説明

丸コーム外装品

本発明は、回転軸(4a)のまわりを回転可能な繊維機械、特に、コーミング機械のコームローラ用、特に、円形コーム用のコーム外装品(1)に関し、このコーム外装品は、コームローラの回転方向(4)で見て相前後して配置され、鋸歯状打抜き部品(5)によって形成された少なくとも1つの第1のコームセグメント領域(2)および少なくとも1つの第2のコームセグメント領域(3)を含み、鋸歯状打抜き部品(5)は、回転軸(4a)の方向に互いに隣り合って配置され、足部(6)から離れる方向に延びる歯(7)を有し、第1のコームセグメント領域(2)内の歯(7)の構成は、歯(7)のコーミング作用が回転方向と反対の方向に高まるように変化し、第2のコームセグメント領域(3)内の歯(7)は、第2のコームセグメント領域(3)内のコーミング作用が、回転方向(4)と反対の方向に見られる第1のコームセグメント領域(2)の端部(11)よりも小さくなるように構成され、第2のコームセグメント領域(3)内の歯(7)の構成は、歯(7)のコーミング作用が回転方向(4)と反対の方向に低くなるように変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸のまわりを回転できる、繊維機械、特に、コーミング機械のコーミングローラ用の、特に、円形コーム用のコーム外装品(comb clothing/fitting)に関する。
【背景技術】
【0002】
コーミング機械は、特許文献1および特許文献2から公知である。このタイプのコーミング機械は、それらの作動サイクルのサイクルシーケンスを有する。ニッパ装置を使用して、コームラップの繊維タフトが、コームストリップを装備された、回転式丸コームのコーミング領域でコーミングされる。次いで、コーミングされていないコームラップが再供給され、ニッパ装置が引き出しシリンダに向かって移動する。結果として、コーミングされた繊維タフトが、前にコーミングされたコームラップ上に置かれ、このコームラップに接合され、引き出される。固定コームは、コーミングされたコームラップ上に置かれていない、コーミングされていない繊維および不純物がコーミングされるか、または保持されるのを保証する。次いで、再供給されたコームラップがコーミングされると、ニップとも呼ばれる新たなコーミングサイクルが始まる。
【0003】
したがって、円形コームとも呼ばれる丸コームのコームラップに及ぼす作用は、コーミングプロセスで製造される織物繊維の品質にとって決定的に重要である。この場合に、目標は、ソルダリングとも呼ばれる、すでにコーミングされたコームラップへの接合を行うために、互いに対して特定の層間隔で並列化された繊維を提供することである。この場合に、様々な影響因子が接合の品質を悪化させることがあり、特に、500コーミングサイクル毎分を超える高速コーミング機械において比較的破壊的な影響が強まる。円形コームは、コーミングローラ上で円形コームの回転軸に対して垂直方向に配置されたコーム外装品を含む。コーム外装品は、コーミングローラの回転方向に相前後して配置された複数のコームセグメントを有する。この場合に、各コームセグメントは、足部および足部から延びる歯を有する、軸方向に互いに隣り合って一列に配置された複数の鋸歯状打抜き部品を有し、コーム外装品の歯の構成は、それによって得られるコーミング効果に影響を及ぼすために回転方向に変化する。このタイプのコームは、例えば、特許文献3および特許文献4から公知であり、コーム外装品は、係合コームセグメントのほかに、複数の後続コームセグメントを有し、後続コームセグメントはそれぞれ、前の後続コームセグメントまたは係合コームセグメントよりも高いコーミング効果をもたらす。特許文献5も、コーミングローラ用のコーム外装品を示しており、コーム外装品の歯の構成は、回転方向と反対の方向にそれらのコーミング効果が高まるように変化する。一方で、コーミング結果はそれによって改善されるが、他方で、この態様でさらに処理された繊維製品の糸欠陥は無視することができない。支持要素に留められた針ストリップを少なくとも部分的に有するコーム外装品は、特許文献6から公知である。丸コーム用のさらなる外装要素が特許文献7に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】CH 673 290 A5
【特許文献2】DE 10 2007 010 405 A1
【特許文献3】DE 43 26 205 C1
【特許文献4】EP 1 083 250 B1
【特許文献5】EP 1 341 952 B1
【特許文献6】DE 198 29 159 A1
【特許文献7】EP 1 533 404 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コーミング結果が向上したコーミングプロセスをコーミングサイクル数が多い場合にも保証し、糸欠陥をなくすような方法でコーム外装品を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、請求項1に開示した特徴を有するコーム外装品によって達成される。
【0007】
本発明によれば、コーム外装品は、少なくとも第1および第2のコームセグメント領域を含み、第1のコームセグメント領域内の歯の構成が、歯のコーミング効果が回転方向と反対の方向に高まるように変化し、第2のセグメント領域内の歯は、第2のコームセグメント領域内のコーミング効果が、回転方向と反対の方向に見られる第1のコームセグメント領域の端部よりも低いように構成されることが適切であると認識された。繊維に作用する張力は、コーミング効果が低下するとともに張力も低下するような形でコーム外装品のコーミング効果に依存するので、上記によって、コーミングプロセスの終わりに、言い換えると、円形コームからの繊維の出口で、繊維に作用する張力を低くすることが可能である。言い換えると、コーミングプロセスの終わりに、円形コームからの出口において、繊維の反応挙動を、すなわち、繊維の固有の弾性およびカール度の結果として、繊維端部でフックが形成されるのを抑えることができ、コーミングされた繊維は互いに対して平行に置かれ、したがって、薄板状のコーミングされた積層体を形成する。このタイプのコーム外装品を使用して、一方で、第1のコームセグメント領域内の高いコーミング効果のために、非常に高いコーミング結果が得られ、他方で、コーミングプロセスの終わりに、第2のコームセグメント領域内の低いコーミング効果のために、繊維に作用する張力が低くなるので、コーミング方法の高いプロセス信頼性が得られる。さらに、ソルダリングの欠陥数が最小限になり、したがって、コーミング機械の機械稼働特性が付加的に改善される。これにより、糸の均一性が高くなる。歯のコーミング効果が回転方向と反対の方向に低くなるように第2のコームセグメント領域内の歯を設計することで、コーミングプロセスの終わりに繊維に作用する張力が連続的に低下し、したがって、次のソルダリングプロセスに繊維が穏やかに移行する。
【0008】
請求項2によるコーム外装品の場合、歯の構成の変更が固定点で行われる。
【0009】
請求項3によるコーム外装品の第1のコームセグメント領域内にある複数のコームセグメントは、対応するコームセグメントを適合させることにより、様々な形のコーミング効果の高まりを可能にする。
【0010】
請求項4に従って、コーム外装品の第2のコームセグメント領域において単一のコームセグメントを使用することで、コーミング効果を直接的に素速く低下させることが可能である。ただし、基本的には、第2のコームセグメント領域が、複数のコームセグメントを含んでもよい。
【0011】
請求項5によるコームセグメントを使用することで、コームセグメントおよびコーム外装品の製造が単純化される。
【0012】
請求項6によるコームセグメントは、様々なコームセグメント領域に、異なる歯のコーミング効果を有することができる。
【0013】
請求項7によるコーム外装品の構造により、繊維が円形コームを出るときに、次のソルダリングプロセスの前に繊維の負荷軽減が保証されるようにコーミング効果が低められ、ひいては繊維に作用する張力が低められる。したがって、ソルダリングでの起こり得る障害を回避することができる。
【0014】
2つのコームセグメント領域が、請求項8または9のいずれか一項による領域の外装品周方向角にわたって延びる場合、非常に高いコーミング速度であっても、綿、クリップウール、または合成繊維材料との混合物などの非常に多彩な用途に対して、非常に良好なコーミング結果を得ることができる。
【0015】
請求項10〜13のいずれか一項による構成策を用いて、2つのコームセグメント領域内で目標どおりに歯のコーミング効果を調整することができる。
【0016】
請求項14による歯のない中間ディスクを使用することで、軸方向に隣接する歯間の自由通過と、さらに、軸方向に設けられる歯数とを目標どおりに調整することができる。
【0017】
実施形態が、図面を用いて下記に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1および第2のコームセグメント領域を有するコーム外装品の側面図を示している。
【図2】構成策のパラメータを示す、図1と同様な、コームセグメントの歯の拡大図である。
【図3】第2のコームセグメント領域のコームセグメントの実施形態の側面図を示している。
【図4】第2のコームセグメント領域のコームセグメントの別の実施形態の側面図を示している。
【図5】第2のコームセグメント領域のコームセグメントのまた別の実施形態の側面図を示している。
【図6】第2のコームセグメント領域のコームセグメントのさらに別の実施形態の側面図を示している。
【図7】本発明によるコーム外装品のコーミング効果を変えるための構成策のパラメータを先行技術と比較して示すグラフを示している。
【図8】本発明によるコーム外装品のコーミング効果を変えるための構成策のパラメータを先行技術と比較して示すグラフを示している。
【図9】本発明によるコーム外装品のコーミング効果を変えるための構成策のパラメータを先行技術と比較して示すグラフを示している。
【図10】本発明によるコーム外装品のコーミング効果を変えるための構成策のパラメータを先行技術と比較して示すグラフを示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
繊維コーミング機械の円形コームの図1に示すコーム外装品1は、第1のコームセグメント領域2および第2のコームセグメント領域3を含む。2つのコームセグメント領域2、3は、図示しないコーミングローラの回転方向4に相前後して配置されており、コーミングローラの回転軸4aの方向に互いに隣り合って配置され、足部6から離れる方向に延びる歯7を有する鋸歯状打抜き部品5によって形成されている。鋸歯状打抜き部品5は、歯付ディスクまたは歯付シートとも呼ばれる。鋸歯状ワイヤから歯付ディスクを作製することも可能である。
【0020】
軸方向の、言い換えると、回転軸4aの方向のコーム外装品の構造について下記に説明する。歯がなく、かつ/または様々な厚さを有する、すなわち、回転軸方向4aに沿って延びる中間ディスクを使用することで、一列に配置された鋸歯状打抜き部品5を互いから軸方向に離間して配置することができる。しかし、これらの中間ディスクは任意選択である。鋸歯状打抜き部品5は、軸方向に互いに直接隣接して配置することもできる。特に、鋸歯状打抜き部品は、軸方向にショルダインプレッション(shoulder impression)を有することもでき、そのため、鋸歯状打抜き部品は、相互に隣接した配置にかかわらず、軸方向に中間間隙を有する。
【0021】
第1のコームセグメント領域2は、4つのコームセグメント8を含んでいるが、第1のコームセグメント領域2が、4つを超えるか、または4つ未満で、ただし、少なくとも1つのコームセグメント8を有することも考えられる。図1の図による第2のコームセグメント領域3は、ちょうど1つのコームセグメント8を有するが、第2のコームセグメント領域3が複数のコームセグメント8を有することも考えられる。
【0022】
コームセグメント8はバータック(bar tack、Riegel)とも呼ばれ、第2のコームセグメント領域3のバータックは、回転方向4で見てコーム外装品1の末端9に配置されているので、エンドバータックと呼ばれる。第2のコームセグメント領域3は、回転方向4で見てコーム外装品1の終端部を形成している。しかし、少なくとも1つのさらなるコームセグメント領域が、回転方向4で第2のコームセグメント領域3の後ろに配置されることも考えられる。末端9と反対側のコーム外装品1の先頭10で、円形コームがコーミングされる製品に係合する。したがって、先頭10に配置されたコームセグメント8は、係合コームセグメントとも呼ばれる。円形コームのコームラップへの係合と、その後の円形コームの回転方向4の回転とがコーミングに相当する。したがって、回転方向4はコーミング方向とも呼ばれ、それによってコームラップにもたらされる効果はコーミング効果と呼ばれる。
【0023】
図1に示すコーム外装品1では、第1のコームセグメント領域2は、歯7のコーミング効果が回転方向4と反対の方向に高まるような歯7の構成を有する。歯7のコーミング効果は、下記に説明する構成策により高まる。歯7は、第2のコームセグメント領域3内のコーミング効果が、回転方向4で見た第1のコームセグメント領域2の末端11でのコーミング効果よりも平均で小さくなるように、第2のコームセグメント領域3内で構成されている。2つのコームセグメント領域2、3は、共通境界12で合流している。境界12で歯7の構成を変えることが考えられる。さらに、歯の構成を、2つのコームセグメント領域2、3の少なくとも一方の中の別の箇所で変えることも可能である。
【0024】
コーム外装品1は、コーミングローラでコームセグメント8の足部6に留められている。このために、各足部6は連結要素13を有し、連結要素13は、いずれの場合にも、連結態様において、連結要素13に対して相補的に構成されたコーミングローラの連結要素と協同する。連結要素13は、穴として、特に、貫通穴として構成できるが、溝としても、特に燕尾形の溝として構成することができる。あるいは、コーム外装品1は、コームセグメント8の足部6を用いてコーミングローラに接着することができる。
【0025】
5つのコームセグメント8を有する図1に示すコーム外装品は、111°の外装品周方向角にわたって延びており、その理由は、111°が、特に、綿をコーミングするのに有利と分かったからである。さらに、この外装品周方向角は、コームセグメント8の製造精度の改善を可能にし、コームセグメント8は、いずれの場合も、同一のセグメント周方向角Wを有していて、コームセグメント8の足部6は同一である。ただし、コームセグメントは、異なるセグメント周方向角Wとともに異なる大きさの足部を有することもできる。さらに、78°、87°、98°、および112°の外装品周方向角を有するコーム外装品が考えられる。クリップウール、または合成繊維との混合物をコーミングするために、機械のタイプに応じて、これらの、あるいは他の外装品周方向角が使用される。この場合に、145°〜220°の範囲の外装品周方向角が特に有利であると分かった。
【0026】
さらに、コームセグメントの足部が、コームセグメント領域内で異なることも可能である。
【0027】
図2に示すコームセグメント8の拡大詳細図を用いて、以下のパラメータについて説明するが、これらのパラメータを操作することで、歯7のコーミング効果に影響を及ぼすことができる。
【0028】
歯高Hは、足領域6の架空の上側縁部14と歯7の歯先16の外側包囲線15との間で決まる。歯間隔Tは、回転方向4での2つの隣接する歯7の間隔である。歯間隔Tは、歯区分(tooth division)とも呼ばれる。係合角Eは、前歯面17と半径方向Rとによって囲まれる。自由通路Dは、2つの歯7間、または2つの鋸歯状打抜き部品5間の自由面であり、2つの鋸歯状打抜き部品5は、コーミングローラの回転軸4aの方向に、コームセグメント8内で軸方向に隣接して配置される。自由通路Dは、図面の面に対して垂直に延びるので、図2には示されていない。固有先端数Z、同じく先端密集度Zは、包囲線15によって前もって決まる円筒横面全体に対する、コームラップに係合する円形コームの円筒横面の割合を特性化する。したがって、先端密集度Zは、周方向に測定された歯間隔Tと、回転軸4aに沿って測定された軸方向の歯間隔との両方から得られ、軸方向の歯間隔は、鋸歯状打抜き部品5の軸方向の長さと、さらには2つの鋸歯状打抜き部品5間に配置できる中間ディスクの厚さとから得られる。したがって、先端密集度Zは、表面に関連する大きさである。
【0029】
コームセグメント8の歯7のコーミング効果を高めるためには、歯高Hを低くすること、回転軸4aの方向に隣接する2つの歯7間の自由通路Dを縮小すること、回転方向4に隣接する2つの歯7間の歯間隔Tを狭めること、歯係合角Eを大きくすること、および先端密集度Zを大きくすることなどの構成策の少なくとも1つが実施されなければならない。
【0030】
同様の態様で、歯高Hを高くすること、自由通路Dを拡張すること、歯間隔Tを広げること、歯係合角Eを小さくすること、および先端密集度Zを小さくすることなどの構成策の少なくとも1つによって、コームセグメント8の歯7のコーミング効果が低められる。
【0031】
自由通路Dを一定に保ちながら、上記の構成策の少なくとも1つにより、コームセグメントの歯7のコーム効果を低めることも可能である。
【0032】
さらに、上記のパラメータの少なくとも2つの変更により、コーミング効果を低めることが特に有利であり、特に、良好なコーミング結果が、このタイプのコーミング外装品を用いて得られると分かった。
【0033】
本発明によるコーム外装品1に対する該当する構成策によって、歯7のコーミング効果を、第1のコームセグメント領域2内で回転方向4と反対の方向に高め、回転方向で見た第1のコームセグメント領域2の末端11(図1を参照のこと)よりも第2のコームセグメント領域3内で少なくとも低くすることが実現する。第2のコームセグメント領域3内の歯7を、歯7のコーミング効果が回転方向4と反対の方向に低下するように構成することがさらに可能である。これは、第2のコームセグメント領域3が、単一のコームセグメント8のみを含む場合も可能である、言い換えると、コームセグメント8内のコーミング効果は、歯7の構成が回転方向4に変化することで達成される。コームセグメント領域2、3内で、コーミング効果が異なるコームセグメント8を使用して、コーミング効果を段階的に変化させることができるか、またはコームセグメント8内でコーミング効果が変化するコームセグメント8を使用して、コーミング効果を無段階で連続的に変化させることができるかのいずれかである。コームセグメント領域2、3の適切な組み合わせを用いて、コーム外装品1内でコーミング効果を連続的に変化させることが考えられる。
【0034】
図3〜6は、示した構成策を用いてコームセグメント8内のコーミング効果を低める場合の第2のコームセグメント領域3用のコームセグメント8、言い換えると、エンドバータックの実施形態を示している。
【0035】
図3は、コームセグメント8の第1の実施形態を示している。図1および図2を参照して上記に説明したものと同じ構成要素は同じ参照数字を有し、再度詳細に説明することはしない。
【0036】
コームセグメント8は、回転方向4に相前後して配置され、一体化して互いに連結された第1のコームセグメント部分18、および第2のコームセグメント部分19を有する。第1のコームセグメント部分18内の歯7は、第1の歯係合角E1を有し、第2のコームセグメント部分19内の歯7は、第2の歯係合角E2を有し、E1>E2である。言い換えると、第1のコームセグメント部分18内のコーミング効果は、第2のコームセグメント部分19と比較して高くなっている。回転方向4と反対方向にE1からE2に歯係合角Eを小さくするのは、第1のコームセグメント部分18から第2のコームセグメント部分19へのコームセグメント内の単一段階での移行によってではなくて、複数の段階でまたは連続的に行われることが考えられる。この場合に、コームセグメント8は、さらなるコームセグメント部分を有する。コーミングローラの周方向に、第1のコームセグメント部分18は長さL1を有し、第2のコームセグメント部分19は長さL2を有し、L1>L2、特に、L1=2×L2である。L1=L2、またはL1<L2であるようなコームセグメント8の他の分割も可能である。
【0037】
図4は、コームセグメント8のさらなる実施形態を示している。図1〜3を参照して上記にすでに説明したものと同じ構成要素は同じ参照数字を有し、再度詳細に説明することはしない。
【0038】
コームセグメント8のこの実施形態では、歯間隔T1、さらに歯高H1の両方が、第2のコームセグメント部分19の対応する値T2、H2と比較して、第1のコームセグメント部分18内で小さくなっている。歯高Hおよび歯間隔Tの移行は、いずれの場合も、第1のコームセグメント部分18と第2のコームセグメント部分19との間の境界で行われている。歯高Hの変化および歯間隔Tの変化が同一箇所で行われず、そのため、コームセグメント8はさらなるコームセグメント部分を有し、T1からT2への移行および/またはH1からH2への移行が、複数の段階でおよび/または連続的に、コームセグメント8内で回転方向4と反対の方向に行われることも考えられる。
【0039】
図5は、コームセグメント8のさらなる実施形態を示している。図1〜4を参照して上記にすでに説明したものと同じ構成要素は同じ参照数字を有し、再度詳細に説明することはしない。
【0040】
コームセグメント8は、図3および図4に示す構成策の組み合わせを示している。歯高H1、歯間隔T1、および歯係合角E1を有する第1のコームセグメント部分18と比較して、第2のコームセグメント部分19は、歯高H2が高く、歯間隔T2が広く、歯係合角E2が小さいので、歯7のコーミング効果が、第1のコームセグメント部分18と比較して第2のコームセグメント部分19で低くなる。歯高H、歯間隔T、および歯係合角Eが、コームセグメント8内の同一箇所で変化せず、そのため、さらなるコームセグメント部分が設けられることが考えられる。説明したパラメータのそれぞれの1つが、複数の段階で、または連続的に、コームセグメント8内で変化することも可能である。
【0041】
図6は、コームセグメント8のさらなる構成を示している。図1〜5を参照して上記にすでに説明したものと同じ構成要素は同じ参照数字を有し、再度詳細に説明することはしない。
【0042】
コームセグメント8の第1のコームセグメント部分18内で、歯7は、歯高H1、歯間隔T1、歯係合角E1、および図示しない先端密集度Z1が一定であるように構成されている。第2のコームセグメント部分19内で、歯高Hおよび歯間隔Tが連続的に大きくなり、歯係合角Eおよび先端密集度Zが小さくなって、回転方向4に配置された第2のコームセグメント部分19の端部20で値H2、T2、E2、Z2になっている。回転方向4で見た第1のコームセグメント部分18の末端でのパラメータH1、T1、E1、Z1から、端部20でのパラメータの最終変量値H2、T2、E2、Z2まで、1つの中間段階が図6に例として示された複数の中間段階Hi、Ti、Ei、Ziを用いて連続的に移行している。追加した「i」は、カウントパラメータとして理解されたい。例えば、H1からH2へのパラメータの移行は、厳密に単調で行われるのが好ましい。これは、パラメータT、E、Zに同様に当てはまる。ただし、移行は単調で行われなくてもよい。
【0043】
図7〜10は、90°の外装品周方向角にわたって延びるコーム外装品のさらなる実施形態の周方向角に対応する、歯係合角E、歯高H、歯間隔T、および先端密集度Zの各パラメータをグラフで示している。この場合に、比較として、EP 1 083 250 B1によるコーム外装品に対する、説明したパラメータが曲線21で示され、EP 1 341 952 B1によるコーム外装品に対しては曲線22で、本発明によるコーム外装品に対しては曲線23で示されている。
【0044】
第1のコームセグメント領域内で歯係合角Eおよび先端密集度Zが一定に増加した後、エンドバータックにおけるEおよびZの値が、少なくとも63°の周方向角から減少することが、図7および図10のグラフから同様に推測できる。エンドバータックにおける歯係合角Eは、コーム外装品の回転方向の先頭部とほぼ同じ値を有する。ただし、歯係合角Eは、エンドバータックにおいて、コーム外装品の回転方向の先頭部の値よりも大きい、特に、50%大きい場合もある。エンドバータックにおける図10による先端密集度Zは、第1のコームセグメント領域の回転方向の端部における先端密集度の約50%に低減される。相応して、第1のコームセグメント領域内の歯高Hおよび歯間隔Tは、エンドバータックにおけるそれらの値と比較して低減された後、エンドバータックにおいて少なくとも76.5°の周方向角から値が増加すると図8および図9のグラフから推測することもできる。エンドバータックの開始部の値が、コーム外装品の先頭での歯高Hの先頭値と比較して約30%低減されると、エンドバータックにおける歯高Hは先頭値をとる。ただし、エンドバータックの歯高Hの値は、先頭値よりも大きくても、または小さくてもよい。エンドバータックにおける歯間隔Dは、コーム外装品内で歯間隔の最も小さい値が存在する第1のコームセグメント領域の回転方向と反対方向の端部における値と比較して約2倍とされる。
【0045】
パラメータが図7〜10に示されたコーム外装品では、エンドバータック内の歯のコーミング効果を低下させる自由通路Dは拡張されない。Dは、示したグラフの場合、コーム外装品に沿って一定である。しかし、例えば、コーム外装品の先頭の第1のバータックにある自由通路Dに対して大きな値が選択されることで、自由通路Dをコーム外装品に沿って可変にすることも可能である。次いで、自由通路Dは、回転方向4と反対方向に連続的に縮小され、エンドバータックの領域において再び拡張することもできる。
【0046】
図7〜10のパラメータE、Z、H、Tの曲線23は、本発明によるコーム外装品において、第1のコームセグメント内のパラメータが、外装品の周方向角に沿って連続的に変化し、それにより、コームセグメント間のコーミング効果の連続し、調和した移行が保証されることをさらに示している。これとは対照的に、先行技術から公知のコーム外装品の曲線21は、コームセグメント間のパラメータの急激な移行によるパラメータの段階的な、または階段状の推移を示している。
【0047】
さらに、本発明によるコーム外装品は、第1のコームセグメント領域において、公知のコーム外装品と比較して高くなったコーミング効果を示している。高くなったコーミング効果は、特に、EP 1 083 250 B1およびEP 1 341 952 B1と比較して、歯係合角Eが約20%〜50%だけ大きくなったことと、先端密集度Zが約10%〜約30%だけ高くなったことに基づく。しかし、この高くなったコーミング効果は、コーミングされた製品のコーミングから次のソルダリングプロセスへの穏やかな移行を保証する、上記したエンドバータックにおけるコーミング効果のその後の低下によってのみ可能になる。エンドバータックでのコーミング効果が変化せずに高いままであると、ソルダリングプロセスで障害が生じ、ひいては欠陥のある糸ができる。
【0048】
したがって、本発明によるコーム外装品のエンドバータックでのコーミング効果を低下させることで、第1のコームセグメント領域内のコーミング効果の最大値を先行技術と比較して高くすることが可能になるので、本発明によるコーム外装品の総合的なコーミングは、エンドバータックでコーミング効果が低下するにもかかわらず、先行技術から公知のコーム外装品の総合的なコーミング効果と同等であり、その一方で、例えば、500コーミングサイクル毎分を超える円形コームの非常に高い回転速度が可能である。本発明によるコーム外装品の対応する構造を用いて、先行技術から公知のコーム外装品のものよりも高い総合的なコーミング効果を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(4a)のまわりを回転できる、繊維機械、特に、コーミング機械のコーミングローラ用、特に、円形コーム用のコーム外装品(1)であって、
a)前記コーミングローラの回転方向(4)で見て相前後して配置され、鋸歯状打抜き部品(5)によって形成された少なくとも第1のコームセグメント領域(2)および第2のコームセグメント領域(3)を備えて構成され、鋸歯状打抜き部品(5)は、前記回転軸(4a)の方向に互いに隣り合って配置され、足部(6)から離れる方向に延びる歯(7)を有し、
b)前記第1のコームセグメント領域(2)内の歯(7)の構成が、前記歯(7)のコーミング効果が前記回転方向(4)と反対の方向に高まるように変化する、コーム外装品(1)において、
c)前記第2のコームセグメント領域(3)内の歯(7)は、前記第2のコームセグメント領域(3)内のコーミング効果が、前記回転方向(4)と反対の方向に見て前記第1のコームセグメント領域(2)の端部(11)よりも小さくなるように構成され、
d)前記第2のコームセグメント領域(3)内の歯(7)の構成が、前記歯(7)のコーミング効果が前記回転方向(4)と反対の方向に低下するように変化することを特徴とする、コーム外装品。
【請求項2】
前記歯(7)の構成が、前記第1のコームセグメント領域(2)と前記第2のコームセグメント領域(3)との間の境界(12)で変化することを特徴とする、請求項1に記載のコーム外装品。
【請求項3】
前記第1のコームセグメント領域(2)が、複数のコームセグメント(8)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のコーム外装品。
【請求項4】
前記第2のコームセグメント領域(3)が、単一のコームセグメント(8)のみを有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーム外装品。
【請求項5】
前記第1のコームセグメント領域(2)および前記第2のコームセグメント領域(3)が、全体として複数のコームセグメントを有し、すべての前記コームセグメント(8)はそれぞれ、等しい大きさのセグメント周方向角(W)にわたって延びることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーム外装品。
【請求項6】
前記コームセグメント(8)は、第1のコームセグメント部分(18)と、前記回転方向(4)にて前記第1のコームセグメント部分(18)の後ろに配置された第2のコームセグメント部分(19)とを有し、前記コーミング効果が、前記第1のコームセグメント部分(18)内で、前記第2のコームセグメント部分(19)のコーミング効果と比較して高くなることを特徴とする、請求項4に記載のコーム外装品。
【請求項7】
前記第2のコームセグメント領域(3)は、前記回転方向(4)と反対の方向に見て前記コーム外装品の終端部を形成することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコーム外装品。
【請求項8】
前記第1のコームセグメント領域(2)および前記第2のコームセグメント領域(3)は、合わさって、75°〜115°の範囲の外装品周方向角にわたって延びることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のコーム外装品。
【請求項9】
前記第1のコームセグメント領域(2)および前記第2のコームセグメント領域(3)は、合わさって、145°〜220°の範囲の外装品周方向角にわたって延びることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のコーム外装品。
【請求項10】
− 歯高(H)を低くすることと、
− 前記回転軸(4a)の方向に隣接する2つの歯(7)間の自由通路(D)を縮小することと、
− 前記回転方向(4)に隣接する2つの歯(7)間の歯間隔(T)を狭くすることと、
− 歯係合角(E)を大きくすることと、
− 先端密集度(Z)を高くすることと、
から成る構成策のうちの少なくとも1つが、前記第1のコームセグメント領域(2)内の歯(7)の前記コーミング効果を前記回転方向(4)と反対の方向に高めるために与えられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコーム外装品。
【請求項11】
− 歯高(H)を高くすることと、
− 前記回転軸(4a)の方向に隣接する2つの歯(7)間の自由通路(D)を拡大することと、
− 前記回転方向(4)に隣接する2つの歯(7)間の歯間隔(T)を広くすることと、
− 歯係合角(E)を小さくすることと、
− 先端密集度(Z)を低くすることと、
から成る構成策のうちの少なくとも1つが、前記第2のコームセグメント領域(3)内の前記コーミング効果を前記第1のコームセグメント領域(2)の端部と比較して低くするために与えられていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のコーム外装品。
【請求項12】
− 歯高(H)を高くすることと、
− 前記回転軸(4a)の方向に隣接する2つの歯(7)間の自由通路(D)を拡大することと、
− 前記回転方向(4)に隣接する2つの歯(7)間の歯間隔(T)を広くすることと、
− 歯係合角(E)を小さくすることと、
− 先端密集度(Z)を低くすることと、
から成る構成策のうちの少なくとも2つが、前記第2のコームセグメント領域(3)内の前記コーミング効果を前記第1のコームセグメント領域(2)の端部と比較して低くするために与えられていることを特徴とする、請求項11に記載のコーム外装品。
【請求項13】
− 歯高(H)を高くすることと、
− 前記回転方向(4)に隣接する2つの歯(7)間の歯間隔(T)を広くすることと、
− 歯係合角(E)を小さくすることと、
− 先端密集度(Z)を低くすることと、
から成る構成策のうちの少なくとも1つが、前記第2のコームセグメント領域(3)内の前記コーミング効果を前記第1のコームセグメント領域(2)の端部と比較して低くするために与えられていることを特徴とする、請求項11に記載のコーム外装品。
【請求項14】
歯のない中間ディスクが、軸方向に隣接して配置された2つの鋸歯状打抜き部品(5)間に設けられることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のコーム外装品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2012−532998(P2012−532998A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518875(P2012−518875)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058922
【国際公開番号】WO2011/003743
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(304034417)シュテットラー ウント ウール カーゲー (6)
【Fターム(参考)】