説明

両腕差出が容易な水跳ね防止具。

【課題】従来、流し台のシンク縁に取付ける水跳ね防止板(具)を使用して作業しようとする場合、水跳ね防止板が邪魔になり作業がやり難いなどの欠点があった。そこで、差し出す腕が水跳ね防止板に触れないで楽に作業ができる水跳ね防止板を開発し、普通の必要ない状況でも流し台のシンク縁に取付けたまま放置しても不都合を感じない両腕差出が容易な水跳ね防止具を提供する。
[0010]
【解決手段】水跳ねを効果的に防止するには防御板面を少しでも広く、高く設ける方が優位であるのは言うまでもない。しかし、それだけでは使い勝手が悪く邪魔になるため大きさにも限界がある。そこで水跳ね防止板の平面形状を防御板面上辺部の両側角辺を欠切して腕の差し出しを容易にする腕繰り部を設けることで従来の欠点を解決し、水跳ね防止具の面積を広く設けても使い勝手の良い水跳ね防止具を完成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流し台で水跳ねや調理材の飛散により衣服が濡れたり汚れるのを防止するために、流し台のシンク縁に取付ける両腕差出が容易な水跳ね防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流し台のシンク内では、食器類等の洗い物や食材の調理など、作業場として便利に使っている。しかし水跳ねや調理材の飛散により、衣服が濡れたり汚れたりなどの被害を受け大変困ったものであった。そこで水はね防止の対策として、従来から前掛けや割烹着、エプロン等を着用し作業するのが常識となっている、しかし流し台に立つ時作業の度にエプロン等を着用したり取り外したりするのは大変面倒であり煩わしく、又エプロンが濡れたままでは非衛生的で不快感も大きく不便を感じるものであった。そしてこれら商品の素材は布やビニールからゴム製品まで多種多様のものがある。
【0003】
しかしながら特に、魚の鱗を剥ぎとる時などはその飛散度も大きく、水跳ねなどの防止策では万全とはいえず、水跳ね防止板を少しでも高く設ければ効率的なよい結果を得ることはできるが、水跳ね防止板が高すぎると邪魔になるなどいろいろと不都合が生じるという欠点があった。
【0004】
これら従来の欠点を解決するため多数の出願が提出されているが、特に本発明と類似するものを以下に記述する。
【0005】
【特許文献】
【特許文献1】特開平9−234127
【特許文献2】特開2006−223479(P2006−223479A)
【特許文献3】実用新案登録第3105815号
【0006】
しかし上記特許文献1〜3に記載のものでは、必要時にのみ水槽の前縁に水はね防止布掛け又は水跳ね防止板(具)を立てることができるものとしている。即ち普通は邪魔になるから必要な時だけ水跳ね防止板(具)を使おうとしているものであるし、またこれら記述の水跳ね防止板(具)は邪魔にならない高さの構造でなければ完成しないものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の水跳ね防止具を使用して流し台のシンク内に手を差出して作業しようとする場合、水跳ね防止具が邪魔になり、流し台のシンク内での作業がやり難いなどの欠点があった。そこで、流し台のシンク縁に取付ける水跳ね防止具を高くしても、差し出す腕が水跳ね防止具に触れないで楽に作業ができる水跳ね防止具を開発しようとするものであり、普通の水仕事で必要がない状況の場合でも、流し台のシンク縁に着脱自在として取付けたまま放置しても違和感を感じることもなく、不都合を生じない両腕差出が容易な水跳ね防止具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
水跳ねを効果的に防止するには防止具の防壁板面積を少しでも広く、高さの位置も高く設ける方が優位であるのは言うまでもない。しかし、それだけでは使い勝手が悪く邪魔になるため大きさにも限界がある。そこで水跳ね防止具の防壁板面上辺部の両側角辺を欠切して腕の差し出しを容易にする腕繰り部を設けることで従来の欠点を解決し、水跳ね防止具の防壁板面積を広く設けても使い勝手の良い水跳ね防止具を完成させることができる。
【0009】
本発明の水跳ね防止具は、コの字形状の掛止金具を左右一対として設け、コの字形状の掛止金具は支点軸部とシンク掛止部とを受け持ち、予め水跳ね防止具の内側正面に固定して設ける筒状軸受具に、掛止金具の一端となる支点軸部を挿通して掛止する構造とし、水跳ね防止板とコの字形状の掛止金具でシンク手前の縁側を狭止して保持固定し必要に応じて取り付けを着脱自在とする両腕差出が容易な水跳ね防止具とした。
【0010】
又、水跳ね防止具の内側に筒状軸受具の筒孔に掛止金具の支点軸部を回動自在に挿通して掛止し、さらに他の一端とするシンク掛止部は水跳ね防止具に固定された引きバネで連結し、該引きバネの牽引運動で狭止して保持するため、コの字形状の掛止金具を取り替えるだけで狭止幅を自在に設定することも簡単であり、形状が異なる状態の取付け場所でも幅広く対応できる両腕差出が容易な水跳ね防止具となる。
【0011】
掛止金具の支点軸部を、水跳ね防止具に設ける筒状軸受具の筒孔に回動自在に挿通して掛止するだけの簡単な構造であり、掛止金具の支点軸部は筒状軸受具の筒孔を縦方向にスライド自在としているため上下移動ができる、即ち水跳ね防止板の高さ調整を可能とするものであり、これは人それぞれに身長差があるので、高さの位置調整機能を備えることはより使い勝手のよい両腕差出が容易な水跳ね防止具となった。
【発明の効果】
【0012】
水跳ね防止具の防壁板面上辺部の両側角辺を欠切して腕の差し出しを容易にする腕繰り部を設けることで、水跳ね防止具の防壁板面積を少しでも広く高く設けられるので、従来のものよりも水跳ねで衣服が濡れたり汚れたりなどの被害を受けないで済むようになった。又、特に魚の鱗を剥ぎとる時などは高さが調整できるので鱗が衣服に付着するのを効果的に防御することができる。
【0013】
流し台に限らず作業台の縁が広かったり狭かったりと、いろんな状態の取付け場所にでもコの字形状の掛止金具を取り替えるだけで幅広く対応できて利便性が高い。又、人それぞれに身長差があるので、高さの位置調整機能はより使い勝手のよいものとなった。
【0014】
本発明の、両腕差出が容易な水跳ね防止具は簡単な構造で部品の種類も少なく、特別な製造技術を必要とするものでもないので、コスト面でも有利である。
【0015】
実施例2で示すように、水跳ね防止具の防壁板面が透明な素材であれば、両手を差し出して作業ができる二箇所の腕繰り孔を設けることで、たとえ胸の位置まで高い水跳ね防止具であっても腕繰り孔から両手を差し込み楽にシンク内を見透かして作業できるのでなんら支障はない。即ち。これは従来の遠隔操作で行う医療機器等で行われる状況を想像するような方法ではあるが、水跳ね防止具としての利用分野では未だ実用化されていないものであり、水跳ね防止具の使われ方が大きく変わる可能性を持っている。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0016】
本発明の両腕差出が容易な水跳ね防止具の実施の形態を実施例1として図面に従い以下説明する。
【0017】
図1、は本発明の正面図であり、構造を明示する面を正面図とし、水跳ねを受け止める平面板状の防壁側板面を背面として背面の説明記述及び背面図は省略する。
【0018】
図1で示す本発明の水跳ね防止具1は水跳ね防止板部2の防壁板面上辺部の両側角辺を円弧状に欠切して腕の差し出しを容易にする腕繰り部3を設ける。
【0019】
水跳ね防止板部2は安全性を配慮し軽くて柔軟な素材の方が使い勝手が良いため、立ち上げ補助枠4を縦方向に複数箇所設け、さらに立ち上げ補助枠4と交差して横方向に基板補助枠5を設け、いずれも接着または溶着して固定する構造とすることで水跳ね防止板部2は軽量でも安定感のあるものとなる。
【0020】
水跳ね防止板部2には、コの字形状の掛止金具6を左右一対として、該、コの字形状の掛止金具6には支点軸部6−イとシンク掛止部6−ロとを設け、さらに、水跳ね防止板部2の内側に設けた立ち上げ補助枠4に並行して筒状軸受具7を固定して設け、該、筒状軸受具7に掛止金具6の一端支点軸部6−イを挿通して掛止する構造とし、水跳ね防止板部2とコの字形状の掛止金具6の一端シンク掛止部6−ロでシンク手前の縁側を狭止して保持固定し必要に応じて着脱自在に取り付けを可能とするのを特徴とする。
【0021】
又、筒状軸受具7の筒孔に掛止金具6の支点軸部6−イを回動自在に挿通して掛止し、さらに他の一端とするシンク掛止部6−ロは基板補助枠5部分に一端を固定された引きバネ8の他方先端を掛止して連結し、該引きバネ8の牽引運動でシンク手前の縁側を狭止して保持するため、コの字形状の掛止金具6を取り替えるだけで狭止幅を自在に設定することも簡単となり、またいろんな状態の取付け場所でも幅広く対応できる両腕差出が容易な水跳ね防止具1となる。
【0022】
しかるに、掛止金具6の支点軸部6−イを、筒状軸受具7の筒孔に回動自在に挿通して掛止するだけの簡単な構造であるため、掛止金具6の支点軸部6−イは筒状軸受具7の筒孔を縦方向にスライド自在として上下移動ができる、即ち水跳ね防止板部2の高さ調整を可能とするものであり、これは人それぞれに身長差があるので、高さの位置調整機能を備えることはより使い勝手のよい両腕差出が容易な水跳ね防止具1となった。
【0023】
図2は本発明の水跳ね防止具1を、流し台11のシンク手前の縁側にコの字形状の掛止金具6で狭止して取付けた状態を示す上面図であり、 図3は図2と同じく掛止金具6で狭止して取付けた状態を示す側面図である。
【0024】
図2、図3を説明すると、水跳ね防止板部2の内側正面と、シンク12の手前縁側の内面とが接触し、掛止金具6の支点軸部6−イを軸起点として、またシンク掛止部6−ロはシンク12の手前縁側の外面に引きバネ8の牽引運動で回動狭止してしっかりと掛止保持される。
【0025】
本発明の水跳ね防止板部2に採用する素材は柔軟性のあるものに限定するものではなく、水跳ね防止板部2は利用状態や状況により硬質の素材を採用して実施する場合もある。
【0026】
又、掛止金具6で狭止して掛止保持される取り付け方法に限定するものでもなく、例えば吸盤を使うなども考えられ、他にコスト面を重視した取り付け方法などで状況に添って実施されるものである。
【実施例2】
【0027】
図3、は本発明の両腕差出が容易な水跳ね防止具21の実施の形態を実施例2として示す正面図である。
【0028】
実施例2では、水跳ね防止具21の形状をなるべく大きいサイズで完成させようと考察したものである。水跳ね防止板部22を胸の位置まで高くすれば魚の鱗剥ぎなどの飛散度が大きい処理作業でも鱗が衣服に付着したり濡れたりする度合いも少なく、防御の点では効果が大きい。しかし邪魔になってシンク内に手を出せないという不合理がある。
【0029】
そこで、水跳ね防止板部22の二箇所に円形又は楕円形状に切り抜いて腕繰り孔23を設ければ、腕繰り孔23に両手を差し入れてシンク内に手が届き作業ができるようになる。
【0030】
さらに水跳ね防止板部22が透明な素材であれば、腕繰り孔23から両手を差し込み楽にシンク内を見透かして作業できるのでなんら支障はない。腕繰り孔23の開孔寸法は一般の大人が腕を通してもやや余裕を持てる大きさがあればよい。
【0031】
即ち。これは従来の遠隔操作の医療機器等で行われる状況を想像するような方法ではあるが、水跳ね防止具21としての利用分野では未だ実用化されていないものであり、水跳ね防止具21の利用範囲が大きく変わる可能性を持っている。
【0032】
尚、図3、での取り付け方法については、実施例1と同じであり、掛止金具6の支点軸部6−イを軸起点としてシンク掛止部6−ロはシンク12の手前縁側の外面に引きバネ8の牽引運動で回動狭止してしっかりと掛止保持される。又、吊り下げる方法でも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
台所での仕事は毎日のことであるにも係わらず、昔から水跳ねや調理材の飛散により衣服が濡れたり汚れたりなどの被害は免れない。布製の前掛けや割烹着、エプロン等を着用しても水濡れを防止できるものではない。特許文献1〜3や他にも開示されているように水跳ね防止について感心が高く数多く提案されているが、流し台を遮る状態となるため不合理性も併せ持つものとなっている。その点本発明の両腕差出が容易な水跳ね防止具は、流し台を遮る状態となっても作業中の腕や手先が水跳ね防止具に触れることなく、自由に動けるように配慮したものであり、現代ではいろいろな素材も開発され、接着、溶着技術等においてもすばらしい進歩があり、コスト面も合わせて商品化を易しくしている。しかるに、従来の欠点を解決した、本発明の両腕差出が容易な水跳ね防止具を提供することで、台所仕事の長い悩みから開放されるものとして産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る実施例1を示す正面図である。
【図2】本発明に係る実施例1を示す上面図である。
【図3】本発明に係る実施例1を示す側面図である。
【図4】本発明に係る実施例2を示す正面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 水跳ね防止具
2 水跳ね防止板部
3 腕繰り部
4 立ち上げ補助枠
5 基板補助枠
6 掛止金具
6−イ 支点軸部
6−ロ シンク掛止部
7 筒状軸受具
8 引きバネ
11 流し台
12 シンク
13 水道蛇口
21 水跳ね防止具
22 水跳ね防止板部
23 腕繰り孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水跳ね防止具の平面形状は防壁板面上辺部の両側角辺を欠切して腕の差し出しを容易にする腕繰り部を設けるのを特徴とした両腕差出しが容易な水跳ね防止具。
【請求項2】
本発明の水跳ね防止具はコの字形状の掛止金具を左右一対に設け、コの字形状の掛止金具は、支点軸部とシンク掛止部とを受け持ち、予め水跳ね防止具の内側に固定して設ける筒状軸受具に掛止金具の一端を挿通して掛止する構造とするのを特徴とした請求項1、に記載の両腕差出が容易な水跳ね防止具。
【請求項3】
筒状軸受具の筒孔に掛止金具の支点軸部を回動自在に挿通して掛止し、さらに他の一端とするシンク掛止部は水跳ね防止具に固定された引きバネで連結し、該、引きバネの牽引運動でシンク手前縁側に狭止して保持固定するのを特徴とした請求項1、請求項2に記載の両腕差出が容易な水跳ね防止具。
【請求項4】
掛止金具の支点軸部を、水跳ね防止具に設ける筒状軸受具に回動自在に差し込む簡単な構造とすることで上下移動、即ち水跳ね防止板の高さ調整を可能とするのを特徴とした請求項1、請求項2及び請求項3に記載の両腕差出が容易な水跳ね防止具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−202378(P2008−202378A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67508(P2007−67508)
【出願日】平成19年2月17日(2007.2.17)
【出願人】(504143821)
【Fターム(参考)】