説明

中継装置及び通信制御プログラム

【課題】起動時のエラーの発生を防止することができる中継装置及び通信制御プログラムを提供する。
【解決手段】起動時に複合機10から第1接続端子52Aにコネクションの確立を要求する要求情報が入力した場合に、第2接続端子52Bを介してPC14が通信可能な状態であるか否かを判定し、通信不可能な状態であると判定された場合に、要求情報に対する応答情報を第1接続端子52Aから複合機10へ送信するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中継装置に係り、特に、コネクションを確立することにより互いに連携して動作する第1機器及び第2機器の間に介在する中継装置及び当該中継装置を制御する通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、起動時にコネクションを確立して各種の情報を交換することにより複数の機器が連携して動作するシステムがある。例えば、複合機とコインキットを接続して、コピーを行う毎に課金を行うシステムや、複合機とICカードリーダを接続して、コピーを行う際にICカードの認証を行うシステムなどがある。
【0003】
この種のシステムでは、起動時に複合機がコインキットやICカードリーダが接続されているかの問い合わせを行い、正常に応答を得られた場合に正常に起動し、応答が異常な場合や応答が得られない場合、エラーとなる。
【0004】
なお、関連技術として、特許文献1には、画像処理装置の機能を拡張するために情報処理装置を接続した画像処理システムが開示されている。
【特許文献1】特開2005−297487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複合機の外部機器と通信するために提供しているインタフェースにパーソナル・コンピュータ(以下「PC」ともいう。)等の外部機器に接続してPCを複合機と連携して動作させるものとした場合、PCは汎用性が高いため、機能の拡張性が高くなる。
【0006】
しかしながら、複合機とPCを同時に電源を投入した場合、一般的にPCの方が複合機よりも起動開始から通信可能な状態となるまでの起動時間が長い。このため、PCが複合機からの起動時のコネクションの確立の要求に答えられず、起動時にエラーが発生する場合がある、という問題点があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、起動時のエラーの発生を防止することができる中継装置及び通信制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、コネクションを確立することにより互いに連携して動作する第1機器、及び第2機器の間に介在され、前記第1機器と電気的に接続されて前記第1機器からコネクションの確立を要求する要求情報が入力される第1接続端子と、前記第2機器と電気的に接続された第2接続端子と、前記第1接続端子に前記要求情報が入力された場合に、前記第2接続端子を介して前記第2機器が通信可能な状態であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により通信不可能な状態であると判定された場合に、前記要求情報に対する応答情報を前記第1接続端子から前記第1機器へ送信するように制御する制御手段と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の中継装置は、コネクションを確立することにより互いに連携して動作する第1機器、及び第2機器の間に介在されており、第1接続端子により、第1機器と電気的に接続されて第1機器からコネクションの確立を要求する要求情報が入力され、第2接続端子により、第2機器と電気的に接続されている。
【0010】
そして、本発明では、判定手段により、第1接続端子に要求情報が入力された場合に、第2接続端子を介して第2機器が通信可能な状態であるか否かが判定され、制御手段により、判定手段により通信不可能な状態であると判定された場合に、要求情報に対する応答情報が第1接続端子から第1機器へ送信されるように制御される。
【0011】
このように請求項1記載の発明によれば、起動時にコネクションの確立を要求する要求情報を出力する第1機器から第1接続端子に要求情報が入力された場合に、第2機器と電気的に接続された第2接続端子を介して第2機器が通信可能な状態であるか否かを判定し、通信不可能な状態であると判定された場合に、要求情報に対する応答情報を第1接続端子から第1機器へ送信するように制御しているので、起動時のエラーの発生を防止することができる。
【0012】
なお、本発明は、請求項2記載のように、前記第1機器が前記第2機器とコネクションを確立する際に必要な前記第2機器に関する情報を予め記憶した記憶手段と、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記要求情報に対する応答情報を生成する生成手段と、をさらに備え、前記制御手段が、前記生成手段により生成された応答情報を送信するように制御してもよい。
【0013】
また、本発明は、請求項3記載のように、前記判定手段により通信可能な状態であると判定された場合に、前記要求情報を記憶する要求情報記憶手段をさらに備え、前記制御手段が、前記第2接続端子に前記第2機器から送信要求情報が入力された場合に、前記要求情報記憶手段に記憶された前記要求情報を前記第2接続端子から前記第2機器に対して送信するように制御してもよい。
【0014】
また、請求項1から請求項3の発明は、請求項4記載のように、前記第2接続端子が、複数の信号線により構成されると共に、所定の信号線の電圧レベルが前記第2機器が通信可能な状態であるか否かによって変化し、前記判定手段が、前記所定の信号線の電圧レベルに基づいて前記第2機器が通信可能な状態であるか否かを判定してもよい。
【0015】
また、請求項1から請求項3の発明は、請求項5記載のように、前記判定手段が、前記第2接続端子から前記第2機器に対して状態を問い合わせる問合情報を送信し、当該問合情報に対する応答情報に基づいて前記第2機器が通信可能な状態であるか否かを判定してもよい。
【0016】
一方、上記目的を達成するために、請求項6記載の発明は、コネクションを確立することにより互いに連携して動作する機器であり、起動時にコネクションの確立を要求する要求情報を出力する第1機器、及び起動開始から通信可能な状態となるまでの起動時間が前記第1機器に比較して長い第2機器の間に介在する中継装置により実行される通信制御プログラムであって、前記第1機器と電気的に接続されて前記第1機器から前記要求情報が入力される第1接続端子に前記要求情報が入力した場合に、前記第2機器と電気的に接続された第2接続端子を介して前記第2機器が通信可能な状態であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより通信不可能な状態であると判定された場合に、前記要求情報に対する応答情報を前記第1接続端子から前記第1機器へ送信するように制御する制御ステップと、を含んでいる。
【0017】
よって、請求項6に記載の発明は、コンピュータに対して請求項1に記載の発明と同様に作用させることができるので、起動時のエラーの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、起動時にコネクションの確立を要求する要求情報を出力する第1機器から第1接続端子に要求情報が入力された場合に、第2機器と電気的に接続された第2接続端子を介して第2機器が通信可能な状態であるか否かを判定し、通信不可能な状態であると判定された場合に、要求情報に対する応答情報を第1接続端子から第1機器へ送信するように制御しているので、起動時のエラーの発生を防止することができる、という優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明を複合機とPCを接続し、PCにICカードリーダを設けてICカードの認証を行うシステムの場合について説明する。
【0020】
図1に示されるように、本実施の形態に係るシステムは、複合機10と、中継装置12と、PC14と、を備えており、複合機10とPC14との間に中継装置12が介在している。
【0021】
本実施の形態に係る複合機10は、所定の読込位置に載置された記録用紙から画像を読み込み、当該画像を示す画像データを取得するスキャナ22と、電子写真方式にて記録用紙上への画像の印刷を行う印刷エンジン部24と、コピー操作などの各種の操作指示が入力される操作ボタンが設けられた操作パネル26と、外部機器とシリアル通信を行うための接続端子28と、を備えている。
【0022】
なお、本実施の形態に係る接続端子28は、RS232C規格に対応したコネクタ形状がD−Sub9pinのものとされている。接続端子28には、他端が中継装置12に接続されたケーブル29Aの一端が接続されている。
【0023】
また、複合機10は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)30と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM32と、各種データを一時的に記憶するRAM34と、各種データを記憶して保持するHDD(ハード・ディスク・ドライブ)36と、操作パネル26に設けられた操作ボタンに対する操作状態を検出する操作入力検出部38と、スキャナ22による光学的な画像の読み取りを制御するスキャナドライバ40と、前述した印刷エンジン部24の作動を制御する印刷エンジン制御部42と、接続端子28に接続され、接続端子28を介した中継装置12との間のデータを送受信を制御する通信制御部44と、を備えている。
【0024】
CPU30、ROM32、RAM34、HDD36、操作入力検出部38、スキャナドライバ40、印刷エンジン制御部42、及び通信制御部44は、システムバスBUS1を介して相互に接続されている。従って、CPU30は、ROM32、RAM34、HDD36へのアクセスを行うことができると共に、スキャナドライバ40を介したスキャナ22の作動の制御、印刷エンジン制御部42を介した印刷エンジン部24の作動の制御、及び通信制御部44を介した中継装置12とのデータの送受信の制御、を各々行うことができる。また、CPU30は、操作入力検出部38を介して操作パネル26に設けられた操作ボタンに対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0025】
一方、中継装置12は、外部機器とシリアル通信を行うための第1接続端子52A及び第2接続端子52Bを備えている。
【0026】
なお、本実施の形態に係る第1接続端子52A及び第2接続端子52Bも、RS232C規格に対応したコネクタ形状がD−Sub9pinのものとされている。第1接続端子52Aには、ケーブル29Aの他端が接続され、第2接続端子52Bには、他端がPC14に接続されたケーブル29Bの一端が接続されており、本実施の形態に係る中継装置12は、ケーブル29Aを介して複合機10から電力が供給されるものとされている。
【0027】
また、中継装置12は、装置全体の動作を司るCPU56と、通信制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM58と、各種データを一時的に記憶するRAM60と、各種データを記憶する不揮発性メモリ62と、第1接続端子52Aに接続され、第1接続端子52Aを介した複合機10との間のデータを送受信を制御する第1通信制御部64と、第2接続端子52Bに接続され、第2接続端子52Bを介したPC14との間のデータを送受信を制御する第2通信制御部66と、を備えている。
【0028】
CPU56、ROM58、RAM60、不揮発性メモリ62、第1通信制御部64及び第2通信制御部66は、システムバスBUS2を介して相互に接続されている。従って、CPU56は、ROM58、RAM60、不揮発性メモリ62へのアクセスを行うことができると共に、第1通信制御部64を介した複合機10とのデータの送受信の制御、及び第2通信制御部66を介したPC14とのデータの送受信の制御、を各々行うことができる。
【0029】
一方、PC14は、操作メニューやメッセージ等を表示するディスプレイ70と、ユーザからの各種の操作指示が入力されるキーボード72と、外部機器とシリアル通信を行うための接続端子74と、ICカードの読み取りを行うICカードリーダ76と、を備えている。
【0030】
なお、本実施の形態に係る接続端子74も、RS232C規格に対応したコネクタ形状がD−Sub9pinのものとされている。接続端子74には、ケーブル29Bの他端が接続されている。
【0031】
また、PC14は、装置全体の動作を司るCPU80と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM82と、各種データを一時的に記憶するRAM84と、各種データを記憶して保持するHDD86と、ディスプレイ70への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ88と、キーボード72に対する操作状態を検出する操作入力検出部90と、ネットワーク16に接続され、当該ネットワーク16に接続された図示しないサーバ装置との間で通信データの送受信を行うネットワークI/F(インタフェース)部92と、接続端子74に接続され、接続端子74を介した中継装置12との間のデータを送受信を制御する通信制御部94と、ICカードリーダ76によるICカードの読み取りを制御するカードリーダ制御部96と、を備えている。
【0032】
CPU80、ROM82、RAM84、HDD86、ディスプレイドライバ88、操作入力検出部90、ネットワークI/F部92、通信制御部94、及びカードリーダ制御部96は、システムバスBUS3を介して相互に接続されている。従って、CPU80は、ROM82、RAM84、HDD86へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ88を介したディスプレイ70への各種情報の表示の制御、ネットワークI/F部92を介したネットワーク16に接続された図示しないサーバ装置とのデータの送受信の制御、通信制御部94を介した中継装置12とのデータの送受信の制御、及びカードリーダ制御部96を介したICカードリーダ76によるICカードの読み取りの制御、を行うことができる。また、CPU80は、操作入力検出部90を介してキーボード72に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0033】
次に、本実施の形態に係るシステムの作用を説明する。
【0034】
本実施の形態に係る複合機10は、操作パネル26にコピーを指示する操作ボタンが設けられており、当該操作ボタンが指定された場合、CPU30がスキャナドライバ40を介してスキャナ22を制御してスキャナ22によって所定の読込位置に載置された原稿画像を読み込ませ、印刷エンジン制御部42を介して印刷エンジン部24を制御して読み込んだ原稿画像を記録用紙に印刷させることにより、コピーを行うことが可能とされている。また、本実施の形態に係る複合機10は、接続端子28に入力されるコピー実施制御情報に基づいて、コピー動作の許可/不許可が制御されるものとされている。複合機10は、コピー動作の不許可を示すコピー実施制御情報が入力された場合、操作パネル26への操作に関わらずコピーが禁止され、接続端子28に許可情報が入力された場合、所定期間の間、操作パネル26への操作に応じてコピーを行うことが可能となる。
【0035】
また、複合機10は、コピーを行った場合、コピーを行った用紙の種別や枚数を示す印刷情報や、コピーを行った際にエラーが発生した場合のエラー情報を接続端子28より出力する。また、複合機10は、印刷エンジン部24に設けられたトナーカートリッジに充填されたトナーの量が所定量以下になると、トナーの補給を要求するトナー補給要求情報を接続端子28より出力する。
【0036】
一方、本実施の形態に係るPC14は、複合機10でコピーを許可するICカードを示す許可カード情報をHDD86に予め記憶している。
【0037】
PC14は、起動する際に、コピー動作の不許可を示すコピー実施制御情報を接続端子74より出力する。また、PC14は、ICカードリーダ76にICカードがかざされて読み取ったICカードのカード情報が、HDD86に記憶された許可カード情報に登録されたものである場合に、コピー動作の許可を示すコピー実施制御情報を接続端子74より出力し、許可カード情報に登録されたものでない場合に、コピー動作の不許可を示すコピー実施制御情報を接続端子74より出力する。
【0038】
さらに、PC14は、接続端子74に入力される印刷情報やエラー情報、トナー補給要求情報をHDD86に記憶し、定期的に、HDD86に記憶した各情報をネットワークI/F部92を介してネットワーク16上の、図示しない保守センタに設けられたサーバ装置に送信する。これにより、保守センタでは、送信された印刷情報やエラー情報、トナー補給要求情報等に基づいて複合機10のメンテナンスを行うメンテナンス要員を派遣する。
【0039】
このように、本実施の形態に係る複合機10とPC14は、各種の情報を交換することにより互いに連携して動作するものとされており、中継装置12を介して各種の情報を交換されるものとされている。
【0040】
中継装置12は、ケーブル29Aを介して複合機10から電力が供給されると、CPU56によって通信制御プログラムが実行されて、複合機10から第1接続端子52A及びPC14から第2接続端子52Bにそれぞれ入力された情報の中継を制御している。
【0041】
なお、本実施の形態に係る通信制御プログラムは、図2に示すように、複合機10やPC14から第1接続端子52A及び第2接続端子52Bに入力された各種の情報を一旦RAM60に記憶させ、複合機10やPC14から情報の送信を要求する送信要求情報が入力すると、RAM60に記憶した情報を送信させるように制御するものとされている。本実施の形態に係る中継装置12のRAM60には、第1接続端子52A及び第2接続端子52Bに入力された情報を各々最大30個記憶可能なように、複合機向けバッファ領域、PC向けバッファ領域が設けられている。
【0042】
本実施の形態に係る複合機10及びPC14は、起動して通信可能な状態となると、一定期間(例えば、300ms)毎に、中継装置12に対して送信要求情報を送信して、中継装置12のRAM60に記憶された情報の送信を要求する。
【0043】
また、本実施の形態に係る複合機10は、起動時に、PC14が接続され、かつ、正常に動作しているかを確認するため、コネクションの確立を要求する要求情報を出力する。
【0044】
PC14は、コネクションを確立を要求する要求情報が入力すると、PC14の機器の種別を示す種別情報、シリアルナンバーを含んだ要求情報に対する応答情報を出力する。
【0045】
複合機10は、応答情報が入力された場合、PC10とコネクションを確立できたものとして正常に動作し、所定の時間以内に応答情報が入力しなかった場合、コネクションを確立できなかったものとしてエラーとなる。
【0046】
ところで、複合機10とPC14を同時に電源を投入した場合、一般的にPC14の方が複合機10よりも起動開始から通信可能な状態となるまでの起動時間が長い。このため、複合機10で起動時にエラーの発生する場合がある。
【0047】
そこで、本実施の形態に係る中継装置12では、不揮発性メモリ62にPC14の種別情報、シリアルナンバーを予め記憶しておき、PC14が通信不可能な状態である際に複合機10からコネクションの確立を要求する要求情報が入力された場合、要求情報に対する応答情報を生成するようにしている。なお、不揮発性メモリ62に予め記憶するPC14の種別情報、シリアルナンバーは、作業員が設定するものとしてもよく、また、中継装置12で正常時に中継されるコネクションの確立を要求する要求情報に対する応答情報から抽出して記憶するものとしてもよい。
【0048】
図3には、複合機10より出力された情報がケーブル29Aを介して第1接続端子52Aに入力された際に、中継装置12のCPU56により実行される通信制御プログラムの第1接続端子情報受信処理の流れを示すフローチャートが示されている。
【0049】
同図のステップ100では、入力された情報が、情報の送信を要求する送信要求情報であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ120へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ102へ移行する。
【0050】
ステップ102では、入力された情報が、コネクションの確立を要求する要求情報であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ104へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ110へ移行する。
【0051】
ステップ104では、PC14が通信可能な状態であるか否かを判定する。
【0052】
ここで、RS232C規格では、中継装置12とPC14とを接続するケーブル29Bの結線仕様は図4のようになっており、ケーブル29Bの各信号線の用途は図5に示すようになっており、第2接続端子52Bの第6ピンの電圧レベルによってPC14が通信可能な状態であるか否かを判断することができる。
【0053】
そこで、本ステップ104では、第2接続端子52Bの第6ピンの電圧レベルを検出することにより、PC14が通信可能な状態であるか否かを判定しており、PC14が通信可能な状態である場合はステップ110へ移行し、PC14が通信不可能な状態である場合はステップ106へ移行する。
【0054】
ステップ106では、不揮発性メモリ62に予め記憶したPC14の種別情報及びシリアルナンバーに基づいて、コネクションの確立を要求する要求情報に対する応答情報を生成し、次のステップ108では、生成した応答情報を複合機向けバッファ領域に記憶させて、本第1接続端子情報受信処理を終了する。
【0055】
一方、ステップ110では、PC14から一定期間(例えば、30秒間)以上、アクセスが無かった否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ114へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ112へ移行する。
【0056】
ステップ112では、PC向けバッファ領域に空きがあるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ116へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ114へ移行する。
【0057】
ステップ114では、PC14のアクセスが無い、又はPC向けバッファ領域に空きが無い状態であるため、コピー動作の不許可を示すコピー実施制御情報を生成し、上記ステップ108へ移行して、生成したコピー実施制御情報を複合機向けバッファ領域に記憶させ、本第1接続端子情報受信処理を終了する。これにより、例えば、PC14でエラーが発生して通信不能状態となってしまった場合に、複合機10でのコピー動作が禁止される。
【0058】
一方、ステップ116では、入力された情報をPC向けバッファ領域に記憶させ、処理終了となる。
【0059】
一方、ステップ120では、入力された情報が、情報の送信を要求する送信要求情報であるため、複合機向けバッファ領域に情報が記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ122へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ124へ移行する。
【0060】
ステップ122では、複合機向けバッファ領域に記憶された各情報を複合機10へ向けて順次送信し、本第1接続端子情報受信処理を終了する。
【0061】
一方、ステップ124では、複合機10へ送信する情報が無いことを通知して、本第1接続端子情報受信処理を終了する。
【0062】
一方、図6には、PC14より出力された情報がケーブル29Bを介して第2接続端子52Bに入力された際に、中継装置12のCPU56により実行される通信制御プログラムの第2接続端子情報受信処理の流れを示すフローチャートが示されている。
【0063】
同図のステップ200では、入力された情報が、情報の送信を要求する送信要求情報であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ220へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ202へ移行する。
【0064】
ステップ202では、既に第1接続端子52Aに複合機10からコネクションの確立を要求する要求情報が入力済みであるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ204へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ206へ移行する。
【0065】
ステップ204では、入力された情報を複合機向けバッファ領域に記憶させ、本第2接続端子情報受信処理を終了する。
【0066】
一方、ステップ206では、複合機10が起動しておらず、コネクションが確立されていないため、PC14へエラーを通知して、本第2接続端子情報受信処理を終了する。
【0067】
一方、ステップ220では、入力された情報が、情報の送信を要求する送信要求情報であるため、PC向けバッファ領域に情報が記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ222へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ224へ移行する。
【0068】
ステップ222では、PC向けバッファ領域に記憶された情報をPC14へ向けて順次送信し、本第2接続端子情報受信処理を終了する。
【0069】
一方、ステップ224では、PC14へ送信する情報が無いことを通知して、本第2接続端子情報受信処理を終了する。
【0070】
これにより、中継装置12は、PC14が通信不可能な状態である際に複合機10からコネクションの確立を要求する要求情報が入力された場合、要求情報に対する応答情報を生成して複合機向けバッファ領域に記憶し、複合機10から入力する送信要求情報に応じて、複合機向けバッファ領域に記憶した応答情報を複合機10に送信するため、複合機10で起動時にPC14とコネクションを確立できないためにエラーが発生することを防止することできる。
【0071】
以上のように本実施の形態によれば、起動時に複合機10から第1接続端子52Aにコネクションの確立を要求する要求情報が入力された場合に、第2接続端子52Bを介してPC14が通信可能な状態であるか否かを判定し、通信不可能な状態であると判定された場合に、要求情報に対する応答情報を第1接続端子52Aから複合機10へ送信するように制御しているので、複合機10での起動時のエラーの発生を防止することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、複合機10が、コネクションの確立を要求する要求情報に対する応答情報としてPC14の機器の種別を示す種別情報、シリアルナンバーを含んだ応答情報を要求するため、中継装置12においてPC14の種別情報、シリアルナンバーを記憶する場合について説明したが、複合機10が、応答情報として種別情報、シリアルナンバーを必要とせず、応答を求めるものである場合、中継装置12はPC14の種別情報、シリアルナンバーを記憶せず、応答すればよい。
【0073】
また、本実施の形態では、中継装置12とPC14をRS232C規格でシリアル通信を行うため、第2接続端子52Bの第6ピンの電圧レベルによってPC14の状態が判別できるが、例えば、LAN回線などを用いた場合、中継装置12は、PC14に対して状態を問い合わせる問合情報を送信し、当該問合情報に対する応答情報に基づいてPC14が通信可能な状態であるか否かを判定してもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、中継装置12は、複合機10やPC14から入力された各種の情報を一旦RAM60に記憶し、複合機10やPC14から情報の送信を要求する送信要求情報が入力すると、RAM60に記憶した情報を送信する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1接続端子52A及び第2接続端子52Bの第6ピンの電圧レベルに基づいて複合機10やPC14が通信可能な状態であるか否かを判定したり、あるいは、定期的に複合機10やPC14に対して状態を問い合わせる問合情報を送信し、当該問合情報に対する応答情報に基づいて複合機10やPC14が通信可能な状態であるか否かを判定して、複合機10やPC14が通信可能な状態であると、RAM60に記憶した情報を送信するようにしてもよい。
【0075】
その他、本実施の形態で説明した複合機10、中継装置12、及びPC14の構成(図1、図2参照。)は、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。また、中継装置12が接続される機器は複合機やPCに限定されるものではなく、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0076】
また、本実施の形態で説明した第1接続端子情報受信処理及び第2接続端子情報受信処理の流れ(図3及び図6参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施の形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る複合機、中継装置、及びPCの間のデータの流れの一例を示す図である。
【図3】実施の形態に係る第1接続端子情報受信処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係る中継装置とPCを接続するケーブルの結線状態を示す図である。
【図5】実施の形態に係るケーブルの各信号線仕様をを示す図である。
【図6】実施の形態に係る第2接続端子情報受信処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
10 複合機(第1機器)
12 中継装置
14 PC(第2機器)
52A 第1接続端子
52B 第2接続端子
56 CPU(判定手段、制御手段、生成手段)
60 RAM(要求情報記憶手段)
62 不揮発性メモリ(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクションを確立することにより互いに連携して動作する第1機器、及び第2機器の間に介在され、
前記第1機器と電気的に接続されて前記第1機器からコネクションの確立を要求する要求情報が入力される第1接続端子と、
前記第2機器と電気的に接続された第2接続端子と、
前記第1接続端子に前記要求情報が入力された場合に、前記第2接続端子を介して前記第2機器が通信可能な状態であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により通信不可能な状態であると判定された場合に、前記要求情報に対する応答情報を前記第1接続端子から前記第1機器へ送信するように制御する制御手段と、
を備えた中継装置。
【請求項2】
前記第1機器が前記第2機器とコネクションを確立する際に必要な前記第2機器に関する情報を予め記憶した記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記要求情報に対する応答情報を生成する生成手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記生成手段により生成された応答情報を送信するように制御する
請求項1記載の中継装置。
【請求項3】
前記判定手段により通信可能な状態であると判定された場合に、前記要求情報を記憶する要求情報記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第2接続端子に前記第2機器から送信要求情報が入力された場合に、前記要求情報記憶手段に記憶された前記要求情報を前記第2接続端子から前記第2機器に対して送信するように制御する
請求項1又は請求項2記載の中継装置。
【請求項4】
前記第2接続端子は、複数の信号線により構成されると共に、所定の信号線の電圧レベルが前記第2機器が通信可能な状態であるか否かによって変化し、
前記判定手段は、前記所定の信号線の電圧レベルに基づいて前記第2機器が通信可能な状態であるか否かを判定する
請求項1から請求項3の何れか1項記載の中継装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記第2接続端子から前記第2機器に対して状態を問い合わせる問合情報を送信し、当該問合情報に対する応答情報に基づいて前記第2機器が通信可能な状態であるか否かを判定する
請求項1から請求項3の何れか1項記載の中継装置。
【請求項6】
コネクションを確立することにより互いに連携して動作する機器であり、起動時にコネクションの確立を要求する要求情報を出力する第1機器、及び起動開始から通信可能な状態となるまでの起動時間が前記第1機器に比較して長い第2機器の間に介在する中継装置により実行される通信制御プログラムであって、
前記第1機器と電気的に接続されて前記第1機器から前記要求情報が入力される第1接続端子に前記要求情報が入力した場合に、前記第2機器と電気的に接続された第2接続端子を介して前記第2機器が通信可能な状態であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより通信不可能な状態であると判定された場合に、前記要求情報に対する応答情報を前記第1接続端子から前記第1機器へ送信するように制御する制御ステップと、
をコンピュータに実行させる通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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