説明

両面粘着テープ

【課題】 巻取り性や作業性を向上させるだけでなく、10μm以下という極めて薄いクリアランスを要求される接着部材として好適な両面粘着テープを提供する。
【解決手段】 平均粒径が0.4〜2.0μmの粒子を0.1〜5.0重量%含有し、フィルムヘーズ値が8〜25%である、厚さ0.9〜4.2μmの二軸配向ポリエステルフィルムの両面に、厚さ1〜5μmの粘着剤層を有し、総厚さが9.5μm以下であることを特徴とする両面粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープに関し、さらに詳しくは、携帯電話、PDAなどの携帯端末機器や薄膜表示体等の部材固定用、光ディスクの基板貼り合わせ用、偏光板の固定用などとして好適な、両面粘着テープの基材として使用される両面粘着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、PDAなどの携帯端末機器、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの電子・光学部品などにおいては、高機能化と並行して、薄型化や軽量化、さらには表示体のペーパー化などが図られている。例えば携帯電話は、表示の拡大化と携帯性とを向上させるために、構成される主要部品それぞれが薄膜化傾向にある。
【0003】
これらの部品の部材固定用として、一部の用途では粘着材層を転写するテープを使用して薄型化に対応しているが、この場合、芯材がないため、耐久性に劣るという問題が生じる。そこで、超薄膜の両面テープが多く開発されるようになり、特許文献1および2などには、基材として2〜6μmのポリエステルフィルムの両面に粘着剤層を有する粘着テープが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記文献には、粘着テープの厚さ構成と破断強度、粘着剤層の構成については開示されているが、基材ポリエステルフィルムについては具体的に記載されていない。
【0005】
特に近年、部品間のクリアランスがさらに狭くなり、10μm以下という極めて薄いクリアランスに要求される10μm未満の粘着テープについては、十分な粘着力を発揮するためには4μm以下の極めて薄いポリエステルフィルムを基材として使用しなければならない。
【0006】
ところが一般的にポリエステルフィルムの厚さが薄膜化されると、巻取り性を向上させるため、フィルム中に大きな粒子を含有させることが通常行われている。しかしながら、粒径が大きすぎると、粒子によるフィルム表面の突起が大きすぎて、突起周辺の厚さが大きくなり、接着部材に許容されるクリアランスを超えてしまい不具合が生じることがある。
【0007】
また、検査の簡略化のため、部品を貼合した状態で光学欠点検査を実施することが多くなっており、粘着テープの基材ポリエステルフィルム透明性が検査速度ならびに検査精度に影響する問題が発生してきた。
【0008】
すなわち、携帯電話、PDAなどの携帯端末機器、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの電子・光学部品において、部材固定用として粘着テープのさらなる薄膜化の要求が求められているが、薄膜化により、粘着テープが基材フィルムの粒子の突起による突起周辺の盛り上がりによって接着部材に許容されるクリアランスを超えてしまう問題、基材フィルム透明性の検査へ与える影響の問題が残ったままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−105212号公報
【特許文献2】特開2007−169327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の従来の問題点を解決しようとするものであり、その解決課題は、巻取り性や作業性を向上させるだけでなく、10μm以下という極めて薄いクリアランスを要求される接着部材として好適な両面粘着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の解決課題に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成を有する粘着テープによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の要旨は、平均粒径が0.4〜2.0μmの粒子を0.1〜5.0重量%含有し、フィルムヘーズ値が8〜25%である、厚さ0.9〜4.2μmの二軸配向ポリエステルフィルムの両面に、厚さ1〜5μmの粘着剤層を有し、総厚さが9.5μm以下であることを特徴とする両面粘着テープに存する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の両面粘着テープは、携帯電話、PDAなどの携帯端末機器、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの電子・光学部品の部材固定用の粘着テープとして極めて薄いクリアランスにも好適に用いることができ、本発明の工業的価値は高い。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の両面粘着テープの基材のポリエステルフィルムは、押出口金から溶融押出される、いわゆる押出法により押し出した溶融ポリエステルシートを冷却した後、必要に応じ、延伸したフィルムである。
【0015】
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、ジカルボン酸と、ジオールとからあるいはヒドロキシカルボン酸とから重縮合によって得られるエステル基を含むポリマーを指す。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等を、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等をそれぞれ例示することができる。その製法としては、例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して 重縮合させる方法が採用される。
【0016】
かかるポリマーの代表的なものとして、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンー2、6ナフタレート等が例示される。これらのポリマーはホモポリマーであってもよく、また第3成分を共重合させたものでもよい。
【0017】
本発明におけるポリエステルフィルムには、フィルム製膜時の巻き上げ工程や、粘着テープ作製時や使用時の作業性を向上させるため、表面を粗面化してフィルムに適度な滑り性が付与される。
【0018】
具体的には、フィルムの表面を適当に粗面化するために平均粒径0.4〜2.0μm、好ましくは0.8〜1.5μmの無機または有機の微粒子を0.1〜5.0重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%、さらに好ましくは0.2〜2.0重量%含有させる。
【0019】
かかる粒子の例としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、カオリン等の無機粒子やアクリル樹脂、グアナミン樹脂や架橋高分子微粉体等の有機粒子を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、2成分以上を同時に用いてもよい。2成分以上用いる場合は、それらの全体の平均粒径および含有量が上記した範囲内にあることが必要である。
【0020】
平均粒径が0.4μm未満であったり、微粒子の含有量が0.1重量%未満であったりする場合は、フィルム表面の粗面化が不足し十分な巻取り作業性が得られない。また、平均粒径が2.0μmを超える場合、粒子による突起が大きすぎて、突起周辺の厚さが大きくなり、接着部材に許容されるクリアランスを超えてしまう不具合が生じる。含有量が5.0重量%を超える場合、フィルム表面が粗面化しすぎて、粘着剤を均一に塗布することが困難となる。
【0021】
本発明においては上記したような方法により表面を適度に粗面化したフィルムを得るが、作業性や加工性を考慮すると、フィルム表面の平均粗さ(Ra)が通常0.03〜0.2μm、好ましくは0.04〜0.16μmの範囲となるように便宜、条件を選択する。 本発明のフィルムは極めて薄いフィルムであるので、フィルムの長手方向と幅方向の破断強度が通常180MPa以上、好ましくは220MPa以上とすることにより、優れた強度を有する粘着テープを得ることができる。
【0022】
本発明におけるポリエステルフィルムに上記した粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0023】
本発明で使用するポリエステルの極限粘度は、通常0.40〜0.90dl/g、好ましくは0.45〜0.80dl/g、さらに好ましくは0.50〜0.75dl/gである。極限粘度が0.40dl/g未満では、フィルムの機械的強度が弱くなる傾向があり、極限粘度が0.90を超える場合は、溶融粘度が高くなり、押出機に負荷がかかったり、製造コストがかかったりする。
【0024】
本発明におけるポリエステルは上記したポリエステル原料をエクストルーダーに代表される周知の溶融押出装置に供給し、当該ポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いでスリット状のダイより溶融ポリマーを押出しながら、回転冷却ドラム状でガラス転移温度以下の温度になるよう急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。このシートを2軸方向に延伸してフィルム化し、熱固定を施すことで得られる。この場合、延伸方法は逐次2軸延伸でも同時2軸延伸でもよい。また、必要に応じ、熱固定を施す前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。本発明においては十分な寸法安定性を得るため延伸倍率を面積倍率として8倍以上が好ましく、さらに好ましくは10倍以上である。
【0025】
本発明で使用するポリエステルフィルムの厚さは0.9〜4.2μm、好ましくは1〜4μm、さらに好ましくは1.5〜3μmである。厚さが4.2μmを超えると、十分な粘着力を備えた粘着層を付与した時に薄膜両面テープを提供する本発明の目的が達せられない。厚さが0.9μmより薄くなるとフィルムの腰が損なわれ取り扱いが困難になり作業性が悪化する。
【0026】
本発明で使用するポリエステルフィルムの収縮率は120℃において2.0%以下が好ましい。2.0%を超えると粘着基材として使用した時、フィルムの収縮によって部材のずれが生じたり、粘着剤の高温保持力が損なわれたりすることがある。
【0027】
本発明で使用するポリエステルフィルムのヘーズは8〜25%であることが必要であり、さらに好ましくは10〜20%である。フィルムのヘーズが8%を下回る場合、使用する粒径や含有できる粒子の量が制限されフィルム表面が極端に平坦となり、フィルム製造工程における巻き特性が劣る。フィルムヘーズが25%を超える場合、目視検査時に視野が白濁して検査に支障を来す。
【0028】
本発明の両面粘着テープの粘着剤層を形成する粘着剤としては、特に制限されず、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、クリープ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤などの公知の粘着剤から適宜選択して用いることができる。粘着剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
粘着剤としては、接着の信頼性の観点から、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤は、アクリル系ポリマーを粘着性成分(ベースポリマー)または主剤とし、これに必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、軟化剤、架橋剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの適宜な添加剤が含まれている。前記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、これに必要に応じて前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに対して、共重合が可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより調整されている。前記(メタ)アルキル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
また、前記共重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類、酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリルイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体の他、トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能基の共重合単量体(多官能基モノマー)などが挙げられる。共重合性単量体は単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0031】
アクリル系ポリマーは、溶液重合法、エマルション重合法、紫外線照射重合法等の慣用の重合方法により調製することができる。
【0032】
基材ポリエステルフィルムの両面の各粘着剤層の厚さとしてはそれぞれ1〜5μmの範囲でかつ、両面粘着テープの総厚さとして9.5μm以下にする必要がある。粘着剤層の厚さが1μm未満では、貼付適正の低下および粘着力の低下などの不具合が生じ、粘着剤層の厚さが5μmを超えると、相対的に基材ポリエステルフィルムの厚さが減少し、加工適正の低下などの不具合が生じる。両面粘着テープの総厚さが9.5μmを超えると薄膜両面テープを提供する本発明の目的が達せられない。
【0033】
なお、基材ポリエステルフィルムの両面に設けられる粘着剤層の厚さは前記範囲にあれば、それぞれ同じ厚さであってもよく、異なる厚さであってもよい。
【0034】
本発明の両面粘着テープにおいては、夏期の車内など、高温での使用に耐える耐久性を有するために、粘着力は2mN/10mm以上が好ましい。
【0035】
本発明の両面粘着テープにおいては、通常基材ポリエステルフィルムの一方の側に重剥離型剥離フィルムが、他方の側の粘着剤層に軽剥離型剥離フィルムが貼付されている。前記重剥離型剥離フィルムの剥離力は、前記軽剥離型剥離フィルムの剥離力よりも大きい。 重剥離型剥離フィルムの本発明に係る粘着剤層に対する剥離力は、通常20〜80mN/10mm程度、好ましくは25〜60mN/10mm程度である。一方軽剥離型剥離フィルムの本発明に係る粘着剤層に対する剥離力は、通常6〜30mN/10mm程度、好ましくは10〜20mN/10mm程度である。
【0036】
本発明においては、前記重剥離型剥離フィルムの厚さは25〜100μmが好ましい。
この厚さが25μm未満であると、抜き加工時の加工適正が低下し、100μmより大きいと、経済的に不利である。
【0037】
一方、軽剥離型剥離フィルムの厚さに特に制限はないが、加工適正および経済性の点から、25〜50μmが好ましい。
【0038】
前記の重剥離型剥離フィルムや軽剥離型剥離フィルムの材質に特に制限はなく、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルムなどが挙げられるが、特に加工適正および経済性に優れるポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。また、これらのフィルムの表面に塗布される剥離処理剤としてはシリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系などの剥離剤を用いることができるが、これらの中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系剥離剤が好ましい。
【0039】
次に、本発明の両面粘着テープを製造する方法について説明する。
【0040】
まず、前述の粘着剤組成物に、必要に応じて溶剤を加え、塗工に適した粘度に調製し、塗工液を作製する。次に、軽剥離型(または重剥離型)剥離フィルムの剥離処理面に、前記塗工液を乾燥後の膜厚が1.5〜5.0μmになるように、例えばバーコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、グラビアコート法、エアードクターコート法、ドクターブレードコート法など、従来公知の塗工方法により塗工し、80〜120℃程度の温度で数十秒〜数分間乾燥後、基材ポリエステルフィルムを貼合して片面粘着フィルムを作成する。
【0041】
次いで、重剥離型(または軽剥離型)剥離フィルムの剥離処理面に、前記塗工液を乾燥後の膜厚が1.5〜5.0μmになるように、前記と同様に塗工、乾燥後、前記の片面粘着フィルムの基材ポリエステルフィルム面と貼合することにより、本発明の両面粘着テープが得られる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における評価方法やサンプルの処理方法は下記のとおりである。また、実施例および比較例中の「部」は「重量部」を示す。
【0043】
(1)ポリエステルの極限粘度の測定方法
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0044】
(2)平均粒径(d50)
(株)島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてスト−クスの抵抗値にもとづく沈降法によって粒子の大きさを測定した。
【0045】
(3)フィルムヘーズ
JISーK6714に準じ、日本電色工業社製分球式濁度計NDH−20Dによりフィルムの濁度を測定した。
【0046】
(4)基材ポリエステルフィルムの厚さの測定方法
試料の重量、長さ、幅、密度より次式にて測定した。
【0047】
厚さ=(試料の重量)÷((試料の長さ)×(試料の幅)×(試料の密度))
【0048】
(5)破断強度の測定方法
インテスコ社製引張り試験機モデル2001型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節された室内において長さ(チャック間)50mm、幅15mmの試料サンプルを200mm/分の歪み速度で引張り、フィルム破断時の荷重を測定し、下記式により破断強度を求めた。なお、フィルムの縦方向(MD)と幅方向(TD)のそれぞれについて測定した。
破断強度(MPa)=切断時の荷重(N)/試料フィルムの断面積(mm2
【0049】
(6)収縮率の測定方法
試料を無張力状態で所定の温度(120℃)に保ったオーブン中、3分間熱処理し、その前後の試料の長さを測定して次式にて算出した。なお、フィルムの縦方向(MD)と幅方向(TD)のそれぞれについて測定した。
【0050】
収縮率={(熱処理前のサンプル長)−(熱処理後のサンプル長)}÷(熱処理前のサンプル長)×100
【0051】
(7)粘着力の測定方法
実施例、比較例にて得られた粘着テープを25mm幅のサンプルにてJIS Z 1528に準じて測定した。すなわち、試験片の一方の粘着面の25mmの長さの部分をステンレス鋼製金属板に貼合した後に、他の一方の面の剥離フィルムを剥ぎ取り、試験片とほぼ同じ大きさのJIS C 2318に規定する厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせて圧着し、JIS Z 0237の10(粘着力)により、試験板(ステンレス鋼製金属板)に対する180°引き剥がし粘着力を求めた。
【0052】
(8)粘着剤層の厚さ
両面テープ(剥離フィルムA/粘着剤層A/基材ポリエステルフィルム/粘着剤層B/剥離フィルムB)を電子顕微鏡でテープの断面写真を撮影し、粘着剤層の厚さを計測した。測定は10回実施し、10回の平均値を粘着剤層の厚さとした。
【0053】
(9)剥離フィルムの剥離力
50mm幅のサンプルにて、測定する側と逆側の剥離フィルムを剥ぎ取り、露出した粘着剤面をガラス板に貼付し、測定する側の剥離フィルムを、引張試験機を用いて、300mm/分の速度で180°方向に引き剥がす際の抵抗を測定し、剥離力とした。
【0054】
(10)クリアランスの適合性
両面粘着テープを部品間のクリアランスが10μm以下となる部分に適用して、該クリアランスに適合させることができるか否かで判断し、容易に適合できるものを「○」、適合できるものを「△」、適合できないものを「×」とした。
【0055】
(11)検査性
故意に粘着剤とフィルムとの間に50μm以上の大きさを持つ黒色の金属粉(異物)を混入させた両面テープを目視検査し検出状況により評価した。
○:異物認知性は良好であり、検査レベルとして十分である。
△:異物認知性は劣るが、実用検査上支障の無いレベル。
×:異物が確認できず、不適切な検査レベルである
【0056】
以下の実施例および比較例にて使うポリエステル原料は次の方法にて製造した。
<ポリエステルの製造>
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部を出発原料とし、触媒として、酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器に取り、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェ−ト0.04部を添加した後、平均粒子1.1μmの球状有機架橋粒子0.5重量部および三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.65に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(A1)のチップを得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.65であった。
【0057】
実施例1:
<基材フィルムの製造>
ポリエステル(A1)チップを、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、83℃で縦方向に3.8倍延伸した後、テンターに導き、110℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに225℃で熱処理を行い、厚さ2.0μmの基材フィルムを得た。この基材フィルムの特性を下記表1に示す。
【0058】
<粘着剤組成物(塗工液)の製造>
重量平均分子量80万のアクリル酸エステル系重合体(アクリル酸ブチル95重量%、アクリル酸2重量%およびメタクリル酸メチル3重量%)、濃度30重量%の酢酸エチル溶液100重量部に対し、粘着性付与剤[荒川化学工業社製、商品名「パインクリスタルKE−359」、ロジンエステル系、軟化点94〜104℃、酸価10〜20mgKOH/g]30重量部、およびイソシアネート系架橋剤[東洋インキ製造社製、商品名「BHS8515」、固形分濃度37.5%]1重量部を加えてトルエンで希釈し、固形分濃度20重量%の粘着剤組成物(塗工液)を製造した。
【0059】
<両面粘着テープの製造>
軽剥離型ポリエチレンテレフタレート(PET)剥離フィルム[三菱樹脂社製、商品名「ダイアホイルMRF38」、フィルム厚さ38μm]の剥離処理面に前記塗工液を、乾燥後の膜厚が3.5μmになるようにナイフコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥後、前記の厚さ2.0μmのポリエステルフィルムを貼合して、片面粘着フィルムを得た。
次いで重剥離型PET剥離フィルム[三菱樹脂社製、商品名「ダイアホイルMRX38」、フィルム厚さ38μm]の剥離処理面に前記塗工液を、乾燥後の膜厚が3.5μmになるようにナイフコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥後、前記の片面粘着フィルムのPET面と貼合して両面粘着テープを製造した。得られた両面粘着テープの軽剥離型PET剥離フィルムの剥離力は15mN/10mmであり、重剥離型PETフィルムの剥離力は30mN/10mmであった。この両面テープの特性を表1に示す。
【0060】
実施例2、3:
ポリエステル(A1)の製造において、球状有機架橋粒子の粒子径を1.8μmおよび0.5μmに変えた以外は、概製造法と同様の方法で極限粘度0.62のポリエステル(A2)および(A3)チップを得た。実施例1において、使用したポリエステル(A1)チップの代わりに、ポリエステル(A2)および(A3)チップを用いた以外は、実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。得られた基材フィルムを使用し実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。
【0061】
実施例4、5:
ポリエステル(A1)の製造において、球状有機架橋粒子添加量を0.2重量%および3.0重量%に変えた以外は、概製造法と同様の方法で極限粘度0.62のポリエステル(A4)および(A5)チップを得た。実施例1において、使用したポリエステル(A1)チップの代わりに、ポリエステル(A4)および(A5)チップを用いた以外は、実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。得られた基材フィルムを使用し実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。
【0062】
実施例6:
基材ポリエステルフィルムの製造において、フィルムの厚さを1.0μmとした以外は実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。両面粘着テープの製造において、塗工液の乾燥後の膜厚を4.0μmとし、この基材フィルムを使用した以外は実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。
【0063】
実施例7:
基材ポリエステルフィルムの製造において、フィルムの厚さを4.0μmとした以外は実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。両面粘着テープの製造において、塗工液の乾燥後の膜厚を2.0μmとし、この基材ルフィルムを使用した以外は実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表1に示す。
【0064】
比較例1、2:
ポリエステル(A1)の製造において、球状有機架橋粒子の粒子径を3.0μmおよび0.3μmに変えた以外は、概製造法と同様の方法で極限粘度0.62のポリエステル(B1)および(B2)チップを得た。実施例1において、使用したポリエステル(A1)チップの代わりに、ポリエステル(B1)および(B2)チップを用いた以外は、実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。得られた基材フィルムを使用し実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を下記表2に示す。
【0065】
比較例3、4:
ポリエステル(A1)の製造において、球状有機架橋粒子添加量を0.05重量%および6.0重量%に変えた以外は、概製造法と同様の方法で極限粘度0.62のポリエステル(B3)および(B4)チップを得た。実施例1において、使用したポリエステル(A1)チップの代わりに、ポリエステル(B4)および(B5)チップを用いた以外は、実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。得られた基材フィルムを使用し実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表2に示す。
【0066】
比較例5:
基材ポリエステルフィルムの製造において、フィルムの厚さを6.0μmとした以外は実施例1と同様の方法で基材ポリエステルフィルムを得た。両面粘着テープの製造において、塗工液の乾燥後の膜厚を2.0μmとし、この基材フィルムを使用した以外は実施例1と同様の方法で両面粘着テープを製造した。この基材フィルムおよび両面粘着テープの特性を表2に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の粘着テープは、極めて薄いクリアランスを要求される用途において使用される接着部材として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が0.4〜2.0μmの粒子を0.1〜5.0重量%含有し、フィルムヘーズ値が8〜25%である、厚さ0.9〜4.2μmの二軸配向ポリエステルフィルムの両面に、厚さ1〜5μmの粘着剤層を有し、総厚さが9.5μm以下であることを特徴とする両面粘着テープ。