説明

乗客コンベアのマシンプレート

【課題】モータや減速機を交換する場合に、新しいモータや減速機を設置する時間を短縮できる乗客コンベアのマシンプレートを提供する。
【解決手段】乗客コンベアのマシンプレート1は、モータ及び減速機を取付可能な第1取付手段(マシンベッド受け2、押しボルト固定用梁3、支持金具a)と、モータ及び減速機を設置するトラス側被設置部における被取付手段(既設駆動装置固定ボルト)に取付可能な第2取付手段(ボルト孔4a付きボルト固定用梁4)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、モータ及び減速機を設置するための乗客コンベアのマシンプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道等の乗客コンベアは、耐用年数が定められており、耐用年数に達した乗客コンベアについてはリニューアルが行われる。また、耐用年数に達していない場合であっても、機能の向上、外観の向上、その他省エネ対策等種々の理由によりリニューアルが行われる場合がある。
【0003】
リニューアルの方法としては、既設のエスカレータを全て撤去し、新たなエスカレータを設置する全撤去方式の他、トラス梁を残して他の機器を交換する準撤去リニューアル、部分的に、例えばモータや減速機だけを交換する制御リニューアル方式などがある。
【0004】
従来、モータや減速機を交換する場合において、モータや減速機を設置するためのマシンプレートを取り付けるために、その受アングルをトラス梁に現地で取り付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3507177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、受アングルを現地で取り付ける場合には、現地でのトラス穴加工や受アングル取付等の作業のために、マシンプレートの取付に時間を要し、さらに取り付けたマシンプレートにモータや減速機を設置するのに時間を要していた。
【0007】
本発明の実施形態は、モータや減速機を交換する場合に、新しいモータや減速機を設置する時間を短縮できる乗客コンベアのマシンプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る乗客コンベアのマシンプレートは、モータ及び減速機を取付可能な第1取付手段と、モータ及び減速機を設置するトラス側被設置部における被取付手段に取付可能な第2取付手段とを備えていることを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態を示すマシンプレートを示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図2】本発明の実施形態を示すマシンプレートにモータ及び減速機を取り付けた駆動装置ユニットの平面図である。
【図3】本発明の実施形態を示すマシンプレートにモータ及び減速機を取り付けた駆動装置ユニットの正面図である。
【図4】本発明の実施形態を示すマシンプレートにモータ及び減速機を取り付けた駆動装置ユニットを既設トラスに取り付けた状態を示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態を示すマシンプレートにモータ及び減速機を取り付けた駆動装置ユニットを既設トラスに取り付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る乗客コンベアのマシンプレートの実施例について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1において、1は本実施例に係るマシンプレートを示し、該マシンプレート1は、矩形平板状であって、モータ及び減速機の取付面となる上面側には、モータ及び減速機を取付可能な第1取付手段として、一対のマシンベッド受け2、押しボルト固定用梁3、及び、4隅の支持金具aが一体的に配されており、トラス梁側の取付面となる下面側には、モータ及び減速機を設置するトラス側被設置部における被取付手段に取付可能な第2取付手段として、ボルト固定用梁4が配されており、一方の端部両側には、ガイドローラ5が配されてなるものである。
【0012】
このマシンプレート1に配されている一対のマシンベッド受け2、押しボルト固定用梁3、及び、4隅の支持金具aは、当該マシンプレート1に取り付けるモータ8や減速機7の規格に合わせて構成配置しておく。したがって、図2及び図3に示すようにこのマシンプレート1には、事前に減速機7、モータ8を搭載し、支持金具aを利用してマシン押さえアングル9によりボルト止めし、押しボルト固定用梁3に押しボルト10を嵌め込んで仮固定した駆動装置ユニット6として組み立てることが可能であり、このように組み立てた駆動装置ユニット6として出荷することが可能である。
【0013】
また、既設トラス11の横梁11aに設置されている既設の駆動装置の設置図面を参照すれば、トラス側被設置部における被取付手段である既設トラス11の横梁11aの既設駆動装置固定ボルト12の位置が事前に判るので、第2取付手段であるマシンプレート1の下面側に配されているボルト固定用梁4には、既設トラス11の横梁11aの既設駆動装置固定ボルト12と合致する位置に予めボルト孔4aを設けておく。
【0014】
さらに、ガイドローラ5は、既設トラス11の縦梁dに沿わせることができるように事前に取り付けておく。
【0015】
上記のように構成すれば、現地にて既設トラス11に取り付けているモータ及び減速機等からなる駆動装置を取り外した後、交換用の駆動装置ユニット6を、既設トラス11の縦梁11bにガイドローラ5を沿わせるようにして下降させて既設トラス11内に搬入し、図4及び図5に示すように、マシンプレート1におけるボルト固定用梁4のボルト孔4aに既設駆動装置固定ボルト12を嵌め込んでボルト止めすることにより、マシンプレート1が固定され、この固定によりモータ8及び減速機7が取り付けられた駆動装置ユニット6が既設トラス11の横梁11aに設置固定されることになる。そして、駆動装置ユニット6を固定後、駆動チェーン13を取り付けることにより、モータ8及び減速機7の交換が完了する。
【0016】
以上のように、既設の駆動装置の固定ボルト12のみでマシンプレート1を固定することができるため、従来取り付けていたマシンプレートの受けアングルが不要となるため、現地での穴加工が不要となり、現地での作業時間が短縮可能となる。また、マシンプレート1と、マシンベッド受け2、押しボルト固定用梁2及び支持金具aが一体構造となっているため、事前にマシンプレート1に減速機7、モータ8を取り付け、マシン押さえアングル9、押しボルト10で固定し、駆動装置ユニット6として出荷が可能となり、現地での駆動装置取付作業が短縮可能となる。
【0017】
したがって、マシンプレート1における第1取付手段であるマシンベッド受け2、押しボルト固定用梁2及び支持金具aにより、マシンプレート1に、事前にモータ8及び減速機7を取り付けることができ、このようにマシンプレート1にモータ8及び減速機7を取り付けた駆動装置ユニット6をガイドローラ5により既設トラス内に安全にかつスムーズに搬入することができ、既設の駆動装置の固定ボルト12である被取付手段に、マシンプレート1における第2取付手段であるボルト固定梁を直接取り付けることにより、モータ8及び減速機7を設置固定することができるので、モータ8及び減速機7の交換作業に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0018】
なお、本実施例はエスカレータについて説明したが、動く歩道における踏段に対しても適用できるものである。また、実施の形態は例示であり、発明の範囲は実施の形態に限られるものではない。
【符号の説明】
【0019】
1・・・・マシンプレート 2・・・・マシンベッド受け
3・・・・押しボルト固定用梁 a・・・・支持金具
4・・・・ボルト固定用梁 4a・・・ボルト孔
5・・・・ガイドローラ 6・・・・駆動装置ユニット
7・・・・減速機 8・・・・モータ
9・・・・マシン押さえアングル 10・・・押しボルト
11・・・既設トラス 11a・・既設トラスの横梁
11b・・既設トラスの縦梁 12・・・既設駆動装置固定ボルト
13・・・駆動チェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ及び減速機を取付可能な第1取付手段と、モータ及び減速機を設置するトラス側被設置部における被取付手段に取付可能な第2取付手段とを備えていることを特徴とする乗客コンベアのマシンプレート。
【請求項2】
マシンプレートに、マシンベッド受け及び押しボルト固定用梁が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベアのマシンプレート。
【請求項3】
マシンプレートの側面にガイドローラを取り付け、マシンプレートを上下させることによりマシンプレートが接触する物体に対して前記ガイドローラが接触するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の乗客コンベアのマシンプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−25555(P2012−25555A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166870(P2010−166870)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】