説明

中鎖および長鎖脂肪酸モノグリセリドの製造方法

【課題】脂肪酸(特に、C9:0からC18:0の直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の不飽和脂肪酸)モノグリセリドを効率よく、かつ高純度で製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、リパーゼを用いるエステル化反応によって脂肪酸とグリセロールとから脂肪酸モノグリセリドを製造する方法を提供し、該方法は、該脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降のエステル化反応を、水分含量0.3〜2.5質量%に制御して行う工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸モノグリセリドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪酸モノグリセリドとは、グリセリン1分子と脂肪酸1分子とがエステル結合した物質であり、モノアシルグリセロールまたはグリセリン脂肪酸エステルともいわれる油脂の一種である。脂肪酸モノグリセリドは、乳化剤(食品添加物)として加工食品(マーガリン、チョコレート、アイスクリーム、パン、ケーキなど)に幅広く使用されている。さらに、中鎖脂肪酸のモノグリセリドは、抗菌活性を有することも知られている。
【0003】
現在、脂肪酸モノグリセリドは、高温条件下(220−250℃)でアルカリ触媒を用いて、あるいは無触媒下で脂肪酸とグリセリンとをエステル化する方法;高温・高圧条件下で、油脂をグリセロリシスする方法などの化学法により工業的に製造されている。しかし、これらの化学法による脂肪酸モノグリセリドの製造は、多くのエネルギーを必要とし、アルカリ排水処理が必要となるなどの問題がある。さらに、高温高圧条件下の化学法による製造方法は、熱、酸素などに対して不安定な不飽和脂肪酸を用いる脂肪酸モノグリセリドの製造には、適用できないという問題もある。
【0004】
そこで、穏和な条件下で反応可能な酵素を用いて、脂肪酸モノグリセリドを製造する方法の研究がなされている。例えば、特許文献1には、リパーゼを用いて、高度不飽和脂肪酸を含有する脂肪酸またはそのエステルとグリセリンとから、高度不飽和脂肪酸含有部分グリセリドを製造する方法が記載されている。しかし、この方法で得られるグリセリド(アシルグリセロールという場合もある)に含まれる脂肪酸モノグリセリドは、最大でも19%であること、およびグリセリンが高度不飽和脂肪酸に対してモル比で30倍以上の量が必要であることからも、この方法は、実用的な脂肪酸モノグリセリドの製造方法ではない。
【0005】
特許文献2には、ペニシリウム属に属する微生物から得られたモノおよびジグリセリドリパーゼを用いて、C8:0からC18:0の炭素数が偶数個の脂肪酸またはオレイン酸(C18:1)とグリセリンとから、部分グリセリド(脂肪酸モノグリセリドの純度、>95%)を製造する方法が記載されている(ここで、Cn:mは、炭素数がnであり、二重結合数がm個の直鎖脂肪酸を表す。mが0のときは、直鎖飽和脂肪酸である。以下、本明細書において同様である)。しかし、この方法では、グリセリンを大過剰(10倍モル以上)用いる必要があること、および脂肪酸のエステル化率が最大でも75%であることから、効率的な方法ではない。
【0006】
特許文献3には、ペニシリウム属に属する微生物から得られたモノおよびジグリセリドリパーゼを用いて、共役脂肪酸とグリセリンとから、部分グリセリド(脂肪酸モノグリセリドが主成分)を製造する方法が記載されている。さらに、特許文献4には、ペニシリウム属に属する微生物から得られたモノおよびジグリセリドリパーゼを用いて、ω−3系高度不飽和脂肪酸とグリセリンとから、部分グリセリド(脂肪酸モノグリセリドが主成分)を製造する方法が記載されている。
【0007】
これらの特許文献3および4には、(i)0〜20℃でエステル化反応を行い、反応途中で減圧してエステル化率を高める方法(特許文献3の段落番号0008に記載の第1の方法の前半)、(ii)常温で、反応開始時から減圧下で反応を行う方法(特許文献3の第1の方法の後半、特許文献4、および非特許文献1)、(iii)常温でエステル化反応を行った後(途中から減圧)、0〜20℃でグリセロリシスを行う方法(特許文献3の第2の方法)、などを用いることにより、脂肪酸のエステル化率が96%以上で、脂肪酸モノグリセリドを90%以上含む生成物が得られることが記載されている。
【0008】
しかし、(i)または(iii)の方法では反応温度を低温にしなくてはならず、多くのエネルギーを必要とし、さらに、反応液が固化するため大容量の反応の場合は、反応液の内部からの減圧脱水の効率が悪いなどの問題があり、実用的ではない。特に、(iii)の方法では、反応に1週間を要するため実用的ではない。一方で、(ii)の方法(30℃、5mmHgの減圧下で脱水)は、反応系が液状であることから、工業的な大容量の反応に適する。しかし、(i)、(ii)、および(iii)のいずれの方法も、原料が共役脂肪酸およびω−3系高度不飽和脂肪酸に限定されており、その他の脂肪酸を用いた場合の脂肪酸モノグリセリドの製造方法については、開示されていない。すなわち、特許文献3および4に記載の方法によっては、限られた脂肪酸のみしか適用できない。後述の比較例に記載するように、この方法によってC14:0などの脂肪酸を用いて脂肪酸モノグリセリドの製造を試みたが、脂肪酸のエステル化率が低く、純度の高い脂肪酸モノグリセリドを得ることができない。
【0009】
非特許文献2には、ペニシリウム属に属する微生物から得られたリパーゼを用いて、脂肪酸モノグリセリドの融点以下(すなわち、固形の反応系)、常圧下で反応させることにより、C10:0、C12:0、およびC14:0の脂肪酸、ならびにオレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、およびリノレン酸(C18:3)とグリセリンとから、脂肪酸モノグリセリド(グリセリドに対する脂肪酸モノグリセリドの純度、98%以上)を製造する方法が開示されている。しかし、この方法では、いずれの脂肪酸においても、エステル化率が最大でも87%であること、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸のモノグリセリドは、室温以下の低温で反応させなければならず、反応に多くのエネルギーを必要とするなどの問題がある。
【0010】
さらに、酵素法を用いた脂肪酸モノグリセリドの製造方法においては、いずれも原料である脂肪酸の炭素数は偶数であり、炭素数が奇数の脂肪酸(C9:0、C15:0など)を原料とする酵素法を用いた脂肪酸モノグリセリドの製造方法は、未だ報告されていない。
【特許文献1】特開平10−265795号公報
【特許文献2】特開昭61−181390号公報
【特許文献3】特開2003−113396号公報
【特許文献4】特開2004−168985号公報
【非特許文献1】J. Am. Oil Chem. Soc., 82, 619-623 (2005)
【非特許文献2】J. Am. Oil Chem. Soc., 81, 543-547 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、脂肪酸(特に、C9:0からC18:0の直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の不飽和脂肪酸)を含む部分グリセリド、特に純度の高い脂肪酸モノグリセリドを、効率的に製造し得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、リパーゼを用いた脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応において、反応系中の水分量が重要であることを見出したことに基づき、本発明を完成した。
【0013】
本発明は、リパーゼを用いるエステル化反応によって脂肪酸とグリセロールとから脂肪酸モノグリセリドを製造する方法を提供し、該方法は、該脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降のエステル化反応を、水分含量0.3〜2.5質量%に制御して行う工程を包含する。
【0014】
1つの実施態様では、上記脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降のエステル化反応を、得られる脂肪酸モノグリセリドの融点以下に制御して行う工程をさらに包含する。
【0015】
1つの実施態様では、上記脂肪酸は、C9:0からC18:0の直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸からなる群より選択される少なくとも1種の脂肪酸である。
【0016】
1つの実施態様では、上記リパーゼは、モノグリセリドリパーゼまたはモノおよびジグリセリドリパーゼである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降のエステル化反応を、水分含量0.3〜2.5質量%に制御することによって、穏和な条件で反応可能なリパーゼを用いて、脂肪酸モノグリセリド、特にC9:0からC18:0の直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の脂肪酸モノグリセリドを効率よく、かつ高純度で製造する方法が提供される。
【0018】
従来、反応系中の水分量が重要であることは分かっておらず、それを適切に保つための反応条件も明確に解明されていなかったため、限られた脂肪酸モノグリセリドのみしか得ることができなかった。しかし、反応系中の水分量が重要であるという知見に基づいてなされた本発明の製造方法により、従来技術の問題が解消され、幅広い脂肪酸モノグリセリドを実用的に合成し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(リパーゼ)
本発明の製造方法において触媒として使用されるリパーゼは、グリセリド類を基質として認識するものであれば限定されない。例えば、モノグリセリドリパーゼ、モノおよびジグリセリドリパーゼ、トリグリセリドリパーゼ、クチナーゼ、エステラーゼなどが挙げられる。これらの中でもリパーゼが好ましく、特に、脂肪酸トリグリセリドを基質としてほとんど認識せず、脂肪酸モノグリセリドおよび/または脂肪酸ジグリセリドを基質として認識するリパーゼが好ましい。このようなリパーゼとして、モノグリセリドリパーゼ、モノおよびジグリセリドリパーゼなどが挙げられる。以下、リパーゼについて説明する。
【0020】
リパーゼは、微生物、動物、および植物由来のいずれでもよいが、好ましくはペニシリウム(Penicillium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、バシラス(Bacillus)属、キャンディダ(Candida)属、ゲオトリカム(Geotrichum)属、リゾプス(Rhizopus)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、ムコール(Mucor)属、(アスペルギルス)Aspergillus属、(サーモミセス)Thermomyces属(以前の名称はフミコーラ(Humicola)属)、シュードチマ(Pseudozyma)属などの微生物が生産するリパーゼ、豚膵臓由来のリパーゼなどが挙げられる。より好ましくは、ペニシリウム(Penicillium)属およびバシラス(Bacillus)属が生産するリパーゼである。これらのリパーゼは一般に市販されており、容易に入手可能である。
【0021】
リパーゼは、精製(粗精製および部分精製を含む)されたものを用いてもよい。さらに、遊離型のまま使用してもよく、あるいはイオン交換樹脂、多孔性樹脂、セラミックス、炭酸カルシウムなどの担体に固定して使用してもよい。遊離型のリパーゼを用いる場合は、一旦酵素を水に溶かしてから反応系に添加してもよく、反応系にリパーゼと水とを別々に添加してもよい。固定化されたリパーゼを使用する場合は、反応系への水の添加は任意である。
【0022】
本発明の製造方法に使用されるリパーゼの量は、反応温度、反応時間、圧力(減圧度)、脂肪酸の種類などにより適宜設定され得、好ましくは反応混合液1g当たり1単位(U)〜10000U、より好ましくは5U〜1000Uである。酵素活性の1Uとは、リパーゼの場合、オリーブ油の加水分解において1分間に1μモルの脂肪酸を遊離する酵素量をいう。モノグリセリドリパーゼ、あるいはモノおよびジグリセリドリパーゼの場合はモノオレイン(グリセリンモノオレエイト)の加水分解において1分間に1μモルの脂肪酸を遊離する酵素量である。
【0023】
(グリセリン)
本発明の製造方法に使用されるグリセリンの量は、特に限定されない。通常、遊離脂肪酸1モル量に対して、好ましくは1〜10倍モル量、より好ましくは1.5〜3倍モル量である。
【0024】
(脂肪酸)
本発明の製造方法で使用される脂肪酸は、遊離型、金属塩型、およびエステル型のいずれの形態でもよい。本発明においては、エステル化反応が進行しやすい点で、遊離型の脂肪酸(遊離脂肪酸)が好ましい。本発明の製造方法で使用される脂肪酸は、特に限定されず、炭素数が偶数の脂肪酸でも奇数の脂肪酸でもよい。好ましくはC9:0からC18:0の直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)などが挙げられる。
【0025】
(脂肪酸モノグリセリドの製造方法)
本発明は、リパーゼを用いるエステル化反応によって脂肪酸とグリセロールとから脂肪酸モノグリセリドを製造する方法であって、該脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降のエステル化反応を、水分含量0.3〜2.5質量%に制御して行う工程を包含する。
【0026】
リパーゼを用いた脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応は、脂肪酸のエステル化率によって、反応前期と反応後期とに区分される。本明細書において、脂肪酸のエステル化率とは、原料とする遊離脂肪酸に対するグリセリンと反応した遊離脂肪酸の割合をいう。エステル化率は、反応系中の遊離脂肪酸量(酸価)をアルカリによる滴定で測定し、以下の式で求められる。
【0027】
{(反応前の酸価−反応後の酸価)/(反応前の酸価)}×100
【0028】
本発明においては、脂肪酸のエステル化率が60%に達する前を反応前期、そして達した以降を反応後期とする。脂肪酸のエステル化率は、サンプリングすることによって経時的に測定することができる。
【0029】
まず、反応前期では、酵素の活性が失われない量の水分が反応系中に存在すれば、脂肪酸とグリセリンとから脂肪酸モノグリセリドが優先的に合成される。したがって、反応前期では、水分量はあまり重要ではなく、適宜設定し得る。例えば、反応開始時(原料仕込み時)には、反応系中に、好ましくは脂肪酸とグリセリンとの合計質量に対して0.3〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%の割合で水を添加し、そして反応前期にわたって反応系中の水分量を、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.3〜5質量%に制御すればよい。
【0030】
脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降、すなわち反応後期では、反応系中の水分含量を0.3〜2.5質量%に制御する。水分含量は、カールフィッシャー水分計を用いて経時的に測定すればよい。この反応系中の水分含量は、特に重要である。脂肪酸のエステル化率が60%を超えると、脂肪酸モノグリセリドが基質として認識され脂肪酸ジグリセリドへの変換反応が進行し始めるので、脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降の水分含量を制御する。反応後期においては、反応系中の水分含量が0.3質量%よりも低い場合、エステル化反応はほとんど進行せず、原料である脂肪酸が未反応のまま残り効率が悪くなる。一方、反応系中の水分含量が2.5質量%よりも高い場合、エステル化反応は効率よく進行するものの、同時に脂肪酸モノグリセリドから脂肪酸ジグリセリドへの変換反応も盛んに進むため、脂肪酸ジグリセリドが副産物として反応系内に大量に蓄積し、純度の高い脂肪酸モノグリセリドが得られない。これは、水分量により酵素の基質特異性が変化するためと推定される。すなわち、反応系中の水分含量が0.3質量%よりも少ない場合、リパーゼが脂肪酸およびグリセリンを基質として認識しなくなり、グリセリンと脂肪酸とのエステル化反応が進行し難くなると推定される。一方、反応系中の水分含量が2.5質量%よりも多い場合、リパーゼが脂肪酸および脂肪酸モノグリセリドも基質と認識し、脂肪酸モノグリセリドから脂肪酸ジグリセリドの反応が進行すると推定される。
【0031】
したがって、反応後期の水分含量は、酵素の活性が失われず、かつ脂肪酸モノグリセリドから脂肪酸ジグリセリドへの変換反応が抑制される水分含量である0.3〜2.5質量%に制御する必要がある。さらにこの反応後期では、酵素の活性が失われない水分含量(0.3質量%以上)の範囲内で、水分量が少なくすれば少なくするほど脂肪酸モノグリセリドの純度が向上するので、水分含量を上記範囲内で極力少なく維持することが好ましい。
【0032】
至適な水分含量は、用いる脂肪酸によって多少異なる。例えば、C9:0の脂肪酸は、他の脂肪酸(C10:0〜C18:0、C18:1、C18:2、およびC18:3)に比べて、水分含量を上記範囲内でやや高く(1質量%以上)設定することが好ましい。
【0033】
このように、反応系中の水分含量が0.3〜2.5質量%の範囲内である場合、エステル化反応は効率よく進行し、かつ脂肪酸モノグリセリドから脂肪酸ジグリセリドの変換反応が抑制されて純度の高い脂肪酸モノグリセリドが得られる。
【0034】
上記水分含量に制御するための反応条件(反応温度および圧力)は、反応系中の水分含量を考慮して適宜設定され得る。反応温度は、好ましくは−20〜100℃、より好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは20〜70℃である。反応系中の圧力は、好ましくは0.01〜100mmHg、より好ましくは1〜30mmHgである。
【0035】
上記水分含量を保つために、モレキュラーシーブなどの脱水剤を反応系中に添加してもよい。あるいは、水分含量が0.3質量%より少なくなった場合には、反応途中で反応系中に水を添加して、0.3〜2.5質量%の範囲内となるようにしてもよい(例えば、水分含量が0.2質量%まで低下した場合に、水分含量が1質量%となるように水を添加するなど)。さらに、これらの水分含量制御方法を組み合わせてもよい。
【0036】
エステル化反応は、静置反応でもよいし、各種の撹拌法、振盪法、超音波法、窒素などの吹き込み法、ポンプなどによる循環混合法、弁またはピストンを用いる混合法などにより、あるいはこれらの方法の組合せにより、反応液をよく混合しながら行ってもよい。
【0037】
反応混合液から脂肪酸モノグリセリドを単離・精製する方法としては、任意の単離・精製方法を採用し得る。単離・精製方法としては、例えば、脱酸、水洗、蒸留、溶媒抽出、イオン交換クロマトグラフィー、膜分離など、およびこれらの方法の組合せが挙げられる。
【0038】
この反応系は、反応開始から終了まで液状を保っている系であるため、終始、反応液の混合が容易である。さらに、反応終了時に反応槽からの反応液の抜き出しを容易に行い得るので、工業的にも好ましい。しかし、本発明の製造方法においては、上記脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降のエステル化反応を、得られる脂肪酸モノグリセリドの融点以下に制御して行う工程を包含してもよい。脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降のエステル化反応を、得られる脂肪酸モノグリセリドの融点以下に制御して行うことによって、副産物である脂肪酸ジグリセリドの含量を1質量%以下に抑えることができる。すなわち、反応前期には、反応液の撹拌が容易である液状を保つ温度で、適切な水分量を保ちながら減圧下で反応を行い、反応後期に入った時に、反応により得られた脂肪酸モノグリセリドの融点以下の温度(反応系が固化する温度)まで冷却して反応を行う。このように温度制御を行うと、脂肪酸モノグリセリドから脂肪酸ジグリセリドへの変換反応がほとんど起こらないため、副産物である脂肪酸ジグリセリドの含量が1質量%以下になる。
【0039】
反応後期に反応系を固化させる製造方法においては、反応終了後に反応系の温度を上昇させて溶解させる工程を追加することにより、反応槽からの反応液の抜き出しを容易に行い得るので、工業的にも好ましい。さらに、反応系中の脂肪酸ジグリセリドの含量が1質量%以下であるため、脂肪酸モノグリセリドを容易に単離・精製することができる。一方、反応開始時から脂肪酸モノグリセリドの融点以下の温度(反応系が固化する温度)、減圧下で反応を行った場合、脂肪酸、グリセリン、酵素、および水が十分に混合されず、エステル化反応は、ほとんど進行しない(後述の実施例2を参照)。
【0040】
これに対し、反応後期に反応系を固化させる製造方法では、反応前期の反応系は液状であるため、脂肪酸、グリセリン、酵素、および水が十分に混合されているので、反応系が固化しても、エステル化反応が効率よく進行する。さらに、この方法における脂肪酸のエステル化率は、反応開始時から脂肪酸モノグリセリドの融点以下の温度かつ常圧下で反応を行った場合(例えば、非特許文献2を参照)よりも高くなる。
【0041】
本発明の製造方法によれば、脂肪酸のエステル化率が好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上となり効率よく脂肪酸モノグリセリドを得ることができ、この脂肪酸モノグリセリドの純度は、好ましくは純度90%以上、より好ましくは95%以上であり得る。
【実施例】
【0042】
以下、本発明の脂肪酸モノグリセリド製造方法を実施例に基づいて説明するが、これらはあくまで一例にすぎず、また水分含量を制御するための反応温度、圧力(減圧度)などの条件は、反応容器の形状、大きさ、反応液の容量、混合方法、脂肪酸の種類などによって異なるものであり、本発明は、本実施例に限定されるものではない。
【0043】
(実施例1:酵素法による脂肪酸モノグリセリドの合成に及ぼす圧力(減圧度)の影響)
約30mLのバイアル瓶(内径2.8cmおよび高さ5cm)に、グリセリンと遊離脂肪酸(C18:1)との混合液(遊離脂肪酸/グリセリン=1/2(モル比))10g、0.1gの水、および反応系1gに対して200Uのペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camembertii)由来モノおよびジグリセリドリパーゼ(リパーゼG;天野エンザイム株式会社製)を添加した。次いで、反応温度を30℃に保ちながらマグネチックスターラーで撹拌し、表1に記載の圧力条件下(2mmHg、5mmHg、15mmHg、および760mmHg)で、それぞれ48時間反応を行った。反応開始から7時間後および48時間後(反応終了後)の脂肪酸のエステル化率および水分量(カールフィッシャー水分計(株式会社ダイアインスツルメンツ製)で測定)、ならびに反応液中の組成を測定した。反応液中の組成の測定は、イアトロスキャンMK−6(株式会社三菱化学ヤトロン製)を用いるTLC−FID法で行った。TLCの展開溶媒として、トルエン/クロロホルム/酢酸=50/20/0.7(容量比)の混合溶媒を使用した。結果を表1に示す。
【0044】
これとは別に、C10:0の脂肪酸(反応温度40℃;圧力1mmHg、5mmHg、15mmHg、および760mmHg)およびC15:0の脂肪酸(反応温度50℃;圧力4mmHg、10mmHg、20mmHg、および50mmHg)を用いて、上記C18:1の脂肪酸を用いた場合と同様の反応を行った。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
表1に示すように、C18:1の脂肪酸は、脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降(反応開始から7時間より以降)の水分含量を、0.31〜2.2質量%に制御(反応温度が30℃で圧力が2〜5mmHg)した場合(実験A1およびA2)、C10:0の脂肪酸は、0.31〜1.8質量%に制御(反応温度が40℃で圧力が5mmHg)した場合(実験B2)、そしてC15:0の脂肪酸は、0.92〜1.6質量%に制御(反応温度が50℃で圧力が10mmHg)した場合(実験C2)、エステル化率が高く、かつ脂肪酸モノグリセリドの含量も高いことがわかる。いずれの脂肪酸の場合も、脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降の水分含量を、0.3〜2.5質量%に制御することにより、エステル化率が高く、脂肪酸モノグリセリドが高収率で得られることがわかる(表1に評価を○で示す)。
【0047】
しかし、エステル化率が60%に達した以降(表1では、反応開始から7時間より以降)も、水分含量が2.5質量%を越える場合(実験A3、A4、B3、B4、およびC3)、脂肪酸ジグリセリドの生成量が増加して脂肪酸モノグリセリド生成効率が低下する傾向にある。なお、実験C4については、反応開始から7時間目のエステル化率は57%であり、水分含量は3.2質量%であった。さらに、反応を進めて、エステル化率が60%に達した時点の水分含量を測定すると3.0質量%であったため、脂肪酸ジグリセリドの生成量が増加した。したがって、脂肪酸モノグリセリド生成効率と反応液中の水分量との関連性が示唆された。実験B1およびC1においては、反応開始時から水分含量が少なく、酵素が脂肪酸およびグリセリンを基質として認識しなくなり、エステル化反応は、ほとんど進行しなかったと考えられる。
【0048】
(実施例2:酵素法による脂肪酸モノグリセリドの合成に及ぼす温度の影響)
約30mLのバイアル瓶に、グリセリンと遊離脂肪酸(C10:0)との混合液(遊離脂肪酸/グリセリン=1/2(モル比))10g、0.1gの水、および反応系1gに対して200UのリパーゼGを添加した。次いで、反応温度を表2に記載の温度(30℃、40℃、および50℃)に保ちながらマグネチックスターラーで撹拌し、1〜3mmHgの圧力条件下で、それぞれ48時間反応を行った。反応開始から7時間後および48時間後(反応終了後)の脂肪酸のエステル化率および水分量、ならびに反応液中の組成を測定した。結果を表2に示す。
【0049】
これとは別に、C18:1の脂肪酸(圧力1〜3mmHg;反応温度20℃、30℃、40℃、および50℃)、C14:0の脂肪酸(圧力7〜12mmHg;反応温度30℃、40℃、50℃、および60℃)、および亜麻仁油脂肪酸(圧力1〜3mmHg;反応温度10℃、20℃、30℃、40℃、および50℃)を用いて、上記C10:0の脂肪酸を用いた場合と同様の反応を行った。結果を表2に示す。なお、亜麻仁油脂肪酸(亜麻仁油由来脂肪酸)とは、亜麻仁油をケン化分解して得られる遊離脂肪酸である。亜麻仁油脂肪酸は、C16:0を4.9質量%、C18:0を3.3質量%、C18:1を17.0質量%、C18:2を16.2質量%、C18:3を57.4質量%、およびその他の脂肪酸を1.2質量%の割合で含む。
【0050】
【表2】

【0051】
表2に示すように、C10:0の脂肪酸は、脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降(反応開始から7時間より以降)の水分含量を、0.31〜1.0質量%に制御(反応温度が30℃で圧力が1〜3mmHg)した場合(実験D2)、C18:1の脂肪酸は、0.32〜2.3質量%に制御(反応温度が20〜30℃で圧力が1〜3mmHg)した場合(実験E1およびE2)、C14:0の脂肪酸は、1.4〜2.5質量%に制御(反応温度が50℃で圧力が7〜12mmHg)した場合(実験F3)、亜麻仁油脂肪酸は、0.31〜2.0質量%に制御(反応温度が10〜30℃で圧力が1〜3mmHg)した場合(実験G1〜G3)、エステル化率が高く、かつ脂肪酸モノグリセリドの含量も高いことがわかる。いずれの脂肪酸の場合も、脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降の水分含量を、0.3〜2.5質量%に制御することにより、エステル化率が高く、脂肪酸モノグリセリドが高収率で得られることがわかる(表2に評価を○で示す)。
【0052】
しかし、脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降(反応開始から7時間より以降)の水分含量が0.3質量%未満の場合(実験D3、D4、E3、E4、F4、G4、およびG5)、エステル化率が低下し、脂肪酸モノグリセリドの収率も低いことがわかる。すなわち、用いる脂肪酸によって多少異なるが、反応温度を高温にすると、水分が減少しやすいためにエステル化率が低下する。一方、飽和脂肪酸(C10:0およびC14:0)を用いた実験D1、F1、およびF2のように、反応温度を低温にすると、反応開始時から反応液が固化して撹拌効率が低下し、反応が進まなかった。
【0053】
実施例1および2より、約30mLのバイアル瓶を用いたリパーゼGによる効率的な脂肪酸モノグリセリドの合成反応は、反応後期(脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降)の水分含量に依存していることが分かった。その関係を図1に示す。図1の白部領域の反応条件(反応温度および圧力)の場合、効率よくかつ高収率で脂肪酸モノグリセリドが得られる。脱水条件が厳しい斜線域(白部領域よりも右下部)では、水分含量が低すぎることにより反応率の低下を招く。一方、脱水条件が緩やかな点領域(白部領域よりも左上部)では、水分含量が高すぎることにより脂肪酸モノグリセリドから脂肪酸ジグリセリドへの変換反応が起こる。なお、反応開始時から固化する場合は、撹拌されにくいために反応率が低下する。
【0054】
この白部領域の反応条件下の場合、反応容器、撹拌、反応液量、脂肪酸の種類などによって、多少の誤差はあるが、ほぼ反応系中の水分含量が0.3〜2.5質量%に制御され得る。反応後期(エステル化率が約60%に達した以降(実施例1および2の場合は、反応開始から7時間より以降))における水分量が0.3質量%よりも小さくなると酵素はその活性を失うため、反応後期の水分量を0.3質量%以上に保っておく必要がある。反応後期(エステル化率が約60%に達した以降(実施例1および2の場合は、反応開始から7時間より以降))の水分量を2.5質量%以下、さらに反応終了時(エステル化率が約95%に達した時、実施例1および2の場合は、反応開始から48時間後)の水分量を1.5質量%以下に制御することによって、脂肪酸ジグリセリド含量を10質量%以下にすることができる。さらに、この反応後期の水分含量が0.3質量%に近ければ近いほど、脂肪酸ジグリセリド含量がより少なくなる。
【0055】
(実施例3:各種脂肪酸モノグリセリドの合成)
約30mLのバイアル瓶に、グリセリンと遊離脂肪酸(C9:0)との混合液(遊離脂肪酸/グリセリン=1/2(モル比))10g、0.1gの水、および反応系1gに対して200UのリパーゼGを添加した。次いで、反応温度を30〜63℃の範囲および圧力を2〜23mmHgの範囲で種々変更し、マグネチックスターラーで撹拌して48時間反応を行った(実験H)。
【0056】
C10:0からC17:0の直鎖飽和脂肪酸、C18:1、C18:2、およびC18:3の脂肪酸についても、上記C9:0を用いた場合と同様の反応を行った(実験I〜S)。各種脂肪酸のモノグリセリドの合成に適した反応温度および圧力、その反応温度および圧力における反応開始から7時間後および48時間後(反応終了後)の脂肪酸のエステル化率および水分量、および反応液中の組成を表3に示す。
【0057】
【表3】

【0058】
いずれの脂肪酸の場合も(実験H〜S)、反応後期の水分量を0.3〜2.5質量%とすることによって、高収率で脂肪酸モノグリセリドが得られた。また、脂肪酸の種類によって、適した水分含量が多少異なり、例えばC9:0の脂肪酸は、他の脂肪酸よりも水分含量がやや多い傾向にあることがわかる。
【0059】
なお、これらの反応では反応液は固化せずに液状であるため、実用的な製造方法である。
【0060】
(実施例4:反応途中で固化させる方法によるC10:0脂肪酸モノグリセリドの合成)
約30mLのバイアル瓶に、グリセリンとC10:0の脂肪酸との混合液(C10:0の脂肪酸/グリセリン=1/2(モル比))10g、0.1gの水、および反応系1gに対して200UのリパーゼGを添加した。次いで、反応温度を30℃に保ちながらマグネチックスターラーで撹拌し、2mmHgの減圧条件下で反応を行った。次いで、脂肪酸のエステル化率が60%に達した7時間後に反応温度を20℃に下げ、水分含量を0.3〜2.5質量%に制御した。反応液が固化した時点で撹拌を停止し、さらに減圧下で反応を継続した。反応開始時から48時間後のエステル化率は98%であり、脂肪酸モノグリセリド含量は98質量%、脂肪酸ジグリセリド含量はTLC−FID法では検出限界以下(1質量%以下)、そして水分量は2.5質量%であった。このように、水分含量を0.3〜2.5質量%に制御し、かつ反応後期の反応温度を下げて反応溶液を固化させることによって、副産物である脂肪酸ジグリセリド含量を1質量%以下に減らすことができる。
【0061】
C10:0の脂肪酸を用いて、反応温度を下げずに反応を行った場合、反応後期の水分含量を0.37〜1.5質量%に制御すると、脂肪酸モノグリセリドが効率よく得られる(表3の実験Iを参照)。このように、副産物である脂肪酸ジグリセリド含量をできるだけ少なくするには、水分含量が0.3質量%未満にならない範囲で、できる限り水分含量を低く保たなければならず、水分含量の抑制を厳密に行う必要がある。しかし、反応後期の反応温度を下げた場合、水分含量の制御を厳密に行わなくても、0.3〜2.5質量%の範囲内であれば、副産物である脂肪酸ジグリセリド含量を1質量%以下に抑えることができ、より効率よく脂肪酸モノエステルが得られることがわかる。したがって、反応後期の反応温度を、得られる脂肪酸モノエステルの融点以下、すなわち、反応溶液が固化する温度まで下げて反応を行うと、水分含量が0.3〜2.5質量%の範囲内であれば、脂肪酸の種類によって厳密に制御しなくてもよいことがわかる。
【0062】
(比較例1:従来技術の酵素法(特許文献3)による脂肪酸モノグリセリドの合成)
約30mLのバイアル瓶に、グリセリンと遊離脂肪酸(C12:0)との混合液(遊離脂肪酸/グリセリン=1/2(モル比))10g、0.2gの水、および反応系1gに対して200UのリパーゼGを添加した。次いで、マグネチックスターラーで撹拌し、4mmHgの減圧条件下で、水分含量を考慮することなく48時間反応を行った。この時、反応系をよく撹拌するために、反応温度を遊離脂肪酸が溶解する温度(45℃)に設定した。反応後の脂肪酸のエステル化率および反応液中の組成を測定した。結果を表4に示す。
【0063】
これとは別に、C14:0の脂肪酸(反応温度30℃および50℃;圧力5mmHg)およびC15:0の脂肪酸(反応温度50℃;圧力4mmHg)を用いて、上記C12:0の脂肪酸を用いた場合と同様の反応を行った。結果を表4に示す。
【0064】
【表4】

【0065】
C12:0、C14:0、およびC15:0の脂肪酸は融点が高いため、反応系中で脂肪酸が溶解する温度で反応させたが、従来技術の酵素法と同じ方法では、エステル化は、ほとんど進行しなかった(エステル化率、<26%)。さらに、C14:0の脂肪酸の反応温度を30℃に下げてもエステル化は、ほとんど進行しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、C9:0からC18:0の直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の脂肪酸モノグリセリドを効率よく、かつ高純度で製造する方法が提供される。したがって、本発明の製造方法によって得られた脂肪酸モノグリセリドは、乳化剤などの食品添加物として有用であり、さらに、中鎖脂肪酸のモノグリセリドは、抗菌活性を有することから、抗菌剤などとしても期待され得る。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】リパーゼGによる脂肪酸モノグリセリドの合成における圧力と温度との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リパーゼを用いるエステル化反応によって脂肪酸とグリセロールとから脂肪酸モノグリセリドを製造する方法であって、
該脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降のエステル化反応を、水分含量0.3〜2.5質量%に制御して行う工程を包含する、脂肪酸モノグリセリドの製造方法。
【請求項2】
前記脂肪酸のエステル化率が60%に達した以降のエステル化反応を、得られる脂肪酸モノグリセリドの融点以下に制御して行う工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脂肪酸が、C9:0からC18:0の直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸からなる群より選択される少なくとも1種の脂肪酸である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記リパーゼが、モノグリセリドリパーゼまたはモノおよびジグリセリドリパーゼである、請求項1から3のいずれかの項に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−220236(P2008−220236A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61683(P2007−61683)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000208086)大洋香料株式会社 (34)
【出願人】(591030499)大阪市 (64)
【Fターム(参考)】