説明

乗り物シート用ポリウレタンパッド

【課題】 天然原料の使用割合が著しく高く、しかも、成形性、キュアー性が良好で、特にコア密度、反発弾性率、圧縮残留ひずみ(ウェットコア)の物性に優れた乗り物シート用ポリウレタンパッドを提供する。
【解決手段】 ポリオール成分(A)と、ポリイソシアネート成分(B)とを、触媒(D)及び発泡剤(E)の存在下で反応させたポリウレタンフォームからなる、乗り物シート用パッドである。(A)は、ひまし油に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した、水酸基1級化率10モル%以上、水酸基価20〜350のひまし油系ポリオール(a2)と、(a2)以外の平均官能基数2.0〜6.0、水酸基価20〜800のポリオール(al)とからなる。(B)は、ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)と、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然原料の使用割合が著しく高く、成形性、キュアー性、物性などに優れた乗り物シート用ポリウレタンパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、軟質ポリウレタンフォームは、クッション性に優れていることから、断熱材や家具等のクッション部材などのほか、自動車シートにも広く使用されている。
フォーム物性、成形性及び表面キュアー性などに優れた軟質ポリウレタンフォームの製造方法として、具体的には例えば、ポリヒドロキシル化合物、有機ポリイソシアネート、触媒、整泡剤、発泡剤(水)及び添加剤を用いて反応させる方法が提案されている(特許文献1及び2参照。)。この添加剤はヒマシ油類(具体的には、精製ヒマシ油、半精製ヒマシ油、未精製ヒマシ油、水添ヒマシ油など)又は脂肪酸エステル類であり、その使用量はポリヒドロキシル化合物に対して0.1〜15質量%の範囲である。
【特許文献1】特開平5−59144号公報
【特許文献2】特開平7−206962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1や2により製造される軟質ポリウレタンフォームは、高度に快適性や安全性などを求められる最近の自動車シートなどの乗り物シートに用いられるポリウレタンパッドとしては、特に熱老化、経年耐久に対してフォーム物性が未だ十分とは言い難い。
また、近年の化学原料の脱石油化及びカーボンニュートラルの観点から、天然の原料の使用量を更に大幅に上げることも求められている。
【0004】
本発明の目的は、天然原料の使用割合が著しく高く、しかも、成形性、キュアー性が良好で、特にコア密度、反発弾性率、圧縮残留ひずみ(ウェットコア)の物性に優れた乗り物シート用ポリウレタンパッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、ひまし油に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した、水酸基の1級化率10モル%以上かつ水酸基価20〜350のひまし油系ポリオール(a2)と、該ひまし油系ポリオール(a2)以外の平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800のポリオール(al)とからなるポリオール成分(A)と、ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)と、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)とからなるポリイソシアネート成分(B)とを、触媒(D)及び発泡剤(E)の存在下で反応させることによって得られるポリウレタンフォームからなること、を特徴とする乗り物シート用パッドである。
【0006】
本発明は、ひまし油に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した、水酸基の1級化率10モル%以上かつ水酸基価20〜350のひまし油系ポリオール(a2)と、該ひまし油系ポリオール(a2)以外の平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800のポリオール(al)とからなるポリオール成分(A)と、ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)と、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)とからなるポリイソシアネート成分(B)とを、触媒(D)、発泡剤(E)及び整泡剤(F)の存在下で反応させることによって得られるポリウレタンフォームからなること、を特徴とする乗り物シート用パッドである。
【0007】
本発明は、ひまし油に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した、水酸基の1級化率10モル%以上かつ水酸基価20〜350のひまし油系ポリオール(a2)と、該ひまし油系ポリオール(a2)以外の平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800のポリオール(al)とからなるポリオール成分(A)と、ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)と、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)とからなるポリイソシアネート成分(B)と、架橋剤(C)とを、触媒(D)及び発泡剤(E)の存在下で反応させることによって得られるポリウレタンフォームからなること、を特徴とする乗り物シート用パッドである。
【0008】
本発明は、ひまし油に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した、水酸基の1級化率10モル%以上かつ水酸基価20〜350のひまし油系ポリオール(a2)と、該ひまし油系ポリオール(a2)以外の平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800のポリオール(al)とからなるポリオール成分(A)と、ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)と、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)とからなるポリイソシアネート成分(B)と、架橋剤(C)とを、触媒(D)、発泡剤(E)及び整泡剤(F)の存在下で反応させることによって得られるポリウレタンフォームからなること、を特徴とする乗り物シート用パッドである。
【0009】
本発明は、ポリオール(a1)とひまし油系ポリオール(a2)との配合質量比が84/16〜30/70である、前記の各乗り物シート用パッドである。
【0010】
本発明は、ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)とトリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)との配合質量比が99/1〜60/40である、前記の各乗り物シート用パッドである。
【0011】
また本発明は、ポリウレタンフォームのコア部の密度が30〜70kg/m、反発弾性率が40〜65%、かつ、圧縮残留ひずみ(ウェットコア)が15%以下である、前記の各乗り物シート用パッドである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により初めて、天然原料の使用割合が著しく高く、しかも、成形性、キュアー性が良好で、特にコア密度、反発弾性率、圧縮残留ひずみ(ウェットコア)の物性に優れた乗り物シート用ポリウレタンパッドを提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
さらに本発明の内容を詳しく説明する。
まず、本発明におけるポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオール成分(A)は、ひまし油系ポリオール(a2)と、該ひまし油系ポリオール(a2)以外のポリオール(al)とからなる。このポリオール(a1)は、ひまし油系ポリオール(a2)以外の平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800のポリオールである。平均官能基数が2.0未満では圧縮残留ひずみが悪くなり、硬化時間も長くなるため、実用性に乏しく、6.0を超えると独立気泡が多くなり、伸びも悪くなる。水酸基価が20未満では圧縮残留ひずみが悪く硬化時間も長くなり、800を超えると独立気泡が多くなるため実用性に乏しくなる。
なお、本発明において、ポリオール(a1)が混合物であるときには、個々のポリオール全てが平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800である場合だけでなく、個々のポリオールは平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800の範囲内或いは範囲外であっても混合物全体としては平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800の条件を満たす場合を含む。
【0014】
ポリオール(a1)としては、具体的には例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、ポリ(メタ)アクリポリオール、これらのコポリオール、又はこれらの任意の2種以上の混合物が挙げられる。これらのポリオール成分のうち、ポリエーテルポリオール及び/又はポリマーポリオールが好ましい。
【0015】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、又は酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(以下EOと略称する。)或いはプロピレンオキサイド(以下POと略称する。)付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子アルコール類、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子アミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオール又はポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
また例えば、低分子アルコール類、低分子アミノアルコール類などを開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0016】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類とホスゲンとの脱塩酸反応、或いは前記低分子アルコール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
【0017】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類、低分子アミン類、低分子アミノアルコール類や、フェノール類を開始剤として、EO、PO、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、更に、前述のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを開始剤とするポリエステルエーテルポリオールが挙げられる。さらに詳しくは、POとEOをブロック付加したものや、末端にEOを付加したオキシエチレン単位の含有量が5〜50質量%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールが好適に挙げられる。オキシエチレン単位の含有量が5質量%未満ではキュアー性が悪化し、50質量%を超えると独立気泡となり好ましくない。
これらのうち、特にポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールが好ましい。
【0018】
ポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール中でエチレン性不飽和モノマーを重合させる方法、別途製造した重合体微粒子をポリエーテルポリオールに混合する方法、エチレン性不飽和基を有するマクロモノマーとエチレン性不飽和モノマーをポリエーテルポリオール中で重合させる方法などで製造される。このポリマーポリオールは重合体微粒子含有ポリエーテルポリオールとも呼ばれている。
エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、アクリロニトリルが挙げられる。
これらのうち、ポリエーテルポリオール中でエチレン性不飽和モノマーを重合させたものが好ましく、ポリオキシプロピレントリオール中でエチレン性不飽和モノマーを重合させたものが更に好ましい。
重合体微粒子の含有量は、全ポリエーテルポリオールに対して50質量%以下、特に30質量%以下が好ましい。重合体微粒子の含有量が50質量%を超えると、ポリマーポリオールの粘度が高くなり、成形時に作業性が悪化する。
【0019】
ポリ(メタ)アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有する(メタ)アクリル酸エステル系化合物のモノマーと、これら以外のエチレン性不飽和化合物の1種以上とを、ラジカル重合開始剤の存在下又は不存在下に、そして溶剤の存在下又は不存在下にバッチ式重合又は連続重合等の公知のラジカル重合の方法により反応させて得られるものが挙げられる。
【0020】
また、アルコール性水酸基を有するものであれば、例えば、ダイマー酸系ジオール、水素添加ダイマー酸系ジオールの他に、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール等の樹脂類もポリオール(a1)として使用できる。
以上、これらはいずれも単独で或いは2種以上混合して用いることができる。
【0021】
ひまし油系ポリオール(a2)は、ひまし油に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加して得られるポリオールであり、その水酸基の1級化率はキュアー性の点から10モル%以上であることが必要であり、水酸基価は20〜350である。
このアルキレンオキシドとしては、EO、PO、ラトラヒドロフラン等が挙げられ、これらはひまし油にランダム或いはブロック付加させることができる。
これらは単独で或いは2種以上混合して用いることができる。
【0022】
ポリオール成分(A)中のポリオール(a1)とひまし油系ポリオール(a2)との配合質量比は、84/16〜30/70、更に80/20〜40/60が好ましく、特に70/30〜50/50が好ましい。ポリオール(a1)に対するひまし油系ポリオール(a2)の配合割合を超えると、反発弾性や圧縮残留ひずみが悪くなりやすく、硬化時間も長くなり、また、硬度が出にくくなる。
【0023】
本発明におけるポリウレタンフォームの製造に用いられるポリイソシアネート成分(B)は、ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)とトリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)とからなる。
このジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)としては、具体的には例えば、2,2′−ジフェニルメタンジイシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイシアネートなどのジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと略称する。)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、これらのウレタン変性物、又はこれらの任意の2種以上の混合物、更に、2,2′−MDI及び2,4′−MDI合計5〜20質量%と4,4′−MDI95〜80質量%の混合物、MDI80〜30質量%(特に2,2′−MDI及び2,4′−MDIを合計5〜20質量%と4,4′−MDIを95〜80質量%含有するもの)とポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート20〜70質量%の混合物、これらの前者及び/又は後者混合物を分子量1000以上の前述のポリオール(a1)として挙げたのと同様の化合物でウレタン変性したもの、又はこれら混合物の任意の2種以上の配合物、特に、2,2′−MDI及び2,4′−MDI合計5〜20質量%と4,4′−MDI95〜80質量%の混合物を分子量1000以上のポリエーテルポリオールで一部ウレタン変性したものと、MDI80〜30質量%(特に2,2′−MDI及び2,4′−MDIを合計5〜20質量%と4,4′−MDIを95〜80質量%含有するもの)とポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート20〜70質量%の混合物との配合物が好適に挙げられる。このMDI系ポリイソシアネート(b1)のイソシアネート基含有量は、23.2〜32.5質量%が好ましい。
トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、これらのカルボジイミド変性体、これら2種以上の混合物が挙げられる。
【0024】
ポリイソシアネート成分(B)中のMDI系ポリイソシアネート(b1)とトリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)との配合質量比は、99/1〜60/40、更に90/10〜65/45、特に80/20〜70/30が好ましい。MDI系ポリイソシアネート(b1)に対するトリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)の配合質量比がこの範囲を超えると、反発弾性や圧縮残留ひずみが悪くなりやすく、硬化時間も長くなり、また、硬度が出にくくなる。
【0025】
本発明における架橋剤(C)としては、好適には前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類、低分子アミン類、低分子アミノアルコール類などの、分子量500未満の低分子活性水素化合物を挙げることができる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
これらのうち、イソシアネート基との反応が緩やかな点から、低分子アミノアルコール類、更にジエタノールアミンが好ましい。
架橋剤(C)の使用量は、ポリオール成分(A)100gに対して10g以下、更に5.0g以下であることが好ましい。
【0026】
本発明における触媒(D)としては、ポリウレタン製造に使用される公知のものはいずれも使用することができる。例えば、3級アミン、ジアザビシクロアルケン類やその塩類、有機金属化合物が挙げられる。
3級アミンの例としては、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾールが挙げられる。
有機金属化合物の例としては、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄などの金属とオクテン酸、ナフテン酸などの有機酸との金属塩、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートや、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナート、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛などの金属キレート化合物が挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上混合して用いることができる。
これらのうち、3級アミンが好ましい。
【0027】
本発明における発泡剤(E)としては水のほか、その他の公知のものを使用することができる。この公知の発泡剤としては、例えば、不活性低沸点溶剤と反応性発泡剤の二種があり、前者としては、ジクロルメタン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、アセトン、ヘキサン、イソペンタン等、更に窒素ガス、炭酸ガスや空気を挙げることができる。後者の例としては、室温より高い温度で分解して気体を発生する、例えばアゾ化合物のようなものを挙げることができる。
これらは単独で或いは2種以上混合して用いることができる。
本発明において特に望ましい発泡剤は水(単独)である。
【0028】
本発明における整泡剤(F)としては、一般にポリウレタンフォーム製造に使用されているシリコーン系やその他の公知のものを挙げることができる。例えば、ポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキシドブロックポリマー、ビニルシラン−ポリアルキレンポリオール重合体が挙げられる。
これらは単独で或いは2種以上混合して用いることができる。
【0029】
触媒(D)の使用量は、ポリオール成分(A)100gに対して0.1〜5.0g、更に0.3〜2.0gの範囲が好ましい。この範囲未満ではキュアー不足となり、この範囲を超えると成形性などが悪化する。
発泡剤(E)の使用量は、ポリオール成分(A)100gに対して0.5〜10.0g、更に1.0〜5.0gの範囲が好ましい。この範囲未満では独立気泡となり、この範囲を超えるとフォームに陥没を生じることがある。
整泡剤(F)の使用量は、均一なセルを形成するためには、ポリオール成分(A)100gに対して5.0g以下、更に3.0g以下が好ましい。
【0030】
そして、本発明におけるポリウレタンフォームの製造には、酸化防止剤や紫外線吸収剤のような老化防止剤、炭酸カルシウムや硫酸バリウムのような充填剤、内部離型剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤等の公知の各種添加剤、助剤を必要に応じて使用することができる。
【0031】
本発明の乗り物シート用パッドは、キャスティングやインジェクション(RIM技術)等の手段により、NCOインデックス70〜140の範囲、更に80〜120の範囲で好適に製造され得る。この場合、必要に応じて原料や型を加熱することによって反応を促進させることができる。
本発明において、原料混合物は少なくとも1つの混合ヘッドを介して、好ましくは外部離型剤を塗布した型枠内(のそれぞれの空間)に導入され、通常例えば常温から70℃までの温度で発泡反応(コールドキュアー)が行われる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定して解釈されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、フォーム物性を除いて、「%」は、特にことわりのない限り、「質量%」を示す。
【0033】
実施例1〜17、比較例1、2
表1、2、3及び4に示す組成で金型内でポリウレタンフォームをフリー発泡させた後、金型より取り出して、得られた軟質ポリウレタンフォームの物性を測定した。
〔発泡条件〕
金型温度:55〜60℃
金型形状:100×300×300mm
金型材質:アルミニウム
ミキシング方法:高圧マシンミキシング
原料温度:25±2℃
キュアー条件:55〜60℃×6分
【0034】
〔使用原料〕
ポリオール成分
ポリオールa1−1:PO/EO(=90/10)を付加させて得たEO末端含有量=10%、平均官能基数=4.0、水酸基価=28(mgKOH/g)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、旭硝子ウレタン株式会社製EL−838
ポリオールa1−2:PO/EO(=60/40)をランダム付加させて得た平均官能基数=3.0、水酸基価=48(mgKOH/g)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、旭硝子ウレタン株式会社EL−985
ポリオールa1−3:グリセリンにPOを付加重合反応させ、更にスチレンとアクリロニトリルモノマーを重合させて得た平均官能基数=3.0、水酸基価=20(mgKOH/g)のポリマーポリオール、旭硝子ウレタン株式会社製EL−937
ポリオールa1−4:グリセリンにPOを付加重合反応させて得た平均官能基数=3.0、水酸基価=732(mgKOH/g)のポリオキシプロピレンポリオール、ライオン株式会社製GE230
ポリオールa1−5:ペンタエリスリトールにEO、POをランダム付加重合反応させて得た平均官能基数=4.0、水酸基価=28(mgKOH/g)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール
ポリオールa2−1:ひまし油にEOを付加させて得た水酸基価=59(mgKOH/g)、平均官能基数=約3、末端1級OH化率=62モル%のひまし油系ポリオール
ポリオールa2−2:ひまし油にEO、POを付加させて得た水酸基価=40(mgKOH/g)、平均官能基数=約3、末端1級OH化率=35モル%のひまし油系ポリオール
【0035】
ポリイソシアネート成分
ポリイソシアネートb1−1:2,4′−MDI11%と4,4′−MDI89%のMDI混合物に、PO/EO=80/20(質量比)、平均官能基数=4.0、数平均分子量=約8000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールを反応させて得たMDI系ポリイソシアネート
ポリイソシアネートb1−2:2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート4.1%と4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート32.9%とポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート63%の混合物
ポリイソシアネートb2:トリレンジイソシアネート
【0036】
触媒
触媒D−1:トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液、東ソー株式会社製TEDA−L33
触媒D−2:ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルの70%ジプロピレングリコール溶液、東ソー株式会社製TOYOCAT ET
触媒D−3:1,2−ジメチルイミダゾールの70%ジプロピレングリコール溶液、東ソー株式会社製DP70
【0037】
整泡剤
整泡剤F−1:シリコーン系整泡剤、日本ユニカー株式会社製SZ−1306
【0038】
ひまし油:水酸基価=160(mgKOH/g)、分子量=約1000、平均官能基数=約3、末端1級OH化率=0モル%
【0039】
〔ポリウレタンフォームの物性の測定方法〕
JIS K6401の方法に基づいて行った。
成形性の評価基準;
独泡感 ○:独立気泡は数回の手もみで連通気泡となり、問題は生じない
×:強い独立気泡のため、数回の手もみでは連通気泡とならず、フォームが変形する
キュアー性 ○:問題なし
×:成形したフォームに荷重をかけると変形する
これらの組成と軟質ポリウレタンフォームの物性測定の結果を表1〜4にまとめて示す。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
実施例18
実施例8における原料混合物を用いて、混合ヘッドにより自動車シート(座席)の形状(80×700×700mm)の金型内に導入し、金型形状の点を除いて実施例8と同じ発泡条件でコールドキュアーし発泡させた後、金型より取り出して、自動車シート(座席)用パッドを製造した。
製造されたパッドは、座り心地が良好であった。
物性の測定はJIS K6401の方法に基づいて行った。
この物性などの測定結果をまとめて以下に示す。
パッドの質量:1500g
密度 コア30mm:63.5kg/m
硬度 25%ILD:190N/314cm
成形性 独泡感:○
キュアー性:○
反発弾性率(コア50mm):49%
引張強度:152kPa
伸び率:80%
引裂強度:6.0N/cm
圧縮残留ひずみ ドライコア:7.0%
ウエットコア:14.9%
共振周波数:4.05Hz
共振倍率:3.46

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひまし油に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した、水酸基の1級化率10モル%以上かつ水酸基価20〜350のひまし油系ポリオール(a2)と、該ひまし油系ポリオール(a2)以外の平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800のポリオール(al)とからなるポリオール成分(A)と、
ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)と、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)とからなるポリイソシアネート成分(B)とを、
触媒(D)及び発泡剤(E)の存在下で反応させることによって得られるポリウレタンフォームからなること、を特徴とする乗り物シート用パッド。
【請求項2】
ひまし油に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した、水酸基の1級化率10モル%以上かつ水酸基価20〜350のひまし油系ポリオール(a2)と、該ひまし油系ポリオール(a2)以外の平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800のポリオール(al)とからなるポリオール成分(A)と、
ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)と、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)とからなるポリイソシアネート成分(B)とを、
触媒(D)、発泡剤(E)及び整泡剤(F)の存在下で反応させることによって得られるポリウレタンフォームからなること、を特徴とする乗り物シート用パッド。
【請求項3】
ひまし油に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した、水酸基の1級化率10モル%以上かつ水酸基価20〜350のひまし油系ポリオール(a2)と、該ひまし油系ポリオール(a2)以外の平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800のポリオール(al)とからなるポリオール成分(A)と、
ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)と、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)とからなるポリイソシアネート成分(B)と、
架橋剤(C)とを、
触媒(D)及び発泡剤(E)の存在下で反応させることによって得られるポリウレタンフォームからなること、を特徴とする乗り物シート用パッド。
【請求項4】
ひまし油に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した、水酸基の1級化率10モル%以上かつ水酸基価20〜350のひまし油系ポリオール(a2)と、該ひまし油系ポリオール(a2)以外の平均官能基数2.0〜6.0かつ水酸基価20〜800のポリオール(al)とからなるポリオール成分(A)と、
ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)と、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)とからなるポリイソシアネート成分(B)と、
架橋剤(C)とを、
触媒(D)、発泡剤(E)及び整泡剤(F)の存在下で反応させることによって得られるポリウレタンフォームからなること、を特徴とする乗り物シート用パッド。
【請求項5】
ポリオール(a1)とひまし油系ポリオール(a2)との配合質量比が84/16〜30/70である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の乗り物シート用パッド。
【請求項6】
ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b1)とトリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(b2)との配合質量比が99/1〜60/40である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の乗り物シート用パッド。
【請求項7】
ポリウレタンフォームのコア部の密度が30〜70kg/m、反発弾性率が40〜65%、かつ、圧縮残留ひずみ(ウェットコア)が15%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の乗り物シート用パッド。

【公開番号】特開2006−104404(P2006−104404A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296094(P2004−296094)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000230135)日本ポリウレタン工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】