説明

串処理具

【課題】串刺し食品を食した後に発生する使用済みの串を目視不能の状態で体裁良く簡易に収容状態に廃棄できると共に、串スタンド機能も有する串処理具を提供する。
【解決手段】使用済みの串3の全体を、一方向に略揃えられた状態で順次収容させ得る収容空間5が内部に設けられた収容器6を具える。収容器6の上部分9を斜めに貫通する状態で串挿入孔12が設けられている。串挿入孔12に串を斜めに挿入することにより、串3を収容空間5に落下させて収容状態とする。収容器6の上部分9に、串刺し食品の端部分を挿入させる支持孔20を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、串刺し食品を食した後に発生する使用済みの串を目視不能の状態で体裁よくしかも簡易に収容状態に廃棄し得る串処理具に関するものである。又、串刺し食品をその串を立てた状態で支持できる串スタンド機能をも有する串処理具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
干物や野菜、魚肉、畜肉等の食品に串を刺してなる串刺し食品にあっては、この食品を適宜加熱調理して食した後に使用済みの串が廃棄物として発生する。
【0003】
食事中に発生する使用済みの串は、テーブルに設置したコップに立てて収容したり、皿に並べたりすることがよく見掛けられるが、使用済みの串が丸見えの状態でテーブルにあることは食事の雰囲気を損なう問題があった。
【0004】
このような問題点を多少なりとも改善せんとして、上端が開放したステンレス製等の筒体を用い、この筒体に串を立てた状態で収容するように構成された焼き串収納スタンドが実開平6−58844号公報で提案されている。又、竹串の先端側を突き刺すための蜂の巣状の本体の上部にロート形の覆いを取り付け、該ロート形の覆いの表面に装飾を施してなる竹串処理器が特開2002−19902号公報で提案されている。しかしながら、かかる従来の使用済みの串の処理具は、串の全体を目視不能の状態で収容させるものではなく使用済みの串がいつも目につく収容状態となる不具合があったため、食事の雰囲気を損なうことに変わりがなかった。
【0005】
又、ドーム状のスタンドの上面に設けられた多数個の支持孔に、串刺し食品をその串の端部分を挿入することによって、該串刺し食品を立てた状態で支持できるようにした串用スタンドが実開平4−86469号公報で開示されている。かかる串用スタンドによるときは、多くの串刺し食品を立てた状態にして提供できる利点はあったが、料理を食した後に発生する使用済みの串を目視不能の状態で体裁良くしかも簡易に収容廃棄するための串処理手段は何ら具えていなかった。
【0006】
【特許文献1】実開平6−58844号公報
【特許文献2】特開2002−19902号公報
【特許文献3】実開平4−86469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、串刺し食品を食した後に発生する使用済みの串を目視不能の状態で体裁よくしかも簡易に収容状態に廃棄できて食事の雰囲気を向上させ得ると共に、使用済みの串を一方向に略揃えられた状態で順次収容できて串の始末も容易である串処理具の提供を課題とするものである。
【0008】
又、このように串を収容状態に廃棄できることに加えて、串刺し食品をその串を立てた状態で支持できる串スタンドとしても機能し得る串処理具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
【0010】
即ち本発明に係る串処理具は、使用済みの串の全体を、一方向に略揃えられた状態で順次収容させ得る収容空間が内部に設けられてなる収容器を具え、該収容器の上部分に、該串を該収容空間に斜めに挿入させることができ該串を該収容空間に落下させて収容状態となすための串挿入孔が、該上部分を斜めに貫通して設けられており、該串挿入孔は、前記収容器の上面側に、下方に傾斜して串を案内する上の傾斜串案内溝が設けられると共に、該収納器の下面側には、該上の傾斜串案内溝と直線状に連なる如く、下方に傾斜して串を案内する下の傾斜串案内溝が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る串処理具のより好ましい態様は、使用済みの串の全体を、一方向に略揃えられた状態で順次収容させ得る収容空間が内部に設けられてなる収容器と、該収容器内に分離可能に収容され且つ該使用済みの串を受ける串受け皿とを具える串処理具である。該収容器は、上部分の両側に側壁部分が設けられて下端が開放されてなり、該収容器の該上部分に、前記串を該収容空間に斜めに挿入させることができ該串を該収容空間に落下させて収容状態となすための串挿入孔が、該上部分を斜めに貫通して設けられており、該串挿入孔は、前記収容器の上面側に、下方に傾斜して串を案内する傾斜串案内溝が設けられると共に、該収納器の下面側には、該上の傾斜串案内溝と直線状に連なる如く、下方に傾斜して串を案内する下の傾斜串案内溝が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
下端が開放されてなる収容器を具える前記串処理具において、前記収容器は、横断面が上に凸の半円形状を呈して下端が開放しており、該下端の開放幅は、該収容器の内径よりも小さく設定され、又、前記串受け皿の横幅は該開放幅よりも大きく形成されたものとし、該収容器を持ち上げたときに該串受け皿の両縁部分が該収容器の内周面の両側部分で下方から支持される如くなし、該収容器を設置面に載置したときに該串受け皿の該両縁部分が該収容器の内周面の両側部分から浮き上がるように構成するのがよい。
【0013】
このように構成する場合、前記串受け皿の両縁部分が前記収容器の内周面の両側部分で下方から支持された状態で該串受け皿が該収容器の周方向に回転するのを防止する回り止め係合部を、該内周面の下部に設けるのがよい。
【0014】
下端が開放されてなる収容器を具える前記串処理具において、前記串受け皿の両縁部分が該収容器の内周面の両側部分で下方から支持された状態で、該串受け皿の下端部分が前記収容器の下端から下方に突出し、該収容器を設置面に載置したときに該串受け皿の該両縁部分が該収容器の内周面の両側部分から浮き上がるように構成するのがよい。
【0015】
前記した各串処理具において、前記収容器を竹材を用いて構成する場合は、前記串挿入孔は、前記収容器の上部分に上下方向に貫通する如く設けられた貫通孔に、前記収容器の上面側で上の傾斜串案内溝が連設されると共に、該収容器の下面側で、該貫通孔に前記下の傾斜串案内溝が連設されたものとして構成するのがよい。
【0016】
前記した各串処理具において、前記収容器の上部分に、串刺し食品の串の端部分を挿入させて該串刺し食品を立てた状態で支持するための支持孔を設けるのがよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る串処理具によるときは、串刺し食品を食した後に発生する使用済みの串を、収容器の内部に設けられている収容空間に目視不能の状態で体裁良くしかも簡易に収容状態に廃棄でき、食事の雰囲気を向上させることができる。
【0018】
そして、収容器の上部分に設けられている串挿入孔は該上部分を斜めに貫通して設けられており、直線状に連なる上下の傾斜串案内溝を有するため、挿入する串を、該上下の傾斜串案内溝に案内された状態で収容器の軸線方向に斜め下方に方向付けされて安定状態で挿入させることができる。かかることから、収容空間に順次収容された串を一方向に略揃えられた状態となし得る。使用済みの串が、このように一方向に略揃えられた状態で収容されることから、その後における串の始末が容易となる。
【0019】
そして該串を、上下の傾斜串案内溝に案内させて挿入させ得ることから、串を、より水平に近い傾斜状態にして挿入させることができる。かかることから、収容空間の深さがそれほど深いものでなくても串を無理なく収容空間に挿入させることができ、収容器をよりコンパクトに構成できることとなる。
【0020】
又、収容器の上部分に、串の端部分を挿入させる支持孔を設ける場合は、串処理具に、串刺し食品を見栄えよく盛り付けるための串スタンド機能を付与することができ、串処理具の利便性を向上させることができる。
【0021】
(2) 本発明に係る串処理具を、収容器と、該収容器に分離可能に収容され且つ使用済みの串を受ける串受け皿とを具える如く構成する場合は、収容空間に収容された串を、一方向に略揃った状態で該串受け皿の受面にまとめた状態となし得、その後における串の廃棄を容易化し得る。
【0022】
(3) 特に収容器を、横断面が上に凸の半円形状を呈し且つ下端が開放しており、該下端の開放幅を、該収容器の内径よりも小さく設定し、又、串受け皿の横幅を該開放幅よりも大きく設定するときは、該収容器を持ち上げたときに該串受け皿の両側縁部分が該収容器の内周面の両側部分で下方から支持された状態となし得る。そのため、図21に示すようなガイド溝70を特別に設けることなく簡易な係合支持によって収容器と串受け皿とを一体化でき、この状態で両者を同時に持ち上げて運搬できる利点がある。
【0023】
特に、該串受け皿の両側縁部分が該収容器の内周面の両側部分で下方から支持された状態で、該串受け皿の下端部分が該収容器の下端から下方に突出する如く構成するときは、収容器と串受け皿が個別に設置面に設置されることになる。かかることから、該串受け皿の上側に形成される収容空間の深さ(上下長さ)を極力大きく設定できる利点がある。
【0024】
例えば図19に示すように、収容器6を持ち上げたときに串受け皿7の両側縁部分33,33が該収容器6の内周面35の両側で下方から支持された状態とはなっても、その際に該串受け皿7の下端69が収容器6の下端11の上側に位置するように構成した場合は、該串受け皿の上側に形成される収容空間の深さ(上下長さ)が、該串受け皿が設置面に設置する場合に比し小さくなってしまう。このようになると、収容する串の長さが長い場合は、串を稍撓んだ状態で挿入させなければならない等、円滑に挿入させ難い場合が生ずるが、前記のように構成するときは、このような問題点を招来しにくい利点がある。
【0025】
又このように、収容器を持ち上げたときに、受け皿の両側縁部分が該収容器の内周面の両側部分で下方から支持される如く構成するときは、該串受け皿が収容器の軸線回りに回転する恐れがあるが、該収容器の内周面の下部に回り止め係合部を設けるときは、このような回転を確実に防止できて収容器と串受け皿の運搬をより安全に行い得ることとなる。
【0026】
(4) 前記収容器を竹材を用いて構成する場合、前記串挿入孔を形成するに際して、先ず、前記収容器の上部分に上下方向に貫通する如く貫通孔を設け、該貫通孔に、前記収容器の上面側で上の傾斜串案内溝が連設されたものとすると共に、該収容器の下面側で、該貫通孔に前記下の傾斜串案内溝が連設されたものとして構成するときは、前記上部分を斜めに貫通する串挿入孔を、ドリルに滑りを発生させることなく容易且つ精度よく形成できる。
又、収容器を竹材を用いて構成するため、間伐竹等の竹の廃材を材料にして収容器を形成することができるため、竹林の保全にも寄与することとなる。
【実施例1】
【0027】
図1〜4は、本発明に係る串処理具1を示すもので、串スタンドとしての機能も有している。該串処理具1は、干物や野菜、魚肉、畜肉等の食品に串を刺してなる串刺し食品2を適宜加熱調理して食した後に発生する使用済みの串3を目視不能に収容可能とするものであり、該串3の全体を、一方向に揃えられた状態で順次収容させ得る収容空間5が内部に設けられてなる収容器6と、該収容器6内に分離可能に収容され且つ該串3を受ける串受け皿7とを具えている。
【0028】
該収容器6は本実施例においては図1に示すように、上部分9の両側に側壁部分10,10が設けられて下端11が開放されてなり、該収容器6の該上部分9の左右両側に位置させて、前記串3を該収容空間5に斜めに挿入させることができ該串3を該収容空間5に落下させて収容状態となすための串挿入孔12が、該上部分9を斜めに貫通して設けられている。そして該串挿入孔12は、前記収容器6の上面側13に、下方に傾斜して串を案内する上の傾斜串案内溝15が設けられると共に、該収容器6の下面側16には、該上の傾斜串案内溝15と直線状に連なる如く、下方に傾斜して串を案内する下の傾斜串案内溝17が設けられている。そして該収容器6の上部分9の上面側13に、串刺し食品2の串3の端部分(摘み部となる端部分)19を挿入させて該串刺し食品2を立てた状態に支持する支持孔20が多数設けられてなり、串スタンドを兼用するようになされている。
【0029】
かかる構成を有する収容器6は、例えば、竹材を節間で所定長さに切断してなる、軸線方向に比較的長い円筒体21を用いて形成できる。図5は、該円筒体21の一例を示すものである。該円筒体21を、図5に一点鎖線で示すように、その直径の2/3程度の部位22で円筒体軸線方向にカットすることによって、図2に示すような、横断面が上に凸の半円形状を呈し且つ下端11が開放された馬蹄形の半割り筒状をなす収容器6を形成できる。前記円筒体21の内径は例えば80mm程度とされ、その長さは、前記串挿入孔12を通して挿入された串3が落下して収容された状態で該串3の全体を収容できる長さに設定される。例えば200mm程度に設定される。又、前記下端11の開放幅L1(図4(C))は、前記円筒体21の内径よりも小さい。
【0030】
かかる構成を有する収容器6は、図4(A)、図1に示すように、両下端面23,23をテーブル面等の設置面25に当接させて該設置面25に載置された状態で、該収容器6の内部に、串3を収容させるための深い(上下長さの大きい)前記収容空間5が形成されることとなる。
【0031】
そして、該収容器6の上部分9の左右両側に位置させて、図1(B)に示すように、前記串3を該収容空間5に斜めに挿入させることができ該串3を該収容空間5に落下させて収容状態となすための串挿入孔12が、該上部分9を斜めに貫通して設けられている。
【0032】
該串挿入孔12を形成するに際しては、本実施例においては先ず図1(C)に示すように、ドリルを用いて上下方向に、例えば円形状乃至楕円形状の貫通孔26を設ける。図1(C)においては円形状の貫通孔を設けている。その後、該貫通孔26に挿通状態にあるドリルを斜めにして、該貫通孔26の、該収容器6の長さ方向の両端27,29側で、図1(B)に示すように、収容器6の上面側13に連なるように、内方に向け下方に傾斜し且つ横断面が円弧状を呈する前記上の傾斜串案内溝15を設けると共に、収容器6の下面側16に連なるように、内方に向け下方に傾斜し且つ横断面が円弧状を呈する前記下の傾斜串案内溝17を該上の傾斜串案内溝15と直線状に連なる如く設ける。このようにして串挿入孔を設けるときは、該収容器6が竹材で形成されてその上面側13が滑りやすいものではあるが、ドリルの先端が該上面側13を滑る恐れなく、前記上部分9を斜めに貫通する串挿入孔12を容易且つ精度よく形成できることとなる。なお、該串挿入孔12の径は、串に食べ滓が多少残っていてもこれを挿入させ得る大きさに設定するのがよい。前記貫通孔26の直径は例えば8mm程度とする。
【0033】
本実施例において該串処理具1は、前記のように串スタンド機能を有するように構成されているが、そのために図1(A)、図3(B)に示すように、前記上部分9の上端30の、前記左右両側の串挿入孔12,12間の部分と、該上端30の、収容器6の周方向で見た両側において、串刺し食品2の串3の端部分(摘み部となる端部分)19を挿入させて該串刺し食品2を立てた状態に支持する支持孔20が、該収容器6の長さ方向に所要間隔を置いて(例えば30mm程度の間隔を置いて)並設されている。この間隔は、立てた状態の串刺し食品2,2相互が接触しないように、例えば30mmに設定される。
【0034】
図3は、甘エビやカレイ、ハタハタ等の干物の串刺し食品2を、その串3の端部分(摘み部となる端部分)19を前記支持孔20に挿入して立てた状態を示すものである。
【0035】
一方前記串受け皿7は図1(A)、図3に示すように、前記円筒体21を用いて形成できる。図1、図4はその一例を示すものであり、該円筒体21を前記のようにカットして形成された残余部分を以て形成されており、その長さは前記収容器6の長さに等しく、その横断面は、下に凸の円弧状を呈しており、その上面は、円弧状に凹んだ受面31とされている。そして、該串受け皿7の両側面は、外方に向け下方に傾斜する傾斜面32,32とされている。
【0036】
又図4(B)に示すように、該串受け皿7の横幅L2は前記開放幅L1よりも大きく形成されているため、前記収容器6を持ち上げたときには、図4(C)に示すように、該串受け皿7の両側縁部分(本実施例においては、前記傾斜面32,32の下縁34,34)33,33が該収容器6の内周面35の両側部分36,36で下方から支持される。本実施例においては、図4(C)に示すように、該串受け皿7の下端部分38が前記収容器6の前記下端11から下方に突出する如くなされ、該収容器6を前記設置面25に載置したときには、図4(A)に示すように、該串受け皿7の該両縁部分33,33が、該収容器6の内周面35の両側部分36,36から浮き上がる。
【0037】
前記のようにして串刺し食品2を立てた状態に支持してなる串処理具1を用いて料理を提供するに際しては、例えば、前記串受け皿7を前記収容器6内に収容して該収容器6の上端両側部分37,37(図3)を手で持ってテーブル等に運ぶことにより、串刺し食品2が支持された収容器6と串受け皿7とを一体化状態で同時に運搬できる。そして、該収容器6をテーブル面等の設置面25に載せると、図4(A)に示すように、該串受け皿7の両縁部分33,33が収容器6の内周面35の両側部分36,36から浮き上がることになり、該収容器6と串受け皿7とが該設置面25に同時に載置されることになる。そしてこの状態で、該串受け皿7の前記受面31は前記左右両側の串挿入孔12,12の下側に存し、該受面31の上側に、深さの大なる前記収容空間5が形成されることとなる。
【0038】
この状態で、好みの串刺し食品2をその串3を持ち上げて前記支持孔20から取り外し、甘エビ等を食するのであるが、このように食した後に発生した使用済みの串3は、図6(A)〜図6(D)に示すように前記串処理具1に収容状態に廃棄する。そのために、先ず図6(A)に示すように、該串3の先側部分39を前記串挿入孔12に挿入する。この状態で該串3は、その下端側の部分40が前記下の傾斜串案内溝17の溝底41に接すると共に、それより上側の部分42が前記上の傾斜串案内溝15の溝底43に接した状態となる。前記のように、上下の傾斜串案内溝15,17が直線状に連なる如く形成されていることから、串3を、該串挿入孔12に、より水平に近い傾斜状態で挿入させることができる。この挿入は、該串3が、上下の傾斜串案内溝15,17に案内されて、収容器6の軸線方向に斜め下方に方向付けされて安定的に行われる。
【0039】
該串3を更に押し込むと、図6(B)に示すように、該串3が、前記上の傾斜串案内溝15の溝底43に案内されつつ前記収容空間5に、前記収容器6の内方に向け軸線方向に進入して行く。その後、該串3の下端45が前記串受け皿7の受面31に載った状態となる。
【0040】
該串3を、図6(B)に矢印で示すように更に押し込むと、該串の下端45が該受面31をその長さ方向に先側に移動し、串の上部分46が上の傾斜串案内溝15に納まった状態となる。その後、該串の上端47を指先で押し込むと該串の下端45が受面31を更に先側に移動し、図6(C)に示すように、該串3の上端47が上の傾斜串案内溝15の下端縁49近傍に支持された状態となる。この状態で該上端47を押し込むと、該串3は、該上端47が該上の傾斜串案内溝15の下端縁49を外れて、図6(D)に示すように、受面31上に落下する。串3が落下したことは、そのときの落下音で確認できることから、この落下操作に一種の面白さがあり遊び心を満足させることにもなる。このように落下した串3は、図6(D)に示すように、串受け皿7の長さ方向に延長した状態で該串3の全体が該受面31で受けられた状態となる。これにより串3は、収容器6の収容空間5内に目視不能な状態で収容されることになる。
【0041】
図7(A)は、別の串3を串挿入孔12に押し込んでその下端45を前記受面31に載せた状態を示すものであり、該串3を更に押し込むことにより、前記と同様にして該受面31上に落下させることができる。図7(B)はその落下状態を示すものであり、収容された串3の長さ方向は受面31の長さ方向に略揃えられている。このようにして次々と串3を串挿入孔12に挿入して落下させることにより、全ての串を、一方向に略揃った状態で該受面31に載せることができ、これらの串の全体を目視不能に収容空間5に収容状態に廃棄できることになる。このように目視不能に収容状態に廃棄させ得ることから、食事の雰囲気を向上させることができる。
【0042】
食事が終わった後の後片付けに際しては、例えば図4(C)に示すように収容器6を持ち上げると、串受け皿7の両縁部分33,33が前記収容器6の内周面35の両側部分36,36で下方から支持された状態となり、該収容器6と串受け皿7とを自ずから一体化させ得るため、後片付けを能率的に行うことができる。そして串受け皿7には、例えば図8に示すように、多数本の串3が一方向に略揃った状態にあるため串の始末も容易である。
【0043】
本実施例においては前記のように、前記収容器6を持ち上げたときに前記串受け皿7の両縁部分33,33が該収容器6の内周面35の両側部分36,36で下方から支持され、この係合支持状態で、該串受け皿7の下端部分38が前記収容器6の下端11から下方に突出する如くなされているため、該収容器6を持ち上げた状態においては、図4(C)に示すように、両者を一体化状態になし得る。一方、収容器6を設置面25に載置した状態においては図4(A)に示すように、該串受け皿7の両縁部分33,33が該収容器6の内周面35の両側部分36,36から浮き上がった状態になり、該串受け皿7の受面31の上側に深い(上下長さの大きい)収容空間5を形成できることになる。
【0044】
かかる構成の串処理具1によるときは、収容器6を持ち上げたときに串受け皿7も持ち上げられ両者を同時に運搬できる利点があるが、運搬時の揺動によって該串受け皿7が該収容器6の内周面35の周方向に回転し該串受け皿7が該収容器6から外れてしまう恐れがある。そこで本実施例においては、これを回り止め係合部50を用いて防止している。
【0045】
該回り止め係合部50は、本実施例においては、図1〜2、図4に示すような回り止め係合部材51を用いて構成されている。該回り止め係合部材51は、前記収容器6の両側壁部分10,10の下端寄りの例えば両端側に設けられた孔部52,52に挿入されて前記収容空間5に若干突出状態となる軸体53の外端に、該孔部52からの取り外しを容易とする摘まみ片55が設けられている。図4(A)、図4(B)においては、該摘まみ片55を前記収容器6の両側壁部分10,10の外面56,56に当接させた状態で該軸体53の先端部分57が前記収容空間5の前記内周面35の下部54に若干突出した状態を示しており、該突出した先端部分57が前記回り止め係合部50を構成している。
【0046】
然して、運搬時の揺動等によって前記串受け皿7が前記収容器6の内周面35の周方向に回転したときは、図9(A)に示すように、該軸体53が形成する回り止め係合部50が該串受け皿7の側縁部分58の下面59を下方から支持して該串受け皿7が一定以上に回転するのが阻止され、該串受け皿7が該収容器6から外れて落下する事態が回避されることとなる。
【0047】
なお該串受け皿7を前記収容器6から取り外すに際しては、例えば、図1に示すように、該収容器6と該串受け皿7とが設置面25に同時に載置された状態として後、該収容器6をその軸線方向(矢印F方向)に移動させることによって、該串受け皿7を該収容器6から容易に取り外すことができる。或いは図9(B)に示すように、該串受け皿7を収容器6の周方向に稍回転させて前記側縁部分58の下面59と前記回り止め係合部50との係合状態を解除することにより、容易に行うことができる。このように両者を分離することにより、収容された串3の始末を簡便に行うことができ、又、串受け皿7を取り外して収容器6と串受け皿7とを個別に洗浄できる。
【0048】
図10は、前記収容器6と串受け皿7を、例えば干物に串を刺し込んでなる串刺し食品と一体にして土産品として販売する場合の包装形態を示すものであり、図10(A)は、上方に開口した収容器6内に前記串受け皿7をその受面31を上向きにして収納し、該受面31上に形成される収納空所に所要本数の串刺し食品を包装したもの60を収納した状態を示すものである。又図10(B)は、上方に開口した収容器6内に所要本数の串刺し食品を包装したもの60を収納すると共に、その上に前記串受け皿7をその受面31を下にして被せた状態を示すものである。これらを適宜包装して土産品として販売できる。
【0049】
このように土産品として販売する場合、前記収容器6に設けられている夫々の支持孔20に、図3(A)に示すと同様にして串刺し食品を立てた盛り付け状態で包装箱に詰めて販売することもできる。
【0050】
購入者が家庭などで串刺し食品を食するに際しては、該串刺し食品を電子レンジ等で適宜加熱調理した後、収容器6内に串受け皿7を収容した状態で、図3(A)に示すと同様に、該収容器6の上部分に設けられている支持孔20に串3の端部分19を挿入することによって該串刺し食品2を立てた状態に支持させると、串刺し料理を見栄えよく盛り付けできる。料理を食した後に発生した使用済みの串3は、前記と同様にして串挿入孔12を通して収容空間5に収容すれば、串3は目視不能に収容状態に廃棄されることとなり、良好な雰囲気で食事ができることになる。本実施例においては、串挿入孔12を収容器6の上部分9の左右両側に設けているため、両串挿入孔12,12を同様に使用できる。かかることから、例えば向かい合って食事をする場合に便利である他、右利きの人に対しても左利きの人に対しても都合がよい。
【0051】
本発明に係る串処理具1は前記のように、串挿入孔12が、直線状に連なる上下の傾斜串案内溝15,17を設けられてなるものであるが、串挿入孔12を、上下方向の貫通孔としてのみ構成したり、上下の傾斜串案内溝15,17の一方しか具えないものとして構成したときは、次のような問題を招来することとなって好ましくない。
【0052】
図11は、上下に貫通した孔61aとして形成された串挿入孔61を示すものであり、図12は、該貫通した孔61aに前記上の傾斜串案内溝15は連設されているが、前記下の傾斜串案内溝17は設けられていない串挿入孔61を示し、又図13は、該貫通した孔61aに前記下の傾斜串案内溝17は連設されているが、前記上の傾斜串案内溝15は設けられていない串挿入孔61を示している。このように構成したときは、いずれの場合も、串挿入孔61に挿入させた串3が、該貫通した孔61aの上下の周縁62,63に当たって(図11)、該下の縁63に当って(図12)、或いは該上の縁62に当って(図13)、水平面に対して大きな角度θで収容空間5に挿入された状態となり、それ以上には挿入できない。従って、該収容空間5を余程深く形成しない限り、即ち、収容器6の上下高さを余程大きくしない限り、該串3を該収容空間5に落下、収容させることができなくなるため好ましくない。或いは、該串挿入孔61を図14に示すように、収容器6の長さ方向に延長する溝状に長く形成せざるを得ず、このように構成する場合は、収容空間に収容されている串が不必要に見える恐れもあって好ましくない。
【実施例2】
【0053】
図15は、前記した串スタンド機能を有さない串処理具1の一実施例を示すものであり、竹材を半割りしてなる半割り筒状を呈する収容器6を用いて構成されており、串刺し食品を立てた状態に支持する前記支持孔20は設けられていない。
【0054】
該収容器6は、前記と同様に、使用済みの串3を一方向に略揃えられた状態で順次収容させ得る収容空間5を内部に具えており、該収容器6の上部分9の左右両側に位置させて串挿入孔12,12が、該上部分9を斜めに貫通する如く設けられている。本実施例においては前記と同様に、該串挿入孔12を形成するに際しては、先ず図15(C)に示すように、該上部分9に、上下方向に例えば円形の貫通孔26を設け、該貫通孔26の、該収容器6の長さ方向の両端27,29側で、図15(B)に示すように、収容器6の上面側13に連なるように、内方に向け下方に傾斜し且つ横断面が円弧状を呈する前記上の傾斜串案内溝15を設けると共に、収容器6の下面側16に連なるように、内方に向け下方に傾斜し且つ横断面が円弧状を呈する前記下の傾斜串案内溝17を該上の傾斜串案内溝15と直線状に連なる如く設けてなる。
【0055】
かかる構成を有する串処理具1によるときは、前記と同様構成の串受け皿7を前記収容空間5に収容した状態で、図6に示すと同様にして、使用済みの串3を前記串挿入孔12に挿入させて押し込むことにより、該串3を前記収容空間5に斜めに方向付けして挿入させることができる。そして該串3を、その上端47が前記上の傾斜串案内溝15の下端縁49を外れるように指先で押すことよって該串3を収容空間5に落下させ該収容空間5に収容させ得る。このようにして使用済みの串3を順次収容することにより、各串3は該串受け皿7の延長方向に略揃えられた状態で受面31に受けられることになる。
【0056】
本実施例においても、該串受け皿7が、図4(C)に示すと同様にして、前記収容器6の下端11の開放端幅L1よりもその横幅L2が大きく形成されているため、収容器6を持ち上げたときに串受け皿7が同時に持ち上がる。
【0057】
図16は、図15に示すと同様構成の収容器6の上部分9に、左右の串挿入孔12,12間において皿状部65が形成されてなる串処理具1を示すものである。このようにして形成された皿状部65は、焼き鳥等の串刺し食品を盛り付けるために利用できる他、串刺し食品を盛り付けた皿を載せるためにも利用できる。
【0058】
串処理具1が串スタンドの機能を有さない場合、前記串受け皿7の横幅L2が前記収容器6の下端11の開放端幅L1よりも小さいときは、該串処理具1の運搬に際して、例えば図17に示すように、収容器6の上部分9を下向きにして形成された樋状部66に串受け皿7を納めて両者を同時に運搬できる。
【0059】
図18は、串受け皿7を用いないで構成された串処理具1をその使用状態で示すものであり、皿やプレート等の設置面25に、収容器6の両下端67,67を直接載置した状態を示すものである。このように使用した場合は、串3を、前記と同様にして串挿入孔12に挿入して収容空間5に収容した場合、該串3は該設置面25で直接受けられることになる。
【実施例3】
【0060】
本発明に係る串処理具1を構成する収容器6は、要は、使用済みの串の全体を、一方向に略揃えられた状態で順次収容させ得る収容空間5が内部に設けられたものとして構成されればよいのであり、下端が開放しているか否かや、両端が開放しているか否かは問わない。又、その形態も、串処理具のデザインを考慮して種々に形成でき、その素材も問わない。そして、かかる構成を有する収容器6の上部分9に、串差し食品2の串の端部分19を挿入させて該串差し食品2を立てた状態に支持する支持孔20を設けることにより、串刺し食品を立てた状態に盛り付けるための串スタンド機能を有した串処理具1となし得る。その他の実施例を示せば次の通りである。
【0061】
図19は、前記串受け皿7の横幅を図4(C)に示すよりも更に大きく設定した場合を示すものであり、前記のようにして収容器6を持ち上げたときに串受け皿7の下端69が該収容器6の下端11から突出しないようになされている。従って、該収容器6を設置面25に載せた状態において串受け皿7の下端69が該設置面25から浮き上がる。
【0062】
図20は、前記串受け皿7の横幅L2を収容器6の下端の開放幅L1よりも小さく設定してなる串処理具1の他の実施例を示すものであり、この場合は、設置面25に串受け皿7を残して収容器6が持ち上げられる。そして前記と同様にして串3を、図20(C)に示すように、串挿入孔12を通して収容空間5に落下収容させることができる。
【0063】
図21は、収容器6を持ち上げた際に該収容器6と串受け皿7とを同時に持ち上げることのできる串処理具1の他の態様を示すものであり、収容器6の内周面35の両側部分に、収容器6の軸線方向に延長するガイド溝70,70が設けられ、串受け皿7の両縁部分71,71を該ガイド溝70,70に嵌め入れてスライドできる引き出し方式のものである。該串処理具1にあっては、串受け皿7が収容器6の内周面35の周方向に回転する恐れがない。
【0064】
図22は、串受け皿7が収容器6の周方向に回転して該収容器6から外れる恐れのない串処理具1のその他の実施例を示すものであり、前記串受け皿7の両側縁部分58,58の下面59,59を支持する係合突部75としての回り止め係合部50が該収容器6の内周面35の下部54に設けられている。このように係合突部75を設ける場合は、後片付けに際して、図22(A)に示すように、収容器6と串受け皿7とが設置面に設置された状態から該収容器6を持ち上げると、該串受け皿7が回転したとしても、該串受け皿7の側縁部分58は図22(B)(C)に示すように、両側の係合突部75,75によって下方から支持されるため、運搬時における揺動によって串受け皿7が回転して落下する恐れがない。該串受け皿7を収容器6から取り外すに際しては、例えば図1について説明したと同様にして、収容器6をその軸線方向Fで移動させたり、図22(D)に示すように、該串受け皿7を収容器6の周方向に稍回転させて串受け皿7の側縁部分58と前記係合突部75との係合状態を解除して容易に行うことができる。このように両者を分離できることから、収容された串の始末が簡便であると共に、収容器6と串受け皿7の洗浄が容易となる。
【0065】
図23に示す串処理具1は、収容器6が、図23(A)に示すように、上端が開放した有底の容体76と、該容体76の上端に被る蓋体77とから構成されており、該蓋体77が着脱可能に閉蓋された状態で図23(B)に示す収容器6が構成されるようになされている。該収容器6は、使用済みの串3の全体を一方向に略揃えられた状態で順次収容させ得る閉じた収容空間5が内部に設けられている。そして、閉蓋状態にある蓋体77の上側部分としての上部分9の、例えば長手中央線沿った左右両側に位置させて、前記と同様構成の串挿入孔12,12が設けられている。該串挿入孔12に、使用済みの串3を挿入して落下させることにより、該串3は、一方向に略揃えられた状態で該収容空間5に順次収容されることになる。該閉蓋状態の蓋体77は、前記容体76の長さ方向の両端から突出した突出部78,78(図23(B))に指先を掛けて持ち上げることにより、該容体76から取り外すことができ、これによって、容体76内に収容されている串3を廃棄できる。
【0066】
図24に示す串処理具1は、その長さ方向の両端に節79が存するように竹材を輪切りして構成された図24(A)に示す収容器6の内部に、図24(B)(C)に示すように、閉じた空間としての前記収容空間5が設けられている。その上部分9には、左右両側に位置させて、前記と同様構成の串挿入孔12,12が設けられている。かかる構成を有する収容器6の下面部は、図24(A)(B)に示すように、該収容器6が設置面25を転がらないようにするため水平面80に形成されている。該収容器6が転がらないように、適宜の台座で支持することにしてもよい。
【0067】
そして図23〜24に示す串処理具1は、串スタンド機能をも有しており、前記上部分9に串3の支持孔20が設けられている。又、図23や図24に示すように構成する場合は、収容器6が、前記収容空間5を形成すると同時に、串を受ける串受け部81としても機能することになる。
【0068】
図25〜27に示す串処理具1は、前記した竹材以外の素材、例えば合成樹脂製や焼物製とされており、上面部9がフラットに形成され、該上面部9の、例えば長手中央線上の左右両側に位置させて、前記と同様構成の串挿入孔12,12が設けられている。又、該上面部9に前記支持孔20が設けられている。図25は、収容器6が直方体状に形成された場合であり、図26〜27は、横断面が台形状に形成された収容器6を具える串処理具1を示す。
【0069】
図28は串挿入孔12のその他の態様を示すものであり、収容器6の上部分9に、該上部分9を斜めに貫通するように設けられている。該串挿入孔12は、前記実施例に示す場合とは異なり、上下方向に貫通する貫通孔26を具えておらず、上下の傾斜串案内溝15,17のみで構成されており、該上の傾斜串案内溝15の溝底43の下端縁82の真上に、該下の傾斜串案内溝17の溝底41の上端縁83が存するため、該串挿入孔12の下側部分85にまで指先を挿入させにくい場合がある。このような場合は、該串挿入孔12に挿入させた串3の上端47を指で下方向に静かに押して収容空間5に落下させる操作はしにくいが、該上端47が串挿入孔12に達した後に該上端47を下方に向けて指で軽く弾くようにすれば、該串3を該収容空間5に落下させることができる。
【0070】
なお、図29に示すように、下の傾斜串案内溝17の上端縁83が、上の傾斜串案内溝15の下端縁82の溝底43の下端縁82の真上から内方に稍位置ずれした状態となるように下の傾斜串案内溝17を設ける場合は、前記貫通孔26を形成した場合と同様に大きく形成されることになり、串3の挿入落下操作は容易となる。この点、貫通孔26を具える前記串挿入孔12によるときは、串挿入孔12を殊更大きくすることなく、前記したように、串挿入孔12に挿入させた串3の上端47を指で下方向に静かに押せば、該串3を自ずから収容空間5に落下させ得る利点がある。
【0071】
本発明に係る串処理具1を構成する収容器6は、串挿入孔12を通して挿入した串3を収容空間5に落下状態に収容させ得る限り、上部分9が水平に形成されるとは限らず、例えば図30〜33に示すように傾斜状態に形成されることもある。その他、該上部分9の形態を含む収容器6の形態は、そのデザイン性を考慮して各種に構成され得る。
【実施例4】
【0072】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0073】
(1) 前記収容器6を、竹材を半割り筒状にカットして形成する場合、そのカット部位は、例えば、その直径の40〜70%程度に設定できる。40〜70%程度の部分が収容器6を構成する。
【0074】
(2) 前記収容器6の上部分9に設ける串挿入孔12は、1個乃至複数個設けるものであり、前記実施例においては上部分9の左右両側に2個設けているが、1個でもよく、その設ける部位も、上部分9の端部側には特定されない。又、上部分9の左右に設ける場合も、例えば図34に示すように、上部分9の幅方向で逆方向に位置をずらして設けることもある。
【0075】
(3) 串処理具1が、使用済みの串を受ける串受け皿7を具える如く構成される場合、該串受け皿7は、例えば図35に示すように、収容器6の下端の開放部を被うように底板86を取り付けたり、或いはラップ等のフィルム状シート87を、該開放部を被うように貼り付けることによって形成してもよい。
【0076】
(4) 前記串挿入孔12が有する前記上の傾斜串案内溝15と前記下の傾斜串案内溝17は、串3を、より水平に近い傾斜状態にして挿入させ得るようにするためのものであるが、このような目的を達成できる限り、上下の傾斜串案内溝15,17が正確に直線状に連なるとは限らない。
【0077】
(5) 前記支持孔20は、図3(B)に示すように、収容器6の上部分9の下端部分89を若干残して形成するのが好ましいが、図37に示すように、貫通した孔90を形成した後、その下端91を、該上部分9の下面92に粘着テープ等のカバー片93を貼着することによって塞いで形成することもできる。
【0078】
或いは該上面部9に、例えば図38に示すように、下端95に向かうほど小径となる貫通状態の支持孔20を設け、該支持孔20の下端95から突出しないように串3の端部分19を挿入させて該串3を立てた状態に支持するようにしてもよい。
【0079】
又該支持孔20は、垂直状態に形成される他、若干傾斜した状態に設けられることもある。この場合は、串刺し食品2が若干傾いた状態で支持されることになる。
【0080】
(6) 串刺しの食品に用いられる串は、串が刺し込まれる食品に応じて、竹串だけでなく木製やプラスチック製等の串も含まれる。
【0081】
(7) 前記回り止め係合部50は、前記串受け皿7が収容器6内で回転して落下する恐れがなければ省略してもよい。
【0082】
(8) 本発明に係る串処理具1は、基本的には、使用済みの串を収容するために用いられるものであるが、爪楊枝を収容してもよい。又、串挿入孔の直径を比較的大きく設定すれば、図39に示すように、使用済みの割り箸96を前記と同様にして収容することもできる他、図40に示すような、串の摘み部97が幅広に形成された串3を前記と同様にして収容することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る串処理具をその設置状態で示す斜視図と、串挿入孔の形成要領を説明する断面図である。
【図2】本発明に係る串処理具を示す分解斜視図である。
【図3】串刺し食品を立てて支持した串処理具の使用状態を示す斜視図と、串刺し食品の串を立てる支持孔と串を立てた状態を示す断面図である。
【図4】串受け皿を具える串処理具を設置面に載せた状態を示す断面図と、串受け皿を具える串処理具を持ち上げた状態を示す断面図である。
【図5】収容器を製造するための竹材からなる円筒体を示す斜視図である。
【図6】串処理具に串を収容する要領を説明する断面図である。
【図7】串を順次収容する串収容状態を説明する断面図である。
【図8】多数本の串が串受け皿に載った状態を示す斜視図である。
【図9】串受け皿の側縁部分が回り止め係合部と係合して該串受け皿の回転が阻止された状態を示す断面図と、両者の係合状態を解除して串受け皿を取り外す要領を説明する断面図である。
【図10】収容器と串受け皿とを用いて串刺し食品を包装して販売する販売形態を示す断面図である。
【図11】上下に貫通した孔のみで串挿入孔を形成するとした場合の問題点を説明する断面図である。
【図12】上下に貫通した孔と上の傾斜串案内溝とで串挿入孔を形成するとした場合の問題点を説明する断面図である。
【図13】上下に貫通した孔と下の傾斜串案内溝とで串挿入孔を形成するとした場合の問題点を説明する断面図である。
【図14】串挿入孔を、収容器の長さ方向に延長する長い溝状に形成するとした場合の問題点を説明する断面図である。
【図15】串スタンドとしての機能を有さない串処理具をその使用状態で示す斜視図と、串挿入孔を形成する工程を説明する断面図である。
【図16】収容器の上部分に皿状部が形成されてなる串処理具を示す斜視図である。
【図17】収容器の収容空間に串受け皿を納めた状態を示す断面図である。
【図18】串受け皿を用いないで構成された串処理具をその使用状態で示す断面図である。
【図19】収容器を持ち上げたときに串受け皿が同時に持ち上がるようになされた串処理具の他の実施例を示す断面図である。
【図20】串受け皿の横幅が収容器の下端の開放幅よりも小さく設定されてなる、串スタンド機能を有する串処理具を示す斜視図と、その使用状態を示す断面図である。
【図21】串受け皿をスライド可能とした引き出し方式の串処理具をその使用状態で示す断面図である。
【図22】収容器を持ち上げた際に串受け皿が持ち上がるようになされた串処理具における、串受け皿の回転防止作用と、串受け皿の取り外し要領を説明する断面図である。
【図23】容体の上端を閉蓋する蓋体を開蓋可能とした収容器を具える串処理具を示す斜視図と、その使用状態を示す断面図である。
【図24】竹材を輪切りして構成された収容器を用いる串処理具の斜視図と、その使用状態を示す断面図である。
【図25】上面部がフラットに形成された収容器を具える串処理具を示す斜視図と、その使用状態を示す断面図である。
【図26】横断面が台形状に形成された収容器を具える串処理具を示す断面図である。
【図27】横断面が台形状に形成された収容器を具える串処理具のその他の実施例を示す断面図である。
【図28】上部分を斜めに貫通するように串挿入孔が設けられてなる収容器を具える串処理具のその他の実施例をその使用状態で示す断面図である。
【図29】上部分を斜めに貫通するように設けられた串挿入孔の他の態様を示す断面図である。
【図30】上部分が一方向に傾斜する収容器を具える串処理具を設置状態で示す断面図である。
【図31】上部分が山型に形成された収容器を具える串処理具を設置状態で示す断面図である。
【図32】上部分が緩いV字状に形成された収容器を具える串処理具を設置状態で示す断面図である。
【図33】上部分が下に凸に緩く湾曲する収容器を具えた串処理具を設置状態で示す断面図である。
【図34】上部分の左右両側に設けられた串挿入孔が該上部分の幅方向で逆方向に位置をずらして設けられた収容器を具える串処理具をその設置状態で示す斜視図である。
【図35】収容器の下端の開放部を被うように底板を取り付けて串受け皿を形成してなる串処理具を示す断面図である。
【図36】収容器の下端の開放部を被うようにフィルム状シートを貼り付けて串受け皿を形成してなる串処理具を示す断面図である。
【図37】支持孔の他の態様を、その使用状態と併せて示す断面図である。
【図38】支持孔のその他の態様を、その使用状態と併せて示す断面図である。
【図39】串処理具に使用済みの割り箸を収容する場合を説明する断面図である。
【図40】串の他の態様を示す正面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 串処理具
2 串刺し食品
3 串
5 収容空間
6 収容器
7 串受け皿
9 上部分
10 側壁部分
11 下端
12 串挿入孔
13 収容器の上面側
15 上の傾斜串案内溝
16 収容器の下面側
17 下の傾斜串案内溝
19 串の端部分
20 支持孔
25 設置面
26 貫通孔
31 受面
32 傾斜面
34 内周面
36 内周面の側部分
38 串受け皿の下端部分
41 下の傾斜串案内溝の溝底
47 串の上端
49 上の傾斜串案内溝の下端縁
50 回り止め係合部 51 係合部材
52 孔部
53 軸体
55 摘まみ片
75 係合突部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みの串の全体を、一方向に略揃えられた状態で順次収容させ得る収容空間が内部に設けられてなる収容器を具え、該収容器の上部分に、該串を該収容空間に斜めに挿入させることができ該串を該収容空間に落下させて収容状態となすための串挿入孔が、該上部分を斜めに貫通して設けられており、該串挿入孔は、前記収容器の上面側に、下方に傾斜して串を案内する上の傾斜串案内溝が設けられると共に、該収納器の下面側には、該上の傾斜串案内溝と直線状に連なる如く、下方に傾斜して串を案内する下の傾斜串案内溝が設けられていることを特徴とする串処理具。
【請求項2】
使用済みの串の全体を、一方向に略揃えられた状態で順次収容させ得る収容空間が内部に設けられてなる収容器と、該収容器内に分離可能に収容され且つ該使用済みの串を受ける串受け皿とを具える串処理具であって、
該収容器は、上部分の両側に側壁部分が設けられて下端が開放されてなり、該収容器の該上部分に、前記串を該収容空間に斜めに挿入させることができ該串を該収容空間に落下させて収容状態となすための串挿入孔が、該上部分を斜めに貫通して設けられており、該串挿入孔は、前記収容器の上面側に、下方に傾斜して串を案内する傾斜串案内溝が設けられると共に、該収納器の下面側には、該上の傾斜串案内溝と直線状に連なる如く、下方に傾斜して串を案内する下の傾斜串案内溝が設けられていることを特徴とする串処理具。
【請求項3】
前記収容器は、横断面が上に凸の半円形状を呈して下端が開放しており、該下端の開放幅は、該収容器の内径よりも小さく設定されており、又、前記串受け皿の横幅は該開放幅よりも大きく形成されており、該収容器を持ち上げたときに該串受け皿の両縁部分が該収容器の内周面の両側部分で下方から支持されることを特徴とする請求項2記載の串処理具。
【請求項4】
前記串受け皿の両縁部分が前記収容器の内周面の両側部分で下方から支持された状態で該串受け皿が該収容器の周方向に回転するのを防止する回り止め係合部を、該内周面の下部に設けたことを特徴とする請求項3記載の串処理具。
【請求項5】
前記串受け皿の両縁部分が該収容器の内周面の両側部分で下方から支持された状態で、該串受け皿の下端部分が前記収容器の下端から下方に突出し、該収容器を設置面に載置したときに該串受け皿の該両縁部分が該収容器の内周面の両側部分から浮き上がることを特徴とする請求項3又は4記載の串処理具。
【請求項6】
前記収容器は竹材を用いて構成されており、前記串挿入孔は、前記収容器の上部分に上下方向に貫通する如く設けられた貫通孔に、前記収容器の上面側で上の傾斜串案内溝が連設されると共に、該収容器の下面側で、該貫通孔に前記下の傾斜串案内溝が連設されてなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の串処理具。
【請求項7】
前記収容器の上部分に、串刺し食品の串の端部分を挿入させて該串刺し食品を立てた状態で支持するための支持孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の串処理具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2010−132389(P2010−132389A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308300(P2008−308300)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(394019288)
【Fターム(参考)】