説明

両軸受リール

【課題】水深表示部と動作機構とを有する両軸受リールにおいて、動作機構の切換操作を容易に行えるようにする。
【解決手段】両軸受リールは、ハンドルと、リール本体1と、スプール12と、水深表示部13と、スプール発音機構14と、発音つまみ16と、を備えている。リール本体は、側方に部分的に膨出する膨出部6aを有し第1側板の外方を覆う第1側カバー6を有する。水深表示部は、膨出部の内部に収納され、スプールの回転に連動して仕掛けの水深を電気的に表示可能である。スプール発音機構は、スプールの回転に関連して発音可能であり、発音可能状態と発音不能状態とに切り換え可能な機構である。発音つまみは、膨出部より竿取付部4に配置され、膨出部と接離する方向に移動自在に第1側カバーに装着され、スプール発音機構を発音可能状態と発音不能状態とに切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用リール、特に、釣り竿に装着可能であり、釣り糸が前方に繰り出される両軸受リールに関する。
【背景技術】
【0002】
両軸受リールは、スプールをハンドルで回転させて釣り糸を巻き取るものである。このような両軸受リールにおいて、ハンドル装着側と逆側のリール本体に仕掛けの水深を電気的に表示可能な水深表示装置を設けたものが従来知られている(たとえば、特許文献1参照)。従来の両軸受リールのリール本体は、間隔を隔てて配置され互いに連結された第1及び第2側板と、第1及び第2側板の外方を覆う第1及び第2側カバーと、を有している。第2側カバーには、ハンドルの回転軸が支持されている。
【0003】
前記従来の両軸受リールでは、ハンドル装着側と逆側の第1側カバーは、側方に膨出する膨出部を有しており、膨出部内に水深表示部が収納されている。水深表示部では、前後方向に1桁ずつ水深を示す数値が表示される。
【0004】
また、水深表示部が収納される膨出部を有する両軸受リールにおいて、スプールの回転に応じて発音するスプール発音機構(動作機構の一例)が設けられているものが販売されている。スプール発音機構は、発音オンオフつまみ(操作部材の一例)により、スプール回転時に発音する発音可能状態(動作可能状態の一例)と、発音しない発音不能状態(動作不能状態の一例)とに切り換えできる。操作部材は、膨出部の水深表示面の上方において、第1側カバーから露出している。この操作部材を操作するとスプール発音機構は発音可能状態と発音不能状態とに切り換わる。操作部材は、たとえば、水深表示面に沿った方向や接離する方向で、発音可能位置と発音不能位置との間で移動自在に第1側板に装着されている。操作部材は、ばね部材により発音可能位置側と発音不能位置側とに振り分けて付勢されており、発音可能状態や発音不能状態が、リールが動いても変化しにくくなっている。
【0005】
このような構成の従来の両軸受リールでは、スプールが回転すると、水深表示部の表示が変化するとともに、スプール発音機構が発音可能状態に切り換えられている場合、スプールの回転に連動して発音する。また、操作部材の操作によりスプール発音機構が発音不能状態になっているときは発音しない。通常は、たとえば、釣り糸を繰り出す際や巻き取るときには、スプール発音切換機構を発音不能状態にしてスプールに対する抵抗を少なくしている。また、釣り糸を繰り出した後に置き竿するときには、スプール発音機構を発音可能状態にして魚が仕掛けにかかったときのスプールの回転を報知できるようにしている。
【特許文献1】特開平11−42033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の構成では、操作部材が膨出部に収納された水深表示部の上方に配置されている。このため、操作部材を移動させる際に、ハンドルを操作する手と逆の手の親指や人差し指等でばね部材により付勢された操作部材を押し込んだり引き込んだりしなければならず、動作機構の切換操作が煩わしいものになる。
【0007】
本発明の課題は、水深表示部と動作機構とを有する両軸受リールにおいて、動作機構の切換操作を容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明1に係る両軸受リールは、釣り竿に装着可能であり、釣り糸が前方に繰り出されるリールであって、釣り糸巻取操作用のハンドルと、リール本体と、スプールと、水深表示部と、動作機構と、操作部材と、を備えている。リール本体は、間隔を隔てて対向して配置された第1及び第2側板と、側方に部分的に膨出する膨出部を有し第1側板の外方を覆う第1側カバーと、第2側板の外方を覆いハンドルの回転軸が支持される第2側カバーと、を有し、釣り竿に装着可能なものである。スプールは、リール本体に回転自在に装着された糸巻用のものである。水深表示部は、膨出部の内部に収納され、スプールの回転に連動して釣り糸の先端に装着される仕掛けの水深を電気的に表示可能なものである。動作機構は、スプールの回転に関連して動作可能であり、動作可能状態と動作不能状態とに切り換え可能な機構である。操作部材は、膨出部より釣り竿装着側に配置され、膨出部と接離する方向に移動自在に第1側カバーに装着され、動作機構を動作可能状態と動作不能状態とに切り換えるための部材である。
【0009】
この両軸受リールでは、水深表示部がハンドル装着側と逆側の第1側カバーの膨出部内に配置され、動作機構の状態を切り換えるための操作部材が膨出部より釣り竿装着側に配置されている。このため、操作部材を操作する際には、ハンドルを操作する手と逆側の手(たとえば、ハンドルを右手で操作する場合は左手)の親指を膨出部の釣り竿装着側と逆側の膨らみに置いて、その他の指(たとえば、中指や薬指)で膨出部を挟むように操作部材を膨出部に向けて操作することができる。このため、指を曲げて握るような比較的力を入れやすい動作で操作部材を操作することができる。ここでは、膨出部の釣り竿装着側に操作部材を配置したので、膨出部を利用して力を入れやすい状態で操作部材を操作できる。このため、動作機構の切換操作を容易に行えるようになる。
【0010】
発明2に係る両軸受リールは、発明に1に記載のリールにおいて、操作部材は、膨出部に接近する方向に操作されると、動作機構は動作可能状態になる。この場合には、動作機構を動作不能状態から動作可能状態にする切換操作を容易に行えるようになる。
【0011】
発明3に係る両軸受リールは、発明1又は2に記載のリールにおいて、操作部材は、動作可能状態となる動作可能位置と、動作不能状態となる動作不能位置とに膨出部と接離する方向に移動自在に配置され、操作部材を動作可能位置と動作不能位置とに振り分けて付勢する付勢機構をさらに備える。この場合には、操作部材が付勢機構により2つの位置に振り分けて付勢されるので、切換操作された操作部材が2つの位置で確実に保持され、振動などの操作力以外の外力により操作部材が誤って動くことがない。
【0012】
発明4に係る両軸受リールは、発明3に記載のリールにおいて、付勢機構の付勢力は、動作可能位置での付勢力が動作不能位置での付勢力より小さい。この場合には、動作不能位置での付勢力が大きいので動作不能位置から動作可能位置に向けた操作が動作可能位置から動作不能位置への操作より重くなる。このため、動作可能状態への操作に適度なクリック感を与えることができる。特に、膨出部に接近する方向の動作で動作可能状態になるようにすると、力を入れやすい膨出部に近づく操作を重くしても容易に操作できるとともに、膨出部から遠ざかる操作である動作可能状態から動作不能状態への切換操作が軽くなるので、この操作も容易になる。
【0013】
発明5に係る両軸受リールは、発明1から4のいずれかに記載のリールにおいて、動作機構は、スプールが回転すると発音する動作可能状態としての発音可能状態と、スプールが回転しても発音しない動作不能状態としての発音不能状態とに切換可能なスプール発音機構を有する。この場合には、スプールの回転に連動して発音可能なスプール発音機構のオンオフ切換操作が容易になる。
【0014】
発明6に係る両軸受リールは、発明1から5のいずれかに記載のリールにおいて、動作機構は、スプールの糸繰り出し方向の回転をロックする動作可能状態としてのロック状態とロックしない動作不能状態としてのロック解除状態とに切換可能なスプールロック機構を有する。この場合には、スプールの糸繰り出し方向の回転をロックするスプールロック機構のオンオフ切換操作が容易になる。
【0015】
発明7に係る両軸受リールは、発明6に記載のリールにおいて、操作部材は、スプール発音機構を操作するための第1操作部材と、スプールロック機構を操作するための第2操作部材と、を有する。この場合には、スプール発音機構及びスプールロック機構のいずれの切換操作も容易になる。
【0016】
発明8に係る両軸受リールは、発明7に記載のリールにおいて、第1操作部材と第2操作部材は、膨出部と接離する方向に移動するように互いに平行に配置されている。この場合には、2つの操作部材が平行に配置されているので、指の同じ動きでオンオフ切換操作を行える。
【0017】
発明9に係る両軸受リールは、発明7又は8に記載の装置であって、第1側カバーは円形状であり第1操作部材は、第1側カバーの実質的に直径に沿う方向に移動するように配置されている。この場合には、スプールロック機構に比べて操作頻度が高いスプール発音機構の操作を行うための第1操作部材が力を入れやすいように第1側カバーの直径に沿って配置されている。このため、頻度が高いスプール発音機構のオンオフ切換操作をさらに行いやすくなる。
【0018】
発明10に係る両軸受リールは、発明1から9のいずれかに記載のリールにおいて、動作機構が動作可能状態にあることを識別する識別手段をさらに備える。この場合には、たとえば、動作可能状態にある場合に目視によりそのことを識別可能にするなどの識別手段を設けているので、リールの操作に不慣れな人にも動作状態を簡単に識別できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、膨出部の釣り竿装着側に操作部材を配置したので、膨出部を利用して力を入れやすい状態で操作部材を操作できる。このため、切換操作を容易に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<両軸受リールの全体構成>
図1及び図2において、本発明の一実施形態による両軸受リールは、釣り竿に装着可能であり、釣り糸が前方に繰り出されるリールである。両軸受リールは、たとえば、18号の釣り糸を150m程度巻き付け可能な中型の丸型リールである。両軸受リールは、リール本体1と、リール本体1の側方に配置された釣り糸巻取操作用のハンドル2とハンドル2のリール本体1側に配置されたスタードラグ3とを備えている。
【0021】
なお、以降の説明で言う前後左右は、両軸受リールを釣り竿に装着された状態で釣り糸が繰り出される方向が前であり、両軸受リールを後方から見た状態で左右を表している。
【0022】
また、両軸受リールは、図3〜図5に示すように、リール本体1に回転自在に装着された糸巻用のスプール12と、釣り糸の先端に装着される仕掛けの水深を電気的に表示可能な水深表示部13と、スプールの回転に連動して発音可能なスプール発音機構(動作機構の一例)14と、スプール12の糸繰り出し方向の回転をロック可能なスプールロック機構(動作機構の一例)15と、発音つまみ(第1操作部材の一例)16と、ロックつまみ(第2操作部材の一例)17と、を備えている。なお、この両軸受リールは、レベルワインド機構は有していない。
【0023】
リール本体1は、竿取付脚4を介して釣り竿RDに装着され得る。リール本体1は、図1〜図4及び図6〜図8に示すように、たとえば、アルミニウム合金やチタン合金などの軽量金属製のフレーム5と、フレーム5の両側方を覆う、たとえば、アルミニウム合金やチタン合金等の軽量合金製の第1及び第2側カバー6,7とを有している。なお、フレーム5及び第1及び第2側カバー6,7のいずれか一方がチタン合金で他方がアルミニウム合金の場合、電解腐食を防ぐために間に合成樹脂製の保護部材を配置してもよい。フレーム5は、所定の間隔をあけて配置された左右1対のリング状の第1及び第2側板8,9と第1及び第2側板8,9を連結する複数の連結部材10a,10b,10cとを有している。
【0024】
第1側カバー6と第1側板8との間には第1機構装着板36が配置されている。第1機構装着板36は、第1側カバー6を貫通して第1側板8にねじ込まれるねじ部材により第1側板8に固定されている。第1機構装着板36とスプール12との間に、スプール発音機構14、及びスプールロック機構15が配置されている。また、第1機構装着板36と第1側カバー6との間に水深表示部13が収納されている。
【0025】
第2側カバー7と第2側板9との間には第2機構装着板37が配置されている。第2機構装着板37は、第2側カバー7を貫通して第2側板9にねじ込まれるねじ部材により第2側板9に固定されている。第2機構装着板37と第2側カバー7との間には、後述するギア機構18等の各種機構を収納するための空間が形成されている。
【0026】
フレーム5はダイキャスト成形により得られ、第2側カバー7は、金属薄板をプレス成形して得られる。第1及び第2側板8,9並びに第1側カバー6は、それぞれ側面から見て円形をなしており、外周面はたとえば旋盤等を用いて機械加工されている。第1機構装着板36も側面から見て円形をなしており、第1側板8に接触する外周部分が僅かの軸方向長さで第1側カバー6と段差なく外部に露出している。その他の外周部分及び側部分は第1側カバー6により覆われている。
【0027】
第1側カバー6には、図4及び図5に示すように、水深表示部13を内部に収納するための膨出部6aが側方(軸方向外方)に部分的に膨出して形成されている。図5に示すように、膨出部6aの前後の輪郭(図5左右の輪郭)は略円形であり、膨出部6aの竿取付脚4から接離する方向の断面は、図4に示すように第1側板8に対して直交するように突出した後、水深表示部13を収納するように第1側板8と平行に滑らかに折り曲げられている。そして、収納部分が終わった位置から第1側板8に向けて凹んだ形状で湾曲して形成されている。図5に示すように、膨出部6aの表示用の上面(竿取付脚4から離反する面)6dは、円形の第1側カバー6の中心より竿取付脚4から離反する位置に配置されている。上面6dは、後部に配置されたリセットボタンRBが露出する部分が竿取付脚4と平行な面であり、それから前方(図5左方)の部分は、前部側が高くなるように上方(竿取付脚4から離れる方向)に僅かに傾斜した面である。この傾斜面に、水深表示部13を露出させるための開口6eが形成されている。したがって、水深表示部13の表示面は、前上がりの傾斜面となっており、両軸受リールより後方に位置する釣り人から水深表示部13が見やすくなっている。
【0028】
膨出部6aの下方において第1側カバー6には、発音つまみ16やロックつまみ17をそれぞれ外部に露出させるための2つの長円形の開口6b,6cが互いに平行に形成されている。発音つまみ16が配置される開口6bは、第1側カバー6の直径に実質的に沿うように前下がりに斜めに形成されている。
【0029】
第2側カバー7及び第2機構装着板37は、図6に示すように、側面から見て円形の一部が径方向に突出した形状である。第2側カバー7は、薄板金属をプレス成形して形成されたカバー本体7aと、カバー本体7aに装着された第1及び第2ボス部7b,7cとを有している。カバー本体7aは、円形の一部が径方向に突出するとともに、ハンドル軸30(後述)の装着部分を中心に軸方向外方にも膨出している。第1ボス部7bは、筒状の部材であり、スプール軸20(後述)を支持するためのものである。第1ボス部7bは、カバー本体7aにカシメ固定されている。第2ボス部7cは、鍔付き筒状の部材であり、ハンドル軸30を支持するために設けられている。第2ボス部7cは、カバー本体7aの内側面に外側面から装着された複数本(たとえば3本)のねじ部材94によりねじ止め固定されている。
【0030】
フレーム5内には、図3及び図4に示すように、糸巻用のスプール12が回転自在に装着されている。また、第2側カバー7の後部側面には、クラッチ操作レバー38が揺動自在に装着されている。
【0031】
クラッチ操作レバー38は、図3及び図6に示すように、スプール12とハンドル2との間で回転力を伝達、遮断するためのクラッチ機構21(後述)をオン(伝達)・オフ(遮断)操作するためのものである。クラッチ操作レバー38は、第2側カバー7に基端が揺動自在に支持された、たとえば、アルミニウムやマグネシウムやステンレス等の金属製のレバー体38aと、レバー体38aの先端に着脱自在に装着された、たとえば、合成ゴム等の弾体製のつまみリング38bと、を有している。つまみリング38bは、固定ボルト38cにより固定されている。このように、クラッチ操作レバー38の先端につまみリング38aを装着することにより、第2側カバー7との接触部で第2側カバー7が傷つきにくくなる。また、つまみリング38bを固定ボルト38cにより着脱自在に固定することにより、つまみリング38bを、金属や合成樹脂や弾性体やコルクなどの種々の素材で提供することができ、釣り人の好みに合わせてつまみリング38bを交換することができる。
【0032】
連結部材10a〜10cは、図3、図4及び図7に示すように、両側板8,9の外周に沿う形状で両側板8,9と一体で形成された板状の部材であり、たとえばリール本体1の前部と後部と下部との3か所で1対の側板8,9を連結している。このように側板8,9と複数の連結部材10a〜10cとを一体で形成することで、リール本体1に大きな荷重が作用しても撓み等の変形が生じがたく、巻上げ効率の低下が抑制される。この連結部材10a〜10の外周部と側板8,9とは一体で、第1側カバー6と同様に機械加工されている。
【0033】
下部の連結部材10cには竿取付脚4が固定されている。竿取付脚4は、フレーム5の側板8,9間の中心位置に沿って配置されている。この中心位置は、スプール12の糸巻取部の中心位置でもある。
【0034】
ハンドル2は、図1及び図6に示すように、ハンドル軸30の先端に回転不能に装着されたクランクアーム2aと、クランクアーム2aの一端にクランクアーム2aの一端部と直交する軸回りに回転自在に装着されたハンドル把手2bとを有している。クランクアーム2aは、ハンドル把手2b側がリール本体1に接近するように途中で折れ曲がっている。
【0035】
スプール12は、図2〜図4に示すように、1対の側板8,9間に回転自在に配置されている。スプール12は、糸巻胴部12aと、糸巻胴部12aの両端に一体で形成された左右1対のフランジ部12b,12cとを有している。スプール12の中心にはスプール軸20が貫通して固定されている。
【0036】
スプール12は左右が非対称の形状である。具体的には、スプール12のフランジ部12bの外側面12dとフランジ部12cの外側面12eとでは、形状が異なっており、フランジ部12cの厚みがフランジ部12bより厚く剛性が高くなっている。厚みが厚いフランジ部12cの外側面12eには、環状のセンサ検知部12fが形成されている。センサ検知部12fには、図示しないスリットが、たとえば、周方向の複数箇所に形成されている。このようなセンサ検知部12fを有するフランジ部12c側の厚みを厚くすることによりフランジ部12cの変形を抑えることができ、センサの検出精度の低下を抑えることができる。また、フランジ部12b側の外側面では、肉盗み量を多くして軽量化を図っている。
【0037】
スプール軸20は、軸芯Xと平行な軸芯Yに沿って配置された、たとえばSUS304等の非磁性金属製であり、第2機構装着板37を貫通して第2側カバー7の外方に延びている。スプール軸20は、第1機構装着板36に装着された軸受19aと、第2機構装着板37に装着された軸受19bと、第2側カバー7の第1ボス部7aに装着された軸受19cとにより、リール本体1に回転自在に支持されている。スプール軸20の第2機構装着板37の貫通部分には、クラッチ機構21を構成する係合ピン29が径方向に貫通して装着されている。
【0038】
リール本体1においてハンドル2装着側と逆側のスプール12と第1機構装着板36との間に、前述したスプール発音機構14とスプールロック機構15とが軸方向に並べて配置されている。スプール発音機構14は、スプール12の回転時に発音する発音可能状態(動作可能状態の一例)と発音不能状態(動作不能状態の一例)とに切換可能な機構である。スプールロック機構15は、クラッチ機構21の状態に関わらずスプール12の糸繰り出し方向の回転を禁止するロック状態(動作可能状態の一例)と回転を許可するロック解除状態(動作不能状態の一例)に切換可能な機構である。
【0039】
リール本体1においてハンドル2装着側の第2機構装着板37と第2側カバー7の間の空間には、ハンドル2からのトルクをスプール12に伝えるためのギア機構18と、ギア機構18の途中に設けられハンドル2の回転を伝達・遮断するクラッチ機構21と、クラッチ機構21をオンオフ操作するためのクラッチ制御機構22と、スプール12の糸繰り出し方向の回転を制動するドラグ機構23と、スプール12の回転時の抵抗力を調整するためのキャスティングコントロール機構24とが配置されている。また、スプール12と第2機構装着板37との間には、スプール12をキャスティング時等に電気制御可能に制動するスプール制動機構25が配置されている。
【0040】
ギア機構18は、ハンドル2が一体回転可能に連結され軸芯Xに沿って配置されたハンドル軸30と、ハンドル軸30に装着されたメインギア31と、メインギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32とを有している。ハンドル軸30は、第2機構装着板37及び第2側カバー7に回転自在に装着されており、ローラ型のワンウェイクラッチ89及び爪式のワンウェイクラッチ90により糸繰り出し方向の回転(逆転)が禁止されている。ワンウェイクラッチ89は、第2側カバー7とハンドル軸30との間に装着されている。
【0041】
<ハンドル軸支持構造の構成>
ワンウェイクラッチ89は、図3及び図11に示すように、第2ボス部7cとユニット化されてハンドル軸支持構造39を構成している。ハンドル軸支持構造39は、リール本体1に固定される第2ボス部7cと、ワンウェイクラッチ89と、ワンウェイクラッチ89の両側方に配置され、ワンウェイクラッチ89の両側方に配置されワンウェイクラッチ89をシールする環状の1対のシール部材91と、を有している。第2ボス部7cは、前述したように鍔付き筒状の部材であり、第2側カバー7のカバー本体7aに着脱可能に固定されるフランジ部7eと、フランジ部7eから軸方向外方に延び、内周面にワンウェイクラッチ89が配置される筒状部7fと、を有している。第2ボス部7cは、フランジ部7eが第2側カバー7のカバー本体7aの内側面にねじ部材94により着脱可能に固定されている。
【0042】
ワンウェイクラッチ89は、第2ボス部7cと筒状部7fの内周面に回転不能に連結される外輪89aと、ハンドル軸30の外周に配置されハンドル軸30に一体回転可能に連結された内輪89bと、外輪89aと内輪89bとの間に周方向に間隔を隔てて配置された複数の転動体89cとを有ししている。内輪89bは外輪89aより軸方向両方に突出する軸方向長さを有し、シール部材91は、第2ボス部7cの内周面と内輪89bの外周面との隙間をシールすることによりワンウェイクラッチ89をシールする。内輪89bは、軸方向内側の端部に軸方向内方に突出する1対の係合突起89d(図6参照)を有している。この係合突起89dがハンドル軸30に一体回転可能に連結されたドラグ座金23aに係合する。これにより内輪89bは、ハンドル軸30に一体回転可能に連結されている。転動体89cは、たとえば、断面が円形の棒状の部材であり、図示しない保持器により周方向に等間隔を保持されている。
【0043】
シール部材91は、合成ゴムなどの弾性体製のシール部分92と、シール部分92を補強するバックアップ部分93とを有している。シール部分92は、第2ボス部7cの内周面に装着される筒状の装着部92aと、装着部92aから内輪89bに向かって延びる円板部92bと、円板部92bの先端に先細りに形成され内輪89bに接触するリップ部92cと、を有している。リップ部92cは、円板部92bの先端からワンウェイクラッチ89から離れる方向に傾斜している。バックアップ部分93は、断面がL字状に折れ曲がって形成され、シール部分92の装着部92aと円板部92bとに配置されている。
【0044】
このような構成のハンドル軸支持構造39では、リール本体1のカバー本体6aに着脱可能な第2ボス部7cにワンウェイクラッチ89及びシール部材91を装着するように構成したので、シール部材91の組み込みが容易であるとともに、ワンウェイクラッチ89のコストの増加を抑えることができる。このため、コストの増加を可及的に抑えて異物の浸入を防止できる。
【0045】
メインギア31は、ハンドル軸30に回転自在に装着されており、ハンドル軸30とドラグ機構23を介して一体回転可能に連結されている。ピニオンギア32は、側板9の外方から内方に延び、中心にスプール軸20が貫通する筒状部材であり、スプール軸20に軸方向に移動自在に装着されている。ピニオンギア32の図3及び図6の左端部には係合ピン29に噛み合う噛み合い溝32aが形成されている。この噛み合い溝32aと係合ピン29とによりクラッチ機構21が構成される。また中間部にはくびれ部32bが、右端部にはメインギア31に噛み合うギア部32cがそれぞれ形成されている。
【0046】
クラッチ制御機構22は、図3及び図6に示すように、クラッチ操作レバー38と、クラッチ操作レバー38の揺動によりピニオンギアと接離する方向に移動するクラッチカム33と、ピニオンギア32のくびれ部32bに係合してピニオンギア32をスプール軸20方向に沿って移動させるクラッチヨーク35と、を有している。このクラッチヨーク35は、クラッチ操作レバー38の揺動操作によりクラッチカム33によりスプール軸20方向に移動する。この移動により、ピニオンギア32をスプール軸方向に移動させ、クラッチ機構21をクラッチオン状態とクラッチオフ状態とに切り換える。スプール軸20に沿ってピニオンギア32を移動させて、噛み合い溝32aを係合ピン29に噛み合わせれば、スプール軸20とピニオンギア32との間で回転力が伝達される。この状態が連結状態(クラッチオン状態)である。噛み合い溝32aと係合ピン29の係合を外せば、スプール軸20とピニオンギア32との間で回転力は伝達されない。この状態が遮断状態(クラッチオフ状態)である。クラッチオフ状態では、スプール12は自由に回転する。クラッチヨーク35は、コイルばね34により噛み合い溝32aと係合ピン29とが係合する方向すなわちクラッチオン状態に付勢されている。
【0047】
ドラグ機構23は、図6に示すように、ハンドル軸30の周囲に配置された、たとえば4枚の金属製のドラグ座金23a〜23dと、各ドラグ座金23a〜23dの間に配置された、たとえば4枚のドラグディスク23eを有している。ドラグ座金23a,23c,23dは、ハンドル軸30と一体回転可能に連結され、ドラグ座金23bは、メインギア31と一体回転可能に連結されている。ドラグ坂ね23dは、外周にラチェット歯23fが形成されており、ワンウェイクラッチ90のラチェット爪90aに係合するラチェットホイールとして機能する。
【0048】
キャスティングコントロール機構24は、スプール軸20を挟むように配置された複数の摩擦プレート51と、摩擦プレート51によるスプール軸20の挟持力を調節するための制動キャップ52とを有している。左側の摩擦プレート51は、軸受19aの内側に装着されている。
【0049】
<スプール発音機構の構成>
スプール発音機構14は、スプール12の回転に応じて発音可能でありかつ発音つまみ16の操作により、発音可能状態と発音不能状態とに切換可能である。
【0050】
発音つまみ16は、図5及び図8に示すように、第1側カバー6から露出する大径のつまみ部16aと、つまみ部16aと一体形成された軸部16bと、を有している。つまみ部16aは、第1側カバー6に形成された開口6bに沿って移動する。前述したように開口6bは、第1側カバー6の直径に実質的に沿うように形成されている。したがって、発音つまみ16は、第1側カバー6の実質的に直径に沿う方向に斜めに移動するように配置され、第1側カバー6の外側から2つの位置に操作可能である。
【0051】
つまみ部16aの背面において軸部16bの外周側には、識別手段としてのシート部材27が第1側カバー6の開口6bと第1機構装着板36との境界部分に装着されている。シート部材27は、透明樹脂製の長円形の部材であり、裏面のクロスハッチングで示した下半分が赤色に塗装されたオン表示部27aとなっている。また、赤色で塗装された裏面全体はさらに白色に塗装されている。白色で裏面全体を塗装すると、第1機構装着板36の外側面が写らなくなり、赤色を際だたせることができる。しかも、シート部材27の裏面だけを塗装することにより、表面と裏面の区別をつけやすくなり、組み付け時の誤装着を防止できる。このようなシート部材27を介装することにより、つまみ部16aとの摺動抵抗を減少させることができる。また、つまみ部16aが発音可能位置に配置されると、シート部材27の赤色に塗装されたオン表示部27aが外部に大きく露出するので、発音可能状態にあることが一目で識別できる。
【0052】
軸部16bは、第1機構装着板36に実質的に径方向に沿って前下がりに斜めに形成された長円形のガイド孔36aに案内される。軸部16bは、図9及び図12(A)に示す膨出部6aから離反した発音不能位置(動作不能位置の一例)と、図10及び図12(B)に示す膨出部6aに接近した発音可能位置(動作可能位置の一例)との間で移動可能である。軸部16bは、付勢機構26により発音不能位置と発音可能位置とに膨出部6aと接離する方向に振り分けて付勢されている。
【0053】
付勢機構26は、図12に示すように、第1機構装着板36にガイド孔36aと連通して前上がりに斜めに形成された収納凹部36bに収納されている。付勢機構26は、収納凹部36bに軸部16bに接離する方向に進退自在に装着された振り分け部材82と、振り分け部材82を軸部16bに向けて付勢するコイルばね83と、を有している。
【0054】
振り分け部材82は、板状の部材であり、先端に2つの異なる押圧面82a,82bを有している。押圧面82aは、軸部16bの外形に沿って湾曲した面であり、軸部16bを発音不能位置に付勢して保持するための面である。押圧面82bは、直線的に傾斜した押圧面82aより傾斜具合が小さい面であり、軸部16bを発音可能位置に付勢して保持するための面である。このため、押圧面82bによる付勢力は押圧面82aによる付勢力より小さい。
【0055】
振り分け部材82は、途中に両側に突出する1対の係止突起82cを有しているとともに、基端面に後方に突出するばねガイド82dを有している。係止突起82cは収納凹部36bに両側に脹らんで形成された引っ掛け部36cに係止されて進出方向への移動が規制されている。ばねガイド82dは、コイルばね83の脱落を防止するものである。コイルばね83は、圧縮状態でばねガイド82dの外周側で収納凹部36bに装着されている。
【0056】
この付勢機構26では、図12(A)に示す、発音不能位置での付勢力が図12(B)に示す発音可能位置での付勢力より大きいので、発音つまみ16を発音不能位置から発音可能位置への操作が発音可能位置から発音不能位置への操作に比べて重くなる。このため、発音可能状態への操作に適度なクリック感を与えることができる。特に、膨出部6aに接近する方向の動作で発音可能状態になるようにしているので、力を入れやすい膨出部6aに近づく操作を重くしても容易に操作できるとともに、膨出部6aから遠ざかる操作である発音可能状態から発音不能状態への切換操作が軽くなるので、この操作も容易になる。
【0057】
また、スプールロック機構15に比べて操作頻度が高いスプール発音機構14のオンオフ切換操作を行うための発音つまみ16が力を入れやすいように第1側カバー6の直径に沿って配置されているので、頻度が高いスプール発音機構14のオンオフ操作がさらに行いやすくなる。
【0058】
スプール発音機構14は、図5及び図8〜図10に示すように、スプール軸20に回転不能に装着され外周に凹凸部70aを有する発音部70と、発音部70に接触する打撃部71とを有している。
【0059】
発音部70は、スプール12側でスプール軸20に回転不能に装着されている。発音部70は、外周面に周方向に間隔を隔ててギア歯形状の多数の凹凸部70aが並べて形成された円板状の金属製の部材である。
【0060】
打撃部71は、発音つまみ16の軸部16bの先端部に揺動自在に装着され先端が凹凸部70aに接触可能な爪部材74と、爪部材74を凹凸部70aに接触する中立位置に向けて付勢するばね部材75とを有している。
【0061】
爪部材74は、金属製の部材であり、先端に形成され凹凸部70aに接触する先細りの尖った接触部74aと、軸部16bの先端に揺動自在に装着される装着部74bと、装着部74bから接触部74aと異なる方向に延びるばねかけ部74cとを有している。爪部材74は、図9に実線で示す凹凸部70aに接触部74aが接触する発音位置と、図10に示す凹凸部70aから離反する離反位置とに発音つまみ16の移動操作により移動する。
【0062】
ばね部材75は、第1機構装着板36に一端が係止され、他端がばねかけ部74cに係止されるコイルばねである。
【0063】
このような構成のスプール発音機構14では、膨出部6aに、たとえば左手(ハンドル2を操作する手と逆の手)の親指を置いて、中指又は薬指で発音つまみ16を膨出部6aに近づける方向に操作すると、図10に示すように、発音つまみ16が発音可能位置に配置される。発音つまみ16が発音可能位置に配置されると、爪部材74の接触部74aが発音部70に接触する。ここでは、膨出部6aの釣り竿装着側に発音つまみ16を配置したので、膨出部6aを利用して力を入れやすい指を曲げる動作で発音つまみ16を操作できる。このため、発音オンオフ切換操作を容易に行えるようになる。
【0064】
この状態でスプール12が回転すると、コイルばね75により中立位置に向けて付勢された爪部材74が振動して発音する。発音つまみ16が発音可能位置に配置されると、前述したようにシート部材27のオン表示部27aが大きく露出して、発音可能状態であることを確実に識別できる。
【0065】
また、指で押して発音つまみ16を発音可能位置から発音不能位置に操作すると、図9に示すように、爪部材74が離反位置に配置され、スプール12が回転しても発音しない。このため、スプール12の回転抵抗を低減する。この発音不能位置への操作では、付勢機構26による発音可能位置での付勢力が弱いので弱い力で操作できる。このため、力の入れにくい方向の指を伸ばす動作による操作であっても容易に切換操作できる。
【0066】
<スプールロック機構の構成>
スプールロック機構15は、クラッチ機構21の状態に関わらずスプール12の糸繰り出し方向の逆転を禁止可能であり、ロック状態とロック解除状態とに切換可能な機構である。スプールロック機構15を逆転禁止状態にするとスプール12の糸繰り出し方向の回転が完全にロックされるので、仕掛けが水中の異物に引っ掛かる、いわゆる根掛かりしたときなどに釣り糸を切断するのに便利である。スプールロック機構15は、ロックつまみ17の操作により、ロック状態とロック解除状態とに切換可能である。
【0067】
ロックつまみ17は、図8に示すように、発音つまみ16と同一の構造であり、発音つまみ16の後方に平行に並べて配置されている。ロックつまみ17は、第1側カバー6から外部に露出するつまみ部17aと、軸部17bと、を有している。つまみ部17aは開口6cに沿って移動する。また、図8に示す長円形のガイド孔36dに軸部17bが案内されて図9及び図12(A)に示す膨出部6aから離反したロック解除位置(動作不能位置の一例)と、図10及び図12(B)に示す膨出部6aに接近したロック位置(動作可能位置の一例)との間で移動可能である。軸部17bは、発音つまみ16と同様に収納凹部36eを設けられた付勢機構26により発音不能位置と発音可能位置とに膨出部6aと接離する方向に振り分けて付勢されている。また、発音つまみ16と同様にシート部材27が介装され、シート部材27によりロック状態にあることが一目で識別できる。
【0068】
スプールロック機構15は、図8〜図10に示すように、スプール軸20に発音部70よりスプール12から離反する位置で回転不能に装着されたラチェットホイール50と、ラチェットホイール50に噛み合うラチェット爪53と、ラチェット爪53とロックつまみ17とを連結する連結機構54と、を有している。ラチェットホイール50の外周面には、ラチェット爪53により糸繰り出し方向の回転(図9及び図10で時計回りの回転)を禁止し、糸巻取方向の回転を許容するように鋸歯状のラチェット歯50aが形成されている。
【0069】
ラチェット爪53は、ロックつまみ17により第1側カバー6の開口6cから露出するロックつまみ17によりラチェットホイール50のラチェット歯50aに噛み合う図10に示すロック位置と、離反する図9に示すロック解除位置とに移動する。
【0070】
具体的には、ラチェット爪53は、第1機構装着板36に揺動自在に装着されており、ラチェットホイール50に接触する爪部53aと、第1機構装着板36に装着される装着部53bと、装着部53bから径方向に延びるばねかけ部53cと、ばねかけ部53cと爪部53aとの間で装着部53bから径方向に延びる当接部53dとを有している。ばねかけ部53cには、ラチェット爪53をロック位置に向けて付勢するコイルばね67の一端が係止されている。コイルばね67の他端は、第1機構装着板36に係止されている。
【0071】
連結機構54は、ロックつまみ17の軸部17bの先端に揺動自在に連結された第1リンク部材68と、第1リンク部材68に揺動自在に連結された第2リンク部材69と、を有している。第1リンク部材68は、板状の部材であり、基端が軸部17bに揺動自在に連結されている。第1リンク部材68の基端には、軸部17bと上下方向に僅かな遊びがあるように長円形に形成された連結孔68aが形成されている。第1リンク部材68の先端には、第2リンク部材69を連結するための連結軸68bが固定されている。
【0072】
第2リンク部材69の一端は、第1リンク部材68の連結軸68bに揺動自在に連結されている。第2リンク部材69の他端は、ラチェット爪53と同じ位置で第1機構装着板36に揺動自在に支持されている。第2リンク部材69には、他端の外周面に径方向に突出する連動突起69aが形成されている。連動突起69aは、第2リンク部材69の当接部53dに接触可能である。
【0073】
このような連動突起69aは、図10に示すロック位置から図9に示すロック解除位置に操作されるとき、第2リンク部材69の図10時計回り回動をラチェット爪53に伝達してラチェット爪53をロック解除位置に回動させる。また、図9に示すロック解除位置から図10に示すロック位置に操作されるとき、第2リンク部材69は図9の反時計回りに回動して、コイルばね67により付勢されたラチェット爪53の図9反時計回りの回動を許容し、ラチェット爪53をロック位置に回動させる。
【0074】
このような構成のスプールロック機構15では、膨出部6aに、たとえば左手(ハンドル2を操作する手と逆の手)の親指を置いて、中指又は薬指でロックつまみ17を膨出部6aに近づける方向に操作すると、ロックつまみ17がロック位置に配置される。ロックつまみ17がロック位置に配置されると、第1リンク部材68が上方に移動する。第1リンク部材68が上方に移動すると、第2リンク部材69がコイルばね67の付勢力によりラチェット爪53を介して図9反時計回りに揺動し、図10に示すように、ラチェット爪53の爪部53aがラチェットホイール50に接触する。この結果、スプール12の糸繰り出し方向の回転がロックされる。ここでは、膨出部6aの釣り竿装着側にロックつまみ17を配置したので、膨出部6aを利用して力を入れやすい指を曲げる動作でロックつまみ17も操作できる。このため、ロックオンオフ切換操作を容易に行えるようになる。
【0075】
この状態でスプール12が糸巻取方向に回転すると、コイルばね67によりロック位置に向けて付勢されたラチェット爪53が振動して発音する。また、糸繰り出し方向に回転しようとすると、ラチェット歯50aがラチェット爪53の爪部53aに接触してロックされ回転できなくなる。ロックつまみ17がロック位置に配置されると、前述したようにシート部材27のオン表示部27aが大きく露出して、ロック状態であることを確実に識別できる。
【0076】
また、指で押してロックつまみ17をロック位置からロック解除位置に操作すると、図9に示すように、ラチェット爪53が離反位置に配置され、スプール12が糸繰り出し方向に回転してもロックしない。このロック解除位置への操作では、付勢機構26によるロック位置での付勢力が弱いので弱い力で操作できる。このため、力の入れにくい方向の指を伸ばす動作による操作であっても容易に切換操作できる。
【0077】
<スプール制動機構の構成>
スプール制動機構25は、図3、図4、図7及び図14に示すように、スプール12とリール本体1とに設けられたスプール制動ユニット40と、キャスティング時等にスプール12から放出される釣り糸に作用する張力を検出するための回転速度センサ41と、スプール制動ユニット40を8段階の制動パターンの強弱調整のいずれかで電気的に制御するスプール制御ユニット42と、8段階の制動パターンを選択するための強弱調整つまみ43とを有している。
【0078】
スプール制動ユニット40は、スプール12を発電により制動する電気的に制御可能なものである。スプール制動ユニット40は、回転方向に並べて配置され極性が交互に異なる複数の磁極を有しスプール12に連動して回転する回転子60と、回転子60の側面に対向する位置に端面が配置され周方向に間隔を隔ててリール本体1に装着され直列接続されその巻径が全長より大きい複数のコイル62と、直列接続された複数のコイル62の両端に接続されたスイッチ素子63とを備えている。スプール制動ユニット40は、回転子60とコイル62との相対回転により発生する電流を、スイッチ素子63によりオンオフすることによりスプール12を制動する。スプール制動ユニット40で発生する制動力はスイッチ素子63のオン時間の長さに応じて大きくなる。
【0079】
回転子60は、スプール12の右側のフランジ部12cの外側面12eに回転方向に並べて配置された6つの円板形状の磁石61と、6つの磁石を周方向に等間隔に保持する磁石保持部28とを有している。6つの磁石61は、周方向に並べて配置され極性が交互に異なっている。磁石保持部28はリング状の合成樹脂製の部材であり、たとえばねじ部材95によりスプール12のフランジ部12cの外側面12eに固定されている。磁石保持部28と外側面12eとの間には、中心に貫通孔65aを有する磁性体製の継鉄ワッシャ65が配置されている。磁石61は、継鉄ワッシャ65に磁力により保持されるとともに、接着剤により磁石保持部68及び継鉄ワッシャ65に接着されている。
【0080】
コイル62は、コギングを防止してスプール12の回転をスムーズにするためにコアレスタイプのものが採用されており、ヨークも設けられていない。コイル62は、図14に示すように、6等配された円周上の6箇所に配置されている。コイル62は巻回された芯線が磁石61に対向して磁石61の磁場内に配置されるように、スプール軸20の軸芯Yと平行な軸を中心として丸みをおびた扇形に芯線が巻回されかつ軸芯Xを中心として周方向に間隔を隔てて配置されている。これにより発電効率を高めることができ、高い制動力を得ることができる。コイル62の軸芯Xに沿う方向の全長L(図14)が巻径の最大値である扇形の対角線長D(図13)の1/4以下である。6つのコイル62は直列接続されており、その両端がスイッチ素子63に接続されている。コイル62は、磁石61との距離が略一定になるように配置されている。このため、コイル62と回転中の磁石61との隙間を一定に維持することができる。6つのコイル62は、後述する回路基板66に装着されており、コイル62の周囲は、絶縁被膜により覆われている。
【0081】
スイッチ素子63は、たとえば高速でオンオフ制御できる並列接続された2つのFET(電界効果トランジスタ)を有している。FETの各ドレイン端子に、直列接続されたコイル62が接続されている。このスイッチ素子63は回路基板66の表面(フランジ部12cと対向する面)に装着されている。
【0082】
回転速度センサ41は、たとえば、投光部と受光部とを有する反射型の光電センサを用いており、回路基板66のスプール12のフランジ部12cに対向する表面に配置されている。回転速度センサ41は、投光部と受光部とがケースに一体で設けられたセンサユニットである。回転速度センサ41は、フランジ部12cの外側面12eに形成された環状のセンサ検知部12fのスリットを検出する。の回転速度センサ41の受光部からのパルス信号によりスプール12の回転速度を検出して釣り糸に作用する張力を検出する。
【0083】
強弱調整つまみ43は、後述する制動パターンを強弱8段階に調整するために設けられている。強弱調整つまみ43は、第2側カバー7に回動自在に装着され、第2側カバー7の上部に開口する開口7dを介して外部に露出している。
【0084】
回路基板66は、図14に示すように、中心が円形に開口しかつハンドル軸30の装着部分などが円弧状に切り欠かれた座金形状のリング状の基板であり、第2機構装着板37の内側面に軸芯Yと実質的に同芯に配置されている。回路基板66の表面には、マイクロコンピュータや各種のIC等を含む複数の制御素子が搭載されている。回路基板66は、第2機構装着板37の内側面にたとえば3本のねじ部材80により固定されている。
【0085】
制御部55は、図14に示すように、たとえばCPU55a,RAM55b,ROM55c及びI/Oインターフェイス55d等が搭載され回路基板66に配置されたマイクロコンピュータ59から構成されている。制御部55のROM55cには、制御プログラムが格納されるとともに、制動力の8段階の強弱の制動パターンが格納されている。
【0086】
制御部55には、スプール12の回転速度を検出する回転速度センサ41と、強弱調整つまみ43の回動位置を検出するためのつまみ位置センサ45とが接続されている。また、制御部55には、スイッチ素子63の各FETのゲートが接続されている。制御部55は、各センサ41,45からのパルス信号によりスプール制動ユニット40のスイッチ素子63を後述する制御プログラムにより、たとえば周期1/1000秒のPWM(パルス幅変調)信号によりオンオフ制御する。具体的には、制御部55は、キャスティングの経過時間とともにデューティ比Dを変化させた8段階の制動力の強弱の制動パターンでスイッチ素子63をオンオフ制御する。制御部55には電源としての蓄電素子57からの電力が供給される。この電力は回転速度センサ41とつまみ位置センサ45にも供給される。
【0087】
つまみ位置センサ45は、強弱調整つまみ43の回転位置を読み取るために設けられている。つまみ位置センサ45は、たとえば回路基板66の裏面に形成された8種のパターン(図示せず)と、強弱調整つまみ43と一体回動するブラシ部材81とから構成され、ブラシ部材81がいずれかのパターンを短絡することにより強弱調整つまみ43の回動位置を検出する。
【0088】
電源としての蓄電素子57は、たとえば電解コンデンサを用いており、整流回路58に接続されている。整流回路58はスイッチ素子63に接続されており、回転子60とコイル62とを有し、発電機として機能するスプール制動ユニット40からの交流電流を直流に変換しかつ電圧を安定化して蓄電素子57に供給する。なお、これらの整流回路58及び蓄電素子57も回路基板66の表面に搭載されている。したがって、回路基板66に装着される全ての部品が回路基板66の表面に実装されている。このため、形状の簡素化を図ることができる。
【0089】
なお、図13に示すように、回路基板66の表面及び裏面は、たとえばホットメルト法により形成された絶縁被膜96により、位置検出用のパターンが形成されたパターン形成部分66aを除いて覆われている。これにより、基板を水密に封止し、絶縁不良等のトラブルを防止している。回路基板66の実装面が片面(表面)だけであるので、絶縁被膜96の厚みを均一にすることができ、ホットメルト法による絶縁被膜形成工程を効率化できる。また、位置検出用のパターン形成部分66aは、2つのシール部材98a,98bにより水密に封止されている。したがって、この部分にも液体は浸入しにくくなっている。
【0090】
強弱調整つまみ43は、クラッチ操作レバー38の近くに配置されるように、第2機構装着板37の上部に、たとえば、270度程度の範囲で回動可能なように装着されている。第2機構装着板37と強弱調整つまみ43との間には、強弱調整つまみ43を8つの位置に位置決めする位置決め機構84が設けられている。強弱調整つまみ43には、前述したブラシ部材81が一体化移動可能に装着されている。
【0091】
このように、本実施形態では、強弱調整つまみ43がハンドル装着側のクラッチ操作レバー38と近い位置に配置されている。このため、強弱調整つまみ43による制動力調整操作、クラッチオフ操作及びキャスティング操作の一連の操作をスムーズに行うことができる。
【0092】
水深表示部13は、スプール12からの釣り糸の繰り出し量を表示するものであり、仕掛けの水深や飛距離などを見るために用いられる。水深表示部13は、図1、図2、図5及び図8に示すように、合成樹脂製のケース部材85と、ケース部材85の内部に配置された液晶表示装置と、液晶表示装置を制御する水深表示制御部(図示せず)とを有している。
【0093】
ケース部材85の開口6eに対向する位置には、矩形の開口85aが形成されており、開口85aには、透明樹脂製のレンズ部材88が装着されている。開口85aは、膨出部6aに形成された開口6eに対向して配置されている。レンズ部材88は、開口85aの外側に配置されており、レンズ部材88の外側面からホーンを当てて超音波溶着等の適宜の溶着手段により、開口85aの外側部分に固定されている。従来は、開口85aの内側に配置して溶着しているため外圧に対してレンズ部材の強度が弱かったが、本実施形態では外側に配置して溶着しているので外圧に対する強度が強くなる。ケース部材85は、膨出部6a内に配置され、レンズ部材88の外側に膨出部6aの斜めに形成された開口6eが配置されている。この開口6eによりレンズ部材88の溶着部分を隠すことができる。
【0094】
水深表示制御部は、スプール軸20の端部に装着された磁石を有するセンサ検知部86を検出する1対のリードスイッチからなる回転センサ87からの信号によりスプール12の回転量により釣り糸の繰り出し長さを算出し、それにより液晶表示装置を制御する。水深表示部13内には、電池等の電源が収納されている。なお、ハンドル2の装着側に配置された回転速度センサ41からの信号により回転量を算出してもよい。
【0095】
〔実釣時のリールの操作及び動作〕
キャスティングを行うときには、クラッチ操作レバー38を後方に揺動させてクラッチ機構21をクラッチオフ状態にする。また、発音つまみ16及びロックつまみ17を操作してスプール発音機構14及びスプールロック機構15を動作不能状態にする。クラッチオフ状態では、スプール12が自由回転状態になり、キャスティングを行うと仕掛けの重さにより釣り糸がスプール12から勢いよく繰り出される。このキャスティングによりスプール12が回転すると、磁石61がコイル62の内周側を回転して、スイッチ素子63をオンするとコイル62に電流が流れスプール12が制動される。キャスティング時にはスプール12の回転速度は徐々に速くなり、ピークを越えると徐々に減速する。また、スプール12が回転すると、水深表示部13の表示が変化して仕掛けがスプール12から繰り出された量(長さ)が表示される。
【0096】
仕掛けが着水すると、クラッチ操作レバー38を前方に揺動させてクラッチ機構21をクラッチオン状態にするとともに、発音つまみ16を膨出部6aに接近する方向に操作してスプール発音機構14を発音可能状態にする。そして、釣り竿を岩場などに置き竿してアタリを待つ。仕掛けに魚が掛かってアタリがあると、釣り糸が繰り出されることがある。これにより、スプール12が糸繰り出し方向に回転し、発音可能状態にあるスプール発音機構14が発音して釣り人はアタリがあったことを認識できる。
【0097】
また、水中にある岩などに根掛かりした場合には、スプールロック機構15をロック状態にするために、ロックつまみ17をロック位置に操作する。この状態では、スプール12の糸繰り出し方向の回転が直接ロックされる。この状態で釣り糸と釣り竿を一直線上に配置して釣り糸を緊張させ、釣り竿を後方に引っ張って釣り糸の切断を行う。
【0098】
〔制御部の制御動作〕
次に、キャスティング時の制御部55の概略のブレーキ制御について説明する。
【0099】
このスプール制動機構25では、8種類の制動パターンのいずれかで動作する。制動パターンは、強弱調整つまみ43で選択される。なお、制動パターンは、キャスティング開始からの制動時間で制動力(スイッチ素子63のデューティ比)が変化するパターンである。本発明者等は、張力が所定以下になったときに大きな制動力を作用させると、回転速度のピークの手前で仕掛けの姿勢が反転して安定して飛行することを知見した。
【0100】
この回転速度のピークの手前で制動して安定した姿勢で仕掛けを飛行させるために以下の制御を行う。すなわち、キャスティング当初の第1期間では、もっとも高いデューティ比Dn1(nは制動力の段階を示し、1〜8の整数)で短時間強い制動力を作用させて仕掛けを反転させる(第1制動処理)。その後の第2期間では、制動力が徐々に弱くなりかつ途中で一定になる制動力で徐々に制動していくようにデューティ比Dn2を変化させる(第2制動処理)。最後の第3期間では、所定回転数まで下がるまでさらに徐々に弱くなる制動力でスプール12を制動するようにデューティ比Dn3を変化させる(第3制動処理)。このデューティ比Dn1〜Dn3は、強弱調整つまみ43の設定により8段階に変化する。なお、この実施形態では、8段階でデューティ比をシフトさせている。したがって、制御部55は制動時間に応じてスイッチ素子63をオンするデューティ比を3段階で変化させる第1〜第3制動処理を行う。
【0101】
ここでは、回転速度のピーク前に強い制動力で制動すると、第1所定値Fs以下であった張力が急激に大きくなりバックラッシュを防止できるとともに、仕掛けが安定して飛行する。このため、バックラッシュを防止しつつ仕掛けの姿勢を安定させてより遠くに仕掛けをキャスティングできるようになる。
【0102】
また、キャスティング当初のスプールの回転速度に応じて3つの制動処理において異なるデューティ比及び制動時間で制御されるので、同じ設定であってもスプールの回転速度によって異なるデューティ比及び制動時間でスプールが制動される。このため、スプールの回転速度が異なるキャスティングを行っても制動力の調整操作が不要になり、制動力の調整操作にかかる釣り人の負担を軽減できる。
【0103】
さらに、回転子60の側面にコイル62の端面を対向して配置しているので、スプール12の外部にスプール制動機構25を設けても、スプール12の径方向の寸法の増加を抑えることができる。また、コイル62の巻径Dより全長Lが小さいコイル62を用いたので、スプール12外部にスプール制動機構25を設けても、スプール12の軸芯方向の長さの増加を抑えることができる。このため、スプール12の外部にスプール制動機構25を設けても、リールの大型化を抑えることができるようになる。
【0104】
また、スプール発音機構14やスプールロック機構15などの動作機構において、膨出部6aの釣り竿装着側に操作部材としての発音つまみ16やロックつまみ17を配置したので、膨出部6aを利用して力を入れやすい状態で操作部材を操作できる。このため、動作機構の切換操作を容易に行えるようになる。
【0105】
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、レベルワインド機構やハンドル2の糸巻取方向の回転に連動してクラッチ機構21をオフ状態からオン状態に戻すクラッチリターン機構を有さない両軸受リールを例に本発明を説明したが、レベルワインド機構やクラッチリターン機構を有する両軸受リールにも本発明を適用できる。この場合、レベルワインド機構の螺軸やガイド軸等を避けるために回路基板に切欠きを設けてもよい。
【0106】
(b)前記実施形態では、発音つまみ16とロックつまみ17とを平行に配置したが、平行に配置しなくてもよい。また、両つまみ16,17を斜めに配置したが膨出部6aに接離する方向であればどのような方向でもよい。
【0107】
(c)前記実施形態では、動作機構としてスプール発音機構とスプールロック機構とを例示したが、動作機構は、スプールの回転に関連して動作するものであればどのようなものでもよい。たとえば、ハンドル装着側と逆側に配置されたスプール制動機構であってもよい。
【0108】
(d)前記実施形態では、付勢機構26の振り分け部材82に2つの押圧面82a,82bを形成したが、付勢力が弱い押圧面は、傾斜を形成せずにコイルばね83のばね力で動作可能に位置に保持するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の一実施形態による両軸受リールの斜視図。
【図2】その平面図。
【図3】その平面断面図。
【図4】その背面断面図。
【図5】その右側面一部断面図。
【図6】その右側部分の分解斜視図。
【図7】その中央部分の分解斜視図。
【図8】その左側部分の分解斜視図。
【図9】スプール発音機構及びスプールロック機構の動作不能状態を示す図。
【図10】スプール発音機構及びスプールロック機構の動作可能状態を示す図。
【図11】ハンドル軸支持構造の断面部分図。
【図12】付勢機構の構成を示す断面拡大図。
【図13】回路基板の断面図。
【図14】スプール制動機構の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0110】
1 リール本体
2 ハンドル
5 フレーム
6 第1側カバー
6a 膨出部
7 第2側カバー
8 第1側板
9 第2側板
12 スプール
13 水深表示部
14 スプール発音機構(動作機構の一例)
15 スプールロック機構(動作機構の一例)
16 発音つまみ(操作部材、第1操作部材の一例)
17 ロックつまみ(操作部材、第2操作部材の一例)
26 付勢機構
27 シート部材(識別手段の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り竿に装着可能であり、釣り糸が前方に繰り出される両軸受リールであって、
前記釣り糸巻取操作用のハンドルと、
間隔を隔てて対向して配置された第1及び第2側板と、側方に部分的に膨出する膨出部を有し前記第1側板の外方を覆う第1側カバーと、前記第2側板の外方を覆い前記ハンドルの回転軸が支持される第2側カバーと、を有し、前記釣り竿に装着可能なリール本体と、
前記リール本体に回転自在に装着された糸巻用のスプールと、
前記膨出部の内部に収納され、前記スプールの回転に連動して前記釣り糸の先端に装着される仕掛けの水深を電気的に表示可能な水深表示部と、
前記スプールの回転に関連して動作可能であり、動作可能状態と動作不能状態とに切り換え可能な動作機構と、
前記膨出部より前記釣り竿装着側に配置され、前記膨出部と接離する方向に移動自在に前記第1側カバーに装着され、前記動作機構を動作可能状態と動作不能状態とに切り換えるための操作部材と、
を備えた両軸受リール。
【請求項2】
前記操作部材は、前記膨出部に接近する方向に操作されると、前記動作機構は動作可能状態になる、請求項1に記載の両軸受リール。
【請求項3】
前記操作部材は、前記動作可能状態となる動作可能位置と、前記動作不能状態となる動作不能位置とに前記膨出部と接離する方向に移動自在に配置され、
前記操作部材を前記動作可能位置と前記動作不能位置とに振り分けて付勢する付勢機構をさらに備える、請求項1又は2に記載の両軸受リール。
【請求項4】
前記付勢機構の付勢力は、前記動作可能位置での付勢力が前記動作不能位置での付勢力より小さい、請求項3に記載の両軸受リール。
【請求項5】
前記動作機構は、前記スプールが回転すると発音する前記動作可能状態としての発音可能状態と、前記スプールが回転しても発音しない前記動作不能状態としての発音不能状態とに切換可能なスプール発音機構を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の両軸受リール。
【請求項6】
前記動作機構は、前記スプールの糸繰り出し方向の回転をロックする前記動作可能状態としてのロック状態とロックしない前記動作不能状態としてのロック解除状態とに切換可能なスプールロック機構を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の両軸受リール。
【請求項7】
前記操作部材は、前記スプール発音機構を操作するための第1操作部材と、前記スプールロック機構を操作するための第2操作部材と、を有する、請求項6に記載の両軸受リール。
【請求項8】
前記第1操作部材と前記第2操作部材は、前記膨出部と接離する方向に移動するように互いに平行に配置されている、請求項7に記載の両軸受リール。
【請求項9】
前記第1側カバーは円形状であり、
前記第1操作部材は、前記第1側カバーの実質的に直径に沿う方向に移動するように配置されている、請求項7又は8に記載の両軸受リール。
【請求項10】
前記動作機構が前記動作可能状態にあることを識別する識別手段をさらに備える、請求項1から9のいずれか1項に記載の両軸受リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−178316(P2008−178316A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13090(P2007−13090)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】