説明

中空糸膜モジュール及びそれを用いた水処理装置

【課題】 上側固定部より露出した各中空糸膜根元付近での夾雑物や汚泥の堆積が起こり難く、長期間安定してろ過性能を発揮することができる中空糸膜モジュールを提供すること。また、長期間にわたって安定して水処理が可能な水処理装置を提供すること。
【解決手段】 中空糸膜11の上端部が中空糸膜端を開口した状態にて固定される上側固定部30と、前記中空糸膜11の下端部が中空糸膜端を封止した状態にて固定され、エアスクラビング用の空気導入孔23を有する下側固定部20とを備え、各中空糸膜11を上下方向に延びるように保持して被処理水中に浸漬される中空糸膜モジュールにおいて、複数本の中空糸膜11が上端部で結合された複数の中空糸膜束12を、前記上側固定部30の径方向中心を中心とする放射線上に配置して該上側固定部30に固定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川水などの浄水処理、あるいは下水、工業廃水などの膜分離活性汚泥法による汚水浄化処理などに用いられる外圧型の中空糸膜モジュール及び水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、膜分離活性汚泥法による汚水浄化処理において、生物反応槽内の好気性処理された被処理水(活性汚泥混合液)中に、中空糸膜を上下方向に延びるように保持して起立姿勢にて浸漬されて、中空糸膜内部を吸引することにより被処理水の膜ろ過による固液分離を行って透過水を得る外圧型の中空糸膜モジュールが用いられるようになってきている。
【0003】
そして、この種の中空糸膜モジュールとして、特開2003−326140号公報記載のものが知られている。図7はこの従来の中空糸膜モジュールの概念図であり、一部を断面図で示している。この従来の中空糸膜モジュール70は、図7に示すように、上部固定部72及び下部固定部74を有し、2つの固定部72,74は、支持棒76により連結支持されている。
【0004】
上部固定部72は、複数本の中空糸膜の両端を接着した中空糸膜束78の複数を、支持棒76を中心として、その周囲に二重に配置し、支持棒76の両端と共に接着剤80で一体化した構成となっている。中空糸膜束78の上端面は開口されている。そして、上部固定部72はこれと一体となったキャップ73を有しており、このキャップ73は、内部に透過液の集液室75を有し、透過液の集液室75は透過液出口(又は逆圧洗浄水入口)82に繋がっている。一方、中空糸膜束78の下部固定部74側の下端面は、接着剤80により封止されている。
【0005】
下部固定部74は、空気供給管84と、複数の空気噴出孔86を有している。空気噴出孔86は、中空糸膜束78同士の間隙や外周に設けられている。このように下部固定部74に設けられた空気の噴出孔86により、中空糸膜束78のエアスクラビングによる洗浄がなされるようになっている。
【0006】
このように構成される中空糸膜モジュール70は、生物反応槽内の被処理水中に、中空糸膜を上下方向に延びるように保持して起立姿勢にて浸漬されて使用される。そして、ろ過運転時には、透過水出口82に連通する吸引ポンプによるろ過を行う。被処理水は、中空糸膜束78を構成する中空糸膜の外表面から内部空間に流入してろ過され、得られた透過水は中空糸膜内を通って、中空糸膜束78の上端面側から排出され、集液室75に流入した後、透過水出口82から排出される。
【0007】
ろ過運転を長時間継続して行ったとき、中空糸膜の表面に懸濁物質が付着して濾過性能が低下して行くため、下部固定部74に設けられた空気供給管84と空気噴出孔86を用い、必要に応じて、あるいはろ過運転中、常時、エアスクラビングを行って、膜面に付着した懸濁物質(付着物)を取り除くようにしている。
【特許文献1】特開2003−326140号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし前述した従来の中空糸膜モジュール70では、下部固定部74に設けられた空気供給管84と空気噴出孔86とによるエアスクラビングを行っても、使用時間の経過とともに髪の毛などの繊維状の夾雑物が、上部固定部72より露出した各中空糸膜束78根元付近に付着したり絡み付いたりして、夾雑物の堆積が起こり易く、夾雑物の堆積による有効膜面積の減少によって透過水量が減少することから、この点において改善すべき余地があった。
【0009】
そこで、本発明の課題は、中空糸膜の上端部が固定される上側固定部と、前記中空糸膜の下端部が固定される下側固定部とを備え、各中空糸膜を上下方向に延びるように保持して被処理水中に浸漬される中空糸膜モジュールにおいて、上側固定部より露出した各中空糸膜根元付近での夾雑物の堆積が起こり難く、長期間安定してろ過性能を発揮することができる中空糸膜モジュールを提供することにある。また、長期間にわたって安定して水処理が可能な水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
請求項1の発明は、中空糸膜の上端部が中空糸膜端を開口した状態にて固定される上側固定部と、前記中空糸膜の下端部が中空糸膜端を封止した状態にて固定され、エアスクラビング用の空気導入孔を有する下側固定部とを備え、各中空糸膜を上下方向に延びるように保持して被処理水中に浸漬される中空糸膜モジュールにおいて、複数本の中空糸膜が上端部で結合された複数の中空糸膜束を、前記上側固定部の径方向中心を中心とする放射線上に配置して該上側固定部に固定していることを特徴とする中空糸膜モジュールである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の中空糸膜モジュールにおいて、前記下側固定部の前記空気導入孔は、複数個設けられるとともに、前記上側固定部における放射線上に配置された互いに向い合う中空糸膜束列同士の間の位置に対応する前記下側固定部における位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2記載の中空糸膜モジュールにおいて、前記上側固定部は、前記中空糸膜束が位置する下面側に、上昇気泡並びに上昇気泡による被処理水の上昇流を外方へ導く水流方向変換部材を有していることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸膜モジュールを備えていることを特徴とする水処理装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の中空糸膜モジュールは、複数本の中空糸膜が上端部で結合された複数の中空糸膜束を、上側固定部の径方向中心を中心とする放射線上に配置して該上側固定部に固定している。したがって、エアスクラビング用の上昇気泡、並びに上昇気泡による被処理水の上昇流は、中空糸膜表面の夾雑物を剥離しながら上昇して上側固定部に近づき、放射線上に配置されている互いに向い合う中空糸膜束列同士の間の領域に導かれ、中心より半径方向外側へ行くに従って広くなる前記領域を流れが妨げられることなく半径方向外側へ流れて上側固定部の外方へ導かれる。これにより、上側固定部より露出した各中空糸膜束根元付近での夾雑物の堆積を起こり難くすることができるので、有効膜面積の減少を防止して長期間安定してろ過性能を発揮することができる。
【0016】
請求項2の中空糸膜モジュールは、下側固定部のエアスクラビング用の複数個の空気導入孔が、それぞれ、上側固定部における放射線上に配置された互いに向い合う中空糸膜束列同士の間の位置に対応する下側固定部における位置に設けられている。したがって、上昇気泡並びに上昇気泡による被処理水の上昇流は、上側固定部に近づき、放射線上に配置されている互いに向い合う中空糸膜束列同士の間の領域に確実に導かれ、前記領域を半径方向外側へ流れて上側固定部の外方へ導かれる。これにより、上側固定部より露出した各中空糸膜束根元付近での夾雑物の堆積を確実に起こり難くすることができる。
【0017】
請求項3の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜束を放射線上に配置して固定している上側固定部が、その下面側に、エアスクラビング用の上昇気泡並びに上昇気泡による被処理水の上昇流を外方へ導く水流方向変換部材を有する構成としている。したがって、上昇気泡並びに上昇気泡による被処理水の上昇流は、上側固定部に近づき、放射線上に配置されている互いに向い合う中空糸膜束列同士の間の領域に導かれて上側固定部の下面側に達した後、水流方向変換部材によって、確実に前記領域を半径方向外側へ流れて上側固定部の外方へ導かれる。これにより、上側固定部より露出した各中空糸膜束根元付近での夾雑物の堆積をより確実に起こり難くすることができる。
【0018】
請求項4の水処理装置によれば、前記の中空糸膜モジュールを備えたものであるから、従来に比べて膜モジュール洗浄の間隔を延ばすことができて、長期間にわたって安定して水処理が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の中空糸膜モジュールの一実施形態の構成を示す断面図、図2は図1における上側固定部に固定された中空糸膜束の配置を示す平面図、図3は図1における下側固定部に設けられた空気導入孔の配置を示す平面図である。
【0020】
図1に示すように、中空糸膜モジュール10は、下側固定部20と、下側固定部20の上方に所定間隔をあけて位置される上側固定部30と、下側固定部20と上側固定部30とをそれらの間隔を保持して支持する上下方向に延びる複数本の支持部材(図示省略)と、下端部がその膜端を封止した状態で下側固定部20に固定され、上端部がその膜端を開口した状態で上側固定部30に固定された多数本の中空糸膜11とにより構成されている。上下方向に延びる多数本の中空糸膜11は、上側固定部30の側において、所定数でなる複数本を上端部で束ねて接着結合した複数の中空糸膜束12に形成されており、これら複数の中空糸膜束12が上側固定部30に固定されている。
【0021】
上側固定部30は、円筒体31と、透過水出口32aを有して円筒体上側に取り付けられる円形上板32と、膜束貫通孔を有して円筒体下側に取り付けられる円形下板33とにより構成されている。上側固定部30の内側には、複数の中空糸膜束12が、図2に示すように、上側固定部30の径方向中心を中心とする放射線上、本実施形態では径方向中心位置を含めて8本の放射線L1〜L8上に配置されて上側固定部30に固定されている。12aは複数の中空糸膜束12が接着剤にて結合された中空糸膜束結合部分、34は上側固定部30に中空糸膜束12を固定する接着剤部分である。上側固定部30の組立てにあたり、円形下板33の各膜束貫通孔に中空糸膜束12をそれぞれ通してから、中空糸膜束12の間を接着剤で埋めるようにして円筒体31に中空糸膜束12を接着固定し、しかる後、円形下板33が円筒体31に取り付けられるようになっている。
【0022】
そして、上側固定部30内の上部には、集水室35が形成されており、透過水の集水室35は、各中空糸膜束12を構成する中空糸膜11の上端部の開口に連通しており、円形上板32の下側面、円筒体31の内壁面、中空糸膜束12の上端面及び接着剤部分34により画成されている。この集水室35に繋がる透過水出口32aには、生物反応槽の外部に設置された吸引ポンプからの配管が接続される。
【0023】
また、下側固定部20は、上側固定部30の円筒体31と同一寸法の内径を持つ円筒体21と、エアスクラビング用の本実施形態では8個の空気導入孔23を有して円筒体21内の上部に取り付けられた円板状をなすエアスクラビング用気泡放出部材(以下、単に気泡放出部材という)22とにより構成されている。
【0024】
前記8個の空気導入孔23は、気泡放出部材22において、図3に示すように、上側固定部30における放射線L1〜L8とは位相を角度22.5°だけずらせた放射線L1’〜L8’上であって、径方向中心より所定距離の位置にそれぞれ設けられている。すなわち、空気導入孔23は、上側固定部30における放射線L1〜L8上に配置された互いに向い合う中空糸膜束12列同士の間の位置に対応する下側固定部20における位置に設けられている。なお、図3に示す例とは違って、前記位置に、それぞれ、空気導入孔23を複数個設けるようにしてもよい(図3に示す例では前記位置にそれぞれ1個設けてある)。
【0025】
この気泡放出部材22の上面には、その空気導入孔23以外の部分に、ほぼ均一に分布させて、中空糸膜束12を形成する中空糸膜11の下端部が中空糸膜端を封止した状態で接着固定されている。また、円筒体21の下端側には、生物反応槽の外部に設置されたブロワからのエアスクラビング用空気供給管25の先端部分が位置されている。このエアスクラビング用空気供給管25より円筒体21内へ空気を圧入し、気泡放出部材22下側の空気溜まり24からの空気を空気導入孔23より気泡として、被処理水中に放出させるようにしている。そして、この気泡の中空糸膜11への衝突、並びに上昇気泡による被処理水の上昇流によって中空糸膜表面の付着物の除去を行うようにしている。
【0026】
このように、本実施形態による中空糸膜モジュール10は、複数本の中空糸膜11が上端部で結合された複数の中空糸膜束12を、上側固定部30の径方向中心を中心とする放射線上に配置して該上側固定部30(円筒体31)に固定している。したがって、エアスクラビング用の上昇気泡、並び上昇気泡による被処理水の上昇流は、中空糸膜表面の夾雑物や汚泥を剥離しながら上昇して上側固定部30に近づき、放射線L1〜L8上に配置されている互いに向い合う中空糸膜束列同士の間の領域に導かれ、中心より半径方向外側へ行くに従って広くなる前記領域を流れが妨げられることなく半径方向外側へ流れて上側固定部30の外方へ導かれる。これにより、上側固定部30より露出した各中空糸膜束12根元付近での夾雑物や汚泥の堆積を起こり難くすることができるので、有効膜面積の減少を防止して長期間安定してろ過性能を発揮することができる。
【0027】
この場合、図3に示すように、下側固定部20の空気導入孔23を、上側固定部30における放射線L1〜L8上に配置された互いに向い合う中空糸膜束列同士の間の位置に対応する下側固定部20における位置に設けていることにより、上昇気泡並びに上昇気泡による被処理水の上昇流を、上側固定部30に固定されている互いに向い合う中空糸膜束列同士の間の領域に確実に導くことができる。
【0028】
図4は本発明の中空糸膜モジュールの別の実施形態の構成を示す断面図である。ここで、上側固定部30’が水流方向変換部材(逆円錐形下板36)を備えている点以外は、前記図1〜図3に示される中空糸膜モジュールと同一構成なので、両者の共通する部分には同一の符合を付して説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、上側固定部30’は、膜束貫通孔を有して円筒体31下側に取り付けられた逆円錐形下板36を備えている。この逆円錐形下板36は、中心部から外周部へ向かう上向き傾斜面を有しており、エアスクラビング用の上昇気泡並びに上昇気泡による被処理水の上昇流を外方へ導く水流方向変換部材を構成している。
【0030】
このように、本実施形態による中空糸膜モジュール10’は、中空糸膜束12を放射線上に配置して固定している上側固定部30が、その下面側に水流方向変換部材としての逆円錐形下板36を有する構成としている。したがって、上昇気泡並びに上昇気泡による被処理水の上昇流は、上側固定部30に近づき、放射線上に配置されている互いに向い合う中空糸膜束列同士の間の領域に導かれて上側固定部30に達した後、逆円錐形下板36によって、確実に前記領域を半径方向外側へ流れて上側固定部30の外方へ導かれる。これにより、上側固定部30より露出した各中空糸膜束12根元付近での夾雑物や汚泥の堆積をより確実に起こり難くすることができる。
【0031】
なお、水流方向変換部材として逆円錐形形状をなす板部材を用いたが、逆円錐台形形状をなす板部材でもよい。
【0032】
図5は本発明の水処理装置の一実施形態を示す構成説明図である。
【0033】
この水処理装置40は、本実施形態では被処理水である河川水の浄水処理を行うものである。図5に示すように、水処理装置40は、被処理水供給ライン41からの被処理水(河川水)が供給される被処理水槽42と、この被処理水槽42内の被処理水中に浸漬させて配置された複数の中空糸膜モジュール10’(前記図4に示す構成の中空糸膜モジュール)と、これらの中空糸膜モジュール10’に接続され、吸引ポンプ43aを有して該吸引ポンプ43aによって中空糸膜内部を吸引することにより被処理水の膜ろ過による固液分離を行って透過水を取り出すための透過水取出しライン43と、ブロワ44aを有して中空糸膜モジュール10’にエアスクラビング用空気を供給するためのエアスクラビング用空気供給ライン44と、被処理水槽42内の汚泥を排出するための汚泥排出ライン45とを備えている。
【0034】
図5において、43bは各中空糸膜モジュール10’の透過水出口32aに接続された集水管、43cは各集水管43bに連通する集水ヘッダー管、43dは透過水取出し管である。集水管43b、集水ヘッダー管43c、透過水取出し管43d及び吸引ポンプ43aは、透過水取出しライン43を構成している。また、44bはブロワ44aによって加圧された空気を供給する空気供給管、25は空気供給管44bから分岐し、その先端部分が各中空糸膜モジュール10’の円筒体21の下端側に位置されるエアスクラビング用空気供給管(図1,図4参照)である。ブロワ44a、空気供給管44b及びエアスクラビング用空気供給管25は、エアスクラビング用空気供給ライン44を構成している。各中空糸膜モジュール10’は、その上側固定部30’の逆円錐形下板36が水面より下方に位置するように設置されている(図5では膜モジュール全体が完全に浸漬されて設置されている)。
【0035】
このように構成される水処理装置40によれば、前述した中空糸膜モジュール10’を備えたものであるから、従来に比べて膜モジュール洗浄の間隔を延ばすことができて、長期間にわたって安定して浄水処理を行うことができる。
【0036】
図6は本発明の水処理装置の別の実施形態を示す構成説明図である。
【0037】
この水処理装置50は、本実施形態では下水、廃水などの有機性物質を含有する被処理水の汚水浄化処理を膜分離活性汚泥法によって行うものである。図6に示すように、水処理装置50は、被処理水供給ライン51からの一次処理水が供給される被処理水槽としての生物反応槽52と、この生物反応槽52内の被処理水(活性汚泥混合液)中に浸漬させて配置された複数の中空糸膜モジュール10’(前記図4に示す構成の中空糸膜モジュール)と、これらの中空糸膜モジュール10’に接続され、吸引ポンプ53aを有して該吸引ポンプ53aによって中空糸膜内部を吸引することにより被処理水の膜ろ過による固液分離を行って透過水を取り出すための透過水取出しライン53とを備えている。さらに、水処理装置50は、ブロワ54aを有して中空糸膜モジュール10’にエアスクラビング用空気を供給するためのエアスクラビング用空気供給ライン54と、生物反応槽52内における中空糸膜モジュール10’の下方に配置された散気装置56と、生物反応槽52内の汚泥を排出するための汚泥排出ライン55とを備えている。
【0038】
前記透過水取出しライン53は、集水管53b、集水ヘッダー管53c、透過水取出し管53d及び吸引ポンプ53aにより構成されている。エアスクラビング用空気供給ライン54は、ブロワ54a、空気供給管54b及びエアスクラビング用空気供給管25により構成されている。散気装置56は、この実施形態ではブロワ54aからの加圧された空気が空気供給管54bより分岐した配管を介して供給される。散気装置56は、その散気孔から散気する気泡(空気)によって酸素供給を行って活性汚泥処理(好気性処理)を行うとともに、上昇気泡のエアリフト作用によって生起する上昇流を中空糸膜モジュール10’の膜面に作用させ、膜面洗浄をも行うためのものである。各中空糸膜モジュール10’は、その上側固定部30’の逆円錐形下板36が水面より下方に位置するように設置されている(図6では膜モジュール全体が完全に浸漬されて設置されている)。
【0039】
このように構成される水処理装置50によれば、前述した中空糸膜モジュール10’を備えたものであるから、従来に比べて膜モジュール洗浄の間隔を延ばすことができて、長期間にわたって安定して膜分離活性汚泥法による汚水浄化処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の中空糸膜モジュールの一実施形態の構成を示す断面図である。
【図2】図1における上側固定部に固定された中空糸膜束の配置を示す平面図である。
【図3】図1における下側固定部に設けられた空気導入孔の配置を示す平面図である。
【図4】本発明の中空糸膜モジュールの別の実施形態の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の水処理装置の一実施形態を示す構成説明図である。
【図6】本発明の水処理装置の別の実施形態を示す構成説明図である。
【図7】従来の中空糸膜モジュールの概念図である。
【符号の説明】
【0041】
10,10’…中空糸膜モジュール
11…中空糸膜
12…中空糸膜束
12a…中空糸膜束結合部分
20…下側固定部
21…円筒体
22…エアスクラビング用気泡放出部材
23…空気導入孔
24…空気溜まり
25…エアスクラビング用空気供給管
30,30’…上側固定部
31…円筒体
32…円形上板
32a…透過水出口
33…円形下板
34…接着剤部分
35…集水室
36…逆円錐形下板
40…水処理装置
42…被処理水槽
43…透過水取出しライン
44…エアスクラビング用空気供給ライン
50…水処理装置
52…生物反応槽
53…透過水取出しライン
54…エアスクラビング用空気供給ライン
56…散気装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空糸膜の上端部が中空糸膜端を開口した状態にて固定される上側固定部と、前記中空糸膜の下端部が中空糸膜端を封止した状態にて固定され、エアスクラビング用の空気導入孔を有する下側固定部とを備え、各中空糸膜を上下方向に延びるように保持して被処理水中に浸漬される中空糸膜モジュールにおいて、複数本の中空糸膜が上端部で結合された複数の中空糸膜束を、前記上側固定部の径方向中心を中心とする放射線上に配置して該上側固定部に固定していることを特徴とする中空糸膜モジュール。
【請求項2】
前記下側固定部の前記空気導入孔は、複数個設けられるとともに、前記上側固定部における放射線上に配置された互いに向い合う中空糸膜束列同士の間の位置に対応する前記下側固定部における位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の中空糸膜モジュール。
【請求項3】
前記上側固定部は、前記中空糸膜束が位置する下面側に、上昇気泡並びに上昇気泡による被処理水の上昇流を外方へ導く水流方向変換部材を有していることを特徴とする請求項2記載の中空糸膜モジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸膜モジュールを備えていることを特徴とする水処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−21109(P2006−21109A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200903(P2004−200903)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】