説明

両開き式カーテンの交叉ランナー

【課題】 両開き式カーテンを閉じたときに、重ね合わせしたカーテンの先端部が襞の復元等で戻ることを防止する。
【解決手段】
両開き式カーテン1のカーテン2,6の先端部2a,6a同士が室内外方向に重なり合うように、カーテンレール3の内部に移動可能に設けられ、一方のカーテン2の先端部2a,6aを案内する両開き式カーテンの交叉ランナー10であって、この交叉ランナー10に、他方のカーテン6の先端部6aと衝接して、両カーテン2,6の先端部2a,6a同士の重なり合い状態を維持する可撓性の舌片14を室内外方向に突設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両開きカーテンの中央部先端を案内する交叉ランナーであって、詳しくは両カーテンの重なり状態を維持する機能を有するカーテンレール用の交叉ランナーに関する。
【背景技術】
【0002】
窓の内側に遮光幕として開閉自在に設けられるカーテンは、カーテンレールの走行路を走行する複数のランナーによって吊り下げられ、電動式の場合にはこのランナーに引き紐を連結してカーテンを開閉操作し、また手引きの場合にはカーテンの先端部を直接手で引いて開閉している。
上記カーテンには、一枚物を片開きするものと二枚ものを左右に開閉する両開きのものとがあり、後者の両開き式では、カーテンを閉じ合わせした遮蔽時にとじ合わせ部分に隙間を生じないようマグネットを用いた先頭ランナーを配置している。しかしながら、双方の先頭ランナーが衝接した際の反動やカーテンの襞の復元力などによってカーテンが開方向へ戻され、双方のカーテンのとじ合わせ部分に隙間が生じることがあった。
【0003】
この対策として、先頭ランナーのいずれか一方または双方にハンガーブラケットをカーテンレールと平行に突設し、該ハンガーブラケットに自身の側のカーテンの先端部を吊持させて、双方のカーテンをとじ合わせた際に、これらカーテンの先端部同士が室内外方向に重なるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平5−199932号公報
【特許文献2】特開平8−215031号公報
【特許文献3】特開平9−28555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1では、先頭ランナーの一側方にハンガーブラケットとカーテンの先端部とが位置するために、先頭ランナーにハンガーブラケットとカーテンの重量が常に偏荷重として作用し、カーテンを開閉する際に先頭ランナーの安定した走行が期待できない。
そこで、上記特許文献2,3では、先頭ランナーにスライダやガイドローラを組み合わせ、これらをカーテンレールと契合させることにより先頭ランナーの姿勢を保持するようにしているが、先頭ランナーの重量が嵩んだりコスト高であるばかりか、先頭ランナーがハンガーブラケットとカーテンの重量を偏荷重として受けながら走行するのに変わりなく、カーテンの開閉操作に負荷を与えるものとなっている。
本発明はこれらの問題点を解決したもので、開閉時の操作や先頭ランナーの走行に何ら抵抗を与えることがなく、また簡単な構造でカーテンを隙間なく閉じ合わせできる両開き式カーテンの交叉ランナーを安価に提供することを目的としている。
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の両開き式カーテンの交叉ランナーは、両開き式カーテンの双方のカーテンの先端部同士が室内外方向に重なり合うように、カーテンレールの内部に移動可能に設けられ、前記カーテンの一方の先端部を案内する両開き式カーテンの交叉ランナーにおいて、該交叉ランナーに、前記カーテンの一方の先端部と重なり合う前記カーテンの他方の先端部と、前記カーテンレールの内部を移動して前記カーテンの他方の先端部を案内する交叉ランナーまたは先頭ランナーとのいずれかと衝接して、前記両カーテンの先端部同士の重なり合い状態を維持する舌片を室内外方向に突設したことを特徴としている。
本発明の舌片は、可撓性材料で形成してもよく、あるいは交叉ランナーと一体に形成してもよい。
【0007】
交叉ランナーから窓部の内外方向へ突出する舌片は、双方のカーテンを閉じ合わせして、双方のカーテンの先端部同士が室内外方向に重なり合った際に、その先端が他方のカーテンの先端部か、あるいは他方のカーテンの先端部を案内する交叉ランナーと先頭ランナーとのいずれかと衝接し、他方のカーテンの先端部と舌片との適度な摩擦力によって、両カーテンの先端部同士の重なり合い状態を維持する。
【0008】
舌片と他方のカーテンの先端部との衝接、または舌片と他方のカーテンの先端部を案内する交叉ランナーと先頭ランナーとのいずれかと衝接は、双方のカーテンを閉じ合わせしてこれらの先端部同士が室内外方向に重なり合ったときのみに限られ、カーテンを開方向に引いて先端部同士の重なり状態が解除された際に、舌片は他方のカーテンの先端部と、これを案内する交叉ランナーと先頭ランナーのいずれにも衝接しない。
したがって、カーテンの先端部同士が室内外方向に重合しない時には、舌片はいずれの部材とも衝接しないので、カーテンを軽い操作で開閉できる。
【0009】
他方のカーテンや交叉ランナーあるいは先頭ランナーとの衝接力を増すために、舌片の全体を可撓性材料で形成することとも好ましいが、そのほか舌片の先端を、三角形や波形にとがらせたり梨地等の粗面加工を施してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、双方のカーテンの先端部同士が室内外方向に重なり合った際に、交叉ランナーから室内外方向へ突出させた舌片が、他方のカーテンの先端部か、あるいは他方のカーテンの先端部を案内する交叉ランナーと先頭ランナーとのいずれかと衝接するので、カーテンに開方向の戻り力が作用することがあっても、双方のカーテンのとじ合わせ状態をよく維持することができる。また、交叉ランナーにマグネットなどを埋設する必要がないので安価に製作できる。
さらに、舌片を可撓性材料で形成すると、舌片をカーテンや先頭ランナー,交叉ランナーに弾性力を以て強く衝接するのでより効果的である。また、舌片を交叉ランナーと一体に形成することにより生産性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る両開き式カーテンの交叉ランナーの各実施例を図面に基づいて説明する。
図中、図1〜図3は本発明の第1実施例を示し、図1は交叉ランナーの斜視図、図2は図1の交叉ランナーを用いたカーテンの閉じ状態を示す底面図、図3は同じくカーテンの閉じ状態の途中を示す底面図、図4は本発明の第2実施例を示す交叉ランナーの斜視図である。
【0012】
図1〜図3に示す第1実施例において、交叉ランナー10は、両開き式カーテン1の一方のカーテン2の先頭ランナーとして用いられるもので、該交叉ランナー10は、板状のランナー本体11の上部前後に、カーテンレール3内の走行路(図示せず)を走行するための車輪12,12を左右に備え、ランナー本体11の下部後端にカーテン取付け用の吊り下げ孔13aを備えるとともに、ランナー本体11の下部先端から一側方へ変位し、かつランナー本体11の前方へ該ランナー本体11と並行に張り出し片11aが突出しており、該張り出し片11aの先端側に、カーテン取付け用の吊り下げ孔13bとカーテン戻り防止用の舌片14とが設けられている。
【0013】
ランナー本体11は、張り出し片11aとともに硬質の合成樹脂板や金属板等の剛性材料によって一体に成形されており、先端側には、軟質合成樹脂や合成ゴム等の可撓性材料を薄い板状に形成した舌片14が、接着剤や嵌め合いまたはビス止め等の適宜な固定手段を用いて固着される。
図2,図3は、上記の交叉ランナー10を一方のカーテン2の先頭ランナーとして用いた様子を示しており、両開き式カーテン1は、窓枠の上部に沿って固着されたカーテンレール3内部の走行路に交叉ランナー10と先頭ランナー4とが走行可能に設けられ、交叉ランナー10には、一方のカーテン2の先端部側がフック5a,5bを吊り下げ孔13a,13bに係止して吊持され、先頭ランナー4には他方のカーテン6の先端部側がフック7を係止して吊持される。
【0014】
交叉ランナー10の張り出し片11aは、カーテンレール3から室内側に偏って配設され、また先端の舌片14が室外方向へ突出配置されており、双方のカーテン2,4を図3のように閉じ合わせした際には、張り出し片11aが先頭ランナー4の室内側に位置して双方のカーテン2,6の先端部2a,6a同士が室内外方向に重ね合わせされ、舌片14の先端が他方のカーテン6の先端部6aと衝接する。
【0015】
舌片14には、前述の通り可撓性材料が用いられているため、図2に示すカーテン2,6の閉じ合わせ状態にあって、その先端が他方のカーテン6の先端部6aと適度な弾性力をもって衝接し、カーテン2,6の襞の復元力やその他カーテン開方向の戻し力が作用しても、舌片14は開閉方向へ柔軟に撓んでこれを許容し、またこれらの復元力や戻し力が作用しなくなった場合には原形状に復帰して先端部2a,6a同士の重なり状態を維持する。
【0016】
また、カーテン2,6の襞の復元力やその他カーテン開方向の戻し力が、舌片14の先端と他方のカーテン6の先端部6aとの衝接力よりも大きい場合には、カーテン2,6が開方向へ引き戻されることとなるが、図3に示すように、舌片14の先端は他方のカーテン6の先端部6aと若干でも衝接していれば、カーテン2,6の先端部2a,6a同士の重ね合わせ状態が維持され、外光の侵入が極力防止される。
【0017】
舌片14に可撓性材料を用いた第1実施例に対して、図4に示す第2実施例の交叉ランナー20は、張り出し片11aの先端部をランナー本体11側へ直角に折り曲げるとともに、先端面を三角形にとがらせて、この折り曲げ片を舌片11bとした点で異なっている。
すなわち、本実施例の舌片11bは、ランナー本体11や張り出し片11aとともに硬質の合成樹脂板や金属板等の剛性材料によって一体に成形されており、第1実施例の舌片14のような可撓性材料による追随性は持たないものの、一体成形による加工性と経済性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施例を示す交叉ランナーの斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例を示すカーテン閉じ状態の底面図である。
【図3】本発明の第1実施例を示すカーテン閉じ状態途中の底面図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す交叉ランナーの斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1…両開き式カーテン
2…一方のカーテン
2a…一方のカーテン2の先端部
3…カーテンレール
4…先頭ランナー
6…他方のカーテン
6a…他方のカーテン6の先端部
10…交叉ランナー
11…ランナー本体
11a…張り出し片
11b…舌片
14…舌片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両開き式カーテンの双方のカーテンの先端部同士が室内外方向に重なり合うように、カーテンレールの内部に移動可能に設けられ、前記カーテンの一方の先端部を案内する両開き式カーテンの交叉ランナーにおいて、
該交叉ランナーに、前記カーテンの一方の先端部と重なり合う前記カーテンの他方の先端部と、前記カーテンレールの内部を移動して前記カーテンの他方の先端部を案内する交叉ランナーまたは先頭ランナーとのいずれかと衝接して、前記両カーテンの先端部同士の重なり合い状態を維持する舌片を室内外方向に突設した
ことを特徴とする両開き式カーテンの交叉ランナー。
【請求項2】
前記舌片が可撓性材料で形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の両開き式カーテンの交叉ランナー。
【請求項3】
前記舌片が前記交叉ランナーと一体に形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の両開き式カーテンの交叉ランナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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