説明

中子駆動用油圧ユニットを備えた電動型ダイカストマシン

【課題】油圧ユニットを備えた場合にも電動型ダイカストマシンの設置面積を拡大せず、電動型ダイカストマシンのメンテナンス性も害さない中子駆動用油圧ユニットを備えた電動型ダイカストマシンを提供する。
【解決手段】オイルパンを兼ねるベースプレート32上に、オイルタンク33、油圧ポンプ34、油圧ポンプ駆動モータ35、アキュムレータ36、オイルクーラ37、電磁方向切換弁を含むバルブ類38、オイルクリーナ39及び電気ボックス40等を一体に組み立てることにより、所要の中子駆動用油圧ユニット31を構成する。この中子駆動用油圧ユニット31を、油圧ポンプ34及び油圧ポンプ駆動モータ35が型締め用電動サーボモータ22の下方に配置され、その他の機器が型締め用電動サーボモータ22の側方に配置されるようにして、主ベース盤2上の所定位置に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中子駆動用油圧ユニットを備えた電動型ダイカストマシンに係り、特に、電動型ダイカストマシンに対する中子駆動用油圧ユニットの配置及び取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカストマシンは、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の溶融金属材料(溶湯)を金型に形成されたキャビティ内に射出・充填して所定形状の製品を鋳造するものであり、樹脂を成形材料とする射出成形機に比べて射出速度及び射出圧力が各段に高いという特徴がある。このため、従来においては射出プランジャの駆動及び型開閉機構の駆動を油圧にて行う油圧型のマシンが主流であったが、近年においては、作動油による成形工場内の汚れを回避できることから、射出プランジャの駆動及び型開閉機構の駆動を電動モータにより行う電動型のマシンも普及しつつある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
ところで、ダイカストマシンにおいても、射出成形機と同様に、キャビティ内に所定形状の中子を出入自在に配置することにより、中空部を有する製品などを成形することができる。しかしながら、ダイカストマシンは、凝固収縮が大きく、固化後の剛性も高い金属材料を成形材料として用いるので、凝固収縮が比較的小さく、固化後も弾性変形しやすい樹脂を成形材料とする射出成形機とは異なり、中子がキャビティ内で成形品に固着されやすく、キャビティ内からの中子の引き抜きに大きな力を必要とする。このようなことから、従来、電動型のマシンにおいても、中子の駆動源としては、高圧力かつ高速の引き抜き力が得られる油圧シリンダが用いられている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
油圧型ダイカストマシンにおいては、射出プランジャを駆動するための油圧ユニットが備えられているので、これを中子駆動用油圧ユニットとして共用できるが、電動型ダイカストマシンにおいては、共用可能な油圧ユニットを有していないため、中子駆動用油圧ユニットを別途備える必要がある。なお、電動型ダイカストマシンの中には、アキュムレータに蓄えられた油圧を射出プランジャの補助動力として用いるタイプもあるが、この種の電動型ダイカストマシンに備えられる油圧ユニットは、油圧型ダイカストマシンに備えられる油圧ユニットに比べて格段に低出力であるので、中子駆動用油圧ユニットと共用することはできない。本願出願人は、先に、これらの電動型ダイカストマシンに備えられる中子駆動用油圧ユニットとして、所要の油圧機器及び電気機器を収納ケース内に一体に組み込むことによって電動型ダイカストマシンとは独立の別体に形成され、成形工場に設置された電動型ダイカストマシンの近傍に適宜付設できるものを提案した(特願2009−200688号)。
【0005】
この本願出願人が先に提案した中子駆動用油圧ユニットは、電動型ダイカストマシンとは独立の別体に形成された収納ケース内に所要の油圧機器及び電気機器を収納してなるので、電動型ダイカストマシンに油圧ユニットを構成する油圧機器又は電気機器を組み込む必要がなく、電動型ダイカストマシンの構造を簡略化できる。また、中子を用いた製品の製造を行わない場合には、電動型ダイカストマシンから分離して他所に保管できるので、合理的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−84654号公報
【特許文献2】特開2001−1126号公報
【特許文献3】特開2006−289410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本願出願人が先に提案した中子駆動用油圧ユニットは、電動型ダイカストマシンとは独立の別体に形成されており、必要に応じて電動型ダイカストマシンの近傍に設置されるので、油圧ユニットと電動型ダイカストマシンとを併せた全体の設置面積が大きくなるという問題がある。また、電動型ダイカストマシンの近傍に大型の油圧ユニットが設置されるので、電動型ダイカストマシンのメンテナンスがやりにくくなるという問題もある。さらには、油圧ユニットが大型であるので、中子を用いた製品の製造を行わない場合における移動に多大の労力を要したり、保管に大きなスペースを必要とするという問題もある。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、油圧ユニットを備えた場合にも電動型ダイカストマシンの設置面積を拡大することがなく、電動型ダイカストマシンのメンテナンス性も害さず、かつ、移動や保管が容易な中子駆動用油圧ユニットを備えた電動型ダイカストマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記の課題を解決するため、主ベース盤と、前記主ベース盤上に取り付けられ、型締め用電動サーボモータを駆動源として金型の開閉を行う型締め機構と、前記主ベース盤上に取り付けられ、射出用電動サーボモータを駆動源として前記金型内に溶湯を射出する射出機構と、前記金型に取り付けられた中子駆動用の油圧シリンダと、前記油圧シリンダに圧油を供給する中子駆動用油圧ユニットとを備えた電動型ダイカストマシンにおいて、前記中子駆動用油圧ユニットは、少なくともオイルタンク、油圧ポンプ、油圧ポンプ駆動モータ、オイルクーラ、バルブ類及び電気ボックスを含む複数の機器をベースプレート上に一体に組み立てることにより構成されており、前記ベースプレートを前記型締め機構の設定位置よりも外側の前記主ベース盤上に固定することにより、前記複数の機器のそれぞれを前記型締め用電動サーボモータの周囲に配置するという構成とした。
【0010】
かかる構成によると、中子駆動用油圧ユニットを構成する各種の油圧機器及び電気機器をベースプレート上に一体に組み立て、このベースプレートを型締め機構の設定位置よりも外側の主ベース盤上に固定し、このベースプレート上に組み立てられた各種の油圧機器及び電気機器を型締め用電動サーボモータの周囲に配置するので、電動型ダイカストマシンの基本的な設計を何ら変更する必要がなく、型締め用電動サーボモータの周囲の空き空間を有効利用して、中子駆動用油圧ユニットを設定することができる。したがって、中子駆動用油圧ユニットを備えた場合にも、電動型ダイカストマシンの総設置面積が大型化せず、成形工場における中子駆動用油圧ユニットを備えた電動型ダイカストマシンの設置を容易化することができる。また、中子駆動用油圧ユニットを構成する各種の油圧機器及び電気機器が一体に組み立てられたベースプレートを主ベース盤上の所定の位置に固定するので、電動型ダイカストマシンに対する中子駆動用油圧ユニットの取り付け及び取り外しを容易に行うことができ、電動型ダイカストマシンのメンテナンス性も維持できると共に、中子駆動用油圧ユニットの移動や保管も容易化することができる。
【0011】
また本発明は、前記構成の中子駆動用油圧ユニットを備えた電動型ダイカストマシンにおいて、前記中子駆動用油圧ユニットを構成する各機器を、前記型締め用電動サーボモータの側方部分及び下方部分に分散して配置するという構成にした。
【0012】
中子駆動用油圧ユニットを構成する機器の中には、例えばオイルタンクやオイルクーラなどのように高さ寸法が大きいものもあるし、例えば油圧ポンプ駆動用電動モータのように高さ寸法が小さいものもある。したがって、高さ寸法が大きいものについては、型締め用電動サーボモータの側方部分に配置し、高さ寸法が小さいものについては、型締め用電動サーボモータの下方部分に配置すれば、各機器と型締め用電動サーボモータとの干渉を防止しつつ、型締め用電動サーボモータの周囲の空き空間を有効に利用できる。
【0013】
また本発明は、前記構成の中子駆動用油圧ユニットを備えた電動型ダイカストマシンにおいて、前記ベースプレートは、前記中子駆動用油圧ユニットから漏れ出した作動油を受けて外部への流出を防止するオイルパンを兼ねているという構成にした。
【0014】
かかる構成によると、オイルパンを兼ねたベースプレートを用いることにより、中子駆動用油圧ユニットから漏れ出した作動油の外部への流出を防止できるので、成形工場の作動油による汚れを有効に防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、中子駆動用油圧ユニットを構成する各種の油圧機器及び電気機器を、型締め用電動サーボモータの周囲の空き空間に配置するので、中子駆動用油圧ユニットを備えた場合にも電動型ダイカストマシンの設置面積の増加を防止できて、成形工場における中子駆動用油圧ユニットを備えた電動型ダイカストマシンの設置を容易化することができる。また、ベースプレート上に一体に組み立てられた中子駆動用油圧ユニットを主ベース盤上の所定の位置に着脱自在に固定するので、電動型ダイカストマシンに対する中子駆動用油圧ユニットの取り付け及び取り外しを容易に行うことができ、電動型ダイカストマシンのメンテナンス性も維持できると共に、中子駆動用油圧ユニットの移動や保管も容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る電動型ダイカストマシンの中子駆動用油圧ユニットを分離した状態を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係る中子駆動用油圧ユニットの油圧回路図である。
【図3】実施形態に係る電動型ダイカストマシンの動作を示す表図である。
【図4】実施形態に係る中子駆動用油圧ユニットの平面図である。
【図5】図4のA方向から見た側面図である。
【図6】図4のB方向から見た側面図である。
【図7】図4のC方向から見た側面図である。
【図8】中子駆動用油圧ユニットが取り付けられた実施形態に係る電動型ダイカストマシンの要部平面図である。
【図9】中子駆動用油圧ユニットが取り付けられた実施形態に係る電動型ダイカストマシンの中子駆動用油圧ユニット側から見た端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を用いて本発明に係る中子駆動用油圧ユニットを備えた電動型ダイカストマシンの一実施形態を説明する。
【0018】
本実施形態に係る電動型ダイカストマシン1は、図1に示すように、主ベース盤2と、主ベース盤2上に取り付けられた型締めユニット21と、主ベース盤2及び型締めユニット21で保持された射出ユニット11と、型締めユニット21に取り付けられる図示しない金型と、金型に備えられた中子駆動用の油圧シリンダ(図2参照)と、型締めユニット21に取り付けられた中子ユニット8と、主ベース盤2上に着脱自在に取り付けられる中子駆動用油圧ユニット31とから主に構成されている。
【0019】
固定金型と可動金型とをもって構成される一組の金型には、所定の形状及び寸法を有する所定数の中子が出入可能に設けられており、中子を入れ込むことにより、金型内に製品の外観形状に即した所定形状のキャビティが形成されるようになっている。これらの各中子は、金型に備えられた油圧シリンダを駆動することによって駆動され、該油圧シリンダは、中子駆動用油圧ユニット31から供給される圧油を、中子ユニット8に備えられた制御バルブ等で制御することにより駆動される。中子ユニット8及び中子駆動用油圧ユニット31の構成及び動作については、後に図2を用いて説明する。
【0020】
射出ユニット11は、固定ダイプレート5に取り付けられた支持部材3と、支持部材3及び主ベース盤2上に保持されるベース部材12と、ベース部材12に固定された保持ブロック13と、保持ブロック13に固定された射出用電動サーボモータ14と、射出用電動サーボモータ14の回転運動を直線運動に変換するボールネジ軸とこれに螺合されるナット体とからなる図示しないボールネジ機構と、ボールネジ機構に射出用電動サーボモータ14の回転を伝達するプーリ及びベルトなどの図示しない回転伝達機構と、ボールネジ機構のナット体と一体となってベース部材12上を前後進する移動体15と、固定ダイプレート5に固定される射出スリーブ16と、一端が移動体15に固定され、他端が射出スリーブ16内に前後動可能に配置された溶湯射出用の射出プランジャ17と、射出プランジャ17に補助的な駆動力を付与するアキュムレータ18とを備えている。
【0021】
型締めユニット21は、主ベース盤2上に所定の間隔を隔てて対向に取り付けられたテールストック4及び固定ダイプレート5と、これらテールストック4及び固定ダイプレート5に両端が連結された複数本のタイバー6と、タイバー6に摺動自在に取り付けられ、テールストック4と固定ダイプレート5との間で前後進する可動ダイプレート7と、テールストック4の外面に取り付けられた型締め用電動サーボモータ9と、型締め用電動サーボモータ9の回転を図示しない移動体の前後進運動に変換する図示しないボールネジ機構と、前記図示しない移動体により駆動され、可動ダイプレート7を型開閉方向に駆動するトグル機構10を備えている。
【0022】
なお、主ベース盤2は、上述した全ての構成部材をその上面に搭載可能なサイズに形成されており、長さ方向の一端は、ほぼ保持ブロック13の外面に達する位置まで延びており、他端は、ほぼ型締め用電動サーボモータ9の外端に達する位置まで延びている。動力伝達機構を含む型締め用電動サーボモータ9の幅寸法は、主ベース盤2の幅寸法よりも小さく、動力伝達機構を含む型締め用電動サーボモータ9の高さ寸法は、テールストック4の高さ寸法よりも小さくなっている。したがって、主ベース盤2の上方の型締め用電動サーボモータ9の周囲部分は、何らかの部材を配置可能な空き空間となっている。
【0023】
中子駆動用油圧ユニット31は、図1、図4〜図7に示すように、オイルパンを兼ねるベースプレート32上に、オイルタンク33、油圧ポンプ34、油圧ポンプ駆動モータ35、アキュムレータ36、オイルクーラ37、電磁方向切換弁を含むバルブ類38、オイルクリーナ39及び電気ボックス40等を一体に組み立てることにより構成される。図4及び図7に示すように、高さ寸法が小さい油圧ポンプ34及び油圧ポンプ駆動モータ35は、ベースプレート32の片側に横に並べて配置され、高さ寸法が大きいアキュムレータ36及びオイルクーラ37等は、ベースプレート32の他の片側に集約して配置される。また、本実施形態においては、バルブ類38とアキュムレータ36を上下に重ね合わせて配置すると共に、オイルタンク33とオイルクーラ37とオイルクリーナ39と電気ボックス40を上下に積み重ねて配置することにより、ベースプレート32における各部材の配置を集約化している。このように構成された本例の中子駆動用油圧ユニット31は、図8及び図9に示すように、油圧ポンプ34及び油圧ポンプ駆動モータ35が型締め用電動サーボモータ22の下方に配置され、かつその他の機器が型締め用電動サーボモータ9の側方に配置されるようにして、ベースプレート32が主ベース盤2上の所定位置に固定される。これにより、中子駆動用油圧ユニットを備えた電動型ダイカストマシンが組み立てられる。なお、図8及び図9の符号60は、グリス潤滑装置を示している。
【0024】
上述のように、本例の中子駆動用油圧ユニット31は、ベースプレート32を主ベース盤2上の所定位置に固定したときに、中子駆動用油圧ユニット31を構成する各機器が、型締め用電動サーボモータ9の周囲の空き空間に、型締め用電動サーボモータ9と干渉することなく配置されるので、中子駆動用油圧ユニット31を備えた場合にも電動型ダイカストマシン1の設置面積を大型化することがない。また、本例の中子駆動用油圧ユニット31は、オイルパンを兼ねるベースプレート32上に各機器を配置したので、油圧機器から漏れ出した作動油が外部へ流出せず、成形工場の作動油による汚れを防止することができる。さらに、本例の中子駆動用油圧ユニット31は、ベースプレート32上に所要の油圧機器及び電気機器を一体に組み立てたので、電動型ダイカストマシン1に対する中子駆動用油圧ユニット31の取り付け及び取り外しが容易で、電動型ダイカストマシン1のメンテナンス性を害することもない。さらに、電動型ダイカストマシン1に対する中子駆動用油圧ユニット31の取り付け及び取り外しが容易であることから、中子を利用した製品の鋳造を行わない場合の中子駆動用油圧ユニット31の移動及び保管を容易なものにすることができる。
【0025】
以下、図2を用いて、中子ユニット8及び中子駆動用油圧ユニット31のより詳細な構成と動作とについて説明する。これらの図から明らかなように、本例の中子ユニット8には、3つの中子41a,41b,41cと、1つのスクイズピン42が備えられている。
【0026】
図2に示すように、本例の中子駆動用油圧ユニット31は、油圧ポンプ駆動モータ35で油圧ポンプ34を駆動し、オイルタンク33内に蓄えられた作動油をアキュムレータ36内に送って、アキュムレータ36内に蓄圧する。このアキュムレータ36内に蓄圧された作動油は、中子41a,41b,41cの入り時(前進時)においては、中子駆動用の油圧シリンダ43a,43b,43cの各ロッド側室に送られ、各中子41a,41b,41cの戻り時(後退時)においては、当該油圧シリンダ43a,43b,43cのヘッド側室に送られる。このような作動油の流れは、中子駆動用油圧ユニット31に備えられたACC回路45によって制御される。ACC回路45は、圧力センサ46と、ポペット弁47と、ポペット弁47の開閉を制御する電磁方向制御弁48,49と、油圧ポンプ34の吐出側油圧回路aに設けた電磁方向切換弁50及びリリーフバルブ51とからなる。また、オイルタンク33に戻る油戻し路bには、オイルクーラ37及びオイルクリーナ39が備えられる。
【0027】
また、本例の中子ユニット8には、ポペット弁47から中子駆動用の各油圧シリンダ43a,43b,43cに至る各油圧路cが備えられ、これらの各油圧路cには、減圧バルブ52a,52b,52cと、絞り弁53a,53b,53cと、ポペット弁47からの作動油を油圧シリンダ43a,43b,43cのヘッド側室又はロッド側室に切り換える電磁方向切換弁54a,54b,54cと、チェックバルブ55a,55b,55cと、電磁方向制御弁56a,56b,56cが接続されている。
【0028】
一方、スクイズピン42は、油圧シリンダ45で駆動されるようになっており、ポペット弁47からスクイズピン駆動用の油圧シリンダ45に至る各油圧路eには、減圧バルブ56と、絞り弁57と、ポペット弁47からの作動油を油圧シリンダ45のヘッド側室又はロッド側室に切り換える電磁方向切換弁58と、チェックバルブ59とが接続されている。
【0029】
次に、図3を参照して、実施形態に係る電動型ダイカストマシン1の動作について説明する。
【0030】
上述のように、中子駆動用の油圧シリンダ43a,43b,43c及びスクイズピン駆動用の油圧シリンダ44を適正に駆動するためには、中子41a,41b,41cの駆動時及びスクイズピン42の駆動時において、アキュムレータ36内に必要な圧力が蓄圧されている必要がある。このため、アキュムレータ36内の圧力を圧力センサ46にて常に検知し、アキュムレータ36内の圧力が所定値以下である場合には、電磁方向切換弁50のソレノイドCP1をオンして、油圧ポンプ34のモータ35を駆動する。これにより、オイルタンク33内の作動油がアキュムレータ36に供給され、アキュムレータ36内が蓄圧される。また、アキュムレータ36内の圧力が所定圧に達した段階では、電磁方向切換弁50のソレノイドCP1をオフにして、油圧ポンプ34のモータ35を停止する。
【0031】
このように、アキュムレータ36内の圧力が所定圧以上に蓄圧されている状態において、中子41a,41b,41cの入り工程を開始する。入り工程では、可動金型及び中子41a,41b,41cを前進駆動するが、可動金型及び中子41a,41b,41cの駆動源はそれぞれ別系統であるため、可動金型及び中子41a,41b,41cの駆動順は特に限定されず、また、これら可動金型及び中子41a,41b,41cをそれぞれ並列的に駆動することも可能である。まず、可動金型の型締めについて説明すると、可動金型の型締めは、電動サーボモータ22を駆動することによって型開閉機構23により可動ダイプレート7を前進させ、その可動ダイプレート7に設けた可動金型を固定ダイプレート5の固定金型に当接させて型締めする。
【0032】
一方、中子41a,41b,41cの入り工程は、ACC回路45に備えられた電磁方向制御弁48のソレノイドCDRと、油圧路cに備えられた電磁方向切換弁54a,54b,54cのソレノイド1CF,2CF,3CFをオンし、アキュムレータ36からポペット弁47、油圧路cに備えられた減圧弁52a,52b,52c、絞り弁53a,53b,53c、チェックバルブ55a,55b,55cを介して各油圧シリンダ43a,43b,43cのロッド側室に作動油を送る。これにより、各油圧シリンダ43a,43b,43cのロッドが伸張して中子41a,41b,41cが前進する。
【0033】
しかる後に、射出用の電動サーボモータ14を駆動して射出ユニット11による射出工程と、それに続く保圧・冷却工程とを実行し、この保圧・冷却工程においては、スクイズピン44を用いた二次加圧工程(局部加圧)を行う。スクイズピン44は、中子41a,41b,41cにスライド自在に配置されており、二次加圧工程は、スクイズピン44を油圧ユニット31からの油圧で駆動することにより行われる。このスクイズピン44による二次加圧工程では、電磁方向切換弁50のソレノイドCP2、電磁方向制御弁49のソレノイドCDR、電磁方向切換弁58のソレノイドLCUをオンして油圧ポンプ34を駆動し、油圧ポンプ34から吐出された圧油をポペット弁47、減圧弁56、絞り弁57、電磁方向切換弁58、チェックバルブ59を経て油圧シリンダ44のロッド側室に送り、油圧シリンダ44のロッドを伸張させる。このとき、油圧シリンダ44のヘッド側室内に蓄えられた作動油は、チェックバルブ59、電磁方向切換弁58、絞り弁57、減圧弁56を経て、油戻し路dからオイルタンク33に戻される。このように、油圧ポンプ34を駆動して油圧シリンダ44のロッドを伸張させると、キャビティ内に充填された溶湯をスクイズピン42で局部的に加圧できるので、キャビティ内に十分な押し湯を加えることができる。
【0034】
冷却工程が終了すると、まず、油圧シリンダ44を駆動してスクイズピン44が元の位置に戻される。この場合には、電磁方向切換弁58のソレノイドCDをオンに切り換えて油圧ポンプ34を駆動し、油圧ポンプ34から吐出された圧油を油圧シリンダ44のヘッド側室に送り、油圧シリンダ44のロッドを収縮させる。このとき、油圧シリンダ44のロッド側室に供給された作動油は、チェックバルブ59、電磁方向切換弁58、絞り弁57、減圧弁56を経て油戻し路dからオイルタンク33内に戻る。
【0035】
次に、型締め用の電動サーボモータ22を逆回転させて可動金型を後退させ、型開きすると共に、中子41a,41b,41cを元の位置に戻す。中子41a,41b,41cの戻り工程は、各油圧シリンダ43a,43b,43cに対応して備えられた電磁方向切換弁54a,54b,54cのソレノイド1CB,2CB,3CBをオンし、アキュムレータ36からポペット弁47、減圧弁52a,52b,52c、絞り弁53a,53b,53c、チェックバルブ55a,55b,55cを介して、各油圧シリンダ43a,43b,43cのヘッド側室に作動油を送る。これにより、各油圧シリンダ43a,43b,43cのロッドが収縮して、中子41a,41b,41cが後退する。このとき、油圧シリンダ43a,43b,43cのロッド側室に蓄えられた作動油は、チェックバルブ55a,55b,55c、絞り弁53a,53b,53c、減圧弁52a,52b,52cを経て油戻し路dからオイルタンク33内に戻される。このように、本実施形態においては、中子41a,41b,41cの戻り工程を油圧シリンダ43a,43b,43cによって行うので、凝固した金属材料からの中子41a,41b,41cの取り出しを、容易かつ確実に行うことができる。
【0036】
型開き後、図示しないイジェクト機構を駆動して可動金型から凝固したダイカスト製品を突き出し、1サイクルの成形を終了する。連続運転時には、同様の成形サイクルを所定のサイクル数だけ繰り返す。なお、上述した各ソレノイドのオン・オフのタイミングは、電動ダイカストマシン1に備えられたシステムコントローラなどの、図示しない制御手段からの信号によって制御する。
【0037】
なお、前記実施形態においては、射出プランジャ17を駆動するためのアキュムレータ18を備えた電動型ダイカストマシンに適用した場合を例にとって説明したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、射出プランジャ17の駆動を電動サーボモータのみによって行う電動型ダイカストマシンにも、勿論適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、中子を利用して所定形状の製品を鋳造する電動型ダイカストマシンに利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 電動型ダイカストマシン
2 主ベース盤
3 支持部材
4 テールストック
5 固定ダイプレート
6 タイバー
7 可動ダイプレート
8 中子ユニット
9 型締め用電動サーボモータ
10 トグル機構
11 射出ユニット
12 ベース部材
13 保持ブロック
14 射出用電動サーボモータ
15 移動体
16 射出スリーブ
17 射出プランジャ
18 アキュムレータ
21 型締めユニット
31 中子駆動用油圧ユニット
32 ベースプレート(オイルパン)
33 オイルタンク
34 油圧ポンプ
35 油圧ポンプ駆動モータ
36 アキュムレータ
37 オイルクーラ
38 バルブ類
39 オイルクリーナ
40 電気ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主ベース盤と、前記主ベース盤上に取り付けられ、型締め用電動サーボモータを駆動源として金型の開閉を行う型締め機構と、前記主ベース盤上に取り付けられ、射出用電動サーボモータを駆動源として前記金型内に溶湯を射出する射出機構と、前記金型に取り付けられた中子駆動用の油圧シリンダと、前記油圧シリンダに圧油を供給する中子駆動用油圧ユニットとを備えた電動型ダイカストマシンにおいて、
前記中子駆動用油圧ユニットは、少なくともオイルタンク、油圧ポンプ、油圧ポンプ駆動モータ、オイルクーラ、バルブ類及び電気ボックスを含む複数の機器をベースプレート上に一体に組み立てることにより構成されており、前記ベースプレートを前記型締め機構の設定位置よりも外側の前記主ベース盤上に固定することにより、前記複数の機器のそれぞれを前記型締め用電動サーボモータの周囲に配置することを特徴とする電動型ダイカストマシン。
【請求項2】
前記中子駆動用油圧ユニットを構成する各機器を、前記型締め用電動サーボモータの側方部分及び下方部分に分散して配置することを特徴とする請求項1に記載の電動型ダイカストマシン。
【請求項3】
前記ベースプレートは、前記中子駆動用油圧ユニットから漏れ出した作動油を受けて外部への流出を防止するオイルパンを兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の電動型ダイカストマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−101259(P2012−101259A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253139(P2010−253139)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000222587)東洋機械金属株式会社 (299)