説明

中和装置

【課題】 ボイラ排ガス中の炭酸ガス濃度が低い場合やボイラ排水のpHが高い場合でも、効率よく中和する。
【解決手段】 ボイラ排水の中和手段であるエゼクタ18を備えた中和装置1であって、ボイラ排水の貯留槽4と、この貯留槽4内のボイラ排水を循環させる循環経路15とを備え、この循環経路15に前記エゼクタ18を設ける。このエゼクタ18には、主中和剤であるボイラ排ガスが排ガス供給経路6から供給されるとともに、副中和剤である炭酸ガスが副中和剤供給経路7から供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アルカリ性のボイラ排水をボイラ排ガスを利用して中和する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給水を加熱して蒸気を発生させる蒸気ボイラ缶体内の缶水は、給水中に含まれている炭酸水素イオンや炭酸イオンが熱分解して水酸化物イオンが生成し、この水酸化物イオンの濃縮により次第にアルカリ性が強くなる。また、前記蒸気ボイラの運転を続けると、缶水が過度に濃縮してキャリーオーバーなどの不都合が生じるため、適正な缶水濃度を維持するように、定期的に所定割合の缶水を前記蒸気ボイラから排出する必要がある。この操作は、通常、濃縮ブローと呼ばれている。さらに、前記蒸気ボイラを所定時間稼働させた後には、前記缶体の底部に沈殿したいわゆる釜泥(スラッジ)を除去するため、缶水を全て排出しながら洗い流す必要がある。この操作は、通常、全ブローと呼ばれている。
【0003】
前記のような濃縮ブローや全ブローによるボイラ排水を放流する際には、条例などで定められた排水基準に適合するように、冷却や中和といった排水処理を行う必要がある。ボイラ排水の中和方法としては、たとえば塩酸等の酸性薬品をボイラ排水へ添加する方法や、炭酸ガス等の酸性ガスをボイラ排水へ混合する方法などがある。さらに、これらの中和方法に比べ、安全性やランニングコストなどの点で優れた中和方法として、ボイラ排ガスに含まれている炭酸ガスを利用して中和を行う方法が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2001−293484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ボイラ排ガスに含まれている炭酸ガス濃度は、前記蒸気ボイラの運転状態などによって変動し、一定ではなく、またボイラ排水のpHも一定ではない。したがって、ボイラ排ガス中の炭酸ガス濃度が低い場合やボイラ排水のpHが高い場合には、効率よく中和を行えないことがある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、ボイラ排ガス中の炭酸ガス濃度が低い場合やボイラ排水のpHが高い場合でも、効率よく中和を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ボイラ排水の中和手段を備えた中和装置であって、主中和剤であるボイラ排ガスと副中和剤とを併用することを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明では、前記中和手段により、前記主中和剤であるボイラ排ガスと前記副中和剤とがボイラ排水に混合される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、ボイラ排水の貯留槽と、この貯留槽内のボイラ排水を循環させる循環経路とを備え、この循環経路に前記中和手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、前記貯留槽内のボイラ排水は、前記循環経路を循環しながら前記中和手段により中和される。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記中和手段よりも下流側に、ボイラ排水のpH検出手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明では、前記pH検出手段の検出値に基づいて、ボイラ排水への前記副中和剤の供給量を調節する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、前記主中和剤であるボイラ排ガスの他に、前記副中和剤を用いているので、ボイラ排ガス中の炭酸ガス濃度が低い場合やボイラ排水のpHが高い場合であっても、効率よく中和を行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、ボイラ排水は、前記循環経路を循環しながら中和されるので、効率よく,安定した中和を行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、前記pH検出手段の検出値に基づいて、ボイラ排水への前記副中和剤の供給量が調節されるので、効率よく,短時間で中和を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明に係る中和装置を実施するための最良の形態を説明する。
この発明は、アルカリ性のボイラ排水,いわゆるブロー排水をボイラ排ガスを利用して中和する装置において好適に実施される。すなわち、蒸気ボイラからのボイラ排水をボイラ排ガスに含まれる炭酸ガスで中和してpHを低下させ、排水基準に適合した処理水として排出するものである。
【0016】
まず、第一実施形態について説明する。この第一実施形態における中和装置は、ボイラ排水の中和手段を備えている。この中和手段は、ボイラ排水を流通させる排水経路に設けられ、外部から前記排水経路へ中和剤を取り込むとともに、この中和剤をボイラ排水へ混合させるものである。前記中和手段は、前記排水経路に中和剤供給経路を接続することにより構成することができ、この中和剤供給経路の接続部において、前記中和剤が取り込まれるとともにボイラ排水へ混合される。
【0017】
前記中和手段は、主中和剤であるボイラ排ガスをボイラ排水へ混合するとともに、必要に応じて副中和剤をボイラ排水へ混合する。この副中和剤としては、ボイラ排ガス以外の中和剤,たとえば、塩酸,硫酸,硝酸等の酸性薬品を利用することができ、また炭酸ガス等の酸性ガスを利用することができる。
【0018】
前記中和手段の構成において、前記排水経路と前記中和剤供給経路との接続部には、ボイラ排水の流れによって発生させた負圧を利用して前記中和剤供給経路から前記中和剤を吸引するとともに、この中和剤とボイラ排水を混合して吐出する吸引混合器,たとえばエゼクタやアスピレータが設けられている。具体的には、前記吸引混合器は、ボイラ排水の供給口および吐出口を有しており、この供給口および吐出口がそれぞれ前記排水経路と接続される。また、前記吸引混合器は、前記中和剤の吸引口を有しており、この吸引口が前記中和剤供給経路と接続される。このような吸引混合器を設けた場合、前記中和剤を効率よく取り込み、この中和剤とボイラ排水の混合を促進することができる。さらに、前記中和剤供給経路は、前記中和剤の供給とその停止を制御するため、開閉弁を備えている。
【0019】
前記接続部には、中和効率に優れる点から、前記エゼクタを設ける構成がとくに好適である。このような構成による中和について具体的に説明すると、まず前記排水経路を流れるボイラ排水が前記エゼクタ内へ取り入れられる。そして、このエゼクタ内において、前記中和剤供給経路から吸引された前記中和剤,すなわち前記主中和剤や前記副中和剤がボイラ排水と混合される。この結果、前記中和剤がボイラ排水に接触しながら溶解し、ボイラ排水が中和される。さらに、前記エゼクタで生じる乱流効果によってボイラ排水が撹拌されるので、効率よく中和することができる。また、前記エゼクタは、可動部を持たないことから、前記主中和剤,すなわちボイラ排ガスを吸引しても、その熱によって故障や劣化を起こしにくい。このため、ボイラ排水に対し、安定して前記主中和剤および前記副中和剤を供給,混合することができる。
【0020】
以上のように、この第一実施形態の中和装置によれば、前記主中和剤であるボイラ排ガスの他に、前記副中和剤を用いているので、ボイラ排ガス中の炭酸ガス濃度が低い場合やボイラ排水のpHが高い場合であっても、効率よく中和を行うことができる。
【0021】
つぎに、第二実施形態について説明する。この第二実施形態は、前記第一実施形態の変形例である。この第二実施形態の中和装置は、ボイラ排水を貯留する貯留槽と、この貯留槽内のボイラ排水を循環させる循環経路とを備え、この循環経路に中和手段が設けられている。また、前記循環経路には、循環ポンプが設けられ、この循環ポンプにより、前記貯留槽内のボイラ排水が循環するようになっている。
【0022】
前記中和手段は、外部から前記循環経路へ前記中和剤を取り込むとともに、この中和剤をボイラ排水へ混合させるものである。前記中和手段は、前記循環経路に中和剤供給経路を接続することにより構成することができ、この中和剤供給経路の接続部において、前記中和剤が取り込まれるとともに、循環中のボイラ排水へ混合される。
【0023】
また、前記接続部には、エゼクタやアスピレータなどの前記吸引混合器が設けられている。この場合、前記吸引混合器は、前記供給口および前記吐出口がそれぞれ前記循環経路と接続され、前記吸引口が前記中和剤供給経路と接続される。このような吸引混合器を設けた場合、前記第一実施形態と同様に、前記中和剤を効率的に取り込み、この中和剤とボイラ排水との混合を促進することができる。さらに、前記中和剤供給経路は、前記中和剤の供給とその停止を制御するため、開閉弁を備えている。
【0024】
さて、前記中和手段の下流側には、pH検出手段が設けられている。そして、このpH検出手段により、前記主中和剤や前記副中和剤が混合されたボイラ排水のpHを検出し、この検出値に基づいて、ボイラ排水への前記副中和剤の供給量を調節する。
【0025】
以上のように、この第二実施形態の中和装置によれば、ボイラ排水は、前記循環経路を循環しながら中和されるので、効率よく,安定した中和を行うことができる。また、前記pH検出手段の検出値に基づいて、ボイラ排水への副中和剤の供給量が調節されるので、効率よく,短時間で中和を行うことができる。
【実施例】
【0026】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、この発明を実施する中和装置の構成を示す概略的な説明図である。
図1において、中和装置1は、蒸気ボイラ2からのアルカリ性のブロー排水(以下、「ボイラ排水」と云う。)を、中和剤により中和するとともに冷却して、排水基準に適合した処理水として排出するものである。
【0027】
中和装置1は、蒸気ボイラ2からボイラ排水を供給する排水経路3と、ボイラ排水の貯留槽4と、中和剤供給経路5とを主に備えている。
【0028】
前記中和剤供給経路5は、主中和剤であるボイラ排ガスと副中和剤をそれぞれ供給するため、排ガス供給経路6と副中和剤供給経路7とを有して構成されている。前記排ガス供給経路6と前記副中和剤供給経路7は、下流側で合流経路8を形成し、この合流経路8が後述するエゼクタに接続されている。
【0029】
前記蒸気ボイラ2は、燃料を燃焼させた排ガスを屋外へ排出する排気筒9を備えており、排ガスの一部を取り出すように、前記排気筒9と前記排ガス供給経路6の上流側とが接続されている。前記排ガス供給経路6には、排ガス供給バルブ10とエアバルブ11が設けられ、それぞれを制御部12により開閉操作することで、前記排気筒9から後述するエゼクタへボイラ排ガスが供給され,あるいは供給が停止されるようになっている。
【0030】
ここにおいて、前記副中和剤は、炭酸ガスであり、この炭酸ガスを供給するため、前記副中和剤供給経路7の上流側が炭酸ガスボンベ13に接続されている。また、前記副中和剤供給経路7には、炭酸ガス供給バルブ14が設けられ、この炭酸ガス供給バルブ14を前記制御部12により開閉操作することで、前記炭酸ガスボンベ13から後述するエゼクタへ炭酸ガスが供給され,あるいは供給が停止されるようになっている。
【0031】
前記貯留槽4には、貯留されたボイラ排水を循環させる循環経路15の両端部がそれぞれ接続されており、この循環経路15には、上流側から順に循環ポンプ16,冷却手段17,エゼクタ18および第一pHセンサ19(pH検出手段の一例)がそれぞれ直列配置されている。
【0032】
前記冷却手段17は、熱交換器であって、前記循環経路15を流れるボイラ排水を供給する排水入口20と、冷却されたボイラ排水を排出する排水出口21とを備えている。さらに、この冷却手段17は、冷却水を供給する冷却水入口22と、熱交換された冷却水を排出する冷却水出口23とを備えている。前記冷却水入口22には、冷却水供給経路24が接続されており、この冷却水供給経路24には、冷却水供給バルブ25が設けられている。この冷却水供給バルブ25は、前記制御部12によって開閉制御される。
【0033】
前記エゼクタ18は、中和手段を構成する部材であり、前記循環経路15が接続される排水供給口26と前記合流経路8が接続される中和剤吸引口27とを有している。そして、前記エゼクタ18は、前記排水供給口26からボイラ排水を取り入れるとともに、前記中和剤吸引口27から中和剤としてボイラ排ガスと炭酸ガスとを吸引し、ボイラ排水と混合するようになっている。前記中和剤が混合されたボイラ排水は、前記エゼクタ18の吐出口28から前記貯留槽4内へ噴射される。
【0034】
前記の構成において、前記第一pHセンサ19により、ボイラ排ガス,あるいはこのボイラ排ガスと炭酸ガスとが混合されたボイラ排水のpHが検出され、その検出値に基づいて、前記炭酸ガス供給バルブ14が前記制御部12によって開閉制御される。また、前記炭酸ガス供給バルブ14は、後述の第二pHセンサによって検出される貯留槽4内のボイラ排水のpHが排水基準に適合する値となったとき、前記制御部12によって閉じるよう制御される。
【0035】
前記貯留槽4には、貯留されたボイラ排水の水温およびpHを検出するための温度センサ29と第二pHセンサ30とがそれぞれ設けられている。また、前記貯留槽4の底部には、中和されたボイラ排水,すなわち処理水を系外へ排出する処理水排出経路31が接続されており、この処理水排出経路31には、排出バルブ32が設けられている。この排出バルブ32は、前記温度センサ29および前記第二pHセンサ30による検出値が排水基準に適合した水温とpHになったとき、前記制御部12からの指令で開くように制御されている。
【0036】
以下、前記排水処理装置1の作用について説明する。前記蒸気ボイラ2からのボイラ排水は、前記排水経路3を介して前記貯留槽4内に貯留される。この貯留されたボイラ排水は、前記制御部12の指令による前記循環ポンプ16の駆動により、前記循環経路15を循環する。そして、このボイラ排水は、前記循環経路15において、冷却されるとともに中和される。
【0037】
まず、ボイラ排水の冷却について具体的に説明すると、前記循環経路15を流れるボイラ排水は、前記排水入口20から前記冷却手段17の内部流路(図示省略)へと導入される。この状態で前記冷却水供給バルブ25を開くと、冷却水が前記冷却水供給経路24を介して前記冷却水入口22から前記内部流路の外側へ供給される。この冷却水は、ボイラ排水の熱を奪い、前記冷却水出口23から排出される。冷却されたボイラ排水は、前記排水出口21から前記循環経路15へ排出され、前記貯留槽4内へ還流する。
【0038】
つぎに、ボイラ排水の中和について具体的に説明すると、前記循環経路15を循環するボイラ排水は、前記中和剤供給経路5から供給される中和剤によって、前記エゼクタ18の作用で中和される。ここにおいて、前記中和剤は、前記排ガス供給経路6から供給されるボイラ排ガスを用いるとともに、必要に応じて、前記副中和剤供給経路7から供給される炭酸ガスを用いる。具体的には、前記制御部12が、前記排ガス供給バルブ10を開状態とするとともに、前記エアバルブ11を閉状態とする。この結果、前記排ガス供給経路6からボイラ排ガスが供給される。そして、前記第一pHセンサ19によって検出されるボイラ排水のpHが所定値を超えている場合には、前記制御部12は、前記炭酸ガス供給バルブ14を開状態とする。この結果、前記副中和剤供給経路7から炭酸ガスが供給される。ここで、前記炭酸ガス供給バルブ14を開状態とするときのボイラ排水のpH(前記所定値)は、ボイラ排ガスのみによる中和では中和効率が悪いと認められる値であり、任意に設定される。ここにおいて、炭酸ガスの供給量の調節は、前記第一pHセンサ19の検出値に基づいて、前記炭酸ガス供給バルブ14を単に開閉制御してもよいし、また前記第一pHセンサ19の検出値に基づいて、前記炭酸ガス供給バルブ14の開度を段階的に調節するように制御してもよい。
【0039】
ここで、前記エゼクタ18の作用について具体的に説明する。前記エゼクタ18は、前記排水供給口26からボイラ排水を取り入れるとともに、前記合流経路8から供給される中和剤(すなわち、ボイラ排ガスと炭酸ガス)を前記中和剤吸引口27から吸引し、ボイラ排水と前記中和剤とを混合する。これにより、ボイラ排水と前記中和剤とを効率よく接触させ、さらに前記エゼクタ18内で生じる乱流効果でボイラ排水を撹拌することによって、ボイラ排水中へ前記中和剤を溶解させて中和する。そして、このボイラ排水は、前記吐出口28から排出され、前記貯留槽4内へ噴射される。ここにおいて、前記エゼクタ18内でボイラ排水に溶解しきれなかったボイラ排ガスは、前記貯留槽4内へ気泡状に吹き出すことにより、ボイラ排水中で微細化して溶解し、中和を促進する。
【0040】
ところで、この実施例では、前記温度センサ29で検出されたボイラ排水の水温に基づいて、前記冷却手段17による冷却とその停止を前記制御部12で制御している。また、前記第二pHセンサ30で検出されたボイラ排水のpHに基づいて、前記エゼクタ18(すなわち、前記中和手段)による中和とその停止を前記制御部12で制御している。
【0041】
まず、前記冷却手段17による冷却の制御について具体的に説明する。前記温度センサ29で検出されるボイラ排水の水温が、排水基準で定められた所定値を超えているとき、前記制御部12は、前記冷却水供給バルブ25を開状態とする。この結果、前記冷却水供給経路24を介して冷却水が前記冷却手段17へ供給され、ボイラ排水が継続的に冷却される。一方、前記温度センサ29で検出されるボイラ排水の水温が、排水基準で定められた所定値以下になったとき、前記制御部12は、前記冷却水供給バルブ25を閉状態とする。この結果、前記冷却手段17に対する冷却水の供給が遮断され、ボイラ排水の冷却が停止される。
【0042】
つぎに、前記エゼクタ18による中和の制御について具体的に説明する。前記第二pHセンサ30で検出されるボイラ排水のpHが、排水基準で定められた所定値を超えているとき、前記制御部12は、前記排ガス供給バルブ10を開状態とするとともに、前記エアバルブ11を閉状態とする。この結果、前記エゼクタ18が前記排ガス供給経路6および前記合流経路8を介してボイラ排ガスを吸引可能となり、ボイラ排水が継続的に中和される。このとき、前記第一pHセンサ19で検出されるボイラ排水のpHが所定値を超えている場合、前記制御部12は、前記炭酸ガス供給バルブ14を開状態とする。この結果、前記エゼクタ18が前記副中和剤供給経路7および前記合流経路8を介して炭酸ガスを吸引可能となり、ボイラ排水が効率よく中和される。
【0043】
一方、前記第二pHセンサ30で検出されるボイラ排水のpHが、排水基準で定められた所定値以下になったとき、前記制御部12は、前記排ガス供給バルブ10を閉状態とするとともに、前記エアバルブ11を開状態とする。さらに、前記制御部12は、前記炭酸ガス供給バルブ14を閉状態とする。この結果、前記エゼクタ18へは外気が吸引され、ボイラ排水の中和が停止される。このように、ボイラ排ガスを供給しないときに、外気を吸入させると、前記エゼクタ18内で発生する圧力変動に起因する振動が抑制される。
【0044】
ところで、前記中和装置1は、前記循環経路15に前記冷却手段17,前記エゼクタ18および前記第一pHセンサ19を設けているが、これらの各部材は、前記排水経路3に設けてもよい。この場合、前記貯留槽4内へ流入するボイラ排水が排水基準に適合した水温とpHとなるように、前記冷却手段17の冷却能力と、前記エゼクタ18の吸引能力とをそれぞれ設定することが望ましい。また、前記温度センサ29で検出されるボイラ排水の水温,もしくは前記第二pHセンサ30で検出されるボイラ排水のpHのいずれかが排水基準で定められた所定値を超えているとき、前記貯留槽4内のボイラ排水を前記冷却手段17および前記エゼクタ18よりも上流側の前記排水経路3へ還流するように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明に係る排水処理装置の一実施例の構成を示す概略的な説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 中和装置
4 貯留槽
15 循環経路
18 エゼクタ(中和手段)
19 第一pHセンサ(pH検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ排水の中和手段を備えた中和装置であって、主中和剤であるボイラ排ガスと副中和剤とを併用することを特徴とする中和装置。
【請求項2】
ボイラ排水の貯留槽と、この貯留槽内のボイラ排水を循環させる循環経路とを備え、この循環経路に前記中和手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の中和装置。
【請求項3】
前記中和手段よりも下流側に、ボイラ排水のpH検出手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の中和装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−198471(P2006−198471A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10407(P2005−10407)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)