説明

両面印刷装置及び両面印刷方法

【課題】表面と裏面の印刷速度が異なる場合にも、全体として効率的に早く印刷可能な両面印刷装置を提供すること
【解決手段】実施形態の両面印刷装置は、印刷用紙の一方の面に印刷するように設けられ、テキストデータを印刷する第1の記録ヘッドと、前記印刷用紙の他方の面に印刷するように設けられ、前記第1の記録ヘッドより記録速度が遅く、グラフィックデータを印刷する第2の記録ヘッドと、受信したデータを分析しこのデータが、テキストデータならば前記第1の記録ヘッドにより印刷しグラフィックデータならば前記第2の記録ヘッドにより印刷するように、データの変換を行うデータ変換手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、用紙の表面と裏面に印刷する両面印刷装置及び両面印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタやインクジェット記録装置では、印刷する用紙の表裏、両面に印刷を行う両面印刷装置が知られている。このような両面装置では、印刷時に印刷面だけでなくその対応する裏面でも所定の状態にする必要があるので、表面印刷機構と、裏面印刷機構を全く同じ位置に設けることは困難であり、通常、少しずれた位置に設けられる。印刷データがテキストデータとグラフィックデータであるとして、これらが混在すると、印刷用紙の搬送速度を遅い方のグラフィックデータの印刷速度に常に合わせる必要があり、全体としての印刷速度が遅くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−286147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述のように表面と裏面の印刷速度が異なる場合にも、全体として効率的に早く印刷可能な両面印刷装置及び両面印刷方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の両面印刷装置は、印刷用紙の一方の面に印刷するように設けられ、テキストデータを印刷する第1の記録ヘッドと、前記印刷用紙の他方の面に印刷するように設けられ、前記第1の記録ヘッドより記録速度が遅く、グラフィックデータを印刷する第2の記録ヘッドと、受信したデータを分析しこのデータが、テキストデータならば前記第1の記録ヘッドにより印刷しグラフィックデータならば前記第2の記録ヘッドにより印刷するように、データの変換を行うデータ変換手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一実施形態の両面印刷装置の構成を示す図である。
【図2】一実施形態において受信データと印刷データの関係を示す図である。
【図3】一実施形態の動作を説明するための図である。
【図4】一実施形態において、表裏面のデータなしがある場合の受信データと印刷データの関係を示す図である。
【図5】図1に示す一実施形態において、印刷距離Wがヘッド間隔Dより小さい場合のヘッドの関係を示す図である。
【図6】図5の関係がある場合の印刷用紙の搬送速度の変化を示す図である。
【図7】一実施形態において、印刷距離Wがヘッド間隔Dより大きい場合のヘッドの関係を示す図である。
【図8】図7の関係がある場合の印刷用紙の搬送速度の変化を示す図である。
【図9】一実施形態において、印刷データに表面データがない場合の印刷用紙の搬送速度の変化を示す図である。
【図10】一実施形態において、印刷データに裏面データがない場合の印刷用紙の搬送速度の変化を示す図である。
【図11】薄膜サーマルヘッドが厚膜サーマルヘッドよりも下流側にある場合であって、印刷距離Wがヘッド間隔Dより小さい場合の印刷用紙の搬送速度の変化を示す図である。
【図12】薄膜サーマルヘッドが厚膜サーマルヘッドよりも下流側にある場合であって、印刷距離Wがヘッド間隔Dより大きい場合の印刷用紙の搬送速度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0008】
実施形態のサーマルヘッドによる両面印刷装置の構成例を図1に示す。印刷のために受信するデータは、テキストデータとグラフィックデータの2種類があり、印刷搬送機構部では、例えば用紙の表面印刷の位置にテキストデータの印刷に適した薄膜構造のサーマルヘッドが設けられ、裏面印刷の位置にグラフィックデータの印刷に適した厚膜構造のサーマルヘッドが設けられる。この両面印刷装置において、受信したテキストデータとグラフィックデータの印刷は、印刷用紙の表面になされても裏面になされてもよいものとする。印刷用紙は、例えば熱により発色する感熱用紙である。
【0009】
なお、ここでは、テキストデータの印刷に用いるサーマルヘッドを薄膜構造のサーマルヘッドといい、発熱抵抗体の厚みがこの薄膜構造のサーマルヘッドより厚い発熱抵抗体を有するサーマルヘッドを厚膜構造のサーマルヘッドという。
【0010】
また、ここでいうテキストデータは、一面すべてのデータがテキストデータである必要はなく、一面の全データに対するテキストデータの割合が予め設定した以上であればよい。更に、グラフィックデータについても、一面すべてのデータがグラフィックデータである必要はなく、一面の全データに対するグラフィックデータの割合が予め設定した以上であればよい。
【0011】
<第1の実施形態>
両面印刷装置は、印刷のためのデータを受信するデータ受信部11と、この受信データの表面データ(表面受信データ)を検知する表面受信データ検知部12aと、受信データの裏面データ(裏面受信データ)を検知する裏面受信データ検知部12bと、これらのデータや検知部12a,12bからの受信データを受けて必要に応じて、裏面あるいは表面のデータに変換する受信データ変換部13と、受信データ変換部13において変換されないあるいは変換された表面印刷データを記憶する表面印刷データ記憶部14aと、受信データ変換部13において変換されないあるいは変換された裏面印刷データを記憶する裏面印刷データ記憶部14bと、表面印刷データの印刷を制御する表面印刷制御部15aと、裏面印刷データの印刷を制御する裏面印刷制御部15bと、実際の表面と裏面の印刷を行い、用紙の搬送を行う印刷搬送機構部16と、用紙搬送速度制御部17を有する。
【0012】
印刷搬送機構部16は、表面印刷制御部15aに制御され印刷用紙Sの表面の印刷を行うように表面側に設けられた薄膜サーマルヘッド21aと、この薄膜サーマルヘッド21aの下流側で裏面印刷制御部15bに制御され印刷用紙Sの裏面の印刷を行うように裏面側に設けられた厚膜サーマルヘッド21bと、薄膜サーマルヘッド21aに対向して印刷用紙Sの裏面側に設けられたプラテンローラ22aと、厚膜サーマルヘッド21bに対向して印刷用紙Sの表面側に設けられたプラテンローラ22bと、厚膜サーマルヘッド21bとプラテンローラ22bの下流側の表裏面各々に設けられた用紙搬送ローラ23a,23bとを有する。
【0013】
用紙搬送速度制御部17は、用紙搬送ローラ23a,23bの回転速度を制御して、印刷用紙Sの搬送速度を制御する。
【0014】
受信した表裏面データに対応して適切に表裏面に印刷するための変換の有無を図2に示す。この変換は受信データ変換部13が行い、受信された表面データがグラフィックデータのとき、印刷のために裏面データに変換し、受信された裏面データがテキストデータのとき、印刷のために表面データに変換する。グラフィックデータかテキストデータかの検知、分析は、表面受信データ検知部12a,裏面受信データ検知部12b及び受信データ変換部13で行われる。
【0015】
図2に示すように、受信データの表面データがテキストデータのときとグラフィックデータのとき、及び裏面データがグラフィックデータのときとテキストデータのときで、4通りの場合がある。その受信データに応じて変換されるか変換しないかが決まる。
【0016】
例えば、図2の(1)では、受信データの表面データがテキストデータであり、裏面データがグラフィックデータの場合である。この場合、印刷搬送機構部16の印刷用紙の表面側にはテキストデータに適している薄膜サーマルヘッド21aが設けられ、裏面側にはグラフィックデータの印刷に適している厚膜サーマルヘッド21bが設けられているので、受信データ変換部13において、受信データを変換する必要がない。したがって、(1)の場合には変換なしとなる。
【0017】
また、例えば図2(4)は、受信データの表面データ及び裏面データが共に、グラフィックデータの場合である。グラフィックデータは印刷用紙Sの裏面側に設けられている厚膜サーマルヘッド21bで印刷することが好ましい。そこで、(4)の場合には、受信データの表面データであるグラフィックデータを印刷のために裏面データに変換する。したがってこの場合、裏面側の印刷データとして、受信データの裏面データであるグラフィックデータのほかに表面データのグラフィックデータがあり、2つのグラフィックデータが裏面側で厚膜サーマルヘッド21bにより印刷されることになる。
【0018】
図3に示すフローチャートを用いてこの実施形態の両面印刷装置の動作を、印刷面を中心に説明する。図3のステップS301で、図1に示すデータ受信部11において、印刷のためのデータ(受信データ)を受信する。次のステップS302では、表面受信データ検知部12aにおいて、受信した表面データがテキストデータであるか検知する。
【0019】
表面の印刷に用いられる薄膜サーマルヘッド21aはテキストデータの印刷に適するので、表面受信データがテキストデータならば(S302;Y)、ステップS303において、表面印刷データとしてテキストデータをセットする。次のステップS304では、裏面受信データ検知部12bにおいて、受信した裏面データがグラフィックデータであるか否かを検知する。裏面側の印刷には厚膜サーマルヘッド21bが設けられており、これはグラフィックデータの印刷に適するので、受信した裏面データがグラフィックデータの場合(S304;Y)には、受信データを変換することなく、受信データ変換部13は、表面データであるテキストデータを表面印刷データ記憶部14aに送り、裏面データであるグラフィックデータを裏面印刷データ記憶部14bに送る。
【0020】
ステップS305では、表面印刷制御部15aの制御により薄膜サーマルヘッド21aで印刷用紙Sの表面にテキストデータを印刷する。また裏面印刷制御部15bの制御により厚膜サーマルヘッド21bで印刷用紙Sの裏面にグラフィックデータを印刷する。これは図2(1)の場合に該当する。
【0021】
ステップS304で、受信した裏面データがテキストデータであった場合(S304;N)には、受信データ変換部13で、この裏面データを表面データに変換し、ステップS306で、裏面データのテキストデータを表面にセットする。したがって、この場合には、受信データ変換部13から、受信された表面データと裏面データの2つのテキストデータが表面印刷データ記憶部14aに送られ、薄膜サーマルヘッド21aにより印刷用紙の表面に印刷される。この場合は図2(3)に該当する。
【0022】
ステップS302で受信した表面データがグラフィックデータである場合(S302:N)には、ステップS308で裏面にグラフィックデータをセットする。次のステップS309では、裏面受信データ検知部12bにおいて、受信した裏面データがグラフィックデータであるかを検知する。ステップS309でYesの場合には、ステップS310で、表面データとして送られてきたグラフィックデータと裏面データとして送られてきたグラフィックデータの2つのグラフィックデータを裏面で印刷する。
【0023】
即ち、この場合には、表面受信データ検知部12aで検知されたグラフィックデータと裏面受信データ検知部12bで検知されたグラフィックデータが受信データ変換部13で変換され、いずれも裏面印刷データ記憶部14bに送られ、裏面印刷制御部15bの制御の下に、厚膜サーマルヘッド21bにより印刷用紙Sの裏面に2つのグラフィックデータが印刷されることになる。この場合は、図2の(4)の場合に該当する。
【0024】
一方、ステップS309で受信データの裏面データがテキストデータの場合(S309:N)には、ステップS311で裏面データを表面にセットし、ステップS305で、表面にテキストデータを、裏面にグラフィックデータを印刷する。この場合には、図1で、表面受信データ検知部12aにおいて検知されたグラフィックデータを裏面データに、裏面受信データ検知部12bで検知されたテキストデータを表面データになるように受信データ変換部13が変換し、各々、裏面印刷データ記憶部14bと表面印刷データ記憶部14aに送ることになる。この場合、薄膜サーマルヘッド21aで、表面データに変換されたテキストデータを印刷し、厚膜サーマルヘッド21bで、裏面データに変換されたグラフィックデータを印刷する。この場合は図2(2)の場合に該当する。
【0025】
このようにして、受信したテキストデータはその印刷に適切な薄膜サーマルヘッドにより、グラフィックデータはその印刷に適切な厚膜サーマルヘッドにより印刷することができる。
【0026】
上記実施形態では、受信される表面と裏面のデータは必ずテキストデータかグラフィックデータとしていた。しかし、受信データに表裏の一方の面のデータがない場合もありうる。このような場合には、図4に示すように、図2に示した4つのケースのほかに(5)から(8)の4つのケースが増加する。このような場合にも、テキストデータが受信した表面データの場合にはそのまま変換せず、裏面データの場合には表面データに変換し、グラフィックデータが受信した裏面データの場合には変換せず、表面データの場合には裏面データに変換するようにすればよい。
【0027】
<第2の実施形態>
次に、上記第1の実施形態で、表面及び裏面で各々テキストデータ及びグラフィックデータを印刷するときの印刷用紙の搬送速度について制御を行う第2の実施形態について述べる。
【0028】
図1に示すように、印刷用紙Sの表面に印刷を行う薄膜サーマルヘッド21aは、用紙搬送方向に対して上流側に設けられ、厚膜サーマルヘッド21bは下流側に設けられている。図5に示すように、薄膜サーマルヘッド21aと厚膜サーマルヘッド21bの間隔をD、印刷用紙の搬送方向の印刷距離をWとする。
【0029】
この場合、ヘッド間隔Dと印刷距離Wは一般的には異なる。今図5に示すように、印刷距離Wがヘッド間隔Dよりも小さい(W<D)とすると、薄膜サーマルヘッドによる印刷が終わってから厚膜サーマルヘッドによる印刷がなされる。したがって、印刷データとして、表面データ(テキストデータ)と裏面データ(グラフィックデータ)があるとき、図1に示す用紙搬送速度制御部17による印刷用紙の搬送を、図6に示すように行う。
【0030】
図6において、速度V1は印刷を行わないときの印刷用紙の搬送速度であり、速度V2は薄膜サーマルヘッド21aにより表面に印刷するときの用紙の速度であり、速度V3は、厚膜サーマルヘッド21bにより裏面に印刷するときの用紙の搬送速度である。一般的には、速度V1>速度V2>速度V3となる。
【0031】
速度V2は、薄膜サーマルヘッド21aによる印刷速度であり、薄膜サーマルヘッドのみによる印刷の場合には、この印刷速度V2が、印刷用紙の搬送速度になる。厚膜サーマルヘッドのみによる印刷の場合には、速度V3が印刷用紙の搬送速度になる。時間(T2−T1)は印刷距離Wを速度V2で割った時間となり、時間(T4−T3)は印刷距離Wを速度V3で割った時間となる。
【0032】
時刻T0から時刻T1までは、印刷用紙に印刷しないでV1で搬送され、時刻T1から時刻T2迄は、薄膜サーマルヘッド21aにより、速度V2で表面データの印刷を行い、時刻T2から時刻T3迄は印刷しないで速度V1で搬送し、時刻T3から時刻T4迄は、速度V3により厚膜サーマルヘッド21bにより裏面データの印刷を行う。
【0033】
一方、図7に示すように、印刷距離Wがヘッド間隔Dより小さい大きい場合(W>D)には、薄膜サーマルヘッド21aによる表面の印刷が終了する前に、厚膜サーマルヘッド21bにより裏面の印刷が開始する。この場合には図8に示すように、印刷用紙の搬送速度は変化する。この場合も表面と裏面の印刷データがあるものとする。
【0034】
即ち、時刻T0から時刻T1迄は、印刷なしであり、印刷用紙は速度V1で搬送される。時刻T1から時刻T2迄は薄膜サーマルヘッド21aにより速度V2で印刷され搬送される。時刻T2からは厚膜サーマルヘッドによる裏面のグラフィック印刷が開始される。このとき、薄膜サーマルヘッドによる表面の印刷は終わっていないが、厚膜サーマルヘッドによる印刷が同時に行われるので、それに合わせた遅い速度で印刷及び搬送がなされることになる。
【0035】
薄膜サーマルヘッド21aは搬送方向の上流にあるので、通常、このヘッドによる印刷は、厚膜サーマルヘッド21bによる印刷よりも先に終わる。しかし、薄膜サーマルヘッドによる印刷が終わっても、厚膜サーマルヘッドによる印刷が継続する限り、速度V3で裏面の印刷がなされ、この速度で印刷用紙が搬送される。このように、両面の印刷がなされている時間では、遅い記録速度のヘッドに合わせて両面の印刷がなされることになる。
【0036】
時刻T3で、厚膜サーマルヘッドによる裏面の印刷が終わると、速度V1で印刷用紙が搬送される。
【0037】
なお、印刷の表面データがない場合には、図9に示すように、厚膜サーマルヘッド21bにより裏面のグラフィックデータのみが印刷される。この場合の印刷時間(T2−T1)は、印刷距離Wを速度V3により割った時間となる。
【0038】
また、印刷の裏面データがない場合には、図10に示すように、薄膜サーマルヘッド21aにより表面のテキストデータのみが印刷される。この場合の印刷時間(T2−T1)は、印刷距離Wを速度V2により割った時間となる。
【0039】
<その他の実施形態>
上述の第1、第2の実施形態では、薄膜サーマルヘッドを用紙搬送方向に対して上流側に、厚膜サーマルヘッドを下流側に設けた。しかし、逆に厚膜サーマルヘッドを用紙搬送方向に対して上流側に、薄膜サーマルヘッドを下流側に設けるようにしてもよい。
【0040】
このような実施形態では、先に厚膜サーマルヘッドによるグラフィックデータの印刷がなされ、後で薄膜サーマルヘッドによるテキストデータの印刷がなされる。この実施形態で、印刷距離Wがヘッド間隔Dより小さい場合には、図11に示すように、印刷用紙の搬送速度は制御される。即ち、時刻T1から速度V3で厚膜サーマルヘッドによる裏面印刷がなされ、時刻T2でその印刷が終了すると、薄膜サーマルヘッドによる印刷が開始される時刻T3まで搬送速度V1で用紙が搬送され、時刻T3から速度V2で薄膜サーマルヘッドによる表面の印刷がなされる。時刻T4でこの薄膜サーマルヘッドによる印刷が終わると、再び速度V1で印刷用紙が搬送される。
【0041】
一方、印刷距離Wがヘッド間隔Dより大きい場合には、図12に示すように、印刷用紙の搬送速度は制御される。即ち、時刻T1から速度V3で厚膜サーマルヘッドによる裏面印刷がなされ、時刻T2で裏面の印刷が終了すると、この時刻T2から時刻T3まで薄膜サーマルヘッドによる印刷がなされ、時刻T3でこの薄膜サーマルヘッドによる印刷が終わると、再び速度V1で印刷用紙が搬送される。
【0042】
上述の実施形態では、薄膜サーマルヘッドにより印刷用紙の表面に印刷を行い、厚膜サーマルヘッドにより裏面に印刷を行うようにした。しかし、逆に厚膜サーマルヘッドにより印刷用紙の表面に印刷を行い、薄膜サーマルヘッドにより裏面に印刷を行うようにしてもよい。
【0043】
上述の実施形態では、用紙の印刷についてサーマルヘッドで印刷する場合について説明した。しかし、サーマルヘッドにより印刷する場合に限られず、インクジェットなど他の記録方式で両面に印刷する装置にも適用可能である。この場合には、サーマルヘッドの代わりにインクジェット記録ヘッドが用いられる。この場合にはサーマルヘッドによる印刷の場合とは異なり、プラテンローラは必要でないが、インクを誘引する電極を印刷用紙の反対の面に設ける。またこの場合には印刷用紙としてインクジェット印刷に適した用紙を用いることが好ましい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したがこれらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
11・・・・データ受信部、
12a・・・・表面受信データ検知部、
12b・・・・裏面受信データ検知部、
13・・・・受信データ変換部、
14a・・・・表面印刷データ記憶部、
14b・・・・裏面印刷データ記憶部、
15a・・・・表面印刷制御部、
15b・・・・裏面印刷制御部、
16・・・・・印刷搬送機構部、
17・・・・・用紙搬送速度制御部、
21a・・・・薄膜サーマルヘッド、
21b・・・・厚膜サーマルヘッド、
22a,22b・・・・プラテンローラ、
23a,23b・・・・用紙搬送ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用紙の一方の面に印刷するように設けられ、テキストデータを印刷する第1の記録ヘッドと、
前記印刷用紙の他方の面に印刷するように設けられ、前記第1の記録ヘッドより記録速度が遅く、グラフィックデータを印刷する第2の記録ヘッドと、
受信したデータを分析しこのデータが、テキストデータならば前記第1の記録ヘッドにより印刷しグラフィックデータならば前記第2の記録ヘッドにより印刷するように、データの変換を行うデータ変換手段と、
を有することを特徴する両面印刷装置。
【請求項2】
前記第2のヘッドは印刷用紙の搬送方向に対して前記第1の記録ヘッドより下流側に設けてなることを特徴とする請求項1記載の両面印刷装置。
【請求項3】
前記第1の記録ヘッド及び前記第2の記録ヘッドは、サーマルヘッドであることを特徴とする請求項1又は2記載の両面印刷装置。
【請求項4】
前記第1の記録ヘッドは所定の厚さを有する発熱抵抗体を有するサーマルヘッドであり、前記第2の記録ヘッドは前記第1の記録ヘッドの発熱抵抗体より厚さが厚い発熱抵抗体を有するサーマルヘッドであることを特徴とする請求項3に記載の両面印刷装置。
【請求項5】
前記第1の記録ヘッド及び前記第2の記録ヘッドは、インクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項1又は2記載の両面印刷装置。
【請求項6】
印刷用紙の一方の面に印刷するように設けられ、テキストデータを印刷する第1の記録ヘッドと、
前記印刷用紙の他方の面に印刷するように設けられ、前記第1の記録ヘッドより記録速度が遅く、グラフィックデータを印刷する第2の記録ヘッドと、
受信したデータを分析しこのデータが、テキストデータならば前記第1の記録ヘッドにより印刷しグラフィックデータならば前記第2の記録ヘッドにより印刷するように、データの変換を行うデータ変換手段と、
前記第1の記録ヘッド及び前記第2の記録ヘッドにより印刷を行うときには、第2の記録速度に応じた搬送速度で前記印刷用紙を搬送することを特徴とする両面印刷装置。
【請求項7】
前記第1の記録ヘッドのみで前記印刷用紙に印刷するときには、この第1の記録ヘッドに対応する速度で前記印刷用紙を搬送し、前記第2の記録ヘッドのみで前記印刷用紙に印刷するときには、この第2の記録ヘッドに対応する速度で前記印刷用紙を搬送することを特徴とする請求項6記載の両面印刷装置。
【請求項8】
前記第2の記録ヘッドは前記第1の記録ヘッドよりも前記印刷用紙の搬送方向に対して下流側に設けられることを特徴とする請求項6又は7記載の両面印刷装置。
【請求項9】
受信したデータを分析しこのデータがテキストデータならば、印刷用紙の一方の面に印刷するように設けられた第1の記録ヘッドによりテキストデータを印刷し、
受信したデータがグラフィックデータならば、前記印刷用紙の他方の面に印刷するように設けられ、前記第1の記録ヘッドより記録速度が遅い第2の記録ヘッドによりグラフィックデータを印刷することを特徴する両面印刷方法。
【請求項10】
前記第1の記録ヘッド及び前記第2の記録ヘッドにより印刷を行うときには、第2の記録速度に応じた搬送速度で前記印刷用紙を搬送することを特徴とする請求項9記載の両面印刷方法。
【請求項11】
前記第2の記録ヘッドは前記第1の記録ヘッドよりも前記印刷用紙の搬送方向に対して下流側に設けられることを特徴とする請求項9又は10記載の両面印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−183696(P2012−183696A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47592(P2011−47592)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】