説明

中継装置、中継方法及び光伝送システム

【課題】光伝送システムの伝送効率を向上させる。
【解決手段】光端局装置3と少なくとも1つの光終端装置42,52との間で送受信される光信号を中継する中継装置7において、光終端装置42,52から光スプリッタ6−2,6−21,6−22を介して入力される光信号を受信し、受信した光信号について、第1伝送速度の光信号を第1伝送速度よりも高速な第2伝送速度の光信号に変換し、変換した光信号を光端局装置3側へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置、中継方法及び光伝送システムに関する。前記中継装置は、例えば、PON(Passive Optical Network)システムに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
近年、GE−PON(Gigabit Ethernet-PON)や、G−PON(Gigabit capable-PON)など、複数の加入者を収容し、1Gbps(以下、「Gbps」を「G」と表記する)クラスの伝送容量を有する光伝送システムの導入が進められている。
また、より高速の伝送速度を有する次世代PONシステムとして、例えば、10Gの伝送容量を有する通信システム(10G−EPON)が検討されている。
【0003】
さらに、光伝送システムにより提供可能なサービスの範囲を拡大すべく、中継装置(以下、単にリピータという)による、伝送距離の長距離化や、加入者への分岐数増大が検討されている。
より高速のPONシステムへ移行するにあたっては、例えば1Gと10Gなどのように伝送速度の異なる複数のシステムの混在を許容するネットワークシステム(以下、1G/10G混在システムともいう)が想定される。
【0004】
そして、このようないわゆる過渡期のネットワークシステムにおいても、伝送距離の長距離化のためにリピータを用いることがある。
例えば、下記特許文献1には、1G/10G混在システムに適用可能なリピータが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−252044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1(A)及び図1(B)に、1G信号を処理可能な光終端装置(ONU:Optical Network Unit)などの1Gのエンティティと10G信号を処理可能な10G ONUなどの10Gのエンティティとが混在する1G/10G混在システムの構成の一例を示す。
図1(A)に示すシステムでは、1G信号と10G信号とを処理可能な1G/10G 光端局装置(OLT:Optical Line Terminal)300が、光伝送路200−1,光カプラ(光スプリッタ)600−1を介して10G ONU500−1,500−2と接続されている。
【0007】
また、1G/10G OLT300は、光伝送路200−1,光カプラ600−1,光伝送路200−2,1G/10Gリピータ700,光伝送路200−3及び光カプラ600−2を介して10G ONU500−3〜500−5及び1G ONU400−1と接続されている。なお、1G/10Gリピータ700は、1Gの光信号と10Gの光信号とをそれぞれ中継処理する機能を有する。
【0008】
上記1G/10G混在システムにおいて、10G ONU500−1,500−2から送信された各上り光信号10G#1及び10G#2は、光カプラ600−1で合波され、光伝送路200−1を介して、1G/10G OLT300へ到達する。
また、10G ONU500−3〜500−5及び1G ONU400−1から送信された各上り光信号10G#3〜10G#5及び1G#1は、光カプラ600−2で合波された後、光伝送路200−3を介して、1G/10Gリピータ700によってそれぞれ中継処理を施される。
【0009】
その後、各上り光信号10G#3〜10G#5及び1G#1は、光伝送路200−2,光カプラ600−1,光伝送路200−1を介して、1G/10G OLT300へ到達する。
ここで、各上り光信号10G#1〜10G#3,1G#1,10G#4及び10G#5は、例えば、1G/10G OLT300による上りスケジューリング制御によって、図1(A)に示すように時分割多重されている。
【0010】
ところで、より高速のPONシステムへ移行する過渡期においては、図1(B)に例示するシステムのように、エンティティ全体に対して1G ONU400の占める割合が比較的大きい場合がある。
このような場合、図1(B)に示すように、上りの帯域における1G信号(例えば、1G#1〜1G#3)の占有率が増加するので、システムの伝送効率が相対的に低下することとなる。
【0011】
そこで、本発明は、光伝送システムの伝送効率を向上させることを目的の1つとする。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)第1の案として、光端局装置と少なくとも1つの光終端装置との間で送受信される光信号を中継する中継装置において、前記少なくとも1つの光終端装置から光スプリッタを介して入力される光信号を受信する第1ポートと、該第1ポートで受信した前記光信号について、第1伝送速度の光信号を前記第1伝送速度よりも高速な第2伝送速度の光信号に変換する変換部と、該変換部で変換した光信号を前記光端局装置側へ出力する第2ポートとをそなえる、中継装置を用いることができる。
【0013】
(2)また、第2の案として、光端局装置と少なくとも1つの光終端装置との間で送受信される光信号を中継する中継装置において、前記少なくとも1つの光終端装置からの光信号を受信する第1ポートと、該第1ポートで受信した第1伝送速度の光信号を収容して電気信号に変換する中継局内光端局装置と、前記中継局内光端局装置で変換された前記電気信号を前記第1伝送速度よりも高速な第2伝送速度の光信号に変換する中継局内光終端装置と、該中継局内光終端装置で変換した光信号を前記光端局装置側へ出力する第2ポートとをそなえ、前記中継局内光端局装置が、前記中継局内光終端装置を介して、前記光端局装置宛の光信号の送信タイミングに関するスケジューリング情報を前記光端局装置から受信し、受信した前記スケジューリング情報に基づいて、前記光端局装置宛の光信号と前記中継局内光端局装置宛の光信号とが衝突しないように、前記第1伝送速度の前記光信号のスケジューリング制御を行なう、中継装置を用いることができる。
【0014】
(3)さらに、第3の案として、光端局装置と少なくとも1つの光終端装置との間で送受信される光信号を中継する中継装置の中継方法において、前記少なくとも1つの光終端装置から光スプリッタを介して入力される光信号を受信し、前記受信した前記光信号について、第1伝送速度の光信号を前記第1伝送速度よりも高速な第2伝送速度の光信号に変換し、前記変換した光信号を前記光端局装置側へ出力する、中継方法を用いることができる。
【0015】
(4)また、第4の案として、光端局装置と、該光端局装置と光信号の送受信を行なう少なくとも1つの光終端装置と、前記光端局装置と前記少なくとも1つの光終端装置との間で送受信される光信号を中継する上記いずれかの中継装置とをそなえる、光伝送システムを用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
光伝送システムの伝送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(A)及び(B)は光伝送システムの構成の一例をそれぞれ示す図である。
【図2】一実施形態に係る光伝送システム及び1G/10Gリピータの各構成の一例を示す図である。
【図3】フィルタの透過/反射特性の一例を示す図である。
【図4】監視制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】監視制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】上りスケジューリング制御の一例を説明する図である。
【図7】1G/10Gリピータ内の10G ONU及び1G/10Gリピータ内の1G OLTの各構成の一例を示す図である。
【図8】上りスケジューリング制御の一例を説明する図である。
【図9】第1変形例に係る光伝送システム及び1G/10Gリピータの各構成の一例を示す図である。
【図10】フィルタの透過/反射特性の一例を示す図である。
【図11】フィルタの透過/反射特性の一例を示す図である。
【図12】第2変形例に係る光伝送システム及び1G/10Gリピータの各構成の一例を示す図である。
【図13】フィルタの透過/反射特性の一例を示す図である。
【図14】第3変形例に係る光伝送システム及び1G/10Gリピータの各構成の一例を示す図である。
【図15】第3変形例に係る光増幅器の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図16】第3変形例に係る光伝送システム及び1G/10Gリピータの各構成の一例を示す図である。
【図17】上りスケジューリング制御の一例を示す図である。
【図18】制御タイムテーブルの一例を示す図である。
【図19】Discoveryプロセスの一例を示すフローチャートである。
【図20】ドメインについて説明する模式図である。
【図21】Discoveryプロセスの一例を示すフローチャートである。
【図22】Discoveryプロセスの一例を示すフローチャートである。
【図23】ドメイン識別処理を説明する図である。
【図24】ドメイン確定処理を説明する図である。
【図25】1G/10G OLTの構成の一例を示す図である。
【図26】図25に示すPON側IF部の構成の一例を示す図である。
【図27】フィルタの透過/反射特性の一例を示す図である。
【図28】フィルタの透過/反射特性の一例を示す図である。
【図29】第4変形例に係る1G/10G OLTの構成の一例を示す図である。
【図30】フィルタの透過/反射特性の一例を示す図である。
【図31】第5変形例に係る1G/10G OLTの構成の一例を示す図である。
【図32】OLTのハードウェア構成の一例を示す図である。
【図33】ONUのハードウェア構成の一例を示す図である。
【図34】第6変形例に係る光伝送システム及び1G/10Gリピータの各構成の一例を示す図である。
【図35】図34に示す増幅処理部の構成の一例を示す図である。
【図36】第7変形例に係る光伝送システム及び1G/10Gリピータの各構成の一例を示す図である。
【図37】第8変形例に係る光伝送システム及び1G/10Gリピータの各構成の一例を示す図である。
【図38】フィルタの透過/反射特性の一例を示す図である。
【図39】図36に示す1G/10Gリピータの変形例を示す図である。
【図40】図37に示す1G/10Gリピータの構成の一例を示す図である。
【図41】図37に示す1G/10Gリピータの構成の一例を示す図である。
【図42】図37に示す1G/10Gリピータの構成の一例を示す図である。
【図43】図37に示す1G/10Gリピータの構成の一例を示す図である。
【図44】フィルタの透過/反射特性の一例を示す図である。
【図45】フィルタの透過/反射特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下に示す各実施形態及び各変形例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、各実施形態及び各変形例を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることはいうまでもない。
〔1〕一実施形態
(1.1)一実施形態に係る光伝送システムの構成例
図2は一実施形態に係る光伝送システム1の構成の一例を示す図である。
【0019】
この図2に例示する光伝送システム1では、1G信号と10G信号とを処理可能な1G/10G OLT3と、10G信号を処理する少なくとも1つの10G ONU51及び1G信号を処理する少なくとも1つの1G ONU41とが、光カプラ6−1,6−11,6−12,6−13などを介して接続されている。なお、1G信号(1Gの光信号)は、第1伝送速度の光信号の一例であり、10G信号(10Gの光信号)は、第2伝送速度の光信号の一例である。
【0020】
具体的には、光カプラ6−1が、1G信号と10G信号とを中継処理可能な1G/10Gリピータ7を経由しない光伝送路を介して1G/10G OLT3と接続されており、当該光伝送路について分岐している。
光カプラ6−1により分岐された一方の光伝送路は、少なくとも1つの1G/10Gリピータ7が介装される光伝送路側に接続され、他方の光伝送路は、縦続接続された光カプラ6−11〜6−13を介して1G ONU41,10G ONU51に接続されている。
【0021】
また、1G/10G OLT3は、光カプラ6−1,少なくとも1つの光伝送路2,少なくとも1つの1G/10Gリピータ7,光カプラ6−2,6−21,6−22を介して少なくとも1つの10G ONU52及び1G ONU42に接続されている。
ここで、1G ONU41と1G ONU42とは、ともに1G信号を送受信する点で共通しているが、1G/10G OLT3との伝送距離や、中継する1G/10Gリピータ7の有無等が異なっている。また、10G ONU51と10G ONU52とについても、ともに10G信号を送受信する点で共通しているが、1G/10G OLT3との伝送距離や中継する1G/10Gリピータ7の有無等が異なっている。
【0022】
なお、1G/10Gリピータ7は、1G/10G OLT3と各ONU42,52との間で送受信される光信号の品質を確保すべく、例えば80km以上の伝送区間を有する箇所等に適宜介装され得る。
図2に例示する光伝送システム1では、例えば、20km毎に1G/10Gリピータ7が介装されているが、互いに異なる伝送速度の光信号が混在しない区間などでは、当該区間を伝送する単一の伝送速度の光信号を処理可能なリピータが介装されていてもよい。
【0023】
ここで、1G/10G OLT3と1G ONU41,42との間の伝送方式には、例えば、1GのE−PON(GE−PON)を適用することができる。この場合、1Gの下り光信号(1G DS;DownStream、1G/10G OLT3から1G ONU41,42への方向の光信号)の波長は、例えば、1.49μmである。また、1Gの上り光信号(1G US;UpStream、1G ONU41,42から1G/10G OLT3への方向の光信号)の波長は、例えば、1.26μm〜1.36μmである。
【0024】
一方、1G/10G OLT3と10G ONU51,52との間の伝送方式には、例えば、10GのE−PON(10G−EPON)を適用することができる。この場合、10Gの下り光信号(10G DS、1G/10G OLT3から10G ONU51,52への方向の光信号)の波長は、例えば、1.55μm〜1.58μmである。また、10Gの上り光信号(10G US、10G ONU51,52から1G/10G OLT3への方向の光信号)の波長は、例えば、1.26μm〜1.28μmである。
【0025】
このように、10G USの波長帯域と、1G USの波長帯域とは重複しているため、1G/10Gリピータ7は、各光信号を個別に処理できる構成を有している。なお、1G/10G OLT3と各ONU41,42,51,52との間の伝送方式としては、例えば、G−PON等の他の伝送方式を用いてもよい。
(1.2)1G/10Gリピータ7の構成例
ここで、本例の1G/10Gリピータ7の構成の一例について説明する。
【0026】
本例の1G/10Gリピータ7は、自局7より下り側にある1G ONU42からの上り光信号を、自局7内部に設けられた1G OLT16で一旦収容するとともに、自局7内部に設けられた10G ONU15を介して、1G/10G OLT3側へ送信する。
即ち、本例の1G/10Gリピータ7は、自局7より下り側から受信される第1の伝送速度(例えば1G)の光信号を、第1の伝送速度よりも高速な第2の伝送速度(例えば10G)の光信号に変換して自局7より上り側へ送出するのである。
【0027】
これにより、1G/10Gリピータ7よりも上り側における帯域を節約することができ、光伝送システム1の伝送効率を向上させることが可能となる。
図2に例示する1G/10Gリピータ7は、例えば、光カプラ10と、フィルタ11と、光増幅器12と、光遅延線13と、フィルタ14と、10G ONU15と、1G OLT16と、監視制御部17と、アンプ制御回路18とをそなえる。また、1G/10Gリピータ7は、例えば、光カプラ19,20と、光検出器21と、光遅延線22と、光増幅器23と、第1ポート67と、第2ポート68とをそなえる。
【0028】
まず、上り方向の光信号に着目すると、1G ONU42から光スプリッタ6−2,6−21,6−22を介して送信された1Gの上り光信号(1G US)及び10G ONU52から光スプリッタ6−2,6−21,6−22を介して送信された10Gの上り光信号(10G US)は、第1ポート67で受信された後、フィルタ14によって光カプラ19の方路へ反射される。なお、図2に例示する光伝送システム1では、各ONU42,52と1G/10Gリピータ7との間に光スプリッタ6−2,6−21,6−22が介装されているが、本例の1G/10Gリピータ7は、このような光伝送システム1以外の光伝送システムに用いることもできる。また、後述する各変形例においても同様である。
【0029】
ここで、図3にフィルタ14の透過/反射特性の一例を示す。この図3に例示するように、フィルタ14は、10G DSの波長である1.55μm〜1.58μmの光信号を透過する一方、それ以外の波長の光信号を反射する。なお、図3に示す例では、フィルタ14をハイパスフィルタとして構成しているが、10G DSを透過し、それ以外の光信号を反射するバンドパスフィルタとしてフィルタ14を構成してもよい。
【0030】
フィルタ14によって光カプラ19の方路へ反射された1G US及び10G USは、光カプラ19によって、1G OLT16への方路と光増幅器23への方路とに分岐される。
即ち、光カプラ19は、少なくとも1つのONUからの光信号を分岐して、第1伝送速度の光信号の処理方路である第1方路と、前記第1伝送速度よりも高速な第2伝送速度の光信号の処理方路である第2方路とに導く第1インタフェースの一例として機能する。なお、光カプラ19の分岐比は適宜変更することができる。
【0031】
1G USは、光カプラ19によって分岐された後、1G/10Gリピータ7内部に設けられた1G OLT16に収容される。なお、光カプラ19によって1G OLT16の方路へ分岐された光信号には10G USも含まれるが、1G OLT16では10Gの光信号は処理されず、1G OLT16の方路へ分岐された10G USは、1G OLT16の入力段で遮断される。
【0032】
1G OLT16は、1G USについて復調、復号化などの所定の受信処理を施してデータ信号を再生し、再生したデータ信号を電気信号に変換して、同じく1G/10Gリピータ7内部に設けられた10G ONU15へ送出する。
即ち、1G OLT16は、第1方路を伝搬する第1伝送速度の光信号を収容して電気信号に変換する中継局内光端局装置の一例として機能する。
【0033】
10G ONU15は、1G OLT16から入力された電気信号について符号化、変調などの所定の処理を施すとともに、当該電気信号を1.26μm〜1.28μmの波長を有する10G USに変換して、光カプラ10の方路へ送出する。
即ち、10G ONU15は、1G OLT16で変換された電気信号を第2伝送速度の光信号に変換し、後述する第2インタフェースへ送出する中継局内光終端装置の一例として機能する。
【0034】
また、以上のように、1G OLT16及び10G ONU15は、第1ポート67で受信した光信号について、第1伝送速度の光信号を第1伝送速度よりも高速な第2伝送速度の光信号に変換する変換部の一例として機能する。
一方、10G USは、光カプラ19によって分岐された後、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)やEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)などで構成される光増幅器23によって増幅される。
【0035】
図2に示す例では、光増幅器23が、アンプ制御回路(増幅器制御部)18によって制御される。
アンプ制御回路18は、例えば、光増幅器23に10G USが入力されるタイミングでのみ光増幅器23をオン制御する一方、光増幅器23に1G USが入力されるタイミングや何も入力がないタイミングでは光増幅器23をオフ制御する。1Gの光信号の波長帯は比較的広いため、1Gの光信号については光増幅器23を用いた増幅が困難である一方、10Gの光信号の波長帯は比較的狭く、10Gの光信号については光増幅器23を用いた増幅が容易であるためである。
【0036】
具体的には例えば、アンプ制御回路18は、光カプラ20で分岐後、PD(Photo Diode)などの光検出器21で検出される光信号のパワーが所定の閾値以上となった場合、且つ、1G OLT16において1G USの入力が検出されたことを示す通知がない場合は光増幅器23をオン制御する一方、それ以外の場合は光増幅器23をオフ制御する。
即ち、アンプ制御回路18は、光増幅器23への入力が検出された場合、且つ、1G OLT16への1G USの入力が検出されない場合に、光増幅器23をオン制御する。一方、アンプ制御回路18は、光増幅器23への入力が検出されない場合、または、1G OLT16への1G USの入力が検出された場合、光増幅器23をオフ制御する。
【0037】
これにより、光増幅器23では、10G USのみを光増幅して出力するとともに、1G US及び光入力がない場合に生じ得るASE(Amplified Spontaneous Emission)光を遮断することができる。その結果、雑音光の出力を抑制しつつ、10G USを光増幅することが可能となる。
なお、光カプラ20と光増幅器23との間に設けられた光遅延線22は、光増幅器23へ入力される光信号に対して所定の遅延時間を付与するものである。
【0038】
例えば、光遅延線22は、光検出器21にて光入力が検出される光信号の先頭が入力される際に、アンプ制御回路18による光増幅器23のオン制御が完了できているような遅延時間を入力信号に与えることができる。なお、この遅延時間は、光検出器21,アンプ制御回路18及び光増幅器23の応答時間等に基づいて設定することができる。
また、アンプ制御回路18は、光増幅器23の増幅率について、例えば、光検出器21でのモニタ結果に応じてALC(Automatic Level Control)制御を行なってもよい。
【0039】
さらに、制御の安定化を図るべく、アンプ制御回路18において、光増幅器23への入力が有りとされる状態から消光状態(光入力がない状態)に移行したとの判定に用いる閾値を、光入力が有りとされる上記所定の閾値よりも小さい値としてもよい。
また、アンプ制御回路18は、光増幅器23をオン制御しておき、1G USの入力が検出されたことを示す通知があった場合のみ光増幅器23をオフ制御することもできる。この場合、光増幅器23に光入力がない場合のASE光を遮断することはできないが、ASE光の遮断が必須の条件下でなければ、光カプラ20や光検出器21が不要であり、より簡易な構成として適用することができる。その際、光遅延線22は、1G USとの関係で必要であれば設ければよいし、不要であれば省略することができるので、さらに部品数を減らすことができる。
【0040】
以上のようにして光増幅器23で増幅された後の10G USは、フィルタ11で光カプラ10の方路へ反射される。なお、フィルタ11は、フィルタ14と同様の透過/反射特性(例えば、図3参照)を有するハイパスフィルタまたはバンドパスフィルタである。
そして、光カプラ10によって、10G ONU52からの10G USと、1G ONU42から送信され、さらに1G OLT16及び10G ONU15で変換された10G USとが合波されて、第2ポート68を介して1G/10G OLT3の方路へ送出される。
【0041】
即ち、光カプラ10は、1G OLT16及び10G ONU15で変換された光信号と第2方路を伝搬する第2伝送速度の光信号とを1G/10G OLT3側へ出力する第2インタフェースの一例として機能する。
なお、光伝送システム1に介装される他の1G/10Gリピータ7も、上記と同様の構成及び機能を有していてもよい。
【0042】
以上のように、本例では、1G USを10G USに変換して伝送することにより、1G/10Gリピータ7よりも上り側において帯域を節約して、光伝送システム1の伝送効率を向上させている。
次に、下り方向の光信号に着目すると、1G/10G OLT3から送信された10Gの下り光信号(10G DS)は、第2ポート68で受信された後、光カプラ10によって、フィルタ11への方路と10G ONU15への方路とに分岐される。なお、光カプラ10の分岐比は適宜変更することができる。また、10G DSには、10G ONU15宛の光信号及び10G ONU52宛の光信号のほか、映像信号(VIDEO Signal)などが含まれ得る。
【0043】
フィルタ11への方路に分岐された10G DSは、フィルタ11を透過し、SOAやEDFAなどの光増幅器12で増幅された後、光遅延線13によって所定の遅延を付与されて、フィルタ14の方路へ送出される。
光遅延線13は、フィルタ11への方路に分岐された光信号と、10G ONU15への方路に分岐された光信号とが、同一の下りフレームに載るように、光増幅器12で増幅後の光信号に所定の遅延時間を付与する。
【0044】
一方、10G ONU15への方路に分岐された10G DSは、10G ONU15によって所定の受信処理を施される。例えば、10G ONU15によって、10G DSに含まれる光信号のうち、10G ONU15宛の光信号が抽出される。
10G ONU15は、抽出した光信号について復調、復号化などの所定の受信処理を施してデータ信号を再生し、再生したデータ信号を電気信号に変換して、1G/10Gリピータ7内部に設けられた1G ONU16へ送出する。
【0045】
1G ONU16は、10G OLT15から入力された電気信号について符号化、変調などの所定の処理を施すとともに、当該電気信号を1.49μmの波長を有する少なくとも1つの1G DSに変換して、光カプラ19及びフィルタ14の方路へ送出する。
即ち、本例の10G ONU15及び1G ONU16は、第2ポート68で受信した光信号について、第2伝送速度の光信号を第1伝送速度の光信号に変換する変換部の一例として機能してもよい。
【0046】
1G ONU16で変換された1G DSは、光カプラ19を介して、フィルタ14に入力される。
フィルタ14は、光増幅器12によって増幅後の10G DSを透過する一方、光カプラ19の方路から入力される1G DSを反射する。これにより、光カプラ10で分岐された各光信号は、同一の下りフレームに載せられて第1ポート67から光カプラ6−2の方路へ送出される。
【0047】
10G ONU52は、1G/10Gリピータ7において中継送信された下りフレームから自局52宛の10G DSを選択的に受信する。また、1G ONU42は、1G/10Gリピータ7において中継送信された下りフレームから自局42宛の1G DSを選択的に受信する。
以上のように、本例では、下り方向に関しても、1G/10Gリピータ7よりも上り側では、1G ONU42宛の1G DSを10G DSとして伝送することで、光伝送システム1の伝送効率を向上させている。
【0048】
ここで、監視制御部17は、光増幅器12,23,1G OLT16及び10G ONU15の少なくともいずれか1つの動作を監視制御して、当該監視制御結果を、10G ONU15を介して1G/10G OLT3に通知する。
図4は監視制御部17のハードウェア構成の一例を示す図である。
この図4に示すように、監視制御部17は、例示的に、論理回路171と、インタフェース(IF)172と、アナログディジタル変換器(ADC:Analog to Digital Converter)173〜175,178と、ディジタルアナログ変換器(DAC:Digital to Analog Converter)176,177とをそなえる。
【0049】
例えば、1G OLT16の動作温度,10G ONU15の動作温度及び1G/10Gリピータ7内の温度などについてのアナログ信号が、ADC173によって、ディジタル信号に変換された後、論理回路173に入力される。なお、各温度についてのアナログ信号は、例えば、各温度測定対象に設けられたサーミスタなどの温度センサによって取得することができる。
【0050】
また、光増幅器12,23の入力レベルについては、光カプラ184で分岐された信号の光パワーレベルがPD183で検出され、ADC178によって、アナログ信号からディジタル信号に変換された後、論理回路173に入力される。
さらに、光増幅器12,23の出力レベルについては、光カプラ185で分岐された信号の光パワーレベルがPD180で検出され、ADC174によって、アナログ信号からディジタル信号に変換された後、論理回路173に入力される。
【0051】
また、光増幅器12,23の動作温度についてのアナログ信号は、ADC175によって、ディジタル信号に変換された後、論理回路173に入力される。なお、各温度についてのアナログ信号は、例えば、各温度測定対象に設けられたサーミスタなどの温度センサによって取得することができる。
論理回路171は、上記の各入力に基づいて、各種の制御を実施することができる。なお、論理回路171は、例えば、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などにより構成され得る。
【0052】
論理回路171は、例えば、ADC175から入力される光増幅器12,23の動作温度に関する情報に基づいて、ペルチェ駆動回路181を制御する制御用信号を生成する。なお、光増幅器12,23の動作温度に関する情報は、例えば、光増幅器12,23内に設けられるサーミスタなどの温度センサによって取得することができる。
ペルチェ駆動回路181は、論理回路171からDAC176を介して入力される上記制御用信号に基づいて、光増幅器12,23の温度を制御する。具体的には例えば、光増幅器12,23が、予め定められた動作温度の範囲内で動作するように、光増幅器12,23を冷却することができる。
【0053】
また、論理回路171は、例えば、ADC178,174から入力される光増幅器12,23の入出力レベルに関する情報に基づいて、光増幅器12,23の増幅利得を制御する制御用信号を生成する。
アンプ駆動回路182は、論理回路171からDAC177を介して入力される上記制御用信号に基づいて、光増幅器12,23の増幅利得を制御する。具体的には例えば、光増幅器12,23が、予め定められた増幅利得の範囲内で動作するように制御する。
【0054】
また、論理回路171は、上記の各入力に基づいて、光増幅器12,23,1G OLT16及び10G ONU15の少なくともいずれか1つの動作が正常か否かを監視制御し、当該監視制御結果を、IF172を介して10G ONU15へ送出する。10G ONU15へ送出された上記監視制御結果は、10G ONU15を介して、1G/10G OLT3に通知される。
【0055】
なお、図4中のPD180,183,アンプ駆動回路182,ペルチェ駆動回路181,光カプラ184,185については、説明を簡単にするため図2では図示を省略している。
ここで、監視制御部17の動作の一例を図5に示す。
この図5に例示するように、まず、監視制御部17は、光増幅器12,23の入力レベル(アンプ入力パワー)及び出力レベル(アンプ出力パワー)を取得する(ステップS10)。
【0056】
そして、監視制御部17は、取得したアンプ入力パワー及びアンプ出力パワーに基づいて、光増幅器12,23の増幅利得(アンプ利得)を算出し(ステップS11)、当該アンプ利得が予め定められた正常範囲内であるかどうかを判定する(ステップS12)。
ここで、算出したアンプ利得が正常範囲内でないと判定した場合(ステップS12のNoルート)、監視制御部17は、10G ONU15を介して、1G/10G OLT3に光増幅器12,23の異常を通知する(ステップS17)。
【0057】
一方、算出したアンプ利得が正常範囲内であると判定した場合(ステップS12のYesルート)、監視制御部17は、光増幅器12,23内のサーミスタから動作温度(アンプ温度)を取得する(ステップS13)。
そして、監視制御部17は、取得したアンプ温度が予め定められた正常範囲内であるかどうかを判定する(ステップS14)。
【0058】
ここで、取得したアンプ温度が正常範囲内でないと判定した場合(ステップS14のNoルート)、監視制御部17は、10G ONU15を介して、1G/10G OLT3に光増幅器12,23の異常を通知する(ステップS17)。
一方、取得したアンプ温度が正常範囲内であると判定した場合(ステップS14のYesルート)、監視制御部17は、10G ONU15の動作温度,1G OLT16の動作温度または1G/10Gリピータ7の動作温度などを取得する(ステップS15)。
【0059】
そして、監視制御部17は、取得した各温度がそれぞれ予め定められた正常範囲内であるかどうかを判定する(ステップS16)。
ここで、取得した各温度が正常範囲内でないと判定した場合(ステップS16のNoルート)、監視制御部17は、10G ONU15を介して、1G/10G OLT3に、10G ONU15,1G OLT16または1G/10Gリピータ7の異常を通知する(ステップS17)。
【0060】
一方、取得した各温度が正常範囲内であると判定した場合(ステップS16のYesルート)、監視制御部17は、処理をステップS10へ戻し、各処理を繰り返し行なう。
なお、監視制御部17の上記動作はあくまで一例であり、例えば、ステップS10〜S12,S13〜S14,S15〜S16の各処理の実行順序は図5に示す例に限定されない。また、一部の監視制御を省略することもでき、この場合、対応する処理,機能及び構成を省略してもよい。
【0061】
(1.3)上りスケジューリング制御について
ここで、図6に示す光伝送システム1を例にして、本例の上りスケジューリング制御について説明する。
図6に示す光伝送システム1において、1G/10G OLT3配下の10G ONU51,15,52及び1G ONU41から上り光信号を送信する場合、各上り光信号の衝突を防ぐため、1G/10G OLT3による上りスケジューリング制御が行なわれる。
【0062】
例えば、1G/10G OLT3は、自局3配下の10G ONU51,15,52及び1G ONU41のそれぞれに対し、上り光信号の送信許可時刻T1,T2,T3,T4(例えば、T1<T2<T3<T4)及び各送信許可時刻からの送信可能期間L1,L2,L3,L4を含むGate信号(Gate(T1,L1)、Gate(T2,L2)、Gate(T3,L3)、Gate(T4,L4))を予め送信する。
【0063】
10G ONU51,15,52及び1G ONU41は、それぞれ、自局51,15,52,41宛のGate信号を選択受信し、各Gate信号で指定された送信許可時刻及び送信可能期間を使用して1G/10G OLT3に対して、上り光信号を送信する。
例えば、Gate(T1,L1)を受信した10G ONU51は、時刻T1から時刻(T1+L1)までの期間において、10G US(10G#1)を1G/10G OLT3へ送信する。
【0064】
また、Gate(T2,L2)を受信した1G ONU41は、時刻T2から時刻(T2+L2)までの期間において、1G US(1G#1)を1G/10G OLT3へ送信する。
同様に、Gate(T3,L3)を受信した10G ONU15は、時刻T3から時刻(T3+L3)までの期間において、10G US(10G#2)を1G/10G OLT3へ送信し、Gate(T4,L4)を受信した10G ONU52は、時刻T4から時刻(T4+L4)までの期間において、10G US(1G#3)を1G/10G OLT3へ送信する。
【0065】
なお、10G ONU51,15,52及び1G ONU41は、上り光信号を送信する際、次回に送信したいフレーム量を1G/10G OLT3に通知することができる。これにより、1G/10G OLT3は、次回送信されるフレームについても10G ONU51,15,52及び1G ONU41からの各上り光信号が衝突しないように上りスケジューリング制御を行なうことができる。
【0066】
このように、1G/10G OLT3は、10G ONU51,15,52及び1G ONU41における各送信期間が重複しないように、T1〜T4及びL1〜L4を設定して上りスケジューリング制御を行なう。このため、図6に例示するように、1G/10G OLT3の入力段では、1G/10G OLT3配下の各ONU51,15,52及び41から送信される上り光信号は衝突しない。
【0067】
一方、光伝送システム1において、1G OLT16配下の1G ONU42−1〜42−3から1G OLT16へ上り光信号を送信する場合も、同様に、各上り光信号が衝突しないように、1G OLT16による上りスケジューリング制御が行なわれる。
例えば、1G OLT16は、自局16配下の1G ONU42−1〜42−3に対し、上り光信号(1G US)の送信許可時刻T1´,T2´,T3´(例えば、T1´<T2´<T3´)及び各送信許可時刻からの送信可能期間L1´,L2´,L3´を含むGate信号(Gate(T1’,L1’)、Gate(T2’,L2’)、Gate(T3’,L3’))を予め送信する。
【0068】
1G ONU42−1〜42−3は、それぞれ、自局42−1〜42−3宛のGate信号を選択受信し、各Gate信号で指定された送信許可時刻及び送信可能期間を使用して1G OLT16に対して、上り光信号を送信する。
例えば、Gate(T1’,L1’)を受信した1G ONU42−1は、時刻T1´から時刻(T1´+L1´)までの期間において、1G US(1G#1´)を1G OLT16へ送信する。
【0069】
同様に、Gate(T2’,L2’)を受信した1G ONU42−2は、時刻T2´から時刻(T2´+L2´)までの期間において、1G US(1G#2´)を1G OLT16へ送信し、Gate(T3’,L3’)を受信した1G ONU42−3は、時刻T3´から時刻(T3´+L3´)までの期間において、1G US(1G#3´)を1G OLT16へ送信する。
なお、1G ONU42−1〜42−3も10G ONU51,15,52及び1G ONU41と同様に、上り光信号を送信する際、次回に送信したいフレーム量を1G OLT16に通知することができる。これにより、1G OLT16は、次回のフレームについても1G ONU42−1〜42−3からの各上り光信号が衝突しないようにスケジューリング制御を行なうことができる。
【0070】
以上のように、1G OLT16は、1G ONU42−1〜42−3における各送信期間が重複しないように、T1´〜T3´及びL1´〜L3´を設定して上りスケジューリング制御を行なう。このため、図6に例示するように、1G OLT16の入力段では、1G ONU42−1〜42−3から送信される上り光信号は衝突しない。
しかしながら、1G/10Gリピータ7より下り側にある10G ONU52は、1G/10G OLT3配下のONUであり、1G/10Gリピータ7より下り側にある1G ONU42−1〜42−3は、1G/10Gリピータ7内の1G OLT16配下のONUであるため、各上り光信号は、別のPONシステムに属する上り光信号として管理され、上りスケジューリング制御が独立して行なわれる。
【0071】
その結果、1G/10Gリピータ7より下り側の光伝送路において、10G ONU52から送信される10G USと1G ONU42−1〜42−3から送信される1G USとが衝突(時間軸上で重複)する可能性がある。
例えば、図6に示す例では、1G/10G OLT3配下の10G ONU52からの10G US(10G#3)の送信期間と、1G OLT16配下の1G ONU42−2からの1G US(1G#2´)及び1G OLT16配下の1G ONU42−3からの1G US(1G#3´)の各送信期間とが重複しており、1G OLT16の入力段で上り光信号の衝突が発生している。
【0072】
そこで、本例では、上記上り光信号の衝突を防止すべく、例えば、1G OLT16が、1G ONU15を介して、1G/10G OLT3宛の上り光信号の送信タイミングに関する情報を1G/10G OLT3から受信する。そして、1G OLT16が、受信した情報に基づいて、1G/10G OLT3宛の光信号と1G OLT16宛の光信号とが衝突しないように、1G OLT16配下の1G ONU42−1〜42−3から送信される1G USの上りスケジューリング制御を行なう。
【0073】
図7に10G ONU15及び1G OLT16の各構成例を示す。
この図7に示すように、10G ONU15は、例示的に、PON側IF部151と、PON MAC(Media Access Control)部152と、ブリッジ部153と、UN(User Network)側IF部154と、タイミング情報取得部155とをそなえる。
PON側IF部151は、PONシステムとしての光伝送システム1で通信される光信号の送受信部として機能する。PON側IF部151は、例えば、1G/10G OLT3から送信される10G DSを電気信号に変換してPON MAC部152へ送出したり、1G OLT16から入力される電気信号を10G USに変換して1G/10G OLT3へ送出したりすることができる。
【0074】
PON MAC部152は、光伝送システム1で使用される制御フレームを受信信号から抽出したり、送信信号に対して制御フレームを付与したりする。
ブリッジ部153は、1G OLT16から入力されるデータ信号を、光伝送システム1で用いられる所定のデータフォーマットに変換する。
UN側IF部154は、ユーザ側のネットワークと接続するためのネットワークインターフェースである。
【0075】
タイミング情報取得部155は、1G/10G OLT3から、後述する送信タイムテーブルや各ONUのRTT(Round Trip Time)情報などを含む、スケジューリング情報を取得するとともに、当該スケジューリング情報を1G OLT16に通知する。また、タイミング情報取得部155は、10G ONU15と1G OLT16とを時刻同期させるための時刻情報を、1G OLT16に通知することができる。
【0076】
一方、図7に示す1G OLT16は、例示的に、WAN(Wide Area Network)側IF部161と、ブリッジ部162と、PON MAC部163と、PON側IF部164と、タイミングパラメータ算出部165と、DBA(Dynamic Bandwidth Assignment)部166とをそなえる。
WAN側IF部161は、通信事業者側のネットワークと接続するためのネットワークインターフェースである。
【0077】
ブリッジ部162は、10G ONU15から入力されるデータ信号を、WAN側のネットワークで用いられる所定のデータフォーマットに変換する。
PON MAC部163は、光伝送システム1で使用される制御フレームを受信信号から抽出したり、送信信号に対して制御フレームを付与したりする。
PON側IF部164は、PONシステムとしての光伝送システム1で通信される光信号の送受信部として機能する。PON側IF部164は、例えば、1G OLT16配下のONU42−1〜42−3から送信される1G USを電気信号に変換してPON MAC部163へ送出したり、10G ONU15からから入力される電気信号を1G DSに変換してONU42−1〜42−3へ送出したりすることができる。
【0078】
タイミングパラメータ算出部165は、タイミング情報取得部155から通知される上記スケジューリング情報に基づいて、1G/10Gリピータ7より下り側に位置する1G/10G OLT3配下のONU52における送信期間を算出して、DBA部166に通知する。
また、タイミングパラメータ算出部165は、タイミング情報取得部155から通知される上記時刻情報に基づいて、10G ONU15と1G OLT16とを時刻同期させることができる。
【0079】
DBA部166は、タイミングパラメータ算出部165から通知される、1G/10Gリピータ7より下り側に位置する1G/10G OLT3配下のONU52における送信期間に基づいて、1G OLT16配下のONU42−1〜42−3の上りトラフィック量に応じて柔軟に帯域の割当(動的帯域割当)を行なう。例えば、DBA部166は、1G/10Gリピータ7より下り側に位置する1G/10G OLT3配下のONU52における送信期間と、1G OLT16配下のONU42−1〜42−3の各送信期間とが重複しないように、ONU42−1〜42−3の各送信期間を制御する。
【0080】
図8を用いて1G OLT16による上りスケジューリング制御動作の一例を説明する。なお、図8に示す例では、説明を簡単にするため、RTTを考慮しない例を用いるが、これに限定する意図はない。
図8に例示するように、まず、10G ONU15と1G OLT16との間で時刻同期を行なう(ステップA1)。
【0081】
次に、1G/10G OLT3は、10G ONU51に対して、時刻T1から時刻(T1+L1)までの間の上り信号送信を許可するGate(T1,L1)を送信する(ステップA2)。
同様に、1G/10G OLT3は、1G ONU41に対して、時刻T2から時刻(T2+L2)までの間の上り信号送信を許可するGate(T2,L2)を送信し(ステップA3)、10G ONU15に対して、時刻T3から時刻(T3+L3)までの間の上り信号送信を許可するGate(T3,L3)を送信し(ステップA4)、10G ONU52に対して、時刻T4から時刻(T4+L4)までの間の上り信号送信を許可するGate(T4,L4)を送信する(ステップA5)。
【0082】
10G ONU15は、1G/10G OLT3から送信される上記の各Gate信号を抽出し、当該抽出結果から得られる情報を1G OLT16に通知する(ステップA6)。
これにより、1G OLT16は、1G/10G OLT3配下のONU51,41,15,52における各送信期間を把握することでき、例えば、1G/10Gリピータ7より下り側に位置する1G/10G OLT3配下のONU52における送信期間と、1G OLT16配下のONU42−1〜42−3の各送信期間とが重複しないように、ONU42−1〜42−3の各送信期間を制御することができる。
【0083】
例えば、1G OLT16は、1G ONU42−1に対して、時刻T1´から時刻(T1´+L1´)までの間の上り信号送信を許可するGate(T1’,L1’)を送信し(ステップA7)、1G ONU42−2に対して、時刻T2´から時刻(T2´+L2´)までの間の上り信号送信を許可するGate(T2’,L2’)を送信し(ステップA8)、1G ONU42−3に対して、時刻T3´から時刻(T3´+L3´)までの間の上り信号送信を許可するGate(T3’,L3’)を送信する(ステップA9)。
【0084】
ここで、Gate(T1’,L1’),Gate(T2’,L2’)及びGate(T3’,L3’)で規定される各送信期間は、1G OLT16によって、少なくともGate(T4,L4)で規定される送信期間と重複しない送信期間に設定されている。
そして、1G/10G OLT3からGate(T1,L1)を受信した10G ONU51は、時刻T1から時刻(T1+L1)までの間において、上り光信号(10G#1)を送信し(ステップA10)、1G/10G OLT3からGate(T2,L2)を受信した1G ONU41は、時刻T2から時刻(T2+L2)までの間において、上り光信号(1G#1)を送信する(ステップA11)。
【0085】
また、1G/10G OLT3からGate(T3,L3)を受信した10G ONU15は、時刻T3から時刻(T3+L3)までの間において、上り光信号(10G#2)を送信し(ステップA12)、1G/10G OLT3からGate(T4,L4)を受信した10G ONU52は、時刻T4から時刻(T4+L4)までの間において、上り光信号(10G#3)を送信する(ステップA13)。
【0086】
一方、1G OLT16からGate(T1’,L1’)を受信した1G ONU42−1は、時刻T1´から時刻(T1´+L1´)までの間において、上り光信号(1G#1´)を送信し(ステップA14)、1G OLT16からGate(T2’,L2’)を受信した1G ONU42−2は、時刻T2´から時刻(T2´+L2´)までの間において、上り光信号(1G#2´)を送信する(ステップA15)。
【0087】
さらに、1G OLT16からGate(T3’,L3’)を受信した1G ONU42−3は、時刻T3´から時刻(T3´+L3´)までの間において、上り光信号(1G#3´)を送信する(ステップA16)。
以上のように、本例によれば、1G OLT16が、1G/10G OLT3における上りスケジューリング情報に基づいて、自局16配下の各ONU42−1〜42−3の上りスケジューリング制御を行なうので、上り光信号の衝突を確実に防止することができる。
【0088】
なお、上述した例のほか、1G OLT16のスケジューリング情報を用いて、1G/10G OLT3が、自局3配下の各ONU51,41,15,52の上りスケジューリング制御を行なうようにしてもよい。この場合、1G OLT16における上りスケジューリングに関する情報が、10G ONU15を介して、1G/10G OLT3へ送信されるようにしてもよい。
【0089】
(1.4)第1変形例
図9に第1変形例に係る光伝送システム1A及び1G/10Gリピータ7Aの各構成の一例を示す。なお、図9中、図2記載の各部位と同じ符号を有する部位については、図2記載の各部位と同様の構成及び機能を具備するものであるため、その説明を省略する。
図9に例示する1G/10Gリピータ7Aでは、EPON規格の一つであるPR30に規定される、OLTとONUとの間の許容損失(29dB)に対応すべく、フィルタ14の下り側方路に光カプラ26が設けられている。
【0090】
光カプラ26は、各ONU52,42から送信される上り光信号を、1G OLT16への方路とフィルタ14への方路とに分岐する。なお、光カプラ26の分岐比は、1G OLT16への方路へより多くの光を分岐すべく、例えば、3:7程度に設定されるのが望ましい。これにより、1G/10Gリピータ7A内における1G USの損失を低減することができる。
【0091】
また、1G/10Gリピータ7Aでは、光増幅器12のASE成分を除去すべく、フィルタ11と光増幅器12との間及び光増幅器12とフィルタ14との間に、フィルタ24がそれぞれ介装されている。
図10にフィルタ24の透過/反射特性の一例を示す。この図10に例示するように、フィルタ24は、10G DSの波長である1.55μm〜1.58μmの光信号を透過する一方、それ以外の波長の光信号を反射する。なお、図10に示す例では、フィルタ24をバンドパスフィルタとして構成しているが、10G DSを透過し、それ以外の光信号を反射するハイパスフィルタとしてフィルタ24を構成してもよい。
【0092】
さらに、1G/10Gリピータ7Aでは、光増幅器23のASE成分を除去すべく、フィルタ14と光増幅器23との間及び光増幅器23とフィルタ11との間に、フィルタ25がそれぞれ介装されている。
図11にフィルタ25の透過/反射特性の一例を示す。この図11に例示するように、フィルタ25は、10G USの波長である1.26μm〜1.28μmの光信号を透過する一方、それ以外の波長の光信号を反射する。なお、図11に示す例では、フィルタ25をバンドパスフィルタとして構成しているが、10G USを透過し、それ以外の光信号を反射するローパスフィルタとしてフィルタ25を構成してもよい。
【0093】
なお、光増幅器12,23のASE成分が十分小さいような場合は、フィルタ24,25を省略することができる。
本例によれば、上記実施形態と同様の効果が得られるほか、光増幅器12,23のASE成分を確実に除去して光伝送システム1Aの信頼性を向上させることが可能となる。
(1.5)第2変形例
図12に第2変形例に係る光伝送システム1B及び1G/10Gリピータ7Bの各構成の一例を示す。なお、図12中、図2,図9記載の各部位と同じ符号を有する部位については、図2,図9記載の各部位と同様の構成及び機能を具備するものであるため、その説明を省略する。
【0094】
PONシステムにおいて、1G USの波長帯域を1.26μm〜1.36μmの範囲で適宜設定することができる場合、1G USの波長帯域を10G USの波長帯域と重複しない波長帯域に設定する場合が考えられる。
図12に例示する光伝送システム1Bでは、1G USの波長帯域が、例えば1.29μm〜1.36μmに設定されるとともに、10G USの波長帯域が、例えば1.26μm〜1.28μmに設定されている。つまり、1G USの波長帯域と10G USの波長帯域とが分離されている。なお、光伝送システム1Bにおける1G USの波長帯域はあくまで一例であり、これに限定する意図はなく、少なくとも10G USの波長帯域と重複しない波長帯域であればよい。
【0095】
このように、1G USの波長帯域と10G USの波長帯域とが分離されている場合、1G/10Gリピータ7Bでは、1G USと10G USとを図11に例示した反射/透過特性を有するフィルタ25によって分離することができる。これにより、光カプラ19,26を用いた場合に比して、光信号の損失を低減することが可能となる。
さらに、フィルタ25を用いて1G USと10G USとを分離した場合、光増幅器23には1G USは入力されず、10G USしか入力されない。このため、アンプ制御回路18は、光検出器21で光増幅器23への入力を検出した場合にのみ光増幅器23をオン制御すれば、10G USのみを光増幅できるので、光増幅器23のオンオフ制御を単純化することが可能となる。
【0096】
また、本例では、1G USの波長帯域と10G USの波長帯域が分離されているので、1G ONU42からの1G USと10G ONU52からの10G USとが衝突することがない。従って、本例では、図6〜図8を用いて説明したタイミング制御のための構成及び機能を省略することができ、1G/10Gリピータ7Bの制御及び構成をより単純化することが可能となる。
【0097】
なお、1G/10Gリピータ7Bでは、フィルタ24の下り側方路、1G OLT16とフィルタ25との間、1G OLT16とフィルタ24との間、光カプラ10と光増幅器12との間にフィルタ27が介装されている。
図13にフィルタ27の透過/反射特性の一例を示す。この図13に例示するように、フィルタ27は、1G DS及び10G DSを透過する一方、1G US及び10G USを反射する。即ち、フィルタ27は、上り光信号と下り光信号とを分離するフィルタとして機能する。なお、図13に示す例では、フィルタ27をハイパスフィルタとして構成しているが、上り光信号と下り光信号とを分離するバンドパスフィルタやローパスフィルタとしてフィルタ27を構成することもできる。
【0098】
また、光増幅器12,23のASE成分が十分小さいような場合は、光増幅器12とフィルタ27との間に設けられたフィルタ24や、光増幅器23とフィルタ27との間に設けられたフィルタ25を省略することができる。
本例によれば、上記実施形態及び変形例と同様の効果が得られるほか、1G/10Gリピータ7Bでの光信号損失を抑制することができる。
【0099】
(1.6)第3変形例
図14に第3変形例に係る光伝送システム1C及び1G/10Gリピータ7Cの各構成の一例を示す。なお、図14中、図2,図9,図12記載の各部位と同じ符号を有する部位については、図2,図9,図12記載の各部位と同様の構成及び機能を具備するものであるため、その説明を省略する。
【0100】
上記実施形態及び各変形例では、少なくとも光検出器21の検出結果に基づいて光増幅器23のオンオフ制御を行なったが、本例のように、例えば、10G USのスケジューリング情報に基づいて光増幅器23のオンオフ制御を行なうようにしてもよい。なお、図14に示す光伝送システム1C及び1G/10Gリピータ7Cは、図12に例示した光伝送システム1B及び1G/10Gリピータ7Bの構成を基にしているが、これに限定する意図はない。
【0101】
監視制御部17Cは、10G ONU15を介して1G/10G OLT3から受信されるスケジューリング情報に基づいて、10G ONU52から送信される10G USが1G/10Gリピータ7Cに入力される時刻や信号長などの情報を取得する。また、監視制御部17Cは、10G ONU15を介して1G/10G OLT3から、各ONU15,52のRTTに関する情報を取得する。
【0102】
また、監視制御部17Cは、上記取得した各情報に基づいて、ONU52からの10G USが光増幅器23に入力されるタイミングを算出する。
そして、監視制御部17Cは、当該算出結果に基づいて、光増幅器23をオン制御すべきタイミング及びオフ制御すべきタイミングを示す制御タイムテーブルを作成または更新する。監視制御部17Cによって作成または更新された制御タイムテーブルは、アンプ制御回路18Cに通知される。
【0103】
アンプ制御回路18Cは、監視制御部17Cから通知される制御タイムテーブルに基づき、光増幅器23をオンオフ制御する。例えば、アンプ制御回路18Cは、光増幅器23にONU52からの10G USが入力されるタイミングで光増幅器23をオン制御する一方、それ以外のタイミングでは光増幅器23をオフ制御することができる。
本例の制御動作の一例を図15に示す。
【0104】
この図15に例示するように、まず、監視制御部17Cが、1G/10Gリピータ7Cに設けられた10G ONU15を介して、1G/10G OLT3からスケジューリング情報を取得する(ステップS20)。
加えて、監視制御部17Cは、1G/10Gリピータ7Cに設けられた10G ONU15を介して、1G/10G OLT3から10G ONU15,52のRTTに関する情報(RTT情報)を取得する(ステップS21)。
【0105】
そして、監視制御部17Cは、ステップS20で取得したスケジューリング情報とステップS21で取得したRTT情報とに基づいて、光増幅器23をオン制御するタイミング及びオフ制御するタイミングを算出する(ステップS22)。
上記タイミング算出の動作例について、例えば、図16に示すように、1G/10Gリピータ7C−1〜7C−m(mは自然数)を有する光伝送システム1Cを例にして説明する。
【0106】
図16に例示する光伝送システム1Cでは、例えば、図17に示すように、まず、1G/10G OLT3から10G ONU52−1に対して、時刻(T1−RTT#1)から時刻(T1−RTT#1+L1)までの間の上り信号送信を許可するGate(T1-RTT#1,L1)が送信される(ステップB1)。
ここで、RTT#1は、1G/10G OLT3と10G ONU52−1との間のRTTを表す。同様に、1G/10G OLT3から10G ONU52−2に対して、(T2−RTT#2)から時刻(T2−RTT#2+L2)までの間の上り信号送信を許可するGate(T2-RTT#2,L2)が送信される(ステップB2)。ここで、RTT#2は、1G/10G OLT3と10G ONU52−2との間のRTTを表す。また、1G/10G OLT3と1G/10Gリピータ7C−mとの間には、RTT#REPで表されるRTTが存在している。
【0107】
このように、1G/10G OLT3,1G/10Gリピータ7C−m,10G ONU52−1,52−2間には所定のRTTが存在する。このため、各装置間で時刻同期を行なったとしても、1G/10G OLT3内の時計が指す時刻と、各装置7C−m,52−1,52−2内の時計が指す時刻との間には、それぞれ、(RTT#REP)/2,(RTT#1)/2,(RTT#2)/2のずれが生じる。
【0108】
そこで、1G/10G OLT3は、予めこのずれを吸収できるように、10G ONU52−1,52−2に対して、各RTTを考慮した、Gate(T1-RTT#1,L1),Gate(T2-RTT#2,L2)を送信している。
つまり、1G/10G OLT3からGate(T1-RTT#1,L1)を受信した10G ONU52−1は、時刻(T1−RTT#1)から時刻(T1−RTT#1+L1)までの間において、上り光信号(10G#1)を送信する(ステップB3)。
【0109】
また、1G/10G OLT3からGate(T2-RTT#2,L2)を受信した10G ONU52−2は、時刻(T2−RTT#2)から時刻(T2−RTT#2+L2)までの間において、上り光信号(10G#2)を送信する(ステップB4)。
これにより、1G/10G OLT3は、時刻T1から時刻(T1+L1)までの間において、上り光信号(10G#1)を受信できるとともに、時刻T2から時刻(T2+L2)までの間において、上り光信号(10G#1)を受信することができる。
【0110】
ここで、10G ONU52−1から送信された10G#1は、時刻(T1−RTT#REP)から時刻(T1−RTT#REP+L1)までの間において、1G/10Gリピータ7C−mに入力されている。また、10G ONU52−2から送信された10G#2は、時刻(T2−RTT#REP)から時刻(T2−RTT#REP+L2)までの間において、1G/10Gリピータ7C−mに入力されている。
【0111】
従って、1G/10Gリピータ7C−mでは、時刻(T1−RTT#REP)から時刻(T1−RTT#REP+L1)までの間、並びに、時刻(T2−RTT#REP)から時刻(T2−RTT#REP+L2)までの間において、光増幅器23をオン制御する一方、それ以外の期間では光増幅器23をオフ制御すればよいことが分かる。
換言すれば、1G/10Gリピータ7C−mは、1G/10G OLT3での上り光信号受信時刻(例えば、T1,T2)よりも、RTT#REPだけ早いタイミングで光増幅器23をオン制御する一方、オン制御の開始から各信号長分だけ遅いタイミングで光増幅器23をオフ制御する。
【0112】
これにより、1G/10Gリピータ7C−mは、10G USが通過するときのみ光増幅器23をオン制御することができる。
本例では、監視制御部17Cが、図18の「取得情報」に基づいて算出した、図18の「算出情報」に例示するような、オンオフ制御のタイミング(期間)を示す制御タイムテーブルを作成または更新する(ステップS23)。
【0113】
そして、監視制御部17Cによって作成または更新された制御タイムテーブルに基づいて、アンプ制御回路18Cは、光増幅器23を制御する(ステップS24)。
本例によれば、光増幅器23の前段において光信号を検出するための構成や光遅延線を省略して、1G/10Gリピータ7Cの構成をより単純化することができるので、1G/10Gリピータ7Cの製造コストをより低減することが可能となる。
【0114】
ところで、通常、PONシステムでは、接続されたONUを検出するため、OLTによってDiscoveryプロセスが実施される。ここで、図19にDiscoveryプロセスの一例を示す。
この図19に例示するように、まず、Discoveryプロセスが開始されると(ステップS30)、OLTは、システムに接続されている全てのONUに対して、上り光信号の送信を許可する上り送信許可メッセージ(Discovery Gate)を送信する(ステップS31)。この上り送信許可メッセージには、例えば、OLTのローカル時間(例えば、上り送信許可メッセージの送信時刻Tlocal)に関する情報や、ONUの送信を許可する時刻に関する情報などが含まれ得る。
【0115】
OLTから上り送信許可メッセージを受信した各ONUは、上り送信許可メッセージに含まれるTlocalに基づいて、それぞれ、OLTとの時刻同期をとる(ステップS32)。
そして、OLTに未登録のONUは、上り送信許可メッセージに含まれる送信許可時刻からランダム時間待った後、OLTに対して登録要求(Register Request)を送信する(ステップS33)。この登録要求には、例えば、未登録のONUが当該登録要求を送信した時刻に関する情報などが含まれる。
【0116】
OLTは、未登録のONUから上記登録要求を受信する(ステップS34)。
そして、OLTは、当該登録要求を受信した時刻,当該登録要求に含まれる未登録のONUでの送信時刻及びOLTが上り送信許可メッセージを送信した時刻(Tlocal)に基づき、OLTとONUとの間の伝送遅延時間(RTT)を算出する(ステップS35)。これにより、OLTは、図17に例示したように、各ONU宛のGate信号に記載する送信許可時刻を各ONUに対応するRTTだけずらして指定することができる。
【0117】
次に、OLTは、登録要求を送信してきたONUに対して、ONUを識別する識別子(LLID:Logical Link Identifier)を割り当てるとともに、当該LLIDを記載した登録メッセージ(Register)をONUに送信する。
また、OLTは、上記登録メッセージに対する応答の送信を許可する送信許可メッセージ(Gate信号)をONUに送信する(ステップS36)。送信許可メッセージには、ONUが応答を送信することができる期間を示す送信許可期間に関する情報が含まれる。
【0118】
ONUは、送信許可メッセージにより指定された送信許可期間において登録受領メッセージ(Register ACK)をOLTに送信する(ステップS37)。
OLTは、ONUから登録受領メッセージを受信し、当該登録受領メッセージの送信元であるONUを登録して(ステップS38)、Discoveryプロセスを終了する(ステップS39)。
【0119】
ここで、Discovery プロセスが行なわれる頻度は、Discovery Gate間隔と称される。通常の運用時は、例えば、Discovery Gate間隔は、数百msに1回程度である。
また、Discoveryプロセスにおいて、OLTからONUへ送信許可メッセージが送信されてから、未登録のONUから前記送信許可メッセージに対する応答を受信するまでの期間は、Ranging Windowと称される。Ranging Windowは、例えば、1ms以下である。
【0120】
従って、Discovery プロセスによって、PONシステムでのサービス提供が、数百msに1回、1ms以下の期間途切れることになる。
なお、未登録のONUに対してLLIDを割り当てる処理などは、例えば、Ranging Window終了後、登録済ONUとOLTとの間でトラフィックの転送が行なわれるサービス時間内において実施される。
【0121】
ところで、図36などで後述する1G/10Gリピータ7Eの増幅処理部30が外部からの制御によって動作するモードであって、光伝送システムが、図20に例示するように、1G/10Gリピータ7E−1,7E−2をカスケード接続して構成される場合、増幅処理部30の外部制御に工夫を要する。なお、図20に例示する光伝送システムは、1G/10Gリピータ7Eに代えて、図34で後述する1G/10Gリピータ7Dや図39で後述する1G/10Gリピータ7Gなどをそなえていてもよい。
【0122】
上記工夫とは、以下の(A)〜(C)である。
(A)10G ONUがどのドメインに接続されているかネットワークが把握していること。
(B)同じドメイン内に属する10G ONUのUS信号の送信時間をまとめること。
(C)1G ONUはドメインに関係なくUS信号の送信時間をまとめること。
【0123】
例えば、ドメイン#1に属する10G ONU51のUS信号の送信時間がまとめられていれば、その間、1G/10Gリピータ7E−1の増幅処理部30と1G/10Gリピータ7E−2の増幅処理部30とをオフにしておける。また、ドメイン#2に属する10G ONU52−1のUS信号の送信時間がまとめられていれば、この間は、1G/10Gリピータ7E−1の増幅処理部30をオンにする一方、1G/10Gリピータ7E−2の増幅処理部30をオフにしておくことで、増幅処理部30をオンオフする回数を少なくして転送効率を向上させることができる。また、ドメイン#1に属する10G ONU51のUS信号が送信されている間、1G/10Gリピータ7E−1,7E−2からの雑音光の放出を抑制することができる。
【0124】
したがって、図20に示す例では、US信号は、1G ONU,10G ONUについてそれぞれ、ドメイン#1、#2、#3とまとめられる。
そこで、本例では、例えば、以下に示すDiscoveryプロセス制御を実施する。図20に示した例では、1G系は1G/10Gリピータ7E−1,7E−2が、2段カスケード接続されていても各リピータ内の1Gリジェネレータ28により、Discovery Processが全てのドメインに属する1G ONUに対して行なわれる。
【0125】
まず、1G/10G リピータ7E−1,7E−2の光増幅器12,30をオフ制御し、1G/10G OLT3に対して、1G/10G リピータ7E−1より近い位置にある各10G ONU(例えば、10G ONU51)と1G ONU(例えば、1G ONU41)についてDiscoveryプロセスを行ない、各ONUを登録する。
そして、上記1G/10G リピータ7E−1,7E−2より遠地にある各ONUについて、順次Discoveryプロセスを行なっていく。例えば、複数の1G/10G リピータ7Eが直列に多段配置される場合は、1G/10G OLT3に最も近い位置にある1G/10G リピータ7E−1から順番に上記Discoveryプロセスを繰り返すことにより、全てのONUを1G/10G OLT3に登録していくことができる。
【0126】
図20に例示する光伝送システムを例にして、本例のDiscoveryプロセス制御を説明する。
本例では、まず、1G/10G OLT3,1G/10G OLT3と1G/10G リピータ7E−1を介さずに直接接続される10G ONU51を含む領域(ドメイン#1)内の各ONUに対して、Discoveryプロセスを行なう。
【0127】
次に、1G/10G OLT3と1G/10G リピータ7E−1を介して接続される10G ONU52−1を含む領域(ドメイン#2)内の各10G ONUに対して、Discoveryプロセスを行なう。
さらに、1G/10G OLT3と1G/10G リピータ7E−1,7E−2を介して接続される10G ONU52−2を含む領域(ドメイン#3)内の各10G ONUに対して、Discoveryプロセスを行なう。
【0128】
具体的には例えば、図21に例示するように、まず、本例のDiscoveryプロセス制御が開始されると(ステップS40)、全ての1G/10G リピータ7Eは、各光増幅器12,30をオフ制御する(ステップS41)。
次に、1G/10G OLT3は、Discoveryプロセスを実施する(ステップS42)。これにより、まず、全てのドメイン内の1G ONUとドメイン#1内の各10G ONU51が1G/10G OLT3に登録される。
【0129】
1G/10G OLT3は、全てのドメイン内の1G ONUとドメイン#1内の全ての10G ONU51が1G/10G OLT3に登録されたかどうかを判定する(ステップS43)。例えば、上記DiscoveryプロセスにおけるRanging Window(RW)で、1G/10G OLT3が登録要求を受信しなくなった時点をもって、ドメイン#1内の全ての10G ONU51が1G/10G OLT3に登録されたと判定することができる。なお、各ONUからの登録要求が同一の時間帯で送信された場合、登録要求の衝突が発生し、1G/10G OLT3で受信されないことがあるので、正確には、RWで光信号を受信しなくなった時点をもって、全てのドメイン内の1G ONUとドメイン#1内の全ての10G ONU51が1G/10G OLT3に登録されたと判定する。
【0130】
ここで、ドメイン#1内の全ての10G ONU51が1G/10G OLT3に登録されていないと判定した場合(ステップS43のNoルート)、1G/10G OLT3は、処理をステップS42へ移行し、Discoveryプロセスを継続する。
一方、ドメイン#1内の全ての10G ONU51が1G/10G OLT3に登録されたと判定した場合(ステップS43のYesルート)、1G/10G OLT3は、登録された各ONUと光信号の送受信を行なう。このとき、全ての1G/10G リピータ7Eは、内蔵の各光増幅器12,30をオフ制御して、各1G/10G リピータ7Eの1G ONU60を介して、1G/10G OLT3宛に自局7Eの存在を通知する(ステップS44)。
【0131】
そして、1G/10G OLT3は、上記通知に基づいて算出されるRTTを基に、自局3から近い順に1G/10G リピータ7Eを特定する。また、1G/10G OLT3は、自局3と接続された1G/10G リピータ7Eの数を特定し、便宜上、自局3に近い側から#1,#2,・・・と一意の番号を割り当て、割り当てた番号を各1G/10G リピータ7Eに通知する(ステップS45)。
【0132】
ここで、1G/10G OLT3は、制御パラメータnに1を代入し(ステップS46)、処理を「A」へ移行する。
次に、図22に例示するように、1G/10G OLT3は、全ての1G/10G リピータ7Eに、次のDiscoveryプロセスにおけるRanging Window(RW#(n+1))を通知し(ステップS47)、次のDiscoveryプロセス#(n+1)を開始する(ステップS48)。なお、この時点では、システムに新規に接続されたリピータや、未登録のONUは未登録のままである。
【0133】
Discoveryプロセス#(n+1)では、ドメイン#(n+1)内の各10G ONU52−1と新規に接続された1G ONUが登録処理の対象となる。RW#(n+1)が開始されると、1G/10G リピータ7E−m(mは1からnまで)は、RW#(n+1)よりも前のタイミングで増幅器12,30をオン制御し、RW#(n+1)が終了すると増幅器12,30をオフ制御する。
【0134】
ここで、1G/10G OLT3は、各ドメイン内のONUに対して、ドメイン確定処理を行なう(ステップS49)。ドメイン確定処理とは、実際にドメイン#nにあるONUが、ドメイン#(n+1)に存在することを確定させる処理をいう。
例えば、ドメイン#3に対するRanging Window(RW#(3))において、ドメイン#1に10G ONUが新規に接続されると、この新規接続された10G ONUも登録要求を1G/10G OLT3に出すことになる。その結果、1G/10G OLT3は、10G ONUが存在するドメインを誤認することがあるため、これを防ぐべくドメイン確定処理を行なう。
【0135】
まず、ドメイン確定処理の前処理として、ドメイン識別処理が実施される。
ドメイン識別処理では、1G/10G OLT3において、各ONUからの登録要求がどのタイミングで受信されるかに応じて、各10G ONUが属するドメインを識別する。
例えば、1G/10G OLT3から上り送信許可メッセージを受信した各10G ONUは、1G/10G OLT3へ登録要求を送信する。
【0136】
図20に例示するように、ドメイン数が3の場合、RW#(1)においては、ドメイン#1内の10G ONU51から登録要求が送信される。また、RW#(2)においては、ドメイン#1内の10G ONU51、及び、ドメイン#2内の10G ONU52−1から登録要求が送信される。さらに、RW#(3)においては、ドメイン#1内の10G ONU51、ドメイン#2内の10G ONU52−1、及び、ドメイン#3内の10G ONU52−2から登録要求が送信される。
【0137】
図23に各RWと各ドメイン内のONUからの登録要求の受信状況との対応関係の一例を示す。
この図23に例示するように、ドメイン#1内の10G ONUからは、全てのRW#1〜RW#3で、1G/10G OLT3は登録要求を受信できる。また、ドメイン#2内の10G ONUからは、RW#2及びRW#3で、1G/10G OLT3は登録要求を受信でき、ドメイン#3内の10G ONUからは、RW#3で、1G/10G OLT3は登録要求を受信できる。
【0138】
これは例えば、RW#1及びRW#2においては、ドメイン#3内の1G/10Gリピータ7E−2の光増幅器30がオフ制御されているため、ドメイン#3内の10G ONUからの登録要求はRW#1及びRW#2において1G/10G OLT3で受信されないからである。同様に、RW#1においては、ドメイン#2内の1G/10Gリピータ7E−1内の光増幅器30がオフ制御されているため、ドメイン#2内の10G ONUからの登録要求はRW#1において1G/10G OLT3で受信されない。
【0139】
このように、各RWにおける登録要求の受信状況に応じて、1G/10G OLT3は、各ONUの属するドメインを識別することができる。
なお、各RWにおいて、複数のONUからの登録要求が衝突することがある。このような場合は、1G/10G OLT3では「登録要求無し」と判定してしまい、ドメイン識別処理が正常に行なわれないことがある。そこで、1G/10G OLT3は、登録要求の衝突を検出した場合、例えば、全てのドメインにおいて、Discoveryプロセス及びドメイン識別処理を再実行してもよい。
【0140】
ドメイン識別処理によって、各10G ONUの属するドメインが識別された後、1G/10G OLT3は、ドメイン確定処理を行なう。
例えば、図24に示すように、ドメイン確定処理が開始されると(ステップS60)、1G/10G OLT3は、RW#1で登録要求を受信できない10G ONUが存在するかどうかを判定する(ステップS61)。
【0141】
ここで、RW#1で登録要求を受信できないONUが存在しないと判定した場合(ステップS60のNoルート)、新たに登録する10G ONUは、ドメイン#1にしか存在しないので、1G/10G OLT3は、ドメイン識別処理及びドメイン確定処理を省略して処理を終了する(ステップS62)。
一方、RW#1で登録要求を受信できないONUが存在すると判定した場合(ステップS60のYesルート)、ドメインが複数存在するので、1G/10G OLT3は、各RW#(n+1)で登録要求を受信できたONUを記録し、図23に示したようなテーブルを作成または更新する(ステップS63)。
【0142】
そして、1G/10G OLT3は、システムに存在する全ての10G ONUから登録要求を受信したかどうかを判定する(ステップS64)。例えば、1G/10G OLT3は、送信許可メッセージを送信したONUの全てから登録要求を受信できたかどうかに基づいて、システムに存在する全てのONUから登録要求を受信したかどうかを判定することができる。
【0143】
ここで、システムに存在する全てのONUから登録要求を受信していないと判定した場合(ステップS64のNoルート)、1G/10G OLT3は、処理を終了する(ステップS65)。
一方、システムに存在する全てのONUから登録要求を受信したと判定した場合(ステップS64のYesルート)、1G/10G OLT3は、前述したドメイン識別処理を実施する(ステップS66)。
【0144】
次に、1G/10G OLT3は、登録要求があったONUに新しいLLIDを割り当て、LLIDを記載した登録メッセージを送信するとともに、登録メッセージに対する応答を各ONUが送信するための許可時刻を記載したGateメッセージを各ONUへ送信する。この際、例えばドメイン#nに属すると識別したONUに対して、ドメイン#(n−1)に属する1G/10Gリピータ7Eの光増幅器30がオフ制御されるタイミングで登録受領メッセージが送信されるように、送信許可時刻を設定する(ステップS67)。
【0145】
例えば、ドメイン#3に属すると識別されたONU52−2に対しては、1G/10G OLT3は、意図的に、1G/10Gリピータ7E−2の光増幅器30がオフ制御されるタイミングで登録受領メッセージが送信されるように設定した送信許可メッセージを送信する。
1G/10G OLT3から登録メッセージを受信したONUは、ともに受信したGate信号に記載された送信許可時間に登録受領メッセージを送信する(ステップS68)。
【0146】
そして、1G/10G OLT3は、送信許可メッセージで指定した時刻に登録受領メッセージを受信できなかったかどうかを判定する(ステップS69)。
例えばドメイン#3に属すると識別されたONU52−2がドメイン#3に存在している場合、1G/10G OLT3は、登録受領メッセージを受信できないはずである。そこで、1G/10G OLT3は、登録受領メッセージを受信できない場合(ステップS69のYesルート)、上記ドメイン識別が正しいと判断する。
【0147】
そして、1G/10G OLT3は、ドメイン#nに属すると識別したONUに対して、ドメイン#(n−1)に属する1G/10Gリピータ7Eの光増幅器30がオン制御されるタイミングで登録受領メッセージが送信されるように、送信許可時刻を設定した送信許可メッセージを送信する(ステップS70)。
1G/10G OLT3は、送信許可メッセージで指定した時刻に登録受領メッセージを受信できたかどうかを判定し(ステップS71)、受信できた場合(ステップS71のYesルート)、ドメイン識別結果が正しかったとしてドメイン確定処理を終了する(ステップS72)。
【0148】
一方、ステップS69において、登録受領メッセージを受信した場合(ステップS69のNoルート)、上記ドメイン識別が誤りであるとして、処理を「A」へ移行して、再びドメイン識別処理およびドメイン確定処理を行なう。
また、ステップS71において、登録受領メッセージを受信できない場合も(ステップS71のNoルート)、上記ドメイン識別が誤りであるとして、処理を「A」へ移行して、再びドメイン識別処理およびドメイン確定処理を行なう。
【0149】
なお、1G/10G OLT3は、ドメイン識別処理の結果が誤りである判定した回数をカウントしておき、当該カウント結果が所定の回数以上となった場合は、対象のONUに対してドメインを確定できなかったことをネットワーク管理者に通知してもよい。
図22に戻り、1G/10G OLT3は、ドメイン#(n+1)内に位置する10G ONUのうち、ドメイン確定処理によってドメインが確定されたONUを登録し、接続を確立する(ステップS50)。
【0150】
そして、1G/10G OLT3と登録された各ONUとの間でトラフィック転送が行なわれる。この通信時間内に、システムに新たに接続された1G/10G リピータ7Eは、自局7Eの存在を1G/10G OLT3に通知する(ステップS51)。
また、1G/10G OLT3は、上記通知に基づいて算出されるRTTを基に、自局3から近い順に1G/10G リピータ7Eを特定する。また、1G/10G OLT3は、自局3と接続された1G/10G リピータ7Eの数を特定し、便宜上、自局3に近い側から#1,#2,・・・と一意の番号を割り当て、割り当てた番号を各1G/10G リピータ7Eに通知する(ステップS52)。
【0151】
次いで、1G/10G OLT3は、制御パラメータnが、システムに接続された1G/10G リピータ7Eの総数と等しいかどうかを判定する(ステップS53)。
ここで、制御パラメータnが、システムに接続された1G/10G リピータ7Eの総数と等しいと判定した場合(ステップS53のYesルート)、1G/10G OLT3は、制御パラメータnに「0」を代入するとともに(ステップS54)、処理を「A」へ移行して、ステップS47〜S53の処理を繰り返す。
【0152】
一方、制御パラメータnが、システムに接続された1G/10G リピータ7Eの総数と等しくないと判定した場合(ステップS53のNoルート)、1G/10G OLT3は、制御パラメータnをインクリメントするとともに(ステップS55)、処理を「A」へ移行して、ステップS47〜S53の処理を繰り返す。
以上のように、本例によれば、正しくDiscoveryプロセスを実施して、システムに接続される各ONUを1G/10G OLT3に確実に登録することができる。
【0153】
また、1G/10G OLT3は、上記のDiscoverプロセス制御によって登録された各ONUについて、上り光信号の送信スケジュールを指定する上りスケジューリング情報を作成または更新する。
このとき、なるべく10 USが連続する時間帯においてまとめて送信されるように、上りスケジューリング情報を作成または更新することで、各1G/10G リピータ7Eにおける光増幅器30のオンオフ制御回数を削減することが可能となる。
【0154】
これにより、例えば光増幅器30のオンオフ制御間にマージンを割り当てた場合であっても、光信号の転送効率に与える影響を抑えることができる。なお、このマージンは、例えば、下り光信号の波長帯域と上り光信号の波長帯域との相違に起因する伝送速度の相違を吸収するなどの目的で割り当てられることがある。例えば、下り光信号の波長帯域が1.3μmであり、且つ、上り光信号の波長帯域が1.5μmである場合、100kmを伝送する間に、18ps/km×100km=1.8nsの伝搬遅延差が生じる。
【0155】
(1.7)第4変形例
図25に1G/10G OLT3の構成例を示す。
この図25に示すように、1G/10G OLT3は、例示的に、PON側IF部301と、SERDES(SERial DESerial)部302と、PON MAC部303と、DBA部304と、バッファ305,307と、ブリッジ部306と、WAN側IF部308とをそなえる。
【0156】
PON側IF部301は、PONシステムとしての光伝送システム1,1B,1C,1Dで通信される光信号の送受信部として機能する。PON側IF部301は、例えば、各ONUから送信される上り光信号を電気信号に変換してSERDES部302へ送出したり、WAN側からから入力される電気信号を光信号に変換して各ONUへ送出したりすることができる。
【0157】
SERDES部302は、PON側IF部301から入力されるシリアル信号をパラレル信号に変換してPON MAC部303へ送出する一方、PON MAC部303から入力されるパラレル信号をシリアル信号に変換してPON側IF部301へ送出する。
PON MAC部303は、光伝送システム1,1B,1C,1Dで使用される制御フレームを受信信号から抽出したり、送信信号に対して制御フレームを付与したりする。また、PON MAC部303は、論理リンクの状態管理や、時刻同期処理などを行なうことができる。
【0158】
DBA部304は、1G/10G OLT3配下の各ONU宛のデータ信号について、下りトラフィック量に応じて柔軟に帯域の割当(動的帯域割当)を行なう。
ブリッジ部306は、PON側から送られてくるデータ信号をWAN側のネットワークに転送したり、WAN側から送られてくるデータ信号をPON側のネットワークに転送したりするために、ブリッジ処理を行なう。ブリッジ処理は、例えば、データ信号を所定のデータフォーマットに変換する処理を含む。
【0159】
バッファ305は、ブリッジ部306からPON側へ送出されるデータフレームを一時的に蓄積する。また、バッファ307は、ブリッジ部306からWAN側へ送出されるデータフレームを一時的に蓄積する。
WAN側IF部308は、通信事業者側のネットワークと接続するためのネットワークインターフェース部である。
【0160】
また、PON側IF部301は、図26に例示するような光送受信器として構成され、SERDES部302,PON MAC部303,DBA部304,バッファ305,307,ブリッジ部306及びWAN側IF部308の各機能は、例えば、LSIやFPGAなどの論理回路に実装される。
ところで、図26に示すように、PON側IF部301は、例示的に、フィルタ310と、1G/10G光受信器311と、増幅器312と、バンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)313と、増幅器314,316と、データ再生(CDR:Clock Data Recovery)部315,317と、フィルタ318と、10G光送信器319と、1G光送信器320とをそなえる。
【0161】
10G光送信器319によって生成される10G DS及び1G光送信器320によって生成される1G DSは、フィルタ318に入力される。
図27にフィルタ318の透過/反射特性の一例を示す。この図27に例示するように、フィルタ318は、10G DSの波長である1.55μm〜1.58μmの光信号を透過する一方、1G DSの波長である1.49μmの光信号を反射する。なお、図27に示す例では、フィルタ318をバンドパスフィルタとして構成しているが、10G DSを透過し、1G DSの波長である1.49μmの光信号を反射するハイパスフィルタとしてフィルタ318を構成してもよい。フィルタ318によって10G光送信器319からの10G DSと1G光送信器320からの1G DSとが時分割多重されてフィルタ310へ送出される。
【0162】
また、図28にフィルタ310の透過/反射特性の一例を示す。この図28に例示するように、フィルタ310は、1G DS及び10G DSを透過する一方、1G US及び10G USを反射する。即ち、フィルタ310は、上り光信号と下り光信号とを分離するフィルタとして機能する。なお、図28に示す例では、フィルタ310をハイパスフィルタとして構成しているが、上り光信号と下り光信号とを分離するバンドパスフィルタやローパスフィルタとしてフィルタ310を構成することもできる。
【0163】
1G/10G光受信器311は、フィルタ310からの1G US及び10G USを受信して、電気信号に変換する。1G/10G光受信器311によって電気信号に変換されたデータ信号は、増幅器312で増幅されて、1G USに対応する電気信号がBPF313の方路へ送出される一方、10G USに対応する電気信号が増幅器316の方路へ送出される。
【0164】
1G USに対応する電気信号は、BPF313でノイズを除去された後、増幅器314で増幅されて、CDR部315によって、データを抽出される。また、10G USに対応する電気信号は、増幅器316で増幅されて、CDR部317によって、データを抽出される。
以上のように、1Gの光信号と10Gの光信号とが混在するような光伝送システム1,1B,1C,1Dに用いられる1G/10G OLT3では、1G US及び10G USについては同一の1G/10G光受信器311を用いて、電気段において1Gの信号と10Gの信号とを分離する場合がある。
【0165】
ここで、1G US及び10G USについて各受信感度を比較すると、1G USの受信感度の方が、10G USの受信感度よりも10倍程度良いため、1G USの方が広いダイナミックレンジを得られる。
従って、同一の光ファイバネットワークを使用して1Gの光信号と10Gの光信号とを混在させるためには、例えば、10Gの光信号の送信パワーを大きくして、1Gの光信号と同程度のダイナミックレンジを確保することが求められる。
【0166】
そこで、本例では、1G/10G OLT3において、10G USのみを光増幅する構成を採用する。
例えば、図29に例示するPON側IF部301Aでは、光増幅器325を10G USのプリアンプとして機能させている。これにより、1G/10G光受信器311への10G USの入力パワーを大きくすることができ、10Gの光信号のダイナミックレンジを補償することが可能となる。
【0167】
図29に示す例では、フィルタ310で反射された1G US及び10G USは、フィルタ322へ入射される。
図30にフィルタ322の透過/反射特性の一例を示す。この図30に例示するように、フィルタ322は、10G USの波長である1.26μm〜1.28μmの光信号を透過する一方、それ以外の波長の光信号を反射する。なお、図30に示す例では、フィルタ322をバンドパスフィルタとして構成しているが、10G USを透過し、それ以外の光信号を反射するローパスフィルタとしてフィルタ322を構成してもよい。
【0168】
10G USは、フィルタ322によって分岐された後、SOAやEDFAなどの光増幅器325で光増幅される。
光増幅器325の動作は、例えば、アンプ制御回路328によって制御される。アンプ制御回路328は、例えば、光増幅器325に10G USが入力されるタイミングでのみ光増幅器325をオン制御し、光増幅器325に1G USが入力されるタイミングや何も入力がないタイミングでは光増幅器325をオフ制御する。
【0169】
具体的には例えば、アンプ制御回路328は、光カプラ323で分岐されてPDなどの光検出器327で検出された光信号のパワーが所定の閾値以上となった場合は光増幅器325をオン制御し、それ以外の場合は光増幅器325をオフ制御する。
なお、光カプラ323と光増幅器325との間に設けられた光遅延線324は、光増幅器325へ入力される光信号に対して所定の遅延時間を付与する。例えば、光遅延線324は、光検出器327にて光入力が検出される光信号の先頭が入力される際に、アンプ制御回路328による光増幅器325のオン制御が完了できているような遅延時間を入力信号に与える。この遅延時間は、光検出器327,アンプ制御回路328及び光増幅器325の応答時間等に基づいて設定することができる。
【0170】
また、アンプ制御回路328は、光増幅器325の増幅率について、例えば、光検出器327でのモニタ結果に応じてALC制御を行なってもよい。
さらに、制御の安定化を図るべく、光増幅器325への入力が有りとされる状態から消光状態(光入力がない状態)に移行したとの判定に用いる閾値を、光入力が有りとされる上記所定の閾値よりも小さい値としてもよい。
【0171】
一方、1G USは、フィルタ322によって分岐された後、光遅延線329によって所定の遅延時間を付与された後、フィルタ326によって、光増幅器325で増幅後の10G USと時分割多重されて、1G/10G光受信器311へ到達する。なお、フィルタ326は、フィルタ322と同様の反射/透過特性を有するフィルタである。
以上のように、本例によれば、1G/10G光受信器311への10Gの光信号の入力パワーを大きくして、1Gの光信号と同程度のダイナミックレンジを確保することが可能となる。
【0172】
(1.8)第5変形例
また、1G/10G OLT3において10G USのみを増幅するに際し、自局3で保持する上りスケジューリング情報に基づいて、光増幅器325を制御してもよい。
例えば、図31に例示するPON側IF部301Bでは、アンプ制御回路328Bが、メモリ330に保持される上りスケジューリング情報に基づいて、光増幅器325をオンオフ制御する。なお、図31中、図29記載の各部位と同じ符号を有する部位については、図29記載の各部位と同様の構成及び機能を具備するものであるため、その説明を省略する。
【0173】
本例によれば、上記第4変形例と同様の効果が得られるほか、光増幅器325の前段において光信号を検出するための構成や光遅延線を省略することができるので、1G/10G OLT3の製造コストをより低減することが可能となる。
(1.9)ハードウェア構成の一例について
ここで、図32にOLT3,16のハードウェア構成の一例を示す。
【0174】
論理回路340は、データを処理したり、論理演算を行なったりする電子回路であり、例えば、LSIやFPGA等を含む。メモリ350は、データを記憶する装置であり、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を含む。IF360は、PONシステムに接続されたONUや、外部システム等と有線通信を行なうためのインタフェース装置である。
【0175】
なお、図7に例示する1G OLT16の各構成と図32に例示するOLT16の各構成との対応関係は、例えば次の通りである。
論理回路340及びメモリ350は、例えば、ブリッジ部162,PON MAC部163,タイミングパラメータ算出部165及びDBA部166に対応する。さらに、IF360は、例えば、WAN側IF部161及びPON側IF部164に対応する。
【0176】
また、図25に例示する1G/10G OLT3の各構成と図32に例示するOLT3の各構成との対応関係は、例えば次の通りである。
論理回路340及びメモリ350は、例えば、SERDES部302,PON MAC部303,DBA部304,バッファ305,307及びブリッジ部306に対応する。さらに、IF360は、例えば、WAN側IF部308及びPON側IF部301に対応する。
【0177】
また、図33にONU15のハードウェア構成の一例を示す。
論理回路370は、データを処理したり、論理演算を行なったりする電子回路であり、例えば、LSIやFPGA等を含む。メモリ380は、データを記憶する装置であり、例えばROMやRAM等を含む。IF390は、PONシステムに接続されたOLTや、外部システム等と有線通信を行なうためのインタフェース装置である。
【0178】
なお、図7に例示する10G ONU15の各構成と図33に例示するONU15の各構成との対応関係は、例えば次の通りである。
論理回路370及びメモリ380は、例えば、PON MAC部152,ブリッジ部153及びタイミング情報取得部155に対応する。さらに、IF390は、例えば、PON側IF部151及びUN側IF部154に対応する。
【0179】
(1.10)第6変形例
図34に第6変形例に係る光伝送システム1D及び1G/10Gリピータ7Dの各構成の一例を示す。この例では、増幅処理部30は、1G/10Gリピータ7Dが動作状態の時、通常オン動作し、1Gリジェネレータ28や監視制御部17からオフ制御信号を受けている間はオフ動作する。
【0180】
なお、図34中、図9記載の各部位と同じ符号を有する部位については、図9記載の各部位と同様の構成及び機能を具備する。
図34に例示する1G/10Gリピータ7Dでは、EPON規格の一つであるPR30に規定される、OLTとONUとの間の許容損失(29dB)に対応すべく、フィルタ14の下り側方路に光カプラ26が設けられている。
【0181】
光カプラ26は、各ONU52,42から送信される上り光信号を、1Gリジェネレータ28への方路とフィルタ14への方路とに分岐する。なお、光カプラ26の分岐比は、1Gリジェネレータ28への方路へより多くの光を分岐すべく、例えば、3:7程度に設定されるのが望ましい。これにより、1G/10Gリピータ7D内における1G USの損失を低減することができる。
【0182】
1Gリジェネレータ28は、光カプラ26によって分岐された1G USに光中継処理を施し、光カプラ10へ送出する。
1G/10G OLT3において、図29または図31に例示した構成を採用して、1G/10G光受信器311への10G USの入力パワーを大きくして、10Gの光信号のダイナミックレンジを補償するようにしてもよい。
【0183】
なお、1Gリジェネレータ28と光カプラ10との間には光遅延線29が介装されている。これは、増幅処理部30で10G USに付与される処理遅延と同等の遅延を、1Gリジェネレータ28から送出される1G USに付与するためである。
一方、光カプラ26によって分岐された10G USは、フィルタ14によって増幅処理部30への方路へ反射される。
【0184】
フィルタ14と増幅処理部30との間に介装されたフィルタ25は、増幅処理部30への雑音入力を除去してASE成分を除去する。なお、当該フィルタ25は、既述のフィルタ25と同様の透過/反射特性を有する。
フィルタ14によって反射された10G USは、フィルタ25を透過して、増幅処理部30へ入射する。
【0185】
増幅処理部30は、10G USを光増幅するための装置であり、例えば、図35に例示するような構成を有する。
この図35に示す増幅処理部30は、例示的に、光カプラ31,34,38,62と、PD32,35,39,63と、光増幅器33,40と、光遅延線36と、アンプ制御回路37とをそなえる。
【0186】
光カプラ31,34,38,62は、それぞれ入力される光信号(1G,10Gの光信号の混在信号)を分岐し、一方を対応するPD32,35,39,63に導き、他方を光カプラ10への方路に導く。ここで、光カプラ31は光増幅器33の入力側にそなえられ、光カプラ34は光増幅器33の出力側にそなえられる。同様に、光カプラ38は光増幅器40の入力側にそなえられ、光カプラ62は光増幅器40の出力側にそなえられる。
【0187】
なお、光増幅器33と、その入出力側の光カプラ31,34およびPD32,35により、一体化された光増幅モジュールを構成することができる。同様に、光増幅器40と、その入出力側の光カプラ38,62およびPD39,63により、一体化された光増幅モジュールを構成することができる。
また、PD32,35,39,63は、対応する光カプラ31,34,38,62からの光信号のレベルについてモニタする。光増幅器33,40は、アンプ制御回路37からの制御を受けて、それぞれ光カプラ31,38cから入力される光信号を増幅する。
【0188】
具体的には、アンプ制御回路37では、光増幅器33については光入力の有無にかかわらず常時オン制御する。これに対し、光増幅器40については、PD32または39において光入力を検出されない状態においてはオフ制御することにより、フィルタ11の方路への光信号を遮断させる。そして、PD32または39において光入力を検出すると、光増幅器40をオン制御することにより、光遅延線36,光カプラ38を通じて入力される光信号をフィルタ11への方路へ導通させる。
【0189】
このとき、光増幅器40においては10Gの光信号としての中継処理(光増幅)を行なう。また、アンプ制御回路37では、光増幅器40の増幅率について、PD39,63からのモニタ結果に応じてALC制御するようにしてもよい。
なお、アンプ制御回路37においては、PD32,35から、入力光強度に応じたレベルの電気信号を取り込むようになっている。そして、この電気信号のレベルについての閾値判断によって、光入力の有無を検出している。この場合において、制御の安定化のため、光入力を有りとする閾値よりも、光入力が有りとする場合から消光状態(光が入力されなくなった状態)に移行したことを判定するための閾値を、小さい値としてもよい。
【0190】
また、光遅延線36は、PD32,35にて光入力が検出される光信号の先頭が入力される際に、アンプ制御回路37による光増幅器40のオン制御が完了できているような遅延時間を与える。この遅延時間は、PD32,35,アンプ制御回路37および光増幅器40の応答時間等をもとに設定することができる。
ここで、図34に示した例では、1Gリジェネレータ28及び増幅処理部30に対して1Gおよび10Gの光信号の混在信号が入力される。このため、1G用の光信号を処理する1Gリジェネレータ28の出力と、10G用の光信号を処理する増幅処理部30の出力との衝突を回避させることが求められる。
【0191】
そこで、アンプ制御回路37においては、1Gリジェネレータ28から、1Gリジェネレータ28において1G信号の同期処理が行なわれているか否かの信号を受け取る。そして、1Gリジェネレータ28において1G信号の同期処理が行なわれている場合には、当該タイムスロットは10Gではなく1Gの光信号に割り当てられているので、光増幅器40を強制的にオフ制御(遮断制御)する。
【0192】
このとき、1Gリジェネレータ28においては、1G用のタイムスロットの同期確立のためには、少なくとも同期時間とLLIDの識別時間との和である850ns程度を要する。光遅延線36では、光増幅器33から出力された1G用のタイムスロットの光信号について遅延させる。即ち、対応する1Gの光信号が1Gリジェネレータ28で同期確立した際の信号を受け取って光増幅器40をオフ制御するのに要する時間が、該当の1G光信号の光増幅器40への入力前となる十分な遅延時間(ここでは1μs)を遅延させている。
【0193】
また、1Gのタイムスロットから10Gのタイムスロットに移行する場合などのように、1Gリジェネレータ28による同期確立が外れる場合は、アンプ制御回路37では、1G信号の同期が外れたことを通知する信号を1Gリジェネレータ28から受け取る。アンプ制御回路37においては、この同期外れを通知する信号により、光増幅器40の強制的なオフ制御を解除し、1Gのタイムスロットに続く10Gのタイムスロットの先頭から、光増幅器40のオン制御(導通制御)を行なう。換言すれば、前段タイムスロットでの光増幅器40の強制的なオフ制御が10Gのタイムスロットまで引き継がれることを回避できる。
【0194】
即ち、10Gの光信号が割り当てられているタイムスロットにおいては、1Gリジェネレータ28では信号の同期を取ることができず、信号として認識されないので、再生処理された光信号についても光カプラ10へ出力されない。一方、増幅処理部30においては、アンプ制御回路37において1Gリジェネレータ28からの同期外れを通知する信号により上述の強制オフ制御を解除するので、ALC制御された光信号を光カプラ10への方路へ出力できる。
【0195】
また、上述した例では、アンプ制御回路37が光増幅器33を常時オン制御したが、例えば、光増幅器33及び40を常時オフ制御しておき、光増幅器33に10G USが入力された場合にのみ光増幅器33及び40をオン制御するようにしてもよい。これにより、光増幅器33に何も入力がない場合に生じる雑音出力を抑制することが可能となる。なお、光増幅器33に10G USが入力されるタイミングについては、例えば、1Gリジェネレータ28から通知される同期外れ信号とPD32でのモニタ結果とに基づいて検出することができる。
【0196】
さらに、1G ONU42から送信される1G USの波長帯域が、10G USの波長帯域と重複しないように設定されている場合は、増幅処理部30における1Gリジェネレータ28からの通知信号に基づく制御を省略することができる。これは、フィルタ25によって、10G USの波長帯域と重複しない波長帯域を有する1G USが除去され、増幅処理部30には10G USのみが入力されるからである。
【0197】
以上のようにして、増幅処理部30で増幅された10G USは、増幅処理部30とフィルタ11との間に介装されたフィルタ25への方路へ送出され、フィルタ25及びフィルタ11を透過して、光カプラ10へ入射する。
光カプラ10は、1G USと10G USとを合波して1G/10G OLT3への方路へ送出する。
【0198】
一方、1G/10G OLT3から送信された1G DSは、光カプラ10によって1Gリジェネレータ28への方路へ分岐され、1Gリジェネレータ28で光中継処理及び波長変換などが施され、さらに光カプラ26を経て、1G ONU42へ到達する。
また、1G/10G OLT3から送信された10G DSは、光カプラ10で分岐された後、フィルタ11,24を透過して、光増幅器12で増幅され、フィルタ24,14を透過し、さらに光カプラ26を経て、10G ONU52へ到達する。
【0199】
1G/10Gリピータ7Dでは、光増幅器12のASE成分を除去すべく、フィルタ11と光増幅器12との間及び光増幅器12とフィルタ14との間に、フィルタ24がそれぞれ介装されている。なお、フィルタ24の透過/反射特性については、図10を用いて前述したとおりである。
なお、光増幅器12のASE成分が十分小さいような場合は、フィルタ24を省略することができ、増幅処理部30のASE成分が十分小さいような場合は、フィルタ25−2を省略することができる。
【0200】
また、1G/10Gリピータ7Dは、1Gリジェネレータ28,光増幅器12及び増幅処理部30の少なくともいずれか1つの動作を監視制御して、当該監視制御結果を、ONU60を介して1G/10G OLT3に通知する監視制御部17を有していてもよい。ONU60は、例えば、1G ONUまたは10G ONUとして構成され、監視制御部17での当該監視制御結果をE−PONの光信号に載せて、光カプラ61を介して1G/10G OLT3に通知する。
【0201】
以上のように、本例によれば、1GのE−PONの光信号と10GのE−PONの光信号とが混在するネットワークシステムのように、異なる伝送速度を有する光信号が混在する場合であっても、各光信号について適切な中継処理を行なうことができる。
また、伝送速度の異なる光信号が混在したネットワークシステムに適用可能なリピータを実現することができる。これにより、既存のPONのOLT,ONUを適用する場合は、既存のシステムのまま、サービス範囲を拡張することができるため、新システムの構築を最小限に留めることができ、コストの削減が可能となる。
【0202】
(1.11)第7変形例
図36に第7変形例に係る光伝送システム1E及び1G/10Gリピータ7Eの各構成の一例を示す。なお、図36中、図12,図34記載の各部位と同じ符号を有する部位については、図12,図34記載の各部位と同様の構成及び機能を具備するものであるため、その説明を省略する。
【0203】
PONシステムにおいて、1G USの波長帯域を1.26μm〜1.36μmの範囲で適宜設定することができる場合、1G USの波長帯域を10G USの波長帯域と重複しない波長帯域に設定する場合が考えられる。
図36に例示する光伝送システム1Eでは、1G USの波長帯域が、例えば1.29μm〜1.36μmに設定されるとともに、10G USの波長帯域が、例えば1.26μm〜1.28μmに設定されている。つまり、1G USの波長帯域と10G USの波長帯域とが分離されている。なお、光伝送システム1Eにおける1G USの波長帯域はあくまで一例であり、これに限定する意図はなく、少なくとも10G USの波長帯域と重複しない波長帯域であればよい。
【0204】
このように、1G USの波長帯域と10G USの波長帯域とが分離されている場合、1G/10Gリピータ7Eでは、図11に例示した反射/透過特性を有するフィルタ25によって分離することができる。これにより、光カプラ19,26を用いた場合に比して、光信号の損失を低減することが可能となる。
図11にフィルタ25の透過/反射特性の一例を示す。この図11に例示するように、フィルタ25は、10G USの波長である1.26μm〜1.28μmの光信号を透過する一方、それ以外の波長の光信号を反射する。なお、図11に示す例では、フィルタ25をバンドパスフィルタとして構成しているが、10G USを透過し、それ以外の光信号を反射するローパスフィルタとしてフィルタ25を構成してもよい。
【0205】
また、図10にフィルタ24の透過/反射特性の一例を示す。この図10に例示するように、フィルタ24は、10G DSの波長である1.55μm〜1.58μmの光信号を透過する一方、それ以外の波長の光信号を反射する。なお、図10に示す例では、フィルタ24をバンドパスフィルタとして構成しているが、10G DSを透過し、それ以外の光信号を反射するハイパスフィルタとしてフィルタ24を構成してもよい。
【0206】
さらに、フィルタ25を用いて1G USと10G USとを分離した場合、増幅処理部30には1G USは入力されず、10G USしか入力されない。このため、本例では、増幅処理部30における1Gリジェネレータ28からの通知信号に基づく制御を省略することができる。
そして、この場合、監視制御部17は、増幅処理部30や、光増幅器12、1Gリジェネレータ28の入力信号パワー、動作温度、駆動電流といった1G/10Gリピータ7Eの動作状態を示すパラメータを収集し、1G/10G OLT3を経由してネットワーク監視システムに通知したり、あるいは、ネットワーク監視システムから、1G/10Gリピータ7Eの強制シャットダウン等の制御信号を1G/10G OLT3を経由してONU60で受け取り、増幅処理部30や、光増幅器12、1Gリジェネレータ28を制御したりしてもよい。
【0207】
なお、増幅処理部30は、自律的に、10G US信号が入力された場合に増幅動作を行なう一方、10G US信号が入力されない場合には増幅動作を停止して雑音光を発生させないようにすることもできるし、外部からの制御のみによって増幅動作を制御されてもよい。
即ち、1Gリジェネレータ28が1G US信号を再生中継している間、あるいは、ONU60が1G ONUによって構成される場合、このONU60がUS信号を発出する間、監視制御部17を経由して増幅処理部30の動作を停止してもよい。この方法の利点は、増幅処理部30の動作制御のために10G US信号のモニタ系(図35に例示するPD32など)に高速特性が不要となることが挙げられる。なお、増幅処理部30を外部制御する場合は、1G/10Gリピータ7Eの上流にある1G ONU41や10G ONU51からのUS信号と、増幅処理部30からの雑音光が重なることがあるが、1G ONU41や10G ONU51は、1G/10Gリピータ7Eよりも1G/10G OLT3の近くにあるので、1G ONU41や10G ONU51からのUS信号の強度は、雑音光よりもずっと大きいため、信号対雑音比の劣化は許容範囲内であるものと考えられる。
【0208】
なお、1G/10Gリピータ7Eでは、フィルタ24の下り側方路、1Gリジェネレータ28とフィルタ24との間、フィルタ25の上り側方路にフィルタ27がそれぞれ介装されている。
図13にフィルタ27の透過/反射特性の一例を示す。この図13に例示するように、フィルタ27は、1G DS及び10G DSを透過する一方、1G US及び10G USを反射する。即ち、フィルタ27は、上り光信号と下り光信号とを分離するフィルタとして機能する。なお、図13に示す例では、フィルタ27をハイパスフィルタとして構成しているが、上り光信号と下り光信号とを分離するバンドパスフィルタやローパスフィルタとしてフィルタ27を構成することもできる。
【0209】
本例によれば、1G/10Gリピータ7Eでの光信号損失を抑制することができる。
なお、1G/10G OLT3が、例えば図25及び図26に示した内部構成を有しており、1G/10G光受信器311で1G US信号を受信する場合、1G US信号が1Gリジェネレータ28で再生中継されて1G/10Gリピータ7Eから出力される際に増幅処理部30がオフであれば、1G/10G光受信器311は、増幅処理部30で発生する雑音光を含むことなく1G US信号のみを受信することができる。
【0210】
しかしながら、増幅処理部30で増幅される10G US信号が1G/10G光受信器311で受信される際には、10G US信号と一緒に、増幅処理部30で発生する雑音光も受信されることになるので、10G US信号の信号対雑音比が劣化する。
10G US信号の信号対雑音比を改善するには、例えば、図11に例示する透過/反射特性を有するフィルタ25を、1G/10G光受信器311とフィルタ310との間に挿入する。これにより、1G/10G光受信器311で受信される雑音光は、フィルタ25を通過する雑音光のみとなるので信号対雑音比が改善される。ただし、フィルタ25を挿入した場合、1G US信号をフィルタ25で透過させるために、1G US信号の波長を1.26μm〜1.28μmにするのが望ましい。
【0211】
即ち、このような場合、図36に例示した1G/10Gリピータ7Eに代えて、図39に例示する1G/10Gリピータ7Gを用いることができる。なお、図39中、図2,図36記載の各部位と同じ符号を有する部位については、図2,図36記載の各部位と同様の構成及び機能を具備するものであるため、その説明を省略する。
この図39に示す例では、1Gリジェネレータ28から出力される1G US信号の波長が1.26μm〜1.28μmに変更されており、また、光増幅器23の後段にはフィルタ25に代えて、光カプラ64が配置されている。そして、図39の1G/10G OLT3では、図26に例示したPON側IF部301の構成において、1G/10G光受信器311とフィルタ310との間にフィルタ25が介装される。なお、図39に示す例では、光増幅器23は、自律的に、10G US信号が入力された場合に増幅動作を行なう一方、10G US信号が入力されない場合には増幅動作を停止して雑音光を発生させないようにすることもできるし、外部からの制御のみによって増幅動作を制御されてもよい。
【0212】
(1.12)第8変形例
図37に第8変形例に係る光伝送システム1F及び1G/10G OLT3Fの各構成の一例を示す。なお、図37中、図2記載の各部位と同じ符号を有する部位については、図2記載の各部位と同様の構成及び機能を具備するものであるため、その説明を省略する。
【0213】
光伝送システム1Fでは、例えば、複数の波長帯域の光信号を波長多重するCWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing)方式を適用している。
1G/10G OLT3Fは、例示的に、1G光送信器(1G TX)43と、10G光送信器(10G TX)44−1〜44−4と、波長多重合分波器45,47と、1G/10G光受信器(1G/10G RX)46−1〜46−4と、フィルタ48とをそなえる。なお、10G TX44−1〜44−4の数や、1G/10G RX46−1〜46−4の数はあくまで例示であり、これに限定する意図はない。
【0214】
1G TX43は、例えば、波長帯域1490nmを有する1G光信号を生成して送信する。また、10G TX44−1は、例えば、波長帯域1577.5nmを有する10G光信号を生成して送信し、10G TX44−2は、例えば、波長帯域1582.5nmを有する10G光信号を生成して送信する。さらに、10G TX44−3は、例えば、波長帯域1587.5nmを有する10G光信号を生成して送信し、10G TX44−4は、例えば、波長帯域1592.5nmを有する10G光信号を生成して送信する。なお、上記の各送信波長帯域はあくまで例示であり、これに限定する意図はない。
【0215】
1G TX43,10G TX44−1〜44−4から送信された各光信号は、波長多重合分波器45で合波されてフィルタ48への方路へ送出される。
フィルタ48は、波長多重合分波器45で合波された光信号を透過して光カプラ6−1の方路へ送出する一方、光カプラから入射される各上り光信号を反射して波長多重合分波器47への方路へ送出する。
【0216】
ここで、図38にフィルタ48の透過/反射特性の一例を示す。この図38に例示するように、フィルタ48は、1G TX43,10G TX44−1〜44−4から送信される下り光信号の波長帯域を透過する一方、それ以外の波長帯域を反射する。なお、図38に示す例では、フィルタ48をバンドパスフィルタとして構成しているが、1G TX43,10G TX44−1〜44−4から送信される下り光信号の波長帯域を透過し、それ以外の光信号を反射するハイパスフィルタとしてフィルタ48を構成してもよい。
【0217】
一方、フィルタ48で反射された各上り光信号は、波長多重合分波器47で分波されて、1G/10G RX46−1〜46−4にそれぞれ入射する。
1G/10G RX46−1は、例えば、波長帯域1270nmを有する1G及び10Gの光信号を受信処理し、1G/10G RX46−2は、例えば、波長帯域1290nmを有する1G及び10Gの光信号を受信処理する。また、1G/10G RX46−3は、例えば、波長帯域1310nmを有する1G及び10Gの光信号を受信処理し、1G/10G RX46−4は、例えば、波長帯域1330nmを有する1G及び10Gの光信号を受信処理する。なお、上記の各受信波長帯域はあくまで例示であり、これに限定する意図はない。
【0218】
そして、図37に例示する光伝送システム1Fは、上記の各送信波長帯域に応じた1G/10Gリピータ7F−1〜7F−4を有する。
図40〜図43に1G/10Gリピータ7F−1〜7F−4の構成例をそれぞれ示す。これらの図40〜図43に例示するように、1G/10Gリピータ7F−1〜7F−4には、下り光信号の波長帯域及び上り光信号の波長帯域にそれぞれ応じたフィルタ65−1〜65−4,フィルタ66−1〜66−4がそれぞれ適用される。フィルタ65−1〜65−4の透過/反射特性は図44に例示するとおりであり、フィルタ66−1〜66−4の透過/反射特性は図45に例示するとおりである。
【0219】
図40〜図43に示す例では、ネットワーク管理の観点から、1G/10Gリピータ7F−1〜7F−4毎に波長を割り振っている。例えば、1G/10Gリピータ7F−1では、10G DSの波長帯域は1577.5nm、10G USの波長帯域は1270nm、1G DSの波長帯域は1490nm、1G US(1Gリジェネレータ28の出力波長)の波長帯域は1270nmである。なお、1G/10Gリピータ7F−1より下流に位置する1G ONU42からの1G USの波長帯域は、1290nm〜1360nmである。
【0220】
また、1G/10Gリピータ7F−2では、10G DSの波長帯域は1582.5nm、10G USの波長帯域は1290nm、1G DSの波長帯域は1490nm、1G US(1Gリジェネレータ28の出力波長)の波長帯域は1290nmである。なお、1G/10Gリピータ7F−2より下流に位置する1G ONU42からの1G USの波長帯域は、1270nmまたは1310nm〜1360nmである。
【0221】
さらに、1G/10Gリピータ7F−3では、10G DSの波長帯域は1587.5nm、10G USの波長帯域は1310nm、1G DSの波長帯域は1490nm、1G US(1Gリジェネレータ28の出力波長)の波長帯域は1310nmである。なお、1G/10Gリピータ7F−3より下流に位置する1G ONU42からの1G USの波長帯域は、1270nm〜1290nmまたは1330nm〜1360nmである。
【0222】
また、1G/10Gリピータ7F−4では、10G DSの波長帯域は1592.5nm、10G USの波長帯域は1330nm、1G DSの波長帯域は1490nm、1G US(1Gリジェネレータ28の出力波長)の波長帯域は1330nmである。なお、1G/10Gリピータ7F−4より下流に位置する1G ONU42からの1G USの波長帯域は、1270nm〜1310nmまたは1360nmである。
【0223】
以上のような波長設定では、1Gリジェネレータ28と増幅処理部30の出力側との信号波長帯が同じになるので、光フィルタでの合成は不可能となり、光カプラ64で合成している。
また、図40〜図43に示す例では、1G/10Gリピータ7F−1〜7F−4の下流にある、1G ONU42からの1G US信号の波長帯域と10G ONU52からの10G US信号の波長帯域とが異なるように割り当てられているので、1Gリジェネレータ28から増幅処理部30へのオフ制御信号は不要となる。
【0224】
さらに、図40〜図43に示す例では、増幅処理部30が自律的にオンオフ制御を行なうこととすれば、1GONU60が1G US信号を出力する際には、増幅処理部30は自律的に光増幅動作を停止しており、この1GONU60からの1G US信号と増幅処理部30からの雑音光とが光カプラ64で合成されることもない。
以上のように、各リピータで適切に波長を割り振ることにより、1G/10Gリピータ7F−1〜7F−4毎にその下流の10G ONU52も含めて波長が確定するので、ネットワークの管理が容易になる。
【0225】
なお、1G/10Gリピータ7F−1〜7F−4には、例えば、上記の実施形態及び各変形例で説明した1G/10Gリピータ7,7A〜7Eを用いてもよい。ただし、1G/10Gリピータ7F−1〜7F−4では、下り光信号の波長帯域及び上り光信号の波長帯域にそれぞれ応じたフィルタが適用される。
例えば、1G/10Gリピータ7F−1として、1G/10Gリピータ7Eを用いる場合、1G/10Gリピータ7E内のフィルタ24は、1G/10Gリピータ7F−1に対応する下り光信号の波長帯域である1577.5nmを透過する一方、それ以外の下り波長帯域を反射するフィルタとして構成される。また、1G/10Gリピータ7E内のフィルタ25は、1G/10Gリピータ7F−1に対応する上り光信号の波長帯域である1270nmを透過する一方、それ以外の波長帯域を反射するフィルタとして構成される。さらに、その他の1G/10Gリピータ7F−2〜7F−4についても、同様にフィルタの透過/反射特性を変更することができる。
【0226】
なお、光伝送システム1Fでは、1G/10Gリピータ7F−1〜7F−4よりも上流側においては、1G USの波長帯域と10G USの波長帯域とを同一の波長帯域としているが、これは、CWDM方式における監視、制御動作を容易にするためである。
以上のように、本例によれば、CWDMのような波長多重システムにおいても、伝送速度の異なる光信号が混在したネットワークシステムに適用可能なリピータを実現することができる。これにより、既存のPONのOLT,ONUを適用する場合は、既存のシステムのまま、サービス範囲を拡張することができるため、新システムの構築を最小限に留めることができ、コストの削減が可能となる。
【0227】
〔2〕その他
上述したOLT,ONU及びリピータの各構成及び各機能は、必要に応じて取捨選択されてもよいし、適宜組み合わせて用いられてもよい。即ち、上述した本発明の機能を発揮できるように、上記の各構成及び各機能は取捨選択されたり、適宜組み合わせて用いられたりしてもよい。
【0228】
例えば、上記の各例では、伝送速度の異なる光信号として1Gおよび10GのE−PONの光信号を伝搬するネットワークシステムについて説明したが、他の伝送速度の光信号の組み合わせとすることとしてもよいし、例えばG−PON等の光信号とすることもできる。
また、上記の各例では、第1伝送速度が1Gであり、第2伝送速度が10Gである例を用いて本発明を説明したが、これに限定する意図はなく、各リピータは、ある第1伝送速度の光信号をより高速な第2伝送速度の光信号に変換できればよい。例えば、各リピータは、1Gの光信号を40Gの光信号に変換したり、10Gの光信号を40Gの光信号に変換したりするようにしてもよく、この場合、変換部は各伝送速度の光信号を処理可能な機能を備えていればよい。
【0229】
さらに、上記の各例では、1G ONU41,42と10G ONU51,52とが混在する光伝送システムを例にして本発明を説明したが、これに限定する意図はなく、例えば、1G ONU41,42のみを有する光伝送システムにおいても上記の各リピータを用いることができる。
また、上記の各例では、1G ONU41,42と10G ONU51,52とが混在する光伝送システムにおいて、相対的に低速である1Gの光信号を、システムに混在している光信号のうち相対的に高速な10Gの光信号に変換する例を用いて本発明を説明したが、これに限定する意図はない。例えば、各リピータの下流側に1G ONU41,42と10G ONU51,52とが混在している場合であっても、各リピータの上流側の光端局装置が10Gよりも高速な光信号を処理できる場合などは、各リピータは、1Gの光信号及び10Gの光信号の少なくともいずれかをより高速な光信号に変換してもよい。
【符号の説明】
【0230】
200−1,200−2,200−3 光伝送路
300 1G/10G OLT
400−1,400−2,400−3 1G ONU
500−1,500−2,500−3,500−4,500−5 10G ONU
600−1,600−2 光カプラ
700 1G/10G リピータ
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F 光伝送システム
2 光伝送路
3,3F 1G/10G OLT
6−1,6−2,6−11,6−12,6−13,6−21,6−22 光カプラ(光スプリッタ)
7,7A,7B,7C,7C−(m−1),7C−m,7C−1,7C−2,7D,7E,7F−1,7F−2,7F−3,7F−4,7G 1G/10Gリピータ
41,42,42−1,42−2,42−3 1G ONU
51,52,52−1,52−2 10G ONU
10 光カプラ
11 フィルタ
12 光増幅器
13 光遅延線
14 フィルタ
15 10G ONU
16 1G OLT
17,17C 監視制御部
18,18C アンプ制御回路
19 光カプラ
20 光カプラ
21 光検出器
22 光遅延線
23 光増幅器
24 フィルタ
25,25−1,25−2 フィルタ
26 光カプラ
27 フィルタ
28 1Gリジェネレータ
29 光遅延線
30 増幅処理部
31,34,38,62 光カプラ
32,35,39,63 PD
33,40 光増幅器
36 光遅延線
37 アンプ制御回路
43 1G 光送信器(1G TX)
44−1〜44−4 10G 光送信器(10G TX)
45,47 波長多重合分波器
46−1〜46−4 1G/10G 光受信器(1G/10G RX)
48 フィルタ
60 ONU
61 光カプラ
64 光カプラ
65−1,65−2,65−3,65−4 フィルタ
66−1,66−2,66−3,66−4 フィルタ
67 第1ポート
68 第2ポート
171 論理回路
172 IF
173,174,175,178 ADC
176,177 DAC
180,183 PD
181 ペルチェ駆動回路
182 アンプ駆動回路
184,185 光カプラ
151 PON側IF部
152 PON MAC部
153 ブリッジ部
154 UN側IF部
155 タイミング情報取得部
161 WAN側IF部
162 ブリッジ部
163 PON MAC部
164 PON側IF部
165 タイミングパラメータ算出部
166 DBA部
301,301A,301B PON側IF部
302 SERDES部
303 PON MAC部
304 DBA部
305,307 バッファ
306 ブリッジ部
308 WAN側IF部
310 フィルタ
311 1G/10G光受信器
312 増幅器
313 BPF
314,316 増幅器
315,317 CDR部
318 フィルタ
319 10G光送信器
320 1G光送信器
322 フィルタ
323 光カプラ
324 光遅延線
325 光増幅器
326 フィルタ
327 光検出器
328,328B アンプ制御回路
329 光遅延線
330 メモリ
340,370 論理回路
350,380 メモリ
360,390 IF

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光端局装置と少なくとも1つの光終端装置との間で送受信される光信号を中継する中継装置において、
前記少なくとも1つの光終端装置から光スプリッタを介して入力される光信号を受信する第1ポートと、
該第1ポートで受信した前記光信号について、第1伝送速度の光信号を前記第1伝送速度よりも高速な第2伝送速度の光信号に変換する変換部と、
該変換部で変換した光信号を前記光端局装置側へ出力する第2ポートとをそなえる、
ことを特徴とする、中継装置。
【請求項2】
前記第1ポートで受信した前記光信号を分岐して、前記変換部への第1方路と、前記第2伝送速度の光信号の処理方路である第2方路とに導く第1インタフェースと、
前記変換部で変換した光信号と前記第1インタフェースによって前記第2方路に導かれた前記第2伝送速度の光信号とを合波して、前記第2ポートを介して前記光端局装置側へ出力する第2インタフェースとをそなえる、
ことを特徴とする、請求項1記載の中継装置。
【請求項3】
前記変換部が、
前記第1伝送速度の前記光信号を収容して電気信号に変換する中継局内光端局装置と、
前記中継局内光端局装置で変換された前記電気信号を前記第2伝送速度の光信号に変換する中継局内光終端装置とをそなえる、
ことを特徴とする、請求項2記載の中継装置。
【請求項4】
前記第1インタフェースによって前記第2方路に導かれた前記第2伝送速度の前記光信号を光増幅する光増幅器と、
前記光増幅器の動作を制御する増幅器制御部とをさらにそなえ、
前記増幅器制御部が、
前記光増幅器への入力が有り、且つ、前記中継局内光端局装置への前記第1伝送速度の前記光信号の入力が無い場合、前記光増幅器をオン制御する一方、
前記光増幅器への入力が無い場合、または、前記中継局内光端局装置への前記第1伝送速度の前記光信号の入力が有る場合、前記光増幅器をオフ制御する、
ことを特徴とする、請求項3記載の中継装置。
【請求項5】
前記第1インタフェースによって前記第2方路に導かれた前記第2伝送速度の前記光信号を光増幅する光増幅器と、
前記光増幅器の動作を制御する増幅器制御部とをさらにそなえ、
前記増幅器制御部が、
前記中継局内光終端装置を介して、前記光端局装置から送信される、前記第2伝送速度の前記光信号に関するスケジューリング情報を受信し、
受信した前記スケジューリング情報に基づいて、前記光増幅器に前記第2の伝送速度の前記光信号が入力される場合は前記光増幅器をオン制御する一方、前記光増幅器に前記第2の伝送速度の前記光信号が入力されない場合は前記光増幅器をオフ制御する、
ことを特徴とする、請求項3記載の中継装置。
【請求項6】
前記中継局内光端局装置が、
前記中継局内光終端装置を介して、前記光端局装置宛の光信号の送信タイミングに関するスケジューリング情報を前記光端局装置から受信し、
受信した前記スケジューリング情報に基づいて、前記光端局装置宛の光信号と前記中継局内光端局装置宛の光信号とが衝突しないように、前記第1伝送速度の前記光信号のスケジューリング制御を行なう、
ことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項7】
少なくとも前記中継局内光端局装置又は前記中継局内光終端装置を監視制御して、当該監視制御結果を、前記中継局内光終端装置を介して前記光端局装置に通知する監視制御部をさらにそなえる、
ことを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項8】
前記第2ポートが、前記光端局装置から入力される光信号を受信し、
前記変換部が、前記第2ポートで受信した前記光信号について、前記第2伝送速度の光信号を前記第1伝送速度の光信号に変換し、
前記第1ポートが、前記変換部で変換され前記第1伝送速度となった光信号を前記少なくとも1つの光終端装置側へ出力する、
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項9】
光端局装置と少なくとも1つの光終端装置との間で送受信される光信号を中継する中継装置において、
前記少なくとも1つの光終端装置からの光信号を受信する第1ポートと、
該第1ポートで受信した第1伝送速度の光信号を収容して電気信号に変換する中継局内光端局装置と、
前記中継局内光端局装置で変換された前記電気信号を前記第1伝送速度よりも高速な第2伝送速度の光信号に変換する中継局内光終端装置と、
該中継局内光終端装置で変換した光信号を前記光端局装置側へ出力する第2ポートとをそなえ、
前記中継局内光端局装置が、
前記中継局内光終端装置を介して、前記光端局装置宛の光信号の送信タイミングに関するスケジューリング情報を前記光端局装置から受信し、
受信した前記スケジューリング情報に基づいて、前記光端局装置宛の光信号と前記中継局内光端局装置宛の光信号とが衝突しないように、前記第1伝送速度の前記光信号のスケジューリング制御を行なう、
ことを特徴とする、中継装置。
【請求項10】
光端局装置と少なくとも1つの光終端装置との間で送受信される光信号を中継する中継装置の中継方法において、
前記少なくとも1つの光終端装置から光スプリッタを介して入力される光信号を受信し、
前記受信した前記光信号について、第1伝送速度の光信号を前記第1伝送速度よりも高速な第2伝送速度の光信号に変換し、
前記変換した光信号を前記光端局装置側へ出力する、
ことを特徴とする、中継方法。
【請求項11】
光端局装置と、
該光端局装置と光信号の送受信を行なう少なくとも1つの光終端装置と、
前記光端局装置と前記少なくとも1つの光終端装置との間で送受信される光信号を中継する請求項1〜9のいずれか1項に記載の中継装置とをそなえる、
ことを特徴とする、光伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2013−30987(P2013−30987A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165697(P2011−165697)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】