説明

中和装置

【課題】 安定したボイラ排水の中和を行うことができる中和装置を実現する。
【解決手段】 複数台の蒸気ボイラ2,3,4から供給されるボイラ排ガスのボイラ排水への吸引混合手段としてエゼクタ17を備えた中和装置1であって、前記各蒸気ボイラ2,3,4から前記エゼクタ17へのボイラ排ガスの排ガス供給経路7,8,9ごとに、それぞれ排ガス安定供給バルブ11,12,13を設けたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アルカリ性のボイラ排水をボイラ排ガスにより中和する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給水を加熱して蒸気を発生させる蒸気ボイラ缶体内の缶水は、給水中に含まれている炭酸水素イオンや炭酸イオンが熱分解して水酸化物イオンが生成し、この水酸化物イオンの濃縮により次第にアルカリ性が強くなる。また、前記蒸気ボイラの運転を続けると、缶水が過度に濃縮してキャリーオーバーなどの不都合が生じるため、適正な缶水濃度を維持するように、定期的に所定割合の缶水を前記蒸気ボイラから排出する必要がある。この操作は、通常、濃縮ブローと呼ばれている。さらに、前記蒸気ボイラを所定時間稼働させた後には、前記缶体の底部に沈殿したいわゆる釜泥(スラッジ)を除去するため、缶水を全て排出しながら洗い流す必要がある。この操作は、通常、全ブローと呼ばれている。
【0003】
前記のような濃縮ブローや全ブローによるボイラ排水を放流する際には、条例などで定められた排水基準に適合するように、冷却や中和といった排水処理を行う必要がある。ボイラ排水の中和方法としては、たとえば塩酸等の酸性薬品をボイラ排水へ添加する方法があるが、この方法は、薬品の取扱いが危険である。一方、薬品を用いない中和方法としては、炭酸ガスをボイラ排水へ混合する方法があるが、この方法は、一般に炭酸ガスをボンベから供給するため、ボンベの残量確認や交換など管理が煩雑になりやすい。
【0004】
そこで、炭酸ガスをボンベから供給する代わりに、ボイラ排ガスに含まれる炭酸ガスを利用し、中和を行う中和装置が特許文献1に開示されている。この中和装置では、前記蒸気ボイラからのボイラ排ガスをポンプで吸引してボイラ排水へ混合している。
【特許文献1】特開2001−293484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、前記蒸気ボイラが複数台設置されている場合においては、常に全てが運転状態にあるとは限らない。前記各蒸気ボイラのうち、燃焼中と停止中のものが存在する場合、前記ポンプは、燃焼中の蒸気ボイラからは、ボイラ排ガスを吸引するものの、停止中の蒸気ボイラからは、ボイラ排ガスの代わりにエアを吸引する。このため、前記各蒸気ボイラの運転状態により、前記ポンプによって吸引されるボイラ排ガス中の炭酸ガス濃度が変動し、ボイラ排水の中和を安定して行うことが困難であった。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、安定したボイラ排水の中和を行うことができる中和装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、複数台のボイラから供給されるボイラ排ガスのボイラ排水への吸引混合手段を備えた中和装置であって、前記各ボイラから前記吸引混合手段へのボイラ排ガスの排ガス供給経路ごとに、それぞれ排ガス安定供給バルブを設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明では、前記各排ガス安定供給バルブの開閉を、前記各ボイラの運転状態に応じて行う。具体的には、前記排ガス安定供給バルブは、これらが設けられている前記各排ガス供給経路の接続元の前記各ボイラが燃焼中のとき、それぞれ開き、また停止中のとき、それぞれ閉じる。これにより、前記吸引混合手段は、燃焼中のボイラから供給されるボイラ排ガスのみを吸引し、このボイラ排ガスをボイラ排水へ混合する。一方、前記吸引混合手段は、停止中のボイラからはエアを吸引することはない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記各排ガス安定供給バルブは、対応する前記各ボイラのボイラ燃料供給バルブからの作動信号に基づいてそれぞれ作動することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明では、前記ボイラ燃料供給バルブを開状態とする作動信号のとき、前記排ガス安定供給バルブを開状態とし、また前記ボイラ燃料供給バルブを閉状態とする作動信号のとき、前記排ガス安定供給バルブを閉状態とする。これにより、前記吸引混合手段は、燃焼中のボイラからボイラ排ガスを吸引する一方で、停止中のボイラからはエアを吸引することはない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、前記吸引混合手段が停止中のボイラからエアを吸引することを抑制可能に構成しているので、ボイラ排水へ混合させるボイラ排ガス中の炭酸ガス濃度を安定化させることができる。この結果、安定したボイラ排水の中和を行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記各排ガス安定供給バルブを前記各ボイラの運転状況に合わせて作動させることができるので、ボイラ排水へ混合させるボイラ排ガス中の炭酸ガス濃度を安定化させることができる。この結果、安定したボイラ排水の中和を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明に係る中和装置を実施するための最良の形態を説明する。
この発明は、複数台の蒸気ボイラからのアルカリ性のボイラ排水,いわゆるブロー排水をボイラ排ガスに含まれる炭酸ガスにより中和する処理装置において好適に実施される。すなわち、前記各蒸気ボイラからのボイラ排水をボイラ排ガスに含まれる炭酸ガスで効率よく中和してpHを低下させ、排水基準に適合した処理水として排出するものである。
【0014】
具体的にこの実施形態における中和装置について説明する。この実施形態における中和装置は、複数台の蒸気ボイラからのボイラ排水が流れる排水経路と、ボイラ排水の中和剤に使用するボイラ排ガスの排ガス供給経路とを備えている。さらに、前記排水経路から供給されるボイラ排水を取り入れるとともに、前記排ガス供給経路から供給されるボイラ排ガスを吸引し、両者を混合する吸引混合手段を備えている。この吸引混合手段としては、たとえば二流体を吸引混合可能なポンプ,すなわちジェットポンプを使用することができる。また、さらに好適な吸引混合手段として、流体の流れによって発生させた負圧を利用して気体を吸引するとともに、液体と気体を混合して吐出する手段を使用することができ、このような吸引混合手段として、たとえばエゼクタやアスピレーターを挙げることができる。
【0015】
前記中和装置では、前記排水経路を流れるボイラ排水が前記吸引混合手段内に取り入れられる。そして、この吸引混合手段内において、前記排ガス供給経路から吸引されたボイラ排ガスがボイラ排水と混合される。この結果、ボイラ排ガスがボイラ排水に効率よく接触しながら溶解する。
【0016】
また、前記各蒸気ボイラから前記吸引混合手段へのボイラ排ガスの各排ガス供給経路には、それぞれ排ガス安定供給バルブが設けられている。
【0017】
前記各排ガス安定供給バルブは、前記各蒸気ボイラの運転状態に応じて開閉動作を行う。具体的には、前記各排ガス安定供給バルブは、これらが設けられている前記排ガス供給経路の接続元の前記蒸気ボイラが燃焼中のとき、それぞれ開き、また停止中のとき、それぞれ閉じる。これにより、前記吸引混合手段は、燃焼中の蒸気ボイラから供給されるボイラ排ガスのみを吸引し、このボイラ排ガスをボイラ排水へ混合する。一方、前記吸引混合手段は、停止中の蒸気ボイラからはエアを吸引することはない。
【0018】
ここにおいて、前記排ガス安定供給バルブの開閉操作は、たとえばボイラ燃料供給バルブの作動信号に基づいて行う。すなわち、前記ボイラ燃料供給バルブを開状態とする作動信号のとき、前記排ガス安定供給バルブを開状態とし、また前記ボイラ燃料供給バルブを閉状態とする作動信号のとき、前記排ガス安定供給バルブを閉状態とする。
【0019】
以上のように、この実施形態の中和装置によれば、前記吸引混合手段は、停止中の蒸気ボイラからはエアを吸引することはないので、ボイラ排水へ混合するボイラ排ガス中の炭酸ガス濃度を安定化させることができる。この結果、安定したボイラ排水の中和を行うことができる。
【実施例】
【0020】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、この発明を実施する中和装置の構成を示す概略的な説明図である。
図1において、中和装置1は、3台の蒸気ボイラ2,3,4からのアルカリ性のブロー排水(以下、「ボイラ排水」と云う。)をボイラ排ガスに含まれる炭酸ガスにより中和し、排水基準に適合した処理水として排出するものである。
【0021】
前記中和装置1は、前記各蒸気ボイラ2,3,4からそれぞれボイラ排水を供給する排水経路5と、ボイラ排水の貯留槽6とを備えている。さらに、前記中和装置1は、前記各蒸気ボイラ2,3,4からそれぞれ中和に使用するボイラ排ガスを供給する排ガス供給経路7,8,9を備えている。すなわち、前記排ガス供給経路7は、前記蒸気ボイラ2からボイラ排ガスを供給し、また前記排ガス供給経路8は、前記蒸気ボイラ3からボイラ排ガスを供給し、さらに前記排ガス供給経路9は、前記蒸気ボイラ4からボイラ排ガスを供給するものである。
【0022】
前記各蒸気ボイラ2,3,4は、それぞれ燃料を燃焼させた排ガスを屋外へ排出する排気筒10を備えている。そして、これらの各排気筒10には、排ガスの一部を取り出すように、前記各排ガス供給経路7,8,9がそれぞれ接続されている。また、前記各排ガス供給経路7,8,9は、下流側で合流経路(符号省略)を形成し、この合流経路が後述するエゼクタに接続されている。
【0023】
前記各排ガス供給経路7,8,9には、それぞれ排ガス安定供給バルブ11,12,13が設けられている。これらの排ガス安定供給バルブ11,12,13は、前記各蒸気ボイラ2,3,4の運転状態に応じて開閉制御される。具体的には、前記各排ガス安定供給バルブ11,12,13は、対応する前記各蒸気ボイラ2,3,4が燃焼中のとき、開状態となり、また停止中のとき、閉状態となる。ここにおいて、前記各蒸気ボイラ2,3,4の燃焼と停止は、これらに備えられたボイラ燃料供給バルブ(図示省略)の作動信号に基づいて判別される。すなわち、前記各ボイラ燃料供給バルブのいずれかを開状態とする作動信号のとき、前記各排ガス安定供給バルブ11,12,13のうち、対応するいずれかが開状態となるように制御する。一方、前記各ボイラ燃料供給バルブのいずれかを閉状態とする作動信号のとき、前記各排ガス安定供給バルブ11,12,13のうち、対応するいずれかが閉状態となるように制御する。
【0024】
前記貯留槽6には、貯留されたボイラ排水を循環させる循環経路14の両端部がそれぞれ接続されており、この循環経路14には、上流側から順に循環ポンプ15,冷却手段16,エゼクタ17がそれぞれ直列配置されている。
【0025】
前記冷却手段16は、熱交換器であって、前記循環経路14を流れるボイラ排水を供給する排水入口18と、冷却されたボイラ排水を排出する排水出口19とを備えている。さらに、前記冷却手段16は、冷却水が流入する冷却水入口20と、熱交換された冷却水を排出する冷却水出口21とを備えている。前記冷却水入口20には、冷却水供給経路22が接続されており、この冷却水供給経路22には、冷却水供給バルブ23が設けられている。
【0026】
前記エゼクタ17は、前記循環経路14が接続される排水供給口24と前記合流経路が接続される排ガス吸引口25とを有している。そして、前記エゼクタ17は、前記排水供給口24からボイラ排水を取り入れるとともに、前記排ガス吸引口25からボイラ排ガスを吸引し、ボイラ排水とボイラ排ガスを混合するようになっている。ボイラ排ガスが混合されたボイラ排水は、前記エゼクタ17の吐出口26から前記貯留槽6内へ噴射される。
【0027】
ここにおいて、ボイラ排ガスは、前記各排ガス供給経路7,8,9の合流経路に設けられた排ガス供給バルブ27とエアバルブ28を開閉操作することで、前記エゼクタ17へ供給され,あるいは供給が停止されるようになっている(後で詳しく説明する)。
【0028】
前記貯留槽6には、貯留されたボイラ排水の水温およびpHを検出するための温度センサ29とpHセンサ30とがそれぞれ設けられている。また、前記貯留槽6の底部には、中和および冷却されたボイラ排水,すなわち処理水を系外へ排出する処理水排出経路31が接続されており、この処理水排出経路31には排出バルブ32が設けられている。
【0029】
前記冷却水供給バルブ23,前記排ガス供給バルブ27,前記エアバルブ28および前記排出バルブ32は、前記温度センサ29および前記pHセンサ30から制御部(図示省略)へ入力された信号に基づき、この制御部で開閉制御されている。
【0030】
つぎに、前記中和装置1の作用について説明する。前記各蒸気ボイラ2,3,4からのボイラ排水は、前記排水経路5を介して前記貯留槽6内に貯留される。この貯留されたボイラ排水は、前記制御部の指令に基づく前記循環ポンプ15の駆動により、前記循環経路14を循環する。そして、ボイラ排水は、前記循環経路14において、冷却されるとともに中和される。
【0031】
まず、ボイラ排水の冷却について具体的に説明すると、前記循環経路14を流れるボイラ排水は、前記排水入口18から前記冷却手段16の内部流路(図示省略)へと導入される。この状態で前記冷却水供給バルブ23を開くと、冷却水が前記冷却水供給経路22を介して前記冷却水入口20から前記内部流路の外側へ供給される。この冷却水は、前記冷却手段16においてボイラ排水の熱を奪い、前記冷却水出口21から排出される。一方、冷却されたボイラ排水は、前記排水出口19から前記循環経路14へ排出され、前記貯留槽6内へ還流する。
【0032】
つぎに、ボイラ排水の中和について具体的に説明する。前記循環経路14を流れるボイラ排水は、前記各排ガス供給経路7,8,9から供給されるボイラ排ガスによって、前記エゼクタ17の作用で中和される。具体的には、前記エゼクタ17は、前記排水供給口24からボイラ排水を取り入れるとともに、前記各排ガス供給経路7,8,9から供給されるボイラ排ガスを前記排ガス吸引口25から吸引し、ボイラ排水とボイラ排ガスとを混合する。これにより、ボイラ排水とボイラ排ガスとを効率よく接触させ、さらに前記エゼクタ17内で生じる乱流効果でボイラ排水を撹拌することによって、ボイラ排水中へボイラ排ガスを溶解させて中和する。そして、このボイラ排水は、前記吐出口26から前記貯留槽6内へ噴射される。ここにおいて、前記エゼクタ17内でボイラ排水へ溶解しきれなかったボイラ排ガスは、前記貯留槽6内へ気泡状に吹き出し、ボイラ排水中で微細化して溶解する。
【0033】
ところで、この実施例では、前記温度センサ29で検出されたボイラ排水の水温に基づき、前記冷却手段16による冷却を前記制御部で制御している。また、前記pHセンサ30で検出されたボイラ排水のpHに基づき、前記エゼクタ17(すなわち、前記吸引混合手段)による中和を前記制御部で制御している。
【0034】
まず、前記冷却手段16による冷却の制御について具体的に説明する。前記温度センサ29で検出されるボイラ排水の水温が、排水基準で定められた所定値を超えているとき、前記制御部は、前記冷却水供給バルブ23を開状態とする。この結果、前記冷却手段16へは、前記冷却水供給経路22を介して冷却水が供給され、ボイラ排水が継続的に冷却される。一方、前記温度センサ29で検出されるボイラ排水の水温が、排水基準で定められた所定値以下になったとき、前記制御部は、前記冷却水供給バルブ23を閉状態とする。この結果、前記冷却手段16に対する冷却水の供給が遮断され、ボイラ排水の冷却が停止される。
【0035】
つぎに、前記エゼクタ17による中和の制御について具体的に説明する。前記pHセンサ30で検出されるボイラ排水のpHが、排水基準で定められた所定値を超えているとき、前記制御部は、前記排ガス供給バルブ27を開状態とするとともに、前記エアバルブ28を閉状態とする。この結果、前記エゼクタ17が前記各排ガス供給経路7,8,9を介してボイラ排ガスを吸引可能となり、ボイラ排水が継続的に中和される。一方、前記pHセンサ30で検出されるボイラ排水のpHが、排水基準で定められた所定値以下になったとき、前記制御部は、前記排ガス供給バルブ27を閉状態とするとともに、前記エアバルブ28を開状態とする。この結果、前記エゼクタ17へは外気が吸引され、ボイラ排水の中和が停止される。このように、ボイラ排ガスを供給しないときに、外気を吸入させると、前記エゼクタ17内で発生する圧力変動に起因する振動が抑制される。
【0036】
以上のように、前記貯留槽6内のボイラ排水が前記循環経路14を循環しながら、排水基準で定められた水温とpHになるまで、冷却の制御と中和の制御がそれぞれ個別に行われる。そして、前記貯留槽6内のボイラ排水が排水基準に適合した水温とpHになったとき、前記制御部は、前記排出バルブ32を開状態にし、前記処理水排出経路31を介してボイラ排水を系外へ排出する。
【0037】
ここで、前記各排ガス安定供給バルブ11,12,13は、前記各蒸気ボイラ2,3,4の運転状態に応じて開閉動作を行う。具体的には、前記各排ガス安定供給バルブ11,12,13は、これらが設けられている前記各排ガス供給経路7,8,9の接続元の前記各蒸気ボイラ2,3,4が燃焼中のとき、それぞれ開き、また停止中のとき、それぞれ閉じる。すなわち、前記排ガス安定供給バルブ11は、前記蒸気ボイラ2の運転状態に合わせて開閉制御され、また前記排ガス安定供給バルブ12は、前記蒸気ボイラ3の運転状態に合わせて開閉制御され、さらに前記排ガス安定供給バルブ13は、前記蒸気ボイラ4の運転状態に合わせて開閉制御される。これにより、前記エゼクタ17は、燃焼中の前記各蒸気ボイラ2,3,4から供給されるボイラ排ガスを吸引し、このボイラ排ガスをボイラ排水へ混合する。一方、前記エゼクタ17は、停止中の前記各蒸気ボイラ2,3,4からはエアを吸引することはない。
【0038】
前記各排ガス安定供給バルブ11,12,13の開閉操作は、前記ボイラ燃料供給バルブの作動信号に基づいて行う。すなわち、前記各ボイラ燃料供給バルブのいずれかを開状態とする作動信号のとき、前記各排ガス安定供給バルブ11,12,13のうち、対応するいずれかを開状態とし、また前記各ボイラ燃料供給バルブのいずれかを閉状態とする作動信号のとき、前記各排ガス安定供給バルブ11,12,13のうち、対応するいずれかを閉状態とする。これにより、前記エゼクタ17は、燃焼中の前記各蒸気ボイラ2,3,4から選択的にボイラ排ガスを吸引する。一方、前記エゼクタ17は、停止中の前記各蒸気ボイラ2,3,4からはエアを吸引することはない。
【0039】
この実施例における前記中和装置1は、前記冷却手段16と前記エゼクタ17とを前記循環経路14に設けているが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、前記冷却手段16を前記排水経路5に設けてもよい。
【0040】
また、前記中和装置1は、前記合流経路を前記エゼクタ17に接続しているが、前記各排ガス供給経路7,8,9を合流させずに、個別に前記エゼクタ17に接続してもよい。すなわち、前記エゼクタ17は、前記排ガス吸引口25を複数備えたものを使用することができる。また、前記エゼクタ17を前記各排ガス供給経路7,8,9の数に応じて複数備える構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明に係る中和装置の一実施例の構成を示す概略的な説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 中和装置
2,3,4 蒸気ボイラ(ボイラ)
11,12,13 排ガス安定供給バルブ
17 エゼクタ(吸引混合手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のボイラから供給されるボイラ排ガスのボイラ排水への吸引混合手段を備えた中和装置であって、
前記各ボイラから前記吸引混合手段へのボイラ排ガスの排ガス供給経路ごとに、それぞれ排ガス安定供給バルブを設けたことを特徴とする中和装置。
【請求項2】
前記各排ガス安定供給バルブは、対応する前記各ボイラのボイラ燃料供給バルブの作動信号に基づいてそれぞれ作動することを特徴とする請求項1に記載の中和装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−192386(P2006−192386A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7770(P2005−7770)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)