説明

乗員検出センサ、バックル及びシートベルト装置

【課題】バックルが乗員と接触したり、洋服等により覆われたりした場合であっても、車両シートに着座した乗員を検知することができる乗員検出センサ、バックル及びシートベルト装置を提供する。
【解決手段】本発明の乗員検出センサは、シートベルト装置のバックル1に配置されており、乗員と相対する位置(乗員側面11)に配置された発光素子2と、発光素子2と隣接して配置された受光素子3と、発光素子2及び受光素子3が他の物体と接触しないように保護する保護手段4と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両シートに搭載される乗員検出センサ、バックル及びシートベルト装置に関し、特に、車両シートに着座した乗員を検する乗員検出センサ、バックル及びシートベルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、一般に、乗員が着座する腰掛部と、乗員の背面に位置する背もたれ部と、を備えた車両シートに乗員を拘束するシートベルト装置が設けられている。かかるシートベルト装置は、乗員を拘束するウェビングと、該ウェビングの巻き取り及び引き出しを行うリトラクタと、腰掛部の側面部に配置されたバックルと、前記ウェビングに配置されたトングと、を有し、前記トングを前記バックルに嵌着させることによって乗員を前記ウェビングで拘束する。
【0003】
ところで、車両シートに乗員が着座しているか否かは、シートベルト装置やエアバッグ装置等の安全装置を制御する一つの要素である。かかる乗員検出センサには、バックルに赤外線センサを配置したものが既に提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−129418号公報
【特許文献2】特開2000−219102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1や特許文献2に記載された乗員検出センサでは、バックルの表面に赤外線の受発光素子が配置されているため、乗員と接触したり、乗員の洋服等により覆われてしまったりする場合がある。この場合、赤外線の受発光素子の経路が阻害され、赤外線発光素子が赤外線を乗員に向けて照射することができなかったり、赤外線受光素子が反射した赤外線を受信できなかったりしてしまい、乗員を検知できない可能性があった。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑み創案されたものであり、バックルが乗員と接触したり、洋服等により覆われたりした場合であっても、車両シートに着座した乗員を検知することができる乗員検出センサ、バックル及びシートベルト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、シートベルト装置のバックルに配置された乗員検出センサであって、乗員と相対する位置に配置された発光素子と、該発光素子と隣接して配置された受光素子と、前記発光素子及び前記受光素子が他の物体と接触しないように保護する保護手段と、を有することを特徴とする乗員検出センサが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、乗員に近接した位置に配置されるシートベルト装置のバックルであって、前記バックルは、乗員と相対する位置に配置された発光素子と、該発光素子と隣接して配置された受光素子と、前記発光素子及び前記受光素子が他の物体と接触しないように保護する保護手段と、を有することを特徴とするバックルが提供される。
【0009】
さらに、本発明によれば、乗員を拘束するウェビングと、該ウェビングの巻き取り及び引き出しを行うリトラクタと、乗員と近接する位置に配置されたバックルと、前記ウェビングに配置されたトングと、を有し、前記トングを前記バックルに嵌着させることによって乗員を前記ウェビングで拘束するシートベルト装置であって、前記バックルは、乗員と相対する位置に配置された発光素子と、該発光素子と隣接して配置された受光素子と、前記発光素子及び前記受光素子が他の物体と接触しないように保護する保護手段と、を有することを特徴とするシートベルト装置が提供される。
【0010】
また、前記乗員検出センサ、前記バックル及び前記シートベルト装置において、前記保護手段は、前記発光素子及び前記受光素子と前記乗員との間に一定の間隔を設定する部材であることが好ましい。また、前記保護手段は、前記発光素子及び前記受光素子の周囲に立設されたリブ、前記発光素子及び前記受光素子の周囲に立設された前記バックルの壁面又は前記発光素子及び前記受光素子を覆うカバー部材のいずれかであってもよい。また、前記リブ又は前記壁面の前面に照射窓を配置してもよい。さらに、前記保護手段は、前記バックルの筐体と一体化され、全体的に丸味を帯びた形状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
上述した本発明に係る乗員検出センサ、バックル及びシートベルト装置によれば、発光素子及び受光素子が他の物体と接触しないように保護する保護手段を設けたことにより、受発光経路が乗員や洋服等により阻害されることがなく、バックルと乗員が接触していたり、バックルが洋服等により覆われていたりしても、赤外線等の検出媒体を乗員に向けて照射することができ、その反射光を受信することができる。
【0012】
また、保護手段を発光素子及び受光素子と乗員との間に一定の間隔を設定する部材により構成することにより、容易に発光素子及び受光素子が他の物体と接触しないように保護することができる。また、保護手段をリブ、バックルの壁面、カバー部材等により構成することにより、容易に発光素子及び受光素子と乗員との間に一定の間隔を設定することができる。さらに、保護手段をバックルと一体化して丸味を帯びた形状に形成することにより、保護手段の存在をデザイン的に目立たなくさせることができるとともに、バックルが乗員と接触したときの違和感を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図1〜図6を用いて説明する。ここで、図1は、本発明に係る乗員検出センサの第一実施形態を示す図であり、(A)は正面図、(B)は図1(A)におけるB−B断面図、を示している。
【0014】
本発明の乗員検出センサは、図1(A)及び(B)に示したように、シートベルト装置のバックル1に配置されており、乗員と相対する位置(乗員側面11)に配置された発光素子2と、発光素子2と隣接して配置された受光素子3と、発光素子2及び受光素子3が他の物体と接触しないように保護する保護手段4と、を有する。なお、図1に示したバックル1は、内部に配置されるトングの着脱機構の図を省略してある。
【0015】
前記乗員検出センサは、発光素子2から赤外線やレーザー光等の検出媒体を照射し、その反射光を受光素子3で受光することにより、車両シート上の物体(例えば、乗員、荷物等)の有無を判断する。バックル1は、一般に車両シートの側面部に配置されており、車両シートに乗員が着座したときに乗員と相対する乗員側面11を有する。発光素子2及び受光素子3は、車両シート上の物体を検出するものであるため、バックル1の乗員側面11に配置される。また、発光素子2及び受光素子3は、バックル1に形成された挿通孔12に配置されてモールド樹脂等により固定される。
【0016】
また、図1(A)に示すように、発光素子2及び受光素子3は、車載されたECU(電子制御ユニット)5に電気的に接続されている。発光素子2は、ECU5からの信号に基づいて赤外線等の検出媒体を発光する。受光素子3は、赤外線等の反射光を受光すると電圧に変換し、受光信号をECU5に送信する。ECU5は、受光信号の電圧が一定値以上の場合に、検出媒体の照射範囲内に物体が存在すると判断する。
【0017】
前記保護手段4は、図1(A)及び(B)に示した第一実施形態では、全体が透明な合成樹脂素材により形成されたカバー部材41である。カバー部材41は、一面が開放された箱形状をなしており、底部はバックル1の乗員側面11から一定の間隔gをなすように形成されている。また、カバー部材41の開放側の縁部には、バックル1に形成された係止孔13と係合する鉤部41kが形成されている。鉤部41kは、バックル1に係止できるように、少なくとも相対する一辺に形成されていればよく、縁部外周に部分的に形成されていてもよい。かかるカバー部材41は、バックル1に係止された後、鉤部41kの係止部をモールド樹脂やバックル1の内部に挿入される部品により、鉤部41kを位置決めし、カバー部材41の底部がバックル1の表面と一定の間隔gをなすように固定される。すなわち、カバー部材41は、発光素子2及び受光素子3と乗員との間に一定の間隔gを設定する部材である。また、カバー部材41の底部は、発光素子2及び受光素子3と相対する面を形成するため、赤外線等の検出媒体の照射窓wを構成する。なお、カバー部材41は、発光素子2及び受光素子3の前面に一定の間隔gを有する空間を形成するためのものであるため、必ずしも箱形状である必要はなく、2つの相対する側面のうちいずれか一方の組み合わせの側面部が開放された断面略コ字状の形状であってもよい。
【0018】
ここで、図2は、乗員検出センサの間隔g(mm)と受光電圧e(V)との関係を示す図である。なお、図2の横軸は間隔g(mm)を示し、縦軸は受光電圧e(V)を示している。また、発光素子2及び受光素子3には赤外線を受発光可能な素子を使用した。
【0019】
図2に示したように、赤外線を使用した乗員検出センサは、ある一定の間隔g1になると受光電圧eが立ち上がり、間隔g2で最大値e2に達し、その後、間隔gが大きくなるにつれて受光電圧eは緩やかに低下していく傾向にある。一般的な赤外線を使用した乗員検出センサでは、受光電圧eの最大値e2の半分以下の数値である閾値e3以上の受光電圧eであれば、物体が存在していると判断するように設定されている。かかる閾値e3の数値は、乗員検出センサの回路構成や検出範囲の広さ等によって設定される。したがって、保護手段4(カバー部材41)の間隔gは、間隔g2〜間隔g3の範囲内で設定することができる。しかしながら、間隔gを必要以上に大きくすると、保護手段4が(カバー部材41)がバックル1の乗員側面11から突出する部分が大きくなってしまったり、保護手段4(カバー部材41)の照射窓wから照射された赤外線の反射光の受光強度が低くなってしまったりしてしまう。したがって、保護手段4(カバー部材41)の間隔gは、できるだけ間隔g2に近い数値に設定することが好ましい。一方で、保護手段4(カバー部材41)の間隔gが間隔g2よりも小さくなると急激に受光電圧eが低下してしまう。そこで、製造公差や据付公差を考慮したマージンΔgを設定し、保護手段4(カバー部材41)の間隔gは間隔g2+マージンΔgの数値である間隔g4に設定することが好ましい。なお、間隔g4は、一般に5〜7mm程度に設定される。
【0020】
次に、本発明に係る乗員検出センサの他の実施形態について説明する。ここで、図3は、本発明に係る乗員検出センサの第二実施形態を示す図であり、(A)は正面図、(B)は図3(A)におけるB−B断面図、を示している。また、図4は、本発明に係る乗員検出センサの他の実施形態を示す断面図であり、(A)は第三実施形態、(B)は第四実施形態、を示している。なお、各図において、図1に示した第一実施形態の乗員検出センサと同じ構成部品については、同じ符号を付し重複した説明を省略する。
【0021】
図3(A)及び(B)に示した第二実施形態の乗員検出センサは、保護手段4が、発光素子2及び受光素子3の周囲に立設されたバックル1の壁面14と、壁面14の前面に配置された照射窓wと、から構成されており、バックル1の筐体と一体化されている。図3(B)に示したように、第二実施形態の乗員検出センサでは、バックル1の筐体の一部を乗員側に突出させて発光素子2及び受光素子3の周囲に壁面14を立設させている。かかる壁面14により、間隔gを有する凹部15をバックル1の乗員側面11に形成している。また、第二実施形態では、この凹部15の前面に照射窓wを配置している。照射窓wは、例えば、透明な合成樹脂素材により形成された平板である。かかる照射窓wを乗員側面11の前面に配置することにより、洋服等の一部が凹部15に入り込まないようにすることができる。また、図3(A)に示すように、バックル1は、上部部材1aと下部部材1bとに分離されており、下部部材1bの開口部側にスリット部16が形成されている。上述した乗員検出センサを有するバックル1を形成する場合には、バックル1の下部部材1bに発光素子2及び受光素子3を固定した後、スリット部16に照射窓wを挿入し、上部部材1aを下部部材1bに螺子や溶着等により結合すればよい。かかる第二実施形態では、第一実施形態のカバー部材41のように部分的に突出した部材がなく、デザイン的に優れており、乗員に対する違和感を低減することができる。
【0022】
図4(A)に示した第三実施形態の乗員検出センサは、基本的な構成は図3に示した第二実施形態と同じであるが、保護手段4が、全体的に丸味を帯びた形状に形成されている。具体的には、バックル1の壁面14と照射窓wにより構成されるバックル1の乗員側面11が一体的かつ全体的に丸味を帯びた形状に形成されている。このように乗員と接触しやすいバックル1の乗員側面11を湾曲させることにより、デザイン的に優れたバックル1を提供することができ、乗員に対する違和感をより低減することができる。照射窓wは、第二実施形態のようにスリット部に挿入して固定するようにしてもよいし、接着剤や溶着等により固着するようにしてもよい。
【0023】
図4(B)に示した第四実施形態の乗員検出センサは、保護手段4が、発光素子2及び受光素子3の周囲に立設されたリブ17により構成されており、照射窓wが配置されていないものである。リブ17は、乗員と接触しやすいバックル1の乗員側面11に突出するように形成される。また、リブ17は、発光素子2及び受光素子3の周囲の全部又は一部を取り囲むように立設されていてもよいし、相対する1組の対面にのみ立設されていてもよい。このように照射窓wがないタイプの保護手段であっても、リブ17により形成された凹部15に洋服等が入り込まない限り、乗員との間に一定の間隔gを維持することができ、上述した他の実施形態と同様の効果を奏する。
【0024】
次に、上述した乗員検出センサを備えたシートベルト装置について説明する。ここで、図5は、本発明に係るシートベルト装置を示す図であり、(A)は前部座席のシートベルト装置、(B)は後部座席のシートベルト装置、を示している。また、図6は、チャイルドシートに配置されたシートベルト装置を示す図であり、(A)は上面図、(B)はバックルの背面図、(C)は図6(B)におけるC−C断面図、を示している。
【0025】
図5及び図6に示したシートベルト装置は、乗員を拘束するウェビング6と、ウェビング6の巻き取り及び引き出しを行うリトラクタ7と、乗員と近接する位置に配置されたバックル1と、ウェビング6に配置されたトング8と、を有し、トング8をバックル1に嵌着させることによって乗員をウェビング6で拘束するシートベルト装置であり、バックル1は、乗員と相対する位置に配置された発光素子2と、発光素子2と隣接して配置された受光素子3と、発光素子2及び受光素子3が他の物体と接触しないように保護する保護手段4と、を有する。すなわち、図5及び図6に示したシートベルト装置は、上述した乗員検出センサ及びバックル1を配置したシートベルト装置である。
【0026】
図5(A)に示したシートベルト装置は、前部座席9に本発明に係る乗員検出センサを備えたバックル1を設置したものである。前部座席9の車両シートは、図示したように、乗員が着座する腰掛部91と、乗員の背面に位置する背もたれ部92と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト部93と、を有する。そして、ウェビング6は、ベルトアンカー94により腰掛部91の下部に一端が固定され、他端はガイドアンカー95に掛け回されてからリトラクタ7に接続されている。ガイドアンカー95は、例えば、車両の窓側部に配置されたBピラー96に取り付けられている。また、リトラクタ7は、図示したように、車両のBピラー96に内蔵されていることが多いが、車両シートの背もたれ部92に内蔵されていてもよい。トング8は、ベルトアンカー94とガイドアンカー95の間のウェビング6に挿通されている。したがって、トング8をバックル1に嵌着させると、ベルトアンカー94とトング8の間のウェビング6は乗員の腰部を拘束するラップベルト部を構成し、ガイドアンカー95とトング8の間のウェビング6は乗員の肩部を拘束するショルダーベルト部を構成する。そして、本発明のシートベルト装置に使用されているバックル1には保護手段4を有する乗員検出センサが配置されているため、バックル1に乗員が接触したり、洋服等により覆われたりした場合であっても、保護手段4により間隔gの空間を形成することにより、発光素子2と受光素子3の受発光経路を確保することができ、車両シートに着座した乗員を検知することができる。
【0027】
図5(B)に示したシートベルト装置は、後部座席10に本発明に係る乗員検出センサを備えたバックル1を設置したものである。後部座席10の車両シートは、例えば、図示したように、乗員が着座する腰掛部101と、乗員の背面に位置する背もたれ部102と、を有する。この腰掛部101及び背もたれ部102は、二人掛用や三人掛用によって長さが異なる。また、ウェビング6は、ベルトアンカー103により腰掛部101の下部に一端が固定され、他端は背もたれ部101に掛け回されてからリトラクタ7に接続されている。なお、リトラクタ7は、車両シートの背もたれ部102の背後の車体側に配置されていることが多い。トング8は、背もたれ部102の表面に露出したウェビング6に挿通されている。また、バックル1は、図示したように、腰掛部101に所定の間隔で配置されている。したがって、トング8をバックル1に嵌着させると、ベルトアンカー103とトング8の間のウェビング6は乗員の腰部を拘束するラップベルト部を構成し、背もたれ部102とトング8の間のウェビング6は乗員の肩部を拘束するショルダーベルト部を構成する。そして、本発明のシートベルト装置に使用されているバックル1には保護手段4を有する乗員検出センサが配置されているため、バックル1に乗員が接触したり、洋服等により覆われたりした場合であっても、保護手段4により発光素子2及び受光素子3と乗員との間に一定の間隔gの空間を形成することができ、発光素子2と受光素子3の受発光経路を確保することができ、車両シートに着座した乗員や腰掛部101に載置された荷物等を容易に検知することができる。なお、保護手段4には、例えば、実施形態1〜実施形態4に示したものが使用される。
【0028】
上述した前部座席9や後部座席10に配置されたバックル1は、ドアの開閉に応じて起立・収納される場合がある。かかるタイプのバックル1を想定した場合、上述した乗員検出センサは、バックル1が起立したときに、腰掛部91,101よりも上方に配置されて乗員と相対することができる位置、すなわち、バックル1の先端部寄りに配置されることが好ましい。また、前部座席9や後部座席10の腰掛部91,101には、乗員の体重により乗員の有無を検出する着座センサが内蔵されていることが多いが、かかる着座センサは腰掛部91,101の下面に配置されるため構造が複雑であり、ハーネス等の据付も面倒であった。しかしながら、本発明のように、バックル1に乗員検出センサを配置することにより、着座センサを設ける必要がなくなり、上述した問題を解決することができる。
【0029】
図6(A)〜(C)に示したシートベルト装置は、チャイルドシート20に本発明に係る乗員検出センサを備えたバックル1を設置したものである。チャイルドシート20は、図6(A)に示したように、車両シートの腰掛部上に配置される底盤から起立した起立部を有したベース(図示せず)と、子供の臀部が載置される座部201及び子供の背中を支える背部202を有したシェル203と、を有する。チャイルドシート20のバックル1は、座部201の下部に配置されたウェビング6の先端に接続されており、さらに2つのトング8,8を嵌着できるように構成されている。また、背部202の表面から2本のウェビング6,6が露出しており、その先端にトング8,8が接続されている。このトング8,8をバックル1に嵌着させることにより略Y字状にウェビング6を配置して子供の股間部及び両肩部を拘束している。また、図6(A)のバックル1の表面には、トング8,8を解除するための解除ボタン204が配置されている。なお、肩部を拘束するウェビング6,6を背部202の内部で結合して1本に纏めた後、その端部にウェビング6,6を巻き取るリトラクタを接続するようにしてもよい。
【0030】
かかるチャイルドシート20のバックル1では、図6(B)に示したように、バックル1の背面(子供の身体と接触する面)に乗員検出センサの保護手段4が配置されている。具体的には、図6(C)に示したように、保護手段4は、発光素子2及び受光素子3の周囲に立設されたバックル1の壁面14と、壁面14の前面に配置された照射窓wと、から構成されており、バックル1の筐体と一体化されている。かかる壁面14により、間隔gを有する凹部15をバックル1の背面に形成している。そして、凹部15の前面に照射窓wが配置されている。チャイルドシート20に本発明を適用した場合、バックル1の背面は乗員である子供の腹部近傍に接触することになるため、洋服等が凹部15に入り込まないように照射窓wを設置することが好ましい。加えて、子供と直接的に接触する部分であるため、図示したように、保護手段4を、全体的に丸味を帯びた形状に形成しておくことが好ましい。かかる保護手段4の構成は、基本的に図4(A)に示した第三実施形態と同じ構成である。なお、バックル1の内部には、2つのトング8,8を嵌着できるように2つに区画された挿入部1r,1rが形成されている。このように、チャイルドシート20のシートベルト装置に使用されているバックル1に保護手段4を有する乗員検出センサを配置することにより、バックル1が子供と接触したり、洋服等により覆われたりした場合であっても、保護手段4により発光素子2及び受光素子3と乗員との間に一定の間隔gの空間を形成することができ、発光素子2と受光素子3の受発光経路を確保することができ、チャイルドシート20に載置された乗員(子供)を容易に検知することができる。
【0031】
本発明は上述した実施形態に限定されず、例えば、2点式のシートベルト装置や4点式のシートベルト装置にも適用することができる等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る乗員検出センサの第一実施形態を示す図であり、(A)は正面図、(B)は図1(A)におけるB−B断面図、を示している。
【図2】乗員検出センサの間隔g(mm)と受光電圧e(V)との関係を示す図である。
【図3】本発明に係る乗員検出センサの第二実施形態を示す図であり、(A)は正面図、(B)は図3(A)におけるB−B断面図、を示している。
【図4】本発明に係る乗員検出センサの他の実施形態を示す断面図であり、(A)は第三実施形態、(B)は第四実施形態、を示している。
【図5】本発明に係るシートベルト装置を示す図であり、(A)は前部座席のシートベルト装置、(B)は後部座席のシートベルト装置、を示している。
【図6】チャイルドシートに配置されたシートベルト装置を示す図であり、(A)は上面図、(B)はバックルの背面図、(C)は図6(B)におけるC−C断面図、を示している。
【符号の説明】
【0033】
1 バックル
1a 上部部材
1b 下部部材
1r 挿入部
2 発光素子
3 受光素子
4 保護部材
5 ECU
6 ウェビング
7 リトラクタ
8 トング
9 前部座席
10 後部座席
11 乗員側面
12 挿通孔
13 係止孔
14 壁面
15 凹部
16 スリット部
17 リブ
20 チャイルドシート
41k 鉤部
91,101 腰掛部
92,102 背もたれ部
93 ヘッドレスト部
94,103 ベルトアンカー
95 ガイドアンカー
96 Bピラー
201 座部
202 背部
203 シェル
204 解除ボタン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルト装置のバックルに配置された乗員検出センサであって、
乗員と相対する位置に配置された発光素子と、該発光素子と隣接して配置された受光素子と、前記発光素子及び前記受光素子が他の物体と接触しないように保護する保護手段と、を有することを特徴とする乗員検出センサ。
【請求項2】
前記保護手段は、前記発光素子及び前記受光素子と前記乗員との間に一定の間隔を設定する部材である、ことを特徴とする請求項1に記載の乗員検出センサ。
【請求項3】
前記保護手段は、前記発光素子及び前記受光素子の周囲に立設されたリブ、前記発光素子及び前記受光素子の周囲に立設された前記バックルの壁面又は前記発光素子及び前記受光素子を覆うカバー部材のいずれかである、ことを特徴とする請求項1に記載の乗員検出センサ。
【請求項4】
前記リブ又は前記壁面の前面に照射窓を配置した、ことを特徴とする請求項3に記載の乗員検出センサ。
【請求項5】
前記保護手段は、前記バックルの筐体と一体化され、全体的に丸味を帯びた形状に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の乗員検出センサ。
【請求項6】
乗員に近接した位置に配置されるシートベルト装置のバックルであって、前記バックルは、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の乗員検出センサを備えている、ことを特徴とするバックル。
【請求項7】
乗員を拘束するウェビングと、該ウェビングの巻き取り及び引き出しを行うリトラクタと、乗員と近接する位置に配置されたバックルと、前記ウェビングに配置されたトングと、を有し、前記トングを前記バックルに嵌着させることによって乗員を前記ウェビングで拘束するシートベルト装置であって、前記バックルは、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の乗員検出センサを備えている、ことを特徴とするシートベルト装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−100231(P2010−100231A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275079(P2008−275079)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(306009581)タカタ株式会社 (812)
【Fターム(参考)】