説明

串春巻き

【課題】箸を使用せずに食すことができる形態の串が挿された春巻きを提供する。
【解決手段】具が皮の内部に包まれた本体と、端部が本体から突出するように本体の内部を貫通した串材とを備えているか、又は、具が皮の内部に包まれた本体と、差し込み先端部が本体を分割するための切込み線付近に達するように本体の対向面から差し込まれた複数の串材とを備えている。ここで、具は、塊状の肉材料を含み、串材が該肉材料を貫通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、串刺し状の春巻きに係り、特に、箸を使用せずに食すことができる形態の春巻きに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、串焼き、或いは串揚げは、多種類の鳥獣肉又は魚貝類、野菜、根菜をその種類ごとに串に挿して炙り、或いは衣をつけて油で揚げて食卓に供されていた。
【0003】
串焼き用食材の食感をさらに豊かにするため、放し飼いの豚のばら肉ともも肉を所定割合で交互混合するように挿すことを特徴とする串焼き食品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらの串焼きは具材の表面のタレが零れ落ちて衣服につきやすいなどの問題があった。
【0004】
また、従来春巻きは、豚肉、野菜、春雨などを炒めて調味した具材を、小麦粉を塩水で練って熟成させて厚さ0.1〜1mmに延ばした皮で包み、170℃〜180℃の油で揚げて食卓に供されるものであるが、包んだ皮のぱりぱりとした食感と、具材の肉汁、野菜汁の食感の両方を味わえることが特徴であった。
【0005】
フライ後の春巻きのぱりぱりとした皮の食感を長時間維持させるための春巻きの皮として、融点が40℃〜70℃である油脂粉末と大豆たん白を必須成分として含有する春巻きの皮の発明が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
春巻きは、多種類の食材を麺布で包むため、栄養価に優れ、多様性のある食材を利用できる利点があるが、串焼きのように箸を使用せずに食すことができる手軽さや楽しみはない形態をしていた。
【0007】
また、内部の具材には、塊状の鳥獣肉や魚介類を用いるにしても、細片として利用しなければならない問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2001−352943号公報
【特許文献2】特開2002−65192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであり、箸を使用せずに食することができる形態の春巻きを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を解決するため、本発明の串春巻きは、具が皮の内部に包まれた本体と、端部が本体から突出するように本体の内部を貫通した串材とを備えていることを特徴とする。このような串春巻きにおいて、串材の複数本が間隔を有して本体を貫通しており、串材の間で本体が分割可能となっていても良い。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明による串春巻きは、具が皮の内部に包まれた本体と、差し込み先端部が本体を分割するための切込み線付近に達するように本体の対向面から差し込まれた複数の串材とを備えていることを特徴とする。上述のような串春巻きにおいて、具は、塊状の肉材料を含み、串材が該肉材料を貫通していることが好ましい。なお、串材が貫通される塊状材料は、天然肉材料に限定されず、例えば卵やトランスグルタミナーゼなどのような結着剤等を用いて所定の塊形状に加工した塊状材料を用いることができ、また、塊状に加工することができれば、肉材料以外に野菜類、茸類などの食材を混合することもできる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、春巻きを摂取する際、串を手に持って口に運ぶことができる。このため、従来のおかずとしての春巻きの献立を、つまみ或いは副食としての献立とさせることができる。
【0013】
また、具材として、従来の春巻きの具材では用いられていなかった大きさ、塊状の鳥獣肉や、魚介肉を内部に安定させて用いることを可能とし、春巻きのバリエーションを拡大することができる。
【0014】
また、串材を複数本差し込むことにより、油ちょう後に、切込み線に沿って2等分した場合に、断面から具材を覗かせて、具材の色、形を見せることにより食欲を喚起させると共に、串材をつかみ、箸を使わない状態での摂食を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による串春巻きの最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態による串春巻きについて、その一部断面斜視図を図1に示す。図1に示す串春巻き本体10は、具材1を皮3に包んで串材を差込み貫通させた形態であり、具材1の中心に肉材料2が配置されて、串4が肉材料2を貫通している。
【0017】
この実施形態では、鳥獣肉の塊状の肉材料を示したが、えびなどの魚介類或いは、ソーセージ・ハム・焼肉又はかまぼこなどを含む鳥獣肉及び魚介類の練り製品であってもよい。勿論、それぞれの肉材料は、タレなどに漬け込んだ味付け又は加熱調味済の材料として、味の多様性を持たせることが望ましい。
【0018】
また、肉材料の大きさについても、春巻きの包みの、径と略等しい大きさとして肉材料の特性を強調する春巻きとしてもよい。すなわち、肉材料と従来の春巻き具材の構成比を替えることにより、さらに多様性を有する春巻きを提供することができる。
【0019】
本実施形態の主たる特徴は、春巻きを串刺しの形態とすることにより、春巻きの内部に、任意の塊状の具材を安定させて配設することが可能となるものであり、肉材料の種類、大きさに限定されることなく、また、串による構造で補強されるため、従来の春巻きの標準的なサイズに限定されない大きさの春巻きを提供することができる。
【0020】
また、串春巻きの消費者への提供方法に関しては、生或いはチルド、冷凍として消費者が油で揚げて揚げたてを摂食する形態から、予め油で揚げて冷凍し、電子レンジで温めるだけで摂食可能にする形態のいずれをも選択することができる。
【0021】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について、図2を用いて説明する。図2は、複数の串を差し込んだ串春巻きの形態を示し、(a)は斜視図、(b)は調理後に切断した串春巻きの斜視図である。
【0022】
この実施形態では、2本の串4a、4bを、春巻きの長手方向の両端からそれぞれ差し込み内部の複数の肉材料2を貫通させたものである。
【0023】
串4a、4bの長さは、春巻きの長手寸法の3/4程度とすることにより、油ちょうによる加熱調理後に、切込み線(図中、破線で示す切り口)に沿って斜め切りすることにより内部の具材及び肉材料が顕となり、食欲をそそる形として食卓に供することができる。
【0024】
図2(b)は、(a)を調理後に切断した状態を示す斜視図である。
【0025】
図3は、本発明の串春巻きの串刺しの形態を説明する模式図である。
図3(a)は、春巻き本体10の長手方向に1本の串4が貫通するように差し込まれた形態である。
【0026】
図3(b)は、春巻き本体10aの長手方向の両端から,4a、4bの2本の串が差し込まれた形態である。この形態では、春巻きを加熱調理後に斜めに切断したとき、切断されたそれぞれの春巻きに串が貫通しており、手に持って食することができる。
【0027】
図3(c)は、春巻き本体10cの横から複数本の串4a、4b、4cが貫通している形態である。この形態では、加熱調理後に、串と串との間で、切込み線(図中破線で示す)に沿って切断し複数の串春巻きとして食卓に供することができる。
【0028】
本実施形態については、図3に示す串の数、或いは串刺しの方向に拘らず、春巻き本体に対して、斜め方向などさらに串刺しの形態を替える事も含まれる。
【0029】
本発明によれば、従来細片状態のみであった春巻きの具材に、塊状の存在感がある食材を内在させることにより、春巻きに対する一定概念を打ち破り、新たなバリエーションの商品化を実現すると共に、串刺し形態により消費者の食卓或いは弁当などの摂食時の楽しみを増加させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の串春巻きの第1の実施形態を示す一部断面斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す斜視図で、(a)は串春巻き全体の斜視図、(b)は加熱調理後の切断状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の串春巻きの串刺しの形態を説明する模式図で、(a)は1本の串が貫通するように差し込まれた形態、(b)は2本の串が差し込まれた形態、(c)は3本の串が差し込まれた形態である。
【符号の説明】
【0031】
1 具材
2 肉材料
3 皮
4、4a、4b、4c 串
10、10a、10b 本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
具が皮の内部に包まれた本体と、端部が本体から突出するように本体の内部を貫通した串材とを備えていることを特徴とする串春巻き。
【請求項2】
具が皮の内部に包まれた本体と、差し込み先端部が本体を分割するための切込み線付近に達するように本体の対向面から差し込まれた複数の串材とを備えていることを特徴とする串春巻き。
【請求項3】
前記串材の複数本が間隔を有して本体を貫通しており、串材の間で本体が分割可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の串春巻き。
【請求項4】
前記具は、塊状の肉材料を含み、前記串材が該肉材料を貫通していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の串春巻き。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−180827(P2006−180827A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380090(P2004−380090)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000118497)伊藤ハム株式会社 (57)
【Fターム(参考)】