説明

中継装置およびプログラムおよびクライアント/サーバシステム

【課題】サーバがクライアントに対し非同期処理を行い、クライアントがサーバに対してその非同期処理の停止処理を同期処理として要求するとき、クライアントの停止処理の処理結果の受信までの待機時間を短縮可能とするクライアント/サーバシステムにおける中継装置を提供する。
【解決手段】中継装置120は、クライアント100に対してサーバ110が非同期処理を行うとき、同期処理である、その非同期処理に対する停止処理の処理要求をクライアント100より受信すると、即座にクライアント100に擬似的な停止処理結果(処理完了結果)を送信し、サーバ110から後に受信する処理結果をクライアント100に送信せず、破棄することでクライアント100の処理結果受信までの待機時間を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクライアント/サーバ型の処理システムにおいて、クライアント、サーバ間の処理要求を中継する中継装置を備えた処理システムに関するものであり、特にクライアントがサーバに非同期処理を要求したのちに該要求を停止する場合の、後処理を管理する中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クライアント/サーバ型の処理システムにおいて、サーバのクライアントに対する処理の形態には大別して同期処理と非同期処理の2種類が考えられる。
【0003】
ここでいう同期処理とはクライアントがサーバに処理要求をした際、クライアントはサーバから処理結果が返ってくるまで待機する処理形態である。よってクライアントはサーバからの処理結果を受け取るまで次の処理は行わない。サーバ側の処理と同期を取る場合に採用されることが多い処理形態である。また、非同期処理とはサーバがクライアントから処理を受け付けると、クライアントはサーバからの処理結果を待つことなくそれとは無関係な処理の実施を行なうこと許す処理形態である。サーバは処理が完了するとその結果をクライアントの処理とは非同期にクライアントに通知する。クライアントとサーバを非同期に処理させると、クライアント側ではサーバ側の処理と連携せずに次の処理ができるため、全体として処理時間を短縮できることがある。
【0004】
クライアントが同期処理、サーバが非同期処理を行うシステムの場合に、クライアントから送られてきた同期処理要求に対し、内部的に非同期処理を実現可能とし、クライアントに対しては同期処理を提供するサーバが提案されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2006−185229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クライアント/サーバ間の処理要求を同期処理する場合、クライアントはサーバからの処理結果が返ってくるまで待機する。しかし、クライアントがその後のサーバからの処理結果が必要でないような、例えば一旦要求した処理要求の停止処理要求等を同期的に行う場合、クライアントはサーバの処理が終了するまでの間、後の処理に無為な結果を受信するために待機することとなり、クライアント側の動作の遅延を招いていた。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、サーバがクライアントに対し非同期処理を行っており、その停止処理を同期処理として要求するとき、クライアントがサーバからの処理結果を待機することが無く、停止処理結果の受信までの待機時間を短縮することを可能とする中継装置、プログラム、およびサーバ/クライアントシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明にかかる中継装置は、クライアントと、該クライアントから要求された処理を行うサーバと、該クライアントと該サーバの通信を中継する中継装置とを有するクライアント/サーバシステムの該中継装置において、前記クライアントから前記サーバに対する前記処理の要求を取得したときは、該要求を前記サーバに送信し、該要求の処理結果を前記サーバから取得した後に前記クライアントに該処理結果を送信する通信手段と、一方、前記クライアントが前記処理を要求した後、該クライアントが前記サーバに対し該要求の停止処理要求を送信して停止処理結果の待機を行なう場合、前記クライアントから前記停止処理要求を受信すると、前記サーバからの該要求に対する処理結果を取得したかどうかに関わらず擬似的な停止処理結果を前記クライアントに送信する停止応答手段と、前記サーバから取得した前記停止処理要求に対する停止処理結果を中継せずに破棄する処理結果破棄手段とを具備することを特徴としている。
【0008】
また、本発明にかかるプログラムは、クライアントと、該クライアントから要求された処理を行うサーバとを有するクライアント/サーバシステム間の通信を中継する、計算機で実行可能なプログラムであって、前記クライアントから前記サーバに対する前記処理の要求を取得して、該要求を前記サーバに送信する手順、前記サーバから該要求の処理結果を取得して前記クライアントに送信する手順とを実行し、一方、前記クライアントが前記処理を要求した後、該クライアントから前記サーバに対する該要求の停止処理要求を取得した場合、前記サーバからの該要求に対する処理結果を取得したかどうかに関わらず擬似的な停止処理結果を前記クライアントに送信する手順、前記サーバから取得した前記停止処理要求に対する停止処理結果を中断せずに破棄する手順を実行させることを特徴としている。
【0009】
また、本発明にかかるクライアント/サーバシステムは、クライアントと、該クライアントから要求された処理を行うサーバと、該クライアントと該サーバの通信を中継する中継装置とを有するクライアント/サーバシステムにおいて、前記クライアントは前記サーバに対して前記処理を要求する手段と、該サーバの該要求に対する処理結果を取得する手段とを有し、 前記中継装置は前記クライアントから前記処理の要求を取得する手段と、該要求を前記サーバに送信する手段と、該サーバからの前記処理結果を取得する手段と、該処理結果を該クライアントに送信する手段とを有し、前記サーバは前記中継装置より前記要求を取得すると、該要求に応じて前記処理を実行し、前記処理の処理結果を該中継装置に送信する手段と、を具備し、前記クライアントは、前記処理を停止する処理を要求する場合、該要求を前記中継装置に送信するとともに、前記サーバから該要求に対する処理結果を取得するまで待機する手段を有し、前記中継装置は、前記クライアントより処理を停止する前記要求を取得した場合、前記サーバから該要求に対する処理結果を取得したかどうかに関わらず擬似的な停止処理結果を前記クライアントに送信する停止応答手段と、前記サーバから取得した前記停止処理要求に対する停止処理結果を前記クライアントに中継せずに破棄する処理結果破棄手段とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クライアントがサーバに対して非同期で処理要求を行うとき、その非同期処理に対する停止処理の処理要求をクライアントより受信すると、即座にクライアントにクライアントの待機を解除するためのみに発行する擬似的な停止処理結果(処理完了結果)を送信し、サーバから後に受信する処理結果を破棄することでクライアントの停止処理結果受信までの待機時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明による実施形態における構成システムの一例を示すブロック図である。図1にはクライアント100、サーバ110、中継装置120、処理要求部101、通信部102、非同期処理部111、通信部112、処理管理部121、ID発行部122、ID保存部123、停止処理応答部124、および通信部125が示されている。クライアント100、サーバ110はそれぞれ中継装置120と通信可能であり、クライアント100がサーバ110の非同期処理部111に対し、処理要求を行う際に中継装置120を介する。
【0013】
クライアント100は要求処理部101、および通信部102を備えており、サーバ110に対し同期もしくは非同期の処理要求を行う。
【0014】
処理要求部101はクライアント100の要求する処理の管理を行う機能を有する。同期処理を要求する場合は、処理結果が返ってくるまでの待機の指示や、処理結果を受信した際の待機の解除を行う機能を有している。
【0015】
通信部102は中継装置120と通信可能であり、クライアント100の処理要求の送信や、中継装置120からの処理結果の受信を行う機能を有している。
【0016】
サーバ110は非同期処理部111、および通信部112を備えており、クライアント100からの処理要求に応じて処理の実行を行う。
【0017】
非同期処理部111は、クライアント100からの処理要求に応じて、クライアント100に対して非同期に処理を実行する機能を有している。
【0018】
通信部112は中継装置120と通信可能であり、中継装置120からの非同期処理部111への処理要求の受信や、非同期処理部111の中継装置120への処理結果の送信等を行う機能を有している。
【0019】
中継装置120は処理管理部121、ID発行部122、ID保存部123、停止処理応答部124、および通信部125を備えている。クライアント100から受信するサーバ110への非同期又は、同期の処理要求を受信し、非同期処理の要求としてサーバ110に送信する。またこれらの処理要求の結果をサーバ110から受信してクライアント100に送信する。中継装置120はこのようにクライアント100とサーバ110の間の処理状況を管理する機能を有している。
【0020】
処理管理部121はクライアント100より受信する処理要求を管理する機能を有している。クライアント100より受信した処理要求をサーバ110に対して送信したり、サーバ110からの処理結果をクライアント100に対して送信するか否か判別し、送信する場合にはクライアント100に処理結果を送信し、送信しない場合には処理結果を破棄する機能を有している。
【0021】
ID発行部122は処理要求に対して、それぞれの処理要求を判別するための符号であるIDを発行する機能を有している。IDの発行を行うとID保存部123に処理要求とIDを対応付けて保存し、処理管理部121に処理要求に対応するIDを送信する。また、停止処理応答部124に処理要求の情報とそれに対応するIDを送信する。
【0022】
ID保存部123は例えばRAM(Random Access Memory)のような保存可能な領域を有し、処理要求とそれに対応するIDを中継装置120に保存するための保存領域である。ID保存部123は処理管理部121、ID発行部122、停止処理応答部124よりアクセスが可能である。
【0023】
停止処理応答部124はID発行部122より受信する処理要求に関して、それが停止処理か否かを判別する機能を有する。処理要求が停止処理の要求であれば、サーバ110の処理結果とは関係なく通信部125を介し、すぐにクライアント100に擬似的な停止処理結果(停止処理完了結果)を送信する。また、ID保存部123に保存された停止処理要求のIDと、停止する対象の処理要求のIDを判別し、それぞれのIDを破棄(消去)する機能も有している。
【0024】
通信部125はクライアント100およびサーバ110の通信部102、通信部112と通信可能であり、処理要求や処理結果の送受信を行う機能を有している。
【0025】
図2は従来の中継装置を組み込んだ場合のクライアント/サーバシステム全体の処理のフローを示す図である。従来の中継装置の構成は本実施形態における図1の中継装置120より停止処理応答部124を除いた構成と同じである。
【0026】
本実施形態では、クライアント100はサーバ110に対し、まず非同期処理の処理要求として、処理xを行うように要求し、後にクライアント100は処理xの停止要求を同期処理としてサーバ110に要求する場合を例示しており、従来の中継装置を組み込んだ場合の構成システム全体の処理フローもそれに準ずるものとする。また本実施形態において処理xは停止処理ではない。また、処理xは結果を出し次第終了する処理ではなく、停止処理要求が来るまで停止せずに処理結果を出し続けるものとする。
【0027】
まず、クライアントが非同期処理xの処理要求を中継装置に送信し(S201)、中継装置が処理要求を受信する(S202)。このとき、処理xは非同期処理の処理要求であるため、同期処理のようにクライアントは処理結果が返ってくるのを待機することはない。中継装置は処理要求を受信すると、ID発行部が処理xを判別するためのIDを発行し(S203)、ID保存部にIDと処理xの処理要求を対応付けて保存する。次に、中継装置は処理xの処理要求に対応するIDを添付して、サーバに送信する(S204)。サーバは中継装置より処理要求およびIDを受信し(S205)、非同期処理部において処理xを開始する(S206)。
【0028】
ここでクライアントが処理xに対して同期処理である停止処理要求を行うとき、まずクライアントは処理xの停止処理要求を中継装置に対し送信し(S207)、待機状態に入る。中継装置は停止処理要求を受信すると(S208)、停止処理要求に対してIDを発行し(S209)、その停止処理要求と対応付けてID保存部に保存する。次に中継装置は停止処理要求にIDを添付しサーバに対し送信する(S210)。サーバは停止処理要求およびIDを受信すると(S211)、処理xの停止処理を開始する(S212)。
【0029】
またここで、サーバの非同期処理部において処理xの停止処理が完了する前に、処理xの処理が結果を出し、その結果が送信されてしまった場合を考える。この処理結果の送信は停止処理要求がなかった場合と同様、サーバは中継装置に対し処理xの処理結果に処理xの処理要求に対応するIDを添付して送信される(S213)。
【0030】
中継装置の処理管理部は受信した結果に添付されたIDとID保存部に存在するIDとを照合し、処理結果と同じIDがID保存部に存在すればクライアントに処理結果を送信し、存在しなければ処理結果を送信せずに破棄する機能を有している。中継装置は処理xの処理結果を受信すると(S214)、ID保存部に保存された対応するIDを照合し、同じIDが存在するとクライアントに処理結果を送信する(S215)。ここでクライアントは停止処理要求を行ったはずの処理xの不必要な処理結果を受信することになる(S216)。
【0031】
本従来の処理システムおよび、本実施形態においては上記のようにサーバが停止要求のあった処理要求の完了までに処理xの処理結果が出たものとして例示してある。非同期処理のため実際には処理xの処理結果の送信前に停止処理が完了する場合も考えられる。この場合には処理xの処理結果が送信されることはなく、S213〜S216のフローは存在しない。
【0032】
サーバは処理xの停止処理が完了すると(S217)、停止処理結果を対応するIDと共に中継装置に送信し(S218)、中継装置は停止処理結果およびIDを受信した後(S219)、ID保存部に保存されたIDと照合し、保存部に対応するIDが存在するとクライアントに停止処理結果を送信する(S220)。クライアントは停止処理結果を受信した後(S221)、待機を解除する。この停止処理の処理結果は、「処理xの停止処理が完了した」ということを示しており、クライアントとって以降の処理に特に必要となる処理結果は含まれていない。
【0033】
最後に中継装置がID保存部内の処理xの処理要求のIDと停止処理要求のIDを破棄して(S222)、一連の処理フローの終了となる。
【0034】
図3は本実施形態における構成システム全体の処理のフローの一例を示す図である。
【0035】
本実施形態における処理フローは中継装置120が停止処理要求を受信し(S308)、停止処理要求のIDを発行する(S309)までは同様である。
【0036】
その後は中継装置120が停止処理要求のIDを発行し、IDを停止処理要求と対応付けてID保存部123に保存し、後にその処理要求が停止処理要求であると判別すると(S310)、ID保存部123に保存された、処理xの処理要求に対応するIDと、停止処理要求に対応するIDを破棄(消去)する(S311)。その後、中継装置120はクライアント100の停止処理結果受信までの待機状態を解除するためのみに送信する、擬似的な停止処理結果(停止処理完了結果)をクライアント100に対し送信する(S312)。(本実施形態では中継装置120がここで送信する停止処理結果を「擬似的な停止処理結果」と表現するが、クライアント100は通常の停止処理結果として受信する。)クライアント100は中継装置120より(擬似的な)停止処理結果を受信し(S313)、待機状態を解除する。次に中継装置120は停止処理要求および対応するIDをサーバ110に対し送信し(S314)、サーバ110は停止処理要求を受信すると(S315)、処理xの停止処理を開始する(S316)。
【0037】
ここで、サーバ110の非同期処理部111において停止処理が完了するまでに処理xの結果を送信した場合、サーバ110は処理xの処理結果に対応するIDを添付して中継装置120に送信する(S317)。中継装置120は処理xの処理結果を受信し(S318)、ID保存部123より対応するIDを照合すると、対応するIDが存在しないため、処理xの処理結果を破棄する(S319)。またここでも処理xの停止処理完了までに処理結果が得られない場合もあり、この場合にはS317〜S319の処理フローは存在しないことも考えられる。
【0038】
サーバ110において処理xの停止処理が完了すると(S320)、サーバ110は中継装置120に停止処理結果に対応するIDを添付して送信する(S321)。中継装置120は停止処理結果を受信すると(S322)、ID保存部123より対応するIDを照合する。このとき対応するIDが存在しなければ、停止処理結果を破棄し(S323)、本実施形態における構成システム全体の処理フローは終了となる。
【0039】
本実施形態では上記のようにサーバ110からの停止処理結果だけでなく、サーバ110が停止処理完了までに送信した処理xの処理結果に関しても中継装置120が処理結果を破棄する。このように構成するとクライアント100はサーバ110から受信することになっていた、中継装置120からの処理xの処理結果の受信も行なわない。よってクライアント100は停止処理要求後のサーバ110から送信される、処理xに関するあらゆる処理結果を待機することが無くなる。
【0040】
図4は本実施形態における中継装置120の動作の一例を示すフロー図である。
【0041】
まず、中継装置120の通信部125がクライアント100における通信部102より非同期処理である処理xの処理要求を受信する(S401)。次に通信部125は処理管理部121に処理要求を送信し、受信した処理管理部121はID発行部122に処理要求を送信する。処理要求を受けてID発行部122は処理xの処理要求に対して要求IDを発行し(S402)、発行したIDと処理xの処理要求を対応付けてID保存部123に保存する(S403)。またここでID発行部122は停止処理応答部124に処理xの処理要求と要求IDを送信し、停止処理応答部124は処理xの処理内容が停止処理であるかどうか判別する。この場合停止処理の要求ではないので停止処理応答部124は特に何も行わず、IDと処理要求を無視する。次にID発行部122は処理管理部121に対し処理xに対応するIDを送信し、処理管理部121は処理xの処理要求にIDを添付し通信部125を介してサーバ110の通信部112に処理要求とIDを送信する(S404)。後にまた、中継装置120はクライアント100からの処理要求を受け付ける(S405)。クライアント100からの処理要求を受信しないとき(No)、中継装置120はサーバ110より処理xの処理要求を受け付ける(S406)。サーバ110より処理結果を受信すると(Yes)、処理管理部121は帰ってきた処理結果に添付されたIDとID保存部123に保存されたIDとを照合し(S407)、IDが一致すれば処理結果をクライアント100に送信し(S408)、処理フローはS405に戻る。また、S406において処理結果を受信していないとき(No)においてもS405に戻る。S405においてクライアント100からの処理要求を受信すると(Yes)、通信部125を介して処理要求を受信した処理管理部121は処理要求をID発行部122に送信し、ID発行部122は処理要求にIDの発行を行い(S409)、ID保存部123に処理要求と対応付けてIDを保存する(S410)。次にID発行部122は停止処理応答部124に停止処理要求とIDを送信する。次に受信した停止処理応答部124はその処理要求が停止処理要求であるか否かを判別する。
【0042】
この処理要求が停止処理要求でなければ、この後、処理xの処理要求を受信した際と同様のフローでサーバ110へと送信を行なうが、前述の処理要求は停止処理要求であったものとして説明を行なう。
【0043】
停止処理応答部124はこの処理要求が停止処理要求であることを判別し(S411)、停止処理応答部124はID保存部123に保存された処理xの要求IDと、それに対する停止処理要求のIDを照合し(S412)、処理xおよび停止処理要求のIDのそれぞれを破棄(消去)する(S413)。その後、通信部125を介してクライアント100に擬似的な停止処理結果(停止処理完了結果)を送信する(S414)。
【0044】
一方、ID発行部122は対応するIDを処理管理部121に送信し、処理管理部121は通信部125を介して、サーバ110に処理xの停止処理要求とそれに対応するIDとを送信する(S415)。
【0045】
次に中継装置120はサーバ110からの停止処理結果の受信を受け付ける(S416)。サーバ110において、停止処理が完了するまでに出た処理結果が中継装置120に対し送信される場合、中継装置120はS416において停止処理結果を受信していない間(No)、処理xに関しても処理結果の受信を受け付ける(S417)。処理xの処理結果を受信すると(Yes)、処理管理部121は処理結果に添付されたIDとID保存部123に保存されたIDとの照合を行う(S418)。処理管理部121はIDの照合を行うが、処理xの要求IDはS415において破棄されているためIDは存在せず、一致するIDを発見できないため、処理xの処理結果をクライアント100に送信することなく破棄する(S419)。S419が終了するとS416に戻る。
【0046】
またS417において中継装置120は処理xの処理結果を受信していない間(No)はS416に戻り、合わせて停止処理結果の受信を受け付ける。中継装置120が停止処理結果を受信すると(Yes)、処理管理部121は停止処理結果に添付されたIDとID保存部123に保存されているIDを照合する(S420)。処理管理部121はIDの照合を行うが、S414において停止処理要求のIDも破棄されており、停止処理結果をクライアント100に送信することなく破棄する(S421)。以上をもって一連の処理フローは終了となる。
【0047】
本実施形態では上記のように、中継装置120は単独で非同期処理の同期化、クライアント100の待ち時間短縮のための動作を中継装置120内部で行うことが可能である。
【0048】
図5は本実施形態におけるサーバ110の動作の一例を示すフロー図である。
【0049】
まず、サーバ110は中継装置120より通信部112に非同期処理xの処理要求と添付されたIDを受信し(S501)、非同期処理部111が処理xを開始する(S502)。処理xは停止処理を受信するまで処理を出し続ける処理なので、非同期処理部111が処理を行い、処理結果が出ると(S503)(Yes)、処理結果と処理xに対応するIDを通信部112より中継装置120送信し(S504)、後にS503に戻る。S503において処理を行っている間(No)、サーバ110は中継装置120からの処理xの停止処理要求の受信を受け付ける(S505)。サーバ110は停止処理要求を中継装置120より受信していない間(No)はS503に戻り、合わせて非同期処理部111において処理xを継続する。S505において中継装置120より停止処理要求と添付されたIDの受信をすると(Yes)処理xの停止処理を開始する(S506)。停止処理が完了するまで(S507)(No)に非同期処理部111が処理結果を出すと(S508)(Yes)、非同期処理部111は処理xの処理結果に対応するIDを添付し、通信部112を介して処理結果およびIDを中継装置120に送信し(S509)、S507に戻る。またS508において処理結果が出ていないとき(No)、S507に戻り停止処理を継続する。S507において、停止処理が完了すると(Yes)、サーバ110は停止処理結果(停止処理完了結果)に対応するIDを添付し、停止処理結果およびIDを中継装置120に通信部112を介して送信して一連の処理フローは終了となる。
【0050】
本実施形態における中継装置はソフトウェアによって実現することも可能であり、その場合は装置として独立する形式ではなく、アプリケーションとしてクライアントもしくはサーバに組み込むことが可能である。
本発明によれば、クライアントがサーバに対して非同期で処理要求を行うとき、その非同期処理に対する停止処理の処理要求をクライアントより受信すると、即座にクライアントに停止処理結果(処理完了結果)を送信し、サーバから後に受信する処理結果をクライアントに破棄することでクライアントの停止処理結果受信までの待機時間を短縮することができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態における構成システムの一例を示すブロック図。
【図2】従来の中継装置を組み込んだ場合の構成システム全体の処理のフローを示す図。
【図3】本発明の実施形態における構成システム全体の処理のフローの一例を示す図。
【図4】本発明の実施形態における中継装置の動作の一例を示すフロー図。
【図5】本発明の実施形態におけるサーバの動作の一例を示すフロー図。
【符号の説明】
【0053】
100:クライアント
101:処理要求部
101:通信部
110:サーバ
111:非同期処理部
112:通信部
120:中継装置
121:処理管理部
122:ID発行部
123:ID保存部
124:停止処理応答部
125:通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアントと、該クライアントから要求された処理を行うサーバと、該クライアントと該サーバの通信を中継する中継装置とを有するクライアント/サーバシステムの該中継装置において、
前記クライアントから前記サーバに対する前記処理の要求を取得したときは、該要求を前記サーバに送信し、該要求の処理結果を前記サーバから取得した後に前記クライアントに該処理結果を送信する通信手段と、
一方、前記クライアントが前記処理を要求した後、該クライアントが前記サーバに対し該要求の停止処理要求を送信して停止処理結果の待機を行なう場合、
前記クライアントから前記停止処理要求を受信すると、前記サーバからの該要求に対する処理結果を取得したかどうかに関わらず擬似的な停止処理結果を前記クライアントに送信する停止応答手段と、
前記サーバから取得した前記停止処理要求に対する停止処理結果を中継せずに破棄する処理結果破棄手段と
を具備することを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記処理結果破棄手段はさらに、
前記停止処理要求で停止すべき前記処理の結果を前記サーバから取得したときは、前記クライアントに中継せずに破棄することを特徴とする請求項1記載の中継装置。
【請求項3】
IDを発行するID発行手段と、
少なくとも前記ID発行手段によって発行されたIDを保存するID保存部と、
前記クライアントからの前記要求を受信すると、ID発行手段によって発行されたIDを該要求に関連付けて、ID保存部に保存する手段と、
前記クライアントに対して前記要求の処理結果を送信したとき、該要求に関連付けて保存された前記IDを消去し、
一方、前記クライアントから前記停止処理要求を取得したときに、該停止処理要求で停止すべき前記処理の要求に関連付けて保存された前記IDを消去するID消去手段と、をさらに具備し、
前記処理結果破棄手段は、前記サーバから受信する処理結果に対応するIDがID保存部に存在しない場合、該処理結果を破棄することを特徴とする請求項1記載の中継装置。
【請求項4】
クライアントと、該クライアントから要求された処理を行うサーバとを有するクライアント/サーバシステム間の通信を中継する、計算機で実行可能なプログラムであって、
前記クライアントから前記サーバに対する前記処理の要求を取得して、該要求を前記サーバに送信する手順、
前記サーバから該要求の処理結果を取得して前記クライアントに送信する手順と
を実行し、
一方、前記クライアントが前記処理を要求した後、該クライアントから前記サーバに対する該要求の停止処理要求を取得した場合、
前記サーバからの該要求に対する処理結果を取得したかどうかに関わらず擬似的な停止処理結果を前記クライアントに送信する手順、
前記サーバから取得した前記停止処理要求に対する停止処理結果を中断せずに破棄する手順を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
前記停止処理要求で停止すべき前記処理の結果を前記サーバから取得したときは、前記クライアントに中継せずに破棄する手順を実行させることを特徴とする請求項4記載のプログラム
【請求項6】
前記クライアントからの前記要求を受信すると、該要求に関連付けられたIDを発行し、記憶部に保存する手順、
前記クライアントに対して前記要求の処理結果を送信したとき、該要求に関連付けて保存された前記IDを消去する手順を実行し、
一方、前記クライアントから前記停止処理要求があったときには、該停止処理要求で停止すべき前記処理の要求に関連付けて保存された前記IDを消去する手順、
前記サーバから受信する処理結果に対応するIDが保存されていない場合、該処理結果を破棄する手順を実行させることを特徴とする請求項4記載のプログラム。
【請求項7】
クライアントと、該クライアントから要求された処理を行うサーバと、該クライアントと該サーバの通信を中継する中継装置とを有するクライアント/サーバシステムにおいて、
前記クライアントは前記サーバに対して前記処理を要求する手段と、該サーバの該要求に対する処理結果を取得する手段とを有し、
前記中継装置は前記クライアントから前記処理の要求を取得する手段と、該要求を前記サーバに送信する手段と、該サーバからの前記処理結果を取得する手段と、該処理結果を該クライアントに送信する手段とを有し、
前記サーバは前記中継装置より前記要求を取得すると、該要求に応じて前記処理を実行し、前記処理の処理結果を該中継装置に送信する手段と、
を具備し、
前記クライアントは、
前記処理を停止する処理を要求する場合、該要求を前記中継装置に送信するとともに、前記サーバから該要求に対する処理結果を取得するまで待機する手段を有し、
前記中継装置は、
前記クライアントより処理を停止する前記要求を取得した場合、前記サーバから該要求に対する処理結果を取得したかどうかに関わらず擬似的な停止処理結果を前記クライアントに送信する停止応答手段と、
前記サーバから取得した前記停止処理要求に対する停止処理結果を前記クライアントに中継せずに破棄する処理結果破棄手段とを有する
ことを特徴とするクライアント/サーバシステム。
【請求項8】
前記中継装置の前記処理結果破棄手段はさらに、
前記停止処理要求で停止すべき前記処理の結果を前記サーバから取得したときは、前記クライアントに中継せずに破棄することを特徴とする請求項7記載のクライアント/サーバシステム。
【請求項9】
前記中継装置はさらに、
IDを発行するID発行手段と、
少なくとも前記ID発行手段によって発行されたIDを保存するID保存部と、
前記クライアントからの前記要求を受信すると、ID発行手段によって発行されたIDを該要求に関連付けて、ID保存部に保存する手段と、
前記クライアントに対して前記要求の処理結果を送信したとき、該要求に関連付けて保存された前記IDを消去し、
一方、前記クライアントから前記停止処理要求を取得したときに、該停止処理要求で停止すべき前記処理の要求に関連付けて保存された前記IDを消去するID消去手段とを具備し、
前記処理結果破棄手段は、前記サーバから受信する処理結果に対応するIDがID保存部に存在しない場合、該処理結果を破棄することを特徴とする請求項7記載のクライアントサーバシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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