説明

両親媒性粒子及びその製造方法

【課題】
界面活性(乳化能力及び分散安定性等)に優れた両親媒性粒子を提供することである。
【解決手段】
シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子と、疎水性微粒子とからなる二次凝集粒子であって、二次凝集粒子の表面が、親水性表面と疎水性表面とに二分割されてなることを特徴とする両親媒性粒子を用いる。
上記の両親媒性粒子を製造する方法であって、1〜80nmの一次粒子径を持つ親水性微粒子の二次凝集体(p1)を親油性化合物又は疎水性微粒子で表面処理して疎水化粒子(p2)を得る疎水化工程;疎水化粒子(p2)を5〜50の比誘電率を持つ有機溶剤(s1)に分散して疎水化粒子(p2)の分散液を得る分散工程;及び分散液中の疎水化粒子(p2)の体積平均粒子径を0.1〜10μmになるように破砕して、両親媒性粒子を得る破砕工程を含むことを特徴とする両親媒性粒子の製造方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は両親媒性粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、結晶構造を有し、水、親水性溶媒及び親油性溶媒のいずれにも溶解しない、表面が親水性の原料粒子粒子を、疎水性有機化合物(原料粒子の摩砕により生じる原料粒子の新生表面と結合することにより、新生面をエネルギー的に安定化させる物質)の存在下摩砕することによって得られる、親水性表面と疎水性表面とを有する界面活性粒子;及び結晶構造を有し、水、親水性溶媒及び親油性溶媒のいずれにも溶解しない、表面が疎水性の原料粒子粒子を、親水性有機化合物、水又は酸素(原料粒子の摩砕により生じる原料粒子の新生表面と結合することにより、新生面をエネルギー的に安定化させる物質)の存在下摩砕することによって得られる、親水性表面と疎水性表面とを有する界面活性粒子が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−64110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の界面活性粒子では、新生表面の割合の制御とその位置の制御が困難であり、たとえば、高い界面活性を得るために摩砕を強力に進めると、新生表面の増加に伴い、新生表面が粒子全体に散在することとなり、その結果、親水性部分と疎水性部分とが粒子表面全体に渡って均一に散在することとなり、高い界面活性をもつ粒子を得ることができない。
一方、反応物質(疎水性有機化合物又は親水性有機化合物)を粒子表面に偏在化させるために摩砕を弱く進めると、新生表面が少なく、その結果、反応により新たに生成する親水性部分又は疎水性部分が著しく少なくなり界面活性の低い粒子しか得られない。
以上のように、従来の界面活性粒子は、高い界面活性(乳化能力及び分散安定性等)を発現し得ないという問題があった。すなわち、本発明の目的は、界面活性(乳化能力及び分散安定性等)に優れた両親媒性粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の両親媒性粒子の特徴は、シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子と、疎水性微粒子とからなる二次凝集粒子であって、二次凝集粒子の表面が、親水性表面と疎水性表面とに二分割されてなることを要旨とする。
【0006】
本発明の両親媒性粒子の製造方法の特徴は、上記の両親媒性粒子を製造する方法であって、1〜80nmの一次粒子径を持つ親水性微粒子の二次凝集体(p1)を親油性化合物又は疎水性微粒子で表面処理して疎水化粒子(p2)を得る疎水化工程;
疎水化粒子(p2)を5〜50の比誘電率を持つ有機溶剤(s1)に分散して疎水化粒子(p2)の分散液を得る分散工程;及び
分散液中の疎水化粒子(p2)の体積平均粒子径を0.1〜10μmになるように破砕して、両親媒性粒子を得る破砕工程を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の両親媒性粒子は、従来の両親媒性粒子に比べて、界面活性(乳化能力及び分散安定性等)に著しく優れる。したがって、本発明の両親媒性粒子を用いると、有機低分子型界面活性剤を用いることなく、安定なエマルション粒子やサスペンション粒子を調製できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
親水性微粒子とは、微粒子表面が親水性(蒸留水に対して濡れる性質)を有する微粒子である。微粒子が親水性を有することは、微粒子と25±3℃の蒸留水とを混合した場合に微粒子が容易に水中に分散することで確認できる。
【0009】
疎水性微粒子とは、微粒子表面が親水性を持たない微粒子である。微粒子が親水性を持たないことは、微粒子と25±3℃の蒸留水とを混合した場合に微粒子が水中に分散することができず、微粒子が水面に浮かぶことで確認できる。
【0010】
シリカ及び/又はアルミナで構成される微粒子としては、シリカ、アルミナ及びアルミナシリケートで構成された微粒子が含まれる。
【0011】
シリカとしては、合成シリカ(非晶質合成シリカ及び結晶性合成シリカ(人工水晶及び人工石英等))、天然シリカ(結晶性シリカ(石英、珪砂及び珪石等)及び非晶質シリカ(珪藻土及び酸性白土等))等が含まれ、非晶質合成シリカとしては、沈殿法シリカ、ゲル法シリカ、熱分解法シリカ及び溶融シリカが含まれる。
【0012】
沈殿法シリカは、アルカリ性環境下にて珪酸ソーダを酸で中和し、生じた析出物をろ過、乾燥することによって得られるシリカである。ゲル法シリカは、酸性環境下にて珪酸ソーダを酸で中和し、生じた析出物をろ過、乾燥することによって得られるシリカである。熱分解法シリカは、四塩化珪素等の珪素化合物を酸水素炎中で燃焼させて得られるシリカである。溶融シリカは、シリカ粉末を火炎中で溶融・球状化して得られるシリカである。
【0013】
アルミナとしては、結晶性アルミナ(γ−アルミナ、δ−アルミナ、η−アルミナ、θ−アルミナ、α−アルミナ及びこれら結晶性アルミナの混合体)及び非晶質アルミナが含まれる。これらの結晶性アルミナの混合体としては、公知の方法で得たアルミナ(火炎燃焼法アルミナ及び焼成法アルミナ等)が含まれ、異なる結晶系を有する結晶性アルミナは焼成アルミナ製造時の焼成温度を変更することで得ることができる。
【0014】
火炎燃焼法アルミナは、四塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物を酸水素炎中で燃焼することによって得られるアルミナである。焼成法アルミナは、アルミニウムアルコキシドの加水分解物を焼成することによって得られるアルミナ、及び水酸化アルミニウムを焼成することによって得られるアルミナである。
【0015】
アルミナシリケートとしては、アルミニウムアルコキシドとケイ素アルコキシドとによる加水分解法により合成された複合体微粒子が含まれる。
【0016】
これらのうち、非晶質合成シリカ{沈殿法シリカ、ゲル法シリカ、熱分解法シリカ及び溶融固体法シリカ等}及び火炎燃焼法アルミナが好ましく、さらに好ましくは非晶質合成シリカ、特に好ましくは沈殿法シリカ、ゲル法シリカ及び熱分解法シリカ、最も好ましくは沈殿法シリカである。
【0017】
シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子は、市場から容易に入手でき、以下に、商品名を例示する。
<沈殿法シリカ>
Nipsilシリーズ{東ソー・シリカ株式会社、「Nipsil」は東ソー・シリカ株式会社の登録商標である。}、Sipernatシリーズ{エボニック デグサ ジャパン株式会社、「Sipernat」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。}、Carplexシリーズ{DSL.ジャパン株式会社、「Carplex」はDSL.ジャパン株式会社の登録商標である。}、FINESILシリーズ{株式会社トクヤマ、「FINESIL」は株式会社トクヤマの登録商標である。}、TOKUSIL{株式会社トクヤマ、「TOKUSIL」は株式会社トクヤマの登録商標である。}、Zeosil{ローディア社、「Zeosil」はロディア シミ の登録商標である。}、MIZUKASILシリーズ{水澤化学工業株式会社、「MIZUKASIL」は水沢化学工業株式会社の登録商標である。}等。
【0018】
<ゲル法シリカ>
Carplexシリーズ、SYLYSIAシリーズ{富士シリシア株式会社、「SYLYSIA」は有限会社ワイ・ケイ・エフ の登録商標である。}、Nipgelシリーズ{東ソー・シリカ株式会社、「Nipgel」は東ソー・シリカ株式会社の登録商標である。}、MIZUKASILシリーズ{水澤化学工業株式会社、「MIZUKASIL」は水沢化学工業株式会社の登録商標である。}等。
【0019】
<熱分解法シリカ>
Aerosilシリーズ{日本アエロジル株式会社及びエボニック デグサ社、「Aerosil」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。}、Reolosilシリーズ{株式会社トクヤマ、「Reorosil」は株式会社トクヤマの登録商標である。}、Cab−O−Silシリーズ{キャボット社、「Cab−O−Sil」はキャボットコーポレーションの登録商標である。}等。
【0020】
<溶融法シリカ>
Admafineシリーズ{アドマテックス社、「Admafine」はトヨタ自動車株式会社の登録商標である。}、Fuselexシリーズ{株式会社龍森}、デンカ溶融シリカシリーズ{電気化学工業株式会社}等。
【0021】
<結晶性合成シリカ>
CRYSTALITEシリーズ{株式会社龍森、「CRYSTALITE」は株式会社龍森の登録商標である。}、Imsilシリーズ{UNIMIN社、「Imsil」はユニミン スペシャルティ ミネラルズ インコーポレーテッドの登録商標である。 }等。
【0022】
<天然シリカ>
ミズカエースシリーズ{水沢化学工業株式会社}等。
【0023】
<火炎燃焼法アルミナ>
Aerosil Alシリーズ{日本アエロジル株式会社及びエボニック デグサ社、「Aerosil」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。}、SpectrAlシリーズ{キャボット社}等。
【0024】
<焼成法アルミナ>
高純度アルミナAKPシリーズ{住友化学株式会社}、アルミナAシリーズ{日本軽金属株式会社}等。
【0025】
親水性微粒子としては、シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子以外に、公知の親水性微粒子が使用でき、たとえば、親水性樹脂微粒子(ポリアクリルアミド、キトサン又はアルギン酸塩からなる微粒子等)、シリカ及びアルミナ以外の金属酸化物微粒子(チタニア又はジルコニアからなる微粒子等)、金属水酸化物微粒子(水酸化マグネシウム又は水酸化カルシウムからなる微粒子等)、炭酸塩微粒子(炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウムからなる微粒子等)、層状鉱物微粒子{カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト及びサボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライト、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト及びケニヤアイトからなる微粒子等}及び疎水性微粒子を親水化した微粒子(疎水性微粒子を親水性化合物(親水性微粒子及び親水性樹脂等)で表面改質した微粒子、酸化剤で疎水性微粒子表面を酸化処理した微粒子)等も用いることができる。
【0026】
疎水性微粒子を親水化した微粒子を調製するための疎水性微粒子としては、後記の疎水性微粒子のうち、親水性微粒子を疎水化した微粒子以外の疎水性微粒子が含まれる。
【0027】
疎水性微粒子の表面改質に用いる親水性化合物のうち、親水性微粒子としては、親水性樹脂微粒子、金属酸化物微粒子、金属水酸化物微粒子、炭酸塩微粒子及び層状鉱物微粒子等が挙げられる。また、疎水性微粒子の表面改質に用いる親水性化合物のうち、親水性樹脂としては、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリカプロラクトン、乳酸重合体、ポリ(メタ)アクリル酸及びポリアクリルアミド等が挙げられる。また、酸化剤としては、次亜塩素酸塩及び過酸化水素等が挙げられる。
【0028】
疎水性微粒子を親水化する方法は、以下の公知の方法で行うことができる。
<方法i>疎水性微粒子と親水性微粒子とを流動層容器(ピンミル等)で同時に混合して疎水性微粒子表面に親水性微粒子を付着させる乾式コーティング法。
<方法ii>流動層容器中で疎水性微粒子を撹拌しながら親水性樹脂を溶解した水性溶液(水溶液又は水と低分子アルコール等との溶液)を噴霧した後、乾燥させて表面を親水化する湿式コーティング法。
<方法iii>シリカやアルミナ等の金属酸化物微粒子を用いて疎水性微粒子の表面に金属酸化物被膜を物理蒸着することにより表面を親水化する方法。
<方法iv>疎水性微粒子の表面を次亜塩素酸塩等の酸化剤を用いて酸化する方法。
【0029】
親水性化合物を用いて親水化する場合、親水性化合物の使用量(重量%)としては、疎水性微粒子の重量に基づいて、2〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50、特に好ましくは10〜30である。この範囲にあると均一に親水化処理がされ、未吸着の親水性化合物も少なくなるため、界面活性がさらに良好となる。
【0030】
親水性微粒子のBET法による比表面積(m/g)は、50〜800が好ましく、さらに好ましくは100〜500、特に好ましくは120〜400である。この範囲であると界面活性がさらに良好となる。
なお、比表面積は、JIS R1626−1996(一点法)に準拠して測定される値である{測定試料:50mg(200℃で15分間加熱処理したサンプル)、吸着量の測定方法:定溶法、吸着質:混合ガス(N70体積%、He30体積%)、測定平衡相対圧:0.3、装置:たとえば、大倉理研社製、全自動粉体表面測定装置 AMS−8000}。
【0031】
疎水性微粒子としては、公知の疎水性微粒子が含まれ、カーボンブラック、疎水性有機微粒子(アマイドワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルエステル、架橋シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなる微粒子等)、親水性微粒子を疎水化した微粒子(親水性微粒子を親油性化合物又は疎水性微粒子で表面改質をした微粒子)等が挙げられる。
これらのうち、界面活性の観点から、親水性微粒子を疎水化した微粒子が好ましい。
【0032】
親水性微粒子を疎水化するのに用いる親油性化合物としては、ハロシラン、アルコキシシラン、炭素数4〜24の脂肪酸、炭素数4〜36の脂肪族アルコール、炭素数12〜22の脂肪族アミン、炭素数24〜38の脂肪酸アミド及びシリコーン化合物等が含まれる。
【0033】
ハロシランとしては、アルキル基又はアリール基の炭素数が1〜12のアルキルハロシラン及びアリールハロシランが含まれ、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン及びt−ブチルジメチルクロロシラン等が挙げられる。
【0034】
アルコキシシランとしては、アルキル基又はアリール基の炭素数が1〜12、アルコキシ基の炭素数が1〜2のアルコキシシランが含まれ、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0035】
炭素数4〜24の脂肪酸としては、ブタン酸、ヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びベヘン酸等が挙げられる。
【0036】
炭素数4〜36の脂肪族アルコールとしては、n−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0037】
炭素数12〜22の脂肪族アミンとしては、ドデシルアミン、ステアリルアミン及びオレイルアミン等が挙げられる。
【0038】
炭素数24〜38の脂肪酸アミドとしては、オレイン酸ラウリルモノアミド、N,N’−エチレンビスステアリルアミド等が挙げられる。
【0039】
シリコーン化合物としては、ポリジメチルシロキサン、アルキル基変性ポリジメチルシロキサン(変性アルキル基の炭素数2〜6)、水酸基変性ポリジメチルシロキサン、アミノ基変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン及びハイドロジェンポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
【0040】
ポリジメチルシロキサン及びアルキル基変性ポリジメチルシロキサンとしては、25℃での粘度が1〜10000mm/sのもの等が使用できる。
【0041】
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしては、25℃での粘度が1〜10000mm/sであり、HLBが2〜5のもの等が使用できる。
【0042】
HLBとは、分子中の親水基と疎水基とのバランスを表す概念であり、その値は「界面活性剤の性質と応用」(著者 刈米孝夫、発行所 株式会社幸書房、昭和55年9月1日発行)の第89頁〜第90頁に記載された「乳化試験によるHLBの測定法」により算出できる。例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは以下の試験方法により算出できる。
【0043】
<ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの乳化試験によるHLBの測定法>
HLBが未知のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンXとHLBが既知の乳化剤Aを異なった比率で混合し、HLBが既知の油剤の乳化を行う。乳化層の厚みが最大となったときの混合比率から下記式を用いてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンXのHLBを算出する。
【0044】

油剤のHLB={(W×HLB)+(W×HLB)}÷(W+W

【0045】
はポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンXと乳化剤Aの合計重量に基づく乳化剤Aの重量分率、Wはポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンXと乳化剤Aの合計重量に基づくポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンXの重量分率、HLBは乳化剤AのHLB、HLBはポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンXのHLBである。
【0046】
水酸基変性ポリシロキサン、アミノ基変性ポリシロキサン及びハイドロジェンポリジメチルシロキサンとしては、25℃での粘度が1〜10000mm/sであり、官能基当量が300〜8000g/molのもの等が使用できる。
【0047】
親水性微粒子を疎水化するのに用いる親油性化合物として、以上の他に、公知のカップリング剤(上記以外のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤及びジルコアルミネートカップリング剤等)等も使用できる。
【0048】
これらの親油性化合物のうち、界面活性の観点から、ハロシラン、アルコキシシラン及びシリコーン化合物が好ましく、さらに好ましくはシリコーン化合物、特に好ましくは動粘度10〜3000(mm/s、25℃)のジメチルシロキサン及びこのジメチルシロキサンを変性したアルキル基変性ポリジメチルシロキサン、最も好ましくは動粘度20〜100(mm/s、25℃)のジメチルシロキサンである。
【0049】
親水性微粒子を疎水化するのに用いる疎水性微粒子としては、疎水性有機微粒子が好ましい。
【0050】
親水性微粒子を疎水化した場合、疎水性微粒子のBET法による比表面積(m/g)は、親水性微粒子と同様であり、好ましい範囲も同じである。
【0051】
親水性微粒子の親油性化合物による疎水化は、公知の方法が適用でき、たとえば、以下の<方法1−1>及び<方法1−2>に記載の方法等により行うことができる。
【0052】
<方法1−1>
親水性微粒子と、溶媒(動粘度5〜30mm/s(40℃)のパラフィンオイル・鉱物油及び有機溶剤等)に分散した親油性化合物又は疎水性微粒子とを攪拌機で攪拌しながら、親油性化合物又は疎水性微粒子を親水性微粒子表面に吸着又は反応させて疎水化する方法(湿式法)。
【0053】
<方法1−2>
親水性微粒子と親油性化合物又は疎水性微粒子との混合物を撹拌機で攪拌しながら、親油性化合物又は疎水性微粒子を親水性微粒子表面に吸着又は反応させて疎水化する方法(乾式法)。
【0054】
これらの方法のうち、界面活性の観点から(二次凝集体(p1)の破砕が容易になると考えられ、両親媒性粒子の界面活性が良好となる点から)、<方法1−2>の乾式法が好ましい。
【0055】
湿式法において用いる撹拌機としては、櫂型羽根付き撹拌機、プラネタリミキサー等が使用できる。乾式法において用いる撹拌機としては、垂直単軸型粉体撹拌機{ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製、「ヘンシエルミキサ」は三井鉱山株式会社の登録商標。)等}、水平単軸型撹拌機(リボンミキサー等)、垂直単複軸撹拌機(万能ミキサー、らいかい機等)等が使用できる。
【0056】
親油性化合物を微粒子表面に吸着又は反応させる方法において、(1)親水性微粒子の表面にある官能基と親油性化合物の持つ官能基との縮合反応、(2)親水性微粒子のもつ細孔への物理吸着、及び(3)親水性微粒子の表面電荷と親油性化合物のイオン性官能基との電気的な吸着を利用することができる。
これらのうち、均一に疎水化できることから、(2)親水性微粒子のもつ細孔への物理吸着による方法が好ましい。
【0057】
親油性化合物を用いる場合、加熱処理することができる。加熱処理する場合、加熱温度(℃)としては、100〜400が好ましく、さらに好ましくは150〜350、特に好ましくは200〜300である。
【0058】
親油性化合物として疎水性有機微粒子を用いる場合、より強く吸着させる目的で疎水性有機微粒子の融点以上の温度に加熱しながら撹拌機で撹拌した後、融点以下に冷却してもよい。
【0059】
親油性化合物を微粒子表面に反応させる方法において、反応触媒(硫酸、硝酸、塩酸、ヒドロキシ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−ニトロ安息香酸、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)の存在下で行うことができる。
【0060】
親油性化合物を用いて疎水化する場合、親油性化合物の使用量(重量%)としては、親水性微粒子の重量に基づいて、2〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50、特に好ましくは10〜30である。この範囲にあると均一に疎水化処理がされ、未吸着の親油性化合物も少なくなるため、界面活性がさらに良好となる。
【0061】
疎水性微粒子を用いて疎水化する場合、疎水性微粒子の使用量(重量%)としては、親水性微粒子の重量に基づいて、1〜70が好ましく、さらに好ましくは10〜65である。この範囲にあると均一に疎水化処理がされ、未吸着の疎水性微粒子も少なくなるため、界面活性がさらに良好となる。
【0062】
親水性微粒子を疎水化した疎水性微粒子のうち、沈殿法シリカ、熱分解法シリカ及び火炎燃焼法アルミナを疎水化した疎水性微粒子は市場から容易に入手でき、以下に商品名を例示する。
【0063】
<沈殿法シリカを疎水化した微粒子>
Nipsil SSシリーズ、Sipernat D及びCシリーズ、並びにSYLOPHOBICシリーズ{富士シリシア化学株式会社、「SYLOPHOBIC」は富士シリシア化学株式会社の登録商標である。}等。
【0064】
<熱分解法シリカを疎水化した微粒子>
Aerosil Cシリーズ{日本アエロジル株式会社及びエボニック デグサ社}、Reolosil MT及びDMシリーズ{株式会社トクヤマ}等。
【0065】
<火炎燃焼法アルミナを疎水化した微粒子>
Aerosil C805{日本アエロジル株式会社及びエボニック デグサ社}、SpectrAl TAシリーズ及びTGシリーズ{キャボット社}等。
【0066】
疎水性微粒子のM値は、30〜90が好ましく、さらに好ましくは35〜85、特に好ましくは30〜70、最も好ましくは45〜70である。
なお、M値は、疎水性の程度を表す概念であり、M値が高いほど親水性が低いことを示し、水・メタノール混合溶液に疎水性微粒子を均一分散させる際、必要最低量のメタノールの容量割合で表され、次の方法で求めることができる。
【0067】
<M値算出法>
疎水性微粒子0.2gを容量250mLのビーカー中の50mLの水に添加し、続いてメタノールをビュレットから疎水性微粒子の全量が懸濁するまで滴下する。この際ビーカー内の溶液をマグネティックスターラーで常時攪拌し、疎水性微粒子の全量が溶液中に均一懸濁された時点を終点とし、終点におけるビーカーの液体混合物のメタノールの容量百分率がM値となる。
【0068】
親水性微粒子及び疎水性微粒子は、非晶質微粒子であることが好ましい。非晶質微粒子を用いると、結晶性微粒子に比べて破砕しやすく、親水性表面と疎水性表面とに二分割しやすいと考えられ、両親媒性粒子の界面活性がさらに良好となる。微粒子が非晶質微粒子であることはJIS K 0131に準拠して粉末回折X線回折分析を行い、得られた回折ピークプロファイルの分析により確認できる。具体的には、非晶質微粒子のプロファイルはブロードであり、明確な回折ピークが得られないことで確認できる。
【0069】
シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子と、疎水性微粒子とからなる二次凝集粒子は、少なくとも1つの親水性微粒子の一次粒子と少なくとも1つの疎水性微粒子とが凝集することによって形成された微粒子である。少なくとも2つの一次粒子が凝集することによって形成された二次凝集粒子であることは、透過型電子顕微鏡で粒子を5万〜100万倍に拡大した画像によって確認することができる。
【0070】
二次凝集粒子の表面は、親水性表面と疎水性表面とに二分割されている。二分割とは、一つの磁石の中で正極と負極が局在するがごとく、親水性表面と疎水性表面とが一つの二次凝集体中に局在していることを意味する(一つの二次凝集体中に散在しているものとは相違する)。二次凝集粒子の表面のうち、親水性表面は親水性微粒子の表面であり、疎水性表面は疎水性微粒子の表面である。
【0071】
二次凝集粒子の表面が親水性表面と疎水性表面とに二分割されていることは、以下の方法で確認することができる。
<表面が二分割されていることの確認方法>
イオン交換水5cmとn−ヘキサン5cmとを試験管に入れ、これに2−プロパノールに1重量%の濃度で測定試料(本発明の両親媒性粒子等)を分散した分散液を0.02g加え、60分間静置する(各測定試薬の純度は99重量%以上のものを使用する)。
二次凝集粒子の表面が親水性表面と疎水性表面とに二分割されている場合、水とn−ヘキサンとの界面に測定試料(両親媒性粒子)の集合層を形成し、その上層と下層は測定試料(両親媒性粒子)を含まない清浄な層をなす。
一方、二次凝集粒子の表面が親水性表面と疎水性表面とに二分割されていない場合(親水性表面と疎水性表面とが粒子表面に均一に分散(散在)した粒子の場合)、測定試料(粒子)はn−ヘキサン層に分散し、n−ヘキサン層に清浄な層を形成しない。
【0072】
本発明の両親媒性粒子の体積平均粒子径(μm)は、界面活性(乳化能力及び分散安定性等)の観点から、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5、特に好ましくは0.2〜1、最も好ましくは0.2〜0.5である。
【0073】
なお、両親媒性粒子の体積平均粒子径は、JIS Z8825−1:2001に準拠したレーザー回折式粒度分析計{例えば、Leeds&Northrup社製Microtracシリーズ、株式会社堀場製作所製ParticaLAシリーズ等}を用い、2−プロパノール{純度99重量%以上}1000重量部に、測定試料濃度0.1重量%となるように測定試料を添加して測定分散液を調製して、測定温度25±5℃で測定した後、2−プロパノールの屈折率として1.3749を、測定試料の屈折率として文献値(「A GUIDE FOR ENTERING MICROTRAC ”RUN INFORMATION”(F3)DATA」、Leeds&Northrup社作成)を用いて、50%積算体積平均粒子径として求められる。
【0074】
本発明の両親媒性粒子は、界面活性(乳化能力及び分散安定性等)の観点から、1〜80(好ましくは5〜30、さらに好ましくは10〜25)nmの一次粒子径を持つ親水性微粒子からなる二次凝集体(p1)を疎水化してから破砕することによって得られる両親媒性粒子であることが好ましい。
【0075】
なお、親水性微粒子の一次粒子径は、JIS Z8901−2006「試験用粉体及び試験用粒子」5.44粒子経分布(c)顕微鏡法に準拠し、振掛け法によって準備した試料を透過型電子顕微鏡で5万〜100万倍に拡大して観察して得た画像をJIS Z8827−1「粒子径−画像解析法−第1部:静的画像解析法」に準拠して画像処理用コンピュータソフト{例えば、三谷商事株式会社製WinRoof等}を用いて算出される円相当径の個数平均値である。
【0076】
二次凝集体を疎水化する方法は、上記の親水性微粒子を疎水化した微粒子(親水性微粒子を親油性化合物又は疎水性微粒子で表面改質をした微粒子)と同様の方法等が適用できる。
【0077】
二次凝集体(p1)は二次凝集粒子の用語と区別して用いられ、この体積平均粒子径(μm)は、1〜100が好ましく、さらに好ましくは1.5〜40、特に好ましくは2〜30である。この範囲であると、二次凝集体(p1)の破砕が容易になり、界面活性がさらに良好となる。
【0078】
なお、二次凝集体(p1)の体積平均粒子径は、二次凝集体(p1)を1重量%の濃度となるようにイオン交換水に分散した分散液をJIS Z8825−1:2001に準拠したレーザー回折式粒度分析計{例えば、Leeds&Northrup社製Microtracシリーズ、株式会社堀場製作所製ParticaLAシリーズ等}を用い、電気伝導度(25℃)0.1mS/m以下の脱イオン水1000重量部に、測定試料濃度0.1重量%となるように測定試料を添加して測定分散液を調製して、測定温度25±5℃で測定した後、水の屈折率として1.333を、測定試料の屈折率として文献値(「A GUIDE FOR ENTERING MICROTRAC ”RUN INFORMATION”(F3)DATA」、Leeds&Northrup社作成)を用いて、50%積算体積平均粒子径として求められる。
【0079】
本発明の両親媒性粒子の製造方法としては、以下の(製造方法1)〜(製造方法4)等が適用できる。
【0080】
<製造方法1>
親水性微粒子からなる二次凝集体(p1)を疎水化してから破砕する方法。
二次凝集体を疎水化する方法は、上記の親水性微粒子を疎水化した微粒子(親水性微粒子を親油性化合物又は疎水性微粒子で表面改質をした微粒子)と同様の方法等が適用できる。
【0081】
<製造方法2>
疎水性微粒子からなる二次凝集体を親水化してから破砕する方法。
二次凝集体を親水化する方法は、上記の疎水性微粒子を親水化した微粒子(疎水性微粒子を親水性化合物(親水性微粒子及び親水性樹脂等)で表面改質した微粒子、酸化剤で疎水性微粒子表面を酸化処理した微粒子)と同様の方法等が適用できる。
【0082】
<製造方法3>
親水性微粒子の全表面に、これよりも小さな疎水性微粒子を吸着させた後、親水性微粒子を疎水性微粒子と共に破砕する方法。
親水性微粒子の全表面に、これよりも小さな疎水性微粒子を吸着さる方法は、上記の親水性微粒子を疎水化した微粒子(親水性微粒子を疎水性微粒子で表面改質をした微粒子)と同様の方法等が適用できる。
【0083】
<製造方法4>
疎水性微粒子の全表面に、これよりも小さな親水性微粒子を吸着させた後、疎水性微粒子を親水性微粒子と共に破砕する方法。
疎水性微粒子の全表面に、これよりも小さな親水性微粒子を吸着させる方法は、上記の疎水性微粒子を親水化した微粒子(疎水性微粒子を親水性微粒子で表面改質した微粒子)と同様の方法等が適用できる。
【0084】
これらの製造方法のうち、<製造方法1>及び<製造方法2>が好ましく、さらに好ましくは<製造方法1>である。
【0085】
<製造方法1>において、1〜80nmの一次粒子径を持つ親水性微粒子の二次凝集体(p1)を親油性化合物又は疎水性微粒子で表面処理して疎水化粒子(p2)を得る疎水化工程;
疎水化粒子(p2)を5〜50の比誘電率を持つ有機溶剤(s1)に分散して疎水化粒子(p2)の分散液を得る分散工程;及び
分散液中の疎水化粒子(p2)の平均粒子径を0.1〜10μm(好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.2〜1μm、特に好ましくは0.2〜0.5μm)になるように破砕して、両親媒性粒子を得る破砕工程を含むことが好ましい。
【0086】
疎水化粒子(p2)の分散工程は、以下の<分散方法1>〜<分散方法3>等が適用できる。
【0087】
<分散方法1>
分散容器に疎水化粒子(p2)と5〜50の比誘電率を持つ有機溶剤(s1)とを同時に入れて均一分散する方法。
<分散方法2>
あらかじめ疎水化粒子(p2)の入った分散容器に、5〜50の比誘電率を持つ有機溶剤(s1)を加えて均一分散を行う方法。
<分散方法3>
あらかじめ5〜50の比誘電率を持つ有機溶剤(s1)の入った分散容器に、疎水化粒子(p2)を加えて均一分散するする方法。
【0088】
これらのうち、分散不良が起こりにくく、界面活性が良好となりやすい点から、<分散方法1>及び<分散方法3>が好ましく、さらに好ましくは<分散方法3>である。
【0089】
疎水化粒子(p2)の分散工程において、公知の分散機(羽型撹拌機、高速回転型ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、ディゾルバー、ボールミル、ニーダー、サンドミル、三本ロール、超音波分散機、遊星型混分散機(プラネタリミキサー等)及び3軸遊星型ミキサー等)等が使用できる。
これらの分散機のうち、分散性が良く、界面活性が良好となる点から、羽型撹拌機、高速回転型ホモミキサー、高圧ホモジナイザー及びディゾルバーが好ましく、さらに好ましくは高速回転型ホモミキサー、高圧ホモジナイザー及びディゾルバー、特に好ましくは高速回転型ホモミキサーである。
【0090】
5〜50の比誘電率を持つ有機溶剤(s1)としては{以下、( )内の数値は比誘電率を表す}、無極性溶媒{酢酸エチル(6)及び塩化メチレン(9)等}、プロトン性極性溶媒{酢酸(6.2)、1−ブタノール(18)、2−プロパノール(18)、1−プロパノール(20)、エタノール(24)及びメタノール(33)等}及び非プロトン性極性溶媒{テトラヒドロフラン(7.5)、アセトン(21)、アセトニトリル(37)、N,N−ジメチルホルムアミド(38)及びジメチルスルホキシド(47)等}等が使用できる。
【0091】
これらのうち、粉砕工程での分散粒子のの再凝集が少なく、界面活性が良好となることから、5〜50の比誘電率を持つのプロトン性極性溶媒及び非プロトン性極性溶媒が好ましく、さらに好ましくは比誘電率が5〜50のプロトン性溶媒、特に好ましくは1−ブタノール(18)、2−プロパノール(18)、1−プロパノール(20)及びエタノール(24)、最も好ましくは1−ブタノール(18)、2−プロパノール(18)及び1−プロパノール(20)である。
【0092】
分散される疎水化粒子(p2)の割合(重量%)は、疎水化粒子(p2)と有機溶剤(s1)の合計重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは3〜25、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると、分散液の粘度が低く、分散がさらに容易となる他、次工程である破砕工程での破砕が良好に進み、界面活性がさらに良好となる。
【0093】
分散工程の温度は特に制限ないが、0〜50℃が好ましく、さらに好ましくは10〜45℃、特に好ましくは15〜35℃である。また、分散工程に要する時間は、5分〜10時間が好ましく、さらに好ましくは10分〜5時間、特に好ましくは15分〜3時間である。この範囲であるとが界面活性がさらに良好となる。
【0094】
破砕工程において、公知の破砕機等が使用でき、湿式媒体型粉砕機{ビーズミル、サンドグラインダー、コロイドミル、アトライタ(日本コークス工業株式会社製、「アトライタ」は日本コークス工業株式会社の登録商標である。)、DISPERMAT(VMA−GETAMANN GMBH社製)等}、湿式ジェットミル{ナノマイザー(吉田機械株式会社製、「ナノマイザー」はエス・ジーエンジニアリング株式会社の登録商標である。)、スターバースト(株式会社スギノマシン製、「スターバースト」は株式会社スギノマシンの登録商標である。)、ゴーリンホモジナイザー(APV社製)等}等が使用できる。
これらのうち、湿式媒体型粉砕機が両親媒性粒子の再凝集が起こりにくく、界面活性がさらに良好となる点で好ましい。
【0095】
本発明の両親媒性粒子の製造方法において、粉砕工程の後に分級工程を設けてもよい。 分級工程では以下の<湿式分級>及び<乾式分級>の公知の分級方法を使用できる。
【0096】
<湿式分級>
破砕工程後に両親媒性粒子分散体を金網等でろ過して分級する方法、両親媒性粒子分散体を静置して大きな粒子を沈殿分離する方法、及び粒子径の違いによる沈降速度差を用いた沈降速度法等。
【0097】
<乾式分級>
破砕工程後に脱溶剤を行って得た両親媒性粒子を空気分級機(ジェットミル)やふるい等で分級する方法。
【0098】
本発明の両親媒性粒子の製造方法において、粉砕工程の後に脱溶媒工程や分散媒の濃縮工程を設けてもよい。脱溶媒工程や分散媒の濃縮工程は、加熱、攪拌、冷却、乾留装置つきの減圧可能な反応容器やロータリーエバポレーター等を使用する方法等の公知の方法で行うことができる。
【0099】
本発明の両親媒性粒子の製造方法において、両親媒性粒子の乾燥工程を設けてもよい。
乾燥工程は公知の方法で行いことができ、加熱乾燥(例えば30〜150℃に加熱した乾燥炉にて10〜120分加熱する)や減圧乾燥等が適用できる。
【0100】
本発明の両親媒性粒子の使用の形態は、以下の<使用形態1>〜<使用形態3>等が適用できる。
<使用形態1>
破砕工程で得た両親媒性粒子を含む分散液を、分散媒の除去等せずに、そのまま使用する形態。
<使用形態2>
破砕工程で得た両親媒性粒子を含む分散液から、分散媒を除去し、乾燥して得られる両親媒性粒子を使用する形態。
<使用形態3>
破砕工程で得た両親媒性粒子を含む分散液を所定の濃度に濃縮してから使用する形態。
【0101】
<使用形態2>においては、分散媒を除去し、乾燥して得られる両親媒性粒子を解砕及び/又は分級することができる。ここで行う解砕は、両親媒性粒子が乾燥工程で再凝集した三次凝集体を二次凝集粒子に戻すものであり、前記の疎水粒子(疎水化された二次凝集体)を破砕するとは異なる。解砕は公知の方法で行うことができ、ジョークラッシャー、ハンマーミル、ローラーミル、衝撃式粉砕機及びジェット粉砕機等を使用して、破砕が起こらないように粉砕機の回転数や圧力を適宜調整して行われる。
【実施例】
【0102】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0103】
実施例及び比較例で使用した親水性微粒子(p101〜p115)の体積平均粒子径は以下の方法で測定を行った。
<親水性微粒子の体積平均粒子径(二次凝集体の粒子径)>
親水性微粒子を1重量%の濃度となるようにイオン交換水{電気伝導度(25℃)0.1mS/m、以下同様。}に超音波分散機(Hiel−scher GmbH製、ULTRASONIC PROCESSOR MODEL UP400S、以下同様。)を用いて出力60%にて1分間分散した。次いで分散液中の体積平均粒子径をレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、Partica LA−950)にて測定した。
【0104】
疎水性微粒子の体積平均粒子径は、「イオン交換水」を「2−プロパノール」に変更したこと以外、上記と同様にして測定した。
【0105】
実施例及び比較例で得られた疎水化粒子(p201〜p215、hp1及びhp2)のM値は以下の方法で測定を行った。
<M値の測定>
実施例及び比較例で得られた二次凝集体0.2gを容量250mLのビーカー中の50mLのイオン交換水に添加した。続いてビーカー内の溶液をマグネティックスターラーで常時攪拌しながらメタノール(関東化学株式会社、試薬特級、以下同様。)をビュレットからビーカーに壁を伝わせながら徐々に滴下した。二次凝集体の全量がイオン交換水に懸濁するまで、メタノールの滴下を続けた。二次凝集体の全量が懸濁された時点でのメタノールの滴下量(g)を記録し、下記式からM値を算出した。
【0106】

M値=(メタノールの滴下量)÷{(メタノールの滴下量)+50}×100

【0107】
<実施例1>
親水性微粒子(p101){沈降法シリカNipsil CX−200(一次粒子径 4nm、二次凝集体の粒子径 1.7μm、BET法による比表面積 750m/g)}100部をヒーター付きヘンシェルミキサー(株式会社三井三池製作所製、容量3L、以下同様。)に入れ、低速撹拌(750rpm)しながら、親油性化合物(a1){デシルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名 KBM−3103C)}1部をメタノール(関東化学株式会社製、試薬1級、以下同様。)50部に溶解した溶液を噴霧した。次いでヘンシェルミキサーを常温(約25℃、以下同じ)にて高速回転(2000rpm)を15分間行い、均一に混合した。次いでヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、80℃にて3時間加熱乾燥処理を行なって、疎水化粒子(p201)を得た。疎水化粒子(p201)のM値は35であった。
【0108】
疎水化粒子(p201)3部とメタノール(関東化学株式会社製、試薬1級、以下同様。)97部をインペラー型羽根を装着したホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG−92G タイテック(株)製、以下、同様)にて4000rpmにて25±3℃にて15分間攪拌して、分散液(b1)を得た。
【0109】
分散液(b1)300mlを粒径0.7mmのジルコニアビーズ100mlを充填した湿式媒体型粉砕機{DISPERMAT SL−C−12(VMA−GETAMANN GMBH社製、以下同様}にてローター回転数4000rpmにて60分間破砕処理して、両親媒性粒子(j1)の分散液(c1)を得た。
【0110】
次いで分散液(c1)を減圧乾燥(70〜80℃、ローターリーエバポレーター)を減圧乾燥の前後の重量の変化が0.1重量%以下となるまで継続した。次いで130℃の順風乾燥機で90分乾燥し、本発明の両親媒性粒子(j1)を得た。
【0111】
<実施例2>
親水性微粒子(p102){沈降法シリカNipsil VN3(一次粒子径 15nm、二次凝集体の粒子径 18μm、BET法による比表面積 200m/g)}100部をヒーター付きヘンシェルミキサーに入れ、低速撹拌(750rpm)しながら、親油性化合物(a2){25℃での動粘度20mm/sのポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 KF−96−20cs)}5部を噴霧した。次いでヘンシェルミキサーを20〜25℃の常温にて高速回転(2000rpm)を15分間行い、均一に混合した。次いでヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、230℃にて3時間加熱処理を行なって、疎水化粒子(p202)を得た。疎水化粒子(p202)のM値は50であった。
【0112】
次いで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p202)5部」に変更したこと、「メタノール97部」を「エタノール(関東化学株式会社製、試薬1級、以下同様。)95部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b2)を得た。
【0113】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b2)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのジルコニアビーズ」に変更したこと、「60分間」を「40分間」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j2)の分散液(c2)及び本発明の両親媒性粒子(j2)を得た。
【0114】
<実施例3>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p103){沈降法シリカNipsil AZ−204(一次粒子径 10nm、二次凝集体の粒子径 1.3μm、BET法による比表面積 300m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(a2)50部」を「親油性化合物(a3){25℃での動粘度10mm/sのポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 KF−96−50cs)}75部」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、疎水化粒子(p203)を得た。疎水化粒子(p203)のM値は85であった。
【0115】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p203)25部」に変更したこと、「メタノール97部」を「メタノール75部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b3)を得た。
【0116】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b3)」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j3)の分散液(c3)及び本発明の両親媒性粒子(j3)を得た。
【0117】
<実施例4>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p104){沈降法シリカNipsil AY−200(一次粒子径 10nm、二次凝集体の粒子径 2μm、BET法による比表面積 300m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(a2)50部」を「親油性化合物(a4){25℃での動粘度50mm/sのポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 KF−96−50cs)}10部」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、疎水化粒子(p204)を得た。疎水化粒子(p204)のM値は65であった。
【0118】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p204)10部」に変更したこと、「メタノール97部」を「2−プロパノール(関東化学株式会社、試薬特級、以下同様)90部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b4)を得た。
【0119】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b4)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのジルコニアビーズ」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j4)の分散液(c4)及び本発明の両親媒性粒子(j4)を得た。
【0120】
<実施例5>
親水性微粒子(p105){沈降法シリカNipsil KQ(一次粒子径 14nm、二次凝集体の粒子径 100μm、BET法による比表面積 220m/g)}100部と疎水性微粒子(a5){変性アマイドワックス(ビックケミージャパン株式会社製、商品名 CERAFLOUR960、体積平均粒子径4μm)}1部をヒーター付きヘンシェルミキサーに入れ、次いでヘンシェルミキサーを常温にて高速回転(2000rpm)を60分間行い、均一に混合した。次いで高速回転を続けたままヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、100℃にて1時間加熱処理を行った後、高速撹拌下で2時間かかけて常温まで冷却して、疎水化粒子(p205)を得た。疎水化粒子(p205)のM値は35であった。
【0121】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p205)1部」に変更したこと、「メタノール97部」を「酢酸エチル(関東化学株式会社、試薬1級)99部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b5)を得た。
【0122】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b5)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径3mmのガラスビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j5)の分散液(c5)及び本発明の両親媒性粒子(j5)を得た。
【0123】
<実施例6>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p106){沈降法シリカNipsil E−220(一次粒子径 25nm、二次凝集体の粒子径 1.6μm、BET法による比表面積 120m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(a2)5部」を「親油性化合物(a2)2部」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、疎水化粒子(p206)を得た。疎水化粒子(p206)のM値は45であった。
【0124】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p206)3部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b6)を得た。
【0125】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b6)」に変更したこと、「60分間」を「40分間」変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j6)のメタノール分散液(c6)及び本発明の両親媒性粒子(j6)を得た。
【0126】
<実施例7>
「親水性微粒子(p107){沈降法シリカNipsil NA(一次粒子径 25nm、二次凝集体の粒子径 9μm、BET法による比表面積 110m/g)}100部をヒーター付きヘンシェルミキサーに入れ、低速撹拌(750rpm)しながら、親油性化合物(a6){25℃での動粘度100mm/sのポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 KF−96−100cs)}30部をメタノール50部に溶解した溶液を噴霧した。次いでヘンシェルミキサーを常温にて高速回転(2000rpm)を15分間行い、均一に混合した。次いでヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、100℃にて2時間加熱乾燥処理を行なって、疎水化粒子(p207)を得た。疎水化粒子(p203)のM値は70であった。
【0127】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p207)15部」に変更したこと、「メタノール97部」を「2−プロパノール85部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b7)を得た。
【0128】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b7)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのジルコニアビーズ」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j7)の分散液(c7)及び本発明の両親媒性粒子(j7)を得た。
【0129】
<実施例8>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p108){沈降法シリカNipsil E−170(一次粒子径 28nm、二次凝集体の粒子径 3μm、BET法による比表面積 110m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(a6)30部」を「親油性化合物(a6)50部」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、疎水化粒子(p208)を得た。疎水化粒子(p208)のM値は85であった。
【0130】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p208)20部」に変更したこと、「メタノール97部」を「エタノール80部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b8)を得た。
【0131】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b8)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのジルコニアビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、、乾燥して、両親媒性粒子(j8)の分散液(c8)及び本発明の両親媒性粒子(j8)を得た。
【0132】
<実施例9>
「親水性微粒子(a102)」を「親水性微粒子(a109){沈降法シリカNipsil ER(一次粒子径 30nm、二次凝集体の粒子径 11μm、BET法による比表面積 100m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(a6)30部」を「親油性化合物(a7)25℃での動粘度3000mm/sのポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 KF−96−3000cs)}2部」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、疎水化粒子(p209)を得た。疎水化粒子(p209)のM値は80であった。
【0133】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p208)25部」に変更したこと、「メタノール97部」を「テトラヒドロフラン(関東化学株式会社製、試薬1級、以下同様。)75部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b9)を得た。
【0134】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b9)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのジルコニアビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j9)の分散液(c9)及び本発明の両親媒性粒子(j9)を得た。
【0135】
<実施例10>
「親水性微粒子(p105)」を「親水性微粒子(p110){沈降法シリカNipsil E−743(一次粒子径 60nm、二次凝集体の粒子径 1.5μm、BET法による比表面積 50m/g)}」に変更したこと、「疎水性微粒子(a5)1部」を「疎水性微粒子(a8){変性ポリエチレンワックス(ビックケミージャパン株式会社製、商品名 CERAFLOUR961、体積平均粒子径5μm)}70部」に変更したこと以外、実施例5と同様にして、疎水化粒子(p210)を得た。疎水化粒子(p210)のM値は85であった。
【0136】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p210)30部」に変更したこと、「メタノール97部」を「テトラヒドロフラン70部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b10)を得た。
【0137】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b10)」に変更したこと、「粒径0.7mmのジルコニアビーズ」を「粒径3mmのガラスビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j10)の分散液(c10)及び本発明の両親媒性粒子(j10)を得た。
【0138】
<実施例11>
「親水性微粒子(p105)」を「親水性微粒子(p111){沈降法シリカNipsil E−75(一次粒子径 75nm、二次凝集体の粒子径 2.3μm、BET法による比表面積 40m/g)}」に変更したこと、「疎水性微粒子(a5)1部」を「疎水性微粒子(a8)10部」に変更したこと以外、実施例5と同様にして、疎水化粒子(p211)を得た。疎水化粒子(p211)のM値は65であった。
【0139】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p211)20部」に変更したこと、「メタノール97部」を「エタノール80部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b11)を得た。
【0140】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b11)」に変更したこと、「粒径1mmのジルコニアビーズ」を「粒径1mmのガラスビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j11)の分散液(c11)及び本発明の両親媒性粒子(j11)を得た。
【0141】
<実施例12>
「疎水性微粒子(a5)1部」を「疎水性微粒子(a5)65部」に変更したこと以外、実施例5と同様にして、疎水化粒子(p212)を得た。疎水化粒子(p212)のM値は75であった。
【0142】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p212)25部」に変更したこと、「メタノール97部」を「テトラヒドロフラン75部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b12)を得た。
【0143】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b12)」に変更したこと、「粒径1mmのジルコニアビーズ」を「粒径3mmのガラスビーズ」に変更したこと、「60分間」を「20分間」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j12)の分散液(c12)及び本発明の両親媒性粒子(j12)を得た。
【0144】
<実施例13>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p112){熱分解法シリカAerosil 50(一次粒子径 30nm、二次凝集体の粒子径 0.52μm、BET法による比表面積 50m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(a2)5部」を「親油性化合物(a3)80部」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、疎水化粒子(p213)を得た。疎水化粒子(p213)のM値は70であった。
【0145】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p213)25部」に変更したこと、「メタノール97部」を「メタノール75部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b13)を得た。
【0146】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b13)」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j13)の分散液(c13)及び本発明の両親媒性粒子(j13)を得た。
【0147】
<実施例14>
「親水性微粒子(p102)」を「親水性微粒子(p113){ゲル法シリカNipgel CX−200(一次粒子径 5nm、二次凝集体の粒子径 2.1μm、BET法による比表面積 750m/g)}」に変更したこと、「親油性化合物(a2)5部」を「親油性化合物(a3)2部」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、疎水化粒子(p214)を得た。疎水化粒子(p214)のM値は30であった。
【0148】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p214)10部」に変更したこと、「メタノール97部」を「2−プロパノール90部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b14)を得た。
【0149】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b14)」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j14)の分散液(c14)及び本発明の両親媒性粒子(j14)を得た。
【0150】
<実施例15>
「親水性微粒子(p114){燃焼法アルミナ Aeroxide AluC(一次粒子径13nm、二次凝集体の粒子径 0.18μm、BET法による比表面積 100m/g)}」100部をヒーター付きヘンシェルミキサーに入れ、低速撹拌(750rpm)しながら、親油性化合物(a9){25℃での動粘度80mm/sのアルコキシ変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名 X−40−9225)}2部をメタノール50部に溶解した溶液を噴霧した。次いでヘンシェルミキサーを常温にて高速回転(2000rpm)を15分間行い、均一に混合した。次いでヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、100℃にて2時間加熱乾燥処理を行なって、疎水化粒子(p215)を得た。疎水化粒子(p215)のM値は30であった。
【0151】
ついで、「疎水化粒子(p201)3部」を「疎水化粒子(p215)3部」に変更したこと以外、実施例1と同様に撹拌して、分散液(b15)を得た。
【0152】
次いで「分散液(b1)」を「分散液(b15)」に変更したこと以外、実施例1と同様に破砕処理した後、乾燥して、両親媒性粒子(j15)の分散液(c15)及び本発明の両親媒性粒子(j15)を得た。
【0153】
<比較例1>
親水性微粒子(p111)100部をヒーター付きヘンシェルミキサーに入れ、低速撹拌(750rpm)しながら、親油性化合物(a2)5部を噴霧した。次いでヘンシェルミキサーを20〜25℃の常温にて高速回転(2000rpm)を15分間行い、均一に混合した。次いでヒーターでヘンシェルミキサーを加熱し、230℃にて3時間加熱処理を行ない、比較用の粒子(hp1)を得た。
【0154】
<比較例2>
親水性微粒子(p115){石英粒子(株式会社龍森製、商品名 クリスタライトA−1、平均粒径12μm)}100部及び親油性化合物(a10){1−ヘキサデシルアルコール(関東化学株式会社製、試薬1級)}0.1部をn−ヘキサン500部に溶解した溶液を、粉砕媒体として4個のアルミナボール(10mmφ)の入ったポリエチレン製ポットに入れ、ボールミルで6時間回転させて石英粒子を摩砕して、粒子(hp2)のn−ヘキサン分散液(hc1)を得た。次いで分散液(hc1)を実施例1と同様に乾燥して、比較用の粒子(hp2)を得た。
【0155】
実施例1〜15で得られた両親媒性粒子(j1〜j15)と比較例1及び2で得られた粒子(hp1、hp2)について、体積平均粒子径をレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、Partica LA−950)にて測定した結果を表1に示した。なお、両親媒性粒子(j1〜j15、hp2)については、分散液(c1〜c15、hc1)に含まれる両親媒性粒子又は粒子の体積平均粒子径を測定し、粒子(hp1)については粒子1部を2−プロパノール99部に超音波分散機を用いて分散した分散液に含まれる粒子の体積平均粒子径を測定した。
【0156】
【表1】

【0157】
実施例1〜15で得られた両親媒性粒子(j1〜j15)を1部を2−プロパノール 99部に超音波分散機を用いて出力70%にて1分間分散して得た1%の分散液0.02gを、イオン交換水5cmとn−ヘキサン5cmとの入った試験管に加えて60分間静置したところ、イオン交換水とn−ヘキサンとの界面に本発明の両性媒体粒子の集合層が形成され、その上層と下層は両親媒性粒子を含まない清浄な層であった。このことから、粒子表面が親水性表面と疎水性表面とに二分割されていると考えられる。
【0158】
比較例1、2で得られた粒子(hp1、hp2)1部を2−プロパノール99部に超音波分散機を用いて出力70%にて1分間分散して得た1%の分散液0.02gを、イオン交換水5cmとn−ヘキサン5cmとの入った試験管に加えて60分間静置したところ、粒子はn−ヘキサン層に分散し、n−ヘキサン層全体が白濁した。このことから、粒子表面が親水性表面と疎水性表面とに二分割されていないと考えられる。
【0159】
実施例1〜15で得られた両親媒性粒子(j1〜j15)と比較例1、2で得られた粒子(jp1、jp2)について、界面活性を以下の乳化試験により評価した。これらの結果を表2に記載した。
【0160】
<乳化試験>
測定試料(両親媒性粒子又は粒子)8部をイソパラフィン(日油株式会社、商品名 パールリームEX)に入れ、超音波分散機を用いて出力70%にて1分間分散を行った。得られた分散液40cmとイオン交換水40cmとを内径41mm、容量170mlガラス容器に入れ、ペイントシェーカーにて30分間振とうして乳化を行った。乳化物を24時間、25±3℃の室内に静置し、水層及び油層の分離状態を目視観察し、その分離した層の厚み計測した。分離した層が薄いもの程、乳化性が良好であり、界面活性が高いことを意味する。また、水層の分離が見られた場合、乳化が不十分であり、界面活性が不十分であることを意味する。
【0161】
【表2】

【0162】
本発明の両親媒性粒子(j1〜j15)を用いた乳化物は、比較例の粒子(jp1、jp2)を用いた乳化物に比較して、乳化性に優れており、界面活性が高いことを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明の両親媒性粒子は、界面活性に優れているため、乳化重合、懸濁重合などの粒子安定化剤として好適である。本発明の両親媒性粒子は、親水性溶媒又は疎水性溶媒中へ分散し、その中に溶媒に対して非相溶な粒子を分散、乳化することが出来る。親水性溶媒としては、水、低級アルコール、ケトン及びエーテルが含まれ、疎水性溶媒としては、炭化水素、シリコーン、及びパラフィンが含まれる。本発明の両親媒性粒子が適用された分散物及び乳化物は塗料、化粧品及び医薬品等で利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ及び/又はアルミナで構成される親水性微粒子と、疎水性微粒子とからなる二次凝集粒子であって、
二次凝集粒子の表面が、親水性表面と疎水性表面とに二分割されてなることを特徴とする両親媒性粒子。
【請求項2】
体積平均粒子径が0.1〜10μmである請求項1に記載の両親媒性粒子。
【請求項3】
1〜80nmの一次粒子径を持つ親水性微粒子からなる二次凝集体(p1)を疎水化してから破砕することによって得られる請求項1又は2に記載の両親媒性粒子。
【請求項4】
二次凝集体(p1)の体積平均粒子径が1〜100μmである請求項3に記載の両親媒性粒子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載された両親媒性粒子を製造する方法であって、
1〜80nmの一次粒子径を持つ親水性微粒子の二次凝集体(p1)を親油性化合物又は疎水性微粒子で表面処理して疎水化粒子(p2)を得る疎水化工程;
疎水化粒子(p2)を5〜50の比誘電率を持つ有機溶剤(s1)に分散して疎水化粒子(p2)の分散液を得る分散工程;及び
分散液中の疎水化粒子(p2)の体積平均粒子径を0.1〜10μmになるように破砕して、両親媒性粒子を得る破砕工程
を含むことを特徴とする両親媒性粒子の製造方法。
【請求項6】
親油性化合物がシリコーン化合物である請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
疎水性微粒子が疎水性有機微粒子である請求項5に記載の製造方法。

【公開番号】特開2011−83753(P2011−83753A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240767(P2009−240767)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】