのに適さない紙幣である。さらに、「損硬貨」とは、汚れが激しかったり、変形したりして、市場で流通させるのに適さない硬貨である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記識別手段は、貨幣の正損を識別し、前記手数料ルール記憶手段に記憶されている前記手数料ルールは、前記両替取引における出金貨幣の枚数から前記識別手段によって識別された損貨の枚数を差し引いた枚数に応じて、前記手数料を規定していることを特徴とする請求項1記載の両替機である。
請求項5記載の発明は、前記識別手段は、貨幣の金種を識別し、前記手数料ルール記憶手段に記憶されている前記手数料ルールは、前記両替取引における入金貨幣の金種と、前記両替取引における出金貨幣に含まれる新券の金種とが重複している場合に、当該重複している金種の当該重複分の新券の枚数を、前記両替取引における出金貨幣の枚数から差し引いた枚数に応じて、前記手数料を規定していることを特徴とする請求項1記載の両替機である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の構成によれば、金融機関の窓口で両替する場合の両替ルールに対応した手数料ルールと、入金口に入金された紙幣の種類とに基づいて、両替取引のための手数料が算出される。そのため、両替機における両替取引を、金融機関の窓口における両替取引の場合と同等の手数料で行うことができる。したがって、両替機の両替取引と、金融機関の窓口における両替取引との間で、両替取引の手数料の公平性を保つことができ、これにより、金融機関の利用者に対し、両替機の利用を促すことができる。
【0011】
請求項2記載の構成によれば、両替取引における入金貨幣と出金貨幣との金種が重複している場合には、当該重複している金種の当該重複分の貨幣の枚数を、両替取引における出金貨幣の枚数から差し引いた枚数に応じて、手数料が算出される。そのため、両替機における両替取引の手数料ルールを、金融機関の窓口における両替ルールにより一層近づけることができる。
【0012】
請求項3記載の構成によれば、両替取引における出金貨幣の枚数から、出入金間で重複している金種の貨幣に含まれる損貨の枚数を差し引いた枚数に応じて、手数料が算出される。そのため、両替機における両替取引の手数料ルールを、金融機関の窓口における両替ルールにさらに近づけることができる。
請求項4記載の構成によれば、両替取引における出金貨幣の枚数から損貨の枚数を差し引いた枚数に応じて、手数料が算出される。そのため、両替機における両替取引の手数料ルールを、金融機関の窓口における両替ルールにより一層近づけることができる。
【0013】
請求項5記載の構成によれば、両替取引における入金貨幣と、両替取引における出金貨幣に含まれる新券の券種とが重複している場合には、当該重複している金種の当該重複分の新券の枚数を、両替取引における出金貨幣の枚数から差し引いた枚数に応じて、手数料が算出される。そのため、両替機における両替取引の手数料ルールを、金融機関の窓口における両替ルールにより一層近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態に係る両替機を正面側から見た斜視図である。
【図2】図1に示す両替機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す本体記憶部に記憶された両替取引内容記憶テーブルの内容を示す図である。
【図4】図2に示す本体記憶部に記憶された手数料決定テーブルの内容を示す図である。
【図5】図1に示す表示操作部に表示される両替内容選択画面の一例を示す図である。
【図6】図1に示す両替機の両替取引処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図6に示す手数料算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図1に示す表示操作部に表示される両替内容確認画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る両替機1を正面側から見た斜視図である。
この実施形態では、図1に示す両替機1は、銀行等の金融機関に設置されている。両替機1では、両替される貨幣が入金され、利用者によって指定された金種の貨幣が両替機1から出金される。そのため、両替をしたい顧客は、その金融機関の窓口で両替を行うこともできるし、また、両替機を用いて両替を行うこともできる。
【0016】
両替機1は、中空の筐体構造の本体部2を備えている。
本体部2では、その前側(正面側)上部がL字状に切り欠かれている。そのため、本体部2の前面は、その上端側に向かうに従って後側へ少し傾斜して延びる傾斜面3と、傾斜面3の下端から前側へ略水平に延びる水平面4と、水平面4の前端から下方へ略垂直に延びる垂直面5とを含んでいる。
【0017】
傾斜面3では、その幅方向略中央位置に、表示操作部6が設けられている。表示操作部6は、幅広の矩形状をなす液晶の表示画面と、表示画面の表面を覆うように表示画面の上(表面)に積層された透明なタッチパネルとを有するタッチパネルディスプレイを備えている。この表示操作部6には、後述する両替内容選択画面39(図5参照。)および両替内容確認画面55(図8参照。)などの画面や、ガイダンス等が表示されるようになっている。
【0018】
表示操作部6の下隣には、利用者に両替明細(レシート)を発行するためのレシート発行口7と、利用者のカード等を出し入れするためのカード取扱口8とが左右に並んで設けられている。傾斜面3では、表示操作部6の右隣に、両替機1が両替機であることを示す「両替」という識別表示が付されており、表示操作部6と「両替」の識別表示との間には、防犯用のカメラ9が埋め込まれている。傾斜面3には、カメラ9の下隣に、バラ硬貨を投入したり受け取ったりするための硬貨取扱口10が設けられている。硬貨取扱口10の下隣には、金融機関の係員を呼び出すための呼出スイッチ11と、両替機1のメンテナンス等のために係員によって鍵が差し込まれる鍵穴12とが、左右に並んで設けられている。硬貨取扱口10は、バラ硬貨を投入したり受け取ったりするとき以外では、シャッタ13によって閉塞されている。
【0019】
水平面4には、所定枚数(たとえば50枚。)毎にまとまった状態で包装された硬貨(以下、「包装硬貨」という。)を受け取るための包装硬貨取扱口14と、紙幣を投入したり受け取ったりするための紙幣取扱口(出金口)15とが左右に並んで設けられている。包装硬貨取扱口14は、包装硬貨を受け取るとき以外では、シャッタ16によって閉塞されている。紙幣取扱口15は、紙幣を投入したり受け取ったりするとき以外では、シャッタ17によって閉塞されている。水平面4と傾斜面3との接続部分において包装硬貨取扱口14および紙幣取扱口15のそれぞれの近傍に位置する2箇所には、確認用ミラー18(ハッチングを付した部分。)が1つずつ設けられている。各確認用ミラー18は、上向きに延びつつ正面側へ傾斜している。包装硬貨取扱口14および紙幣取扱口15のそれぞれが開放された状態において、各取扱口に対応する確認用ミラー18によって取扱口14,15の内部を視認できるので、包装硬貨や紙幣の取り忘れを防止できる。
【0020】
垂直面5の上端部の幅方向略中央には、両替機1の前に人がいるか否かを検知するための人感センサ19が設けられている。垂直面5において人感センサ19より下側の部分のほぼ全域は、正面側へ一段張り出している。この張り出した部分の上端部には、両替のための手数料(硬貨。)を投入するための投入口20と、投入口20に投入した手数料を返却するために操作される返却レバー21とが設けられている。張り出した部分の正面には、投入した手数料(お釣りも含む。)が返却される硬貨返却口22と、投入口20に硬貨以外の異物が投入された場合の当該異物が返却される異物返却口23とが設けられている。
【0021】
図2は、両替機1の電気的構成を示すブロック図である。
本体部2は、たとえばマイクロコンピュータによって構成された制御部25を備えている。制御部25には、本体部2に含まれる各構成、たとえば本体記憶部26、表示操作部6(図1を併せて参照。)、係員操作部27、硬貨入金部28、カードリーダ部29、レシート発行部30等が接続されている。また、制御部25には、USBハブなどのハブを介して本体部2に外付けされた各構成、たとえば紙幣入出金部(両替取引実行手段)31、包装硬貨出金部32、バラ硬貨出金部33等が接続されている。
【0022】
本体記憶部26は不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスによって構成されている。この本体記憶部26は、両替機1における両替取引処理に関する種々のデータテーブルを記憶している。具体的には、本体記憶部26には、たとえば両替取引内容記憶テーブル35(図3参照。)や手数料決定テーブル38(図4参照。)が記憶されている。
【0023】
係員操作部27は、金融機関の係員が操作するための操作部であり、たとえば本体部2の背面側に設けられている。係員操作部27は、通常は背面カバー(図示しない。)によって覆われており、背面カバーを取り外した状態で係員操作部27が露出するようになっている。なお、係員操作部27の構成は省略されていてもよい。
硬貨入金部28は、バラ硬貨を金種毎に収納するための複数のバラ硬貨収納部(図示しない。)に、硬貨取扱口10に投入されたバラ硬貨を搬送するための硬貨搬送機構を備えている。バラ硬貨収納部は本体部2内に収容されている。
【0024】
カードリーダ部29は、本体部2に、その前面から少し後方寄りの位置に内蔵されている。カード取扱口8に入れられた利用者のカードから、カードリーダ部29はカードIDが読み取る。このカードは両替処理後にカード取扱口8から排出され、利用者に返却される。
レシート発行部30は、両替取引の明細や手数料を記録用紙に印字し、それをレシートとして発行する。レシート発行部30から発行されたレシートは、レシート発行口7から本体部2の前方に向けて出力される。
【0025】
紙幣入出金部31は、紙幣搬送機構(図示しない。)と、識別部(識別手段)34とを備えている。紙幣搬送機構は、本体部2に収容された複数個(たとえば9つ。)の紙幣の収納庫(図示しない。)と紙幣取扱口15との間で紙幣を搬送する。9つの収納庫のうち、8つの収納庫が出金庫として本体部2に収容されており、残り1つの収納庫が入金庫として本体部2に収容されている。8つの収納庫は、たとえば、新券の1万円札、新券の5千円札、新券の2千円札、新券の千円札、流通券の1万円札、流通券の5千円札、流通券の2千円札、および流通券の千円札に応じて区別されている。換言すると、8つの収納庫は、新券および流通券の別ならびに紙幣の金種の双方に対応して紙幣を収納している。入金庫は、入金された紙幣を全て収納する。なお、この明細書において、新券とは、折り目や皺や汚れのない綺麗な紙幣であり、流通券とは、既に市場に出回っている紙幣である。
【0026】
紙幣搬送機構は、紙幣取扱口15に入金された紙幣を搬送路(図示しない。)を経由して各収納庫に1枚ずつ搬送させるとともに、各収納庫に収納されている紙幣を搬送路を経由して紙幣取扱口15まで1枚ずつ搬送させ、紙幣取扱口15から紙幣を排出して出金させる。識別部34は、搬送路の途中部に配設されていて、搬送路を搬送させられる紙幣の種類、具体的には、紙幣の金種、正損、真偽等を識別する。
【0027】
なお、収納庫として、紙幣を専ら収納する収容庫のほかに、一時保留部として機能する収納庫を設けることもできる。このような一時保留部を設ける場合には、紙幣取扱口15に入金された紙幣は搬送路を経由して一時保留部まで搬送され、この一時保留部で一時保留される。その後、一時保留部に保留されている紙幣が、入金庫に収納される。一時保留部から入金庫への収納は、たとえば、出金処理(後述する図6で示すステップS11。)の実行が終った後に行われるようになっている。
【0028】
包装硬貨出金部32は、包装硬貨を金種毎に収納するための複数の包装硬貨収納部(図示しない。)のそれぞれから送られる包装硬貨を包装硬貨取扱口14に投出するための包装硬貨投出部(図示しない。)を備えている。包装硬貨収納部は本体部2内に収容されている。
バラ硬貨出金部33は、各バラ硬貨収納部から送られるバラ硬貨をバラ硬貨取扱口10に投出するためのバラ硬貨投出部(図示しない。)を備えている。
【0029】
図3は、両替取引内容記憶テーブル35の内容を示す図である。
両替取引内容記憶テーブル35には、両替取引において入金された貨幣のデータ(以下、「入金データ」という。)を管理するための入金データテーブル36と、その両替取引において出金される貨幣のデータ(両替を希望する貨幣のデータ。)を管理するための出金データテーブル37とが設けられている。また、この実施形態の両替機1は、当該両替機1に対し、紙幣での入金のみを許容された両替機を例に挙げて説明している。そのため、図3の両替取引内容記憶テーブル35の入金データテーブル36は、紙幣用の入金データを専ら管理している。
【0030】
むろん、両替機1を、紙幣および硬貨の双方の入金が許容された両替機とすることは可能である。この場合は、図3の両替取引内容記憶テーブル35の入金データテーブル36は、紙幣用の入金データだけでなく、硬貨用の入金データを管理させておくことができる。
入金データテーブル36は、両替取引において入金された紙幣の枚数を、金種毎に区分けして記憶している。具体的には、金種毎の紙幣の枚数は、正券の枚数、損券の枚数、およびそれらの合計枚数にそれぞれ区分けされた状態で記憶されている。
【0031】
出金データテーブル37は、両替取引において出金される貨幣の枚数を、金種毎に記憶している。また、出金データテーブル37は、出金される貨幣のうち、両替取引のための手数料の対象になる貨幣の枚数(以下、「課金対象枚数」という。)を、金種毎に記憶している。この出金データテーブル37では、出金される紙幣の枚数および課金対象枚数を、その金種ならびに新券および流通券ごとに区分けして記憶している。また、出金データテーブル37では、出金される硬貨の枚数および課金対象枚数を、その金種ならびに包装硬貨およびバラ硬貨の別ごとに区分けして記憶している。
【0032】
また、出金データテーブル37に新券の1万円札(図3に示す新万。)に対応して記憶されている課金対象枚数「Xa」は、新券の1万円札の出金枚数「a」から、入金データにおける1万円札の枚数(正券と損券との合計枚数。)「A」を差し引いた枚数(重複分の1万円札の枚数)、すなわち「a−A」になる。また、出金データテーブル37に新券の5千円札(図3に示す新5千。)に対応して記憶されている課金対象枚数「Xb」は、新券の5千円札の出金枚数「b」から、入金データにおける5千円札の枚数(正券と損券との合計枚数。)「B」を差し引いた枚数(重複分の5千円札の枚数)、すなわち「b−B」になる。
【0033】
さらに、出金データテーブル37に新券の2千円札(図3に示す新2千。)に対応して記憶されている課金対象枚数「Xc」は、新券の2千円札の出金枚数「c」から、入金データにおける2千円札の枚数(正券と損券との合計枚数。)「C」を差し引いた枚数(重複分の2千円札)、すなわち「c−C」になる。さらにまた、出金データテーブル37に千円札(図3に示す新千。)に対応して記憶されている課金対象枚数「Xd」は、新券の千円札の出金枚数「d」から、入金データにおける千円札の枚数(正券と損券との合計枚数。)「D」を差し引いた枚数(重複分の千円札)、すなわち「d−D」になる。
【0034】
また、出金データテーブル37では、流通券の紙幣および硬貨には、課金対象枚数は、当該紙幣の出金枚数がそのまま援用されている(図3に示すe〜p。)。
この両替機1の手数料の額は、従量制が採用されている。そして、この両替機1では、出金枚数の全てを基準として手数料の額が算出されるのではなく、課金対象枚数を基準として手数料の額が算出される。なお、手数料の算定に関して、1本の包装硬貨は1本としてカウントするのではなく、この1本の硬貨に含まれるバラ硬貨の枚数(たとえば50枚。)としてカウントする。
【0035】
図4は、手数料決定テーブル38の内容を示す図である。
手数料決定テーブル38には、手数料が、貨幣の課金対象枚数に対応付けて記憶されている。たとえば、全体の課金対象枚数がα(たとえば50。)枚以下であるときに手数料が無料である。また、全体の課金対象枚数がα枚を超えβ(たとえば500。)枚以下であるときは、手数料がS円(たとえば300円。)であり、全体の課金対象枚数がβ枚を超えるときは、手数料がT円(たとえば800円。)である。
【0036】
なお、手数料が課金対象枚数に対応して3段階に設定されているものに限られず、手数料が課金対象枚数に対応して2段階に設定されていてもよいし、4段階以上に設定されているものであってもよい。さらに、手数料が課金対象枚数の増加に比例して増加するものであってもよい。
また、貨幣の課金対象枚数が少数である場合に、手数料を無料にせず、小額の手数料を徴収するようにしてもよい。
【0037】
この実施形態では、両替取引内容記憶テーブル35(出金データテーブル37。)と、手数料決定テーブル38とによって、手数料ルール記憶手段が構成されている。
金融機関の窓口では、同一金種(重複する金種。)の紙幣を両替する場合に手数料を徴収しない運用が通常行われている。手数料ルール記憶手段に記憶される手数料ルールは、これら金融機関の窓口で両替する場合の両替ルールに対応している。
【0038】
図5は、表示操作部6に表示される表示内容の一つである両替内容選択画面39の一例を示す図である。この両替内容選択画面39は、両替を希望する貨幣の金種および枚数(包装硬貨である場合は、その包装硬貨の本数。)を選択するための操作画面である。
表示操作部6の表示画面沿いの上端部には、左右方向に細長いガイダンス表示領域40が設けられている。ガイダンス表示領域40には、たとえば「ご希望の金種を選択してください 金種選択が終了しましたら[選択終了]を押してください」という案内文が表示されている。
【0039】
表示操作部6において、ガイダンス表示領域40の下隣の位置には、横長の矩形状をなす両替内容表示領域41が設けられている。ガイダンス表示領域40では、両替金額表示領域42、両替枚数表示部43および手数料額表示部44が左からこの順番で横一列に並んでいる。両替金額表示領域42には、その左部分に「入金額」という見出しが、その右部分には「残金額」という見出しが表示される。「入金額」の見出しの右隣には、前述したバラ硬貨取扱口10や紙幣取扱口15に投入(入金)された貨幣の入金額(図5では、150,000円。)が表示される。「残金額」の見出しの右隣には、両替内容選択画面39で現在選択されている両替の合計金額を、入金額から差し引いた貨幣の総額(図5は入金額が1,000円の状態を示しているので、残金額は149,000円。)が表示される。
【0040】
両替枚数表示部43では「両替枚数」という見出しの右隣に、両替内容選択画面39で現在選択されている両替内容に従って両替後の貨幣の合計枚数(図5では1枚。)が表示される。手数料額表示部44では、「手数料額」という見出しの右隣に、手数料の額(図5では0円。)が表示される。
表示操作部6において、両替内容表示領域41の下方には両替内容選択領域45が設けられている。両替内容選択領域45は、表示操作部6において両替内容表示領域41より下方の領域のほぼ全域に亘る大きさを有しており、やや幅広の略矩形状をなす領域である。
【0041】
両替内容選択領域45には、貨幣の金種ごとに区分けされた複数(図5ではたとえば9つ。)の個別選択領域46が、その金種の金額が大きな順に、上から下に並んで表示されている。各個別選択領域46A〜46Iは、横長の矩形状をなす領域である。
9つの個別選択領域46A〜46Iのうち、上の4つの個別選択領域46A〜46Dが紙幣用の個別選択領域であり、残りの5つの個別選択領域46E〜46Iが硬貨用の個別選択領域である。紙幣用の個別選択領域46A〜46Dとして、1万円札用、5千円札用、2千円札用および千円札用の個別選択領域が設けられている。硬貨用の個別選択領域46E〜46Iとして、500円玉用、100円玉用、50円玉用、10円玉用、ならびに5円玉および1円玉用の個別選択領域が設けられている。
【0042】
各個別選択領域46A〜46Iにおける表示について、5千円札用の個別選択領域46Bを例に挙げて説明する。
個別選択領域46Bの左端部には、その個別選択領域46Bで選択した金種毎の紙幣の合計額を表示する金種毎合計額表示部48が設けられている。金種毎合計額表示部48の右側には、その金種の紙幣(たとえば5千円札紙幣。)を模した画像が横方向に複数(図5の個別選択領域46Bでは、たとえば6つ。)表示される。各画像の中には、その金種での両替を希望する紙幣の枚数(図5では、1枚、2枚または5枚。)と、両替を希望する紙幣の新券(図5において「新札」と表示。)および流通券(図5において、「新札」との表示なし。)の別と、その金種の紙幣を、選択済みの枚数分両替したときの合計金額(図5では、5,000円、10,000円、25,000円。)とが記載されている。
【0043】
ここで、各画像およびその画像に含まれる部分を、金種・枚数選択ボタンといい、この金種・枚数選択ボタンを操作することにより、両替を希望する金種およびその枚数を選択することができるようになっている。
なお、1万円札への両替を希望する場合には、ほとんどの場合利用者は新券交換を希望しているので、1万円札用の金種・枚数選択ボタンとしては新券両替用の金種・枚数選択ボタンしか用意していない。また、2千円札を広く流通させる必要性から、2千万円札用の金種・枚数選択ボタンとしては新券両替用の金種・枚数選択ボタンしか用意していない。
【0044】
硬貨用の個別選択領域46E〜46Iでは、金種・枚数選択ボタンには両替枚数でなく、包装硬貨の本数が表示されている。なお、500円玉用および100円玉用の個別選択領域46E,46Fには、硬貨(バラ硬貨)の枚数が表示された金種・枚数選択ボタン、および包装硬貨の本数が表示された金種・枚数選択ボタンの双方が用意されている。なお、バラ硬貨の枚数が表示される金種・枚数選択ボタンには、その金種の複数枚のバラ硬貨を模した画像が採用される。また、包装硬貨の本数が表示される金種・枚数選択ボタンには、その金種の包装硬貨を模した画像が採用される。
【0045】
表示操作部6の表示画面沿いの下端部には、全訂正ボタン49、追加両替ボタン50および選択終了ボタン51が横一列に並んで設けられている。
全訂正ボタン49を押すと、今まで選択していた金種および枚数の選択がキャンセルされ、これに応じて、全ての金種毎合計額表示部48の金額表示がゼロになる。
追加両替ボタン50を押すと、シャッタ17が開かれて紙幣取扱口15が開放する。また、表示操作部6の表示が入金を促すガイダンスに切り換わる。
【0046】
両替内容が選択された状態で選択終了ボタン51を押すと、表示操作部6の表示が後述する両替内容確認画面55(図8参照。)に切り換わる。
図6は、両替機1の両替取引処理の流れを示すフローチャートである。以下では、紙幣を両替する場合を例に挙げて説明する。
両替機1の待機状態では、表示操作部6に待機画面が表示される。待機画面にはたとえば両替取引開始ボタンが設けられており、また、待機画面には、両替取引開始ボタンの操作を促すためのガイダンス(図示しない。)が表示されている。利用者によって取引開始ボタンが操作されると、表示操作部6が図5に示す両替内容選択画面39に切り換わるとともに、シャッタ17が開かれて(ステップS1)紙幣取扱口15が開放する。これにより、両替取引処理が開始される。
【0047】
なお、両替取引処理の開始に先立って、カード投入口8に対して、両替機1が設置された金融機関のカードの投入が要求され、そのカードからカードリーダ部29によって読み取られたカードIDの照合結果に基づいて両替取引の可否が判断されるようになっていてもよい。
紙幣取扱口15が開放すると、利用者は、両替したい自分の紙幣を紙幣取扱口15に投入する。そして、紙幣取扱口15に対する紙幣の投入から所定時間が経過した後に(ステップS2でYES。)シャッタ17が閉じられて(ステップS3)、紙幣取扱口15が閉塞される。なお、紙幣取扱口15に対する紙幣の投入後に、表示操作部6の計数開始ボタン(図示しない。)が利用者によって操作されることにより、シャッタ17が閉じられるようになっていてもよい。
【0048】
シャッタ17が閉じられた後は、制御部25は、紙幣入出金部31の紙幣搬送機構を駆動し、紙幣取扱口15に投入された紙幣を、入金庫に1枚ずつ搬送させる。また、これらの入金された紙幣は、紙幣搬送機構により搬送させられる途中で、識別部34によって金種、正損、真偽等が識別される(ステップS4)。この識別部34による識別に基づいて入金された紙幣の正損の枚数が金種ごとに計数される(ステップS4)。
【0049】
そして、紙幣取扱口15に投入された紙幣が全て入金庫に収納されて、紙幣取扱口15から紙幣がなくなると(ステップS5でYES。)、その時点での計数結果、すなわち正券の枚数、損券の枚数および正券と損券とを足し合わせた紙幣の枚数が、前述のように両替取引内容記憶テーブル35の入金データテーブル36に、金種毎に記憶される(ステップS6)。
【0050】
次いで、両替内容選択画面39(図5参照。)で両替を希望する金種および枚数を利用者が選択した後、選択終了ボタン51を操作する(ステップS7でYES。)、両替内容選択画面39によって設定された設定内容に基づいて出金パターンが作成される(ステップS8)。すなわち、それまで両替機1の作業用の記憶部に記憶されていた枚数情報データ(図3に示す「a〜p」。)が、本体記憶部26に記憶され、出金データテーブル37(図3参照。)に格納される。
【0051】
次いで、手数料の額が算出される(ステップS9)。
図7は、ステップS9に示す手数料算出処理の流れを示すフローチャートである。
手数料算出処理では、入金データテーブル36の記憶内容(図7に示す入金計数結果。)が読み出される。そして、出金データテーブル37に記憶されている紙幣の金種(図7に示す出金パターン。)と、入金データテーブル36に記憶されている紙幣の金種(図7に示す入金内訳)とが重複している(同一金種である)場合に(ステップS22でYES。)、その重複対象の金種として出金データテーブル36に記憶されている紙幣の枚数を、出金データテーブル37に記憶されている貨幣の枚数(出金される貨幣の枚数。)から差し引いた枚数を課金対象枚数とする。
【0052】
なお、この実施形態では、前述のように、課金対象枚数を図3に示す出金データテーブル37に記憶している。このとき、全体の課金対象枚数は、出金データテーブル37に課金対象枚数として記憶されている枚数の総数「SUM(e〜p)+Xa+Xb+Xc+Xd」(図3参照。)であるとする。なお、SUM(e〜p)とは、e〜pの各値を足し合わせたものである。
【0053】
そして、制御部25は、手数料決定テーブル38を参照して、全体の課金対象枚数(すなわち、出金データテーブル37の課金対象枚数の全て)に対応する手数料を算出する(ステップS24)。
また、図6に示すように、両替内容確認画面55において選択終了ボタン51が操作されると(ステップS7でYES。)、表示操作部6の表示が次に述べる両替内容確認画面55に切り換わる(ステップS8)。
【0054】
図8は、表示操作部6に表示される両替内容確認画面55の一例を示す図である。
この両替内容確認画面55は、両替内容選択画面39で選択された両替の内容(両替を希望する貨幣の金種および枚数(包装硬貨である場合は本数。))を確認するための画面である。
表示操作部6の表示画面沿いの上端部には、左右方向に細長いガイダンス表示領域56が設けられている。ガイダンス表示領域56には、たとえば「両替内容を確認してください 両替内容がよろしければ[確認]を押してください」という案内文が表示されている。
【0055】
表示操作部6において、ガイダンス表示領域56の下方には確認内容表示領域57が設けられている。確認内容表示領域57は、表示操作部6においてガイダンス表示領域56の下方の領域のほぼ全域に亘る大きさを有しており、やや幅広の略矩形状をなす領域である。確認内容表示領域57の中央部には、両替明細を表示するための両替明細表示部58が設けられている。
【0056】
両替明細表示部58は、たとえばほぼ正方形状をなす領域であり、今回の両替取引において出金する貨幣の枚数を、その貨幣の各金種に対応して表示している。両替明細表示部58には、両替取引内容記憶テーブル35の出金データテーブル37の内容に基づいた表示が行われる。両替明細表示部58では、出金する紙幣の枚数を、流通券(図8で示す「紙幣」。)の枚数と新券(図8で示す「新札」。)の枚数とに分けて表示している。この両替明細表示部58では、出金する硬貨の枚数(包装硬貨の場合はその本数。)を、バラ硬貨(図8で示す「硬貨」。)の枚数と包装硬貨の本数とに分けて表示している。また、両替明細表示部58の下端部には左右方向に細長い合計金額表示部59が設けられている。合計金額表示部59には、今回の両替取引で出金する出金額の合計(図8では、150,000円。)が表示される。
【0057】
確認内容表示領域57の右下部には、手数料表示領域60が設けられている。手数料表示領域60の左側には、「使用手数料額」という見出し、「残手数料額」という見出し、「両替枚数」という見出し、および「おつり」という見出しが上からこの順番で表示される。
「使用手数料額」の見出しの右隣には、図7の手数料算出処理で算出された手数料の額(図8では、800円。)が表示される。「残手数料額」の見出しの右隣には、両替機1に入金されている手数料(図8では、1200円。)の額が表示される。「両替枚数」という見出しの右隣には、両替取引によって出金される貨幣の枚数が表示される。「おつり」の見出しの右隣には、残手数料額から使用手数料額を差し引いた金額(図8では、400円。)が表示される。
【0058】
表示操作部6の表示画面沿いの下端部には、戻るボタン61、追加両替ボタン62および確認ボタン63が横一列に並んで設けられている。
戻るボタン61を押すと、表示操作部6の表示が両替内容選択画面39(図5参照。)に切り換わる。
追加両替ボタン62を押すと、シャッタ17(図1参照。)が開かれて紙幣取扱口15(図1参照。)が開放する。また、表示操作部6の表示が入金を促すガイダンスに切り換わる。
【0059】
確認ボタン63は、手数料の徴収が終了することを条件として両替内容確認画面55に表示される。なお、図8の場合は、カードの投入により、カードに対応付けられている金額が両替機1に既に前金(図8では、1200円。)として入金されている。
カードが投入されていない場合には、手数料(図8では、800円。)が投入口20に投入されるまで、確認ボタン63は表示されない。また、カードが投入されていても、そのカードに対応付けられている金額が手数料に足らない場合には、その不足分の手数料が投入口20(図1参照。)に投入されるまで、確認ボタン63は表示されない。
【0060】
図6に戻り、手数料の徴収が完了した状態で(ステップS10)、確認ボタン63が操作されると、出金処理が実行される(ステップS11)。具体的には、出金処理では、制御部25は、紙幣入出金部31の紙幣搬送機構を制御して、出金すべき紙幣に対応する収納庫から紙幣を搬送し、紙幣取扱口15に紙幣を排出して出金させる。また、制御部25は、包装硬貨出金部32の包装硬貨投出部を制御して、出金すべき包装硬貨に対応する包装硬貨収納部から包装硬貨を搬送し、包装硬貨取扱口14に包装硬貨を排出して出金させる。さらに、制御部25は、バラ硬貨出金部33のバラ硬貨投出部を制御して、出金すべきバラ硬貨に対応するバラ硬貨収納部からバラ硬貨を搬送し、バラ硬貨取扱口10にバラ硬貨を排出して出金させる。
【0061】
出金処理が完了すると(ステップS12でYES。)シャッタ17が開かれて(ステップS13)、紙幣取扱口15が開放する。また、シャッタ13が開かれて(ステップS13)、バラ硬貨取扱口10が開放し、シャッタ16が開かれて(ステップS13)、包装硬貨取扱口14が開放する。これにより、取扱口10,14,15からの貨幣の取出しが可能になる。
【0062】
また、取扱口10,14,15から貨幣が取り出されると、レシート発行口7(図1参照。)から発行されるとともに、おつり(たとえば、400円。)が硬貨返却口22(図1参照。)から排出される。レシートには、図8の両替内容確認画面55の両替明細表示部58の両替明細と同内容の両替明細や、手数料が印字されている。
これにより、一連の両替取引処理が終了する。なお、利用者の選択によりまたは両替機1の設定により、レシートの発行動作を省略させることも可能である。
【0063】
なお、両替取引の開始に先立って、カード投入口8にカードが投入されている場合には、両替取引の終了時に、そのカードがカード投入口8から返却される。
以上によりこの実施形態によれば、両替取引における入金紙幣と出金紙幣との金種が重複している場合に、その重複分の紙幣の枚数を、両替取引の出金貨幣の枚数から差し引いた枚数に応じて、手数料が算出される。そのため、両替機1における両替取引の手数料ルールを、金融機関の窓口における両替ルールに近づけることができる。そのため、両替機1における両替取引を、金融機関の窓口における両替取引の場合と同等の手数料で行うことができる。したがって、両替機1の両替取引と、金融機関の窓口における両替取引との間で、両替取引の手数料の公平性を保つことができ、これにより、金融機関の利用者に対し、両替機1の利用を促すことができる。
【0064】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、課金対象枚数を、両替取引の出金貨幣の枚数から、識別部34によって検出された損券の枚数を差し引いた枚数とすることもできる。
具体的には、出金データテーブル37(図3参照。)に1万円札に対応して記憶されている課金対象枚数「Xa」は、新券の1万円札の出金枚数「a」から、入金データにおける1万円札の損券の枚数「A2」を差し引いた枚数、すなわち、「a−A2」になる。また、出金データテーブル37に5千円札に対応して記憶されている課金対象枚数「Xb」は、新券の5千円札の出金枚数「b」から、入金データにおける5千円札の損券の枚数「B2」を差し引いた枚数、すなわち、「b−B2」になる。
【0065】
さらに、出金データテーブル37に2千円札に対応して記憶されている課金対象枚数「Xc」は、新券の2千円札の出金枚数「c」から、入金データにおける2千円札の損券の枚数「C2」を差し引いた枚数、すなわち、「c−C2」になる。さらにまた、出金データテーブル37に千円札に対応して記憶されている課金対象枚数「Xd」は、新券の千円札の出金枚数「d」から、入金データにおける千円札の損券の枚数「D2」を差し引いた枚数、すなわち、「d−D2」になる。そして、全体の課金対象枚数は、総数「SUM(e〜p)+Xa+Xb+Xc+Xd」になる。
【0066】
なお、この場合、損券を新券だけ交換する場合に限られず、損券を流通券に交換する場合にも、損券の枚数を差し引いた枚数を、課金対象枚数するようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、選択終了ボタン51(図5参照。)が操作された後に、手数料の額が算出される場合を例に挙げたが、両替内容選択画面39における両替内容の選択に並行して、手数料の額が算出されるようになっていてもよい。
【0067】
また、紙幣取扱口15に、紙幣入金口および紙幣出金口の双方の機能を持たせる場合を例に挙げて説明したが、紙幣入金口と紙幣出金口とを本体部2に互いに分離して設けてもよいのはいうまでもない。
また、本発明の実施形態では、紙幣両替の場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、硬貨両替にも本発明を適用することができる。具体的には、バラ硬貨出金部に入金機能を設けるとともに、利用者によって入金された硬貨の種類(金種、正損、真偽等)を識別する識別部を設け、同一金種の硬貨両替の場合に、出金される硬貨の枚数から、同一金種の入金硬貨の枚数を差し引いた枚数を課金対象枚数とする。さらに、出金される硬貨の枚数から、同一金種の入金された損硬貨の枚数を差し引いた枚数を課金対象枚数としてもよい。
【0068】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 両替機
25 制御部(両替取引実行手段、手数料算出手段、手数料要求手段)
31 紙幣入出金部(両替取引実行手段)
34 識別部(識別手段)
37 出金データテーブル(手数料ルール記憶手段)
38 手数料決定テーブル(手数料ルール記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金口と、前記入金口に入金される貨幣を、指定された金種の貨幣に両替する両替取引を実行する両替取引実行手段とを含む両替機であって、
前記入金口に入金される貨幣の種類を識別する識別手段と、
金融機関の窓口で両替する場合の両替ルールに対応した手数料ルールを記憶する手数料ルール記憶手段と、
前記識別手段が識別した貨幣の種類、および前記手数料ルール記憶手段に記憶されている手数料ルールに基づいて、前記両替取引のための手数料を算出する手数料算出手段と、
前記手数料算出手段が算出した前記手数料を利用者に対して要求する手数料要求手段とを含むことを特徴とする両替機。
【請求項2】
前記識別手段は、貨幣の金種を識別し、
前記手数料ルール記憶手段に記憶されている前記手数料ルールは、前記両替取引における入金貨幣と出金貨幣との金種が重複している場合に、当該重複している金種の当該重複分の貨幣の枚数を、前記両替取引における出金貨幣の枚数から差し引いた枚数に応じて、前記手数料を規定していることを特徴とする請求項1記載の両替機。
【請求項3】
前記識別手段は、貨幣の正損を識別し、
前記手数料ルール記憶手段に記憶されている前記手数料ルールは、前記両替取引における出金貨幣の枚数から、前記重複している金種の貨幣に含まれる、前記識別手段によって識別された損貨の枚数を差し引いた枚数に応じて、前記手数料を規定していることを特徴とする請求項2記載の両替機。
【請求項4】
前記識別手段は、貨幣の正損を識別し、
前記手数料ルール記憶手段に記憶されている前記手数料ルールは、前記両替取引における出金貨幣の枚数から前記識別手段によって識別された損貨の枚数を差し引いた枚数に応じて、前記手数料を規定していることを特徴とする請求項1記載の両替機。
【請求項5】
前記識別手段は、貨幣の金種を識別し、
前記手数料ルール記憶手段に記憶されている前記手数料ルールは、前記両替取引における入金貨幣の金種と、前記両替取引における出金貨幣に含まれる新券の金種とが重複している場合に、当該重複している金種の当該重複分の新券の枚数を、前記両替取引における出金貨幣の枚数から差し引いた枚数に応じて、前記手数料を規定していることを特徴とする請求項1記載の両替機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−12136(P2013−12136A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145675(P2011−145675)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】