説明

中空ファイバ接続部

【課題】フィールドフロー分画のための装置のために、中空ファイバと接続要素との間および/または中空ファイバとハウジングとの間の半径方向の封止接続のための中空ファイバ接続部を提供する。
【解決手段】中空ファイバ50はハウジングのハウジング接続41の中に配置されている。接続要素30および/またはハウジングに対する中空ファイバ50の封止、また周囲環境に対する中空ファイバ50の封止は、環状要素20および接続要素30が接続部品10を介してハウジングおよび/または中空ファイバ50に結合され、中空ファイバ接続部が、環状要素20の接続要素30に対する軸方向の移動によって生み出される中空ファイバ50と接続要素30との間のセクションを介した封止を達成することによってもたらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィールドフローフラクショネーションのために設けられる中空ファイバの端部用の中空ファイバ接続部に関し、この接続部は、中空ファイバの端部を収容するための貫通開口部を備える接続要素を含む。
【背景技術】
【0002】
中空ファイバが使用されるフィールドフローフラクショネーション用の装置において、中空ファイバは分離チャネルの機能を果たし、物質混合物である試料および溶剤は、通常、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の標準的な接続部を介して中空ファイバに導かれ、および/または中空ファイバから排出される。中空ファイバは、ハウジングおよび/またはカートリッジが半径方向に一定の距離をおいて中空ファイバを取り囲むように管状のハウジングおよび/またはカートリッジの中に配置され、それによって中空ファイバの外側とハウジングおよび/またはカートリッジの内側との間に一定の体積が形成される。
【0003】
ここで、いわゆるクロスフローが生じ、これは例えば中空ファイバの内部に発生した圧力に基づき、中空ファイバからハウジングへ排出される濾過された流体の形態で発生する。このクロスフローを形成する流体は汚染されてはならず、したがって、周囲環境、とりわけ中空ファイバの外側のジャケット領域に対する中空ファイバの漏れ止めシールが要求される。
【0004】
中空ファイバの封止における問題の1つは、接続部の封止能力と中空ファイバにかかる圧力との間に妥協点を見出すことである。というのも、中空ファイバは比較的薄い壁の厚みを示し、ゆえに非常に脆いからである。中空ファイバのハウジングに対する接続部での封止はいずれも、中空ファイバとハウジングとの間での漏れを確実に防止するために充分でなければならず、しかし他方では、中空ファイバの内側のジャケット領域が、破損または場合によっては裂断するおそれのあるような過剰な断面の圧縮を受けないように、衝撃圧力が強すぎてはならない。
【0005】
この妥協点を可能な限り最善の方法で実現するために、例えば毛管接続が備えられてもよい。しかしながら、これは、中空ファイバ、とりわけその始端および終端のセクションに高い点状の圧力を加える。また、これによって引き起こされるファイバの内径の圧縮は、流入および流出の際の試料の渦流を引き起こす。さらにこれは、とりわけ中空ファイバの壁付近の所望の始点での、流れに関連した試料の配置による、入口側での正確なフォーカシングを悪化させる。不都合なことに、出口側ですでに分離されたフラクションはこの種の圧縮でもう一度渦流が生じ、バンド幅および非対称のピークの増加が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、確実な封止接続を保証できる中空ファイバ用の接続部を提供することである。また別の目的は、脆い中空ファイバを、適度な断面縮小を伴って、したがって適度なファイバの圧力の下で固定され得る接続部を提供することである。さらに別の目的は、この接続部によって中空ファイバの再現可能な固定および封止を保証することである。最後の目的としては、中空ファイバの過度な断面圧縮が広範囲に除かれた接続部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、中空ファイバの端部を収容するための貫通開口部を含む接続要素を有する、フィールドフローフラクショネーションに適した中空ファイバの端部用の中空ファイバの接続部において達成され得る。本発明によれば、この接続要素に取り付けられ得る環状要素を設けることが提案されており、この環状要素および接続要素は、接続要素への環状要素の取付けが、中空ファイバの端部の、貫通開口部を制限する接続要素のセクションへの封止接続のために、接続要素内の貫通開口部の断面の縮小を生じさせるように設計されている。
【0008】
本発明によれば、ファイバは半径方向の圧力、とりわけクランプ圧および/またはクランプ力の形態を介して封止され得る。しかしこの場合、ファイバの断面は過度に変更されてはならない。すでに示した通り、ここでの問題とは、検査される流体試料がクロスフローに入らず、かつハウジングおよび/またはカートリッジが外部へ向かって漏れを生じないように脆い中空ファイバを封止することを含む。ゆえに最適な妥協点は、最大限の締め付け効果および封止効果と最小限の断面減少との間で見出されなければならない。中空ファイバの形態が薄くまたは多孔になるほど、接続部を設計すること、またあまり多くの補助手段または特殊工具なしで適切に取り付けを行うことがさらに困難になる。これに関連して、ここで述べられている種類の中空ファイバは浸透性、すなわち液体および気体を透過させるという事実に基づき、このような中空ファイバがより狭義に毛管または管材料と混同されてはならないことを注記しておく。
【0009】
本発明による接続部において、圧力は、リングおよび/または環状要素、とりわけ円錐状の圧力リング型の要素を介して接続要素に加えられ、この接続要素は、半径方向の封止が生じるセクションに目的の形状で配列され得る。ここで環状要素および接続要素は、接続部品により一緒に、ハウジング部および/または管状のハウジング部の端部に対して押圧され得る。
【0010】
それゆえ本発明を用いることにより中空ファイバは、例えばクランプ圧の形態で外側からファイバに加えられる力が、あらかじめ適切な値に定められ得るように、確実に封止され得る。これはとりわけ、キャリア材料をポリマーとするようなプラスチックで作製される中空ファイバに有利であり、この中空ファイバは注意深く取り扱わなければならず、またキャリア材料は一定の多孔性を示してもよい。また、中空ファイバは、少なくともその外側に限外濾過膜を取り付けられるプラスチックキャリアから形成されてもよい。この多孔を通して中空ファイバを、ファイバの縦軸に対して垂直な半径方向において1つの流体または流体中の特定成分に対して浸透性にするどうか、およびどの程度浸透性にするかが調節され得る。本発明の別の利点は、あらゆる種類の接着剤、パテ、またはその他の接着補助物質が省かれることにある。というのも、接着剤およびパテまたはその中に含まれる補助物質は、測定時に溶離剤によって遊離される必要があり、その際に検出器を損傷するおそれがあるからである。
【0011】
組み立て状態において、環状要素は実質的に、ファイバの縦軸に沿って押され、回転され、または接続要素の上に配置され得る。組み立て状態においてこのセクションは、実質的に、その周全体にわたって中空ファイバの端部の外側に接触させることができる。つまり、特にこのセクションが回転対称の貫通開口部に関する場合、中空ファイバの外側の円周全てを覆って接触させることができる。さらに、環状要素は、セクションの位置に対して実質的に中央である位置で、ファイバの縦軸に対して配置されてもよい。すなわち、環状要素が例えばこのセクションよりも幅広の場合、環状要素は組み立て状態において、このセクションと、ほぼ同じ範囲でファイバの縦軸に沿う両方向に重なる。
【0012】
例示的な一実施形態によれば、中空ファイバ接続部は、環状要素の組み立て状態で接続要素に加えられる圧力が、実質的に、中空ファイバの端部に向かう方向においてファイバの縦軸に対して半径方向に合わせられるように形成される。このように、封止接続によって、環状要素の組み立て状態において中空ファイバに加えられる力は、実質的に半径方向に合わせられ得る。実質的に半径方向に、とは、環状要素が主として半径方向の力により封止接続を確実にすることを意味する。環状要素は円錐型の圧力リングとして形成されてもよく、または例えばステンレス鋼から作製される切削リングとして形成されてもよい。圧力リングはこの場合実質的に、取り付けられる表面の変形を引き起こすように作用し、切削リングは付加的に、表面に部分的に貫入するように作用し得る。
【0013】
例示的な一実施形態によれば、接続要素は、第1セクション、とりわけ組み立て状態において接続部に面する側のセクションを含み、このセクションは半径方向の圧力領域と呼ぶことができ、半径方向の圧力を中空ファイバに伝達するために形成されている。さらに接続要素は、第2セクション、とりわけ位置決めセクションとも呼ぶことができる、組み立て状態でハウジングに面する第2セクションを含んでいてもよい。このように、接続要素は、ファイバを封止することと、とりわけ空間的に互いに離間してハウジング中の接続要素の位置決めを行うことという、少なくとも2つの機能を果たし、これはセンタリングの精度およびファイバの封止に関して有利である。これによって、例えば半径方向の力および軸力が、互いに独立して接続要素に広範囲に作用し得る。本発明によれば、軸力はここでは、封止接続が保証されるべきである第1セクション上には流れず、実質的には第2セクションを介して伝達される。
【0014】
接続部側とは、環状要素または接続部品または接続要素において、組み立て状態において構造物、すなわちフラクショネーション装置の方に向いていない側が指されていることを意味する。ハウジング側とはその反対を意味し、すなわち組み立て状態においてハウジングおよび/またはカートリッジまたはフラクショネーション装置の方に向いている環状要素、接続部品、または接続要素の側に関する。
【0015】
例示的な一実施形態によれば、接続要素は少なくとも第1セクションにおいて、とりわけ半径方向の力に対して圧縮性の材料によって形成される。加えて、この材料は封止される中空ファイバの材料よりも圧縮性が低くなければならないが、しかしながら、封止するクランプ機能が、中空ファイバの材料自体がある程度耐圧性である場合でも果たされ得るように、柔らかすぎてはならない。ゆえに、第1セクションの材料は、中空ファイバが主として材料から独立して直径の減少がどの程度行われるべきであるかを決定できるように、柔らかすぎてはならない。
【0016】
さらに、好ましくはこの材料は、ファイバの縦軸方向における軸力に対して主として圧縮不能および/または変形不能であるべきである。これによって、環状要素に大きな回転力が作用しても、中空ファイバがファイバの縦軸において折り曲げ(crimp)られずおよび/または加圧されないことが保証され得る。接続要素は少なくとも部分的に、とりわけ第1セクションにおいてプラスチックを含み得る。
【0017】
接続要素はゆえに半径方向の圧力によって変形され得る材料から構成することができ、さらに、第1セクションへの実質的に半径方向の力による半径方向の変形が、実質的に第1セクションのみで生じ、主として第2セクションの位置および向きに関しては無効であるように構成することができる。この効果は、付加的または代替的に、例えば第1セクションおよび第2セクションを互いに特定の幾何学的配置にすることによっても達成することができ、この場合セクションはそれぞれ特定の壁の厚さを有していてもよく、第1セクションはとりわけ、第2セクションよりも厚い壁の厚さを有する。また、環状要素および/または接続要素の間の幾何学的関係によって、中空ファイバが貫通開口部の領域またはセクションにおいてどの程度圧縮されるべきかを決定することができる。
【0018】
例示的な一実施形態によれば、接続要素は第1セクションにおいて、以下でさらに詳しく説明する中間セクションを含み、これは環状要素の組み立ての間、第1セクションが半径方向に変形され得るように、曲げ負荷にさらされ得るが、その一方で中間セクションの弾力性および/または柔軟性により、この変形は第2セクションへ伝達されない。ゆえに、第2セクションは第1セクションの変形とは関係なく、実質的に安定性したままである。
【0019】
例示的な一実施形態によれば、貫通開口部を制限するセクションは、第1セクションにおける半径方向の変形が、基本的に第2セクションの位置および向きに主として影響しないように、基本的には完全に第1セクション内に位置づけられる。これによって、接続要素内のファイバの封止および/またはセンタリングする機能および管状のハウジング部で接続要素を位置決めする機能は、たとえ接続要素が1つの接続部品および/またはアダプタのみによって取り付けられる場合、例えばカートリッジによって固定される場合であっても、互いに対して確実に分離され得る。このセクションはさらに、このセクションが中に突出しないような中間セクションが設けられるように、第2セクションから空間的に分離して配置され得る。
【0020】
例示的な一実施形態によれば、貫通開口部を制限するセクションは、封止機能および位置決め機能の明確な空間分離が実施され得るように、接続部に面する第1セクションの半分に配置されている。ここで接続部側とは、環状要素に作用する接続部品に面する取り付け位置を意味する。
【0021】
本発明によれば、環状要素は取り付け位置において、接続要素によって半径方向への張力により圧力を加えられることができ、この引張力は、環状要素が、接続要素の第1セクション上の中空ファイバに対して半径方向への反力を及ぼすことを引き起こす。
【0022】
接続要素は、環状要素が作製された材料よりも弾性および/または柔らかい材料から構成されてもよい。この材料の性質への依存性は、主に半径方向の安定性に関係する。というのも、接続要素へ押圧されることによって環状要素に発生した張力は、貫通開口部の半径方向の変形を生じさせるからである。
【0023】
例示的な一実施形態によれば、環状要素は、少なくとも一部のセクションを覆う内面を含み、この内面は、内側錐状部が拡大するように円錐状に拡大し、組み立て方向および/または取り付け位置において接続要素の方を向く。換言すれば、環状要素はプレス面を備える円錐形のプレスリングとして構成されてもよい。このように形成された円錐体の内面は外側に向かって広がり、環状要素の対称軸および/または中央軸に対して半径方向に外側へ傾いており、環状要素が接続要素と接触させられる環状要素側に設けられている。これにより、圧力はこの部分、すなわちクランプセクションおよび/または封止セクションに集中して生じられ得る。環状要素が接続要素に対して歪曲することを防ぐために、その内面における環状要素とその外面における接続要素の両方が、例えば実質的に軸方向に延伸する溝または起伏を示してもよい。
【0024】
管状のハウジング部を形成するために接続部品を接続する間に、環状要素によって接続要素に及ぼされる力は、軸方向および半径方向の構成要素を含み、半径方向の構成要素は軸方向の構成要素よりも大きい。その結果、接続要素の縦軸に対して直角なレベルに関して少ない角度だけ、とりわけ約5〜30度の範囲で傾斜した力のベクトルが展開し、内側錐状部の角度に対する半径方向の構成要素の値は、環状要素の縦軸に関して定義されている。力のベクトルの半径方向の構成要素はゆえに、内側錐状部のより小さな角度だけ、軸方向の構成要素に関して大きくされてもよい。
【0025】
環状要素および/またはリングは、軸方向および半径方向の構成要素を含む力のベクトルが、環状要素および/またはリングの内側およびプレス面として働く円錐体の内面に対して実質的に直角に構成されるように設計され得る。この場合、力のベクトルの方向はゆえに、実質的に円錐体の内面の傾斜によって決定され、他方、取り付け状態において縦軸またはファイバに対して平行に配置されるプレス面の部分は、力の方向において測定可能なほどの影響は示さない。
【0026】
これにより、接着剤および潤滑剤なしの封止接続が作成され、これは傾斜した平面の原理に従って作用できる。すなわち、環状要素の円錐角は、半径方向および/または接続要素を介してファイバに及ぼされる圧力が、接触面および/またはプレス面を介して均一に加えられるような形状で構成され得る。これにより、ファイバの内部の脆い表面内への測定可能なほどの点状の断面圧縮または切込は、効果的に回避され得る。
【0027】
例示的な一実施形態によれば、円錐体の内面は、環状要素の縦軸に対して、45度よりも小さな角度で、とりわけ5〜30度の範囲の角度で傾斜している。この縦軸は、環状要素の中心を通って延伸する中央縦軸とも称され得る。この中央縦軸は、とりわけ環状要素が回転対称のリングとして構成されている場合に、環状要素の対称軸を表してもよい。リング要素は他のあらゆる形状を示していてもよく、原則的には、とりわけ円形形状から逸脱した形状を示していてもよい。
【0028】
接続要素は、原則的には環状要素の内側錘状部の角度に相当する、接続要素の縦軸に対する角度で配置される外側の斜端を含んでいてもよい。この外側の斜端は、リング要素が接続要素と接触させられ、接続要素の接触面に接触させられる側に設けられなければならない。これにより、接続要素および環状要素は、とりわけ何の工具または締め付け装置を用いなくても簡単な方法で互いに結合することができ、これは組み立てを容易にする。接続要素上の環状要素の位置はゆえに、環状要素の、接続要素に対する位置ずれの間のキャンティングが広範囲に除かれ得るように、主として正確な方法で定められ得る。環状要素はゆえに、接続部品などが管状のハウジング部にねじ込まれる前および環状要素が接続部品を介して接続要素に押込および押圧される前に、単純な方法で接続要素に結合され得る。
【0029】
環状要素は、ファイバの縦軸方向において、第1セクションにおける接続要素の第1のジャケット面および/または対圧面の幅よりも長い軸長を示してもよく、ここで第1のジャケット面は、環状要素が接続要素に作用し、および/または接続要素に接触する面および/または複数の面のコネクタに相当する。これにより、接続部品が組み立ての様式に関係なく接続要素と接触しないことが保証され得る。また要求される半径方向の力が実際に及ぼされることが保証され得るので、環状要素が接続要素の第1のジャケット面上で誤った位置に位置決めされずに、実際に接続要素の当接面まで押込まれることが保証され得る。さらに、半径方向の力が軸長全体にわたって伝達されること、および第1のジャケット面がもはや拡大しないことが保証され得る。これは、環状要素がより短い、すなわち接続要素の第1のジャケット面よりも幅が狭い場合に生じるおそれがあり、これにより中空ファイバ上のこの部分に加わる圧力は減少される。しかしながら、例えばとりわけ緩やかな方法で中空ファイバをクランプするために貫通開口部でのセクションに対する緩やかな伝達によって、中空ファイバに加えられる圧力が外部に向かう縁の領域で弱くなるように、環状要素を第1のジャケット面よりも幅狭に形成することが有利な場合もある。
【0030】
例示的な一実施形態によれば、貫通開口部を制限するセクションにおいて接続要素は、第1のシール面を定義するバーまたは同様に形成された突出部を有し、これは環状要素の組み立て状態において、中空ファイバが封止状態で接続要素の外側のジャケット面に接触するように構成される。このようなバーまたは同様に形成された突出部を用いて、封止はとりわけ目標の、かつ効果的な方法で実施され得る。また、セクションにおけるバーによるセンタリングおよび/または封止の機能は、少なくとも部分的に互いに分離され、例えば主として封止機能を果たす第1のシール面と、主としてセンタリングおよび締め付け機能を果たす、中空ファイバと接触する部分の残部とにより分離され得る。しかしながら原理的には、中空ファイバは接続要素において、単に第1のシール面のみでもセンタリングされ得る。
【0031】
このバーはさらに、第1のシール面を、その円形が理想的な円筒形状から好ましくは2/100ミリメートル未満だけ逸脱するような、実質的に円筒形状を含むように画定し得る。同一の許容限度は、適切であれば中空ファイバと接触する、第2のシール面にも与えられてもよい。
【0032】
バーは軸方向で、第1セクションにおいて実質的に中心に配置され得る。環状要素は接続要素と一緒に、この箇所で所定の、適切であれば最大の圧力が引き起こされるように設計されてもよい。このような文脈において実質的に中心に、とは、バーが第1セクションの全長に対して約半分の長さでファイバの縦軸に沿って配置されることを意味する。またこのバーは、これが位置決めおよび制限および/または圧縮機能の分離を改善するために有利である場合には、第1セクションの半分よりもわずかに左側に、つまり組み立て方向と反対に位置づけられてもよい。このバーの中心位置で、最大の圧力はセクションに対して、取り付け状態の環状要素によって引き起こすことができ、この最大圧力の位置は、コネクタの第1のジャケット面の幅によって、また環状要素の内側錐状部の幅および角度によって定義され得る。最大圧力の箇所はこの場合バーの位置と一致し得るので、例えば環状要素の内側で円錐の内面を構成する場合には、円錐の内面から押圧面への移行部で発生した圧力は、特定の角度によってバーに合わせられる。例えば押圧面の半分が円錐形に構成されている場合、配置は好ましくは取り付け状態で、セクションが接続側で第1セクションの半分に配置されている場合に、結果として生じる圧力のベクトルもセクション上の設けられた位置に作用するようになされ得る。本発明によれば、内側錐状部の位置は、好適な力の作用点を決定するために、環状要素の幅、接続要素の第1のジャケット面の長さならびにこのセクションの位置に応じて設計されてもよい。
【0033】
バーに加えて、接続部品の方向、すなわち接続部側に第2のシール面、とりわけ1つの第2の回転対称のシール面のみが設けられてもよく、これはバーに対して同心的に配設され、バーの幅よりも広いかまたは等しい軸方向の長さを含んでいてもよく、またバーよりも大きい内径を示す。この第2のシール面は、例えば中空ファイバのセンタリングおよび締め付け機能も引き受けてもよい。
【0034】
ウェブの内径は、例えば5〜20パーセントの範囲で第2のシール面の内径より小さくてもよく、その結果、バーは第2のシール面から約5〜20パーセントだけ突出する。
【0035】
例示的な一実施形態によれば、バーに隣接する第2のシール面の軸方向の長さは、バーの幅の2倍にほぼ相当する。これにより、接続部側でバーの領域におけるファイバの圧縮部分から中空ファイバの端部へ向かって、緩やかなおよび/または適度な移行部を作られ得る。
【0036】
中空ファイバは上述のように、その材料だけでなくその多孔性に応じても圧力に耐えることができ、その結果、中空ファイバの封止するための簡単に取り扱える装置にとっては、中空ファイバに加えられる圧力が過度でないことが多大な意義を有する。これは様々な中空ファイバの種類にも当てはまる。またこれは、製造者に対して、封止される中空ファイバの種類によってはわずかな変更しか必要としない、可能であれば広く使用できる接続部を提供するという問題を提示する。本発明による接続部の場合、大抵の場合、接続要素の材料および/または環状要素の内側で円錐形の内面が存在する場合のこの円錐形の内面の角度が中空ファイバの性質に調整されるだけで充分であり、これは変形体および/または様々な接続部の数を低減し、選択を容易にすることができる。環状要素およびいずれにせよ1つの接続部品が、この場合潜在的にコストに関して最適化された標準的な実施形態で用いられ得る。
【0037】
例示的な一実施形態によれば、半径方向外側を向く接続要素の外側に環状要素のための接触部として働く段部が配置される。例えば半径方向に突出する突出部の形態で構成される段部は、第2セクションに形成されている。それによって、コネクタの第1のジャケット面は、環状要素が組み立て状態でおよび/または接続部品がハウジングに接続されている場合に接触する段部によって制限される。段部および/または接触部は、とりわけ環状要素によって与えられる軸力を受けるように働き、これは環状要素が接続要素上に極端に押し込まれることを阻止する。
【0038】
段部は、接続要素を耐トルク性にハウジングなどの中で位置決めする役割を果たしてもよい。つまり段部は、組み立て位置において接続要素に作用するトルクが管状のハウジング部の中に伝達されるように構成されてもよく、その結果、中空ファイバは変形されない。つまり、この段部を介してハウジング内の接続要素の耐トルク性の位置決めが保証され得る。例示的な一実施形態によれば、段部は接続要素の、半径方向へ最大の外部寸法をもつ部分を表す。この段部は、環状要素の内側錐状部のいずれかの直径よりも大きな外径を含んでいてもよい。これによって、環状要素がいずれの場合でも、すなわち円錐形の内面の角度に関係なく、段部に接触し得ることが保証され得る。
【0039】
本発明によれば、とりわけ本発明による環状要素および本発明による接続要素の封入下に、フィールドフローフラクショネーション用の装置と結合するために付加的に接続部品を設けることがさらに提案される。接続要素は中空ファイバを収容および取り囲む管状のハウジング部に結合されてもよく、また環状要素および接続要素を共に押し込むことによって封止を保証する。このために、接続部品は例えば貫通孔の形状で貫通部を含んでもよく、また取り付け位置において環状要素ならびに接続要素を内側のチャンバの中に収容および/または閉じ込めてもよい。接続部品は、実質的に軸力をハウジングと環状要素との間で発生させおよび/または伝達するために設けられている。
【0040】
接続要素は取り付け状態でハウジング側に、コネクタの内側のジャケット面の直径よりもわずかに大きな外径を有する管状の端部を含んでもよく、その結果、接続要素はハウジング側で第2セクションの端部に管状の、薄壁のセンタリング接続部を形成する。管状の端部および/またはセンタリング装置の種類により、接続要素の2つの機能、とりわけハウジング内のセンタリングの機能および耐トルク性の機能が互いに分離され得る。これによって、接続要素は例えば流体力学の態様に関しても管状のハウジング部との良好な接続を作り出す。センタリング接続部は、この場合取り付け状態でハウジングの体積に突き出てもよい。
【0041】
中空ファイバに作用する力は、上述のように、環状要素によって引き起こされる接続要素の第1セクションの変形のために生じてもよく、環状要素は取り付け状態において接続部品と接続要素との間に配置されており、この接続部品が単独で環状要素を介して接続要素に、およびそれによって中空ファイバに作用する。環状要素は、取り付け位置において接続部品によって実質的にファイバの縦軸の軸方向で押圧され得る。すなわち、半径方向の力の伝達は、接続部品と環状要素との間に生じる必要がない。
【0042】
本発明によれば、さらに中空ファイバの一端と接続要素との間に引き起こされる、半径方向に作用する力を介して接続要素に対して軸方向に動かされている環状要素を手段として、接続部品を用いて貫通開口部を制限するセクションを介した封止接続、および軸方向に作用する力を利用して接続要素の前面を介して生み出されている接続要素と管状のハウジング部との間の封止接続によって、中空ファイバの一端と接続要素との間でも、接続要素と中空ファイバを収容するハウジングとの間でもフィールドフローフラクショネーションのために封止接続が作り出され得るように、中空ファイバ接続部を構成することが提案される。
【0043】
これによって単に接続部品の取付けによって、2つの封止接続が確立され得る。すなわち、中空ファイバを封止され得るだけではなく、中空ファイバとハウジングとの間の(生じ得る)体積も封止され得る。貫通開口部を制限するセクションにおける封止に加えて、接続要素とハウジングとの間の管状の端部および/または接続要素の前面を介した封止接続も確立され得る。このために、中空ファイバは雄ねじを含んでいてもよいハウジングに隣接して配置され得る。中空ファイバは、例えば約1.3mmの直径を示してもよく、またプラスチックキャリアから作製されてもよい。プラスチックキャリアは、内側および外側に取り付けられる限外濾過膜を含んでもよい。ハウジングは、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の標準的なコネクタを含んでもよい。ハウジング接続部は、雄ねじを備えるソケットおよび/または被覆管として構成されてもよい。
【0044】
例示的な一実施形態によれば、接続部品は、とりわけ雌ねじを備える管状のハウジング部とのねじ接続のための端子ナットとして構成されてもよい。端子ナットは管状のハウジング部の上もしくは管状のハウジング部の中にねじ込まれてもよく、接続要素に対するリングの軸方向の移動の間、環状要素が端子ナットの回転動作に付随するべきか否かに応じて、端子ナットと環状要素との間または環状要素と接続要素との間に相対運動が生じる。
【0045】
例示的な一実施形態によれば、環状要素、接続要素および接続部品の各表面は、取付け時に環状要素の後面と接続部品の接触面との間で生じる摩擦力が、環状要素の押圧面と接続要素の第1のジャケット面との間で生じる摩擦力よりも小さくなるように構成される。これにより、接続部品の環状要素に対する相対運動によって摩擦力が伝達される場合でさえ、環状要素が接続要素に対して変形されないことが保証され得る。これにより、接続要素に対する環状要素の傾きが効果的に回避され得る。環状要素の表面は、そこに接続部品が作用する場合には環状要素の後面と理解され、ゆえに取り付け状態で装置および/またはハウジングと反対方向を指し示す環状要素の側と理解される。
【0046】
上述のように接続部品は、ハウジングおよび/またはカートリッジに接続されている時に、少なくとも中空ファイバの縦軸に対してほぼ平行に合わせられる環状要素上の方向へ加えるように構成されてもよい。このほぼ平行な向きは、接続部品が環状要素と接触する前に、接続部品が一定の距離にわたってまずハウジング接続部でねじにねじ込まれなければならないことによって保証され得る。これによって、環状要素が接続要素と共に傾くことが阻止され得る。
【0047】
本発明によれば、さらにフラクショネーション装置は、本発明による少なくとも1つの中空ファイバ接続部を設けられ、このフラクショネーション装置は中空ファイバを収容し、この中空ファイバはその一端または両端で中空ファイバ接続部を介して封止状態で保持および/または支持され得る。
【0048】
以下の図面に関する記載は、例示的な実施形態に基づいて本発明をさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の好ましい実施形態による中空ファイバ接続部の構成部品の分解斜視図である。
【図2】図1の中空ファイバ接続部の構成部品の断面斜視図である。
【図3】組み立て状態における図1の中空ファイバ接続部の構成部品の断面図である。
【図4】接続要素およびハウジング接続部が図1の接続要素およびハウジング接続部に関して変形された、図1の詳細を示す中空ファイバ接続部の構成部品の斜視図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態による環状要素および接続要素の分解断面図である。
【図6】組み立て状態における図3の環状要素および接続要素の断面図である。
【図7】2つの中空ファイバのカートリッジへの接続の斜視側面図であって、好ましい実施形態による一方の中空ファイバ接続部が組み立て状態で示され、他方の中空ファイバ接続部が分解図で示される斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1および図2では、環状要素20および接続要素30を備える中空ファイバ接続部1が識別でき、さらに、中空ファイバ50を管状のハウジング部40の内部に締め付け、封止状態で位置決めするために、管状のハウジング部40の一端と結合され得る接続部品10が示される。管状のハウジング部40は、その中に位置決めされる中空ファイバ50を封止状態で支持するために、とりわけ外管のようなカートリッジを形成する。接続部品10は貫通孔を備えた一種の鞘として形成され、内部の段部にラジアル面12を含み、中空ファイバ接続部1の組み立て時に環状要素20の隣接する面に接触する。さらに図3は、接続部品10が雌ねじ11を含んでいてもよいことを示し、その結果、外管による管状のハウジング部40のハウジング接続部41の雄ねじ42にねじ止めされ得る。この場合、環状要素20はファイバの縦軸Aに沿う方向で接続要素30へと押し進められる。組み込まれた位置において、接続部品10はその際図示されるように、相当な部分のハウジング接続部41、接続要素30および環状要素20を覆う。これによって接続部品10が実質的にファイバの縦軸Aと同軸に整列され、軸方向に環状要素20に作用することが保証され得る。この環状要素20に対する作用方向は図5において軸方向の矢印Bにより示されており、半径方向に向けられた矢印Cは、どの方向で接続要素30の第1のジャケット面(外装面)33aに作用する力が加えられるかを示す。
【0051】
図1に示した態様に対する変形例である図4では、管状のハウジング部40の円筒状のハウジング接続部41は、その端面に、互いに正反対に対向する2つの凹部43a、43bを備えて構成され、環状の接続要素30は、その周面で半径方向外側へ突出し、互いに正反対に対向する2つの凸部44a、44bを備えて示される。凸部44a、44bは、ハウジング接続部41の端面で凹部43a、43bと係合するラッチカムを形成し、この凹部は凸部44a、44bと相補的な形状を示す。ハウジング接続部41での凹部43a、43bおよび接続要素30の外側での凸部44a、44bは、それゆえ一緒に、接続要素30をハウジング接続部41に耐トルク接続のための固定手段を形成する。これにより、ハウジング接続部41上へ接続部品10をねじ込む際、環状要素20を介した接続要素30への回転運動の伝達が阻止される。ハウジング接続部41での凹部43a、43bおよび接続要素30での凸部44a、44bの構成は、とりわけ射出成形製造方法を用いて簡単な方法で可能となり、また筒状のハウジング部40、中空ファイバ接続部10に必要な部品の製造コスト、および使い捨て品としての装置全体および/またはカートリッジの製造コストの理由からも推奨される。すなわち、中空ファイバ50への接続要素30を介しての回転運動の伝達によって、不利な場合においては、中空ファイバ50がトルクを受けるおそれがあり、それによって中空ファイバ50上の繊細な膜被覆の損傷はもはや除外され得ない。
【0052】
図5はさらに、環状要素20でのプレス面25および内側錐状部22を示し、接続要素30ではセクション35によって画定され、中空ファイバ(図3参照)が封止状態で保持され得る貫通開口部350が識別できる。接続要素30はさらに、環状要素20が組み込まれた位置で接触および/または図6に示されるように接触させられ得る接触面31を備える段部32を含む。環状要素20は、段部32に当接し、組み込まれた位置において接続部品10(図3参照)が設けられる側で接続要素30を覆う。中空ファイバ50は、貫通開口部350中で締め付けられ、および/またはクランプ状態で保持され、その場合にはバー351によって多少、具体的には相当な量まで圧縮される。
【0053】
以下に、図1〜図6をより詳しく参照して、中空ファイバ接続部1の機能および効果を記載する。
【0054】
まず述べておかなければならないことは、接続部品10を介する環状要素20および接続要素30の軸方向のクランプは、管状のハウジング部40を介して起こり、接続部品10によって加えられ、かつ実質的にファイバの縦軸Aに沿って向いた軸方向の力の流れは、環状要素20および接続要素30を介して管状のハウジング部40の雄ねじ42に伝達され、その結果、接触面12と雄ねじ42との間に閉じた力線が現れるということである:環状要素20および接続要素30は圧力を受け、接続部品10は実質的に、とりわけハウジング接続41に重なる領域で引張応力を受ける。このようにして、軸力は接続部品10および環状要素20を介して接続要素30に加えることができ、軸方向で環状要素20および接続要素30の上に達する力の流れが接続部品10の接触面12とハウジング接続41における雄ねじ42との間に付与される。このようにして、環状要素20および接続要素30の適切な安定した設計において、強い軸力を伝達でき、図5または6に示すように、実質的に管状の端部37を介しておよび/または接続要素30の前面34を介して、とりわけ接続要素30とハウジング接続部41との間のインタフェースでも確実な封止接続を作り出すことができる。ここで、軸力は、前面34を介して最も直接的に伝達することができる。しかしながら、管状の端部37のジャケット面(外装面)および前面34および/または表面を備える管状のハウジング部40における各接触領域でも実行することができ、これにより封止効果が達成され得るので、その結果、中空ファイバ50と管状のハウジング部40との間の体積60が、周囲環境から封止され得る。この体積60は、図3および図5に示されるように、とりわけ内側のジャケット面36を介して、部分的に接続要素30によっても形成される。また、管状の端部37のジャケット面および/または管状のハウジング部40での各接触面は、わずかに錐状に構成されてもよく、その結果、圧入は加えられる軸力によっても実現することができる。
【0055】
中空ファイバ50を封止する機能を説明するために、まず、本発明による中空ファイバ接続部1が、強い軸トルクの可能性にもかかわらず、中空ファイバ50の穏やかかつ細かく調節可能な締め付けおよび封止を保証できることを述べておく。この場合、図示される接続要素30の好ましい実施形態において、中空ファイバ50の半径方向の封止および締め付け機能は、管状のハウジング部に対する接続要素30の軸方向の封止機能とは分けられ得ることが示される。このために、図示した例示的な実施形態において、第1セクション30aは第2セクション30bから空間的に分離して設けられており、これらセクションの間の移行部として、第1セクション30aによって取り囲まれた中間セクション30cを設けられてもよい。第1セクション30aにおいて最初に半径方向の圧力が作り出されて中空ファイバ50に伝達され、その際に中空ファイバ50は、おそらくは図6に示されるように、所定の程度まで半径方向に圧縮されている。
【0056】
中空ファイバは、とりわけバー351における第1のシール面351a、また第2のシール面35aを介して、貫通開口部350の中のセクション35における外側のジャケット面(外装面)51に固定および封止される。半径方向の圧力は環状要素20によって引き起こされ、圧縮されるセクション33bに沿って第1のジャケット面33aから出発してセクション35へ、とりわけバー351へも導かれる。組み立て時に、環状要素20は、まず内側錐状部22を介して接続要素30と結合され、まず接続要素30で外側斜角面33に接触され得る。環状要素20を組み立て位置に持ち込むために、環状要素20が段部32に突き当たる、つまり接触面31での環状要素20が前面24に接触するまで、軸力が接続部品10を介して環状要素20の後面24aに加えられる。組み立て状態では、環状要素20の構造および段部32の位置によって圧縮されるセクション33bが生じ、これにより半径方向の力がセクション35に合わせて加えられ得る。図6において、圧縮されるセクション33bは接続要素30で認識でき、これにより内側錐状部22の部分および平行に延伸するプレス面25の部分を備える環状要素20が、接続要素30の第1のジャケット面33aに作用する。
【0057】
以下、時系列順に図5および図6についてより詳細な説明を行う。圧縮時に作用する力はそれぞれ矢印によって示される。とりわけ、環状要素20で示される軸方向の矢印Bは、接続部品(図2参照)によって生み出され得る力を示し、接続要素30で半径方向に向かう矢印Cは、環状要素20によって接続要素30に作用する力を示す。
【0058】
図5は、環状要素20および接続要素30を備える中空ファイバ接続部1の好ましい実施形態を示し、環状要素20では力は実質的にファイバの縦軸Aの方向に作用し、接続要素30では環状要素20を介して加えられる力はわずかにファイバの縦軸Aの方向へも作用するが、主として半径方向に、つまりファイバの縦軸Aに対してほぼ直角に作用する。環状要素20では、接触面31を介してコネクタ30と接触するように設けられる前面24が識別できる。このインタフェースを介して、高い軸力が接続部品10からハウジング接続部41(図3参照)へ伝達され、その結果、接続要素30とハウジングとの間での封止接続も保証することができる。軸力は、後面24aを介して、とりわけ接続部品の接触面を介して環状要素20の中へ伝達される。環状要素20はさらに、内側錐状部22に移行するおよび/またはこれを含むプレス面25を含む。内側錐状部22は外側に向かって半径方向に傾斜しており、すなわち内側錐状部22はファイバの縦軸Aに対して、コネクタ30の方向に約5°〜35°または40°までの範囲の鋭角を有する。図示されるように、内側錐状部22は、リング20の幅の約半分にわたって延び、残りの半分はファイバの縦軸Aおよび/または環状要素20の対称軸に関して実質的に平行な面によって形成され、この面はプレス面25の一部を形成する。このプレス面25は斜角面23を介して後面24aへ移行する。この斜角面23は、例えば、接続部品と環状要素20との間に潜在的な相対運動がある場合に高い摩擦力が現れないように、接続部品とのインタフェースにバリのない縁部を提供する役目を果たしてもよい。
【0059】
接続要素30は、上述のように、それぞれ独立した機能を備える2つのセクションを含み、すなわち一方は第1セクションまたはプレスセクション30aであって、他方は第2セクション30bである。このセクション30a、30bはここで視覚的に言えば、接触面31により分離でき、プレス面30aは環状要素20によって加えられた力を、セクション35を介してファイバ(図示せず)へ伝達するために設けられている。プレスセクション30aにおいて貫通開口部350を制限するセクション35は、円周方向の壁状に配設されており、図示されるように実質的に段部32側に面さない、プレスセクション30aの半分の位置で、セクション35は、第1のシール面351aが実質的にファイバの封止および締め付け機能を果たすことができるバー351を有する。
【0060】
さらに、第2のシール面35aは、貫通開口部350を制限するセクション35で構成されており、図示されるようにバー351に対してより大きな内径を有している。これによってバー351は、適切であれば、より大きな力または少なくとも第2のシール面35aよりも高い力を中空ファイバ50に加え得る。但し、第2のシール面35aは、例えば付加的にセンタリングの機能を保証し得る。環状要素20に面するプレスセクション30aの側に、外側斜角面33が設けられ、これは接続要素30へのリング20の組み立てが容易に可能となるように、ファイバの縦軸Aに対してリングの内側錐状部22と同じ角度を有していてもよい。とりわけ、環状要素20は外側斜角面33により接続要素に差し込まれることができ、この場合いずれかの接続部品を介して接続要素30上へ完全に押込まれ、および/または押圧される前に、何の留め具も用いずに容易に位置決めされ得る。外側斜角面33は、接続部品の配置が管状のハウジング部に対して、接続部品が環状要素20と接触する前に、一定の距離だけハウジング接続部でねじにねじ込まれることによって保証される場合にとりわけ有利である。これによって、外側斜角面33により、環状要素20が押込まれる前にもはや容易には接近できない場合であっても、環状要素20のあらゆる傾斜が防がれ得る。
【0061】
接続要素30はさらに、段部32で第2のジャケット面(外装面)38を含み、これによりコネクタ30の半径方向の耐トルク性がいずれかのハウジングの中でも保証され得る。この耐トルク性は、例えばハウジング内への圧入に関して第2のジャケット面38の、とりわけ、粗い表面により起こり得るが、とりわけ段部32が円筒形で構成されず、歯付きまたは他の構造による第2のジャケット面38の場合には、形状嵌合接続が可能である。第2のジャケット面38は、接続要素30の前面34を介して管状の端部37へ移行し、これにより接続要素30は管状のハウジング部および/または装置中でセンタリングされ得る。内側のジャケット面36は管状端部37の外径よりもわずかに小さな内径を示すことから、内側のジャケット面36は管状端部37と共に、接続要素30の別の箇所の壁の厚みに比べてむしろ薄い壁厚の接続部品を形成する。
【0062】
内側のジャケット面36は、すでに図示されるようにプレスセクション30aの中に配設される内側の斜角面移行部39を介してバー351へ移行する。この内側の斜角面移行部39はデザインに関連するものだが、その角度もしくはその長さが、プレスセクション30aに加えられる半径方向の力が第2セクション30bに伝達されるか否か、および/または、どのような強さで伝達されるかに影響を及ぼすよう、機能を割り当てられてもよい。図示されるように、内側の斜角面移行部39は比較的急であり、すなわちファイバの縦軸Aに対して45°よりも大きく、またこの斜角面移行部は、段部32および/または接触面31から一定の最小限の距離を示す、プレスセクション30a中の位置で終了し、その結果、ここで壁の厚みおよび位置および構造条件によって第2セクション30bからプレスセクション30aの分離を行うことができる。内側の斜角面移行部39と段部32との間のセクションは、この場合、小さな曲げ剛性しか示さないが、高い圧力抵抗を示す中間セクション30cとして示される。中間セクション30cが設けられる場合、第1セクション30aは側面で中間セクション30cに続くセクション、つまりこれを含まないセクションと考えられてもよい。というのも、中間セクション30cは主として曲げ力を伝達する目的で設けられるのであって、半径方向の圧力を伝達するために設けられているのではないからである。
【0063】
さらに図5で認識できるように、中間セクション30cはすでに内側のジャケット面36のセクションと接触しており、最も薄い壁の厚みを有するセクションおよび/または第1セクション30aの部分を表す。このような構造条件の実施形態において、接続要素30の第1のジャケット面33aに加えられる圧力は、第1セクション30aにおけるあらゆる変形が第2セクション30bの第2のジャケット面38に大きく伝達されることなく、とりわけ効果的にセクション35へ伝達され得る。その場合、これは接続要素30に選択される材料からも概ね独立している。
【0064】
図6は組み立て状態における図5の構成要素を示す。中空ファイバ接続部1は、ここでは中空ファイバ50と接続して示されており、環状要素20から接続要素30に加えられる力が中空ファイバ50にどのように影響するかが認識できる。中空ファイバ50はその外側のジャケット面51と共に、貫通開口部350の内部でコネクタ30のプレス領域および/またはセクションに保持される。環状要素20での内側錐状部22の傾きおよび/または角度位置に基づき、内側錐状部22の長さおよび/またはリング20の幅と関連して、とりわけ接続要素30上のリング20の位置に応じて、効果的な力の作用点は、バーの位置と合わせられ得る。これは、力の影響の方向においてそれぞれ矢印によって示される。しかしながら、中空ファイバ50の断面は、外側のジャケット面51および内側のジャケット面52の両方で、バー351だけではなく第2のシール面によっても影響を受け、この場合は圧縮されている。中空ファイバ50の断面の縮小は、この場合バー351の位置、つまり力のベクトルが向いた位置で最も重要である。半径方向の力は、貫通開口部350の全範囲にわたって伝達され得る。組み立て状態において環状要素20は、その前面24が段部32の接触面31に接触する。この場合、環状要素20は対向する側で接続要素30に重なる。これにより、力はプレスセクション30aの広い範囲にわたり接続要素30に均一に加えることができ、また同時に、力の流れは内側錐状部22の角度に応じてバーに集中され得る。
【0065】
接続要素30のシール面35a、351aの内径の断面圧縮のために、バー351は、所定の、適切であれば最大の圧力の箇所に配置される。このバー351は、30バールまでの圧力に対して上述の力の影響によってファイバ50を封止し得る。同時に、接続要素30の内部のファイバ50の位置ずれは、軸方向において防止され得る。外部から均一に加えられる力によって、ファイバ50はハウジング40および/またはカートリッジの他の全ての部分に対して同軸に支持される。ファイバ50の正確な同心度は、重要度が高い。というのも、弱い分離力しか与えられないときには、回転対称性が不充分にしか与えられていないか、またはまったく与えられないことが公知であるからである。つまりこの場合、供給管に対するファイバ50のオフセットが与えられる危険性があり、その結果、それによって発生する乱流が入口での試料の集束/緩和を悪化させ、またさらにすでに分離されたフラクションが出口で混合される。
【0066】
図7は、管状のハウジング40および2つの接続部品10と接続した中空ファイバ接続部1を示し、一方の接続部品10はすでに取り付けた状態で示し、他方の接続部品10は環状要素20および接続要素30と共に展開図で示す。図示されるハウジング40は、例えばフラクション装置の一部を表してもよい。図2および図3に関して、中空ファイバ50がハウジング40よりも相当に小さな直径を示し、その結果、カラー状の接続部70を介して排出される横流が流れる体積60および/または半径方向の体積がその間に生じることを識別できる。様々な用途に適合させるために、カートリッジ40の長さは簡単な方法で調整され得る。
【0067】
環状要素20、接続要素30および中空ファイバは、接続部品10の完全な締め付けの後、これらが容易に互いに分離され得ないように互いに接続される。それにもかかわらずこれが必要になる場合、環状要素20が接続要素30よりも大きな半径方向の延伸部を示すことが有利であり、その結果、環状要素20は前面24に係合する適当な工具を用いて、接続要素30から引き抜かれ得る。完成したカートリッジ40は、2つの同様の接続部をハウジング接続部の入口側および/または出口側に含んでいてもよい。両方の接続部が閉鎖されており、それゆえ中空ファイバが各接続要素30の中に押し込まれる場合、少なくとも破壊を伴わない場合には、中空ファイバは通常それ以上分解され得ない。
【0068】
中空ファイバ50を管状のハウジング部40に接続するための、本発明による接続部は、様々なファイバの直径に対して好適であることが実証されている。孔径を調節する場合には、狭い許容限度を維持することが有利であって、これは2/100ミリメートルほどのわずかな範囲における偏差が封止効果を低減し得るからである。適用に際してファイバ50とハウジング40との間の横流に対する空間が体積60の部分に応じて非常に大きい場合、体積60の充填は、例えば約0.5mmの直径を示す微細なガラスまたはプラスチック球を用いて行ってもよい。カートリッジ40での横流のコネクタ70は標準的なコネクタとして構成されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 中空ファイバ接続部
10 接続部品
11 接続部品−雌ねじ
12 接触面
20 環状要素
22 内側錐状部
23 内側斜角面
24 環状要素の前面
24a 環状要素の後面
25 プレス面
30 接続要素
30a 第1セクション
30b 第2セクション
30c 中間セクション
31 接触面
32 段部
33 外側斜角面
33a コネクタの第1のジャケット面
33b 圧縮されるセクション
34 接続要素の前面
35 セクション
350 貫通開口部
35a 第2のシール面
351 バー
351a 第1のシール面
36 コネクタの内側のジャケット面
37 管状の端部
38 コネクタの第2のジャケット面
39 内側の斜角面移行部
40 管状のハウジング部
41 ハウジング接続部
42 雄ねじ
43a、43b 凹部
44a、44b 凸部
50 ファイバ
51 中空ファイバの外側のジャケット面
52 中空ファイバの内側のジャケット面
60 体積
70 カラー状の接続部
A ファイバの縦軸
B 軸方向の矢印
C 半径方向に向いた矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空ファイバ(50)の一端を収容するための貫通開口部(350)を含む接続要素(30)を備える、フィールドフローフラクショネーションに好適な中空ファイバ(50)の端部用の中空ファイバ接続部(1)であって、
環状要素(20)が接続要素(30)に取り付けられ得ることを特徴とし、
前記接続要素(30)での前記環状要素(20)の取り付けが前記貫通開口部(350)を制限する前記接続要素(30)のセクション(35)により、前記中空ファイバ(50)の端部との封止接続のために、前記接続要素(30)における前記貫通開口部(350)の断面の縮小を生じさせるように構成されている中空ファイバ接続部(1)。
【請求項2】
前記環状要素(20)が取り付け状態で、実質的に前記ファイバの縦軸(A)で前記接続要素(30)上に押し付けられて配置されることを特徴とする請求項1記載の中空ファイバ接続部。
【請求項3】
前記環状要素(20)の取り付け状態において前記接続要素に作用する力が、実質的に前記ファイバの縦軸(A)に対して半径方向に前記中空ファイバ(50)の端部の方向に向けられていることを特徴とする請求項1または2記載の中空ファイバ接続部。
【請求項4】
前記接続要素(30)が、半径方向の圧力を前記中空ファイバ(50)に伝達するように構成されている第1セクション(30a)を含んでなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空ファイバ接続部。
【請求項5】
前記接続要素(30)が、少なくとも前記第1セクション(30a)において圧縮可能な材料で作製されていることを特徴とする請求項4記載の中空ファイバ接続部。
【請求項6】
前記第1セクション(30a)が、前記ファイバの縦軸(A)の方向で軸力に対して主として圧縮不能な材料から形成されていることを特徴とする請求項4または5記載の中空ファイバ接続部。
【請求項7】
前記貫通開口部(350)を制限するセクション(35)が実質的に完全に前記第1セクション(30a)に含まれていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の中空ファイバ接続部。
【請求項8】
内側錐状部(22)が形成されるように、前記環状要素(20)が、少なくとも1つのセクション内で錐状に拡大されて形成される内面を含んでなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の中空ファイバ接続部。
【請求項9】
前記内側錐状部(22)の内面が、前記環状要素の縦軸に対して45度よりも小さな角度で傾斜していることを特徴とする請求項8記載の中空ファイバ接続部。
【請求項10】
環状要素(20)が、前記第1セクション(30a)における前記接続要素(30)の第1のジャケット面(33a)の軸長よりも大きい軸長を前記ファイバの縦軸方向において有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の中空ファイバ接続部。
【請求項11】
前記接続要素(30)が、前記貫通開口部(350)を制限するセクション(35)で内側に突出するバー(351)を含んでなり、該バー(351)が、前記環状要素(20)の取り付け状態において、中空ファイバ(50)の外側のジャケット面(51)で前記接続要素(30)に封止接触するように構成された第1のシール面(351a)を画定することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の中空ファイバ接続部。
【請求項12】
前記第1のシール面(351a)が実質的に円筒形状を示し、その円形が好ましくは完全な円筒形状から2/100ミリメートル未満で逸脱することを特徴とする請求項11記載の中空ファイバ接続部。
【請求項13】
前記バー(351)が、軸方向に見て、実質的に前記第1セクション(30a)において中心に配置されていることを特徴とする請求項12記載の中空ファイバ接続部。
【請求項14】
前記接続要素(30)の外側に前記環状要素(20)のための段部として機能する段部(32)が配置されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の中空ファイバ接続部。
【請求項15】
接続部品(10)が、前記環状要素(20)および前記接続要素(30)の封入下に前記中空ファイバ(50)を取り囲む管状のハウジング部(40)との結合のために設けられることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の中空ファイバ接続部。
【請求項16】
前記中空ファイバ接続部(1)が、半径方向に作用する力を介して前記環状要素(20)を前記接続要素(30)に対して軸方向に移動させ、前記接続部品(10)を介して前記貫通開口部(350)を制限するセクション(35)を通して前記中空ファイバ(50)の一端と前記接続要素(30)との間で封止接続を作り出すことによって、また前記接続要素(30)の前面(34)を介して前記接続要素(30)と前記管状のハウジング部(40)との間に作り出されている封止接続によって、前記中空ファイバ(50)の一端と前記接続要素(30)との間および前記接続要素(30)と前記中空ファイバを収容する前記管状のハウジング部(40)との間での封止接続を引き起こすように構成されていることを特徴とする請求項15記載の中空ファイバ接続部。
【請求項17】
前記接続部品(10)が、前記管状のハウジング部(40)とのねじ接続のために端子ナットとして構成されていることを特徴とする請求項16記載の中空ファイバ接続部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−110891(P2012−110891A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−247520(P2011−247520)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(510003287)ワイアット テクノロジー ヨーロッパ ゲーエムベーハー (5)
【Fターム(参考)】