説明

中空糸用紡糸口金

【課題】繊維横断面の全面積に対して中空部が3〜30%とした中空率を有する中空糸を得ることができ、しかも、中空割れの発生を防止でき、その上、良好な紡糸調子を長時間維持することができる紡糸口金を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリマーを吐出する複数の円弧状スリット群が同一の円周上に2〜8個穿設された中空糸用口金において、スリット孔のディメンジョンから算出される面積重心O2と中空中心O1との距離L1と、スリット孔から紡出されるポリマーの流量中心O3と中空中心との距離L2が、L1がL2よりも3μm小さいという関係を満たすことを特徴とする中空糸用紡糸口金。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等の熱可塑性合成樹脂を原料とする繊維を溶融紡糸するための紡糸口金に関し、特に、中空繊維を紡糸するため紡糸口金に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維の長手方向に沿って内部に中空を有するポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などの熱可塑性合成繊維からなる中空糸は、保温性、嵩高性、軽量性等において優れた性能を有するため、幅広い用途に使用されている。
【0003】
一般に、このような中空糸を紡糸するために、円弧状スリット形状を有する吐出孔が穿設された紡糸口金が慣用されており、このような円弧状スリット孔としては、例えば特許文献1(特開昭49−41625号公報)などに提案されているように円弧状スリット孔の両端部に、突出流路、丸形状突出流路、丸形状流路を設けたものが公知である。
【0004】
確かに、これらの中空糸用紡糸口金を用いれば、良好な中空糸を安定して得られることがあるが、中空割れ異常などの紡糸工程調子に悪影響を及ぼす異常を発生する可能性を完全に防止するには到っていない。
【0005】
一方、近年、品位に優れた緻密できめ細かなタッチやドレープ性に優れた布帛が上市され、そのような布帛を得るために極細繊維が多用されている。このような極細繊維を得るための手段としては、一つの方法として、最初から細繊度を有する単繊維群(フィラメント群)を紡糸する方法がある。しかしながら、この方法では得られる極細繊維の下限繊度に限界がある。
【0006】
そこで、他の方法として、成分の異なる2つの重合体からなる複合繊維を製造して、この複合繊維を異なる成分の貼り合せ面で分割したり、一方の成分を抽出して他方の成分だけを残したりすることによって細繊度化する方法がある。この方法は、先に述べた方法と比較すると、より細繊度の極細繊維を得ることができるという利点がある。また、この方法によって細繊度の複合繊維を製造し、これを布帛とした後に、複合繊維を前述の分割や抽出によって細繊度化することによって、工程の合理化や工程調子の向上を図ることができるという利点がある。
【0007】
なお、ポリエステルは、機械的な特性や熱安定性などに優れているので、少なくとも1成分がポリエステルポリマーで構成された複合繊維が従来から用いられている。例えば、特許文献2(特開2004−270115号公報)などにおいて、このようなポリエステルをその成分として持つ複合繊維が提案されている。
【0008】
上記のように複合繊維を分割して極細繊維にする技術は、例えば、特許文献3(特表2001−519488号公報)などに提案されているように、従来から数多くある。例えば、高圧の水ジェット、叩解などの方法によって、複合繊維に機械的な力を加えることにより、複合繊維を構成する各ポリマーセグメントを貼り合せ面で分割する方法がある。また、複数のポリマー成分によって形成された複合繊維の特定成分を溶剤によって溶かして除去し、非溶解の成分セグメントだけを残して極細繊維を形成する方法がある。
【0009】
ここで、異なる2つの成分を貼り合せた複合単繊維を機械的な力のみで貼り合せ面に沿って分割をしようとする場合には、各成分の断面形状が重要であって、図4に代表的な分割型複合単繊維の横断面形状を示す。ただし、安定して分割するためには、図4(b)に例示したような中空断面形状を有する中空糸とすることが望ましい。
【0010】
そこで、このような中空糸を中空割れなどの問題を発生させることなく安定して紡糸するための紡糸口金として、図5に示すような円弧状のスリット孔群の両端部あるいは両端部近傍に突出流路を設けることが提案されている。しかしながら、図4(b)に例示したような中空断面形状を有する中空複合繊維を得るためには、円弧状のスリット孔群の両端部あるいは両端部近傍に突出流路を設けることは、各ポリマー・セグメント間のバランスを崩すことになり、望ましくない。よって、突出流路を設けない円弧状スリット孔群のみの中空糸用紡糸口金において、中空割れなどを発生させない紡糸口金の開発が必要とされてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭49−41625号公報
【特許文献2】特開2004−270115号公報
【特許文献3】特表2001−519488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記従来技術が有する諸問題を解決することを目的としてなされたものであって、繊維横断面の全面積に対して中空部が3〜30%とした中空率を有する中空糸を得ることができ、しかも、中空割れの発生を防止でき、その上、良好な紡糸調子を長時間維持することができる紡糸口金を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ここに、前記課題を解決するための請求項1に係る本発明として、「熱可塑性ポリマーを吐出する複数の円弧状スリット群が同一の円周上に2〜8個穿設された中空糸用口金において、スリット孔のディメンジョンから算出される面積重心と中空中心との距離をL(μm)とし、スリット孔から紡出されるポリマーの流量中心と中空中心との距離をL(μm)とした場合に、L−L≧3μmという関係を満たすことを特徴とする中空糸用紡糸口金」が提供される。
【0014】
また、請求項2に係る本発明のように、「2種の熱可塑性ポリマー成分であるポリマー(A)とポリマー(B)とからなる各ポリマーセグメントが円周方向にそれぞれ互い違いに貼り合わされて全体としての横断面が中空円形を呈する複合単繊維群からなるマルチフィラメントを紡出するための紡糸口金である、請求項1に記載の中空糸用複合紡糸口金」が提供される。
【0015】
更に、請求項3に係る本発明のように、「紡出する中空糸の中空率が3〜30%である、請求項1または2に記載の中空糸用紡糸口金」が提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上に述べたように、本発明に係る中空糸用紡糸口金を用いることにより、隣接するスリット孔から吐出されるポリマー同士の接合が容易となり、中空割れの発生を防止することが出来る。また、同紡糸口金を用いて分割型複合繊維を紡糸することにより、細繊度繊維に容易に分割することができる、2成分以上のポリマーからなる複合繊維を溶融紡糸することができるという極めて顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る中空糸用複合紡糸口金を例示したものであって、図1(a)は正断面図、図1(b)〜(e)は、図1(a)におけるA−A矢視断面、B−B矢視断面、C−C矢視断面、そして、D−D矢視断面をそれぞれ示す。
【図2】本発明に係る中空糸用複合紡糸口金に穿設された吐出孔部を拡大して例示したものであって、図1(b)に例示した図である。
【図3】実施例の評価結果である。
【図4】代表的な分割型複合繊維の繊維横断面形状を例示した断面図である。
【図5】代表的な中空糸用紡糸口金の吐出孔形状を例示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等の熱可塑性合成繊維を溶融紡糸するための、本発明に係る中空糸用複合紡糸口金を例示したものである。この図1において、図1(a)は正断面図、図1(b)〜(e)は、図1(a)におけるA−A矢視断面、B−B矢視断面、C−C矢視断面、そして、D−D矢視断面をそれぞれ示す。
【0019】
ただし、図1(a)〜(e)では、中空糸用複合紡糸口金に穿孔された一つの代表的な吐出孔だけを取り出して説明しているが、実際の紡糸口金には、マルチフィラメント糸を紡出するために多数個の吐出孔群が一つの中空糸用複合紡糸口金に穿設されていることは言うまでもない。
【0020】
この例の中空糸用複合紡糸口金では、第1口金板1、第2口金板2、及び第3口金板3は、下から順番に上方へ積層された状態で紡糸口金パック内に組み込まれて溶融紡糸に供される。ただし、この例は、2種のポリマー(A)とポリマー(B)を用いた例であるが、もちろん、周知の複合紡糸口金のように、2種以上のポリマーを用いるようにしても良い。
【0021】
なお、実際には第3分配板3の上に更に複数枚の分配板を積層配置し、2成分以上のポリマーを効率的に移送する口金構造となっている。ただし、図1には、2種類のポリマー(A)とポリマー(B)をそれぞれ第3口金板3へ移送するための他の口金板については、容易に設計可能な事項であるので、口金構造の説明が錯綜して複雑化するのを回避するために、本発明の技術的特徴を説明する部分のみを図示し、その他の部分は図示省略した。
【0022】
次に、これらの口金板群1〜3に加工されたポリマー流路にポリマーが流れる様子を以下に説明する。ただし、本発明においては、少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーを使用するが、以下の説明では、2種類のポリマー(A)とポリマー(B)の場合について説明する。
【0023】
図1に例示した中空糸用複合紡糸口金において、先ず、ポリマー(A)とポリマー(B)が、第3口金板3に穿設された分配孔群31(図示例では、16個穿孔されている)へ交互に分配されて流入する。このようにして、分配孔群31へそれぞれ交互に流入したポリマー(A)とポリマー(B)は、引き続いて第2口金板2に穿設された合流孔21へそれぞれ流入して、この合流孔21において、ポリマー(A)とポリマー(B)は互いに合流し、扇状楔形状を有する複数個(図では16個)のポリマーセグメントが交互に貼り合わされる。
【0024】
なお、前記分配孔群31は、図1(e)に例示したように、これら孔群の各孔中心がそれぞれ一つの同心円Cの上に位置するように、好ましくは円周列を形成して交互に入れ違いに等ピッチ間隔で配列されている。
【0025】
以上に説明したように、分配孔群31から円形の合流孔21に流れ込んで合流した各ポリマー(A)流及び各ポリマー(B)流に対しては、それぞれ均等な流量と圧力が維持されているので、扇状の楔形状の先端を繊維横断面の中心に向けて交互に円周配列した状態で貼り合わされる。そして、各ポリマーが扇状楔形状に交互に貼り合わされた断面形状を有する合流ポリマーは、第1口金板1に穿設されたポリマー導入孔11を流下して、次第に縮流しながら引き続いてポリマー吐出孔12へ流入する。
【0026】
なお、このポリマー吐出孔12は、図1(b)に図示したように複数個(図示例では2個)のスリット状流路群(スリット孔群)を有しており、このようなポリマー吐出孔12からポリマー(A)とポリマー(B)とが合流して形成された前記合流ポリマー流が吐出されることによって中空複合繊維として最終的に紡出される。なお、この中空複合繊維は、貼り合せられたポリマーセグメントの数は異なるが、図4(b)に例示したものと同じタイプの中空繊維である。
【0027】
ここで、ポリマーの接合が生じる部分、すなわち隣り合うスリット孔の両端部には同一のポリマー(この例ではポリマー(A))が流れ込むよう分配孔群31を配置することが重要である。なぜなら、ポリマーの接合は同一ポリマー同士のほうが生じやすく、同一ポリマーが貼り合わされると容易に分離しがたい(中空割れしがたい)からである。
【0028】
また、スリット孔の両端部を流れるポリマー(A)としては、炭化物などの異物を発生しがたいポリマーを選択する。何故ならば、スリット孔の両端部には、炭化物などの異物が他の部分よりも堆積しやすく、このような炭化物が生成すると吐出孔12から吐出されるポリマーの吐出の安定性を損うからである。
【0029】
図2は、本発明に係る中空糸用複合紡糸口金に穿設された吐出孔部を拡大して例示したものであって、左右対称に形成された2個の円形状スリットからなる1個の吐出孔12に関し、その中の一つの円形状スリットだけを取り出して図示したものである。
【0030】
ここで、本発明の中空糸用複合紡糸口金においては、前記図1(b)と図2に例示したように、熱可塑性ポリマーを吐出する複数の円弧状スリット孔群が同一の同心円C上に穿設され、スリット孔のディメンジョンから算出される面積重心(O)と中空中心と(O)の距離Lとし、スリット孔から紡出されるポリマーの流量中心(O)と中空中心(O)との距離Lとした場合に、LがLより3μm以下長いという関係(L−L≧3μm)を満たすことを特徴としている。
【0031】
なお、面積重心(O)の算出は、吐出孔12の設計図面から算出し、ポリマーの流量重心(O)については、流体力学理論に基づいた理論計算結果から算出することができ、本発明においては、市販の流動解析ソフトを使用した解析結果から算出したものである。
【0032】
なお、図2は、前述の市販の流動解析ソフトを使用した解析結果を示したものであって、スリット孔内を流れるポリマーの流量をコンター図で表したものである。この場合、実際は、スリット孔中心部を流れるポリマー流量が最も大きく、スリット孔壁面部を流れるポリマー流量が最も小さくなる。ただし、図2のポリマーの流量の実際のコンター図では、ポリマー流量が最も大き部分は「赤色」で表し、ポリマー流量が最も小さい部分は「紫色」で表しているが、図2では、カラー表示できないため、図示したような表示となってしまったことを断っておく。
【0033】
本発明において、LがLよりも長いということが意味するところは、流量重心(O)が面積重心(O)よりも中空中心(O)からみて外側にあるということである。つまり、流量重心(O)が吐出孔12の中空中心からよりずれているので、吐出孔12から紡出された際、紡出されたポリマーは面積重心(O)の方向に向かう大きな力のベクトルを持つことを意味する。このことは、スリット孔から吐出されるポリマーが吐出孔12から出た後に、中空中心側に向かう大きな力を受け、強い力で貼り合わされるということでもある。
【0034】
その結果として、隣り合う円弧状スリットから紡出されるポリマー同士の距離を狭め、ポリマーが吐出孔12から出た直後に膨らむバラス効果とあいまって、中空割れを発生する確率を低下させる効果が出るのである。しかも、本発明のように、LがLよりも3μm以上大きくなれば、中空割れの発生は極めてゼロに近づくわけである。
【0035】
図2に示す実施態様においては、1本の中空単繊維をそれぞれ紡出する各1個の吐出孔は、2個の円弧状スリット孔を有している。ただし、円弧状スリット孔の穿設個数に関しては、特に制限する理由はないが、本発明の中空糸用分割型複合紡糸口金においては、下記のような理由から2個であることがより好ましい。
【0036】
すなわち、分割型中空複合糸を想定した場合に、この型の中空複合糸では、中空率を大きくする必要がない(中空単繊維を構成する同一ポリマーが繊維の中央部で互いに結合してしまって、分割できなくなるのを防止できれば良い)ためである。逆に、スリット孔の個数が1個の場合には、設計上の要請からCの字形状を有するスリット孔となるが、この場合には、前述の図4(b)のような断面形状を有する中空糸を得るためには、2成分の異なるポリマーの吐出バランスなどを安定させるのが困難であり不適である。
【0037】
これに対して、分割型中空複合繊維でない場合で、中空率を上げるために、スリット孔の個数を必要に合わせ変更する必要がある。その際、図5に示す突出流路を設けるが、突出流路の設置にあたって、LがLよりも3μm以上長くなるよう設計すれば、中空割れは防止できるのである。
【0038】
逆に、低中空率の中空糸を紡出するためには、スリット孔の個数は少ない方がよい。何故ならば、スリット孔間の非穿孔部の存在により、吐出直後の糸ではこの非穿孔部分が開口して、ここから中空形成部に空気が流入し、中空率に影響を与えるからである。なお、隣接するスリット孔間の間隙(非穿孔部の距離)を短くすることは、隣接するスリット孔から吐出された後のポリマー同士の安定した接合のためには有効に作用する。
【0039】
したがって、隣接するスリット孔間の間隙(非穿孔部の距離)を短くすることが好ましいが、本発明の紡糸口金においては、加工技術の限界を考慮して隣接するスリット孔間距離を60μm程度としている。何故ならば、この程度の距離であれば、本発明に示すLがLよりも3μm以上小さくなるようなスリット孔をそれほど困難なく穿設でき、しかも、中空割れなどを生じずにポリマー同士の安定した接合が実現できるからである。
【0040】
以下、本発明に係る中空糸用複合紡糸口金について行なった実験例により、さらに具体的に本発明の作用と効果を説明する。なお、この一連の実験において、下記に示す中空割れ発生率と面掃周期にて、本発明の口金評価を行なった。
【0041】
(1) 中空割れ発生率:所定の速度で紡出された糸条を採取し、そこでの原糸断面に中空割れが発生している割合を調査した。
実験例1は、前記L−L=11μmの吐出孔を持つ口金、実験例2は、L−L=4μmの吐出孔をもつ口金、比較例としては、L−L<3μmであるである吐出孔を持つ8種類の口金を製作して行なった。なお、全ての実験例1、2および比較例において、吐出孔を有する第1口金板以外は全て同一仕様の口金板を使用している。その際、スリット間距離dについては、d=60μmとし、これらの値は、実験例1、2および比較例においては、全て一定値に固定した。
【0042】
以上に述べた口金の中空割れ発生率を確認するため、実施例1,2および比較例の口金を紡糸口金パックに装着し、紡糸試験を行った。なお、該試験は、2台の溶融押出機によってポリエステルおよびポリアミドをそれぞれ溶融させた後、それぞれの計量ポンプによって、各ポリマーを連続計量しながらスピンブロック(溶融紡糸装置)へ送る。なお、スピンブロックには、図1に例示した中空糸用複合紡糸口金が装着されており、この紡糸口金に穿設された3000ホール(孔)の吐出孔群から1吐出孔当り約0.5g/minずつからなる2成分ポリマーが前記口金から紡出される。このようにして、口金から紡出されたマルチフィラメント糸は、溶融紡糸の定法に従って冷却し、2500m/minで引き取った。
【0043】
以上に述べたようにして得られた中空糸に対して、中空割れ発生率の評価を行なった。その結果を、図3に示す。この図3から明らかなように、本発明の口金(実験例1、実験例2)は、中空割れの発生率が0%であるのに対し、比較例の8種類の口金ではL−Lが3μmよりも小さくなればなるほど、中空割れ発生率が増加しており、L−L=3μmを境に明確な差があることが確認された。
【符号の説明】
【0044】
1 第1口金板
2 第2口金板
3 第3口金板
11 ポリマー吐出孔
12 合流ポリマーの導入孔
21 合流孔
31 分配孔群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマーを吐出する複数の円弧状スリット群が同一の円周上に2〜8個穿設された中空糸用口金において、スリット孔のディメンジョンから算出される面積重心と中空中心との距離をL(μm)とし、スリット孔から紡出されるポリマーの流量中心と中空中心との距離をL(μm)とした場合に、L−L≧3μmという関係を満たすことを特徴とする中空糸用紡糸口金。
【請求項2】
2種の熱可塑性ポリマー成分であるポリマー(A)とポリマー(B)とからなる各ポリマーセグメントが円周方向にそれぞれ互い違いに貼り合わされて全体としての横断面が中空円形を呈する複合単繊維群からなるマルチフィラメントを紡出するための紡糸口金である、請求項1に記載の中空糸用複合紡糸口金。
【請求項3】
紡出する中空糸の中空率が3〜30%である、請求項1または2に記載の中空糸用紡糸口金。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−168681(P2010−168681A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10905(P2009−10905)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】