説明

両面テープ製造方法及び両面テープ製造装置

【課題】不要な除去部分を容易に且つ効率良く除去できる両面テープ製造方法を提供する。
【解決手段】2層部材ローラ112から送り出された3層部材と、表面側離型紙ローラ114から送り出された表面側離型紙36とを一対の貼合せローラ116で重ねる。続いて、両面テープ34の除去部分と非除去部分との境界線を切断器118で切断する。次に、表面側離型紙36のうち両面テープ34の除去部分の表面に貼り付けられた部分36aに粘着剤塗布器120で粘着剤38を塗布する。その後、表面側離型紙36のうち粘着剤38が塗布された部分36aを被着体40に付着させて被着体40と共に除去し、続いて、両面テープ34の除去部分34aを被着体42に付着させて除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の記号又は模様を表すように部分的に除去された両面テープを製造する両面テープ製造方法及び両面テープ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製の薄板などをトムソン刃(帯刃)等で打ち抜いて所定形状に加工する技術が知られている。また、表面と裏面に接着剤が付けられた両面テープの両面(表面と裏面)に離型紙を貼り付けておき、この両面テープをトムソン刃(帯刃)などで打ち抜いて所定形状に加工する技術も知られている。ここでいう離型紙とは、両面テープの両面に付けられた接着剤を保護する(不用意に他のものに接触させない)ために、両面テープの両面に貼り付けられて容易に剥がすことのできる樹脂製等の薄板状部材をいう。
【0003】
図7と図8を参照して、両面テープを打ち抜いて所定形状(記号や模様を表す形状)に加工する技術の一例を説明する。
【0004】
図7(a)は、所定の記号を表すように打ち抜かれた両面テープ(製品)を示す斜視図であり、(b)は、(a)を製造する際に除去された両面テープを示す斜視図である。図8(a)は、図7(a)に示す製品の平面図であり、(b)は、(a)の製品を製造する方法を簡略に示すA―A断面図であり、二点鎖線は除去された部分(除去部分)を表す。
【0005】
ここでは、所定の記号として細長い楕円状の枠11の中に「CHIYODA」の文字が描かれた両面テープを製品10とした例を挙げて説明する。図7(a)や図8(b)に示すように、製品10は3層からなり、下層は裏面側離型紙12であり、中層は両面テープ14であり、上層は表面側離型紙16である。裏面側離型紙12と表面側離型紙16の厚さは例えば0.05mm以下であり、両面テープ14の厚さは例えば0.5mm以下である。このような製品10は、例えば、両面テープ14から表面側離型紙16を剥がして、楕円状の枠11と「CHIYODA」の文字に一致する金属製などの文字板を貼り付けた後に裏面側離型紙12を剥がして、これを商品や看板に貼り付けるなどして使用される。
【0006】
上記の製品10を製造するに際しては、図8(b)の実線と二点鎖線で表されるように、下層を裏面側離型紙12とし、中層を両面テープ14とし、上層を表面側離型紙16とした3層構造の半製品を製造し、楕円状の枠11と「CHIYODA」の文字に相当する部分(非除去部分)と後工程で除去する部分(除去部分)20との境界線を、表面側離型紙16の側から表面側離型紙16と共に切断する(ハーフカット)して、直線や曲線からなる複数本の切断線(切れ目)Cを形成する。その後、楕円状の枠11と「CHIYODA」の文字に相当する部分(非除去部分)以外の部分(除去部分)20を手作業で除去する。除去された除去部分20は、図7(b)や図8(b)に示すように両面テープの一部(除去部分)24と表面側離型紙の一部26からなる。
【0007】
上記のように除去部分20を手作業で除去する作業は、作業効率が非常に悪くて時間がかかる。また、複数本の切断線Cを形成した後に除去部分20を除去するまでに時間が経過した場合は、両面テープの接着剤が切断線Cにはみ出してくるおそれがあり、除去部分20の除去にいっそう手間がかかることがある。
【0008】
ところで、上記のように半製品から除去部分20を除去する技術としては、回転ドラムを用いて除去部分を除去して落下させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−128698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記の技術では、表面から裏面まで打ち抜いた(表面から裏面まで切れ目が形成された)半製品から除去部分を除去するので、両面テープの片面(例えば裏面)に貼り付けた離型紙を除去せずに表面に貼り付けた離型紙を除去することはできない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、不要な除去部分を容易に且つ効率良く除去できる両面テープ製造方法及び両面テープ製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の両面テープ製造方法は、
(1)除去される除去部分と除去されない非除去部分のいずれかに予め決められていると共にその表面と裏面にそれぞれ表面側離型紙と裏面側離型紙が貼り付けられた両面テープの前記除去部分と前記非除去部分との境界線を、前記表面側離型紙の側から該表面側離型紙と共に切断し、
(2)前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布し、
(3)前記表面側離型紙のうち前記粘着剤が塗布された部分をこの粘着剤と共に除去して前記両面テープの前記除去部分を露出させ、
(4)該露出した前記除去部分に被着体を付着させて、該除去部分を該被着体と共に除去することを特徴とする両面テープ製造方法。
【0012】
上記目的を達成するための本発明の他の両面テープ製造方法は、
(5)除去される除去部分と除去されない非除去部分のいずれかに予め決められていると共にその表面と裏面にそれぞれ表面側離型紙と裏面側離型紙が貼り付けられた両面テープの前記除去部分と前記非除去部分との境界線を、前記表面側離型紙の側から該表面側離型紙と共に切断し、
(6)前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布し、
(7)前記粘着剤が塗布された前記表面側離型紙に被着体を付着させて、前記粘着剤が塗布された部分と共に前記被着体を除去して前記両面テープの前記除去部分を露出させ、
(8)該露出した前記除去部分に被着体を付着させて、該除去部分を該被着体と共に除去することを特徴とするものである。
【0013】
また、上記目的を達成するための本発明のさらに他の両面テープ製造方法は、所定の記号又は模様を表すように部分的に除去された部分除去両面テープと、この部分除去両面テープのうち前記記号又は模様を表す非除去部分の表面に貼り付けられた表面側離型紙と、前記部分除去両面テープの裏面の除去部分及び非除去部分双方の全面に貼り付けられた裏面側離型紙とを備えた両面テープを製造する両面テープ製造方法において、
(9)部分的に除去される前の両面テープの表面及び裏面それぞれの全面に表面側離型紙及び裏面側離型紙を貼り付ける離型紙貼り付け工程と、
(10)前記両面テープの前記除去部分と前記非除去部分の境界線を、前記表面側離型紙の側から該表面側離型紙と共に切断する切断工程と、
(11)前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布する粘着剤塗布工程と、
(12)前記粘着剤が塗布された前記表面側離型紙に被着体を付着させることにより、前記表面側離型紙のうち前記粘着剤が塗布された部分を該被着体と共に除去して前記両面テープの除去部分を露出させる除去部分露出工程と、
(13)前記露出した除去部分に被着体を付着させて、該露出した除去部分を該被着体と共に除去する部分除去工程とを含むことを特徴とするものである。
【0014】
ここで、
(14)前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布するに当たり、
(14−1)前記除去部分よりも狭い面積であって、前記除去部分に押し付けられる平坦面が形成された塗布器を準備しておき、
(14−2)前記平坦面に粘着剤を付着させ、
(14−3)該粘着剤が付着した前記平坦面を前記除去部分に押し付けることにより、前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布するようにしてもよい。
【0015】
さらに、
(15)前記裏面側離型紙と共に搬送される板状の粘着体を該裏面側離型紙の裏面に貼り付けておき、
(16)該粘着体を所定の搬送方向に搬送させながら前記両面テープを製造するようにしてもよい。
【0016】
さらにまた、
(17)前記両面テープの前記除去部分は、前記非除去部分によって分断されているものであってもよい。
【0017】
さらにまた、
(18)前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に粘着剤を塗布することに代えて、前記被着体のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に対応する部分に粘着剤を塗布してもよい。
【0018】
また、上記目的を達成するための本発明の両面テープ製造装置は、
(19)除去される除去部分と除去されない非除去部分のいずれかに予め決められていると共にその裏面に裏面側離型紙が貼り付けられた両面テープの表面に表面側離型紙を貼り付ける表面側離型紙貼付器と、
(20)前記両面テープの前記除去部分と前記非除去部分の境界線を、前記表面側離型紙の側から該表面側離型紙と共に切断する切断器と、
(21)前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布する粘着剤塗布器と、
(22)前記粘着剤が塗布された前記表面側離型紙に被着体を付着させることにより、前記表面側離型紙のうち前記粘着剤が塗布された部分を該被着体と共に除去する表面側離型紙除去器と、
(23)該表面側離型紙除去器によって前記表面側離型紙の一部が除去されて露出した前記除去部分に被着体を付着させて、該露出した除去部分を該被着体と共に除去する部分除去器とを備えたことを特徴とするものである。
【0019】
ここで、
(24)前記粘着剤塗布器に代えて、前記被着体のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられる部分に粘着剤を塗布する粘着剤塗布器と、
(25)前記粘着剤が塗布された前記被着体を前記表面側離型紙に付着させることにより、前記表面側離型紙のうち前記粘着剤が付着した部分を該被着体と共に除去する表面側離型紙除去器とを備えてもよい。
【0020】
ここでいう両面テープとは、表面と裏面(両面)に接着剤が予め付けられた樹脂製のもの(以下、テープ)をいい、その厚さは例えば0.5mm以下である。また、ここでいう記号とは、例えば社名や人名を表す文字やマークをいい、模様とは、装飾として施される絵や形をいう。接着剤とは、二つの物質を貼り合わせるために用いる物質をいい、接着剤としては尿素樹脂・エポキシ樹脂など合成樹脂や合成ゴムの類が多数開発されている。離型紙とは、両面テープの両面に付けられた接着剤を保護する(不用意に他のものに接触させない)ために、両面テープの両面に貼り付けられて容易に剥がすことのできる樹脂製等の薄板状部材をいい、その厚さは例えば0.05mm以下である。粘着剤とは、剥がすことのできる一時的な接着に用いられるものをいう。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、両面テープの除去部分と非除去部分との境界線を表面側離型紙の側から表面側離型紙と共に切断し、続いて、表面側離型紙のうち両面テープの除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布し、続いて、粘着剤が塗布された表面側離型紙に被着体を付着させて、粘着剤が塗布された部分と共に被着体を除去して両面テープの除去部分を露出させ、この露出した除去部分に被着体を付着させて、除去部分を被着体と共に除去するので、各工程を自動化でき、除去される除去部分を手作業無しに容易に且つ効率良く除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、所定形状に切断された両面テープを製造する両面テープ製造装置に実現された。
【実施例1】
【0023】
図1から図5までを参照して、本発明の両面テープ製造装置の一例を説明する。
【0024】
図1は、本発明の両面テープ製造装置の一例を示す側面図である。図2(a)は、図1の凸版のB―B断面図であり、凸版の概略構成を表しており、(b)は、凸版と粘着剤塗布ローラを示す斜視図である。図3(a)は、積載された裏面側離型紙と両面テープを示す断面図であり、(b)は、(a)で表す2層構造の上に表面側離型紙が貼り付けられと共に下に微粘着体が貼り付けられた4層構造を示す断面図であり、(c)は、(b)で表す4層構造に切れ目が形成された状態を示す断面図である。図4(a)は、除去部分に粘着剤が塗布された状態を示す断面図であり、(b)は、粘着剤と共に表面側離型紙を除去した状態を示す断面図であり、(c)は、両面テープの除去部分を除去した状態を示す断面図である。図5は、図4(a)の状態を示す斜視図である。これらの図では、両面テープなどの各層の厚さは、見やすくするために、実際よりも厚く表されている。
【0025】
両面テープ製造装置100は、図7(a)に示すように、細長い楕円状の枠11の中に「CHIYODA」の文字が描かれた両面テープ(製品)を製造する装置である。両面テープ製造装置100では、後述するように、各種部材は部材ごとに矢印X1〜X9方向に送られる。2層部材ローラ112には、図3(a)に示すように、裏面側離型紙32及び両面テープ34がこの順に積層されたロール状のものが巻き付けられており、矢印X1方向に送り出される(引き出される)。2層部材ローラ112の下方にはキャリアローラ111が配置されており、このキャリアローラ111には、表面に微粘着体離型フィルムが貼られた微粘着体(キャリア)30がロール状に巻かれている。キャリアローラ111からは微粘着体(キャリア)30が矢印X8方向に送り出される(引き出される)と共に、微粘着体(キャリア)30の表面に貼られていた微粘着体離型フィルムが矢印X9方向に送り出されて巻取ローラ110に巻き取られる。この微粘着体(キャリア)30は、後述するように一対の貼合せローラ116によって裏面側離型紙32の裏面に貼り付けられる。
【0026】
表面側離型紙ローラ114には、両面テープ34の表面に貼り付けられる表面側離型紙36がロール状に巻き付けられており、矢印X2方向に送り出される(引き出される)。微粘着体(キャリア)30としては、例えば、日栄化工株式会社製の加工用粘着シートが使用される。裏面側離型紙32としては、例えば、住友スリーエム株式会社製のアクリルフォームテープ用ライナーが使用される。また、両面テープ34としては、例えば、住友スリーエム株式会社製のアクリルフォームテープが使用される。表面側離型紙36としては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製の片面シリコン紙セパレーターが使用される。
【0027】
キャリアローラ111から送り出された微粘着体(キャリア)30と、2層部材ローラ112から送り出された2層部材(裏面側離型紙32と両面テープ34がこの順に積層されたもの)と、表面側離型紙ローラ114から送り出された表面側離型紙36とは一対の貼合せローラ116(本発明にいう、表面側離型紙貼付器の一例である)で重なって、図3(b)に示すように貼り合わされる。ここまでの工程が、本発明にいう、部分的に除去される前の両面テープ34の表面及び裏面それぞれの全面に表面側離型紙36及び裏面側離型紙32を貼り付ける離型紙貼り付け工程の一例である。
【0028】
両面テープ34には、除去される除去部分34a(図4等参照)と除去されない非除去部分(34b図4等参照)が予め決められており、この非除去部分34bによって、図7(a)に示すように、細長い楕円状の枠11と「CHIYODA」の文字が構成される。即ち、除去部分34aは、最終的には除去されて廃棄される部分となる。また、図7に明確に示すように、除去部分34aは非除去部分34bによって分断されている。上記の除去部分34aと非除去部分34bとの境界線を切断する(境界線に切れ目を形成する)機器が切断器118である。この切断器118には、上記の境界線に一致する帯状の刃が固定されたビク型118aが備えられている。図3(b)に示す状態の積層体(両面テープ34など)が切断器118に搬送されてこの搬送が一時的に停止し、ビク型118aを下降させることにより、両面テープ34の除去部分34aと非除去部分34bの境界線が、表面側離型紙36の側から表面側離型紙36と共に切断されて、図3(c)に示すような切れ目Cが、上記の除去部分34aと非除去部分34bとの境界線に形成される。この工程が、本発明にいう切断工程の一例である。
【0029】
切れ目Cが形成された両面テープ34と表面側離型紙36及び切れ目Cが形成されていない裏面側離型紙32と微粘着体30は、積層された状態のまま、粘着剤を塗布する粘着剤塗布器120に送られる。この粘着剤塗布器120には、図2(a)に示すように、図4(a)に示す非除去部分34b(36b)の平面に相当する部分が凹部になった凸版120aが備えられている。この凸版120aに形成された凹部の開口の面積は、図7(b)に示す非除去部分34bの面積(又は、図4に示す36aの平坦面の面積)よりも一回り広くなっている。凸版120aの平坦面には常に粘着剤が付着されるように構成されており、この構成は、例えば、印鑑に朱肉を付けるような構成となる。
【0030】
粘着剤塗布器120の構成は、図2に示すように、凸版120aと、この凸版120aの平坦面に粘着剤を付ける粘着剤塗布ローラ120b、120cと、粘着剤が収容された粘着剤収容器120dとを備えている。2つの粘着剤塗布ローラ120b、120cがローラチェーン120eによって回転しながら交互に粘着剤収容器120dに接触して、各ローラ120b、120cの外周面に粘着剤が付けられ、この粘着剤が凸版120aの平坦部に付けられる。これにより、図4(a)や図5に示すように、表面側離型紙36のうち両面テープ34の除去部分34aの表面に貼り付けられた部分36aに粘着剤38が塗布される。なお、インクジェット方式の画像形成装置が周知であるが、粘着剤塗布器120として、インクジェット方式画像形成装置の記録ヘッドを採用して、インクに代えて粘着剤を吐出するように構成してもよい。
【0031】
図3(c)に示す状態の積層体(両面テープ34など)が粘着剤塗布器120に搬送されて一時的に停止する。このときの停止位置は、凸版120aの凹部が非除去部分34b(36b)を覆うように(覆い隠すように)予め決められており、位置センサ等によって積層体が適宜の位置に停止するように構成されている。積層体が停止しているときに粘着剤塗布器120の凸版120aを下降させて、図4(a)や図5に示すように、表面側離型紙36のうち両面テープ34の除去部分の表面に貼り付けられた部分36aに粘着剤38を塗布する。この工程が、本発明にいう粘着剤塗布工程の一例である。この工程では、除去部分の表面のうち周縁よりもやや内側の面に粘着剤が塗布される。即ち、除去部分の全表面に粘着剤を塗布せずに、全表面よりも一回り狭い面に粘着剤を塗布する。この理由は、表面側離型紙36のうち両面テープ34の非除去部分34bの表面に貼り付けられた部分36bに粘着剤38が塗布されることを防止するためである。
【0032】
図4(a)や図5に示す状態の積層体(粘着剤38が塗布された表面側離型紙36など)は、粘着剤38を半(やや)乾燥させる乾燥器122に送られる。この乾燥器122では紫外線を利用して粘着剤38を半乾燥させる。
【0033】
乾燥器122を通過した積層体(半乾燥した粘着剤38が付着している表面側離型紙36など)は、表面側離型紙36のうち粘着剤38が塗布された部分36aを除去する一対の表面側離型紙除去ローラ124(本発明にいう、表面側離型紙除去器の一例である。)に送られる。この表面側離型紙除去ローラ124には、この上方に位置する被着体供給ローラ126から矢印X4方向に被着体40(例えば、薄い紙)が供給される。供給された被着体40は一対の表面側離型紙除去ローラ124のニップ部によって粘着剤38に押し付けられてこれに付着する。このように粘着剤38に押し付けられた被着体40は、一対の表面側離型紙除去ローラ124のニップ部を通過した後に矢印X5方向に送られて巻取りローラ128に巻き取られる。これにより、図4(b)に示すように、表面側離型紙36のうち粘着剤38が塗布された部分36aは被着体40に付着してこの被着体40と共に除去されて巻取りローラ128に巻き取られる。巻取りローラ128に巻き取られなかった(残された)積層体では、図4(b)に示すように、微粘着体30、裏面側離型紙32、両面テープ34、及び表面側離型紙36の非除去部分36bがこの順に積層されており、両面テープ34の除去部分34aが露出している。この状態では、製品10(図7(a)参照)に近い構造となる。この工程が、本発明にいう除去部分露出工程の一例である。
【0034】
上記のようにして両面テープ34の除去部分34aが露出した積層体は、この除去部分34aを除去する一対の部分除去ローラ130(本発明にいう、部分除去器の一例である。)に送られる。この部分除去ローラ130には、この上方に位置する被着体供給ローラ132から矢印X6方向に被着体42(例えば、薄い紙)が供給される。供給された被着体42は一対の部分除去ローラ130のニップ部によって両面テープ34の除去部分34a及び表面側離型紙36の非除去部分36bに押し付けられる。このように押し付けられても、表面側離型紙36の非除去部分36bの表面には接着剤や粘着剤が付いていないので、この表面と被着体42とは接着しない。しかし、上記のように押し付けられることにより、両面テープ34の除去部分34aの表面には接着剤がついているので、この表面と被着体42とは接着する。
【0035】
上記のように両面テープ34の除去部分34aに押し付けられた被着体42は、一対の部分除去ローラ130のニップ部を通過した後に矢印X7方向に送られて巻取りローラ134に巻き取られる。これにより、図4(c)に示すように、両面テープ34の除去部分34aは被着体42と共に除去されて巻取りローラ134に巻き取られる。巻取りローラ134に巻き取られなかった(残された)積層体は、図4(c)に示すように、微粘着体30、裏面側離型紙32、両面テープ34の非除去部分34b、及び表面側離型紙36の非除去部分36bがこの順に積層されて製品10(図7(a)参照)となる。この工程が、本発明にいう部分除去工程の一例である。
【0036】
製品10は、微粘着体30に微粘着された状態のまま製品巻取りローラ136に巻き取られる。この製品10を出荷する場合は、微粘着体30から製品10を剥がして梱包する。
【0037】
以上説明したように両面テープ製造装置100では、両面テープ34の除去部分34aを、人手ではなくて被着体42に接着させて除去するので、容易に且つ効率良く除去部分34aを除去できることとなる。
【0038】
図6を参照して、上記した両面テープ製造装置100の変形例を説明する。
【0039】
図6は、本発明の両面テープ製造装置の変形例を示す側面図である。この図では、図1に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付されている。
【0040】
上記した両面テープ製造装置100では、粘着剤塗布器120によって表面側離型紙36の表面に選択的に粘着剤38を塗布する構成としたが、変形例の両面テープ製造装置200では、粘着剤塗布器120によって、表面側離型紙36ではなくて被着体40の表面に選択的に粘着剤38を塗布する構成とした。
【0041】
表面に選択的に粘着剤38が塗布された被着体40は反転され(図6では矢印で示すように、表面と裏面が反転され)、ローラ対220によって表面側離型紙36に貼り付けられる。その後は、図4(b)に示す工程と同じ工程となる。このような工程にした場合、紫外線を利用して粘着剤38を半乾燥させる乾燥器122では、微粘着体30、裏面側離型紙32、両面テープ34、表面側離型紙36に紫外線が照射されないので、これらの材料として紫外線硬化型のものを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の両面テープ製造装置の一例を示す側面図である。
【図2】(a)は、凸版のB―B断面図であり、粘着剤塗布器の概略構成を表しており、(b)は、凸版と粘着剤塗布ローラを示す斜視図である。
【図3】(a)は、積載された裏面側離型紙と両面テープを示す断面図であり、(b)は、(a)で表す2層構造の上に表面側離型紙が貼り付けられと共に下に微粘着体が貼り付けられた4層構造を示す断面図であり、(c)は、(b)で表す4層構造に切れ目が形成された状態を示す断面図である。
【図4】(a)は、除去部分に粘着剤が塗布された状態を示す断面図であり、(b)は、粘着剤と共に表面側離型紙を除去した状態を示す断面図であり、(c)は、両面テープの除去部分を除去した状態を示す断面図である。
【図5】図4(a)の状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の両面テープ製造装置の変形例を示す側面図である。
【図7】(a)は、所定の記号を表すように打ち抜かれた両面テープ(製品)を示す斜視図であり、(b)は、(a)を製造する際に除去された両面テープを示す斜視図である。
【図8】(a)は、図7(a)に示す製品の平面図であり、(b)は、(a)の製品を製造する方法を簡略に示すA―A断面図であり、二点鎖線は除去された部分(除去部分)を表す。
【符号の説明】
【0043】
10 製品
30 微粘着体(キャリア)
32 裏面側離型紙
34 両面テープ
34a 除去部分
34b 非除去部分
36 表面側離型紙
40、42 被着体
100 両面テープ製造装置
118 切断器
120 粘着剤塗布器
124 表面側離型紙除去ローラ
130 部分除去ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除去される除去部分と除去されない非除去部分のいずれかに予め決められていると共にその表面と裏面にそれぞれ表面側離型紙と裏面側離型紙が貼り付けられた両面テープの前記除去部分と前記非除去部分との境界線を、前記表面側離型紙の側から該表面側離型紙と共に切断し、
前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布し、
前記表面側離型紙のうち前記粘着剤が塗布された部分をこの粘着剤と共に除去して前記両面テープの前記除去部分を露出させ、
該露出した前記除去部分に被着体を付着させて、該除去部分を該被着体と共に除去することを特徴とする両面テープ製造方法。
【請求項2】
除去される除去部分と除去されない非除去部分のいずれかに予め決められていると共にその表面と裏面にそれぞれ表面側離型紙と裏面側離型紙が貼り付けられた両面テープの前記除去部分と前記非除去部分との境界線を、前記表面側離型紙の側から該表面側離型紙と共に切断し、
前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布し、
前記粘着剤が塗布された前記表面側離型紙に被着体を付着させて、前記粘着剤が塗布された部分と共に前記被着体を除去して前記両面テープの前記除去部分を露出させ、
該露出した前記除去部分に被着体を付着させて、該除去部分を該被着体と共に除去することを特徴とする両面テープ製造方法。
【請求項3】
所定の記号又は模様を表すように部分的に除去された部分除去両面テープと、この部分除去両面テープのうち前記記号又は模様を表す非除去部分の表面に貼り付けられた表面側離型紙と、前記部分除去両面テープの裏面の除去部分及び非除去部分双方の全面に貼り付けられた裏面側離型紙とを備えた両面テープを製造する両面テープ製造方法において、
部分的に除去される前の両面テープの表面及び裏面それぞれの全面に表面側離型紙及び裏面側離型紙を貼り付ける離型紙貼り付け工程と、
前記両面テープの前記除去部分と前記非除去部分の境界線を、前記表面側離型紙の側から該表面側離型紙と共に切断する切断工程と、
前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布する粘着剤塗布工程と、
前記粘着剤が塗布された前記表面側離型紙に被着体を付着させることにより、前記表面側離型紙のうち前記粘着剤が塗布された部分を該被着体と共に除去して前記両面テープの除去部分を露出させる除去部分露出工程と、
前記露出した除去部分に被着体を付着させて、該露出した除去部分を該被着体と共に除去する部分除去工程とを含むことを特徴とする両面テープ製造方法。
【請求項4】
前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布するに当たり、
前記除去部分よりも狭い面積であって、前記除去部分に押し付けられる平坦面が形成された塗布器を準備しておき、
前記平坦面に粘着剤を付着させ、
該粘着剤が付着した前記平坦面を前記除去部分に押し付けることにより、前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布することを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の両面テープ製造方法。
【請求項5】
前記裏面側離型紙と共に搬送される板状の粘着体を該裏面側離型紙の裏面に貼り付けておき、該粘着体を所定の搬送方向に搬送させながら前記両面テープを製造することを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の両面テープ製造方法。
【請求項6】
前記両面テープの前記除去部分は、前記非除去部分によって分断されているものであることを特徴とする請求項1から5までのうちのいずれか一項に記載の両面テープ製造方法。
【請求項7】
前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に粘着剤を塗布することに代えて、前記被着体のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に対応する部分に粘着剤を塗布することを特徴とする請求項1から6までのうちのいずれか一項に記載の両面テープ製造方法。
【請求項8】
除去される除去部分と除去されない非除去部分のいずれかに予め決められていると共にその裏面に裏面側離型紙が貼り付けられた両面テープの表面に表面側離型紙を貼り付ける表面側離型紙貼付器と、
前記両面テープの前記除去部分と前記非除去部分の境界線を、前記表面側離型紙の側から該表面側離型紙と共に切断する切断器と、
前記表面側離型紙のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられた部分に粘着剤を塗布する粘着剤塗布器と、
前記粘着剤が塗布された前記表面側離型紙に被着体を付着させることにより、前記表面側離型紙のうち前記粘着剤が塗布された部分を該被着体と共に除去する表面側離型紙除去器と、
該表面側離型紙除去器によって前記表面側離型紙の一部が除去されて露出した前記除去部分に被着体を付着させて、該露出した除去部分を該被着体と共に除去する部分除去器とを備えたことを特徴とする両面テープ製造装置。
【請求項9】
前記粘着剤塗布器に代えて、前記被着体のうち前記両面テープの前記除去部分の表面に貼り付けられる部分に粘着剤を塗布する粘着剤塗布器と、
前記粘着剤が塗布された前記被着体を前記表面側離型紙に付着させることにより、前記表面側離型紙のうち前記粘着剤が付着した部分を該被着体と共に除去する表面側離型紙除去器とを備えたことを特徴とする請求項8に記載の両面テープ製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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