説明

中和タンク

【課題】 中和剤の充填作業の際に、投入した中和剤がドレンの排出経路の側に入り込むことを確実に回避し得るようにした中和タンクを提供する。
【解決手段】 投入口7が上向きに開口することになるように、中和タンク1の全体を横向きに倒して中和剤充填姿勢にした状態で、投入口7と流出開口41とが、共に上向きに開口することになるように互いに位置設定する。これにより、充填時に中和剤同士が衝突して細かく砕けたとしても、その細片が流出開口の側に移動することを回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中和タンクに関し、詳しくは、燃焼排ガスから潜熱回収する際に発生する強酸性のドレンを中和処理するために用いられる中和タンクに関する。特に、内部に粒状又は塊状の中和剤が充填され、この中和剤との接触によりドレンを中和処理するように構成された中和タンクに係る。
【背景技術】
【0002】
近年、潜熱回収型燃焼装置が用いられるようになっている。この潜熱回収型燃焼装置は、主熱交換器において燃焼熱の顕熱により入水を加熱して給湯させる際に、潜熱回収用の熱交換器において燃焼排ガスが有する潜熱をもさらに回収することにより、熱利用の高効率化を図るようにしたものである。このような潜熱回収型燃焼装置においては、潜熱回収の際に燃焼排ガスが凝縮して強酸性のドレンが発生するため、このドレンの中和処理のために中和タンクが付設されている。そして、このような中和タンクにおいては、通常は内部に粒状又は塊状の中和剤が充填され、内部に流入させたドレンを中和剤と接触させながら流出部の側に流すことにより中和処理されるように構成されている。
【0003】
このような中和タンクとして、従来、出願人は、内部に中和剤を充填するために中和タンクの上面に複数の投入口を設けたものを提案している(例えば特許文献1参照)。このものでは、中和タンクの一側上部にドレンの流入口を開口させる一方、他側下部に中和処理済みのドレンを排出させる排出口を開口させ、ドレンが流入口から排出口までできるだけ長い距離を流れるように内部空間を区画壁で仕切って流路を形成している。すなわち、流入口から流入したドレンが上位置又は下位置で流れの向きを変えて上下方向に繰り返し流れるように流路を形成している。このように区画壁で内部空間の一部を仕切るようにしているため、その区画壁により区画される領域毎に中和剤を投入し得るように、対応する領域毎に、その領域の最上部位置に投入口を配置するようにしている。なお、流入口及び排出口は細幅に絞ったスリット状の開口により構成し、内部に投入された中和剤が通過することを阻止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−130422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の提案の中和タンクでは、投入口から投入した中和剤が特に排出口を通り抜けてしまうおそれがあり、使用開始後、早期に排出経路側において中和剤による詰まりが発生するおそれがある。そして、これを回避するために、中和剤の投入作業工程の最終に排水経路の側への中和剤の通り抜けをチェックし、通り抜けている場合にはそれを除去するという作業の追加を検討する必要がある。
【0006】
すなわち、中和タンクの内部は上記の如く流路形成用の区画壁により仕切られている部分があるため、中和剤の充填作業として、中和剤を投入口から単に投入するだけではなくて、所定量の投入毎に例えば振動や衝撃を加えることにより中和剤が隅々まで充填されるようにしている。このため、中和タンクの内部で中和剤同士が衝突を繰り返し、より小さいサイズの破片や粉状のものに砕け、砕けたものが下方に溜まる傾向となる。そして、このような下方に順次集まってくる破片や粉が、中和タンクの他側下部に配置されている排出口を通過してしまい、通過した破片や粉状の中和剤が排出経路の側に入り込んでしまう結果を招くと考えられる。
【0007】
これに対し、排出口の開口に対し例えばメッシュ状又はネット状のフィルタ部材を設置することも考えられるものの、中和タンクのような合成樹脂製の中空容器の成形に通常採用されるブロー成形法では内部に別体のフィルタ部材をインサートするのは不能もしは困難である上に、排出口に上記の如きフィルタ部材を設置すると、逆に詰まりが発生し易くなり、中和タンクにおいてはフィルタ部材を適用するという対策は採用し難い。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内部に中和剤を充填してドレンの中和処理を行う中和タンクにおいて、特に中和剤の充填作業(投入作業)の際に、投入した中和剤がドレンの排出経路の側に入り込むことを確実に回避し得るようにした中和タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、燃焼排ガスから潜熱を回収する際にその燃焼排ガスの凝縮により発生するドレンを、流入部から中和処理槽内に流入させて流出部から流出させる間に、中和処理槽内に充填された粒状又は塊状の中和剤と接触させて中和処理するように構成された中和タンクを対象にして次の特定事項を備えるようにした。すなわち、上記中和剤を中和処理槽内に投入するための投入口と、中和処理槽から中和処理済みのドレンを流出させる流出口とを備えるようにし、上記投入口と流出口とを、中和剤を投入して中和処理槽内に充填させるために投入口が上向きに開口することになる中和剤充填姿勢にした状態において、上記流出口も上記投入口と同様に上向きに開口することになるように互いに位置設定するようにした(請求項1)。
【0010】
この発明の場合、中和剤充填姿勢にした状態においては、投入口と流出口とが共に上向きに開口することになるため、投入口から中和剤を内部に投入し、充填度合を高めるために振動又は衝撃を加えることにより内部の中和剤同士が衝突して砕けることが生じたとしても、その砕けた破片や粉状のものは下側に移動して溜まり、上向きに開口する流出口の側に移動することはない。これにより、充填作業時に中和剤が流出部等の排出経路の側に入り込むことを確実に防止することが可能となる。
【0011】
上記発明においては、中和処理済みのドレンを外部に排出させる排出部と、上記流出口から上記流出部に流出されたドレンを上記排出部まで流すように流出部及び排出部を互いに接続する接続通路部とをさらに備え、上記流出部と上記排出部との間の中間位置の接続通路部に、ドレンを充満させて排出部側への気体の漏出を遮断するように構成した水封部を介装するようにすることができる(請求項2)。このようにすることにより、中和タンクへのドレンの流入に伴い燃焼排ガス等の気体が混入して流れてきたとしても、水封部によってその燃焼排ガス等の気体の排出経路の下流側への通過(漏出)を遮断することが可能になる。
【0012】
又、この際、上記接続通路部をUの字状に延びるように配置し、その中間位置である最下端部位により水封部を構成することができる(請求項3)。この場合、流出部から流れてきた中和処理済みのドレンが接続通路部を流れる間に上記最下端部位に充満することになるため、この最下端部位により水封部を構成することが可能となる。これにより、接続通路部によって水封部を兼ねることが可能となり、水封部を別途形成する必要もなくなる。
【0013】
さらに、上記接続通路部の最下端部位に連通して水抜き口を設けるようにすることができる(請求項4)。このようにすることにより、メンテナンス時等の水抜きを確実に実行し得ることになる。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、本発明の中和タンクによれば、中和剤充填姿勢にした状態においては、投入口と流出口とが共に上向きに開口することになるため、投入口から中和剤を内部に投入し、充填度合を高めるために振動又は衝撃を加えることにより内部の中和剤同士が衝突して砕けることが生じたとしても、その砕けた破片や粉状のものは下側に移動して溜まり、上向きに開口する流出口の側に移動することを回避することができる。これにより、充填作業時に中和剤が流出部等の排出経路の側に入り込むことを確実に防止することができ、後の詰まり発生を確実に回避することができる。
【0015】
特に、請求項2によれば、中和タンクへのドレンの流入に伴い燃焼排ガス等の気体が混入して流れてきたとしても、水封部の介装によってその燃焼排ガス等の気体の排出経路の下流側への漏出を遮断して阻止することができる。
【0016】
請求項3によれば、接続通路部の最下端部位によって水封部を兼用させることができるようになり、水封部を別途形成する必要を無くすことができる。
【0017】
請求項4によれば、メンテナンス時等の水抜きを確実に実行し得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の中和タンクの実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の中和タンクの断面説明図である。
【図3】本発明の中和タンクが付設される潜熱回収型燃焼装置の例を示す模式図である。
【図4】図4(a)は図2のA−A線における部分断面説明図であり、図4(b)は図2のB−B線における部分断面説明図である。なお、図2では図4(a)の流入開口を直線状に直して図示している。
【図5】図1の中和タンクに対し中和剤を投入して充填させる充填作業工程における状態を示す図2対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施形態に係る中和タンク1を示す。この中和タンク1は、容器本体部2、流入部3、流出部4、排出部5及び接続通路部6を備えた略密閉容器として構成され、これらが合成樹脂を用いたブロー成形法により一体に形成されたものである。なお、中和タンク1として図例では全体として縦長で扁平な形状を備えたものを示しているが、これは後述の潜熱回収型燃焼装置のハウジング11内の空き空間の形状に合わせて種々の形状を採用し得るものである。
【0021】
容器本体部2は、上下方向の略中央位置から下方の内部空間領域(例えば下側の略2/3の領域)がドレンを中和処理するための中和処理槽21として設定されたものであり、この中和処理槽21が中和タンク1として本来の機能を奏する主要部分である。そして、この中和処理槽21の上方に突出された上部空間領域(例えば上側の略1/3の領域)は、中和処理槽21での中和処理によって順次溶けて消失する中和剤を重力落下により補充するための補充用の中和剤Wを蓄えておくリザーブ空間22として設定されたものである。
【0022】
流入部3は上記中和処理槽21に対して一側(図面の右側)の上部位置に配設され、流出部4は他側(図面の左側)の上部位置に配設されている。そして、排出部5が流入部3に隣接して下側位置に配設され、接続通路部6が一側の流出部4から他側の排出部5まで容器本体部2の一側・下側・他側に沿ってUの字状に延びて、流出部4及び排出部5を互いに接続している。流出部4の上側位置には中和剤Wの投入口7が側方に開口して配置されている。つまり、流出部4と投入口7とは、共に容器本体部2に対し同じ側である一側位置に配設され、かつ、同じ向きである外側方(図2では左側方)に向けて開口されている。又、上記容器本体部2は投入口7で外部に向けて開口し、流入部3は流入口31で開口し、排出部5は排出口51で開口し、接続通路部6は所定位置に設けられた水抜き口61で開口している。
【0023】
以下、まず、中和タンク1が付設される潜熱回収型燃焼装置の例を図3に基づいて簡単に説明し、その後に、上記の中和タンク1についてさらに詳細に説明する。
図3は、潜熱回収型燃焼装置の例として、給湯機能のみの単機能タイプの給湯機に潜熱回収用の二次熱交換器13や中和タンク1を付設した例を示す。なお、潜熱回収型燃焼装置は、図3のものに限らず、給湯機能に加えて、温水循環式暖房機能、風呂追い焚き機能、風呂湯張り機能のいずれか1以上の機能を併有する複合熱源機型に構成されたものであってもよい。ここで、潜熱回収型とは、燃焼ガスからの顕熱回収に加え燃焼排ガスから潜熱の回収をも行うことにより高効率化を図るものであり、少なくとも潜熱回収用の二次熱交換器13を備えたものである。
【0024】
図3において、符号10はハウジング11内に収容された缶体であり、この缶体10内には顕熱回収用熱交換器としての一次熱交換器12と、潜熱回収用熱交換器としての二次熱交換器13と、これらに燃焼熱を与える燃焼加熱部14とが配設され、缶体2の下側には燃焼加熱部14に対し燃焼用空気を供給する送風ファン141が設けられている。加熱対象である水は二次熱交換器13に対し先に通水され、次いで一次熱交換器12に通水されるようになっている。この際に、燃焼加熱部14の燃焼作動により燃焼ガスが一次熱交換器12に流れ、この燃焼ガスからの顕熱回収により一次熱交換器12では水が所定の設定温度まで主加熱され、一次熱交換器12を通過した後に燃焼排ガスが二次熱交換器13に流れ、この燃焼排ガスからの潜熱回収により二次熱交換器13では一次熱交換器12での加熱前に予熱され、二次熱交換器13を通過した後の燃焼排ガスが排気筒101から外部に放出されるようになっている。
【0025】
すなわち、上記二次熱交換器13には、入水管151を通して水道管又は高架水槽からの水が入水され、二次熱交換器13で潜熱回収により予熱された水が一次熱交換器12に対し入水され、この一次熱交換器12において設定温度まで主加熱された湯が出湯管152を通して出湯され、この出湯が給湯配管153を通して台所や洗面所等の給湯栓15に給湯されるようになっている。なお、符号154は上記入水管151と出湯管152とを接続するバイパス管である。
【0026】
上記二次熱交換器13の下側位置にはドレンパン161が配設され、二次熱交換器13での潜熱回収の際に燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮することにより発生する強酸性のドレンをドレンパン161で受けて集水し、集水したドレンを導出管162により缶体10から導出して中和タンク1に対し流入させるようになっている。そして、中和タンク1内の中和剤により上記ドレンを中和処理した後に、排出管163を通して排出するようになっている。詳細には、中和タンク1の内部に中和剤が充填され、導出管162を通して缶体10から導出されたドレンが中和タンク1の流入口31から中和タンク1内に流入され、流入したドレンが下流端の流出口(図示省略)まで流される間に中和剤と接触することにより中和処理され、中和処理済みのドレンが排出口51から排出管163を通して外部等に排出又は供給されるようになっている。なお、符号164は、中和タンク内の水抜きを行うための水抜き管であり、この水抜き管164は常時は閉状態にされる一方、メンテナンス時等に開切換されて水抜き口61から水抜きが行われるようになっている。
【0027】
図2に戻り、中和タンク1をより詳細に説明すると、中和処理槽21やリザーブ空間22には、蓋71付きの投入口7から中和剤Wが後述の如く投入されて、内部に充満するように充填されている。又、中和処理槽21の内部には流入開口32から流出開口41までドレンを導いて流路を形成するための複数の区画壁211,212,213が形成され、これら複数の区画壁211,212,213により折返し上下方向に流れの向きを反転させて繰り返す流路が形成されている。
【0028】
流入部3は内部に中和剤Wを存在させずにドレンの流入空間としてのみの役割を果たすように、中和処理槽21とは互いに仕切られた状態で形成され、流入部3と中和処理槽21とは流入口であるスリット状の流入開口32(図4(a)も併せて参照)を通してのみ連通されている。この流入開口32は中和剤Wの粒度との関係で個々の中和剤Wよりも小さい幅であって中和剤Wが流入部3の側に溢れ出ることを阻止し得る程度の細幅Dに設定されている。なお、図4(a)に示す流入開口32はクランク状に屈曲しているが、これはブロー成形法を適用する上で偏肉発生を抑制するために成形型の割線に沿って配置したことに伴うものであり、流入開口32としての機能上の要求によるものではない。
【0029】
又、流入部3には水位検知手段33として一対の電極331,331(図1も参照)が付設されている。この水位検知手段33はドレンの水位上昇を検知することにより中和タンク1に詰まりが発生したことを検知するために付設されたものである。すなわち、中和タンク1に万一の不具合が発生して流出側(例えば流出開口41、接続通路部6又は排出口51の側)に詰まりが発生して貯湯処理槽21内のドレンの水位が通常水位MLから設定高水位HLまで上昇すると、この設定高水位HLのドレンを通して両電極331,331間に電流が流れることで、設定高水位HLまでの水位上昇を検知するようになっている。そして、この水位検知信号の出力を受けて、図外のコントローラにより警告報知や強制燃焼停止等の安全制御が実行されることになる。
【0030】
流出部4は、容器本体部2の他側位置にある接続通路部6の上端領域であって、流出開口41に臨んだ領域として形成されている。この流出開口41(図4(b)も併せて参照)も、上記の流入開口32と同様に、中和剤Wが流出部4及び接続通路部6の側に溢れ出ることを阻止し得る程度の細幅Dに設定されている。又、この流出開口41は上下方向に対し流入開口32と重複するよう同じレベル範囲に位置するように配置され、通常使用状態の場合に中和処理槽21内のドレンが通常水位MLに維持されるようにしている。
【0031】
接続通路部6は上流端が上記の流出部4であり、この流出部4と下流端の排出部5とを接続するように容器本体部2の中和処理槽21とは独立した通路空間として設けられたものである。特に、下流端の排出部5を、容器本体部2の下端位置ではなくて流入部3よりも下側であって容器本体部2の下端より上側位置に配置するようにし、これにより、接続通路部6を略Uの字状に配置している。つまり、流出開口41から流出した中和処理済みのドレンを容器本体部2の他側の側面位置から下向きに流し、容器本体部2の下側を流入部3のある一側まで横向きに流し、そして、排出部5まで上向きに流した後に排出口51に至るように通路空間(流路空間)が区画されて延ばされている。これにより、接続通路部6の上下流方向の中間位置において最下端部の通路空間を設け、この最下端部位の通路空間が中和処理槽21から流出してくる中和処理済みのドレンにより充満されるようにして、水封部8が構成されるようにしている。要するに、導出管162から燃焼排ガス等の気体がドレンの導出に伴い万一流れてきたとしても、この水封部8によってその燃焼排ガス等の気体の下流側への通過(漏出)を遮断することができるようになっている。従って、排出部5の配置は、流出部4の配置とは異なり、接続通路部6を上記の如き水封部8が形成されるように略Uの字状に延ばすことができるのであれば、容器本体部2に対し流入部3と同じ側に配置する必要はなく、他の位置に配置することもできる。そして、水抜きとしての機能を担保させるために、接続通路部5の最下端部位である水封部8に連通して水抜き口61を開口させ、この水抜き口61に対し水抜き管164を接続するようにしている。
【0032】
次に、図5を参照しつつ、容器本体部2の内部空間(中和処理槽21及びリザーブ空間22)に対する中和剤W(例えば炭酸カルシウム)の充填作業について説明する。中和剤Wの充填作業は中和タンク1を横向きに倒した状態(中和剤充填姿勢にした状態)、つまり投入口7が上向きに開口する状態にして行う。この状態では、投入口7と流出開口41とが共に上向きに臨んで開口した状態になる。この際に、投入口7と流出開口41とがほぼ同じレベル位置になるように互いの配置を設定することが好ましいが、これに限らず、流出開口41が投入口7よりも下位になるように配置したとしても上向きに開口していればよい。又、流出開口41が投入口7よりも上位になるように配置したとしてもよいが、あまり上位に配置すると中和剤Wの充填度の観点で好ましくない状況となる。
【0033】
投入する中和剤Wは予めフルイにかけて、流入開口32や流出開口41の細幅Dよりも大きい所定サイズ以上の粒度に粒度調整される。そして、蓋71及びパッキン72を外して投入口7を開け、上記の横向きに倒した状態を維持しつつ、この投入口7から粒度調整された中和剤Wを内部に投入する。所定量投入する度に中和タンク1を振る等して振動又は衝撃を加えて中和処理槽21やリザーブ空間22の隅々にまで行き渡るように充填する。この振動又は衝撃によって内部の中和剤W同士が衝突して砕けることが生じたとしても、その砕けた破片や粉状のものは下側、つまり充填作業を行う状態では流入部3の側に溜まり、上側位置にある流出開口41に移動することはなく、流出部4や接続通路部6等の流出経路の側に入り込むことを確実に防止することができる。流入部3の側に上記の破片等が溜まり、たとえ流入開口32から流入部3内に入り込んだとしても、充填作業完了時に流入口31から容易に排出させることができる上に、供用されてドレンが流入すれば、そのドレンとの接触により容易に溶解して消滅するため、不都合が発生することもない。
【0034】
中和剤Wが投入口7まで充填されれば、パッキン72及び蓋71を締めて投入口7を閉止する。以上で中和剤Wの充填作業が完了する。この充填作業の完了後の中和タンク1を図1又は図2に示すように本来の縦向き姿勢に戻し、図3に示すような潜熱回収型燃焼装置に装着される。
【0035】
供用が開始されて、導出管162を通して流入口31から流入部3内に流入したドレンは、流入開口32を通して中和処理槽21内に導入される。導入されたドレンは、中和処理槽21内に充填された中和剤Wの互いの隙間を通して矢印Y1,Y2,Y3,Y4,Y5(図2参照)の順に区画壁211,212,213により区画された流路に沿って流れ、流れる間に中和剤Wと接触して中和処理が進行することになる。そして、流路の下流端まで来ると、中和処理済みのドレンが流出開口41から流出部4内に流出し、接続通路部6を通して排出部5の排出口51まで流れ、この排出口51から排出管163を通して外部に排出されることになる。通常使用状態の場合、中和処理槽21に流入するドレンにより通常水位MLまでドレンが貯留され、流入部3への流入量に相当する量のドレンが流出開口41から流出される結果、中和処理槽21内は上記の通常水位MLのドレン貯留状態に維持される。中和処理槽21内ではドレンが最初に流入する流入開口32の側の中和剤Wの溶解度合が高く、より早期に溶解・減量することになる一方、流出開口41の側の中和剤Wは既に中和処理が進行した状態のドレンと接触することになるため、流入開口32の側に比して殆ど溶解することなく当初の状態を維持することになる。そして、流入開口32側において中和剤Wが溶解・減量するに従い、リザーブ空間22内の中和剤Wが重力落下により移動して中和剤Wが補充されることになり、この結果、中和タンク1による中和処理の寿命の長期化が図られることになる。
【0036】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、投入口7と流出開口41とを中和剤充填姿勢の状態で共に上向きに開口するように互いに位置設定しているが、図例のものに限らず、例えば緩やかな曲面に沿って投入口と流出開口とを配置して両者が斜め上向きに開口するように位置設定してもよい。又、投入口と流出開口とを中和剤充填姿勢において上下方向に多少の段差が生じるように互いに位置設定してもよいことや、これら投入口や流出開口を配置する容器本体2等の形状そのものは種々の形状を採用し得ることは、前述の通りである。
【0037】
上記実施形態では接続通路部6をUの字状に配置することにより、その最下端部位をもって水封部8を構成するようにしているが、これに限らず、接続通路部の配置の如何に拘わらず、流出部から排出部までの間に別途構成した水封部を介装させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 中和タンク
3 流入部
4 流出部
5 排出部
6 接続通路部
7 投入口
8 水封部
21 中和処理槽
41 流出開口(流出口)
61 水抜き口
W 中和剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスから潜熱を回収する際にその燃焼排ガスの凝縮により発生するドレンを、流入部から中和処理槽内に流入させて流出部から流出させる間に、中和処理槽内に充填された粒状又は塊状の中和剤と接触させて中和処理するように構成された中和タンクであって、
上記中和剤を中和処理槽内に投入するための投入口と、中和処理槽から中和処理済みのドレンを流出させる流出口とを備え、
上記投入口と流出口とは、中和剤を投入して中和処理槽内に充填させるために投入口が上向きに開口することになる中和剤充填姿勢にした状態において、上記流出口も上記投入口と同様に上向きに開口することになるように互いに位置設定されている
ことを特徴とする中和タンク。
【請求項2】
請求項1記載の中和タンクであって、
中和処理済みのドレンを外部に排出させる排出部と、上記流出口から上記流出部に流出されたドレンを上記排出部まで流すように流出部及び排出部を互いに接続する接続通路部とを備え、
上記接続通路部には、上記流出部と上記排出部との間の中間位置において、ドレンを充満させて排出部側への気体の漏出を遮断するように構成した水封部が介装されている、中和タンク。
【請求項3】
請求項2に記載の中和タンクであって、
上記接続通路部をUの字状に延びるように配置し、その中間位置である最下端部位により水封部が構成されている、中和タンク。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の中和タンクであって、
上記接続通路部の最下端部位に連通して水抜き口が設けられている、中和タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−47589(P2011−47589A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197145(P2009−197145)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)