説明

中継器

【課題】中継器の機能の自己診断を自動的に効率よく短時間で行うことができるようにした中継器を得ることを目的とする。
【解決手段】火災受信機と防災信号のやりとりをする中継器1における端末機器の動作結果を火災受信機に伝送するCPU11は、ダミー端末機器44、45の状態を検出して中継器1の機能の自己診断を行う自己診断プログラムを格納し、試験機2の試験開始信号を出力する試験信号出力部43をCPU11と接続し、試験機2の電源を供給する電源回路46を電源端子21に接続し、試験機2のダミー端末機器44、45を端末制御出力24、25、27に接続し、CPU11は試験機2の試験信号出力部43からの試験開始信号を受信すると、自己診断プログラムを実行してダミー端末機器44、45の動作状態から機能の自己診断をするようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防災用の端末機器と接続された中継器に係り、特に試験機からの試験開始信号により、中継器のCPUが格納する自己診断プログラムが動作して自己診断モードとなり、中継器の機能試験を自動的に行うようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自火報システムの中継器は、抵抗器によって抵抗値を変えて、感知器回線の電圧レベルを変化させ、この変化が実際の火災感知器或いは非常火災発信機が発報したのと同じになるようにした動作試験回路を付加することによって、火災受信機から導出された感知器回線と共通端子とを短絡し、感知器回線の電圧レベルを変化させて、疑似的に火災感知器或いは非常火災発信機を発報させ、蓄積機能の動作試験を行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−208164号公報(第1頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の自火報システムの中継器では、動作試験回路で火災受信機から導出された複数の感知器回線と共通端子とを短絡し、各感知器回線の電圧レベルを変化させる場合、手動操作により行い、しかも感知器回線毎に切り替えが必要なため、動作試験に手間と時間がかかるという問題があった。
本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、中継器の機能の自己診断を自動的に効率よく短時間で行うことができるようにした中継器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る中継器は、電源端子に接続した火災受信機から電源供給され、端末用端子に接続した入力型又は出力型の各端末機器の状態を検出し、各端末機器の状態の判断結果を火災受信機に伝送するCPUを備えた中継器において、前記CPUは、前記中継器の機能を自己診断をする自己診断プログラムを格納し、試験機の試験開始信号を受信すると、前記自己診断プログラムを実行するようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
以上で説明したように本発明の中継器によれば、電源端子に接続した火災受信機から電源供給され、端末用端子に接続した入力型又は出力型の各端末機器の状態を検出し、各端末機器の状態の判断結果を火災受信機に伝送するCPUを備えた中継器において、前記CPUは、前記中継器の機能を自己診断をする自己診断プログラムを格納し、試験機の試験開始信号を受信すると、前記自己診断プログラムを実行するようにしたので、ダミー端末機器の状態を検出して中継器の機能の自己診断を自動的に効率よく短時間で行うことができ、製品検査時に自己診断の結果に基づいて中継器の適否も判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の中継器に試験機が接続された構成図、図2は同中継器の自己診断モードの手順を示すフローチャートである。
図1において、1は火災受信機(図示省略)からの防災情報の信号を受けて出力型の端末機器である例えば防排煙機器を動作制御する中継器である。2は中継器1と接続され、中継器1が機能チェックを行うための試験機である。
中継器1は、中継器1としての動作制御を行う制御部であるCPU11と、防排煙機器を動作制御するためのリレー制御回路12と、リレー制御回路12によって動作させられる4つのリレー駆動用スイッチ13と、CPU11に接続され、防排煙機器の動作を監視する端末監視回路14と、火災受信機(図示省略)からの防災情報の信号をCPU11に伝送する伝送回路15と、3Vの電圧を出力するCPU用3V生成回路16とを有して主に構成されている。
【0007】
また、CPU11に中継器1の通常の監視動作を行うための端末機器監視制御プログラムと、中継器1が試験機2からの試験開始信号を受信すると、中継器1の機能の自己診断を行う自己診断プログラムとがCPU11のROM17に格納されており、さらにCPU11にはアドレス設定器により設定されたアドレスを格納するアドレス格納用EEPROM18と、LEDの確認灯19が接続されている。
また、中継器1には、24Vの第1の外部電源を受けるための並列に接続された一対の第1の電源端子21a、21bが設けられ、これらの第1の電源端子21a、21bは伝送回路15と3V生成回路16に接続されている。
【0008】
さらに、中継器1には、アドレス設定器接続用コネクタ22が設けられ、そのアドレス設定器接続用コネクタ22は伝送回路15と3V生成回路16に接続されている。
また、中継器1には、24Vの第2の外部電源を受けるための並列に接続された一対の第2の電源端子23a、23bが設けられ、これら第2の電源端子23a、23bは4つの端末機器用制御出力端子24に接続されている。
【0009】
さらに、中継器1には、リレー制御回路12によって動作させられる4つのリレー駆動用スイッチ13の両側に端末制御出力端子25と、マイナス電源端子26と、端末監視回路14と接続される4つの端末機器用入力端子27と、CPU11と接続される3つのデータ送信用端子28と、CPU11と接続される試験開始信号入力端子29と、3V生成回路16と接続されるCPU用電源出力端子30とが設けられている。
【0010】
また、試験機2は、試験機2としての動作制御を行い、試験時の中継器1からの返信データにより中継器1の動作の良否を判断する試験判定部であるCPU41と、中継器1の判定結果を表示する表示部42と、CPU41からの試験開始信号を送信する試験信号出力線43と、防排煙機器等のダミー端末機器である4つのリレー用コイル44及び4つのリレー接点45と、24Vの第1の電源回路46と、24Vの第2の電源回路47とを有して主に構成されている。
【0011】
その試験機2には、中継器1の一方の第1の電源端子21aと接続される第1の検出用端子50が設けられ、その第1の検出用端子50は第1の電圧検出回路51と接続されており、第1の電圧検出回路51はCPU41に接続されている。
さらに、試験機2には、中継器1の他方の第1の電源端子21bと接続される第1の電圧入力端子52が設けられ、その第1の電圧入力端子52は第1のスイッチ53a及び電流制限回路54を介して第1の電源回路46に接続されている。また、試験機2には、中継器1のアドレス設定器接続用コネクタ22と接続されるコネクタ用端子55が設けられ、そのコネクタ用端子55は第2のスイッチ53bを介して電流制限回路54に接続されている。
【0012】
さらに、試験機2には、中継器1の一方の第2の電源端子23aと接続される第2の検出用端子56が設けられ、その第2の検出用端子56は第2の電圧検出回路57と接続されており、その第2の電圧検出回路57はCPU41に接続されている。
また、試験機2には、中継器1の他方の一対の第2の電源端子23bと接続される第2の電圧出力端子58が設けられ、その第2の電圧出力端子58は第2の電源回路47と接続されている。
【0013】
さらに、試験機2には、中継器1の4つの端末機器用制御出力端子24と接続される端末機器用入力端子59が設けられ、その端末機器用入力端子59は4つのリレー用コイル44の一方とそれぞれ接続され、また中継器1の4つの端末制御出力端子25とそれぞれ接続されるコイル用接続端子60が設けられ、そのコイル用接続端子60はリレー用コイル44の他方とそれぞれ接続されている。
【0014】
また、試験機2には、中継器1のマイナス電源端子26とそれぞれ接続される電圧検出端子61が設けられ、これら電圧検出端子61は第3の電圧検出回路62と接続されている。その第3の電圧検出回路62は抵抗63を介して第2の電源回路47と接続されている。また、電圧検出回路62の信号はCPU41に入力される。さらに、試験機2には4つのリレー接点45の一方とそれぞれ接続されるリレー接点端子64が設けられており、リレー接点45の他方は第2の電源回路47と接続されている。そのリレー接点端子64は中継器1の端末機器用入力端子27と接続される。
【0015】
さらに、試験機2には、中継器1の3つのデータ送信用端子28と接続されるデータ受信用端子65が接続されており、そのデータ受信用端子65はCPU41に接続されている。
また、試験機2には、中継器1の試験開始信号入力端子29と接続される試験開始信号出力端子66が設けられており、その試験開始信号出力端子66はCPU41に接続されており、また、中継器1のCPU用電源出力端子30と接続されるCPU用電源入力端子67が設けられており、そのCPU用電源入力端子67はCPU41に接続されている。
この試験開始信号出力端子66からの出力は、後述する自己診断の手順に基づいて、各ステップ毎に行われ、データ受信用端子65への正常入力があってから出力される。また、3つのデータ受信用端子65のうち、一つは自己診断の良否を受信し、その他の二つは2進数で番号を付け、各ステップが順次行われることを確認するとともに、不良の場合のステップがデータから把握できるようになっている。
【0016】
次に、本発明の実施の形態1のの中継器の自己診断の手順を図2のフローチャートに基づいて説明する。
(1)中継器に試験機を接続(ステップ1)
まず、中継器1の機能検査を行う場合には、中継器1の各端子にそれに対応する試験機2の各端子をそれぞれ試験治具のピン69を介して接続する。なお、以下の説明では試験治具のピン69は省略して説明する。
【0017】
(2)電源投入(ステップ2)
次に、試験機2の第1のスイッチ53aをオンすると、試験機2の第1の電源回路46の24Vが電流制限回路54と第1の電源入力端子52と中継器1の第1の電源端子21bを介して3V生成回路16に印加され、3V生成回路16は24Vから生成した3VをCPU11のvccに電源投入し、CPU11は動作状態に設定される。
【0018】
このとき、試験機2の第1の検出回路51は第1の検出用端子50と中継器1の第1の電源端子21aを介して、中継器1の第1の電源端子21bに試験機2の第1の電源回路46の24Vが印加されているか否かを検出しており、第1の検出回路51が24Vを検出したら、その検出信号がCPU41に送られ、CPU41では正常と判断し、その旨を表示部42に表示させる。
また、3V生成回路16が生成した3VはCPU用電源出力端子30と試験機2のCPU用電源入力端子67を介してCPU41に印加され、試験機2のCPU41も動作状態に設定される。
【0019】
(3)自己診断モードの開始(ステップ3)
そこで、試験機2のCPU41が出力した試験開始信号は試験開始信号出力端子66及び中継器1の試験開始信号入力端子29を介して中継器1のCPU11に入力される。
試験開始信号を受けたCPU11では、ROM17に格納されている自己診断プログラムを起動させて自己診断モードに入る。
CPU11は自己診断モードに入ると、イニシャル処理を開始し、そのイニシャル処理後に全てのリレー接点45を同時にリセット状態に復帰させ、確認灯19を点灯させる。この確認灯19の点灯により、自己診断モードに入ったことを目視で確認することができ、合わせて確認灯19の点灯試験も兼ねる。
なお、試験機2のCPU41からの試験開始信号は次に進むステップ毎に中継器1に出力されるが、それ以降の説明では試験機2から中継器1への試験開始信号の出力の説明は省略する。
【0020】
(4)伝送部動作確認(ステップ4)
次に、CPU11のTXDポートから伝送回路15に2バイトの信号を送信し、伝送回路15からの2バイトの信号の受信をCPU11のRXDポートで受信したら、CPU11は伝送回路15が正常に動作していると判断する。
【0021】
(5)24V電源監視(ステップ5)
また、試験機2の第2の電源回路47の24Vが第2の電源出力端子58を介して中継器1の第2の電源端子23bに印加されている。
このとき、試験機2の第2の検出回路57は第2の検出用端子56と中継器1の第2の電源端子23aを介して、中継器1の第2の電源端子23bに試験機2の第2の電源回路47の24Vが印加されているか否かを検出しており、第2の検出回路57が24Vを検出したら、その検出信号がCPU41に送られ、CPU41では正常と判断し、その旨を表示部42に表示させる。
【0022】
(6)端末機器用回線の監視(ステップ6)
中継器1の端末監視回路14は端末機器用入力端子27と試験機2のリレー接点端子64を介して第2の電源回路47に接続されている端末機器の一部であるリレー接点45と接続されており、そのリレー接点45は自己診断モードの開始時にリセット状態に復帰させられているために開放している。
従って、端末監視回路14に入力オフであれば、リレー接点45は開放しており、正常であることになる。端末監視回路14は入力オフ信号をCPU11に送り、CPU11ではリレー接点45が開放して正常と判断する。
【0023】
(7)端末機器起動制御確認(ステップ7)
中継器1のCPU11はリレー接点45が開放して正常と確認したら、リレー制御回路12に駆動指令を出力し、リレー制御回路12はリレー駆動用スイッチ13をオンさせる。そうすると、試験機2の第2の電源回路47の24Vが第2の電圧出力端子58と、第2の電源端子23bと端末機器用制御出力端子24と試験機2の端末機器用入力端子59を介して4つのリレー用コイル44に印加され、これらリレー用コイル44の励磁によりリレー接点45はそれぞれ閉成する。
これらリレー接点45の閉成によって端末監視回路14は入力オンとなり、その入力オン信号をCPU11に送り、CPU11ではリレー接点45が閉成し、端末機器であるリレーの起動制御が正常に行われたと判断する。
【0024】
(8)端末機器復帰制御確認(ステップ8)
上記ステップ7の端末機器起動制御確認の確認が終了したら、今度は端末機器復帰制御確認を行う。
CPU11はリレー接点45が閉成し、リレーの起動制御が正常と確認したら、リレー制御回路12に復帰制御指令を出力し、リレー制御回路12はリレー駆動用スイッチ13をオフさせる。そうすると、第2の電源回路47の24Vの電圧がリレー用コイル44に印加されなくなり、リレー用コイル44の非励磁によりリレー接点45は開放する。
それらリレー接点45の開放によって端末監視回路14は入力オフとなり、その入力オフ信号をCPU11に送り、CPU11ではリレー接点45が開放し、端末機器であるリレーの復帰制御が正常に行われたと判断する。
【0025】
以上のステップ7の端末機器起動制御確認とステップ8の端末機器復帰制御確認の説明では、リレー用コイル44が一括して励磁され、リレー接点45の閉成と開放も一括して行われるものとしているが、1つのリレー用コイル44及びリレー接点45についての起動制御確認と復帰制御確認が終了したら、次のリレー用コイル44及びリレー接点45についての起動制御確認と復帰制御確認が行われ、最後のリレー用コイル44及びリレー接点45についての起動制御確認と復帰制御確認が順次行われることになる。
【0026】
(9)アドレス設定器接続部の確認(ステップ9)
次に、試験機2の第2のスイッチ53bをオンし、第1のスイッチ53aをオフする。そうすると、第1の電源回路46の24Vの電圧は第2のスイッチ53bとコネクタ用端子55と中継器1のアドレス設定器接続用コネクタ22を介して第1の電源端子21a、21bに印加され、その第1の電源端子21a、21bを介して伝送回路15と3V生成回路16に印加され、3V生成回路16は24Vから生成した3VをCPU11のvccに供給する。
アドレス設定器接続部の確認は、アドレス設定器接続用コネクタ22からの電源供給に切替え、次のステップ10の試験が行えれば電源供給されていることになるため正常と判断する。
【0027】
(10)EEPROM確認(ステップ10)
CPU11は、アドレス格納用EEPROM18に所定の値のアドレスを書き込み、格納後に書き込んだアドレスの読み込みを行う。そのアドレスの読み込みができれば、正常と判断し、その旨をデータ送信用端子28と試験機2のデータ受信用端子65を介して試験機2のCPU41に送り、CPU41はその旨を表示部42に表示させる。(例えば、011)
【0028】
(11)中継器の電源部の再確認(ステップ11)
上記EEPROM確認が終了したら、試験機2の第1のスイッチ53aをオンし、第2のスイッチ53bをオフする。そうすると、第1の電源回路46の24Vの電圧は第1のスイッチ53aと第1の電源端子21a、21bを介して伝送回路15と3V生成回路16に印加され、3V生成回路16は24Vから生成した3VをCPU11に供給する。
このときに、試験機2の第1の検出回路51は第1の検出用端子50と中継器1の第1の電源端子21aを介して、中継器1の第1の電源端子21bに試験機2の第1の電源回路46の24Vが印加されているか否かを検出しており、第1の検出回路51が24Vを検出したら、その検出信号がCPU41に送られ、CPU41では正常と判断し、その旨を表示部42に表示させる。
【0029】
また、試験機2の第2の電源回路47の24Vが第2の電源出力端子58と中継器1の第2の電源端子23bに印加されている。
このとき、試験機2の第2の検出回路57は第2の検出用端子56を介して中継器1の第2の電源端子23aに試験機2の第2の電源回路47の24Vが印加されているか否かを検出しており、第2の検出回路57が24Vを検出したら、その検出信号がCPU41に送られ、CPU41では正常と判断し、その旨を表示部42に表示させる。
さらに、試験機2の第2の電源回路47の24Vが抵抗63を介して第3の電圧検出回路62に印加されており、第3の電圧検出回路62は中継器1のマイナス電源端子26と接続される電圧検出端子61と接続されており、マイナス電源端子26は24Vのマイナスに接続されているため、中継器1のマイナス電源端子26側に断線がなく正常であれば、第3の電圧検出回路62は0Vを検出し、マイナス電源端子26側に断線があれば、第2の電源回路47の24Vが第3の電圧検出回路62に印加されることにより、第3の電圧検出回路62は24Vを検出し、いずれの場合もその検出信号がCPU41に送られ、CPU41では正常又は異常と判断し、その旨を表示部42に表示させる。
なお、上記ステップ2〜10において、中継器1のCPU11が判断した内容のデータは、データ送信用端子28と試験機2のデータ受信用端子65を介してCPU41に送られる。
【0030】
(12)自己診断モードの終了(ステップ12)
上記ステップ1〜11が終了した後は、自己診断モードは完了するため、自動的に自己診断モードを完了する。
なお、自己診断モード中の各ステップの開始時における試験開始信号の入力信号待機時に、約30秒待っても信号がない場合は自己診断モードを強制終了とする。
自己診断モードの完了後又は自己診断モードの強制終了後は確認灯19は消灯させられる。
また、データ送信用端子28の1つであるTP9は、正常出力時は「0」、異常出力時は「1」を出力する(NGビットとする)。なお、異常出力時は約30秒後に終了させずに入力信号待機状態とし、その後、再度次の入力信号を中継器1側で受けたら試験を再開する。
【0031】
以上で説明したように本発明の実施の形態1によれば、中継器1のCPU11はダミー端末機器の状態を検出して中継器1の機能の自己診断を行う自己診断プログラムを格納し、試験機2の試験開始信号を出力する試験信号出力部であるCPU41と中継器のCPU11とを接続し、試験機2の電源を供給する電源回路46を中継器1の電源端子21に接続し、試験機2のリレー用コイル44を端末制御出力端子24,25に接続し、端末制御出力端子24を試験機2の電源回路47に接続し、端末制御出力端子25を接地されているリレー駆動用スイッチ13に接続し、リレー用コイル44の励磁によって駆動するリレー接点45の動作を監視する端末監視回路14をCPU11に接続し、中継器1のCPU11は試験機2のCPU41からの試験開始信号を受信すると、自己診断プログラムを実行して自己診断を行うようにしたので、中継器1のCPU11は試験機2のCPU41からの試験開始信号を受信すると、自己診断プログラムを実行し、CPU11はリレー駆動用スイッチ13をオン動作させ、それによってリレー用コイル44が励磁されてリレー接点45が動作し、端末監視回路14はリレー接点45の動作の検出結果をCPU11に伝えるため、CPU11はダミー端末機器であるリレー用コイル44とリレー接点45の動作状態を検出して自己診断を自動的に効率よく短時間で行うことができ、製品検査時に自己診断の結果に基づいて中継器の適否も判断することができる。
また、火災受信機と接続することなく試験ができるため、中継器1と火災受信機間との伝送時間や火災受信機が表示するまでの時間が省けるため検査時間の大幅な短縮につながる。
【0032】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2の中継器に試験機が接続された構成図である。
上記実施の形態1の中継器は出力型の端末機器用のものであり、試験機もそれに対応したダミー端末機器を備えた構成のものであるが、この実施の形態2の中継器は入力型の端末機器用のものであり、試験機もそれに対応したダミー端末機器を備えた構成となっている。
図3において、実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略し、相違する構成について説明する。なお、ここで、入力型の端末機器とは火災感知器等をいう。
この実施の形態2の中継器1には、実施の形態1のリレー制御回路12やリレー駆動用スイッチ13や端末監視回路14はなく、その代わりに、CPU11に接続されている受信回路34と、受信回路34に接続されている受信回路用接続端子35とが設けられている。
【0033】
また、この実施の形態2の試験機2には、実施の形態1のリレー用コイル44やリレー接点45やコイル用接続端子60やリレー電圧検出端子61はなく、その代わりに4つの短絡試験用スイッチ74と、これら短絡試験用スイッチ74に接続された火災感知器のダミーであるツエナーダイオード75と、4つの断線試験切替用スイッチ76と、これら断線試験切替用スイッチ76に接続された終端器77及び断線用抵抗78と、端末機器用接続端子79が設けられている。
【0034】
4つの短絡試験用スイッチ74の一方は端末機器用入力端子59に接続され、これら短絡試験用スイッチ74の他方はツエナーダイオード75を介してそれぞれ端末用接続端子79と接続され、これら端末用接続端子79は第3の電圧検出回路62と接続されていると共に、中継器1の受信回路用接続端子35と接続される。
さらに、4つの端末機器用入力端子59にはそれぞれ断線試験切替用スイッチ76の一方の可動接点76aが接続され、各断線試験切替用スイッチ76の他方の常閉接点76bは終端器77を介して端末用接続端子79と接続され、各断線試験切替用スイッチ76の他方の常開接点76cは断線用抵抗78を介して端末用接続端子79と接続されている。
(なお、短絡試験用スイッチ74のオン・オフ及び断線試験切替用スイッチ76の可動接点76aの切替動作はCPU41からの指令に基づいて行われる。)
【0035】
次に、本発明の実施の形態2の中継器の自己診断の手順を図4のフローチャートに基づいて説明する。
実施の形態2の中継器の自己診断の手順において、中継器1に試験機2を接続するステップ1から24V電源監視のステップ5までと、アドレス設定器接続部の確認のステップ9から自己診断モードの終了のステップ12までは実施の形態1と同じであるので、実施の形態2のステップ1からステップ5までと、ステップ10からステップ12までの説明は省略する。
【0036】
(6)監視線の平常状態監視(ステップ6)
ここに、監視線の平常状態とは、4つの短絡試験用スイッチ74が開成しており、断線試験切替用スイッチ76の一方の可動接点76aが他方の常閉接点76bと接触している状態をいう。
この監視線の平常状態の場合には、第2の電源回路47の24Vの電圧が第2の電圧出力端子58から中継器1の第2の電源端子23b及び端末機器制御入力端子24と試験機2の端末機器用入力端子59及び終端器77を介して第3の検出回路62に印加されると共に、端末機器用接続端子79と中継器1の受信回路用接続端子35を介して受信回路34に印加される。
【0037】
従って、中継器1の受信回路34は24Vの印加があったことを検出し、その検出信号をCPU11に送り、CPU11では監視線が平常状態にあることを確認して正常と判断する。また、試験機2の第3の検出回路62も24Vの印加があったことを検出し、その検出信号をCPU41に送り、CPU41では監視線が平常状態にあることを確認して正常と判断し、その旨を表示部42に表示させる。
【0038】
(7)断線監視確認(ステップ7)
監視線の平常状態監視が終了したら、4つの断線試験切替用スイッチ76のうち、一つ目の断線試験切替用スイッチ76の可動接点76aを常開接点76cと接触するよう切り替る。そうすると、第2の電源回路47の24Vの電圧が断線用抵抗78によって電圧降下された断線検出電圧を中継器1の受信回路34は検出し、その検出信号をCPU11に送り、CPU11では監視線の1回線目が断線状態にあることを確認して正常と判断する。また、試験機2の第3の検出回路62も断線検出電圧を検出し、その検出信号をCPU41に送り、CPU41では監視線の1回線目が断線状態にあることを確認して正常と判断し、その旨を表示部42に表示させる。
【0039】
一つ目の断線試験切替用スイッチ76の可動接点76aを常開接点76cと接触するよう切り替えることによる断線監視が終了したら、2つ目の断線試験切替用スイッチ76についても1つ目と同様にして断線監視を行い、こうして最後の、即ち4つ目の断線試験切替用スイッチ76についても同様に断線監視を行い、断線監視が終了する。
なお、断線監視が終了したら、4つの断線試験切替用スイッチ76の可動接点76aを終端器77と接続されている常閉接点76bと接触するよう切り替えておく。
【0040】
(8)火災監視確認(ステップ8)
上記ステップ7の断線監視の確認が終了したら、今度は火災監視確認を行う。
4つの短絡試験用スイッチ74をオンにする。そうすると、第2の電源回路47の24Vの電圧が第2の電圧出力端子58から中継器1の第2の電源端子23b及び端末機器制御入力端子24と試験機2の端末機器用入力端子59と短絡試験用スイッチ74とツエナーダイオード75を介して第3の検出回路62に印加されると共に、端末機器用接続端子79と中継器1の受信回路用接続端子35を介して受信回路34に印加される。
【0041】
第3の検出回路62及び受信回路34に印加される電圧は、ツエナーダイオード75を介することによって(24V−8.2V)となり、この場合は火災を検出した状態となる。
従って、中継器1の受信回路34は(24V−8.2V)の印加があったことを検出し、その検出信号をCPU11に送り、CPU11では火災を検出した状態にあることを確認して正常と判断する。また、試験機2の第3の検出回路62も(24V−8.2V)の印加があったことを検出し、その検出信号をCPU41に送り、CPU41では火災を検出した状態にあることを確認して正常と判断し、その旨を表示部42に表示させる。
【0042】
(9)復旧制御確認(ステップ9)
火災監視の確認が終了したら、復旧制御の確認を行う。
4つの短絡試験用スイッチ74をオフにする。そうすると、中継器1の復旧制御により、受信回路34と受信回路用接続端子35を、受信回路34内部で切り離す。これにより、第3の電圧検出回路62の検出電圧が24Vであることを検出し、その検出信号をCPU41に送り、CPU41では火災の検出状態から復旧したことを確認して正常と判断する。
ステップ9の復旧制御の確認が終了したら、実施の形態1と同様に、ステップ10のアドレス設定器接続部の確認、ステップ11のEEPROM確認及びステップ12の中継器の電源部の再確認が行われ、ステップ13の自己診断モードの終了となる。
【0043】
以上で説明したように本発明の実施の形態2によれば、中継器1のCPU11はダミー端末機器の状態を検出して中継器1の機能の自己診断を行う自己診断プログラムを格納し、試験機2の試験開始信号を出力する試験信号出力部であるCPU41と中継器のCPU11とを接続し、試験機2の電源を供給する電源回路46を中継器1の電源端子21に接続し、試験機2のダミー端末機器である短絡試験用スイッチ74とツエナーダイオード75を端末機器制御入力端子24、受信回路用接続端子35に接続し、端末機器制御入力端子24を試験機2の電源回路47に接続し、受信回路用接続端子35を中継器1の受信回路34を介してCPU11に接続し、中継器1のCPU11は試験機2のCPU41からの試験開始信号を受信すると、自己診断プログラムを実行して自己診断を行うようにしたので、中継器1のCPU11は試験機2のCPU41からの試験開始信号を受信すると、自己診断プログラムを実行し、CPU11は試験機2の短絡試験用スイッチ74をオン動作させ、それによってツエナーダイオード75によって設定された火災状態を示す電圧が受信回路34で検出され、受信回路34はツエナーダイオード75の火災状態を示す電圧信号をCPU11に伝えるため、CPU11はダミー端末機器である短絡試験用スイッチ74とツエナーダイオード75の動作状態を検出して自己診断を自動的に効率よく短時間で行うことができ、製品検査時に自己診断の結果に基づいて中継器の適否も判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態1の中継器に試験器が接続された構成図。
【図2】同中継器の自己診断モードの手順を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施の形態2の中継器に試験器が接続された構成図。
【図4】同中継器の自己診断モードの手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0045】
1 中継器、2 試験機、11 CPU、12 リレー制御回路、13 リレー駆動用スイッチ、14 端末監視回路、15 伝送回路、16 CPU用電源回路、17 ROM、19 確認灯、30 CPU用電源端子、41 CPU、42 表示部、43 試験信号出力部、44 リレー用コイル(ダミー端末機器)、45 リレー接点(ダミー端末機器)、46 第1の電源回路、47 第2の電源回路、51 第1の電圧検出回路、57 第2の電圧検出回路、62 第3の電圧検出回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源端子に接続した火災受信機から電源供給され、端末用端子に接続した入力型又は出力型の各端末機器の状態を検出し、各端末機器の状態の判断結果を火災受信機に伝送するCPUを備えた中継器において、
前記CPUは、前記中継器の機能を自己診断をする自己診断プログラムを格納し、試験機の試験開始信号を受信すると、前記自己診断プログラムを実行することを特徴とする中継器。
【請求項2】
前記中継器の前記電源端子に前記試験機の電源を供給する電源回路を接続し、前記中継器の前記端末用端子に、入力型端末機器又は出力型端末機器のいずれかに対応した前記試験機のダミー端末機器を接続し、前記試験機の試験判定部に、前記中継器は自己診断結果を送信する請求項1記載の中継器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−323210(P2007−323210A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150716(P2006−150716)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】