説明

両面粘着テープ

【課題】 被着体に対して良好な接着力を有し、剥離する際には糊残りや支持基材の破壊無く好適に剥離できる粘着テープを提供する。
【解決手段】 剥離シート上に塗布した水分散型アクリル系粘着剤組成物を不織布基材の両面にラミネートして、不織布基材の両面に剥離シート付き粘着剤層を形成した両面粘着テープであって、不織布基材の全光透過率が70%以上、MD方向及びTD方向の引張強さが25〜40N/20mmであり、粘着剤組成物が、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びカルボキシル基含有ビニルモノマーをモノマー成分として含有するアクリル系共重合体のエマルジョン粒子が水性媒体中に分散した粘着剤組成物であり、ラミネート時の粘着剤組成物の水性媒体を除去して測定されるゲル分率が10%以下であり、両面粘着テープの全光線透過率が75%以上であることを特徴とする両面粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル系共重合体エマルジョン粒子が水系媒体中に分散した水分散型アクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を不織布基材の両面に有する両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、作業性に優れる接着信頼性の高い接合手段として、OA機器、家電製品、自動車等の各産業分野において部品固定用途や製品情報を表示するラベル用途等に使用されている。一方、地球環境保護の観点から、OA機器等の組立製品は使用後に解体してリサイクル、リユースすることが多くなってきている。この際、部品が粘着テープによって接合されている場合やラベルが付着している場合には、粘着テープやラベルを剥離する作業が求められ、糊残りや、支持基材が破壊することなく剥離できる特性(いわゆる再剥離性)が要求される。さらに近年は、揮発性有機化合物(いわゆるVOC)の排出抑制が強く求められている。粘着テープにおいては、無溶剤タイプの粘着剤が注目され、溶剤剤型粘着剤から水分散型粘着剤への置換が要望されている。
【0003】
これまでに、接着信頼性が高く、さらに再剥離性を有した両面粘着テープとして、(a)炭素数が1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(b)窒素含有ビニル単量体、(c)架橋剤と反応するヒドロキシル基含有単量体またはカルボキシル基含有単量体からなるアクリル系共重合体を主成分とし、(d)イソシアネート系架橋剤を配合してなるアクリル系粘着剤組成物と、特定強度を有する不織布中芯からなる両面粘着テープが開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、乳化重合法にて本技術の両面粘着テープを構成した場合は、優れた再剥離性を発現させることは難しかった。
【0004】
また、エマルジョン型粘着剤を使用し、基材として不織布基材を使用した、再剥離性の粘着テープが開示されている(特許文献2参照)。当該粘着テープはSUSやABS等の被着体に対して優れた接着性と再剥離性とを兼備するものであるが、特に糊残りが生じやすいような被着対象に対しては、更なる再剥離性の向上が求められていた。
【0005】
【特許文献1】特開平8−209086
【特許文献2】特開2008−239872
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、被着体に対して良好な接着力を有し、剥離する際には糊残りや支持基材の破壊無く好適に剥離できる粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、高い引張強度を有する特定の不織布基材に、再剥離性の良好な粘着剤組成物を低い初期ゲル分率にて積層させ、得られる粘着テープの全光線透過率を高くすることで、粘着テープの各層間の密着性、含浸性が良好となり、接着性能に優れつつ良好な再剥離性とを実現できる。
【0008】
すなわち本発明は、剥離シート上に塗布した水分散型アクリル系粘着剤組成物を不織布基材の両面にラミネートして、不織布基材の両面に剥離シート付き粘着剤層を形成した両面粘着テープであって、前記不織布基材の全光透過率が70%以上、MD方向及びTD方向の引張強さが25〜40N/20mmであり、前記水分散型アクリル系粘着剤組成物が、2−エチルヘキシルアクリレート、炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及びカルボキシル基含有ビニルモノマーをモノマー成分として含有するアクリル系共重合体のエマルジョン粒子が水性媒体中に分散した水分散型アクリル系粘着剤組成物であり、前記ラミネート時の水分散型アクリル系粘着剤組成物の水性媒体を除去して測定されるゲル分率が10%以下であり、前記両面粘着テープの全光線透過率が75%以上である両面粘着テープを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の両面粘着テープは、揮発性有機化合物(いわゆるVOC)の排出や、有機溶剤臭が大幅に削減でき、被着体に強固に接着し、再剥離のし難い被着体に対しても、いわゆる糊残りや、支持基材が破壊することのない粘着テープを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物>
(アクリル系共重合体)
本発明の両面粘着テープの粘着剤層を形成する水分散型アクリル系粘着剤組成物においては、アクリル系共重合体エマルジョン粒子を形成するアクリル系共重合体として、2−エチルヘキシルアクリレート、炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及びカルボキシル基含有ビニルモノマーをモノマー成分として含有するアクリル系共重合体を使用する。
【0011】
本発明においては、2−エチルヘキシルアクリレートをモノマー成分として使用することにより、粘着剤が不織布へ含浸し易くなり、再剥離時に不織布が破壊し難くなる。2−エチルヘキシルアクリレートの含有量としては、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがさらに好ましい。2−エチルヘキシルアクリレートの含有量を当該範囲とすることで、経時で粘着剤と被着体との密着を抑制し易く、接着力が過度に上昇しにくいため、経時でも好適な再剥離性を保持できる。
【0012】
また、2−エチルヘキシルアクリレートと併用して炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを使用することで、再剥離性を維持しながら強接着性を大きく向上させることができる。炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートが使用でき、なかでも炭素数4〜8のアルキル基を有するアクリレートモノマーを使用することが好ましく、特にn−ブチルアクリレートを好ましく使用できる。また、n−ブチルアクリレートとt−ブチルメタクリレートとを併用することも好ましい。炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの使用量としては10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがさらに好ましい。
【0013】
本発明においては、上記2−エチルヘキシルアクリレート及び炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの効果をより好適に発現するために、アクリル系共重合体を形成するモノマー成分中の2−エチルヘキシルアクリレート及び炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有量の和を50〜98質量%とすることが好ましく、80〜98質量%とすることが特に好ましい。また、アクリル系共重合体を形成するモノマー成分中の2−エチルヘキシルアクリレートと炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有量の比が、(2−エチルヘキシルアクリレート/炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレート)で表される質量比で9/1〜2/8であることが好ましく、75/25〜25/75であることが特に好ましい。
【0014】
本発明においては、アクリル系共重合体を形成する(メタ)アクリレートモノマーとして、上記以外の(メタ)アクリレートモノマーを併用してもよい。上記以外の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリレートモノマーを例示でき、これらの1種または2種以上を併用することができる。なかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の炭素数2以下のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを併用することが好ましく、使用量としては1〜10質量%であることが好ましい。
【0015】
本発明においては、上記モノマーに併用してカルボキシル基含有ビニルモノマーを使用することで、粘着剤層の凝集力を向上させ、好適な接着性と再剥離性とを兼備することができる。カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有ビニルモノマーから選ばれる1種又は2種以上を使用できる。なかでもアクリル酸、メタクリル酸の少なくとも一種を使用することが好ましく、アクリル酸とメタクリル酸とを併用することが特に好ましい。アクリル酸及びメタクリル酸の有するカルボキシル基は、カルボキシル基同士の相互作用により凝集力を確保し易い、反応する架橋剤が多く凝集力を上げる手段が多い、後述する窒素含有ビニルモノマーとの相互作用を発現できる等の利点を有する。さらに、本発明においては、比較的親水性の高いアクリル酸と、アクリル酸よりも疎水性の強いメタクリル酸を併用することで、アクリル酸は粒子表面近傍へ、メタクリル酸は粒子内部に配向する傾向を示し、酸基がアクリル系共重合体エマルジョン粒子表面と内部にバランスよく配置できる。粒子表面近傍の酸基の存在により、エマルジョン粒子間の凝集力を確保でき、かつ、粒子内部に存在する酸基の存在によりエマルジョン粒子内部の凝集力を向上させることができる。これにより、得られる粘着剤層は、凝集力の低い部分を低減でき、経時での再剥離性の劣化を好適に抑制できるため、再剥離時に粘着剤層の脱落や糊残りが特に生じにくくなる。また、メタクリル酸とアクリル酸を併用することで、強接着性に必要な定荷重性能が大きく向上する効果がある。
【0016】
カルボキシル基含有ビニルモノマーの含有量は、アクリル系共重合体を形成するモノマー成分中のカルボキシル基含有ビニルモノマーの含有量の和が0.5〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜5質量%、更に好ましくは1.5〜3.5質量%である。当該範囲内とすることで、架橋剤との架橋反応が良好に進行し易くなる。さらに、粘着剤層を形成した際に、粘着剤層に好適な凝集力が確保され、再剥離性と強接着性が両立し易い。さらに、耐水性を確保する上で必要な凝集力と、粘着剤層表面の疎水性を確保することができる。
【0017】
メタクリル酸およびアクリル酸を併用する場合の併用比率は、メタクリル酸/アクリル酸のモル当量比が0.2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、4以上であることがさらに好ましく、6以上であることが一層好ましい。併用比率を当該範囲とすることで、アクリル系共重合体エマルジョン粒子中の表面酸基量と内部酸基量とを好適に制御できる。
【0018】
本発明においては、アクリル系共重合体のモノマー成分として、さらに、窒素含有ビニルモノマーを使用することが好ましい。窒素含有ビニルモノマーは、アクリル系共重合体エマルジョン粒子中の酸基、特にカルボキシル基と相互作用することで、粒子表面に配向し易いカルボキシル基を粒子内部に引き込む効果を生み出すと推察される。本効果を生み出すためには、窒素含有ビニルモノマーの含有量を上記下限以上とすることが好ましい。一方、含有量を増加させた場合に、後述する架橋剤との反応性が低下する傾向を示すが、上記上限以下とすることで、必要な反応性を確保することができる。本含有量範囲とした場合に、アクリル系共重合体エマルジョン粒子中の酸基の分布を、好適な分布範囲に収束させ易くなる。
【0019】
窒素含有ビニルモノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリロニトリル、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートから選ばれる1種又は2種以上を使用できる。
【0020】
中でも、窒素含有ビニルモノマーとしては、アミド基を有するモノマーを使用することがより好ましい。アミン系の窒素含有モノマーの場合、酸基との相互作用が強くなりすぎるため、粒子表面の酸基量が少なくなり易く、エマルジョン粒子間の相互作用が弱くなり、粘着剤としての凝集力が得られ難くなる。
【0021】
窒素含有ビニルモノマーを使用する場合のアクリル系共重合体を形成するモノマー成分中の窒素含有ビニルモノマーの含有量は0.1〜4.5質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜4質量%、さらに好ましくは0.5〜3.5質量%の範囲で調整することで本発明の効果を好適に発現できる。
【0022】
窒素含有ビニルモノマーを使用する場合のアクリル系共重合体中の窒素含有ビニルモノマーとカルボキシル基を有するビニルモノマーの比率は、特に限定されるものではないが、アクリル系共重合体を構成するモノマー成分中の窒素含有ビニルモノマーのモル数をX、カルボキシル基を有するビニルモノマーのモル数をYとした場合のモル比X/Yが1/1〜1/20であることが好ましく、1/1〜1/5がより好ましく、1/1〜1/3が更に好ましい。当該範囲内であれば、カルボキシル基を有するビニルモノマーと後述する架橋剤との反応が進行し易くなる。さらに、アクリル系共重合体エマルジョン中のカルボキシル基の分布を後述する範囲に収束させ易くなる。
【0023】
本発明に使用するアクリル系共重合体においては、上記以外のモノマーを必要に応じて使用することもでき、そのようなモノマーの例としては、水酸基含有モノマーとして、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のアルコール性水酸基含有モノマーを適宜使用できる。ケト基又はアルデヒド基含有モノマーとして、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アクロレイン、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトニトリルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセトアセテート、ブタンジオールアクリレートアセテート等が挙げられる。シラン系モノマーとして、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン[例えば、信越化学(株)製 KBM−502]、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン[例えば、信越化学(株)製 KBM−503]、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン[例えば、信越化学(株)製 KBE−502]、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン[例えば、信越化学(株)製 KBE−503]、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン[例えば、信越化学(株)製 KBM−5103]等が挙げられる。また、メチロール基含有モノマーとして、Nメチロールアクリルアミド等が挙げられる。また、燐酸基含有モノマーとして、例えば、ローディア日華(株)製 Sipomer PAM−100,PAM−200,PAM−300等が挙げられ、アクリル系共重合体を形成するモノマー成分中の20質量%以下の割合で用いることができ、1種または2種以上使用できる。
【0024】
本発明に使用するアクリル系共重合体の重量平均分子量は50〜120万が好適であり、より好ましくは60〜100万である。当該範囲内とすることで、粘着剤が不織布へ含浸する際の柔軟性と、再剥離性に必要な凝集力をバランスよく両立することができる。前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算である。測定条件として、カラムはTSKgel GMHXL[東ソー製]を用い、カラム温度は40℃、溶離液はテトラヒドロフラン、流量は1.0mL/分とし、標準ポリスチレンはTSK標準ポリスチレンを用いる。
【0025】
分子量を調整するために、重合には連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、公知の連鎖移動剤、例えばラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノールなどが使用できる。
【0026】
(粘着付与樹脂の種類)
本発明に使用する水分散型アクリル系粘着剤組成物においては、得られる粘着剤層の強接着性を調整するために粘着付与樹脂を使用することが好ましい。本発明に使用する粘着付与樹脂としては、水分散型の粘着剤組成物に使用する観点から、エマルジョン型の粘着付与樹脂を好ましく使用できる。当該エマルジョン型の粘着付与樹脂としては、ロジン系、重合ロジン系、重合ロジンエステル系、ロジンフェノール系、安定化ロジンエステル系、不均化ロジンエステル系、テルペン系、テルペンフェノール系、石油樹脂系等が例示できる。
【0027】
中でも、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂と、ロジンフェノール系粘着付与樹脂が好ましく、これらを併用で配合することが特に好ましい。具体的には、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂は、スーパーエステルE−650[荒川化学工業(株)製]、スーパーエステルE−788[荒川化学工業(株)製]、スーパーエステルE−786−60[荒川化学工業(株)製]、スーパーエステルE−865[荒川化学工業(株)製]、スーパーエステルE−865NT[荒川化学工業(株)製]、ハリエスターSK−508[ハリマ化成(株)製]ハリエスターSK−508H[ハリマ化成(株)製]、ハリエスターSK−816E[ハリマ化成(株)製]、ハリエスターSK−822E[ハリマ化成(株)製]、ハリエスターSK−323NS[ハリマ化成(株)製]等が挙げられ、ロジンフェノール系粘着付与樹脂は、タマノルE−100[荒川化学工業(株)製]、タマノルE−200[荒川化学工業(株)製]、タマノルE−200NT[荒川化学工業(株)製]等が挙げられる。
【0028】
これらを併用する場合には、前記重合ロジンエステル系粘着付与樹脂(A)とロジンフェノール系粘着付与樹脂(B)との比が、(A)/(B)で表される質量比で5/1〜1/5であることが好ましく、3/1〜1/3がより好ましく、1/1〜1/3が更に好ましい。当該範囲内であれば、再剥離性と強接着性をバランスよく向上させることができる。
【0029】
粘着付与樹脂の軟化点において、軟化点が120〜180℃であることが好適であり、より好ましくは140〜180℃である。軟化点の高い粘着付与樹脂を配合することで、強接着性が向上する。
【0030】
アクリル系共重合体/粘着付与樹脂の配合比において、アクリル系共重合体/粘着付与樹脂=100/10〜100/40が好適であり、より好ましくはアクリル系共重合体/粘着付与樹脂=100/15〜100/35である。当該範囲内であれば、再剥離性と強接着性をバランスよく向上させることができる。
【0031】
(架橋剤)
本発明に使用する水分散型アクリル系粘着剤組成物においては、得られる粘着剤層の凝集力を向上させる目的で、架橋剤を使用することが好ましい。架橋剤としては、公知のイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、多価金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤、ケト・ヒドラジド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、シラン系架橋剤、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン系架橋剤等が使用できる。その中でも、重合終了後に添加し、架橋反応を進行させるタイプの架橋剤が好ましい。例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン系架橋剤等が挙げられる。具体的には、イソシアネート系架橋剤では、バーノック DNW−5000[DIC(株)製]、バーノック DNW−5010[DIC(株)製]、バーノック DNW−5100[DIC(株)製]、バーノック DNW−5500[DIC(株)製]、アクアネート100[日本ポリウレタン工業(株)製]、アクアネート105[日本ポリウレタン工業(株)製]、アクアネート110[日本ポリウレタン工業(株)製]、アクアネート120[日本ポリウレタン工業(株)製]、アクアネート130[日本ポリウレタン工業(株)製]、アクアネート200[日本ポリウレタン工業(株)製]、アクアネート210[日本ポリウレタン工業(株)製]、LS2319[住化バイエルウレタン(株)製]、LS2336[住化バイエルウレタン(株)製]、Bayhydur3100[住化バイエルウレタン(株)製]等が挙げられ、エポキシ系架橋剤では、デナコール EX−832[ナガセ化成工業(株)製]、デナコール EX−841[ナガセ化成工業(株)製]、テトラッドC[三菱瓦斯化学(株)製]、テトラッドX[三菱瓦斯化学(株)製]等が挙げられ、オキサゾリン系架橋剤では、エポクロスWS−500[(株)日本触媒製]、エポクロスWS−700[(株)日本触媒製]、エポクロスK−2010E[(株)日本触媒製]、エポクロスK−2020E[(株)日本触媒製]、エポクロスK−2030E[(株)日本触媒製]が挙げられ、カルボジイミド系架橋剤では、カルボジライトSV−02[日清紡績(株)]、カルボジライトV−02[日清紡績(株)]、カルボジライトV−02−L2[日清紡績(株)]、カルボジライトV−04[日清紡績(株)]、カルボジライトE−01[日清紡績(株)]、カルボジライトE−02[日清紡績(株)]、カルボジライトE−03A[日清紡績(株)]、カルボジライトE−04[日清紡績(株)]、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン系架橋剤では、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン[KBM−303;信越シリコーン(株)製]、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン[KBM−403;信越シリコーン(株)製]、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン[KBE−402;信越シリコーン(株)製]、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン[KBE−403;信越シリコーン(株)製]等が挙げられる。架橋度合いの指標として、粘着剤層をトルエンに24時間浸漬した後の不溶分を測定するゲル分率の値を用い、架橋度を調整する。ゲル分率は、好ましくは20〜45質量%である。より好ましくは25〜45質量%、更に好ましくは28〜38質量%の範囲であれば、再剥離性と強接着性をバランスよく確保することができる。
【0032】
中でも、前述のカルボキシル基含有ビニルモノマーと反応する架橋剤を使用することが好ましく、上述のイソシアネート系架橋剤、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド系架橋剤、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン化合物等が好ましい。本発明は、エマルジョン粒子表面と粒子内部の両方に適切な量の酸基を配向させることにより、アクリル系共重合体の凝集力を全体にわたって確保することを特徴とする技術であるが、上述の酸基と反応する架橋剤を使用することにより、凝集力の向上を好適に発現できる。
【0033】
(添加剤)
本発明に使用する水分散型アクリル系粘着剤組成物においては、添加剤として、必要に応じて本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、pHを調整するための塩基(アンモニア水など)や酸、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、ガラスやプラスチック製の繊維・バルーン・ビーズ・金属粉末等の充填剤、顔料・染料等の着色剤、pH調整剤、皮膜形成補助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の公知のものを粘着剤組成物に任意で添加することができる。
【0034】
(製造方法)
本発明に使用する水分散型アクリル系粘着剤組成物は、エマルジョン型の粘着剤を得る乳化重合法により製造できる。乳化重合においては、重合安定性を確保するため、陰イオン性や非イオン性の乳化剤、その他の分散安定剤が適量用いられる。特に乳化剤は制限されず、公知の乳化剤を用いることができる。陰イオン性乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられ、非イオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
更に、公知の「反応性乳化剤」と称される重合性不飽和基を分子内に有する乳化剤を使用することが好ましい。具体的には、ラテムルS−180[花王(株)製]、ラテムルPD−104[花王(株)製]、アクアロンHS−10[第一工業製薬(株)製]、アクアロンHS−20[第一工業製薬(株)製]、アクアロンKH−10[第一工業製薬(株)製]、アクアロンKH−1025[第一工業製薬(株)製]、アクアロンKH−05[第一工業製薬(株)製]、アクアロンRN−10[第一工業製薬(株)製]、アクアロンRN−20[第一工業製薬(株)製]、アクアロンER−10[第一工業製薬(株)製]、アクアロンER−20[第一工業製薬(株)製]、ニューフロンティアA−229E[第一工業製薬(株)製]、アデカリアソープSE−10[旭電化工業(株)製]、アデカリアソープSE−20[旭電化工業(株)製]、アデカリアソープSR−10N[旭電化工業(株)製]、アデカリアソープSR−20N[旭電化工業(株)製]等が挙げられる。反応性乳化剤を使用することで、重合安定性に加え、被膜の耐水性が向上するため好ましい。
【0035】
乳化重合法の中でも、滴下重合法を使用することが好ましい。また、酸基を粒子内部に導入し易くするために、滴下重合法を選定し、滴下前半と滴下後半に滴下させる乳化液の組成を変更させる方法で制御しても良い。具体的には、滴下前半では酸モノマーの比率を高め、滴下後半では酸モノマーの比率を低くすることで、粒子内部に酸モノマーを導入することができる。
【0036】
乳化重合に際し用いられる重合開始剤は限定されず、公知の重合開始剤を用いることができる。具体的に、2,2’,−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−アルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等のアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤、芳香族カルボニル化合物等のカルボニル系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組合せ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せ等のレドックス系開始剤などが挙げられる。
【0037】
また、本発明に使用する水分散型アクリル系粘着剤組成物の固形分濃度は、特に制限されるものではないが、製造時のコストや輸送コストという観点、及び、乾燥して使用する際の乾燥性に優れるという観点から、固形分濃度が40〜70重量%であることが好ましい。
【0038】
本発明に使用する水分散型アクリル系粘着剤組成物において使用する水性媒体は、水の単独使用でもよく、あるいは水と水溶性溶剤の混合溶剤を用いてもよい。本発明で使用可能な上記の「水と水溶性溶剤の混合溶剤」とは、実質的に水を主体とした水溶性溶剤との混合溶剤であり、混合溶剤の全量に対して、水溶性溶剤の含有率が好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下である。前記水溶性溶剤とは、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、あるいはN−メチルピロリドン等の極性溶剤が挙げられ、これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
【0039】
また、本発明におけるアクリル系共重合体エマルジョン粒子の平均粒子径は特に制限されるものではないが、150nm以下であるとエマルジョン粒子内部への酸基の導入が難しい場合があるため、150nmを越える粒子径であることが好ましく、200〜1000nmであることが好ましく、200〜800nmであることが更に好ましく、200〜600nmであることが一層好ましく、250〜400nmがより一層好ましい。
【0040】
ここでの粒子の平均粒子径とは、エマルジョン粒子の体積基準での50%メジアン径をいい、数値は動的光散乱法により測定して得られる値に基づくものである。平均粒子径が小さくなりすぎた場合、粒子の表面積が増え、粒子表面が水と接触する割合が増加する。その結果、例えば酸基としてカルボキシル基を使用する場合には、カルボキシル基がカルボキシラートアニオンにイオン化し易くなり、粒子表面にカルボキシル基が局在化する傾向が強くなる。
【0041】
このため、得られるアクリル系共重合体エマルジョン表面の酸基量と内部の酸基量との比(ANIN)/(ANSUR)が、上述したような所望する範囲に入り難くなる場合がある。従って、平均粒子径は150nmを超えることが好ましい。一方、平均粒子径が大きくなりすぎた場合、粘着剤層形成後のエマルジョン粒子同士の融着を促進させるために過度に大きい平均粒子径は好ましくなく、1000nm以下に抑制することが好ましい。
【0042】
(酸基の分布)
本発明に使用する水分散型アクリル系粘着剤組成物中のアクリル系共重合体エマルジョン粒子は、アクリル系共重合体エマルジョン粒子表面の酸基量(ANSUR)と、アクリル系共重合体エマルジョン粒子内部の酸基量(ANIN)との比、(ANIN)/(ANSUR)が、1以上のアクリル系共重合体エマルジョン粒子であることが望ましい。本発明においては、内部の酸基量が、表面の酸基量と同等以上であるアクリル系共重合体を使用することにより、糊残りの低減や、経時での過度な接着力の上昇の抑制が可能となり、好適な再剥離性を有する粘着テープを実現できる。このようなアクリル系共重合体エマルジョン粒子を使用した水分散型アクリル系粘着剤組成物によれば、強接着力を有する粘着剤層を有する粘着テープとした場合にも優れた再剥離性を実現できるため、強接着と再剥離の相反する両特性に優れた粘着テープを実現できる。さらに、粒子間と粒子内両方への酸基配向による凝集力確保と、粒子表面の酸基量抑制による粘着剤層表面の親水性低減(疎水性向上)により、耐水性に優れる粘着テープを得ることができる。上記酸基量の比、(ANIN)/(ANSUR)は、1.3以上であることが好ましく、1.5以上であることが更に好ましく、2.0以上であることが一層好ましい。一方、上限はアクリル系共重合体エマルジョン粒子間の凝集力を確保できる表面酸基量(ASUR)があれば特に制限されないが、上記比が10以下であることが好ましく、5以下であることがさらに好ましい。上述の上限範囲内の場合、粒子間の相互作用が進み易くなり、粒子間における凝集力を高め易くなり、再剥離性ならびに耐水性が向上する。
【0043】
(酸基分布の測定方法)
本発明に使用するアクリル系共重合体エマルジョン粒子中の酸基の分布は以下の方法により測定する。本発明におけるアクリル系共重合体エマルジョン粒子中の酸基の分布を測定する方法は、測定誤差が少なく簡便な操作であることから電位差滴定を用いることが好ましい。電位差滴定による酸基の測定は、特開2007−003454に開示された方法に準じて行うことができ、詳細には以下の方法により測定される。
【0044】
(電位差滴定を用いた酸基分布の測定方法)
本発明において、電位差滴定を用いたアクリル系共重合体エマルジョン粒子中の酸基の分布を測定する方法を以下に示す。
【0045】
電位差滴定に用いる酸性試料分散液の調整は、アクリル系共重合体エマルジョン粒子(固形分)とイオン交換水とを、(アクリル系共重合体エマルジョン/イオン交換水)で表される質量比で3/100となるよう調整する。水分散型アクリル系粘着剤組成物からのアクリル系共重合体エマルジョン粒子の抽出は、水性媒体に分散した状態で抽出しても水性媒体から分離した状態で抽出しても良い。調整する酸性試料分散液は、pHが4以下の酸性試料分散液であることが好ましく、アンモニア水等で中和された水分散型アクリル系粘着剤組成物から、水性媒体に分散した状態でアクリル系共重合体エマルジョンを抽出する場合には、必要に応じ試料分散液にギ酸や酪酸等の弱酸を添加してpHを4以下に調整することが好ましい。
【0046】
滴定は、電位差自動滴定装置を用いることができ、電位差自動滴定装置としては、例えば、京都電子株式会社製AT−610,AT−420N−WIN等が挙げられる。
【0047】
アクリル系共重合体エマルジョン粒子表面の酸基量(ANSUR)と内部の酸基量(ANIN)の算出は、電位差滴定により得られる滴定曲線に基づいて算出される。X軸を塩基滴下量、Y軸をpHとして電位差滴定を行うと、滴定開始点Pから滴定終了点Pの間に、塩基滴定開始後pHが極小となる極小点P、極小点Pに次いで表れる変曲点Pを有する滴定曲線(図1)が得られる。当該極小点Pおよび変曲点Pは、X軸を塩基滴下量(mL)、Y軸をΔE/mLとする滴定曲線の微分曲線(図2)に変換することで、より明確にPおよびPを読み取り易くなる。
【0048】
滴定曲線におけるP〜Pの領域は、試料分散液の水相中に遊離した酸が中和される領域であり、水相中の遊離酸の中和にともないpH値が減少し、全て中和された時点でpH値が極小となる極小値Pを示す。従って、当該領域にて滴下した塩基量が水相中の酸を中和するのに要する滴定量となる。この塩基滴定量と滴定に使用した無機塩基溶液の塩基濃度から、試料分散液中の水相中の酸基量(ANAQUA)[meq/g]を算出する。
【0049】
水分散型アクリル系粘着剤組成物中には、通常、アクリル系共重合体を重合する際に使用する酸が残存するため、アクリル系共重合体エマルジョン粒子を水性媒体に分散した状態で抽出すると試料分散液の水相中には遊離酸が存在する。一方で、アクリル系共重合体エマルジョン粒子のみを分離し、これをイオン交換水中に分散させた場合には、理論上水相中には酸が存在しないためP=Pとなる場合がある。
【0050】
水相中の酸が中和されると、次いで中和され易いアクリル系共重合体エマルジョン粒子表面の酸基が中和される。これが滴定曲線のP〜Pの領域となるため、当該領域にて滴下した塩基量が、アクリル系共重合体エマルジョン粒子表面の酸基を中和するのに要する滴定量となる。この塩基滴定量と滴定に使用した無機塩基溶液の塩基濃度から、アクリル系共重合体エマルジョン粒子表面の酸基量(ANSUR)[meq/g]を算出する。
【0051】
アクリル系共重合体エマルジョン粒子表面の酸基が中和されると、中和されにくいアクリル系共重合体エマルジョン粒子内部の酸基の中和が始まるが、これが滴定曲線中の変曲点Pとして現れる。アクリル系共重合体エマルジョン粒子内部の酸基量(ANIN)は、当該エマルジョン粒子が安定に粒子を形成している場合には、エマルジョン粒子内部に存在する酸基の全量を滴定により測定するのが困難あるいは煩雑となるため、上記算出結果と試料分散液中の全酸基量(ANTOTAL)とから、下式により算出することが好適である。
ANIN=ANTOTAL−(ANSUR+ANAQUA
【0052】
上記滴定に使用する無機塩基溶液は、滴定に使用する無機塩基としては、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを好ましく使用でき、水酸化カリウムを使用することが特に好ましい。滴定に使用する無機塩基の濃度は0.1〜2mol/Lの範囲で調整することが好ましい。
【0053】
その他の滴定条件としては、間欠等速滴定により滴定を行うことが好ましく、間欠時間は10秒、最大滴下量は20mL、間欠注入時の1回注入量は0.16mL/回が好ましく、注入速度は5秒/mL、データ採取する電位は4mL、pHを検出する滴定量は0.16mL毎に行うことが好ましい。
【0054】
具体的な測定方法を例示すると、アクリル系共重合体エマルジョン粒子(固形分)3gを含有する水分散型アクリル系粘着剤組成物を、スポイトにて300mLのポリエチレン製ビーカーに秤量して、次いで、そのポリエチレン製ビーカー内にイオン交換水を、被検サンプルの総量が100gになるまで注入し、攪拌する。そして、電極と温度保証電極を浸す。滴定ノズルの先は液面より高く、滴定試薬が電極にかからないように電極から2センチ離す。前記条件下にて、攪拌しながら、電位差自動滴定を開始する。測定終了後、得られた滴定曲線に自動印字された当量点の滴定量からmeq/gを算出する。
【0055】
(酸基の全量を計測する方法)
前記酸性試料分散液中の全酸基量(ANTOTAL)は、仕込み量から算出した酸基の理論量から算出しても、以下に示したように無機酸溶液による電位差滴定による計測方法で得られた値を用いても良い。電位差滴定により試料分散液中の全酸基量(ANTOTAL)を計測する方法について、以下に示す。
【0056】
試料分散液の調整は、上記で使用する酸性試料分散液と同等の試料分散液に、水酸化カリウムをpH13になるまで添加し、粒子内部も含めた全ての酸基を中和させる。アクリル系共重合体エマルジョン粒子の分散液をpH13の塩基性試料分散液とすると、静電気相互作用により、内部の酸基は全てエマルジョン粒子表面に引き出される。このため当該塩基性試料分散液を無機酸溶液により逆滴定することで、アクリル系共重合体エマルジョン粒子表面の酸基と内部の酸基を同等に滴定でき、試料分散液中の全酸基量を算出できる。
【0057】
滴定に使用する酸は硫酸を好ましく使用でき、その濃度は0.1mol/Lであることが好ましい。電位差滴定装置としては上記と同様の装置を好ましく使用できる。
【0058】
X軸を酸滴下量、Y軸をpHとして電位差滴定を行うと、滴定開始点Qから滴定終了点Qの間に、酸滴定量の少ない順に変曲点Q、Q、Qを有する滴定曲線が得られる(図3)。これら変曲点は、X軸を酸滴下量(mL)、Y軸をΔE/mLとする滴定曲線の微分曲線(図4)に変換することで、より明確に変曲点を読み取り易くなる。これら変曲点Q1、Q、QにおけるX座標がそれぞれの点における酸滴下量となり、Q〜Qにおける酸滴下量はpH13に調整する際に用いた水酸化カリウムの残渣を中和するのに要する滴定量である。Q〜Qにおける酸滴下量は、アクリル系共重合体エマルジョン粒子中に存在する全ての酸基を中和するのに要する滴定量であり、Q〜Qにおける酸滴下量は水相中の酸基を中和するのに要する滴定量である。従って、これら酸滴下量のうちQ〜Qにおいて滴下した酸滴下量と滴定に用いた酸の濃度を基にmeq/gに換算することで、上記酸性試料分散液中の全酸基量(ANTOTAL)が算出される。
【0059】
具体的な測定方法を例示すると、アクリル系共重合体エマルジョン粒子(固形分)3gを含有する水分散型アクリル系粘着剤組成物をスポイトにて300mLのポリエチレン製ビーカーに秤量して、次いで、そのポリエチレン製ビーカー内にイオン交換水を、被検サンプルの総量が100gになるまで注入し、攪拌する。続いて、被検サンプルがpH13になるまで、1Nの水酸化カリウムを添加し、攪拌する。そして、電極と温度保証電極を浸す。前記に示した滴定条件と同様に電位差自動滴定を開始する。測定終了後、得られた滴定曲線に自動印字された当量点の滴定量からmeq/gを算出する。
【0060】
アクリル系共重合体エマルジョン粒子内部への酸基の導入は、モノマー組成や、重合方法を適切に選定することにより制御できる。モノマー組成としては、酸モノマーの疎水性を高めることにより粒子内部に酸基を導入することができる。また、酸基と相互作用する窒素含有モノマーを共重合させることにより、粒子内部に酸基を導入することもできる。一方、重合方法としては、いわゆる滴下重合法を選定し、滴下前半と滴下後半に滴下させる乳化液の組成を変更させる方法で制御できる。具体的には、滴下前半では酸モノマーの比率を高め、滴下後半では酸基を有するモノマーの比率を低くすることで、粒子内部に酸モノマーを導入することができる。
【0061】
<不織布基材>
本発明の両面粘着テープにおいては、中芯として、全光透過率が70%以上、MD方向及びTD方向の引張強さが25〜40N/20mmの不織布基材を使用する。
【0062】
不織布の引張強さを、MD方向(縦方向;流れ方向)、TD方向(横方向;幅方向)共に10〜50N/20mm、好ましくは15〜40N/20mm、より好ましくは25〜40N/20mmとすることで、再剥離時のテープ切れが生じにくく、かつ湾曲面等へ貼り付けた際にも剥がれにくい。なお、前述の引張強さは、票線長さ100mm、幅20mmのサンプルを、テンシロン引張試験機を用い、23℃・50%RHの環境下において、引張速度300mm/minの測定条件で測定した最大強度をいう。
【0063】
また、不織布基材の全光線透過率を70%以上とすることで、粘着剤組成物が好適に含浸し、得られる粘着テープの全光線透過率を高くすることができる。
【0064】
[全光線透過率の測定方法]
全光線透過率は、例えば、JIS K 7105に準じて、(株)村上色彩技術研究所製反射・透過率計HR−100型で測定できる。
【0065】
不織布の引裂強さは、JIS−P−8116に規定される引裂強さにて1N以上であることが好ましい。引裂強さを1N以上とすることで、剥離工程での一瞬の引裂により破壊の起点が生じ拡大していくことで生じる不織布の破壊を顕著に抑制でき、基材が切れ難くなる。その結果、長期間被着体に貼着された両面粘着テープの再剥離性を大幅に向上できる。引裂強度の上限は、特に規定されるものではないが、不織布を使用した基材としては3N程度の引裂強度が通常上限として想定される。好ましくは1.2〜2.5N、より好ましくは1.5〜2.5Nである。
【0066】
不織布の層間強さは、1N/15mm以上であることが好ましい。層間強さの測定方法は、まず25×150mmの不織布の両面に24mm幅の粘着フィルム(ニチバン製CT405AP−24)を密着するように貼る。粘着フィルムの長さは、不織布より長めにする。上記試料の両端を切り落とし、15×150mmに調整した試料の一端から粘着フィルムを剥がし、不織布層間を約30mm剥がす。この試料を、縦方向と横方向の各3枚ずつを準備する。測定温湿度:23℃50%RH、測定機器:オリエンテック製テンシロンRTA−100を用い、試片つかみ間隔:20mmとして上記試料をチャックに挟み、速度:100mm/分、測定距離:50mm、により得た積分平均荷重を読み取り、縦方向、横方向、各3枚の平均値を層間強度(N/15mm)とする。層間強さの上限は、特に規定されるものではないが、不織布を使用した基材としては4N程度の層間強さが通常上限として想定される。
【0067】
不織布の材質としては、粘着テープの不織布として用いられる公知慣用の不織布を用いることができる。代表的な例としては、マニラ麻;パルプ;レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維等の化学繊維;及びこれらの混合物等が挙げられる。さらに、必要に応じて、ビスコース含浸や熱可塑性樹脂をバインダーとした含浸処理を施しても良い。
【0068】
中でも麻単独、または麻とビニロン、レーヨン、ポリエステル、パルプ等を混抄したものが好ましい。麻としては、強度の点からマニラ麻が好ましい。また、マニラ麻の含有率は50質量%以上のものが好ましく、70質量%以上のものがさらに好ましい。
【0069】
また、不織布の強度を向上させる目的で、不織布製造工程で公知慣用の強化剤を添加することが好ましい。強化剤は、内添強化剤或いは外添強化剤を、単独または併用しても良い。内添強化剤としては、ポリアクリルアミド系樹脂、尿素−ホルムアルデヒド系樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド系樹脂、エポキシ−ポリアミド系樹脂等が使用できる。特に、エポキシ−ポリアミド系樹脂であるポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂が著しく不織布の層間強度を上げるため好ましい。内添強化剤の添加量としては、好ましくは不織布に対して0.2〜1%、さらに好ましくは0.3〜0.5%である。一方、外添強化剤としては、でんぷん;ビスコース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の熱可塑性樹脂が使用できる。中でも、不織布基材の層間強度を上げるために、上述の内添強化剤を使用することが好ましい。
【0070】
前述の不織布の坪量は10〜30g/mであることが好ましく、13〜25g/mであることがより好まく、14〜20g/mであることが一層好ましい。また、密度は0.15〜0.35g/mであることが好ましく、0.2〜0.3g/mであることがより好ましい。本範囲の場合、不織布の切断し難さと、不織布への粘着剤の含浸性をバランスよく向上させることができ、再剥離性を一層向上させることができる。
【0071】
不織布の抄紙方法としては、特に限定されるものではないが、公知の湿式法により得られ、円網抄紙機、短網抄紙機、長網抄紙機、傾斜短網抄紙機等を使用した各種抄紙法が用いられる。中でも、不織布を切断し難くさせるために、MD方向とTD方向の強度や伸びの等方性を上げることが好ましく、その等方性を上げやすい傾斜短網抄紙機が好ましい。
【0072】
不織布基材の厚さは、上記全光線透過率や引張強度、さらには上記坪量等を有するものであれば特に制限されないが、65〜80μmの厚みのものが、本発明の効果を好適に発現しやすいため好ましい。
【0073】
両面粘着テープを構成する際の不織布には、ガラス転移温度(Tg)が−10℃以下であるアクリル系共重合体を固着させることが好ましい。アクリル系共重合体を固着させていない通常の不織布に比べ、アクリル系共重合体を固着させた場合、不織布表面がアクリルで被覆されるため、アクリル系の粘着剤組成物との化学的な親和性が向上し、不織布基材と粘着剤との結合が強固になる作用が生まれる。その結果、長期間被着体に貼着された粘着テープを剥離する再剥離過程において、粘着剤が不織布基材から脱落し難くなる。また、通常、不織布をアクリル系繊維加工剤により処理すると、不織布の引張強さは増加する傾向にあるが、引裂強さが大きく低減し、千切れ易くなる。しかし、低ガラス転移温度のアクリル系共重合体を使用すると、−10℃近傍の温度を境に引裂強さが強くなり、再剥離性の向上に大きく貢献する。
【0074】
さらに、不織布へ固着するアクリル系共重合体のガラス転移温度は、−10℃以下であることが好ましく、好ましくは−15℃以下であり、さらに好ましくは−20℃以下である。−10℃を超える高ガラス転移温度のアクリル系共重合体を不織布基材に固着させた場合、不織布基材の脆性が強くなり、不織布基材の引裂強さが低下する。その結果、再剥離時に不織布基材が顕著に千切れ易くなる。一方、−10℃以下である低ガラス転移温度のアクリル系共重合体の場合、再剥離過程において不織布基材に加わる応力を緩和する効果を生み出し、不織布基材が千切れ難くなる。
【0075】
<両面粘着テープ>
(構成)
本発明の粘着テープは、上記不織布基材の両面に、上記の水分散型アクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を有し、全光線透過率が75%以上、好ましくは80%以上の両面粘着テープである。両面粘着テープの全光線透過率を75%以上とすることで、好適な再剥離性を実現できる。
【0076】
(粘着剤層)
本発明の粘着テープにおける粘着剤層は、上記水分散型アクリル系粘着剤組成物から溶媒を除去して得られる層である。両面粘着テープを形成した際の両面を合算した粘着剤層の好ましい厚さは30〜300μm、より好ましくは50〜200μmである。
【0077】
本発明における粘着剤層は、動的粘弾性スペクトルにおける正接損失の上に凸のピーク値を示す温度が、−60℃〜−5℃であることが好ましく、−30℃〜−10℃であることがより好ましい。本範囲にある場合、再剥離性と強接着性をバランスよく両立し易くなる。
【0078】
上述の動的粘弾性特性は、動的粘弾性の測定においては、粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に試験片を挟み込み、周波数1Hzで−50℃から150℃までの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定する。試験片は厚み0.5〜2.5mmの粘着剤を単独で平行円盤の間に挟んでも良いが、基材と粘着剤の積層体を幾重にも重ねて平行円盤の間に挟んでも良い。なお、後者の場合は粘着剤のみの厚さが前記の範囲となるように調整する。粘着剤としての厚さを上記の範囲に調整すると、中間に基材が挟まっていても粘着剤の動的粘弾性スペクトルに影響はないことを本発明者等は確認している。
【0079】
(粘着テープの製造工程)
不織布に粘着剤層を積層する方法としては、粘着剤溶液をロールコーターやダイコーター等を用い、セパレーター上にいったん粘着剤溶液をコーティングし、乾燥工程を経た後、不織布にラミネートする方法(以下、転写法という)を用いることができる。本発明においては、当該ラミネート時のラミネート温度を80〜150℃とすることが好ましい。また、ラミネート圧力を30〜500N/cmとすることが好ましく、40〜300N/cmとすることがより好ましい。ラミネート速度は2〜50m/minとすることが好ましく、2〜25m/minとすることがより好ましい。特に、ラミネート時の圧力を高くすることが好ましく、圧力/速度の比が、4〜20であることが好ましい。粘着テープ製造時のラミネート条件を上記条件にて調整することで、粘着テープの全光線透過率を好適な範囲に調整しやすくなる。
【0080】
乾燥工程終了時における粘着剤層をトルエンに24時間浸漬した後の不溶分を測定するゲル分率は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることが一層好ましい。乾燥工程終了時のゲル分率が10%以下の場合、粘着剤が不織布へ含浸し易くなり、全光線透過率を好適に調整しやすく、再剥離性を向上させることができる。本ゲル分率は、アクリル系共重合体エマルジョンを合成する際の反応温度、反応時間、開始剤の種類及び使用量、連鎖移動剤の種類及び使用量を適宜選択することにより、調整することができる。
【0081】
(粘着テープの特性)
本発明の粘着テープの引張強さは、MD方向(縦方向;流れ方向)、TD方向(横方向;幅方向)共に20N/20mm以上且つ50N/20mm未満であることが好ましい。より好ましくは、20N/20mm以上且つ40N/20mm未満であり、一層好ましくは、30N/20mm以上且つ40N/20mm未満である。20N/20mm以上の場合には、粘着テープを長期間貼着し、再剥離する際に顕著に千切れ難くなる。一方、過度に引張強さが高い場合は、粘着テープとしてのいわゆる腰が強くなるために、反発力に耐えられずに剥がれが発生し易くなり、50N/20mm未満であることが好ましい。特に、曲面等の耐反発力が要求される用途に粘着テープを使用する場合には、40N/20mm未満であることが好ましい。
【0082】
尚、前述の引張強さは、票線長さ100mm、幅20mmのサンプルを、テンシロン引張試験機を用い、23℃・50%RHの環境下において、引張速度300mm/minの測定条件で測定した最大強度をいう。
【0083】
粘着テープの180度ピール粘着力は、JIS−Z−0237(2000年度版)に準拠した測定において、亜鉛メッキ鋼板を被着体とし、23℃・50%の環境下、2kgローラーにて1往復の加圧貼付を行い、〔A〕23℃・50%の環境下で1時間放置したサンプルと、〔B〕60℃・0〜5%の環境下で20日放置した後、23℃・50%の環境下で1時間放置したサンプルを準備し、〔A〕および〔B〕の粘着テープサンプルを180度方向に1000m/minの速度で引き剥がした際の粘着力(〔A〕および〔B〕)を測定した際に、〔A〕の粘着力が15〜20N/20mmであることが好ましく、〔B〕−〔A〕の粘着力の差が10N/20mm以内であることが好ましい。本範囲の粘着力の場合、再剥離性と強接着性をバランス良く両立し易くなる。なお、評価する際の粘着テープは20mm幅×100mm長に切断することで粘着テープサンプルを調整し、両面粘着テープの場合には、両面粘着テープを厚さ25μmのPETフィルムで裏打ちし、20mm幅×100mm長に切断することにより両面粘着テープサンプルを調整する。
【0084】
<用途>
本発明の粘着テープは、被着体の反発力に耐える耐剥がれ性、せん断方向にかかる荷重に耐える保持性、高湿環境等の厳しい環境条件下での接着信頼性、少ない面積での部品間の固定等、安定して部材間を固定できる強固な粘着力にも優れる。それに加えて、作業工程における接着不備や、リサイクル時の部材間の分離に際しては、優れた再剥離性を有する。なお、従来の溶液重合型のアクリル系樹脂を主成分とした粘着剤とは異なり、水分散型アクリル系粘着剤組成物を用いることで、揮発性有機化合物の低減効果も期待できるため、自動車、建材、OA、家電業界などの工業用途における各種製品内部の部品間の固定を行う粘着テープとして好適に使用できる。
【実施例】
【0085】
次に、本発明を実施例および比較例により詳細に説明する。
【0086】
[水分散型アクリル系粘着剤組成物の調製方法]
(実施例1)
<乳化液の調製>
容器にイオン交換水75gと界面活性剤アクアロンKH−1025[第一工業製薬(株)製;有効成分25%]20gと界面活性剤ラテムルPD−104[花王(株)製;有効成分20%]37.5gを入れ、均一に溶解した。そこに、n−ブチルアクリレート227.5g、2−エチルヘキシルアクリレート227.5g、メチルメタクリレート25g、N−ビニルピロリドン7.5g、アクリル酸12.5g、ラウリルメルカプタン0.2gを加えて乳化し、乳化液632.7gを得た。
【0087】
<アクリル系共重合体エマルジョンの製造>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に、イオン交換水340gを入れ、窒素を吹き込みながら60℃まで昇温した。攪拌下、乳化液の一部[3.2g]、過硫酸アンモニウム水溶液5.0g[有効成分3%]、亜硫酸水素ナトリウム水溶液5.0g[有効成分3%]を添加し、60℃を保ちながら1時間で重合させた。引き続き、残りの乳化液629.5gと、過硫酸アンモニウム水溶液40g[有効成分1.25%]を別々の漏斗を使用して、反応容器を60℃に保ちながら8時間かけて滴下重合した。滴下終了後、反応容器を60℃に保ちながら2時間攪拌した後、内容物を冷却し、アクリル系共重合体エマルジョン(A)を得た。引き続き、pHが7.5になるようにアンモニア水(有効成分10%)で調整した。これを200メッシュ金網で濾過し、アクリル系共重合体エマルジョン(B)を得た。ここで、得られた水分散型アクリルポリマーは固形分濃度50%、平均粒子径は338nmであった。
【0088】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物の製造>
前記のアクリル系共重合体エマルジョン(B)1000g[dry;500g]に、レベリング剤としてサーフィノールPSA−336[エアー・プロダクツ・ジャパン(株)製;有効成分100%]2.5g、消泡剤としてサーフィノールDF−110D[エアー・プロダクツ・ジャパン(株)製;有効成分100%]2.5g、粘着付与樹脂としてエマルジョン型重合ロジンエステル系粘着付与樹脂スーパーエステルE−865NT[荒川化学工業(株)製;軟化点160℃]固形分で50g、エマルジョン型ロジンフェノール系粘着付与樹脂タマノルE−200NT[荒川化学工業(株)製;軟化点150℃]固形分で50gを添加し、架橋剤としてエポキシ化合物テトラッドC[三菱瓦斯化学(株)製]0.15g、100メッシュ金網で濾過し、本発明の水分散型アクリル系粘着剤組成物を得た。
【0089】
[不織布基材の調製方法]
マニラ麻90%、ポリエステル10%、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂0.5%を含む溶液を、傾斜短網抄紙機で、坪量17g/m、密度0.28g/cmとなるように抄紙し、引張強さがMD方向で25.3N/20mm、TD方向で23.5N/20mmの不織布基材を得た。不織布基材の全光線透過率は、73%であった。
【0090】
<両面粘着テープの調製方法>
前記の水分散型アクリル系粘着剤組成物を剥離処理した厚さ75μmのポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚さが65μmになるように塗工して、100℃5分乾燥して得た粘着シートを、前述の不織布基材の両面に転写し、100℃の熱ロールで40N/cmの圧力、10m/minの速度でラミネートし、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの全光線透過率は、78.3%であった。尚、該両面粘着テープは40℃2日エージング後に試験を使用した。
【0091】
(実施例2)
<乳化液の調製>
実施例1と同様に乳化液を調製した。
【0092】
<アクリル系共重合体エマルジョンの製造>
実施例1と同様の方法で、アクリル系共重合体エマルジョンを製造した。
【0093】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物の製造>
実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。
【0094】
<両面粘着テープの調製方法>
100℃の熱ロールで40N/cmの圧力、2m/minの速度でラミネートした以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの全光線透過率は、80.3%であった。
【0095】
(実施例3)
<乳化液の調製>
容器にイオン交換水75gと界面活性剤アクアロンKH−1025[第一工業製薬(株)製;有効成分25%]20gと界面活性剤ラテムルPD−104[花王(株)製;有効成分20%]37.5gを入れ、均一に溶解した。そこに、n−ブチルアクリレート227.5g、2−エチルヘキシルアクリレート227.5g、メチルメタクリレート25g、N−ビニルピロリドン7.5g、アクリル酸1.5g、メタクリル酸11g、ラウリルメルカプタン0.2gを加えて乳化し、乳化液632.7gを得た。
【0096】
<アクリル系共重合体エマルジョンの製造>
上記にて得られた乳化液を用いた以外は実施例1と同様の方法で、アクリル系共重合体エマルジョンを製造した。ここで、得られたアクリル系共重合体エマルジョンは固形分濃度50%、平均粒子径は341nmであった。
【0097】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物の製造>
上記にて得られたアクリル系共重合体エマルジョンを用いた以外は実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。
【0098】
<両面粘着テープの調製方法>
上記にて得られた水分散型アクリル系粘着剤組成物を用い、80℃の熱ロールで40N/cmの圧力、10m/minの速度でラミネートした以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの全光線透過率は、80.5%であった。
【0099】
(実施例4)
<乳化液の調製>
実施例3と同様に乳化液を調製した。
【0100】
<アクリル系共重合体エマルジョンの製造>
実施例3と同様の方法で、アクリル系共重合体エマルジョンを製造した。
【0101】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物の製造>
実施例3と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。
【0102】
<両面粘着テープの調製方法>
上記にて得られた水分散型アクリル系粘着剤組成物を用い、100℃の熱ロールで40N/cmの圧力、10m/minの速度でラミネートした以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの全光線透過率は、81.3%であった。
【0103】
(実施例5)
<乳化液の調製>
実施例3と同様に乳化液を調製した。
【0104】
<アクリル系共重合体エマルジョンの製造>
実施例3と同様の方法で、アクリル系共重合体エマルジョンを製造した。
【0105】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物の製造>
実施例3と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。
【0106】
<両面粘着テープの調製方法>
上記にて得られた水分散型アクリル系粘着剤組成物を用い、100℃の熱ロールで120N/cmの圧力、10m/minの速度でラミネートした以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの全光線透過率は、83.0%であった。
【0107】
(実施例6)
<乳化液の調製>
実施例3と同様に乳化液を調製した。
【0108】
<アクリル系共重合体エマルジョンの製造>
実施例3と同様の方法で、アクリル系共重合体エマルジョンを製造した。
【0109】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物の製造>
実施例3と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。
【0110】
<両面粘着テープの調製方法>
上記にて得られた水分散型アクリル系粘着剤組成物を用い、120℃の熱ロールで40N/cmの圧力、10m/minの速度でラミネートした以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの全光線透過率は、84.2%であった。
【0111】
(実施例7)
<乳化液の調製>
実施例3と同様に乳化液を調製した。
【0112】
<アクリル系共重合体エマルジョンの製造>
実施例3と同様の方法で、アクリル系共重合体エマルジョンを製造した。
【0113】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物の製造>
実施例3と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。
【0114】
<両面粘着テープの調製方法>
上記にて得られた水分散型アクリル系粘着剤組成物を用い、100℃の熱ロールで200N/cmの圧力、20m/minの速度でラミネートした以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの全光線透過率は、85.4%であった。
【0115】
(比較例1)
<乳化液の調製>
実施例1と同様に乳化液を調製した。
【0116】
<アクリル系共重合体エマルジョンの製造>
実施例1と同様の方法で、アクリル系共重合体エマルジョンを製造した。
【0117】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物の製造>
実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。
【0118】
<両面粘着テープの調製方法>
上記にて得られた水分散型アクリル系粘着剤組成物を用い、100℃の熱ロールで40N/cmの圧力、25m/minの速度でラミネートした以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの全光線透過率は、70.8%であった。
【0119】
(比較例2)
<乳化液の調製>
実施例1と同様に乳化液を調製した。
【0120】
<アクリル系共重合体エマルジョンの製造>
実施例1と同様の方法で、アクリル系共重合体エマルジョンを製造した。
【0121】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物の製造>
実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。
【0122】
<両面粘着テープの調製方法>
上記にて得られた水分散型アクリル系粘着剤組成物を用い、25℃の熱ロールで40N/cmの圧力、10m/minの速度でラミネートした以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの全光線透過率は、68.1%であった。
【0123】
(比較例3)
<乳化液の調製>
実施例1と同様に乳化液を調製した。
【0124】
<アクリル系共重合体エマルジョンの製造>
実施例1と同様の方法で、アクリル系共重合体エマルジョンを製造した。
【0125】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物の製造>
実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。
【0126】
<両面粘着テープの調製方法>
上記にて得られた水分散型アクリル系粘着剤組成物を用い、100℃の熱ロールで10N/cmの圧力、10m/minの速度でラミネートした以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの全光線透過率は、69.9%であった。
【0127】
(比較例4)
<乳化液の調製>
実施例1と同様に乳化液を調製した。
【0128】
<アクリル系共重合体エマルジョンの製造>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に、イオン交換水340gを入れ、窒素を吹き込みながら60℃まで昇温した。攪拌下、上記で得られた乳化液の一部[3.2g]、過硫酸アンモニウム水溶液5.0g[有効成分3%]、亜硫酸水素ナトリウム水溶液5.0g[有効成分3%]を添加し、70℃を保ちながら1時間で重合させた。引き続き、残りの乳化液629.5gと、過硫酸アンモニウム水溶液40g[有効成分1.25%]を別々の漏斗を使用して、反応容器を70℃に保ちながら8時間かけて滴下重合した。滴下終了後、反応容器を70℃に保ちながら2時間攪拌した後、内容物を冷却し、アクリル系共重合体エマルジョン(A)を得た。引き続き、pHが7.5になるようにアンモニア水(有効成分10%)で調整した。これを200メッシュ金網で濾過し、アクリル系共重合体エマルジョン(B)を得た。ここで、得られた水分散型アクリルポリマーは固形分濃度50%、平均粒子径は338nmであった。
【0129】
<水分散型アクリル系粘着剤組成物の製造>
上記で得られたアクリル系共重合体エマルジョンを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤組成物を製造した。
【0130】
<両面粘着テープの調製方法>
上記にて得られた水分散型アクリル系粘着剤組成物を用い、100℃の熱ロールで40N/cmの圧力、10m/minの速度でラミネートした以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの全光線透過率は、62.7%であった。
【0131】
[評価方法(水分散型アクリル系粘着剤組成物)]
(アクリル系共重合体エマルジョン中のカルボキシル基分布の測定方法)
実施例1で得られたアクリル系共重合体エマルジョン(A)[固形分濃度50%]6.0g(固形分3g)をスポイトにて300mLのポリエチレン製ビーカーに秤量して、次いで、そのポリエチレン製ビーカー内にイオン交換水94.0gを注入し、攪拌する(被検サンプルの総量を100gとした)。そして、電極と温度保証電極を浸す。滴定ノズルの先は液面より高く、滴定試薬が電極にかからないように電極から2センチ離し、設置した。メソッドファイルの設定を、滴定モードは間欠等速滴定とし、間欠時間は10秒、最大滴下量は20mL、間欠注入時の1回注入量は0.16mL/回、注入速度は5秒/mL、データ採取する電位は4mL、データを採取する滴定量は0.16mLに指定した。攪拌しながら、電位差自動滴定を行った。得られた滴定曲線より算出したアクリル系共重合体エマルジョン粒子表面に存在する酸基量は、0.173meqv./g、粒子内部に存在する酸基量は0.122meqv./gであった。
【0132】
実施例2〜7および比較例1〜5のアクリル系共重合体エマルジョンについても同様に測定を行い、滴定曲線より算出したアクリル系共重合体エマルジョン粒子表面に存在する酸基量、粒子内部に存在する酸基量を算出した。得られた結果を表1に示した。
【0133】
(アクリル系共重合体エマルジョンの平均粒子径)
日機装(株)製マイクロトラックUPA型粒度分布測定装置にて測定した平均粒子径(体積基準での50%メジアン径)の値を求めた。
【0134】
[評価方法(両面粘着テープ)]
(再剥離性の評価)
両面粘着テープを厚さ25μmのPETフィルムで裏打ちし、20mm幅×100mm長に切断することにより両面粘着テープサンプルを調整した。次いで、ポリカーボネート/ABSアロイ板(以下PC/ABS板)(日本テストパネル社製)もしくは、亜鉛メッキ鋼板(日本テストパネル社製)、を被着体とし、23℃・50%の環境下、2kgローラーにて1往復の加圧貼付を行い、60℃の環境下で20日間静置した。その後、23℃・50%RHの環境下で1時間静置し、両面粘着テープサンプルを135度方向に25m/minの速度で引き剥がした際の再剥離性を評価した。尚、再剥離性の評価は以下の基準で行った。
◎:被着体への糊残り及び不織布の切断による粘着テープの残留面積が、貼付面積の3%未満。
◎〜○:被着体への糊残り及び不織布の切断による粘着テープの残留面積が、貼付面積の3%以上10%未満。
○:被着体への糊残り及び不織布の切断による粘着テープの残留面積が、貼付面積の10%以上30%未満。
△:被着体への糊残り及び不織布の切断による粘着テープの残留面積が、貼付面積の30%以上80%未満。
×:被着体への糊残り及び不織布の切断による粘着テープの残留面積が、貼付面積の80%以上。
【0135】
(強接着性及び被着体貼付後の経時での接着力上昇の評価)
両面粘着テープを厚さ25μmのPETフィルムで裏打ちし、20mm幅×100mm長に切断することにより両面粘着テープサンプルを調整した。次いで、PC/ABS板(日本テストパネル社製)もしくは、亜鉛メッキ鋼板(日本テストパネル社製)を被着体とし、23℃・50%の環境下、2kgローラーにて1往復の加圧貼付を行い、〔A〕23℃・50%の環境下で1時間放置したサンプルと、〔B〕60℃・0〜5%の環境下で20日放置した後、23℃・50%の環境下で1時間放置したサンプルを準備した。
その後、〔A〕および〔B〕の両面粘着テープサンプルを180度方向に1000m/minの速度で引き剥がした際の接着力(〔A〕および〔B〕)を測定した。次いで、上昇した接着力(〔B〕−〔A〕)を算出した。尚、粘着力の測定は、JIS−Z−0237(2000年度版)に準拠して測定を実施した。
【0136】
(定荷重剥離性の評価)
厚さ25μmのポリエステルフィルムで裏打ちした10mm幅の両面粘着テープ試料を長さ50mmとなるようにPC/ABS板(日本テストパネル社製)もしくは、亜鉛メッキ鋼板(日本テストパネル社製)に貼付し、2kgのローラーを両面粘着シート上で1往復させることにより加圧し、接着した。23℃50%RHの雰囲気下にて、1時間放置後、剥離方向に対して90°の方向になるように300gの荷重をかけ、長さ50mmのテープ試料が落下するまでの時間を測定し、以下の基準に従って評価した。尚、定荷重剥離性の評価は、外部から両面粘着テープに変形応力が長時間加わった場合を想定した代用評価方法であり、落下するまでの時間が長いほど耐剥がれ性、すなわち強接着性に優れていることを表す。
○:落下時間が3時間以上であった。
△:3時間以内に落下した。
×:1時間以内に落下した。
【0137】
【表1】

【0138】
【表2】

【0139】
上記表より明らかなように、実施例1〜7の本発明の粘着テープは、被着体に対して良好な接着力と耐反発性とを有し、かつ優れた再剥離性を有するものであった。一方、比較例1〜4の粘着テープは再剥離性に乏しいものであった。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】アクリル系共重合体エマルジョンの塩基性溶液による電位差滴定で得られる滴定曲線の概念図である。
【図2】アクリル系共重合体エマルジョンの塩基性溶液による電位差滴定で得られる滴定曲線に基づく微分曲線の概念図である。
【図3】アクリル系共重合体エマルジョンの酸性溶液による電位差滴定で得られる滴定曲線の概念図である。
【図4】アクリル系共重合体エマルジョンの酸性溶液による電位差滴定で得られる滴定曲線に基づく微分曲線の概念図である。
【図5】本発明の実施例における耐水性評価方法の模式図である。
【符号の説明】
【0141】
1 ステンレス板
2 ウレタンフォーム
3 剥がれ距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離シート上に塗布した水分散型アクリル系粘着剤組成物を不織布基材の両面にラミネートして、不織布基材の両面に剥離シート付き粘着剤層を形成した両面粘着テープであって、
前記不織布基材の全光透過率が70%以上、MD方向及びTD方向の引張強さが25〜40N/20mmであり、
前記水分散型アクリル系粘着剤組成物が、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びカルボキシル基含有ビニルモノマーをモノマー成分として含有するアクリル系共重合体のエマルジョン粒子が水性媒体中に分散した水分散型アクリル系粘着剤組成物であり、
前記ラミネート時の水分散型アクリル系粘着剤組成物の水性媒体を除去して測定されるゲル分率が10%以下であり、
前記両面粘着テープの全光線透過率が75%以上であることを特徴とする両面粘着テープ。
【請求項2】
前記ラミネート時のラミネート温度が80〜150℃、ラミネート圧力が40〜500N/cm、ラミネート速度が2〜50m/minである請求項1に記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
前記アクリル系共重合体が、窒素含有ビニルモノマーをモノマー成分として含有する請求項1又は2に記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
前記アクリル系共重合体を形成するモノマー成分中の2−エチルヘキシルアクリレート及び炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有量の和が50〜98質量%、カルボキシル基含有ビニルモノマーの含有量が0.5〜10質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
前記アクリル系共重合体エマルジョン粒子が、アクリル系共重合体エマルジョン粒子/イオン交換水=3/100の質量比で調整した酸性試料分散液に、無機塩基溶液の滴下による電位差滴定を行って、滴定開始点P、滴定開始後pHが極小となる極小点P、極小点Pに次いで表れる変曲点Pを有する滴定曲線(X軸:塩基滴下量、Y軸:pH)を測定した際に、
〜Pにおいて滴下した塩基滴下量から算出されるアクリル系共重合体エマルジョン粒子表面の酸基量(ANSUR)、
および、P〜Pにおいて滴下した塩基滴下量から算出される酸基量を、酸性試料分散液中の全酸基量(ANTOTAL)から減じて算出されるアクリル系共重合体エマルジョン粒子内部の酸基量(ANIN)の比(ANIN)/(ANSUR)が1以上のアクリル系共重合体エマルジョン粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の両面粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−148853(P2011−148853A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8987(P2010−8987)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】