説明

両親媒性分子を懸濁ビヒクルとして含んでなる組成物および投薬形態

両親媒性分子、非水性液体溶媒、および製薬学的活性剤を含んでなる浸透薬品送達システム中の液体組成物および浸透薬品送達システム中の投薬形態が開示される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対するクロス−リファレンス】
【0001】
本出願は2003年11月17日に出願された米国暫定出願番号60/520,605号および2004年11月15日に出願された米国特許出願番号 号の権利を主張し、それらは引用することにより本発明の内容となる。
【技術分野】
【0002】
分野
本発明は浸透薬品送達システム中の液体組成物および浸透薬品送達装置中の液体組成物の投薬形態に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
持続送達装置および浸透送達装置からの送達用に設計された薬品懸濁液調合物の開発が、重合体または界面活性剤溶液、非水性液体溶媒または重合体用の溶媒の配合物を使用する組成物群をもたらした。重合体は粘度改変剤として作用して自己貯蔵および作業間隔中の懸濁液の許容できる安定性を与える。これらの重合体溶液は製薬学的活性剤、例えば、小分子薬品または治療用蛋白質もしくはペプチド、のための安定な環境を与える。
【0004】
薬品送達装置は、調節された速度で時間につれて放出される液体薬品調合物を加えることにより、低溶解度薬品を送達することを試みている。これらの浸透送達装置は特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に開示されている。しかしながら、そのような液体浸透送達システムは液体調合物中の薬品の濃度において、そしてその結果として、利用可能な薬品充填において限定され、治療目的に許容できないほど大きい寸法、容量、または数でありうる送達システムを生ずる。
【0005】
重合体、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、は広範囲の非水性液体溶媒中で可溶性を示すが、PVPは水中にも極めて可溶性である。その結果、高度に粘着性であるPVP/水ゲルが調合物/水界面の近くで製造されうる。これらの粘着性ゲルは薬品送達装置の送達導管を詰まらせて送達装置の性能を妨害しうる。
【特許文献1】米国特許第4,111,201号明細書
【特許文献2】米国特許第5,324,280号明細書
【特許文献3】米国特許第5,413,672号明細書
【特許文献4】米国特許第6,174,547号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
薬品送達装置、例えば、浸透薬品送達装置において改良された性能特性を有する粘着性液体組成物を開発するための要望が当該技術に存在する。移植可能な装置の放出口の詰まりを排除するための要望も存在する。さらに、相分離に実質的に抵抗性であるが、同時に薬剤を長期間にわたり懸濁させるのに充分なほど粘着性である懸濁用ビヒクルに関する要望も存在する。さらに、所望する投薬時間にわたり実質的に均質性を保つ重合体を含まない投薬形態を調合することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
要旨
本発明は一般的に、溶媒と組み合わされて所望する粘度を示し且つ水中での所望する溶解性を示す所望する性質を有する液体組成物を形成する両親媒性分子を含んでなる薬品送
達組成物に関する。粘着性液体組成物は、調合物を水性環境内にゆっくり加えることができる治療薬品送達用途に有用である。
【0008】
1つの態様では、浸透薬品送達システム中の液体組成物は両親媒性分子、非水性液体溶媒、および製薬学的活性剤を含んでなる。別の態様では、両親媒性分子は脂質、界面活性剤、両親媒性ブロック重合体、または両親媒性蛋白質もしくはペプチドを包含するが、それらに限定されない。別の詳細な態様では、脂質は飽和脂質、不飽和脂質、中性脂質、アニオン性脂質、カチオン性脂質、中性脂質または合成脂質から選択される。
【0009】
両親媒性分子、例えば、脂質、は溶媒と組み合わされて、調合物が水性環境内にゆっくり加えられる薬品送達用途のための水中で所望する溶解性を示す粘着性液体調合物を形成する。非水性液体溶媒中の両親媒性分子、例えば、脂質は沈殿、凝集、または脂質/溶媒/水の界面における高粘着性ゲルの形成の問題を回避するシステムまたは送達装置中の治療薬品または蛋白質送達用の粘着性液体組成物を提供しうる。液体組成物は、送達装置からの治療用組成物の送達を制限しうる問題を克服する。非水性液体溶媒中の両親媒性分子、例えば、脂質、は治療薬品または蛋白質を送達装置から水性環境内に当該標的組織への連続的に測定された流で送達する。
【0010】
特定のレオロジー性質が所望される治療薬品送達システムを形成する時には、非水性液体溶媒中の両親媒性分子、例えば、脂質は高分子量分子、例えば、PVPまたはPLGAのごとき重合体、を含んでなる送達システムを代替しうる。水性環境内に導入される時には、脂質は二層(多層小胞、単層小胞/リポソーム)からミセルおよび反転されたミセル(六面体構造)の範囲にわたる形態を有する水中で小さい自己−組み立て構造体を形成しうる両親媒性分子でありうる。
【0011】
非水性液体溶媒中に脂質を含んでなる薬品送達組成物を延長された期間にわたり浸透薬品装置から分配するために適する治療薬品の安定な懸濁液に調合されていた。脂質および非水性液体溶媒を含んでなる組成物は水中で種々の溶解性質を示すことができそしてさらに水界面において脂質の有意な分配を示して粘着性液体組成物、例えば、粘着性脂質ゲル、を生じうる。
【0012】
別の態様では、非水性液体溶媒中に脂質を含んでなる薬品送達組成物は製薬学的活性剤を該液体組成物内の粒子中に懸濁させた安定性懸濁液に調合されていた。製薬学的活性剤を含有する粒子は多種の方法、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、または超界面流体処理により形成されうる。
【0013】
詳細な態様では、そのようなゲルを製造するために有用な非水性液体溶媒は、乳酸ラウリル(LL)、ラウリルアルコール(LA)、ベンジルアルコール(BA)、安息香酸ベンジル(BB)、1:1安息香酸ベンジル:ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、乳酸ヘキシルエチル、グリセロールホルマール、テトラグリコール(グリコフロール;GF)、N−1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、トリグリセリド類(トリオレイン、トリラウリン、トリカルプリン、トリカプリリン)、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、シクロへキサノール、グリセリン、グリセロール、α−トコフェロール(ビタミンE)、植物油、胡麻油、大豆油、綿実油または落花生油を包含するが、それらに限定されない。
【0014】
種々の両親媒性分子、例えば、脂質、界面活性剤、両親媒性ブロック重合体、または両親媒性蛋白質もしくはペプチドを使用することができる。脂質分子は飽和および不飽和脂質、中性、カチオン性、もしくはアニオン性脂質、または天然もしくは合成脂質を包含す
るが、それらに限定されない。アニオン性脂質は蛋白質の螺旋状区分の生成を包含することができ、そして重要な生理学的役割を演じうる。詳細な態様では、脂質はホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジン酸(PA)、またはスフィンゴミエリン(SM)を包含するがそれらに限定されない1種でありうるかまたは2種もしくはそれ以上の混合物でありうる。
【0015】
詳細な態様では、個々の脂質は、中性脂質−ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリトイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、卵ホスファチジルコリン(卵PC)、大豆ホスファチジルコリン(大豆PC)、部分的もしくは完全に水素化されたホスファチジルコリン類(PHSPCもしくはHSPC)、パルミトイル−オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、ステアリルオレオイルホスファチジルコリン(SOPC);並びにアニオン性脂質−ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジミリトイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、またはジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)を包含するが、それらに限定されない。種々のPEG(ポリエチレングリコール)−脂質も付加される利点のために包含されうる。PEG−脂質の例はmPEG−DPPE、mPEG−DMPE、mPEG−DSPE、−mPEG−セラミド−DSPE、またはmPEG−DSを包含するが、それらに限定されない。ブロック共重合体界面活性剤(例えば、プルロニック(Pluronic)(R)界面活性剤もしくはプルロニック(R)界面活性剤F−127)、或いはソルビタンエステル構造剤(sorbitan ester structurants)(例えばスパン(Span)(R)80、シグマ・アルドリッヒ・ケミカル・カンパニー(Sigma Aldrich Chemical Co.))を使用することができる。さらに、必要な時には、ビタミンE、α−トコフェロール、またはアスコルビン酸を包含するがそれらに限定されない酸化防止性脂質化合物の増分を加えて酸化または過酸化物生成を防止しうる。酸化防止性脂質化合物の増分はすでにPHSPC調合物の一部である。
【0016】
詳細な態様では、調合物中の両親媒性分子重量%は約1〜約100重量%の範囲でありうる。調合物中の溶媒重量%は約0〜約99重量%の範囲でありうる。
【0017】
別の態様では、製薬学的活性剤は蛋白質、ペプチド、小分子薬品、脂質薬品もしくは核酸薬品(例えば、DNA、RNA、アンチセンス(antisense)、リボザイム、DNAザイム(DNAzyme)など)から選択される。
【0018】
別の詳細な態様では、液体組成物は粘着性液体組成物である。組成物の粘度は約1〜約100,000ポイズでありうる。両親媒性分子対非水性液体溶媒の重量比は約1〜約4の間でありうる。
【0019】
別の態様では、製薬学的活性剤は生物学的または薬理学的活性物質から選択される。詳細な態様では、製薬学的活性剤は、ω−インターフェロン、α−インターフェロン、β−インターフェロン、γ−インターフェロン、エリスロポイエチン、ヒト成長ホルモン、顆粒球大食細胞コロニー刺激因子(GM−CSF)、ヒト成長ホルモン放出ホルモン(huGHRH)、インスリン、デスモプレッシン、インフリキシマブ、抗体もしくは標的配位子に共役された剤、リスペリドン、パリペリドン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、または骨発生蛋白質である。製薬学的活性剤をスクロース、メチオニンおよびサイトレートと1対2〜1対2.15の重量比で組み合わせうる。
【0020】
別の態様では、浸透薬品送達用の投薬形態は、粘着性液体製薬学的組成物を含有する第
一室および浸透剤を含有する第二室を含むカプセルであって、該第一室が開口部を有し、そこを通って製薬学的組成物を第一室から第一室外部の位置まで送達しうるカプセル;カプセル中に第一室および第二質の間に配置された移動可能な分離用部材;流体を周囲環境から第二室の中に通過させうる流体透過性部分を含む第二室の壁;並びに第二室内に置かれそして浸透剤を実質的に取り囲む非圧縮性流体添加剤を含んでなる。
【0021】
浸透薬品送達用の投薬形態の詳細な態様では、粘着性液体製薬学的組成物は、両親媒性分子、非水性液体溶媒、および製薬学的活性剤を含んでなる。別の詳細な態様では、両親媒性分子は脂質、界面活性剤、両親媒性ブロック重合体、または両親媒性蛋白質もしくはペプチドから選択される。
【0022】
浸透薬品送達用の投薬形態の詳細な態様では、脂質は、飽和脂質、不飽和脂質、中性脂質、アニオン性脂質、カチオン性脂質、中性脂質または合成脂質から選択される。別の詳細な態様では、脂質は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジン酸(PA)、またはスフィンゴミエリン(SM)から選択される。さらに詳細な態様では、中性脂質はジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリトイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、卵ホスファチジルコリン(卵PC)、大豆ホスファチジルコリン(大豆PC)、部分的もしくは完全に水素化されたホスファチジルコリン類(PHSPCもしくはHSPC)、パルミトイル−オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、またはステアリルオレオイルホスファチジルコリン(SOPC)から選択される。別の詳細な態様では、アニオン性脂質はジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジミリトイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、またはジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)から選択される。
【0023】
浸透薬品送達用の投薬形態の詳細な態様では、非水性液体溶媒は乳酸ラウリル(LL)、ラウリルアルコール(LA)、ベンジルアルコール(BA)、安息香酸ベンジル(BB)、1:1安息香酸ベンジル:ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、乳酸ヘキシルエチル、グリセロールホルマール、テトラグリコール(グリコフロール;GF)、N−1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、トリグリセリド類(トリオレイン、トリラウリン、トリカルプリン、トリカプリリン)、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、シクロへキサノール、グリセリン、グリセロール、α−トコフェロール(ビタミンE)、植物油、胡麻油、大豆油、綿実油または落花生油から選択される。
【0024】
別の態様では、製薬学的活性剤は蛋白質、ペプチド、小分子薬品、脂質薬品、または脂質に共役されたプロドラッグから選択される。
【0025】
浸透薬品送達用の投薬形態の詳細な態様では、両親媒性分子重量%は約1〜約100重量%でありうる。別の詳細な態様では、非水性液体溶媒重量%は約0〜約99重量%でありうる。別の詳細な態様では、組成物の粘度は約1〜約100,000ポイズでありうる。両親媒性分子対非水性液体溶媒の重量比は約1〜約4の間でありうる。
【0026】
浸透薬品送達用の投薬形態の詳細な態様では、浸透剤は平板形状でありそして流体添加剤が平板状浸透剤を取り囲む。分離用部材は滑動可能なピストンでありうる。流体透過性部分は膜でありうる。別の詳細な態様では、浸透剤は錠剤である。流体添加剤は浸透剤の凍結を防止するための潤滑化用液体でありうる。流体添加剤はゲルでありうる。別の詳細
な態様では、流体添加剤はPEGを包含する。浸透剤はNaClを包含する。
【0027】
詳細な態様では、浸透薬品送達システム用の投薬形態はカプセルの内表面および浸透剤の間に少なくとも1つの空隙を含み、流体添加剤が少なくとも1つの空隙を充填して開始時間を改良する。
【0028】
別の面で、本発明は両親媒性分子、非水性溶媒、および性能改変剤を含んでなる懸濁用ビヒクルを提供する。好ましくは、懸濁用ビヒクルは実質的に非水性である。両親媒性分子は粘度を増加させるための懸濁用ビヒクル中の重合体を代替しうる。本発明に従う性能改変剤は、例えば、脂質をベースとした懸濁用ビヒクルの安定性および/または流動性を改良するために、使用されうる。例えば、性能改変剤の使用は懸濁用ビヒクルと水性媒体、例えば、体液との接触時に出口で製造される例えば剛性ゲルの形成体の軟化を助ける。それ故、懸濁用ビヒクルは水性媒体との接触時に好ましくは流動性である。懸濁用ビヒクルも水性媒体との接触時に剛性ゲルを実質的に含まない。
【0029】
性能改変剤、例えば共溶媒、を使用する他の利点は、他の溶媒と比べて共溶媒中での両親媒性分子、例えば、脂質の増加した溶解度のために、懸濁用ビヒクルおよび懸濁液の製造を促進させることである。
【0030】
性能改変剤を含んでなる懸濁用ビヒクルは性能改変剤を含有しない懸濁用ビヒクルと比べて改良されたレオロジー性質を示しうる。例えば、性能改変剤は小さい組成変動にわたり粘度変動を減ずるために有用でありうる。好ましい態様では、懸濁用ビヒクルは10の因子より低いかまたはそれと同等な粘度における変化を、懸濁用ビヒクル中の両親媒性分子の量における10重量%の変化と組み合わせて、有する。
【0031】
ある態様では、懸濁用ビヒクル中の両親媒性分子は好ましくは燐脂質を含んでなる。脂質は、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリトイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、卵ホスファチジルコリン(卵PC)、大豆ホスファチジルコリン(大豆PC)、部分的に水素化されたホスファチジルコリン(PHSPC)、完全に水素化されたホスファチジルコリン(HSPC)、パルミトイル−オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、またはステアリルオレオイルホスファチジルコリン(SOPC)を包含するが、それらに限定されない。
【0032】
懸濁用ビヒクルは、例えば、好ましくは約1:3〜約1:0.001、より好ましくは約1:1〜約1:0.001、そしてさらにより好ましくは約1:0.33〜約1:0.001、である非水性溶媒対性能改変剤の重量比を有する。両親媒性分子対性能改変剤の重量比は好ましくは約0.18:1〜約5.7:1、より好ましくは約0.43:1〜約2.33:1、そしてさらにより好ましくは約0.67:1〜約1.5:1、である。両親媒性分子対性能改変剤および非水性溶媒の組み合わせの重量比は好ましくは約0.05:1〜約19:1、より好ましくは約0.5:1〜約1.5:1、さらにより好ましくは0.75:1〜約1.22:1である。
【0033】
懸濁用ビヒクルの好ましい態様では、脂質は、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)を含んでなり、非水性溶媒はα−トコフェロールを含んでなり、そして性能改変剤はエタノール、胡麻油、酢酸エチル、またはそれらの組み合わせを含んでなる。
【0034】
本発明に従うキットは、懸濁用ビヒクルおよびその中の製薬学的活性剤を懸濁または分配させて製薬学的懸濁液を作製するための指示書を含んでなる。他のキットは投薬形態および投薬形態を製薬学的懸濁液と共に充填するための指示書をさらに含んでなる。
【0035】
製薬学的懸濁液は、製薬学的活性剤を本発明の懸濁用ビヒクルに加えることにより、作製することができる。製薬学的懸濁液を所望する投薬形態、例えば浸透送達装置の如きポンプにより駆動される投薬形態、に加えることもできる。
【0036】
本発明に従う製薬学的懸濁液は、懸濁用ビヒクル中に懸濁または分散させた製薬学的活性剤を含んでなり、懸濁用ビヒクルは両親媒性分子、非水性溶媒、および性能改変剤を含んでなる。懸濁用ビヒクルは約1〜約1,000,000ポイズの粘度を有し、そして好ましくは粘度は約5〜約100,000ポイズである。
【0037】
所望する製薬学的活性剤は本発明の懸濁用ビヒクル中で安定でありうるが、好ましい態様では、製薬学的活性剤はω−インターフェロンを含んでなる。
【0038】
好ましくは、本発明と共に使用される投薬形態は浸透ポンプを有する。他の態様では、投薬形態は、貯蔵形態の寿命中にその物理的および化学的一体性を維持しそして製薬学的懸濁液に実質的に不透過性である壁;外部流体に対して部分的に透過性である別の壁;壁により規定される区画;並びに区画と連結している壁内の出口を含んでなり、そして製薬学的懸濁液が区画内に置かれる。
【0039】
ある例では、製薬学的懸濁液は、水性媒体との接触時に、好ましくは浸透ポンプの通常の操作条件下で、出口を通って流動可能である。製薬学的懸濁液は水性媒体との接触時に剛性ゲルを実質的に含まない。別の態様では、製薬学的懸濁液は少なくとも3ヶ月にわたり実質的に均質である。
【0040】
本発明に従うキットは、製薬学的懸濁液を含有する投薬形態および投薬形態を投与するための指示書を含んでなる。
【0041】
本発明に従う方法は、両親媒性分子を同定し、非水性溶媒を同定し、性能改変剤を同定し、両親媒性分子、非水性溶媒、および性能改変剤を混合して懸濁用ビヒクルを作製することを含んでなる。ある態様では、性能改変剤は性能改変剤を含有しない懸濁用ビヒクルと比べて性能改変剤のレオロジー性質を改良する。他の方法は、両親媒性分子を性能改変剤中に実質的に溶解または分散させて混合物を作製し、そして非水性溶媒を混合物と組み合わせて懸濁用ビヒクルを作製することを含んでなる。さらに、他の方法では、両親媒性分子は非水性溶媒および性能改変剤の組み合わせの中に非水性溶媒だけの中への溶解と比べてより急速に溶解する。
【0042】
ある方法では、混合物を撹拌する。他の態様では、懸濁用ビヒクルを約100℃〜約120℃の温度に加熱することが好ましい。
【0043】
本発明に従う方法は、本発明に従う製薬学的懸濁液を含有する投薬形態を哺乳動物に投与することも包含する。
【0044】
図面の詳細な記述
図1は、DOPC調合物が剪断薄層化されうること、すなわちビヒクルの製造工程を容易にしうる現象、を示す。
【0045】
図2はDOPC調合物の粘度が温度調節されることを示す。
【0046】
図3は、PHSPC調合物が剪断薄層化されうること、すなわちビヒクルの製造工程を容易にしうる現象、を示す。
【0047】
図4はPHSPC調合物の粘度が温度調節されることを示す。
【0048】
図5は偏光顕微鏡下のDOPC調合物の像を示す。
【0049】
図6は偏光顕微鏡下のPHSPC調合物の像を示す。
【0050】
図7は37℃におけるDOPC:LLビヒクル調合物に対する剪断速度影響を示す。
【0051】
図8は37℃におけるDOPC:NMPビヒクル調合物に対する剪断速度影響を示す。
【0052】
図9は40℃におけるDOPC:LL懸濁液中のω−インターフェロンの安定性を示す。
【0053】
図10はDOPC:NMPまたはDOPC:LL懸濁液からのω−インターフェロンの回収率に対するn−プロパノールの影響を示す。
【0054】
図11は粘着性液体調合物であるDOPC:LLまたはDOPC:NMPに関するモデル拡散減速器中への水流入を示す。
【0055】
図12は装置内のピストン運動に基づく送達装置から放出される平均蛋白質の測定値を示す。
【0056】
図13は送達装置内のピストン運動が装置から放出される平均蛋白質に関連することを示す。
【0057】
図14は種々の重量比における種々のDOPC:VitE調合物の粘度を示す。
【0058】
詳細な記述
本発明の浸透薬品送達システム中の液体組成物は両親媒性分子を溶媒と組み合わせて含んでなり、所望する粘度を示し且つ所望する水中溶解性を示す所望する性質を有する液体組成物を形成する。粘着性液体組成物は、調合物が水性環境内にゆっくり加えられるような治療薬品送達用途に有用である。両親媒性分子は脂質、界面活性剤、両親媒性ブロック重合体、または両親媒性蛋白質もしくはペプチドを包含するが、それらに限定されない。
【0059】
動的移動機構は非水性液体粘着性薬品懸濁液の間の界面においてそれらが薬品送達装置の導管の中を通って水性環境内へと通過する際に起きる。導管内への水流入は数種の可能な機構:逆拡散、分配または分散相の充填された粒子を通る濾過の1種もしくは全てにより起きうる。脂質は広範囲の非水性液体溶媒中で溶解性または分散性を示す。広範囲の溶解性または分散性は粘着性液体薬品組成物の調合における脂質の使用を提供する。粘着性液体組成物が水性環境に接触する時に、脂質は二層(多層小胞、単層小胞/リポソーム)からミセルおよび反転されたミセル(六面体構造)の範囲にわたる形態を有する水中で小さい自己−組み立て構造体を形成しうる両親媒性分子でありうる。この自己−組み立て構造体は、同時に調合物/水界面における高粘着性物質の沈殿または生成を制限しながら粘着性送達ビヒクルを生成可能にする。
【0060】
重合体、例えばPVP、は広範囲の非水性溶媒中でも溶解性を示すが、それらは水中にも極めて可溶性でありうる。その結果、高粘着性PVP/水ゲルが非水性液体溶媒/水界面において製造されうる。これらの粘着性ゲルは送達導管を詰まらせ、送達装置の性能を妨害しうる。さらに、重合体ゲルはジュロス(DUROS)浸透薬品送達システムの拡散減速器内で生成するが、それらは沈殿しそしてシステムの導管を詰まらせ、薬品または治
療用蛋白質の放出を妨害しうる。
【0061】
非水性液体溶媒中の両親媒性分子、例えば脂質は浸透送達装置中の液体粘着性薬品および蛋白質送達システムを提供しうる。組成物は沈殿、凝集、または脂質/溶媒/水の界面における高粘着性ゲルの形成を制限する。両親媒性分子、例えば、脂質、は投与後の水の比較的遅い吸収のために導入される治療用蛋白質にとって有害性が少ない環境を与えうる。脂質は蛋白質薬品の治療効力を延長させるための蛋白質用安定剤として使用することもできる。
【0062】
「非水性液体溶媒」は、水の不存在下で両親媒性分子と組み合わされて液体粘着性溶液を生成するであろう有機分子をさす。溶媒は、例えば、非極性溶媒、プロトン性溶媒、例えばアルコールもしくは酸、または非プロトン性溶媒、酸性水素を含有しない中程度に高い誘電定数の極性溶媒でありうる。
【0063】
脂質を種々の非水性液体溶媒中に種々の比で溶解させてビヒクルの粘度を1〜1,000,000ポイズに調節することができる。これらの調合物は剪断薄層化することができ、これはビヒクルの製造方法を容易にさせうる現象である。さらに、使用される溶媒を蛋白質の最大安定性に関して最適化させうる。ある場合には、粘着性液体組成物中で使用される脂質および溶媒の両者は食品医薬品局(FDA)により非経口的使用に関して認可されている。調合物中の両親媒性分子重量%は約1〜約100重量%の範囲でありうる。調合物中の溶媒重量%は約0〜約99重量%の範囲でありうる。
【0064】
製薬学的活性剤を包含する粘着性液体組成物は、浸透薬品送達装置、例えば各々が引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,132,420号明細書、米国特許第6,174,547号明細書、米国特許第6,419,952号明細書、米国特許第6,551,613号明細書により送達されうる。
【0065】
粘着性液体組成物は水中で所望する溶解性を示すことができそして調合物が水性環境内にゆっくり加えられるような有効な送達用途を有することができる。非水性液体溶媒中に脂質を含んでなる粘着性液体組成物は懸濁ビヒクル中で粘度を増加させるための例えばポリビニルピロリドン(PVP)の如き重合体の使用を代替しうる。粘着性液体組成物の例示態様では、ω−インターフェロンが0.1mg/mLより低い溶解度をその中で有することが示された溶媒を脂質である1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC)と組み合わされて製薬学的調合物内の固体粒子中のω−インターフェロンの懸濁系を形成した。例示用の非水性液体溶媒は乳酸ラウリル(LL)、ラウリルアルコール(LA)、ベンジルアルコール(BA)、安息香酸ベンジル(BB)、1:1安息香酸ベンジル:ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、乳酸ヘキシルエチル、グリセロールホルマール、テトラグリコール(グリコフロール;GF)、N−1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、トリグリセリド類(トリオレイン、トリラウリン、トリカルプリン、トリカプリリン)、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、シクロへキサノール、グリセリン、グリセロール、α−トコフェロール(ビタミンE)、植物油、胡麻油、大豆油、綿実油または落花生油を包含するが、それらに限定されない。脂質、例えば、DOPC、は広範囲の溶媒対脂質比にわたり可溶性であった。脂質と組み合わされた溶媒としての乳酸ラウリル(LL)およびN−メチル−ピロリドン(NMP)がさらなる研究のために選択された。
【0066】
脂質を種々の非水性液体溶媒中に種々の比で溶解させてビヒクルの粘度を0ポイズから1,000,000ポイズに調節することができる。調合物は剪断力の増加につれて、ビヒクルをさらに容易に処理できる現象である薄層化可能になる。試験は、DOPCが乳酸
ラウリル(LL)およびN−メチル−ピロリドン(NMP)中でそれぞれ1.5:1および3:1の脂質対溶媒の重量比で37℃および0.04〜10秒−1の範囲にわたる剪断速度においてそれぞれ約42,000および15,000ポイズの粘度を有することを示した。これらの組成物は剪断薄層化されることを示した。
【0067】
【化1】

【0068】
1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC)は786.13kダルトンの分子量および−18℃の相転移温度を有する。
【0069】
脂質/溶媒溶液の高い粘度および剪断薄層化性質は、それらがジュロス(R)移植片またはオロス(OROS)(R)浸透送達システム用の適切なビヒクルでありうることを示唆する。例えば、各々が引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,132,420号明細書、米国特許第6,174,547号明細書、米国特許第6,419,952号明細書、米国特許第6,551,613号明細書を参照のこと。試験は、DOPC/溶媒組成物、例えば、DOPC/乳酸ラウリルまたはDOPC/α−トコフェロール、中のω−インターフェロンが40℃において少なくとも4週間にわたり安定であることを示した。DOPC/溶媒組成物は3ヶ月間まで安定でありうる。溶解および放出速度試験は、脂質ゲルが可溶性ω−インターフェロンの水性環境内への送達を可能にすることを判定した。
【0070】
「両親媒性分子」は、分子内に顕著な極性(親水性)および非極性(疎水性)領域を有する分子をさす。「脂質」は、長い非分枝鎖状炭化水素連鎖を有する大きい有機カチオンまたはアニオンを含有しうる生物学的化合物の不均質群、例えば、HC(CHCO、HC(CHSO、HC(CHN(CH(n>7)、をさす。分子内の顕著な極性(親水性)および非極性(疎水性)領域の存在が希釈水溶液中のミセルの生成を促進させうる。「カチオン性脂質」は、正味の正の電荷を有する。「アニオン性脂質」は、正味の負の電荷を有する。「中性脂質」は、正味の中性の電荷を有する。
【0071】
「脂質」は、水中に微溶性であるが非極性溶媒中に非常に可溶性である生物学的化合物の不均質群をさす。種類として、脂質はそれらの溶解度により規定されうる。それらは化学的に多様な化合物を包含する。「天然脂質」は、トリアシルグリセロール類、ワックス類、およびテルペン類(例えば、モノテルペン類、ジテルペン類、カロテノイド類またはステロイド類)を包含するが、それらに限定されない。より複雑な脂質は糖脂質および燐脂質を包含する。トリアシルグリセロール類およびワックス類は鹸化可能な脂質として知られるが、テルペン類は鹸化不能な脂質と称する。「飽和脂質」は、全て単結合されたC−C炭化水素連鎖を有する。「不飽和脂質」は、1個もしくはそれ以上の二重結合された(C=C)または三重結合された(C≡C)炭化水素連鎖を有する。
【0072】
「両親媒性ブロック重合体」は、ブロック共重合体、例えばプルロニック(R)ブロック共重合体界面活性剤(バスフ・コーポレーション(BASF Corporation)、マウント・オリーブ、ニュージャージ州、例えばプルロニック(R)界面活性剤もしくはプルロニック(R)界面活性剤F−127)、またはソルビタンエステル構造剤(例えばスパン(R)80、シグマ・アルドリッヒ・ケミカル・カンパニー)を使用することができ、それらは発泡防止剤、湿潤剤、分散剤、濃稠化剤、および乳化剤として機能しうる。プルロニック(R)ブロック共重合体界面活性剤はエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドをベースにしうる。
【0073】
「両親媒性蛋白質またはペプチド」は、蛋白質内に顕著な極性(親水性)および非極性(疎水性)領域を有するポリペプチド連鎖をさす。蛋白質の三次構造は蛋白質の1つの流域で親水性でありすなわち高度に荷電されており(正または負に荷電されており)そして蛋白質の他の領域で疎水性(非極性)である。
【0074】
本発明で有用な両親媒性分子は脂質、界面活性剤、両親媒性ブロック重合体、または両親媒性蛋白質もしくはペプチドを包含するが、それらに限定されない。粘着性液体組成物を製造するために適する物質でありうる両親媒性分子の例は脂肪酸エステル類、例えば脂肪酸類のグリセリルモノエステル類、である。粘着性液体組成物を生成する能力を有する他の物質は両親媒性物質、例えば極性脂質、界面活性剤および乳化剤、の中から見出すことができる。脂肪酸類のグリセリルモノエステル類の例はモノオレイン酸グリセリル(モノオレイン)およびモノリノール酸グリセリルを包含する。
【0075】
流体の「粘度」は、流体の剪断または流動抵抗性をさし、そして流体の接着/付着または摩擦性質の測定値である。これは流体内の内部分子摩擦のために生じて摩擦ドラッグ効果をもたらす。溶媒に対する大きな分子の添加がその粘度を増加させるため、粘度は生重合体の研究において有用であり、その増加は重合体の濃度、寸法、および構造に依存する。流体の一層中の運動が結合層中の運動を引き起こす。異なる相対粘度を有する層を動かすためには力を必要とし、より粘着性ならより大きい力が必要となる。動的粘度は「絶対粘度」とも称し、そして流体により離された単位距離を保つ時に水平面を他のものに関して単位速度で動かすために必要な単位面積当たりの接線力である。
【0076】
粘着性液体組成物を生成可能な脂肪酸エステル類は脂肪酸成分およびヒドロキシ−含有成分を含んでなり、ここで脂肪酸エステルの脂肪酸成分はC〜C26の合計炭素数を有する飽和もしくは不飽和脂肪酸である。本発明に従う脂肪酸エステル中の飽和脂肪酸部分の具体例はカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、およびベヘン酸の部分を包含するが、それらに限定されない。本発明に従う脂肪酸エステル中の不飽和脂肪酸部分の具体例はパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびアラキドン酸の部分を包含するが、それらに限定されない。本発明に従う組成物中での使用のための脂肪酸エステル類の別の態様は多価アルコール類の脂肪酸エステル類、ヒドロキシカルボン酸の脂肪酸エステル類、単糖類の脂肪酸エステル類、グリセリルホスフェート誘導体の脂肪酸エステル類、グリセリルサルフェート誘導体の脂肪酸エステル類、およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。脂肪酸エステルのヒドロキシ−含有成分が多価である場合には、ヒドロキシ−含有成分は脂肪酸成分でまたは脂肪酸成分の混合物で部分的もしくは完全にエステル化されうる。
【0077】
本発明に従う組成物中での使用のための脂肪酸エステルの多価アルコール成分は好ましくはグリセロール、1,2−プロパンジオール、ジアシルガラクトシルグリセロール、ジアシルジガラクトシルグリセロール、エリトリトール、キシリトール、アドニトール、アラビトール、マンニトール、およびソルビトールよりなる群から選択される。そのような
多価アルコール類から製造される脂肪酸エステル類は1価もしくは多価性、例えば、2価性、3価性などでありうる。特に脂肪酸モノエステル類は生付着性質を有することが証明されており、そして本発明に従う組成物中での使用のための脂肪酸エステル類でありうる。1種もしくは複数のエステル結合が制定される多価アルコールの位置はいずれかの可能な位置でありうる。脂肪酸エステルがジエステル、トリエステルなどである場合には、脂肪酸エステルの脂肪酸成分は同一もしくは相異なりうる。本発明の詳細な面では、多価アルコール成分はグリセロールでありうる。
【0078】
本発明に従う組成物中での使用のためのそしてヒドロキシ−含有成分が多価アルコールである脂肪酸エステル類の別の例はモノオレイン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、モノリノレン酸グリセリル、およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。これらの脂肪酸エステル類はここに記載される粘着性液体組成物中で有用な生付着性質を有する。本発明に従う組成物中での使用のための脂肪酸エステルがヒドロキシカルボン酸(もしくはその誘導体)および脂肪酸(もしくはその誘導体)の間で製造される場合には、脂肪酸エステルのヒドロキシカルボン酸成分は好ましくはリンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、およびソルビン酸よりなる群から選択される。本発明に従う組成物中での使用のための脂肪酸エステルの例はクエン酸の脂肪酸モノエステルである。
【0079】
本発明に従う組成物中での使用のための脂肪酸エステルのヒドロキシ−含有成分は糖、例えば単糖、例えば、グルコース、マンノース、フルクトース、トレオース、グロース、アラビノース、リボース、エリスロース、リキソース、ガラクトース、ソルボース、アルトロース、タロース、イドース、ラムノース、またはアロースでありうる。ヒドロキシ−含有成分が単糖である場合には、脂肪酸エステルは好ましくはソルボース、ガラクトース、リボース、およびラムノースよりなる群から選択される単糖の脂肪酸モノエステルである。粘着性液体組成物中での使用のための脂肪酸エステルのヒドロキシ−含有成分はグリセリルホスフェート誘導体、例えば、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジン酸(PA)、またはスフィンゴミエリン(SM)もしくはジホスファチジルグリセロールから選択される燐脂質でありうる。燐脂質はDEPE(1,2ジエライドイル−sn−グリセロール−3−ホスホエタノールアミン)およびDMPE(PEG550)(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロール−3−ホスホエタノールアミン−N−(ポリエチレングリコール)550)をさらに包含しうる。
【0080】
燐脂質部分を有する化合物は、脂肪酸エステルがグリセリルホスフェート誘導体の脂肪酸エステルでありそして脂肪酸成分がラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびベヘン酸よりなる群から選択される化合物をさらに包含しうる。そのような有用な脂肪酸エステル類の例はジラウリルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリトイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、卵ホスファチジルコリン(卵PC)、大豆ホスファチジルコリン(大豆PC)、部分的もしくは完全に水素化されたホスファチジルコリン類(PHSPCもしくはHSPC)、パルミトイル−オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、ステアリルオレオイルホスファチジルコリン(SOPC)、ジベヘノイルホスファチジルコリン、ジミリスチルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、またはジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジラウリルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジン酸およびそれらの混合物でありうる。
【0081】
両親媒性分子として有用でありうる化合物はmPEG−DPPE、mPEG−DMPE、mPEG−DSPE、mPEG−セラミド−DSPE、またはmPEG−DSから選択されるポリエチレングリコール(PEG)−脂質化合物、並びにプルロニック(R)17R2界面活性剤、プルロニック(R)17R4界面活性剤、プルロニック(R)25R2界面活性剤、プルロニック(R)25R4界面活性剤、プルロニック(R)31R1界面活性剤、プルロニック(R)F108流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F108NF流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F108NF粒状界面活性剤、プルロニック(R)F108パステル界面活性剤、プルロニック(R)F108界面活性剤流剤、プルロニック(R)F127流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F127NF500BHT界面活性剤流剤、プルロニック(R)F127NF流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F127NF粒状界面活性剤、プルロニック(R)F127界面活性剤流剤、プルロニック(R)F127NF500BHT流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F38流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F38界面活性剤パステル剤、プルロニック(R)F68LFパステル界面活性剤、プルロニック(R)F68LF流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F68NF流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F68NF粒状界面活性剤、プルロニック(R)F68粒状界面活性剤、プルロニック(R)F68界面活性剤、プルロニック(R)F68界面活性剤パステル剤、プルロニック(R)F77流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F77マイクロ−パステル界面活性剤、プルロニック(R)F87流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F87NF流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F87NF粒状界面活性剤、プルロニック(R)F87粒状界面活性剤、プルロニック(R)F88流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F88粒状界面活性剤、プルロニック(R)F88界面活性剤パステル剤、プルロニック(R)F98流し込み固体界面活性剤、プルロニック(R)F98粒状界面活性剤、プルロニック(R)L19界面活性剤、プルロニック(R)L101界面活性剤、プルロニック(R)L121界面活性剤、プルロニック(R)L31界面活性剤、プルロニック(R)L35界面活性剤、プルロニック(R)L43界面活性剤、プルロニック(R)L44NF界面活性剤、プルロニック(R)L44界面活性剤、プルロニック(R)L61界面活性剤、プルロニック(R)L62LF界面活性剤、プルロニック(R)L62界面活性剤、プルロニック(R)L62D界面活性剤、プルロニック(R)L64界面活性剤、プルロニック(R)L81界面活性剤、プルロニック(R)L92界面活性剤、プルロニック(R)N−3界面活性剤、プルロニック(R)P103界面活性剤、プルロニック(R)P104界面活性剤、プルロニック(R)P105界面活性剤、プルロニック(R)P123界面活性剤、プルロニック(R)P65界面活性剤、プルロニック(R)P84界面活性剤、プルロニック(R)P85界面活性剤、プルロニック(R)F127マイクロパステル剤から選択されるプルロニック(R)ブロック共重合体界面活性剤を包含するが、それらに限定されない。
【0082】
非水性液体溶媒として有用でありうる化合物は乳酸ラウリル(LL)、ラウリルアルコール(LA)、ベンジルアルコール(BA)、安息香酸ベンジル(BB)、1:1安息香酸ベンジル:ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、乳酸ヘキシルエチル、グリセロールホルマール、テトラグリコール(グリコフロール;GF)、N−1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、トリグリセリド類(トリオレイン、トリラウリン、トリカルプリン、トリカプリリン)、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、シクロへキサノール、グリセリン、グリセロール、α−トコフェロール(ビタミンE)、植物油、胡麻油、大豆油、綿実油または落花生油を包含するが、それらに限定されない。
【0083】
ブロック共重合体界面活性剤(バスフ・コーポレーション、マウント・オリーブ、ニュージャージ州、例えばプルロニック(R)界面活性剤もしくはプルロニック(R)界面活性剤F−127)、またはソルビタンエステル構造剤(例えばスパン(R)80、シグマ・アルドリッヒ・ケミカル・カンパニー)を使用することができ、それらは発泡防止剤、湿潤剤、分散剤、濃稠化剤、および乳化剤として機能しうる。プルロニック(R)タイプはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドをベースにしたブロック共重合体でありうる。
【0084】
本発明に従う組成物中での使用のための脂肪酸エステル類のほとんどは市販されているか、または例えば脂肪酸誘導体、例えば対応する酸クロリド、とヒドロキシ−含有化合物(必要な適当な保護基で保護される)との反応およびその後の、必要なら保護基の除去後の、脂肪酸エステルの単離を包含するエステル化工程により製造しうる化学的化合物である。市販の脂肪酸エステル類の多くは食品産業において使用することができそして一般的には約100%純度の脂肪酸エステルを得るために段階を行わない。例えば、モノオレイン酸グリセリル(ダニスコ・イングレディエンツ(Danisco Ingredients)A/S、デンマーク)は約80%w/wより多く(例えば約92%w/w)がモノオレイン酸グリセリルである約98%w/wのモノエステル類を含有する非常に純粋な生成物である。残りのモノエステル類はモノリノール酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリルおよびモノステアリン酸グリセリルでありうる。本発明に従う組成物中での使用のための脂肪酸エステル生成物はそれ故、脂肪酸エステル類の混合物でありうる。生付着性質並びに粘着性液体組成物を生成する優れた能力を有する脂肪酸エステル類の例は脂肪酸類のグリセリルモノエステル類でありうる。具体例はモノオレイン酸グリセリル(モノオレイン)およびモノリノール酸グリセリルを包含する。
【0085】
両親媒性分子および溶媒を含んでなる粘着性液体組成物の安定性はかなり増大され、25℃における少なくとも2年間のそして40℃における少なくとも1ヶ月間の貯蔵安定性を生ずる。脂肪酸エステル生成物はある種の純度標準を満たす。それ故、組成物の製造用に使用される脂肪酸エステル生成物は多くとも4%の飽和脂肪酸エステルを含有すべきでありそして好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、例えば少なくとも90%または少なくとも91%、特に少なくとも92%の脂肪酸エステルを含有すべきである。
【0086】
両親媒性分子、例えば、脂質、は通常は合計組成物に基づき計算して重量により少なくとも約1%〜約100%、例えば合計組成物に基づき計算して重量により少なくとも25%もしくは少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも100%の量で存在し、そして好ましい量はしばしば合計組成物に基づき計算して重量により25〜90%、例えば40〜90%、特に40〜85%、45〜80%もしくは50〜75%の範囲内である。
【0087】
通常は、本発明に従う組成物中の非水性液体溶媒の濃度は合計組成物に基づき計算して重量により約0%〜約99%、少なくとも約10%、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、もしくは70%、または99%までである。
【0088】
換言すると、組成物中の非水性液体溶媒の濃度は合計組成物を基準として重量により約0%〜約99%、例えば、約15%〜85%、約20%〜80%、約25%〜75%、約25%〜70%、約25%〜65%、約25%〜60%、約25%〜55%、または約25%〜50%に相当する範囲内である。
【0089】
粘着性液体組成物の製造は、両親媒性分子、非水性溶媒、および製薬学的活性剤を含んでなる他に、多くとも2000ダルトンの分子量を有する両親媒性物質または乳化剤もしくは界面活性剤をさらに含んでなりうる。テンシド(Tenside)界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、例えば、ソルビタンエステル類、ソルビタンマクロゴ
ルエステル類(ポリソルベート類))、極性脂質、糖脂質、レシチン類、パルミトイルムラミン酸(PMA)、表面活性性質を有する物質、例えばある種のセルロース誘導体、オレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン、ラノリンおよびそれらの誘導体並びにラノリンのエトキシル化された誘導体(アクアロース(Aqualose)W20、アクアロースL30およびアクアロースL75)も本発明に従う組成物中での使用に適する構造剤の例である。ソルビタンエステル類はソルビトール並びにそのモノ−およびジ−無水物と脂肪酸との部分エステルの一連の混合物でありうる。
【0090】
本発明に従う組成物中での構造剤としての使用に適するソルビタンエステル類の例はジ−イソステアリン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン(例えば、スパン(R)80、シグマ・アルドリッヒ・ケミカル・カンパニー)、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキ−イソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン(例えば、スパン(R)83)、トリオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリ−イソステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタンでありうる。
【0091】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(ポリソルベート類)は、1モルのソルビトールおよびその無水物当たり約20モルのエチレンオキシドと共重合された一連の脂肪酸エステルまたはソルビトールおよびその無水物でありうる。本発明の概念における使用に適するポリソルベート類の例はポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、ポリソルベート120でありうる。
【0092】
別の態様では、粘着性液体組成物中での使用に適する両親媒性分子はトコフェロール類を包含する。「トコフェロール類」は、全てのビタミンEまたはビタミンE類似物質、それらの誘導体および同族体をさす。この用語は全てのトコールおよびトコトリエノール誘導体、例えば、メチルトコール、を包含する。より具体的には、本発明の概念では、トコフェロールはp−トコフェロール類、トコフェロール類のソルビタンエステル類、d−α−トコフェロール、d,l−α−トコフェロール、d−α−酢酸トコフェロール、d,l−α−酢酸トコフェロール、d−α−琥珀酸トコフェロール、d,l−α−琥珀酸トコフェロール、d−α−ニコチン酸トコフェロール、d,l−α−ニコチン酸トコフェロール、琥珀酸トコフェリルポリエチレングリコール、例えばd−α−琥珀酸トコフェリルポリエチレングリコールもしくはd,l−α−琥珀酸トコフェリルポリエチレングリコール、並びにそれらの誘導体、例えば脂肪酸エステル誘導体、および同族体よりなる群から選択される。本発明に従う組成物中での使用のためのトコフェロール類はd−a−30でありうる。別の詳細な態様では、琥珀酸トコフェリルポリエチレングリコール1000(以下ではビタミンETPGSもしくは単にTPGSと示される)またはd,l−α−琥珀酸トコフェリルポリエチレングリコール1000が適切な両親媒性分子でありうる。
【0093】
脂肪酸エステル類は親水性媒体、例えば水またはグリセロール、との接触時に種々の結晶性相を生成可能でありうる。脂肪酸エステルは生付着性質も示す。粘着性液体組成物は立方体(3つの立方体液体結晶性相が良く同定される:i)物体中心化された格子、ii)推定ダイヤモンド格子、およびiii)ギロイド)、反転立方体、六面体、反転六面体、積層、ミセルまたは反転ミセル相でありうる。用語「立方液体結晶性相」はここでは適当な物質、例えば、脂肪酸エステルおよび液体媒体、例えば、粘着性液体媒体または水性媒体、から製造される熱力学的に安定な、粘着性のそして場合により等方性の相を意味する。立方体液体結晶性相は閉鎖された反転ミセルまで増加されることが意図される。用語「粘着性液体媒体」は両親媒性分子および非水性液体溶媒を含んでなる媒体を包含する。
用語「水性媒体」は水または他の親水性および水−混和性物質、例えば、グリセロール、を含有する媒体を包含する。用語「六面体相」および「反転六面体相」は、それぞれ、ここでは二次元で長い範囲の序列により同定されそして適当な物質、例えば、脂肪酸エステル、および液体媒体、例えば、粘着性液体媒体または水性媒体、から製造される熱力学的に安定な、粘着性のそして場合により等方性の相を記載するために使用される。用語「積層相」は一次元で長い範囲の序列により同定される。積層構造は脂質二層の球状殻を有するリポソームの原料である。種々の液体結晶性相は偏光の使用によりまたはX線回折パターン分析により検出および同定されうる。立方体液体結晶性相は通常は本発明の組成物中の好ましい相であるが、例えば反転六面体および反転立方体液体結晶性相は本発明に従う組成物中の液体結晶性相でありうる。
【0094】
製薬学的活性剤
「製薬学的活性剤」は、いずれかの生物学的もしくは薬理学的活性物質または抗原を含んでなる物質をさし、この用語は動物もしくは人間に影響する疾病または障害の処置または予防における或いはいずれかの動物もしくは人間の生理学的状態の調節における有用性を与える薬品物質を包含しそして有効な量で投与された時に生存細胞または有機体に影響を有するいずれかの生物学的活性化合物または組成物も包含する。製薬学的活性剤は蛋白質、ペプチド、小分子薬品、脂質薬品もしくは核酸薬品(例えば、DNA、RNA、アンチセンス、リボザイム、DNAザイム(DNAzyme)など)を包含するが、それらに限定されない。
【0095】
本発明の全ての面に関して特に重要な活性物質の例は、ヘルペスウイルス感染症[単純ヘルペスウイルスタイプ1および2(HSV−1およびHSV−2)、バリセラ・ゾスター・ウイルス(VZV)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプステイン−バルウイルス(EBV)]の処置のために開発されたかまたは開発中のいわゆる抗ヘルペスウイルス剤でありうる。抗ヘルペスウイルス剤は抗ウイルス薬品およびそれらのプロドラッグ、例えばヌクレオシド、ヌクレオシド同族体、ホスホリル化されたヌクレオシド(ヌクレオチド)、ヌクレオチド同族体並びにそれらの塩、錯体およびプロドラッグ、例えば、グアノシン同族体、デオキシグアノシン同族体、グアニン、グアニン同族体、チミジン同族体、ウラシル同族体およびアデニン同族体を包含する。本発明に従う組成物中で単独または組み合わせ使用のための抗ヘルペスウイルス剤はアシクロビル(acyclovir)、ファムシクロビル(famciclovir)、デシクロビル(deciclovir)、ペンシクロビル(penciclovir)、ジドブジン(zidovudin)、ガンシクロビル(ganciclovir)、ジダノシン(didanosin)、ザルシタビン(zalcitabin)、バラシクロビル(valaciclovir)、ソリブジン(sorivudine)、ロブカビル(lobucavir)、ブリブジン(brivudine)、シドフォビル(cidofovir)、n−ドコサノール(n−docosanol)、ISIS−2922、並びにそれらのプロドラッグおよび同族体から選択されうる。本発明に関する使用に適する活性物質に関連する詳細並びに他の活性物質の記述を以下に示す。
【0096】
上記のように、活性物質の重要な例は抗ウイルス薬品、例えばアシクロビル、ファムシクロビル、デシクロビル、ペンシクロビル、ジドブジン、ガンシクロビル、ジダノシン、ザルシタビン、バラシクロビル、ソリブジン、ロブカビル、ブリブジン、シドフォビル、n−ドコサノール、ISIS−2922,並びにそれらの塩類およびプロドラッグから選択されるヌクレオシドまたはヌクレオシド同族体である。しかしながら、多数の低い溶解度をそれらの中で有する多数の他の薬品、または低い溶解度を有するそれらの塩類、エステル類、プロドラッグもしくは前駆体も本発明の組成物中の重要な活性物質でありうる。さらに、本発明に従う組成物中に、単一活性物質として(溶解度基準が満たされうる条件で)または別の活性物質と組み合わせて、本発明に従う組成物中に導入することができる
。本発明に従う組成物中に単独でまたは組み合わせて導入できる多数の活性物質が以下に挙げられる。特に、抗ヘルペスウイルス剤およびグルココルチコステロイドの組み合わせが重要である。
【0097】
皮膚または粘膜表面への適用に関して特に重要でありうる薬品の例は以下のものである:アシクロビル、ファムシクロビル、リバビリン(ribavirin)、ジドブジン、ガンシクロビル、ジダノシン、ザルシタビン、バラシクロビル・アマンタジン(valaciclovir amantadin)、リマンタジン・フォスカルネット・イドクスリジン・フルオルウラシル・インターフェロン類(rimantadin foskarnet idoxuridin fluoruracil inteferons)およびα−インターフェロン類、β−インターフェロン、γ−インターフェロン、ω−インターフェロンを包含するそれらの変種、トロマンタジン(tromantadin)、レンチナン(lentinan)、レボフロキサシン(levofloxacin)、スタブジン(stavudine)、タクリン(tacrine)、ベスナリノン(vesnarinone)、アンプリゲン(ampligen)、アテビルジン(atevirdine)、デラビルジン(delavirdine)、ヒドロキシウレア(hydroxyurea)、インジナビル・サルフェート(indinavir sulfate)、インターロイキン−2・フュージョン・トキシン(interleukin−2 fusion toxin)、セラゲン(seragen)、ラミブジン(lamivudine)、リダコール(lidakol)、ネビラピン(nevirapine)、オンコナーゼ(onconase)、サキナビル(saquinavir)、トポテカン(topotecan)、ベルテポルフィン(verteporfin)、ビラプレックス(viraplex)、CMV、免疫グロブリン、エファリス(Efalith)、エペルジン(epervudine)、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)、プロキシゲルマニウム(proxigermanium)、リファブチン(rifabutin)、ブロモビニルデオキシウリジン(bromovinyldeoxyuridine)、ウクライン(ukrain)、シドフォビル(cidofovir)、イミクイモド(imiquimod)、ラミブジン(lamivudine)、ソリブジン(sorivudine)、ビラプレックス・アフォビルセン・アモナフィド・ヒペリシン(viraplex afovirsen amonafide hypericin)、プロビル(provir)、テモポルフィン(temoporfin)、アプビジコリン・グリシネート(apbidicolin glycinate)、イボブカビル(ibobucavir)、ビレンド(virend)、AL−721、アンプリゲン(ampligen)、アリルドン(arildone)、ブリブジン(brivudine)、CD4、2−デオキシ−D−グルコース、デスシクロビル(desciclovir)、ジクロロフラバン(dichloroflavan)、ジダノシン(didanosine)、ジチオカルブ・ソジウム・エドクスジン(ditiocarb Sodium edoxudine)、エンビロキシム(enviroxime)、フィアシタビン(fiacitabine)、イノシン・プラノベックス(inosine Pranobex)、ペプチドTスタブジン・トリバビリン・トリフルリジン・ビダラビン・ザルシタビン(peptide T stavudine tribavirin trifluridine vidarabine zalcitabine)、ミコナゾール・フシジン(miconazol fucidin)、エリスロマイシン・マクロリド類(erythromycin macrolides)、NSAID類、ペプチド類・インスリン(peptides insulin)、ポリマイシン(polymycin)、ミペリジン(myperizin)、抗生物質、ニコチン・スクラルフェート(nicotine sucralfate)、スクロース・オクタサルフェート(sucrose octasulfate)、サリチル酸、ウレア、ベンゾイルペルオキシド・ミノキシジル(benzoylperoxide minoxidil)、ヘパリノイド(heparinoid)、メトトレキセート(methotrexate)、シクロスポリン(ciclosporin)。
【0098】
可能性のある関心を持たれる物質のリストは下記の群の物質を含んでなる:弗化ナトリウム、抗炎症薬、例えば、イブプロフェン(ibuprofen)、インドメタシン(indomethacin)、ナプロキセン(naproxen)、ジクロフェナック(diclofenac)、トルフェナミック・アシド(tolfenamic acid)、ピロキシカム(piroxicam)など;睡眠拮抗物質、例えば、ナロキソン(naloxone)、ナロルフィン(nalorphine)など;抗パーキンソン病剤、例えば、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ビペリジン(biperidin)、ベンズヘキソール(benzhexol)、ベンズトロピン(benztropine)など;抗鬱剤、例えば、イミプラミン(imipramine)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、プリチプチレン(pritiptylene)など;抗生物質剤、例えば、クリンダマイシン(clindamycin)、エリスロマイシン(erythromycin)、フシジック・アシド(fusidic acid)、ゲンタミシン(gentamicin)、ムピロシエン(mupirocien)、アンフォマイシン(amfomycin)、ネオマイシン(neomycin)、メトロニダゾール(metronidazole)、シルバー・スルファジアジン(silver sulphadiazine)、スルファメチゾール(sulphamethizole)、バシトラシン(bacitracin)、フラマイセチン(framycetin)、ポリマイシン(polymycin)B、アシトマイシン(acitromycin)など;抗カビ・菌剤、例えば、ミコナゾール(miconazol)、ケトコナゾール(ketoconazole)、クロトリマゾール(clotrimazole)、アンフォテリシン(amphotericin)B、ニスタチン(nystatin)、メピラミン(mepyramin)、エコナゾール(econazol)、フルコナゾール(fluconazol)、フルシトシン(flucytocine)、グリセオフトジビン(griseoftdvin)、ビフォナゾール(bifonazole)、アモロルフィン(amorolfine)ン、ミコスタチン(mycostatin)、イトラコナゾール(itraconazole)、テルベナフィン(terbenafine)、テルコナゾール(terconazole)、トルナフテート(tolnaftate)など;抗細菌剤、例えば、メトロニダゾール(metronidazole)、テトラシクリン類(tetracyclines)、オキシテトラシクリン(oxytetracycline)など;抗嘔吐剤、例えば、メトクロプラミド(metoclopramide)、ドロペリドール(droperidol)、ハロペリドール(haloperidol)、プロメタジン(promethazine)など;抗ヒスタミン剤、例えば、クロルフェニラミン(chlorpheniramine)、テルフェナジン(terfenadine)、トリプロリジン(triprolidine)など;抗片頭痛剤、例えば、ジヒドロエルゴタミン(dihydroergotamine)、エルゴタミン(ergotamine)、ピゾチーン(pizotyhne)など;冠状、脳または末梢血管拡張剤、例えば、ニフェジピン(nifedipine)、ジルチアゼム(diltiazem)など;抗狭心症剤、例えばグリセリル・ナイトレート(glyceryl nitrate)、イソソルビド・デナイトレート(isosorbide denitrate)、モルシドミン(molsidomen)、ベラパミル(verapamil)など;カルシウム経路ブロッカー、例えば、ベラパミル(verapamil)、ニフェジピン(nifedipine)、ジルチアゼム(diltiazem)、ニカルジピン(nicardipine)など;ホルモン剤、例えば、エストラジオール(estradiol)、エストロン(estron)、エストリオール(estriol)、ポリエストラジオール(polyestradiol)、ポリエストリオール(polyestriol)、ジエネストロール(dienestrol)、ジエチルスチルブエストロール(diethylstilbestrol)、プロゲステロン(progesterone)、ジヒドロエルゴステロン(dihydroergosterone)、シプロテロン(cyproterone)、ダナゾール(danazol)、テストステロン(testosterone)など;避妊剤、例えば、エチニル・エストラジオール(ethynyl estradiol)、リネストレノール(lynestrenol)、エチノジオール(ethynodiol)、ノレシステロン(norethisterone)、メストラノール(mestranol)、ノルゲストレル(norgestrel)、レボノルゲストレス(levonorgestrel)、デソゲストレル(desogestrel)、メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone)など;抗血栓症剤、例えば、ヘパリン(heparin)、ワルファリン(warfarin)など;利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide)、フルナリジン(flunarizine)、ミノキシジル(minoxidil)など;抗高血圧症剤、例えば、プロパノロール(propanolol)、メトプロロール(metoprolol)、クロニジン(clonidine)、ピンドロールナド(pindolol)など;コルチコステロイド類、例えば、ベクロメタソン(beclomethasone)、ベタメタソン(betamethasone)、ベタメタソン−17−バレレート(betamethasone−17−valerate)、ベタメタソン−ジプロピオネート(betamethasone−dipropionate)、クロベタソル(clobetasol)、クロベタソル−17−ブチレート(clobetasol−17−butyrate)、クロベタソル−プロピオネート(clobetasol−propionate)、デソニド(desonide)、デソキシメタソン(desoxymethasone)、デキサメタソン(dexamethasone)、ジフルコルトロン(diflucortolone)、フルメタソン(flumethasone)、フルメタソン−ピバレート(flumethasone−pivalate)、フルオシノロン・アセトニド(fluocinolone acetonide)、フルオシノニド(fluocinonide)、ヒドロコルチソン(hydrocortisone)、ヒドロコルチソン−17−ブチレート(hydrocortisone−17−butyrate)、ヒドロコルチソン−ブテプレート(hydrocortisone−buteprate)、メチルプレドニソロン(methylprednisolone)、トリアンシノロン・アセトニド(triamcinolone acetonide)、ブデソニド(budesonide)、ハルシノニド(halcinonide)、フルプレドニド・アセテート(fluprednide acetate)、アルクロメタソン−ジプロピオネート(alklometasone−dipropionate)、フルコルトロン(fluocortolone)、フルチカソン−プロピオネート(fluticason−propionate)、モメタソン−フレート(mometasone−furate)、デソキシメタソン(desoxymethasone)、ジフルラソン−ジアセテート(diflurason−diacetate)、ハルキノール(halquinol)、クリオキノール(cliochinol)、クロルキナルドール(chlorchinaldol)、フルオシノロン−アセトニド(fluocinolone−acetonid)など;皮膚科剤、例えば、ニトロフラントイン(nitrofurantoin)、ジスラノール(dithranol)、クリオキノール(clioquinol)、ヒドロキシキノリン(hydroxyquinoline)、イソトレチオニン(isotretionin)、メトクスサレン(methoxsalen)、メトトレキセ−ト(methotrexate)、トレチオニン(tretionin)、トリオクスサレン(trioxsalen)、サリチル酸、ペニシルアミン(penicillamine)など;ステロイド類、例えば、エストラジオール(estradiol)、プロゲステロン(progesterone)、ノレシンドロン(norethindrone)、レボノルゲストロール(levonorgestrol)、エチノジオール(ethynodiol)、レベノルゲストレル(levenorgestrel)、ノルゲスチメート(norgestimate)、ゲスタニン(gestanin)、デソゲストレル(desogestrel)、3−ケトン−デソゲストレル(3−keton−desogestrel)、デメゲストン(demegestone)、プロメトエストロール(promethoestrol)、テストステロン(testosterone)、スピロノラクトン(spironolactone)、およびそれらのエステル類、ニトロ化合物、例えば、アミル・ナイトレート類(amyl nitrates)、ニトログリセリン(nitroglycerine)およびイソソルビド・ナイトレート類(isosorbide nitrates)、オピオイド化合物、例えば、モルヒネおよびモルヒネ類似薬品、例えばブプレノルフィン(buprenorphine)、オキシモルホン(oxymorphone)、ヒドロモルホン(hydromorphone)、レボルファノール(levorphanol)、フェンタニル(fentanyl)およびフェンタニル誘導体並びに同族体、プロスタグランジン類、例えば、PGA、PGB、PGE、またはPGF系統の構成員、例えば、ミソプロストール(misoprostol)、ジノプロストン(dinoproston)、カルボプロスト(carboprost)またはエナプロスチル(enaprostil)、ベンズアミド、例えば、メトクロプラミド(metoclopramide)、スコポールアミン(scopolamine)、ペプチド、例えば、成長ホルモン放出因子、成長因子(表皮成長因子(EGF)、神経成長因子(NGF)、TGF、PDGF、インスリン成長因子(IGF)、線維芽細胞成長因子(FGFα、FGFβなど)、など)、ソマトスタチン(somatostatin)、カルシトニン(calcitonin)、インスリン(insulin)、バソプレッシン(vasopressin)、インターフェロン類、インターロイキン類、例えば、IL−2.IL−12、IL−21、ウロキナーゼ(urokinase)、セラチオペプチダーゼ(serratiopeptidase)、スーパーオキシド・ジスムターゼ(superoxide dismutase)(SOD)、チロトロピン(thyrotropin)放出ホルモン(TRH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、コルチコトロフィン放出ホルモン(CRF)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、オキシトシン(oxytocin)、エリスロポイエチン(erhythropoietin)(EPO)、コロニー刺激因子(CSF)など、キサンチン(xanthine)、例えば、カフェイン(caffeine)、テオフィリン(theophylline)、カテコールアミン(catecholamine)、例えば、エフェドリン(ephedrine)、サルブタモル(salbutamol)、テルブタリン(terbutaline)、ジヒドロピリジン(dihydropyridine)、例えば、ニフェジピン(nifedipine)、チ
アジド(thiazide)、例えば、ヒドロクロロチアジド(hydrochlorotiazide)、フルナリジン(flunarizine)、その他、例えば、プロパンテリン(propanthelin)、硝酸銀、酵素、例えば、ストレプトキナーゼ類(Streptokinases)、ストレプトダーゼ類(Streptodases)、ビタミン類、例えばビタミンA、トレチオニン(tretionin)、イソトレチオニン(isotretionin)、アシトレチン(acitretin)、ビタミンD、カルシポトリオール(calcipotriol)、インターフェロン−α−2b、二硫化セレン、ピレチオン(pyrethhione)。本発明の組成物が活性物質の組み合わせ、例えば増強剤と一緒の活性物質、を含んでなりうることは理解されるであろう。もちろん、活性物質に関する、例えば、溶解度に関する、具体的な条件がない本発明の面では、治療または予防活性を有するいずれの物質でも組成物中に加えることができる。
【0099】
粘着性液体組成物中での使用のための製薬学的に許容可能な賦形剤
本発明の一面は、粘着性液体組成物の少なくとも一部が室温においてある種の製薬学的に許容可能な賦形剤により置換されうる組成物に関する。粘着性液体組成物または前駆体組成物に対する製薬学的に許容可能な賦形剤の添加は通常は粘着性液体組成物中での崩壊をもたらすであろう。従って、そのような物質は一般的に非常に低濃度、例えば合計組成物を基準として約1〜5重量%、でのみ加えられる。ある種の製薬学的に許容可能な賦形剤は組成物の生物製薬学的性質に実質的に負の影響を与えずにはるかに高い濃度で加えることができる。それ故、そのような賦形剤の濃度は重量により少なくとも約5%、例えば
、重量により少なくとも約8%、9%、10%、15%または20%でありうる。
【0100】
適する製薬学的に許容可能な賦形剤の例は、例えば、スクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポテト澱粉を包含する澱粉、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、燐酸カルシウム、硫酸カルシウム、燐酸ナトリウム、並びに多糖類、例えば、カルメロース、キトサン、ペクチン、キサンタンゴム、カラゲナン、イナゴマメゴム、アカシアゴム、ゼラチン、アルギネート、およびデキストラン類並びにそれらの塩類よりなる群から選択される不活性希釈剤または充填剤の中から見出しうる。
【0101】
第二物質中または液体結晶性相中に可溶性でありうる適する製薬学的賦形剤の例は、例えば、ソルビタンエステル類、例えば、ポリソルベート類、およびマクロゴール類である。本発明の概念では、例えば水、グリセロール、アルコール類、例えば、エタノールおよびイソプロピルアルコールのような溶媒が液体媒体の例でありそして可溶性の製薬学的に許容可能な賦形剤の例であることを意図しない。
【0102】
製薬学的組成物および投与方式
浸透送達システム中の粘着性液体組成物は非経口的投与および皮膚もしくは粘膜への局所的投与が意図される。もちろん、他の適用、例えば義歯、人工装具への適用および例えば口腔の如き体腔への適用も適する。粘膜は好ましくは口、鼻、耳、肺、直腸、膣、および胃腸粘膜から選択される。
【0103】
本発明に従う投与のための生付着性組成物は複数単位組成物の形態、例えば粉末の形態、でもありうる。複数単位組成物は皮膚または粘膜に投与することができ、好ましくは粘膜は口、直腸、鼻、耳、膣、肺、および胃腸粘膜から選択される。胃腸管に対する投与を意図する生付着性組成物が最も好ましい。
【0104】
皮膚適用のための本発明に従う生付着性組成物は多糖を組成物の合計重量に対して計算して少なくとも15%w/wの濃度で含んでなりうる。多糖は好ましくはカルメロース、キトサン、ペクチン、キサンタンゴム、カラゲナン、イナゴマメゴム、アカシアゴム、ゼラチン、アルギネート、およびデキストラン類並びにそれらの塩類よりなる群から選択される。組成物は外傷に容易に適用することができそして外傷から水を抽出しそしてそれにより外傷を乾燥できると信じられる。活性または保護物質および生付着性脂肪酸エステル物質とは別に、本発明に従う使用のための生付着性組成物は製薬学的組成物中で通常使用される製薬学的もしくは化粧品的に許容可能な賦形剤または添加剤を含んでなりうる。
【0105】
生付着性組成物は、例えば、スプレー剤、液剤、分散剤、懸濁剤、乳剤、粉剤、ヒドロゲル剤を包含するゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、クリーム剤、ドレンチ剤、送達装置、坐剤、浣腸剤、移植片、エーロゾル剤、マイクロカプセル剤、微球剤、ナノ粒剤、リポソーム剤、塗布剤、バンデージ剤、プラスター剤、歯磨き剤、デンタルケア組成物の形態、および他の適切な形態でありうる。生付着性組成物は従来の製薬学的実施法に従い調合することができ、例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”および“Encyclopedia of Pharmaceutical Technology”,edited by Swarbrick,J.& J.C.Boylan,Marcel Dekker,Inc.,New York,1988を参照のこと。本発明に従う使用のための生付着性組成物中での使用のための製薬学的に許容可能な賦形剤は、例えば、不活性希釈剤または充填剤、例えばスクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶性セルロース、」カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポテト澱粉を包含する澱粉、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、燐酸カルシウム、硫酸カルシウムまたは燐酸ナトリウム、並びに滑り剤および坑付着剤を包含する潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素化された植物油またはタルク、でありうる。他の製薬学的に許容可能な賦形剤は着色剤、香味剤、可塑剤、保湿剤、緩衝剤、安定剤、放出調節剤などでありうる。直腸または膣粘膜に対する適用のためには、本発明に従う使用に適する組成物は坐剤(乳剤もしくは懸濁剤タイプ)、懸濁剤、液剤、浣腸剤、および直腸ゼラチンカプセル剤(液剤もしくは懸濁剤)を包含する。適切な製薬学的に許容可能な坐剤ベースはココアバター、エステル化された脂肪酸、グリセリン化されたゼラチン、並びにポリエチレングリコールおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのような種々の水溶性もしくは分散性ベースを包含する。例えば促進剤または界面活性剤のような種々の添加剤を導入することができる。
【0106】
鼻粘膜に対する適用のためには、鼻スプレー剤および吸入用エーロゾル剤が本発明に従う使用に適する組成物でありうる。代表的な鼻用調合物では、活性成分を適当なビヒクル中に溶解または分散させうる。組成物中に存在する製薬学的に許容可能なビヒクルおよび賦形剤並びに場合により他の製薬学的に許容可能な物質、例えば希釈剤、強化剤、香味剤、防腐剤など、は全て従来の製薬学的実施法に従い薬剤の調合技術の専門家により理解される方法で選択される。
【0107】
口腔、歯、皮膚または爪に対する適用のためには、本発明に従う使用のための組成物は従来の無毒な製薬学的に許容可能な担体並びに微球およびリポソームを包含する賦形剤を含有しうる。調合物はクリーム剤、軟膏剤、ローション剤、リーメント剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、懸濁剤、液剤スティック、スプレー剤、ペースト剤、塗布剤、バンデージ剤、プラスター剤、歯磨き剤、デンタルケア組成物などを包含する。製薬学的に許容可能な担体または賦形剤は乳化剤、安定剤、酸化防止剤、緩衝剤、防腐剤、保湿剤、浸透促進剤、キレート化剤、ゲル形成剤、軟膏ベース、香料および皮膚保護剤を包含しうる。
【0108】
乳化剤の例はて天然産出ゴム類、例えば、アカシアゴムまたはトラガカントゴム、天然産出ホスファチド類、例えば、大豆レシチンおよびモノオレイン酸ソルビタン誘導体でありうる。酸化防止剤の例はブチル化されたヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびその誘導体、a−トコフェロールおよびその誘導体、ビタミンE、二酸化硫黄の塩、システイン、クエン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシトルエン、錯化剤、キレート化剤、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTAおよび没食子酸エステル類でありうる。防腐剤の例はパラベン類、例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチル、プロピル、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベン、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、安息香酸、安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ブロノポール、ブロニドックス、MDMヒダントイン、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、EDTA、プロピレングリコール(防腐剤の溶解度を増加させる)ベンザルコニウムクロリド、ベンジルアルコール、二酢酸クロルヘキシジン、二グルコン酸クロルヘキシジン、クロルブントール、フェネタノール、フェノール類(フェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、クロルクレソール、トリクレゾル)、アルカノール類(クロルブタノール、フェネタノール)、および例えば硝酸フェニル水銀のような水銀化合物)でありうる。保湿剤の例はグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールおよびウレアでありうる。本発明に従う使用に適する放出調節剤の例はグリセロール、胡麻油、大豆油、レシチンおよびコレステロールでありうる。浸透促進剤の例はオレイン酸、プロピレングリコール、DMSO、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ピロリドンおよびそれらの誘導体、−テトラヒドロフリルアルコール並びにアゾン(Azone)でありうる。キレート化剤の例はナトリウムEDTA、クエン酸および燐酸でありうる。本発明に従う使用のための組成物中での使用のための他の賦形剤の例はアーモンド油、ひまし油、ココアバター、ココヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、アマニ油、オリーブ油、ヤシ油、落花生油、芥子の実油、ナタネ油、胡麻油、大豆油、ヒマワリ油、および茶種油のような食用油;並びに重合体、例えばカルメロース、ナトリウムカルメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キトサン、ペクチン、キサンタンゴム、カラゲナン、イナゴマメゴム、アカシアゴム、ゼラチン、およびアルギネート、並びに溶媒、例えば、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール類、例えばPEG200およびPEG400、プルロニック、ポリソルベート、およびエチレングリコールでありうる。軟膏ベースの例は蜜蝋、パラフィン、パルミチン酸セチル、植物油、脂肪酸類のソルビタンエステル類(スパン(R))、カルボポル(Carbopol)(R)、ポリエチレングリコール類、並びに脂肪酸類のソルビタンエステル類およびエチレンオキシドの間の縮合生成物、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ツイーン(Tween)(R))でありうる。
【0109】
製薬学的に許容可能な担体は、一部は、投与される特定の組成物により並びに組成物を投与するために使用される特定の方法により、決めることができる。従って、粘着性液体組成物中の製薬学的活性剤を投与するための製薬学的組成物の広範囲の適する調合物がある(例えば、引用することにより本発明の内容となる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA 18thed.,1990を参照のこと)。製薬学的組成物は一般的に殺菌性に、実質的に等張性に調合されそして米国食品医薬品局の全ての良好な製造実施法(GMP)規則を完全に満たす。
【0110】
「性能改変剤」の言及は、脂質をベースとした懸濁用ビヒクルの安定性および/または性能を改良するのを助ける物質を意味する。ある態様では、そのような改良はビヒクルの粘度または他の性質を変えることにより非水性溶媒中の脂質のすでに安定の溶液である二成分ビヒクルの性質を変化させることを包含する。本発明の他の面は一方の成分の他方の中での安定性を改良してビヒクルを安定化させることを包含する。
【0111】
時には両親媒性をベースとした懸濁用ビヒクルと水性媒体との接触時に形成される剛性相を減少させる性能改変剤は酢酸エチル、胡麻油、スルホ琥珀酸ジオクチル、コレステロール、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ドデシル硫酸ナトリウム;脂肪酸類、例えばオレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、ミリスチン酸、トコフェリル酢酸、並びにビタミンETPGSを包含するが、それらに限定されない。
【0112】
共溶媒であり、溶解速度増加剤、相改変剤、粘度改変剤または処理助剤として作用しうる性能改変剤はエタノール、トコフェロール類、植物油(胡麻、綿実、サフラワー、ココヤシ、大豆、オリーブ)、カプリル/カプリントリグリセリド類、酢酸エチル、ベンジルアルコール、グリコフロール、オレイン酸テニル、N,Nジメチルアセトアミド、ポリオキサエステル液体重合体、N−メチルピロリドン、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ひまし油、ミリスチン酸イソプロピル、トリアセチン、ポリエチレングリコール、乳酸ラウリル、ラウリルアルコール、およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0113】
本発明に従う性能改変剤は、例えば、脂質をベースとした懸濁用ビヒクルの安定性および/または流動性を改良するために、使用することができる。例えば、懸濁用ビヒクルによる水性媒体、例えば、体液、との接触時に出口で製造される形成体の軟化を助ける。性能改変剤、例えば共溶媒、は非水性溶媒と比べての共溶媒中の脂質の増加した溶解度のために懸濁用ビヒクルおよび懸濁系の製造も加速しうる。性能改変剤は小さい組成変動にわたる粘度変動を減ずるためにも有用でありうる。
【0114】
「懸濁用ビヒクル」の言及は、製薬学的活性剤が内部に実質的に不溶性であることを意味する。実質的に不溶性である物質は一般的にそれらの元の物理的形状を懸濁液を含有する投薬形態の寿命全体にわたり維持する。必要なら、懸濁用ビヒクルは内部に溶解させた他の物質を有することができる。
【0115】
「剛性ゲル」の言及は、水性媒体との接触時に懸濁用ビヒクルまたは製薬学的ビヒクル内で生成する曲げることはできるがそれらが投薬形態からの流れを妨害するのに充分なほど実質的に硬いゲルを意味する。
【0116】
さらに、組成物中の個別成分を満たす関連組成物および条件は特許請求の範囲で請求されておりそして実施例に記載されている。
【実施例】
【0117】
実施例1
治療用蛋白質または薬品を含んでなる液体粘着性組成物の例示態様は、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC):N−メチルピロリドン(NMP)(3:1w/w)の液体組成物中またはDOPC:乳酸ラウリル(LL)(3:2w/w)の液体組成物中の蛋白質であるω−インターフェロン(ω−IFN)である。結果のまとめは、(1)液体粘着性組成物から水性媒体のシンク内への蛋白質放出が起き、(2)乳酸ラウリル:DOPCビヒクルを含んでなる組成物からのω−IFNの放出速度は放出が実行可能性を確実にするための治療的に有効な速度で起きることを示し、(3)無水懸濁液中のω−IFNが安定であり、(4)DOPCまたはDMPCと組み合わされたα−トコフェロールはビヒクル自体のレオロジー性質を改変するための化合物をさらに包含しうることを示す。
【0118】
試験の目的は、(a)脂質(1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC))および溶媒(乳酸ラウリル(LL)またはN−メチルピロリドン(NMP))より構成されるビヒクル中での40℃におけるω−インターフェロンの予備的安定性を評価し、(b)これらのビヒクルから水性媒体中へのω−インターフェロンの放出を試験し、そして(c)放出速度試験において液体をベースとしたビヒクルを用いてポンプ性能を評価することである。
【0119】
【表1】

【0120】
懸濁液の製造および評価
対照粒子(25mMサイトレート緩衝液を有する1:2:1 蛋白質:スクロース:メチオニン)を試験用に使用した。粒子充填量は約10%であり、これは1.67%の薬品充填量に相当する。これは25μg/日の単位服用量に一致する。
【0121】
懸濁液は乾燥箱内で窒素下で製造される。懸濁液組成を表2および3に示す。
【0122】
【表2】

【0123】
懸濁液の安定性を40℃における窒素下での凍結乾燥瓶中の貯蔵後に測定した。安定性試料はt=0、2、および4週において三重に試験した(1回の時点当たり5mgのω−インターフェロン)。分析をRP−HPLCを用いて行って酸化および脱アミド化に関する純度を測定しそしてSECを用いて凝集および沈殿に関する純度を測定した。
【0124】
溶解試験を6mgの調合物を用いて2mLのホスフェート緩衝食塩水(PBS)中でバキュテイナーズ(Vacutainers)(R)中で行った。これらの試料を40℃においてインキュベートしそしてt=0、1、3、および7日において試験した。
【0125】
放出速度調合物をt=0安定性に関する結果後に製造しそしてt=1週の溶解試料を作製する(かなりの蛋白質回収率であると仮定する)。
【0126】
【表3】

【0127】
懸濁液製造
安定性および溶解試験用の懸濁液を2.0グラムの目標バッチ寸法で製造した。このバッチ寸法は要求される蛋白質粒子の量により決められる。懸濁液は乾燥箱内で窒素下で製造される。
【0128】
放出速度、安定性、および溶解試験における使用のための乳酸ラウリル/DOPCビヒクルおよび懸濁液製造
1.ホットプレートを予備加熱して80℃の目標表面温度を維持する。
2.3.00gのDOPCを重量測定する。
3.2.00gのLLを重量測定する。
4.ホットプレート上で80℃に加熱しそしてステンレス鋼スパチュラを用いて手により混合する。
5.2.025gのビヒクルを移しそして0.225gの蛋白質粒子を加える。
6.ステンレス鋼スパチュラを用いて、手により蛋白質粒子をビヒクル中に導入する。ホットプレート上で暖めながら懸濁液を15分間にわたり手で混合し続ける。
7.懸濁液を注射器内に充填し、真空下で脱気し、注射器を密封しそして冷蔵貯蔵する。
【0129】
放出速度試験における使用のためのNMP/DOPCビヒクルおよび懸濁液製造
1.ホットプレートを予備加熱して80℃の目標表面温度を維持する。
2.3.75gのDOPCを重量測定する。
3.1.25gのNMPを重量測定する。
4.ホットプレート上で80℃に加熱しそしてステンレス鋼スパチュラを用いて手により混合する。
5.2.025gのビヒクルを移しそして0.225gの蛋白質粒子を加える。
6.ステンレス鋼スパチュラを用いて、手により蛋白質粒子をビヒクル中に導入する。ホットプレート上で暖めながら懸濁液を15分間にわたり手で混合し続ける。
7.懸濁液を注射器内に充填し、真空下で脱気し、注射器を密封しそして冷蔵貯蔵する。
【0130】
1.2 粒子製造
蛋白質−賦形剤溶液を噴霧乾燥して噴霧乾燥粒子を生じた。粒子寸法は直径が約1〜約
10μmでありうる。粒子を作製するための他の工程は凍結乾燥または超臨界流体処理を包含するが、それらに限定されない。
【0131】
1.3 システム組み立て品
液体組成物の懸濁液を浸透送達装置の調合区画内に充填することによりシステムを組み立てた。オリフィスを有するキャップを浸透送達装置の外部上にゆっくりねじで締める。出口オリフィスは液体組成物の放出用の拡散減速器として作用する。
【0132】
実施例2
表5は治療用蛋白質であるω−インターフェロンの非水性液体溶媒中の溶解度を示す。ω−インターフェロンの溶解度に基づき溶液調合物または懸濁液調合物を開発するために13種の非水性液体溶媒候補を同定した。最初に挙げられる溶媒、例えば、乳酸ラウリル、は有効な懸濁液溶媒である。溶媒、例えば、グリセロールホルマール、安息香酸ベンジル、DMSO、またはグリセリン、の特性はω−インターフェロンとの組み合わせで有効な溶液溶媒に変化する。
【0133】
非水性液体溶媒、例えばグリセロールホルマール、安息香酸ベンジル、DMSO、またはグリセリン、は小分子治療薬品、治療用脂質プロドラッグ、または治療用蛋白質と組み合わされて薬品との懸濁液調合物を生成するために有用である。さらに、非水性液体溶媒、例えば乳酸ラウリル、ラウリルアルコール、NMP、エタノール、PEG400、1:1安息香酸ベンジル:ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、乳酸ヘキシルエチル、は小分子治療薬品、治療用脂質プロドラッグ、または治療用蛋白質と組み合わされて薬品との懸濁液調合物を生成するために有用である。
【0134】
【表4】

【0135】
実施例3
図1は37℃における種々のDOPCビヒクル調合物に対する剪断速度影響を示す。試験されたDOPCビヒクル調合物は、DOPC/DMSO(3:1)、DOPC/Gly(2.45:1)、DOPC/NMP(2:1)、DOPC/LL(2:1)、DOPC/LA(2:1)を包含する。結果は、増加する剪断速度においてDOPC調合物は剪断薄層化されうることを示す。剪断薄層化は粘着性液体調合物の製造方法を容易にするための重要な性質である。
【0136】
実施例4
図2はDOPC調合物の粘度に対する温度影響を示す。種々のDOPCの粘度を種々の温度において1秒当たり0.04の剪断応力下で測定した。結果は、DOPC調合物の粘度が温度依存性であることを示す。
【0137】
実施例5
図3は37℃における種々のPHSPCビヒクル調合物に対する剪断速度影響を示す。試験されたPHSPCビヒクル調合物は、PHSPC/GF(1:1)、PHSPC/LL(1:1)、PHSPC/LA(2:1)、PHSPC/GF(2.5:1)を包含する。結果は、増加する剪断速度においてPHSPC調合物は剪断薄層化されうることを示す。剪断薄層化は粘着性液体調合物の製造方法を容易にするための重要な性質である。
【0138】
実施例6
図4はPHSPC調合物の粘度に対する温度影響を示す。種々のPHSPCの粘度を種々の温度において1秒当たり0.04の剪断応力下で測定した。結果は、PHSPC調合物の粘度が温度依存性であることを示す。
【0139】
実施例7
図5は偏光顕微鏡により可視化されたDOPC調合物、例えば、DOPC/NMP(3:1)、DOPC/LL(1:1)、DOPC:HO(1:9)、の像を示す。全ての試料は複屈折性であり、懸濁液中の脂質小胞の生成を示唆する。
【0140】
実施例8
図6は偏光顕微鏡により可視化されたPHSPC調合物、例えば、PHSPC/GF(1:1)、PHSPC/LL(1:1)、PHSPC:HO(1:9)、PHSPC/LA(2:1)の像を示す。PHSPC/LL調合物は複屈折性でなく、LL中へのPHSPCの溶解を示唆する。しかしながら、他の全ての試料は複屈折性であり、懸濁液中の脂質小胞の生成を示唆する。
【0141】
実施例9
表6は種々の溶媒中の脂質の溶解度およびレオロジーをまとめる。測定されたパラメーターは37℃における粘度(ポイズ)、37℃における剪断薄層化(秒−1)、粘度に対する温度影響(ポイズ)であった。
【0142】
【表5】

【0143】
実施例10
表7は脂質ビヒクル中の水分水準をまとめる。脂質、例えば、DOPC、HSPC、PHSPC、またはDMPC、の水分水準を室温における48時間にわたる真空後に測定する。比較的低い水分水準を有する脂質ビヒクルは粘着性液体組成物中に包含されうる。
【0144】
【表6】

【0145】
実施例11
図7は37℃におけるDOPC:LLビヒクル調合物に対する剪断速度影響を示す。試験したビヒクル調合物はDOPC/LL(3:2)であった。結果は、増加した診断速度において、DOPC/LL調合物は剪断薄層化されうることを示す。0.014秒−1において、η=412,000ポイズである。0.016秒−1において、η=60,600ポイズである。拡散減速器中で、剪断速度は約10−4〜10−2−1である。ミキサー中で、剪断速度は約10〜10−1である。DOPC/LLの比を調節して適切な粘度を得ることができる。
【0146】
実施例12
図8は37℃におけるDOPC:NMPビヒクル調合物に対する剪断速度影響を示す。試験したビヒクル調合物はDOPC/NMP(3:1)であった。結果は、増加した診断
速度において、DOPC/NMP調合物は剪断薄層化されうることを示す。0.024秒−1において、η=310,000ポイズである。9.7秒−1において、η=1,040ポイズである。DOPC/NMPの比を調節して適切な粘度を得ることができる。
【0147】
実施例13
図9は40℃におけるDOPC:LL懸濁液中のω−インターフェロンの安定性を示す。ω−インターフェロンの二量体、オキシドおよびデアミドの百分率を0、2、および4週においてDOPC:LL懸濁液中のω−インターフェロンに関してMeCl:メタノール(95:5)またはMeCl:n−プロパノール(50:50)抽出により測定した。0週におけるDOPC:LL懸濁液粒子は1.63%のオキシド、1.45%のデアミド、7.94%の未知物質、および0.07%の二量体を含有していた。DOPC:LL懸濁液中のω−インターフェロンは4週間にわたり40℃において安定であった。
【0148】
実施例14
表8は、粘着性液体懸濁液であるDOPC:NMPまたはDOPC:LLからのω−インターフェロンの回収率を示す。インビトロ放出速度回収率の評価は、6mgの粘着性液体懸濁液を2mlの放出速度媒体(ホスフェート−緩衝された0.8%食塩水)に加えた後に、測定された。懸濁液から媒体中へのω−IFNの放出はt=0日からt=7日に測定された。回収百分率は粘着性液体懸濁液調合物中の1.67重量%の蛋白質濃度を基準とする。結果は、90%より多い可溶性ω−IFNが37℃における7日間にわたるインキュベーション後に回収されることを示す。
【0149】
【表7】

【0150】
実施例15
実施例14における試験(表8)では、DOPC:NMP粘着性液体懸濁液はt=0日から7日において可溶性ω−インターフェロンの回収率におけるわずかな増加を示した。別の実験は、放出速度媒体への蛋白質の放出における遅延が粘着性液体懸濁液がホスフェート−緩衝食塩水(PBS)中に溶解または分散しないことによるかどうかを決めるために行われた。放出速度を比較するために、ω−インターフェロン濃度を水溶液中で測定した。n−プロパノールを加えて脂質を溶解させ、そしてω−インターフェロンを再び測定して非水性液体溶媒の添加がより高い蛋白質回収率をもたらすかどうかを決めた。
【0151】
図10はDOPC:NMPまたはDOPC:LL懸濁液からのω−インターフェロンの回収率に対するn−プロパノールの影響を示す。結果は、N−プロパノールを用いる処理後のDOPC:NMPまたはDOPC:LL懸濁液から水相中で回収された合計ω−IFNにおける増加を示す。N−プロパノール処理後の増加した回収率は2種の送達システムであるガラスキャップおよび螺旋状DMにおいて起きた。
【0152】
実施例16
モデル拡散減速器中への水流入を粘着性液体調合物であるDOPC:LLまたはDOPC:NMPに関して測定した。図11を参照のこと。38日後に測定された拡散減速器の毛管中への水流入の距離は粘着性液体調合物であるDOPC:LLまたはDOPC:NMPに関しては5mmより少なかった。DOPC:LL調合物ではDOPC:NMP調合物より少ない水流入が観察された。図11に示されているように、装置中への最少の水流入はジュロス(R)浸透送達装置からの蛋白質送達にとって有利であることが示された。
【0153】
実施例17
脂質、例えば、DOPC、と組み合わされた追加溶媒は粘着性液体組成物の懸濁液調合物中で非経口的薬品送達用に有用である。粘着性液体調合物中で有用な溶媒、例えば、胡麻油、ビタミンE(α−トコフェロール)、または珪素医学流体(SMF、ポリジメチルシロキサン)、は疎水性を有する。
【0154】
実施例18
図12は装置内のピストン運動に基づく送達装置から放出される平均蛋白質の測定値を示す。ピストン運動に基づき、DOPC:LL粘着性液体調合物の送達が目標である。容量流速は7日〜21日および21〜35日の間の期間にわたり一致する。目標流速は1日当たり1.5μlである。粘着性液体調合物の密度は約1gm/mlであると仮定される。
【0155】
実施例19
図13は装置から放出される平均蛋白質に関連する送達装置内のピストン運動を示す。DOPC:LL(3:2)調合物からの可溶性ω−インターフェロンの放出は目標が送達装置のx線結果を基準として調節される時には目標に近い。放出速度試料をn−プロパノールで処理した。目標は懸濁液中の1.03%の可溶性ω−インターフェロンを基準とする。
【0156】
実施例20
ω−インターフェロンはDOPC:胡麻油(1.5:1)粘着性液体組成物中で4週間まで40℃において安定である。表9を参照のこと。酸化百分率は、t=0週からt=4週まで増加を示す。粘着性液体組成物のコンシステンシーおよび粘度は、胡麻油をビタミンE(α−トコフェロール)との共溶媒として脂質、例えば、DOPC、と組み合わせて加えうることを示す。
【0157】
【表8】

【0158】
実施例21
DOPCを種々の溶媒と組み合わせて(1:1重量比)、表10に示された粘着性液体組成物を生成した。脂質および溶媒を混合しそして混合し続けながら約65〜100℃の間に加熱する。組成物中の種々の溶媒の適合性を評価した。
【0159】
【表9】

【0160】
実施例22
DOPCおよびビタミンEを含んでなる懸濁用ビヒクルを種々の重量比で製造しそして粘度を測定した。 図14は組成における5%の変化で粘度が2桁ほど増加することを示す。0.75:1のDOPC:VitEの比において、試料は試料瓶をその側面で傾斜させた時にそれらがかなり容易に流動したように目には希薄に見えた。0.9:1の比では、試料は0.75:1より濃厚に見え、そして試料瓶をその側面で傾斜させた時にはまだ流動性であった。
【0161】
実施例23
性能改変剤を実施例22の懸濁用ビヒクルに加える。組成における小さい変動による粘度の大きな変動を減ずることが望ましい。10の因子より低い粘度変化が10重量%のDOPCの組成変化にわたり得られる。
【0162】
実施例24
DOPCおよびビタミンEを含んでなる懸濁用ビヒクルを種々の重量比で製造しそして水性媒体に露呈した。数例では、PBSを水性媒体として使用した。他の例では、牛血清(成体)シグマ(Sigma)製品B2771、ロット29H8401を使用した。試料を室温において水性媒体を懸濁用ビヒクルに加えてから0〜24時間の種々の時間において観察した。表11は、懸濁用ビヒクルと水性媒体との接触時に剛性相、例えば、ゲル、が製造されることを示す。剛性相のそのような生成は投薬形態の拡散減速器、例えばジュロス装置、の詰まりをもたらしうる。
【0163】
【表10】

【0164】
実施例25
DOPC、ビタミンE、および性能改変剤を含んでなる懸濁用ビヒクルを製造した。数例では、性能改変剤は胡麻油であった。一例では、性能改変剤は酢酸エチルであった。PBSを水性媒体として使用した。試料を室温において水性媒体を懸濁用ビヒクルに加えてから0〜24時間の種々の時間において観察した。表12は、胡麻油または酢酸エチルのいずれかを用いずに製造された懸濁用ビヒクルとは異なり、懸濁用ビヒクルと水性媒体との接触時に柔軟性相が製造されることを示す。それ故、胡麻油または酢酸エチルの添加が性能改変剤を含有しない懸濁用ビヒクルに対する水性媒体の転化から生ずるゲルなどを軟化させるであろう。
【0165】
【表11】

【0166】
実施例26
DOPCおよびビタミンEを含んでなる懸濁用ビヒクルを性能改変剤を用いずに下記に従い製造した。
【0167】
概略量のDOPCをガラスジャー中で重量測定した。適量のビタミンEをDOPC上で直接重量測定した。混合物をそのまま90℃においてオーブン中で10分間にわたりインキュベートした。ケイエンス(Keyence)ハイブリッドミキサーに移した。原料容器の回転およびある半径における反転の組み合わせにより生ずる大きな連続的な遠心力をかけることによりハイブリッドミキサーを操作して、その内容物を配合しながら原料から気泡を除去する。37℃において一晩にわたりインキュベートした。85℃のホットプレート上で10分間にわたり加熱した。
【0168】
スパチュラを用いて5分間にわたり手により混合した。試料を90℃において10分間にわたりインキュベートした。ケイエンスハイブリッドミキサーに移した。ケイエンスミキサー中で20分間にわたり混合した。85℃のホットプレート上で10分間にわたり加熱した。
【0169】
スパチュラを用いて10分間にわたり手により混合した。試料を90℃において10分間にわたりインキュベートした。ケイエンスハイブリッドミキサーに移した。ケイエンスミキサー中で20分間にわたり混合した。37℃において一晩にわたりインキュベートした。85℃のホットプレート上で10分間にわたり加熱した。
【0170】
スパチュラを用いて10分間にわたり手により混合した。ケイエンスハイブリッドミキサーに移した。ケイエンスミキサー中で20分間にわたり混合した。
【0171】
ビタミンE中に実質的に溶解したDOPCを有する懸濁用ビヒクルを得るための合計処理時間は〜3日間かかった。
【0172】
実施例27
DOPCおよびビタミンEを含んでなる懸濁用ビヒクルを性能改変剤、例えば、エタノール、を用いて下記に従い製造した。
【0173】
等部のエタノールおよびDOPCを試験管内で重量測定した。混合物を1分間にわたり最高設定で撹拌した。混合物をそのまま5分間にわたり室温で撹拌した。適量のビタミンEを同一試験管内で重量測定した。スプリング混合ブレードを用いて1.5−3時間にわたり完全な真空下で混合しながら100−120℃に加熱した。スプリング混合ブレードは本質的にまっすぐな棒に連結されたスプリングである。
【0174】
エタノールおよびビタミンEの組み合わせ中に実質的に溶解したDOPCを有する懸濁用ビヒクルを得るための合計処理時間は〜4日間かかった。
【0175】
実施例28
DOPC、ビタミンE、胡麻油、およびω−インターフェロンを含んでなる製薬学的懸濁液を製造する。懸濁液を安定性試験にかける。長期間にわたり貯蔵安定性である製薬学的懸濁液を得ることが望ましい。製薬学的懸濁液は少なくとも3ヶ月間にわたり37℃において均質な調合物を維持する。懸濁液が均質であることを測定するために懸濁液外観の視覚的観察および懸濁液中の薬品水準の測定値を使用する。
【0176】
物理的性質、例えば分子量、または化学的性質、例えば化学式、に関して範囲がここで使用される時には、ここでの範囲および具体的態様の全ての組み合わせおよび副次的組み合わせが包含されることを意図する。
【0177】
この文書に引用または記載された各特許、特許出願および文献の開示はここに引用することにより本発明の内容となる。
【0178】
当業者は、本発明の態様に対して多くの変更および改変を行いうること並びにそのような変更および改変を本発明の精神から逸脱せずに行いうることを認識するであろう。従って、添付された特許請求の範囲は本発明の精神および範囲内に入る全てのそのような同意義の変形を包括することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】図1は、DOPC調合物が剪断薄層化されうること、すなわちビヒクルの製造工程を容易にしうる現象、を示す。
【図2】図2はDOPC調合物の粘度が温度調節されることを示す。
【図3】図3は、PHSPC調合物が剪断薄層化されうること、すなわちビヒクルの製造工程を容易にしうる現象、を示す。
【図4】図4はPHSPC調合物の粘度が温度調節されることを示す。
【図5】図5は偏光顕微鏡下のDOPC調合物の像を示す。
【図6】図6は偏光顕微鏡下のPHSPC調合物の像を示す。
【図7】図7は37℃におけるDOPC:LLビヒクル調合物に対する剪断速度影響を示す。
【図8】図8は37℃におけるDOPC:NMPビヒクル調合物に対する剪断速度影響を示す。
【図9】図9は40℃におけるDOPC:LL懸濁液中のω−インターフェロンの安定性を示す。
【図10】図10はDOPC:NMPまたはDOPC:LL懸濁液からのω−インターフェロンの回収率に対するn−プロパノールの影響を示す。
【図11】図11は粘着性液体調合物であるDOPC:LLまたはDOPC:NMPに関するモデル拡散減速器中への水流入を示す。
【図12】図12は装置内のピストン運動に基づく送達装置から放出される平均蛋白質の測定値を示す。
【図13】図13は送達装置内のピストン運動が装置から放出される平均蛋白質に関連することを示す。
【図14】図14は種々の重量比における種々のDOPC:VitE調合物の粘度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両親媒性分子、非水性液体溶媒、および製薬学的活性剤を含んでなる浸透薬品送達システム中の液体組成物。
【請求項2】
両親媒性分子が脂質、界面活性剤、両親媒性ブロック重合体、または両親媒性蛋白質もしくはペプチドから選択される請求項1の組成物。
【請求項3】
脂質が飽和脂質、不飽和脂質、中性脂質、アニオン性脂質、カチオン性脂質、中性脂質または合成脂質から選択される請求項2の組成物。
【請求項4】
該製薬学的活性剤が該液体組成物内の粒子中に懸濁される請求項1の組成物。
【請求項5】
脂質がホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジン酸(PA)、またはスフィンゴミエリン(SM)から選択される請求項3の組成物。
【請求項6】
中性脂質がジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリトイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、卵ホスファチジルコリン(卵PC)、大豆ホスファチジルコリン(大豆PC)、部分的もしくは完全に水素化されたホスファチジルコリン類(PHSPCもしくはHSPC)、パルミトイル−オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、またはステアリルオレオイルホスファチジルコリン(SOPC)から選択される請求項3の組成物。
【請求項7】
アニオン性脂質がジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジミリトイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、またはジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)から選択される請求項3の組成物。
【請求項8】
非水性液体溶媒が乳酸ラウリル(LL)、ラウリルアルコール(LA)、ベンジルアルコール(BA)、安息香酸ベンジル(BB)、1:1安息香酸ベンジル:ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、乳酸ヘキシルエチル、グリセロールホルマール、テトラグリコール(グリコフロール;GF)、N−1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、トリグリセリド類(トリオレイン、トリラウリン、トリカルプリン、トリカプリリン)、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、シクロへキサノール、グリセリン、グリセロール、α−トコフェロール(ビタミンE)、植物油、胡麻油、大豆油、綿実油または落花生油から選択される請求項1の組成物。
【請求項9】
mPEG−DPPE、mPEG−DMPE、mPEG−DSPE、mPEG−セラミド−DSPE、またはmPEG−DSから選択されるポリエチレングリコール(PEG)−脂質化合物をさらに含んでなる請求項1の組成物。
【請求項10】
プルロニック(Pluronic)(R)界面活性剤もしくはプルロニック(R)界面活性剤F−127から選択されるブロック共重合体界面活性剤をさらに含んでなるか、或いはジ−イソステアリン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキ−イソステアリン酸ソルビタン、セス
キオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリ−イソステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、またはトリステアリン酸ソルビタンから選択されるソルビタンエステル構造剤(sorbitan ester structurants)をさらに含んでなる請求項1の組成物。
【請求項11】
ビタミンE、α−トコフェロール、またはアスコルビン酸から選択される酸化防止性脂質化合物をさらに含んでなる請求項1の組成物。
【請求項12】
製薬学的活性剤が蛋白質、ペプチド、小分子薬品、脂質薬品もしくは核酸薬品、DNA薬品、RNA薬品、アンチセンス(antisense)薬品、リボザイム薬品、DNAザイム(DNAzyme)薬品から選択される請求項1の組成物。
【請求項13】
両親媒性分子重量%が約1〜約100重量%である請求項1の組成物。
【請求項14】
非水性液体溶媒重量%が約0〜約99重量%である請求項1の組成物。
【請求項15】
組成物が粘着性液体組成物である請求項1の組成物。
【請求項16】
組成物の粘度が約1〜約100,000ポイズである請求項15の組成物。
【請求項17】
両親媒性分子対非水性液体溶媒の重量比が約1〜約4の間である請求項1の組成物。
【請求項18】
製薬学的活性剤がスクロース、メチオニンおよびサイトレートと1対2〜1対2.15の重量比で組み合わせられる請求項1の組成物。
【請求項19】
製薬学的活性剤が生物学的または薬理学的活性物質から選択される請求項12の組成物。
【請求項20】
製薬学的活性剤がω−インターフェロン、α−インターフェロン、β−インターフェロン、γ−インターフェロン、エリスロポイエチン、ヒト成長ホルモン、顆粒球大食細胞コロニー刺激因子(GM−CSF)、ヒト成長ホルモン放出ホルモン(huGHRH)、インスリン、デスモプレッシン、インフリキシマブ、抗体もしくは標的配位子に共役された剤、リスペリドン、パリペリドン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、または骨発生蛋白質である請求項19の組成物。
【請求項21】
粘着性液体製薬学的組成物を含有する第一室および浸透剤を含有する第二室を含むカプセルであって、該第一室が開口部を有し、そこを通って製薬学的組成物を第一室から第一室外部の位置まで送達しうるカプセル、
第一室および第二室の間でカプセル中に配置された移動可能な分離用部材、
流体を周囲環境から第二室中に通過させうる流体透過性部分を含む第二室の壁、並びに
第二室内に置かれそして浸透剤を実質的に取り囲む非圧縮性流体添加剤
を含んでなる浸透薬品送達用の投薬形態。
【請求項22】
粘着性液体製薬学的組成物が両親媒性分子、非水性液体溶媒、および製薬学的活性剤を含んでなる請求項21の投薬形態。
【請求項23】
両親媒性分子が脂質、界面活性剤、両親媒性ブロック重合体、または両親媒性蛋白質もしくはペプチドから選択される請求項22の投薬形態。
【請求項24】
脂質が飽和脂質、不飽和脂質、中性脂質、またはアニオン性脂質から選択される請求項
23の投薬形態。
【請求項25】
該製薬学的活性剤が該液体組成物内の粒子中に懸濁される請求項22の投薬形態。
【請求項26】
脂質がホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジン酸(PA)、またはスフィンゴミエリン(SM)から選択される請求項24の投薬形態。
【請求項27】
中性脂質がジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリトイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、卵ホスファチジルコリン(卵PC)、大豆ホスファチジルコリン(大豆PC)、部分的もしくは完全に水素化されたホスファチジルコリン類(PHSPCもしくはHSPC)、パルミトイル−オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、またはステアリルオレオイルホスファチジルコリン(SOPC)から選択される請求項24の投薬形態。
【請求項28】
アニオン性脂質がジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジミリトイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、またはジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)から選択される請求項24の投薬形態。
【請求項29】
非水性液体溶媒が乳酸ラウリル(LL)、ラウリルアルコール(LA)、ベンジルアルコール(BA)、安息香酸ベンジル(BB)、1:1安息香酸ベンジル:ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、乳酸ヘキシルエチル、グリセロールホルマール、テトラグリコール(グリコフロール;GF)、N−1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、トリグリセリド類(トリオレイン、トリラウリン、トリカルプリン、トリカプリリン)、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、シクロへキサノール、グリセリン、グリセロール、α−トコフェロール(ビタミンE)、植物油、胡麻油、大豆油、綿実油または落花生油から選択される請求項22の投薬形態。
【請求項30】
製薬学的活性剤が蛋白質、ペプチド、小分子薬品、脂質薬品、または脂質に共役されたプロドラッグから選択される請求項22の投薬形態。
【請求項31】
両親媒性分子重量%が約1〜約100重量%である請求項21の投薬形態。
【請求項32】
非水性液体溶媒重量%が約0〜約99重量%である請求項21の投薬形態。
【請求項33】
組成物の粘度が約1〜約100,000ポイズである請求項21の投薬形態。
【請求項34】
両親媒性分子対非水性液体溶媒の重量比が約1〜約4の間である請求項21の投薬形態。
【請求項35】
浸透剤が平板形状でありそして流体添加剤が平板状浸透剤を取り囲む請求項21の投薬形態。
【請求項36】
分離用部材が滑動可能なピストンである請求項21の投薬形態。
【請求項37】
流体透過性部分が膜である請求項21の投薬形態。
【請求項38】
浸透剤が錠剤である請求項21の投薬形態。
【請求項39】
流体透過性部分が浸透剤の凍結を防止するための潤滑化用液体である請求項21の投薬形態。
【請求項40】
流体添加剤がゲルである請求項21の投薬形態。
【請求項41】
流体添加剤がPEGを包含する請求項21の投薬形態。
【請求項42】
カプセルの内表面および浸透剤の間に少なくとも1つの空隙を含み、該流体添加剤が少なくとも1つの空隙を充填して開始時間を改良する請求項21の投薬形態。
【請求項43】
浸透剤がNaClを包含しそして流体添加剤がPEGを包含する請求項21の投薬形態。
【請求項44】
両親媒性分子、非水性溶媒、および性能改変剤を含んでなるポンプ駆動投薬形態中の懸濁用ビヒクル。
【請求項45】
実質的に非水性である請求項44の懸濁用ビヒクル。
【請求項46】
両親媒性分子が脂質を含んでなる請求項44の懸濁用ビヒクル。
【請求項47】
脂質がジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリトイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、卵ホスファチジルコリン(卵PC)、大豆ホスファチジルコリン(大豆PC)、部分的に水素化されたホスファチジルコリン(PHSPC)、完全に水素化されたホスファチジルコリン(HSPC)、パルミトイル−オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、またはステアリルオレオイルホスファチジルコリン(SOPC)である請求項46の懸濁用ビヒクル。
【請求項48】
剛性ゲルを実質的に含まない請求項44の懸濁用ビヒクル。
【請求項49】
水性媒体との接触時に剛性ゲルを実質的に含まない請求項48の懸濁用ビヒクル。
【請求項50】
性能改変剤を含有しない懸濁用ビヒクルと比べて改良されたレオロジー性質を有する請求項44の懸濁用ビヒクル。
【請求項51】
10のファクターより低いかまたはそれと等しい粘度における変化を、懸濁用ビヒクル中の両親媒性分子の量における10重量%の変化と組み合わせて有する請求項50の懸濁用ビヒクル。
【請求項52】
非水性溶媒対性能改変剤の重量比が約1:0.33〜約1:0.001である請求項44の懸濁用ビヒクル。
【請求項53】
両親媒性分子対性能改変剤の重量比が約0.67:1〜約1.5:1である請求項44の懸濁用ビヒクル。
【請求項54】
両親媒性分子対性能改変剤および非水性溶媒の組み合わせの重量比が約0.75:1〜約1.22:1である請求項44の懸濁用ビヒクル。
【請求項55】
脂質がジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)を含んでなり、非水性溶媒がα−トコフェロールを含んでなり、そして性能改変剤がエタノール、胡麻油、酢酸エチル、またはそれらの組み合わせを含んでなる請求項46の懸濁用ビヒクル。
【請求項56】
請求項44の懸濁用ビヒクルおよびその中の製薬学的活性剤を懸濁または分配させて製薬学的懸濁液を作製するための指示書を含んでなるキット。
【請求項57】
投薬形態および投薬形態を製薬学的懸濁液と共に充填するための指示書をさらに含んでなる請求項56のキット。
【請求項58】
両親媒性分子を同定し、
非水性溶媒を同定し、
性能改変剤を同定し、
両親媒性分子、非水性溶媒、および性能改変剤を混合して懸濁用ビヒクルを作製する
ことを含んでなる方法。
【請求項59】
性能改変剤が性能改変剤を含有しない懸濁用ビヒクルと比べて性能改変剤のレオロジー性質を改良する請求項58の方法。
【請求項60】
両親媒性分子を性能改変剤中に実質的に溶解または分散させて混合物を作製し、そして非水性溶媒を混合物と組み合わせて懸濁用ビヒクルを作製することを含んでなる請求項58の方法。
【請求項61】
両親媒性分子が非水性溶媒および性能改変剤の組み合わせの中に非水性溶媒だけの中への溶解と比べてより急速に溶解する請求項60の方法。
【請求項62】
製薬学的活性剤を懸濁用ビヒクルに加えて製薬学的懸濁液を作製することをさらに含んでなる請求項58の方法。
【請求項63】
製薬学的懸濁液を投薬形態に加えることをさらに含んでなる請求項62の方法。
【請求項64】
投薬形態が投薬形態の寿命中にその物理的および化学的一体性を保ちそして製薬学的懸濁液に対して実質的に不透過性である第一壁;外部流体に対して部分的に透過性である第二壁;第一壁および第二壁により規定される区画;並びに区画と連結している壁内の出口を含んでなり、そして製薬学的懸濁液が区画内に置かれる請求項63の方法。
【請求項65】
投薬形態が浸透ポンプをさらに含んでなる請求項64の方法。
【請求項66】
混合物を撹拌することをさらに含んでなる請求項58の方法。
【請求項67】
懸濁用ビヒクルを約100℃〜約120℃の温度に加熱することをさらに含んでなる請求項66の方法。
【請求項68】
懸濁用ビヒクル中に懸濁または分散された製薬学的活性剤を含んでなるポンプ−駆動投薬形態の懸濁液であって、懸濁用ビヒクルが両親媒性分子、非水性溶媒、および性能改変剤を含んでなる懸濁液。
【請求項69】
懸濁用ビヒクルが約1〜約1,000,000ポイズの粘度を有する請求項68の懸濁液。
【請求項70】
粘度が約5〜約100,000ポイズである請求項69の懸濁液。
【請求項71】
両親媒性分子が脂質を含んでなる請求項68の懸濁液。
【請求項72】
脂質がジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリトイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、卵ホスファチジルコリン(卵PC)、大豆ホスファチジルコリン(大豆PC)、部分的に水素化されたホスファチジルコリン(PHSPC)、完全に水素化されたホスファチジルコリン(HSPC)、パルミトイル−オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、またはステアリルオレオイルホスファチジルコリン(SOPC)である請求項71の懸濁液。
【請求項73】
脂質がジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)を含んでなり、非水性溶媒がα−トコフェロールを含んでなり、そして性能改変剤がエタノール、胡麻油、酢酸エチル、またはそれらの組み合わせを含んでなる請求項71の懸濁液。
【請求項74】
製薬学的活性剤がω−インターフェロンを含んでなる請求項68または請求項73のいずれかの懸濁液。
【請求項75】
投薬形態の寿命中にその物理的および化学的一体性を保ちそして製薬学的懸濁液に対して実質的に不透過性である第一壁;
外部流体に対して部分的に透過性である第二壁;
第一壁および第二壁により規定される区画;
区画内に配置されそして両親媒性分子、非水性溶媒、性能改変剤、および製薬学的活性剤を含んでなる製薬学的懸濁液;並びに
区画と連結している壁内の出口
を含んでなる投薬形態。
【請求項76】
浸透ポンプをさらに含んでなる請求項75の投薬形態。
【請求項77】
水性媒体との接触時に、製薬学的懸濁液が出口を通って流動可能である請求項75の投薬形態。
【請求項78】
水性媒体との接触時に、製薬学的懸濁液が出口を通って浸透ポンプにより課される力の下で通常の操作条件下で流動可能である請求項76の投薬形態。
【請求項79】
製薬学的懸濁液が水性媒体との接触時に剛性ゲルを実質的に含まない請求項75の投薬形態。
【請求項80】
製薬学的懸濁液が少なくとも3ヶ月にわたり37℃において実質的に均質である請求項75の投薬形態。
【請求項81】
請求項75の投薬形態を哺乳動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項82】
請求項75の投薬形態および投薬形態を投与するための指示書を含んでなるキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−527869(P2007−527869A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541326(P2006−541326)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/038409
【国際公開番号】WO2005/048952
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】