並列バス上での並列データフローの伝送
並列バス上でN個の並列データフローを伝送する方法について記載する。この方法は、第1の通信装置において:ある周期で周期的に分配される整列ワードを含む、さらなる並列データフローを生成するステップと、各周期において、そのN個の並列データフローおよびさらなる並列データフローをローテートさせ、そうしてフレーム周期で周期的に分配される複数の整列ワードの一部をそれぞれが含む、N+1個のローテートされた並列データフローを生成するステップと、そのN+1個のローテートされた並列データフローを、並列バスのそれぞれの物理接続上で伝送するステップとを含む。この方法は、第2の通信装置において:整列ワードを使用することにより、そのN+1個のローテートされた並列データフローを整列させ、そうしてスキューを補償し、N+1個の整列された並列データフローを得るステップと、各周期において、そのN+1個の整列された並列データフローをデローテートさせ、そうしてN個の並列データフローに対応するN個のデローテートされた並列データフローを生成するステップとをさらに含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列通信の分野に関する。具体的には本発明は、並列バス上でいくつかの並列データフローを伝送する方法に関する。さらに本発明は、そのような方法を実行するのに適した並列通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、並列バスは、2つの通信装置を接続し、それらの装置間のデータ交換をサポートするのに適したいくつかの並列物理接続を含む。データ伝送は、並列バスの全ての物理接続間で共用される。この物理接続は、光接続(例えば光ファイバ)または電気接続とすることができる。並列バスは、単一物理接続上でデータを搬送するシリアルバスと相反する。
【0003】
並列バスによって接続される通信装置は、「並直列変換器」(シリアライザ−デシリアライザ)として知られる適切なインターフェイスを備える必要がある。並直列変換器は、典型的には送信側と受信側とを有する。送信側において、この並直列変換器は、N個の並列データフローを得るために、シリアルバスから集合データフローを受信し、その集合データフローに対して時分割逆多重化を実行(デシリアライゼーション)するのに適した逆多重化装置を備え、Nは並列バス内の物理接続の数以下である。次いでそのN個の並列データフローのそれぞれが、その並列バスのそれぞれの物理リンク上で伝送される。他方では、受信側において、この並直列変換器は、シリアルバス上で伝送しようとする集合データフローを再生するために、並列バスのそれぞれの物理接続からN個の並列データフローを受信し、それらの並列データフローに対して時分割多重化を実行(シリアライゼーション)するのに適した多重化装置を備える。
【0004】
第1の通信装置の並直列変換器から、第2の通信装置の並直列変換器に伝播する間、各並列データフローはそれぞれに異なる伝播遅延を受ける。その原因は、例えば各物理接続の長さが僅かに異なることであり得る。よって、第1の通信装置の並直列変換器から同時に伝送される様々な並列データフローのビットが、第2の通信装置の並直列変換器において異なる時間に受信される。この効果は「スキュー」と名付けられる。
【0005】
スキューは、並列データフローが受信側で適切に整列されることを妨げ、それにより集合データフローの当初のビットシーケンスを再生する際に誤りを引き起こすので不所望の効果である。並列バスの長さが長くなればなるほど、および伝送データ速度が速くなればなるほど、再生される集合データフロー上でスキューによって誘発される誤りの数が増加する。
【0006】
OIF(オプティカルインターネットワーキングフォーラム)が作成した文書「Serdes Framer Interface Level 5(SFI−5):Implementation Agreement for 40Gb/s Interface for Physical Layer Devices(OIF−SFI5−01.02)」2002年1月29日は、並列バスの16個の物理接続と「デスキュー」物理接続とにより40Gb/sで集合光データフローを伝送する、スキューを補償するための整列機構を実装するのに適した並直列変換器を開示する。同文書は、SFI−5と呼ばれる4つの物理接続と1つのデスキュー物理接続とによりそれぞれが構成される、4つの並列バスにより、10Gb/sで4つの独立した集合光データフローを伝送するクワッド並直列変換器も開示する。この並直列変換器の動作について、図6aおよび図6bを参照することによりこれから説明する。
【0007】
送信側において、並列バス上で伝送しようとする集合データフローが、時分割逆多重化により4つの並列データフローPF1、PF2、PF3、PF4へと分割される。次いで、あらかじめ定義された持続時間からなるフレームF1、F2、...へと分割される、追加のフローAFが作り出される。例えば図6aに示すフレームF1を参照することにより、この並直列変換器は、整列ワードAW’をフレームF1の中に挿入する。次いで、時間t10から時間t11まで、この並直列変換器は第1の並列データフローPF1のビットをフレームF1内にコピーし、こうして第1の並列データフローPF1のビットシーケンスS’11のコピーS11をフレームF1の中に挿入する。次いで、時間t11から時間t12まで、この並直列変換器は第2の並列データフローPF2のビットをフレームF1内にコピーし、こうして第2の並列データフローPF2のビットシーケンスS’12のコピーS12をフレームF1の中に挿入する。次いで、時間t12から時間t13まで、この並直列変換器は第3の並列データフローPF3のビットをフレームF1内にコピーし、こうして第3の並列データフローPF3のビットシーケンスS’13のコピーS13をフレームF1の中に挿入する。次いで、時間t13から時間t14まで、この並直列変換器は第4の並列データフローPF4のビットをフレームF1内にコピーし、こうして第4の並列データフローPF4のビットシーケンスS’14のコピーS14をフレームF1の中に挿入する。その後、この並直列変換器は上記の手順を循環的に繰り返し、そうして図6aのフレームF2、および簡潔にするために図6aには不図示の次に続くフレームを形成する。
【0008】
次いで、並列データフローPF1、PF2、PF3、PF4、および追加のフローAFが、並列バスのそれぞれの物理接続上でそれぞれ伝送される。
【0009】
受信側において、並列データフローPF1、PF2、PF3、PF4、および追加のフローAFは、スキューが原因で概して整列されていない。図6bにこの状況を示す。したがって、各シーケンスS11、S12、S13、S14を検討することにより、および並列データフローPF1、PF2、PF3、PF4内の対応シーケンスS’11、S’12、S’13、S’14をそれぞれ探すことにより、追加のフローAFが読み取られる。対応シーケンスS’11、S’12、S’13、S’14が見つかると、その対応シーケンスS’11、S’12、S’13、S’14を、追加のフローAFのシーケンスS11、S12、S13、S14に対してそれぞれ整列させるために、図6bの矢印によって示すように並列データフローPF1、PF2、PF3、PF4が時間的にずらされる。この手順は、追加のフローAFのフレームが受信される度に整列が見つかり次第、それぞれの並列データフローごとに循環的に繰り返される。全ての並列データフローが個々に整列されるとき、整列手順は完了する。整列させることが成功した後、その整列は継続的に検査される。
【0010】
スキューを補償するための上記の解決策にはいくつかの欠点があることに出願者は気付いた。
【0011】
まず初めに、不都合なことに、上記の整列操作中に受信されるデータが失われる。
【0012】
さらに上記の解決策は、追加のフローAFのフレームが受信される度に、並列データフローが受信側において成功裏に整列されることを保証はしない。
【0013】
実際に、整列させることは、追加のフロー内および並列データフロー内の対応シーケンスを探すことに基づく。しかし、これらのシーケンスのコンテンツはあらかじめ定められているのではなく、並列データフローのコンテンツによって決まる。したがって、並列データフローのうちの1つ(例えば第1の並列データフローPF1)が、タイプ「01010101...」のパターンを含み、シーケンスS11がそうしたパターンからコピーされる場合、受信側においてこの並直列変換器は、シーケンスS11に対応する特有のシーケンスS’11を見つけることができない。実際には、第1の並列データフローPF1は、シーケンスS11に一致しかつ他のシーケンスのビットに対して2ビットずれた複数のシーケンスを含む。したがって、並直列変換器は、整列を行うために使用すべき対応シーケンスがどれなのか分からず、結果的に第1のデータフローPF1の整列は失敗する。この状況は、タイプ「01010101...」のパターンが終わるまで不都合に持続する。しかし、そのようなパターンの長さは、第1の並列データフローPF1のコンテンツによって決まるので予測できず、第1の並列データフローPF1からコピーされる、予測不能な数の連続フレームF1、F2、...内のシーケンスS11、S21等に影響を及ぼす場合がある。したがって、第1の並列データフローPF1の整列を再生するための時間は不都合なことに予測不能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Serdes Framer Interface Level 5(SFI−5):Implementation Agreement for 40Gb/s Interface for Physical Layer Devices(OIF−SFI5−01.02)2002年1月29日 OIF (Optical Internetworking Forum)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
出願者は、スキューを補償できるようにするのと同時に前述の欠点を克服する、並列バス上でいくつかの並列データフローを伝送する方法を提供する問題に取り組んだ。
【0016】
具体的には、出願者は、予測不能な遅延なしにかつ並列データフローのコンテンツとは無関係に、並列データフローのスキューを補償できるようにする、並列バス上でいくつかの並列データフローを伝送する方法を提供する問題に取り組んだ。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の態様によれば、本発明は、第1の通信装置から第2の通信装置に、並列バス上で数Nの並列データフローを伝送する方法を提供し、この方法は、第1の通信装置において:
a)ある周期で周期的に分配される複数の整列ワードを含む、さらなる並列データフローを生成するステップと、
b)各周期において、その数Nの並列データフローおよびさらなる並列データフローをローテート(rotate)させ、そうしてさらなる数N+1のローテートされた並列データフローを生成するステップであって、そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれが、フレーム周期で周期的に分配される複数の整列ワードの一部を含むステップと、
c)そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローを、並列バスのそれぞれの物理接続上で伝送するステップと
を含み、第2の通信装置において:
d)複数の整列ワードの一部を使用することにより、そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれを整列させ、そうしてスキューを補償し、さらなる数N+1の整列された並列データフローを得るステップと、
e)各周期において、そのさらなる数N+1の整列された並列データフローをデローテート(de−rotate)させ、そうして数Nの並列データフローに対応する数Nのデローテートされた並列データフローを生成するステップと
をさらに含む。
【0018】
好ましくは、ステップb)は、さらなる並列データフローの複数の整列ワードのうちの1つが始まる時点(time instant)tkごとに、その数Nの並列データフローおよびさらなる並列データフローをローテートさせるステップを含む。
【0019】
好ましくは、ステップb)は、時点tkごとに、その数Nの並列データフローの各並列データフローおよびさらなる並列データフローの伝送を、並列バスのm番目の物理接続から並列バスのm’番目の物理接続にずらすステップを含み:
− m番目の物理接続は、ローテーションが行われなかった場合に各並列データフローを搬送することになる物理接続であり、
− m’は以下の等式:
m’=[1+((m−1)+(k+Ф)mod(N+1))mod(N+1)]で与えられ、Фは0から数Nに及ぶ固定位相偏移である。
【0020】
好ましくは、ステップd)は:
− さらなる数N+1のローテートされた並列データフローの中から、ローテートされた並列データフローを選択するステップと、
− その選択されローテートされた並列データフローによって搬送されるセグメントの範囲を定める内部参照時点を含む、内部参照時間基準を生成するステップと、
− そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれについて、内部参照時間基準に対する時間的ずれを示す整列情報を生成するステップと、
− その整列情報に従い、ローテートされた各並列データフローを、選択されローテートされた並列データフローに対して整列させるステップと
を含む。
【0021】
好ましくは、ステップd)は:
− 整列情報に従い、ローテートされた並列データフローの中から、最も遅延されローテートされた並列データフローを選択するステップと、
− その最も遅延されローテートされた並列データフローによって搬送されるセグメントの範囲を定める外部参照時点を含む、外部参照時間基準を生成するステップと
をさらに含む。
【0022】
好ましくは、ステップe)は、外部参照時点のそれぞれにおいて、さらなる数N+1の整列された並列データフローをデローテートさせるステップを含む。
【0023】
有益には、ステップe)は、外部参照時点のそれぞれにおいて、そのさらなる数N+1の整列された並列データフローのうちの、整列された各並列データフローの伝送を、並列バスのm’番目の物理接続から並列バス(PB)のm”番目の物理接続にずらすステップを含み:
− m’番目の物理接続は、整列された各並列データフローがそこから受信される物理接続であり、
− m”は以下の等式:
m”=[1+((m’−1)+(N+1)−(k+Ф’)mod(N+1))mod(N+1)]で与えられ、Ф’は0から数Nに及ぶさらなる固定位相偏移である。
【0024】
好ましくは、この方法はステップb)とステップc)との間に、整列ワードを除き、さらなる数N+1のローテートされた並列データフローのコンテンツをスクランブルするステップをさらに含む。
【0025】
好ましくは、この方法はステップd)とステップe)との間に、整列ワードを除き、整列されたデータフローのコンテンツを逆スクランブルするステップをさらに含む。
【0026】
有益には、整列ワードが周期Tよりも短い持続時間を有し、そのためさらなる並列データフローは、連続した整列ワードの間に空きビット(free bit)を含む。
【0027】
好ましくは、ステップa)は、以下の目的:誤りの訂正、並列フローの識別子の挿入、DC結合のための記号の挿入、クロック再生を促進するための遷移の生成、並列バスの利用可能帯域幅の増加のうちの1つまたは複数のために空きビットを使用するステップをさらに含む。
【0028】
有益には、ステップa)は、さらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれを、ステップb)が実行された後に識別するのに適したフレーム識別子を、複数の整列ワードのそれぞれの後の空きビット内に挿入するステップを含む。
【0029】
第2の態様によれば、本発明は、第1の通信装置、並列バス、および第2の通信装置を含む通信システムを提供し、第1の通信装置は、数Nの並列データフローを並列バス上で第2の通信装置に伝送するように構成されており、その第1の通信装置は:
− ある周期で周期的に分配される複数の整列ワードを含む、さらなる並列データフローを生成するように構成された整列ワード生成器と、
− 各周期において、その数Nの並列データフローおよびさらなる並列データフローをローテートさせ、そうしてさらなる数N+1のローテートされた並列データフローを生成するように構成されたローテータであって、そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれが、フレーム周期で周期的に分配される複数の整列ワードの一部を含む、ローテータと
を備え、第2の通信装置は:
− 複数の整列ワードの一部を使用することにより、そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれを整列させ、そうしてスキューを補償し、さらなる数N+1の整列された並列データフローを得るように構成されたさらなる数N+1の整列器と、
− 各周期において、そのさらなる数N+1の整列された並列データフローをデローテートさせ、そうして数Nの並列データフローに対応する数Nのデローテートされた並列データフローを生成するように構成されたデローテータと
を備える。
【0030】
本発明は、添付図面を参照して読むべき、限定ではなく例として示す以下の詳細な説明を読むことでより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1の通信装置および第2の通信装置を含む通信システムの概略図である。
【図2a】ローテータによって処理される前の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図2b】ローテータによって処理された後の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図3a】整列器によって処理される間の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図3b】整列器によって処理される間の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図4a】デローテータによって処理される前の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図4b】デローテータによって処理された後の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図5a】スーパーフレームが使用される場合の、ローテータによって処理される前の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図5b】スーパーフレームが使用される場合の、ローテータによって処理された後の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図6a】従来技術の解決策によりスキューを補償するために送信側において処理される、4つの並列データフローの構造を示す図である(上記で既に説明済み)。
【図6b】従来技術の解決策によりスキューを補償するために受信側において処理される、4つの並列データフローの構造を示す図である(上記で既に説明済み)。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、第1の通信装置CD1、第2の通信装置CD2、および第1の通信装置CD1と第2の通信装置CD2とを接続する並列バスPBを含む、通信システムCSを概略的に示す。
【0033】
並列バスPBは、N+1個の物理接続を含み、Nは整数である。並列バスPBは、電気並列バスまたは光並列バスとすることができる。第1の通信装置CD1および第2の通信装置CD2は、例えば通信ネットワークの2つのネットワーク機器(例えば2つのルータ、2つのスイッチ等)、または同一ネットワーク機器の2つの基板とすることができる。ただし、第1の通信装置CD1および第2の通信装置CD2は、ローカルネットワークに接続される2台のコンピュータ、またはASIC、FPGA等の2つの物理装置とすることもできる。
【0034】
第1の通信装置CD1は、送信機TX1を備え、さらにその送信機TX1は、好ましくは逆多重化装置DM、整列ワード生成器AW−G、およびローテータRを備える。好ましくは、逆多重化装置DMは、第1のシリアル接続SC1に接続される入力と、ローテータRに接続されるN個の出力とを有する。そして次にローテータRは、逆多重化装置DMのそれぞれの出力に接続されるN個の入力と、整列ワード生成器AW−Gに接続されるさらなる入力と、N+1個の出力とを有し、そのN+1個の出力のそれぞれは、並列バスPBのそれぞれの物理接続に接続される。
【0035】
図面に不図示の実施形態によれば、第1のシリアル接続SC1は、例えば独自仕様のフォーマットに従ってフォーマットされる並列データフローの伝送をサポートする入力並列バスなど、別の種類の接続で置換することができる。この場合、好ましくは逆多重化装置Mが省かれてよく、入力並列バスの物理接続がローテータRに直接接続されてよい。
【0036】
第2の通信装置CD2は、好ましくは受信機RX2を備え、さらにその受信機RX2は、N+1個の整列器、遅延補償器DC、デローテータDR、および多重化装置Mを備える。好ましくは、各整列器は、並列バスPBのそれぞれの物理接続に接続される入力を有する。さらに各整列器は、遅延補償器DCに接続される出力を有する。遅延補償器DCは、並列バスPBのそれぞれの物理接続に各々接続されるN+1個の入力と、それぞれの整列器に各々接続されるN+1個の追加入力と、デローテータDRに接続されるN+1個の出力とを有する。好ましくは、デローテータDRは、遅延補償器DCのそれぞれの出力に接続されるN+1個の入力と、多重化装置Mに接続されるN個の出力と、追加出力とを有し、この追加出力の役割については本明細書の以下に説明する。そして次に多重化装置Mは、デローテータDRのそれぞれの出力に接続されるN個の入力と、第2のシリアル接続SC2に接続される1つの出力とを有する。
【0037】
図面に不図示の実施形態によれば、第2のシリアル接続SC2は、例えば独自仕様のフォーマットに従ってフォーマットされる並列データフローの伝送をサポートする出力並列バスなど、別の種類の接続で置換することができる。この場合、好ましくは多重化装置DMが省かれてよく、デローテータDRが出力並列バスの物理接続に直接接続されてよい。
【0038】
例として、図1ではNが4に等しいと仮定する。したがって図1に示す並列バスPBは、5つの物理接続PC1、PC2、...、PC5を含む。さらに、送信機TX1において、逆多重化装置DMは4つの出力を有する一方、ローテータRは5つの入力と5つの出力とを有する。加えて受信機RX2は、5個の整列器AL1、AL2、...AL5を備え、遅延補償器DCは5つの入力、5つの追加入力、および5つの出力を有し、デローテータDRは、5つの入力、4つの出力、および追加出力を有する一方、多重化装置Mは4つの入力を有する。
【0039】
第1の通信装置CD1および第2の通信装置CD2はいずれも、ここでの説明には関係がないので図1には示されていない他のコンポーネントを備えることができる。具体的には、第1の通信装置CD1は、第2の通信装置CD2の受信機RX2と実質的に同じ構造を有する受信機(不図示)を備えることができる。同様に、第2の通信装置CD2は、第1の通信装置CD1の送信機TX1と実質的に同じ構造を有する送信機(不図示)を備えることができる。このようなコンポーネントを備えることは、第1の通信装置CD1と第2の通信装置CD2との間で双方向通信を有利に行えるようにする。
【0040】
本明細書の以下に、通信システムCSの動作について詳しく説明する。
【0041】
例として、第1の通信装置CD1から第2の通信装置CD2に、並列バスPBを介して集合データフローAF1を伝送しなければならない状況を検討する。第1の通信装置CD1が受信機も備え、第2の通信装置CD2が送信機も備える上記に述べた事例では、集合データフローAF1を第2の通信装置CD2から第1の通信装置CD1に伝送することができるので、この状況は単に例示的に過ぎない。
【0042】
図1に示すように、第1の通信装置CD1は、例えば第1のシリアル接続SC1から集合データフローAF1を受信することができる。
【0043】
第1の通信装置CD1が、伝送すべき集合データフローAF1を第1のシリアル接続SC1から受信すると、第1の通信装置CD1は、好ましくは逆多重化装置DMにより時分割逆多重化操作を行う。次いでその逆多重化装置DMは、図2aに示す4つの並列データフローPF11、PF21、PF31、PF41を出力する。
【0044】
実質的に同時に、第5の並列データフローPF51が与えられ、整列ワード生成器AW−Gは、周期Tでそのような第5の並列データフローPF51の中に整列ワードAWを周期的に挿入する。整列ワードAWが始まる時点を図2aおよび図2bの時間軸上にt0、t1、...、t7として示す。好ましくは、整列ワードAWはあらかじめ定められたコンテンツを有する。好ましくは、整列ワードAWの持続時間は周期Tよりも短い。図2aに示すように、整列ワードAWの持続時間が周期Tよりも短いことは、連続した整列ワードAWの間に空きビットを有利に提供できるようにする。本明細書の以下に詳しく説明するように、これらの空きビットは、例えばFEC(「前方誤り訂正」)など、並列データフローを整列させる以外の目的で使用することができる。
【0045】
時点t0、t1、...、t7は、それに従って4つの並列データフローPF11、PF21、PF31、PF41がセグメント化される時間基準を定める。具体的には、図2aに示すように並列データフローPF1は、t0とt1との間にセグメントA1、t1とt2との間にセグメントA2、t2とt3との間にセグメントA3、t3とt4との間にセグメントA4、t4とt5との間にセグメントA5、t5とt6との間にセグメントA6、およびt6とt7との間にセグメントA7を有する。図2aに示すように、他の並列データフローPF21、PF31、およびPF41にも同じことが当てはまる。
【0046】
次いで、5つの並列データフローPF11、PF21、...PF51がローテータRに転送される。
【0047】
本発明の好ましい実施形態によれば、周期Tごとに、ローテータRが5つの並列データフローPF11、PF21、...、PF51のローテーションを好ましくは行う。具体的には、好ましくはこのローテーションは時点tkごとに行われ、kは第5の並列データフローPF51の整列ワードAWが始まる時点t0、t1、...、t7を数える整数の添え字である。
【0048】
好ましくは、ローテーションは、時点tkにおいて、各並列データフローPF11、PF21、...、PF51の伝送を、並列バスPBのm番目の物理接続から並列バスPBのm’番目の物理接続にずらすことを含む。m番目の物理接続は、ローテーションが行われなかった場合に並列データフローを搬送することになる物理接続であり、m’は以下の等式:
m’=[1+((m−1)+(k+Ф)mod(N+1))mod(N+1)] [1]
で与えられ、ただし「(x)mod(y)」は、(x)割る(y)の剰余を示す。Фは、閉区間[0,N]内の値をとる固定位相偏移である。以下の説明では、簡潔にするために固定位相偏移Фが1に等しいと仮定する。図1ではN=4と仮定しているので、m’は以下の等式:
m’=[1+((m−1)+(k+1)mod(5))mod(5)] [1’]
で与えられる。
【0049】
以下の説明では、上記の等式1’に従って行われる5つの並列データフローPF11、PF21、...、PF51のローテーションを「時計回りローテーション」と名付ける。
【0050】
ローテーションが行われなかった場合、並列データフローPF11、PF21、PF31、PF41、およびPF51は、物理接続PC1、PC2、PC3、PC4、およびPC5のそれぞれを介して伝送されることになる。
【0051】
したがって、時点t0において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR0(k=0)を行い、m’=[1+((m−1)+(1)mod(5))mod(5)]であり、すなわち:
− m=1→m’=2、すなわち第1の物理接続PC1上で伝送される並列データフローが、第2の物理接続PC2にずらされ、
− m=2→m’=3、すなわち第2の物理接続PC2上で伝送される並列データフローが、第3の物理接続PC3にずらされ、
− m=3→m’=4、すなわち第3の物理接続PC3上で伝送される並列データフローが、第4の物理接続PC4にずらされ、
− m=4→m’=5、すなわち第4の物理接続PC4上で伝送される並列データフローが、第5の物理接続PC5にずらされ、
− m=5→m’=1、すなわち第5の物理接続PC5上で伝送される並列データフローが、第1の物理接続PC1にずらされる。
【0052】
したがって図2bに示すように、t0からt1で、第1の並列データフローPF11のセグメントA1が、第2の物理接続PC2を介して伝送され、第2の並列データフローPF21のセグメントB1が、第3の物理接続PC3を介して伝送され、第3の並列データフローPF31のセグメントC1が、第4の物理接続PC4を介して伝送され、第4の並列データフローPF41のセグメントD1が、第5の物理接続PC5を介して伝送され、第5の並列データフローPF51の、t0において次に続く空きビットとともに始まる整列ワードAWが、第1の物理接続PC1を介して伝送される。
【0053】
このローテーションは、他の時点t1、t2、...、t7において繰り返され、すなわち:
− 時点t1において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR1(k=1)を行い、m’=[1+((m−1)+(2)mod(5))mod(5)]であり、
− 時点t2において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR2(k=2)を行い、m’=[1+((m−1)+(3)mod(5))mod(5)]であり、
− 時点t3において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR3(k=3)を行い、m’=[1+((m−1)+(4)mod(5))mod(5)]であり、
− 時点t4において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR4(k=4)を行い、m’=[1+((m−1)+(5)mod(5))mod(5)]=m(すなわちローテーションR4はゼロ(null)のローテーション)であり、
− 時点t5において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR5(k=5)を行い、m’=[1+((m−1)+(6)mod(5))mod(5)]、すなわち、m’=[1+((m−1)+(1)mod(5))mod(5)](つまりローテーションR5はローテーションR0と同じ)であり、
− 時点t6において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR6(k=6)を行い、m’=[1+((m−1)+(7)mod(5))mod(5)]、すなわちm’=[1+((m−1)+(2)mod(5))mod(5)](つまりローテーションR6はローテーションR1と同じ)である。
【0054】
ローテータRは、第5の並列データフローPF51内で整列ワードAWが始まる、図2aには不図示の次に続く各時点において上記のローテーションを好ましくは繰り返す。このようにしてローテータRは、並列バスPBの各物理接続PC1、PC2、...、PC5上に、ローテートされたそれぞれの並列データフローPF12、PF22、...、PF52を出力する。これらのローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52のそれぞれは、(N+1)×Tに等しいフレーム周期TFを有する複数のフレームとして構築される。図中ではN=4と仮定しているので、フレーム周期は5Tである。例えば図2bは、時点t0で始まり、時点t5で終わる、第1のローテートされた並列データフローPF12のフレームを示す。さらに、図2bは、時点t1で始まり、時点t6で終わる、第2のローテートされた並列データフローPF22のフレームも示す。加えて、図2bは、時点t2で始まり、時点t7で終わる、第3のローテートされた並列データフローPF32のフレームも示す。各フレームは、次に続く空きビットを伴う整列ワードAWと、逆の順序をなす並列データフローPF11、PF21、PF31、およびPF41のそれぞれのセグメントとを含む。例えば、図2bに示す第1のローテートされた並列データフローPF12の空きビットの後のフレームは、第4の並列データフローPF41のセグメントD2と、第3の並列データフローPF31のセグメントC3と、第2の並列データフローPF21のセグメントB4と、第1の並列データフローPF11のセグメントA5とを含む。
【0055】
上記に開示したローテーションは、単に例示的に過ぎない。他のローテーションが整列ワードAWを含むローテートされた各並列データフローPF12、PF22、...、PF52を周期的にもたらすという条件で、そのような他のローテーションも使用することができる。
【0056】
例えば、上記に記載したローテーション方向とは逆の方向で、並列データフローPF11、PF21、...PF51のローテーションを行うことができる。以下の説明では、上記に記載したローテーション方向とは逆の方向で行われる並列データフローPF11、PF21、...PF51のローテーションを「時計回りローテーション」と名付ける。この場合、ローテーションは、時点tkにおいて、各並列データフローの伝送を、並列バスPBのm番目の物理接続から並列バスPBのm’番目の物理接続にずらすことを含み、m番目の物理接続は、ローテーションが行われなかった場合に並列データフローを搬送することになる物理接続であり、m’は以下の等式:
m’=[1+((m−1)+(N+1)−(k+Ф)mod(N+1))mod(N+1)] [2]
で与えられ、ただし、等式1に関して先に述べたように「(x)mod(y)」は、(x)割る(y)の剰余を示し、一方でФは、閉区間[0,N]内の値をとる固定位相偏移である。
【0057】
次いで、ローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52が、例えば電気送信機や光送信機など、N+1個の適切な送信モジュール(図1には不図示)により、並列バスPBを介して第2の通信装置CD2に伝送される。本発明の特に有利な改変形態によれば、ローテートされた各並列データフローPF12、PF22、...、PF52のコンテンツ(整列ワードAWを除く)が、並列バスPB上で伝送される前にスクランブルされる。このようにスクランブルすることは、ローテートされた各並列データフローPF12、PF22、...、PF52から、整列ワードAWのコンテンツを複製する可能性があるパターンを有利に除去することを可能にする。そのようなパターンを除去することにより、受信機RX2が、受信するローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52を間違った方法で整列させることを有利に防ぐ。さらに、スクランブリングのおかげで、ローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52のそれぞれにおける信号遷移数が増え、クロック再生を促進する。好ましくは、ローテートされた各並列データフローPF12、PF22、...、PF52が、他のローテートされた並列データフローとは独立にスクランブルされる。さらに、好ましくは、各フレーム周期TFにおいてスクランブリングシード(scrambling seed)が再ロードされる。こうすることにより、誤差の伝播を有利に回避できるようにする。
【0058】
並列バスPB上で伝播された後は図1にPF13、PF23、...、PF53として示す、ローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52が、適切なN+1個の受信モジュール(図1には不図示)により第2の通信装置CD2において受信されると、それらのローテートされた並列データフローは、例えば並列バスPBの5つの物理接続PC1、PC2、...、PC5の長さが異なることが原因でスキューの影響を受けている可能性がある。この状況を図3aに示す。具体的には、図3aは、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53のフレーム周期TF−PC1、TF−PC2、...、TF−PC5が互いに時間的にずれていることを示す。
【0059】
ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53が第2の通信装置CD2において受信されると、それらの並列データフローは、受信機RX2の整列器AL1、AL2、...AL5によってまず処理される。
【0060】
具体的には、好ましくは、整列器に関連するクロック再生手段(簡潔にするために図1には不図示)が、ローテートされた各並列データフローPF13、PF23、...、PF53ごとにタイミング情報を再生する。
【0061】
さらに、各整列器AL1、AL2、...、AL5が、好ましくは(図1に点線で示す)内部参照時間基準IRTB、すなわち図3aの時間軸上に示す一連の内部参照時点t’0、t’1、...t’7を遅延補償器DCから受信する。好ましくは、この内部参照時点t’0、t’1、...t’7は、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53のうちの1つによって搬送されるセグメントの範囲を定める時点である。例として図3aでは、内部参照時点t’0、t’1、...t’7は、第3のローテートされた並列データフローPF33によって搬送されるセグメントの範囲を定める時点であると仮定している。したがって、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53間の整列が欠如していると、内部参照時間基準IRTBに対して、すなわち第3のローテートされた並列データフローPF23に対して、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、PF43、およびPF53を異なるように時間的にずらすことになる。
【0062】
好ましくは、ローテートされたそれぞれの並列データフローPF13、PF23、...、PF53のフレームを受信次第、各整列器AL1、AL2、...、AL5が、フレーム周期TF−PC1、TF−PC2、...、TF−PC5と内部参照時間基準IRTBとの間の時間的ずれを測定し、そのような時間的ずれを示す情報を運ぶ整列情報AI−PC1、AI−PC2、...、AI−PC5を生成する。好ましくは、整列器AL1、AL2、...、AL5は「ルックアサイド」ブロックであり、すなわちこれらの整列器は並列データフローPF13、PF23、...、PF53を変更しない。
【0063】
好ましくは、送信側においてスクランブリング操作が実行される場合、整列器によって処理された後、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、PF43、およびPF53に対して逆スクランブリング操作が実行される。具体的には、スクランブリング操作が各物理接続上で独立に実行される場合、遅延補償器DCによって処理される前に逆スクランブリング操作が好ましくは実行される。さもなければ、遅延補償器DCによって処理された後に逆スクランブリング操作が好ましくは実行される。
【0064】
好ましくは、遅延補償器DCは、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53を受信し、上記に述べた内部参照時間基準IRTBを生成し、そのIRTBを整列器AL1、AL2、...、AL5に伝送する。次いで、好ましくは遅延補償器DCは、内部参照時間基準IRTBに対するローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53の時間的ずれを示す、整列器AL1、AL2、...、AL5から受信した整列情報AI−PC1、AI−PC2、...、AI−PC5を読み取る。好ましくは、これらの整列情報AI−PC1、AI−PC2、...、AI−PC5に従い、遅延補償器DCが外部参照時間基準ERTB、すなわち図3bの時間軸上に示す一連の外部参照時点t”0、t”1、...t”7を生成する。好ましくは、この外部参照時間基準ERTBは、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53のうちの最も遅延された並列データフローに基づく。よって、外部参照時点t”0、t”1、...t”7は、内部参照時間基準IRTBに対して最も高い遅延を有するローテートされた並列データフローによって搬送されるセグメントの範囲を定める時点である。例として、図3aおよび図3bでは、第2のローテートされた並列データフローPF23が、内部参照時間基準IRTBに対して最も高い遅延を有する並列データフローであると仮定している。よって、外部参照時点t”0、t”1、...t”7は、第2のローテートされた並列データフローPF23によって搬送されるセグメントの範囲を定める時点として設定される。
【0065】
次いで、遅延補償器DCは、外部参照時間基準ERTB、すなわち最も遅延されローテートされた並列データフロー(つまりこの例では第2のローテートされた並列データフローPF23)に対し、ローテートされた全ての並列データフローPF13、PF23、...、PF53を整列させるために、整列情報AI−PC1、AI−PC2、...、AI−PC5を使用する。
【0066】
このように整列情報を使用することは、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53間の整列を受信機RX2において有利に再生し、そうしてスキューを補償できるようにする。図4aに、遅延補償器DCによって処理された後の、整列された並列データフローPF14、PF24、...、PF54を示す。
【0067】
次いで、遅延補償器DCは、外部参照時間基準ERTBをデローテータDRに転送する。
【0068】
遅延補償器DCによって補償可能な最大相対的スキューは、フレーム周期の半分、すなわち(N+1)T/2に等しいことに気付くことができる。言い換えれば、遅延補償器DCは、並列データフロー間の最も大きい相対的な時間のずれが(N+1)T/2を下回る場合、ローテートされた並列データフローを再整列させることに成功することができる。したがって図面の例では、補償可能な最大スキューMSは2.5Tである。
【0069】
例えば、通信システムCSが250バイトの最大スキューを許容する応用例に使用される場合、集合信号を搬送し、受信側において整列を行うために並列バスPBのN+1=5個の物理接続を使用することにより、周期Tは少なくとも100バイトになり、すなわち整列ワード生成器AW−Gは、100バイトごとに第5の並列データフローPF51上に整列ワードAWを挿入すべきである。事実、このようにして、ローテートされた並列データフローのフレーム周期TFは、(N+1)×T=500バイト、すなわち最大許容可能スキューの2倍である。
【0070】
他方では、通信システムCSが500バイトの最大スキューを許容する応用例に使用される場合、集合信号を搬送し、受信側において整列を行うために、ここでも並列バスPBのN+1=5個の物理接続を使用することにより、周期Tは少なくとも200バイトになる。事実、このようにして、ローテートされた並列データフローのフレーム周期TFは、(N+1)×T=1000バイト、すなわち最大許容可能スキューの2倍である。
【0071】
(N+1)T/2は、最大スキュー補償能力および最大スキュー検出能力の両方であることに留意しなければならない。事実、特定の応用例では、実行可能な最大スキューよりも少ない量しか補償しない一方で、実行可能な最大スキューを検出する必要がある場合がある。そのような場合、遅延補償器DCは、バッファであって、そのサイズが補償されるスキューの最大量に好ましくは等しくかつ最大スキュー検出能力と比べて小さい、バッファを含む。ただし、図面に示す例では、検出可能な全てのスキューが補償されると仮定する。
【0072】
図4aに示す、整列された並列データフローPF14、PF24、...、PF54が、その後デローテータDRに転送される。
【0073】
本発明の好ましい実施形態によれば、各外部参照時点t”k(すなわちt”0、t”1、...、t”7)において、デローテータDRは、ローテータRによって行われたローテーションとは反対のローテーション方向で、整列された5つの並列データフローPF14、PF24、...、PF54のさらなるローテーションを好ましくは行う。
【0074】
好ましくは、そのさらなるローテーションは、外部参照時点t”kにおいて、ローテートされた各並列データフローの伝送を、並列バスPBのm’番目の物理接続から並列バスPBのm”番目の物理接続にずらすことを含む。m’番目の物理接続は、ローテートされた並列データフローがそこから受信される物理接続であり、m”は以下の等式:
m”=[1+((m’−1)+(N+1)−(k+Ф’)mod(N+1))mod(N+1)] [3]
で与えられ、ただし、先に述べたように「(x)mod(y)」は、(x)割る(y)の剰余を示し、Ф’は、閉区間[0,N]内の値をとるさらなる固定位相偏移である。好ましくは、さらなる固定位相偏移Ф’は、ローテータRによって行われるローテーション操作について記載した等式1の固定位相偏移Фと同じ値に設定される。よってこの例では、さらなる固定位相偏移Ф’は1に等しい。
【0075】
したがって、ローテータRが時計回りローテーションを行うのに対し、デローテータDRは、反時計回りローテーションを好ましくは行う。
【0076】
図1ではN=4と仮定しているので、m”は以下の等式:
m”=[1+((m’−1)+(5)−(k+1)mod(5))mod(5)] [3’]
で与えられる。
【0077】
次いで、外部参照時点t”0において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR0(k=0)を好ましくは行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(1)mod(5))mod(5)]であり、すなわち:
− m’=1→m”=5、すなわち第1の物理接続PC1から受信される整列された並列データフローが、第5の物理接続PC5にずらされ、
− m’=2→m”=1、すなわち第2の物理接続PC2から受信される整列された並列データフローが、第1の物理接続PC1にずらされ、
− m’=3→m”=2、すなわち第3の物理接続PC3から受信される整列された並列データフローが、第2の物理接続PC2にずらされ、
− m’=4→m”=3、すなわち第4の物理接続PC4から受信される整列された並列データフローが、第3の物理接続PC3にずらされ、
− m’=5→m”=4、すなわち第5の物理接続PC5から受信される整列された並列データフローが、第4の物理接続PC4にずらされる。
【0078】
したがって図4bに示すように、t”0とt”1との間で、第2の整列された並列データフローPF24のセグメントA1が、第1の物理接続PC1を介して伝送され、第3の整列された並列データフローPF34のセグメントB1が、第2の物理接続PC2を介して伝送され、第4の整列された並列データフローPF44のセグメントC1が、第3の物理接続PC3を介して伝送され、第5の整列された並列データフローPF54のセグメントD1が、第4の物理接続PC4を介して伝送され、第1のローテートされた並列データフローPF12の、整列ワードAWおよび空きビットを有するフレームが、第5の物理接続PC5を介して伝送される。
【0079】
このさらなるローテーションは、他の外部参照時点t”1、t”2、...t’7においても繰り返され、すなわち:
− 外部参照時点t’1において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR1(k=1)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(2)mod(5))mod(5)]であり、
− 外部参照時点t’2において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR2(k=2)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(3)mod(5))mod(5)]であり、
− 外部参照時点t’3において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR3(k=3)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(4)mod(5))mod(5)]であり、
− 外部参照時点t’4において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR4(k=4)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(5)mod(5))mod(5)]=m’(すなわち、さらなるローテーションDR4はゼロのローテーション)であり、
− 外部参照時点t’5において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR5(k=5)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(6)mod(5))mod(5)]、すなわち、m”=[1+((m’−1)+(5)−(1)mod(5))mod(5)](つまりさらなるローテーションDR5は、さらなるローテーションDR0と同じ)であり、
− 外部参照時点t’6において、デローテータDRは、ローテートされた各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR6(k=6)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(7)mod(5))mod(5)]、すなわちm”=[1+((m’−1)+(5)−(2)mod(5))mod(5)](つまりさらなるローテーションDR6は、さらなるローテーションDR1と同じ)である。
【0080】
デローテータDRは、好ましくは図4bには不図示の次に続く各外部参照時点において上記のさらなるローテーションを繰り返し、それによりデローテータDRの出力のそれぞれにおいて、デローテートされたそれぞれの並列データフローPF15、PF25、...、PF55を出力する。
【0081】
好ましくは、ローテータRにおいて反時計回りローテーションが行われる場合、デローテータDRは時計回りローテーションを行う。この場合、外部参照時間基準ERTBの時点tk”において、デローテータDRは、整列された各並列データフローの伝送を、並列バスPBのm’番目の物理接続から並列バスPBのm”番目の物理接続にずらし、m’番目の物理接続は、デローテーションが行われなかった場合に並列データフローを搬送することになる物理接続であり、m”は以下の等式:
m”=[1+((m−1)+((k+Ф’)mod(N+1))mod(N+1)] [4]
で与えられ、ただし、この場合もやはり「(x)mod(y)」は、(x)割る(y)の剰余を示し、Ф’は、さらなる固定位相ローテーションである。
【0082】
図4bを再び参照することにより、デローテータDRによって出力されるデローテートされた並列データフローPF15、PF25、PF35、およびPF45は、送信機TX1において逆多重化装置によって出力される並列データフローPF11、PF21、PF31、およびPF41に一致することに気付くことができよう。その一方で、第5のデローテートされた並列データフローPF55は、送信機TX1から生じる第5の並列データフローPF51に一致する。
【0083】
第5の並列データフローPF51が整列目的でのみ使用される場合、第5のデローテートされた並列データフローPF55は、デローテータDRの出力において好ましくは破棄される。さもなければ、第5の並列データフローPF51内に含まれる空きビットが他の目的(例えば上記に述べたようにFEC)で使用される場合、第5のデローテートされた並列データフローPF55は、それを処理するさらなるモジュール(図1には不図示)に転送されてよい。
【0084】
次いで、デローテートされた並列データフローPF15、PF25、PF35、およびPF45が多重化装置Mに転送され、この多重化装置Mは、時分割多重化操作を行うことにより、第1の通信装置CD1によって受信された集合データフローAF1に一致する集合データフローAF2を再生する。その後、第2の通信装置CD2は、多重化装置の出力に接続される第2のシリアル接続SC2を介してその集合データフローAF2を伝送することができる。
【0085】
スキューを補償するための上記に開示した方法には、いくつかの利点がある。
【0086】
まず初めに、有利には、上記の方法は、集合信号がフレーム指示整列ワードおよびフレーム周期に基づかないので、集合フローを任意数の並列データフロー上にマッピングできるようにする。
【0087】
それに加え、有利には、受信機において並列データフローを整列させることは、あらかじめ定められたコンテンツを有する整列ワードに都合よく基づく。したがって、整列ワードのコンテンツを適切に選択することにより、伝送しようとする集合データフロー内に含まれるデータとは無関係に、各並列データフローを整列させることが各フレームにおいて成功裏に行われる。このことは、整列における最大遅延が数フレーム周期TF程度、すなわちいくつかの(a few)(N+1)×Tであることを有利に保証する。この時間は決定論的であり、したがって整列を行う際の予測不能な遅延が回避される。
【0088】
さらに、整列ワード生成器AW−Gによって生成される並列データフローPF51、および周期Tは、整列しようとする並列データフローの数に依存しないので、有利にはこの方法は任意の数の並列データフローに適用することができる。例えば、並列データフローの数が4の代わりに8である場合(すなわちN=8)、(実際には第9の並列データフローである)並列データフローPF51およびローテーションはいずれも、図2aおよび図2bを参照することによって説明したものと有利に同一である。唯一の違いは、(N+1)×Tに等しいフレーム周期TFが、5Tの代わりに今度は9Tになることである。フレーム周期TFが9Tになることは、一方で、いくつかの(N+1)×T、すなわちいくつかの9Tに等しい、並列データフローの整列を再生する際の最大遅延を増加させる。他方では、フレーム周期TFが9Tになることは、(N+1)×T/2=4.5×Tに等しい、補償可能な最大スキューMSを増加させる。したがってこの方法は、整列手順に関与するコンポーネントに対する実質的にどんな修正も必要とすることなく、並列バス上で伝送すべき集合信号の容量が変化し、それに応じてその集合信号を搬送するのに使用される物理接続の数も変化する通信システムに有利に適用することができる。
【0089】
さらに、上記に述べたように、送信機において整列ワード生成器によって生成される第5の並列データフローPF51は、FECなど、整列以外の目的で使用可能ないくつかの空きビットを有する。
【0090】
この場合、送信機TX1は、ローテータRの入力においてFECモジュール(図面には不図示)を備えることができる。そのFECモジュールが5つの並列データフローPF11、PF21、...、PF51を受信すると、そのFECモジュールは好ましくはFECコードを計算する。このFECコードは様々な方法で計算することができる。例えば、FECコードは、同じ並列データフローの連続したセグメントについて計算することができ、または5つの並列データフローの対応するセグメントについて計算することができる。図2aを再び参照することにより、例えば第1のFECコードは、セグメントA1、B1、C1、およびD1について計算することができ、t0で始まる整列ワードAWの後に続く空きビットの中に挿入することができる。同様に、第2のFECコードは、セグメントA2、B2、C2、およびD2について計算することができ、t1で始まる整列ワードAWの後に続く空きビットの中に挿入することができる。その後も同様である。FECモジュールがFECコードを計算した後、並列データフローPF11、PF21、...、PF51がローテータRによってローテートされ(かつ上記に述べたように、ことによるとスクランブルされ)、その後、結果として生じるローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52が並列バスBPを介して伝送される。受信機RX2において、それらの並列データフローが整列器AL1、AL2、...AL5および遅延補償器DCによって整列され、デローテータDRによってデローテートされ、そうしてデローテートされた並列データフローPF15、PF25、...、PF55が得られる。
【0091】
デローテータDRの出力において、さらなる逆FECモジュール(図面には不図示)が好ましくは設けられる。そのようなさらなる逆FECモジュールは、デローテートされた並列データフローPF15、PF25、PF35、およびPF45内に含まれるセグメントの起こり得る誤りを訂正するために、第5のデローテートされた並列データフローPF55内に含まれる逆FECコードを好ましくは使用する。次いで、訂正されかつデローテートされた並列データフローPF15、PF25、PF35、およびPF45が多重化装置Mに転送され、この多重化装置Mは集合データフローAF2を再生する。
【0092】
あるいは、またはそれに加え、第5の並列データフローPF51の空きビットは、並列フロー識別子を挿入するために使用することができる。具体的には、図2aおよび図2bを再び参照することにより、t0で始まる整列ワードAWの後に識別子PF12−idを挿入することができ、t1で始まる整列ワードAWの後に識別子PF22−idを挿入することができ、t2で始まる整列ワードAWの後に識別子PF32−idを挿入することができ、t3で始まる整列ワードAWの後に識別子PF42−idを挿入することができ、t4で始まる整列ワードAWの後に識別子PF52−idを挿入することができる。したがって、ローテータRによって行われるローテーションの後、ローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52のそれぞれが、全てのフレームの整列ワードAWの後に位置する各々の識別子PF12−id、PF22−id、...、PF52−idを含む。受信機RX2において、認識モジュール(図面には不図示)を例えば遅延補償器DCブロックの直前に設けることができる。そのような認識モジュールは、(再生された識別子も好ましくは含む)全ての整列情報AI−PC1、AI−PC2、...、AIPC5を傍受し、実際の並列データフローに対するそれらの整列情報の整合性を検査する。この認識モジュールは、例えば一方がローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53用、もう一方がALINF信号用の、サイズ(N+1)×(N+1)の2つのクロスバ機能(crossbar function)によって実装することができる。
【0093】
これにより、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53が、送信機TX1において有していたのと同じ順序で受信機RX2において受信されたかどうかを検査すること、および起こり得るあらゆる反転(inversion)を考慮に入れるために、その並列データフローを遅延補償器DCに正しく供給することが有利に可能になる。
【0094】
実際に、第1の通信装置CD1から第2の通信装置CD2に並列バスPBの物理接続をつなぐ責任を負う事業者が、それらの物理接続を間違った順序によってつなぐ(例えばその事業者が第2の通信装置CD2において、第2の物理接続PC2および第3の物理接続PC3を反転させる)場合、図6aおよび図6bに示す従来技術の解決策によれば、第2の通信装置CD2はこの反転に気付くことができない。このことは、第2のさらなる並列データフローPF22および/または第3のさらなる並列データフローPF32の間違った整列を不都合にもたらす可能性がある。しかし、並列データフローの識別子を挿入するために各整列ワードAWの後に続く空きビットを使用することにより、第2の通信装置CD2は、起こり得るあらゆる反転を検出し、遅延補償器DCより前に正しい状況を再生することができる。
【0095】
第5の並列データフローPF52内の空きビットの他の可能な使用法は、例えばDC結合のための記号の挿入、クロック再生を保証するための遷移1−0の生成、または並列バスの利用可能帯域幅の増加(すなわち伝送しようとするデータの一部分を搬送すること)であり得る。(図2aの並列データフローPF51に関して)2つの連続した整列ワードAW間に十分な数の空きビットが与えられる場合、そのような空きビットは、上記の目的のうちの複数のために有利に使用することができる。
【0096】
上記に述べたように、遅延補償器DCによって補償可能な最大スキューは、フレーム周期TFの半分、すなわち(N+1)T/2に等しい。有利には、周期Tを増やすことなく補償可能な最大スキューを増やすために、整列ワードAWの後に続く空きビットを使用することができる。実際には、周期Tを任意に増やすことはできない。周期Tを増やすことは、2つの連続した整列ワードAWを受信する間の経過時間が増えることが原因で、事実上、整列器を変更することが必要になる。周期Tを変えることによって暗に示されるもう1つの欠点は、選択されるT周期に対するFEC(使用される場合)の適合性である。例えば、第1の周期Tが、利用可能なFECに対して適合性があると選ばれ、次いでスキュー補償能力を高めるために第2のフレーム周期T’>Tが選択される場合(例えばT’=1.5×T)、FECはもはや新たなフレーム周期T’とは適合性がない。
【0097】
図5aに示すように、この欠点は、スーパーフレーム内でM個のTFフレームをグループ化することによって克服することができる。グループ化は、例えば第5の並列データフローPF51内の各整列ワードAWの後に、フレーム識別子を挿入することによって行うことができる。そのフレーム識別子は、例えば「super−frame index.PF−id」の形式をなすことができる、PF−idインデックスおよびスーパーフレームインデックスを好ましくは有し、PF−idインデックスはマルチフレームには厳密には必要ないが、記載の様々な特徴をどのように組み合わせることができるのかを単に示すために説明の中で使用する。例えばN=4かつM=2の場合、インデックスは、第1のスーパーフレームについては1.1から1.5であり、第2のスーパーフレームについては2.1から2.5である。したがって、スーパーフレームの周期TF’は、M×(N+1)×Tに等しい。よって、補償可能な最大スキューMS’は、ここではスーパーフレームの周期TF’の半分、すなわちM×(N+1)×T/2に等しい。そのような最大スキューMS’が図5bに示され、N=4かつM=2では5×Tに等しい。したがって、周期Tを変えることなく、補償可能な最大スキューが2.5Tから5Tに増加する。
【0098】
それに対応し、図2aおよび図2bに示す実施形態により使用される周期の半分である周期Tを使用することにより、同じ最大スキューを補償することができる。例えば、通信システムSCによって許容される最大スキューが500バイトである場合、N=1かつM=2では、許容される最小周期TはT=100バイトである。上記に説明したように、スーパーフレームが使用されない場合、500バイトの最大スキューは少なくとも200バイトの周期Tを必要とする。
【0099】
したがって、スーパーフレームを使用する後者の実施形態は、最大スキュー再生能力の点から見た要件から、周期Tの選択を有利に切り離せるようにする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列通信の分野に関する。具体的には本発明は、並列バス上でいくつかの並列データフローを伝送する方法に関する。さらに本発明は、そのような方法を実行するのに適した並列通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、並列バスは、2つの通信装置を接続し、それらの装置間のデータ交換をサポートするのに適したいくつかの並列物理接続を含む。データ伝送は、並列バスの全ての物理接続間で共用される。この物理接続は、光接続(例えば光ファイバ)または電気接続とすることができる。並列バスは、単一物理接続上でデータを搬送するシリアルバスと相反する。
【0003】
並列バスによって接続される通信装置は、「並直列変換器」(シリアライザ−デシリアライザ)として知られる適切なインターフェイスを備える必要がある。並直列変換器は、典型的には送信側と受信側とを有する。送信側において、この並直列変換器は、N個の並列データフローを得るために、シリアルバスから集合データフローを受信し、その集合データフローに対して時分割逆多重化を実行(デシリアライゼーション)するのに適した逆多重化装置を備え、Nは並列バス内の物理接続の数以下である。次いでそのN個の並列データフローのそれぞれが、その並列バスのそれぞれの物理リンク上で伝送される。他方では、受信側において、この並直列変換器は、シリアルバス上で伝送しようとする集合データフローを再生するために、並列バスのそれぞれの物理接続からN個の並列データフローを受信し、それらの並列データフローに対して時分割多重化を実行(シリアライゼーション)するのに適した多重化装置を備える。
【0004】
第1の通信装置の並直列変換器から、第2の通信装置の並直列変換器に伝播する間、各並列データフローはそれぞれに異なる伝播遅延を受ける。その原因は、例えば各物理接続の長さが僅かに異なることであり得る。よって、第1の通信装置の並直列変換器から同時に伝送される様々な並列データフローのビットが、第2の通信装置の並直列変換器において異なる時間に受信される。この効果は「スキュー」と名付けられる。
【0005】
スキューは、並列データフローが受信側で適切に整列されることを妨げ、それにより集合データフローの当初のビットシーケンスを再生する際に誤りを引き起こすので不所望の効果である。並列バスの長さが長くなればなるほど、および伝送データ速度が速くなればなるほど、再生される集合データフロー上でスキューによって誘発される誤りの数が増加する。
【0006】
OIF(オプティカルインターネットワーキングフォーラム)が作成した文書「Serdes Framer Interface Level 5(SFI−5):Implementation Agreement for 40Gb/s Interface for Physical Layer Devices(OIF−SFI5−01.02)」2002年1月29日は、並列バスの16個の物理接続と「デスキュー」物理接続とにより40Gb/sで集合光データフローを伝送する、スキューを補償するための整列機構を実装するのに適した並直列変換器を開示する。同文書は、SFI−5と呼ばれる4つの物理接続と1つのデスキュー物理接続とによりそれぞれが構成される、4つの並列バスにより、10Gb/sで4つの独立した集合光データフローを伝送するクワッド並直列変換器も開示する。この並直列変換器の動作について、図6aおよび図6bを参照することによりこれから説明する。
【0007】
送信側において、並列バス上で伝送しようとする集合データフローが、時分割逆多重化により4つの並列データフローPF1、PF2、PF3、PF4へと分割される。次いで、あらかじめ定義された持続時間からなるフレームF1、F2、...へと分割される、追加のフローAFが作り出される。例えば図6aに示すフレームF1を参照することにより、この並直列変換器は、整列ワードAW’をフレームF1の中に挿入する。次いで、時間t10から時間t11まで、この並直列変換器は第1の並列データフローPF1のビットをフレームF1内にコピーし、こうして第1の並列データフローPF1のビットシーケンスS’11のコピーS11をフレームF1の中に挿入する。次いで、時間t11から時間t12まで、この並直列変換器は第2の並列データフローPF2のビットをフレームF1内にコピーし、こうして第2の並列データフローPF2のビットシーケンスS’12のコピーS12をフレームF1の中に挿入する。次いで、時間t12から時間t13まで、この並直列変換器は第3の並列データフローPF3のビットをフレームF1内にコピーし、こうして第3の並列データフローPF3のビットシーケンスS’13のコピーS13をフレームF1の中に挿入する。次いで、時間t13から時間t14まで、この並直列変換器は第4の並列データフローPF4のビットをフレームF1内にコピーし、こうして第4の並列データフローPF4のビットシーケンスS’14のコピーS14をフレームF1の中に挿入する。その後、この並直列変換器は上記の手順を循環的に繰り返し、そうして図6aのフレームF2、および簡潔にするために図6aには不図示の次に続くフレームを形成する。
【0008】
次いで、並列データフローPF1、PF2、PF3、PF4、および追加のフローAFが、並列バスのそれぞれの物理接続上でそれぞれ伝送される。
【0009】
受信側において、並列データフローPF1、PF2、PF3、PF4、および追加のフローAFは、スキューが原因で概して整列されていない。図6bにこの状況を示す。したがって、各シーケンスS11、S12、S13、S14を検討することにより、および並列データフローPF1、PF2、PF3、PF4内の対応シーケンスS’11、S’12、S’13、S’14をそれぞれ探すことにより、追加のフローAFが読み取られる。対応シーケンスS’11、S’12、S’13、S’14が見つかると、その対応シーケンスS’11、S’12、S’13、S’14を、追加のフローAFのシーケンスS11、S12、S13、S14に対してそれぞれ整列させるために、図6bの矢印によって示すように並列データフローPF1、PF2、PF3、PF4が時間的にずらされる。この手順は、追加のフローAFのフレームが受信される度に整列が見つかり次第、それぞれの並列データフローごとに循環的に繰り返される。全ての並列データフローが個々に整列されるとき、整列手順は完了する。整列させることが成功した後、その整列は継続的に検査される。
【0010】
スキューを補償するための上記の解決策にはいくつかの欠点があることに出願者は気付いた。
【0011】
まず初めに、不都合なことに、上記の整列操作中に受信されるデータが失われる。
【0012】
さらに上記の解決策は、追加のフローAFのフレームが受信される度に、並列データフローが受信側において成功裏に整列されることを保証はしない。
【0013】
実際に、整列させることは、追加のフロー内および並列データフロー内の対応シーケンスを探すことに基づく。しかし、これらのシーケンスのコンテンツはあらかじめ定められているのではなく、並列データフローのコンテンツによって決まる。したがって、並列データフローのうちの1つ(例えば第1の並列データフローPF1)が、タイプ「01010101...」のパターンを含み、シーケンスS11がそうしたパターンからコピーされる場合、受信側においてこの並直列変換器は、シーケンスS11に対応する特有のシーケンスS’11を見つけることができない。実際には、第1の並列データフローPF1は、シーケンスS11に一致しかつ他のシーケンスのビットに対して2ビットずれた複数のシーケンスを含む。したがって、並直列変換器は、整列を行うために使用すべき対応シーケンスがどれなのか分からず、結果的に第1のデータフローPF1の整列は失敗する。この状況は、タイプ「01010101...」のパターンが終わるまで不都合に持続する。しかし、そのようなパターンの長さは、第1の並列データフローPF1のコンテンツによって決まるので予測できず、第1の並列データフローPF1からコピーされる、予測不能な数の連続フレームF1、F2、...内のシーケンスS11、S21等に影響を及ぼす場合がある。したがって、第1の並列データフローPF1の整列を再生するための時間は不都合なことに予測不能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Serdes Framer Interface Level 5(SFI−5):Implementation Agreement for 40Gb/s Interface for Physical Layer Devices(OIF−SFI5−01.02)2002年1月29日 OIF (Optical Internetworking Forum)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
出願者は、スキューを補償できるようにするのと同時に前述の欠点を克服する、並列バス上でいくつかの並列データフローを伝送する方法を提供する問題に取り組んだ。
【0016】
具体的には、出願者は、予測不能な遅延なしにかつ並列データフローのコンテンツとは無関係に、並列データフローのスキューを補償できるようにする、並列バス上でいくつかの並列データフローを伝送する方法を提供する問題に取り組んだ。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の態様によれば、本発明は、第1の通信装置から第2の通信装置に、並列バス上で数Nの並列データフローを伝送する方法を提供し、この方法は、第1の通信装置において:
a)ある周期で周期的に分配される複数の整列ワードを含む、さらなる並列データフローを生成するステップと、
b)各周期において、その数Nの並列データフローおよびさらなる並列データフローをローテート(rotate)させ、そうしてさらなる数N+1のローテートされた並列データフローを生成するステップであって、そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれが、フレーム周期で周期的に分配される複数の整列ワードの一部を含むステップと、
c)そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローを、並列バスのそれぞれの物理接続上で伝送するステップと
を含み、第2の通信装置において:
d)複数の整列ワードの一部を使用することにより、そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれを整列させ、そうしてスキューを補償し、さらなる数N+1の整列された並列データフローを得るステップと、
e)各周期において、そのさらなる数N+1の整列された並列データフローをデローテート(de−rotate)させ、そうして数Nの並列データフローに対応する数Nのデローテートされた並列データフローを生成するステップと
をさらに含む。
【0018】
好ましくは、ステップb)は、さらなる並列データフローの複数の整列ワードのうちの1つが始まる時点(time instant)tkごとに、その数Nの並列データフローおよびさらなる並列データフローをローテートさせるステップを含む。
【0019】
好ましくは、ステップb)は、時点tkごとに、その数Nの並列データフローの各並列データフローおよびさらなる並列データフローの伝送を、並列バスのm番目の物理接続から並列バスのm’番目の物理接続にずらすステップを含み:
− m番目の物理接続は、ローテーションが行われなかった場合に各並列データフローを搬送することになる物理接続であり、
− m’は以下の等式:
m’=[1+((m−1)+(k+Ф)mod(N+1))mod(N+1)]で与えられ、Фは0から数Nに及ぶ固定位相偏移である。
【0020】
好ましくは、ステップd)は:
− さらなる数N+1のローテートされた並列データフローの中から、ローテートされた並列データフローを選択するステップと、
− その選択されローテートされた並列データフローによって搬送されるセグメントの範囲を定める内部参照時点を含む、内部参照時間基準を生成するステップと、
− そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれについて、内部参照時間基準に対する時間的ずれを示す整列情報を生成するステップと、
− その整列情報に従い、ローテートされた各並列データフローを、選択されローテートされた並列データフローに対して整列させるステップと
を含む。
【0021】
好ましくは、ステップd)は:
− 整列情報に従い、ローテートされた並列データフローの中から、最も遅延されローテートされた並列データフローを選択するステップと、
− その最も遅延されローテートされた並列データフローによって搬送されるセグメントの範囲を定める外部参照時点を含む、外部参照時間基準を生成するステップと
をさらに含む。
【0022】
好ましくは、ステップe)は、外部参照時点のそれぞれにおいて、さらなる数N+1の整列された並列データフローをデローテートさせるステップを含む。
【0023】
有益には、ステップe)は、外部参照時点のそれぞれにおいて、そのさらなる数N+1の整列された並列データフローのうちの、整列された各並列データフローの伝送を、並列バスのm’番目の物理接続から並列バス(PB)のm”番目の物理接続にずらすステップを含み:
− m’番目の物理接続は、整列された各並列データフローがそこから受信される物理接続であり、
− m”は以下の等式:
m”=[1+((m’−1)+(N+1)−(k+Ф’)mod(N+1))mod(N+1)]で与えられ、Ф’は0から数Nに及ぶさらなる固定位相偏移である。
【0024】
好ましくは、この方法はステップb)とステップc)との間に、整列ワードを除き、さらなる数N+1のローテートされた並列データフローのコンテンツをスクランブルするステップをさらに含む。
【0025】
好ましくは、この方法はステップd)とステップe)との間に、整列ワードを除き、整列されたデータフローのコンテンツを逆スクランブルするステップをさらに含む。
【0026】
有益には、整列ワードが周期Tよりも短い持続時間を有し、そのためさらなる並列データフローは、連続した整列ワードの間に空きビット(free bit)を含む。
【0027】
好ましくは、ステップa)は、以下の目的:誤りの訂正、並列フローの識別子の挿入、DC結合のための記号の挿入、クロック再生を促進するための遷移の生成、並列バスの利用可能帯域幅の増加のうちの1つまたは複数のために空きビットを使用するステップをさらに含む。
【0028】
有益には、ステップa)は、さらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれを、ステップb)が実行された後に識別するのに適したフレーム識別子を、複数の整列ワードのそれぞれの後の空きビット内に挿入するステップを含む。
【0029】
第2の態様によれば、本発明は、第1の通信装置、並列バス、および第2の通信装置を含む通信システムを提供し、第1の通信装置は、数Nの並列データフローを並列バス上で第2の通信装置に伝送するように構成されており、その第1の通信装置は:
− ある周期で周期的に分配される複数の整列ワードを含む、さらなる並列データフローを生成するように構成された整列ワード生成器と、
− 各周期において、その数Nの並列データフローおよびさらなる並列データフローをローテートさせ、そうしてさらなる数N+1のローテートされた並列データフローを生成するように構成されたローテータであって、そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれが、フレーム周期で周期的に分配される複数の整列ワードの一部を含む、ローテータと
を備え、第2の通信装置は:
− 複数の整列ワードの一部を使用することにより、そのさらなる数N+1のローテートされた並列データフローのそれぞれを整列させ、そうしてスキューを補償し、さらなる数N+1の整列された並列データフローを得るように構成されたさらなる数N+1の整列器と、
− 各周期において、そのさらなる数N+1の整列された並列データフローをデローテートさせ、そうして数Nの並列データフローに対応する数Nのデローテートされた並列データフローを生成するように構成されたデローテータと
を備える。
【0030】
本発明は、添付図面を参照して読むべき、限定ではなく例として示す以下の詳細な説明を読むことでより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1の通信装置および第2の通信装置を含む通信システムの概略図である。
【図2a】ローテータによって処理される前の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図2b】ローテータによって処理された後の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図3a】整列器によって処理される間の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図3b】整列器によって処理される間の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図4a】デローテータによって処理される前の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図4b】デローテータによって処理された後の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図5a】スーパーフレームが使用される場合の、ローテータによって処理される前の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図5b】スーパーフレームが使用される場合の、ローテータによって処理された後の5つの並列データフローの構造を示す図である。
【図6a】従来技術の解決策によりスキューを補償するために送信側において処理される、4つの並列データフローの構造を示す図である(上記で既に説明済み)。
【図6b】従来技術の解決策によりスキューを補償するために受信側において処理される、4つの並列データフローの構造を示す図である(上記で既に説明済み)。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、第1の通信装置CD1、第2の通信装置CD2、および第1の通信装置CD1と第2の通信装置CD2とを接続する並列バスPBを含む、通信システムCSを概略的に示す。
【0033】
並列バスPBは、N+1個の物理接続を含み、Nは整数である。並列バスPBは、電気並列バスまたは光並列バスとすることができる。第1の通信装置CD1および第2の通信装置CD2は、例えば通信ネットワークの2つのネットワーク機器(例えば2つのルータ、2つのスイッチ等)、または同一ネットワーク機器の2つの基板とすることができる。ただし、第1の通信装置CD1および第2の通信装置CD2は、ローカルネットワークに接続される2台のコンピュータ、またはASIC、FPGA等の2つの物理装置とすることもできる。
【0034】
第1の通信装置CD1は、送信機TX1を備え、さらにその送信機TX1は、好ましくは逆多重化装置DM、整列ワード生成器AW−G、およびローテータRを備える。好ましくは、逆多重化装置DMは、第1のシリアル接続SC1に接続される入力と、ローテータRに接続されるN個の出力とを有する。そして次にローテータRは、逆多重化装置DMのそれぞれの出力に接続されるN個の入力と、整列ワード生成器AW−Gに接続されるさらなる入力と、N+1個の出力とを有し、そのN+1個の出力のそれぞれは、並列バスPBのそれぞれの物理接続に接続される。
【0035】
図面に不図示の実施形態によれば、第1のシリアル接続SC1は、例えば独自仕様のフォーマットに従ってフォーマットされる並列データフローの伝送をサポートする入力並列バスなど、別の種類の接続で置換することができる。この場合、好ましくは逆多重化装置Mが省かれてよく、入力並列バスの物理接続がローテータRに直接接続されてよい。
【0036】
第2の通信装置CD2は、好ましくは受信機RX2を備え、さらにその受信機RX2は、N+1個の整列器、遅延補償器DC、デローテータDR、および多重化装置Mを備える。好ましくは、各整列器は、並列バスPBのそれぞれの物理接続に接続される入力を有する。さらに各整列器は、遅延補償器DCに接続される出力を有する。遅延補償器DCは、並列バスPBのそれぞれの物理接続に各々接続されるN+1個の入力と、それぞれの整列器に各々接続されるN+1個の追加入力と、デローテータDRに接続されるN+1個の出力とを有する。好ましくは、デローテータDRは、遅延補償器DCのそれぞれの出力に接続されるN+1個の入力と、多重化装置Mに接続されるN個の出力と、追加出力とを有し、この追加出力の役割については本明細書の以下に説明する。そして次に多重化装置Mは、デローテータDRのそれぞれの出力に接続されるN個の入力と、第2のシリアル接続SC2に接続される1つの出力とを有する。
【0037】
図面に不図示の実施形態によれば、第2のシリアル接続SC2は、例えば独自仕様のフォーマットに従ってフォーマットされる並列データフローの伝送をサポートする出力並列バスなど、別の種類の接続で置換することができる。この場合、好ましくは多重化装置DMが省かれてよく、デローテータDRが出力並列バスの物理接続に直接接続されてよい。
【0038】
例として、図1ではNが4に等しいと仮定する。したがって図1に示す並列バスPBは、5つの物理接続PC1、PC2、...、PC5を含む。さらに、送信機TX1において、逆多重化装置DMは4つの出力を有する一方、ローテータRは5つの入力と5つの出力とを有する。加えて受信機RX2は、5個の整列器AL1、AL2、...AL5を備え、遅延補償器DCは5つの入力、5つの追加入力、および5つの出力を有し、デローテータDRは、5つの入力、4つの出力、および追加出力を有する一方、多重化装置Mは4つの入力を有する。
【0039】
第1の通信装置CD1および第2の通信装置CD2はいずれも、ここでの説明には関係がないので図1には示されていない他のコンポーネントを備えることができる。具体的には、第1の通信装置CD1は、第2の通信装置CD2の受信機RX2と実質的に同じ構造を有する受信機(不図示)を備えることができる。同様に、第2の通信装置CD2は、第1の通信装置CD1の送信機TX1と実質的に同じ構造を有する送信機(不図示)を備えることができる。このようなコンポーネントを備えることは、第1の通信装置CD1と第2の通信装置CD2との間で双方向通信を有利に行えるようにする。
【0040】
本明細書の以下に、通信システムCSの動作について詳しく説明する。
【0041】
例として、第1の通信装置CD1から第2の通信装置CD2に、並列バスPBを介して集合データフローAF1を伝送しなければならない状況を検討する。第1の通信装置CD1が受信機も備え、第2の通信装置CD2が送信機も備える上記に述べた事例では、集合データフローAF1を第2の通信装置CD2から第1の通信装置CD1に伝送することができるので、この状況は単に例示的に過ぎない。
【0042】
図1に示すように、第1の通信装置CD1は、例えば第1のシリアル接続SC1から集合データフローAF1を受信することができる。
【0043】
第1の通信装置CD1が、伝送すべき集合データフローAF1を第1のシリアル接続SC1から受信すると、第1の通信装置CD1は、好ましくは逆多重化装置DMにより時分割逆多重化操作を行う。次いでその逆多重化装置DMは、図2aに示す4つの並列データフローPF11、PF21、PF31、PF41を出力する。
【0044】
実質的に同時に、第5の並列データフローPF51が与えられ、整列ワード生成器AW−Gは、周期Tでそのような第5の並列データフローPF51の中に整列ワードAWを周期的に挿入する。整列ワードAWが始まる時点を図2aおよび図2bの時間軸上にt0、t1、...、t7として示す。好ましくは、整列ワードAWはあらかじめ定められたコンテンツを有する。好ましくは、整列ワードAWの持続時間は周期Tよりも短い。図2aに示すように、整列ワードAWの持続時間が周期Tよりも短いことは、連続した整列ワードAWの間に空きビットを有利に提供できるようにする。本明細書の以下に詳しく説明するように、これらの空きビットは、例えばFEC(「前方誤り訂正」)など、並列データフローを整列させる以外の目的で使用することができる。
【0045】
時点t0、t1、...、t7は、それに従って4つの並列データフローPF11、PF21、PF31、PF41がセグメント化される時間基準を定める。具体的には、図2aに示すように並列データフローPF1は、t0とt1との間にセグメントA1、t1とt2との間にセグメントA2、t2とt3との間にセグメントA3、t3とt4との間にセグメントA4、t4とt5との間にセグメントA5、t5とt6との間にセグメントA6、およびt6とt7との間にセグメントA7を有する。図2aに示すように、他の並列データフローPF21、PF31、およびPF41にも同じことが当てはまる。
【0046】
次いで、5つの並列データフローPF11、PF21、...PF51がローテータRに転送される。
【0047】
本発明の好ましい実施形態によれば、周期Tごとに、ローテータRが5つの並列データフローPF11、PF21、...、PF51のローテーションを好ましくは行う。具体的には、好ましくはこのローテーションは時点tkごとに行われ、kは第5の並列データフローPF51の整列ワードAWが始まる時点t0、t1、...、t7を数える整数の添え字である。
【0048】
好ましくは、ローテーションは、時点tkにおいて、各並列データフローPF11、PF21、...、PF51の伝送を、並列バスPBのm番目の物理接続から並列バスPBのm’番目の物理接続にずらすことを含む。m番目の物理接続は、ローテーションが行われなかった場合に並列データフローを搬送することになる物理接続であり、m’は以下の等式:
m’=[1+((m−1)+(k+Ф)mod(N+1))mod(N+1)] [1]
で与えられ、ただし「(x)mod(y)」は、(x)割る(y)の剰余を示す。Фは、閉区間[0,N]内の値をとる固定位相偏移である。以下の説明では、簡潔にするために固定位相偏移Фが1に等しいと仮定する。図1ではN=4と仮定しているので、m’は以下の等式:
m’=[1+((m−1)+(k+1)mod(5))mod(5)] [1’]
で与えられる。
【0049】
以下の説明では、上記の等式1’に従って行われる5つの並列データフローPF11、PF21、...、PF51のローテーションを「時計回りローテーション」と名付ける。
【0050】
ローテーションが行われなかった場合、並列データフローPF11、PF21、PF31、PF41、およびPF51は、物理接続PC1、PC2、PC3、PC4、およびPC5のそれぞれを介して伝送されることになる。
【0051】
したがって、時点t0において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR0(k=0)を行い、m’=[1+((m−1)+(1)mod(5))mod(5)]であり、すなわち:
− m=1→m’=2、すなわち第1の物理接続PC1上で伝送される並列データフローが、第2の物理接続PC2にずらされ、
− m=2→m’=3、すなわち第2の物理接続PC2上で伝送される並列データフローが、第3の物理接続PC3にずらされ、
− m=3→m’=4、すなわち第3の物理接続PC3上で伝送される並列データフローが、第4の物理接続PC4にずらされ、
− m=4→m’=5、すなわち第4の物理接続PC4上で伝送される並列データフローが、第5の物理接続PC5にずらされ、
− m=5→m’=1、すなわち第5の物理接続PC5上で伝送される並列データフローが、第1の物理接続PC1にずらされる。
【0052】
したがって図2bに示すように、t0からt1で、第1の並列データフローPF11のセグメントA1が、第2の物理接続PC2を介して伝送され、第2の並列データフローPF21のセグメントB1が、第3の物理接続PC3を介して伝送され、第3の並列データフローPF31のセグメントC1が、第4の物理接続PC4を介して伝送され、第4の並列データフローPF41のセグメントD1が、第5の物理接続PC5を介して伝送され、第5の並列データフローPF51の、t0において次に続く空きビットとともに始まる整列ワードAWが、第1の物理接続PC1を介して伝送される。
【0053】
このローテーションは、他の時点t1、t2、...、t7において繰り返され、すなわち:
− 時点t1において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR1(k=1)を行い、m’=[1+((m−1)+(2)mod(5))mod(5)]であり、
− 時点t2において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR2(k=2)を行い、m’=[1+((m−1)+(3)mod(5))mod(5)]であり、
− 時点t3において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR3(k=3)を行い、m’=[1+((m−1)+(4)mod(5))mod(5)]であり、
− 時点t4において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR4(k=4)を行い、m’=[1+((m−1)+(5)mod(5))mod(5)]=m(すなわちローテーションR4はゼロ(null)のローテーション)であり、
− 時点t5において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR5(k=5)を行い、m’=[1+((m−1)+(6)mod(5))mod(5)]、すなわち、m’=[1+((m−1)+(1)mod(5))mod(5)](つまりローテーションR5はローテーションR0と同じ)であり、
− 時点t6において、ローテータRは、各並列データフローをm番目の物理接続からm’番目の物理接続にずらすローテーションR6(k=6)を行い、m’=[1+((m−1)+(7)mod(5))mod(5)]、すなわちm’=[1+((m−1)+(2)mod(5))mod(5)](つまりローテーションR6はローテーションR1と同じ)である。
【0054】
ローテータRは、第5の並列データフローPF51内で整列ワードAWが始まる、図2aには不図示の次に続く各時点において上記のローテーションを好ましくは繰り返す。このようにしてローテータRは、並列バスPBの各物理接続PC1、PC2、...、PC5上に、ローテートされたそれぞれの並列データフローPF12、PF22、...、PF52を出力する。これらのローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52のそれぞれは、(N+1)×Tに等しいフレーム周期TFを有する複数のフレームとして構築される。図中ではN=4と仮定しているので、フレーム周期は5Tである。例えば図2bは、時点t0で始まり、時点t5で終わる、第1のローテートされた並列データフローPF12のフレームを示す。さらに、図2bは、時点t1で始まり、時点t6で終わる、第2のローテートされた並列データフローPF22のフレームも示す。加えて、図2bは、時点t2で始まり、時点t7で終わる、第3のローテートされた並列データフローPF32のフレームも示す。各フレームは、次に続く空きビットを伴う整列ワードAWと、逆の順序をなす並列データフローPF11、PF21、PF31、およびPF41のそれぞれのセグメントとを含む。例えば、図2bに示す第1のローテートされた並列データフローPF12の空きビットの後のフレームは、第4の並列データフローPF41のセグメントD2と、第3の並列データフローPF31のセグメントC3と、第2の並列データフローPF21のセグメントB4と、第1の並列データフローPF11のセグメントA5とを含む。
【0055】
上記に開示したローテーションは、単に例示的に過ぎない。他のローテーションが整列ワードAWを含むローテートされた各並列データフローPF12、PF22、...、PF52を周期的にもたらすという条件で、そのような他のローテーションも使用することができる。
【0056】
例えば、上記に記載したローテーション方向とは逆の方向で、並列データフローPF11、PF21、...PF51のローテーションを行うことができる。以下の説明では、上記に記載したローテーション方向とは逆の方向で行われる並列データフローPF11、PF21、...PF51のローテーションを「時計回りローテーション」と名付ける。この場合、ローテーションは、時点tkにおいて、各並列データフローの伝送を、並列バスPBのm番目の物理接続から並列バスPBのm’番目の物理接続にずらすことを含み、m番目の物理接続は、ローテーションが行われなかった場合に並列データフローを搬送することになる物理接続であり、m’は以下の等式:
m’=[1+((m−1)+(N+1)−(k+Ф)mod(N+1))mod(N+1)] [2]
で与えられ、ただし、等式1に関して先に述べたように「(x)mod(y)」は、(x)割る(y)の剰余を示し、一方でФは、閉区間[0,N]内の値をとる固定位相偏移である。
【0057】
次いで、ローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52が、例えば電気送信機や光送信機など、N+1個の適切な送信モジュール(図1には不図示)により、並列バスPBを介して第2の通信装置CD2に伝送される。本発明の特に有利な改変形態によれば、ローテートされた各並列データフローPF12、PF22、...、PF52のコンテンツ(整列ワードAWを除く)が、並列バスPB上で伝送される前にスクランブルされる。このようにスクランブルすることは、ローテートされた各並列データフローPF12、PF22、...、PF52から、整列ワードAWのコンテンツを複製する可能性があるパターンを有利に除去することを可能にする。そのようなパターンを除去することにより、受信機RX2が、受信するローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52を間違った方法で整列させることを有利に防ぐ。さらに、スクランブリングのおかげで、ローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52のそれぞれにおける信号遷移数が増え、クロック再生を促進する。好ましくは、ローテートされた各並列データフローPF12、PF22、...、PF52が、他のローテートされた並列データフローとは独立にスクランブルされる。さらに、好ましくは、各フレーム周期TFにおいてスクランブリングシード(scrambling seed)が再ロードされる。こうすることにより、誤差の伝播を有利に回避できるようにする。
【0058】
並列バスPB上で伝播された後は図1にPF13、PF23、...、PF53として示す、ローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52が、適切なN+1個の受信モジュール(図1には不図示)により第2の通信装置CD2において受信されると、それらのローテートされた並列データフローは、例えば並列バスPBの5つの物理接続PC1、PC2、...、PC5の長さが異なることが原因でスキューの影響を受けている可能性がある。この状況を図3aに示す。具体的には、図3aは、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53のフレーム周期TF−PC1、TF−PC2、...、TF−PC5が互いに時間的にずれていることを示す。
【0059】
ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53が第2の通信装置CD2において受信されると、それらの並列データフローは、受信機RX2の整列器AL1、AL2、...AL5によってまず処理される。
【0060】
具体的には、好ましくは、整列器に関連するクロック再生手段(簡潔にするために図1には不図示)が、ローテートされた各並列データフローPF13、PF23、...、PF53ごとにタイミング情報を再生する。
【0061】
さらに、各整列器AL1、AL2、...、AL5が、好ましくは(図1に点線で示す)内部参照時間基準IRTB、すなわち図3aの時間軸上に示す一連の内部参照時点t’0、t’1、...t’7を遅延補償器DCから受信する。好ましくは、この内部参照時点t’0、t’1、...t’7は、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53のうちの1つによって搬送されるセグメントの範囲を定める時点である。例として図3aでは、内部参照時点t’0、t’1、...t’7は、第3のローテートされた並列データフローPF33によって搬送されるセグメントの範囲を定める時点であると仮定している。したがって、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53間の整列が欠如していると、内部参照時間基準IRTBに対して、すなわち第3のローテートされた並列データフローPF23に対して、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、PF43、およびPF53を異なるように時間的にずらすことになる。
【0062】
好ましくは、ローテートされたそれぞれの並列データフローPF13、PF23、...、PF53のフレームを受信次第、各整列器AL1、AL2、...、AL5が、フレーム周期TF−PC1、TF−PC2、...、TF−PC5と内部参照時間基準IRTBとの間の時間的ずれを測定し、そのような時間的ずれを示す情報を運ぶ整列情報AI−PC1、AI−PC2、...、AI−PC5を生成する。好ましくは、整列器AL1、AL2、...、AL5は「ルックアサイド」ブロックであり、すなわちこれらの整列器は並列データフローPF13、PF23、...、PF53を変更しない。
【0063】
好ましくは、送信側においてスクランブリング操作が実行される場合、整列器によって処理された後、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、PF43、およびPF53に対して逆スクランブリング操作が実行される。具体的には、スクランブリング操作が各物理接続上で独立に実行される場合、遅延補償器DCによって処理される前に逆スクランブリング操作が好ましくは実行される。さもなければ、遅延補償器DCによって処理された後に逆スクランブリング操作が好ましくは実行される。
【0064】
好ましくは、遅延補償器DCは、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53を受信し、上記に述べた内部参照時間基準IRTBを生成し、そのIRTBを整列器AL1、AL2、...、AL5に伝送する。次いで、好ましくは遅延補償器DCは、内部参照時間基準IRTBに対するローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53の時間的ずれを示す、整列器AL1、AL2、...、AL5から受信した整列情報AI−PC1、AI−PC2、...、AI−PC5を読み取る。好ましくは、これらの整列情報AI−PC1、AI−PC2、...、AI−PC5に従い、遅延補償器DCが外部参照時間基準ERTB、すなわち図3bの時間軸上に示す一連の外部参照時点t”0、t”1、...t”7を生成する。好ましくは、この外部参照時間基準ERTBは、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53のうちの最も遅延された並列データフローに基づく。よって、外部参照時点t”0、t”1、...t”7は、内部参照時間基準IRTBに対して最も高い遅延を有するローテートされた並列データフローによって搬送されるセグメントの範囲を定める時点である。例として、図3aおよび図3bでは、第2のローテートされた並列データフローPF23が、内部参照時間基準IRTBに対して最も高い遅延を有する並列データフローであると仮定している。よって、外部参照時点t”0、t”1、...t”7は、第2のローテートされた並列データフローPF23によって搬送されるセグメントの範囲を定める時点として設定される。
【0065】
次いで、遅延補償器DCは、外部参照時間基準ERTB、すなわち最も遅延されローテートされた並列データフロー(つまりこの例では第2のローテートされた並列データフローPF23)に対し、ローテートされた全ての並列データフローPF13、PF23、...、PF53を整列させるために、整列情報AI−PC1、AI−PC2、...、AI−PC5を使用する。
【0066】
このように整列情報を使用することは、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53間の整列を受信機RX2において有利に再生し、そうしてスキューを補償できるようにする。図4aに、遅延補償器DCによって処理された後の、整列された並列データフローPF14、PF24、...、PF54を示す。
【0067】
次いで、遅延補償器DCは、外部参照時間基準ERTBをデローテータDRに転送する。
【0068】
遅延補償器DCによって補償可能な最大相対的スキューは、フレーム周期の半分、すなわち(N+1)T/2に等しいことに気付くことができる。言い換えれば、遅延補償器DCは、並列データフロー間の最も大きい相対的な時間のずれが(N+1)T/2を下回る場合、ローテートされた並列データフローを再整列させることに成功することができる。したがって図面の例では、補償可能な最大スキューMSは2.5Tである。
【0069】
例えば、通信システムCSが250バイトの最大スキューを許容する応用例に使用される場合、集合信号を搬送し、受信側において整列を行うために並列バスPBのN+1=5個の物理接続を使用することにより、周期Tは少なくとも100バイトになり、すなわち整列ワード生成器AW−Gは、100バイトごとに第5の並列データフローPF51上に整列ワードAWを挿入すべきである。事実、このようにして、ローテートされた並列データフローのフレーム周期TFは、(N+1)×T=500バイト、すなわち最大許容可能スキューの2倍である。
【0070】
他方では、通信システムCSが500バイトの最大スキューを許容する応用例に使用される場合、集合信号を搬送し、受信側において整列を行うために、ここでも並列バスPBのN+1=5個の物理接続を使用することにより、周期Tは少なくとも200バイトになる。事実、このようにして、ローテートされた並列データフローのフレーム周期TFは、(N+1)×T=1000バイト、すなわち最大許容可能スキューの2倍である。
【0071】
(N+1)T/2は、最大スキュー補償能力および最大スキュー検出能力の両方であることに留意しなければならない。事実、特定の応用例では、実行可能な最大スキューよりも少ない量しか補償しない一方で、実行可能な最大スキューを検出する必要がある場合がある。そのような場合、遅延補償器DCは、バッファであって、そのサイズが補償されるスキューの最大量に好ましくは等しくかつ最大スキュー検出能力と比べて小さい、バッファを含む。ただし、図面に示す例では、検出可能な全てのスキューが補償されると仮定する。
【0072】
図4aに示す、整列された並列データフローPF14、PF24、...、PF54が、その後デローテータDRに転送される。
【0073】
本発明の好ましい実施形態によれば、各外部参照時点t”k(すなわちt”0、t”1、...、t”7)において、デローテータDRは、ローテータRによって行われたローテーションとは反対のローテーション方向で、整列された5つの並列データフローPF14、PF24、...、PF54のさらなるローテーションを好ましくは行う。
【0074】
好ましくは、そのさらなるローテーションは、外部参照時点t”kにおいて、ローテートされた各並列データフローの伝送を、並列バスPBのm’番目の物理接続から並列バスPBのm”番目の物理接続にずらすことを含む。m’番目の物理接続は、ローテートされた並列データフローがそこから受信される物理接続であり、m”は以下の等式:
m”=[1+((m’−1)+(N+1)−(k+Ф’)mod(N+1))mod(N+1)] [3]
で与えられ、ただし、先に述べたように「(x)mod(y)」は、(x)割る(y)の剰余を示し、Ф’は、閉区間[0,N]内の値をとるさらなる固定位相偏移である。好ましくは、さらなる固定位相偏移Ф’は、ローテータRによって行われるローテーション操作について記載した等式1の固定位相偏移Фと同じ値に設定される。よってこの例では、さらなる固定位相偏移Ф’は1に等しい。
【0075】
したがって、ローテータRが時計回りローテーションを行うのに対し、デローテータDRは、反時計回りローテーションを好ましくは行う。
【0076】
図1ではN=4と仮定しているので、m”は以下の等式:
m”=[1+((m’−1)+(5)−(k+1)mod(5))mod(5)] [3’]
で与えられる。
【0077】
次いで、外部参照時点t”0において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR0(k=0)を好ましくは行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(1)mod(5))mod(5)]であり、すなわち:
− m’=1→m”=5、すなわち第1の物理接続PC1から受信される整列された並列データフローが、第5の物理接続PC5にずらされ、
− m’=2→m”=1、すなわち第2の物理接続PC2から受信される整列された並列データフローが、第1の物理接続PC1にずらされ、
− m’=3→m”=2、すなわち第3の物理接続PC3から受信される整列された並列データフローが、第2の物理接続PC2にずらされ、
− m’=4→m”=3、すなわち第4の物理接続PC4から受信される整列された並列データフローが、第3の物理接続PC3にずらされ、
− m’=5→m”=4、すなわち第5の物理接続PC5から受信される整列された並列データフローが、第4の物理接続PC4にずらされる。
【0078】
したがって図4bに示すように、t”0とt”1との間で、第2の整列された並列データフローPF24のセグメントA1が、第1の物理接続PC1を介して伝送され、第3の整列された並列データフローPF34のセグメントB1が、第2の物理接続PC2を介して伝送され、第4の整列された並列データフローPF44のセグメントC1が、第3の物理接続PC3を介して伝送され、第5の整列された並列データフローPF54のセグメントD1が、第4の物理接続PC4を介して伝送され、第1のローテートされた並列データフローPF12の、整列ワードAWおよび空きビットを有するフレームが、第5の物理接続PC5を介して伝送される。
【0079】
このさらなるローテーションは、他の外部参照時点t”1、t”2、...t’7においても繰り返され、すなわち:
− 外部参照時点t’1において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR1(k=1)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(2)mod(5))mod(5)]であり、
− 外部参照時点t’2において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR2(k=2)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(3)mod(5))mod(5)]であり、
− 外部参照時点t’3において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR3(k=3)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(4)mod(5))mod(5)]であり、
− 外部参照時点t’4において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR4(k=4)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(5)mod(5))mod(5)]=m’(すなわち、さらなるローテーションDR4はゼロのローテーション)であり、
− 外部参照時点t’5において、デローテータDRは、整列された各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR5(k=5)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(6)mod(5))mod(5)]、すなわち、m”=[1+((m’−1)+(5)−(1)mod(5))mod(5)](つまりさらなるローテーションDR5は、さらなるローテーションDR0と同じ)であり、
− 外部参照時点t’6において、デローテータDRは、ローテートされた各並列データフローをm’番目の物理接続からm”番目の物理接続にずらす、さらなるローテーションDR6(k=6)を行い、m”=[1+((m’−1)+(5)−(7)mod(5))mod(5)]、すなわちm”=[1+((m’−1)+(5)−(2)mod(5))mod(5)](つまりさらなるローテーションDR6は、さらなるローテーションDR1と同じ)である。
【0080】
デローテータDRは、好ましくは図4bには不図示の次に続く各外部参照時点において上記のさらなるローテーションを繰り返し、それによりデローテータDRの出力のそれぞれにおいて、デローテートされたそれぞれの並列データフローPF15、PF25、...、PF55を出力する。
【0081】
好ましくは、ローテータRにおいて反時計回りローテーションが行われる場合、デローテータDRは時計回りローテーションを行う。この場合、外部参照時間基準ERTBの時点tk”において、デローテータDRは、整列された各並列データフローの伝送を、並列バスPBのm’番目の物理接続から並列バスPBのm”番目の物理接続にずらし、m’番目の物理接続は、デローテーションが行われなかった場合に並列データフローを搬送することになる物理接続であり、m”は以下の等式:
m”=[1+((m−1)+((k+Ф’)mod(N+1))mod(N+1)] [4]
で与えられ、ただし、この場合もやはり「(x)mod(y)」は、(x)割る(y)の剰余を示し、Ф’は、さらなる固定位相ローテーションである。
【0082】
図4bを再び参照することにより、デローテータDRによって出力されるデローテートされた並列データフローPF15、PF25、PF35、およびPF45は、送信機TX1において逆多重化装置によって出力される並列データフローPF11、PF21、PF31、およびPF41に一致することに気付くことができよう。その一方で、第5のデローテートされた並列データフローPF55は、送信機TX1から生じる第5の並列データフローPF51に一致する。
【0083】
第5の並列データフローPF51が整列目的でのみ使用される場合、第5のデローテートされた並列データフローPF55は、デローテータDRの出力において好ましくは破棄される。さもなければ、第5の並列データフローPF51内に含まれる空きビットが他の目的(例えば上記に述べたようにFEC)で使用される場合、第5のデローテートされた並列データフローPF55は、それを処理するさらなるモジュール(図1には不図示)に転送されてよい。
【0084】
次いで、デローテートされた並列データフローPF15、PF25、PF35、およびPF45が多重化装置Mに転送され、この多重化装置Mは、時分割多重化操作を行うことにより、第1の通信装置CD1によって受信された集合データフローAF1に一致する集合データフローAF2を再生する。その後、第2の通信装置CD2は、多重化装置の出力に接続される第2のシリアル接続SC2を介してその集合データフローAF2を伝送することができる。
【0085】
スキューを補償するための上記に開示した方法には、いくつかの利点がある。
【0086】
まず初めに、有利には、上記の方法は、集合信号がフレーム指示整列ワードおよびフレーム周期に基づかないので、集合フローを任意数の並列データフロー上にマッピングできるようにする。
【0087】
それに加え、有利には、受信機において並列データフローを整列させることは、あらかじめ定められたコンテンツを有する整列ワードに都合よく基づく。したがって、整列ワードのコンテンツを適切に選択することにより、伝送しようとする集合データフロー内に含まれるデータとは無関係に、各並列データフローを整列させることが各フレームにおいて成功裏に行われる。このことは、整列における最大遅延が数フレーム周期TF程度、すなわちいくつかの(a few)(N+1)×Tであることを有利に保証する。この時間は決定論的であり、したがって整列を行う際の予測不能な遅延が回避される。
【0088】
さらに、整列ワード生成器AW−Gによって生成される並列データフローPF51、および周期Tは、整列しようとする並列データフローの数に依存しないので、有利にはこの方法は任意の数の並列データフローに適用することができる。例えば、並列データフローの数が4の代わりに8である場合(すなわちN=8)、(実際には第9の並列データフローである)並列データフローPF51およびローテーションはいずれも、図2aおよび図2bを参照することによって説明したものと有利に同一である。唯一の違いは、(N+1)×Tに等しいフレーム周期TFが、5Tの代わりに今度は9Tになることである。フレーム周期TFが9Tになることは、一方で、いくつかの(N+1)×T、すなわちいくつかの9Tに等しい、並列データフローの整列を再生する際の最大遅延を増加させる。他方では、フレーム周期TFが9Tになることは、(N+1)×T/2=4.5×Tに等しい、補償可能な最大スキューMSを増加させる。したがってこの方法は、整列手順に関与するコンポーネントに対する実質的にどんな修正も必要とすることなく、並列バス上で伝送すべき集合信号の容量が変化し、それに応じてその集合信号を搬送するのに使用される物理接続の数も変化する通信システムに有利に適用することができる。
【0089】
さらに、上記に述べたように、送信機において整列ワード生成器によって生成される第5の並列データフローPF51は、FECなど、整列以外の目的で使用可能ないくつかの空きビットを有する。
【0090】
この場合、送信機TX1は、ローテータRの入力においてFECモジュール(図面には不図示)を備えることができる。そのFECモジュールが5つの並列データフローPF11、PF21、...、PF51を受信すると、そのFECモジュールは好ましくはFECコードを計算する。このFECコードは様々な方法で計算することができる。例えば、FECコードは、同じ並列データフローの連続したセグメントについて計算することができ、または5つの並列データフローの対応するセグメントについて計算することができる。図2aを再び参照することにより、例えば第1のFECコードは、セグメントA1、B1、C1、およびD1について計算することができ、t0で始まる整列ワードAWの後に続く空きビットの中に挿入することができる。同様に、第2のFECコードは、セグメントA2、B2、C2、およびD2について計算することができ、t1で始まる整列ワードAWの後に続く空きビットの中に挿入することができる。その後も同様である。FECモジュールがFECコードを計算した後、並列データフローPF11、PF21、...、PF51がローテータRによってローテートされ(かつ上記に述べたように、ことによるとスクランブルされ)、その後、結果として生じるローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52が並列バスBPを介して伝送される。受信機RX2において、それらの並列データフローが整列器AL1、AL2、...AL5および遅延補償器DCによって整列され、デローテータDRによってデローテートされ、そうしてデローテートされた並列データフローPF15、PF25、...、PF55が得られる。
【0091】
デローテータDRの出力において、さらなる逆FECモジュール(図面には不図示)が好ましくは設けられる。そのようなさらなる逆FECモジュールは、デローテートされた並列データフローPF15、PF25、PF35、およびPF45内に含まれるセグメントの起こり得る誤りを訂正するために、第5のデローテートされた並列データフローPF55内に含まれる逆FECコードを好ましくは使用する。次いで、訂正されかつデローテートされた並列データフローPF15、PF25、PF35、およびPF45が多重化装置Mに転送され、この多重化装置Mは集合データフローAF2を再生する。
【0092】
あるいは、またはそれに加え、第5の並列データフローPF51の空きビットは、並列フロー識別子を挿入するために使用することができる。具体的には、図2aおよび図2bを再び参照することにより、t0で始まる整列ワードAWの後に識別子PF12−idを挿入することができ、t1で始まる整列ワードAWの後に識別子PF22−idを挿入することができ、t2で始まる整列ワードAWの後に識別子PF32−idを挿入することができ、t3で始まる整列ワードAWの後に識別子PF42−idを挿入することができ、t4で始まる整列ワードAWの後に識別子PF52−idを挿入することができる。したがって、ローテータRによって行われるローテーションの後、ローテートされた並列データフローPF12、PF22、...、PF52のそれぞれが、全てのフレームの整列ワードAWの後に位置する各々の識別子PF12−id、PF22−id、...、PF52−idを含む。受信機RX2において、認識モジュール(図面には不図示)を例えば遅延補償器DCブロックの直前に設けることができる。そのような認識モジュールは、(再生された識別子も好ましくは含む)全ての整列情報AI−PC1、AI−PC2、...、AIPC5を傍受し、実際の並列データフローに対するそれらの整列情報の整合性を検査する。この認識モジュールは、例えば一方がローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53用、もう一方がALINF信号用の、サイズ(N+1)×(N+1)の2つのクロスバ機能(crossbar function)によって実装することができる。
【0093】
これにより、ローテートされた並列データフローPF13、PF23、...、PF53が、送信機TX1において有していたのと同じ順序で受信機RX2において受信されたかどうかを検査すること、および起こり得るあらゆる反転(inversion)を考慮に入れるために、その並列データフローを遅延補償器DCに正しく供給することが有利に可能になる。
【0094】
実際に、第1の通信装置CD1から第2の通信装置CD2に並列バスPBの物理接続をつなぐ責任を負う事業者が、それらの物理接続を間違った順序によってつなぐ(例えばその事業者が第2の通信装置CD2において、第2の物理接続PC2および第3の物理接続PC3を反転させる)場合、図6aおよび図6bに示す従来技術の解決策によれば、第2の通信装置CD2はこの反転に気付くことができない。このことは、第2のさらなる並列データフローPF22および/または第3のさらなる並列データフローPF32の間違った整列を不都合にもたらす可能性がある。しかし、並列データフローの識別子を挿入するために各整列ワードAWの後に続く空きビットを使用することにより、第2の通信装置CD2は、起こり得るあらゆる反転を検出し、遅延補償器DCより前に正しい状況を再生することができる。
【0095】
第5の並列データフローPF52内の空きビットの他の可能な使用法は、例えばDC結合のための記号の挿入、クロック再生を保証するための遷移1−0の生成、または並列バスの利用可能帯域幅の増加(すなわち伝送しようとするデータの一部分を搬送すること)であり得る。(図2aの並列データフローPF51に関して)2つの連続した整列ワードAW間に十分な数の空きビットが与えられる場合、そのような空きビットは、上記の目的のうちの複数のために有利に使用することができる。
【0096】
上記に述べたように、遅延補償器DCによって補償可能な最大スキューは、フレーム周期TFの半分、すなわち(N+1)T/2に等しい。有利には、周期Tを増やすことなく補償可能な最大スキューを増やすために、整列ワードAWの後に続く空きビットを使用することができる。実際には、周期Tを任意に増やすことはできない。周期Tを増やすことは、2つの連続した整列ワードAWを受信する間の経過時間が増えることが原因で、事実上、整列器を変更することが必要になる。周期Tを変えることによって暗に示されるもう1つの欠点は、選択されるT周期に対するFEC(使用される場合)の適合性である。例えば、第1の周期Tが、利用可能なFECに対して適合性があると選ばれ、次いでスキュー補償能力を高めるために第2のフレーム周期T’>Tが選択される場合(例えばT’=1.5×T)、FECはもはや新たなフレーム周期T’とは適合性がない。
【0097】
図5aに示すように、この欠点は、スーパーフレーム内でM個のTFフレームをグループ化することによって克服することができる。グループ化は、例えば第5の並列データフローPF51内の各整列ワードAWの後に、フレーム識別子を挿入することによって行うことができる。そのフレーム識別子は、例えば「super−frame index.PF−id」の形式をなすことができる、PF−idインデックスおよびスーパーフレームインデックスを好ましくは有し、PF−idインデックスはマルチフレームには厳密には必要ないが、記載の様々な特徴をどのように組み合わせることができるのかを単に示すために説明の中で使用する。例えばN=4かつM=2の場合、インデックスは、第1のスーパーフレームについては1.1から1.5であり、第2のスーパーフレームについては2.1から2.5である。したがって、スーパーフレームの周期TF’は、M×(N+1)×Tに等しい。よって、補償可能な最大スキューMS’は、ここではスーパーフレームの周期TF’の半分、すなわちM×(N+1)×T/2に等しい。そのような最大スキューMS’が図5bに示され、N=4かつM=2では5×Tに等しい。したがって、周期Tを変えることなく、補償可能な最大スキューが2.5Tから5Tに増加する。
【0098】
それに対応し、図2aおよび図2bに示す実施形態により使用される周期の半分である周期Tを使用することにより、同じ最大スキューを補償することができる。例えば、通信システムSCによって許容される最大スキューが500バイトである場合、N=1かつM=2では、許容される最小周期TはT=100バイトである。上記に説明したように、スーパーフレームが使用されない場合、500バイトの最大スキューは少なくとも200バイトの周期Tを必要とする。
【0099】
したがって、スーパーフレームを使用する後者の実施形態は、最大スキュー再生能力の点から見た要件から、周期Tの選択を有利に切り離せるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信装置(CD1)から第2の通信装置(CD2)に、並列バス(BP)上で数Nの並列データフロー(PF11、...PF41)を伝送する方法であって、前記第1の通信装置(CD1)において、
a)ある周期(T)で周期的に分配される複数の整列ワード(AW)を含む、さらなる並列データフロー(PF51)を生成するステップと、
b)各周期(T)において、前記数Nの並列データフロー(PF11、...、PF41)および前記さらなる並列データフロー(PF51)をローテートさせ、そうしてさらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)を生成するステップであって、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)のそれぞれが、フレーム周期((N+1)×T)で周期的に分配される前記複数の整列ワード(AW)の一部を含む、ステップと、
c)前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)を、前記並列バス(BP)のそれぞれの物理接続(PC1、...PC5)上で伝送するステップと
を含み、前記第2の通信装置(CD2)において、
d)前記複数の整列ワード(AW)の前記一部を使用することにより、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF13、...PF53)のそれぞれを整列させ、そうしてスキューを補償し、さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)を得るステップと、
e)各周期(T)において、前記さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)をデローテートさせ、そうして前記数Nの並列データフロー(PF11、...PF41)に対応する数Nのデローテートされた並列データフロー(PF15、...PF45)を生成するステップと
をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記ステップb)が、前記さらなる並列データフロー(PF51)の複数の整列ワード(AW)のうちの1つが始まる時点tkごとに、前記数Nの並列データフロー(PF11、...、PF41)および前記さらなる並列データフロー(PF51)をローテートさせるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップb)が、時点tkごとに、前記数Nの並列データフロー(PF11、...、PF41)の各並列データフローおよび前記さらなる並列データフロー(PF51)の伝送を、前記並列バス(PB)のm番目の物理接続から前記並列バス(PB)のm’番目の物理接続にずらすステップを含み、
前記m番目の物理接続は、ローテーションが行われなかった場合に前記各並列データフローを搬送する物理接続であり、
m’は以下の等式:
m’=[1+((m−1)+(k+Ф)mod(N+1))mod(N+1)]
で与えられ、Фは0から前記数Nに及ぶ固定位相偏移である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップd)が、
前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF13、...PF53)の中から、ローテートされた並列データフロー(PF33)を選択するステップと、
前記選択されローテートされた並列データフロー(PF33)によって搬送されるセグメントの範囲を定める内部参照時点(t’0、t’1、...t’7)を含む、内部参照時間基準(IRBT)を生成するステップと、
前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF13、...PF53)のそれぞれについて、前記内部参照時間基準(IRBT)に対する時間的ずれを示す整列情報(AI−PC1、...、AI−PC5)を生成するステップと、
前記整列情報(AI−PC1、...、AI−PC5)に従い、ローテートされた各並列データフローを、前記選択されローテートされた並列データフロー(PF33)に対して整列させるステップと
を含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ステップd)が、
前記整列情報(AI−PC1、...、AI−PC5)に従い、前記ローテートされた並列データフロー(PF13、...PF53)の中から、最も遅延されローテートされた並列データフロー(PF23)を選択するステップと、
前記最も遅延されローテートされた並列データフロー(PF33)によって搬送されるセグメントの範囲を定める外部参照時点(t”0、t”1、...t”7)を含む、外部参照時間基準(ERTB)を生成するステップと
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップe)が、前記外部参照時点(t”0、t”1、...t”7)のそれぞれにおいて、前記さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)をデローテートさせるステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップe)が、前記外部参照時点(t”0、t”1、...t”7)のそれぞれにおいて、前記さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)のうちの、整列された各並列データフローの伝送を、前記並列バス(PB)のm’番目の物理接続から前記並列バス(PB)のm”番目の物理接続にずらすステップを含み、
前記m’番目の物理接続は、前記整列された各並列データフローがそこから受信される物理接続であり、
m”は以下の等式:
m”=[1+((m’−1)+(N+1)−(k+Ф’)mod(N+1))mod(N+1)]
で与えられ、Ф’は0から前記数Nに及ぶさらなる固定位相偏移である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記ステップb)と前記ステップc)との間に、前記整列ワード(AW)を除き、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...、PF52)のコンテンツをスクランブルするステップをさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記ステップd)と前記ステップe)との間に、前記整列ワード(AW)を除き、前記整列されたデータフロー(PF13、...PF53)のコンテンツを逆スクランブルするステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記整列ワード(AW)が前記周期Tよりも短い持続時間を有し、そのため前記さらなる並列データフロー(PF51)は、連続した整列ワード(AW)の間に空きビットを含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ステップa)が、以下の目的:誤りの訂正、前記並列フローの識別子の挿入、DC結合のための記号の挿入、クロック再生を促進するための遷移の生成、前記並列バス(PB)の利用可能帯域幅の増加のうちの1つまたは複数のために前記空きビットを使用するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップa)が、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)のそれぞれを、前記ステップb)が実行された後に識別するのに適したフレーム識別子を、前記複数の整列ワード(AW)のそれぞれの後の前記空きビット内に挿入するステップを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項13】
第1の通信装置(CD1)、並列バス(BP)、および第2の通信装置(CD2)を含む通信システム(CS)であって、前記第1の通信装置(CD1)は、数Nの並列データフロー(PF11、...PF41)を前記並列バス(BP)上で前記第2の通信装置(CD2)に伝送するように構成されており、前記第1の通信装置(CD1)が、
ある周期(T)で周期的に分配される複数の整列ワード(AW)を含む、さらなる並列データフロー(PF51)を生成するように構成された整列ワード生成器(AWG)と、
各周期(T)において、前記数Nの並列データフロー(PF11、...、PF41)および前記さらなる並列データフロー(PF51)をローテートさせ、そうしてさらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)を生成するように構成されたローテータ(R)であって、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)のそれぞれが、フレーム周期((N+1)×T)で周期的に分配される前記複数の整列ワード(AW)の一部を含む、ローテータ(R)と
を備え、前記第2の通信装置(CD2)が、
前記複数の整列ワード(AW)の前記一部を使用することにより、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF13、...PF53)のそれぞれを整列させ、そうしてスキューを補償し、前記さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)を得るように構成されたさらなる数N+1の整列器(AL1、...AL5)と、
各周期(T)において、前記さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)をデローテートさせ、そうして前記数Nの並列データフローに対応する前記数Nのデローテートされた並列データフロー(PF15、...PF45)を生成するように構成されたデローテータ(DR)と
を備える、通信システム(CS)。
【請求項1】
第1の通信装置(CD1)から第2の通信装置(CD2)に、並列バス(BP)上で数Nの並列データフロー(PF11、...PF41)を伝送する方法であって、前記第1の通信装置(CD1)において、
a)ある周期(T)で周期的に分配される複数の整列ワード(AW)を含む、さらなる並列データフロー(PF51)を生成するステップと、
b)各周期(T)において、前記数Nの並列データフロー(PF11、...、PF41)および前記さらなる並列データフロー(PF51)をローテートさせ、そうしてさらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)を生成するステップであって、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)のそれぞれが、フレーム周期((N+1)×T)で周期的に分配される前記複数の整列ワード(AW)の一部を含む、ステップと、
c)前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)を、前記並列バス(BP)のそれぞれの物理接続(PC1、...PC5)上で伝送するステップと
を含み、前記第2の通信装置(CD2)において、
d)前記複数の整列ワード(AW)の前記一部を使用することにより、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF13、...PF53)のそれぞれを整列させ、そうしてスキューを補償し、さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)を得るステップと、
e)各周期(T)において、前記さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)をデローテートさせ、そうして前記数Nの並列データフロー(PF11、...PF41)に対応する数Nのデローテートされた並列データフロー(PF15、...PF45)を生成するステップと
をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記ステップb)が、前記さらなる並列データフロー(PF51)の複数の整列ワード(AW)のうちの1つが始まる時点tkごとに、前記数Nの並列データフロー(PF11、...、PF41)および前記さらなる並列データフロー(PF51)をローテートさせるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップb)が、時点tkごとに、前記数Nの並列データフロー(PF11、...、PF41)の各並列データフローおよび前記さらなる並列データフロー(PF51)の伝送を、前記並列バス(PB)のm番目の物理接続から前記並列バス(PB)のm’番目の物理接続にずらすステップを含み、
前記m番目の物理接続は、ローテーションが行われなかった場合に前記各並列データフローを搬送する物理接続であり、
m’は以下の等式:
m’=[1+((m−1)+(k+Ф)mod(N+1))mod(N+1)]
で与えられ、Фは0から前記数Nに及ぶ固定位相偏移である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップd)が、
前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF13、...PF53)の中から、ローテートされた並列データフロー(PF33)を選択するステップと、
前記選択されローテートされた並列データフロー(PF33)によって搬送されるセグメントの範囲を定める内部参照時点(t’0、t’1、...t’7)を含む、内部参照時間基準(IRBT)を生成するステップと、
前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF13、...PF53)のそれぞれについて、前記内部参照時間基準(IRBT)に対する時間的ずれを示す整列情報(AI−PC1、...、AI−PC5)を生成するステップと、
前記整列情報(AI−PC1、...、AI−PC5)に従い、ローテートされた各並列データフローを、前記選択されローテートされた並列データフロー(PF33)に対して整列させるステップと
を含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ステップd)が、
前記整列情報(AI−PC1、...、AI−PC5)に従い、前記ローテートされた並列データフロー(PF13、...PF53)の中から、最も遅延されローテートされた並列データフロー(PF23)を選択するステップと、
前記最も遅延されローテートされた並列データフロー(PF33)によって搬送されるセグメントの範囲を定める外部参照時点(t”0、t”1、...t”7)を含む、外部参照時間基準(ERTB)を生成するステップと
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップe)が、前記外部参照時点(t”0、t”1、...t”7)のそれぞれにおいて、前記さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)をデローテートさせるステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップe)が、前記外部参照時点(t”0、t”1、...t”7)のそれぞれにおいて、前記さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)のうちの、整列された各並列データフローの伝送を、前記並列バス(PB)のm’番目の物理接続から前記並列バス(PB)のm”番目の物理接続にずらすステップを含み、
前記m’番目の物理接続は、前記整列された各並列データフローがそこから受信される物理接続であり、
m”は以下の等式:
m”=[1+((m’−1)+(N+1)−(k+Ф’)mod(N+1))mod(N+1)]
で与えられ、Ф’は0から前記数Nに及ぶさらなる固定位相偏移である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記ステップb)と前記ステップc)との間に、前記整列ワード(AW)を除き、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...、PF52)のコンテンツをスクランブルするステップをさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記ステップd)と前記ステップe)との間に、前記整列ワード(AW)を除き、前記整列されたデータフロー(PF13、...PF53)のコンテンツを逆スクランブルするステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記整列ワード(AW)が前記周期Tよりも短い持続時間を有し、そのため前記さらなる並列データフロー(PF51)は、連続した整列ワード(AW)の間に空きビットを含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ステップa)が、以下の目的:誤りの訂正、前記並列フローの識別子の挿入、DC結合のための記号の挿入、クロック再生を促進するための遷移の生成、前記並列バス(PB)の利用可能帯域幅の増加のうちの1つまたは複数のために前記空きビットを使用するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップa)が、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)のそれぞれを、前記ステップb)が実行された後に識別するのに適したフレーム識別子を、前記複数の整列ワード(AW)のそれぞれの後の前記空きビット内に挿入するステップを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項13】
第1の通信装置(CD1)、並列バス(BP)、および第2の通信装置(CD2)を含む通信システム(CS)であって、前記第1の通信装置(CD1)は、数Nの並列データフロー(PF11、...PF41)を前記並列バス(BP)上で前記第2の通信装置(CD2)に伝送するように構成されており、前記第1の通信装置(CD1)が、
ある周期(T)で周期的に分配される複数の整列ワード(AW)を含む、さらなる並列データフロー(PF51)を生成するように構成された整列ワード生成器(AWG)と、
各周期(T)において、前記数Nの並列データフロー(PF11、...、PF41)および前記さらなる並列データフロー(PF51)をローテートさせ、そうしてさらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)を生成するように構成されたローテータ(R)であって、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF12、...PF52)のそれぞれが、フレーム周期((N+1)×T)で周期的に分配される前記複数の整列ワード(AW)の一部を含む、ローテータ(R)と
を備え、前記第2の通信装置(CD2)が、
前記複数の整列ワード(AW)の前記一部を使用することにより、前記さらなる数N+1のローテートされた並列データフロー(PF13、...PF53)のそれぞれを整列させ、そうしてスキューを補償し、前記さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)を得るように構成されたさらなる数N+1の整列器(AL1、...AL5)と、
各周期(T)において、前記さらなる数N+1の整列された並列データフロー(PF14、...PF54)をデローテートさせ、そうして前記数Nの並列データフローに対応する前記数Nのデローテートされた並列データフロー(PF15、...PF45)を生成するように構成されたデローテータ(DR)と
を備える、通信システム(CS)。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【公表番号】特表2012−514920(P2012−514920A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544825(P2011−544825)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066975
【国際公開番号】WO2010/079043
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066975
【国際公開番号】WO2010/079043
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】
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