説明

両面検査装置及びそれを備えたインクジェット印刷装置

【課題】連続紙における両面の汚れ等を確実に検出することができるとともに、長期間にわたって検査精度を維持することができる。
【解決手段】表面検査ユニット47と裏面検査ユニット49は、横縦送りローラ39と縦横送りローラ41との間に配置され、かつ、縦方向に送られている連続紙WPに沿って起立姿勢で配置されている。したがって、連続紙WPの両面を近い位置で検査することができ、両面検査後に連続紙WPに汚れ等が付着することがなく、連続紙WPに汚れ等があった場合には表裏面とも確実に検出することができる。また、起立姿勢で両検査ユニット47,49が配置されているので、紙粉等が両検査ユニット47,49の光透過部53,65に落下して付着することを防止できる。したがって、長期間にわたって検査精度を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷対象である連続紙の両面に印刷を行った後、その印刷の両面を検査するための両面検査装置及びそれを備えたインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、給紙部と、複数個の搬送ローラと、表面印刷ユニットと、表面乾燥ユニットと、表面検査ユニットと、反転ユニットと、裏面印刷ユニットと、裏面乾燥ユニットと、裏面検査ユニットと、排紙部とを備えたインクジェット印刷装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
給紙部は、印刷対象である連続紙を供給する。複数個の搬送ローラは、給紙部からの連続紙を水平方向に送り、表面印刷ユニットは、送られてきた連続紙の表面に印刷を行い、表面乾燥ユニットは、表面印刷ユニットの下流で乾燥を行い、表面検査ユニットは、連続紙の表面の印刷を、連続紙の上方から検査する。反転ユニットは、連続紙の表裏面を反転させる。裏面印刷ユニットは、反転ユニットの下流で連続紙の裏面に印刷を行い、裏面乾燥ユニットは、裏面印刷ユニットの下流で乾燥を行い、裏面検査ユニットは、連続紙の裏面の印刷を、連続紙の下方から検査する。排紙部は、裏面検査ユニットの下流にて表裏面の印刷を終えた連続紙を巻き取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−58446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、表面検査ユニットが表面乾燥ユニットの下流に設けられ、裏面検査ユニットが裏面乾燥ユニットの下流に設けられている。したがって、表面検査ユニットで表面印刷に問題がなかったとしても、表面検査ユニットよりも下流における反転ユニットや反転ユニット等で連続紙の表面が汚れた場合に、それを検出することができない。つまり、表面印刷の汚れ等を確実に検出することができないことがあるという問題がある。
【0006】
また、裏面検査ユニットは、上述した表面検査ユニットのような問題が生じにくいものの、連続紙の下方から裏面印刷を検査するので、連続紙からの紙粉が裏面検査ユニットに落下する。そのため、裏面検査ユニットによる検査の精度が経時的に低下する恐れがある。つまり、長期間にわたって安定的に検査精度を維持することが困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、連続紙における両面の汚れ等を確実に検出することができるとともに、長期間にわたって検査精度を維持することができる両面検査装置及びそれを備えたインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、連続紙の両面における印刷の状態を検査する両面検査装置において、横方向から送られてきた連続紙を縦方向に送るための横縦送りローラと、前記横縦送りローラの連続紙の送り方向において前記横縦送りローラと離間して配置され、縦方向から送られてきた連続紙を横方向に送るための縦横送りローラと、前記横縦送りローラと前記縦横送りローラとの間に設けられ、縦方向に送られている連続紙の表面側に沿うように起立姿勢で配置された表面検査ユニットと、前記横縦送りローラと前記縦横送りローラとの間に設けられ、縦方向に送られている連続紙を挟んで前記表面検査ユニットと対向し、連続紙に沿うように起立姿勢で配置された裏面検査ユニットと、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、表面検査ユニットと裏面検査ユニットは、横縦送りローラと縦横送りローラとの間に配置され、かつ、縦方向に送られている連続紙に沿って起立姿勢で配置されている。したがって、連続紙の両面を近い位置で検査することができ、両面検査後に汚れ等が付着することがなく、連続紙に汚れ等があった場合には表裏面とも確実に検出することができる。また、起立姿勢で両検査ユニットが配置されているので、紙粉等が両検査ユニットに落下して付着することを防止できる。したがって、長期間にわたって検査精度を維持することができる。
【0010】
また、本発明において、前記横縦送りローラの下部に設けられ、表裏の一方面に当接して連続紙のブレを抑制する第1のブレ抑制ローラと、前記縦横送りローラの上部に設けられ、表裏の他方面に当接して連続紙のブレを抑制する第2のブレ抑制ローラと、をさらに備え、前記表面検査ユニットは、前記第1のブレ抑制ローラと前記第2のブレ抑制ローラのうち、連続紙の裏面に当接する面とは反対側を検査し、前記裏面検査ユニットは、前記第1のブレ抑制ローラと前記第2のブレ抑制ローラのうち、連続紙の表面に当接する面とは反対側を検査することが好ましい(請求項2)。表面検査ユニットは、第1のブレ抑制ローラと第2のブレ抑制ローラのうち、連続紙の裏面に当接する面とは反対側を検査し、裏面検査ユニットは、第1のブレ抑制ローラと第2のブレ抑制ローラのうち、連続紙の表面に当接する面とは反対側を検査する。したがって、横縦送りローラと縦横送りローラとの間において両面を近い位置で検査するにあたり、連続紙のブレを抑制した状態で検査することができる。その結果、検査精度を向上できる。
【0011】
また、本発明において、前記表面検査ユニット及び前記裏面検査ユニットは、前記連続紙の検査位置から横方向に配置され、連続紙からの反射光を縦方向に反射する姿勢で配置された反射手段と、前記反射手段の反射方向に配置された撮影手段と、を備えていることが好ましい(請求項3)。反射手段で連続紙の検査位置における反射光を縦方向に反射させ、それを撮影手段で撮影して検査する。したがって、表面検査ユニット及び裏面検査ユニットを縦長形状に収めることができ、装置のフットプリントを小さくすることができる。その結果、装置の小型化を図ることができる。
【0012】
また、本発明において、前記縦横送りローラは、連続紙の裏面側に配置され、連続紙の裏面側に当接する第1のローラと、前記第1のローラに隣接し、連続紙の表面側に当接する第2のローラとを備えた一対の第1方向転換ローラと、連続紙の表面側に配置され、連続紙の表面側に当接する第3のローラと、前記第3のローラに隣接し、連続紙の裏面側に当接する第4のローラとを備えた一対の第2方向転換ローラとを備え、前記表面検査ユニットは、前記第4のローラが連続紙と当接する面と反対側を検査し、前記裏面検査ユニットは、前記第2のローラが連続紙と当接する面と反対側を検査することが好ましい(請求項4)。縦横送りローラが一対の第1方向転換ローラと、一対の第2方向転換ローラとを備え、表面検査ユニットは、第4のローラが連続紙と当接する面と反対側を検査し、裏面検査ユニットは、第2のローラが連続紙と当接する面と反対側を検査する。したがって、縦方向から送られてきた連続紙を横方向に送った箇所において、表面検査ユニットと裏面検査ユニットが上方から連続紙の表裏面を検査することができる。その結果、紙粉等が検査ユニットに付着することがない。また、紙厚が薄く両面を同じ箇所で検査することができない連続紙であっても、近い位置で両面を検査することができる。
【0013】
また、本発明において、前記表面検査ユニットは、前記第4のローラの上方に配置され、縦方向に送られる連続紙からの反射光を上方に反射し、横方向に送られる連続紙からの反射光を上方に導く第1の光路切り替え手段と、前記第1の光路切り替え手段の反射方向及び導光方向に配置された第1の撮影手段と、縦方向に送られる連続紙に光を照射する第1の照射手段と、前記第4のローラで送られる連続紙に光を照射する第2の照射手段と、を備え、前記裏面検査ユニットは、前記第2のローラの上方に配置され、縦方向に送られる連続紙からの反射光を上方に反射し、横方向に送られる連続紙からの反射光を上方に導く第2の光路切り替え手段と、前記第2の光路切換手段の反射方向及び導光方向に配置された第2の撮影手段と、縦方向に送られる連続紙に光を照射する第3の照射手段と、前記第2のローラで送られる連続紙に光を照射する第4の照射手段と、を備え、連続紙が前記第1の照射手段と前記第3の照射手段の光を非透過である場合には、前記第1の照射手段と前記第3の照射手段だけから光を照射し、連続紙が前記第1の照射手段と前記第3の照射手段の光を透過する場合には、前記第2の照射手段と前記第4の照射手段だけから光を照射することが好ましい(請求項5)。連続紙が第1の照射手段と第3の照射手段の光を非透過である場合、例えば比較的に連続紙が厚い場合には、第1の光路切り替え手段及び第2の光路切り替え手段により、縦方向に送られる連続紙からの反射光を上方に導かせる状態にして、第1の照射手段と第3の照射手段だけから光を照射する。したがって、連続紙の厚みが比較的に厚い場合には、縦方向に送られている連続紙を両面から検査することができる。また、連続紙が第1の照射手段と第3の照射手段の光を透過する場合、例えば比較的に連続紙が薄い場合には、第1の光路切り替え手段及び第2の光路切り替え手段により、横方向に送られる連続紙からの反射光を上方に導かせる状態にして、第2の照射手段と第4の照射手段だけから光を照射する。したがって、連続紙の厚みが比較的に薄い場合には、横方向に送られている連続紙を比較的に近い位置で両面を検査することができる。その結果、連続紙の厚みにかかわらず、近い位置における連続紙の両面を検査することができる。
【0014】
また、本発明において、前記第2の光路切り替え手段は、前記第1の光路切り替え手段と同じ高さ位置に設けられていることが好ましい(請求項6)。第1の光路切り替え手段と第2の光路切り替え手段とが同じ高さ位置に設けられており、縦方向に送られている連続紙を同じ位置で両面から検査することができる。したがって、連続紙の厚みが比較的に厚い場合に、両面の検査精度を高くすることができる。
【0015】
また、本発明において、前記第1の光路切り替え手段及び前記第2の光路切換手段は、ハーフミラーであることが好ましい(請求項7)。縦方向に送られている連続紙からの反射光と、横方向に送られている連続紙からの反射光とをハーフミラーで撮影手段に導くことができる。ハーフミラーという可動部を備えていない構成によって光路を切り替えるので、高い信頼性で構成することができる。
【0016】
また、本発明において、前記第1の光路切り替え手段及び前記第2の光路切換手段は、連続紙が前記第1の照射手段と前記第3の照射手段の光を非透過である場合の傾斜姿勢と、連続紙が前記第1の照射手段と前記第3の照射手段の光を透過する場合の直立姿勢とに姿勢を可変できる跳ね上げ式切り替えミラーであることが好ましい(請求項8)。跳ね上げ式切り替えミラーにより反射光を導く方向を切り替えるので、ハーフミラーよりも高い反射率のミラーで構成することができる。したがって、連続紙からの反射光の利用効率を向上することができ、撮影手段の検出感度が低いものでも検査に利用することができる。その結果、装置コストを低減することができる。
【0017】
また、請求項9に記載のインクジェット印刷装置は、請求項1から8のいずれかに記載の両面検査装置と、連続紙の表面に印刷を行うとともに連続紙を乾燥する表面印刷ユニットと、連続紙の裏面に印刷を行うとともに連続紙を乾燥する裏面印刷ユニットと、前記表面印刷ユニットまたは前記裏面印刷ユニットの上流側に配置され、前記表面印刷ユニット及び記裏面印刷ユニットに連続紙を供給する給紙部と、前記表面印刷ユニットまたは前記裏面印刷ユニットの下流側に配置され、前記表面印刷ユニット及び前記裏面印刷ユニットにより両面印刷を終えた連続紙を巻き取る排紙部と、を備え、前記表面印刷ユニットと前記裏面印刷ユニットのうち、下流側に配置されたユニットの印刷部と前記排紙部との間に前記両面検査装置を備えていることを特徴とするものである。
【0018】
[作用・効果]請求項9に記載の発明によれば、表面印刷ユニットと裏面印刷ユニットのうち、下流側に配置されたユニットの印刷部と排紙部との間に両面検査装置を備えているので、検査後に連続紙に汚れ等が生じることがない。したがって、連続紙における印刷の検査品質を高くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る両面検査装置によれば、表面検査ユニットと裏面検査ユニットは、横縦送りローラと縦横送りローラとの間に配置され、かつ、縦方向に送られている連続紙に沿って起立姿勢で配置されている。したがって、連続紙の両面を近い位置で検査することができ、両面検査後に汚れ等が付着することがなく、連続紙に汚れ等があった場合には表裏面とも確実に検出することができる。また、起立姿勢で両検査ユニットが配置されているので、紙粉等が両検査ユニットに落下して付着することを防止できる。したがって、長期間にわたって検査精度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1に係る両面検査装置を備えたインクジェット印刷装置の概略構成を示す全体図である。
【図2】実施例1に係る両面検査装置を示す縦断面図である。
【図3】実施例2に係る両面検査装置を示す縦断面図である。
【図4】実施例2に係る変形例の要部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る両面検査装置を備えたインクジェット印刷装置を例にとって、以下に両面検査装置について説明する。
【実施例1】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る両面検査装置を備えたインクジェット印刷装置の概略構成を示す全体図である。また、図2は、実施例1に係る両面検査装置を示す縦断面図である。
【0023】
本実施例に係るインクジェット印刷装置1は、給紙部3と、表面印刷ユニット5と、反転ユニット7と、裏面印刷ユニット9と、排紙部11とを備えている。
【0024】
給紙部3は、ロール状の連続紙WPを供給する。表面印刷ユニット5は、例えば、インクジェット式であり、連続紙WPの表面に印刷を行う。反転ユニット7は、複数個のローラを備え、連続紙WPの裏面を上側に反転させる。裏面印刷ユニット9は、例えば、インクジェット式であり、連続紙WPの裏面に印刷を行う。排紙部11は、表裏面の印刷を終えた連続紙WPをロール状に巻き取る。
【0025】
給紙部3は、ロール状の連続紙WPを水平軸周りに回転可能に保持し、表面印刷ユニット5に対して連続紙WPを巻き出して供給する。排紙部11は、両面の印刷が行われた連続紙WPを水平軸周りに巻き取る。
【0026】
表面印刷ユニット5は、給紙部3からの連続紙WPを取り込むための駆動ローラ13を上流側に備えている。駆動ローラ13によって給紙部3から巻き出された連続紙WPは、複数個の搬送ローラ15に沿って下流側に搬送される。表面印刷ユニット5は、その最下流に駆動ローラ17を備えている。駆動ローラ13と駆動ローラ17との間には、上流側から印刷部19と、乾燥部21とが配置されている。印刷部19は、インクジェットヘッド23を備えている。乾燥部21は、印刷部19で印刷された部分を乾燥させる。
【0027】
反転ユニット7は、表面印刷ユニット5の駆動ローラ17から送り出された連続紙WPの表裏を反転させる。さらに、反転させた連続紙WPを裏面印刷ユニット9に送り出す。
【0028】
裏面印刷ユニット9は、反転ユニット7からの連続紙WPを取り込むための駆動ローラ25を上流側に備えている。駆動ローラ25によって取り込まれた連続紙WPは、複数個の搬送ローラ27に沿って下流側へ搬送される。裏面印刷ユニット9は、その最下流に駆動ローラ29を備えている。駆動ローラ25と駆動ローラ29との間には、上流側から印刷部31と、乾燥部33と、両面検査装置35とをその順に備えている。印刷部31は、インクジェットヘッド37を備えている。乾燥部33は、印刷部31で印刷された部分を乾燥させる。両面検査装備35は、印刷部19,31で印刷された連続紙WPの両面を検査する。
【0029】
両面検査装置35は、横縦送りローラ39と、縦横送りローラ41と、第1のブレ抑制ローラ43と、第2のブレ抑制ローラ45とを備えている。横縦送りローラ39は、乾燥部33から送られてきた連続紙WPを横方向から縦方向へ送る。縦横送りローラ41は、横縦送りローラ39から送られてきた連続紙WPを横方向へ送る。第1のブレ抑制ローラ43は、横縦送りローラ39の下部に配置され、横縦送りローラ39から下方に送られる連続紙WPの表面に当接してブレを抑える。第2のブレ抑制ローラ45は、縦横送りローラ41の上部に配置され、第1のブレ抑制ローラ43から送られる連続紙WPの裏面にと当接してブレを抑える。
【0030】
第1のブレ抑制ローラ43と第2のブレ抑制ローラ45との間であって、これらで送られている連続紙WPの右側には、表面検査ユニット47が配置されている。また、連続紙WPの左側には、裏面検査ユニット49が配置されている。
【0031】
表面検査ユニット47は、連続紙WPが送られる方向に沿うように起立姿勢で配置されたハウジング51を備えている。このハウジング51のうち、第2のブレ抑制ローラ45に対向する部位には、光透過部53が形成されている。光透過部53からハウジング51の内側には、光源部55が配置されている。光源部55は、光透過部53を通して第2のブレ抑制ローラ45側へ光を照射する。光源部55よりもハウジング51の中心側には、反射ミラー57が配置されている。反射ミラー57は、平板状を呈し、光源部55から照射されて連続紙WPの表面で反射した光を鉛直方向の上方へ導くように、傾斜姿勢で取り付けられている。反射ミラー57による反射方向である反射ミラー57の上方には、光学系59が配置され、さらにその上方には撮影部61が配置されている。光学系59は、反射ミラー57で反射された光を撮影部61に導く。撮影部61は、例えば、CCDなどを内蔵したカメラを備えている。
【0032】
裏面検査ユニット49は、上述した表面検査ユニット47とほぼ同じ構成を備えているが、配置が上下反転したような構成となっている。裏面検査ユニット49は、連続紙WPが送られる方向に沿うように起立姿勢のハウジング63を備えている。ハウジング63は、第1のブレ抑制ローラ43に対向する部位に、光透過部65が形成されている。光透過部65からハウジング63の内側には、光源部67が配置されている。光源部67は、光透過部65を通して第1のブレ抑制ローラ43側へ光を照射する。光源部67よりもハウジング563の中心側には、反射ミラー69が配置されている。反射ミラー69は、平板状を呈し、光源部67から照射されて連続紙WPの裏面で反射した光を鉛直方向の下方へ導くように、傾斜姿勢で取り付けられている。反射ミラー69による反射方向である反射ミラー69の下方には、光学系71が配置され、さらにその上方には撮影部73が配置されている。光学系71は、反射ミラー69で反射された光を撮影部73に導く。
【0033】
なお、上述した反射ミラー57,69が本発明における「反射手段」に相当し、撮影部61,73が本発明における「撮影手段」に相当する。
【0034】
両面検査装置35は、上述したように構成されており、光源部55,67を点灯させて、連続紙WPの表面を表面検査ユニット47で検査し、連続紙WPの裏面を裏面検査ユニット49で検査する。
【0035】
本実施例装置における両面検査装置35によると、表面検査ユニット47と裏面検査ユニット49は、横縦送りローラ39と縦横送りローラ41との間に配置され、かつ、縦方向に送られている連続紙WPに沿って起立姿勢で配置されている。したがって、連続紙WPの両面を近い位置で検査することができ、両面検査後に連続紙WPに汚れ等が付着することがなく、連続紙WPに汚れ等があった場合には表裏面とも確実に検出することができる。また、起立姿勢で両検査ユニット47,49が配置されているので、紙粉等が両検査ユニット47,49の光透過部53,65に落下して付着する等の不具合を防止できる。したがって、長期間にわたって検査精度を維持することができる。
【0036】
また、表面検査ユニット47は、第2のブレ抑制ローラ45に当接する連続紙WPの反対側にあたる表面を検査し、裏面検査ユニット49は、第1のブレ抑制ローラ43に当接する連続紙WPの反対側にあたる裏面を検査する。したがって、横縦送りローラ39と縦横送りローラ41との間において両面を近い位置で検査するにあたり、連続紙WPのブレを抑制した状態で検査することができる。その結果、検査精度を向上することができる。
【0037】
さらに、表面検査ユニット47及び裏面検査ユニット49は、反射ミラー57,69で連続紙WPの検査位置における反射光を縦方向に反射させ、それを撮影部61,73で撮影して検査する。したがって、表面検査ユニット47及び裏面検査ユニット49を縦長形状に収めることができ、両面検査装置35のフットプリントを小さくすることができる。その結果、両面検査装置35の小型化を図ることができる。
【0038】
また、本実施例装置におけるインクジェット印刷装置1は、表面印刷ユニット5の印刷部19と裏面印刷ユニット9の印刷部31のうち、下流側に配置された裏面印刷ユニット9の印刷部31と排紙部11との間に両面検査装置35を備えているので、検査後に連続紙WPに汚れ等が生じることがない。したがって、連続紙WPにおける印刷の検査品質を高くすることができる。
【実施例2】
【0039】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。
図3は、実施例2に係る両面検査装置を示す縦断面図である。
【0040】
なお、印刷装置であるインクジェット印刷装置1の構成は、上述した実施例1と同様であるので、ここでは両面検査装置35Aについてのみ説明する。また、上述した両面検査装置35と同じ構成については、同符号を付して詳細な説明については省略する。
【0041】
本実施例に係る両面検査装置35Aは、横縦送りローラ39と、縦横送りローラ41Aとを備えている。これらの間であって連続紙WPの右側には、表面検査ユニット47Aを備え、連続紙の左側には、裏面検査ユニット49Aを備えている。
【0042】
縦横送りローラ41Aは、縦方向に送られている連続紙WPの裏面側に配置された第1のローラ75及び第2のローラ77と、縦方向に送られている連続紙WPの表面側に配置された第3のローラ79及び第4のローラ81とを備えている。第1のローラ75は、縦方向に送られてきた連続紙WPの裏面に当接して、斜め左上に連続紙WPを送る。第2のローラ77は、第1のローラ75に隣接し、第1のローラ75から送られた連続紙WPの表面に当接し、斜め右下に連続紙WPを送る。第3のローラ79は、第2のローラ79から送られた連続紙WPの表面に当接し、斜め右上に連続紙WPを送る。第4のローラ81は、第3のローラ79から送られた連続紙WPの裏面側に当接し、連続紙WPを斜め右下に送る。第1のローラ75と第2のローラ77は、一対の第1方向転換ローラ83を構成し、第3のローラ79と第4のローラ81は、一対の第2方向転換ローラ85を構成している。
【0043】
表面検査ユニット47Aは、ハウジング51Aを備え、第4のローラ81に対向する下面に光透過部87を備え、縦方向に送られている連続紙WPに対向する側面に光透過部89を備えている。光透過部87のハウジング51Aの内側には、光源部91が配置され、光透過部89のハウジング51Aの内側には、光源部93が配置されている。光透過部87と光源部91との延長線と、光透過部89と光源部93との延長線との交差する位置にはハーフミラー95が配置されている。このハーフミラー95は、光透過部87を透過した光を鉛直方向の上方へ透過し、光透過部89を透過した光を鉛直方向の上方へ反射する傾斜姿勢とされている。ハーフミラー95の鉛直方向の上方には、光学系59と撮影部61が配置されている。
【0044】
裏面検査ユニット49Aは、上述した表面検査ユニット47Aを左右に反転したような構成を備えている。つまり、ハウジング63Aと、光透過部97と、光透過部99と、光源部101と、光源部103と、ハーフミラー105と、光学系71と、撮影部73とを備えている。
【0045】
なお、上述したハーフミラー95,105が本発明における「反射手段」に相当する。また、ハーフミラー95が本発明における「第1の光路切り替え手段」に相当し、ハーフミラー105が本発明における「第2の光路切り替え手段」に相当する。また、撮影部61が本発明における「第1の撮影手段」に相当し、撮影部73が本発明における「第2の撮影手段」に相当する。さらに、光源部93が本発明における「第1の照射手段」に相当し、光源部91が本発明における「第2の照射手段」に相当する。また、光源部103が本発明における「第3の照射手段」に相当し、光源部101が本発明における「第4の照射手段」に相当する。
【0046】
両面検査装置35Aは、上述したように構成されており、連続紙WPが光源部93,103の光を透過しない場合には、光源部93,103を点灯させて、縦方向に送られている連続紙WPの表裏面を表面検査ユニット47A及び裏面検査ユニット49Aで検査する。但し、連続紙WPが光源部93,103の光を透過する場合には、これらの光源93,103を消灯させる代わりに光源部91,101を点灯させて、第4のローラ81部分において表面検査ユニット47Aにより連続紙WPの表面を検査し、第2のローラ77において裏面検査ユニット49Aにより連続紙WPの裏面を検査する。
【0047】
したがって、連続紙WPの厚みが比較的に厚い場合には、縦方向に送られている連続紙WPを両面から検査することができる。また、連続紙WPの厚みが比較的に薄い場合には、横方向に送られている連続紙WPを比較的に近い位置で両面を検査することができる。その結果、連続紙WPの厚みにかかわらず、近い位置における連続紙WPの両面を検査することができる。さらに、ハーフミラー95,105が同じ高さ位置に設けられており、縦方向に送られている連続紙WPを同じ位置で両面から検査することができる。したがって、連続紙WPの厚みが比較的に厚い場合には、特に連続紙WPにおける両面の検査精度を高くすることができる。
【0048】
また、本実施例によると、縦横送りローラ41Aが一対の第1方向転換ローラ83と、一対の第2方向転換ローラ85とを備え、表面検査ユニット47Aは、第4のローラ81が連続紙WPと当接する面と反対側を検査し、裏面検査ユニット49Aは、第2のローラ77が連続紙WPと当接する面と反対側を検査する。したがって、縦方向から送られてきた連続紙WPを横方向に送った箇所において、表面検査ユニット47Aと裏面検査ユニット49Aが上方から連続紙WPの表裏面を検査することができる。その結果、紙粉等が検査ユニット47A、49Aの光透過部87,97に付着することがない。
【0049】
さらに、本実施例によると、縦方向に送られている連続紙WPからの反射光と、横方向に送られている連続紙WPからの反射光とをハーフミラー95,105で撮影部61,73に導くことができる。ハーフミラー95,105という可動部を備えていない構成によって光路を切り替えるので、高い信頼性で構成することができる。
【0050】
なお、上述した実施例2に係る両面検査装置35Aは、次のように構成してもよい。ここで、図4を参照する。なお、図4は、実施例2に係る変形例の要部を示す縦断面図である。
【0051】
説明の都合上、両面検査装置35Bのうちの表面検査ユニット47Bだけについて説明するが、裏面検査ユニット(49A)も同様の構成である。変形例は、上述した両面検査装置35Aにおけるハーフミラー95を跳ね上げ式切り替えミラー107としている。
【0052】
この跳ね上げ式切り替えミラー107は、全反射ミラー109と、ガイド溝111と、レバー113と、エアシリンダ115とを備えている。
【0053】
全反射ミラー109は、水平軸周りの揺動軸P1を備え、その下端側に、ガイド溝111に挿入された摺動片117を備えている。揺動軸P1からは摺動片117の反対側にレバー113が突出形成されている。レバー113の先端側は、エアシリンダ115の作動片に取り付けられた横U字形状を呈するガイド片119にはめ込まれている。
【0054】
エアシリンダ115の作動片が伸長されると、二点鎖線で示すように、全反射ミラー109が起立姿勢とされ、エアシリンダ115の作動片が収縮されると、実線で示すように、全反射ミラー109が傾斜姿勢とされる。これにより、下方からの光を上方へ導いたり、側方からの光を上方へ導いたりすることができる。
【0055】
上述したように、この変形例では、実施例2におけるハーフミラー95,105よりも高い反射率の全反射109ミラーで構成している。したがって、連続紙WPからの反射光の利用効率を向上することができ、撮影部61,73の検出感度が低いものでも検査に利用することができる。その結果、装置コストを低減することができる。
【0056】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0057】
(1)上述した各実施例1,2では、表面印刷を上流で行い、その下流で裏面印刷を行う構成としているが、その逆の順番としてもよい。その場合には、上述した両面検査装置35,35A,35Bにおける表裏の関係が逆になる。
【0058】
(2)上述した実施例2では、縦横送りローラ41Aが一対の第1の方向転換ローラ83と、一対の第2の方向転換ローラ85とを備えている場合を例示した。しかし、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、表面検査ユニット47A及び裏面検査ユニット49Aの光透過部87,97に連続紙WPの両面を向けられる構成であればよい。
【0059】
(3)上述した実施例2の変形例では、跳ね上げ式切り替えミラー107としてエアシリンダ115等による姿勢切り替えを採用した。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、直立姿勢と傾斜姿勢とに切り替えることができる構成であればよい。
【符号の説明】
【0060】
1 … インクジェット印刷装置
35 … 両面検査装置
39 … 横縦送りローラ
41 … 縦横送りローラ
43 … 第1のブレ抑制ローラ
45 … 第2のブレ抑制ローラ
47 … 表面検査ユニット
49 … 裏面検査ユニット
53,65 … 光透過部
53,67 … 光源部
57,69 … 反射ミラー
59,71 … 光学系
61,73 … 撮影部
WP … 連続紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続紙の両面における印刷の状態を検査する両面検査装置において、
横方向から送られてきた連続紙を縦方向に送るための横縦送りローラと、
前記横縦送りローラの連続紙の送り方向において前記横縦送りローラと離間して配置され、縦方向から送られてきた連続紙を横方向に送るための縦横送りローラと、
前記横縦送りローラと前記縦横送りローラとの間に設けられ、縦方向に送られている連続紙の表面側に沿うように起立姿勢で配置された表面検査ユニットと、
前記横縦送りローラと前記縦横送りローラとの間に設けられ、縦方向に送られている連続紙を挟んで前記表面検査ユニットと対向し、連続紙に沿うように起立姿勢で配置された裏面検査ユニットと、
を備えていることを特徴とする両面検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の両面検査装置において、
前記横縦送りローラの下部に設けられ、表裏の一方面に当接して連続紙のブレを抑制する第1のブレ抑制ローラと、
前記縦横送りローラの上部に設けられ、表裏の他方面に当接して連続紙のブレを抑制する第2のブレ抑制ローラと、
をさらに備え、
前記表面検査ユニットは、前記第1のブレ抑制ローラと前記第2のブレ抑制ローラのうち、連続紙の裏面に当接する面とは反対側を検査し、
前記裏面検査ユニットは、前記第1のブレ抑制ローラと前記第2のブレ抑制ローラのうち、連続紙の表面に当接する面とは反対側を検査することを特徴とする両面検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の両面検査装置において、
前記表面検査ユニット及び前記裏面検査ユニットは、
前記連続紙の検査位置から横方向に配置され、連続紙からの反射光を縦方向に反射する姿勢で配置された反射手段と、
前記反射手段の反射方向に配置された撮影手段と、
を備えていることを特徴とする両面検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の両面検査装置において、
前記縦横送りローラは、
連続紙の裏面側に配置され、連続紙の裏面側に当接する第1のローラと、前記第1のローラに隣接し、連続紙の表面側に当接する第2のローラとを備えた一対の第1方向転換ローラと、
連続紙の表面側に配置され、連続紙の表面側に当接する第3のローラと、前記第3のローラに隣接し、連続紙の裏面側に当接する第4のローラとを備えた一対の第2方向転換ローラとを備え、
前記表面検査ユニットは、前記第4のローラが連続紙と当接する面と反対側を検査し、
前記裏面検査ユニットは、前記第2のローラが連続紙と当接する面と反対側を検査することを特徴とする両面検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の両面検査装置において、
前記表面検査ユニットは、
前記第4のローラの上方に配置され、縦方向に送られる連続紙からの反射光を上方に反射し、横方向に送られる連続紙からの反射光を上方に導く第1の光路切り替え手段と、
前記第1の光路切り替え手段の反射方向及び導光方向に配置された第1の撮影手段と、
縦方向に送られる連続紙に光を照射する第1の照射手段と、
前記第4のローラで送られる連続紙に光を照射する第2の照射手段と、
を備え、
前記裏面検査ユニットは、
前記第2のローラの上方に配置され、縦方向に送られる連続紙からの反射光を上方に反射し、横方向に送られる連続紙からの反射光を上方に導く第2の光路切り替え手段と、
前記第2の光路切換手段の反射方向及び導光方向に配置された第2の撮影手段と、
縦方向に送られる連続紙に光を照射する第3の照射手段と、
前記第2のローラで送られる連続紙に光を照射する第4の照射手段と、
を備え、
連続紙が前記第1の照射手段と前記第3の照射手段の光を非透過である場合には、前記第1の照射手段と前記第3の照射手段だけから光を照射し、連続紙が前記第1の照射手段と前記第3の照射手段の光を透過する場合には、前記第2の照射手段と前記第4の照射手段だけから光を照射することを特徴とする両面検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の両面検査装置において、
前記第2の光路切り替え手段は、前記第1の光路切り替え手段と同じ高さ位置に設けられていることを特徴とする両面検査装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の両面検査装置において、
前記第1の光路切り替え手段及び前記第2の光路切換手段は、ハーフミラーであることを特徴とする両面検査装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の両面検査装置において、
前記第1の光路切り替え手段及び前記第2の光路切換手段は、連続紙が前記第1の照射手段と前記第3の照射手段の光を非透過である場合の傾斜姿勢と、連続紙が前記第1の照射手段と前記第3の照射手段の光を透過する場合の直立姿勢とに姿勢を可変できる跳ね上げ式切り替えミラーであることを特徴とする両面検査装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の両面検査装置と、
連続紙の表面に印刷を行うとともに連続紙を乾燥する表面印刷ユニットと、
連続紙の裏面に印刷を行うとともに連続紙を乾燥する裏面印刷ユニットと、
前記表面印刷ユニットまたは前記裏面印刷ユニットの上流側に配置され、前記表面印刷ユニット及び記裏面印刷ユニットに連続紙を供給する給紙部と、
前記表面印刷ユニットまたは前記裏面印刷ユニットの下流側に配置され、前記表面印刷ユニット及び前記裏面印刷ユニットにより両面印刷を終えた連続紙を巻き取る排紙部と、
を備え、
前記表面印刷ユニットと前記裏面印刷ユニットのうち、下流側に配置されたユニットの印刷部と前記排紙部との間に前記両面検査装置を備えていることを特徴とするインクジェット印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−206454(P2012−206454A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75293(P2011−75293)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】